令和5(行ケ)10040 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年11月16日 知的財産高等裁判所 2部 判決 請求棄却
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- 1 -令和5年11月16日判決言渡令和5年(行ケ)第10040号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和5年9月19日判決 原告コモライフ株式会社 同訴訟代理人弁護士石井義人牟田口卓也岡田健一 井上雄太同訴訟代理人弁理士杉本勝徳辻忠行 被告有限会社MAKIスポーツ 同訴訟代理人弁護士石田琢磨同訴訟代理人弁理士原田寛 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が無効2022-800014号事件について令和5年3月14日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要- 2 -本件は、特許無効審判請求に係る不成立審決の取消訴訟である。争点は、新規性の有無及び進歩性の有無である。 1 特許庁における手続の経緯等被告は、名称を「トレーニング器具」とする発明についての特許(特許第3763840号。以下「本件特許」という。)の特許権者である(争いが び進歩性の有無である。 1 特許庁における手続の経緯等被告は、名称を「トレーニング器具」とする発明についての特許(特許第3763840号。以下「本件特許」という。)の特許権者である(争いがない。)。 本件特許については、平成17年6月27日、特願2005-186126号(甲84)として特許出願(以下「本件出願」という。)がされ、平成18年1月27日に設定登録がされた(争いがない。以下、本件特許に係る設定登録時の明細書及び図面(甲84)を「本件明細書」という。)。 原告は、令和4年2月24日、本件特許(請求項の数は4(甲84))のうち請 求項1及び2に係る部分について特許無効審判の請求をし、特許庁は、無効2022-800014号事件として審理した(争いがない。)。 特許庁は、令和5年3月14日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし(争いがない。)、その謄本は、同月23日、原告に送達された(弁論の全趣旨)。 原告は、令和5年4月21日、本件審決の取消しを求めて本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 2 本件特許に係る発明の要旨(甲84)本件特許に係る特許請求の範囲のうち請求項1及び2の記載は、次のとおりである(以下、各請求項に係る特許発明を請求項の番号に対応させて「本件発明1」な どといい、本件発明1及び2を併せて「本件各発明」という。)。 【請求項1】ほぼ並行状で相対向している一対の第1グリップ部と、該第1グリップ部それぞれの両端部同士を接続し、第1グリップ部相互の間隔に比し狭くしてほぼ並行状に相対向している一対の第2グリップ部とによって全体を平面からみてほぼ横長矩形 枠を呈した一体のループ状に形成して成り、第1グリップ部は直線 し、第1グリップ部相互の間隔に比し狭くしてほぼ並行状に相対向している一対の第2グリップ部とによって全体を平面からみてほぼ横長矩形 枠を呈した一体のループ状に形成して成り、第1グリップ部は直線状もしくは緩や- 3 -かな曲線状に形成され、第2グリップ部は正面からみて弓形に湾曲され、中央部分が相互に近接するように平面からみて矩形枠の内方に向かってやや窄まり状に形成されていることを特徴とするトレーニング器具。 【請求項2】第1グリップ部は、第2グリップ部との接続部位が丸味を帯びている略矩形状を 呈し、その矩形枠内に手首あるいは足首が挿入可能になっている請求項1記載のトレーニング器具。 3 本件審決の理由の要旨(1) 無効理由1(甲1(米国特許第6196951号明細書(2001年3月6日発行))に記載された発明を主引用発明とする新規性欠如)について ア本件発明1について(ア) 甲1に記載された発明の認定甲1には、次の発明(以下「甲1発明」という。)が記載されている。 (甲1発明)上腕三頭筋運動具であって、 上腕三頭筋運動具は2つの主要構成要素である、バー及びハンドルアセンブリと、支持及びクランプアセンブリを備え、バー及びハンドルアセンブリは、並列バーセグメント32、34及び2個の互いに対向するハンドル延長部を有し、ハンドル延長部の各々は、主ハンドル部分16、2つの予備把持領域18、20を有し、 一対の主ハンドル部分16は、それぞれ、直線状に形成され、並行状で相対向し、一対の並列バーセグメント32、34は、一対の主ハンドル部分16相互の間隔に比し狭くして並行状に相対向し、予備把持領域18、20は、互いに主ハンドル部分16から並列バーセグメント32、34に向 一対の並列バーセグメント32、34は、一対の主ハンドル部分16相互の間隔に比し狭くして並行状に相対向し、予備把持領域18、20は、互いに主ハンドル部分16から並列バーセグメント32、34に向けて内側に延び、接続部位は丸みを帯び、バー及びハンドルアセンブリは、平面視でループ状であり、側面視で台形 状であり、2つの予備把持領域18、20が、約20度の傾斜角度で並列バーセグ- 4 -メント32、34から延び、支持及びクランプアセンブリは、重量支持プラットフォーム26と解放可能なクランプ手段28を有し、バー及びハンドルアセンブリは、重量支持プラットフォーム26の下側に、バー10の平坦部24が溶接され、 ロック用カラーとすることができるクランプ手段28は、錘40を重量支持プラットフォーム26上に固定する、上腕三頭筋運動具。 (イ) 本件発明1と甲1発明との対比本件発明1と甲1発明は、次の一致点1において一致し、相違点1において相違 する。 (一致点1)ほぼ並行状で相対向している一対の第1グリップ部と、該第1グリップ部それぞれの両端部同士を接続し、第1グリップ部相互の間隔に比し狭くしてほぼ並行状に相対向している一対の第2グリップ部とによって全体を平面からみてほぼ横長矩形 枠を呈した一体のループ状に形成して成り、第1グリップ部は直線状に形成され、第2グリップ部は、中央部分が相互に近接するように平面からみて矩形枠の内方に向かってやや窄まり状に形成されていることを特徴とするトレーニング器具。 (相違点1)本件発明1は、「第2グリップ部」が、「正面からみて弓形に湾曲され」ている のに対し、甲1発明のバー及びハンドルアセンブリの「並列バーセグメント32、34」及び2個の互い (相違点1)本件発明1は、「第2グリップ部」が、「正面からみて弓形に湾曲され」ている のに対し、甲1発明のバー及びハンドルアセンブリの「並列バーセグメント32、34」及び2個の互いに対向するハンドル延長部の各々の「2つの予備把持領域18、20」は、側面視で台形状である点。 (ウ) 相違点1の実質的相違点性について本件発明1の「弓形に湾曲」との特定事項について、 a 通常の意味は、「弓のように湾曲した形」であること及び数学的な意味であ- 5 -っても「円の一部」であること(乙1、2参照)、b 本件明細書に特段の定義付けがなされていないこと、c 本件明細書の段落【0023】によれば、「第2グリップ部1b自体は、その相互の間隔が内方向に向かってやや窄まり状になっていて、その窄まりの方向にほぼ直交する方向で弓形に湾曲していることで略ウイング型アーチ状となって」お り、「そのアーチは円周の4分の1の弓形を成して湾曲して成る間隔の狭い部分となっている」ことにより、全体形状が略ウイング型アーチ状に形成されていること、d 本件明細書の段落【0009】によれば、「第2グリップ部1bは正面からみて弓形に湾曲され、中央部分が相互に近接するように平面からみて矩形枠の内方に向かってやや窄まり状に形成されている」ことにより、第2グリップ部1bの弓 形湾曲形状は、その山部分によって身体各部を選択して押し当てることで、例えば、首部や腰部のストレッチ、車椅子に乗った状態でのリハビリトレーニング、椅子を使うか仰臥又は起立した状態での背中へのマッサージ等の多面的なトレーニングを可能にするとともに、逆に第2グリップ部1bをその谷部分として身体各部位にあてがい、第1グリップ部1aを把持して持ち上げるように使用できるこ 立した状態での背中へのマッサージ等の多面的なトレーニングを可能にするとともに、逆に第2グリップ部1bをその谷部分として身体各部位にあてがい、第1グリップ部1aを把持して持ち上げるように使用できること、 e 本件明細書の図2(b)に具体的形状が図示されていること、が、一般的な用語の意味及び本件明細書から把握できる。 