主文 原告の訴えのうち,原告が,被告に対し,PDPパネル製造- リペア作業及び準備作業などの諸業務に就労する義務のないことの確認を求める訴えを却下する。 被告は,原告に対し,45万円及びこれに対する平成17年11月23日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 原告のその余の請求(1項の却下部分に係る請求を除く)をいずれも棄。 却する。 訴訟費用は,これを12分し,その11を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 この判決は,2項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 原告(1) 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 (2) 被告は,原告に対し,平成18年3月から,毎月25日限り,24万0773円及びこれに対するそれぞれ支払期日の翌日から支払済みまで年6%の割合による金員を支払え。 (3) 原告が,被告に対し,PDPパネル製造- リペア作業及び準備作業などの諸業務に就労する義務のないことを確認する。 (4) 被告は,原告に対し,600万円及びうち300万円に対する平成17年11月23日から支払済みまで,うち300万円に対する平成18年3 月9日から支払済みまで各年5%の割合による金員を支払え。 (5) 訴訟費用は被告の負担とする。 (6) (2),(4)につき仮執行宣言 被告(1) 原告の請求をいずれも棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2事案の概要 前提となる事実(証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない)。 (1) 当事者ア被告会社訴外松下電器産業株式会社(以下「松下電器」という)は,平成1。 2年7月,子会社として被告会社(当時の商号は「松下プラズマディスプレイ製造株式会社を設立し同年 。 (1) 当事者ア被告会社訴外松下電器産業株式会社(以下「松下電器」という)は,平成1。 2年7月,子会社として被告会社(当時の商号は「松下プラズマディスプレイ製造株式会社を設立し同年10月東レ株式会社以下東」),,(「」。)(,レというが共同出資することにより合弁会社となり出資比率は松下電器75%,東レ25%,商号を現商号に変更した。 )被告会社は,平成13年6月から茨木第1工場(大阪府茨木市)で生産を開始し,平成16年には茨木第2工場で,平成17年には尼崎第3工場(兵庫県尼崎市)でも生産を開始し,3工場の生産能力は月産約28万台である。 イパスコ(「」。),,訴外パスコ株式会社以下パスコというは平成10年1月株式会社杉原産業の茨木事業所が分離独立して設立された,家庭用電気機械器具の製造業務の請負等を目的とする会社で,取引先メーカーの要望に応じて,工場内下請け名目で人材を供給していたが,平成13年7月,被告会社との間で,業務請負契約を締結した。 ウ原告 原告は,平成16年1月20日ころ,パスコとの間で雇用契約を締結しそのころより被告会社の茨木第1工場当時の茨木工場以下本,,(。 「件工場」という)において,PDP(プラズマ・ディスプレイ)パネ。 ルの製造業務の封着工程に従事していた。 (2) 原告による直接雇用の要求とその後の経緯ア原告による直接雇用の要求前記(1)イ,ウのとおり,パスコは,被告との間で,業務請負契約を締結し,原告を含むパスコの従業員が,本件工場においてPDPパネルの製造業務に従事していたが,原告は,平成17年4月ころから,被告に対し,直接雇用を申し入れるようになった。 さらに,原告は,同年5月11日,北摂地域労働組合(以下 員が,本件工場においてPDPパネルの製造業務に従事していたが,原告は,平成17年4月ころから,被告に対し,直接雇用を申し入れるようになった。 さらに,原告は,同年5月11日,北摂地域労働組合(以下「本件労働組合」という)に加入し(甲59,組合と被告との間の団体交渉。 )を通じて,引き続き直接雇用を申し入れることとした。 イ大阪労働局に対する申告,,,原告は平成17年5月26日本件工場における勤務実態についてパスコの従業員が,被告会社の従業員から直接指示・監督を受けるというものであり,パスコによる業務請負ではなく,実際には,パスコによる労働者の派遣であり,業務請負契約を装って労働者派遣事業をすることは,職業安定法44条,労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣(「」。)労働者の就業条件の整備等に関する法律以下労働者派遣法というに違反する行為であると申告した。 ウ大阪労働局の是正指導大阪労働局は,この申告を受け,被告から事情聴取をした上,平成17年7月4日,是正指導をした。 エ労働者派遣契約への切換パスコは業務請負から撤退し,被告は,別会社である株式会社アクテ (,「」。)ィス後のコラボレート株式会社であり以下アクティスというとの間で労働者派遣契約を締結し,平成17年7月21日より,同社から,派遣労働者を受け入れ,PDPパネルの製造業務を続けることとなった。 オ第1回交渉しかし,原告1人だけは,派遣労働者となることをせず,平成17年6月7日に開催された被告との交渉(第1回)において,被告に対し,直接雇用を申し入れた。 (3) 本件契約書の作成ア前記(2)のとおり,原告は,被告に対し,直接雇用を申し入れ,原告の加入する組合を通じて,被告との間で交渉がもたれた。 イ被告は,平成17年7月1 接雇用を申し入れた。 (3) 本件契約書の作成ア前記(2)のとおり,原告は,被告に対し,直接雇用を申し入れ,原告の加入する組合を通じて,被告との間で交渉がもたれた。 イ被告は,平成17年7月14日,直接雇用すると回答したが,その雇用期間は,期間工としての契約であり,また,その業務内容は,同年8月2日の時点で,PDPパネル製造- リペア作業及び準備作業などの諸業務と示された(甲14。 )ウ原告は,雇用期間と業務内容について異議をとどめながら,平成17年8月19日,被告との間で「期間工雇用契約書」と題する雇用契約,書(甲18)を作成した(以下「本件契約書」という。同契約書に基づく契約を,後述する本件雇用契約1,2と区別して「本件雇用契約3」という。 。)エ本件契約書に記載された雇用契約の内容は次のとおりである(なお,同記載中,契約期間,業務内容についての効力については,後述のとおり,争いがある。 。)(,契約期間平成17年8月22日から平成18年1月31日ただし平成18年3月末日を限度として更新することがある)。 就業場所被告茨木工場(本件工場) 業務内容PDPパネル製造- リペア作業及び準備作業などの諸業務(以下「リペア作業等」という)。 勤務時間午前8時30分始業午後5時15分終業休憩45分間賃金時間給1600円通勤手当実費支払方法毎月末日締切翌月25日支払オ雇用契約関係本件契約書の作成により,遅くとも,平成17年8月22日以降,原告と被告は,雇用契約関係にあったこととなるが,その根拠となる契約締結をいずれに求めるかについては,後述のとおり争いがある。 (4) 原告の業務内容原告は,パスコと雇用関係にあった当時担当していた封着工程の作業を希望していたが,本件契約書に記載された となる契約締結をいずれに求めるかについては,後述のとおり争いがある。 (4) 原告の業務内容原告は,パスコと雇用関係にあった当時担当していた封着工程の作業を希望していたが,本件契約書に記載された業務内容のうちリペア作業を命じられた。 ,,本件工場でPDPパネルのリペア作業を担当するのは原告だけであり他の従業員のいない部屋において,シートで囲まれた空間内での作業を命じられた。 (5) 本件契約書で定められた期間の満了平成18年1月31日が経過し,被告は,本件契約書で定められた契約期間が満了したとして,本件雇用関係が終了したと主張している。 原告の請求(訴訟物)原告は,被告に対し,次のとおり,地位等の確認と金銭の支払を求めている。 (1) 地位確認被告との間で締結した雇用契約が,期間の定めのない契約であり,解雇 は無効であるなどと主張して,被告に対し雇用契約上の権利を有することの確認を求めている。 (2) 賃金平成18年3月から毎月25日限り,24万0773円及びこれに対する各支払期限の翌日からの遅延損害金の支払を求めている。 (3) リペア作業等に従事する義務の不存在確認リペア作業等を命じられたことは,原告がそれまでに従事していた封着工程からの配転命令であるとした上で,同配転命令が無効であるとして,リペア作業等に就労する義務のないことの確認を求めている。 (4) 違法な解雇に基づく慰謝料被告が,原告を解雇したことが不法行為にあたり,精神的苦痛を受けたとして300万円の慰謝料及びこれに対する遅延損害金(平成18年3月9日から支払済みまで年5%の割合による)の支払を求めている。 (5) 違法な業務命令等に基づく慰謝料被告からリペア作業等を命じられたことなどが不法行為にあたり,精神的苦痛を受けたとして300万円の慰謝料及びこれ みまで年5%の割合による)の支払を求めている。 (5) 違法な業務命令等に基づく慰謝料被告からリペア作業等を命じられたことなどが不法行為にあたり,精神的苦痛を受けたとして300万円の慰謝料及びこれに対する遅延損害金(平成17年11月23日から支払済みまで年5%の割合による)の支払を求めている。 