平成23(ワ)3361 意匠権侵害差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成24年11月8日 大阪地方裁判所
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平成24年11月8日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成23年(ワ)第3361号意匠権侵害差止等請求事件口頭弁論終結日平成24年7月20日判決原告株式会社ニチエイ同訴訟代理人弁護士三山峻司 同井上周一 同木村広行 同松田誠司 同訴訟代理人弁理士小森久夫同小澤壯夫 被告株式会社美友(以下「被告美友」という。)被告 ami株式会社(以下「被告ami」という。)被告両名訴訟代理人弁護士冨永博之被告両名訴訟代理人弁理士鎌田和弘  主文 1 被告美友は,別紙被告商品目録記載の立体フェイスマスクを販売し,販売の申出をしてはならない。 2 被告amiは,別紙被告商品目録記載の立体フェイスマスクを輸入し,販売し,販売の申出をしてはならない。 3 被告らは,原告に対し,各自金105万8608円及びこれに対する平成24年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 訴訟費用は,これを5分し,その1を被告らの負担とし,その余を原告の負担とする。 5 この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1及び2項と同旨 2 被告らは,原告に対し,連帯して金1381万2500円及びこれに対する平成 ないし第3項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求 1 主文第1及び2項と同旨 2 被告らは,原告に対し,連帯して金1381万2500円及びこれに対する平成24年4月30日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告らは,それぞれ所有する別紙被告商品目録記載の立体フェイスマスクを廃棄せよ。第2 事案の概要 1 本件は,後記本件各意匠権を有し,かつ,別紙原告商品目録1,2記載の各立体フェイスマスク(以下,順に「原告商品1」,「原告商品2」といい,総称して「原告各商品」という。)を製造販売する原告が,別紙被告商品目録記載の立体フェイスマスク(以下「被告商品」という。)の輸入販売等をする被告ら各自に対し,被告らには,民法719条1項前段又は同条2項の関係があるとして,以下の請求をした事案である(なお,同一内容の請求については選択的併合の関係にある。)。 (1) 意匠権侵害を理由とする請求ア意匠法37条1項,2項に基づく被告商品の輸入販売等の差止め・廃棄請求イ意匠権侵害の不法行為に基づく損害賠償金1381万2500円及びこれに対する不法行為の後の日である平成24年4月30日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の請求(2) 不正競争防止法2条1項3号の不正競争該当を理由とする請求ア同法3条1,2項に基づく被告商品の輸入販売等の差止め・廃棄請求イ同法4条に基づく損害賠償金1381万2500円及びこれに対する不法行為の後の日である平成24年4月30日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の請求 2 判断の基礎となる事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる。 24年4月30日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の請求 2 判断の基礎となる事実以下の事実は,当事者間に争いがないか,掲記の各証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる。 (1) 当事者ア原告は,化粧品・医薬部外品・化粧雑貨・衛生材料・医療機器等の製造販売を業とする会社である(甲1)。 イ被告美友は,化粧品の製造,販売及び輸出入等を業とする会社である(甲2)。 ウ被告amiは,医薬品,医薬部外品,化粧品,健康食品等の製造販売などを業とする会社である(甲3)。 (2) 原告の意匠権原告は,立体フェイスマスクに関する次の意匠権を有している(なお,以下の本件意匠権1~3を総称して「本件各意匠権」という。)。 ア本件意匠権1(甲4。以下,その登録意匠を「本件本意匠」という。)登録番号第1371301号登録日平成21年9月11日意匠に係る物品立体フェイスマスク登録意匠別紙意匠公報1記載のとおり。 イ本件意匠権2(甲5。なお,本件意匠権2の登録意匠は,本件本意匠の関連意匠であり,以下「本件関連意匠①」という。)登録番号第1371578号登録日平成21年9月11日意匠に係る物品立体フェイスマスク登録意匠別紙意匠公報2記載のとおり。 ウ本件意匠権3(甲6。なお,本件意匠権3の登録意匠は,本件本意匠の関連意匠であり,以下「本件関連意匠②」という。)登録番号第1371579号登録日平成21年9月11日意匠に係る物品立体フェイスマスク登録意匠別紙意匠公報3記載のとおり。 (3) 原告商品の販売原告は,化粧品会社にOEM商品として納入することを 日平成21年9月11日意匠に係る物品立体フェイスマスク登録意匠別紙意匠公報3記載のとおり。 (3) 原告商品の販売原告は,化粧品会社にOEM商品として納入することを予定して,遅くとも平成21年4月頃までに,原告各商品を開発した。 訴外株式会社カネボウ化粧品は,原告から納入された原告商品1を「インプレスコンセントレートマスク3D」という商品名で,遅くとも同年9月4日頃までに,一般消費者に販売開始し,また,訴外株式会社エキップは,原告から納入された原告商品2を「SUQQU リファインドフロウストレッチマスク」という商品名で,遅くとも同年11月20日頃までに,一般消費者に販売開始した(甲15~17)。 (4) 被告らの行為ア被告美友は,平成22年9月頃から,韓国で製造された被告商品を日本国内で販売しており(甲7,8),被告amiは,その製造販売元(輸入元)とされている(甲7)。 イ被告商品の構成は,別紙被告商品図面記載のとおりである(以下,被告商品に係る意匠を「被告意匠」という。)。 3 争点(1) 意匠権侵害を理由とする請求被告意匠は本件本意匠,本件関連意匠①,本件関連意匠②と類似するか(争点1)(2) 不正競争防止法2条1項3号の不正競争該当を理由とする請求被告商品は原告各商品の形態を模倣した商品であるか(争点2)(3) 被告amiの侵害行為の有無及び共同不法行為の成否(争点3)(4) 原告の損害額(争点4)第3 争点に係る当事者の主張 1 争点1(被告意匠は本件本意匠,本件関連意匠①,本件関連意匠②と類似するか)について【原告の主張】(1) 本件各意匠の構成ア本件本意匠の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事 張 1 争点1(被告意匠は本件本意匠,本件関連意匠①,本件関連意匠②と類似するか)について【原告の主張】(1) 本件各意匠の構成ア本件本意匠の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記載「1本件本意匠の構成」の【原告の主張】欄のとおりである。 イ本件登録意匠①の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記載「2 本件関連意匠①の構成」の【原告の主張】欄のとおりである。 ウ本件登録意匠②の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記載「3 本件関連意匠②の構成」の【原告の主張】欄のとおりである。 (2) 被告意匠の構成被告意匠の構成は,別紙被告意匠の構成(当事者の主張)記載【原告の主張】欄のとおりである。 (3) 類否についてア意匠の要部以下の(ア)ないし(エ)の事情によれば,本件各意匠の要部は,主に,額から鼻口と顎の下までのラインと額から耳側にかけてのラインにあり,より具体的には,正面図において,①鼻及び唇の周囲に対向する部分を除いた右側外形線及び左側外形線で画される略釣鐘状の形状(上端から下顎上端部に対向する部分の高さまで),②右側外形線のうち顎部の下部の略直線を除く全体としての具体的な形状,③右側外形線及び左側外形線と略楕円形状の孔部とによって表れる具体的な形状,④右側外形線に沿って多数の矩形が構成され,これが縞状に視認される形状である。(ア) フェイスマスクの性質,使用目的,用途及び使用実態フェイスマスクは保湿効果などのために顔に装着して使用されるもので,顔へのフィット感が商品の価値を左右する。フェイスマスクの使用実態からすれば,使用者がフェイスマスクを顔に装着させて使用している状態での形状や外観が,使用者や周囲の者の目に触れる状態で るもので,顔へのフィット感が商品の価値を左右する。フェイスマスクの使用実態からすれば,使用者がフェイスマスクを顔に装着させて使用している状態での形状や外観が,使用者や周囲の者の目に触れる状態である。意匠の美感は,このような使用状態を踏まえて判断されるべきである。本件各意匠を実施した原告の立体フェイスマスクにおいては,正中線と額から耳側にかけてのラインが意匠の美感に大きな影響を与えており,これによって,コンパクトでまとまり感があり,見栄えがしつつフィット感のある外観となっている。なお,首部は顔面部に比して付随的なものであり,用途上も看者の目に止まりにくい部分である。(イ) 意匠の創作過程また,意匠の創作経緯は,要部認定の重要な間接事実となる。 本件各意匠は,額から鼻口と顎の下までのライン(上下に走る正中線)及び額から耳側にかけてのラインの形状の創作に,多大な費用と労力及び時間が傾注されている(甲24)。 (ウ) 関連意匠本件本意匠と本件関連意匠①②とは,額から鼻口と顎の下までのライン(上下に走る正中線)及び額から耳側にかけてのラインの形状において共通している。 (エ) 公知意匠,周知意匠 フェイスマスクの意匠は,基本的には物品の構成に従うが,ある程度の自由度がある。 フェイスマスクの意匠にも様々なものがあるところ(甲16),本件各意匠を実施した原告のフェイスマスクは,立体フェイスマスクとして,パイオニアと位置付けられる物品である。 イ本件各意匠と被告意匠との比較本件各意匠と被告意匠を対比すると,下側外形線の形状が異なり,切込線の形状も多少異なる。また,本件関連意匠①②に限っては首部の有無も異なる。しかし,これらの相違点は,いずれも本件各意匠の要部に係るもの 各意匠と被告意匠を対比すると,下側外形線の形状が異なり,切込線の形状も多少異なる。また,本件関連意匠①②に限っては首部の有無も異なる。しかし,これらの相違点は,いずれも本件各意匠の要部に係るものではない。一方,その他の構成について,本件各意匠と被告意匠は,その寸法比,角度に至るまで,誤差程度の差異を除いてほぼ完全に一致しており,要部に係る点は,これらの一致点に全て含まれている。ウ小括したがって,本件各意匠と被告意匠は実質的に同一であり,少なくとも類似する。下側外形線及び首部に係る相違点については,フェイスマスクの使用時に使用者が看取し難い部分であり,上記一致点から生じる共通の印象を覆すものではない。【被告らの主張】(1) 本件各意匠の構成ア本件本意匠の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記載「1本件本意匠の構成」の【被告らの主張】欄のとおりである。 イ本件登録意匠①の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記載「2 本件関連意匠①の構成」の【被告らの主張】欄のとおりである。 