- 1 -主文 本件控訴を棄却する。 控訴人らの当審における予備的新請求を棄却する。 当審における訴訟費用は控訴人らの負担とする。 事実 及び理由第1控訴人の求めた裁判 控訴の趣旨( )原判決を取り消す。 ( )被控訴人は,A,B及びα区連合町内会自治会に対し,各自150万円 を支払うよう請求せよ。 ( )被控訴人は,Cに対して,150万円の賠償命令をせよ。 当審における予備的新請求被控訴人は,Bに対して,150万円の賠償命令をせよ。 第2事案の概要 本件は,横浜市(以下「市」という)の住民である控訴人らが,市が,市。 内のα区連合町内会自治会(以下「α区連会」という)に対して,地域振興。 協力費の名目の下に公金を支出したこと(以下「本件支出」という)は地方。 財政法4条1項等に違反すると主張し,被控訴人に対し,地方自治法242条の2第1項4号に基づき,本件支出がされた時において横浜市長の地位にあったA(以下「A市長」という)及び同副市長の地位にあったB(以下「B副。 市長」という)に対する損害賠償請求,本件支出に係る支出負担行為を専決。 した同市α区長の地位にあったC(以下「C区長」という)に対する賠償命。 令,並びに上記地域振興協力費を受け取ったα区連会に対する不当利得返還請求をすることを求めた事案である。 原審は,( )B副市長への損害賠償請求を求める訴えの適法性について,控 訴人らがB副市長の損害賠償責任の理由とする「平成16年度地域振興協力費- 2 -支出要領(以下「本件支出要領」という)を専決したことは,財務会計上」。 の行為に該当するものということはできないし,B副市長は,上記地域振興協力費につき,支出負担行為をしたというべきであるから,財務会計上の行為である 要領」という)を専決したことは,財務会計上」。 の行為に該当するものということはできないし,B副市長は,上記地域振興協力費につき,支出負担行為をしたというべきであるから,財務会計上の行為である「公金の支出」をした者として,地方自治法242条の2第1項4号に規定する「当該職員」に当たり,控訴人らの主張がその趣旨を含むと解する余地もあるが,その場合には,B副市長は同法243条の2の賠償命令の対象となり(同条1項1号,住民訴訟においては,B副市長に賠償命令をすることを)請求しなければならない(同法242条の2第1項4号ただし書)ことになるから,本件支出につき,B副市長に損害賠償の請求をするよう求める控訴人らの訴えは,同法の許容しない訴えというほかなく,不適法であるとして,本件訴えのうち,B副市長に対する損害賠償を求める部分を却下した。次に,( ) 本件支出の経費としての適否(争点1)については,本件支出に係る地域振興協力費は,同法232条1項に規定する経費の一類型である「報償費」から支出したものであるところα区連会の活動は12に区分されそのうち5つ本,,(件経費対象活動)については,市の事務を処理するために必要なものとして経費支出の対象と認めることができるが,7つは,経費の支出対象とは認められ,,ずこれに対して経費を支出することは同項に違反するものということができ本件支出は,本件経費対象活動のみとの関係において,対価性及び必要最少限度の原則の要求に反するものでないとは認められないから,その全額を経費として支出することは許されないものというべきであるとした。また,( )本件 支出の補助金としての適否(争点2)について,本件支出は,同項所定の経費としては許されない部分があるが,これが同法232条の2所定の寄附又は補助の支出 のというべきであるとした。また,( )本件 支出の補助金としての適否(争点2)について,本件支出は,同項所定の経費としては許されない部分があるが,これが同法232条の2所定の寄附又は補助の支出としての法律上の要件を満たす場合には,結局,全額について,普通地方公共団体として法律上支出し得る性質の金員であったということができ,支出に係る区分を一部誤ったという瑕疵が当該支出自体を違法ならしめるほどの実質的な瑕疵といえなければ,当該支出を違法ということはできないものと- 3 -解されるとし,本件支出は,これを寄附又は補助としての趣旨を含むものとしてみた場合,公益上の必要性の存在及びその交付金額の判断につき,裁量権の逸脱又は濫用があるということはできないから,違法ということはできず,本件支出自体を違法ならしめるほどの実質的な瑕疵はないというべきであるとした。そして,( )当該職員及び相手方の責任の有無(争点3)について,本件 支出は違法ということができないから,A市長又はC区長が本件支出につき市に対して損害賠償責任を負うということはできないし,α区連会がその受け取った地域振興協力費を不当利得として市に返還すべき義務を負うということもできないとした。以上の判断に基づき,原審は,( )結論として,本件訴えの うち,B副市長に対して150万円の支払を請求するよう求める部分は不適法であるとして却下し,控訴人らのその余の請求はいずれも理由がないとしてこれを棄却した。 これを不服として,控訴人(原告)らが,控訴した上で,当審において,予備的に,B副市長に対して150万円の賠償命令をすることを求める新請求を追加した。 基礎となる事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,4及び5のとおり当審における補充的主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由 対して150万円の賠償命令をすることを求める新請求を追加した。 基礎となる事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,4及び5のとおり当審における補充的主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」欄の「第 事案の概要」の2「第3争点」及び「第4争点に関する当事者の主,張」に記載のとおりであるから,これらを引用する。 控訴人らの主張( )B副市長に係る請求について 控訴人らは,主位的には,原審の請求を維持し,B副市長は支出負担行為,()の権限はなくただ具体的な支出に直結する地域振興協力費支出要領甲1を策定したことから,損害賠償責任が生ずると主張するが,仮にB副市長に支出負担行為の権限が認められるというのであれば,同人に対して賠償命令をするよう予備的に請求する。 - 4 -( )地域振協力興費を経費として支出したことの違法性 ア原判決は,平成16年度のα区連会の活動を,①定例会の開催,②「α区地域のつどい」の共催,③「防犯ネットワーク○○」の設置,④「自治会町内会活動の手引き」の作成,⑤自治会町内会加入促進活動,⑥オリンピック出場選手の応援・祝賀,⑦社会福祉協議会への参加,⑧新潟県中越地震の義援金募集,⑨防犯ビデオの配付,⑩視察研修の実施,⑪「課題検討プロジェクト」会議の実施,⑫公益団体の役員兼務の12の分野に分けた。そして,上記①ないし③,⑨及び⑪の各活動(本件経費対象活動)については,市の事務を処理するために必要なものとして経費支出の対象と認めることができるが,その余の活動(上記④ないし⑧,⑩及び⑫)は,経費の支出対象とは認められないとした上,支出金額に当てはめて,報償費で説明できるもの,すなわち本件経費対象活動に当たるものは150万円のうち高く見積もっても58万円余にすぎず,150万円の支出は対価 費の支出対象とは認められないとした上,支出金額に当てはめて,報償費で説明できるもの,すなわち本件経費対象活動に当たるものは150万円のうち高く見積もっても58万円余にすぎず,150万円の支出は対価として過剰であり,経費としての支出は許されないとした。 ,,イしかし本件経費対象活動について経費として認められるとした判断は誤りである。経費として支出し得るためには,市の事務処理に必要な事項,,,をα区連会が行っていることが必要であるところ本件経費対象活動はいずれもα区連会の活動と評価できず,仮に,α区連会の活動であったとしても,市の事務処理に必要なものとはいえず,α区連会の自主的な活動にすぎない。 (ア)①定例会の開催定例会の招集自体α区連会の活動といえるか疑問であり,α区連会の活動といえるとしても,定例会はα区連会の内部的な意思決定手続であって,市の事務処理に必要ということはできない。 (イ)②「α区地域のつどい」の共催α区連会は,形式的に共催者として名前を出し,一部の区連合町内会- 5 -長が出席して挨拶をしたのみであって,α区連会の事務を遂行したとはいえない。 (ウ)③「防犯ネットワーク○○」の設置,⑨防犯ビデオの配付,⑪「課題検討プロジェクト」会議の実施上記③及び⑪は,α区連会の意思決定に基づく活動ではなく,⑨は,α区連会が行ったと評価できない。仮にα区連会の活動だとしても,③は地域団体として自ら行うべき防犯活動を行ったにすぎず,⑨はα区連会がどのようにビデオを利用するかも不明であり,そもそも一部の住民組織にビデオを配布することが市の事務とはいえない。⑪もα区連会内部の課題を検討したにすぎず(乙17の1,市の事務とはいえない。 )ウ経費の額の見方原審は「α区連会が本件経費対象活動を処理するために実際に負担 配布することが市の事務とはいえない。⑪もα区連会内部の課題を検討したにすぎず(乙17の1,市の事務とはいえない。 )ウ経費の額の見方原審は「α区連会が本件経費対象活動を処理するために実際に負担し,た費用は,最も高額に見積もっても58万2056円である」と認定するが,会議とビデオ配布しか行っていないのであるから,平成16年度における収支決算によれば,要した費用は会議費11万9880円及び事務費7万7604円の一部,並びにビデオ制作費用5万0525円及び1万5915円であって,これらの総額26万3924円の一部にすぎない。したがって,地域振興協力費150万円のうちの2割に満たないとの認識で判断すべきである。 ( )支出の違法性 ア( )イのように,原判決が経費性を認めたものも,全部について経費性 は認められないから,本件地域振興協力費はすべて経費とはならないものの支出に当てられていたことになる。 イ仮に一部について経費性が認められるとしても,経費たる報償費は,具体的な市の事務に関して,対価として支出するものであるから,具体的な役務等の提供に対応するものとして支出すべきである。したがって,多様- 6 -で異質な行為に対する対価として,1つの報償費を支払うことは,対価性の検証を困難にさせるので認め難く,そのこと自体で違法というべきである。 ウ必要性について原判決によっても,平成16年度のα区連会の支出のうち経費といえるのは58万円余にすぎず,平成15年度からの繰越金は88万7098円であり,この繰越金は実質的には過去の地域振興協力費の残りである。平成16年度の経費は繰越金より少ないから,繰越金により十分賄えるものであり,別途報償費たる地域振興協力費150万円を支出する必要はなかったから,最少支出の原則に反する。 ( 協力費の残りである。平成16年度の経費は繰越金より少ないから,繰越金により十分賄えるものであり,別途報償費たる地域振興協力費150万円を支出する必要はなかったから,最少支出の原則に反する。 ( )補助金としての公益性による合法化について ア(ア)経費と補助金の区別経費として支出したものを補助金として合法とすることはできない。 経費は地方自治法232条1項,補助金は同法232条の2と,それぞれ別に規定され,両者は明確に別のものとして位置づけられている。両者の合法性の基準も支出手続も異なる。 (イ)歳出予算上も,経費のうちの報償費は第8節に,補助金は負担金などとともに第19節に挙げられ,別の節として予算が作成され執行される(地方自治法施行規則15条2項。 )イ補助金としての公益性(ア)補助金支出に際しての行政職員の裁量権も無制約ではなく,当該補助金の目的,趣旨,効用及び経緯,補助の対象となる事業の目的,性質及び状況,当該地方公共団体の財政の規模,状況,議会の対応,地方財政に係る諸規範等の事情を総合的に考慮した上で検討すべきである。 この基準に従って検討すると,本件は,本来補助金として支出したものではない。そして,α区連会の活動としてどのような事業がされ,そ- 7 -れが公益上必要かについて全く検討せずに支出したのである。 (イ)⑩視察研修の実施上記視察研修が観光目的か研修目的かは,いずれが主たる目的かによって決すべきであって,研修目的であることを前提に,研修目的としての性質を否定するものであったか否かを判断すべきではない。そして,上記視察研修の宿泊場所,行程,研修成果を全体的にみれば,観光が主たる目的であって,観光目的を害しない程度に研修に立ち寄ったにすぎないものと認定すべきであり,公益性はない。 (ウ)⑫公益団体の ,上記視察研修の宿泊場所,行程,研修成果を全体的にみれば,観光が主たる目的であって,観光目的を害しない程度に研修に立ち寄ったにすぎないものと認定すべきであり,公益性はない。 (ウ)⑫公益団体の役員兼務α区連会では,α区連会の会長,副会長,会計,幹事等の役員らが公益団体における協議結果を持ち帰り,これを定例会等で協議したことはなく,これらは,役員らの個人的な活動にすぎず,推薦行為に特段経費。 ,,が必要となるものではないしたがってα区連会の公的活動ではなく仮にα区連会の活動だとしても,補助金を必要とするような公益性はない。 (エ)その他の活動その他の活動を含めて,α区連会が公益的活動を行っているとはいえず,繰越金でまかなえるにもかかわらず補助金を支給する必要性を根拠づけるほどの公益的活動を行っているとはいえない。 ウ以上のとおり,本件地域振興協力費の支出は,補助金の支出とみても裁量権を逸脱,濫用するものであって,違法というべきである。 被控訴人の主張( )主位的主張(地方自治法232条1項所定の経費) ア市の事務性原判決の摘示するα区連会の活動のうち④ないし⑧,⑩及び⑫を経費とすることができないとした原審の判断は,以下のとおり失当である。 - 8 -(ア)④「自治会町内会活動の手引き」の作成「自治会町内会活動の手引き」の作成は,自治会町内会にかかわりの深い市の事務とその連絡先の案内など,自治会町内会活動が正確かつ円滑に行われることを目的に作成したものであり,市の事務であることは明らかであり,市から自治会町内会への依頼業務が効率的に遂行されることに資するものである。 (イ)⑤自治会町内会加入促進活動自治会町内会は,地域の基礎的な組織として,住民の福祉増進にも寄,「」,与しまた自治会町内会活動の 頼業務が効率的に遂行されることに資するものである。 (イ)⑤自治会町内会加入促進活動自治会町内会は,地域の基礎的な組織として,住民の福祉増進にも寄,「」,与しまた自治会町内会活動の手引きにも案内がされているとおり市の多岐にわたる様々な事務に協力しており,その自治会町内会への加入促進は,市区役所事務分掌規則で定める地域振興課の分掌事務である「」,。 市民組織の振興に位置づけられるもので市の事務そのものである(ウ)⑥オリンピック出場選手の応援・祝賀スポーツ振興法15条に「国及び地方公共団体は,スポーツの優秀,な成績を収めた者及びスポーツの振興に寄与した者の顕彰に努めなければならない」と定めているとおり,スポーツの優秀な成績を収めた者。 の功績を称え,これを広く公表することは地方公共団体の事務であり,オリンピック選手の応援・祝賀は地域住民の連帯意識の醸成やスポーツ振興に資するものである。 (エ)⑦社会福祉協議会への参加社会福祉法6条は,国及び地方公共団体の福祉サービスについて規定しており,地域における社会福祉の推進を図るために,市町村は市町村地域福祉計画を策定するなどのため,必要な措置を講ずるなどの責務が課せられており(同法107条,地域福祉増進のための活動は,市の)事務である。同法109条は,市町村等に社会福祉協議会を組織することを定め,同条5項に基づき,市職員が社会福祉協議会の役員となり,- 9 -。 ,同役員が市の事務として社会福祉協議会の活動を行っているすなわち社会福祉協議会の活動のうち市職員が担当するもの及び市と社会福祉協議会とが協同する地域福祉活動は,市の事務である。そして,そのためには地域住民の参加・協力が不可欠であるから,社会福祉協議会に地域住民の代表であるα区連会が加わる体制を 当するもの及び市と社会福祉協議会とが協同する地域福祉活動は,市の事務である。そして,そのためには地域住民の参加・協力が不可欠であるから,社会福祉協議会に地域住民の代表であるα区連会が加わる体制を採用し,市と協働して地域福祉活動に当たっているのである。 (オ)⑧新潟県中越地震の義援金募集災害対策基本法5条1項は,市町村の防災計画について規定し,同法5条の2は,地方公共団体の相互協力の義務を定めていることから,天災が起こった際の義援金の事務を多くの地方公共団体は通常行っており,市においても義援金に関する事務を市防災計画に定めている。今回のケースでも,恒常的に募金活動を行っているα区連会が義援金の募集を行ったことによりα区民から670万円を超える多額の義援金が寄せられており,市の事務に大きく寄与している。 (カ)⑩視察研修の実施防災・災害対策は,災害対策基本法にも市町村の責務規定が定められているとおり,市の主要な施策の1つであり,その中には住民に対する啓発も当然に含まれる。そして,α区連会が防災・災害対策の視察研修を行い,その成果を広く住民に還元したことは,市の防災・災害対策,中でも住民に対する啓発事務の一環である。そして,本件の視察研修では,その成果をビデオ撮影して持ち帰り,1400人以上の住民に見てもらい,防災意識の向上に資しており,また,本件の視察研修で得た成果を住民に説明して十分な成果を上げている。 (キ)⑫公益団体の役員兼務α区連会の構成員は,区内の多くの公益団体の役員に就任し,その結果をフィードバックしたり,住民に還元しており,市と協働して事務を- 10 -遂行し,あるいは同事務を補助しているので,経費の支出対象となり得る。 イ対価性と必要最少限度の原則(ア)広範な裁量権経費の支出には,対価性と必要最少限度 り,市と協働して事務を- 10 -遂行し,あるいは同事務を補助しているので,経費の支出対象となり得る。 イ対価性と必要最少限度の原則(ア)広範な裁量権経費の支出には,対価性と必要最少限度の原則につき,地方公共団体には,広範な裁量権がある。 (イ)裁量権の行使につき逸脱又は濫用はないことa前記のとおり,α区連会の活動①ないし⑫はいずれも,市の事務であるから,このうち④ないし⑧,⑩及び⑫を市の事務とすることができないことを前提とする原判決の判断は失当である。 b原判決は,α区連会の平成16年度における収支決算のうち,本件経費対象活動に要した支出額を根拠に,本件支出が対価として過剰であったとしている。しかし,地方自治法232条1項の「経費」は,実費に限らず,地方公共団体が委託した業務についての謝礼も含まれる。 ( )予備的主張(地方自治法232条の2の寄付又は補助) 本件支出は,経費に限って支出されたものではなく,包括的な謝礼としての性質を併せ持つものであり,経費に限って支出されたことを前提とする控訴人らの主張は理由がない。 歳出予算上の区分は,あくまでも歳出予算の執行に際しての手続的な区分にすぎず,地方自治法上の「経費「寄付又は補助」の区分とは連動しな」,。 ,「」,いまた予算区分上の報償費がすなわち同法上の経費なのではないし実際にも,本件支出は「経費の負担も含めた様々な市政協力への包括的な謝礼」であって「経費」に限っているわけではない。 第3当裁判所の判断 当裁判所も,原判決と同様に,Bについては,賠償命令を求めるべきである- 11 -から,Bに対して損害賠償を求める請求にかかる訴えは却下し,その余の請求は,当審において追加された予備的新請求を含め,いずれも理由がないから,棄却すべきである 償命令を求めるべきである- 11 -から,Bに対して損害賠償を求める請求にかかる訴えは却下し,その余の請求は,当審において追加された予備的新請求を含め,いずれも理由がないから,棄却すべきであると判断する。その理由は,次のとおり改め,2に当審における判断を追加するほかは,原判決の「事実及び理由」の「第5当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 ( )原判決35頁末行の次に行を改めて,次の段落を付加する。 また上記④はα区役所地域振興課が自治会町内会活動の手引き乙「,,「」(5)を作成する作業にα区連会が関与したというものであるところ,市が住民の自治的組織である自治会町内会と連携協働して施策の円滑かつ効果的な,,実施を図ることに資するため自治会町内会活動の手引きを作成することは市の事務ということができ,α区連会がこれに関与する活動は市の事務の遂行を補助する側面を有すると認められる」。 「」「」,「」( )同36頁4行目及び18行目の④を⑤に改め同6行目の④ から9行目の「また」までを削り,同37頁2行目の「③」を「④」に改,める(なお,これに伴い「本件経費対象活動」には④の活動が含まれるこ,とになる。 。) 当審における主張についての判断( )B副市長に係る請求について 本件支出を違法ということができないことは,上記引用に係る原判決の判示するとおりであるから,これが違法であることを理由にするB副市長に係る予備的新請求も,理由がないことが明らかである。 ( )地域振興協力費を経費として支出したことの違法性について ア控訴人らは,原判決の摘示するα区連会の活動のうち①ないし③,⑨及び⑪について,α区連会の活動と評価できず,仮に,α区連会の活動で )地域振興協力費を経費として支出したことの違法性について ア控訴人らは,原判決の摘示するα区連会の活動のうち①ないし③,⑨及び⑪について,α区連会の活動と評価できず,仮に,α区連会の活動であったとしても,市の事務処理に必要なものとはいえず,α区連会の自主的な活動にすぎないと主張する。 - 12 -しかし,証拠(乙4(枝番省略。以下同じ,10,15~19,2。)3)によれば,市が,会議室を提供し,事務局の立場において資料を準備し説明するなどの支援をしたことは事実であるが,そのことをもって,α区連会が①ないし③,⑨及び⑪の活動を行ったと評価することを妨げるも,。 ,,のとはいえずこれらはα区連会の活動と認められるまた控訴人らはこれらがα区連会の活動ということができるとしても,α区連会の自主的な活動であり,市の事務処理に必要とはいえないというが,まさに控訴人らが指摘するとおり,市が深く関与して行われており,純然たる内部の行為として行われたものではないことが明らかであるから,α区連会が市と連携協働して行った活動にほかならず,α区連会が市の事務を代わって行い,あるいは市の事務の遂行を補助したという側面があると認めることができる。したがって,控訴人らの上記主張は失当である。 イ控訴人らは,原判決の摘示する「α区連会が本件経費対象活動を処理するために実際に負担した費用は,最も高額に見積もっても58万2056円である」との判断は相当ではなく,実際に負担した費用は地域振興協力費150万円のうちの2割に満たないと主張する。 上記の点は,判断の結論を左右するものではないが,前記引用に係る原判決は,58万2056円の一部が本件経費対象活動を処理するためにα区連会が負担した費用であるとしているのであり,その額を確定しているわけでは ,判断の結論を左右するものではないが,前記引用に係る原判決は,58万2056円の一部が本件経費対象活動を処理するためにα区連会が負担した費用であるとしているのであり,その額を確定しているわけではない。本件経費対象活動を処理するためにα区連会が負担した費用の額は,本件証拠上厳密に確定することはできないものであり,控訴人らの主張する費目に限定されるというべき根拠もなく,また,その額が結論に決定的な意味を持つものではないから,上記主張は採用しない。 ウ被控訴人は,原判決の摘示するα区連会の活動のうち,⑤の自治会町内会加入促進活動,⑥のオリンピック出場選手の応援・祝賀,⑦の社会福祉協議会への参加,⑧の新潟県中越地震の義援金募集,⑩の視察研修の実施- 13 -及び⑫の公益団体の役員兼務についても,市の事務を遂行し,又は市の事務を補助するものであり,市の経費として報償費を支出することが認められるべきであると主張する。 しかし,実際に行われたα区連会の活動についてみると,⑤は,作成さ(),れたチラシ乙6はα区連会独自の活動というほかはないものであるし⑥,⑧も同様であり(乙7,9,市の事務としても行い得るものである)としても,これらは市の事務を行ったものとはいえない。⑦及び⑫は,α区連会ないしその役員が他の団体のメンバーとして参加する行為であって,それ自体は市の事務ではあり得ないし,市の事務を補助するということも困難である。⑩は,α区連会が自主的に企画実施したものと認められ,,。 ,るのでありやはり市の事務を補助するものとは認め難いしたがって被控訴人の上記主張は,採用することができない。 ( )支出の違法性について ア控訴人らは,経費性が認められるとしても,経費たる報償費は,具体的な市の事務に関して,対価として支出する たがって被控訴人の上記主張は,採用することができない。 ( )支出の違法性について ア控訴人らは,経費性が認められるとしても,経費たる報償費は,具体的な市の事務に関して,対価として支出するものであるから,具体的な役務等の提供に対応するものとして支出すべきであり,多様で異質な行為に対する対価として,1つの報償費を支払うことは,対価性の検証を困難にさせるので認め難く,そのこと自体で違法というべきであると主張する。 しかし,前記引用の原判決の判示するとおり,報償費は,経費の一類型である以上対価性を求められるとはいえ,もともと金銭的な換算が困難な利益に対する支出であって,反対給付との厳密な対価関係の要求には直ちになじみにくいものである。そして,1つ1つの役務提供ごとに報償費を支出することのほかに,複数の役務提供が恒常的に繰り返される場合に,それらを包括して1つの報償費を支出することも,裁量の範囲内で行い得ると解される。したがって,対価性の検証を困難にさせるという理由で,複数の行為に対して1つの報償費を支払うこと自体を違法ということはで- 14 -きない。 