主文 1 被告東電は、別紙3認容額等一覧表「認容額」欄に金額の記載がある原告らに対し、同欄記載の各金員及びこれに対する平成23年3月11日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 1項の原告らの被告東電に対するその余の請求及び1項の原告らを除く原告ら の被告東電に対する請求をいずれも棄却する。 3 原告らの被告国に対する請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は、全事件を通じ、原告らに生じた費用の2分の1と被告東電に生じた費用については、その60分の1を被告東電の負担とし、その余を原告らの負担とし、原告らに生じた費用の2分の1と被告国に生じた費用については原告らの負担 とする。 5 この判決は、1項に限り、仮に執行することができる。ただし、被告東電が同項の原告らに対し別紙3認容額等一覧表「担保額」欄記載の各金員の担保を供するときは、当該原告らとの関係において、その執行を免れることができる。 事実及び理由 第1章請求第1 原告らの請求被告らは、各原告に対し、連帯して660万円及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 被告国の答弁 原告らの請求を棄却する。 第3 被告東電の答弁原告らの請求を棄却する。 第2章事案の概要第1 原告らの請求 原告らは、平成23年3月11日の東北地方太平洋沖地震(本件地震)発生当時、 福島県南相馬市鹿島区を生活の本拠地としていたと主張する者又はその承継人である。原告ら(損害賠償請求権を承継した原告については被承継人を指すことがある。 以下、同じ。)は、前同日、被告東電が設置し運営する福島第一原子力発電所(本件発電所)で発生した事故(本件事故)により、①放射性物 ら(損害賠償請求権を承継した原告については被承継人を指すことがある。 以下、同じ。)は、前同日、被告東電が設置し運営する福島第一原子力発電所(本件発電所)で発生した事故(本件事故)により、①放射性物質による被ばくの不安に常時さらされ、②人口の流出入によって家庭・コミュニティが崩壊し、③農業や家庭菜園、 釣りといった職業、趣味、生きがいを奪われ、④同年10月以降も社会基盤の回復遅延により不便な日常生活を余儀なくされるといった複合的かつ継続的な被害により従前の日常生活を根こそぎ奪われる損害(地域社会生活変容被害)を受けたと主張して、2000万円を超える慰謝料の一部請求として、被告東電に対しては、原子力損害の賠償に関する法律(原賠法)3条1項、民法709条及び719条に基づき、被 告国に対しては、国家賠償法(国賠法)1条1項、4条及び民法719条に基づき、連帯して慰謝料600万円及び弁護士費用60万円の合計660万円並びにこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による遅延損害金を支払うことを求める。 第2 前提事実(証拠により認めた事実はその証拠を掲記した。年の記載がない日付は平成23年のものである。) 1 南相馬市鹿島区南相馬市鹿島区は、南相馬市の最北端に位置する。 南相馬市は、平成18年1月1日、相馬郡鹿島町(現鹿島区)、相馬郡小高町(現小高区)及び原町市(現原町区)の3市町が合併して発足した市である。3市町村は、東部に太平洋が広がり、西部は阿武隈高地が連なり、おおむね西高東低の形態をなし、地理的な近接性に加え、古くから相馬中村藩に属することなどから、歴史・文化、経済、生活等、多くの面で共通性と結びつきを持ち、特に、 洋が広がり、西部は阿武隈高地が連なり、おおむね西高東低の形態をなし、地理的な近接性に加え、古くから相馬中村藩に属することなどから、歴史・文化、経済、生活等、多くの面で共通性と結びつきを持ち、特に、通勤・通学、買物、通院等 の住民の日常生活や民間の経済活動は、その多くが「3市町」という範囲で行われ、 一体的な日常生活圏、経済圏が形成されている(丙E1)。 鹿島区の区域の大半は本件発電所から30km圏外にあり、国の避難指示の対象にならなかったが、南相馬市は、3月16日、市民に対し、その生活の安全確保等を理由として一時避難を要請するとともに、その一時避難を支援した(甲C18の8頁)。 2 本件地震の発生とその規模 3月11日午後2時46分、本件地震が発生した。 本件地震の震源は牡鹿半島の東南東約130km付近、震源域は岩手県沖南部から茨城県沖までに及び、その長さは約400km以上、幅は約200kmで、最大のすべり量は50m以上であり、複数の震源域がそれぞれ連動して発生したと推定される。 宮城県栗原市で最大震度7、宮城県、福島県、茨城県及び栃木県の4県37市町村で 震度6強を観測した。また、東北地方から関東地方北部の太平洋側を中心に非常に高い津波が観測され、東北地方太平洋沿岸では、津波が海岸から数km内陸にまで侵入し、広域に浸水被害を発生させた。本件地震の規模は、我が国の観測史上最大となるマグニチュード9.0、津波マグニチュード9.1であった(以下、本件地震に伴う津波を「本件津波」という。甲B12(特に記載がなければ本文編を指す。以下同じ。) の15、16頁、乙B464の4頁)。 南相馬市では最大震度6弱を観測し、気象庁から大津波警報が発せられ、午後3時35分頃南相馬市沿岸に津波が到達した。南相馬市に最も近 指す。以下同じ。) の15、16頁、乙B464の4頁)。 南相馬市では最大震度6弱を観測し、気象庁から大津波警報が発せられ、午後3時35分頃南相馬市沿岸に津波が到達した。南相馬市に最も近い相馬港の観測点では9. 3m以上の最大波を観測し、津波による被害面積は、小高区10.5km2、鹿島区15.8km2、原町区13.4km2、全体で40.8km2、市域の約10%であ る。南相馬市における津波による直接死は636人であった。 地震調査研究推進本部(推進本部)地震調査委員会は、3月11日、本件地震の震源域は、岩手県沖から茨城県沖までの広範囲にわたっていると考えられ、地震調査委員会では、宮城県沖・その東の三陸沖南部海溝寄りから南の茨城県沖まで個別の領域については地震動や津波について評価していたが、これらすべての領域が連動して発 生する地震については想定外であったと発表した(乙B18)。 3 本件発電所本件発電所は、福島県双葉郡大熊町及び同郡双葉町に位置し、敷地東側は太平洋に面する。沸騰水型原子炉(BWR)の設置について、昭和41年(1号機)から昭和47年(6号機)までの間に許可を得て、昭和46年3月(1号機)から昭和54年10月(6号機)までの間に、順次営業運転を開始した。 本件地震発生当時、1号機ないし3号機は定格出力運転中であり、4号機ないし6号機は定期検査中であった(丙B1の11、13、84頁)。 4 本件事故の発生本件地震に際し、本件発電所が位置する大熊町及び双葉町において観測された最高震度は6強であり、震度5弱以下の余震が多数回観測された。 本件地震に伴う津波は、第一波が3月11日午後3時27分頃、第二波が同日午後3時35分頃、その後も断続的に本件発電所に到達し、敷地の海に面し であり、震度5弱以下の余震が多数回観測された。 本件地震に伴う津波は、第一波が3月11日午後3時27分頃、第二波が同日午後3時35分頃、その後も断続的に本件発電所に到達し、敷地の海に面した東側及び南東側の全方向から大量の海水が敷地に浸入し、海側エリア及び主要建屋設置エリアはほぼ全域が浸水した。1号機から4号機の主要建屋設置エリアの敷地高は海抜(小名浜港工事基準面(O.P.)からの高さ。以下同じ。)+10mであるところ、浸水高 は海抜+約11.5mから+約15.5m、浸水深(地表面からの浸水の高さ)は約1.5mから約5.5mである(甲B12の19頁、92~95頁、同資料編20頁、丙B15のスライド36~43頁)。 本件地震後、本件発電所では、施設の安全を確保する仕組みのうち「止める」機能は達成されたが、多くの電源関連設備が機能を喪失したことなどにより「冷やす」機 能が損なわれ、原子炉内に蓄積される放射性物質を「閉じ込める」機能を喪失した。 運転中であった1号機ないし3号機は、本件地震後、注水機能を喪失して炉心損傷に至り、炉心損傷に伴い、燃料被覆管内の放射性物質が原子炉圧力容器内に漏れ出すとともに、燃料被覆管(ジルコニウム)と水蒸気の反応で水素が発生した。この放射性物質と水素が蒸気とともに逃し安全弁等を経て格納容器へ放出され、格納容器の内圧 を上昇させるため、各号機とも格納容器の減圧(ベント)操作が試みられた。また、 3月12日午後3時36分に1号機の原子炉建屋が、同月14日午前11時1分に3号機の原子炉建屋がそれぞれ爆発により損傷した。その結果、空気中に放射性物質が放出された(甲B12の19頁、丙B1の1の269~278頁)。 5 政府による事故初期における避難措置3月11日午後7時3分、政府は、原 ぞれ爆発により損傷した。その結果、空気中に放射性物質が放出された(甲B12の19頁、丙B1の1の269~278頁)。 5 政府による事故初期における避難措置3月11日午後7時3分、政府は、原子力災害対策特別措置法(原災法)15条2 項の規定する原子力緊急事態宣言を発出するとともに、内閣総理大臣を本部長とする原子力災害対策本部(原災本部)を設置した。 原災本部は、3月11日午後9時23分、福島県知事及び関係自治体に対し、本件発電所から半径3km圏内の居住者等に対して避難のための立退きを行うこと、半径10km圏内の居住者等に対して屋内退避を行うことを指示した(丙C2)。その後、 1号機における原子炉格納容器圧力の異常上昇、1号機及び2号機におけるベントが実施できていないことなどから、原災本部は、翌12日午前5時44分、福島県知事及び関係自治体に対し、本件発電所から半径10km圏内の居住者等に対して避難のための立退きを行うことを指示した。 3月12日午後3時36分に1号機の原子炉建屋で爆発が発生し、同日午後6時2 5分、原災本部は、福島県知事及び関係自治体に対し、本件発電所から半径20km圏内の居住者等に対して避難のための立退きを行うことを指示した(丙C4)。 3月14日午前11時1分に3号機の爆発、同月15日午前6時頃に4号機方向から衝撃音の発生、同日午前9時38分の同原子炉建屋3階北西付近での火災発生といった事態が連続的に発生した後、原災本部は、同日午前11時、福島県知事及び関係 自治体に対し、本件発電所から半径20km以上30km圏内の住民は外出せず、自宅など屋内に待機することを指示した(甲B12の264~266頁、丙C5)。 6 南相馬市による一時避難の要請南相馬市は、3月16日、全市民に対して 20km以上30km圏内の住民は外出せず、自宅など屋内に待機することを指示した(甲B12の264~266頁、丙C5)。 6 南相馬市による一時避難の要請南相馬市は、3月16日、全市民に対して市外への避難を促し、同月18日から20日にかけてバスを手配し、県外への集団避難を実施したが、屋内退避区域の指定が 解除された4月22日、避難していた住民に対し、自宅での生活が可能な者の帰宅を 許容する旨の見解を示した(甲C18の8頁)。 7 政府による長期的な避難措置⑴ 警戒区域の設定本件発電所から半径20km圏内について、原災本部は、4月21日午前11時、同月22日午前0時に同圏内を警戒区域に設定する指示を発出した。これにより、2 0km圏内への一時立入りは、空間線量率が200μSv/時以下であること、滞在を5時間とすることを条件として認められた(甲B12の275、276頁)。 ⑵ 計画的避難区域及び緊急時避難準備区域の設定4月22日までに、原災本部は、国際放射線防護委員会(ICRP)が定めた緊急時被ばく状況における放射線量の基準値である年20~100mSvのうち、最下限 の20mSvを指標とすることとし、本件発電所から半径20km以遠の周辺地域において、事故発生から1年の期間内に積算線量が20mSvに達するおそれのある区域を計画的避難区域とすること、半径20kmないし30kmの屋内退避区域で計画的避難区域に該当しない区域を緊急時避難準備区域として、常に緊急時に屋内退避や避難が可能な準備をすることとし、同日、原災法20条3項に基づき、計画的避難区 域と緊急時避難準備区域を指定し、あわせて本件発電所から半径20kmないし30km圏内に指示していた屋内退避の指示を解除した。 計画的避難区域について、原則とし 条3項に基づき、計画的避難区 域と緊急時避難準備区域を指定し、あわせて本件発電所から半径20kmないし30km圏内に指示していた屋内退避の指示を解除した。 計画的避難区域について、原則としておおむね1か月間程度の間に順次該当区域外への避難のための立退きを行うこと、緊急時避難準備区域について、常に緊急時に避難のための立退きまたは屋内への退避が可能な準備を行うことなどが指示された(甲 B12の271~273頁)。 ⑶ 緊急時避難準備区域の解除9月30日、原災本部は、原子炉施設の安全性確保、空間線量率の低下、公的サービス・インフラ等の復旧が整うことの3条件が満たされたと判断し、モニタリング及び除染を適切に行うこと等の留意点を示したうえで、緊急時避難準備区域解除の指示 及び公示を行った(甲B12の284、285頁)。 ⑷ 新たな避難区域の設定原災本部は、12月16日、本件発電所について、原子炉は安定状態を達成し、発電所の事故そのものは収束に至ったと判断し(後記10⑵)、同月26日、警戒区域及び避難指示区域を見直し、年間積算線量が20mSv以下となることが確実であると確認された地域を「避難指示解除準備区域」、年間積算線量が20mSvを超えるお それがあり、住民の被ばく線量を低減する観点から引き続き避難を求める地域を「居住制限区域」にそれぞれ設定し、さらに、居住制限区域のうち放射性物質による汚染が極めて高く、避難指示を解除するまでに長期間を要する区域を「帰還困難区域」に設定することとした。 この対応方針に基づき、平成24年3月30日、原災本部は、南相馬市について、 同年4月16日午前0時をもって警戒区域を解除し、市内の避難指示区域を、帰還困難区域、居住制限区域及び避難指示解除準備区域に設定した(甲B 平成24年3月30日、原災本部は、南相馬市について、 同年4月16日午前0時をもって警戒区域を解除し、市内の避難指示区域を、帰還困難区域、居住制限区域及び避難指示解除準備区域に設定した(甲B52(特に記載がなければ本文編を指す。以下同じ。)の228~244頁)。 8 本件事故による放射性物質の拡散⑴ 総放出量の推計 経済産業省原子力安全・保安院は、本件発電所の1号機ないし3号機から大気中に放出された放射性物質の総量の推計値を、4月12日と6月6日にそれぞれ公表していたが、総放出量の推計の前提となる事故の進展に関する仮定を2号機及び3号機について変更し、平成24年2月1日、ヨウ素131が15万テラベクレル、セシウム137が0.82万テラベクレルであり、ヨウ素換算値にすると48万テラベクレル であると公表した。 原子力安全委員会は、本件発電所から大気中に放出された放射性物質の総量の推計値として、4月12日、ヨウ素131が15万テラベクレル、セシウム137が1. 2万テラベクレル(これらをヨウ素換算値にすると63万テラベクレルとなる。)であることを公表し、8月24日、再解析の結果として、ヨウ素131が13万テラベ クレル、セシウム137が1.1万テラベクレル(これらをヨウ素換算値にすると5 7万テラベクレルとなる。)であることを公表した。 被告東電は、平成24年5月24日、平成23年3月12日から同月31日までの間に大気中に放出された放射性物質の総量をヨウ素換算値で約90万テラベクレルと推計した(甲B12の345、346頁、甲B52の274、275頁)。 ⑵ 国際原子力・放射線事象評価尺度 国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)とは、国際原子力機関(IAEA)及び経済協力開発機構の原子力機 5、346頁、甲B52の274、275頁)。 ⑵ 国際原子力・放射線事象評価尺度 国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)とは、国際原子力機関(IAEA)及び経済協力開発機構の原子力機関が原子力施設等の個々の事故・トラブルの安全上の意味を簡明に表現する指標である。INESの暫定評価を行うべき者と指定されている保安院原子力防災課原子力事故故障対策・防災広報室長(事故故障対策室長)は、4月12日、IAEAに対し、本件事故を最も深刻な「レベル7(深刻な事故)」と評 価したことを報告した(甲B12の346~349頁、甲B52の274、275頁)。 ⑶ SPEEDⅠと避難指示緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDⅠ)は、原子力事故発生時、緊急時対策支援システム(ERSS)から伝送される放出源情報を前提に、周辺環境における放射線量率等を予測することができる装置であるが、SPEEDⅠ 計算の前提となるERSSからの放出源情報の伝送が不能となり、SPEEDⅠは機能しなかった。その場合のSPEEDⅠの活用方法が検討されておらず、いずれの機関も避難の実施に役立てられなかった(甲B12の257、278頁、甲B52概要編8、9頁)。 9 南相馬市における避難状況概括 南相馬市は、3月12日午後6時25分の本件発電所から半径20kmの避難指示を受け、これに含まれることとなった市の南部から市の中部に位置する原町地区への避難を実施した。その後、3月15日午前11時の本件発電所から半径20kmないし30km圏内の屋内退避指示を受け、原町地区も屋内退避圏内に入ったことから避難を検討し、3月15日以降、希望者に対して市外への避難誘導を実施した。市外に 避難するために、多くの市民は飯舘・川俣方面に避難し、結果 退避指示を受け、原町地区も屋内退避圏内に入ったことから避難を検討し、3月15日以降、希望者に対して市外への避難誘導を実施した。市外に 避難するために、多くの市民は飯舘・川俣方面に避難し、結果的には放射性物質が飛 散した方向と重なることとなったが、SPEEDⅠ計算結果の公表がなかったこと等から、多くの南相馬市民はそれを知らないまま避難した。 4月22日、屋内退避指示が解除され、計画的避難区域又は緊急時避難準備区域に指定された後、緊急時避難準備区域には徐々に戻る住民もいた。 11月2日当時、8728名が福島県内に避難、1万4401名が福島県外に避難 し、平成24年5月25日当時、南相馬市では、警戒区域の1万3300人、計画的避難区域の10人、緊急時避難準備区域の1万6000人が避難していた(甲B12の280頁、甲B52の242頁)。 10 放射性物質放出抑制⑴ 冷却機能の確保 本件事故発生後、原子炉が運転中であった1号機ないし3号機の原子炉の冷却が緊急の課題であるとともに、1号機ないし6号機の使用済み燃料プール及び共用プールにおいても冷却機能及び補給水機能の回復が必要であった。 1号機原子炉では、3月12日午前4時頃から消防車による淡水注入が開始されたが、同日午後3時36分に原子炉建屋が水素爆発し、消防車による海水注入を再開で きたのは同日午後7時4分である。 2号機原子炉で消防車による海水注入を開始することができたのは3月14日午後7時54分である。 3号機原子炉では、3月13日午前9時25分から消防車による淡水注入が、同日午後1時12分から海水注入が開始されたが、同月14日午前11時1分に水素爆発 が発生し、消防車による海水注入を再開できたのは同日午後3時30分頃である。 使用済み燃料 による淡水注入が、同日午後1時12分から海水注入が開始されたが、同月14日午前11時1分に水素爆発 が発生し、消防車による海水注入を再開できたのは同日午後3時30分頃である。 使用済み燃料プールについて、安定して注水できる対応策の策定は困難を極め、特に4号機の使用済み燃料プールの冷却が急がれる状況にあって、3月18日頃、3社から大型コンクリートポンプ車の利用提案の申し出を受け、オペレーターを養成し、4号機は3月22日から、3号機は3月27日から、1号機は3月31日から、コン クリートポンプ車による注水を開始した。2号機は3月20日から建屋内配管を利用 して消防車による注水を開始した。 非常用電源を確保できていた6号機と同号機から電源融通を受けた5号機では、早期に原子炉と使用済み燃料プールへの注水機能を確保した(丙B1の1の121、158、180、205、211、215、233~235頁)。 ⑵ 目標の公表と達成評価 被告東電は、4月17日、原子炉及び使用済燃料プールの安定的冷却状態を確立し、放射性物質の放出を抑制するための目標等を定めた「福島第一原子力発電所・事故の収束に向けた道筋」を公表した。 ステップ1 放射線量が着実に減少傾向となっているステップ2 放射性物質の放出が管理され、放射線量が大幅に抑えられている 原災本部は、7月19日、 ステップ1の完了とステップ2への移行を確認し、12月16日、本件発電所の原子炉の「冷温停止状態」の達成、使用済燃料プールのより安定的な冷却の確保、滞留水全体量の減少、放射性物質の飛散抑制等の目標が達成されているとして、発電所全体の安全性が総合的に確保され、ステップ2を完了したと判断した(甲B52の242、243頁、丙C12)。 第3 権利承継等 、放射性物質の飛散抑制等の目標が達成されているとして、発電所全体の安全性が総合的に確保され、ステップ2を完了したと判断した(甲B52の242、243頁、丙C12)。 第3 権利承継等 1 相続本件訴え提起後、本件口頭弁論終結前に、原告番号11被承継人は死亡し原告番号9が、原告番号38被承継人は死亡し原告番号36が、原告番号83被承継人は死亡し原告番号84が、原告番号106被承継人は死亡し原告番号105が、原告番号1 07被承継人は死亡し原告番号109被承継人が、原告番号109被承継人は死亡し原告番号110が、原告番号138被承継人は死亡し原告番号138が、原告番号154被承継人は死亡し原告番号153が、原告番号155被承継人は死亡し原告番号153が、原告番号164被承継人は死亡し原告番号163が、原告番号175被承継人は死亡し原告番号173が、原告番号199被承継人は死亡し原告番号199が、 原告番号208被承継人は死亡し原告番号207が、原告番号297被承継人は死亡 し原告番号295が、原告番号303被承継人は死亡し原告番号305が、原告番号320被承継人は死亡し原告番号323がそれぞれ本件損害賠償請求権を相続し、本件訴訟を承継した。 2 口頭弁論終結後の原告の地位の承継本件訴え提起後、本件口頭弁論終結前に、原告番号124被承継人と原告番号18 3被承継人は死亡していたところ、本件口頭弁論終結後、各被承継人の遺産分割協議が成立した。原告番号124被承継人については原告番号121が、原告番号183被承継人については原告番号185が本件損害賠償請求権を相続したとして、それぞれ、本件訴訟を承継することを申し出ており、上記承継人らに原告の地位を承継させるのが相当である。 3 当事者の死亡 継人については原告番号185が本件損害賠償請求権を相続したとして、それぞれ、本件訴訟を承継することを申し出ており、上記承継人らに原告の地位を承継させるのが相当である。 3 当事者の死亡本件訴え提起後、本件口頭弁論終結前に原告番号23は死亡した。相続人間で遺産分割協議が成立しておらず、権利承継者は確定していないが、相続人らは被承継人の訴訟代理人による訴訟追行を望んでいる。 第4 争点 1 被告国の責任 2 被告東電の責任 3 損害額 4 被告東電の弁済の抗弁第5 当事者の主張の要旨 被告らの責任、原告らの損害額、被告東電の弁済の抗弁に関する当事者の主張の要旨は別紙4の1原告らの主張の要旨、別紙4の2被告国の主張の要旨、別紙4の3被告東電の主張の要旨のとおりである。被告国は、被告東電が原告らに対してした原告らに係る損害に関する主張を全て援用する。 第3章当裁判所の判断 第1 被告国の責任 1 原告らの主張の要旨本件事故の原因は、①地震による原子炉(直接接続する配管等を含む)の破損による放射性物質の漏洩・冷却機能の喪失、②全交流電源喪失(SBO)による冷却機能喪失、③事前準備の懈怠を含めた本件地震・津波発生後の不適切な対応の3点に整理される。 本件発電所1号機及び2号機は、被告国の定める不十分な耐震基準さえも適合しておらず、地震により原子炉が破損し(前記①)、1号機は地震による内部溢水のためSBOに至ったのであり(前記②)、被告国は、電気事業法40条に基づき、被告東電に対し是正を命じるなどの手段を用いて被告東電を監督する義務を怠った。 また、本件発電所が本件津波で被水しSBOに至ったことに関し(前記②)、既設設 備の被水による機能喪失を防止する措置あるいは既設設 正を命じるなどの手段を用いて被告東電を監督する義務を怠った。 また、本件発電所が本件津波で被水しSBOに至ったことに関し(前記②)、既設設 備の被水による機能喪失を防止する措置あるいは既設設備の被水による機能喪失を補うための物的・人的対策を講じておけば、本件事故の発生は回避できたにもかかわらず、被告国は、電気事業法40条に基づき、被告東電に対し結果回避措置をとるように命じる義務を怠った。 さらに、被告国は、被告東電が、事故時運転操作手順書どおりに対応する準備が少 なくとも著しく不十分であったことを認識し又は認識しえたにもかかわらず、必要な準備をとらせるべく規制権限を行使せず、あるいは、本件事故後、直ちに適切な避難指示を行うべき義務を怠るという原災法15条3項に反する違法とSPEEDIによる予測計算結果などを公表しなかったという情報提供義務違反がある(前記③)。 2 本件地震による原子炉破損により1号機がSBOに至ったとの主張について 原告らは、本件発電所1号機の過渡現象記録装置上の炉心流量がほぼ0となっていることをもって、ジェットポンプ計測配管が破損したことにより冷却水の自然循環が失われたと主張し、また、本件津波の到達時刻が午後3時37分以降であるとの主張を前提に本件津波の到達前に地震による内部溢水により全交流電源を喪失したと主張する。 しかし、被告らは、過渡現象記録装置上の炉心流量がほぼ0となっていることにつ いて、ローカット処理の影響である等と反論するところ、その反論が不合理であることを認めるべき反証はない。また、本件津波の到達時刻について、原子力規制委員会は、1号機タービン建屋付近は午後3時36分24ないし41秒前後には浸水したと推定しており(乙B6の15頁)、その推論が不合理であることを認 はない。また、本件津波の到達時刻について、原子力規制委員会は、1号機タービン建屋付近は午後3時36分24ないし41秒前後には浸水したと推定しており(乙B6の15頁)、その推論が不合理であることを認めるべき反証はない。上記のとおり、原告らの立論の基礎に対しては、合理的な反論がある。 そして、原子力の専門家で構成される一般社団法人日本原子力学会が、学術的な組織の責務として、本件事故を科学的・専門的視点から分析することを目的として設置した東京電力福島第一原子力発電所事故に関する調査委員会は、平成26年7月に発表した最終報告書において、残されているプラントパラメータの記録をもとに、原子炉水位や圧力、格納容器温度などから、原子炉冷却材圧力バウンダリの損傷が疑われ るような状況はなく、また、目視可能な範囲での現場確認の結果によっても、耐震クラスの低い設備のごく一部に損傷がみられているものの、これらは原子炉安全に影響するようなものではないと結論づけている(甲B34の15頁、92頁)。また、IAEAも、42の加盟国及びいくつかの国際機関からの約180名の専門家からなる5つの作業部会を含む広範な国際的協力の結果として、平成27年9月に発表した事務 局長報告書において、本件津波は、本件地震から約40分後に本件発電所に到達し始め、第一波から約10分後、遡上高が最も大きい第二波が堤防を乗り越え、サイトは浸水し、1号機、2号機及び4号機では、バッテリ、電源盤又は電源接続部が浸水し、洪水がこの機器にも影響を与え、その結果、洪水の最初の10ないし15分間に直流電源が徐々に失われ、全交流電源喪失に対処することが難しくなったと結論づけてい る(甲B190の26、29頁)。これらの調査結果は、その専門性、国際的通用性において信用性は高く、同調査結 直流電源が徐々に失われ、全交流電源喪失に対処することが難しくなったと結論づけてい る(甲B190の26、29頁)。これらの調査結果は、その専門性、国際的通用性において信用性は高く、同調査結果に反し、本件地震により原子炉が破損したために放射性物質が漏洩したとも冷やす機能を喪失したとも認められない。 被告国が、経済産業大臣が電気事業法40条に基づく規制権限を行使して、本件地震による原子炉破損を防ぐための適切な措置を講ずることを被告東電に義務付けな かったことを理由として、原告らに対し、国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負 うとは認められない。 3 本件津波による被水に関する規制権限不行使について⑴ 認定事実証拠(各記載のもの)及び弁論の全趣旨によれば以下の事実が認められる。 ア冷やす機能の喪失に至る経緯 本件発電所の1号機から4号機までの各原子炉(本件各原子炉)、タービン建屋等の主要な建屋(主要建屋)の敷地高は海抜10mである。 本件地震による津波が本件発電所に到来し、敷地の海に面した東側及び南東側の全方向から大量の海水が敷地に浸入して、敷地のほぼ全域が浸水した。本件津波による浸水高は海抜約11.5mから約15.5mであり、浸水深は約1.5mから約5. 5mであった。同エリアの南西部の浸水深は、局所的に約6mから7mである。 本件津波の第二波が海抜10m盤を超えて敷地内に浸水し、10m盤に設置されていたタービン建屋などの内部に海水が浸入した。それにより、同建屋地下1階等に設置されていた非常用ディーゼル発電機(D/G)、各機器に交流の電力を供給する電源盤、直流電源設備である蓄電池及び各機器に直流の電力を供給する分電盤等が被水 するとともに、海抜4mの敷地に設置されていたD/G(付帯設備を ル発電機(D/G)、各機器に交流の電力を供給する電源盤、直流電源設備である蓄電池及び各機器に直流の電力を供給する分電盤等が被水 するとともに、海抜4mの敷地に設置されていたD/G(付帯設備を含む。)を冷却するための海水系ポンプ等も被水し、その結果、1号機ないし3号機では全交流電源を喪失し、1号機及び2号機では直流電源も喪失した。これにより、1号機ないし3号機では、原子炉を冷やす機能を喪失し、原子炉圧力容器内への十分な注水を行うことができず、燃料露出及び炉心損傷に至った(甲B12の19頁、92~95頁、同資 料編20頁、丙B15のスライド36~43頁)。 イ原子力発電所の設計津波水位の評価方法に関する報告書の作成原子力施設の津波に対する安全性評価技術の体系化及び標準化について検討することを目的として社団法人土木学会原子力土木委員会の下に設置された津波評価部会は、平成14年2月、原子力発電所の設計津波水位の評価方法を示したものとして、 「原子力発電所の津波評価技術」と題する報告書(平成14年津波評価技術)を作成 した。平成14年津波評価技術は、プレート境界型地震に伴う津波について、評価地点に最も大きな影響を及ぼしたと考えられる既往津波を選定し、その既往津波の沿岸における痕跡高を最もよく説明できる断層モデルを基に基準断層モデルを設定した上で、想定津波の不確定性を設計津波水位に反映させるため、基準断層モデルの諸条件を合理的と考えられる範囲内で変化させた数値計算を多数実施し、評価地点に最も 影響を与える津波に基づいて設計津波水位を求めるなどとしていた(乙B469、甲B4)。 ウ三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価を取りまとめた文書の公表推進本部地震調査委員会は、地震防災対策特別措置法に基づいて文 計津波水位を求めるなどとしていた(乙B469、甲B4)。 ウ三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価を取りまとめた文書の公表推進本部地震調査委員会は、地震防災対策特別措置法に基づいて文部科学省に設置された機関であり、関係行政機関の職員及び学識経験のある者のうちから文部科学大 臣が任命する委員によって構成される。推進本部は、地震調査研究の成果を国民一般や防災関係機関等の具体的な対策や行動に結び付く情報として提示するため、全国を概観した地震動予測地図を作成することとし、平成14年7月、三陸沖から房総沖にかけての日本海溝沿いの領域を対象とした長期的な観点での地震発生の可能性、震源域の形態等についての評価を取りまとめたものとして、「三陸沖から房総沖にかけて の地震活動の長期評価について」と題する文書(以下「本件長期評価」という。)を公表した。本件長期評価は、上記の日本海溝沿いの領域のうち、三陸沖北部から房総沖にかけての日本海溝寄りの南北に細長い領域に関し、17世紀以降現在までの約400年間に、マグニチュード8クラスの地震が3回(1611年の慶長三陸地震、1677年11月の延宝房総沖地震、1896年の明治三陸地震)発生したことが知られ、 津波などにより大きな被害をもたらしたことを踏まえ、明治三陸地震と同様の地震が上記領域内のどこでも発生する可能性があること、上記領域内におけるマグニチュード8クラスのプレート間大地震(津波地震)については、今後30年以内の発生確率が20%程度、今後50年以内の発生確率が30%程度と推定されること、その地震の規模は、津波マグニチュード8.2前後と推定されること等を内容とするものであ った(甲B3、乙B124,190)。 本件長期評価の報告内容を確定するに当たり、報告書案 と、その地震の規模は、津波マグニチュード8.2前後と推定されること等を内容とするものであ った(甲B3、乙B124,190)。 本件長期評価の報告内容を確定するに当たり、報告書案を検討した平成14年6月26日に開催された第67回長期評価部会において、委員から、「海溝寄りのプレート間大地震が400年に3回ということだが、1611年と1896年の地震は震源がほとんど重なり合っている。」「気になるのは無理に割り振ったのではないかということ。」と震源域が明らかでない地震の扱いに対する懸念が示されたのに対し、推進 本部地震調査委員会長期評価部会部会長は、「1611年の地震は本当は分からない。」「400年に3回と割り切ったことと、それが一様に起こるとした所あたりに問題が残りそうだ。」と返答したものの、報告書案の一部文言を変更することを除き報告書案のとおり報告することが確認された(甲G2の3の312ないし315頁、乙B98の6、7頁)。 エ発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針の策定原子力安全委員会は、平成18年9月、発電用軽水型原子炉の設置許可申請及び変更許可申請に係る安全審査のうち、耐震安全性の確保の観点から耐震設計方針の妥当性について判断する際の基礎を示すことを目的として、「発電用原子炉施設に関する耐震設計審査指針」を策定した。上記指針は、発電用軽水型原子炉施設について、 その供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があると想定することが適切な津波によっても、上記原子炉施設の安全機能が重大な影響を受けるおそれがないことを十分考慮した上で設計されなければならないものとしていた(乙A18)。 原子力安全・保安院は、同月、被告東電を含む発電用原子炉施設の設置者等に対し、既設の発電用原子炉施設等に るおそれがないことを十分考慮した上で設計されなければならないものとしていた(乙A18)。 原子力安全・保安院は、同月、被告東電を含む発電用原子炉施設の設置者等に対し、既設の発電用原子炉施設等について、上記指針に照らした耐震安全性の評価を 実施するよう指示した(耐震バックチェック指示。甲B458)。 オ本件長期評価に基づく津波の試算被告東電は、上記の指示を受けて、本件長期評価に基づいて本件発電所に到来する可能性のある津波を評価すること等を関連会社に委託し、平成20年4月頃、その結果の報告を受けた。その内容は、本件長期評価に基づいて福島県沖から房総沖の日本 海溝寄りの領域に明治三陸地震の断層モデルを設定した上で、平成14年津波評価技 術が示す設計津波水位の評価方法に従って、上記断層モデルの諸条件を合理的と考えられる範囲内で変化させた数値計算を多数実施して津波の試算を行ったところ、敷地の海に面した東側及び南東側の前面における波の高さが最も高くなる津波は、敷地の南東側前面において、最大で海抜15.707mの高さになるが、敷地の東側前面では敷地の高さ(海抜10m)を超えず、主要建屋付近の浸水深は、4号機の原子炉建 屋付近で約2.6m、4号機のタービン建屋付近で約2.0mとなるなどというものであった(以下、この試算を「本件試算」といい、この試算された津波を「本件試算津波」という。)(甲B106)。 