ウ本件登録意匠②の構成は,別紙本件各意匠の構成(当事者の主張)記載「3 本件関連意匠②の構成」の【被告らの主張】欄のとおりである。 (2) 被告意匠の構成被告意匠の構成は,別紙被告意匠の構成(当事者の主張)記載【被告らの主張】欄のとおりである。 (3) 類否についてア意匠の要部(ア) 本件各意匠の出願前の公知意匠(乙1,2)を斟酌すると,本件各意匠の要部は以下のとおりである。 ① 鼻頭部について,外側に凸となる曲線で構成され,鼻頭部と上顎部の交点から順次,直線,内側に凸の曲線,及び垂直上方に向かう直線に連結された鼻翼の外形を示す切込線を有し,その先 である。 ① 鼻頭部について,外側に凸となる曲線で構成され,鼻頭部と上顎部の交点から順次,直線,内側に凸の曲線,及び垂直上方に向かう直線に連結された鼻翼の外形を示す切込線を有し,その先端は鼻頭先端の高さまで達している点(構成C5,E2)② 水平方向から約20度右上向きに配置された上部の曲率半径が小さく下部の曲率半径が大きい凸レンズ断面状の開口部を備えており,開口部の左右端のそれぞれには,切込線があり,右端の切込線は右上約20度方向に下側に凸の曲線,左端の切込線は左下約20度方向の直線で構成されている点(構成D,E3)③ 下側の略1/4の位置で,かつ左寄りの位置から左側外形線に達する「へ」の字状の切込線を備えている点(構成E1)なお,原告は,各切込線は需要者が気付きにくいものであり要部と捉えることはできないと主張するが,切込線は,フェイスマスクを顔に貼り付ける際に重要な役割を持つものであり,需要者が注目するものである。 (イ) また,顔面部と首部の境界部分は,用途上,看者の目にとまりやすい部分である。 すなわち,顔と首はその境界(下顎端)で急激な角度がついており,しかも顔の向きは首に対して大きく動く。そのため,顔面部と首部を 一体にした立体フェイスマスクにおいては,顔面部と首部との境界をどのように形成するかによって首部へ密着性が大きく異なる。したがって,顔面部と首部の境界部分は看者の注目を惹く部分といえる。 イ本件本意匠と被告意匠との対比(ア) 共通点本件本意匠と被告意匠は,構成B1-2とb1-2,C1とc1,C3とc3,C4とc4において共通する。 しかしながら,これらはいずれも本件本意匠の要部に関するものではない。 本件本意匠と被告意匠は,構成B1-2とb1-2,C1とc1,C3とc3,C4とc4において共通する。 しかしながら,これらはいずれも本件本意匠の要部に関するものではない。 (イ) 差異点① 本件本意匠と被告意匠は,B1-1とb1-1(左側外形線)に差異がある。本件本意匠が滑らかかつ一体的な連続した曲線で構成された左側外形線を呈するのに対し,被告意匠は左側外形線を中断する二つの切込線を有することにより看者に異なる美感を生ぜしめる。 また,被告意匠は突起部を備えるのに対し,本件本意匠は突起部を備えない。被告意匠の突起部は,左側顔面と右側顔面に対応する各シートにおいてその形状が異なっており,看者にとって最も注意を惹く箇所の一つである。 ② 本件本意匠と被告意匠は,B1-3とb1-3(下側外形線)に差異がある。被告意匠の下側外形線は角ばった印象を与えるのに対し,本件本意匠の下側外形線は円滑な印象を与え,美感において格別の相違がある。 ③ 本件本意匠と被告意匠は,B5・E2とb5・e2(鼻頭部及び切込線)に差異がある。被告意匠は切込線の先端が垂直上方に向かって鼻頭先端の高さまで達しているのに対し,本件本意匠は切込線 の先端が左斜め上方に向かい,その長さはごく僅かである。また,被告意匠は鼻頭から切込線までの直線の傾斜が小さく,本件本意匠は大きく,したがって鼻頭が上向きとなっている。これらの点でも美感が大きく異なる。 ④ 本件本意匠と被告意匠は,B6とb6(上顎部)に差異がある。 被告意匠は外側に凸の曲線で構成されているのに対し,本件本意匠は内側に凸の曲線と外側に凸の曲線で構成されており,美感が異なる。 ⑤ 本件本意匠と被告意匠は,C7とc7(口部)に差異がある。