イ控訴人らは,原判決によっても,平成16年のα区連会の支出のうち経,。 費といえるのは58万円余にすぎず最少支出の原則に反すると主張するしかし,前記引用の原判決の判示するとおり,α区連会の役務の提供に対する報償費の額が対価として相当なものということができるかどうかは,単に当該役務の提供に当たってα区連会が負担した費用の額のみを考慮するのではなく,そこに謝礼や奨励的な意味が含まれていることも考慮の上,合理的な裁量の範囲を逸脱するものかどうかの観点から判断すべきことである(この点において,被控訴人の主張( )イ(イ)bも,原判決を 正解しないものである。したがって,α区連会の とも考慮の上,合理的な裁量の範囲を逸脱するものかどうかの観点から判断すべきことである(この点において,被控訴人の主張( )イ(イ)bも,原判決を 正解しないものである。したがって,α区連会の負担した費用の額が。)繰越金のみで賄われ得るものであったことなどを理由に,直ちに違法と断ずべきものではない。控訴人らの上記主張は,採用し得ない。 もっとも,α区連会の1年間にわたる様々な活動に対する謝礼や奨励的な意味が含まれていることを考慮しても,原判決の判示するところに加えて,役務の内容が,市の事務の遂行を補助するなどの側面を有するとはいえ,住民の自治的な活動としての面も有していることなどにも照らせば,本件経費対象活動に対する報償費としては,対価として過剰であったというほかはなく,裁量の範囲を逸脱するものといわなければならない。 ( )ア控訴人らは,経費として支出したものを補助金として合法化すること はできないと主張する。 確かに,本件支出は,報償費として支出されたものであり,報償費としての支出には,経費としての対価性及び必要最少限度の原則の要求に反する違法がある。そして,本件支出は,補助金として支出されたのではないから,補助金として支出されたものとして,その適法性を判断すべきものではない。しかし,住民訴訟は,個々の住民の個別的利益の救済を図るものではなく,普通地方公共団体の違法な財務会計上の行為が究極的には住- 15 -民全体の利益を害するものであるところから,地方自治法が,住民参政の一環として,住民の資格において提訴することを特に認めたものであることに照らせば,本件支出が補助金としての支出の要件は満たしていたと判断し得る場合には,支出の区分を誤ったものではあるが,市が支出してはならない性質の支出を行ったものとはいえず,住民の利益 のであることに照らせば,本件支出が補助金としての支出の要件は満たしていたと判断し得る場合には,支出の区分を誤ったものではあるが,市が支出してはならない性質の支出を行ったものとはいえず,住民の利益を害したともいえないことになるから,本件支出には実質的には違法がないものとして,これを行った者に損害の賠償を請求することを認めないのが相当である。 なお,控訴人らは,歳出予算上の節の違いを挙げて,補助金としての適法性を判断すべきではないと主張する。しかし,本件支出自体は,予算上報償費と整理されたものを報償費として支出したのであって,流用がされたわけではなく,予算の裏付けがなかったという違法は問題にならない。 そして,補助金としての支出としてみれば要件を備えていたかは,上記のような趣旨において考慮するのであって,予算上の節の違いを問題とするのは,当を得ない。 イ(ア)控訴人らは,本件支出は,補助金としてみても公益上の必要性がなく,違法であると主張する。 確かに,本件支出は,α区連会の具体的使途を示してされた申請につき個別的な審査を経た上で額を決定して実施されたというのではなく,市が申請を待たずに市内の各区連会に一律に年額150万円を給付したというものである。その後,市において,自治会町内会に対する財政的支援の在り方につき検討がされ,平成17年度は,地域振興協力費支出要領において,区連会に対する地域振興協力費は,150万円を上限とし,区連会から予算書,活動計画書等の提出を受けた上で配付し,決算において余剰が出たときは返還させることができるなどという改正がさ,,,れ平成18年度においては地域活動推進費補助金交付要綱をもって区連会についても,申請に基づいて,所定の基準に従って計算した補助- 16 -,(,,金の交付を決定し請求を待 さ,,,れ平成18年度においては地域活動推進費補助金交付要綱をもって区連会についても,申請に基づいて,所定の基準に従って計算した補助- 16 -,(,,金の交付を決定し請求を待って交付する制度に改められた甲5 11)ものであり,これらと比較すると,本件支出は,補助金としてみても,支出の合理性,透明性,公平性等の点において,課題を抱えるものといわざるを得ない。 しかしながら,上記のとおり,その後も市の区連会に対する財政的支援自体は継続すべきものとされているように,本件支出が地方自治法232条の2の定める公益上の必要性を欠くものとはいえず,α区連会の諸活動の内容に照らして,その額が不合理に高額ともいえないことは,前記引用の原判決の判示するとおりであり,本件支出は,寄付又は補助として支出するのであれば,同条の要件を充足するものであって,これを違法ということはできない。 (イ)なお,控訴人らは,⑩の視察研修の実施が研修目的ではなく観光目的であるから,これには公益性がなく,また,⑫の公益団体の役員兼務も,役員らの個人的な活動にすぎず,公益性がないし,その他のα区連会の諸活動も,補助金支給の必要性を根拠づけるほどの公益性はないと主張する。 しかしながら,⑩の視察研修は,一部に観光目的と見られる行程があ,,るものの全体としては地域の防災・災害対策の目的に沿う内容であり参加者も各2万円を負担している(甲6)から,観光目的と見られる行程が含まれていることを根拠に全体としての公益性を否定すべきではない。また,⑫の暴力団追放推進協議会等の公益団体への役員就任は,就任した役員が,当該公益団体における協議結果を持ち帰り,これを定例会等で協議した上,当該公益団体や各自治会町内会に還元するという活動を行っているというのであるから, 会等の公益団体への役員就任は,就任した役員が,当該公益団体における協議結果を持ち帰り,これを定例会等で協議した上,当該公益団体や各自治会町内会に還元するという活動を行っているというのであるから,その公益性は明らかである。その他の諸活動についても,公益性が認められることは,前記引用に係る原判決の判示するとおりである。控訴人らの主張は採用し得ない。 - 17 - 結論 以上のとおりであり,当審において追加された予備的新請求以外の請求については,原判決と同様に,Bに対して損害賠償を求める請求に係る訴えは却下し,その余の請求は棄却すべきであるから,本件控訴を棄却し,当審において追加された予備的新請求については,棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第2民事部裁判長裁判官大橋寛明裁判官辻次郎裁判官石栗正子(原裁判等の表示)主文 本件訴えのうち,被告に対し,Bに対して金150万円の支払を請求するよう求める部分を却下する。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由- 18 -第1請求 被告は,A,B及びα区連合町内会自治会に対し,各自金150万円を支払うよう請求せよ。 被告は,Cに対し,金150万円の賠償命令をせよ。 第2事案の概要 事案の骨子本件は,横浜市の住民等である原告らが,横浜市が,同市内の区連合町内会自治会に対して,地域振興協力費の名目の下に公金を支出したこと(以下「本件支出」という)は地方財政法4条1項に違反すると主張し,被告に対し,。 地方自治法242条の2第1項4号に基づき,横浜市長の地位にあったA(以下「A市長」という)及び同副市長の地位にあったB(以下「B副市長」と。 いう)に対する損害賠償 すると主張し,被告に対し,。 地方自治法242条の2第1項4号に基づき,横浜市長の地位にあったA(以下「A市長」という)及び同副市長の地位にあったB(以下「B副市長」と。 いう)に対する損害賠償請求,本件支出に係る支出負担行為を専決した同市。 α区長の地位にあったC(以下「C区長」という)に対する賠償命令,並び。 に上記地域振興協力費を受け取ったα区連合町内会自治会(以下「α区連会」という)に対する不当利得返還請求をすることを求めた事案である。 。 基礎となる事実(当事者間に争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)( )当事者等 ア原告D及び原告Eは,いずれも横浜市の住民である。 原告Fは,会則において「横浜市・同市議会及びこれに関連する団体の不正・不当な行為を監視し,それを是正すること」を目的として掲げた,横浜市内に事務所を置く権利能力なき社団である(甲3。 )イA市長は,本件支出当時,横浜市の市長の地位にあった者である。 ウB副市長は,本件支出当時,横浜市の副市長の地位にあった者である。 エC区長は,本件支出当時,α区の区長の地位にあった者である。 ( )横浜市における自治会町内会の組織 - 19 -ア自治会町内会とは,地域に起こる問題を解決し,地域住民相互の親睦を図るため,地域住民によって組織された任意又は認可による団体である。 横浜市においては,地域振興協力費の支出に当たり,①町・丁目の全部又は一部を単位とする一定区域を有すること,②その区域の住民のおおむね半数程度を会員として自主的に運営されていること,及び,③当該年度内に公益的な活動を行うことが確認されていることという3条件を有する団体を自治会町内会とみなしている。本件支出がされた平成16年当時,同市内の自治会町内会は2835団体,加入世帯は 及び,③当該年度内に公益的な活動を行うことが確認されていることという3条件を有する団体を自治会町内会とみなしている。本件支出がされた平成16年当時,同市内の自治会町内会は2835団体,加入世帯は126万9474世帯であり,市内総世帯のうち86.2パーセントがいずれかの自治会町内会に所属していた(甲1,9,11。 ),(「」。)イ自治会町内会は地区ごとに地区連合町内会以下地区連会というを構成し,地区連会の会長(以下「地区連長」という)は,横浜市内の。 18の区ごとに区連合町内会(以下「区連会」という)を構成し,区連。 (「」。),(「」会の会長以下区連長というは市町内会連合会以下市連会という)を構成する(以下,自治会町内会,地区連会,区連会又は市連。 会を指して「住民組織」ということがある。 。)ウ本件支出当時,α区内の自治会町内会は105団体であり,うち86団体が13の地区連会のいずれかに加盟し,各地区連会の会長13名がα区連会を構成していた(甲2,乙2の4。 )( )地域振興協力費 横浜市は,平成16年3月9日,B副市長の専決により「平成16年度地域振興協力費支出要領(以下「本件支出要領」という)を制定した(甲」。 1,乙2の1。 ),(,。),同支出要領は自治会町内会ただし前記( )アの3条件を有する団体 地区連会,区連会及び市連会の各団体と,地区連長及び区連長に対し,地域振興協力費として,一定の金員を支出することを定めており,その金額はお- 20 -おむね以下のとおりであった。 自治会町内会1世帯当たり年額1000円地区連会均等割1団体当たり年額5万円世帯割1世帯当たり年額160円区連会1団体当たり年額150万円市連会年額160万円地区連長 りであった。 自治会町内会1世帯当たり年額1000円地区連会均等割1団体当たり年額5万円世帯割1世帯当たり年額160円区連会1団体当たり年額150万円市連会年額160万円地区連長1人当たり月額9000円区連長1人当たり月額1万8000円同支出要領によれば,自治会町内会等の住民組織に対する支出の趣旨は,「防犯灯の維持管理をはじめとした防犯活動,防災,環境美化活動及び保健衛生活動など様々な公益性の高い活動や市政協力を行う地域住民組織である」ことにあり,地区連長及び区連長に対する支出の趣旨は「市政,区政,に関わる事業等についての協議や連絡調整など市政・区政への協力活動の経費の一部を支出する」ことにあった。 ( )本件支出 アB副市長は,平成16年3月26日,横浜市事務決裁規程(昭和47年横浜市達第29号。乙3の1)2条2号,3条1項,別表第1「5予算の編成及び執行に係る事項「副市長専決事項」(),及び本件支出要領」 に基づき,各区連会に対する地域振興協力費(18団体に各150万円)につき,予算を各区へ配付し,該当区から支出することを,A市長に代わって専決した(乙2の1・2。 )横浜市の市民協働推進事業本部は,同年4月1日,α区への予算配付を決定した(乙2の3。 )同配付を受けたC区長は,横浜市事務決裁規程2条2号,3条1項,別表第1「5予算の編成及び執行に係る事項「局長専決事項」()に基」 づき,α区連会に対する地域振興協力費(150万円)の支出をA市長に- 21 -代わって専決した(乙2の4,3の1。 )ところで,横浜市における支出負担行為の整理区分について定めた横浜市予算,決算及び金銭会計規則(昭和39年横浜市規則第57号。