争点 (1) 雇用契約の成否及び内容ア黙示の雇用契約の成否イ労働者派遣法に基づく雇用契約の成否ウ本件雇用契約3における期間の定めの有無,効力(2) 雇用契約の帰趨ア解雇の有無及びその効力イ雇止めの成否 (3) 賃金(4) リペア作業等に従事する義務の存否(配転命令の有無及びその効力)(5) 不法行為の存否その1(解雇による不法行為の存否)(6) 不法行為の存否その2(業務命令等による不法行為の存否)第3争点に関する当事者の主張 前提となる雇用契約の成否及び内容【原告の主張】(1) 黙示の雇用契約の成否(主位的主張)ア原告は,被告の本件工場において,PDPパネルの封着工程に従事していたが,①原告と被告との間には使用従属関係があり,②原告の賃金額を,実際上被告が決定し,実質的にこれを支給しており,③原告の労務提供の相手方は被告であった。これらの事情のもとでは,黙示の雇用契約が成立したといえる(以下,この黙示の合意による契約を「本件雇用契約1」という。 。)イ期間の定め,業務内容なお,本件雇用契約1に,期間の定めに関する合意はなく,上記アの実態が継続していたことからすると,同契約は,期間の定めのない契約として成立したこととなり,その業務内容は,PDPパネルの封着工程である。 ウ本件契約書作成との関係,,,原告と被告は平成17年8月19日本件契約書を作成しているがこのときに雇用契約を締結したという したこととなり,その業務内容は,PDPパネルの封着工程である。 ウ本件契約書作成との関係,,,原告と被告は平成17年8月19日本件契約書を作成しているがこのときに雇用契約を締結したというわけではなく,既に成立している本件雇用契約1の労働条件を確認したに過ぎない。 ,,本件契約書には契約期間の定めと業務内容についての条項があるが原告は,いずれの条項についても異議を留保した。 上記アのとおり,いったん,期間の定めのない雇用契約が締結された 以上,原告の同意なくして期間の定めのあるものに変更することはできない。 仮に,新たに本件契約書記載のとおりの合意がされたとしても,同契約書作成に至る事情の下では,期間の定め自体が公序良俗に反するものとして無効とされるべきものである(後記(3)参照。 )(2) 労働者派遣法に基づく雇用契約の成否(予備的主張1)ア仮に,前記(1)の本件雇用契約1の成立が認められないとしても,次のとおり,労働者派遣法に基づき雇用契約の成立が認められるべきである。 すなわち,労働者派遣事業と請負事業とを区別する基準に従えば,被告とパスコとの関係は労働者派遣というべきである。ところで,労働者派遣法40条の4では,派遣受入可能期間を超えて,当該派遣労働者を使用しようとする場合,派遣先事業主に対し,派遣労働者に対する雇用契約の申込を義務づけている。 ,,,労働者派遣法35条の2第1項40条の2では一定の業務を除き派遣期間に制限があり,原告が従事してきた「物の製造の業務」では,派遣期間の上限は1年である。したがって,製造業に対する労働者派遣事業が解禁され適法となってから1年を経過した平成17年3月1日の時点で,被告には,原告に対する雇用契約申込義務が発生するが,被告が,原告からの労務の提供を受け続けたことは, 造業に対する労働者派遣事業が解禁され適法となってから1年を経過した平成17年3月1日の時点で,被告には,原告に対する雇用契約申込義務が発生するが,被告が,原告からの労務の提供を受け続けたことは,雇用契約の申込にあたる。そして,原告が,被告での就労を継続することにより,原告の承諾があったとものとして,原告と被告との間に,雇用契約が成立したことになる(以下「本件雇用契約2」という。 。)イ期間の定めなお,労働者派遣法が雇用申込義務を定めた立法趣旨や,労働契約については期間の定めがないのが原則であることからすると,本件雇用契 約2は,期間の定めのない契約として成立したこととなる。 ウ本件契約書作成との関係原告と被告が,平成17年8月19日,本件契約書を作成していることとの関係については,前記(1)ウと同じである。 (3) 本件雇用契約3における期間の定めの有無,効力(予備的主張2)ア雇用契約の成立仮に,前記(1),(2)の本件雇用契約1,2の成立が認められないとしても,平成17年7月14日,被告から原告に対し,雇用の申し込みがあり,同年8月19日,本件契約書を作成し,雇用契約(本件雇用契約3)が成立している。 イ期間の定めの無効(ア) 本件契約書には,契約期間の定めと業務内容についての条項があるが,原告は,いずれの条項についても異議を留めており,合意に達しておらず,無効である。 (イ) 本件雇用契約3は,被告が,1年半にわたり,職業安定法,労働者派遣法に違反して,原告を使用した後,その違法であることの指摘を受けて締結するに至ったものであり,労働者派遣法40条の4に基づいてなされたものである。また,被告は,原告から上記指摘がなければ,同様の違法な状態を継続していたと思われること,当時,原告の従事していた業務がなくなること ものであり,労働者派遣法40条の4に基づいてなされたものである。また,被告は,原告から上記指摘がなければ,同様の違法な状態を継続していたと思われること,当時,原告の従事していた業務がなくなることは考えられないことからすると,直接雇用の申込にあたり,契約期間を短期間に限定することは著しく正義に反し,極めて不当である。 ,,,,また被告が本件雇用契約3の申込において契約期間を限定し業務内容をリペア作業等に限定することは,原告が所属する労働組合,。 の影響を嫌い原告を排除しようとする不当な目的によるものであるこのような対応は,労働者派遣法49条の3が,派遣労働者が,厚生 労働大臣に対し,派遣元事業主,派遣先事業主の労働者派遣法令の違反事実を申告することを認め,派遣労働者が上記の申告をしたことを理由とする不利益な取扱の禁止を定めた規定に違反する。 被告は,原告をただひとり期間工として扱うなど,その他の労働条件,待遇などさまざまな局面において不平等な取扱をしている。 また,被告は,原告の窮乏に乗じて本件契約書を作成させたものである。 これらの事情によると,期間の定めは公序良俗に反するものとして無効である(民法90条。 )【被告の主張】(1) 黙示の雇用契約の成否本件雇用契約3の締結前に,原告と被告との間で直接の雇用契約が締結されたことはない。 そもそも,原告及び本件労働組合は,当時,被告との間に雇用契約関係がないことを前提に,被告に対し,直接雇用契約の締結を要求していた。 なお,原告が従事していた封着工程における指揮命令系統によって雇用契約の成否がきまるものではない。 (2) 労働者派遣法に基づく雇用契約の成否ア本件雇用契約3の締結前に,原告と被告との間で直接の雇用契約が締結されたことはない。 被告とパスコとの契約は労働者 用契約の成否がきまるものではない。 (2) 労働者派遣法に基づく雇用契約の成否ア本件雇用契約3の締結前に,原告と被告との間で直接の雇用契約が締結されたことはない。 被告とパスコとの契約は労働者派遣契約ではなかったから,労働者派遣法の適用はない。 仮に労働者派遣法の適用があるとしても,同法40条の4に基づく雇用契約の申込義務は,①派遣元事業主から同法35条の2第2項の通知を受けた場合において,②当該労働者派遣の役務を受けたならば同法40条の2第1項の規定に抵触することとなる最初の日以降継続して 同法35条の2第2項の通知を受けた派遣労働者を使用するときに,当該派遣労働者であって当該派遣先に雇用されることを希望する者に対し,,,て生じるものであるがパスコから派遣停止の通知がない以上被告は同法40条の4に基づく雇用契約の申込義務を負わない。 また,仮に被告が雇用契約の申込義務を負うとしても,被告が申込をしていない以上,平成17年3月1日付けで雇用契約が成立することはあり得ない。 イ仮に,平成17年3月1日付けで,原告と被告との間に,何らかの雇用契約が締結されたとしても,本件雇用契約3の締結により,同契約の定める内容に変更されたものである。 (3) 本件雇用契約3における期間の定めの有無,効力ア異議を留めたとの主張について契約交渉過程において,自己の要求を相手に告げたからといって,要求した内容が契約内容になるものではない。 契約内容は,最終的な契約当事者の意思表示の内容から判断されるべきであるが,本件雇用契約3の契約内容は,本件契約書の記載から判断すべきであるところ,同契約書によると,契約期間を平成18年1月31日までとする内容となっている。 イ労働者派遣法40条の4に基づく雇用契約であるとの主張について前記(2)のとお 書の記載から判断すべきであるところ,同契約書によると,契約期間を平成18年1月31日までとする内容となっている。 イ労働者派遣法40条の4に基づく雇用契約であるとの主張について前記(2)のとおり,被告は,労働者派遣法40条の4に基づく雇用契約申込の義務を負っておらず,原告の主張は前提を欠く。 仮に,本件雇用契約3が,労働者派遣法40条の4に基づいて,雇用契約を申し込んだ結果,締結されたとしても,雇用契約の申込に際し,どのような契約期間で申し込むかは,申込者(使用者)の自由である。 ウ労働者派遣法49条の3に違反するとの主張について前記(2)のとおり,原告と被告との間に,労働者派遣法の規定の適用 はない。 また,原告と被告との間には,雇用契約関係がなかったところ,本件雇用契約3を締結したのであって,同契約の締結によって,原告は何ら不利益を被るものではない。 ちなみに,原告とパスコとの間の雇用契約は,期間2か月,時給800円であり,これと比べ,本件雇用契約3は有利な内容となっている。 