昭和57(行ウ)79等 更正処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和60年3月27日 大阪地方裁判所 租税
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【DRY-RUN】- 1 - ○ 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 一 当事者の求めた裁判 1 原告 被告が昭和五五年三月八日付で原告に対してした昭和五一ないし五三年分の所得

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判決文本文10,876 文字)

- 1 -○ 主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 ○ 事実 一当事者の求めた裁判 原告被告が昭和五五年三月八日付で原告に対してした昭和五一ないし五三年分の所得税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分のうち、総所得額が昭和五一年分損失額金一四三万二七一七円、昭和五二年分金二三七万九〇七九円、昭和五三年分金一六五万七〇〇〇円を超える部分を取消す、訴訟費用は被告の負担とする、との判決 被告主文と同旨の判決二原告の請求原因 原告は道路舗装業を営む者であるが、昭和五一ないし五三年の所得税について、原告のした確定申告これに対し被告がした各更正処分と過少申告加算税の各賦課決定処分以、(上の各処分を以下本件各処分という)及び異議決定、並びに国税不服審判所長がした裁。 決の経緯、内容は、別表(一)記載のとおりである。 しかし、被告がした本件各処分は、原告の所得を過大に認定したものであるから違法である。 よつて、本件各処分の取消しを求める。 三請求原因に対する被告の認否請求原因1の事実は認めるが、同2の主張は争う。 四被告の主張 原告の係争各年分の事業所得金額及びその算出根拠は、次のとおりであるから、右事業所得金額の範囲内でされた本件各処分は適法である。 (一)昭和五一年分(1)売上金額一八八六万七一二九円(2)経費(但し、地代家賃を除いた額、以下同じ。 )一六二九万一七六六円(3)地代家賃四八万円(4)事業所得金額(1)-(2)-(3)二〇九()万五三六三円(二)昭和五二年分(1)売上金額二九四〇万五五四三円(2)経費二五四八万五七八五円(3)地代家賃四八万円(4)事業所得金額(1)1(2)1(3)三四三()万- 2 -九 )昭和五二年分(1)売上金額二九四〇万五五四三円(2)経費二五四八万五七八五円(3)地代家賃四八万円(4)事業所得金額(1)1(2)1(3)三四三()万- 2 -九七五八円(三)昭和五三年分(1)売上金額三五五〇万九八九六円(2)経費二八九二万六三六二円(3)地代家賃五四万円(4)事業専従者控除額四〇万円(5)事業所得金額(1)-(2)-(3)―(4)五六()四万三五三四円 右のうち、係争各年分の経費の額は次のとおり推計により算出した。 (一)被告の部下職員は、原告の係争各年分の所得税調査のため、昭和五四年六月五日以降数回にわたり原告の事業所に赴き、再三にわたり原告及びその妻に対し調査に協力するよう説得したが、原告は事業に関する帳簿書類等を一切提示せず、取引内容等、事業内容についても具体的な答弁を行わず、調査に全く協力しなかつた。 そこで、被告はやむをえず原告の取引先等を調査し、その調査結果に基づき係争各年分の事業所得金額を算定したが、経費については推計により算出せざるをえなかつた。 (二)被告は、原告が居住する大阪市内及び大阪市に隣接する大阪府下の各税務署管内の同業者の中から、係争各年分について(1)道路舗装工事業を営んでいる個人である、こと(2)材料について売上先から主として有償支給されていること(3)青色申告書、、を提出していること(4)年間を通じて継続して事業を営んでいること(5)他の業種、、目を兼業していないこと(6)不服申立て又は訴訟係属中でないこと(7)売上金額が、、原告の係争各年分の売上金額に対し、その上限・下限いずれも約五〇パーセントの範囲内、すなわち昭和五一年分が九〇〇万円から二九〇〇万円、昭和五二年分が一四〇〇万円から四五〇 (7)売上金額が、、原告の係争各年分の売上金額に対し、その上限・下限いずれも約五〇パーセントの範囲内、すなわち昭和五一年分が九〇〇万円から二九〇〇万円、昭和五二年分が一四〇〇万円から四五〇〇万円、同五三年分が一七〇、、〇万円から五四〇〇万円の範囲内にあること以上のすべての基準に該当する者を選定し右のとおり選定された同業者(昭和五一、五二年分は各一名、昭和五三年分は二名)が所轄税務署長に提出した青色申告決算書に記載されている金額(但し、所得税調査が行われた者については調査の結果得られた金額)によつて、別表(二)記載のとおり同業者の経費率(但し、昭和五三年分はその平均値)を求め、前記1の原告の各年分の売上金額に右経費率を乗じて各年分の経費を算出した。 以上の推計による算定方法は、原告と業種、業態及び事業規模の類似している同業者を選定してなしたものであり、経費率の算定資料もすべて正確であるから、合理性がある。 五被告の主張に対する原告の認否及び主張 被告の主張1のうち各年分の売上金額及び地代家賃並びに昭和五三年分の事業専従者控除額は認めるが、その余は争う。 原告の係争各年分の経費及び事業所得金額は次のとおりである。 - 3 -(一)昭和五一年分原告の同年分の経費は一九八一万九八四六円であり、前記売上金額から右経費及び前記地代家賃を差し引いた事業所得金額はマイナス一四三万二七一七円である。 (二)昭和五二年分原告の昭和五三年分の経費は後記(三)のとおり三四二三万九八四二円であるから、同年分の経費率は九六・四二パーセントとなり、右経費率により昭和五二年の経費を推計すると二八三五万二八二四円となる。したがつて、同年分の前記売上金額から右経費と前記地代家賃を差し引いた事業所得金額は五七万二七一九円である。 (三)昭和五三年分原告 により昭和五二年の経費を推計すると二八三五万二八二四円となる。したがつて、同年分の前記売上金額から右経費と前記地代家賃を差し引いた事業所得金額は五七万二七一九円である。 (三)昭和五三年分原告の同年分の経費は三四二三万九八四二円であり、その内訳詳細は別表(三)記載のとおりである。したがつて、前記売上金額から右経費並びに前記地代家賃及び事業専従者控除額を差し引いた事業所得金額は三三万〇〇五四円である。 。 、 同2は争う本件においては次の理由により推計課税の必要性がなかつたのみならず推計の合理性をも欠いている。 (一)原告は、被告の部下職員のAが税務調査に来た際、資料提示の前提として調査理由を明らかにするよう求めたが、同人がこれに応じなかつたのであり、もし調査理由の説明を受けていれば調査に協力していたはずである。その後被告が一方的に反面調査を行つたため、原告が抗議したところ、被告の担当官のBがAのした調査結果を文書にして送ると約しながら、その後被告から何の連絡もないまま、本件各処分がなされるに至つたものである。 (二)被告が同業者の選定にあたつて用いた七項目の基準は、これに該当すれば原告の同業者と一応みることができるという最低限の基準であるにすぎない。推計が合理的であるというためには、さらに同業者とされる者の営業内容、従業員数、営業規模等の具体的条件をつぶさに検討し、それぞれにつき類似性を有することが必要であるから、これらの点が明らかにされない以上、被告のした推計に合理性があるとはいえない。 、()なお被告は推計の合理性の立証のため同業者の青色申告決算書乙第五ないし第八号証の証拠調べ請求をしているが、右各文書は作成者の氏名が隠蔽されていて、何人が作成したかを確定することができないから、形式的証拠力を欠き、証拠として取り調べるこ 業者の青色申告決算書乙第五ないし第八号証の証拠調べ請求をしているが、右各文書は作成者の氏名が隠蔽されていて、何人が作成したかを確定することができないから、形式的証拠力を欠き、証拠として取り調べることは。 、、許されないそのうえ本件においては被告のした推計の合理性が重要な争点であるのに同業者とされる者の氏名が不詳のままでは原告においてその者の営業内容、従業員数、営業規模等の具体的事情に基づいて推計の合理性を争う機会を全く否定されることとなるから、氏名を明らかにしないまま右各文書の取調べをすることは、原告の防御権を侵害し、当事者平等の原則に反するものとして許されないものである。 六原告の主張に対する被告の認否及び反論 原告の昭和五三年分の経費については、別表(三)の租税公課のうち個人事業税八九五〇円、修繕費のうち機械修理費五万一〇〇〇円、広告官伝費のうち中央案内通信分一二万五七〇〇円、外注工賃費のうち光栄商会分七九万四二〇〇円は認める。