乙3の2)188条,及び同規則の解釈指針である「横浜市 4,3の1。 )ところで,横浜市における支出負担行為の整理区分について定めた横浜市予算,決算及び金銭会計規則(昭和39年横浜市規則第57号。乙3の2)188条,及び同規則の解釈指針である「横浜市予算,決算及び金銭会計規則の全部改正について(昭和39年横浜市助役依命通達総総第213号。乙12」によると,報償費については支出決定のときが支出負担)行為として整理する時期であるとされているところ,被告は,α区連会に対する地域振興協力費の支出負担行為はC区長の専決によってされたものである旨主張する。しかし,B副市長の専決による上記予算配付決定の際に各区連会に対する地域振興協力費の金額が既に明示されていたこと乙,(2の2,C区長によるα区連会に対する支出の決定は,同予算配付決定)に基づき,その支払先や支払方法等の具体的内容を確定する性質のものといえること(乙2の4,及び,C区長の当該支出の決定に係る専決権限)は予算配付の際に副市長の専決を受けたことを根拠とすること(横浜市事務決裁規程(乙3の1)3条1項,別表第1 予算の編成及び執行に,,係る事項局長専決事項()によると区長が区役所における支出として 報償費の支出をする場合,原則は1件300万円未満につき権限を有するが,特に,予算配付の際に副市長の専決を受けた場合にあっては,300万円以上の報償費の支出に関することもその権限となる)からすれば,。 B副市長による予算配付決定及びC区長による支出の決定の双方により,α区連会に対する地域振興協力費の支出決定,すなわち支出負担行為がされたものというべきである。 イ上記支出負担行為を受けて,α区総務課長の専決により,支出科目を平成16年度一般会計歳出第3款2項4目地域振興費8節の報償費として,150万円の地域振興協力費の支 されたものというべきである。 イ上記支出負担行為を受けて,α区総務課長の専決により,支出科目を平成16年度一般会計歳出第3款2項4目地域振興費8節の報償費として,150万円の地域振興協力費の支出命令がなされ,α区収入役室において支出負担行為の適法性等を審査の上執行した(乙2の4,3の2・3。 )- 22 -( )監査請求 原告らは,平成17年6月23日,横浜市監査委員に対し,本件支出につき監査請求をしたところ,同監査委員は,同年8月22日付けで同請求を棄却した(甲2。 )第3 争点 本件支出の経費としての適否 本件支出の補助金としての適否 当該職員及び相手方の責任の有無第4争点に関する当事者の主張 争点1(本件支出の経費としての適否)について(原告らの主張)( )本件支出は,地方自治法232条1項の「経費の支弁」として行われた が,支出の対価としての妥当性を検証ないし評価する作業を経ておらず,またα区連会はその活動が公益性を欠くものであり,地域振興協力費の支払の対価に当たるものがないことは明らかであることから,最少経費原則(地方財政法4条1項)に反して違法な支出である。 ア本件支出は,以下に述べるとおり対価性を欠く支出である。 (ア)被告は,地域振興協力費は広汎多岐にわたる市政(区政)協力活動に対する包括的な謝礼として支出するものであるという。 しかし,一般に報償費は経費であり,役務の提供や施設の利用などによって受けた利益に対する代償を支出するものであるところ(甲4,)ここにいう対価性は,ある物品や役務の提供についての市場価格を評価して等価でなくてはならないというほどの厳密なものではないが,特定の役務の提供に対する代償であるといえる程度に具体的な対価の妥当性があることが想定されているというべきで 提供についての市場価格を評価して等価でなくてはならないというほどの厳密なものではないが,特定の役務の提供に対する代償であるといえる程度に具体的な対価の妥当性があることが想定されているというべきである。 したがって,本件支出のように「包括的な謝礼」として報償費を支,- 23 -出することはそもそも許されない。 (イ)本件支出要領では,地域振興協力費を支出する趣旨として「防犯活動,防災,環境美化活動及び保健衛生活動など様々な公益性の高い活動や市政協力」に対して支払う旨が規定されているが,同活動を具体的に行っているのは各単位自治会町内会であり,区連会は行っておらず,その意味で,区連会に対する地域振興協力費の支払は本来の支出要領の趣旨を逸脱したものにほかならない。 (ウ)仮に市・区からの連絡の取り次ぎを公益活動,市政協力とみなしたとしても,一律年150万円もの金額を支払うには到底値しないものである。 謝礼の対象たる「市政への協力」についていえば,市が区連会に対して,市政への協力を当然に求められる立場にあるものではないから,あらかじめ包括一律に支払うことは全く根拠がなく実態からしても市,,「政への協力」への対価として150万円は高額に過ぎるし,対価性の事後的な検証の手段も全くなく,各区連会ごとに規範も活動内容も異なるはずであるのに一律扱いしている点でも対価性という発想を欠いていることが明らかである。 (エ)地区連会及び区連会は,単位自治会町内会を基盤として形成されて,,,いるものであり地方自治法260条の2に定める原則に従い民主的自主的に運営され,行政組織とは独立した存在でなければならない。 したがって,行政機関が区連会に対し,当然に,行政に対する一定の協力を義務づけ,期待したり,行政の関与する他団体への活動に協力する 的自主的に運営され,行政組織とは独立した存在でなければならない。 したがって,行政機関が区連会に対し,当然に,行政に対する一定の協力を義務づけ,期待したり,行政の関与する他団体への活動に協力することが当然であるとの対応をすることは許されない。行政若しくは他団体の活動にどのように関わるかは,当該区連会が自主的に判断すべきことであり,区連会が自主的な判断に基づき,行政や他団体の活動に関,,。 わった場合の費用労力は当該区連会自体が負担するのが原則である- 24 -そして,市政活動への協力の是非・程度は,各区連会が自主的に判断すべきことである以上,区連会に対して,一定の市政協力活動がなされ,「」ると決めてかかってそれを前提に内容を問わない一律の包括的謝礼として支払うことは到底合理性を有しない支出である。 (オ)横浜市は,平成18年3月30日,本件支出要領に代わるものとして,地域活動推進費補助金交付要綱を制定し,地域振興協力費を報償費,,,ではなく補助金と位置付けその交付基準として区連会等については①団体運営費,②加入・連携促進事業費,③事務局外部化費の区分を設け,それぞれについて対象となる経費の範囲を示している(甲5。 )このことからしても,何も内訳を示さずに一律150万円を支払っていた本件当時の制度が異常であったことは明らかである。 イまた,本件支出の対象であるα区連会は,その活動の実態がほとんどなく,あるとしても公益性を欠くものであり,地域振興協力費の支払の対価に当たるものがないことは明らかである。 (ア)被告がα区連会の活動であると主張する「防犯ネットワーク○○協定「G選手の祝賀セレモニー「視察研修「α区民まつり」等は,い」」」ずれも定例会で実質的な意思決定がなされておらず,α区連会の意思に,,基づ の活動であると主張する「防犯ネットワーク○○協定「G選手の祝賀セレモニー「視察研修「α区民まつり」等は,い」」」ずれも定例会で実質的な意思決定がなされておらず,α区連会の意思に,,基づく活動とは認められないか実質的な企画・実行は行政側であってα区連会が企画・実行したとは到底評価できない。 仮に,定例会において了承された事項を各地区連長が実行したとしても,それは行政の意を受けた各地区連長の活動にすぎない。 (イ)被告は,定例会議事録(乙15の1ないし11)を提出した後に,原告らの主張を受けて区連会行政側退席後会議議事録(乙19の1ないし11。以下,同会議を「退席後会議」という)を提出したが,証拠。 提出の過程,α区連会長Hの認識,会議の形態,議事録の形式,いずれにおいても不自然であり,そもそも退席後会議という定例会とは明確に- 25 -区別された会議など存在しないと考えるのが素直である。 また,退席後会議は,規約(乙1)においてα区連会の運営その他必「」「」「」要な事項を定める場とされている会議すなわち定例会臨時会(,),,規約11条8条に該当せず仮に退席後会議が存在したとしても意思決定機関とはいえない。 仮に,退席後会議において何らかの意思決定があったとしても,同議事録からは,一体何が決定されたのか不明であり,企画ごとの予算に関する記述も全くなく,団体が意思決定に基づいて活動しているなどとは評価できるものではないから,被告主張の個々の活動はα区連会の意思と無関係な活動,あるいはα区連会が活動したとは評価できない活動にすぎず,α区連会は具体的活動をしていない。 (ウ)また,被告が公益性があると主張するα区連会主催の視察研修(以下,単に「視察研修」という)は,温泉地で宿泊することを前提とし は評価できない活動にすぎず,α区連会は具体的活動をしていない。 (ウ)また,被告が公益性があると主張するα区連会主催の視察研修(以下,単に「視察研修」という)は,温泉地で宿泊することを前提とし。 て企画され,観光の実を挙げるためうず潮観潮を主目的としたものであったこと,行程中に行われた意見交換会は参加者に公益活動という認識がなく,また参加者が災害の恐ろしさだけを学び,その対策や課題について何ら具体的な方策を採らなかったのであるから研修の成果もなかったことなどから,視察研修が観光目的であったことは明らかである(証人I,同H,甲23の1ないし3。 )同様に被告が公益性があると主張する定例会及び退席後会議は,仮に何らかの意思決定を行っており,市政・区政に関する説明や報告・依頼等を受け意見調整を行う場所であったとしても,地区連長が個別に意見を言うのみでは区連会の活動とはいえず,α区連会の公益的活動とはいえない。同旨の指摘は,区連長,地区連長への地域振興協力費の支出についての監査結果(甲9)においてもされているところである。 ウさらに,平成17年当時,平成15年及び同16年の活動計画書が存在- 26 -しなかったのであるから(甲34,本件支出に当たって,公益性,妥当)性の検証を行わなかったことは明らかである。 そもそも,平成16年当時には,地域振興協力費の返還規定はなく,ひとたび支出されてしまえばいかに使われようと文句がいえないものであり,このような制度の下では,被告が支出の公益性・妥当性を検証する動機付けがなく,実際公益性,支出の妥当性の検証は何らなされていなかった。 ( )独立・対等かつ自主的に活動している団体は,各団体独自の利害によっ て行動するものであるから,その活動経費はその団体が捻出し,負担すべきものであって,行政機 証は何らなされていなかった。 ( )独立・対等かつ自主的に活動している団体は,各団体独自の利害によっ て行動するものであるから,その活動経費はその団体が捻出し,負担すべきものであって,行政機関が団体の財源を全面的にまかなうような援助をすべきではなく,本件支出は必要性,合理性を欠く違法な経費の支出である。 アα区連会は,会員から会費を徴収することなく,毎年の地域振興協力費とその繰越金で維持されているのであり,かかる関係は行政からの過大な経費支出が,行政と区連会との間に病理的な関係をもたらしているものにほかならない。 イα区連会は地方自治法260条の2に定める原則に従い,自主的,民主的に運営され,行政組織とは独立した存在でなければならないことは当然であるところ,これまで同区連会の事務局長にはα区地域振興課長が自動的に就任し,同課職員が事務処理の一切を行い,同区連会の口座もα区地域振興課長の氏名で開設している(乙2の4の11枚目。また,定例会)は事務方ないし行政担当者の作成した議案について唯々諾々と了承するものにすぎず,自主的に団体を運営し,活動することを決めるものになっていない。 以上からすればα区連会に対する支出は団体の体をなしていない人,,「の集まり」への支出であり,しかも公金から支出された金員を支出した行政の職員が管理するという,裏金ともいえる支出であって違法である。 - 27 -そして,上記のようにα区連会に自主性がないのは,事務処理及び経費を全て行政が負担しているからであることは疑いがなく,本件の地域振興協力費の支出がまさにα区連会の自主性を奪うものになっているのであり,かかる支出は地方自治法260条の2第6項,同8項の趣旨に反する点からも許されないものであり,最少経費原則(地方財政法4条1項)に反する違法な まさにα区連会の自主性を奪うものになっているのであり,かかる支出は地方自治法260条の2第6項,同8項の趣旨に反する点からも許されないものであり,最少経費原則(地方財政法4条1項)に反する違法な支出である。 (被告の主張)( )ア本件支出は,以下に述べるとおり対価性を欠くものではない。 (ア)原告らは,被告が本件支出の対価としての妥当性を検証していないと主張する。 