カ被告東電の対応被告東電内で耐震バックチェックを所管する被告東電本店原子力・立地本部下の原 子力設備管理部新潟県中越沖地震対策センター土木グループ(土木グループ)は、平成20年4月以降、本件試算津波と同じ規模の津波に対する対策等について検討を行ったものの、同年7月31日、土木グループから報告を受けた経営陣は、 越沖地震対策センター土木グループ(土木グループ)は、平成20年4月以降、本件試算津波と同じ規模の津波に対する対策等について検討を行ったものの、同年7月31日、土木グループから報告を受けた経営陣は、長期評価の信頼性について改めて学会で議論してもらうことを提案し、遅くとも同年8月までに、被告東電として、①長期評価の見解は、評価方法が確定しておらず、直ちに設計に反 映させうるものではないと評価し、土木学会に更なる検討を依頼すること、②その結果を受けてから必要な対策を行うこと、③土木学会の検討が間に合わない場合、耐震バックチェックは津波評価技術のみ取り入れたものとして実施することなどを決めた。 被告東電は、平成20年9月10日、電気事業連合会土木技術委員会において、土 木学会に対して電力共通研究として長期評価の見解の取扱いも含む津波評価技術の高度化を委託することを提案し、了承された。 被告東電は、その後、福島県沿岸において平成21年12月から平成22年3月までの間に津波堆積物調査を実施し、海水ポンプの電動機を水密化する検討を行った他は、津波対策といえる取組は行わなかった(甲B12の396~397頁、甲G13 の2の204~208頁)。 キ本件事故以前の原子炉施設の津波対策本件事故以前の我が国における原子炉施設の津波対策は、安全設備等が設置される原子炉施設の敷地を想定される津波の水位より高い場所とすること等によって上記敷地が浸水することを防ぐという考え方を基本とするものであり、津波により上記敷地が浸水することが想定される場合には、防潮堤、防波堤等の構造物(以下「防潮堤 等」という。)を設置することにより上記敷地への海水の浸入を防止することが対策の基本とされていた(乙B125の1の14~17頁、126の6、7 る場合には、防潮堤、防波堤等の構造物(以下「防潮堤 等」という。)を設置することにより上記敷地への海水の浸入を防止することが対策の基本とされていた(乙B125の1の14~17頁、126の6、7頁、128の38頁、134の44頁、135の20頁、149)。 ク関係法令電気事業法は、電気工作物の工事、維持及び運用を規制することによって、公共の 安全を確保し、及び環境の保全を図ることを目的とする法律である(1条)。同法は、事業用電気工作物を設置する者が事業用電気工作物を経済産業省令で定める技術基準に適合するように維持しなければならないこと(39条1項)、その技術基準が、事業用電気工作物については、人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷を与えないようにすること(同条2項1号)等を定めるとともに、経済産業大臣が、事業用電気工作物 が前記技術基準に適合していないと認めるときは、事業用電気工作物を設置する者に対し、その技術基準に適合するように事業用電気工作物を修理し、改造し、若しくは移転し、若しくはその使用を一時停止すべきことを命じ、又はその使用を制限することができること(40条、技術基準適合命令)を定める(乙A10)。 電気事業法39条1項に定める「経済産業省令」として定められた平成17年経済 産業省令第68号による改正前の発電用原子力設備に関する技術基準を定める省令62号4条1項は、「原子炉施設並びに(中略)蒸気タービン及びその附属設備が地すべり、断層、なだれ、洪水、津波又は高潮、基礎地盤の不同沈下等により損傷を受けるおそれがある場合は、防護施設の設置、基礎地盤の改良その他の適切な措置を講じなければならない。」と規定する(乙A11)。 ⑵ 判断 ア国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その る場合は、防護施設の設置、基礎地盤の改良その他の適切な措置を講じなければならない。」と規定する(乙A11)。 ⑵ 判断 ア国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、その不行使により被害を受けた者との関係において、国賠法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である。そして、国又は公共団体が、上記公務員が規制権限を行使しなか ったことを理由として同項に基づく損害賠償責任を負うというためには、上記公務員が規制権限を行使していれば上記の者が被害を受けることはなかったであろうという関係が認められなければならない。 まず、経済産業大臣が電気事業法40条に基づく規制権限を行使して津波による本件発電所の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを被告東電に義務付けるべき であったかを判断するにあたり、本件長期評価に基づいた波源設定により本件発電所に襲来する恐れのある津波の高さを評価して措置を講ずるべきであったのかを検討する。前記認定事実のとおり、本件長期評価は、作成に関与した委員の間においても、震源域の分類の確実性に対する疑問が示されていたことが認められるものの、疑問を示した委員らも、本件長期評価が、地震調査研究の成果を地方公共団体や防災対策で 重要な役割を果たす官民の防災関係機関による地震防災につなげるための施策の一環として、地震の発生可能性の長期的な確率評価を行うものであることを前提にして報告内容を確定させたのであり、本件長期評価が、地震防災対策を推進するために津波被害に対する警告を十分効果的なものとすることを慮って作成された経緯があるとし 確率評価を行うものであることを前提にして報告内容を確定させたのであり、本件長期評価が、地震防災対策を推進するために津波被害に対する警告を十分効果的なものとすることを慮って作成された経緯があるとしても、地震防災対策に活用されるべき客観的な専門的知見として本件長期評価が 公表された以上、被告らは、本件発電所の地震防災対策において、三陸沖北部から房総沖にかけての日本海溝寄りの領域内のどこでも明治三陸地震と同様の地震が発生する可能性があるとの本件長期評価の知見を踏まえた防災対策の在り方について、先送りにすることなく真摯に検討すべきであったといえる。 その一方で、本件長期評価が公表される5か月前に、津波評価部会により平成14 年津波評価技術が作成されているところ、平成14年津波評価技術は、原子力発電所 における設計津波の設定について、その時点で確立しており実用として使用するのに疑点がないものを取りまとめたものとして、津波地震は特定の領域でのみ発生する特殊な地震であることや、日本海溝沿いの領域については、北部(明治三陸地震が発生したとされる領域)と南部(福島県沖を含む領域)の活動に大きな違いがあり、地震地体構造が異なること等の当時の専門家らの一般的な知見・観測事実等に基づき三陸 沖の海溝寄りの領域に明治三陸地震の波源モデルを設定した一方で、福島県沖の海溝寄りの領域には波源モデルを設定せず、これは、本件長期評価の知見と整合しないものであった。しかし、本件長期評価は、発表時にデータとして用いる過去地震に関する資料が十分にないこと等による限界があり、評価結果である地震発生確率や想定される津波地震の規模の数値には誤差を含んでいるとし(甲B3の1枚目)、推進本部 の地震調査委員会が平成15年3月に公表した長期評価の見解の信頼度に 限界があり、評価結果である地震発生確率や想定される津波地震の規模の数値には誤差を含んでいるとし(甲B3の1枚目)、推進本部 の地震調査委員会が平成15年3月に公表した長期評価の見解の信頼度においても、三陸沖北部から房総沖の海溝沖寄りのプレート間大地震(津波地震)について、発生領域と発生確率の各評価の信頼度はC(やや低い)と評価しているとおり(乙B20の6、8頁)、津波地震が発生する理学的根拠を示すものではなく、また地震学者や津波工学者らから異論を示されるなどし、科学的コンセンサスがあることを前提とする ものではなかった(乙B191の15枚目、277の3、7頁)。 したがって、本件長期評価が、技術基準の適合性において科学的・専門技術的裁量を有する経済産業大臣において、本件発電所の原子炉施設等が「津波により損傷を受けるおそれがある」として、直ちに本件発電所の津波対策の実施を求め、規制権限を行使すべき精度と確度を備えた知見であったと認めるには困難がある。 イ仮に、経済産業大臣が、本件長期評価を前提に、電気事業法40条に基づく規制権限を行使して、津波による本件発電所の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを被告東電に義務付けていたとしても、本件事故以前の我が国における原子炉施設の津波対策は、津波により安全設備等が設置された原子炉施設の敷地が浸水することが想定される場合、防潮堤等を設置することにより上記敷地への海水の浸入を防止す ることを基本とするものであり、防潮堤と併せて、あるいは、防潮堤に先行して水密 化や安全設備の高所設置・配置などによって防護策を講じるべきであるとの知見が通用性を有していたとも認められない。そして、本件試算は、平成14年津波評価技術が示す設計津波水位の評価方法に従って、敷地の海に面した東 の高所設置・配置などによって防護策を講じるべきであるとの知見が通用性を有していたとも認められない。そして、本件試算は、平成14年津波評価技術が示す設計津波水位の評価方法に従って、敷地の海に面した東側及び南東側の前面における波の高さが最も高くなる津波を試算したものであり、安全性に十分配慮して余裕を持たせ、当時考えられる最悪の事態に対応したものとして、合理性を有する試算 であったといえるから、本件試算津波と同じ規模の津波による敷地の浸水を防ぐことができるように設計された防潮堤等を設置するという措置が講じられた蓋然性が高く、本件事故以前の知見の下において、防潮堤等の設置に加えて他の対策が講じられなければならなかったとは認められない。 そうすると、本件試算を元に設計される防潮堤等は、一定の裕度を有するように設 計されるであろうことを考慮しても、本件地震の断層すべり量は50メートルであり、本件試算が前提とした断層滑り量9.68メートルよりはるかに大きく(地震の断層すべり量が大きいほど津波も大きくなる。乙B128の47頁)、本件津波による主要建屋付近の最大浸水深が約5.5mであり、敷地の南東側だけからではなく東側からも大量の海水が敷地に浸入したことなど、本件試算津波と本件津波とは、その規模 や態様において大きく異なっていることに照らせば、本件試算を元に設計される防潮堤等を設置したとしても、本件津波の到来に伴って大量の海水が主要建屋の中に浸入し、本件非常用電源設備が浸水によりその機能を失うなどして本件各原子炉施設が電源喪失の事態に陥り、本件事故と同様の事故が発生するに至っていた可能性が相当にあるといわざるを得ず、防潮堤等の設置やその他の対策により、本件津波による浸水 量が相当程度減少した可能性があるとしても、浸水により本件非常 事故と同様の事故が発生するに至っていた可能性が相当にあるといわざるを得ず、防潮堤等の設置やその他の対策により、本件津波による浸水 量が相当程度減少した可能性があるとしても、浸水により本件非常用電源設備がその機能を失うことを防止できたとは認められない以上、経済産業大臣が上記の規制権限を行使していれば本件事故又はこれと同様の事故が発生しなかったであろうという関係を認めることはできない。 したがって、被告国が、経済産業大臣が電気事業法40条に基づく規制権限を行使 して津波による本件発電所の事故を防ぐための適切な措置を講ずることを被告東電 に義務付けなかったことを理由として、原告らに対し、国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとは認められない。 4 事故時運転操作手順書に関する規制権限不行使について証拠(甲B34の274、281頁、丙B30の43、44頁)によれば、本件事故当時、事故時運転操作手順書として、事象ベース(AOP)、徴候ベース(EOP)、 シビアアクシデント(SOP)に分類して準備されていたこと、教育・訓練に関し多様な事故シナリオに対するシミュレータ訓練が行われていたこと、本件事故においては手順書作成時の想定をはるかに超える状況、事態が発生したこと、そのため現場の要員は自らのもつ知識や経験に基づく判断による臨機応変な行動をとっていたことが認められる。 被告国において、本件事故当時、事故時運転操作手順書に不備があることをあらかじめ把握すべきであったとも、被告東電が事故時運転操作手順書に従わなかったために放射性物質が飛散し被害が拡大したとも認められない。 したがって、被告国が、事故時運転操作手順書にしたがった対応をなすべきことなど、事故時運転操作手順書に関し被告東電に義務付けなかったことを理由 に放射性物質が飛散し被害が拡大したとも認められない。 したがって、被告国が、事故時運転操作手順書にしたがった対応をなすべきことなど、事故時運転操作手順書に関し被告東電に義務付けなかったことを理由として、原 告らに対し、国賠法1条1項に基づく損害賠償責任を負うとは認められない。 5 事故後の対応について⑴ 避難指示義務違反原告らの居住区について、避難指示命令は発令されておらず、発令すべきであったとも認められないから、被告国に原告ら主張の違法があるとは認められない。 ⑵ 情報提供義務違反本件事故当時、緊急時対策支援システム(ERSS)が機能しない場合のSPEEDIの活用方法が検討されておらず、いずれの機関も避難の実施に役立てられなかったものの、仮定の放出源情報に基づく計算結果についてはその信用性、有用性を検討する必要があり、むやみに公表すれば、かえって避難指示等の保護対策の実効性を減 殺し、ひいては被ばくのおそれを高めることにもなりかねない。ERSSが機能しな い場合のSPEEDIの活用方法が検討されていなかった本件事故当時において、被告国が情報を提供しなかったことに関し、国賠法上の違法が基礎づけられるとは認められない。 ⑶ 政策決定原告らは、被告国による被災者支援政策の内容が南相馬市内で異なることが、国賠 法上の違法を基礎づけると主張する。 しかし、避難措置の中では制限の緩やかな緊急時避難準備区域の住民であっても、9月30日に同区域の指定が解除されるまで、5か月間も自主的避難を求められた。 すなわち、緊急時避難準備区域は、4月22日までは屋内退避指示が出され、その解除後も、政府は、常に緊急時に屋内退避や避難が可能な準備をしておくことを求め、 安全委員会は、緊急時避難準備区域について、 ち、緊急時避難準備区域は、4月22日までは屋内退避指示が出され、その解除後も、政府は、常に緊急時に屋内退避や避難が可能な準備をしておくことを求め、 安全委員会は、緊急時避難準備区域について、自主的避難と子供、妊婦、要介護者、入院患者等の立入制限を強く求めていた(甲B12の273頁)。 これに対し、30km圏外の住民は、南相馬市長が3月16日に自主的避難を要請したものの、その期間は約40日であり、4月中に帰還した原告も多く、政府が避難を要請した区域とは状況が全く異なっている。 避難指示の有無によって、日常生活や就労への影響の程度、広域移動の必要性などの実情は異なるのであるから、被告国が、政府が避難を要請した区域の住民を対象として医療費や高速道路利用料の減免などの被災者支援政策を策定することには十分合理的な理由があり、南相馬市内であるという理由で同一に取り扱わないことが不適切であるとは認められず、このことに関し、国賠法上の違法が基礎づけられるとは認 められない。 第2 被告東電の責任被告東電は、原告に対し、原賠法3条1項に基づき原子力損害を賠償する責任を負う。原子力損害とは、核燃料物質の原子核分裂の過程の作用又は核燃料物質等の放射線の作用若しくは毒性的作用(これらを摂取し、又は吸入することにより人体に中毒 及びその続発症を及ぼすものをいう。)により生じた損害をいう(同法2条2項)。 原告らは、被告東電が、民法709条に基づく不法行為責任も負うと主張する。 しかし、原賠法は、原子力損害が生じた場合における損害賠償に関する基本的制度として、第2章で、原子力損害賠償責任の内容について、原子力事業者の無過失責任と責任の集中(3条、4条)及び求償権の制限(5条)を定めるともに、第3章で、原子力事業者に対して 賠償に関する基本的制度として、第2章で、原子力損害賠償責任の内容について、原子力事業者の無過失責任と責任の集中(3条、4条)及び求償権の制限(5条)を定めるともに、第3章で、原子力事業者に対して原子力損害を賠償するための措置を講ずべき義務を課し、第4 章で、原子力事業者による賠償措置額を超える場合に政府が必要な援助を行うべきことを定めており、これらは、原賠法が、被害者の保護を図るとともに原子力事業の健全な発達に資するため(1条)に定める民法の特則である。原子力賠償責任が認められる場合にも一般不法行為責任の成立を認めることは、原子力損害賠償責任の内容である責任の集中や求償権の制限の規定の適用除外を認める可能性を生じさせ、原賠法 の趣旨に反するというべきである。 原賠法は、原子力損害について、一般不法行為責任の規定の適用を排除していると解するのが相当であり、被告東電が民法709条に基づく不法行為責任を負うとは認められない。 第3 損害 1 認定事実⑴ 鹿島区内の被災状況ア本件地震及び本件津波による被害本件津波により鹿島区91.95km2のうち15.8km2が浸水被害を受け、国道6号の東側の真野川河口付近では、広い範囲で2.0mを超える浸水深が確認され (丙E1の13、14頁)、沿岸部では、防潮堤が倒壊し農地は流失・冠水した(甲E5の51頁)。 南相馬市における津波による直接死は636人である。鹿島区では、高台の避難所としていたところまでが津波に襲われ、人的被害は拡大した(甲E5の39頁)。 鹿島区内では、本件津波と本件地震により、全3460世帯のうち1048世帯が 被害を受けた(平成24年12月14日現在)。被害状況は、津波による全壊411世 帯、大規模半壊14世帯、半壊43世帯、一部 本件津波と本件地震により、全3460世帯のうち1048世帯が 被害を受けた(平成24年12月14日現在)。被害状況は、津波による全壊411世 帯、大規模半壊14世帯、半壊43世帯、一部損壊31世帯、地震による全壊18世帯、大規模半壊19世帯、半壊57世帯、一部損壊455世帯である(甲E5の53頁)。 イ市民への避難促し本件地震発生後、余震が相次ぐ中、南相馬市内各所に避難所が開設され、全市民の 1割を超える約7600人が一夜を過ごした。 3月12日午後3時36分に本件発電所1号機で水素爆発が発生し、避難指示範囲が20km圏内に拡大されたため、小高区全域と原町区の一部の避難所が閉鎖され、避難者は移動を余儀なくされた。南相馬市長は、同月14日未明、市民の避難のためにバスを手配することを職員に指示し、翌15日、手配できたバスを用いて20km 圏境界付近の避難所にいた避難住民約1500人を相馬市、伊達市、宮城県丸森町に避難させた。 3月14日午前11時すぎに3号機の原子炉建屋が爆発し、15日午前6時頃に4号機方向から爆発音の発生、同日午前9時38分頃に4号機で火災が発生していたが、被告東電、国、福島県から本件発電所の状況に関する説明はなく、情報が錯そうする 中、南相馬市は孤立し、ガソリンや救援物資が市内に流通しなくなり、避難所の食事にも事欠く事態に陥っていたところ、南相馬市長は、16日、新潟県知事から南相馬市民を全員受け入れるとの申し出を受け、同日午後から南相馬市民を新潟方面へ避難させる避難計画を立案し、同日夕方、市内の避難所で説明会を開いて全市民に対して市外への避難を促し、18日から20日にかけてバスを手配し、新潟県と群馬県への 集団避難を実施した。 3月20日に集団避難は完了し、南相馬市長は、同日 内の避難所で説明会を開いて全市民に対して市外への避難を促し、18日から20日にかけてバスを手配し、新潟県と群馬県への 集団避難を実施した。 3月20日に集団避難は完了し、南相馬市長は、同日夜、避難所対応に重きを置いていた庁内の緊急体制を解き、通常業務へ戻るよう職員へ指示した(丙E2の61頁)。 その後も度重なる余震と安定しない本件発電所事故の様子を勘案し、南相馬市では、3月25日まで市民に県外避難を呼びかけていたが、その一方で、避難先の市外から 戻ってくる市民も増え始めた。 鹿島区内の避難所は、8月7日にすべて閉鎖され、市内避難所は原町区のみとなり、10月31日には避難者すべてが応急仮設住宅等に入居することとなり、12月28日に市内の全避難所が閉鎖された(甲C256の1の2~10頁、甲E5の32~35頁、丙E2の61~73頁)。 ウ生活基盤への影響 上下水道鹿島区の沿岸部は津波被災のため水道施設が流出するとともに地震による緊急遮断弁の作動により配水を停止し、一時全域で断水となったが、4月25日時点で、概ね国道6号の東側の津波被災地以外の給水はほぼ可能な状況にあった(甲E5の43頁)。鹿島区に水道水を供給する相馬地方広域水道企業団は、3月17日以降、真野ダ ム、相馬第1水源地、相馬第5水源地、鹿島第2水源地の水道中の放射性物質の測定結果を公表しており、その結果は、真野ダムで5月3日にセシウム134を7ベクレル/kg検出したのを最後に放射性物質は検出されていない(丙E14)。国が定めた飲食物摂取制限に関する飲料水の指標値(平成23年3月11日から平成24年3月31日まで)は、放射性ヨウ素300ベクレル/kg以下(乳児は100ベクレル /kg)、放射性セシウム200ベクレル/kg以下である 関する飲料水の指標値(平成23年3月11日から平成24年3月31日まで)は、放射性ヨウ素300ベクレル/kg以下(乳児は100ベクレル /kg)、放射性セシウム200ベクレル/kg以下である(丙E1の30頁)。 電気福島県内の停電は、津波等で家屋が流失した地域及び立入制限区域を除き、平成23年4月28日に解消した(丙E15)。 道路 南相馬市内の幹線道路である国道6号が本件津波により各区で被災し通行不能となり、県道・市道についても津波到達エリア内では壊滅的被害を受け、ほとんどの路線が通行不能となった。また、本件地震により内陸部においては、道路法面の崩落、橋梁部との段差等により通行障害が生じた路線が数多くあり、市街地部においては、下水道等の堀山の陥没、下水道マンホールの浮上がり等により通行不能となった路線 があった(甲E5の44頁)。 国道6号は、3月18日に警戒区域以外の啓開作業が概成し、警戒区域内については5月8日までに迂回路を含め応急復旧していたところ、8月31日に応急復旧を完了し、12月26日には応急復旧により2車線が確保された(丙E17)。 公共交通南相馬市においては本件地震直後から市内すべての公共交通が運休状態となった。 3月28日には市内と市域外とを結ぶバス路線が臨時運行されるようになり、4月に入ると、通院、通学などの生活のためのバス路線が相次いで再開、新設された。 JR常磐線は、12月21日に相馬と原ノ町との間で運転を再開した(甲E5の45頁)。 ガソリン 3月13日にガソリン不足が顕著となり、14日に鹿島区内のガソリンスタンドがすべて閉鎖された。市民向けの給油が開始したのは3月25日であり、4月1日から民間でのガソリン供給が可能となった(甲E5の 3月13日にガソリン不足が顕著となり、14日に鹿島区内のガソリンスタンドがすべて閉鎖された。市民向けの給油が開始したのは3月25日であり、4月1日から民間でのガソリン供給が可能となった(甲E5の41頁)。 7月には、ガソリンをはじめとする燃料が通常に給油できるようになった(丙E4の3枚目)。 医療・福祉本件地震発生後、市内の医療機関は入院と救急以外の診療を休止し、3月14日に一部診療を開始する医療機関もあったが、本件発電所の水素爆発事故とそれに伴う緊急避難指示を受け、3月19日には通常診療を行う医療機関はなくなった。入院患者については、国が、新潟県や栃木県、福島県内の医療機関に移送した。 中核の医療機関である南相馬市立総合病院(原町区所在)では、3月20日から26日まで及び4月8日から10日まで、長野県茅野市から医療支援チーム派遣の支援を受け、鹿島区では、相馬郡医師会による臨時診療所が鹿島厚生病院内で開設され、3月25日から4月8日まで診療が行われた(甲E5の46頁)。 渡辺病院、小野田病院、大町病院(いずれも原町区)は4月4日から、鹿島厚生病 院(鹿島区)は4月11日から外来診療を開始した(丙E23、24)。 鹿島区内には、介護老人保健施設1施設、特別養護老人ホーム1施設、グループホーム2施設あるところ、介護老人保健施設は4月13日、特別養護老人ホームは6月10日、グループホームのうち1施設は本件事故後も開設を続け、もう1施設は6月10日に再開した(丙E13)。 学校、幼稚園、保育園 a 学校鹿島区内の小・中学校は4月22日から自校で授業を再開し、原町区内及び小高区内の小・中学校も鹿島小・中学校内の仮設教室、仮設校舎で授業を再開した(丙E25の1及び2)。 平成24年4月 学校 鹿島区内の小・中学校は4月22日から自校で授業を再開し、原町区内及び小高区内の小・中学校も鹿島小・中学校内の仮設教室、仮設校舎で授業を再開した(丙E25の1及び2)。平成24年4月1日から、市内小中学校22校中16校が自校で授業を再開し、真野小学校、福浦小学校、小高中学校は鹿島小学校の仮設校舎で、小高小学校、金房小学校、鳩原小学校は鹿島中学校の仮設校舎で授業を再開した(甲E5の50頁)。鹿島区の真野小学校は、本件津波で校舎が被災するとともに学区の大部分が被災し児童数が減少したため、平成26年度から鹿島小学校に統合され閉校となった(丙E25の2)。 鹿島区内の小・中学校の児童、生徒数の推移は以下のとおりである(甲E31~33)。 H23.3.1 H23.4.22 H24.4.6 H25.4.8 H26.4.7 H29.4.6 鹿島小 317人 191人 264人 268人 330人 368人 八沢小 120人 78人 87人 83人 88人 78人 上真野小 116人 99人 111人 111人 113人 110人 真野小 47人 34人 47人 43人 鹿島小と統合 鹿島中 297人 238人 297人 303人 310人 286人 合計 897人 640人 806人 808人 841人 842人 幼稚園、保育園 鹿島区内では、6月1日に公立幼稚園2園が、9月1日に公立幼稚園1園が再開した。また、4月1日に私立保育園1園が臨時保育園として開設され、5月6日に公立保育園2園が再開した(甲E5の49頁)。南相馬市内の幼稚園と保育園の 園が、9月1日に公立幼稚園1園が再開し た。また、4月1日に私立保育園1園が臨時保育園として開設され、5月6日に公立保育園2園が再開した(甲E5の49頁)。 南相馬市内の幼稚園と保育園の平成23年4月の在籍予定数合計は、保育園1036名、幼稚園1171名であったが、平成30年3月1日時点の在籍数は、保育園623名、幼稚園613名である。うち、鹿島区内の園児数は、平成29年4月1日時 点で、上真野幼稚園を除き、幼稚園、保育園ともに震災前とほぼ同数である(甲E34)。 商業施設鹿島区内のコンビニエンスストア(ローソン鹿島横手店)は、3月15日ころ営業を再開し、5月の連休明けから通常の24時間営業を開始した。 スーパーマーケットであるフレスコ鹿島店は、3月12日に営業を開始したものの3月14日に店舗を閉鎖し、3月30日から営業を再開した(丙D9の2)。大型ホームセンターである鹿島コメリは5月から営業を再開した(丙E23)。 原町区内においても、コンビニエンスストア、スーパーマーケットが5月ないし6月に営業を再開し(丙E23)、相馬市内のガソリンスタンド、ファミリーレストラ ン、大型ホームセンター、家電量販店、ドラッグストア、スーパーマーケットが5月連休前までに再開した(丙E33)。 仮設住宅の建設と鹿島区の居住者数の増加4月11日に鹿島区内の4か所で260戸の仮設住宅の建設が始まり、4週間ほどで工事を終える予定であることが報道された(丙E28の1枚目)。 鹿島区では、5月28日、応急仮設住宅の入居が開始し、9月26日には、応急仮設住宅と病院、市役所などを結ぶ巡回バスの運行を開始した(丙E2の95頁)。 鹿島区内の避難所は8月7日にすべて閉鎖され、市内の避難所は原町区のみとなる一方で( 入居が開始し、9月26日には、応急仮設住宅と病院、市役所などを結ぶ巡回バスの運行を開始した(丙E2の95頁)。 鹿島区内の避難所は8月7日にすべて閉鎖され、市内の避難所は原町区のみとなる一方で(甲E5の34頁)、原町区では10月1日まで応急仮設住宅の建築に着工できず(丙E2の95頁)、そのため、鹿島区内で応急仮設住宅の建築が進み、平成24 年11月21日当時の応急仮設住宅の戸数は、鹿島区内が合計2184戸、原町区内 が合計560戸であった。そのうち、鹿島区民が鍵を受領したのは370戸(鹿島区内367戸、原町区内3戸)である(甲E15)。 地域文化的活動8月から9月にかけて、地区の盆踊りや灯篭流しなど追悼と復興を願う行事が相次いで開催され、11月初旬には各地区で恒例行事としての秋まつりや復興を記念して の集いが催された(丙E2の95、123頁、41)。 災害危険区域の指定南相馬市は、9月5日、津波による甚大な被害があった地域を災害危険区域に指定し、居住目的である建築物の建築に適しない場所とした。鹿島区内の対象区域は、南右田、北右田、大内、烏崎、小島田、北海老、南海老、北屋形、南柚木の各区域(大 字)内で市長が指定する区域である(丙E7、8)。さらに、南相馬市は、復興整備計画の一環として、集団移転促進事業により、安全な内陸部や沿岸部高台への住宅移転を促進することとし、港・北海老地区では38世帯中19世帯、南海老地区では68世帯中31世帯、北右田地区では45世帯中21世帯、南右田地区では77世帯中26世帯、大内地区では16世帯中9世帯、烏崎世帯では128世帯中51世帯が移転 した(丙E10、11)。 エ南相馬市長からのメッセージ南相馬市長は、3月26日、動画共有サイト(YouTube)で、現在 では16世帯中9世帯、烏崎世帯では128世帯中51世帯が移転 した(丙E10、11)。 エ南相馬市長からのメッセージ南相馬市長は、3月26日、動画共有サイト(YouTube)で、現在もなお本件発電所から20kmないし30km圏内で屋内退避措置がとられ、物資がなかなか入りづらい状況におかれ、政府や被告東電からの情報もかなり不足している状況にあ って、市民の判断、市の判断として市民を自主退避、退避支援を進めているが、屋内退避措置のため、コンビニエンスストアやスーパー等の生活物資を買う店はすべて閉まっており、金融機関も営業しておらず、交通手段に使うガソリンもひっ迫しているとして、残っている市民のために物資の搬入支援への協力を依頼するメッセージを発信した。 南相馬市長は、4月7日、動画共有サイトで、3月24日に比べると、人の往来が 非常に多く、なんとしても復興したいという思いで多くの事業者が事業を再開していること、水、電気、ガスのインフラも供給できるようになり、医療も外来診療だけは供給できるようになったことを伝えるとともに、避難している者に対し、南相馬市として一時帰宅等の支援を今後続けていくとのメッセージを発信した。 南相馬市長は、4月22日、動画共有サイトで、国による避難措置決定に即してそ の内容を説明し、緊急時避難準備区域の対象者は、屋内退避を解除されることで平時と同様の活動ができるが、同時に、緊急時に自力で避難ができる準備をする必要があることを説明しつつ、平時と同様の活動ができることを重ねて伝え、4月19日から銀行が営業を開始したこと、郵便はまだ完全には配達できていないこと、宅配業者は30km圏内に入ってこられない状況にあるがこの区域内に入れるよう国に強く働 きかけることを説明するとともに 日から銀行が営業を開始したこと、郵便はまだ完全には配達できていないこと、宅配業者は30km圏内に入ってこられない状況にあるがこの区域内に入れるよう国に強く働 きかけることを説明するとともに、30km圏外の鹿島区の住民に対して、平時と同様の活動ができること、同日から20kmから30km圏の子どもたちを含めて就学を開始したこと、5月6日をめどに保育園を開園することを知らせるメッセージを発信した。また、市のホームページでも、鹿島区の30km圏外において規制はなく、できるだけ普段の生活をしてほしいこと、現在、避難生活をしている者で、自宅での 生活が可能な者は帰宅してかまわないとのメッセージを発信した(丙E2の90~94頁)。 オ空間放射線量等の状況福島県内新聞報道された福島県内各地の空間放射線量は以下のとおりである(単位はμSv /時(1GySvも1μSv/時として換算。))。 〔3月16日〕(丙E20の5頁/朝日新聞)見出し「放射線、周辺で高数値、福島市など健康影響ないレベル」福島市20.00、南相馬市3.95、郡山市2.88、白河市4.10、いわき市1.50 〔3月18日〕(丙E20の10頁/朝日新聞) 見出し「放射線量低下傾向に平常値超えは5県」福島市12.50、南相馬市2.98、郡山市2.90、白河市3.00、いわき市1.21〔3月24日〕(丙E20の22頁/朝日新聞)浪江町75.0、飯舘村12.40、南相馬市1.41、福島市5.21、郡山市 1.43、白河市1.20、いわき市1.51〔4月11日〕(丙E20の44頁/朝日新聞)浪江町赤宇木25.2、浪江町下津島14.1、飯舘村5.68、南相馬市0.7、福島市1.8、郡山市1.85、白河市0.7、 .20、いわき市1.51〔4月11日〕(丙E20の44頁/朝日新聞)浪江町赤宇木25.2、浪江町下津島14.1、飯舘村5.68、南相馬市0.7、福島市1.8、郡山市1.85、白河市0.7、いわき市0.33〔4月23日〕(丙E20の58頁/朝日新聞) 浪江町赤宇木21.6、浪江町下津島12.0、飯舘村4.26、南相馬市0.53、福島市1.69、郡山市1.56、白河市0.64、いわき市0.27鹿島区内鹿島区の平成23年5月から10月までの毎月1日時点における空間放射線量(地上1mの測定値)は以下のとおりである(丙E18の1~5)。 単位はμSV/時(マイクロシーベルト毎時)地点5月6月7月8月9月10月ア0.640.700.620.630.100.08イ0.430.400.310.300.290.26ウ-0.610.560.510.170.14エ0.550.630.470.530.490.52オ0.890.910.820.840.110.10カ0.560.450.360.330.120.11キ-1.281.080.940.920.87ク--0.330.300.260.24 地点アは鹿島小学校校庭(鹿島字広町)、イは鹿島区役所(西町1)、ウはかしま保育園園庭(西町3)、エはさくらホール駐車場(寺内字迎田)、オは鹿島中学校校庭(寺内字落合)、カは八沢小学校正門(南屋形字北原)、キは上栃窪停留所付近(上栃窪字石渕)、クは前川原体育館出入口付近(角川原字前川原)、ケは国道 さくらホール駐車場(寺内字迎田)、オは鹿島中学校校庭(寺内字落合)、カは八沢小学校正門(南屋形字北原)、キは上栃窪停留所付近(上栃窪字石渕)、クは前川原体育館出入口付近(角川原字前川原)、ケは国道6号線待避所付近(横手字北原田)、コは御山橋付近(山下字田尻)、サは上真野小学校校庭(浮田一丁 田)、シは大日橋付近(小山田字柿ノ内)、スはデイリーヤマザキ鹿島小池店付近(小池字原畑)、セは立見石橋中央付近(橲原字立目石)、ソは橲原公民館付近(橲原字堂平)、タは児頭滝橋付近(橲原字百枚)、チは山岸停留所付近(橲原字百枚)、ツは坂下橋付近(橲原字地蔵木)である。 カ人口の推移 南相馬市の人口南相馬市の人口は、平成7年の7万7860人をピークに減少傾向にあり(丙E1の3頁)、平成17年の人口は7万2837人(旧原町市4万7456人、旧鹿島町1万2107人、旧小高町1万3274人)、平成22年の人口は7万0878人(旧原町市4万6942人、旧鹿島町1万1390人、旧小高町1万2546人)である。 上記5年の各市町の減少率は、旧原町市が約-1.08%、旧鹿島町が約-5.92ケ--0.440.390.380.35コ-0.930.840.780.780.74サ0.650.700.600.500.110.10シ0.620.620.550.500.540.50ス0.770.870.710.570.540.51セ--0.990.930.930.89ソ--1.931.791.791.82タ-2.322.001.79--チ- --0.990.930.930.89ソ--1.931.791.791.82タ-2.322.001.79--チ----1.691.55ツ-3.643.312.982.822.84 2%、旧小高町が約-5.48%である(丙E34)。 震災前の予測において、令和2年度には6万2000人に減少することが見込まれていた(丙E3の2頁)。 本件事故前後の南相馬市各区の住民基本台帳人口は以下のとおりである(甲C108~111、甲E5の39頁)。 