雇用契約の帰趨【原告の主張】(1) 解雇の有無及びその効力ア解雇の意思表示被告は,平成17年12月28日,原告に対し,平成18年1月末日をもって,解雇する旨通告した(以下「本件解雇」という。 。)なお,前提となる事実(5)のとおり,被告は,本件契約書に記載され,,た契約期間の満了をもって雇用契約関係が終了したと主張しているが原告の主張1(1)ないし(3)のとおり,いずれの契約であっても,期間の定めのない雇用契約であるから,雇止めする旨の通告であっても,解雇の意思表示であると解される。 イ解雇の効力しかし,原告を解雇する正当な事由は一切なく,本件解雇の意思表示は,権利の濫用であり,無効である。 また,本件解雇は,被告が,平成17年8 あっても,解雇の意思表示であると解される。 イ解雇の効力しかし,原告を解雇する正当な事由は一切なく,本件解雇の意思表示は,権利の濫用であり,無効である。 また,本件解雇は,被告が,平成17年8月22日から,原告ひとりを隔離して業務に従事させるなど原告に対する差別的な取扱を行い労,(働組合法7条1号,同時に他の労働者に対する見せしめとして原告を)利用していたことから(同法7条3号,本件解雇が原告の正当な組合)活動に対する嫌悪の意図に基づいてされたことは明白である。 (2) 雇止めの成否 仮に,本件雇用契約1,2が認められず,本件雇用契約3における期間,,の定めが有効であるとしても原告の主張1(3)イ(イ)の事情に照らすと雇止めは信義則に違反し,許されない。 【被告の主張】(1) 解雇の有無及びその効力本件雇用契約1,2は成立しておらず,その解雇もない。 本件雇用契約3については,期間満了により終了したのであり,被告が原告を解雇したことはない。 (2) 雇止めの成否被告は,本件雇用契約3について,契約期間を平成18年1月31日までとした上で,契約の更新については,同年3月31日を超えて更新はしないと明言しており,原告もこれを認識しているのであるから,本件雇用契約3がある程度継続されることを期待するような状況ではなかった。 また,本件雇用契約3の契約期間は,もともと半年にも満たず,短期であること,原告の従事したリペア作業は,PDPリユース計画のために必要なサンプルを確保するものであり,一時的な業務であること,本件雇用契約3は一度も更新されていないこと,被告が,期間満了の1か月以上前である平成17年12月28日,原告に対し,本件雇用契約3が平成18年1月31日,期間満了により終了する旨を伝えていることからも,原告が本件 度も更新されていないこと,被告が,期間満了の1か月以上前である平成17年12月28日,原告に対し,本件雇用契約3が平成18年1月31日,期間満了により終了する旨を伝えていることからも,原告が本件雇用契約3が継続されることを期待していなかったことは明らかである。 したがって,本件雇止めに,解雇に関する法理が適用されることはないというべきである。 賃金【原告の主張】前提となる事実(3)エのとおり,原告の賃金は,時給1600円,当月末 日締め,翌月25日支払であり,直近3か月でみると,平均1か月24万0773円が支給されていた。 ,,,,原告の主張2のとおり本件解雇は無効であるから被告は原告に対し平成18年2月分以降の賃金を支払う義務がある。 【被告の主張】原告と被告との間の雇用契約関係は有効に終了しており,平成18年2月分以降の賃金請求権は発生しない。 リペア作業等に従事する義務の存否(配転命令の有無及びその効力)【原告の主張】(1) リペア作業等に従事することを命じる業務命令が配転命令であること原告は,被告の本件工場において,PDPパネルのリペア作業に従事する前,PDPパネルの封着工程に従事していた。 したがって,原告の主張1(1),(2)の契約が成立したと認められる場合,被告が平成17年8月22日以降,原告に対し,リペア作業等を命じたことは,配転命令にあたる(以下「本件配転命令」という。 。)(2) 配転命令の無効当時,PDPパネルのリペア作業自体その必要性がなく,本件配転命令は,原告に対するいやがらせ,原告が大阪労働局へ是正申告したことに対する報復,さらには,不当労働行為の一環としてされた。 このような動機,目的でされた本件配転命令は,権利を濫用するものであって,無効である。 (3) 本件契約書に記載 大阪労働局へ是正申告したことに対する報復,さらには,不当労働行為の一環としてされた。 このような動機,目的でされた本件配転命令は,権利を濫用するものであって,無効である。 (3) 本件契約書に記載された業務内容の合意について原告の主張1(3)イ(イ)のとおり,本件雇用契約3は,労働者派遣法40条の4に基づいて申込があり,締結されたものである。派遣労働者に対し,派遣先の雇用申込義務が発生するのは,派遣受入期間を超えて役務の提供を受け続ける場合であり,当然のことながら業務の継続が前提となっ ており(当時,被告においてPDPパネルの生産が停止することは考えられない,業務の内容も従前続けていた業務となるはずである。 。)その他,原告の主張1(3)イ(イ)と同様の理由により,期間の定めと同様,本件契約書に記載された業務内容に関する定めは無効である。 【被告の主張】(1) 本件雇用契約1,2を前提とする主張について被告の主張1(1),(2)のとおり,本件雇用契約1,2は成立しておらず,その前提を欠く。 (2) 本件雇用契約3について本件雇用契約3の内容を記載した本件契約書によると,原告の業務内容は,PDPパネル製造- リペア作業及び準備作業などの諸業務であることが明示されている。 異議を留保したか否かにかかわらず,本件契約書の記載から契約内容を判断すべきであることは,被告の主張1(3)アのとおりである。 また,労働者派遣法40条の4,49条の3に基づく主張についても,被告の主張1(3)イ,ウのとおり理由はない。 不法行為の存否その1【原告の主張】(1) 原告の主張2(1),(2)のとおり,本件解雇もしくは雇止めは理由がないだけでなく,原告を被告から排除する,不当労働行為,大阪労働局への是正申告に対する報復という,きわめて悪質な目的を 張】(1) 原告の主張2(1),(2)のとおり,本件解雇もしくは雇止めは理由がないだけでなく,原告を被告から排除する,不当労働行為,大阪労働局への是正申告に対する報復という,きわめて悪質な目的を有するものであり,本件解雇,雇止め自体が不法行為にあたる。 (2) その結果,原告は精神的苦痛を受けた。その慰謝料は300万円が相当である。 【被告の主張】被告の主張2のとおり,本件雇止めは有効であり,また,解雇はしていな いのであるから,不法行為は成立しない。 不法行為の存否その2【原告の主張】(1) 被告から排除されたことによる精神的苦痛ア他の従業員からの隔離被告は,本件雇用契約後,原告を本件工場D棟4階のPDPパネル背面板置き場の北西角付近に特別に設置したビニールのテントの中に隔離して作業を行わせた。テントの色は,原告が抗議し,透明のものと取り替えられるまで黒色であった。また,テントだけでなく,衝立も設置していた。原告をこのような方法により隔離する必要は全くなかった。 イ原告の行動範囲の制限被告は,本件雇用契約後,本件工場内で原告が通ることができる通路を限定した。 ウ就業規則の不交付被告は,本件雇用契約後,原告が求めても就業規則を交付せず,閲覧を制限した。 エ出勤簿の場所原告の出勤簿は5階に置かれていたので,原告は,毎朝5分かけて押印するために出向く必要があった。 オメモの禁止原告が,5階事務所前にあるホワイトボードの工場内の安全・衛生に関する掲示物をメモしていたところ,班長がこれを禁止した。 カ朝会への不参加朝会に原告を参加させなかった。 キPANAカードの不交付被告は,他の従業員にはPANAカード(身分証明書)を交付してい たのに,原告には交付しなかった。 クPHSの不交付被告の正社員でPHS に原告を参加させなかった。 キPANAカードの不交付被告は,他の従業員にはPANAカード(身分証明書)を交付してい たのに,原告には交付しなかった。 クPHSの不交付被告の正社員でPHSの貸与を受けていなかったのは原告だけである。 ケ社内報の不交付社内報を原告に交付しなかった。 (2) 不必要なリペア作業を命じられたことによる苦痛リペア作業は,被告が原告を直接雇用するために,ことさら用意された作業である。 しかも,同作業は,間隔がわずか100ミクロンと極めて狭い端子の間の異物を,ルーペでのぞき込みながら,竹串,竹箸,しゃもじなどで端子にキズをつけないように取り除くという,集中力を要する作業で,極度の緊張感を伴う精神的苦痛を強いる作業であった。 また,同作業は,緊張した状態で手先を器用にコントロールして行わなければならず,平成17年8月26日には既に手にたこができ,指の皮が剥けるくらいの無理のある作業であり,また,長時間従事し続けることにより,手首が痛くなり,無理をすれば腱鞘炎を発症するおそれがある肉体的苦痛を伴う作業であった。 (3) 慰謝料額前記(1),(2)の結果,原告は精神的苦痛を受けた。その慰謝料は300万円が相当である。 【被告の主張】(1) 被告からの排除についてア他の従業員からの隔離原告が従事したリペア作業の場所や設備は,原告を他の従業員から隔離するためのものではない。 作業場所については,作業スペースを確保することができ,不良PDPパネルを集積する場所と同じフロアにあり便利であったからである。 ,「」,,また原告がテントと主張するものは帯電防止用シートであり静電気の発生とこれを原因とするダストの集塵を抑えるためのもので,リペア作業をするために必要な設備である。 