被 被告意匠は外側に凸の曲線で構成されているのに対し,本件本意匠は内側に凸の曲線と外側に凸の曲線で構成されており,美感が異なる。 ⑤ 本件本意匠と被告意匠は,C7とc7(口部)に差異がある。被告意匠は2本の直線がなす角度が比較的小さいのに対し,本件本意匠は同角度が比較的大きく,両意匠の美感は相当異なる。 ⑥ 本件本意匠と被告意匠とでは,B7とb7(下顎部)に差異がある。被告意匠は直線的であるのに対し,本件本意匠はその上部にかなり目立つ凹みがあり,相当異なった美感となっている。 ⑦ 本件本意匠と被告意匠とでは,Dとd(開口部及び切込線)に差異がある。被告意匠は,本件本意匠と比較して,楕円形状の開口部を有し,目の左右の傾斜も本件本意匠よりも緩やかである。また,被告意匠は,本件本意匠と比較して,左右端の切込線の形状も異なり,下部に2本の切込線を有する点でも異なる。 人の眼球に対応する開口部は,看者の心理上,わずかな相違であっても看者に大いに異なる美感を与える。 ⑧ 本件本意匠と被告意匠とでは,Fとf(右側外形線に対応する矩形)に差異がある。被告意匠では,鼻頭を全て覆うように矩形部分が形成されているが,本件本意匠においては,鼻頭の上方まで形成されているに過ぎない。鼻頭は,立体フェイスマスクの顔面対応部分における最も突出した箇所で目立つので,このような鼻頭における形状,模様,光沢の相違は,立体フェイスマスクを観察する看者に与える印象を大きく異ならせ,全体として看者に与える美感を異にする。 また,本件本意匠では,矩形が正面図において水平方向に配列されているのに対し,被告意匠では,正中線に沿う右側外形線に対して直角に設けられている。すなわち,被告意匠は,右側外形線に対応して各々縞模様の向きが異なるの では,矩形が正面図において水平方向に配列されているのに対し,被告意匠では,正中線に沿う右側外形線に対して直角に設けられている。すなわち,被告意匠は,右側外形線に対応して各々縞模様の向きが異なるのに対し,本件本意匠は顔面の凹凸に対応する複数の曲線やその向きに関係なく,常に略水平方向で一定の横向きの縞模様として形成されており,美感は大いに異なる。 さらに,被告意匠においては,隣り合う矩形の間隔は本件本意匠の約半分である。したがって,矩形による縞模様がより細かく見え,美感は大いに異なる。 (ウ) 評価以上のとおり,本件本意匠と被告意匠との共通点は本件本意匠の要部に関するものではなく,一方,相違点は被告意匠を本件本意匠から区別すべく視覚に強く訴えるものである。 したがって,被告意匠は本件本意匠とは非類似である。 なお,被告意匠と同一の意匠が,本件各意匠の登録の後に,特許庁において意匠登録されている(乙6)。 ウ本件関連意匠①②と被告意匠との対比(ア) 本件関連意匠①との対比本件関連意匠①と本件本意匠との主な相違点はB1-3(下側外形線),C9(首部)の構成であるところ,被告意匠の下側外形線は角ばった印象を与えるのに対し,本件関連意匠①の下側外形線は円滑な印象を与え,また,被告意匠は,本件関連意匠①の首部を有しておらず,美感において格別の相違がある。 その他の点は,本件本意匠と被告意匠との対比の場合と同様であり,被告意匠は本件関連意匠①とは非類似である(イ) 本件関連意匠②との対比本件関連意匠②と本件本意匠との主な相違点はB1-3(下側外形線),C9(首部)の構成であるところ,被告意匠の下側外形線は角ばった印象を与えるのに対し,本件関連意匠②の下側外形 関連意匠②との対比本件関連意匠②と本件本意匠との主な相違点はB1-3(下側外形線),C9(首部)の構成であるところ,被告意匠の下側外形線は角ばった印象を与えるのに対し,本件関連意匠②の下側外形線は円滑な印象を与え,また,被告意匠は,本件関連意匠②の首部を有しておらず,美感において格別の相違がある。 