H23.2.28H23.9.30H23.12.31H24.8.31小高区1万2834人 1万2074人 1万1992人 1万1793人鹿島区1万1610人 1万1058人 1万1015人 1万0953人原町区4万7050人 4万4276人 4万4048人 4万3373人合計7万1494人 6万7408人 6万7055人 6万6119人鹿島区の人口鹿島区内の住民基本台帳各区別人口及び世帯数の推移は以下のとおりであり(甲C108~111)、鹿島区内の居住者数は、平成24年9月26日時点で9106人、同年11月22日時点で1万3775人である(丙E12、13)。 H23.2.28H23.9.30H23.12.31H24.8.31世帯人口世帯人口世帯人口世帯人口鹿島1137 3263 人1105 3055 人1112 3045 人1112 3008 人真野 2947 人 2795 人 2780 人 ``` 263人1105 3055人1112 3045人1112 3008人真野 2947人 2795人 2780人 2821人八沢 1874人 1760人 1752人 1727人上真野 3526人 3448人 3438人 3397人合計3460 11610人3421 11058人3435 11015人3460 10953人南相馬市による所在確認調査結果 南相馬市による平成24年12月13日現在の所在確認調査の結果は、南相馬市内居住者が、鹿島区9487人、原町区3万0383人、小高区5762人の合計4万5632人、市外避難者が、鹿島区1083人、原町区1万1148人、小高区5917人の合計1万8148人、転出者が、鹿島区568人、原町区4336人、小高区731人の合計5635人、所在不明者(死亡者含む)が、鹿島区472人、原町区1183人、小高区424人の合計2079人である(甲E5の39頁)。 キ農業等への影響南相馬市では、津波により防潮堤が倒壊して沿岸部の農地が流失、冠水し、平成22年度耕地面積8400haのところ、被害推定面積は2722ha(うち田耕地2642ha、畑耕地80ha)で被害面積率は32.4%である(甲E5の51頁)。また、放射性物質による汚染のため、南相馬市では、稲作について、平成23年度と平成24年度に作付制限を実施し、平成25年度には、避難指示区域以外の区域において、作付再開に向けた実証栽培(管理計画の下で全量管理・全袋検査を実施するもの)を行った。 ``` について、平成23年度と平成24年度に作付制限を実施し、平成25年度には、避難指示区域以外の区域において、作付再開に向けた実証栽培(管理計画の下で全量管理・全袋検査を実施する もの)を行った(丙E26)。 福島県は、平成26年産米について、南相馬市の避難指示区域以外の区域を全量生産出荷管理区域と定め、食品衛生法の放射性セシウムの基準値を超過する米が流通しないよう管理体制を徹底させることとした(丙E27)。 南相馬市では、野菜について作付制限を実施しなかった(甲E5の52頁)。 国は、平成30年1月5日時点で南相馬市全域において野生きのことイノシシの肉の摂取を差し控えるよう要請するとともに、ウメ、ユズ、キウイフルーツ、クリ、山菜、原木しいたけ(路地栽培に限る。)、真野川のヤマメ、ウグイ、アユ、フナ(いずれも養殖されたものを除く。)、福島県沖のウミタナゴ、カサゴ、キツネメバル、クロダイ、サクラマス、シロメバル、スズキ、ヌマガレイ、ムラソイビノスガイ、野生鳥 獣の肉の出荷を差し控えるよう要請し、福島県は、南相馬市全域のくるみの出荷自粛を要請した(甲E26)。 南相馬市の農家率は、平成22年が16.6%であったところ、平成27年は9. 5%であるが、地区別では鹿島区24.7%、原町区8.2%(小高区は調査対象外)である(甲E27)。 ク除染 南相馬市は、平成24年6月から平成30年3月まで20km圏外(建物から20mを超える山林を除く。)の除染作業を行った。鹿島区内には17か所の除染土壌等仮置場がある(甲E29、30)。 ⑵ 原告らの避難状況原告らの避難の有無、避難開始日(津波、停電、断水等のための避難を含む。)、避 難の期間、帰宅時期等は、別紙5避難状況一覧表のとおりである。 ⑶ (甲E29、30)。 ⑵ 原告らの避難状況原告らの避難の有無、避難開始日(津波、停電、断水等のための避難を含む。)、避 難の期間、帰宅時期等は、別紙5避難状況一覧表のとおりである。 ⑶ 原子力損害賠償紛争審査会による指針と被告東電の賠償基準ア原子力損害賠償紛争審査会による指針の策定と賠償手続原子力損害賠償紛争審査会による指針の策定平成23年4月、原賠法18条に基づき、原子力損害賠償紛争審査会(原賠紛争審 査会)が設置され、原賠紛争審査会は、福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定の指針その他の当該紛争の当事者による自主的な解決に資する一般的な指針を策定し、公表した(甲C19~22、丙A7~9)。 被告東電による訴訟外の賠償手続被告東電は、原賠紛争審査会が策定した指針(以下、「中間指針等」という。)に基 づき、中間指針等を踏まえた自主賠償基準を策定・公表し、被害者からの賠償請求を受け付ける請求書式と案内文書(請求書パック)を整備して賠償に対応するとともに(直接請求手続)、原賠法18条2項1号に基づき原賠紛争審査会の下に設置された原子力損害賠償紛争解決センターにおける和解仲介の手続(ADR手続)における和解仲介申立案件での個別的和解に対応している。 イ中間指針等における政府による避難等の指示等に係る損害賠償の枠組み中間指針の賠償の対象区域と対象者(甲C18の6~10頁)対象区域は、政府が、原災法に基づき各地方公共団体の長に対し、住民の避難を指示した区域(避難区域)、屋内退避を指示した区域(屋内退避区域)、計画的な非難を指示した区域(計画的避難区域)、緊急時の避難又は屋内退避が可能な準備を指示し た区域(緊急時避難準備区域)、住居単位で住民に対し注意喚起、 内退避を指示した区域(屋内退避区域)、計画的な非難を指示した区域(計画的避難区域)、緊急時の避難又は屋内退避が可能な準備を指示し た区域(緊急時避難準備区域)、住居単位で住民に対し注意喚起、自主避難の支援、促 進を行う地点(特定避難勧奨地点)のみならず、地方公共団体が独自の判断による一時退避の要請についても、「避難等を余儀なくされた者」の範疇に含めて考えるべきであるとし、南相馬市も対象区域とした。 中間指針が挙げる損害項目(甲C18の10~31頁)賠償すべき損害として一定の類型化が可能な損害項目とされたものは、①検査費用 (人)、②避難費用、③一時立入費用、④帰宅費用、⑤生命・身体的損害、⑥精神的損害、⑦営業損害、⑧就労不能等に伴う損害、⑨検査費用(物)、⑩財物価値の喪失又は減少等である。 精神的損害について(甲C18の17~23頁)a 精神的損害として賠償すべき損害 対象区域から実際に避難した上引き続き同区域外滞在を長期間余儀なくされた者(又は余儀なくされている者)及び本件事故発生時には対象区域外におり、同区域内に住居があるものの引き続き対象区域外滞在を長期間余儀なくされた者(又は余儀なくされている者)が、自宅以外での生活を長期間余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛(以 下、この精神的苦痛に係る精神的損害を「避難に係る精神的損害」という。)b 算定方法上記精神的損害は、「避難費用」のうち生活費の増加費用と合算した一定の金額をもって両者の損害額と算定するのが合理的な算定方法と認められ、該当する者であれば、その年齢や世帯の人数等にかかわらず、避難等対象者個々人が賠償の対象 となる。 ウ中間指針等で示された避難等に係る精 者の損害額と算定するのが合理的な算定方法と認められ、該当する者であれば、その年齢や世帯の人数等にかかわらず、避難等対象者個々人が賠償の対象 となる。 ウ中間指針等で示された避難等に係る精神的損害の具体的な損害額(甲C18)a 避難に係る精神的損害本件事故発生時(平成23年3月)から6か月間(第1期)一人月額10万円を目安とする。 ただし、この間、避難所・体育館・公民館等(以下「避難所等」という。)に おける避難生活等を余儀なくされた者については、避難所等において避難生活をした期間は、一人月額12万円を目安とする。 ⒝ 第1期終了から6か月間(第2期)一人月額5万円を目安とする。 b 金額算定の考え方 aについて、長期間の避難等を余儀なくされた者は、正常な日常生活の維持・継続を長期間にわたり著しく阻害されているという点では全員共通した苦痛を被っていること、また、仮設住宅等に宿泊する場合と旅館・ホテル等に宿泊する場合とで、個別の生活条件を考えれば一概には生活条件に明らかな差があるとはいえないとも考えられることから、主として宿泊場所等によって分類するのではなく、一 律の算定を行い、相対的に過酷な避難生活が認められる避難所等についてのみ、本件事故後一定期間は滞在期間に応じて一定金額を加算することとし、主として避難等の時期によって合理的な差を設けることが適当である。 本件事故後、避難等対象者の大半が仮設住宅等への入居が可能となるなど、長期間の避難生活のための基盤が形成されるまでの6か月間(第1期)は、地域コミュ ニティ等が広範囲にわたって突然喪失し、これまでの平穏な日常生活とその基盤を奪われ、自宅から離れ不便な避難生活を余儀なくされた上、帰宅の見通しもつかない不安を感じるなど、最も精 、地域コミュ ニティ等が広範囲にわたって突然喪失し、これまでの平穏な日常生活とその基盤を奪われ、自宅から離れ不便な避難生活を余儀なくされた上、帰宅の見通しもつかない不安を感じるなど、最も精神的苦痛の大きい期間であるといえる。したがって、第1期の損害額の算定に当たっては、本件は負傷を伴う精神的損害ではないことを勘案しつつ、自動車損害賠償責任保険における慰謝料(日額4200円、月額換算 12万6000円)を参考にした上、上記のように大きな精神的苦痛を被ったことや生活費の増加分も考慮し、一人当たり月額10万円を目安とするのが合理的である。 ただし、特に避難当初の避難所等における長期間にわたる避難生活は、他の宿泊場所よりも生活環境・利便性・プライバシー確保の点からみて相対的に過酷な生活 状況であったことは否定し難いため、この点を損害額の加算要素として考慮し、避 難所等において避難生活をしていた期間についてのみ、一人月額12万円を目安とすることが考えられる。 a⒝について、第1期終了後6か月間(第2期)は、引き続き自宅以外での不便な生活を余儀なくされている上、いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続くことによる精神的苦痛があるが、その一方で、突然の日常生活とその基盤の 喪失による混乱等という要素は基本的にこの段階では存せず、この時期には、大半の者が仮設住宅等への入居が可能となるなど、長期間の避難生活の基盤が整備され、避難先での新しい環境にも徐々に適応し、避難生活の不便さなどの要素も第1期に比して縮減すると考えられる。希望すれば大半の者が仮設住宅等への入居が可能となるなど長期間の避難生活のための基盤が形成され、避難生活等の過酷さも第1期 に比して緩和されると考えられることを考慮し、民事交通事故訴訟損害 る。希望すれば大半の者が仮設住宅等への入居が可能となるなど長期間の避難生活のための基盤が形成され、避難生活等の過酷さも第1期 に比して緩和されると考えられることを考慮し、民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準(公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部)による期間経過に伴う慰謝料の変動状況も参考とし、一人月額5万円を目安とすることが考えられる。 エ被告東電による避難等対象者の精神的損害に対する賠償基準a 第1期(本件事故発生時(平成23年3月)から6か月間) 一人月額10万円を目安とする。ただし、この間、避難所等における避難生活等を余儀なくされた者に対しては、避難所等において避難生活をした期間は、一人月額12万円を目安とする(丙C15)。 b 屋内退避区域及び地方公共団体が住民に一時退避を要請した区域について平成23年3月11日から同年9月末まで、避難の有無を問わず、一人月額10 万円(避難所等での避難の場合には月額12万円)を賠償する(平成24年7月24日付プレスリリース「避難指示区域の見直しに伴う賠償の実施について(旧緊急時避難準備区域等)」(丙C14))。 c 自主的避難等に係る損害を踏まえた追加の賠償中間指針追補で発表された自主的避難等に係る損害を踏まえ、避難指示等対象区 域内に住居があった者についても、追加の賠償として、①平成23年4月23日か ら同年12月末までの間に避難等対象区域又は自主的避難等対象区域に避難・滞在した妊婦及び18歳以下の子供に対して40万円、②平成24年1月1日から同年8月末までの間に避難等対象区域又は自主的避難等対象区域に避難・滞在した者に対し8万円を、避難生活等による精神的損害とは別途賠償する(丙C160)。 ⑷ 訴訟外の賠償(南相馬市の避難要請区域) 8月末までの間に避難等対象区域又は自主的避難等対象区域に避難・滞在した者に対し8万円を、避難生活等による精神的損害とは別途賠償する(丙C160)。 ⑷ 訴訟外の賠償(南相馬市の避難要請区域) ア賠償の内容概要被告東電が策定した賠償基準の賠償項目は、前記⑶エの精神的損害のほか、避難・帰宅等に係る費用、家賃に係る費用、一時立入・検査受診等に伴う移動費用、就労不能損害・営業損害、避難指示解除後の早期帰還に伴う追加的費用、生命・身体的損害、 財物(宅地・建物・借地権、田畑、立木等)、住宅確保損害、住宅等の補修・清掃費用、家財(一般家財のほか仏壇等)、墓石等の修理・移転に要した費用、自動車、償却資産・棚卸資産、自主的除染に係る費用等である。 南相馬市の避難要請区域における財産的損害の賠償a 営業損害、就労不能損害 中間指針では、対象区域内で事業の全部又は一部を営んでいた者、又は営んでいる者において、避難指示等(南相馬市独自の避難要請を含む)に伴い営業が不能になる又は取引が減少する等、その事業に支障が生じたため、現実に減収があった場合には、その減収分が賠償すべき損害として認められること(甲C18の23頁)、対象区域内に住居又は勤務先がある勤労者が、避難指示等により、あるいは上記営業損害を被 った事業者に雇用されていた勤労者が、当該事業者の営業損害によりその就労が不能等になった場合には、かかる勤労者についての給与等の減収分等を賠償すべき損害として認める(同26頁)一方で、第二次追補において、営業損害や就労不能損害を被った者による転業・転職や臨時の就労等が「特別の努力」と認められる場合には、かかる「特別の努力」により得た給与等を損害額から控除しない等の合理的かつ柔軟な 対応が必要であるとの考え方が示 を被った者による転業・転職や臨時の就労等が「特別の努力」と認められる場合には、かかる「特別の努力」により得た給与等を損害額から控除しない等の合理的かつ柔軟な 対応が必要であるとの考え方が示された(甲C20の10~12頁)。 被告東電は、営業損害及び就労不能損害の賠償について、本件事故後に得た収入を原則的に賠償金から控除していない。 b 避難・帰宅費用、一時立入費用平成23年9月末までの期間を対象として、避難交通費、宿泊費・家賃、家財道具移動費用、同一世帯内移動費用、一次立入費用を賠償する(丙C124)。 c 住宅等の補修清掃費用住宅等に生じた損傷を原状回復するための補修・清掃費用として、定額30万円を標準額として賠償する(丙C14)。 d 立木福島県内(避難指示区域および双葉郡を除く)の山林の立木を所有している者に対 し、実際にしいたけ原木として栽培されているかどうかを問わず、所有している立木の一定割合をしいたけ原木として出荷予定の立木であると推認し、山林の面積に応じて財産価値を賠償する(丙C134、162)。 e 団体請求による賠償農業者等がそれぞれの生産者団体等を通じて賠償を請求する方式(団体請求)によ る賠償を実施し、農地の面積等に一定の金額を単純に乗じるなどして算定した損害額を賠償する。 イ原告らに対する賠償被告東電は、原告らに対し、訴訟外で、別紙6既払額一覧表のとおり賠償した(丙C174、175)。 ⑸ 放射線の健康に対する影響ア放射線量規制ICRPは、2007年の勧告(2007年勧告)で、①計画被ばく状況(放射線源の計画的な導入操業に伴う被ばく状況)における線量限度として、公衆被ばくについては1年につき1mSv、職業被ばくについては、5年間の平均が年 7年の勧告(2007年勧告)で、①計画被ばく状況(放射線源の計画的な導入操業に伴う被ばく状況)における線量限度として、公衆被ばくについては1年につき1mSv、職業被ばくについては、5年間の平均が年間20mSv、 ただし、いかなる1年にも50mSvを超えるべきではないとし(丙C31の59頁)、 ②緊急時被ばく状況(至急の注意を要する予期せぬ被ばく状況)において計画される最大残存線量の参考レベルは予測線量20mSvから100mSvの範囲にあるとし(同69頁)、③現存被ばく状況(管理に関する決定をしなければならない時点で既に存在する被ばく状況)の参考レベルは予測線量1mSvから20mSvの間にあるとする(同76頁)。 ICRPの2007年勧告は、LNTモデル(約100mSvを下回る線量において、ある一定の線量の増加はそれに正比例して放射線起因の発がん又は遺伝性影響の確立の増加を生じるであろうという仮定)について、根拠となる仮説を明確に実証する生物学的、疫学的知見がすぐには得られそうもないことを強調しながら、放射線防護の実用的な目的、すなわち低線量放射線被ばくのリスクの管理に対して慎重な根拠 を提供するとの考えに基づき、LNTモデルに根拠を置いている(同17頁)。 イ国際的合意原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)、世界保健機関(WHO)、国際原子力機関(IAEA)等の報告から、以下の科学的知見が国際的に合意されている(甲C40の3頁)。 低線量被ばく(国際的に合意された定義はないが、200mSv以下とされることが多い。)のリスク放射線による発がんのリスクは、100mSv以下の被ばく線量では、他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため、放射線による発がんリス 0mSv以下とされることが多い。)のリスク放射線による発がんのリスクは、100mSv以下の被ばく線量では、他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しい。疫学調査以外の科学的手法でも、同様に発 がんリスクの解明が試みられているが、現時点では人のリスクを明らかにするには至っていない。 長期にわたる被ばくの健康影響低線量率の環境で長期間にわたり継続的に被ばくして、積算量として合計100mSvを被ばくした場合は、短時間で被ばくした場合より健康影響が小さいと推定され ている(線量率効果)。 ウ本件事故に関する国際機関の知見等ICRP勧告(甲C41)ICRPは、3月21日、①緊急時に公衆の防御のために、国の機関が、最も高い計画的な被ばく線量として20~100mSvの範囲で参考レベルを設定するという2007年勧告をそのまま変更することなしに用いること、②国の機関が、汚染地 域に人々が住み続けるように必要な措置をとる場合、長期間の後には放射線レベルを1mSv/年へ低減することとし、従前の勧告を変更することなく、現時点での参考レベルを1mSv/年から20mSv/年の範囲で設定することを勧告した。 IAEA国際フォローアップミッション最終報告書(丙C36)平成25年10月、本件発電所外の地域の環境回復活動を評価することを主な目的 として13人の国際専門家等が参画するIAEA国際フォローアップミッションチームが日本を訪問して調査を行い、最終報告書で、「除染を実施している状況において、1~20mSv/年という範囲内のいかなるレベルの個人放射線量も許容しうるものであり、国際基準及び関連する国際組織、例えば、ICRP、IA 調査を行い、最終報告書で、「除染を実施している状況において、1~20mSv/年という範囲内のいかなるレベルの個人放射線量も許容しうるものであり、国際基準及び関連する国際組織、例えば、ICRP、IAEA、UNSCEAR及びWHOの勧告等に整合したものであるということについて、コミュニケ ーションの取組を強化することが日本の諸機関に奨励される」と報告した(同8頁)。 UNSCEAR報告書UNSCEARは、平成25年10月の国連総会への年次報告書(丙C40)において、健康影響について、モデルによる線量推計結果及び実測値を踏まえると、住民及びその子孫において今回の事故による放射線に起因する健康影響については増加 が認められる見込みはないこと、甲状腺検査において、嚢胞、結節、がんの発見率の増加が認められるが、高い検出効率によるものと見込まれ、福島県の子どもの間で見つかっている発見率の増加について放射線の影響とは考えにくいと示唆されると報告した(同2頁)。 UNSCEARは、平成26年4月2日に前記報告書を実証する「2011年東日 本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルと影響」(丙C49)を、平成2 8年に「東日本大震災後の原子力事故による放射線被ばくのレベルと影響に関するUNSCEAR2013年報告書刊行後の進展」(丙C50)を発表していたところ、令和3年3月に「2011年東日本大震災後の福島第一原子力発電所における事故による放射線被ばくのレベルと影響、2013年報告書刊行後に発表された知見の影響」(丙C178~180)を発表し、全身への推定被ばく線量(推定平均実効線量)を 下方修正して福島県全体の成人では平均5.5mSv以下であったとするとともに、本件事故に起因する被ばくによって将来、健康影響が 8~180)を発表し、全身への推定被ばく線量(推定平均実効線量)を 下方修正して福島県全体の成人では平均5.5mSv以下であったとするとともに、本件事故に起因する被ばくによって将来、健康影響が確認される可能性は低いと結論づけた。 エ情報提供福島県による情報発信 福島県知事は、3月22日、「県内各地で、大気中から通常より高い値の放射能が検出されていますが、人体への影響は限りなくゼロに近いとの県放射能健康リスク管理アドバイザーの評価もあります。県民の皆さんには落ち着いて行動していただきたいと思います。」とのメッセージをホームページに掲載した(丙C45)。 また、4月6日、県内の小中学校や幼稚園、保育所などの校庭で実施している放射 線量測定のうち、4月4日に実施した552施設の測定結果を公表するとともに、そのころ、県民を対象に行った説明会で、放射線健康リスク管理アドバイザーが、1時間当たり10μSv以下なら子どもを外で遊ばせても大丈夫であること、現在の線量で子どもに影響が出ることはないことなどを回答し、これらの内容をホームページに掲載した。これらの内容は、4月7日及び4月11日の地元新聞紙で報道された(丙 C41の1~3)。 政府による情報発信経済産業省は、3月23日、原子力安全委員会による「避難・屋内退避区域外にお住いの皆様へのQ&A」(丙C42)を公表した。 政府原子力災害現地対策本部(現地対策本部)は、同月29日以降、被災地域向け ニュースレターを発行するとともに、24時間対応の相談窓口を設けた(丙C43の 1~8)。 厚生労働省は、4月1日、「妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線へのご心配にお答えします。~水と空気と食べものの安心のために~」と題するパンフレット た(丙C43の 1~8)。 厚生労働省は、4月1日、「妊娠中の方、小さなお子さんをもつお母さんの放射線へのご心配にお答えします。~水と空気と食べものの安心のために~」と題するパンフレットを作成するとともにホームページに掲載した(丙C44)。 専門的知見の発信 公益社団法人日本医学放射線学会は、3月18日、「放射線被ばくなどに関するQ&A」をホームページに掲載し、「今回の原発周辺住民への避難や屋内退避の指示は、今の被害状況や今後の被害の拡大に備えたものです。したがって、この指示に従っている限り、以前どこに居たとか、どの地域にいたからと、心配する必要はありません。 どこにいても母親や子供の健康影響が心配となるような放射線の量は浴びていませ ん。」と記載した(丙C46)。 日本産科婦人科学会は、3月24日、「水道水について心配しておられる妊娠・授乳中女性へのご案内」を公表し、「現時点では妊娠中・授乳中女性が軽度汚染水道水を連日飲んでも、母体ならびに赤ちゃん(胎児)に健康被害は起こらないと推定されます。」と記載した(丙C47)。 福島県内の学校の校舎・校庭などの利用などについての公表福島県は、3月30日、現地対策本部に対し、福島県の学校などの再開の基準を示してほしいと要望し、文部科学省は、ICRPの2007年勧告で、現存被ばく状況(自然バックグラウンド放射線に起因する被ばく状況のように管理に関する決定をしなければならない時点で既に存在する被ばく状況)における公衆被ばくの参考レベ ルが1~20mSv/年であったことからその上限である20mSvとすることとし、児童生徒等が屋内にいる時間を1日当たり16時間、屋外(校庭)にいる時間を1日当たり8時間と仮定すると、児童生徒等が1年間に20mSvの放射線を受け たことからその上限である20mSvとすることとし、児童生徒等が屋内にいる時間を1日当たり16時間、屋外(校庭)にいる時間を1日当たり8時間と仮定すると、児童生徒等が1年間に20mSvの放射線を受ける空間線量率が3.8μSv/時となることからこれを一つの目安とし、今後できる限り線量を減らしていくことが適切であるとして、3.8μSv/時未満の空間線量率 が測定された学校については平常どおり利用して差し支えないこと等を内容とする 「福島県内の学校等の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について」を定め、4月19日に原災本部を介して安全委員会に対し助言を求めたところ、学校等における継続的なモニタリング等の結果を2週間に1回以上の頻度を目安として安全委員会に報告すること、ポケット線量計で被ばく状況を確認することの条件を付したうえで、上記考えで差支えはないむね回答した。 4月20日、以上の内容及び夏季休業終了後をめどに見直すことが報道された。 8月26日、文部科学省は、夏季休業終了後、学校において児童生徒等が受ける線量について原則1mSv/年以下とし、これを達成するために校庭等の空間線量率の目安を1μSv/時未満とすることなどを公表した。 文部科学省は、福島県が4月5日から7日にかけて実施した小学校等の校庭のモニ タリング時に3.7μSv/時以上の数値を示した52校の校庭について、継続的にモニタリングを行ったところ、4月14日には13施設において3.8μSv/時の空間線量率が測定されたが、5月12日以降に3.8μSv/時以上の空間線量率が測定された学校はなく、8月25日の測定では最も高いところで0.8μSv/時だった(甲B12の320~323頁、甲B52の267~269頁)。 2 判断⑴ 原告らの損害 の空間線量率が測定された学校はなく、8月25日の測定では最も高いところで0.8μSv/時だった(甲B12の320~323頁、甲B52の267~269頁)。 2 判断⑴ 原告らの損害ア原告らの主張の要旨原告らは、直接請求手続で賠償された日常生活阻害慰謝料には不足があること、地域変容慰謝料を賠償すべきことを挙げ、原告らが被った非財産的損害は総額2000 万円を下らず、被告東電から受領している慰謝料既受領分を除いたとしても600万円以上の損害が存在すると主張して、一人当たり600万円(ただし、訴え提起時の損害額算定根拠は、日常生活阻害慰謝料月額10万円、平成23年10月から平成28年9月までの60か月分である。)の慰謝料を請求する。 そして、被侵害利益について、本件事故が鹿島区の地域状況を大きく変容させ、鹿 島区における従前の地域コミュニティの中での生活を奪い、被害が全人格的に生じて いるとして、①包括的生活利益としての平穏生活権、②原告ら各自の地域コミュニティの中で自給自足の生活をする権利(人格発達権の側面)、③地域社会の中で積極的に里山の自然を利用して産業や生活を営み、かつ、同じ意識を共有する部落住民、地域住民らと共同し、そのような生活を実現する権利(自己決定権の側面)、④豊かな里山の自然を愛し、将来にわたって継続する意思でこの地域に定着するという地域社会 を前提とする生活を鹿島区で行いたいという権利(居住・移転の自由の側面)、豊かな自然の恵みを享受する生活を送る権利(環境権または自然共有権の側面)が侵害され、⑤直接賠償手続における賠償額が緊急時避難準備区域の半分以下と著しく低廉なものとされる差別(平等権侵害の側面)を受けたことを挙げ、救済が必要であると主張する。 イ被侵害利益 害され、⑤直接賠償手続における賠償額が緊急時避難準備区域の半分以下と著しく低廉なものとされる差別(平等権侵害の側面)を受けたことを挙げ、救済が必要であると主張する。 イ被侵害利益日常生活の阻害による人格的利益侵害鹿島区は政府による避難措置の対象となることはなかったが、前記1⑴イのとおり、南相馬市長は、3月16日、全市民に対して市外への避難を促しているところ、本件事故発生直後の時期に、本件発電所で爆発や火災が続発し、順次、南相馬市内の大半 の区域が避難区域や屋内退避区域に指定される状況にあって、南相馬市内では、ガソリンと救援物資が市内に流通せず、避難所の食事にも事欠く事態に陥っており、南相馬市長が鹿島区を含む南相馬市の住民たちに市外への避難を促したのもやむを得ない状況にあった。その結果、鹿島区の住民は、本件事故時まで平穏に暮らしていた生活の本拠地からの避難を迫られ、従前の生活を継続できない状況に陥った。 人が生活の本拠地として自ら定め、平穏に生活してきた場所で、平穏な日常生活を続ける利益は、憲法13条、22条1項に照らし、法律上保護されるべき人格的利益であると認められ、南相馬市長から避難を促された鹿島区の住民である原告らは、本件事故により放出された放射性物質の放射線の作用により、平穏な日常生活の維持・継続が阻害され、上記の人格的利益が侵害されたと認められる。避難しない選択をし た場合であっても、本件発電所の状況について客観的情報を得られないまま、放射線 被ばくによる健康被害の不安も募る中、市長から避難を促されるという極度の緊張状態において、避難するか否かの選択を迫られ、避難しないとすれば避難しないことによりさらされる危険を引き受けざるを得なかったのであり、避難しないとしても、避難した者と 避難を促されるという極度の緊張状態において、避難するか否かの選択を迫られ、避難しないとすれば避難しないことによりさらされる危険を引き受けざるを得なかったのであり、避難しないとしても、避難した者と同等に平穏な日常生活の維持・継続が阻害され、人格的利益が侵害されたと認められる。したがって、避難の有無を問わず、鹿島区の住民らが平穏な日常生活 の維持・継続を阻害されたことにより被った精神的損害(以下、「日常生活阻害慰謝料」ということがある。)は、原賠法に基づき賠償されるべき原子力損害である。 地域の変容による人格的利益の侵害原告らは、前記の一時避難要請により平穏な日常生活の維持・継続が阻害されて被った精神的損害とは別に、さらに、本件事故が鹿島区の地域状況を大きく変容させ、 鹿島区における従前の地域コミュニティの中での生活を奪い、被害が全人格的に生じているとも主張する。 しかし、南相馬市長は、4月22日、自宅での生活が可能な者の帰宅を許容するとの見解を示し(前記1⑴エ)、一時避難が要請された期間は38日間であって、長期間にわたるとまではいえず、原告らの多くが4月末までに避難生活を終えていることに 照らしても、住民の多数が相当長期にわたり避難を余儀なくされたという実態にはない。また、鹿島区は本件発電所から距離的には近いものの、同区内の空間放射線量は、本件事故直後においても、福島県内各地の本件発電所から距離的に離れた場所より顕著に高かったともいえず(同オ)、4月7日には事業を再開する事業者も増え(同エ)、4月11日から仮設住宅の建設が始まっており(同ウ)、本件事故の約1か月後に は、生活再建に向けた活動が進められていたことが認められる。鹿島区において、地震・津波による被害とは別に、本件事故による放射性物質の飛散によっ が始まっており(同ウ)、本件事故の約1か月後に は、生活再建に向けた活動が進められていたことが認められる。鹿島区において、地震・津波による被害とは別に、本件事故による放射性物質の飛散によって、地域が全体的、一体的に長期間閉鎖され、あるいは、地域住民が長期間離散することを余儀なくされたとはいえない。 そして、前記1⑴カのとおり、本件地震の約1年9か月後である平成24年12月 13日時点の所在調査の結果は、鹿島区内居住者9487人、市外避難者1083人、 転出者568人、所在不明者(死亡者含む)472人(以上合計1万1610人)であり、同時点で、5%弱が市外に転出したことが認められる一方で、住民基本台帳人口及び世帯数は、平成23年2月末時点が1万1610人、3460世帯であったのに対し、同年9月末時点で1万1058人、3421世帯、平成24年8月末時点で1万0953人、3460世帯である。また、鹿島区内居住者数は平成24年11月 22日時点で1万3775人である。本件地震後、鹿島区に生活の本拠を置く意思を有する者の数が大きく減少したとは認められず、避難者などを含めば居住者数はかえって増加し人口が流入したことが認められる。 この点、原告らは、小高区と原町区などから避難者を鹿島区に受け入れたことにより地域社会の混乱が深刻化したと主張し、運動や交流の場の喪失、治安面での不安の 増大、仮設住宅の居住者とのトラブル、交通量の増加、ごみの不法投棄、医療機関での不便やストレス、医療費や高速道路料金が無料化されている避難者との不公平感によるストレスを挙げる。しかし、原告らが一体的な日常生活圏、経済圏であることを強調する小高区や原町区からの避難者の受け入れは、津波被災者や本件事故による避難者の住居を確保するための公共目的の施 感によるストレスを挙げる。しかし、原告らが一体的な日常生活圏、経済圏であることを強調する小高区や原町区からの避難者の受け入れは、津波被災者や本件事故による避難者の住居を確保するための公共目的の施策であり、それによって原告らが主張する ような不快感やストレスが生じたとしても、金銭をもって賠償させるのを相当とする精神的損害とは認め難い上、上記各事情は、他地区の避難者を受け入れたことに起因するものであるところ、避難者の受入れをはじめとする人口の流入をどのように受け止めるかは、個々の住民の事情や価値観によって大きく異なり、標準的な地域住民が一様に否定的に受け止め、不利益や精神的苦痛を受けることが明らかであるとは認め られない。 原告らは、さらに、事業所数の減少、医師・看護師不足、教育機関において、南相馬市内の小中学校が鹿島区内の4つの小中学校を間借りしたり、その敷地内に仮設校舎を建てたりして再開したことや、南相馬市内の幼稚園・保育園の数が半減し、通園を希望する幼児が鹿島区に集中する事態となったことによる教育に対する影響、農家 数の減少、沿岸漁業の試験操業が続いていることなどの事情を挙げ、地域社会が変容 した旨を主張する。しかし、原告らが挙げる事情は一過性のものも含まれ、また、住民であれば必ず不利益や影響を受ける事情であるともいえず、標準的な地域住民が一様に不利益や精神的苦痛を受けることが明らかであるとは認められない。 鹿島区では、本件地震後の転出者数と市外避難者数を加えると、1割を超える程度の規模で人口が流出し、それを上回る流入があったことが推認されるものの、その程 度の流出入によって、抽象的、一般的に、日常生活を支える経済的・社会的・文化的環境等の地域状況が全般的に大きく変容したことが明らかであるとは認められず 流入があったことが推認されるものの、その程 度の流出入によって、抽象的、一般的に、日常生活を支える経済的・社会的・文化的環境等の地域状況が全般的に大きく変容したことが明らかであるとは認められず、原告ら個々の生活が変貌したかを顧慮することなく、原告らが地域環境から享受していた経済的、精神的利益が一律に失われたと認めることはできない。 もっとも、一律に失われたとはいえなくとも、南相馬市では、放射線汚染のため、 野生きのことイノシシの肉の摂取制限、山菜や原木しいたけの出荷制限、真野川で採取される魚類の出荷制限が続いており、個々人の従前の地域団体や自然との関わり方によっては、避難生活を終えた後も、自由な自己実現が制限され、あるいは地域環境から享受していた経済的、精神的利益が損なわれたというべき場合があると認められる。これらによる精神的苦痛は、避難を要請された住民が日常生活を阻害されたこと により通常生ずる不便や苦労にまつわる精神的苦痛を念頭において算定された前記日常生活阻害慰謝料の損害額では評価し尽くせない場合があることを否定できない。 