以上のことからすると、本件発明1の「弓形に湾曲」とは、円弧の一部と理解することができるし、そのように解釈することが妥当な解釈といえる。 そこで甲1発明についてみるに、甲1発明の「バー及びハンドルアセンブリ」は、 「側面視で台形状」であって、数学的な意味のみならず、通常の意味からしても、円弧形状とはいえないのであるから、本件発明1の「正面からみて弓形に湾曲され」た「第2グリップ部」に相当し得ない。 してみると、相違点1は、実質的な相違点であって、甲1発明は、相違点1に係る本件発明1の発明特定事項を備えていない。 よって、本件発明1と甲1発明との間には相違点が存在するから、本件発明1は、- 6 -甲1発明ではない。 (エ) 原告の主張について原告は、甲1に記載された発明につき、これを錘40を備えないバー10とした上、本件発明1は新規性がない旨主張する。 しかし、甲1に記載された上腕三頭筋運動具は、錘40があって初めて運動具と して機能するものであり、錘40と一体不可分のものであるから、そもそも、錘40を除外したバー10は、上腕三頭筋運動具の一部であって、甲1においては、バー10のみで運動具として用いることを想定していない。 よって、原告の主張は、前提において誤認したものであり、採用し得ない。 イ本件発明2について 前記2のとおり、本件発明2は、本件発明1の で運動具として用いることを想定していない。 よって、原告の主張は、前提において誤認したものであり、採用し得ない。 イ本件発明2について 前記2のとおり、本件発明2は、本件発明1の全ての特定事項を有し、更に限定を付加したものである。 前記アのとおり、本件発明1は、甲1発明ではないのであるから、本件発明2も、甲1発明であるとすることはできない。 ウ小括 よって、本件各発明についての本件特許は、原告が主張する無効理由1によって無効とすることはできない。 (2) 無効理由2(甲1に記載された発明を主引用発明とする進歩性欠如)についてア本件発明1について (ア) 甲2(実願昭54-101665号(実開昭56-19255号)のマイクロフィルム)に記載された技術事項の認定甲2には、次の技術事項(以下「甲2技術事項」という。)が記載されている。 (甲2技術事項)部材をはしご状に取り付け、長辺を円弧状にしたトレーニング器具。 (イ) 甲3(実願昭54-103653号(実開昭56-23156号)のマイ- 7 -クロフィルム)に記載された技術事項の認定甲3には、次の技術事項(以下「甲3技術事項」という。)が記載されている。 (甲3技術事項)直径2.5cm程度の軽量管材を長辺80cm程度、短辺25cm程度の長四角形に曲げ加工し、両長辺の中心を結ぶ位置に、同じ管材の補強管を取り付けて一体 に成形し、各々の支持部に軟質ゴムの握りを取り付けた構造の軽量管材を組み合わせた体育器具。 (ウ) 甲4(米国特許第4345756号明細書(1982年8月24日発行))に記載された技術事項の認定甲4には、次の技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されている。 育器具。 (ウ) 甲4(米国特許第4345756号明細書(1982年8月24日発行))に記載された技術事項の認定甲4には、次の技術事項(以下「甲4技術事項」という。)が記載されている。 (甲4技術事項)重りを外した状態の調整可能なダンベル装置。 (エ) 相違点1についての判断甲2技術事項には、正面からみて弓形に湾曲されたトレーニング器具が記載されている。 しかし、甲1発明は、重量支持プラットフォーム26の下側に、バー10の平坦部24が溶接されているから、溶接の強度を勘案すると、甲2技術事項を適用して当該平坦部24を弓形に湾曲することには阻害要因があるし、甲1発明において、正面からみて弓形に湾曲させることが設計的事項ともいえない。 また、前記(イ)及び(ウ)のとおり、甲3技術事項及び甲4技術事項には、弓形に湾 曲したグリップ部は示されていない。 よって、本件発明1は、甲1発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできないし、また、甲1発明並びに甲2技術事項、甲3技術事項及び甲4技術事項から当業者が容易に発明できたものとすることはできない。 そして、本件発明1は、相違点1に係る発明特定事項を備えることにより、本件 明細書の段落【0007】に記載されているとおりのトレーニング及びストレッチ- 8 -において、多用途に使用することができるという効果を奏するものである。 これに対し、甲1発明の「上腕三頭筋運動具」が「錘40」を備えることが必須の要件であることからすれば、本件明細書の段落【0007】に記載されている使用方法が採用できないことは明らかであるし、そのような使用方法を想定しているものともいえない。 イ本件発明2について前記2のとおり、本件発明2は の段落【0007】に記載されている使用方法が採用できないことは明らかであるし、そのような使用方法を想定しているものともいえない。 イ本件発明2について前記2のとおり、本件発明2は、本件発明1の全ての特定事項を有し、更に限定を付加したものである。 前記アのとおり、本件発明1は、甲1発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできないし、また、甲1発明並びに甲2技術事項、甲3技術事項及び甲 4技術事項から当業者が容易に発明できたものとすることはできないのであるから、本件発明2も、甲1発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできないし、また、甲1発明並びに甲2技術事項、甲3技術事項及び甲4技術事項から当業者が容易に発明できたものとすることはできない。 ウ小括 よって、本件各発明についての本件特許は、原告が主張する無効理由2によって無効とすることはできない。 (3) 無効理由3(甲2技術事項を主引用発明とする進歩性欠如)についてア本件発明1について(ア) 本件発明1と甲2技術事項との対比 本件発明1と甲2技術事項は、次の一致点2において一致し、相違点2において相違する。 (一致点2)並行状で相対向している一対の第1グリップ部と、該第1グリップ部それぞれの両端部同士を接続し、第1グリップ部相互の間隔に比し狭くして並行状に相対向し ている一対の第2グリップ部とによって全体を平面からみて横長矩形枠を呈した一- 9 -体のループ状に形成して成り、第1グリップ部は直線状に形成され、第2グリップ部は正面からみて弓形に湾曲されているトレーニング器具。 (相違点2)本件発明1は、「中央部分が相互に近接するように平面からみて矩形枠の内方に向かってやや窄ま 直線状に形成され、第2グリップ部は正面からみて弓形に湾曲されているトレーニング器具。 (相違点2)本件発明1は、「中央部分が相互に近接するように平面からみて矩形枠の内方に向かってやや窄まり状に形成されている」であるのに対し、甲2技術事項は、部材 がはしご状に取り付けたものであって、平行である点。 (イ) 相違点2についての判断甲2には、はしご状の部材を窄まり状とすることは記載も示唆もされていないから、本件発明1は、甲2技術事項から当業者が容易に発明できたものとすることはできない。 甲1発明の「上腕三頭筋運動具」は、その使用方法からすれば、「一対の主ハンドル部分16」相互の間隔は、使用者の両手の間隔に設定され、「一対の並列バーセグメント32、34」の間隔は、重量支持プラットフォーム26の幅及び長さに対応して設定されているところ、「バー及びハンドルアセンブリ」の「予備把持領域18、20」は、並列バーセグメント32、34から主ハンドル部分へ斜めに延 びているから、「バー及びハンドルアセンブリ」は、中央部分が相互に近接するように平面からみて矩形枠の内方に向かってやや窄まり状に形成されているといえる。 