また、原告が同表の福利厚生費のうち旅行費につき雁凰荘に六万六九六〇円を、フトン代につき永田屋に一万六四二〇円を、広告宣伝費のうち太広分につき一万円を、外注工賃費のうち江川組分につき二九四万八七五〇円をそれぞれ支払つたことは認めるが、以上の各支払が同年分の- 4 -経費に該当することは争う。同年分のその余の経費及び昭和五一、五二年分の経費について争う。 原告は、乙第五ないし第八号証の取調べは許されない旨るる主張するが、民事訴訟においては書証の証拠能力については何らの制限も存しないのであつて、原告の主張するところはすべて証明力の有無の問題にすぎないから、右主張は理由がない。 七証拠(省略)○ 理由 一請求原因1の事実は当事者間に争いがない。 二そこで、被告のした本件各処分に、原告の所得を過大に認 ところはすべて証明力の有無の問題にすぎないから、右主張は理由がない。 七証拠(省略)○ 理由 一請求原因1の事実は当事者間に争いがない。 二そこで、被告のした本件各処分に、原告の所得を過大に認定した違法があるかどうかについて検討する。 原告の係争各年分の売上金額及び地代家賃並びに昭和五三年分の事業専従者控除額については当事者間に争いがない。 原告の係争各年分の経費について検討する。 (一)被告は、各年分の経費については推計により算出した旨主張するので、まず推計の必要性について検討するに、成立に争いのない乙第一四ないし第一六号証、甲第一九号証、証人A及び同C(但し、後記信用しない部分を除く)の各証言並びに弁論の全趣旨。 を総合すると、原告が提出した係争各年分の所得税確定申告書には、所得金額(昭和五三年分については所得金額と専従者控除額)の記載があるだけで、収入金額や必要経費等の記、、載が全くなかつたので被告の部下職員であるAは原告の係争各年分の所得を調査すべく昭和五四年六月五日に原告方に赴いたが、原告不在のため、原告の妻Cに来意を告げ、関係帳簿書類を提示されたい旨及び調査日を決めるため翌日連絡されたい旨記載した連絡せんを渡したこと、ところが、原告からは七日に近日中に都合の良い日を連絡するとの電話があつた後何の連絡もなかつたので、Aは一五日、二二日に原告方に赴き、Cに希望日を、、連絡するよう伝えたところ翌二三日にCから二七日に来てほしいとの電話があつたことそこで、Aは二七日に原告方に赴き、原告に帳簿書類の提示等調査への協力を依頼したところ、原告は、自分は正しい申告をしている、被告の方から間違いであるとの指摘があればその点について説明すると述べ、調査に協力しなかつたため、Aはいつたん帰庁し、電話で原告に再度協力を要請した したところ、原告は、自分は正しい申告をしている、被告の方から間違いであるとの指摘があればその点について説明すると述べ、調査に協力しなかつたため、Aはいつたん帰庁し、電話で原告に再度協力を要請したが、原告は正しい申告をしているとの返答を繰り返すばかりであつたこと、そのため、Aはやむを得ず原告の取引先等に対する反面調査を実施した上、七月二七日原告方に赴き、原告不在のためCに現在までの調査結果に基づき算定した各年分の一応の所得金額を説明したが、主人でなければ分らないというので、右調査額及びこれにつきどのように対処するかを三〇日までに連絡されたい旨を記載した、、連絡せんを渡したところ三〇日にCから右調査額には納得できないとの話があつたので今からでも帳簿書類を提示して調査に協力するよう求めたこと、さらにAは八月六日に原告方に赴き、閉戸不在のため、調査への協力が得られないならば被告の方で処理する旨記載した連絡せんを差し入れておいたところ、Cから被告の調査額の説明があれば相違点につき原告から説明したいとの電話があつたので、調査額が納得できないのであれば申告額全体の具体的な説明を聞きたいから原告と面接できる日を連絡するよう返答したが、その後原告からは何の連絡もなかつたこと、そこで、Aは反面調査を続行し、これに基づき原- 5 -告の所得を算出したが、経費については実額を把握できなかつたため、同業者を選定して推計により算出したこと、以上の事実が認められ、右認定に反する証人Cの供述は信用できない。 以上の事実によれば、被告が本件各処分をする際、原告に対して帳簿書類の提示を求めたが正当な理由もなく拒絶されたので、反面調査をしたが、結局実額を把握することができなかつたものであるから、推計課税の必要性があつたといわなければならない。 