その他の点は,本件本意匠と被告意匠との対比と同様であり,被告意匠は本件関連意匠②とは非類似である 2 争点2(被告商品は原告各商品の形態を模倣した商品であるか)について【原告の主張】(1) 原告各商品の構成ア原告商品1の構成は,別紙原告各商品の構成(当事者の主張)記載「1原告商品1の構成」の【原告の主張】欄のとおりである。 なお,原告商品1は,関連意匠②の実施品である。 イ原告商品2の構成は,別紙原告各商品の構成(当事者の主張)記載「2原告商品2の構成」の【原告の主張】欄のとおりである。 なお,原告商品2は,関連意匠①の実施品である。 (2) 被告商品の構成被告商品の構成は,別紙被告商品の構成(当事者の主張)記載【原告の主張】欄のとおりである。 (3) 実質的同一性についてア要部について原告商品1の要部は,本件各意匠の要部と同様に,①鼻及び唇の周囲に対向する部分を除いた右側外形線及び左側外形線で画される略釣鐘状の形状(上端から下顎上端部に対向する部分の高さまで),②右側外形線のうち顎部の下部の略直線を除く全体としての具体的な形状,③右側外形線及び左側外形線と略楕円形状の孔部とによって表れる具体的な形状,④右側外形線に沿って多数の矩形が構成され,これが縞状に視認される形状である。イ対比原告商品1と被告商品の 形線及び左側外形線と略楕円形状の孔部とによって表れる具体的な形状,④右側外形線に沿って多数の矩形が構成され,これが縞状に視認される形状である。イ対比原告商品1と被告商品の形態を対比すると,①首部の有無(構成C9)による下側外形線の形状(構成B1-3と構成b1-3),②切込線の形状(構成Eと構成e),③右側外形線上の矩形方向(構成Fと構成f)について相違するが,その他の構成については,誤差程度の差異を除き,ほぼ完全に一致している。そして,上記相違点②③は極めて微細な相違である上,上記相違点①については,被告商品は,原告商品1の首部をその上端から切込線(左側外形線に達している切込線)の右端に向かって切断したものに過ぎず,格別の工夫はみられないのであって,被告商品は,原告商品1との実質的同一性を失わせる程度の形態の改変があったということはできない。また,美感の点から見ても,需要者が注目する要部について,原告商品1と被告商品とでは共通する。ウ小括したがって,被告商品は,原告商品1を模倣したものといえる。なお,仮に原告商品1の模倣でなければ,同様の理由によって,原告商品2を模倣したといえる。 【被告らの主張】(1) 原告各商品の構成ア原告商品1の構成は,別紙原告各商品の構成(当事者の主張)記載「1原告商品1の構成」の【被告らの主張】欄のとおりである。 イ原告商品2の構成は,別紙原告各商品の構成(当事者の主張)記載「2原告商品2の構成」の【被告らの主張】欄のとおりである。 (2) 被告商品の構成被告商品の構成は,別紙被告商品の構成(当事者の主張)記載【被告らの主張】欄のとおりである。 (3) 実質的同 構成」の【被告らの主張】欄のとおりである。 (2) 被告商品の構成被告商品の構成は,別紙被告商品の構成(当事者の主張)記載【被告らの主張】欄のとおりである。 (3) 実質的同一性について原告商品1,2と被告商品の形態が実質的に同一であるという主張は争う。 なお,原告の主張は,原告商品1が本件関連意匠②の実施品であることを前提にするところ,両者は,右側外形線の具体的形状,口の開き方,大きさ,開口部の位置,形状において相当異なっている。 3 争点3(被告amiの侵害行為の有無及び共同不法行為の成否)について【原告の主張】被告商品の輸入販売等は,被告美友が中心となり,被告らが互いの輸入販売行為等を認識しつつ,被告amiが輸入した商品を被告美友が仕入れて販売するという役割分担でされている。また,薬事法上の製造販売元は被告amiである(甲7,11)。 したがって,被告らの行為には共同不法行為が成立し,そうでなくても被告らは互いに幇助し合う関係といえ,被告amiには侵害行為が認められる。 【被告らの主張】被告amiは形式的な輸入・輸出元に過ぎず,実際には,被告美友が商用インボイスの作成等の通関手続を行って,韓国の業者から輸入・輸出(返品)し,代金も直接支払っている。 