ここで、甲1発明の「予備把持領域18、20」が「把持領域」といえるのは、従来型バーベルの使用における把持角度でバーベルを持ち上げるためであることからすると、甲1発明の「予備把持領域18、20」を「把持領域」というためには、 甲1発明の「上腕三頭筋運動具」が「錘40」を備えることが必須の要件となる。 ここで、甲2技術事項は、部材をはしご状に取り付けただけのものであって、重りを取り付けることを想定しているものではないから、当然、甲1発明の重量支持プラットフォーム26を備えることも想定していない。 そ 甲2技術事項は、部材をはしご状に取り付けただけのものであって、重りを取り付けることを想定しているものではないから、当然、甲1発明の重量支持プラットフォーム26を備えることも想定していない。 そして、前記のとおり、甲1発明が重量支持プラットフォーム26を備え、その 幅及び長さに対応して「一対の並列バーセグメント32、34」の間隔を設定して- 10 -いることからすると、甲2技術事項において、平行なはしご状の部材を窄まり状にする動機付けは見当たらない。 また、甲2技術事項には部材1と部材2の間隔を変えることが示唆されているところ、甲1の上腕三頭筋運動具におけるバー及びハンドルアセンブリのみを運動具とし、甲2技術事項に甲1発明を適用しようとしても、部材1と部材2を湾曲させ ると、部材4と部材5を短くし、部材3と部材6を長くしなければならず、甲2技術事項に甲1発明を適用することにとどまらず、その余の部材の改変を伴うこととなり、当業者が容易になし得るものとはいえない。 さらに、甲2の記載のとおり、甲2技術事項がその構造が至って簡単であることを前提としていることからすると、甲2技術事項に甲1発明を適用して部材を湾曲 させることは、想定外といわざるを得ない。 そうすると、甲2技術事項において相違点2に係る本件発明1の構成とすることは、当業者が容易に発明できたとすることはできない。 よって、本件発明1は、甲2技術事項から当業者が容易に発明できたものとすることはできないし、また、甲2技術事項及び甲1発明から当業者が容易に発明でき たものとすることはできない。 イ本件発明2について前記2のとおり、本件発明2は、本件発明1の全ての特定事項を有し、更に限定を付加したものである。 前記アのとおり、本件発明1 たものとすることはできない。 イ本件発明2について前記2のとおり、本件発明2は、本件発明1の全ての特定事項を有し、更に限定を付加したものである。 前記アのとおり、本件発明1は、甲2技術事項から当業者が容易に発明できたも のとすることはできないし、また、甲2技術事項及び甲1発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできないのであるから、本件発明2も、甲2技術事項から当業者が容易に発明できたものとすることはできないし、また、甲2技術事項及び甲1発明から当業者が容易に発明できたものとすることはできない。 ウ小括 よって、本件各発明についての本件特許は、原告が主張する無効理由3によって- 11 -無効とすることはできない。 第3 原告主張の審決取消事由 1 取消事由1(甲1記載の発明を主引用発明とする新規性についての判断の誤り)について(1) 相違点1が実質的な相違点であるとした本件審決の判断について ①「弓形」とは、「弓のように湾曲した形」などを意味し、円弧状のものに限られないこと(乙1)、②「弓」の形には、台形が含まれること(甲5、7)、③公開特許公報等においても、広く台形状のものが「弓形」と呼ばれていること(甲8~14、53~55)、④本件明細書には、「第2グリップ部1b…のアーチは円周の4分の1の弓形を成して湾曲して成る間隔の狭い部分となっている」との記載 (段落【0023】)や第2グリップ部が円弧状である様子を示す図面(【図2】(b)等)があるが、これらは、最良の形態として記載された一例にすぎず、他方で、段落【0013】には、第2グリップ部1bが「略リーフ型形状」であるとの記載があり、段落【0040】から【0042】まで、【0045】及び【0051】には 形態として記載された一例にすぎず、他方で、段落【0013】には、第2グリップ部1bが「略リーフ型形状」であるとの記載があり、段落【0040】から【0042】まで、【0045】及び【0051】には、第2グリップ部1bの形状につき「弓状」との記載がされていること、 ⑤第2グリップ部(正面視)が台形であったとしても、本件発明1の効果(第2グリップ部を身体の各部に押し当てることによって得られるもの)を奏することができることなどからすると、本件発明1の「弓形に湾曲」とは、円弧状のものに限定されず、台形のものも含むと解されるから、相違点1は、本件発明1と甲1記載の発明との実質的な相違点ではない。 (2) 相違点の看過をいう被告の主張についてア甲1の記載によると、バー10は、単独で棒又は管から形成された後、溶接によって重量支持プラットフォーム26に取り付けられるものであるから、甲1には、当該溶接前の部材として、バー10が記載されている。 イ重りを備えるトレーニング器具は、一般に重りの取り外しが可能であるとこ ろ(甲4参照)、重量挙げにおいて重りを着けない状態のバーベルでフォームの練- 12 -習がされることなどに照らすと、重りを備えるトレーニング器具のうち重りを支持するハンドル部分のみを用いてトレーニングを行えることは、古くから広く知られた事実である。 ウ甲1のバー10は、本件発明1と同一の構成を備えるから、当然にトレーニング器具として使用することが可能なものであり、本件発明1が奏する効果と同様 の効果を奏するものである。 エ以上によると、甲1の記載に接した当業者は、バー10のみがトレーニング器具として用いられることを想定しているといえるから、本件においては、バー10のみを甲1に記載された引用発 るものである。 エ以上によると、甲1の記載に接した当業者は、バー10のみがトレーニング器具として用いられることを想定しているといえるから、本件においては、バー10のみを甲1に記載された引用発明と認定するのが相当である。したがって、本件発明1と引用発明(バー10)との間には、被告が主張する相違点3は存在しない。 オなお、甲1にバー10のみを運動具として用いることについての記載がないからといって、甲1に引用発明(バー10)が記載されていないとはいえないし、バー10のみでは運動具として用いることが想定されていないと断言することもできない。 (3) 小括 以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1記載の発明と同一の発明であり、新規性を有しない。なお、仮に、甲1に記載された引用発明が甲1発明(本件審決が認定したもの)であるとしても、本件発明1の構成は、全て甲1発明に包含されるのであるから、本件発明1が新規性を有しないとの結論を左右するものではない。 (4) 本件発明2について 本件発明2は、本件発明1の構成に加え、「第1グリップ部は、第2グリップ部との接続部位が丸みを帯びている略矩形状を呈し、その矩形枠内に手首あるいは足首が挿入可能になっている」との構成を備えるところ、甲1記載の発明の主ハンドル部分16も、予備把持領域18及び20との接続部位が「丸みを帯びている略矩形状」を呈し、その矩形枠内に少なくとも手首を挿入することが可能であるから、 本件発明2も、甲1記載の発明と同一の発明であり、新規性を有しない。 - 13 - 2 取消事由2(甲1記載の発明を主引用発明とする進歩性についての判断の誤り)について(1) 当業者において相違点1に係る本件発明1の構成に容易に想到し得なかったとの本 。 - 13 - 2 取消事由2(甲1記載の発明を主引用発明とする進歩性についての判断の誤り)について(1) 当業者において相違点1に係る本件発明1の構成に容易に想到し得なかったとの本件審決の判断についてア甲1記載の発明の予備把持領域18又は20及び並列バーセグメント32又 は34によって形成される部分(台形(正面視)の上底と2つの脚からなるもの。 以下「バー10の台形部分」という。)の形状(以下「バー10の形状」という。)を円弧状にすることが設計的事項であることについて甲2は、長辺が台形状であるトレーニング器具を開示した後、「なお、…円弧状にしてもほぼ同様に使用でき…る」と例示するところ、これによると、トレーニン グ器具の長辺を台形状にするか円弧状にするかが選択可能なものであることは本件出願前から公知であるといえ、また、甲2にはトレーニング器具の台形状の長辺を円弧状のものに変更することができるとの示唆があるともいえる。