なお、処分時に推計により 書類の提示を求めたが正当な理由もなく拒絶されたので、反面調査をしたが、結局実額を把握することができなかつたものであるから、推計課税の必要性があつたといわなければならない。 なお、処分時に推計により課税せざるを得ない場合であつても、その後において実額計算をするに足りる資料の提供があれば実額により算定すべきものであるところ、原告は昭和五三年分の経費につき実額による算定が可能であると主張しているが、原告提出の資料によつては実額計算をなしえないことは後記(四)のとおりである。 (二)次に、被告のした推計の方法とその合理性について検討するに、成立に争いのない乙第一ないし第四号証、右各証拠及び証人Dの証言により成立を認めうる乙第五ないし第九号証並びに右証言を総合すると、大阪国税局直税部の国税実査官であつたDは、原告が居住する大阪市内及び大阪市に隣接する大阪府下の合計二五税務署管内において、係争各年分について、道路舗装工事業を営む個人で、主として売上先から材料の有償支給を受けている者であること、青色申告書を提出していること、年間を通じて継続して事業を営んでおり、他の業種目を兼業していないこと、不服申立て又は訴訟係属中でないこと、売上金額が原告の係争各年分の売上金額に対し、その上限・下限とも約五〇パーセントの範囲内、すなわち昭和五一年分が九〇〇万円から二九〇〇万円、昭和五二年分が一四〇〇万円から四五〇〇万円、同五三年分が一七〇〇万円から五四〇〇万円の範囲内にあることという基準のすべてに該当する同業者を選定したところ、東住吉税務署管内に一名(A、昭和五一ないし五三年分)と門真税務署管内に一名(B、昭和五三年分のみ)の該当者があつたこと、そこで大阪国税局長の一般通達に基、()、づき右各税務署長に同業者ABの該当年分の所得税青色申告決算書写の提出を求 三年分)と門真税務署管内に一名(B、昭和五三年分のみ)の該当者があつたこと、そこで大阪国税局長の一般通達に基、()、づき右各税務署長に同業者ABの該当年分の所得税青色申告決算書写の提出を求めこれに基づき売上金額、差益金額、経費率を算定すると別表(二)記載のとおりであつたこと、そこで、被告は右同業者の経費率(但し、昭和五三年分はA、Bの平均値)によつて原告の各年分の経費を推計により算出したことが認められる。 右事実によれば、右同業者の選定基準は、業種、事業所の近接、事業規模の近似等において同業者の類似性を判別する要件として合理的なものであり、右同業者の選定にあたつて恣意の介在する余地も認められず、また一定期間事業を継続する青色申告者であつて、その申告が確定していることから、右同業者の所得額等の算出根拠となる資料は正確性の高いものと考えられ、被告の用いた推計方法は合理性を有するということができる。なお、被告が選定した同業者は昭和五三年分についてはA、Bの二件であるが、昭和五一、五二年分についてはAの一件にすぎないところ、推計の基礎となる同業者の数は個別性を平均化するに足る件数が得られることが望ましいとはいえ、右のとおり同業者の類似性が認められ、かつ、その同業者の提供する資料が正確なものであれば、同一地区で他に正確な資料を有する同業者のない場合には一同業者だけと対比することも許されると解するのが相当である。 なお、原告は、推計が合理的であるというためには同業者とされる者の営業内容、従業員数、営業規模等の具体的条件をつぶさに検討し、それぞれにつき類似性を有することが必- 6 -要であるから、被告のした推計に合理性があるとはいえないと主張するが、同業者の平均値による推計の場合には、同業者間に通常存する程度の営業条件の差異は右平均値の中に 類似性を有することが必- 6 -要であるから、被告のした推計に合理性があるとはいえないと主張するが、同業者の平均値による推計の場合には、同業者間に通常存する程度の営業条件の差異は右平均値の中に捨象しうるものというべきであるし、対比する同業者が一件だけであつても、あくまでも近似値による推計を行うのであるから、この近似値としての推計を不合理ならしめる程度に特殊と認められる事情が存在しない限り、個々の特殊事情を考慮する必要はないものというべきであり、原告主張のような具体的諸条件の類似性が明らかでないからといつて、そのことから直ちに推計を不合理ということはできない。 