平成19(行コ)7 課税処分取消請求控訴事件(原審・松山地方裁判所平成14年(行ウ)第12号)

裁判年月日・裁判所
平成19年11月29日 高松高等裁判所 租税
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判決文本文6,339 文字)

-- 主文 本件控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1当事者の求めた裁判 控訴の趣旨(1)原判決を取り消す。 (2)被控訴人が控訴人らに対し,平成12年1月27日付けでした平成▲年▲月▲日相続開始に係る相続税についての更正処分のうち,課税価格26億7472万3000円,納付税額14億0441万8100円を超える部分及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし,いずれも平成14年6月6日付け裁決により一部取り消された後のもの)を取り消す。 (3)訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 控訴の趣旨に対する答弁主文同旨第2事案の概要等 原判決の引用本件の事案の概要(関連法令等の定め,争いのない事実等,税額等に関する被控訴人の主張〔被控訴人が控訴人らに対してしたAの相続に係る相続税の更正処分及び過少申告加算税賦課決定処分{ただし,いずれも平成14年6月6日付け裁決により一部取り消された後のもの}の根拠,争点及び争点に関す〕る当事者の主張)は,次の2のとおり原判決を補正するほかは,原判決第2の事案の概要(原判決2頁11行目から21頁24行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 原判決の補正(1)原判決3頁16行目の「及び株当たりの」を「及び1株当たりの」に改-- め,23行目の「方式をいう」の次に「評価通達180ないし184」()を加える。 「(。 『』。)」(2)同6頁10行目の船価鑑定意見書甲2以下鑑定意見書というを「船価鑑定意見書(当事者の主張等弁論の全趣旨によれば,B作成に係る検査証明書〔甲2〕を指すと考えられるが,裁決書〔甲1〕によれば,控訴人らが高松国税不服審判所を通じて国税不服審判所に提出した同協会作成に 鑑定意見書(当事者の主張等弁論の全趣旨によれば,B作成に係る検査証明書〔甲2〕を指すと考えられるが,裁決書〔甲1〕によれば,控訴人らが高松国税不服審判所を通じて国税不服審判所に提出した同協会作成に係る『評価証明書』の作成日付は『平成13年7月12日』であって,本件で提出された検査証明書〔甲2〕の作成日付である『2001年〔平成13年〕5月17日』とは異なっているから,控訴人らが国税不服審判所に提出した船価鑑定意見書と本件で提出された検査証明書〔甲2。なお,甲5〕が同一であるのか疑問を払拭し得ないところではあるが,一応両者が同じものであるとして,以下『鑑定意見書』という」に改める。 。)(3)同18頁14行目の「書式案」の次に「甲23」を加える。 ()(4)同19頁3行目の「被告が」を「被控訴人が『この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は,国税庁長官の指示を受けて評価する』と定めている」に,21行目及び22行目の「渡され。 たのに従って」を「渡されたので,これに従って」に各改める。 ,,第3当裁判所の判断 判断の大要,原判決の引用当裁判所も,被控訴人に対し,本件更正処分等(ただし,いずれも本件裁決により一部取り消された後のもの)の取消しを求める控訴人らの請求は,いずれも理由がないと判断する。 その理由は,次の2のとおり原判決を補正し,次の3のとおり控訴理由に対する判断を付加するほかは,原判決第3の当裁判所の判断の1及び2(原判決21頁最終行から37頁4行目まで)のとおりであるから,これを引用する。 原判決の補正-- (1)原判決22頁17行目の「合理的なものである限り」を「合理的で,,個別の事案において適用可能である限り」に改める。 ,(2)同26頁最終行の「いなかった 。 原判決の補正-- (1)原判決22頁17行目の「合理的なものである限り」を「合理的で,,個別の事案において適用可能である限り」に改める。 ,(2)同26頁最終行の「いなかった」の次に「甲1」を加える。 ()(3)同27頁10行目の「のみであって」を「のみで,具体的な構造や仕,様の詳細は全く明らかにはならなかったから」に,17行目の「渡された,のに従って」を「渡されたので,これに従って」に各改める。 ,,(4)同28頁9行目から13行目までを次のとおりに改める。 「しかしながら,前記認定のとおり,国税不服審判所に提出された鑑定意見書には,鑑定額の算定根拠が示されておらず,また,算定に用いた客観的資料も添付されていなかった(本件で提出された鑑定意見書〔甲2,5〕にも,客観的資料は添付されていない)のであるから,国税不服審判所長。 が,鑑定意見書の正確性を的確に判断することができず,結果として鑑定意見書に記載された評価額に基づいて本件船舶を評価しなかったとしても,不当であると認めることはできない」。 (5)同34頁13行目の冒頭に「ア」を加え,17行目の「そして」か,ら22行目の「本件裁決の」までを次のとおりに改める。 「そして,評価通達136は,船舶について,原則として,調達価額に相,,当する価額によって評価するとし調達価額が明らかでない船舶についてはその船舶と同種同型の船舶,又は最も類似する船舶を課税時期において新造する場合の価額から,その船舶の建造の時から課税時期までの期間に応ずる償却額の合計額を控除した価額によって評価するとして,いわば船舶の『時価』を擬制しているのである。 このように,評価通達136自体が,船舶の『時価』を擬制しているのであるから,評価される船舶に対する評価方法が当該船 控除した価額によって評価するとして,いわば船舶の『時価』を擬制しているのである。 このように,評価通達136自体が,船舶の『時価』を擬制しているのであるから,評価される船舶に対する評価方法が当該船舶の『時価』を認定するに足りる合理性を備えていれば,その評価方法による評価も認められるというべきであるところ,本件裁決の」-- (6)同35頁5行目及び6行目の「取得価額から取得から」を「取得価額から」に改める。 (7)同35頁10行目の次に,行を改め,次のとおり加える。 「イさらに,法22条にいう『時価』とは,上記アのとおり,市場価格であって客観的な交換価値をいうのであるから,船舶においても,その取引において売主と買主との間の自由な合意により形成された売買価格は,船舶の売買時点における客観的な交換価値として,上記『時価』の認定の極めて大きな資料となると考えられる。 ところで本件船舶28隻のうち17隻は本件相続開始日平,(),(成8年4月14日)を含む事業年度以降に売却されているが,1隻を除く16隻については,譲渡時点における『簿価』を上回る価額で売却されており,そのうちの8隻は『簿価』をはるかに上回る価額であって,殊に,控訴人らにおいて評価額が零円と主張する○○及び○○については,それぞれ9億9828万円,8億0477万1000円という高い価格で取引されていることが認められる(甲1の別表2,乙6,弁論の全趣旨。 )そして,本件においては,被控訴人(原処分庁)は,本件船舶について『簿価』をもって評価したが,国税不服審判所長は,本件船舶につき『簿価』に基づく評価よりも『取得価額から償却費の合計額,,を控除した価額』によって評価する方が合理的であるとして,結果として『簿価』よりも低い額で評価し,原処分の一部 判所長は,本件船舶につき『簿価』に基づく評価よりも『取得価額から償却費の合計額,,を控除した価額』によって評価する方が合理的であるとして,結果として『簿価』よりも低い額で評価し,原処分の一部を取り消す本件裁決をした。 ,,これらの事実によれば本件船舶28隻のうちの16隻についてはその『時価』は,本件裁決で認定された評価額(簿価』未満)を超『えることは明らかであるし,残りの12隻についても,その『時価』は,本件裁決で認定された評価額以上であると合理的に推認されるも-- のである」。 (8)同11行目の冒頭に「ウ」を加える。 控訴理由に対する判断(1)控訴人らの主張控訴人らは,当審において,原判決の認定判断が不当であるとして縷々主張しているが,その骨子は,大要以下のとおりである。 ア法22条は,相続により取得した財産の価額は当該財産の取得の時における時価とすると定め,評価通達136は,船舶について時価の評価方法を具体的に定めており,現実の課税実務は,評価通達136を含む評価通達によって運用され,不特定多数の納税者に対する反復継続的な適用によって「行政先例法」となっている。したがって,特別の事情のない限り,これと異なる評価を行うことは違法となると解されるところ,この特別の事情とは,相続時の船価の鑑定に鑑定人が誰一人として協力しないなどの事情で物理的に船舶の時価が算定できない場合や,インフレーション等で価格が高騰して時価によると高額になり過ぎるため,簿価にしないと納税者に酷になる場合などに限られると考えられる。 しかるに,本件では,被控訴人(原処分庁)の職員が税務調査を開始してから本件更正処分等までに2年以上が経過しており,その間に資料収集のために反面調査等をしようと思えばいくらでもできたにもかかわらず,被 るに,本件では,被控訴人(原処分庁)の職員が税務調査を開始してから本件更正処分等までに2年以上が経過しており,その間に資料収集のために反面調査等をしようと思えばいくらでもできたにもかかわらず,被控訴人の担当職員は,漫然とそれを怠り,納税者(控訴人ら)が協力しなかったとの事情のみで特別の事情があるとして,評価通達136とは異なる方法で本件船舶の「時価」を算定したのであるから,違法である。 イ法22条が規定する時価とは,評価通達1(2)のとおり,課税時期(相続にあっては相続開始時)において,それぞれの財産の現況に応じ,不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額をいうのであるから,過去の歴史的な価額を基礎とするものではな-- く,課税時期の価額を基礎とするものである。 