したがって、甲1記載の発明のバー10の形状を円弧状にすることは、2つの公知技術から1つを選択するという単なる設計的事項である。さらに、デザイン性を考慮して甲1記載 の発明のバー10の形状を円弧状にすることも、複数あるデザインから1つを選択するという単なる設計的事項である。 イ甲1記載の発明のバー10の形状を円弧状とすることが慣用技術であることについて甲1記載の発明のバー10の台形部分は、体に当接させることを目的とする部位 であるところ、体に当接させることを目的とする部位を円弧状に形成することは、本件出願当時の慣用技術である(甲56~65)。 また、甲1記載の発明のバー10の台形部分は、手で握るためのグリップ部でもあるところ、グリップ部を円弧状に形成することも、本件 状に形成することは、本件出願当時の慣用技術である(甲56~65)。 また、甲1記載の発明のバー10の台形部分は、手で握るためのグリップ部でもあるところ、グリップ部を円弧状に形成することも、本件出願当時の慣用技術である(甲66~72)。 ウ甲1記載の発明への甲2技術事項の適用について- 14 -(ア) 動機付けがあることについて甲1記載の発明と甲2技術事項は、両手でつかんで動的トレーニングを行えるトレーニング器具であるとの技術思想及び全身のトレーニングを行えるとの効果において共通し、また、甲2にはトレーニング器具の台形状の長辺を円弧状のものに変更することができるとの示唆があるから、甲1記載の発明に甲2技術事項を適用す る動機付けがあるといえる。 (イ) 阻害要因がないことについて甲1によると、重量支持プラットフォーム26とバー10との溶接は、両者の固定方法についての好適な一例とされているにすぎず、例えば、ボルト及びナットで両者を固定してもよいのであるし、また、バー10だけでなく重量支持プラットフ ォーム26も湾曲させて両者を溶接により固定することも考えられるから、甲1記載の発明のバー10の台形部分(平坦部)を円弧状に湾曲させても、適宜の方法で両者を固定することが可能である(甲4参照)。 そうすると、甲1記載の発明のバー10の台形部分(平坦部)に甲2技術事項を適用しこれを円弧状に湾曲させることについて、阻害要因があるということはでき ない。なお、甲1記載の発明における重量支持プラットフォーム26とバー10との固定に関し、その強度についての記載はないから、両者の固定の強度不足を理由として当該適用に阻害要因があるとするのは相当でない。 エ小括以上のとおりであるから、当業者は、 26とバー10との固定に関し、その強度についての記載はないから、両者の固定の強度不足を理由として当該適用に阻害要因があるとするのは相当でない。 エ小括以上のとおりであるから、当業者は、甲1記載の発明における設計的事項として、 又は甲1記載の発明に慣用技術若しくは甲2技術事項を適用することにより、相違点1に係る本件発明1の構成の容易に想到し得たというべきである。 (2) 相違点3に係る本件発明1の構成の想到困難性をいう被告の主張について前記1(2)のとおり、甲1は、バー10のみがトレーニング器具として用いられることを想定しているところ、甲1発明から錘40や重量支持プラットフォーム2 6を取り外しても、バー10の機能が損なわれることはないから、そのように取り- 15 -外すことにつき阻害要因はない。したがって、当業者は、相違点3に係る本件発明1の構成に容易に想到し得たものである。 (3) 小括以上のとおりであるから、本件発明1は、当業者が甲1記載の発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。また、本件発明2も、当業者が甲1記載 の発明に基づいて容易に発明をすることができたものである。 3 取消事由3(甲2技術事項を主引用発明とする進歩性についての判断の誤り(相違点2についての判断の誤り))について(1) 本件発明1について甲2の7図及び8図のように甲2技術事項の長辺(部材1及び2)を下側にして 体重をかけた場合において、部材1及び2の互いの距離が大きくなる方向に力が加わるときは、部材4及び5が部材1及び2から抜け落ちてしまうことが懸念される。 当業者であれば、部材4及び5が部材1及び2から抜けにくくすることを当然に考慮するから、甲2技術事項の部材1及び2の中央部分(平 きは、部材4及び5が部材1及び2から抜け落ちてしまうことが懸念される。 当業者であれば、部材4及び5が部材1及び2から抜けにくくすることを当然に考慮するから、甲2技術事項の部材1及び2の中央部分(平面視。以下「甲2技術事項の中央部分」という。)を内方に向かって窄めるようにすることは、部材4及び 5の抜けを防止するための数ある慣用手段のうちから1つを選択するというものであり、単なる設計的事項である(なお、以下、甲2技術事項の中央部分につき、単に「窄める」などというときは、「当該部分を内方に向かって窄める」ことなどを意味する。)。 また、「3、4、5、6の間に部材を追加し、さらに間隔に変化をつけることが でき…る」との甲2の記載並びに甲2技術事項の使用例に関する甲2の7図及び8図は、甲2技術事項の中央部分を窄めるようにすることの示唆となるものである。 さらに、甲2技術事項の中央部分を窄めるようにしても、窄められた部分における部材1及び2の互いの距離が十分に保たれていれば、バランスを崩すとの危険な事態を招来するものでもない。 以上によると、当業者は、甲2技術事項における設計的事項として、又は甲2技- 16 -術事項に甲1記載の発明を適用することにより、相違点2に係る本件発明1の構成に容易に想到し得たというべきである。したがって、本件発明1は、当業者が甲2技術事項に基づいて容易に発明をすることができたものである。 (2) 本件発明2について前記(1)のとおりであるから、本件発明2も、当業者が甲2技術事項に基づいて 容易に発明をすることができたものである。 第4 被告の主張 1 取消事由1(甲1記載の発明を主引用発明とする新規性についての判断の誤り)について(1) 相違点1が実質的な相違点であ 容易に発明をすることができたものである。 第4 被告の主張 1 取消事由1(甲1記載の発明を主引用発明とする新規性についての判断の誤り)について(1) 相違点1が実質的な相違点であるとした本件審決の判断について ア本件発明1の「弓形」の意義を理解するに当たっては、特許法施行規則様式第29〔備考〕7項の「技術用語は、学術用語を用いる。」との記載に従うべきであるところ、「弓形」とは、数学用語で「弦とその上に張る弧とで囲んだ円の一部分」などを意味するから(乙1、2)、本件発明1の「弓形」は、「弦とその上に張る弧とで囲んだ円の一部分」をいい、台形状の形を含まないと解するのが相当で ある。 イ本件明細書の段落【0023】には、本件発明1の第2グリップ部につき「…略ウイング型アーチ状となっている。そのアーチは円周の4分の1の弓形を成して湾曲して成る間隔の狭い部分となっている」との記載があり、また、本件明細書の図面においても、第2グリップ部(正面視)が円弧状である様子が示されてい るところ、本件明細書には、第2グリップ部(正面視)の形状が円弧状以外のものであるとの記載又は図示はない。 ウ本件発明1は、弓形に湾曲した第2グリップ部の山の部分を身体の各部に押し当てることにより、ストレッチ等の多面的なトレーニングを可能にするとの効果を奏するものであるところ、これは、当該山の部分が円弧状であることによって初 めて可能となるものである。当該山の部分が台形状であれば、台形の水平部分(上- 17 -底)を身体の各部に押し当てても、押し当てた力がスポット以外の部分にも分散されてしまい、効果的なトレーニングを期待することができない。 エなお、「弓形」の意義に関し、辞書(乙1)に「弓のように」との記載があ 各部に押し当てても、押し当てた力がスポット以外の部分にも分散されてしまい、効果的なトレーニングを期待することができない。 エなお、「弓形」の意義に関し、辞書(乙1)に「弓のように」との記載があることや、本件明細書の段落【0023】の記載が【発明を実施するための最良の形態】との見出しの下にあることは、本件発明1の「弓形」が円弧状以外の形状を 含むと解する根拠となるものではない。