またこの点に関し、証人Cは、同業者とされるA、Bは事業のほとんどを外注に依存しており、人件費が少ない点で、外注が少なく、従業員を雇つて工事をする割合の多い原告とは業態が異なり、原告の方が経費率が高くなる旨供述しているが、仮にA、Bや原告の業態が右供述どおりであるとしても、証人Dが証言するように、一般に外注費と人件費とは一方が多くなれば他方が少なくなるという相関関係にあるうえ、従業員を雇う場合には福利厚生費等の経費が必要となる一方、外注による場合もそのため他の経費が増加すると考えられ、必ずしも外注に依存するほど経費率が低くなるとはいえないのであるから証人Cの前記供述は直ちには信用できず、他に特段の立証もない以上、被告のした推計の合理性を否定することはできない。 さらに、原告は、A、Bの所得税青色申告決算書(乙第五ないし第八号証)は作成者を確定することができない文書であつて、形式的証拠力を欠くと主張するが、前掲乙第一ないし第四号証及び証人Dの証言によれば、Aの所得税青色申告決算書(乙第五ないし第七号証)は東住吉税務署長が、Bのそれ(乙第八号証)は門真税務署長がそれぞれ大阪国税局長あ くと主張するが、前掲乙第一ないし第四号証及び証人Dの証言によれば、Aの所得税青色申告決算書(乙第五ないし第七号証)は東住吉税務署長が、Bのそれ(乙第八号証)は門真税務署長がそれぞれ大阪国税局長あてに提出した公文書の一部であつて、右各税務署長が各申告者より真正に作成された、、ものとして受理していることが認められるから何ら形式的証拠力に欠けるところはなく。 、、、原告の右主張は採用できないまた原告は右各文書の取調べは原告の防御権を侵害し当事者平等の原則に反するものとして許されない旨主張するが、被告が同業者A、Bの氏名を明らかにしないのは守秘義務(所得税法二四三条)との関係上やむをえないものであり、他方原告において自己の帳簿書類等を提出するなどして反証を提出することが可能であつて、原告が防御の機会を全く奪われるわけではなく、訴訟の追行上原告に著しい不利益を与えるものではないから、原告の右主張も採用できない。 (三)そこで、右算定方法に従つて原告の各年分の経費を算出すると、原告の各年分の売上金額は前記1のとおりであるから、これに別表(二)記載の各年分の経費率(但し、昭和五三年分は平均値)を乗じた各年分の経費は、昭和五一年分が一六二九万一七六六円、昭和五二年分が二五四八万五七八五円、昭和五三年分が二八九二万六三六二円となる。 (四)ところで、原告は昭和五一年分の経費が一九八一万九八四六円、昭和五二年分は昭和五三年分の経費率により推計して二八三五万二八二四円、昭和五三年分が三四二三万九八四二円であると主張するが、昭和五一年分の経費が右主張額に達することは本件全証拠によつてもこれを認めるに足りない。 昭和五三年分の経費については、別表(三)の租税公課のうち個人事業税八九五〇円、修繕費のうち機械修理費五万一〇〇〇円、広告宣伝費のうち中央案 達することは本件全証拠によつてもこれを認めるに足りない。 昭和五三年分の経費については、別表(三)の租税公課のうち個人事業税八九五〇円、修繕費のうち機械修理費五万一〇〇〇円、広告宣伝費のうち中央案内通信分一二万五七〇〇- 7 -円、外注工賃費のうち光栄商会分七九万四二〇〇円については当事者間に争いがなく、更に弁論の全趣旨により成立を認めうる甲第五、第七ないし第一〇号証及び証人Cの証言によれば、原告は四トンダンプ、ライトバン及びトヨエースの三台の車両を所有して事業用に使用しており、これらにつき重量税六万三六〇〇円、保険料二九万八七八〇円、整備代二四万九一六〇円、検査申請料二万二〇〇〇円、ガソリン代一二六万五八四〇円を支払つ、、たことまた原告は従業員の作業服代としてえびす衣料に二万九九六〇円を支払つたほか従業員慰安のための宿泊旅行費として雁風荘に六万六九六〇円、従業貝の宿泊用ふとん代として永田屋に一万六四二〇円を支払つたこと(右両者に対する支払額については当事者間に争いがない)が認められるから、これらは租税公課、保険料、消耗品費及び福利厚。 生費として原告の事業にかかる経費に該るというべきである。 