しかし,支出の検証は,支出の目的や態様,金額等に応じた妥当な手法によりなされるべきところ,地域振興協力費の支出は経費の負担を含めた包括的な謝礼であるから,当該区連長又は地区連長が費やした交通費や通信費を毎月調査するとか,活動時間や活動内容を記録して人件費を算出するといった検証を要する性質のものではない。 また,地域振興協力費の対象としている市政協力活動は広汎多岐にわたり,包括的な謝礼の金額としては適当なものであるから,支出の検証としては,会議等における行政依頼事項等の内容やそれらがα区連会において連絡調整されていることなどが把握されていれば問題はない。 そして,市連会及び区連会の事務局には横浜市職員が従事しており,当該住民組織により広汎な市政協力活動が日常的に実施されていることについては適宜把握していたのであるから,支出について必要な検証はなされていたといえる。 (イ)また,原告らは「包括的な謝礼」が報償費の支出としてそぐわないと主張する。 しかしながら,報償費の概念には「謝礼等,提供された役務に対する- 28 -反対給付あるいは感謝の意を表するもの」や「奨励の意味を持つもの」も含まれるとされており,奨励又は謝礼的意味での報償費は,ある特定の職務行為及びこれに伴う支出等に金銭的評価を加えた対等額で支出される費用ではなく,行政事業に功労があったという包括的な事象に もの」も含まれるとされており,奨励又は謝礼的意味での報償費は,ある特定の職務行為及びこれに伴う支出等に金銭的評価を加えた対等額で支出される費用ではなく,行政事業に功労があったという包括的な事象に対して支出される費用であるから,行為との一対一対応での厳密な意味での対価性は要求されない。 さらに,奨励又は謝礼的意味での報償費において,当該行政事業に対する功労を金銭的にどの程度と評価するかは,行政機関がどの事業に対して積極的協力を要請したいかという高度な政策的判断が必要であるから,行政機関の広範な裁量に委ねられることは明らかである。 (ウ)また,原告らは,あらかじめ包括一律に支払うことは根拠がないとも主張するが,地域振興協力費の支出は,あくまでも厳密かつ具体的意味での役務対価性を要求されない包括的な謝礼という趣旨での支払なのであるから,包括一律に支払ったとしても,その支払態様から地方財政法4条1項の規定に違反するとはいえない。さらに,α区連会は広範囲かつ多数にわたる活動を行っており,かかる活動に対する経費の負担を含めた包括的な謝礼として高額に過ぎるとは到底いえない。 (エ)α区連会は,地方自治法260条の2第6項及び8項の対象ではなく,同条項の解釈とは無関係である。 また,同区連会の自主的な判断に基づいた活動であっても,それが公益的効果をもたらす活動であれば,それに対して謝礼をすることは何ら違法なことではない。 (オ)平成18年度から地域振興協力費を地域活動推進費補助金交付要綱に改定したのは,町内会相互間において,防犯灯数や活動の実績などに格差が生じているという現状を踏まえ,一律の支援から防犯灯の数や活動実績に応じた補助金を支出した方が合理性があると判断した結果であ- 29 -り,従前の扱いが違法であるからそれを是正したなどといっ 格差が生じているという現状を踏まえ,一律の支援から防犯灯の数や活動実績に応じた補助金を支出した方が合理性があると判断した結果であ- 29 -り,従前の扱いが違法であるからそれを是正したなどといったものではなく,より公平で透明かつ合理的な制度の構築を模索した結果の改定である。 イ(ア)原告らは退席後会議の議事録(乙19の1ないし11)がもともと存在したかどうか疑わしいと主張するが,被告としては,地域振興協力,,費の支出対象を必ずしも法律的な意味合いにおける団体行為に限らず社会的な実態を伴っている行為と捉えていたため,団体意思決定に係る主張をしていなかったにすぎず,原告らからの指摘を受けて提出したことに不自然さはない。 (イ)またα区連会が毎月開催している定例会は二部構成になっており,退席後会議も定例会の一部である(証人I,同H。原告らは,α区連)会は定例会において意思決定を行っていない旨主張するが,例えば視察研修については,平成16年4月21日の退席後会議において,α区連会の会員から事務局に対し,阪神淡路大震災から10年経つので,防災対策の趣旨で神戸を視察するという方向が打ち出され,その後,同区連,,会事務局で視察案を練り同年6月21日の退席後会議に諮ったところ会員から視察先を増やすように指示され,これを受けて事務局が修正案を同年7月21日の退席後会議に諮って,会員の総意で意思決定したものである(証人I,同H。 )(ウ)また,原告らは,退席後会議議事録に「G選手の祝賀セレモニー」やその他各催しについて記載がないことから,α区連会の各活動については地区連長個人の活動であるなどとも主張する。 しかし,退席後会議において,α区連会の活動に関する意思決定はなされており,また,地域振興協力費の支出対象は法律的な意味合いにお 区連会の各活動については地区連長個人の活動であるなどとも主張する。 しかし,退席後会議において,α区連会の活動に関する意思決定はなされており,また,地域振興協力費の支出対象は法律的な意味合いにおける団体行為に限らず社会的な実態を伴っている行為をも含むため,退席後会議における意思決定がなされているか否かは付随的な事情にすぎ- 30 -ない。 (エ)視察研修の主要な目的地は,Mセンター,N事務所,β公園・γの3か所であり,視察研修の成果をビデオにおさめて1400人以上の区民に示し,その成果について区民に説明しており,これが目的地をδとする観光旅行であるという原告らの主張は事実誤認である。 ( )原告らは,α区連会の活動経費につき行政機関が援助をすべきではない などと主張する。 しかしながら,そのような法的根拠はどこにもない。また,地域振興協力費の支出については,α区連会の行っている活動が公益性の高い活動,市政協力活動という側面を有しているため,それらに対する包括的な謝礼としてなされているものであり,ある団体がなした公益性の高い活動,市政協力活動について,被告が当該団体に対して謝礼を支出したとしても,そのこと自体が違法になるわけではない。 争点2(本件支出の補助金としての適否)について(被告の主張)仮に,本件支出に対価性が認められないとしても,本件支出には「公益上の必要性」が認められ,地方自治法232条の2に規定する「寄附又は補助」に当たり,適法である。 ( )α区連会は,防犯や防災,福祉,環境問題など広い区域を対象とした課 題について,住民を代表して意見を述べるなど行政と地域住民の橋渡しを担う役割を持っており,市政・区政に関わる事業等についての協議や連絡調整をはじめとする様々な公益的活動及び市政協力活動を行っている。そし ついて,住民を代表して意見を述べるなど行政と地域住民の橋渡しを担う役割を持っており,市政・区政に関わる事業等についての協議や連絡調整をはじめとする様々な公益的活動及び市政協力活動を行っている。そして,α区連会が平成16年度に行ったこれらの活動によって,α区の犯罪率が下がるなどの効用があった(乙18の6)( )なお,被告は現在,補助金の一般規則(横浜市補助金等の交付に関する 規則(平成17年横浜市規則第139号。甲44)を規定しているが,本)- 31 -件支出当時にはかかる補助金の一般規則は設けられていなかったため,補助金の規則違反の問題は生じない。 以上のとおり,本件支出の目的,趣旨,効用及び経緯に照らすと,本件支出につき,公益上の必要性に関する判断に裁量権の逸脱又は濫用があったとまではいえない(広島高裁平成13年5月29日判決・判例時報1756号66頁参照。 )(原告らの主張)以下に述べるとおり,本件支出は,地方自治法232条の2の「寄附又は補助」には当たらない。 ( )補助金は,公金が対価なく支払われるものであるからこそ,公益上必要 であることが条文上の要件とされているのであり,また,公金の支出がずさんになることを防ぐために,本来的に規則等で手続を明確にし,その手続を経た上で支出されることが予定されている(甲43。 )横浜市では,平成17年に「横浜市補助金等の交付に関する規則(甲4」4)が策定され,補助金支出の手続の一般原則を明文化した。しかし,この規則ができる前であっても,補助金の支出は経費とは明確に区別されるものであって,補助金として適正に支出するための手続が不可欠である。 しかし,本件支出要領において,区連会に対する地域振興協力費を経費の支出として「報償費」として支出する扱いをした。そして,同支出要領は, あって,補助金として適正に支出するための手続が不可欠である。 しかし,本件支出要領において,区連会に対する地域振興協力費を経費の支出として「報償費」として支出する扱いをした。そして,同支出要領は,補助金支出のために最小限必要な公益性の審査,及び補助の趣旨に添った支出の確認や返還の規定を全く欠いており,これは横浜市が地域振興協力費の支払を補助金とは考えてこなかったこと及び客観的にみても補助金とみなすことができないことの証左である。 ( )被告は,地域振興協力費を補助金と解した場合の合法性判断の基準とし て,広島高裁判決を挙げ,同判決は,補助金の支出について地方公共団体の長に裁量権を認めている。しかし,補助金の支出について一定の政策的判断- 32 -がされることはあるとしても,それを裁量権とまでいえるかは疑問であり,少なくとも,その裁量には補助金の性格からくる限界があり,その必要性,合理性は十分に吟味されなければならない。 ( )補助金交付の趣旨・目的について検討すると,本件支出要領は地域振興 協力費の趣旨を「防犯灯の維持管理をはじめとした防犯活動,防災,環境美化活動及び保健衛生活動など様々な公益性の高い活動や市政協力活動を行う地域住民組織である自治会町内会に対して支出する」としている(甲1。 )しかし,防犯灯の維持管理をはじめとした防犯活動等を具体的に行っているのは各単位自治会町内会である。 また,被告の主張する「α区の犯罪率が下がるなどの効用」については,そもそも犯罪率の低下が自治会等の活動の結果といえるか何ら検証はされていないし,仮に何らかの成果があったとしてもそれは各単位自治会町内会の活動によるものである。 仮に,区連会の行う連絡の取次ぎを公益活動,市政協力活動とみなしたとしても,年150万円もの金額は高額に過ぎ,区連会 仮に何らかの成果があったとしてもそれは各単位自治会町内会の活動によるものである。 仮に,区連会の行う連絡の取次ぎを公益活動,市政協力活動とみなしたとしても,年150万円もの金額は高額に過ぎ,区連会ごとに規模も活動内容も異なるにもかかわらず,一律に同金額を無審査で支出することは不合理といわざるを得ない。 また,α区連会は,平成16年度の年額150万円のほぼ半分に相当する73万5037円を観光旅行に支出していること,定例会などの会議については,会議の開催自体に高い公益性があるとまでは認められないこと,その他の活動としてはオリンピック選手の応援・祝賀等にすぎないことから,地域振興協力費が公益性の高い活動に費やされているとはいえない状況である。 以上の諸般の事情を総合的に考慮するなら,本件支出について公益上の必要性は認め難く,仮に地方公共団体の長に補助金支出についての裁量権があるとしても,裁量権を逸脱又は濫用した違法な支出といわざるを得ない。 - 33 - 争点3(当該職員及び相手方の責任の有無)について(原告らの主張)( )A市長について ア市長は,財務会計全般の行為を行う権限を本来的に有しているほか(地方自治法148条,149条「会計を監督すること」や(同法149),条5号,補助機関たる職員に対する一般的な指揮監督の権限を有してお)り(同法154条,このような市長の職責上,一般的に,専決処分をし)た職員が財務会計上の違法行為をした以上,具体的な指揮監督上の義務違反について主張立証するまでもなく「故意又は過失により違法行為を阻,止しなかった場合(最高裁平成3年12月20日第二小法廷判決・民集」45巻9号1455頁参照)に当たるとして責任を認めるべきである。 イ仮に,個別具体的な指揮監督上の義務違反が必要であると解す ,止しなかった場合(最高裁平成3年12月20日第二小法廷判決・民集」45巻9号1455頁参照)に当たるとして責任を認めるべきである。 イ仮に,個別具体的な指揮監督上の義務違反が必要であると解するとしても,本件では十分にこれを認めることができる。 (ア)本件支出は,B副市長が決裁した本件支出要領に従ってなされたものであるが,市長の直接の補佐役である副市長の決裁について,市長が知らなかったとか,指揮監督できなかったなどという弁解は認め難い。 (イ)A市長は,自治会・町内会のあり方の見直しを重要な施策の1つとして,平成16年5月には「地域活動との協働・支援のあり方検討委員会」を設けた。同委員会は,自治会町内会に代表される地域活動と行政との協働・支援のあり方について検討を重ね,平成17年2月に市長宛の提言をしている(甲7。 )平成16年4月以前の段階でも上記検討委員会の設置は決まっており,本件支出要領は,同委員会の設置によって地域振興協力費の仕組みが大きく変わる可能性を認識しつつ,従来どおりの内容にしたものであり,A市長が何の関心も持たなかったとは考え難い(甲28。 )実際,地域振興協力費支出要領については,平成17年度には,市連- 34 -会及び区連会への支出については余剰金の返還を求め得るとされ,平成18年度には,団体に対する地域活動推進費補助金交付要綱(甲5)と個人に対する地域活動推進費報償費交付要綱の二本立てとなった。 (ウ)また,地域振興協力費の支出のあり方については,従前から市会において議論がなされてきた(甲12ないし15。 )(エ)さらに,平成15年12月1日,原告Eは地域振興協力費の支払の税務上の処理についてA市長宛てに質問しており,これに対して平成1()。 6年1月7日付けで同市長名で回答がなされている甲 )(エ)さらに,平成15年12月1日,原告Eは地域振興協力費の支払の税務上の処理についてA市長宛てに質問しており,これに対して平成1()。 6年1月7日付けで同市長名で回答がなされている甲16の1・2このように,A市長は,平成16年度の予算編成期までに,地区連長ら個人に対する支出も含め,地域振興協力費の問題点を認識し,その見直し,,,をしようとしていたのであり本件支出要領の内容についてこれを知り是非の判断をすべきであったこと及びそれが容易であったことは明らかである。 よって,A市長は,市長として本件支出の根拠となる本件支出要領作成時にこれを阻止すべき指揮監督上の義務に違反した故意又は過失により,これに従って職員が専決処分により本件支出という財務会計上の違法行為をしたことについて責任を負う。 ( )C区長について C区長は,故意又は過失により,α区連会に対する違法な本件支出(150万円)の支出負担行為をしたものであるから,地方自治法243条の2第1項の職員として,上記金額につき賠償の責任を負う。 ,,,同人はα区長として視察研修に参加しその実態が観光旅行であることまた,その旅行に本件支出の半額が費やされてきたことも熟知しながら支出負担行為をしたものであるから,故意又は過失があることは明らかである。 ( )B副市長について B副市長は,α区連会に対する違法な本件支出(150万円)の根拠とな- 35 -った本件支出要領を専決により制定したものであり,この関係では地方自治法243条の2第1項の職員には当たらないものの,違法な支出を導く要領作成の専決権限を有していた以上,同法242条の2第1項4号の当該職員として,上記金額につき賠償の責任を負う。 ( )α区連会について 本件支出は違法なものであり,その利益を 法な支出を導く要領作成の専決権限を有していた以上,同法242条の2第1項4号の当該職員として,上記金額につき賠償の責任を負う。 ( )α区連会について 本件支出は違法なものであり,その利益を受益者であるα区連会に保有させることに何の合理性もないものであるから,同区連会は横浜市に対し不当利得返還義務を負う。 被告は,本件支出につき,私法上,横浜市がα区連会に対して贈与契約に基づいて支出したのと同様の関係に立つと主張する。しかし,贈与契約は,一方が無償で相手方に財産を与える意思表示をし,相手方が受諾することで効力を生ずるのに対し,地域振興協力費は相手方の受諾の意思表示とは無関係に成立する。その他,民法上の贈与の規定(書面によらない贈与の撤回,)。 担保責任等が地域振興協力費について適用ないし準用されるとは考え難いそもそも,地域振興協力費の支出は行政が一方的に「報償に値する」と判断して支払うものであり,何ら契約に基づく支払ではない。 被告の引用する最高裁昭和62年判決は,契約について判断したものであり,私法上の取引ですらない本件についてはそもそも適用されるものではない。 仮に同判決の基準を持ち込むとすれば,正に「特段の事情あるもの」として,支出を無効とし,不当利得返還請求を認めるべきケースである。 (被告の主張)( )A市長について ア原告らの最高裁平成3年判決に関する主張は,同判決に反する独自の見解であって,反論を要しない。 イ原告らが指摘する各事情は,A市長の個別具体的な指揮監督上の義務違- 36 -反を指摘するものではない。 したがって,A市長は,本件支出につき,損害賠償責任を負わない。 ( )C区長について 争う。 ( )B副市長について α区連会に対する地域振興協力費の支出については,C区長が支出負担行 したがって,A市長は,本件支出につき,損害賠償責任を負わない。 ( )C区長について 争う。 ( )B副市長について α区連会に対する地域振興協力費の支出については,C区長が支出負担行為をしたものであり,B副市長は,当該支出につき法令上本来的に支出の権限を有していたものでも,権限の委任を受けるなどしてその権限を有していたものでもないから,地方自治法242条の2第1項4号の「当該職員」に当たらない。 したがって,原告らの訴えのうち,B副市長に対する訴えは,却下されるべきである。 ( )α区連会について 本件支出は,私法上,横浜市がα区連会に対して贈与契約を締結し,同契約に基づいて支出したのと同様の関係に立つ。そうすると,本件支出は,仮に地方財政法4条1項等に違反するものであっても,直ちに公序良俗違反として私法上無効となるわけではなく,効力を無効としなければ法令の規定の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り,私法上無効となると考えるのが相当である(最高裁昭和62年5月19日第三小法廷判決・民集41巻4号687頁参照。 ),,,そしてα区連会に対する本件支出は本件支出要領を根拠にしているが同支出要領を見ても,同区連会において本件支出の受領が許されないことを知り得べきといった事情はなく,むしろ,同区連会が様々な公益性の高い活動や市政協力活動を実際に行っており,同活動に伴って多大な経費もかかっていることに鑑みると,私法上の効力を無効としなければ本件支出要領の趣旨を没却する結果となる特段の事情は認められない。 - 37 -,。 したがって横浜市のα区連会に対する不当利得返還請求権は成立しない第5当裁判所の判断 B副市長への損害賠償請求を求める訴えの適法性について原告らは,本件支出につき,B副市長 37 -,。 したがって横浜市のα区連会に対する不当利得返還請求権は成立しない第5当裁判所の判断 B副市長への損害賠償請求を求める訴えの適法性について原告らは,本件支出につき,B副市長が地方自治法242条の2第1項4号に規定する「当該職員」に該当するとして,被告に対し,同副市長に150万円の損害賠償の請求をするよう請求している。 そして,原告らは,B副市長が本件支出要領を専決したことを同副市長の損害賠償責任の理由とする。しかし,本件支出要領は,横浜市における地域振興協力費の支出の基準を設けたものにとどまり,それ自体が同市にとって支出の原因となるものではないから,本件支出要領を専決したことは,地方自治法242条1項所定の「公金の支出」その他の財務会計上の行為に該当するものということはできない。 もっとも,B副市長は,α区連会に対する地域振興協力費につき,予算配付決定を専決しており,前記第2の2( )アのとおり,これは同地域振興協力費 についての支出負担行為を構成する。そうすると,B副市長は,同地域振興協力費につき,財務会計上の行為である「公金の支出」をした者として,地方自治法242条の2第1項4号に規定する「当該職員」に当たるということができる。原告らの主張は,このような趣旨を含むものと解する余地もある。 しかし,この場合,B副市長は,地方自治法243条の2の賠償命令の対象となるから(同条1項1号,住民訴訟においては,同副市長に賠償命令をす)ることを請求しなければならない(同法242条の2第1項4号ただし書。 )そうすると,本件支出につき,B副市長に損害賠償の請求をするよう求める,,。 原告らの訴えは地方自治法の許容しない訴えというほかなく不適法であるしたがって,本件訴えのうち,B副市長に対する損害賠償を求める部分は却 出につき,B副市長に損害賠償の請求をするよう求める,,。 原告らの訴えは地方自治法の許容しない訴えというほかなく不適法であるしたがって,本件訴えのうち,B副市長に対する損害賠償を求める部分は却下すべきである。 争点1(本件支出の経費としての適否)について- 38 -( )ア横浜市が,本件支出に係る地域振興協力費を,地方自治法232条1 項に規定する経費として,歳出予算の執行科目である節の区分(地方自治法216条,同法施行令150条1項3号,2項,同法施行規則15条2項・別記)のうち,経費の一類型である「報償費」から支出したことについては,当事者間に争いがない。 この報償費とは,一般的に,役務の提供や施設の利用によって受けた利益に対する謝礼又は報償的意味合いの強い経費であり,このような利益に対する代償を支出するものであって,奨励的性質を含む場合もあるものと解される(甲4。地方自治法施行規則15条2項・別記において,報償)費の説明として「報償金「賞賜金」及び「買上金」をその内容とする,」,ことが示されており「報償金」の中には謝礼金が含まれることが明記さ,れていることや,文言上「賞賜金」は表彰の意味を含み「買上金」は,,奨励の意味を含むものと解されることからすれば,普通地方公共団体の財務を規定する法令も,上記のような性質を前提として,報償費を歳出の科目として認めているものと解することができる。 イところで,地方自治法232条1項が「普通地方公共団体は,当該普通地方公共団体の事務を処理するために必要な経費(中略)を支弁するものとする」と定めていることから明らかなとおり,経費とは,当該地方公共団体の事務を処理するために必要な場合に限り支出できるものである(なお,同項は,上記のほかに,法令により当該普通地方公共団体 るものとする」と定めていることから明らかなとおり,経費とは,当該地方公共団体の事務を処理するために必要な場合に限り支出できるものである(なお,同項は,上記のほかに,法令により当該普通地方公共団体の負担に属するとされた経費についても規定するが,本件にあっては判断の必要がないことから,考慮しない。 。)また,地方自治法は,普通地方公共団体による「支出(同法第2編第」9章第4節)につき,その性質に応じて,経費(同法232条1項)と寄附又は補助(同法232条の2)とを定めている。このうち,寄附又は補助が,相当の反対給付を求めないでする一方的な出捐であり,それ故に公- 39 -益上の必要性の存在を要件としていることからすると,経費とは,反対給付を受けることが予定されているもの,すなわち一定の給付に対して相当の対価を支払う性質のものであるということができる(以下,このような性質を「対価性」という。 。)さらに,同法2条14項が「地方公共団体は,その事務を処理するに当たっては(中略)最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければな,らない」と規定し,地方財政法4条1項が「地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要且つ最少の限度をこえて,これを支出してはならない」と規定していることからすれば,経費の支出については,処理しようとする事務の目的を達成するために必要かつ最少のものであることが要求される(以下,このような要求を「必要最少限度の原則」という。 。)以上のとおり,経費としての支出については,当該普通地方公共団体の,,,事務を処理するために必要なものであること対価性を有すること及び必要最少限度の原則を満たすものであることを要するものと解される。 ウ(ア)これを報償費についてみると,まず,経費の一類型である以上,当 務を処理するために必要なものであること対価性を有すること及び必要最少限度の原則を満たすものであることを要するものと解される。 ウ(ア)これを報償費についてみると,まず,経費の一類型である以上,当該地方公共団体の事務(地方自治法2条2項)の処理に必要なものである必要があり,その判断に当たっては,地方公共団体が,住民の福祉の増進を図ることを基本として,地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものであること(同法1条の2第1項)を考慮すべきである。 (イ)次に,報償費は,前記のとおり役務の提供や施設の利用によって受けた利益に対する謝礼又は報償的意味合いの強いものであり,奨励的性質を含む場合もあるから,その性質上,金銭的な換算が困難な利益に対する支出といえ,反対給付との厳密な対価関係の要求には直ちになじみにくい。また,上記のような報償費の性質からすれば,その支出が目的との関係での必要最少限度にとどまるかどうかについては,社会的,政- 40 -策的,経済的見地からの総合的な検討を要するところである。 そして,前記のとおり,普通地方公共団体の財務を定める法令が,このような性質の報償費の支出を明示的に認めていることからすれば,報償費の支出が対価性を有し,必要最少限度の原則を満たすかどうかについては,第一次的には,当該地方公共団体の財務会計職員の合理的な裁量判断に委ねられているものということができる。 