また、本件明細書の段落【0013】の「略リーフ型形状」との表現も、本件発明1の第2グリップ部(正面視)が「弓形」であることを理解するための一つの手法として使用されたものである。 オ以上によると、本件発明1の「弓形」は、円弧の一部をなす形であり、台形を含まないものと解するのが相当であるから、本件発明1と甲1発明との間には、 実質的な相違点として相違点1が存在する。 (2) 本件発明1と甲1発明との間に本件審決が看過した相違点が存在することについてア本件審決が看過した相違点について本件発明1と甲1発明とを対比すると、両発明の間には、相違点1のほか、次の 相違点3が存在する。 (相違点3)本件発明1は、支持及びクランプアセンブリを備えないのに対し、甲1発明は、これを備える点イ甲1のバー10のみを引用発明と認定すべきであるとの原告の主張について 甲1に「甲1記載の発明は、2つの主要構成要素(バー及びハンドルアセンブリと支持及びクランプアセンブリ)を有する」旨の記載や「バー10が中央に位置する重量支持プラットフォーム26に固定される」旨の記載があること、甲1の特許請求の範囲にバー及びハンドルアセンブリと支持及びクランプアセンブリとがまとめて記載されていること、甲1に支持及びクランプアセンブリを備えない発明につ 26に固定される」旨の記載があること、甲1の特許請求の範囲にバー及びハンドルアセンブリと支持及びクランプアセンブリとがまとめて記載されていること、甲1に支持及びクランプアセンブリを備えない発明につ いての記載がないこと、甲1にバー10のみが独立して運動器具としての作用効果- 18 -を奏するとの記載又は示唆がなく、実際にも、バー10のみを使用しても上腕三頭筋に負荷が掛かるトレーニングをすることができないことなどからすると、甲1記載の上腕三頭筋運動具において、バー10は、重量支持プラットフォーム26等により構成される支持及びクランプアセンブリと不可分一体のものであり、バー10のみを上腕三頭筋運動具として使用することは想定されていないといえるから、甲 1記載の上腕三頭筋運動具の部材の一つにすぎないバー10のみを抽出し、これを独立の運動器具として引用発明とすることはできない。 なお、仮に一般的なバーベル装置において、重りを着けずに運動を行うことがあるとしても、バーベル装置を構成するバー部分のみを使用して運動を行うことは想定されていないから(乙4、5)、甲1記載の上腕三頭筋運動具においても、支持 及びクランプアセンブリを取り外し、バー10のみで運動を行うことは想定されていない。 (3) 小括以上のとおりであるから、本件発明1は、甲1記載の発明と同一の発明ではなく、新規性を有する。また、本件発明1の全ての発明特定事項を有し、更に限定を付加 した本件発明2も、甲1記載の発明と同一の発明ではなく、新規性を有する。 2 取消事由2(甲1記載の発明を主引用発明とする進歩性についての判断の誤り)について(1) 当業者において相違点1に係る本件発明1の構成に容易に想到し得なかったとの本件審決の判断について 取消事由2(甲1記載の発明を主引用発明とする進歩性についての判断の誤り)について(1) 当業者において相違点1に係る本件発明1の構成に容易に想到し得なかったとの本件審決の判断について 甲1発明は、錘40や支持及びクランプアセンブリを備える上腕三頭筋運動具であり、甲2技術事項は、これらの部材に相当する部材を備えない静的トレーニング用の器具であるから、両者は、課題及び技術思想において共通性を有しない。また、甲1発明において、平板状の重量支持プラットフォーム26をバー10に溶接するに当たり、当該溶接の容易性を維持することを考慮すると、バー10の形状を円弧 状に変更する必要はない。その他、甲1には、バー10の形状を円弧状に変更する- 19 -ことにつき動機付けがあるとの記載又は示唆はない。かえって、当該溶接が困難になることなどに照らすと、バー10の形状を円弧状に変更することについては、阻害要因があるというべきである。 したがって、当業者において、甲1発明に甲2技術事項を適用し、相違点1に係る本件発明1の構成に容易に想到し得たということはできない。 なお、甲1記載の上腕三頭筋運動具の部材の一つにすぎないバー10のみを抽出し、これを独立の運動器具として使用することができないことは、前記1(2)イのとおりであるから、重量支持プラットフォーム26等を備えた甲1発明において、バー10の台形部分を体に当接させることはできない。 (2) 相違点3に係る本件発明1の構成の想到困難性について 甲1発明から錘40や支持及びクランプアセンブリを取り外すことについての動機付けはないし、また、甲1発明から錘40や支持及びクランプアセンブリを取り外すと、甲1発明の目的である錘を用いた上腕三頭筋の運動が困難になるから、当 及びクランプアセンブリを取り外すことについての動機付けはないし、また、甲1発明から錘40や支持及びクランプアセンブリを取り外すと、甲1発明の目的である錘を用いた上腕三頭筋の運動が困難になるから、当該取り外しには阻害要因がある。 したがって、当業者において、甲1発明に甲2技術事項等を適用し、相違点3に 係る本件発明1の構成に容易に想到し得たということはできない。 (3) 小括以上のとおりであるから、本件発明1につき、当業者において甲1記載の発明に基づき容易に発明をすることができたものであるということはできない。また、本件発明1の全ての発明特定事項を有し、更に限定を付加した本件発明2についても、 当業者において甲1記載の発明に基づき容易に発明をすることができたものであるということはできない。 3 取消事由3(甲2技術事項を主引用発明とする進歩性についての判断の誤り(相違点2についての判断の誤り))について(1) 本件発明1について 甲2技術事項の部材4及び5が部材1及び2から抜け落ちることを防止するため- 20 -には、部材4及び5と部材1及び2との連結を強固にすれば足りるから、甲2技術事項の中央部分を窄める必要はなく、その動機付けはない。かえって、甲2技術事項の中央部分を窄めると、前後方向(部材4及び5が延びる方向)のバランスを著しく損ない危険であるから、そのように窄めることには阻害要因がある。 したがって、当業者において、甲2技術事項に甲1発明を適用し、相違点2に係 る本件発明1の構成に容易に想到し得たということはできず、本件発明1につき、当業者において甲2技術事項に基づき容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (2) 本件発明2について本件発明1の全 に想到し得たということはできず、本件発明1につき、当業者において甲2技術事項に基づき容易に発明をすることができたものであるということはできない。 (2) 本件発明2について本件発明1の全ての発明特定事項を有し、更に限定を付加した本件発明2につい ても、当業者において甲2技術事項に基づき容易に発明をすることができたものであるということはできない。 第5 当裁判所の判断当裁判所は、甲1に記載された引用発明を原告が主張するとおり(バー10のみ)に認定することはできず、本件審決が認定した甲1発明を前提にすると、本件各発 明と甲1発明との間には被告が主張する相違点3が存在し、また、当業者が相違点3に係る本件各発明の構成に容易に想到し得たものとは認められず、さらに、当業者が相違点2に係る本件各発明の構成に容易に想到し得たものとも認められず、したがって、原告の請求は理由がないものと判断する。その理由は、次のとおりである。 1 本件各発明の概要(1) 本件明細書の記載(甲84)本件明細書には、次の記載がある。 【技術分野】【0001】 本発明は、筋肉ストレッチトレーニング…等を行う場合等に使用され、人体に対- 21 -する対象使用部位、使用態様その他の選定によって各種・多様に使用可能なトレーニング器具に関するものである。 【発明が解決しようとする課題】【0003】…従来のトレーニング器具は、形状自体がドーナッツ型もしくは円形型であり、 これらを両手で把持した際の幅間隔が常に一定の長さとなるため、例えば部位が異なる筋力トレーニングに対応させるよう幅間隔の異なる大きさのものが必要な場合には、直径の異なるものをいくつか用意しなければならなかった。しかも、体操用の吊り輪のよう の長さとなるため、例えば部位が異なる筋力トレーニングに対応させるよう幅間隔の異なる大きさのものが必要な場合には、直径の異なるものをいくつか用意しなければならなかった。