イ行動範囲の制 」,,また原告がテントと主張するものは帯電防止用シートであり静電気の発生とこれを原因とするダストの集塵を抑えるためのもので,リペア作業をするために必要な設備である。 イ行動範囲の制限について,,,被告ではセキュリティ規程が設けられ各社員の業務内容によって立ち入れる場所や部屋などが限定されている。原告についても,その業務内容に応じた行動範囲の制約が課されたに過ぎない。 ウ就業規則の不交付について被告は,他の社員にも就業規則を交付しておらず,原告に交付しなかったことが差別的取扱とはならない。就業規則の閲覧については,何らの制限も設けていない。 エ出勤簿の場所について他の従業員についても出勤簿は存在し,原告に対する差別的取扱があったわけではない。 オメモの禁止について原告が,ホワイトボードに掲載されていた作業主任者等の資格取得者リストをメモしていたので,個人情報保護のため,メモを制限したものである。 カ朝会への不参加について朝会は,業務連絡の徹底にあったため,単独作業を行っていた原告には必要がなかった。 キPANAカードの不交付についてPANAカード(Panasonic カード)は,松下電器の社員証であり,これに出張旅費や経費精算等の機能が付加しているものである。被告で 勤務する従業員の中で,松下電器からの出向社員は所持しているが,合弁パートナーである東レからの出向社員は所持していない。 原告に上記カードが配布されていないのは,原告が松下電器の社員でないからである。 クPHSの不交付についてPHSは,被告の管理業務や業務上特に必要な者に対してのみ貸与している。 原告の従事していたリペア作業にはPHSは必要なかったので貸与していない。 ケ社内報の不交付被告においては,被告の社内報を掲示板に掲示す の管理業務や業務上特に必要な者に対してのみ貸与している。 原告の従事していたリペア作業にはPHSは必要なかったので貸与していない。 ケ社内報の不交付被告においては,被告の社内報を掲示板に掲示する方法により,全員の閲覧に供しており,全社員に交付する運用はとっていない。なお,松下電器の社内報は,別途,同社員(出向社員)に交付されていたが,原告は同社の社員ではないので,交付されなかった。 (2) リペア作業についてリペア作業とは,PDPパネルの周囲に取り付けられているFPCやACFテープの取付異常等により,縦線不良・横線不良等が発生した不良PDPパネルにつき,FPC及びACFテープを取り外すことにより,不良PDPパネルを再生利用可能なものにする作業をいう。 この作業は,平成14年3月ころまでは,被告の国内工場において実施されており,現在は,Panasonic 等離子顕示器上海有限公司(以下「上海工場」という)において実施されているが,これまでに,過度の負担が。 かかるとのクレームが発生したことはない。 被告では,PDPパネルの端子間隔が狭くなり,性能が向上したことにより,不良PDPパネルの発生率も高くなっていた。このため,PDPリユース計画(リペア作業により,再生利用可能な状態にし,ロスコストを 削減する)の実施が検討されており,リペア作業が不必要な作業である。 ということはない。 (3) 慰謝料額争う。 第4当裁判所の判断 本件紛争を巡る経緯事実前提となる事実,証拠(甲1~6,8,甲9の1・2,甲10の1~4,甲11~15,甲16の1・2,甲17~22,58,59,甲63の1~4,乙1~17,22,24,25,乙26の1・2,証人P1,同P2,同P3,原告本人)及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。 ( の1・2,甲17~22,58,59,甲63の1~4,乙1~17,22,24,25,乙26の1・2,証人P1,同P2,同P3,原告本人)及び弁論の全趣旨によると,次の事実を認めることができる。 (1) 当事者ア当事者については,前提となる事実(1)ア記載のとおりである。 イ被告とパスコとの契約,,被告は松下電器と東レなどによる共同出資で設立された会社でありPDPパネルを製造していたが,製造ラインの従業員は,松下電器や東レからの出向による従業員と,パスコやアクティスなどとの間で雇用関係のあった者が従事しており,被告との間で直接の雇用関係にある者はいなかった(弁論の全趣旨。 )ウ原告の業務内容パスコは,被告との間で,PDPパネルの製造工程の一部につき,業,,,務請負契約を締結しており原告はパスコとの間で雇用契約を締結し平成16年1月20日から,被告の本件工場において働き始めた。 本件工場において,原告は,PDPパネルの製造業務における封着工程に従事していた。各工程には,班長と呼ばれる工程管理者と,これを補佐する現場リーダーがいたが,いずれもパスコの従業員ではなかった (原告は,現場リーダーを「松下の従業員」と表現するが,松下電器からの出向者である。 。)封着工程における具体的な業務の流れは次のとおりであった(甲58の3頁以下。 )(ア) 午前7時45分~8時00分松下電器からの出向社員の指導のもと,同社員とパスコの従業員とが朝会を行い,引継事項や報告事項を確認したりするが,その際,松下電器の綱領,信条及び遵奉精神を唱和した。 (イ) 午前8時00分~午後7時30分ころ着火用の酸素ボンベの残量確認や,接着剤の塗布状態の確認をするなど通常作業の準備を行った上,クリーンルームから送られてくるPDPパネルに対し,放 和した。 (イ) 午前8時00分~午後7時30分ころ着火用の酸素ボンベの残量確認や,接着剤の塗布状態の確認をするなど通常作業の準備を行った上,クリーンルームから送られてくるPDPパネルに対し,放電ガス(Ne-Xe)を内部に封じ込め,次の排気工程へパネルを送る作業を行っていた。 実際には,機械によって行われる作業が多く,原告は,接着剤の塗布状態を目で確認し,塗布状態の悪いものについては,接着剤の入ったフリットポットを交換したり,不良品の検査(ゲッター管の高さや位置の確認)をしたりしていた。 このような作業は,松下電器からの出向社員とパスコの従業員,アクティスの従業員が共同で行っていた。 終業間際になって,作業工程で生じた不要なガラス管を専用の台車で回収し,廃棄場所に保管した。 (ウ) 勉強会の実施ときおり,松下電器からの出向社員,パスコなどの従業員が参加する勉強会が実施された。業務命令に基づくもので,残業代が支給された。 (2) 原告による直接雇用の要求とその後の交渉経緯 ア原告による直接雇用の要求原告は,平成17年4月ころから,被告に対し,直接雇用を要求するようになった。 当初,被告から応答がなかったため,原告は,同年5月11日,本件労働組合に加入し,同組合は,同年5月20日,被告との団体交渉を求めた(乙3。 )被告は,当初,原告との間で雇用関係がないので,団体交渉には応じないという姿勢をとっていたが,同年5月24日,話し合いには応じる,(,「」。)。 こととしその旨回答した以下被告との交渉を単に交渉というイ大阪労働局に対する申告,,,,原告は被告との交渉と併行し同年5月26日大阪労働局に対し是正申告をした(前提となる事実(2)イ。 )ウ大阪労働局による指導平成17年6月1日,大阪労働局による調 に対する申告,,,,原告は被告との交渉と併行し同年5月26日大阪労働局に対し是正申告をした(前提となる事実(2)イ。 )ウ大阪労働局による指導平成17年6月1日,大阪労働局による調査があり,同年7月4日,被告は,大阪労働局において,改善計画書を提出し,同局から,是正指導書を受け取った。 被告の改善計画によると,デバイス部門における請負契約を派遣契約に切り替えるというものであった(デバイス部門のほかに,セット部門があるが,偽装請負問題は,デバイス部門において,よりその違法性の疑いが強いと考えられたためであると思われる。 。)(甲59)エ労働者派遣契約への切換被告は,上記改善計画に従い,デバイス部門におけるパスコとの間の業務請負契約を解消し,同部門の業務について,別会社であるアクティスとの間で労働者派遣契約を締結し,平成17年7月21日より,同社から,派遣労働者を受け入れ,PDPパネルの製造業務を続けることと なった。 オ第1回交渉平成17年6月7日,被告と原告及び本件組合との間で第1回目の交渉が持たれ,原告や本件組合は,被告に対し,原告を直接雇用するよう要求した。 被告は,原告の希望を聴取し,時間をとって検討したいと答えた。 (乙24,証人P2)(3) 本件雇用契約3の締結(甲58,59,証人P1,原告本人)ア第2回以降の交渉その後,平成17年6月20日(第2回,7月4日(第3回,7))月14日(第4回,7月28日(第5回,8月2日(第6回)に,))被告と原告及び本件組合との間で交渉が持たれた。 イ直接雇用の申込被告は,平成17年7月14日(第4回)の交渉において,原告に対し,直接雇用の申込をし,雇用期間等を記載した書面(甲13)を交付した。それによると,被告の提示した申込内容は,契約期間 直接雇用の申込被告は,平成17年7月14日(第4回)の交渉において,原告に対し,直接雇用の申込をし,雇用期間等を記載した書面(甲13)を交付した。それによると,被告の提示した申込内容は,契約期間が平成17年8月1日から平成18年1月31日までの6か月間(ただし,平成18年3月末日を限度としての更新はあり得る)というものであり,ま。 た,業務内容は「PDPパネル製造・設備運転・運搬・材料補給などの諸業務及び関連業務」というもので,原告が従事していたものとの関係が不明であった。 