平成15(う)194 住居侵入,強盗致死,強盗傷人,覚せい剤取締法違反,電磁的公正証書原本不実記録・同供用,窃盗被告事件

裁判年月日・裁判所
平成16年3月2日 仙台高等裁判所 棄却 山形地方裁判所 平成13(わ)200
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判決文本文2,123 文字)

【判示事項の要旨】地方の旧家を狙い主婦を殺害等した強盗致死,強盗傷人等事件について,主犯格の日本人の無期懲役刑が維持された事例 主文 本件控訴を棄却する。 当審における未決勾留日数中130日を原判決の刑に算入する。 理由 1 本件控訴の趣意は,弁護人門間久美子作成の控訴趣意書に記載のとおりであり,これに対する答弁は,仙台高等検察庁検察官黒田健治作成の答弁書に記載のとおりであるから,これらを引用する。 弁護人の控訴趣意は量刑不当の主張であり,被告人を無期懲役に処した原判決の量刑は重すぎる,というのである。 2 そこで,記録を調査し,当審における事実取調べの結果を併せて検討する。 本件は,被告人が,中国人の共犯者らと共謀して,強盗目的で,山形県a町の民家に押し入り,在宅していた主婦(当時51歳)を洋包丁で刺して殺害し,長女(当時16歳)にカッターナイフで切り付けるなどして,加療約14日間を要する右大腿切創の傷害を負わせた住居侵入,強盗致死,強盗傷人(原判示第4の1,2。以下「本件強盗事件」という。),刑務所で知り合った者らとともに,別荘から骨董品などを盗んだ窃盗(同第1),覚せい剤を有償で譲り渡し,また,自ら使用し,所持した各覚せい剤取締法違反(同第2,第5の1,2),内妻らと共謀して,韓国人を本邦に不法に在留させるために,同人と日本人女性との虚偽の婚姻届を提出させて,戸籍にその旨不実の記載をさせた電磁的公正証書原本不実記録・同供用(同第6)の事案である。 本件強盗事件は,被告人が計画し,他に依頼して集めた中国人共犯者3名とともに,自らも加わって敢行したもので,計画的で組織的な犯行である。 犯行の態様も,包丁やカ 用(同第6)の事案である。 本件強盗事件は,被告人が計画し,他に依頼して集めた中国人共犯者3名とともに,自らも加わって敢行したもので,計画的で組織的な犯行である。 犯行の態様も,包丁やカッターナイフを携帯し,家人を緊縛するためのガムテープを用意した上で,被告人ら4名して民家に押し入り,在宅していた主婦を中国人共犯者2名が押さえ付けたが,抵抗にあったため洋包丁で刺して殺害し,また,室内を逃げた長女に対しては,被告人ら2名が押さえ付けて,ガムテープで手足を縛り顔面を覆い,抵抗を押さえるために,被告人がカッターナイフで大腿部に切り付け,その後同女が室外に逃れたことを知って,財物は奪わずに逃走した,というものであり,極めて凶悪である。 殺害された主婦は,突然自宅に押し入ってきた強盗犯人らによって,押さえ付けられた上,左胸部を深く一突きされ,苦悶のうちに生命を奪われたのであり,傷害を負わされた長女は,目の前で母親を殺害され,自らも緊縛された上に傷害を負わされたものであり,被害者の家族らは犯人について厳しい処罰を求めている。また,本件強盗事件が,凶悪な犯罪として,農村地帯の小さい静かな町に与えた衝撃等の社会的影響も大きい。 被告人は,覚せい剤取締法違反の容疑で指名手配されていることを知って逃走資金を得ようと考え,以前にa町の旧家が刀剣類の盗難に遭うとの事件があったことを思い出し,同家から骨董品などを強奪しようと計画し,中国人共犯者を集めて本件強盗事件を敢行したものであり,犯行現場においては,中国人共犯者らに対し,役割分担や犯行手順を指示し,カッターナイフを渡すなどして準備を整え,その上自ら先頭に立って犯行を開始し,1名に切り付けて傷を負わせるなどしたもので,本件強盗事件の主謀者で主導者であるこ し,役割分担や犯行手順を指示し,カッターナイフを渡すなどして準備を整え,その上自ら先頭に立って犯行を開始し,1名に切り付けて傷を負わせるなどしたもので,本件強盗事件の主謀者で主導者であることは明らかである。それにもかかわらず,被告人は,犯行の経緯,犯行現場での自己の行動などについて,その刑事責任を軽減させるような不合理な弁解をしており,真摯に反省しているか疑わしい。しかも,被告人は,本件強盗事件の前後にも,上記の窃盗,覚せい剤取締法違反,電磁的公正証書原本不実記載・同供用の各犯罪を行っているのみならず,昭和46年以来,傷害,銃砲刀剣類取締法違反,恐喝,覚せい剤取締法違反,道路交通法違反,窃盗などの罪による懲役前科9犯を有し,多数多様な犯罪を繰り返しており,長年暴力団員として活動してきたことからすると,規範意識が全く欠如し,犯罪性向は深く,将来とも犯罪を重ねるおそれが高いと認められる。 そうすると,被告人の刑事責任は極めて重く,1名が殺害されたのは,現場における突発的な予想外の出来事であったとしても,被告人を無期懲役に処した原判決の量刑は何ら重くない。 3 よって,刑訴法396条により本件控訴を棄却し,当審における未決勾留の算入につき刑法21条を,当審における訴訟費用を被告人に負担させないことにつき刑訴法181条1項ただし書をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 平成16年3月2日仙台高等裁判所第1刑事部裁判長裁判官松浦繁裁判官根本渉裁判官髙木順子 本渉裁判官髙木順子

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