原告は、右以外の経費の証拠資料としてノート二冊(甲第四、第一六号証)を提出しているところ、甲第一六号証のノートについて、証人Cは、右ノートは昭和五三年一月から毎月従業員に給料を支払うため給料明細を作る際に、作業日報に基づき記帳したものである旨供述するが、証人Dの証言により成立を認めうる乙第一三号証によれば右ノートは昭和五三年三月二二日に製造され、同日以降に出荷されたものであることが認められ、また、甲第一六号証及び証人Cの証言を総合すると、右ノートは原告の子Eが昭和五三年四月に小学校に入学して以降相当長期間使用した後の余白に記帳されているこ 日以降に出荷されたものであることが認められ、また、甲第一六号証及び証人Cの証言を総合すると、右ノートは原告の子Eが昭和五三年四月に小学校に入学して以降相当長期間使用した後の余白に記帳されていることが推認できるから、証人Cの前記供述は到底信用できない。したがつて、右ノートの作成経過が明らかでない以上、その信用性には疑問があるといわざるをえず、原告が従業員に給料を支払つた事実はあるにしても、これのみによつてはその額が合計二二四七万九五〇〇円であることを認めるに足りない。 また、甲第四号証のノートにつき、証人Cは、右ノートは昭和五三年一月から毎日出費のあつた都度か、遅くとも一月内に各経費を記帳したものである旨供述するが、証人Dの証言により成立を認めうる乙第一二号証によれば右ノートは昭和五四年二月上旬に製造され、その頃から四月上旬にかけて出荷されたものであることが認められるから、右供述は到底信用できない。したがつて、右ノートの作成経過が明らかでない以上、その信用性には疑問があるといわざるをえず、右ノートに記載されてはいるが、その基礎となる領収書等の提出されていない別表(三)の租税公課のうち自動車税四三三〇円、交通費六三万七〇〇〇円、通信費五万七九〇〇円、交際接待費三九万五六〇〇円、消耗品費のうち材木仕入及びテープ代合計一六万一七三〇円、福利厚生費のうち先に経費と認定した作業服代、旅行費及びふとん代を除く分合計一二三万九九九七円、諸会費四万七六〇〇円については、いずれも右各支払の事実を認めるに足りない。 また、原告が江川組に二九四万八七五〇円を支払つたことは当事者間に争いがなく、弁論、、、の全趣旨により成立を認めうる甲第一二号証の一ないし六第一四号証の一二によれば原告がFに一五〇万九八三五円を、磯田建材に四六万三〇〇〇円をそれぞれ支払つたこ とは当事者間に争いがなく、弁論、、、の全趣旨により成立を認めうる甲第一二号証の一ないし六第一四号証の一二によれば原告がFに一五〇万九八三五円を、磯田建材に四六万三〇〇〇円をそれぞれ支払つたことが認められるが、右各支払が外注工賃費として計上すべきものであることについては、これを認めるに足りる証拠はない。さらに、原告が太広に一万円を支払つたことは当事者間に争いがないが、右支払時期に関する証人Cの供述は信用できず、他にこれを認めるに足- 8 -りる証拠はないから、昭和五三年分の経費(広告宣伝費)とは認め難い。 そして、減価償却費一一〇万四〇三〇円については、本件全証拠によつてもこれを認めるに足りない。 以上のとおりであるから、原告の昭和五三年分の経費についての主張は、その一部についてはこれを肯認しえても、主張額全部を認めるに足りないものであつて、実額計算をなしえないから到底採用できず、従つてこれに基づく昭和五二年分の経費についての推計主張も採用できないことは明らかである。 以上によれば、原告の係争各年分の前記1の売上金額から、前記2の(三)の経費並びに前記1の地代家賃及び事業専従者控除額(昭和五三年分のみ)を差し引いた事業所得金額は、昭和五一年分が二〇九万五三六三円、昭和五二年分が三四三万九七五八円、昭和五三年分が五六四万三五三四円となる。 そうすると、右事業所得金額の範囲内でなされた本件各処分には、原告の所得を過大に認定した違法はないというべきである。 三よつて、原告の本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について行訴法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官青木敏行筏津順子梅山光法)別表(三)昭和五三年分経費明細表(原告主張(省略)) について行訴法七条、民訴法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官青木敏行筏津順子梅山光法)別表(三)昭和五三年分経費明細表(原告主張(省略))

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