本件組合の執行委員長で,交渉に同席していたP1は,直接雇用の申し入れを受けたことを歓迎し,いったん了承しようとしたが,改めて,提示された条件について検討することとし,翌7月15日,原告と本件組合は,被告に対し,期間の定めのない契約とするよう申し入れた。 ウパスコとの契約終了 原告とパスコとの契約は,平成17年7月末日までであった。 しかし,パスコは,平成17年7月20日限りで,本件工場のデバイス部門(原告が従事していた封着工程は,これに含まれる)から撤退。 ,,,することになったので原告に対しセット部門に移るよう打診したが原告は,これを断った。 そのため,原告は,平成17年7月20日限りで,パスコを退職することとなった(上記7月末日までの約定にかかわらず,8月20日分までの解雇予告手当が支給された)。 (甲9の1,証人P112頁,証人P230頁。 )エ異議の留保平成17年7月28日(第5回)の交渉において,本件組合は,期間の定めのない契約とするよう申し入れをするとともに,業務内容を,原。 ,,告が従事していた業務とするよう申し入れたしかし被告の担当者は「同じ封着工程では,原告と他の従業員との間に気まずさがあるであろう」と述べて,いずれ 申し入れをするとともに,業務内容を,原。 ,,告が従事していた業務とするよう申し入れたしかし被告の担当者は「同じ封着工程では,原告と他の従業員との間に気まずさがあるであろう」と述べて,いずれの申し入れについても応じられないという態度。 に終始した。 これに対し,原告及び本件組合から,雇用契約書に異議を留める旨の記載をしたいとの申し入れがされた。 しかし,被告は,異議を留める旨の記載がされるのであれば,契約を締結しないとして,申し入れを拒否した。 なお,この交渉においては,賃金についても協議がされた。 オ本件契約書の作成平成17年8月2日(第6回)の交渉においても,平行線のままであったが,被告は,期間の定め(平成17年8月22日から平成18年1月31日まで。ただし,平成18年3月末日を限度として更新することがある,業務内容(PDPパネル製造- リペア作業及び準備作業な。) どの諸業務)の記載のある契約書(本件契約書/甲18)を原告に交付して,署名押印を求めた。 原告及び本件組合としては,パスコとの契約関係が解消されている状況であることに加え,これまでの交渉の経緯から,申し入れに固執していては,雇用契約の締結は困難であると考え,別途,異議を留める旨の意思表示をした上で,雇用契約を締結させることとした。 そこで,原告は,内容証明郵便において,期間の定めのない契約を締結するよう,また,業務内容を従前と同様のものとするよう要求し,被告の提示した条件について異議を留める旨の通知をした上で(甲16の1・2,被告が用意した雇用契約書(本件契約書)に署名押印したも)の(甲18)を,同年8月19日,被告に届けた。 これによって,本件雇用契約3が締結された。 (4) 本件雇用契約3締結後の原告の勤務状況ア原告は,平成17年8月22日から, )に署名押印したも)の(甲18)を,同年8月19日,被告に届けた。 これによって,本件雇用契約3が締結された。 (4) 本件雇用契約3締結後の原告の勤務状況ア原告は,平成17年8月22日から,被告から直接雇用された従業員として出社し,人事担当のP4から社会保険等の説明を受け,手続を済ませて午前中で退社した。 翌23日から実際の業務に従事することとなったが,午前中は,松下グループの事業内容一般についての説明と,ブラウン管とPDPパネルとの違いの説明を受けた。 同日午後,本件工場の4階のクリーンルームに案内され,PDPパネルのリペア作業とその準備作業に従事するよう命じられた。 (甲58,原告本人)イリペア作業の具体的内容リペア作業とはPDPパネルの周囲に取り付けられているFPC屈,(曲性のある回路基板で,PDPパネルに電源や信号を伝える)やAC。 (,。)Fテープ異方性導電膜でFPCとパネル端子との接着導通をさせる の取付異常等により,縦線不良・横線不良等が発生した不良PDPパネルにつき,FPC及びACFテープを取り外すことにより,不良PDPパネルを再生利用可能なものにする作業をいい,具体的には,FPCを取り外した上で,PDPパネルの端子上に残っているACFテープの残片を竹串などを使用して取り除くというものであった。 この作業は,平成14年3月ころまでは,被告の国内工場において実施されていたが(もっとも,そのころのPDPパネルと,原告がリペア作業を担当したPDPパネルとは端子間の位置が異なっていた,そ。)の後,国内では,不良PDPパネルが発生した場合は,廃棄しており,関連会社の上海工場において実施されているに過ぎなかった(担当者は1名である。 。)(甲58,乙25,証人P33頁,弁論の全趣旨)ウリペア作 不良PDPパネルが発生した場合は,廃棄しており,関連会社の上海工場において実施されているに過ぎなかった(担当者は1名である。 。)(甲58,乙25,証人P33頁,弁論の全趣旨)ウリペア作業の環境被告は,原告がリペア作業に従事するにあたり,作業手順やチェックポイント,安全上の注意事項等を記載した作業指図書を交付した(乙25の3頁。 )原告がリペア作業を命じられた場所は,外部の運送会社が背面板を搬入し,これを投入機に投入する部屋であった(原告が述べるような,いわゆる倉庫とは異なる。この部屋は,不良PDPパネルと回路基板。)とを解体する作業場所の近くにあり,空きスペースがあったために,同スペース内にリペア作業の作業場が設置された。 リペア作業では,ガラスの表面や電極端子間を竹串などで擦る作業を行うため,静電気が発生し,ほこりが集塵しやすく,これを防止するため,作業場は,帯電防止用シート(当初は黒色であった)で囲んだも。 のであった。 なお,その部屋で常時作業する者は,原告以外に誰もいなかった。 (,,,,,,)甲32 甲63の1~4乙25証人P3原告本人エリペア作業の環境の変更,,,,当初原告は竹串で異物を除去していたが平成17年8月25日竹箸に変更するよう申し入れ,これが受け入れられた。 さらに,原告は,同年8月29日,しゃもじに変更するよう申し入れたところ,これも受け入れられた。 原告が,黒いシートについて不平を述べていたところ,被告は,平成17年9月8日,黒いシートを透明のものに変更したが,その際,これまで設置していなかった衝立を設置した。 (甲58,証人P3,原告本人)オリペア作業の終了被告は,100枚ないし200枚の不良PDPパネルに対し,リペア作業を施そうと に変更したが,その際,これまで設置していなかった衝立を設置した。 (甲58,証人P3,原告本人)オリペア作業の終了被告は,100枚ないし200枚の不良PDPパネルに対し,リペア作業を施そうと考えていたところ,平成17年12月初旬,原告の作業の進捗状況をみて,雇用期間の満了時までにリペア作業の枚数を163枚とすることとした。 原告は,当初,1日2枚程度のペースであったが,その後,作業効率が向上し,雇用契約期間が満了するまで(平成18年1月31日)に約120枚を処理した。 なお,予定枚数に満たない枚数分については,原告の雇用契約期間満了後,他の従業員が,予定枚数に達するまでリペア作業を担当した。 (甲58,乙25,証人P3,原告本人)(5) 雇止めの意思表示ア本件雇用契約3締結後も,原告及び本件組合と,被告との間で,原告の労働条件について,交渉が継続されてきたが,その中で,被告は,平成17年12月28日,翌年1月31日の満了をもって,雇用契約が終了する旨通告した(乙7~9,16,弁論の全趣旨。 ) イ原告及び本件組合は,上記通告について抗議したが,被告は,平成18年1月31日の満了をもって,原告との雇用契約関係は終了したとして,原告の就労を拒否している。 雇用契約の成否及びその内容(1) 黙示の雇用契約(本件雇用契約1)の成否原告は,被告の本件工場において,PDPパネルの封着工程に従事していたころ,その使用従属関係などから,原告と被告との間に黙示の雇用契約(本件雇用契約1)が成立していたと主張する。 たしかに,証拠(甲26,27,甲28の1~3,甲29,58,原告本人)及び弁論の全趣旨によると,原告がパスコに籍を置き,封着工程に,,,,従事していた当時の本件工場における作業は一定の技術を要しまたその都度,指 7,甲28の1~3,甲29,58,原告本人)及び弁論の全趣旨によると,原告がパスコに籍を置き,封着工程に,,,,従事していた当時の本件工場における作業は一定の技術を要しまたその都度,指示を受けながらする作業であるが,原告は,パスコの従業員から指示を受けていたわけではなく,松下電器から被告に出向している従()。 ,業員から指示指揮命令を受けていたことが認められるこれによると原告に対する指揮命令は,被告が行っていたと認めることができる(その意味では,原告を含むパスコ従業員の当時の就労形態は,いわゆる偽装請負の疑いが極めて強い。 。)しかし,上記の事情があるからといって,原告と被告との間に,雇用契約関係が成立するということにはならない。雇用契約の本質は,労働を提,,,供しその対価として賃金を得る関係にあるが労働の提供の場において原告と被告との間に指揮命令関係があるといっても,その間に,賃金の支払関係がない場合は,両者の間に雇用契約関係があるとはいえない。 ところで,本件では,原告はパスコとの間で雇用契約を締結し,パスコから賃金を支給されていた(前提となる事実(1),弁論の全趣旨。 )一方,被告とパスコとの間に資本関係などは認められず,被告とパスコが実質的に一体であると認めるに足りる証拠もない。 