そうすると,報償費の支出については,社会通念に照らし反対給付や目的との均衡を著しく欠くなど,当該財務会計職員に与えられた裁量権の行使につき逸脱又は濫用があるときに限り,対価性又は必要最少限度の原則の要求に反するものとして違法となるというべきである。 そこで,上記の立場に立って,本件支出の適否について検討する。 ( )前記第2の2 つき逸脱又は濫用があるときに限り,対価性又は必要最少限度の原則の要求に反するものとして違法となるというべきである。 そこで,上記の立場に立って,本件支出の適否について検討する。 ( )前記第2の2の事実に加えて,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば, 以下の事実が認められる。 ア市連会,区連会及び地区連会の目的及び活動(ア)市連会は,各区の区連長18名によって構成される,横浜市内の自治会町内会を総括する任意団体であり,市内の区連会相互や行政との連絡調整を図り,地域社会の振興と福祉の向上を図ることを目的としている。 市連会では,8月と12月を除く毎月12日前後に,区連長出席の下で定例会を開催している。同定例会は,横浜市内の地域課題や地域に周知する事項を報告・協議する会議であり,横浜市職員から市の自治会町内会に対する連絡や依頼事項(以下「連絡・依頼事項」という)につ。 いて説明を受け,各区連長が質疑の上,承認の可否を決定するなどしている(甲9,乙22,23。 )(イ)区連会は,横浜市内の18区ごとに,区内の地区連長によって構成される任意団体であり,地区連会相互や行政との連絡調整を図り,地域- 41 -,,社会の振興と福祉の向上を図ることを目的とし新任の地区連長の研修自治会町内会の運営支援,防犯や防災活動等を行っている。本件支出を受け取ったα区連会は,このうちα区にある区連会である。 区連会では,上記市連会定例会を受けて,毎月17日から22日ころに,地区連長出席の下で定例会を開催している。同定例会は,横浜市内及び各区内の地域課題や地域に周知する事項を報告・協議する会議であり,区連長が市連会定例会における横浜市からの連絡・依頼事項を地区連長に伝達するとともに,区職員から自治会町内会に対する連絡・依頼事項の説明を受けるなどしてい に周知する事項を報告・協議する会議であり,区連長が市連会定例会における横浜市からの連絡・依頼事項を地区連長に伝達するとともに,区職員から自治会町内会に対する連絡・依頼事項の説明を受けるなどしている(甲9,乙22,23。 )(ウ)地区連会は,各地区内の自治会町内会によって構成される任意団体であり,主として自治会町内会相互の連絡調整を図り,地域社会の振興と福祉の向上を図ることを目的とし,地域住民の福祉増進のために広域的な事業を実施している。 地区連会では,上記区連会定例会を受けて,毎月下旬に,自治会町内会長出席の下で定例会を開催している。同定例会は,各地区内の地域課題や地域に周知する事項を報告・協議する会議であり,地区連長が横浜市及び区からの連絡・依頼事項を自治会町内会長に伝達するなどしている(甲9,乙22,23。 )イα区連会の活動α区連会の平成16年度の活動は,掲記の証拠及び弁論の全趣旨によれば以下のとおりであった。 ①定例会の開催α区連会は,8月を除く毎月1回,区連長及び同区内の各地区連長出席の下定例会を開催した。同定例会では,区連長が市連会定例会において協議,了承された横浜市からの連絡・依頼事項を各地区連長に伝達するとともに,α区職員から自治会町内会に対する連絡・依頼事項の説明- 42 -を受け,また,地域の課題や地域に周知する事項の協議を行った(乙4の1,15の1ないし11,19の1ないし11,23。 )②「α区地域のつどい」の共催「α区地域のつどい」は,住民相互に地域ごとの課題を話し合い,共通の理解の上に快適で住み良い地域づくりを実現することを目的として,α区連会がα区と共催で運営する協議会である。同会は,平成16年9月25日,同年10月2日及び同年12月5日に,α区内を北部,中部及び南部の3地域に分けて 良い地域づくりを実現することを目的として,α区連会がα区と共催で運営する協議会である。同会は,平成16年9月25日,同年10月2日及び同年12月5日に,α区内を北部,中部及び南部の3地域に分けて開催され,交通問題やまちづくりなどに,,,ついて行政機関等から説明がされそれを基に地域住民から質問意見要望等が提出された(乙4の2,16の1ないし4,23。 )③「防犯ネットワーク○○」の設置α区連会,α防犯協会,α警察署及びα区役所は,平成16年10月,,,4日区民・警察・区役所が協働して地域の防犯力の強化を図るため犯罪情報を共有するとともに地域の連帯による自主防犯活動を育成し,もって安全で安心な街づくりを推進することを目的として「防災ネッ,トワーク○○」を組織し,年間4回程度の会議を開催して地域防犯活動等について協議することとした。 併せて,同日,上記各団体の間で,年度ごとの活動内容等を定めた地域防犯協定を締結した。同協定においては,地域防犯活動の強化(防犯パトロールの実施,防犯講習会への参加,防犯講習会の開催,防犯情)報の提供(防犯ホームページの開設,地域防犯情報の提供)及び防犯グッズの提供が重点項目とされ,これらの活動についての上記各団体間での具体的な役割分担が定められた。 α区連会は「防犯ネットワーク○○」に係る平成16年度の活動の,一つとして,防犯対策として防犯チラシを回覧し,各自治会町内会に年末防犯パトロールの実施を依頼し,その結果,50を超える自治会町内- 43 -会で防犯パトロールが実施された(乙18の1ないし6,23。 )④「自治会町内会活動の手引き」の作成α区連会は,自治会町内会の活動が円滑に行えるよう「自治会町内,会活動の手引き(乙5)の作成に関与し,自治会町内会の運営の便宜」を図った し6,23。 )④「自治会町内会活動の手引き」の作成α区連会は,自治会町内会の活動が円滑に行えるよう「自治会町内,会活動の手引き(乙5)の作成に関与し,自治会町内会の運営の便宜」を図った(乙23。 )⑤自治会町内会加入促進活動α区連会は,地域住民の自治会町内会への加入を促すべく,加入案内のチラシ(乙6)を作成し,各自治会町内会へ配付した(乙23。 )⑥オリンピック出場選手の応援・祝賀α区連会は,α区出身の運動選手がオリンピックに出場した際に応援横断幕を作成し,また同選手が銅メダルを獲得したため,祝賀横断幕を作成するとともに,祝賀セレモニーにおいて記念品を贈呈した(乙7の1ないし3,23。 )⑦社会福祉協議会への参加α区連会は,社会福祉法人Jの会員となって,地域福祉の推進を図る活動を行った(乙8,23。 )⑧新潟県中越地震の義援金募集α区連会は,新潟県中越地震の義援金を募るため募金用封筒3万5000枚を作成し,各自治会町内会長に対して義援金募集への協力を依頼し,671万6392円の募金を集めた(乙9の1ないし3,23)⑨防犯ビデオの配付α区連会は,Kが放映した「○○」というテレビ番組をビデオテープにダビングし,同テープから防犯ビデオ13本を作成して,α区内の13の地区連会に配付した(乙10,23。 )⑩視察研修の実施α区連会は,阪神淡路大震災から10年が経ち,東京直下型や東海地- 44 -震の発生の可能性が高まっている中で,災害時における地域住民組織の役割,防災に対する備えなどを再認識し,α区の地域防災活動に役立てることを目的として,平成16年9月12日,13日の2日間,視察研修を実施した。同研修は,α区連会から参加要請を受けたα区長らα区の職員3名も参加して行われ,神戸市所在の阪神・淡路大震災関 に役立てることを目的として,平成16年9月12日,13日の2日間,視察研修を実施した。同研修は,α区連会から参加要請を受けたα区長らα区の職員3名も参加して行われ,神戸市所在の阪神・淡路大震災関連施設である「Mセンター「N事務所」及び「β公園」を視察した(乙1」,3,14,23。 )⑪「課題検討プロジェクト」会議の実施「課題検討プロジェクト」は,α区連会で選任された地区連長3名がα区内の課題を検討する会議である。同会議は平成17年2月3日,同月14日及び同年3月11日に開催され,防犯活動補助制度(α区が各自治会町内会に5万円を限度に助成し,防犯用具を購入できる制度)の導入に関する検討,青色パトカー(自主防犯パトロールに使用し,青色回転灯を点灯させて道路運行する車両)の自動車確保に関する助成金制度の検討を行った(乙17の1・2,23。 )⑫公益団体の役員兼務α区連会の会長,副会長,会計,幹事等の役員は,α区内にある暴力団追放推進協議会,α区区民利用施設協会,クリーンα区本部,社会福祉協議会等の公益団体からの推薦依頼に基づき,これらの公益団体の役員に就任した。α区連会では,同人らが公益団体における協議結果を持ち帰ると,これを定例会等で協議し,その結果を公益団体や各自治会町内会に還元するなどしている(乙15の2ないし9,23。 )( )以上の事実を前提として,本件支出の経費としての適否について検討す る。 ,,()ア前述のとおり経費は当該地方公共団体の事務地方自治法2条2項の処理に必要なものであることを要するので(同法232条1項,まず)- 45 -本件支出が,横浜市の事務の処理に必要なものといえるかが問題となる。 地域振興協力費の支出対象は,α区連会が行う防犯活動,防災,環境美化活動及び保健衛生活 で(同法232条1項,まず)- 45 -本件支出が,横浜市の事務の処理に必要なものといえるかが問題となる。 地域振興協力費の支出対象は,α区連会が行う防犯活動,防災,環境美化活動及び保健衛生活動など様々な公益性の高い活動や市政協力活動であるということができるところ(甲1,α区連会が平成16年度に実際に)行った上記( )の各活動が,横浜市の事務の処理に必要なものであり,経 費の支出対象とし得るものといえるかについて検討する。 (ア)上記活動のうち,①定例会の開催については,次のとおり経費の支出対象とし得るということができる。 すなわち,普通地方公共団体が一定の施策を実施するに当たり,地域住民に対してその周知をし,協力を求めることは,当該地方公共団体の事務を構成するものといえるところ,α区内の住民組織の代表者である区連長及び各地区連長は,区連会等の住民組織の定例会に出席して横浜市からの連絡・依頼事項を聴取し,これをより末端の住民組織に伝達するという役割を果たしており,横浜市の施策の実施に際して市民との連絡調整を行うという事務を,市職員の代わりに行っているといえる。 ,,,そしてα区連会は区連長及び地区連長を定期的に定例会に招集し横浜市の連絡・依頼事項の伝達を容易にしているものといえるから,同定例会の開催は横浜市の事務の処理にとって必要なものといえる。 (イ)次に,上記活動のうち,②「α区地域のつどい」の共催,③「防犯ネットワーク○○」に係る活動,⑨防犯ビデオの配付及び⑪「課題検討プロジェクト」会議の実施についても,次のとおり経費の支出対象とし得るということができる。 すなわち,上記②の活動は,α区連会が,横浜市が市民参加型の企画を行うに当たり,市と協働してこれらの事務を遂行し,あるいは市の同事務の遂行を補助するものであると 出対象とし得るということができる。 すなわち,上記②の活動は,α区連会が,横浜市が市民参加型の企画を行うに当たり,市と協働してこれらの事務を遂行し,あるいは市の同事務の遂行を補助するものであるということができる。また,上記③の活動は,市の組織と住民による組織とが協力することにより,地域の防- 46 -犯の効果を高めようとする活動の一環であり,α区連会において,横浜市の事務といえる防犯に係る事務を市と協働して遂行し,あるいは市の同事務の遂行を補助するものであるということができる。さらに,上記⑨及び⑪についても,同活動の一環とみることができる。 このような各活動は,本来的な横浜市の事務をα区連会が市職員に代わって行う,あるいは同事務の遂行を補助するものとして,横浜市の事務の処理にとって必要なものといえる。 (ウ)一方,上記活動のうち,④ないし⑧,⑩及び⑫については,次のとおり経費の支出対象とすることはできない。 すなわち,上記活動のうち④「自治会町内会活動の手引き」の作成及び⑤自治会町内会加入促進活動は,α区連会に加盟している自治会町内会の活動を促進するもので,住民組織独自の活動であって,それ自体が横浜市の事務と関わりがあるということはできない。また,⑩視察研修の実施は,防災・災害対策を目的とするものではあるが,参加者において以後の防災・災害対策活動に役立つ知識を得るために,α区連会が自主的に企画した性質のものであって,市職員以外の参加者に係る部分について,横浜市の事務を行い,あるいは同事務の遂行を補助するものであるということはできない。さらに,⑥オリンピック出場選手の応援・祝賀,⑧新潟県中越地震の義援金募集や,⑦⑫などの公益団体の活動への参加も,α区連会が独自に公益活動を行っているものにすぎず,横浜市の事務と関わりがあるというこ らに,⑥オリンピック出場選手の応援・祝賀,⑧新潟県中越地震の義援金募集や,⑦⑫などの公益団体の活動への参加も,α区連会が独自に公益活動を行っているものにすぎず,横浜市の事務と関わりがあるということはできない。 