被控訴人は,本件裁決が採用した「取得価額から償却費の合計額を控除した価額」で算定した本件船舶の価額をもって,本件船舶の「時価」の評価方法として合理的であると主張しているが,そもそも,被控訴人は,これによって算定された価額が本件船舶の「時価」を下回ることの立証をしていない上,過去の歴史的な取得時の時価を減価償却したとしても,相続時の時価に引き直すことにはならないから,本件裁決が採用した評価方法は,法22条及び同条を受けて定められた評価通達136の趣旨に反しており,違法である。 (2)検討アまず,控訴人らの主張アについて検討するに,これは,基本的に原審における主張の繰り返しであって,前記1及び2で原判決を補正の上引用して説示したとおり,本件においては,評価通達136に定められた評価方法によっては本件船舶の価額を評価することができず,この方法によって評価しようとすればかえって課税事務の停滞を招来する事情があったのであるから,評価通達 においては,評価通達136に定められた評価方法によっては本件船舶の価額を評価することができず,この方法によって評価しようとすればかえって課税事務の停滞を招来する事情があったのであるから,評価通達136とは異なる評価方法によって本件船舶の価額を算定する特別の事情があったと認められるものである。 控訴人らは,被控訴人(原処分庁)の職員が反面調査をしていないことを論難しているが,前記1及び2で原判決を補正の上引用して認定したとおり,控訴人らの税務代理人であったC税理士が,被控訴人の担当者に対し,船舶評価に精通している者による本件船舶の評価を提出する旨の約束をしていたのであるから,同担当者において,C税理士及び控訴人らが税務調査に対して協力するものであると信頼し,あえて反面調査を行わず,C税理士から評価書ないし資料が提出されるのを待っていたとしても,そもそも申告納税制度が納税者からの適切な申告に基づいて課税することを前提とした制度であることに照らしても,到底不当であったとは認められ-- ない。さらに,控訴人らは,被控訴人において本件船舶の「時価」が明らかにならなかったのであるなら,被控訴人は,精通者であるBないしはそれと同等の権威を持つ団体等に調査,鑑定を依頼して「時価」を把握すべきである旨の主張もしているが,本件においては,前記1及び2で原判決を補正の上引用して認定したとおり,本件船舶と同種同型の船舶又は最も類似する船舶がどのようなものであるかを認定するのに必要な各種の基礎データのうち,具体的な構造や仕様の詳細等が被控訴人(原処分庁)に明らかにならなかったのであるから,鑑定等を依頼する前提条件が欠けていたのであり,したがって,鑑定等をすべきであるとの控訴人らの主張は,不可能を要求するものとして失当というべきである。 よって,控訴人 らかにならなかったのであるから,鑑定等を依頼する前提条件が欠けていたのであり,したがって,鑑定等をすべきであるとの控訴人らの主張は,不可能を要求するものとして失当というべきである。 よって,控訴人らの主張アは,理由がない。 イ次に控訴人らの主張イについて検討するに,これについても前記1及び2で原判決を補正の上引用して説示したとおりであって,評価通達136そのものが船舶の「時価」をいわば擬制していることは否定し得ないのであるから,相続開始時における調達価額又は同種同型若しくは類似する船舶の新造価額が不明である場合に,取得価額をもって売買ないし建造時点における自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額としてその時点の時価であるとし,取得価額から取得時から課税時期までの期間に応じた減価償却費の合計額を控除した価額が本件船舶の「時価」を反映するものと認め,それをもって評価額とした本件裁決が採用した評価方法も,十分に合理的であると認められる。 そして,この方法によって評価された本件船舶28隻の価額が,本件船「」,舶それぞれの時価には満たない額であると合理的に推認されることも前記説示のとおりである。 よって,控訴人らの主張イも,採用することはできない。 ウ控訴人らは,その他にも,本件更正処分等が憲法(平等原則及び適正手-- 続違反)違反であり,租税平等主義ないし租税公平主義に反する旨の主張もしているが,その実質は,本件船舶が評価通達136に定める方法によらないで評価されたことに対する不服を言うにすぎないものと認められるところ,本件裁決が採用した本件船舶の評価方法が合理的であって違法でないことは,前記1及び2で補正の上引用した原判決並びに上記ア及びイで認定説示したとおりであるから,控訴人らの主張が理由のないことは明らかで 件裁決が採用した本件船舶の評価方法が合理的であって違法でないことは,前記1及び2で補正の上引用した原判決並びに上記ア及びイで認定説示したとおりであるから,控訴人らの主張が理由のないことは明らかである。 第4結語以上のとおりであるから,原判決は正当であって,本件控訴は理由がないのでいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 高松高等裁判所第2部裁判長裁判官紙浦健二裁判官小池晴彦裁判官島岡大雄

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