各原告において、永続性に対する期待に客観性が認められる身近で非代替的な環境が放射線の作用により変化し、その変化により避難生活終了後も平穏な日常生活を維持できず、自由な自己実現が阻害され、あるいは精神的利益を損なうなどして精神的苦 痛を受けたと認められる場合は、日常生活阻害慰謝料を増額するのが相当である。 ウ慰謝料慰謝料算定に係る事情a 低線量被ばくの健康影響原告らは、公衆被ばく限度は年間1mSvであり、これを超えて被ばくしないこと は法的に保護された利益であり、本件事故後の放射性物質による汚染により、原告ら が強い恐怖感・不安感を抱き続けることは、客観的根拠に基 は年間1mSvであり、これを超えて被ばくしないこと は法的に保護された利益であり、本件事故後の放射性物質による汚染により、原告ら が強い恐怖感・不安感を抱き続けることは、客観的根拠に基づくもので法的保護に値すると主張するので検討する。 法令において、例えば、実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則では、管理区域と保全区域を画する基準として線量限度を用い、告示(本件事故当時のものとして平成13年3月21日経済産業省告示第187号)は、その限度を実効線量年間1 mSvと定めるところ、この告示はICRPの1990年勧告における公衆被ばくに対する線量限度を1年について1mSvとする勧告を踏まえ、国内制度に取り入れたもので(乙C7)、放射線を利用するにあたり、合理的に達成可能な限り被ばく量を減らし、防御を最適化することを目的として定められたものである。防御の最適化のために線量限度を画する法令があるからといって、当該線量限度を超える被ばく線量が 当然に公衆の利益を害するとはいえず、当該線量限度を超えて被ばくしないことが法的に保護されているとはいえない。 そして、ICRPの2007年勧告も、計画被ばく状況における公衆被ばくの線量限度を年間1mSvとするところ、これは、被ばくが個人には直接的な便益がないかもしれないが、その被ばく状況が社会の役に立つことはあるかもしれないことを理由 とし、年間1mSvについては、自然バックグラウンドをわずかに超える増加を示す線量と評価しており(丙C31の57、58頁)、同勧告において、職業被ばくについては5年の平均の年間20mSvまで許容するとおり、年間1mSvを超える被ばくがあれば人の健康を害するとの考えに立つものではない。 加えて、年間1mSvを超える被ばくがあれば人の健康を害する については5年の平均の年間20mSvまで許容するとおり、年間1mSvを超える被ばくがあれば人の健康を害するとの考えに立つものではない。 加えて、年間1mSvを超える被ばくがあれば人の健康を害することが国際的に合 意された科学的知見であるとも認められない。このことは、前記1⑸のとおり、2007年勧告において、LNTモデルの根拠となる仮説を明確に実証する生物学的、疫学的知見がすぐには得られそうもないことが明示されていることや、本件事故後、ICRPが参考レベルを1mSv/年から20mSv/年の範囲で設定することを勧告したこと、IAEA国際フォローアップミッションチームが1~20mSv/年と いう範囲内のいかなるレベルの個人放射線量も許容しうるものであり、国際基準及び 関連する国際組織、例えば、ICRP、IAEA、UNSCEAR及びWHOの勧告等に整合していると評価していることからみても明らかである。 また、本件事故後、遅くとも3月16日以降には各地の空間放射線量が報道され(前記1⑴オ)、専門的知見として、当該線量が母親や子供の健康影響が心配となるような放射線の量ではないことが公表、周知されるようになった。 本件事故によって、原告らが、年間20mSvを上回る被ばくをしたとは認められず、本件事故による被ばくによって健康に影響が生じることを裏付ける信頼性の高い科学的知見はないというほかなく、仮に、健康被害が生じるかもしれないとの不安を抱いているとしても、そのような心情が独立の法的保護の対象であるとは認められない。 したがって、放射線による健康被害の恐怖感や不安感を理由に慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 b 慰謝料増額事由の有無原告らは、慰謝料増額事由として、侵害者の重過失、動機の悪質性、経緯又は態 がって、放射線による健康被害の恐怖感や不安感を理由に慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 b 慰謝料増額事由の有無原告らは、慰謝料増額事由として、侵害者の重過失、動機の悪質性、経緯又は態様の悪質性、結果に至る経緯の悲惨さ、被害者の回避困難性、損害の重大性を挙げるの で検討する。 前記第1の3⑴カ記載のとおり、本件長期評価が平成14年7月に公表された以上、被告東電としては、本件発電所の地震防災対策において、三陸沖北部から房総沖にかけての日本海溝寄り領域内のどこでも明治三陸地震と同様の地震が発生する可能性があるとの本件長期評価の知見を踏まえた防災対策の在り方を直ちに検討すべきで あったにもかかわらず、耐震バックチェック指示を受けるまで検討せず、平成20年4月まで本件試算を行わなかったこと、本件試算の結果、三陸沖北部から房総沖にかけての日本海溝寄り領域内のどこでも明治三陸地震と同様の地震が発生するとすれば、本件発電所の敷地内が浸水する恐れがあることを具体的に認識したにも関わらず、事業者としてそのリスクに向き合わず、津波評価技術の改定に委ねるのみで、自ら安 全対策を進めなかったことが認められる。しかし、本件地震発生前の専門的知見を前 提にすれば、被告東電が、海抜10mを超える津波が本件発電所に到来する危険が切迫していると当然に判断していたはずであるとはいえず、本件事故の発生について、被告東電に故意又は故意に匹敵するような重大な過失があったとは認められない。したがって、慰謝料増額事由があるとは認められない。 c 緊急時避難準備区域の住民と比較した不公平感 原告らは、緊急時避難準備区域と別異に取り扱う合理的な理由は全くないとして、緊急時避難準備区域と比較して、賠償基準の格差、被告国の被災者支援対策である 時避難準備区域の住民と比較した不公平感 原告らは、緊急時避難準備区域と別異に取り扱う合理的な理由は全くないとして、緊急時避難準備区域と比較して、賠償基準の格差、被告国の被災者支援対策である医療保険、介護保険の保険料及び一部負担金の減免措置等の対象外とされたことによる医療費負担、高速道路無料化の対象外とされたことによる高速道路利用料の負担、平成24年度分以降の地方税の減額措置が2分の1にとどまったことによる負担等を 挙げ、慰謝料の算定にあたって考慮すべきであると主張する。 しかし、被告国による医療費や高速道路利用料の減免は、避難生活を支援するための施策であるから、原災本部が避難を指示した区域のみを対象としたことが不合理であると認められない。また、緊急時避難準備区域の指定は、緊急に屋内退避や避難の対応が求められる可能性を否定できないことを念頭においた避難措置であり、引き続 きの避難という規制を伴うのであるから、同区域の指定対象は可能な限り限定する必要があり、避難措置を指示する対象を距離で画したことには合理性があり、相当性を欠くとも認められない。被告東電の自主賠償基準についても、避難措置の内容によって対象者が置かれた状況は類型的に大きく異なるから、避難措置の内容が異なる区域ごとに賠償額を定めることには合理性があり、相当性を欠くとも認められない。個別 具体的に見れば、被災者支援の趣旨に沿わず医療費や高速道路利用料減免の恩恵を受けたものや、避難措置がとられた区域に該当しながら当該区域で想定される損害を被っていないものが含まれる可能性を否定できないが、だからといって、避難措置がとられていない区域について避難措置がとられた区域と同じ賠償や支援をすべきことにはならないし、このように合理的な理由がある取扱いの差異が不公平感を招 可能性を否定できないが、だからといって、避難措置がとられていない区域について避難措置がとられた区域と同じ賠償や支援をすべきことにはならないし、このように合理的な理由がある取扱いの差異が不公平感を招いたと しても、そのような主観的な心理状態について、金銭をもって慰謝すべきであるとも 認められない。 被告東電の弁済の抗弁等について被告東電は、自主賠償基準により、慰謝料のほか、就労不能損害・営業損害、住宅等の補修・清掃費用、避難費用、生活費増加分、一時立入費用、帰宅費用、検査費用等、各種の財産的損害について賠償しており、このような財産的損害が賠償されるこ とにより、本件事故により財産的損害が生じたことに伴う精神的苦痛は慰謝されると主張する。しかし、上記財産的損害の賠償がなされていることを踏まえても、避難生活終了後に、生活の本拠を構成する生活環境が放射線の作用によって変化し、自由な自己実現が阻害され、あるいは地域環境から享受していた経済的、精神的利益を失うことによる精神的苦痛を評価し尽くせるものではない。慰謝料の金額の算定にあたっ ては、被告東電が主張するとおり実損害を超える賠償がなされている可能性があることも考慮したうえで算定することとし、したがって、原則として、被告東電の弁済の抗弁は認められない。 また、被告東電は、精神的損害・財産的損害、本件訴訟の原告であるか否かの別を問わず、世帯構成員間で弁済の充当が認められるべきであるとも主張する。しかし、 訴訟外の賠償手続において、世帯代表者によって請求手続が行われたのは、世帯代表者が手続を代理したにすぎず、精神的損害など損害賠償請求権者ごとに算定され支払われた賠償金を世帯構成員間で当然に充当できる理由にはならない。 ただし、原告らは、精神的損害について、直接請 、世帯代表者が手続を代理したにすぎず、精神的損害など損害賠償請求権者ごとに算定され支払われた賠償金を世帯構成員間で当然に充当できる理由にはならない。 ただし、原告らは、精神的損害について、直接請求手続又はADR手続により、前記1⑶エの被告東電の自主賠償基準に沿う慰謝料の支払を受けており、また、原告ら の中には、事実に反する申告をするなどして、被告東電が自主賠償基準で補償する趣旨に沿わず、過大に賠償金を受領している場合があることも認められる。各原告の慰謝料を増額すべきか否かは、各原告が得たであろう利益を考慮し、個別に判断することとする。 慰謝料額 慰謝料額に関し、前記1⑶のとおり、中間指針等では、自宅以外での生活を長期間 余儀なくされ、正常な日常生活の維持・継続が長期間にわたり著しく阻害されたために生じた精神的苦痛による精神的損害(避難に係る精神的損害)の賠償額を、月額10万円(避難費用のうち通常の範囲の生活費の増加費用を含む。)、生活環境・利便性・プライバシー確保の点からみて相対的に過酷な生活状況であった場合は月額12万円とし、期間は、南相馬市が一時避難を要請した区域について原則として平成23年 7月末までとしたところ、被告東電は、中間指針等の考え方を踏まえ、自主賠償基準として、月額10万円(加算事由が認められる場合は月額12万円)を平成23年9月末まで7か月分賠償することとした。 中間指針等は、原賠法18条2項に基づき、当事者による自主的な解決に資する一般的指針として原賠紛争審査会が策定したものであるから、もとより裁判所を拘束す る規範となるものではないが、同条1項に基づき設置された原賠紛争審査会の委員である法律や放射線の専門家らが、多数回にわたり公開された議場で審議を重ね、意見を集約して策定し より裁判所を拘束す る規範となるものではないが、同条1項に基づき設置された原賠紛争審査会の委員である法律や放射線の専門家らが、多数回にわたり公開された議場で審議を重ね、意見を集約して策定しており、客観的合理性が担保された損害額の算定である。月額10万円と算定するまでの前記1⑶ウの検討過程に不合理な点があるとも認められない。 原告らは、被告東電の自主賠償基準が終期を平成23年9月末としていることが、 被害実態に応じているとは到底言えないと主張する。しかし、前記1⑴ウないしオ、⑸エのとおり、①3月16日以降、県内各地の放射線量が報道されるようになり、鹿島区内の空間放射線量は、福島県内各地に比して高いとはいえず、より高い数値が継続的に観測される市町村でも健康に影響はない旨が報道され、②4月7日には、南相馬市内において、復興への切実な願いから事業を再開する事業者も増え、鹿島区では、 4月11日から仮設住宅の建設が始まり、③4月22日、南相馬市長は、鹿島区の30km圏外において規制はなく、できるだけ普段の生活をしてほしいと呼びかけ、⑤同日、鹿島区内の小・中学校が自校で授業を再開し、⑥5月28日からは、鹿島区の応急仮設住宅の入居が始まって他地域からの避難者も受け入れ、⑦8月から9月にかけて、地区の盆踊りや追悼と復興を願う行事が相次いで開催されるようになったこと が認められる。加えて、9月末には、政府が、緊急時避難準備区域について、原子炉 の冷却が仮に中断するようなことがあっても放射線の影響は小さいと判断して緊急時避難準備区域を解除し、このことは、半径30km圏外において緊急かつ重大な危険にさらされるおそれは更に低くなったことを示している。これらの経過を考慮すると、南相馬市長が帰宅を許容する見解を示してから5か月が経過 を解除し、このことは、半径30km圏外において緊急かつ重大な危険にさらされるおそれは更に低くなったことを示している。これらの経過を考慮すると、南相馬市長が帰宅を許容する見解を示してから5か月が経過した9月末には、日常生活に戻るまでに必要であると考えられる合理的な期間は経過していると認めら れ、9月末より後も生活の本拠地から離れて避難生活を続けることが客観的にみてやむを得なかったとは認められない。 そして、損害額算定の基本月額10万円は、避難指示が継続したために自宅以外での生活を長期間余儀なくされた場合とも同額であるところ、月額10万円と算定するにあたり基礎とされた事情には、突然の日常生活とその基盤の喪失による混乱、自宅 から離れた場所での避難生活の不便さ、自宅に帰れない苦痛、帰宅の見通しがつかない不安が含まれるが(甲C18の21、22頁、丙A14の2頁)、30km圏外の鹿島区では、南相馬市長が、4月22日には自宅での生活が可能な者の帰宅を許容し、そのころまでに極度の緊張状態を脱しており、また、地域一丸となって復興に向け日常生活に戻ることが志向され、いつ自宅に戻れるか分からないという不安な状態が続 いていたとはいえず、30km圏外の鹿島区の住民の事情は、上記損害額算定にあたり基礎とされた事情とは大きく異なると言わざるを得ない。中間指針等では、第2期(本件事故発生時の6か月後から6か月間)の損害額について、突然の日常生活の喪失による混乱や避難生活の不便さの縮減を考慮して月額5万円と算定しながら、本件事故発生後6か月間の基本月額は、避難区域ごとの基礎事情の違いを捨象して一律に 基本月額を10万円としたものであり、さらに被告東電は、自主賠償基準において、30km圏外の鹿島区の住民の慰謝料額を、基本月額10万円の7か月分、 避難区域ごとの基礎事情の違いを捨象して一律に 基本月額を10万円としたものであり、さらに被告東電は、自主賠償基準において、30km圏外の鹿島区の住民の慰謝料額を、基本月額10万円の7か月分、70万円と算定した。被告東電によるこの自主賠償基準は、避難のため日常生活を阻害されたことにより通常生ずる不便や苦労にまつわる精神的苦痛を慰謝する金額として一般的な水準を満たすものであると認められる。 以上を考慮するとき、原告らが、前記1⑴イ、⑵のとおり、本件地震による被害後 も自宅で生活を続け、あるいは避難場所を確保していたにもかかわらず、3月14日以降の原子炉建屋の爆発等の続発に伴い、本件発電所の状況や放射線量に関する客観的情報を得られないまま、生命や身体が害される不安や日常生活を維持できなくなる不安にさらされたこと及び南相馬市による市外への避難の促しを受けて避難するか否かの決断を迫られ、生活の本拠地からの移動を余儀なくされ、あるいは避難しない ことによる危険を引き受け、従前の日常生活とは全く異なる生活を送らざるを得なかったことを踏まえてもなお、被告東電の自主賠償基準における算定は、30km圏外の鹿島区の住民が平穏な日常生活の維持・継続を阻害されたことにより被った精神的苦痛と、そのような状況から日常生活に戻るまでに必要であったと合理的に認められる期間内に通常生じる不便や苦労にまつわる精神的苦痛に対する慰謝料として相当 な額であると認められる。 そのうえで、さらに、原告らの立証により認められる各原告の個別事情を踏まえ、避難生活を終えた後も、永続性に対する期待に客観性が認められる身近で非代替的な環境が変化したことにより平穏な日常生活の維持・継続が阻害され、その変化が放射線の作用によると認められる場合は、慰謝料として、前 活を終えた後も、永続性に対する期待に客観性が認められる身近で非代替的な環境が変化したことにより平穏な日常生活の維持・継続が阻害され、その変化が放射線の作用によると認められる場合は、慰謝料として、前記の日常生活阻害慰謝料を1 0万円増額するのが相当である。 なお、被告東電は、反対尋問を経ない原告らの陳述書の証拠価値は限定的であると主張する。しかし、原告らの陳述書に記載された内容のうち、各原告の居住歴、生活歴等の本件事故前の事情を報告する部分の作為性は乏しく、信用性を疑うべき事情は特に見当たらない。仮に記憶違いなどがあっても、陳述書より信用性の高い証拠をも って弾劾するほかないが、被告東電において、より信用性の高い証拠を提出できるのであれば提出して反証する機会はあり、実際に反証している。また、本件事故後の日常生活にまつわる主観的心情を述べる部分は、反対尋問により弾劾されるべきものではなく、客観的事実を立証することによって主観的心情の客観性を争うべきであり、被告東電において、主観的心情の客観性を主張立証する機会はあり、実際に主張立証 している。加えて、陳述書記載内容に関し、被告東電において質問事項や確認事項が あれば釈明を求めることを促したものの求釈明はなかった。当事者双方の主張立証を踏まえ、後記のとおり認定判断する。 ⑵ 各原告の損害額【世帯番号1(世帯代表原告番号1)】ア認定事実 証拠(甲D1、丙D1、原告●●●●本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告1(64歳、団体職員(原告番号1が、本件事故当時64歳で、団体職員であったことをいう。以下同じ。))と原告2(58歳、主婦)は夫婦である。 原告1は、先祖から受け継いだ現住所地で生まれ、小学校から高校まで東京で両親 告番号1が、本件事故当時64歳で、団体職員であったことをいう。以下同じ。))と原告2(58歳、主婦)は夫婦である。 原告1は、先祖から受け継いだ現住所地で生まれ、小学校から高校まで東京で両親 と過ごしたが、家を継ぐために昭和44年に現住所地に戻って鹿島町役場に就職しながら農業を営み、平成19年に定年退職後、電気工事協同組合の専務理事に就任した。 原告2は婚姻後、現住所地に居住している。原告1は、地域の祭り等の行事の世話役、責任者としてコミュニティに関わり、伝統行事である小池の獅子踊りなどの伝統文化を継承することに尽力してきた。 イ判断原告1は、稲の作付はせずに荒廃を防ぐためだけに耕していること、自家用野菜を栽培しているがしばらく食べなかったこと、本件事故後、グラウンドに住宅が建築されたため平成30年まで運動会を開催できず、開催後も人が集まらなかったことを供述し、また、本件事故後も小池の獅子踊りは継続して行われたが将来的な担い手に不 安を感じることなどを供述する。このうち、伝統行事の担い手不足は本件事故当時もすでに生じていたことがうかがわれるが、原告1及び原告2が、避難生活終了後も、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。被告東電が、訴訟外で、原告1の長男の世帯について避難慰謝料を増額して賠償し、原告1に対し農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算 定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められ、慰 謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号2(世帯代表原告番号3)】ア認定事実証拠(甲D3、5)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号2(世帯代表原告番号3)】ア認定事実証拠(甲D3、5)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告3(65歳、無職)と原告4(60歳、無職)は夫婦であり、世帯番号3の世帯代表者である原告5は両名の長男である。 原告3は現住所で生まれ育ち、東京の大学を卒業後、教員になり福島県立高校に勤務し、平成18年3月に定年退職した。原告4も小学校教員であり、原告3と婚姻後、現住所で生活している。原告3は、農家生まれで、子供のころから農作業を手伝って いた。また、小池行政区の財産組合、農事組合、水田管理組合、森林組合、神社、寺等の世話人として多くの交流や関わりがあった。 イ判断原告3は、定年退職後、果実や野菜を減農薬有機栽培し、子や親戚、近隣住民に配っていたが、本件事故後、栽培できなくなったこと、地区の花見、盆踊り、運動会等 の交流がなくなったことなどを陳述しており、世帯番号2の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。被告東電が、訴訟外で、家庭菜園損害30万円を賠償していることを考慮しても、評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号3(世帯代表原告番号5)】ア認定事実証拠(甲D3、5、丙D5)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告5(34歳、公務員)と原告6(32歳、無職)は夫婦であり、原告7(3歳)、原告8(1歳)は両名の長女、二女である。原告5は、原告3の自宅で生まれ育ち、 東京の大学に進学後、相馬市役所に就職し、原告 4歳、公務員)と原告6(32歳、無職)は夫婦であり、原告7(3歳)、原告8(1歳)は両名の長女、二女である。原告5は、原告3の自宅で生まれ育ち、 東京の大学に進学後、相馬市役所に就職し、原告6と婚姻して相馬市内で生活してい たが、平成21年9月、原告3の自宅敷地内に自宅を新築して転居した。 イ判断原告5は、新築した自宅周りの川砂利とレンガを撤去し、杉林を伐採したことなどを陳述しており、原告5及び原告6が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料で は評価し尽くせない精神的損害があると認められる。同人らについて、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告7と原告8について、原告5は、本件事故前は原告7と原告8が祖父母(原告2及び原告3)の栽培する野菜や果物の収穫を楽しみにしていたが収穫できなくなったことなどを陳述するが、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額各120 万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号4(世帯代表原告番号9)】ア認定事実証拠(甲D9、丙D9)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告9(62歳、会社員)と原告10(61歳、無職)は夫婦であり、原告11被承継人(84歳、無職)は原告9の母である。原告11被承継人は、令和2年10月6日に死亡した。 原告9は鹿島区で生まれ育ち、就職して横浜で勤務したが、昭和49年に仙台勤務になったのを機に実家に戻り、原告10と婚姻した。 イ判断原告9は、山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、平成27年2月まで家庭菜園で野菜を栽 浜で勤務したが、昭和49年に仙台勤務になったのを機に実家に戻り、原告10と婚姻した。 イ判断原告9は、山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、平成27年2月まで家庭菜園で野菜を栽培することができなかったこと、避難のため家族全員が家を留守にしたためサツキの世話が思うようにできなかったこと、グラウンドに仮設住宅が建築されるなどして行政区の花見、運動会、盆踊りができず、役員会、総会などを行ってい た施設が避難所となり開催できなかったことなどを陳述しており、世帯番号4の原告 らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められ、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号5(世帯代表原告番号12)】 ア認定事実証拠(甲D12、丙D12)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告12(59歳、酪農業)、原告13(56歳、酪農業)は夫婦である。 原告12は現住所地で生まれ育ち、受け継いだ酪農を家族で営んでいた。原告13も鹿島出身である。 原告12は、橲原地区の山神社の氏子総代を務め、原告13とともに行政区の集会や地域の活動に積極的に参加していた。 イ判断原告12は、酪農業を平成23年5月に再開したものの牧草購入費用負担の経費が増え平成28年1月に廃業したこと、米の作付制限により水田をイノシシに荒らされ、 制限解除後も作付面積が減ったこと、畑の作物の放射線量を測定しなければならず本件事故後3年くらいは廃棄していたこと、山菜採りやキノコ採りができなくなったことなどを供述しており、世帯番号5の原告 制限解除後も作付面積が減ったこと、畑の作物の放射線量を測定しなければならず本件事故後3年くらいは廃棄していたこと、山菜採りやキノコ採りができなくなったことなどを供述しており、世帯番号5の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。 しかし、被告東電は、酪農業、農業の営業損害の賠償のほか、訴訟外のADR手続 において、原告12及び原告13にそれぞれ日常生活阻害慰謝料に加えて420万円の慰謝料を賠償する和解案に受諾して支払っており、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号6(世帯代表原告番号17)】ア認定事実 証拠(甲D17、丙D17、原告鎌田慶浩本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下 の事実が認められる。 原告17(37歳、会社員)と原告18(36歳、主婦)は夫婦であり、原告19(4歳)、原告20(1歳)は両名の長女、長男である。原告14(61歳、郵便局員・農業)、原告15(59歳、無職)は原告17の父、母である。 原告14と原告17は事故時住所地で生まれ育ち、受け継いだ農業を営んでいる。 原告14は平成18年から郵便局で勤務するようになり、原告17は仙台の大学を卒業して鋳物製造会社に勤務しながら農業を手伝っている。原告18は相馬出身である。 原告17ないし20は、原告18の実家に避難後、平成23年8月2日に事故時住所地に戻ったが、原告18の実家近くに家を建て、平成24年4月29日に転居した。 イ判断 原告14夫婦と原告17一家が別居し、原告19と原告20は月に1回程度原告14宅に泊まりに行くようになったことが認められるところ、原告17一家は平成23年8月ころに事故時住所地に戻っており、その後、原告18 夫婦と原告17一家が別居し、原告19と原告20は月に1回程度原告14宅に泊まりに行くようになったことが認められるところ、原告17一家は平成23年8月ころに事故時住所地に戻っており、その後、原告18の実家の近くに自宅を建築して原告14夫婦と別居するに至った経緯は不分明であるが、本件事故による避難指示を契機に別居に至ったということもできる。原告14、原告15、原告17及び 原告18が、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告19及び原告20については、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額各120万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきである とは認められない。 【世帯番号7(世帯代表原告番号16)】ア認定事実証拠(甲D16、丙D16)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告16(68歳、農業)は、東京都武蔵村山市に居住し、自然科学雑誌を出版す る株式会社社長に就任していたが、平成17年ころに病気を患って会社をやめ、病状 回復後、本格的に農業を行うため農地を探し、平成22年8月23日に鹿島区に土地を購入した。同年11月ころネギの栽培を始め、平成23年4月から稲作を予定し、武蔵村山の住居を引き払って妻とともに移住する予定だったが、本件事故後、営農の見通しが立たず、基本的に鹿島区で生活しながら東京に戻る生活を送っている。 イ判断 原告16は、鹿島で営農生活を送る計画が予定通りにいかなくなっており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛がある 東京に戻る生活を送っている。 イ判断 原告16は、鹿島で営農生活を送る計画が予定通りにいかなくなっており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛があると言いうる。しかし、その一方で、原告16は、本件地震時は鹿島にいたものの、3月21日には武蔵村山市の自宅に戻り、その後は避難生活とは評価し難い生活を送ったはずであるのに、訴訟外で包括慰謝料80万円の賠償を受け、さらに、避難のための 宿泊費として武蔵村山市の自宅賃料6か月分17万8800円の賠償を受けているところ、妻との移住計画がどこまで具体的に進行していたか不明であり、本件事故がなければ上記賃料が発生しなかったと認めるには合理的な疑いがある。さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号8(世帯代表原告番号21)】 ア認定事実証拠(甲D21、丙D21、原告●●●本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告21(72歳、農業)と原告22(73歳、農業)は夫婦であり、原告24(50歳、自営業)は両名の長男である。原告25(36歳、主婦)は原告24の妻、原 告26(5歳、幼稚園)は原告24と原告25の子である。原告23(91歳、無職)は原告21の母である。原告23は平成27年11月10日に死亡した。 原告21は農業を受け継ぎ、農業を営む傍ら、原町区でアルミ加工販売会社を経営していたが平成18年から農業に専念していた。20代のころからボランティア活動に参加し、平成7年から教育委員を務め、南相馬市が誕生した時は教育委員長だった。 原告24は、自宅でサプリメントと化粧品の販売代理店を営んでいた。 イ判断原告21は、全国から注文を受けて米を送り届けてきたが稲作の再開 市が誕生した時は教育委員長だった。 原告24は、自宅でサプリメントと化粧品の販売代理店を営んでいた。 イ判断原告21は、全国から注文を受けて米を送り届けてきたが稲作の再開を断念したこと、原告22との趣味である山歩き、所有する山での山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、原告23は本件事故後、家から出なくなったこと、原告25が原告26に地元の食材を食べさせなくなり、原告21夫婦と原告24一家が食事を別にする ようになったことなどを供述しており、原告21、原告22、原告23、原告24及び原告25が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害等を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められ、同人らに対し、慰謝料を各10万円増額するのが相当で あり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告26について、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額118万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号9(世帯代表原告番号27)】ア認定事実 証拠(甲D27、丙D27)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告27(47歳、会社員)と原告28(46歳、自営業)は夫婦であり、原告30(19歳、会社員)、原告29(15歳、中学3年生)は両名の長女、長男である。 みな鹿島で生まれ育ち、本件事故当時、原告27は縫製工場で勤務し、原告28は相馬市で居酒屋を経営し、原告30は火力発電所のメンテナンスの仕事をしていた。 イ判断原告27は、野菜やシイタケを自家栽培し、近隣の山で山菜や 時、原告27は縫製工場で勤務し、原告28は相馬市で居酒屋を経営し、原告30は火力発電所のメンテナンスの仕事をしていた。 イ判断原告27は、野菜やシイタケを自家栽培し、近隣の山で山菜やキノコを採取し、原告28が経営する居酒屋で提供するなどしていたが、本件事故後できなくなったこと、原告27と原告30の家の前に除染土仮置場があり不安を感じていることなど陳述しており、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると 認められる。原告27、原告28及び原告30に対し、慰謝料を各10万円増額する のが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告29について、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額118万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号10(世帯代表原告番号31)】ア認定事実 証拠(甲D31、丙D31、原告●●●本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告31(71歳、農業)は先祖から受け継いだ現住所地で生まれ育ち、農業を家業としている。40年ほど地方議員を務め、南海老行政区長及び鹿島区行政区長会会長を務めた。 イ判断原告31は、アイガモを利用して水田の除草を行う無農薬の米作りに取り組み、年々取引が増えていたが、顧客を失い再開できていないこと、山菜採りやキノコ採りができなくなったことなどを供述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。被告東電が、訴訟外 で、津波による影響を考慮せずに農業の営業損害を賠償していることを踏まえても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる たと認められる。被告東電が、訴訟外 で、津波による影響を考慮せずに農業の営業損害を賠償していることを踏まえても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号11(世帯代表原告番号32)】 ア認定事実証拠(甲D32、丙D32)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告32(41歳、会社員)と原告33(41歳、パート)は夫婦である。 原告34(19歳、アルバイト)と原告35(18歳、高校3年生)は原告33の子である。 原告32と原告33は平成18年に現住所地に自宅を新築し、本件事故当時、上記 4名で生活していた。原告32は、鹿島の出身であり、クレーンオペレーターとして南相馬市内の建設会社に勤務し、原告33は、両親(原告47、48)が営む会社で婦人服縫製業に従事していた。 イ判断原告33は近所の方や知人から山菜やキノコを分けてもらっていたができなくな ったこと、地元の食材、特に魚の購入をしなくなったこと、隣近所が同世代で一体感をもって活動していたが変わってしまったことなどを陳述しており、原告32、原告33及び原告34が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められ、慰謝料を各10万円増額するのが相当であ り、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告35について、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額114万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号12(世帯 るのが相当である。 