しかも、体操用の吊り輪のように直径の小さなものでは、両手で把持したときにその間隔が狭いからグリップ性も劣る。また、従来のこのようなリング型のトレーニング器具では、 手・腕、足・脚等のマッサージやトレーニングだけに限られるのが主であって、これら以外の身体部分の筋肉ストレッチトレーニング…等に使用するには不便であり、この他の体力チェック…等としての使用を考えると、それへの応用は困難である等の問題点を有していた。 【0004】 そこで、本発明は叙上のような従来存した諸事情に鑑み創出されたもので、両手で把持した際のグリップ部を選択することで両手の把持幅間隔を変えることができ、しかも両手で把持したときのグリップ性も向上すると共に、身体の各部位に対する押し・引き・捻り、中腰・着座・臥床等の使用時の体勢、順・逆手による持ち方の選択その他によって身体の各部位に対する筋肉ストレッチトレーニング…等として 各種・多用途に使用できるトレーニング器具を提供することを目的とする。 【課題を解決するための手段】【0006】…本発明に係るトレーニング器具にあって、一対の第1グリップ部1aと、この第1グリップ部1a相互の間隔に比し狭い間隔の第2グリップ部1bとは、使用者 が両手で持つ把持部位を当該第1グリップ部1aもしくは第2グリップ部1bのい- 22 -ずれかを選択して変えることで、両手で把持した際の両手幅間隔が変えられる。 また、直線状もしくは緩やかな曲線状に形成された第1グリップ部1a、および正面からみて弓形に湾曲され、中央部分が相互に近接するように平 して変えることで、両手で把持した際の両手幅間隔が変えられる。 また、直線状もしくは緩やかな曲線状に形成された第1グリップ部1a、および正面からみて弓形に湾曲され、中央部分が相互に近接するように平面からみて矩形枠の内方に向かってやや窄まり状に形成されている第2グリップ部1bは、両手で持ったときのグリップ性を向上させると共に、湾曲部分を備えた第2グリップ部1 bの凹凸形状によって、使用者の身体各部位に対する押し当て、持ち上げ、反らし等の多面的なトレーニング、ストレッチ等を可能にさせる。 さらに、第1グリップ部1a内部に手首、足首等を挿入し、その捻り、使用者の各姿勢による持ち上げその他で多様な使用形態を選択させる。 … 【発明の効果】【0007】本発明によれば、両手で把持する際に、一対の第1グリップ部1aと、これよりも間隔の狭い第2グリップ部1bとのいずれかを選択して把持することで把持する両手の幅間隔を変えることができ、両手使用による各種のトレーニング、ストレッ チ時の各身体部位に対する増強、弛緩作用等を有効にし、両手あるいは片手で把持したときのグリップ性も向上するのである。しかも、使用形態を種々に工夫し、例えば押し・引き・捻り、身体に当てる部位の選択、当てる方向、使用時の姿勢その他によって手・腕、足・脚以外の各身体部分のトレーニング・ストレッチを可能にし、筋肉ストレッチトレーニング…等としても多用途に使用することができる。 【0010】第1グリップ部1aは丸味を帯びた略矩形状を呈し、内部には手首あるいは足首が挿入可能にしてあるから、例えば手首・足首等を挿入してそれらの捻り運動をしたり、床面上に伏してあるいは仰向け姿勢で足首を通し、持ち上げることで脚、腰等に対してストレッチ作用を与えることがで は足首が挿入可能にしてあるから、例えば手首・足首等を挿入してそれらの捻り運動をしたり、床面上に伏してあるいは仰向け姿勢で足首を通し、持ち上げることで脚、腰等に対してストレッチ作用を与えることができる。 (2) 本件各発明の概要- 23 -前記第2の2の本件特許に係る特許請求の範囲の記載及び前記(1)の本件明細書の記載によると、本件各発明の概要は、次のとおりであると認められる。すなわち、本件各発明は、筋肉ストレッチトレーニングを行う場合等に使用され、各種の多様なトレーニング等に使用することが可能なトレーニング器具に関するものである。 従来のトレーニング器具は、両手で把持する際の幅間隔を変えることができない、 グリップ性が劣る、各種の多様なトレーニング等への応用が困難であるなどの課題を有していた。これらの課題を解決するため、本件各発明は、前記第2の2のとおりの構成を採用することとしたものである。これにより、本件各発明は、両手で把持する際の幅間隔を変えることができ、グリップ性を向上させ、多用途のトレーニング等に使用することができるとの効果を奏し、さらに、本件発明2は、手首、足 首等を挿入して捻り運動をすることなどにより、脚、腰等に対してストレッチ作用を与えるとの効果を奏する。 2 取消事由1(甲1記載の発明を主引用発明とする新規性欠如についての判断の誤り)について事案に鑑み、被告が主張する相違点3の存否から検討する。 (1) 甲1の記載甲1には、次の記載がある(なお、各部材の名称については、誤解を避けるため、本件審決が用いた用語に統一した。)。 発明の背景本発明は、概してウエイトリフティング器具に関する。より詳細には、本発明は、 三頭筋の筋肉を分離(isolate)するための 避けるため、本件審決が用いた用語に統一した。)。 発明の背景本発明は、概してウエイトリフティング器具に関する。より詳細には、本発明は、 三頭筋の筋肉を分離(isolate)するための改善されたエクササイズ装置に関する。 従来技術の記述特定の筋肉グループを分離するための多様な種類のバーベル機材及びダンベル機材が知られている。…これらの装置は、一般に大きな欠点を有する。1つの大きな 欠点は、比較的長いバーを有するすべてのバーベル装置はバランスをとることが困- 24 -難であることである。…したがって、錘を使用しない装置も幾つか考え出されている。…これらの大型の高価なフィットネス・マシンは、本格的なボディビルダーに対しては限定的な有効性しか有さず…本格的なボディビルダーによって使用されることはまれである。……三頭筋運動器具に関連する別の一般的な問題は、三頭筋を働かせるのに使用さ れるほとんどの器具が手のひらを上に向けることを必要とすることである。このようなタイプのハンド・ポジションは、特に重い錘を持ち上げながら肘を内側で維持することを困難にする。………本発明は、バランスをとることの問題を有意に低減する中央に位置する錘プレ ート固定手段を有する。 …本発明は、複数のハンド・ポジション及び間隔を可能にする三頭筋伸展装置を開示する。 …発明の概要 本発明は、三頭筋をエクササイズするためのウエイトリフティング装置を提供することにより従来技術の短所を解消する。装置は、両側にあるハンドルを備える中央の重量支持セクションを有し、各ハンドルは、複数の握持位置を有する。装置は、頭部の後方で保持され得、三頭筋を分離し、及びエクササイズするために繰り返し頭部の上に延在させられ得る。重 ドルを備える中央の重量支持セクションを有し、各ハンドルは、複数の握持位置を有する。装置は、頭部の後方で保持され得、三頭筋を分離し、及びエクササイズするために繰り返し頭部の上に延在させられ得る。重量支持セクションは、多数の錘プレートを受け入 れることができ、錘プレートを中央位置で固定的に保持するためのクランプ機材を有する。この装置を用いることにより多数の他のエクササイズも容易になる。 …詳細な説明…装置1は、三頭筋運動器具としての特定の用途を有し、その形状により、三頭 筋を頭上に伸展させることが容易になる。装置は、バー及びハンドルアセンブリと- 25 -支持及びクランプアセンブリである2つの主要構成要素を有する。 バー10は、好適には、鉄の棒の単一の中実部片又は素管を曲げることにより形成される。…バー10は、主ハンドル部分16を各々有する2つの相互に対向するハンドル延長部12と、2つの予備把持領域18、20とを有する。…バー10の最終構成は、この組合せのアセンブリに、横方向及び縦方向の両方においてハンド ル延長部12の間に位置する重心を有させる、という特徴を有する。この特徴は、非常に重要である。その理由は、これにより、結果として生じるような捻り荷重を使用者の手首に作用させることなく使用者がハンドル12を握持してバー10を持ち上げることが可能となるからである。…バー10が重量支持プラットフォーム26に平行である水平部分24を有…することが見てとれよう。 ハンドル延長部は、各々、バーの水平部分から約20°の斜角で延在し、その結果、主ハンドル部分は、バーの水平部分からオフセットされる平面内に位置することになる。