このように,上記④ないし⑧,⑩及び⑫の各活動については,それが,,横浜市の事務に結果的に寄与する部分があるとしてもそれ自体として横浜市の事務処理をα区連会が代わりに行う,あるいは同事務の遂行を補助しているものとはいえない以上地方自治法232条の2所定の寄,「附又は補助」として公金を支出する対象とはなり得ても,経費の支出対- 47 -象とし得るものとはいうことができない。 以上によれば,上記①ないし③,⑨及び⑪の各活動については,横浜市の事務を処理するために必要なものとして経費支出の対象と認めることが(,「」。),できるが以下これらの活動を一括して本件経費対象活動というその余の活動は,経費の支出対象とは認められず,これに対して経費を支出することは地方自治法232条1項に違反するものということができる。 イ本件支出要領(甲1)及び別件における証人Lの証言(甲28)によれば,本件支出に係る地域振興協力費はα区連会の市政・区政協力活動に対する包括的な謝礼としての支出と説明されており,本件支出が上記①ないし⑫のいずれの活動について支出されたものであるのかは明らかではない。しかし,本件支出が,本件経費対象活動のみとの関係において,対価性及び必要最少限度の原則の要求に反するものでなければ,これを違法とする理由はない。 そこで,α区連会の本件経費対象活動に対する支出という観点から,本件支出が社会通念に照らし反対給付や目的との均衡を著しく欠くなど,普通地方公共団体の財務会計職員に与えられた裁量権の行使につき逸脱又は そこで,α区連会の本件経費対象活動に対する支出という観点から,本件支出が社会通念に照らし反対給付や目的との均衡を著しく欠くなど,普通地方公共団体の財務会計職員に与えられた裁量権の行使につき逸脱又は濫用があるかどうかについて検討する。 (ア)前記第2の2,第5の2( )の事実に加えて,掲記の証拠及び弁論 の全趣旨によれば,以下の事実が認められるa平成15年度における収支決算によれば,同年度におけるα区連会の収入は,地域振興協力費150万円,預金利息10円,繰越金71万0588円の合計221万0598円であり,同年度の支出総額は132万3500円であった(甲21。 )平成16年度における収支決算によれば,同年度におけるα区連会の収入は地域振興協力費150万円,預金利息2010円,繰越金8- 48 -8万7098円の合計238万9108円であり,同年度の支出総額は167万7878円であった(甲21。 )b平成16年度における上記支出の内訳は,会議費(定例会等)11万9880円,事業費(視察研修の実施,歓送迎会等)134万1074円,会費・協賛費(社会福祉協議会会費等)3万5070円,事務費(事務用品)7万7604円,慶弔費(会長退任餞別金等)7万,()(,円使用料・賃借料自動車借上3万4250円であった甲21乙24。 )ここから横浜市の事務処理と関わりのない費用であることが明らかな慶弔費7万円,⑥オリンピック出場選手の祝賀等のために使用した費用13万5290円(乙7の1ないし3,⑦社会福祉協議会の会)費1万0070円(乙8,⑧新潟県中越地震義援金募金封筒作成費)用14万5425円(乙9の1)及び⑩視察研修実施に当たってα区連会から支出した費用73万5037円(甲21)を除くと,残額は58万2056円 70円(乙8,⑧新潟県中越地震義援金募金封筒作成費)用14万5425円(乙9の1)及び⑩視察研修実施に当たってα区連会から支出した費用73万5037円(甲21)を除くと,残額は58万2056円となり,同金額のうち一部が本件経費対象活動を処理するためにα区連会が負担した費用であるといえる。 cα区連会では,構成員から定期に一定の会費を徴収することは行っておらず,地域振興協力費では不足する年度において,あるいは研修会の際に行われる懇親会等の費用として,不定期に構成員から会費を徴収している(証人I。 ),,dα区連会の代表者である区連長及び構成員である各地区連長には横浜市から,地域振興協力費として,平成16年度には区連長につき月額1万8000円,地区連長につき月額9000円が支出され,同支出の趣旨は「市政,区政に関わる事業等についての協議や連絡調,」()。 整など市政・区政への協力活動の経費の一部とされていた甲1(イ)上記の事実によれば,α区連会が本件経費対象活動を処理するため- 49 -に実際に負担した費用は,最も高額に見積もっても58万2056円であることに加え,①については,定例会の会場へ足を運び,実際に連絡・依頼事項の伝達を行った区連長及び地区連長に対しては,別途これに対する経費として横浜市から月額1万8000円又は9000円が支払われていることが認められる。 また,α区連会は,これまで定期的に構成員から会費を徴収することはなく,地域振興協力費以外の収入源も認められないことからすると,長年にわたり,全活動に要する費用の大部分を地域振興協力費によって賄ってきたことが認められる。そして,既に検討したとおり,同区連会の全活動のうち,経費の支出対象とし得る本件経費対象活動はその一部にすぎないし,同活動のために同 費用の大部分を地域振興協力費によって賄ってきたことが認められる。そして,既に検討したとおり,同区連会の全活動のうち,経費の支出対象とし得る本件経費対象活動はその一部にすぎないし,同活動のために同区連会が実際に負担した費用は,平成16年度の地域振興協力費の額の3分の1程度にとどまる。 そうすると,区連会に対する地域振興協力費が,報償費として事務処理に対する謝礼あるいは報償の意味を有し,今後の協力に対する奨励的な意味も含み,また,各区連会の活動の多寡にかかわらず横浜市内の各区連会に一律に支出されるものであることを考慮しても,α区連会に対する年額150万円の地域振興協力費は,経費の支出対象である事務に対する対価として過剰であったといわざるを得ず,反対給付や目的との均衡を著しく欠くものというべきである。 以上によれば,本件支出は,経費としての対価性及び必要最少限度の原則の要求に反するから,その全額を経費として支出することは許されないものというべきである。 争点2(本件支出の補助金としての適否)上記のとおり,本件支出は,地方自治法232条1項所定の経費としては許されない部分があるが,これが同法232条の2所定の寄附又は補助の支出としての法律上の要件を満たす場合には,結局,全額について,普通地方公共団- 50 -体として法律上支出し得る性質の金員であったということができ,支出に係る区分を一部誤ったという瑕疵が当該支出自体を違法ならしめるほどの実質的な瑕疵といえなければ,当該支出を違法ということはできないものと解される。 以上の観点から,本件支出の地方自治法232条の2所定の寄附又は補助としての適否等について検討する。 ( )地方自治法232条の2は「普通地方公共団体は,その公益上必要があ る場合においては,寄附又は補助をすることができる 方自治法232条の2所定の寄附又は補助としての適否等について検討する。 ( )地方自治法232条の2は「普通地方公共団体は,その公益上必要があ る場合においては,寄附又は補助をすることができる」と規定しているところ,その決定は,事柄の性質上,当該地方公共団体の経済的事情や各種の行政施策の在り方等の諸般の事情を総合的に考慮した上での社会的,政策的,経済的判断を要するものであるから,公益上の必要性がある場合に当たるか否か,及びその交付金額の決定に当たっては,当該地方公共団体の財務会計職員に一定の裁量権があり,当該財務会計職員による上記判断に裁量権の逸脱又は濫用がある場合に限り,当該金員の交付は違法と評価されることになるものと解するのが相当である。 ( )ア前記第2の2及び第5の2( )の事実によれば,自治会町内会とは,当 該区域内の住民の半数程度以上が構成員となって公益的な活動を行う団体であり,本件支出当時,地域住民の8割以上がいずれかの自治会町内会の構成員となっていたこと,α区連会は,α区内にある86の自治会町内会の代表者である地区連長13名によって構成される組織であり,自治会町内会相互及び関係行政機関・諸団体との連絡を密にし,地域社会の振興と福祉の向上を図ることを目的としていたことが認められる。 また,平成16年度における同区連会の実際の活動を見ても,横浜市からの連絡・依頼事項を地域住民に伝達し,あるいは横浜市と事業を共催して地域住民からの意見聴取や防犯活動を行うなど,行政と地域住民との橋渡しを行うもの(第5の2( )イ①ないし③,公益的な活動を行う自治 )会町内会への加入促進活動同④⑤地域における防犯防災活動同(,),,(- 51 -③,⑨ないし⑪)及び公益団体への協力(同⑦,⑫)など,地域社会 ,公益的な活動を行う自治 )会町内会への加入促進活動同④⑤地域における防犯防災活動同(,),,(- 51 -③,⑨ないし⑪)及び公益団体への協力(同⑦,⑫)など,地域社会の振興と住民の福祉向上を目的とする各種の活動をしていたものと認められる。 なお,原告は,⑩視察研修は,うず潮観潮等観光目的で実施されたものであり,公益を目的とした活動とは認められない旨主張する。しかし,証拠(甲10,乙13,14,23,24)によれば,同研修会では,阪神淡路大震災関連施設を視察し,同震災後の復興等に関わった町内会関係者との意見交換を行うなど,概ね地域の防災・災害対策という目的に沿う研修が行われたと認められ,うず潮観潮等,参加者個人の観光目的でなされたと認められる一部の行程についても,その内容,行程全体における位置付けなどを総合的に考慮すると,これらの行為が防災・災害対策という本件研修の目的に変更を生じさせ,あるいは当該目的に沿った研修の実施又は効果を阻害して,視察研修としての性質を否定するものであったとはいうことができない。したがって,視察研修の実施も,地域の防災・災害対策という住民福祉の向上を目的とした活動であったということができる。 イ以上のようなα区連会の目的,地域住民組織における位置付け及び活動内容などを総合的に考慮すれば,同区連会の活動を促進することは,地域社会の振興やα区内の住民の福祉向上につながるものということができる。そして,地方公共団体の役割もまた住民の福祉の増進を図ることを基本とすることから(地方自治法1条の2第1項,α区連会の活動を助成)することは横浜市のこのような役割にも沿うものということができる。 ウさらに,年額150万円という金額については,横浜市の事務の処理にとって必要な経費ということを超 第1項,α区連会の活動を助成)することは横浜市のこのような役割にも沿うものということができる。 ウさらに,年額150万円という金額については,横浜市の事務の処理にとって必要な経費ということを超えて,α区連会の活動を助成するという寄附又は補助の趣旨を含めて考えれば,これまでに述べた同区連会の活動内容に照らし,これが不合理に高額であるとまではいえない。 エ以上のことからすれば,本件支出は,これを寄附又は補助としての趣旨- 52 -を含むものとして見た場合,公益上の必要性の存在及びその交付金額の判断につき,裁量権の逸脱又は濫用があるということはできないから,違法ということはできない。 ( )そして,地方自治法は寄附又は補助を支出するための手続に関して特別 の定めを置いておらず,横浜市においても,本件支出当時,補助金支出に関する特別な内部的な手続は定めていなかったこと(甲44,また,本件支)出要領は公益性の高い活動を行う地域住民組織に対して地域振興協力費を支出する旨を定め,本件支出もこれに沿ってされたものであるから,実質的には,公益上の必要性の有無についての検討を経た上で本件支出がされたともいい得ることなど,本件に係る事情の下では,本件支出が経費として区分され,寄附又は補助としての扱いはされていなかったという瑕疵は,本件支出自体を違法ならしめるほどの実質的な瑕疵ということはできないというべきである。 小括そうすると,本件支出は,経費及び寄附金又は補助金としての性質を持つものとしてみれば,違法ということはできない。 争点3(当該職員及び相手方の責任の有無)について上記のとおり本件支出は違法ということができないから,A市長又はC区長が本件支出につき横浜市に対して損害賠償責任を負うということはできないし,α区連会がその受け取 員及び相手方の責任の有無)について上記のとおり本件支出は違法ということができないから,A市長又はC区長が本件支出につき横浜市に対して損害賠償責任を負うということはできないし,α区連会がその受け取った地域振興協力費を不当利得として横浜市に返還すべき義務を負うということもできない。 第6 結論 以上のとおりであって,本件訴えのうち,B副市長に対して150万円の支払を請求するよう求める部分は不適法であるから,これを却下することとし,原告らのその余の請求はいずれも理由がないから,これを棄却することとし,主文のとおり判決する。 - 53 -横浜地方裁判所第1民事部裁判長裁判官北澤章功裁判官沼野美香子裁判官貝阿彌亮は,転補につき署名押印することができない。 裁判長裁判官北澤章功
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