上述した関係の実質は,むしろ,パスコと被告が,パスコを派遣元,被告を派遣先とする派遣契約を締結し,同契約に基づき,パスコとの間で雇用契約を締結していた原告が,被告に派遣されていた状態というべきである。しかし,そのような状態が継続したからといって,原告と被告との間に黙示の雇用契約が成立することにはならないというべきである。 なお,原告は,原告の賃金額を,実際上被告が決定していたことを黙示の雇用契約の成立の理由として主 が継続したからといって,原告と被告との間に黙示の雇用契約が成立することにはならないというべきである。 なお,原告は,原告の賃金額を,実際上被告が決定していたことを黙示の雇用契約の成立の理由として主張する。 たしかに,金銭の流れは,請負契約(その実質は派遣契約)に基づき,被告からパスコに対して代金が支払われ,さらにパスコから原告に対して賃金が支払われており,その関係からすると,上記請負代金額が,パスコと原告との間の賃金額の決定に与える影響は大きいということがいえる。 しかし,そのことから,原告と被告との関係を雇用契約関係ということはできず,派遣先と派遣労働者の関係にあるという上記認定を何ら左右するものではない。 また,原告が本件工場において働き始めた平成16年1月ころ,未だ,製造業に対する労働者派遣事業が解禁されていなかったが,そのことによって,被告とパスコが違法な派遣契約を締結していたということがいえたとしても,上記認定を左右するものではない。 以上のとおり,本件雇用契約1の成立を認めることはできない。 (2) 労働者派遣法に基づく雇用契約(本件雇用契約2)の成否原告は,製造業に対する労働者派遣業が解禁され適法となってから1年,,が経過した平成17年3月1日の時点で被告から直接雇用の申込がありその結果,直接の雇用契約が成立したと主張する。 たしかに,前記(1)で検討したとおり,原告と被告との関係が,パスコと被告との派遣契約に基づく,被告を派遣先,原告を派遣労働者とする関係であると解する以上,被告としては,一定の条件のもと,労働者派遣法 に基づき,原告に対し,直接雇用する義務が生じることが認められる。 しかし,労働者派遣法は,申込の義務を課してはいるが,直ちに,雇用契約の申込があったのと同じ効果までを生じさせるものとは考えられず(し 基づき,原告に対し,直接雇用する義務が生じることが認められる。 しかし,労働者派遣法は,申込の義務を課してはいるが,直ちに,雇用契約の申込があったのと同じ効果までを生じさせるものとは考えられず(したがって,原告が承諾の意思表示をすることにより,直接の雇用契約が締結されるわけではない,被告に直接雇用契約の申込の義務が課せ。)られ,これを履行しない場合に,労働者派遣法に定める指導,助言,是正勧告,公表などの措置が加えられることはあっても,直接雇用契約の申込,。 が実際にない以上直接の雇用契約が締結されると解することはできないなお,原告は,被告が,原告の労務の提供を受け続けることは,雇用契約の申込にあたると主張する。 しかし,原告の労務の提供を受け続けるといっても,平成17年3月1日以降も,同年7月20日まで,原告は,パスコから賃金の支給を受けていたわけであり,実質的な労働者派遣が1年を超えて継続していることになるだけで,雇用契約の申込と同視することはできない(仮に,そのような状態の継続が違法であったとしても,直接雇用に転化することがないことは前記(1)と同様である。 。)以上のとおり,本件雇用契約2の成立を認めることはできない。 (3) 本件雇用契約3における期間の定めの有無,効力ア本件雇用契約3の締結と契約期間前記1(3)のとおり,本件雇用契約3が締結された。 本件雇用契約3の契約内容を記載したものとして,本件契約書(甲18)が作成され,これによると,契約期間として「平成17年8月2,2日から平成18年1月31日(ただし,平成18年3月末日を限度として更新することがある」との記載がある。 。)イ異議を留めたことによる期間の定めについての効力原告は,本件雇用契約締結の際,期間の定めの条項について,異議を 留めており 3月末日を限度として更新することがある」との記載がある。 。)イ異議を留めたことによる期間の定めについての効力原告は,本件雇用契約締結の際,期間の定めの条項について,異議を 留めており,期間の定めについては合意に達していないから無効であると主張する。 しかし,本件において,期間の定めについて,異議を留めた上で,契約を締結したからといって,被告において,期間の定めのない契約を締結するつもりが全くなかったにもかかわらず(乙24,証人P2,弁論の全趣旨,本件雇用契約3が,期間の定めのない契約として締結され)ることはないというべきである。 そして,証拠(乙7~9)によると,原告及び本件組合は,本件雇用契約3締結後,被告に対し,本件雇用契約3を期限の定めのない契約とするよう要請しており,原告自身,本件雇用契約3を期限の定めのある契約であることを前提とした行動をとっていることは明らかであり,原告の主張は理由がない。 ウ本件雇用契約3の締結に至る事情と,同契約における期間の定めの効力原告は,本件雇用契約3は,被告が,労働者派遣法などに違反していることを指摘された結果,締結されたものであることなどを理由に,本件雇用契約3における期間の定めは,公序良俗に反するものとして無効である旨主張する(原告の主張1(3)イ(イ)参照。 )しかし,仮に,原告の主張する違法な状態があり,その指摘を受けたことが,被告が原告に対し本件雇用契約3を申し込んだ動機であったとしても,指摘された違法な状態自体は,被告が原告に対し,直接雇用契約の申込みをすることにより一応解消したというべきであり(後述する,。),理由により本件雇用契約3に違法な状態が生じうることは別であるそれ以上に,期間の定めのない契約の申込みをする必要まではないというべきである。 原告は 応解消したというべきであり(後述する,。),理由により本件雇用契約3に違法な状態が生じうることは別であるそれ以上に,期間の定めのない契約の申込みをする必要まではないというべきである。 原告は,さらに,被告が契約期間を限定することが,原告の所属する 労働組合の影響を嫌い,原告を排除しようとする不当な目的によるものであるとも主張するが,前述したように,違法な状態が解消されたといえる以上,それ以上に原告の希望を容れなかったからといって,そのことが不当な目的があるとして,本件雇用契約3の一部である期間の定めを違法無効とすることにはならないというべきである。 雇用契約の帰趨(1) 解雇の有無及びその効力原告は,被告が,平成17年12月28日,原告に対し,平成18年1月末日をもって,解雇する旨通告したと主張する。 しかし,原告の上記主張は,本件雇用契約が期間の定めのない契約であることを前提とした主張であるところ,前記2(3)のとおり,本件雇用契約は,期間の定めのある契約であることが認められる。 被告が,本件雇用契約3の契約期間の満了をもって,雇用契約が終了する旨通告したことが認められるが(前記1(5) ,これは,雇止めを通告)したものであって,解雇の意思表示であると認めることはできない。 (2) 雇止めの成否ア雇止めにおける解雇権濫用の法理の類推等について期間の定めのある雇用契約において,同雇用契約が反復更新され,更新の際の態様などから,実質的に期間の定めのない契約と異ならない場合や,雇用継続に対する労働者の期待利益に合理性がある場合は,解雇権濫用法理が類推され,解雇権濫用,信義則違反または不当労働行為として雇用契約の解雇が許されないような事実関係の下に,雇止めが許されない場合がある。 イ本件における雇止めの可否本件雇用契 ,解雇権濫用法理が類推され,解雇権濫用,信義則違反または不当労働行為として雇用契約の解雇が許されないような事実関係の下に,雇止めが許されない場合がある。 イ本件における雇止めの可否本件雇用契約3によると,契約期間を平成18年1月31日までとするとともに,同年3月末日までを限度として,更新することがあるとさ れていた(前記1(3) 。 )しかし,前記1(5)のとおり,一度も更新されることなく雇止めとなったのであり,雇用契約が反復更新され,更新の際の態様などから,実質的に期間の定めのない契約と異ならないというような事情があったと認めることはできない。 また,前記1(5)のとおり,原告は,本件雇用契約3が反復継続されることを,強く希望し,また,これを再三にわたり,被告に伝えていたことが認められる(乙7~9,弁論の全趣旨。 )しかし,契約締結に至る経緯に照らすと,原告の上述した希望にもかかわらず,本件雇用契約3にかかる本件契約書には,仮に更新があるとしても,1回限り(しかも,2か月間のみの延長)である旨の記載がされており,被告は,当初から,上記文言どおり,平成18年1月末日もしくは,3月末日をもって,原告との雇用契約関係を終了させる意図を有していたことが明らかであった。 むしろ,原告は,このような意図を認識していたため,本件組合とともに,本件雇用契約3の締結後,上述したとおりの要望をしていたといえる。 そうすると,被告において,原告に対し,本件雇用契約3が原則として更新され,同契約による雇用関係が継続されると期待させるような行為をとったとはいえず,原告もそのような認識を有していたとはいえない。 ウ本件に特有の事情と雇止めの可否原告は,仮に,本件雇用契約3の期間の定めが有効であるとしても,本件に特有の事情の下では,雇止めするこ とはいえず,原告もそのような認識を有していたとはいえない。 ウ本件に特有の事情と雇止めの可否原告は,仮に,本件雇用契約3の期間の定めが有効であるとしても,本件に特有の事情の下では,雇止めすることは信義則に違反し,許されないと主張する(原告の主張2(2)参照。 )しかし,前述したとおり,仮に,原告が主張するように,被告におい て,労働者派遣法違反を犯しており,これを指摘され,やむなく直接雇用せざるを得なくなったとしても,だからといって,それ以上に,期間の定めのない契約を締結する義務までが発生するわけではなく,また,期間の定めのある契約を締結した後,契約期間が満了した際,契約を更新する義務があるというわけでもない。 なお,当該雇用契約の期間中の業務内容やその他の処遇に関して,原告の指摘するような問題があったとしても,これらの点は,後記慰謝料請求のところで,考慮するのが相当である。 (3) まとめ以上によると,原告と被告との間に,本件雇用契約3が締結されたが,同契約期間(平成18年1月31日まで)の満了をもって,原告と被告との間の雇用契約関係は終了したということができる。 賃金前記3のとおり,原告と被告との間の雇用契約関係は,同契約期間(平成18年1月31日まで)の満了をもって終了しており,平成18年2月分以降の賃金請求権は発生しない。 リペア作業等に従事する義務の存否,,。 前記3のとおり原告と被告との間の雇用契約関係は既に終了しているそうすると,現在,原告が被告において,リペア作業等に従事する義務の存否の確認を求める利益はないというべきである。 不法行為の成否その1前記3のとおり,原告と被告との間の雇用契約関係は,期間の定めのあるもので,同期間の満了をもって終了したのであり,被告が解雇したことにより終了した はないというべきである。 不法行為の成否その1前記3のとおり,原告と被告との間の雇用契約関係は,期間の定めのあるもので,同期間の満了をもって終了したのであり,被告が解雇したことにより終了したのではない。 したがって,被告の違法な解雇を理由とする不法行為が成立する余地はないというべきである。 なお,被告が,本件雇用契約3を更新しなかったことをもって,原告に対する不法行為であるとする主張も証拠もない。また,前記3(2)で検討したとおり,雇止めを信義則違反ということができない以上,雇止めによる不法行為も成立することはないというべきである。 不法行為の成否その2(1) はじめに原告は,本件雇用契約3締結後,被告が,原告を隔離するなどしたことによる精神的苦痛と,不必要なリペア作業を命じられたことによる苦痛による慰謝料を請求している。 ,,後述するようにPDPリユース計画の必要性を否定することはできずまた,リペア作業を命じる以上,原告が違法であると指摘する内容の隔離もやむを得ない側面を有する。 しかし,同じく後述するように,本件雇用契約3の締結に至る経緯に照らすと,本件雇用契約3において命じられた業務内容は,不法行為の成立を認めざるを得ないと考える。 (2) 被告から排除されたといえるかについてア他の従業員からの隔離,行動範囲の制限など原告は,リペア作業を命じられ,他の従業員から隔離されて,リペア作業を命じられたと主張する(原告の主張6(1)ア,イ,エ,カ。 )たしかに,前提事実1(4)のとおり,原告は,本件雇用契約3を締結し,本件契約書に記載された業務内容であるリペア作業を命じられ,本件工場4階の,他の従業員がいないクリーンルームにおいて,ひとり,黒色のシートで囲われた作業場の中で,リペア作業に従事することなったことが 件契約書に記載された業務内容であるリペア作業を命じられ,本件工場4階の,他の従業員がいないクリーンルームにおいて,ひとり,黒色のシートで囲われた作業場の中で,リペア作業に従事することなったことが認められる。 原告は,上記の就労形態の中で,他の従業員から隔離された,行動範囲を制限された,出勤簿への押印を強いられた,朝会に参加させなかっ たなどと主張するが,証拠(乙25,証人P3)によると,これらの制約は,ひとりでリペア作業に従事する以上,ある程度はやむを得ないものであり,必要以上に原告の行動の自由や権利を制限したり,必要以上の義務を課したりしたという事情は窺えない。 もっとも,本件雇用契約3において,原告に対しリペア作業を命じること自体の問題点については,後に検討する(後記(4)参照。 )イ就業規則の不交付原告は,就業規則を交付せず,閲覧を制限したと主張するが(原告の主張6(1)ウ参照,就業規則を交付するまでの義務はなく,また,閲)覧を制限したと認めるに足りる証拠はない。 ウメモの禁止,(),原告はメモを禁止されたと主張するが原告の主張6(1)オ参照証拠(乙25,証人P3)によると,原告がメモしようとしていたホワイトボードには個人情報も記載されていたため,そのボードを反転させたことが認められ,ホワイトボード上の記載をメモさせなかったことを違法ということはできない。 エPANAカードなどの不交付原告はPANAカードなどを交付してもらえなかったと主張する原,(告の主張6(1)キ~ケ参照。 )しかし,PANAカードや社内報(松下電器のもの)については,松下電器の社員に交付されるものであり(乙25,証人P3,被告(松)下電器ではない)の従業員である原告に交付されなかったことを違法。 ということはできない。 P 内報(松下電器のもの)については,松下電器の社員に交付されるものであり(乙25,証人P3,被告(松)下電器ではない)の従業員である原告に交付されなかったことを違法。 ということはできない。 PHSの交付については,被告の本件工場に勤務する従業員であるからといって全員が所持しているものではなく,管理監督者に対して交付しているものであり(乙25,証人P3,原告にPHSを交付しなか) ったことを違法ということはできない。 (3) リペア作業の必要性ア原告は,被告から命じられたリペア作業は,被告が原告を直接雇用するために,ことさら用意された作業であり,精神的,肉体的苦痛を伴う作業であったと主張する(原告の主張6(2) 。 )イ従前のリペア作業前記1(4)のとおり,リペア作業とは,PDPパネルの周囲に取り付けられているFPC(屈曲性のある回路基板で,PDPパネルに電源や信号を伝える)やACFテープ(異方性導電膜で,FPCとパネル端。 子との接着導通をさせる)の取付異常等により,縦線不良・横線不良。 等が発生した不良PDPパネルにつき,FPC及びACFテープを取り外すことにより,不良PDPパネルを再生利用可能なものにする作業をいい,具体的には,FPCを取り外した上で,PDPパネルの端子上に残っているACFテープの残片を竹串などを使用して取り除くというものであった。 この作業は,平成14年3月ころまでは,被告の国内工場において実施されていたが,その後,国内では,不良PDPパネルが発生した場合は,廃棄しており,継続的なリペア作業を実施していたのは,関連会社の上海工場においてであり,担当者は1名であった。 なお,リペア作業は,それだけをとってみた場合,たしかに,神経を使う細かい作業ということはできるが,それ以上に,通常の労働に伴う精 たのは,関連会社の上海工場においてであり,担当者は1名であった。 なお,リペア作業は,それだけをとってみた場合,たしかに,神経を使う細かい作業ということはできるが,それ以上に,通常の労働に伴う精神的,肉体的負担を超えて,特段の苦痛を与える作業とはいえない。 ウ不良PDPパネルの大量発生(PDPリユース計画実施の必要性)被告では,PDPパネルの端子間隔が狭くなり,性能が向上したことにより,不良PDPパネルの発生率も高くなっていた。すなわち,それまで不良PDPパネルは1日1枚程度の発生率であったのが,平成17 年7月11日,組み立て工程(セット工程)において連続して27枚の不良PDPパネルが発生し,デバイス工程においても,同じ原因を有する可能性のある不良PDPパネルが多量に発生した。このため,PDPリユース計画の実施が検討されるようになった(証人P34頁。 )なお,端子間隔が狭くなったからといって(当時,本件工場で製造していたPDPパネルの端子間隔は100ミクロンであった,端子と。)端子の間に竹串などを入れて,テープの残片を取り除くのではなく,むしろ,端子が並んだ上にあるテープの残片を取り除くものであり,端子を傷つけたりすることのないよう作業しなければならないという制約はあるものの,端子の間隔が狭くなったことにより,リペア作業の内容に変更が生じたわけではない(証人P321頁以下。 )エ原告の担当したリペア作業のその後原告の担当したリペア作業は,前記1(4)のとおりであるが,原告の雇用契約が更新されず,平成18年1月31日の満了をもって終了したため,平成17年12月初旬ころ,予定した163枚に満たない枚数について作業するため,原告の雇用契約終了後,4名の従業員が5日間かけて(24時間,予定数のリペア作業を完了させた。 をもって終了したため,平成17年12月初旬ころ,予定した163枚に満たない枚数について作業するため,原告の雇用契約終了後,4名の従業員が5日間かけて(24時間,予定数のリペア作業を完了させた。 )その後,リペア作業は実施していないが,原告がリペア作業を施したPDPパネルについては,その後,一部がライフテスト(通電実験)中である。 なお,被告の製造一部の部長であるP3は,原告がリペア作業に従事しなくても,別の者が,PDPリユース計画の試験的実施を担当したということになったと思うと供述する。 (証人P34,12,20頁)オ以上によると,本件リペア作業の必要性を否定することはできず,また,リペア作業が,それ自体で精神的,肉体的苦痛を伴う作業であった ということはできない。 