主ハンドル部分は、互いに平行であり、予備把持領域は、主ハンドル部分からバーの水平部分まで互 斜角で延在し、その結果、主ハンドル部分は、バーの水平部分からオフセットされる平面内に位置することになる。主ハンドル部分は、互いに平行であり、予備把持領域は、主ハンドル部分からバーの水平部分まで互いの方へと内側に延在する。 重量支持プラットフォーム26及び解除可能なクランプ手段28は、支持及びク ランプアセンブリを形成する。バー10は、中央に位置する重量支持プラットフォーム26に固定され、中央に位置する重量支持プラットフォーム26は、バー10と同じ材料で作られ得る。プラットフォーム26をバー10に取り付けることは、好適には、繰り返しの使用後又は重いウエイトリフティング中に装置1の故障を引き起こす可能性がある単一である応力点又は複数である応力点を排除するために、 溶接によって達成される。…さらに、バー10は、プラットフォーム26の下側に溶接され得ることで、プラットフォーム26を比較的大きくすることが可能となる。 プラットフォーム26の幅及び長さは、それぞれ、並列バーセグメント32、34の間の空間30及びバーの平坦部24の長さに限定されることが認識されよう。錘又は錘プレート40をプラットフォーム26上で位置決めするのに固定支柱38が 使用される。…固定支柱38は、中央に位置し、それにより、装置1の対称性が維- 26 -持されることが保証される。当技術分野でよく知られている従来のロッキング・カラーであってよいクランプ部材28は、支柱38の周りで固定的に留められ、それにより錘をプラットフォーム26上に固着する。 …装置1が使用者の頭部の上に持ち上げられるとき、上で説明した重心配置のおかげで、使用者の手首に掛かる結果として生じるようなトルク荷重が存在しない。 このエクササイズにおいて従来のバーベルを使用する場合、肘が 者の頭部の上に持ち上げられるとき、上で説明した重心配置のおかげで、使用者の手首に掛かる結果として生じるようなトルク荷重が存在しない。 このエクササイズにおいて従来のバーベルを使用する場合、肘が内側にある、図7に示される握持角度とは異なる望ましくない握持角度となり、肘が外側に押される。 予備把持領域18、20のいずれかを握持して装置1を握持することにより、より伝統的な手の配置が容易になり得る。…… 図1 図2 - 27 -図3 図4 (2) 甲1記載の発明の認定前記(1)のとおりの甲1の記載及び弁論の全趣旨によると、甲1には、本件審決が認定したとおりの甲1発明(前記第2の3(1)ア(ア))が記載されているものと認めるのが相当である。 (3) 原告の主張について ア原告は、甲1には、甲1発明のほか、引用発明としてバー10も記載されていると主張する。 しかしながら、前記(1)のとおり、甲1には、①従来のバーベル機材及びダンベル機材において、比較的長いバーを有する装置はバランスをとることが困難であり、- 28 -錘を使用しない装置は本格的なボディビルダーに対しては限定的な有効性しか有しないとの欠点や、三頭筋を働かせるのに使用されるほとんどの器具が手のひらを上に向けることを必要とするが、このようなタイプのハンド・ポジションは、特に重い錘を持ち上げながら肘を内側で維持することを困難にするとの欠点があったこと、②甲1記載の発明は、三頭筋のエクササイズをするためのウエイトリフティング装 置を提供することにより従来技術の短所を解消するものであり、バランスをとることの問題を有意に低減する中央に位置する錘プレート固定手段を有し、複数のハンド・ポジション めのウエイトリフティング装 置を提供することにより従来技術の短所を解消するものであり、バランスをとることの問題を有意に低減する中央に位置する錘プレート固定手段を有し、複数のハンド・ポジション及び間隔を可能にする三頭筋伸展装置を開示するものであること、③装置は、バー及びハンドルアセンブリと支持及びクランプアセンブリである2つの主要構成要素を有すること、④重量支持プラットフォーム26及び解除可能なク ランプ手段28は、支持及びクランプアセンブリを形成し、バー10は、中央に位置する重量支持プラットフォーム26に固定されること、⑤重量支持プラットフォーム26のバー10への取付けは、好適には、故障を引き起こす可能性を排除するために、溶接によって達成されること、⑥錘又は錘プレート40を重量支持プラットフォーム26上で位置決めするのに固定支柱38が使用され、クランプ部材28 は、固定支柱38の周りで固定的に留められ、それにより錘を重量支持プラットフォーム26上に固着することが記載されている。これらの記載によると、甲1記載の発明において、重量支持プラットフォーム26を含む支持及びクランプアセンブリは、バー10を含むバー及びハンドルアセンブリと共に装置の主要構成要素であり、バー10は、溶接等の方法により重量支持プラットフォーム26に固定され、 重量支持プラットフォーム26等と物理的に一体であることが前提となっているといえる。また、甲1記載の発明は、従来のバーベル機材等における欠点(比較的長いバーを有する装置は、バランスをとることが困難であり、錘を使用しない装置は、本格的なボディビルダーに対しては限定的な有効性しか有しないなどの欠点)を解消するため、バランスをとることの問題を有意に低減する中央に位置する錘プレー ト固定手段を り、錘を使用しない装置は、本格的なボディビルダーに対しては限定的な有効性しか有しないなどの欠点)を解消するため、バランスをとることの問題を有意に低減する中央に位置する錘プレー ト固定手段を有し、複数のハンド・ポジション及び間隔を可能にする三頭筋伸展装- 29 -置を提供するものであり、バー10は、支持及びクランプアセンブリと一体となって作用効果を奏するといえる。そして、バー10のみが独立してウエイトリフティング・エクササイズにおける運動器具としての作用効果を奏することにつき、甲1には記載も示唆もない。 以上によると、三頭筋運動器具の発明に関する甲1の記載から、その部材の一つ にすぎないバー10のみを抽出し、これを独立した運動器具の発明であると解することはできない。 イ原告は、前記アの主張の根拠として、①甲1に溶接前の部材としてバー10が記載されていること、②重りを備えるトレーニング器具のうち重りを支持するハンドル部分のみを用いてトレーニングを行えることが古くから広く知られた事実で あること、③甲1のバー10が本件発明1の奏する効果と同様の効果を奏することを挙げる。 しかしながら、前記アにおいて説示したところに照らすと、①及び②の点は、いずれも原告の前記アの主張を根拠付けるものではない。また、③の点は、甲1に記載された三頭筋運動器具からバー10を取り外して使用することを前提とするもの であるから、やはり原告の前記アの主張の根拠となるものではない。 ウ以上のとおりであるから、甲1に、甲1発明のほか、原告が主張する引用発明(バー10)が記載されているものと認めることはできない。 (4) 相違点3の存否について前記(2)及び(3)のとおり、甲1に記載された引用発明は、本件審決が認定した甲 主張する引用発明(バー10)が記載されているものと認めることはできない。 (4) 相違点3の存否について前記(2)及び(3)のとおり、甲1に記載された引用発明は、本件審決が認定した甲 1発明である。本件発明1と甲1発明とを対比すると、両者の間には、少なくとも被告が主張する相違点3が存在するものと認められる。 なお、原告は、本件発明1の構成が全て甲1発明に包含されるとして、本件発明1と本件審決が認定した甲1発明とを対比しても、両者の間に相違点はないと主張するが、前記(3)のとおり、三頭筋運動器具の発明に関する甲1の記載から、その 部材の一つにすぎないバー10のみを抽出し、これを独立した運動器具の発明であ- 30 -ると解することができない以上、甲1発明は、支持及びクランプアセンブリとバー10とが不可分一体となった発明であるとみざるを得ず、したがって、本件発明1と甲1発明との間の相違点として被告が主張する相違点3を捨象することはできない。 (5) 小括 以上のとおりであるから、相違点1が本件発明1と甲1発明との実質的な相違点であるか否かについて検討するまでもなく、本件発明1が甲1発明と同一の発明であり、新規性を欠くということはできない。