原告35について、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額114万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号12(世帯代表原告番号36)】ア認定事実 証拠(甲D36、丙D36)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告36(40歳、会社員)と原告37(32歳、会社員)は夫婦であり、原告36は原告38被承継人の子である。 原告36は鹿島で生まれ育ち、原告37と婚姻後、平成21年に現住所地に自宅を建築した。原告36は相馬市内の航空宇宙関連部品の製造会社に勤務し、原告37は 介護福祉士であり、原町区内の老人福祉施設で稼働していた。 イ判断原告36は、原告37と共通の趣味である庭での野菜作りをし、平成21年に新築した自宅で家庭菜園を充実させようと思っていたが、家庭菜園を一切やめたことなどを陳述しており、世帯番号12の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの 平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では 評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号13(世帯代表原告番号38)】ア認定事実証拠(甲D36)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告38被承継人(本件事故時73歳、無職)は、原告36の母であり、本件事故当時、鹿島区横手で一人暮らしをしていた。原告38被承継人は平成30年7月2日に死亡した。 イ判断原告36は、近くに住む原告38被承継人を時折訪問して食事を一緒にするなどし ていたが、原告38被承継人が避難生活後に快活な性格が一 38被承継人は平成30年7月2日に死亡した。 イ判断原告36は、近くに住む原告38被承継人を時折訪問して食事を一緒にするなどし ていたが、原告38被承継人が避難生活後に快活な性格が一変したこと、原告37と共通の趣味である庭での家庭菜園を一切やめたことなどを陳述しており、原告38被承継人が、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号14(世帯代表原告番号39)】ア認定事実証拠(甲D39、丙D39)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告39(42歳、会社員)と原告40(41歳、パート)は夫婦であり、原告41(15歳、高校1年生)は両名の長男である。 原告39は鹿島で生まれ育ち、消波ブロックの型枠製造会社に勤務している。原告40は20歳ころに家族で南相馬市内に転居した。 イ判断原告39は、毎年楽しみにしていた山菜採り、干し柿づくりをやめたことなどを陳述しており、原告39及び原告40が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏 な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価 し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告41について、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額120万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号15(世帯代表原告番号42)】 ア認定事実証拠(甲D42、丙D42)及び弁論の全 20万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号15(世帯代表原告番号42)】 ア認定事実証拠(甲D42、丙D42)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告42(72歳、真野ダム用務員)と原告43(67歳、主婦)は夫婦である。 原告42は原町の出身で20歳過ぎに鹿島に定住した。原告43は小高出身である。 原告42の自宅敷地内には、長男が自宅を建築して妻と二人の子と生活しており、 原告42は三世代で食卓を囲んでいたが、本件事故後、長男の妻は放射性物質の影響を気にして子と福島市に生活するようになり、その後長男夫妻は離婚した。 イ判断原告42は、毎週行っていた魚釣りができなくなったこと、夫婦で楽しんでいた山菜採り、キノコ採りができなくなったことのほか、毎日食卓を囲んでいた孫が生活か ら欠けた寂しさを陳述するところ、本件事故と別居との間に相当因果関係があるとは認められないが、本件事故時において長男一家と食事をともにする生活が続くことを期待していたことに客観性が認められないとはいえず、本件事故による避難指示を契機に別居に至ったことで、世帯番号15の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。算定済みの日常生活阻害慰謝料では評 価し尽くせない精神的損害があると認められ、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号16(世帯代表原告番号44)】ア認定事実証拠(甲D44、丙D44)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告44(69歳、無職)と原告46(65歳、無職)は夫婦であり、原告45(3 7歳、無職)は両名の長女で 証拠(甲D44、丙D44)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告44(69歳、無職)と原告46(65歳、無職)は夫婦であり、原告45(3 7歳、無職)は両名の長女である。原告44と原告46は鹿島で生まれ育ち、両名とも婦人靴メーカに定年まで勤務した。原告45は20歳ころ就職したが、退職して自宅にこもる生活が続いている。 イ判断原告44は、趣味である庭木の手入れを2、3回は業者に頼んだこと、ウォーキン グ時などに不安を感じることを陳述し、世帯番号16の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号17(世帯代表原告番号47)】 ア認定事実証拠(甲D47、丙D47)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告47(60歳、会社員)と原告48(67歳、会社員)は夫婦である。 原告47は相馬市出身であり、モーターのメンテナンスを行う会社に勤務していた。 原告48は鹿島出身であり、原告47の名で婦人服縫製業を営んでいた。原告33は 両名の二女である。 両名が営んでいた婦人縫製業は本件事故の約1年半後に廃業した。 イ判断原告47は、自家用野菜を栽培していたがやめたことなどを陳述しており、世帯番号17の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持で きず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 で きず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号18(世帯代表原告番号49)】ア認定事実 証拠(甲D49)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告49(70歳、無職)は、現住所地で生まれ育った。 長男と機械加工業を営み、二男と生活している。 イ判断原告49は、長男に事業を引き継ぎ、機械加工や溶接の仕事を徐々に減らして趣味の山菜採り、魚釣り、シジミ採りを楽しむ割合を増やそうと考えていたが、本件事故 後、再開しておらず、釣り場やシジミ採りで顔を合わせる常連たちと会話を交わす機会もなくなったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号19(世帯代表原告番号50)】ア認定事実証拠(甲D50)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告50(57歳、内職)は縫製の内職をしていた。飯舘村出身であり、婚姻後、鹿島に転居した。原告51(14歳、中学2年生)は同人の長男である。 イ判断原告50は、趣味の家庭菜園をしばらく再開せず、山菜採りやキノコ採りができなくなったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。同人について、慰謝料を10万円増額 り、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。同人について、慰謝料を10万円増額する のが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 原告51について、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額118万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号20(世帯代表原告番号53)】ア認定事実 証拠(甲D53、丙D53)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告53(57歳、公務員)と原告55(57歳、主婦)は夫婦であり、原告52(33歳、会社員)、原告54(30歳、会社員)、原告56(28歳、会社員)は両名の長男、二男、三男である。 原告53は鹿島で生まれ、4歳のときに新地村に転居したが、高校2年のときに戻り、以降鹿島に居住している。原告55は相馬出身である。原告52は原町の機械部 品などの製造会社に、原告54は原町の印刷会社に、原告56は鹿島の通信関連会社に勤務していた。 イ判断原告53は、原告55と近くの山で山菜採りやキノコ採りをしていたができなくなったこと、家族の趣味であるシジミ採りやバス釣りができなくなったことなどを陳述 しており、世帯番号20の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号21(世帯代表原告番号57)】 ア認定事実証拠(甲D57、丙D57)及び弁論の全 る。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号21(世帯代表原告番号57)】 ア認定事実証拠(甲D57、丙D57)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告57(69歳、旅館業)と原告58(68歳、旅館業)は夫婦である。 原告57は鹿島で生まれ育ち、親から受け継いだ旅館と居酒屋を経営していた。原告58は原町出身で、昭和42年の婚姻後、鹿島に居住している。 イ判断原告57は、採取した山菜や地元産の魚介、米などの食材や郷土料理を客に提供できなかったこと、10軒が所属する隣組に小学生がおらず、三世代交流を目的とするパークゴルフ大会が令和元年ころまで再開されていなかったことなどを陳述しており、世帯番号21の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生 活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせ ない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号22(世帯代表原告番号59)】ア認定事実証拠(甲D59、丙D59)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告59(63歳、無職)と原告60(58歳、介護職員)は夫婦である。 原告59は鹿島で生まれ育った。原告59は半導体部品の設計製造販売会社に勤務し、平成17年に退職した。原告60は婚姻後鹿島に居住し、介護職に従事していた。 イ判断原告59は、地元産の食料品や水道水を利用しなくなったことと、参加している災 害ボランティアで行った側溝の清掃時に高い線量が計測されたことなどを陳述し、世帯番号22の原告らが、環境が変化したことにより従 、地元産の食料品や水道水を利用しなくなったことと、参加している災 害ボランティアで行った側溝の清掃時に高い線量が計測されたことなどを陳述し、世帯番号22の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号23(世帯代表原告番号61)】ア認定事実証拠(甲D61、丙D61)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告61(73歳、地元農産物直売所職員)と原告62(72歳、無職)は夫婦である。原告61は24歳頃から鹿島に居住し、原告62は鹿島出身である。 イ判断原告61は、山菜採り、キノコ採りに行くことができなくなり近所の人との交流の機会が失われたことなどを陳述しており、世帯番号23の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相 当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号24(世帯代表原告番号63)】ア認定事実証拠(甲D63)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告63(83歳、無職)と原告64(80、無職)は夫婦である。 原告64は小学1年生のときに鹿島に転居し、以降鹿島に居住している。原告63 は、昭和33年から鹿島町に勤務して都市計画などに従事して平成元年に退職し、民間建設会社に勤めたのち平成19年に退職した。 イ判断原告63は、真野ダムを水源とする水道水は不安が拭えないとして は、昭和33年から鹿島町に勤務して都市計画などに従事して平成元年に退職し、民間建設会社に勤めたのち平成19年に退職した。 イ判断原告63は、真野ダムを水源とする水道水は不安が拭えないとして平成25年まではペットボトルの水を飲んでいた等と陳述し、世帯番号24の原告らが、従前どおり の平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号25(世帯代表原告番号65)】ア認定事実 証拠(甲D65、丙D65)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告65(70歳、農業)と原告66(68歳、農業)は夫婦である。原告67(45歳、消防隊員)は両名の長男であり、原告68(43歳、看護師)は長男の妻、原告69(17歳、高校2年生)、原告70(15歳、中学3年生)、原告71(8歳、小学2年生)は、原告67と原告68の子である。 原告65は鹿島区南右田で1町6反の田を持ち、代々農業を営んでおり、地方議員を務めた。原告66も鹿島出身である。 原告65の自宅は海岸線から1kmのところにあって本件津波に流され、その後、災害危険区域に指定された。 イ判断 原告65は、原告67を除く家族で米沢市に避難し、平成23年12月に鹿島に戻 ったものの、平成26年3月に鹿島区内に家を建築するまで7人で同居できなかったことを陳述するところ、自宅所在地が災害危険区域に指定されたことにより転居はやむを得なかったことを考慮しても、自宅再建までに3年を要したのには本件事故の影響が大きいと認められ、原告65、原告66、原告67及び原告68には、従前どお 災害危険区域に指定されたことにより転居はやむを得なかったことを考慮しても、自宅再建までに3年を要したのには本件事故の影響が大きいと認められ、原告65、原告66、原告67及び原告68には、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料 では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告69、原告70及び原告71については、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額各122万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号26(世帯代表原告番号72)ア認定事実証拠(甲D72、丙D72)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告72(66歳、自営業)と原告73(63歳、自営専従者)は夫婦である。 原告72は、アイスキャンディーや牛乳の卸売、小売を業としていた。本件事故後、 平成23年秋ころから事業が成り立つようになったが、事故前の3分の1程度の売り上げにとどまっている。 イ判断原告72は、本件事故後、平成23年秋ころから事業が成り立つようになったが、事故前の3分の1程度の売り上げにとどまっていると陳述するところ、鹿島区内鹿島 地区の子供の数が大きく減少したとは認められず(前記第3の1⑴ウ)、本件事故との間に相当因果関係を認めるには困難があるが、毎年お盆には孫を連れて帰省していた子供たちに、帰省を誘いづらくなり、子供たちも用事がない限り帰省しなくなってしまったとも陳述しており、世帯番号26の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせ ない も用事がない限り帰省しなくなってしまったとも陳述しており、世帯番号26の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせ ない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、 弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号27(世帯代表原告番号74)】ア認定事実証拠(甲D74)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告74(77歳、自営業)は浪江町出身であり、昭和28年に鹿島出身の夫(平 成19年死亡)と婚姻し、昭和35年ころから現住所地で夫と写真館を経営してきた。 原告75(51歳、自営業)は、同人の二男であり、東京の大学を卒業後、昭和50年後半に鹿島に戻り、写真館の経営に加わっている。 本件地震により自宅兼店舗が損壊したため、建て替えた上で、平成26年3月から事業を再開した。 イ判断原告74は、車で行く距離にスーパーはあるものの徒歩で買い物に行くことが難しくなったことなどを陳述しており、世帯番号27の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。被告東電が、訴訟外で、原告74に対し、自宅兼店舗が地震により建替えを要する状態となったことを考慮せずに 営業損害を賠償していることを踏まえても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせず、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号28(世帯代表原告番号76)】ア認定事実 証拠(甲D76、丙D76)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告76(59歳、看護師)は鹿島で生まれ、高校卒業後、埼玉県の看護学校に通い、同県内 )】ア認定事実 証拠(甲D76、丙D76)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告76(59歳、看護師)は鹿島で生まれ、高校卒業後、埼玉県の看護学校に通い、同県内で就職したが、昭和52年に鹿島に転居した。 イ判断原告76は、同居していた母(平成29年5月31日死亡)が近隣の人と家庭菜園 の野菜を交換していたため、野菜をもらっても廃棄することがあり心が痛んだこと、 習い事が数年間中断し再開後も受講者が減ったことなどを陳述しており、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号29(世帯代表原告番号77)】 ア認定事実証拠(甲D77、丙D77)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告77(61歳、無職)は、夫(平成27年6月2日死亡)と婚姻して鹿島に転居した。夫は、鹿島の出身で、自動車タイヤ販売業を営んでいた。 原告78(28歳、フリーター)は同人の二男である。東京で就職したが平成20 年に勤務先が倒産し、鹿島に戻っていた。 イ判断原告77は、夫と家庭菜園で自家用野菜を栽培していたが、平成24年と平成25年は放射線量の測定だけして食べなかったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの 日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。世帯番号29の原告らに対し、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号30(世帯代表原告番 では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。世帯番号29の原告らに対し、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号30(世帯代表原告番号80)】ア認定事実 証拠(甲D80、丙D80)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告80(60歳、農業)と原告81(62歳、解体工、農業)は夫婦である。原告81は現住所地で生まれ育ち、稲作をしながら自動車解体工を営んでいた。原告80は原町出身であり、平成18年ころまで会社勤めもしていた。 イ判断 原告80は、原告81が本件事故前から少しうつ症状があり心療内科に通院してい たものの、仕事はしていたが、本件事故後、体調が悪化し、稲作もできなくなったこと、近隣の田畑が荒れ散歩するにも歩きづらく景観も損なったこととなどを陳述しており、世帯番号30の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、 弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号31(世帯代表原告番号84)】ア認定事実証拠(甲D84)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告83被承継人(56歳、会社員)と原告84(58歳、主婦)は夫婦であり、 原告85(82歳、無職)は原告83被承継人の母である。原告83被承継人は、令和2年4月9日に死亡した。 原告83被承継人は現住所地で生まれ育ち、建設会社に勤務して主に土木関係の運搬業務に従事していた。原告84は保険外交員をしていた。 イ判断 原告84は、退職後は庭の手入れをして過ごし 原告83被承継人は現住所地で生まれ育ち、建設会社に勤務して主に土木関係の運搬業務に従事していた。原告84は保険外交員をしていた。 イ判断 原告84は、退職後は庭の手入れをして過ごしていたが除染時に緑が失われたこと、本件事故前は原告85が家庭菜園をしており、本件事故後も同人の希望でジャガイモを栽培したが食べずに処分していたこと、避難中に原告85に認知症の症状が現れたこととなどを陳述しており、世帯番号31の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害 慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号32(世帯代表原告番号86)】ア認定事実証拠(甲D86、丙D86)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告86(50歳、自営業)と原告87(54歳、自営専従者)は夫婦であり、原 告88(23歳、会社員)、原告89(二男、高校2年生)は両名の長男、二男である。 原告86は現住所で生まれ育ち、鹿島や原町の縫製工場に勤務していたが、平成12年ころ勤務先が倒産し、その後、縫製業を自営している。 イ判断原告86は、週末に家族で山や川に行き、魚釣りをしたり山菜採りをしたりしてい たができなくなり、数少ないコミュニケーションの機会を失ったこと、野生のものを食べることができなくなったことなどを陳述しており、原告86、原告87及び原告88が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するの 88が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円 とするのが相当である。 原告89については、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額120万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号33(世帯代表原告番号90)】 ア認定事実証拠(甲D90、丙D90)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告90(66歳、農業)と原告91(65歳、農業)は夫婦である。 原告90は現住所地で生まれ育ち、農業を受け継いだ。原告91も鹿島出身である。 イ判断 原告90は、将来的には農地を少し整理したほうがよいと考えていたが、本件事故により農業を縮小せざるを得なくなり、地域の農家が減ったことも悔しい気持ちを抱いていること、年1回のパークゴルフ大会が平成30年まで開催できなかったことなどを陳述しており、世帯番号33の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料で は評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するの が相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号35(世帯代表原告番号94)】ア認定事実証拠(甲D94、丙D94)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告94(66歳、自営業)は、秋田県出身であり、昭和45年に婚姻して妻の実 家である現住所地に転居した。本件事故時、夫婦で焼き鳥店を経営し、同居する長女が店を手伝 、以下の事実が認められる。 原告94(66歳、自営業)は、秋田県出身であり、昭和45年に婚姻して妻の実 家である現住所地に転居した。本件事故時、夫婦で焼き鳥店を経営し、同居する長女が店を手伝っていた。 イ判断原告94は、畑で野菜を作れず仕入れるようになったこと、本件事故時は長女とその子と同居していたが、両名が、本件事故後、離れて暮らすことになったことなどを 陳述しており、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号36(世帯代表原告番号95)】ア認定事実 証拠(甲D95、丙D95)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告95(66歳、自営業)は鹿島で生まれ育ち、内装業や木造家屋建設などを営んでいたが、本件事故時は主に露天商により収入を得ていた。 イ判断原告95は、山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、母が委託して耕作して いた田は、平成26年まで耕作をせず、米を購入しなければならなかったことなどを陳述しており、被告東電が、訴訟外で、事故前収入より高額の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号37(世帯代表原告番号96)】 ア認定事実証拠(甲D96、丙D96)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告96(62歳、農業)と原告97(57歳、公務員)は夫婦である。 原告96は、農家に生まれ、 ア認定事実証拠(甲D96、丙D96)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告96(62歳、農業)と原告97(57歳、公務員)は夫婦である。 原告96は、農家に生まれ、46歳までは鹿島町役場で働きながら農業を営んでいた。原告97も鹿島出身であり、鹿島区役所に勤務していた。 イ判断原告96は、山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、アユを代表する川の恵みを享受できなくなったこと、代々受け継いできた田に作付する米も飼料米に変わったことなどを陳述しており、世帯番号37の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害 慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号38(世帯代表原告番号98)】ア認定事実証拠(甲D98、丙D98)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告98(66歳、自営業)は鹿島で生まれ育ち、養親の雑貨屋を受け継いだ。 原告99(37歳、会社員)は同人の長男であり、原町の会社に勤め、清掃、消毒、害虫駆除などの特殊清掃業務に従事している。 イ判断原告98は、子供の人数が激減し、収入が激減したと陳述するものの、近くの上真 野小学校の児童数が減少したとは認められないが(前記第3の1⑴ウ)、庭で長年育てた樹木や草花を除染のため伐採したことなどを陳述しており、世帯番号38の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。 被告東電は、訴訟外で、事業の営業損害を過大に賠償していると主張するものの、賠償額の算定過程は不明であり、虚偽申告があるなどの事 従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。 被告東電は、訴訟外で、事業の営業損害を過大に賠償していると主張するものの、賠償額の算定過程は不明であり、虚偽申告があるなどの事情は認められず、算定済みの 日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。同人らに 対し、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号39(世帯代表原告番号100)】ア認定事実証拠(甲D100、丙D100)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告100(58歳、会社員)と原告101(52歳、パート)は夫婦であり、原告102(21歳、大学生)、原告103(20歳、専門学校生)は両名の長女、次女である。 原告100は相馬市に生まれ、婚姻後、現住所地に転居し、薬品タンクの製作に従 事していた。原告101は、現住所地で生まれ育った。原告102は、本件事故当時、いわき市に住み、同市内の大学に通学していたが、本件事故時は原告100の自宅におり、平成23年5月4日まで同所に滞在した。 イ判断原告100は、所有する田畑で収穫したコメや野菜を食べていたが購入するように なったこと、山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、居久根を伐採せざるを得なかったこと、庭の花や景色を楽しんでいたが除染により景色が変わったこと、原告103が内定していたクリニックが閉院して解雇されたことなどを陳述しており、原告100、原告101及び原告103が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評 価し尽くせない精神的損害があると認められる。原告100、原告101及び原告1 境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評 価し尽くせない精神的損害があると認められる。原告100、原告101及び原告103に対し、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告102は、本件事故当時、大学通学のためにいわき市内で一人暮らしをしていたもので、本件事故時は実家である原告101らの居宅に帰省していたことを考慮し ても、同年5月4日にいわき市に戻った後の生活が避難生活であるとは認められない。 被告東電が同人に対し避難に係る精神的損害を賠償する義務があるとは認められないが、被告東電は訴訟外で同人に対し包括慰謝料として70万円を支払っており、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号40(世帯代表原告番号104)】ア認定事実 証拠(甲D104)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告104(72歳、無職)は原町出身であり、東京で就職していたが、夫(平成23年8月28日死亡)が体調を崩し、本件事故の20年ほど前に夫の実家である鹿島に転居し、夫婦で就業した後、年金で生活していた。 イ判断 原告104は、本件事故前は部落の運動会や盆踊りなどの行事によく行き、楽しんでいたが、本件事故後、仮設住宅や宿泊施設が建築されたためしばらく開催できず、がんで闘病中の夫の最後の生活が避難生活により奪われたことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認め られる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認め られる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号41(世帯代表原告番号105)】ア認定事実証拠(甲D105)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告105(78歳、農業)と原告106被承継人(74歳、農業)は夫婦である。 原告105は鹿島で生まれ育ち、農業を受け継ぎ、市議会議員を務めた。原告106被承継人は平成29年9月26日に死亡した。 イ判断原告105は、300年続いた四匹獅子舞を引継ぐ若者がいないと陳述するところ、 小学6年くらいの子に伝承すべきことが事故時にできていなかったのであるから、伝 統行事の担い手不足は本件事故当時すでに生じていたことがうかがわれる。しかし、同人は、原告106被承継人と稲作、野菜作りに誇りを持っていたが、農作物が深刻な風評被害を受けて誇りを傷つけられたこと、野菜を栽培しても放射線量が高く食べられなかったことなどを陳述しており、世帯番号41の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日 常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号42(世帯代表原告番号107)】ア認定事実証拠(甲D109、丙D107)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告107被承継人(76歳、農業)と原告108(73歳、農業)は夫婦であり、原告109被承継人(52歳、自営業)は両名の子である。原告110(2 全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告107被承継人(76歳、農業)と原告108(73歳、農業)は夫婦であり、原告109被承継人(52歳、自営業)は両名の子である。原告110(29歳、会社員)は原告109被承継人の長男である。原告107被承継人は平成30年11月20日、原告109被承継人は令和4年1月17日に死亡した。 原告107被承継人と原告108は専業農家であり、原告109被承継人は土砂運搬などを業としながら休日に農業を手伝っていた。原告110は、相馬市の会社に勤務している。 