もっとも,この点,リペア作業の終了後,ライフテスト(通電実験)をしたというだけで,それ以上にどのような使われ方をされたかについては,これを認めるに足りる証拠はない(全く放置したということは,およそ考えにくく,仮にそうであるなら,原告の主張どおり,無駄な作業をさせたことに他ならない。企業秘密の分野に属することがあり。)得るとしても,その必要性の程度については,疑問の余地を残しているということができる。 さらに,同作業を本件雇用契約3の業務内容とすることの問題点については,後に検討する(後記(4)参照。 )(4)リペア作業を命じられたことによる苦痛ア原告が本件雇用契約3締結前に従事していた業務との比較前記(2)ア,(3)のとおり,リペア作業はそれ自体として,通常の労働に伴う負担を超える苦痛を伴うものとはいえず,また,本件雇用契約3締結当時,リペア作業の必要性を否定することもできない。 しかし,本件雇用契約3の締結に至る経緯は,前記1(3)のとおりであり の労働に伴う負担を超える苦痛を伴うものとはいえず,また,本件雇用契約3締結当時,リペア作業の必要性を否定することもできない。 しかし,本件雇用契約3の締結に至る経緯は,前記1(3)のとおりであり,原告や本件組合から,偽装請負であるとの問題提起がされ,大阪労働局に対する申告などを経て,締結に至ったことが認められる。 被告自身は,本件雇用契約3の締結が,労働者派遣法40条の4に基づく雇用契約の申込によるものであるとは認めておらず,これを争ってはいるが,少なくとも,被告から,何の理由もないのに雇用契約の申込がされたとは考えにくく,被告自身,労働者派遣法の適用もしくは準用がされることを念頭においた申込であったと推測することができる。 ところで,そのような場合において,新たに締結される直接雇用契約の内容については,賃金などは改めて締結されるとしても,業務内容については,通常,それまで派遣労働者として従事した業務を引き続き担 当することが想定されていると考えられる(労働者派遣法40条の3参照。また,直接雇用の提供があった場合に,賃金などの労働条件が上)がることはあっても,従前の労働条件が全体として下がることは,想定されていないというべきである。そして,原告において,そのような期待を有していたことは容易に推認することができる。 そこで,本件雇用契約3の締結前,パスコの従業員として従事していた封着工程と,同契約締結後,命じられたリペア作業とを改めて比較検討すると,封着工程の内容は前記1(1)ウのとおりであったが,リペア作業の内容は前記1(4)イのとおりである。 前述したとおり(前記(3)イ,リペア作業だけを見る限り,通常の)労働に伴う精神的,肉体的負担を超えて,特段の苦痛を与える作業とはいえないものの,それ以前に従事していた封着工程に比べ,長 である。 前述したとおり(前記(3)イ,リペア作業だけを見る限り,通常の)労働に伴う精神的,肉体的負担を超えて,特段の苦痛を与える作業とはいえないものの,それ以前に従事していた封着工程に比べ,長期間にわたりひとりだけの作業を強いられるという点において大きく異なり,原告にとって予想外の業務内容であり,かつ,上記業務内容が,他の従業員との接触が極度に制限される結果,これが長期間にわたると,精神的なストレスを生じさせることが容易に推測される。 たしかに,原告は,被告との間で十分に協議した上で,本件雇用契約3を締結したのであるが,被告が,平成17年7月14日,直接雇用を申し入れた際,原告に交付した書面には「PDPパネル製造・設備運転・運搬・材料補給などの諸業務及び関連業務」と記載されていた(甲13。また,被告は,同年8月2日の時点で「PDPパネル製造- リ)ペア作業及び準備作業などの諸業務」と記載された労働条件通知書(甲14)を原告に交付しているが,どの程度の説明がされたかは必ずしも明らかとはいえず,原告が,同年8月23日午後,作業場に案内され,その作業環境を知ったときに受けた衝撃についての供述(甲58,原告本人)は,誇張とは言えず,原告にとっては,予想外の業務内容,作業 環境であったことが認められる。 イリペア作業がことさらに用意した業務といえるか(原告を封着工程に従事させた場合の支障)(ア) 本件雇用契約3の締結前,原告が従事していた封着工程は,松下電器からの出向と派遣労働者だけで構成されているという事情はあるが,原告が,封着工程に従事することに特段の支障があるとは考えられない(むしろ,かつて従事している業務であるため,教育などの必要がなく,双方にとってメリットが存するといえる。 。)(イ) 被告の担当者は,むしろ,原告 従事することに特段の支障があるとは考えられない(むしろ,かつて従事している業務であるため,教育などの必要がなく,双方にとってメリットが存するといえる。 。)(イ) 被告の担当者は,むしろ,原告が従前担当していた封着工程に配置することをおよそ考えておらず,たまたま,PDPリユース計画が持ち上がり,リペア作業の必要があるから原告に担当してもらったという言い方をし(証人P2,同P3,リペア作業がなければ,直接雇)用契約の申込はなかったという認識が窺える。前述した経緯を併せ考えると,被告がやむなく原告と直接雇用契約を締結することになったため,あえて,探し出してきた作業であるとの疑いを強く抱かせる。 (ウ) なお,本件雇用契約3の期間満了後,他の従業員によって,残りの(),,作業が行われたことが認められるのであって前記1(4)オ仮にことさらに原告に用意した業務でないというのであれば,前記アで述べた事情も考慮し,本件雇用契約3の期間中においても,他の従業員と交代でリペア作業に従事させる(不良PDPパネルの発生頻度から,。)すると同時に2人を従事させる必要まではなかったことが窺えるなどの配慮をすることは十分可能であったことが窺える。 ウ契約締結の自由についてたしかに,本件雇用契約3は,原告と被告が初めて直接締結する契約であり,本来であれば,その契約内容は,契約当事者の合意により,自由に定めることが可能である(自由に条件を提示することができ,合意 した範囲で効力を生じる。 。)また,本来,原告には,契約締結について諾否の権利があり,自分の希望に沿わない内容であれば,契約を締結しなければよい。 しかし,本件では,前記1(3)のとおり,原告は,パスコに在籍しながら,被告に対し,直接雇用契約の締結を要求していたところ,平成1 り,自分の希望に沿わない内容であれば,契約を締結しなければよい。 しかし,本件では,前記1(3)のとおり,原告は,パスコに在籍しながら,被告に対し,直接雇用契約の締結を要求していたところ,平成17年7月20日には,パスコを退職していたため,被告から提示された契約を拒否した場合,原告は無職となってしまうことなどの事情を考えると,拒否することが極めて困難な状況にあったといえる(また,パスコからの退職も,本来であれば,原告が従事していた封着工程を継続することができれば,パスコに在籍したまま,直接雇用契約の条件交渉を進めることができたと思われるが,パスコのデバイス部門からの撤退の事情(前記1(2))を考えると,パスコから退職したことについても,原告のみの事情として考えることはできない)。 しかも,前述したとおり(前記ア,原告は,被告からの直接雇用契)約の申込を受けた際,原告が従事すべき業務内容が,パスコ在籍中に従事していた封着工程とは異なることを認識していたものの,リペア作業の内容や,作業環境などを具体的に認識していなかったと認められる。 エまとめ以上によると,前記(3)で述べたとおり,リペア作業の必要性を否定することができないとしても,その必要性の程度が高いものであったとはいえず,また,あえて原告に担当させる必然性もなかったということができる。そして,被告が,原告に対し,他の従業員との接触を長期間にわたり制限することとなるリペア作業を命じることは,本件雇用契約3の締結に至る経緯を前提とする限り,原告に対し,精神的苦痛を与えるものであり,被告としては,そのことを十分に認識することができたと考えられる。 また,上記精神的苦痛の程度は大きいと認められる。 しかも,被告は,これを避けたり,軽減することが可能であったにもかかわらず,原 告としては,そのことを十分に認識することができたと考えられる。 また,上記精神的苦痛の程度は大きいと認められる。 しかも,被告は,これを避けたり,軽減することが可能であったにもかかわらず,原告に対し,一時的な作業を一定期間のみ従事させることに固執し,十分な説明もなく,リペア作業を命じたということができ,このような業務命令は違法といわざるを得ない。 (5) 損害以上によると,本件雇用契約3の締結にあたり,原告に対しリペア作業を命じたことは違法であり,その結果,原告に対し,精神的苦痛を与えたというべきである。 前記(2)ないし(4)で検討した点を総合すると,原告の精神的苦痛は大きく,その慰謝料は45万円をもって相当と考える。 第5 結論 以上によると,原告の請求のうち,リペア作業等に従事する義務の不存在確認を求める訴えは,確認の利益を欠き不適法であるからこれを却下し,違法な業務命令等に基づく慰謝料請求は,45万円及びこれに対する遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから,これを認容し,その余の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条,64条本文を,仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第5民事部裁判官山田陽三
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