したがって,被告amiに侵害行為は認められず,共同不法行為も成立しない。 4 争点4(原告の損害額)【原告の主張】(1) 被告商品の販売による損害額(主位的主張)ア被告商品の総売上高は,6500万円である(50円×130万枚)。 イ被告商品は,化粧品又化粧用調整品といえるところ,社団法人発明協会研究センター編集の「実施料率[第5版]」(甲44)によると,これらを含む「医 6500万円である(50円×130万枚)。 イ被告商品は,化粧品又化粧用調整品といえるところ,社団法人発明協会研究センター編集の「実施料率[第5版]」(甲44)によると,これらを含む「医薬品・その他の化学製品」における平成4年度~10年度までの実施料率(イニシャル無)の平均値は「7.1」であり,最高値「50」も8件ある。また,被告商品は繊維製品ともいえるところ,前掲「実施料率[第5版]」(甲44)によると,該分野における平成4年度~10年度までの実施料率(イニシャル無)の平均値は「6.1」であり最高値「50」も11件ある。さらに,本件本意匠又は本件関連意匠①②の各実施品は市場で高く評価されており,その開発には莫大な時間,労力,費用が投じられている(甲21~30等)。また,原告は現に実施品を製造販売しており,被告らにその実施許諾すると完全に競合するから,現実に実施許諾することはあり得ない。 以上によれば,原告が,被告に対し,本件本意匠あるいは本件関連意匠①②の実施に対し受けるべき金銭の額を算定するにあたり用いる相当実施料率は19.25%を下らない。 ウしたがって,意匠法39条3項に基づく,被告商品の販売による原告の損害額は,1251万2500円(6500万円×0.1925)である。 (2) 被告商品の販売による損害額(予備的主張)なお,被告らは,被告商品の販売数量は少なくとも22万8240枚,販売単価は1枚当たり安くとも28円であるとして,売上合計が639万0720円を下らないことを認めている。 したがって,意匠法39条3項に基づく,被告商品の販売による原告の損害額は,123万0213円(639万0720円×0.1925)を下らない。 (3) 弁護士費用相当額弁護士費 したがって,意匠法39条3項に基づく,被告商品の販売による原告の損害額は,123万0213円(639万0720円×0.1925)を下らない。 (3) 弁護士費用相当額弁護士費用相当額の損害については,130万円を下らない。 【被告らの主張】(1) 被告商品の販売による原告の損害額について被告美友による被告商品の販売量及び在庫量の合計は22万8240枚である。また,被告商品は,平均して1枚当たり28円で販売されてきた。 したがって,被告商品の販売価格合計は在庫品も全て販売したとしても,上記22万8240枚に28円を乗じた639万0720円である。 また,被告商品の実施料率は,6.1%が相当である。 (2) 弁護士費用相当額について争う。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(被告意匠は本件本意匠と類似するか)について当裁判所は,被告意匠は本件本意匠に類似すると判断する。その理由は以下のとおりである。 (1) 本件本意匠の構成ア証拠(甲4の2)及び弁論の全趣旨によれば,本件本意匠は,別紙意匠公報1に記載のとおりであり,意匠に係る物品を「立体フェイスマスク」とするもので,その構成態様は,次のとおりと認められる。 (ア) 基本的構成態様A 薄いシート状を呈し,正面図は人の顔面の右半分,背面図は人の顔面の左半分に対応する形状を有する。 B 正面図における右側外形線(複数の矩形のある部分)は,顔の正中線に対応し,外側に凸の曲線,内側に凸の曲線及び略直線を連結して構成される。C 正面図における左側外形線(頂点から右側外形線の下端の矩形の底辺を伸ばした線との交点までの部分)及び下側外形線(右側外形線の下端と左側外形線の下端の間の 曲線及び略直線を連結して構成される。