イ判断原告109被承継人は、原告107被承継人と原告108が本件事故後は食用米を 作らず飼料米のみ作るようになり、米を購入するようになったこと、近くの山での山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、原告110も趣味の海釣りができなくなったことなどを陳述しており、世帯番号42の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料で は評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するの が相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号43(世帯代表原告番号115)】ア認定事実証拠(甲D115、丙D115)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告115(62歳、無職)と原告116(58歳、無職)は夫婦であり、原告117(81歳、無職)は原告116の母である。 原告115は秋田県大仙市出身であるが、大学進学時に福島県に転居し、福島県の高校の教員となり、原告116と婚姻後、原告116の実家である本件事故時住所地 17(81歳、無職)は原告116の母である。 原告115は秋田県大仙市出身であるが、大学進学時に福島県に転居し、福島県の高校の教員となり、原告116と婚姻後、原告116の実家である本件事故時住所地に転居した。 原告115の自宅は、津波により半壊し、1階の柱が押しつぶされ、2階部分が落下した。 イ判断原告115は、平成23年3月30日に津波により半壊した自宅を自衛隊が取り壊し、ピアノ等楽器類や家具が棄損されて損害を受けたと陳述するが、半壊した自宅か ら家財を搬出して保管することが容易な状況であったとは認められず、避難していなければ運び出せたことが確実であるとは認められないから、上記財物の棄損が本件事故と相当因果関係があるとは認め難い。また、原告115は、防災集団移転促進事業の一環で土地を売却して郡山市に転居しており、本件事故がなくとも転居せざるをえなかったことが認められる。 しかし、世帯番号43の原告らが鹿島区外に転居することになったのは本件事故に一因があり、原告115が、鹿島区にある近くの山々に山菜やキノコを採りに行ったり、海や川に釣りに行ったりすることができないと陳述しており、世帯番号43の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各 10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号44(世帯代表原告番号118)】ア認定事実証拠(甲D118)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告118(83歳、主婦)は、原町にある病院勤務を定年退職後、宮司を務める夫(平成24年10月31日死亡)を手伝っていた。夫は、平成20年12 )及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告118(83歳、主婦)は、原町にある病院勤務を定年退職後、宮司を務める夫(平成24年10月31日死亡)を手伝っていた。夫は、平成20年12月以降、 頚髄損傷により原町にある渡辺病院に入院していた。 イ判断原告118は、家庭菜園や自宅の竹林のタケノコ取りをやめてしまったと陳述しており、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10 万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号45(世帯代表原告番号119)】ア認定事実証拠(甲D119、丙D119)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告119(74歳、農業)と原告120(76歳、農業)は夫婦である。 原告119は鹿島で生まれ育ち、先祖から受け継いだ水田や畑を所有し、農業を営んでいた。 イ判断原告119は、畑の放射線量が高かったため栽培をやめ、除染完了後は生産意欲が 減退して家庭菜園程度に栽培するだけになったこと、本件事故前に夫婦でよく参加していた老人クラブの活動が本件事故後はほとんどなくなり、回復してきてはいるものの参加人数が少なくなったこと、近くの山での山菜採りやキノコ採りができなくなったことなどを陳述しており、世帯番号45の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、 農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料で は評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各 農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料で は評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号46(世帯代表原告番号121)】ア認定事実証拠(甲D121)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告121(57歳、建築業)と原告122(55歳、呉服販売)は夫婦であり、原告125(22歳、南相馬市契約職員)は両名の二女である。原告123(83歳、農業)、原告124被承継人(82歳、農業)は、原告122の父、母である。原告124被承継人は、平成28年3月20日に死亡した。 原告121は、原告122と婚姻した昭和55年以降、原告122の実家に居住し ている。原告123は田畑・山林を所有しており、原告123と原告124被承継人が主に野菜や花を栽培して出荷し、自家用の米を作るのを、原告121と原告122が手伝っている。 イ判断原告121は、本件事故後、除染作業を行うまで3年程度、野菜を栽培せず、また、 自宅敷地内に生えるタケノコを食べられなくなったこと、山林の薪を使った薪ストーブを使えなくなったことなどを陳述しており、世帯番号46の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当であ る。 【世帯番号47(世帯代表原告番号126)】ア認定事実証拠(甲D126、丙D126)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告126(62歳 相当であ る。 【世帯番号47(世帯代表原告番号126)】ア認定事実証拠(甲D126、丙D126)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告126(62歳、相馬市教育研究実践センター所長、農業)と原告127(6 0歳、教諭)は夫婦である。昭和52年から現住所地に居住し、受け継いだ田で稲作をしている。 イ判断原告126は、本件事故後3年間、放射線量が高かったため家庭菜園で野菜を栽培しなかったこと、近くの山での山菜採りに行けないことなどを陳述しており、世帯番 号47の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号48(世帯代表原告番号129)】 ア認定事実証拠(甲D129、丙D129)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告129(70歳、無職)と原告130(68歳、無職)は夫婦である。 原告129は、鹿島で生まれ育ち、福島県に就職した。昭和42年に原告130と 婚姻し、転勤のため県内を数回転居したが、平成3年4月ころから現住所に居住し、平成18年3月に定年退職した。 イ判断原告129は、近くの山で山歩き、山菜採りをし、自宅のそばの畑で野菜作りをしていたが、山歩きと山菜採りはしなくなったこと、原告130は、グランドゴルフや 野菜作りをしていたところ、本件事故後しばらくグランドゴルフはできなかったこと、本件事故前は、地区で、毎年、神楽が各戸を回る行事が行われていたが、本件事故後に担い手の若年層が30人から15人に減 野菜作りをしていたところ、本件事故後しばらくグランドゴルフはできなかったこと、本件事故前は、地区で、毎年、神楽が各戸を回る行事が行われていたが、本件事故後に担い手の若年層が30人から15人に減り、公会堂での一括開催に変わったことなどを陳述しており、世帯番号48の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料で は評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するの が相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号49(世帯代表原告番号133)】ア認定事実証拠(甲D133、丙D132)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告132(59歳、会社員)と原告133(59歳、主婦)は夫婦であり、原告134(79歳、主婦)は原告132の母である。 原告132は鹿島の出身であり、建設会社に勤務しており、原告133は昭和41年に原告132と婚姻後、本件住所地に居住している。原告132は田畑を所有し、田では同人の弟が稲作をし、畑で野菜を栽培していた。 イ判断原告133は、原告132がパークゴルフやグランドゴルフに参加していたが本件事故後4、5年間は再開しなかったこと、本件事故後、原告132の弟が稲作をやめ、4、5年間は畑で野菜を作らず、米や野菜を買うようになったことなどを陳述しており、世帯番号49の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生 活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり 痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号50(世帯代表原告番号135)】 ア認定事実証拠(甲D135、丙D135)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告135(62歳、無職)と原告137(57歳、主婦)は夫婦であり、原告136(34歳、会社員)は両名の長男である。 原告135は現住所地で生まれ育ち、東京都内で就職した後、昭和45年に鹿島に 転勤して現住所地に戻り、平成22年3月に退職し、本件事故時は御山の行政区長代理を務めていた。原告137は原町の出身であり、昭和48年の原告135との婚姻後、現住所地に居住している。 原告136は現住所地で生まれ育ち、相馬市内の土木・建設会社に勤務し、本件事故時、原告135宅で妻、子2人と同居していた。 イ判断原告135は、平成27年ころまで家庭菜園を再開しなかったこと、山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、地区行事であるパークゴルフやグランドゴルフを平成28年ころまで再開できなかったことなどを陳述しており、世帯番号50の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛 を受け、被告東電が、訴訟外で、生活費増額分を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。 慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号51(世帯代表原告番号138)】 ア認定事実証拠(甲D13 損害があると認められる。 慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号51(世帯代表原告番号138)】 ア認定事実証拠(甲D138)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告138被承継人(72歳、農業)は、婚姻後、鹿島に居住し、長女夫妻、長女夫妻の長女、長女夫妻の長男夫妻とその子の4世代で暮らしていた。原告138被承継人は、平成29年12月21日に死亡した。 イ判断原告138は、原告138被承継人が、畑で自家用野菜やしいたけを栽培し、趣味でパークゴルフをし、山菜採りをしていたが、本件事故後、平成26年ころまで野菜の栽培をせず、しいたけ栽培や山菜採りとパークゴルフもできなくなったことなどを陳述しており、原告138被承継人が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏 な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価 し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号52(世帯代表原告番号139)】ア認定事実証拠(甲D139、丙D139)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告139(49歳、農業・土木業)は、現住所地で生まれ育った。建設会社で土木作業に従事するかたわら、稲作をしていた。 本件津波により自宅は床上まで浸水し、田も浸水した。 イ判断 原告139は、近くの山でキノコ採りや海での釣りができなくなったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害が りや海での釣りができなくなったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。 その一方で、原告139は、3月25日ころには自宅に戻っているにもかかわらず、 直接請求手続において、5月以降も親戚宅での避難を続けているとして、避難費用30万円の追加支払を受けており、事実に反する申告をして過大な賠償金を受領している。同人に対しさらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号53(世帯代表原告番号141)】ア認定事実 証拠(甲D144、丙D141)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告141(71歳、農業)と原告144(67歳、農業)は夫婦であり、原告142(33歳、会社員)は両名の二男である。原告140(83歳、農業)、原告143(85歳、農業)は、原告141の母、父である。 原告140、141、143及び144は、米とたばこの農家を営み、原告142 は相馬市の工場に務めていた。 イ判断原告144は、本件事故後の作付制限が契機となって稲作と葉たばこの栽培をやめたこと、本件事故後3年は自家用野菜を栽培する畑の面積を半分程度にしたこと、遠隔地に住む子に野菜を送らなくなったこと、キノコ採りや山菜採りができなくなった ことなどを陳述しており、世帯番号53の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号54(世帯代表原告番号 定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号54(世帯代表原告番号145)】 ア認定事実証拠(甲D145、丙D145)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告145(75歳、農業)と原告146(73歳、主婦)は夫婦である。 原告145と146は鹿島で生まれ育った。原告145は小学校教員であったが、 本件事故時にはすでに定年退職していた。 イ判断原告145は、平成27年ころまで野菜を栽培しなかったこと、自宅周囲の居久根を全て切らなければならず、しいたけ栽培もできなくなったこと、キノコ採りや山菜採りもできなくなったことなどを陳述しており、世帯番号54の原告らが、環境が変 化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号55(世帯代表原告番号147)】 ア認定事実 証拠(甲D147、丙D147)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告147(66歳、ヘルパー)は、鹿島区で生まれ、婚姻後東京で暮らしたが、40年ほど前に子を連れて鹿島に戻った。 イ判断 原告147は、近くの山で山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、川でシジミ採りができなくなったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの 近くの山で山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、川でシジミ採りができなくなったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号56(世帯代表原告番号149)】ア認定事実証拠(甲D149、丙D149)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告149(60歳、診療放射線技師)と原告150(56歳、看護師)は夫婦で あり、原告151(28歳、整体師)、原告152(23歳、介護職員)は両名の長男、三男である。 原告149は鹿島で生まれ育ち、診療放射線技師になって東京で就職したが、昭和57年に妻である原告150とともに鹿島の実家に戻った。原告149は、所有する田で稲作をし、畑で野菜を栽培していた。 イ判断原告149は、本件事故を契機に稲作と野菜栽培をやめたこと、近くの山での山菜採りができなくなったこと、原告151及び原告152が近くの川や海での釣りができなくなったこと、行政区の野球チームが本件事故後数年間解散し、ソフトボールチームは再開できていないことなどを陳述しており、世帯番号56の原告らが、環境が 変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被 告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号57(世帯代表原告番号153)】ア 阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号57(世帯代表原告番号153)】ア認定事実 証拠(甲D153、丙D153)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告153(64歳、専業農家)と原告154被承継人(65歳、専業農家)は夫婦である。原告155被承継人(82歳、専業農家)は原告153の母である。原告154被承継人は平成28年7月7日、原告155被承継人は同月11日に死亡した。 原告153と155被承継人は鹿島で生まれ育った。原告154被承継人は昭和47年に原告153と婚姻して鹿島に居住した。原告153はプロパンガス製造所に、原告154被承継人は相馬市内の商工会議所に勤務して養蚕と稲作に従事していたが、本件事故時までに定年退職し、農業に専念していた。 イ判断 原告153は、田の作付が制限され、制限解除後も飼料米に切り替えたこと、家族で仕事や農作業の合間に近くの山で山菜採りやキノコ採りをしていたが、本件事故後できなくなったことを陳述しており、世帯番号57の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害 慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号58(世帯代表原告番号156)】ア認定事実証拠(甲D156、丙D156)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告156(41歳、会社員)と原告157 帯番号58(世帯代表原告番号156)】ア認定事実証拠(甲D156、丙D156)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告156(41歳、会社員)と原告157(37歳、会社員)は夫婦であり、原告158(13歳、中学1年生)、原告159(3歳)は両名の長女、長男であり、原告160(69歳、無職)は原告156の母である。 原告157は原町出身であり、夫である原告156は鹿島で生まれ育ち、両名の子も鹿島で生まれ育った。原告156は建設会社に、原告157は燃料を扱う会社に勤 務していた。 イ判断原告157は、家族で海や山が近くにある生活に親しんでいたが、本件事故後、外で遊ぶことはなくなり、原告160は月に1回は山歩きをし、野菜を自家栽培していたが、本件事故後5年間ほど自家栽培せず、半分ほどの畑しか再開できていないこと などを陳述しており、原告156、原告157及び原告160が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告158及び原告159については、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、 総額120万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号59(世帯代表原告番号161)】ア認定事実証拠(甲D161、丙D161)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告161(52歳、会社員)は鹿島で生まれ育ち、造園業を営む会社で庭木の剪定などをしていた。原告162(75歳、無職)は原告161の母である。 イ 旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告161(52歳、会社員)は鹿島で生まれ育ち、造園業を営む会社で庭木の剪定などをしていた。原告162(75歳、無職)は原告161の母である。 イ判断原告161は、近くの山で山菜採りやキノコ採りをしたり、シイタケなどの原木栽 培をしたりしていたが本件事故後できなくなったこと、原告162が、自家用野菜を 栽培しなくなったことなどを陳述しており、世帯番号59の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号60(世帯代表原告番号163)】 ア認定事実証拠(甲D163、丙D163)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告163(48歳、自営業(釣具店))と原告164被承継人(48歳、主婦)は夫婦であり、原告165(26歳、自営業従業員)、原告166(25歳、自営業従業 員)は両名の長男、二男である。原告164被承継人は令和元年11月24日に死亡した。 原告163は相馬市で生まれ、昭和58年に鹿島出身の原告164被承継人と婚姻して鹿島に転居し、家族で釣具店を経営していた。 イ判断 原告163は、釣り客が減ったこと、真野川の汚染への不安などを陳述しており、被告東電が、訴訟外で、世帯番号60の原告らが家族で経営する釣具店の営業損害について、津波による影響を考慮せずに将来分まで賠償していることを考慮しても、世帯番号60の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常 について、津波による影響を考慮せずに将来分まで賠償していることを考慮しても、世帯番号60の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精 神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号61(世帯代表原告番号169)】ア認定事実証拠(甲D169、丙D169)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告169(69歳、農業)と原告170(63歳、主婦)は夫婦であり、原告171(39歳、会社員)は両名の長男、原告172(35歳、パート)は原告171の妻である。 原告172が郡山の出身であるほかは、みな鹿島で生まれ育った。原告169は稲作と野菜栽培をし、原告170は家事のほかに農作業を手伝い、原告171は自動販 売機のオペレーターに従事していた。 イ判断原告169は、近くの山で山菜採りをしていたができなくなったこと、平成28年まで野菜を栽培しなかったこと、本件事故後の作付制限を契機に稲作をやめ、米を買うことになった悔しさなどを陳述しており、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害 を賠償していることを考慮しても、世帯番号61の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号62(世帯代表原告番号173)】 ア認定事実証拠(甲D173)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原 当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号62(世帯代表原告番号173)】 ア認定事実証拠(甲D173)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告173(70歳、農業等)と原告174(70歳、農業)は夫婦であり、原告175被承継人(89歳、無職)は原告173の父である。原告175被承継人は、平成30年3月23日に死亡した。 原告173は現住所地で生まれ育ち、田畑を所有して原告174と農業を営みながら、競輪場外車券売り場に勤務していた。 イ判断原告173は、所有する山で原告174と山菜採りやキノコ採りをしていたこと、平成27年まで畑仕事を再開せず、稲作の再開は断念したこと、田を除染土の仮置き 場として1年提供したが、令和元年の時点で撤去される見込みがないことなどを陳述 しており、世帯番号62の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号63(世帯代表原告番号176)】 ア認定事実証拠(甲D176、丙D176、原告●●●●本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告176(63歳、接骨院院長)と原告177(61歳、主婦)は夫婦であり、原告178(39歳、柔道整復師)、原告179(37歳、柔道整復師)は両名の長女、 長男、原告180(36歳、歯科医院事務)は原告179の妻、原告181(10歳、小学3年生)、原告182(9歳、小学2年生)は原告178の長女、長男である。 原告176、原告178、原告179、原告1 男、原告180(36歳、歯科医院事務)は原告179の妻、原告181(10歳、小学3年生)、原告182(9歳、小学2年生)は原告178の長女、長男である。 原告176、原告178、原告179、原告181、原告182は鹿島で生まれ育った。原告176は昭和46年に北畑70に接骨院を開業し、住居兼店舗としたが、道路向かいの北畑77に自宅を建て、本件事故当時は原告176と原告177は同所 に居住していた。北畑70には原告178が、原告181、原告182と居住し、北畑77から約1.5km離れた場所のアパートに原告179と原告180が居住していた。また、原告176は、原告178が習得した療法を生かすことを期し、原告178のために二本松市にも接骨院分院を開業していた。 本件地震により北畑77と70の建物は損壊し、原告176と原告177は避難し たが、北畑77の自宅の2間と風呂は使用できたため、4月末ころ自宅に戻り、5月に鹿島駅前に店舗を借りて、接骨院を再開した。9月以降の売上高は前年よりも増加した。 原告176は、平成25年5月1日に西町に所有する土地に家を建て、原告177と居住していたところ、平成28年6月、原告179が、北畑77に二世帯住宅を新 築し、以降、同所で、原告176・原告177と原告179・原告180との二世帯 で居住している。 イ判断原告176は、家庭菜園で野菜を栽培していたが本件事故後、自家栽培をやめ、山菜採りやキノコ採りもできなくなったなどと陳述しており、世帯番号63の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。被告東 電は、訴訟外で、原告176に対し、接骨院の営業損害につき、平成24年4月以降の減収率が100%である等の請求に基づき賠償したことについて、過大 維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。被告東 電は、訴訟外で、原告176に対し、接骨院の営業損害につき、平成24年4月以降の減収率が100%である等の請求に基づき賠償したことについて、過大な賠償であると主張するが、特別の努力により損害発生を回避したともみうることを考慮すれば、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号64(世帯代表原告番号183)】ア認定事実証拠(甲D183、丙D183)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告183被承継人(70歳、農業)と原告184(71歳、農業)は夫婦であり、 原告185(40歳、会社員)は両名の長男、原告186(41歳、無職)は原告185の妻である。原告183被承継人は、令和4年2月4日死亡した。 原告183被承継人は先祖から受け継いだ現住所地で生まれ育った。原告184も鹿島生まれである。原告185も現住所地で生まれ育った。 原告183被承継人は、主に長距離トラックの運転手をしながら兼業農家として稲 作をし、家庭菜園で野菜等を栽培し、原告185と原告186も農業を手伝っていた。 イ判断原告183被承継人は、平成26年から稲作を再開したが主食用になる品種を飼料用としていること、家庭菜園では野菜をほとんど栽培しなくなったこと、山菜採りをしなくなったことなど陳述する。世帯番号64の原告らが、環境が変化したことによ り従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外 で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万 で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号65(世帯代表原告番号187)】ア認定事実 証拠(甲D187)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告187(65歳、農業)と原告188(60歳、無職)は夫婦であり、原告189(34歳、会社員)は両名の三男である。 原告187は相馬市出身であり、神奈川県の高校に進学したが、24歳のときに地元に戻り、住所地で生まれ育った原告188と婚姻した。原告187と原告188は、 農業を中心にしながら、定年まで会社に勤めた。 原告189は、平成13年に婚姻して住所地に戻り、以後、長男と同所で暮らしている。 イ判断原告187は、田の耕作は諦め他の人に作ってもらうことにしたこと、キノコ採り や山菜採りを再開したが、おすそ分けをしようとしても受け取ってもらえないことがあることを陳述しており、世帯番号65の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、津波被害のあった田についても農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰 謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号66(世帯代表原告番号190)】ア認定事実証拠(甲D190、丙D190)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告190(70歳、農業)と原告191(68歳、農業)は夫婦であ 号190)】ア認定事実証拠(甲D190、丙D190)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告190(70歳、農業)と原告191(68歳、農業)は夫婦である。 原告192(42歳、南相馬市役所職員)は上記両名の長男、原告193(39歳、南相馬市役所職員)は原告192の妻であり、原告194(10歳、小学生)、原告195(2歳、保育園児)は、原告192と原告193の子である。 原告190は鹿島で育ち、農家を継ぎ、原告191と婚姻した。田を所有して両名 で稲作中心の農業を営み、野菜も栽培していた。 イ判断原告190は、所有する田が津波被害を受けて5年後に耕作を再開したが、飼料米しか作れず、人に耕作してもらうことにしたこと、本件事故後、3、4年間は野菜を栽培せず、原告192一家が今でも自宅で栽培した野菜を食べないことなどを陳述し ており、被告東電が、訴訟外で、津波被害のあった田についても農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、原告190、原告191、原告192及び原告193には、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。同人らに対し、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告194及び原告195については、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額各118万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号67(世帯代表原告番号196)】ア認定事実 証拠(甲D196、丙D196)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告196(65歳、南相馬市嘱託職員・農業)と原告197(63歳、農業)は夫婦である。 原告1 事実 証拠(甲D196、丙D196)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告196(65歳、南相馬市嘱託職員・農業)と原告197(63歳、農業)は夫婦である。 原告196と原告197は鹿島で生まれ育ち、先祖から受け継いだ田畑を所有して 農業を営み、3世帯7人で暮らしていた。 イ判断原告196は、本件事故前は消費する米や野菜はすべて自家栽培していたこと、平成26年に田畑の除染をしてから畑作業を再開し、平成28年に稲作を再開したこと、長年親しく交際していた複数の家族が戻らず、高齢者同士の交流も滞るようになっていることなどを陳述しており、世帯番号67の原告らが、環境が変化したことにより 従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号68(世帯代表原告番号198)】ア認定事実 証拠(甲D198、丙D198)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告198(53歳、ケアマネージャー)は昭和59年に婚姻後、現住所地に居住している。原告199被承継人(87歳、農業)は原告198の夫の父である。原告198の夫は東京に単身赴任しており、2週間に1度程度の割合で帰宅している。原 告199被承継人は平成30年12月4日に死亡した。 原告198、同人の夫及び原告199被承継人は、畑で野菜を栽培し、自家分の稲作をするほかは田を知人に貸して耕作してもらっていたが、田は津波被害を受けた。 イ判断原告198は、平成25年ころから畑での野菜作りを再開し、平成28年ころから 稲作が再開で 自家分の稲作をするほかは田を知人に貸して耕作してもらっていたが、田は津波被害を受けた。 イ判断原告198は、平成25年ころから畑での野菜作りを再開し、平成28年ころから 稲作が再開できるようになったが自家用の田は耕作しておらず、近くの山での山菜採りもできなくなったと陳述しており、世帯番号68の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたとも認めうる。 その一方で、原告198の夫は、本件事故後、単身赴任していた東京の社宅で生活を続けており、その生活が避難生活であるとは認められないにもかかわらず、被告東 電は、訴訟外で、原告198の夫から、本件事故当時鹿島区に居住していたことを前 提とする請求を受け、70万円の慰謝料を賠償しており、本来賠償義務はない支払をしている。直接賠償手続の趣旨を考慮すれば、申告に基づき賠償することとした費目について、客観的実態に反するのではないかというだけで今後被告東電が返還を求めるとは考え難く、かつ、手続の実際をみれば、損害賠償請求権者ではない同人のみが利得したとみるよりも、同人を世帯代表者として直接賠償手続を行った世帯番号68 の原告らが経済的利益を受けたとみることが自然かつ合理的である。