また、前記第2の2のとおり、本件発明2は、本件発明1の構成を全て備え、これを更に限定するものであるから、本件発明1が新規性を欠くといえない以上、本件発明2についても、これが新規性を欠 くということはできない。 したがって、本件各発明が新規性を欠くとはいえない旨の本件審決の判断は、結論において相当であるから、当該判断の誤りをいう取消事由1は理由がない。 3 取消事由2(甲1記載の発明を主引用発明とする進歩性についての判断の誤り)について 事案に鑑 決の判断は、結論において相当であるから、当該判断の誤りをいう取消事由1は理由がない。 3 取消事由2(甲1記載の発明を主引用発明とする進歩性についての判断の誤り)について 事案に鑑み、被告が主張する相違点3に係る本件発明1の構成の容易想到性から検討する。 (1) 前記2(3)において説示したとおり、甲1発明は、ウエイトリフティング装置として、バー10に錘支持部分(重量支持プラットフォーム26、クランプ部材28、固定支柱38)を固定し、錘40を重量支持プラットフォーム26に固着し て使用することを前提とした発明である。すなわち、バー10は、重量支持プラットフォーム26等により形成される支持及びクランプアセンブリと物理的に一体となって作用効果を奏するものであるし、バー10が独立して運動器具としての作用効果を奏することについて、甲1には記載も示唆もないから、甲1に接した当業者にとって、甲1発明から支持及びクランプアセンブリを取り外す動機付けがあると は認め難く、かえって、甲1発明から支持及びクランプアセンブリを取り外すこと- 31 -には阻害要因があるというべきである(なお、前記2(3)において説示したところに照らすと、そもそも甲1発明は、支持及びクランプアセンブリを取り外し、バー10のみで使用することをおよそ想定していない発明であるというべきである。)。 したがって、当業者において、相違点3に係る本件発明1の構成に容易に想到し得たものと認めることはできない。 (2) 小括以上のとおりであるから、相違点1に係る本件発明1の構成の容易想到性について検討するまでもなく、本件発明1が当業者において甲1発明に基づき容易に発明をすることができたものであり、進歩性を欠くということはできない。また、前記 違点1に係る本件発明1の構成の容易想到性について検討するまでもなく、本件発明1が当業者において甲1発明に基づき容易に発明をすることができたものであり、進歩性を欠くということはできない。また、前記第2の2のとおり、本件発明2は、本件発明1の構成を全て備え、これを更に限定 するものであるから、本件発明1が甲1発明に基づいて進歩性を欠くといえない以上、本件発明2についても、これが甲1発明に基づいて進歩性を欠くということはできない。 したがって、本件各発明が甲1発明に基づいて進歩性を欠くとはいえない旨の本件審決の判断は、結論において相当であるから、当該判断の誤りをいう取消事由2 は理由がない。 4 取消事由3(甲2技術事項を主引用発明とする進歩性についての判断の誤り(相違点2についての判断の誤り))について(1) 甲2の記載甲2には、次の記載がある。 2.実用新案登録請求の範囲二点で折り曲がった部材1と2の間に、はしご状に3、4、5、6の部材が取り付けられたトレーニング器具3.考案の詳細な説明… 1図、2図、3図は、それぞれ本考案の、平面図、正面図、側面図である。本考- 32 -案は、1図で示すように、二点で折り曲がった部材1と2の間に、2図のように3、4、5、6の部材が、はしご状に取り付けられたものである。 使用する時は、静的トレーニングの方法によって、4図のように、胸の前で3と6を持ち、これを最大努力において数秒間、引っぱり、もしくは、押しつける、これを数度くりかえすことにより、胸と腕のトレーニングとなる。5図も同様である が、4と5を使うため幅が狭くなり、関節の角度に変化をつけることができ効果が一層高くなる。また、この場合1と2が折れ曲がっているため、3と6が腕に当 胸と腕のトレーニングとなる。5図も同様である が、4と5を使うため幅が狭くなり、関節の角度に変化をつけることができ効果が一層高くなる。また、この場合1と2が折れ曲がっているため、3と6が腕に当ることがなく、じゃまにならない。 さらに、3と4、3と5、1と2、それぞれの間隔を適当にとることによって、関節の角度に一層変化をもたせることができる。 …一方、動的トレーニングとしても利用でき、8図のように床に置いて使えば、単調な腕たてふせにも、変化をもたせることができる等の応用範囲は広い。 以上のように、本考案は、構造がいたって簡単なため、安価であり、また、静的トレーニングとして使用されるため、安全性が高く、場所もとらないので、手軽に トレーニングを楽しむことができる。…なお、…10図の斜視図のように、円弧状にしてもほぼ同様に使用でき、その場合、7図、8図の使用例がバランスを養なうトレーニングとなる。また、3、4、5、6の間に部材を追加し、さらに間隔に変化をつけることができ…る。 1図~3図 - 33 -4図・5図 4図 6図・7図 8図 10図- 34 - (2) 相違点2に係る本件発明1の構成の容易想到性について前記(1)のとおりの甲2の記載によると、甲2技術事項は、外側に配置された部材3及び6のみならず、内側に配置された部材4及び5を持ち、持ち手の幅を狭く して関節の角度に変化を付け、トレーニング効果を高めて使用することが想定された器具であるといえる。このような甲2技術事項の内容に照らすと、甲2技術事項は、その中央部分を窄めることによって解決される課題を有していないといわざるを得ない。そうすると、甲2技術事項の中央 定された器具であるといえる。このような甲2技術事項の内容に照らすと、甲2技術事項は、その中央部分を窄めることによって解決される課題を有していないといわざるを得ない。そうすると、甲2技術事項の中央部分を窄めることが設計的事項であるということはできないし、また、甲1発明の予備把持領域18及び20の窄まり形 状を甲2技術事項の中央部分に適用する動機付けがあるともいえない。 原告は、当業者であれば甲2技術事項の部材4及び5が部材1及び2から抜けにくくすることを当然に考慮すると主張するが、4図から8図までを含む甲2の記載によっても、甲2技術事項において、部材4及び5が抜けてしまうのを防止するとの課題を有しているものと認めることはできず、その他、甲2技術事項がそのよう な課題を有しているものと認めるに足りる証拠はない。 また、原告は、「3、4、5、6の間に部材を追加し、さらに間隔に変化をつけることができ…る」との甲2の記載並びに甲2技術事項の使用例に関する甲2の7図及び8図は甲2技術事項の中央部分を窄めるようにすることの示唆となると主張するが、原告が指摘する甲2の記載にいう「間隔に変化をつける」とは、前後の文 脈に照らし、部材1と2の間に更なるはしご状の部材を取り付けることにより、甲- 35 -2記載のトレーニング用器具を持つ両手の間隔に更なる変化を付けることを意味するものと解されるから、原告が指摘する甲2の記載が甲2技術事項の中央部分を窄めるようにすることの示唆となるとはいえない。甲2の7図及び8図も、そのような示唆を与えるものではない。 したがって、当業者において、相違点2に係る本件発明1の構成に容易に想到し 得たものと認めることはできない。 (3) 小括以上のとおりであるから、本件発明1が当業者に ものではない。 したがって、当業者において、相違点2に係る本件発明1の構成に容易に想到し 得たものと認めることはできない。 (3) 小括以上のとおりであるから、本件発明1が当業者において甲2技術事項に基づき容易に発明をすることができたものであり、進歩性を欠くということはできない。また、前記第2の2のとおり、本件発明2は、本件発明1の構成を全て備え、これを 更に限定するものであるから、本件発明1が甲2技術事項に基づいて進歩性を欠くといえない以上、本件発明2についても、甲2技術事項に基づいて進歩性を欠くということはできない。 したがって、本件各発明が甲2技術事項に基づいて進歩性を欠くとはいえない旨の本件審決の判断は相当であるから、当該判断の誤りをいう取消事由3は理由がな い。 5 結論以上の次第であるから、原告の請求は理由がない。 知的財産高等裁判所第2部 裁判長裁判官清水響 - 36 - 裁判官浅井憲 裁判官勝又来未子

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