- 1 -平成24年(行ク)第433号執行停止申立事件決定上記当事者間の標記執行停止申立事件(本案事件・平成○年(行ウ)第○号天皇の衆議院の解散等に関する内閣の助言と承認の無効確認請求事件)について,当裁判所は,相手方の意見をきいた上,次のとおり決定する。 主文 1 本件各申立てをいずれも却下する。 2 申立費用は申立人らの負担とする。 理由 1 申立て別紙2(執行停止申立書写し)の第1に記載されているとおり。 2 事案の概要等(1) 本案事件は,平成24年11月16日の衆議院の解散(以下「本件解散」という。)を受けて,同年12月16日に施行することが同月4日に公示された衆議院議員の総選挙(以下「本件選挙」といい,本件選挙の公示を以下「本件公示」という。)の選挙人である申立人らが,①内閣が天皇に対して同年11月16日にした本件解散に関する助言と承認(以下「本件解散の助言と承認」という。)は,最高裁平成22年(行ツ)第207号同23年3月23日大法廷判決・民集65巻2号755頁によりいわゆる違憲状態にあるとされた衆議院小選挙区選出議員の選挙区の区割基準及び選挙区割りに関する法令の規定が改正されていないのに本件選挙を行うことを決定したものであって,内閣に与えられた解散権の裁量の範囲から逸脱する違法無効な処分というべきである,②上記①のとおり本件解散に関する助言と承認が無効なものである以上,内閣が天皇に対して平成24年11月16日にした本件公示に関する助言と承認(以下「本件公示の助言と承認」という。)もまた違法無効な処分というべきであるなどと主張して,本件解散の助言と承認及 - 2 -び本件公示の助言と承認がいずれも無効であることの確認を求めるものである。 公示の助言と承認」という。)もまた違法無効な処分というべきであるなどと主張して,本件解散の助言と承認及 - 2 -び本件公示の助言と承認がいずれも無効であることの確認を求めるものである。 そして,本件は,いずれも本案事件の原告である申立人らが,本件選挙の「執行」が本件解散の助言と承認を前提としてされた本件公示の助言と承認との関係で行政事件訴訟法25条2項にいう「手続の続行」に該当することを前提として,本件選挙の「執行」により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるなどと主張して,上記の本案事件の判決確定までの間,「本件選挙の執行」の停止を求める事案である。 (2) 申立人らの主張は,別紙2(執行停止申立書写し)の第2に記載されているとおりであり,相手方の主張は,別紙3(意見書写し)の第2に記載されているとおりである。 3 当裁判所の判断申立人らの主張に照らせば,申立人らのいう本件選挙の「執行」とは,直接には,衆議院議員の総選挙の施行の公示を基礎として,それにより定められた総選挙の期日における総選挙の執行に係る投票所の設置,投票及び開票,当選人の決定等の本件選挙に係る一連の選挙事務が行われることを指すものと解されるところ,公職選挙法は,①衆議院議員又は参議院議員の選挙について,他の各種の選挙と同様に,その効力及び当選の効力に関する訴訟として特別の類型の訴訟を定める一方,その訴訟の出訴期間を当該選挙の日から30日以内に限定し,第1審の管轄裁判所も高等裁判所とし(同法204条,208条,217条),②これらの訴訟において,裁判所は,当該選挙が選挙の規定に違反していた場合であっても,選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるときに限り,その選挙の全部又は一部を無効とする判決をすべきものとし(同法205条1項,209条1項),③ は,当該選挙が選挙の規定に違反していた場合であっても,選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあるときに限り,その選挙の全部又は一部を無効とする判決をすべきものとし(同法205条1項,209条1項),③これらの訴訟の判決は,事件を受理した日から100日以内にするように努めなければならず(同法213条1項),裁判所は,上記訴訟については,他の訴訟の順序にかかわらず速やかにその裁判をしなけれ - 3 -ばならないものとしている(同条2項)。また,④同法は,同法の規定による選挙の管理及び執行に関する行為に処分に当たるものが含まれることを前提としつつ,このような行為を行政手続法第2章及び第3章の規定の適用の対象外とし,又は行政不服審査法による不服申立ての対象外としている(同法264条の2,265条)。このような同法の規定に照らせば,同法は,衆議院議員又は参議院議員の選挙を含め,各種の選挙の施行に係る手続中の個々の行為の適否は,全て選挙の終了後に同法所定の訴訟において争わせることとし,これらの個々の行為のそれぞれについて個別的に抗告訴訟を提起することを許容していないものと解するのが相当であり,例えば,都道府県知事の選挙における候補者の立候補の届出(同法86条の4)を受理しないとする行為については,その取消しの訴えを提起することはできず,同法202条以下の規定によりその違法を理由として選挙の無効を争うべきものと解される(最高裁昭和38年(オ)第563号同年9月26日第一小法廷判決・民集17巻8号1060頁参照)。そして,例えば,地方公共団体の長の選挙の期日の告示は,選挙の執行の手続の一環を成すものであって,それについての違法は選挙の効力に関する訴訟等について定める同法205条1項の「選挙の規定に違反すること」に含まれると解するのが相当であるところ の告示は,選挙の執行の手続の一環を成すものであって,それについての違法は選挙の効力に関する訴訟等について定める同法205条1項の「選挙の規定に違反すること」に含まれると解するのが相当であるところ(最高裁昭和31年(オ)第606号同32年3月19日第三小法廷判決・民集11巻3号527頁参照),衆議院議員の総選挙の施行の公示は,総選挙の期日を定めるとともにこれを周知させる行為であって,その内容及び性格において地方公共団体の長の選挙の期日の告示と異なるところはなく,それをすべき期限等についても同法に定められていることからすると(同法31条参照),衆議院議員の総選挙の施行の公示については,我が国の法制度の下におけるその重要性に鑑み最高法規である憲法に関係する規定が設けられているものとしても,やはり選挙の執行の一環としての性格を有するものというべきであり,それについての違法に関し,地方公共団体の長の選挙の期日の告示を例に挙げて既に述べたところと異なって解す - 4 -べき根拠は見いだし難い。そうすると,本案事件に係る訴えのうち本件公示の助言と承認が無効であることの確認を求める部分は,不適法なものというべきである。 また,衆議院の解散ないしこれについての内閣の助言と承認の効力に関して,裁判所は審査権を有しないものというべきである(最高裁昭和30年(オ)第96号同35年6月8日大法廷判決・民集14巻7号1206頁参照)から,本案事件に係る訴えのうち本件解散の助言と承認の無効確認を求める部分は,法律上の争訟(裁判所法3条1項)に当たらず,やはり不適法なものというべきである。 4 結論以上の次第であって,本件各申立ては,いずれも不適法であるからこれらを却下することとし,主文のとおり決定する。 平成24年12月11日 主文 以上の次第であって,本件各申立ては,いずれも不適法であるからこれらを却下することとし,主文のとおり決定する。 平成24年12月11日 東京地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官田中一彦 裁判官横井靖世
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