以上を踏まえ、同人らに対し、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号69(世帯代表原告番号200)】ア認定事実証拠(甲D200、丙D200、原告●●●●本人)及び弁論の全趣旨によれば、 以下の事実が認められる。 原告200(59歳、南相馬市役所職員)は、住所地で生まれ育った。 原告200は、南相馬市に勤務しながら、家業である稲作を手伝っていた。本件津波により、所有する田畑の半数程度が浸水した。 イ判断 原告200は、平成27年 )は、住所地で生まれ育った。 原告200は、南相馬市に勤務しながら、家業である稲作を手伝っていた。本件津波により、所有する田畑の半数程度が浸水した。 イ判断 原告200は、平成27年に稲作を一部再開したが、食用米から飼料米に切り替えたこと、シイタケ栽培ができないこと、家の山で山菜採りやキノコ採りができないことを陳述しており、被告東電が、訴訟外で、津波被害のあった田についても農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、原告200には、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額 するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号70(世帯代表原告番号201)】ア認定事実証拠(甲D201、丙D201)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告201(66歳、無職)と原告202(64歳、無職)は夫婦である。 原告201は先祖から受け継いだ現住所地で生まれ育ち、郵便局に勤め、平成14年に退職し、その後、南相馬市社会福祉協議会に就職したが、平成22年に定年退職した。原告202も鹿島の出身である。 原告201は、勤めながら稲作をし、自家用野菜を栽培していた。本件津波により自宅は床下まで浸水して半壊し、所有する田も浸水した。田から完全に水がひいたの は平成23年7月ころだった。 イ判断原告201は、近くの山でキノコ採りや山菜採りをしていたができないこと、平成29年ころまで自家用野菜の栽培を再開しなかったこと、本件事故後数年後に除染されるまで地区の公会堂が使えず行事を行えなかったことなどを陳述しており、世帯番 号70の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的 本件事故後数年後に除染されるまで地区の公会堂が使えず行事を行えなかったことなどを陳述しており、世帯番 号70の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号71(世帯代表原告番号203)】 ア認定事実証拠(甲D203、丙D203)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告203(66歳、農業)は鹿島で生まれ育ち、農業を営んでいる。原告204(37歳、自営業)は同人の長男であり、電気工事士である。 原告203は、稲作をし、畑で自家用野菜を栽培していた。 イ判断原告203は、本件事故後、家族で食べていた自家用野菜をしばらく栽培しなかったこと、稲作ができなくなり平成28年から飼料米を作ることにしたこと、令和2年まで山菜採りをしていなかったことを陳述しており、世帯番号71の原告らが、環境 が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、 算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号72(世帯代表原告番号205)】ア認定事実 証拠(甲D205、丙D205)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告205(61歳、契約社員・農業)と原告206(54歳、会社員)は夫婦である。 原告205は住所地で育ち、平成20年まで鹿島町役場に勤務し、退職後は福祉施 設の送迎バスの運転手をしな 原告205(61歳、契約社員・農業)と原告206(54歳、会社員)は夫婦である。 原告205は住所地で育ち、平成20年まで鹿島町役場に勤務し、退職後は福祉施 設の送迎バスの運転手をしながら、稲作をして自主流通米を販売し、自家用野菜を栽培していた。原告206は、縫製の仕事に従事していた。 本件津波により自宅は床上浸水した。 イ判断原告205は、米の個人販売ができなくなったこと、アユ釣りができないこと、平 成27年まで家庭菜園で野菜作りをしなかったことなどを陳述しており、世帯番号72の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円と するのが相当である。 【世帯番号73(世帯代表原告番号207)】ア認定事実証拠(甲D207、丙D207)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告207(42歳、クレーンオペレーター)は鹿島で生まれ育った。原告208 被承継人(76歳、無職)、原告209(68歳、無職)は同人の父、母である。原告208被承継人は、パーキンソン病を患っており、平成30年8月15日に死亡した。 本件津波により、自宅は一部床上浸水し、畑も浸水した。 イ判断原告207は、原告208被承継人が唯一で最大の楽しみであった河口釣りをでき なくなったこと、原告209が趣味である山歩きやキノコ採り、山菜採りをできなくなったこと、原告208被承継人の通院先が変わり送迎に苦労が増えたことなどを陳述しており、世帯番号73の 釣りをでき なくなったこと、原告209が趣味である山歩きやキノコ採り、山菜採りをできなくなったこと、原告208被承継人の通院先が変わり送迎に苦労が増えたことなどを陳述しており、世帯番号73の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当 であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号74(世帯代表原告番号210)】ア認定事実証拠(甲D210、丙D210)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告210(63歳、会社員)と原告211(61歳、会社員)は夫婦である。 原告210は、原町出身で、昭和46年に鹿島出身の原告211と婚姻し、鹿島に自宅を購入した。 イ判断原告210は、自宅の裏の畑で原告211と趣味で野菜作りをしていたが、本件事 故後5年以上、野菜作りを再開しなかったこと、海に遊びに出る楽しみが失われたことなどを陳述しており、世帯番号74の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号75(世帯代表原告番号212)】 ア認定事実証拠(甲D212、丙D212)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告212(59歳、看護師)は先祖から受け継いだ現住所地で生まれ育った。原告213(26歳、アルバイト)、原告214(30歳、アルバイト)は同人の長男、 二 れば、以下の事実が認められる。 原告212(59歳、看護師)は先祖から受け継いだ現住所地で生まれ育った。原告213(26歳、アルバイト)、原告214(30歳、アルバイト)は同人の長男、 二女である。原告212は、子らと一緒に、田で稲作をし、畑で自家用野菜を栽培していた。本件津波により自宅は床下まで浸水し、田畑も浸水した。 イ判断原告212は、自宅周囲の居久根を切らざるをえなかったこと、本件事故後1年くらいして自宅の除染作業が行われ、稲作はせず、野菜作りも3年後くらいに再開した こと、山菜採りに行けなくなったことなどを陳述しており、世帯番号75の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、津波被害のあった田についても農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士 費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号76(世帯代表原告番号215)】ア認定事実証拠(甲D215、丙D215)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告215(63歳、市役所臨時職員)と原告216(61歳、ヘルパー)は夫婦である。原告215と原告216は鹿島出身であり、梅を栽培し、畑で自家用野菜を栽培し、田は人に貸していた。 イ判断原告215は、自家用野菜の栽培を平成26年まで再開しなかったこと、梅が収穫 できないこと、近くの山での山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、自宅の周 りの居久根を一部伐採したこと、しいたけ栽培ができないことなどを陳述しており、世帯番号76の原告らが、環境が変化したことに と、近くの山での山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、自宅の周 りの居久根を一部伐採したこと、しいたけ栽培ができないことなどを陳述しており、世帯番号76の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号77(世帯代表原告番号217)】ア認定事実証拠(甲D217、丙D217)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告217(67歳、行政区長)と原告218(63歳、無職)は夫婦である。 原告217は、現住所地で生まれ育ち、大学卒業後、高校の教員となり、定年退職した。所有する田は人に貸し、畑では自家用野菜を栽培し、山に梅の木を植えていた。 イ判断原告217は、梅の木をすべて伐採したこと、畑で栽培した野菜を食べなかったことなどを陳述しており、世帯番号77の原告らが、環境が変化したことにより従前ど おりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号78(世帯代表原告番号219)】ア認定事実 証拠(甲D219、丙D219)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告219(71歳、無職)と原告220(64歳、パート従業員)は夫婦である。 原告219は、東京の建設会社に就職し、鹿島出身の原告220と婚姻して東京で暮らしていたが、昭和57年3月に現住所地に家を建て、原告220と子 職)と原告220(64歳、パート従業員)は夫婦である。 原告219は、東京の建設会社に就職し、鹿島出身の原告220と婚姻して東京で暮らしていたが、昭和57年3月に現住所地に家を建て、原告220と子が鹿島に転 居し、原告219は平成10年の定年退職後に鹿島に転居した。 イ判断原告219は、庭で育てた果実を食べられなくなったこと、楽しみにしていた真野川の堤防の散歩が出来なくなったこと、毎年お盆の時期に開催されていた花火大会が行われなくなり孫らと過ごす時間が失われたことなどを陳述しており、世帯番号78の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精 神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号79(世帯代表原告番号221)】ア認定事実 証拠(甲D221、丙D221)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告221(75歳、団体職員)と原告222(75歳、主婦)は夫婦である。 原告221は鹿島出身であり、養蚕業を学び、養蚕農業協同組合連合会に勤務し、定年退職した。 イ判断原告221は、家庭菜園で栽培した野菜を平成24年ころから食べるようになったが、自家栽培した野菜を近隣住民に全く喜ばれなくなったこと、山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、本件事故後約1年は地元のボランティア活動や老人会が行われなかったことなどを陳述しており、世帯番号79の原告らが、環境が変化したこ とにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害がある などを陳述しており、世帯番号79の原告らが、環境が変化したこ とにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号80(世帯代表原告番号223)】ア認定事実 証拠(甲D223、丙D223)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告223(74歳、農業)は現住所地で生まれ育ち、農業協同組合に就職し、定年退職後、所有する田畑で農業を営んでいた。自宅は本件地震により半壊した。 イ判断原告223は、田の作付を辞め、平成28年1月から畑で野菜を栽培しているが人 に売れないこと、近くの山で山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、自宅近くに居住していた長男の勤務先工場が本件事故により閉鎖されて仙台や宇都宮に転勤したことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁 護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号81(世帯代表原告番号224)】ア認定事実証拠(甲D224、丙D224)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告224(75歳、無職)と原告225(74歳、自営業)は夫婦である。 原告224は、昭和36年ころ鹿島出身の原告225と婚姻し、以降、現住所地に居住している。原告224は鹿島町役場に勤め、定年退職した。原告225は、同人の母から受け継いだ美容院を営んでいた。 イ判断 和36年ころ鹿島出身の原告225と婚姻し、以降、現住所地に居住している。原告224は鹿島町役場に勤め、定年退職した。原告225は、同人の母から受け継いだ美容院を営んでいた。 イ判断 原告224は、夫婦で山菜採りや海釣りを楽しんでいたができなくなったこと、家庭菜園で栽培した野菜を食べられなくなったこと、地区の公民館で月1回ほど老人会が開かれていたが、本件事故後、放射線汚染のため公民館が使用できず、4、5年間老人会が開かれなかったことなどを陳述しており、世帯番号81の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算 定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。 慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号82(世帯代表原告番号226)】ア認定事実証拠(甲D226)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告226(68歳、無職)は、昭和46年ころ、亡夫の地元である鹿島に転居し、以降、鹿島に居住している。原告227(54歳、会社員)は同人の長男、原告228(19歳、会社員)は原告227の子である。原告227はトラック運転手として稼働している。 イ判断 原告226は、本件事故後2年間、自宅の畑の作付をしなかったこと、山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、収穫祭が開かれなくなったため部落内の関係を深めることが出来る機会がなくなってしまったことなどを陳述しており、世帯番号82の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害が あると認められる。 り、世帯番号82の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害が あると認められる。同人らに対し、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号83(世帯代表原告番号234)】ア認定事実証拠(甲D234)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告234(67歳、無職)は、原町高校を卒業し、日本電信電話公社に就職し、昭和40年に婚姻後、亡夫の実家である現住所地に居住している。 イ判断原告234は、部落で毎年行われる盆踊りや運動会の会場に仮設住宅が建設されて行えず、令和2年に運動会だけが再開されるようになったことなどを陳述しており、 環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を 受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号84(世帯代表原告番号235)】ア認定事実 証拠(甲D235、丙D235)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告235(68歳、農業)と原告236(63歳、農業)は夫婦である。 原告235は、鹿島で育ち、鹿島出身の原告236と婚姻して、農業を営み、稲作と自家用野菜を栽培していた。 イ判断原告235は、事故後約6年間はアユ釣りができなかったこと、キノコ採りや山菜採りができなくなったこと、イノシシ狩り後の集まりでの交流の機会がなくなったこと、家庭菜園の野菜を食べる孫の顔が見られなくなったことなどを陳述しており、 はアユ釣りができなかったこと、キノコ採りや山菜採りができなくなったこと、イノシシ狩り後の集まりでの交流の機会がなくなったこと、家庭菜園の野菜を食べる孫の顔が見られなくなったことなどを陳述しており、世帯番号84の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維 持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号85(世帯代表原告番号237)】 ア認定事実証拠(甲D237)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告237(36歳、会社員)と原告238(32歳、会社員)は夫婦である。 原告237は、原告235と原告236の二男であり、鹿島で育った。 イ判断 原告237は、原告238と趣味で林道のツーリングをしていたができなくなった こと、相馬野馬追に参加するために所有している馬の世話に苦労したこと、福島県外出身の同僚に鹿島を案内することが誇らしかったが、本件事故後は敬遠されているように感じることなどを陳述しており、世帯番号85の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各1 0万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号86(世帯代表原告番号239)】ア認定事実証拠(甲D239、丙D239)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告239(64歳、会社 のが相当である。 【世帯番号86(世帯代表原告番号239)】ア認定事実証拠(甲D239、丙D239)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告239(64歳、会社員)と原告240(62歳、会社員)は夫婦であり、原告241(38歳、会社員)は両名の長男である。 原告239は昭和47年に原告240と婚姻し、以後、鹿島に居住している。原告239はゴルフ場に、原告240は縫製工場に、原告241は双葉町の配電盤を扱う会社に勤務していた。 イ判断原告239は、本件事故後3、4年間家庭菜園を使用しなかったこと、隣組の人たちとの花壇の草取りはやっているが、原告らがそれぞれ大切にしていたゴルフサークル、老人会、サッカークラブなどでの地域の人々との交流の機会が減ったことなどを陳述しており、世帯番号86の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず 精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号87(世帯代表原告番号242)】ア認定事実 証拠(甲D242、丙D242)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告242(64歳、旅館勤務)と原告243(56歳、ガソリンスタンド勤務)は夫婦である。 原告242は鹿島で生まれ、原告243は原告242との婚姻後鹿島で暮らしている。 イ判断原告242は、畑での野菜の栽培を7年ほどやめ、再開後も種類は減ったこと、キノコ採りや山菜採りができなくなった、アユ釣りをしなくなったことなどを陳述しており、世帯番号87の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常 7年ほどやめ、再開後も種類は減ったこと、キノコ採りや山菜採りができなくなった、アユ釣りをしなくなったことなどを陳述しており、世帯番号87の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽く せない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号88(世帯代表原告番号244)】ア認定事実証拠(甲D244)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告244(69歳、無職)は鹿島で生まれ育ち、婚姻後、亡妻が生まれ育った現住所地で暮らしている。農協関連の会社を退職後、畑仕事をしていた。原告245(39歳、自営業(板金塗装))は同人の二男であり、車の板金塗装を業としている。 自宅は本件地震により損壊し、屋根が壊れ、修理が必要な状態になった。 イ判断 原告244は、畑で自家用の野菜を栽培していたがやめたこと、好きな魚釣りができなくなったこと、原告245と近くの山で山菜やキノコを採り、家族で食べたり販売したりしていたができなくなったことなどを陳述しており、世帯番号88の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認 められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とす るのが相当である。 【世帯番号89(世帯代表原告番号246)】ア認定事実証拠(甲D246、丙D246)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告246(44歳、とび職、自営業)は、鹿島で生まれ、原町や東 世帯代表原告番号246)】ア認定事実証拠(甲D246、丙D246)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告246(44歳、とび職、自営業)は、鹿島で生まれ、原町や東京で暮らしたが、平成21年1月に鹿島に戻り、原告247と同居している。とび職の仕事に加え、同年秋頃からスナックを経営している。 イ判断原告246は、地元の海で遊ぶのが好きだったがしばらく海に入れなかったこと、 山で山菜を採ったり、湧水を汲んだりすることができなくなったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。被告東電が、訴訟外で、原告246に対し、本件事故後に得た収入はないとの事実に反する請求に基づき、本件事故日から平成24年5月31日までの就労不能損害を賠償していることを踏まえても、特別の努力により損害発生 を回避したともみうることを考慮すれば、慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号90(世帯代表原告番号247)】ア認定事実証拠(甲D247、丙D247)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告247(30歳、飲食店勤務)は、相馬で生まれ育ち、一人暮らしをしていたが、平成22年頃から鹿島にある原告246の自宅で同人と同居し、相馬で営む実家の自動車整備業を手伝ったり、夜はスナックで接客の仕事をしたりしていた。 イ判断 原告247は、近所の者から地元でとれた海産物や山菜を貰い食べていたが、線量 を測り線量が高いものは廃棄するようになったこと、山中の湧き水を飲み水や料理に使うこともなくなったことを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平 や山菜を貰い食べていたが、線量 を測り線量が高いものは廃棄するようになったこと、山中の湧き水を飲み水や料理に使うこともなくなったことを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。被告東電が、訴訟外で、原告247に対し、本件事故後に得た収入はないとの事実に反する請求に基づき、本件事故日から平成24年5月31日までの就労不能損害を賠償していることを踏 まえても、特別の努力により損害発生を回避したともみうることを考慮すれば、慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号91(世帯代表原告番号248)】ア認定事実証拠(甲D248)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告248(48歳、会社員)と原告249(49歳、看護助手)は夫婦である。 原告250(20歳、大学生)は両名の長男、原告251(77歳、農業)は原告248の母である。 原告248は、学生服卸売販売会社に、原告249は原町区の産婦人科病院に勤務し、原告251は野菜を栽培して販売していた。 原告250は平成21年に東京の大学に進学し、本件事故時も東京にいた。 イ判断原告248は、原告249及び原告251と近くの山で山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、家の裏の木の果実が採れなくなったこと、稲作をして米を自家消費していたが食料米を作らなくなり買うようになったことなどを陳述し、原告248、 原告249及び原告251が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。 その一方で、被告東電は、訴訟外で、原告250に対し、日常生活阻害慰謝料等合計118万5000円を賠 環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認められる。 その一方で、被告東電は、訴訟外で、原告250に対し、日常生活阻害慰謝料等合計118万5000円を賠償しているが、同人は、本件事故当時、東京に生活の本拠があり、避難要請を受けて避難したものではないから、被告東電が同人に対し避難に 係る精神的損害を賠償する義務があるとは認められない。原告248が世帯代表者と して請求手続を行い、世帯の構成員全員の賠償金を受領しているところ、学生であった原告250が不当に利得したとみるよりも、世帯番号91の原告らが経済的利益を受けたとみることが自然かつ合理的である。以上を踏まえ、世帯番号91の原告らに対しさらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号92(世帯代表原告番号252)】 ア認定事実証拠(甲D252、丙D252)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告252(49歳、司会業、カラオケ講師)と原告253(64歳、無職)は平成21年に婚姻したが、本件地震後離婚した。原告254(19歳、大学1年生)、原 告255(17歳、高校2年生)は原告252の二女、三女である。 原告252は鹿島で生まれ育ち、フリーアナウンサーとして司会の仕事やカラオケ講師をするなどしていた。原告253は原告252との婚姻後も仙台に居住し、仙台と鹿島を往来する生活を送っていた。原告254は、仙台市の大学のそばにアパートを借りていたが、平成23年1月から鹿島の自宅から通学するようになっていた。 イ判断被告は、原告253、原告254及び原告255が鹿島に居住していなかったと主張するが、原告255は鹿島に居住していたと認められる。原告253と原告254は、それぞれ仙 ていた。 イ判断被告は、原告253、原告254及び原告255が鹿島に居住していなかったと主張するが、原告255は鹿島に居住していたと認められる。原告253と原告254は、それぞれ仙台にも生活の拠点があったことが認められるものの、鹿島区の自宅と頻繁に往来していたと陳述するところ、本件地震当日も鹿島区の自宅に帰宅しており、 両名は、避難の要請を受けて生活の本拠地から避難したものと認められる。そして、原告252が、本件事故後、近所の者とおすそ分けをし合うことがなくなったなどと陳述しており、世帯番号92の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたとも認めうる。 しかし、被告東電は、訴訟外で、原告252の請求に基づき、同人の長男(22歳) 及び長女(20歳)に対する日常生活阻害慰謝料としてそれぞれ82万円と80万円 の合計162万円を賠償しているところ、長男は沖縄、長女は東京で生活していて、本件事故時も鹿島におらず、避難要請を受けて避難したとは認められず、被告東電が同人らに対し避難に係る精神的損害を賠償する義務があるとは認められない。原告252は、被告東電に対し、長男及び長女について、事実と異なる申告をして、被告東電が本来賠償義務を負うことのない賠償金を少なくとも合計162万円は支払わせ たと認められる。直接賠償手続の趣旨を考慮すれば、申告に基づき賠償することとした費目について、客観的実態に反するのではないかというだけで今後被告東電が返還を求めるとは考え難く、かつ、請求手続の実際をみれば、損害賠償権者ではない両名が不当に利得したとみるよりも、原告252が代表者として手続を行った世帯番号92の原告らが経済的利益を受けたとみることが自然かつ合理的である。以上を踏まえ、 同人らに対 害賠償権者ではない両名が不当に利得したとみるよりも、原告252が代表者として手続を行った世帯番号92の原告らが経済的利益を受けたとみることが自然かつ合理的である。以上を踏まえ、 同人らに対しさらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号93(世帯代表原告番号256)】ア認定事実証拠(甲D256)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告256(57歳、農業・板金塗装)は現住所地で生まれ、東京で稼働したが、 18歳ころ実家へ戻り、所有する田と借りた田で稲作と畑で大豆や野菜を栽培するとともに、板金塗装を営んでいた。原告257(78歳、無職)は同人の母である。 イ判断原告256は、山菜採りやキノコ採りができなくなったこと、将来的に少しずつ農業を縮小しようとは思っていたもの、本件事故後、米が売れず、賃貸借期間が過ぎた 田は返し、平成27年に行うべき認定農業者の申請を行わなかったことなどを陳述しており、世帯番号93の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護 士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号94(世帯代表原告番号258)】ア認定事実証拠(甲D258、丙D258)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告258(68歳、農業)と原告259(66歳、農業)は夫婦である。 原告258は、代々、稲作と養蚕をしてきたが、政策で養蚕をやめ、専業農家となった。 イ判断原告258は、令和元年ま 原告258(68歳、農業)と原告259(66歳、農業)は夫婦である。 原告258は、代々、稲作と養蚕をしてきたが、政策で養蚕をやめ、専業農家となった。 イ判断原告258は、令和元年まで米を出荷できなかったこと、野菜が売れなくなったため出荷をやめ自家用分だけ栽培することにしたこと、自家栽培した野菜を長男家族か らいらないと言われたこと、本件事故後数年間公民館でのお祭りなどが行われなかったことなどを陳述しており、世帯番号94の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するの が相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号95(世帯代表原告番号260)】ア認定事実証拠(甲D260、丙D260)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告260(51歳、自営業・農業)は、現住所地で生まれ育ち、自動車整備業を営みながら、稲作をしていた。原告261(79歳、無職)は同人の母であり、夫の介護をしながら、稲作と自家用野菜の栽培をしていた。 イ判断原告260は、米農家なのに平成28年まで作付ができなかったこと、本件事故後 2、3年は自家用の野菜の栽培を中止せざるを得なかったこと、再開後もイノシシや サルに荒らされ収穫量がだいぶ減ったこと、住民同士のサークルで年1、2回旅行したり、花見や芋煮会などをしたりしていたが、野外の行事を控えるなどして今では年1回程度になったことなどを陳述しており、世帯番号95の原告らが、環境が変化したことにより従前どおり ルで年1、2回旅行したり、花見や芋煮会などをしたりしていたが、野外の行事を控えるなどして今では年1回程度になったことなどを陳述しており、世帯番号95の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料 を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号96(世帯代表原告番号262)】ア認定事実証拠(甲D262、丙D262)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告262(63歳、無職)は住所地で生まれ育ち、亡夫とともに、受け継いだ田の稲作と、畑で自家用の野菜を栽培していたが、平成22年2月に夫が死亡し、他の稲作は親戚に任せていた。原告263(35歳、会社員)は同人の長男であり、就職時に地元を離れたが、転職を契機に平成18年8月ころ住所地に転居した。原告264(30歳、中学校講師)は本件地震後の平成23年4月29日に原告263と婚姻 した妻である。同人は、本件地震時、勤務先の相馬市内に居住していたが、午後10時ころ、小高区にある実家に帰宅しようとしたところ、両親から、余震もあり危険なので原告263のところに行くように言われ、以後、原告263とともに避難した。 イ判断原告262は、平成28年ころまで家庭菜園ができず、再開したが規模は減少した こと、原告263を中心に稲作を再開することを考えていたが実現できていないこと、キノコ採りや山菜採りに行かなくなったこと、集会所の花壇の花植えに子供の参加がなくなったことなどを陳述しており、原告262及び原告263が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛 菜採りに行かなくなったこと、集会所の花壇の花植えに子供の参加がなくなったことなどを陳述しており、原告262及び原告263が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を 各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告264について、被告東電は、本件事故当時、相馬市に単身で居住していたことから、避難を余儀なくされる状況にあったとは認められないと主張するところ、同人は、平成23年3月下旬から原告263と同居する予定であったというのであるから、本件事故後、原告263の家に滞在していた原告264は、同所で避難要請を受け、避難を余儀なくされたと認められる。しかし、被告東電が、同人に対し、訴訟外 で包括慰謝料等総額130万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号97(世帯代表原告番号266)】ア認定事実証拠(甲D265)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告265(68歳、会社役員)は、昭和36年から現住所地に居住し、祖父から受け継いだ葬祭業、仏壇仏具等の製作販売を営んでいる。原告266(47歳、会社員)、原告267(42歳、会社員)は同人の長男、三男であり、原告265が経営する会社に勤務している。原告265は、鹿島商工会と鹿島観光協会の理事として活動し、鹿島日本赤十字奉仕団にも参加している。 イ判断原告265は、近所の人が採ってきた山菜やキノコをもらって食べることはしなくなったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的 イ判断原告265は、近所の人が採ってきた山菜やキノコをもらって食べることはしなくなったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。世帯番号97の原告らに対し、慰謝料を各1 0万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号98(世帯代表原告番号268)】ア認定事実証拠(甲D268、丙D268)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告268(62歳、会社員)と原告269(60歳、パート)は夫婦であり、原 告270(82歳、無職)は原告269の母である。 原告268は昭和50年に原告269と婚姻し、以後、原告269の実家である現住所地に居住し、農業を受け継いだ。原告268は水道工事会社に勤務している。 本件津波により、自宅は約30cm床上浸水し、田畑や農機具も海水に浸水した。 イ判断 原告268は、山菜採りができなくなったこと、自宅前の杉の木を切らなくてはならなかったこと、井戸水を使うことができなくなったこと、原告269との趣味であるパークゴルフをしなくなったことなどを陳述しており、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害について津波による影響を考慮せずに賠償していることを考慮しても、世帯番号98の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を 維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号99(世帯代表原告番号272)】 生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号99(世帯代表原告番号272)】ア認定事実 証拠(甲D272、丙D272、原告●●●●●本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告271(55歳、NPO法人職員)と原告272(52歳、NPO法人代表理事)は夫婦である。原告271は鹿島、原告272は都路村出身であり、両名は、昭和60年ころから鹿島に居住していた。原告272は、大学卒業後、原町市の小学校 教員になったが、言語障害児教育に専念するため退職し、平成2年ころ、弟と原町に学習塾を設立し、平成17年12月、鹿島で発達障害児らの支援のための施設であるNPO法人を設立した。平成22年4月からは、東京、埼玉、仙台から来る子らのために、宮城県名取市にも新規拠点として一般社団法人を開設した。 原告271及び原告272は、避難生活を続けた後、名取市内に不動産を取得し、 同所を自宅兼事務所とした。 イ判断原告271及び原告272は、本件事故後、名取市に本拠を移し、本件事故時住所地の自宅は原告271の兄(原告275)が居住することになったものであるところ、その理由として、本件事故当時、NPO法人に定期的に通う子が126名いたが、30km圏内の子が9割を占め、収入がなくなったからであること、本件事故時住所地 での養蜂の計画を断念したことなどを述べており、世帯番号99の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。 原告272が経営する事業に関する個人、NP 変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。 原告272が経営する事業に関する個人、NPO法人及び一般社団法人の収入合計は、本件事故後、本件事故前よりも上回っているにもかかわらず(丙D272の3~7)、 被告東電は、訴訟外で事業損害を賠償していることを考慮しても、その算定過程は不明であり、虚偽申告があるなどの事情は認められず、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号100(世帯代表原告番号273)】ア認定事実 証拠(甲D273、丙D273)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告273(66歳、無職)と原告274(66歳、主婦)は夫婦である。 原告273は高校を卒業するまで鹿島で育ち、原告274との婚姻後、神奈川県に移転したが、昭和47年ころ鹿島に戻り、地元の会社に勤め定年退職した。原告27 4は原町出身である。 イ判断原告273は、平成29年まで家庭菜園をやめていたこと、3年ほど山菜採りができなかったことなどを陳述しており、世帯番号100の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日 常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各 10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号101(世帯代表原告番号275)】ア認定事実証拠(甲D275、丙D275)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告275(59歳、パソコン修理・販売業)と原告276(53歳、会社 表原告番号275)】ア認定事実証拠(甲D275、丙D275)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告275(59歳、パソコン修理・販売業)と原告276(53歳、会社員)は夫婦である。原告275と原告276は鹿島で生まれ育った。 本件地震により家が損壊し、弟が所有する家に転居した。 イ判断原告275は、畑での自家用野菜の栽培や山菜採りやキノコ採りをやめたこと、干 し柿をつくっていた柿の木を伐採したことなどを陳述しており、世帯番号101の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号102(世帯代表原告番号277)】ア認定事実証拠(甲D277、丙D277)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告277(57歳、農協職員)は、現住所地で生まれ育ち、農協に勤務している。 賃貸していた所有する田は本件津波の被害を受けた。 イ判断原告277は、釣った魚を食べられなくなり釣りをやめたこと、以前のように畑で野菜を栽培できず、栽培した野菜は妻が放射線量を測定してから食べていること、地域住民が分散したため地域でのスポーツの交流がなかったことなどを陳述しており、 環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を 受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害について津波による影響を考慮せずに賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額 告東電が、訴訟外で、農業の営業損害について津波による影響を考慮せずに賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号103(世帯代表原告番号278)】 ア認定事実証拠(甲D278、丙D278)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告278(71歳、無職)は、東京で亡夫と婚姻したが、昭和37年、亡夫が同人の叔父の会社を手伝うことにしたため、鹿島に転居した。 イ判断原告278は、畑で野菜栽培を始めたところだったが本件事故後やめたこと、よもぎ餅を作ることができなくなったこと、老人会のゲートボール大会など屋外のイベントをしばらく行えなかったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰 謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号104(世帯代表原告番号279)】ア認定事実証拠(甲D279)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告279(59歳、会社員)と原告280(56歳、主婦)は夫婦である。 原告279は現住所地で生まれ育ち、東京で就職したが、2、3年で実家に戻り、水道、ボイラー等の設備業者に勤務しながら、実家の農業を継いだ。原告280は小高出身である。 自宅は本件津波で流され、隣の畑とともに災害危険区域に指定されたが、少し離れ た畑と田は区域外である。 イ判断原告279は、稲作ができなくなったこと、畑 は小高出身である。 自宅は本件津波で流され、隣の畑とともに災害危険区域に指定されたが、少し離れ た畑と田は区域外である。 イ判断原告279は、稲作ができなくなったこと、畑での野菜作りもしなくなったことなどを陳述しており、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害について津波による影響を考慮せずに賠償していることを考慮しても、世帯番号104の原告らが、津波被害だけではない放射線の作用による環境の変化により従前どおりの平穏な日常生活を 維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号105(世帯代表原告番号281)】ア認定事実 証拠(甲D281、丙D281)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告281(65歳、農業)は現住所地で生まれ育ち、家業である農業を継いだ。 イ判断原告281は、作付制限により稲作を続けられず米を買って食べるようになったこ と、家庭菜園の野菜は放射線量を測定する必要があったため結局栽培をやめたこと、稲作で放射性物質吸収抑制のため塩化カリウムを散布する作業が大変であること、趣味の釣りをやめたことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害について津波による影響を考慮せずに賠償していることを考慮しても、算定済み の日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号106(世帯代表原告番号282)】 日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号106(世帯代表原告番号282)】ア認定事実証拠(甲D282、丙D282)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告282(76歳、無職)は相馬で生まれ、鹿島出身の亡夫と婚姻して以後、鹿島に居住している。中学校の教員を定年退職した。 イ判断原告282は、自ら立ち上げたボランティア団体で、環境問題に力を入れて活動していたが、本件事故後、事実上解散し、約200人いたメンバーと疎遠になったこと などを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号107(世帯代表原告番号286)】 ア認定事実証拠(甲D285、丙D286)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告285(55歳、主婦)と原告286(55歳、福島県職員)は夫婦である。 現住所は原告285の実家である。原告286は、本件地震当時、いわき市に単身赴 任しており、週末は鹿島に戻る生活をしていたが、地震発生時はいわき市におり、避難していない。 イ判断原告286は、本件事故当時、いわき市に生活の本拠があり、避難要請を受けて避難したものではないから、本件事故により環境が変化したことにより従前どおりの平 穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたとは認められず、被告東電が原告286に対し、慰謝料支払義務があるとは認められな のではないから、本件事故により環境が変化したことにより従前どおりの平 穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたとは認められず、被告東電が原告286に対し、慰謝料支払義務があるとは認められない。 原告285は、自家用の野菜を栽培していたがしばらく再開できなかったこと、柿や梅が実っても食べられなかったことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受けたと認めうるが、被告 東電は、訴訟外で、原告286と同人らの長男に対する日常生活阻害慰謝料として各 70万円を賠償しているところ、前記のとおり原告286に対する賠償義務はない上、長男についても、東京で就職したという長男が、本件地震時に鹿島にいたとも、原告285と避難生活をともにしたとも認められず、長男に対する賠償義務もなかったといわざるをえない。直接請求手続において、原告285は世帯代表者として世帯の構成員全員の賠償金を受領しているところ、直接賠償手続の趣旨を考慮すれば、申告に 基づき賠償することとした費目について、客観的実態に反するのではないかというだけで今後被告東電が返還を求めるとは考え難く、かつ、手続の実際をみれば、損害賠償請求権者ではない者が不当に利得したとみるよりも、原告285が経済的利益を受けたとみることが自然かつ合理的である。以上を踏まえ、同人に対し、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号108(世帯代表原告番号287)】ア認定事実証拠(甲D287、丙D287)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告287(62歳、会社員・農業)と原告288(59歳、公務員)は夫婦であ り、原告289(82歳、家事手伝い)は原告287の母である。 原告28 趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告287(62歳、会社員・農業)と原告288(59歳、公務員)は夫婦であ り、原告289(82歳、家事手伝い)は原告287の母である。 原告287は、本件事故当時の住所地で生まれ育ち、農業を営みながら建設会社に勤務し、原告288は小学校に勤務していた。 自宅は本件津波による2.0m超の浸水区域内にあり、危険災害区域に指定された。 イ判断 原告287は、稲作を辞めて田を売却したこと、原告288が趣味の山菜取りができなくなったことなどを陳述しており、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害について津波による影響を考慮せずに賠償していることを考慮しても、世帯番号108の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があ ると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万 円とするのが相当である。 【世帯番号109(世帯代表原告番号291)】ア認定事実証拠(甲D290、丙D291)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告290(65歳、病院食調理)と原告291(70歳、タクシー運転手)は夫婦である。原告290は、婚姻後、原告291の実家である現住所地に居住している。 イ判断原告290は、地域で高齢者が参加していたグランドゴルフ、花見、芋煮会や、若い人や子供が参加していた運動会、バレーボール大会、子供会が途絶えてしまったこ と、神社のお祭りの規模が縮小されたこと、趣味の野菜作りと山登りをしていないことなどを陳述しており、世帯番号109の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持で たこ と、神社のお祭りの規模が縮小されたこと、趣味の野菜作りと山登りをしていないことなどを陳述しており、世帯番号109の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが 相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号110(世帯代表原告番号292)】ア認定事実証拠(甲D292)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告292(24歳、歯科助手)は、本件事故時住所地で生まれ育ち、短大卒業後、 地元の歯科医院に就職した。 イ判断原告292は、膠原病の持病を持っていたが、本件事故後、通院先の原町の皮膚科病院が閉院したため困難があったことなどを陳述しており、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽く せない精神的損害があると認められる。慰謝料を10万円増額するのが相当であり、 弁護士費用は1万円とするのが相当である。 【世帯番号111(世帯代表原告番号294)】ア認定事実証拠(甲D293、丙D294)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告293(82歳、無職)は昭和22年ころに婚姻してから現住所地に居住している。原告294(54歳、無職)は同人の二女であり、実家に居住したり、原町に居住したりしていたが、平成23年初めから現住所地に居住し、亡父の看病を中心とする生活を送っていた。 イ判断 原告294は、外出を控えるように言われてから原告293が趣味 したり、原町に居住したりしていたが、平成23年初めから現住所地に居住し、亡父の看病を中心とする生活を送っていた。 イ判断 原告294は、外出を控えるように言われてから原告293が趣味の畑仕事をしなくなり、毎日無為に過ごして物忘れが多くなったことなどを陳述しており、世帯番号111の原告らが、従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。 慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当 である。 【世帯番号112(世帯代表原告番号295)】ア認定事実証拠(甲D295、丙D295、原告●●●●●本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告295(62歳、スポーツクラブ事務局員・酒類販売)と原告296(62歳、酒類販売)は夫婦であり、原告297被承継人(82歳、農業)、原告298(82歳、農業)は原告295の父、母である。原告297被承継人は平成29年3月6日に死亡した。 自宅兼店舗は本件津波により流され、災害危険区域に指定された。南海老地区69 世帯のうち62世帯が津波により住家が全壊し、災害危険区域に指定された。 イ判断原告295は、自家用の野菜栽培をやめたこと、趣味の山歩き、山菜採り、キノコ採りができないこと、原告297被承継人と原告298が散歩をしなくなったことなどを陳述しており、世帯番号112の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の 営業損害について津波による影響を考慮せずに賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的 常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の 営業損害について津波による影響を考慮せずに賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号113(世帯代表原告番号299)】 ア認定事実証拠(甲D299、丙D299)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告299(67歳、農業・電気工事業)と原告300(62歳、農業)は夫婦である。原告299は現住所地で生まれ育ち、電気工事業を営みながら、稲作をしてい る。 イ判断原告299は、原告300と山菜採りをしていたが本件事故後5年ほどできなかったこと、部落の運動会やグランドゴルフが本件事故後4年ほど開催されず、開催後も参加人数が減ったことなどを陳述しており、世帯番号113の原告らが、環境が変化 したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、訴訟外で、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号114(世帯代表原告番号301)】 ア認定事実 証拠(甲D301、丙D301)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告301(60歳、会社役員)と原告302(55歳、鹿島商工会臨時職員)は夫婦である。原告301は鹿島で生まれ育ち、大学卒業後東京で就職したが、28歳ころ現住所地に戻り建設会社に勤務した。原告302も鹿島出身である。 員)と原告302(55歳、鹿島商工会臨時職員)は夫婦である。原告301は鹿島で生まれ育ち、大学卒業後東京で就職したが、28歳ころ現住所地に戻り建設会社に勤務した。原告302も鹿島出身である。 イ判断原告301は、休日に近くの山で山菜採りをしていたがやめたこと、敷地の梅の木を全て伐採したこと、原告302が育てるのを楽しみにしていた梅、栗、柿の収穫をやめたこと、部落の運動会終了後に屋外で昼食を食べる行事が本件事故後開催されなくなったことなどを陳述しており、世帯番号114の原告らが、環境が変化したこと により従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号115(世帯代表原告番号303)】ア認定事実 証拠(甲D303、丙D303)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告303被承継人(70歳、画家)と原告304(67歳、主婦)は夫婦であり、原告305(42歳、高校教諭)は両名の子である。原告306(44歳、小学校教諭)は原告305の妻、原告307(13歳、中学2年生)、原告308(12歳、小 学6年生)は原告305と原告306の長男、二男である。原告303被承継人は令和元年9月20日に死亡した。 原告303被承継人、原告304、原告305は鹿島で生まれ育った。 イ判断原告305は、家族で鹿島の自然豊かな生活を楽しんでいたこと、毎年行っていた 海水浴に行けないことなどを陳述しており、原告303被承継人、原告304、原告 305及び原告306が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日 を楽しんでいたこと、毎年行っていた 海水浴に行けないことなどを陳述しており、原告303被承継人、原告304、原告 305及び原告306が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告307及び原告308については、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、 総額各118万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号116(世帯代表原告番号309)】ア認定事実証拠(甲D309、丙D309)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告309(63歳、農業・農業委員)と原告310(63歳、団体職員)は夫婦である。原告309は鹿島で生まれ育ち、農業を受け継いだ。原告310も鹿島出身である。 イ判断 原告309は、自家用の米を栽培しなくなり買うようになったこと、平成28年ころまで自家用の野菜を栽培しなかったこと、山菜採りをやめたこと、毎年行われるグランドゴルフ大会は仮設住宅が建築されたためしばらく開催されなかったこと、運動会が他の行政区との共同開催になったことなどを陳述しており、世帯番号116の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的 苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号117(世帯代表原告番号311)】ア認定事実 証拠(甲D3 損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号117(世帯代表原告番号311)】ア認定事実 証拠(甲D311、丙D311)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認めら れる。 原告311(69歳、会社員)と原告312(63歳、主婦)は夫婦であり、原告313(39歳、会社員)は両名の長男である。原告314(39歳、看護師)は原告313の妻、原告317(6歳)、原告316(2歳)、原告315(0歳)は原告313と原告314の子である。 原告311は浪江出身であり、原告312と婚姻後、鹿島に居住し、精密鋳造品製造販売会社に勤務している。原告313も原告311と同じ会社に勤務している。 イ判断原告311は、原告312が自家用の野菜や山菜を栽培しているが本件事故後4年は食べなかったこと、趣味の山菜採りをやらなくなったこと、行政区で行っていたパ ークゴルフや三世代交流会が本件事故後なかなか再開しなかったことこと、長く育ててきた自宅周りの杉の木を伐採したことが残念であることなどを陳述しており、被告東電が、訴訟外で、原告312に対し農業による実収入があったのか不明ながら営業損害を賠償していることを考慮しても、原告311、原告312、原告313及び原告314が、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精 神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告315、原告316及び原告317については、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額各118万円を賠償していることを考慮 額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告315、原告316及び原告317については、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額各118万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を 増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号118(世帯代表原告番号318)】ア認定事実証拠(甲D318、丙D318)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告318(70歳、無職)と原告319(69歳、無職)は夫婦である。 原告318は鹿島で生まれ育ち、原町出身の原告319と婚姻した。酪農、ナシ栽培、稲作及び養蚕を受け継ぎ、昭和40年代以降は酪農のみ営んでいたが、平成20年ころ廃業し、農地で牧草を栽培している。 イ判断原告318は、原告319と自家用の野菜を栽培していたが平成27年ころまで栽 培しなかったこと、狩猟期間の半分はイノシシ狩りをし、海や川で釣りをしていたができなくなったこと、地域や地区の行事が本件事故後5年くらいは行われなかったことなどを陳述しており、世帯番号118の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額 するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号119(世帯代表原告番号320)】ア認定事実証拠(甲D322、丙D320)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告321(68歳、無職)と原告322(69歳、内職(縫製))は夫婦であり、原告320被承継人(44歳、会社員)は両名の長男である。原告323(44歳、会社員)は原告320 められる。 原告321(68歳、無職)と原告322(69歳、内職(縫製))は夫婦であり、原告320被承継人(44歳、会社員)は両名の長男である。原告323(44歳、会社員)は原告320被承継人の妻、原告324(12歳)、原告325(10歳)、原告326(7歳)は原告320被承継人と原告323の子である。原告320被承継人は、令和2年1月14日に死亡した。 世帯番号119の原告らは鹿島で生まれ育った。原告320被承継人は魚の仲卸業を営んでいた。 イ判断原告322は、原告321が潮干狩り、山菜採り、キノコ採りなどをして家にいることがなかったのに全くやめたこと、平成24年5月まで地元の漁業者が操業できず 原告320被承継人は廃業せざるを得なかったこと、子らが参加し家族で楽しみにし ていた小学生のドッジボール大会が小学生のうちに再開しなかったことなどを陳述しており、世帯番号119の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、津波の影響を考慮せずに魚の仲卸業の営業損害の賠償をしていることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。原告320、原告321、 原告322及び原告323に対し、慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 原告324、原告325及び原告326については、被告東電が、訴訟外で包括慰謝料を増額し、総額各118万円を賠償していることを考慮すると、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号120(世帯代表原告番号327)】ア認定事実証拠(甲D327)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原 さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号120(世帯代表原告番号327)】ア認定事実証拠(甲D327)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告327(47歳、団体職員)は鹿島で生まれ育ち、社会福祉協議会に勤務していた。原告328(75歳、農業)は原告327の父であり、両親から受け継いだ農 業を営んでいた。 イ判断原告327は、原告328が生活の一部であった農作業を本件事故後2年間できなくなったこと、収穫したコメが本件事故前のような評価を受けられなくなり稲作をやめたこと、家族で楽しんでいた山菜採りやキノコ採りをやめたことなどを陳述してお り、世帯番号120の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、被告東電が、農業の営業損害を賠償していることを考慮しても、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号121(世帯代表原告番号329)】 ア認定事実証拠(甲D329、丙D329、原告●●●●本人)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告329(56歳、公務員・農業)と原告330(56歳、会社員)は夫婦である。世帯番号121の原告らは鹿島で生まれ育った。 原告329は、南相馬市役所で勤務しながら、母と農業を営んでいた。 自宅は、本件津波により床上浸水し、住めない程度に損壊し、田畑のほとんどが浸水した。 イ判断原告329は、キノコ採りを断念し、趣味のマウンテンバイクでの散策も回数が減 ったことなどを陳述しており、世帯番号121の原告らが、 ない程度に損壊し、田畑のほとんどが浸水した。 イ判断原告329は、キノコ採りを断念し、趣味のマウンテンバイクでの散策も回数が減 ったことなどを陳述しており、世帯番号121の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 【世帯番号122(世帯代表原告番号331)】 ア認定事実証拠(甲D331、丙D331)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告331(60歳、会社役員)は、現住所地で生まれ育ち、牛乳製造販売会社に就職し、同社の専務取締役を務めていた。 イ判断原告331は、趣味の釣りをやめたこと、畑での野菜栽培を約5年間休止していたことなどを陳述しており、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できていないとも言いうる。しかし、その一方で、被告東電は、訴訟外で、原告331の長男に対し、日常生活阻害慰謝料と就労不能損害として合計518万134 4円を賠償しているが、長男は、本件事故当時、仙台市に本社をおく不動産業者の山 形市内の営業所に所属し、単身赴任しており、避難を要請されたものではなく、また、勤務先会社が9月26日に倒産して失職したが、勤務先会社は平成20年以降の財務内容が悪化の一途をたどって倒産しており、同人の失職と本件事故とは因果関係がない(丙D331の2、4)。したがって、被告東電には本来賠償義務はない。原告331は、世帯代表者として世帯の構成員全員の賠償金を受領しているところ、直接賠償 手続の趣旨を考慮すれば、申告に基づき賠償するこ 31の2、4)。したがって、被告東電には本来賠償義務はない。原告331は、世帯代表者として世帯の構成員全員の賠償金を受領しているところ、直接賠償 手続の趣旨を考慮すれば、申告に基づき賠償することとした費目について、客観的実態に反するのではないかというだけで今後被告東電が返還を求めるとは考え難く、かつ、手続の実際をみれば、損害賠償請求権者ではない同人が不当に利得したとみるよりも、原告331が経済的利益を受けたとみることが自然かつ合理的である。以上を踏まえ、同人に対し、さらに慰謝料を増額すべきであるとは認められない。 【世帯番号123(世帯代表原告番号333)】ア認定事実証拠(甲D333)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告333(59歳、板金業)は、現住所地と生まれ育ち、板金業を開業し、営業しながら稲作をしている。原告334(36歳、板金業)は同人の長男であり、原告 333と板金の仕事を一緒にし、農繁期には農作業を手伝っている。 イ判断原告333は、平成27年に稲作を再開したが作付面積を減らし、令和3年から飼料米に切り替えたことなどを陳述しており、世帯番号123の原告らが、環境が変化したことにより従前どおりの平穏な日常生活を維持できず精神的苦痛を受け、算定済 みの日常生活阻害慰謝料では評価し尽くせない精神的損害があると認められる。慰謝料を各10万円増額するのが相当であり、弁護士費用は各1万円とするのが相当である。 第4 結論原告らの被告東電に対する請求は、別紙3認容額等一覧表「認容額」欄に金額の記 載がある原告らについては、同欄記載の各金員及びこれに対する平成23年3月11 日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある 主文 欄に金額の記載がある原告らについては、同欄記載の各金員及びこれに対する平成23年3月11日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し、同人らのその余の請求及び別紙3認容額等一覧表「認容額」欄に金額の記載がない原告らの請求は理由がないからいずれも棄却し、原告らの被告国に対する請求は理由がないからいずれも棄却するのが相当である。 原告らの申立てにより仮執行宣言を付した上で、被告東電の申立てにより被告東電に担保を立てさせて仮執行免脱の宣言をする。 福島地方裁判所第一民事部裁判長裁判官 小川理佳 裁判官 松川まゆみ 裁判官 渡邉小百合 (別紙1原告目録及び別紙2原告ら代理人目録は、いずれも掲載を省略)
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