C 正面図における左側外形線(頂点から右側外形線の下端の矩形の底辺を伸ばした線との交点までの部分)及び下側外形線(右側外形線の下端と左側外形線の下端の間の部分)は,顔の周囲に対応し,外側に凸の曲線及び略直線を連結して構成される。D 右側外形線及び左側外形線は,頂点から下顎上端に対応する部分の高さまでは,鼻梁部,鼻頭部及び口部に対応する部分を除き,略釣鐘形の外形形状を呈している。E 正面図における目に対応する部分に,横長の略楕円形状の孔部を備える。(イ) 具体的構成態様F 右側外形線の形状上から順に以下の部位によって構成されている。 F-1 額部は,外側に凸となる曲線で構成される。 F-2 眉間部は,内側に凸となる曲線で構成される。 F-3 鼻梁部は,略直線で構成される。 F-4 鼻頭部は,外側に凸となる曲線と略直線で構成される。 F-5 上顎部は,内側に凸となる曲線を含む略直線で構成される。 F-6 口部は,2本の直線及びこれを連結する内側に凸となる曲線で構成される。 両直線のなす角度は略25度であり,上顎部の略直線と口部の上側の直線とのなす角度は略直角,口部の下側の直線と後記下顎部の上部の略直線とのなす角度は略直角である。 F-7 下顎部は,その上部の略直線と,その中部の外側に凸となる曲線と,その下部の略直線とで構成される。 G 孔部の具体的な形状水平方向から約20度右上向きで配置されている。 上部の曲率半径が小さく下部の曲率半径が大きい凸レンズ断面状である。 H 切込線の形状H-1 左側外形線の下方 的な形状水平方向から約20度右上向きで配置されている。 上部の曲率半径が小さく下部の曲率半径が大きい凸レンズ断面状である。 H 切込線の形状H-1 左側外形線の下方にへの字状の切込線を備える。 H-2 右側外形線の鼻頭部の略直線の延長上に,略直線及び内側に凸の曲線からなる切込線を備える。 同切込線は,鼻翼の外形に対応する。 H-3 孔部の左右端に,切込線を備える。 右端の切込線は右上約20度方向の下側に凸の曲線により構成される。左端の切込線は左下約20度方向の直線により構成される。 I 右側外形線に対応する矩形の形状右側外形線(鼻頭部及び口部を除く。)に沿って,略同一形状の多数の微細な矩形が,その長辺がいずれも略水平となるように配置されている。 (2) 被告意匠の構成ア証拠(甲12)及び弁論の全趣旨によれば,被告意匠は,立体フェイスマスクであって,その構成態様は次のとおりと認められる。 (ア) 基本的構成態様a 薄いシート状を呈し,正面図は人の顔面の右半分,背面図は人の顔面の左半分に対応する形状を有する。b 正面図における右側外形線(複数の矩形のある部分)は,顔の正中線に対応し,外側に凸の曲線,内側に凸の曲線及び略直線を連結 して構成される。c 正面図における左側外形線は,顔の周囲に対応し,外側に凸の曲線及び略直線を連結して構成され,その下部に外側に凸の曲線による突起形状を備える。正面図における下側外形線はへの字状の折れ線で構成される。d 右側外形線及び左側外形線は,頂点から下顎上端に対応する部分の高さまでは,鼻梁部,鼻頭部及び口部に対応する部分を除き,略釣鐘形の外形形状を呈して 形線はへの字状の折れ線で構成される。d 右側外形線及び左側外形線は,頂点から下顎上端に対応する部分の高さまでは,鼻梁部,鼻頭部及び口部に対応する部分を除き,略釣鐘形の外形形状を呈している。e 正面図における目に対応する部分に,横長の略楕円形状の孔部を備える。 イ 具体的構成態様f 右側外形線の形状上から順に以下の部位によって構成されている。 f-1 額部は,外側に凸となる曲線で構成される。 f-2 眉間部は,内側に凸となる曲線で構成される。 f-3 鼻梁部は,略直線で構成される。 f-4 鼻頭部は,外側に凸となる曲線と略直線で構成される。 f-5 上顎部は,略直線で構成される。 f-6 口部は,2本の直線及びこれを連結する内側に凸となる曲線で構成される。 両直線のなす角度は略25度であり,上顎部の略直線と口部の上側の直線とのなす角度は略直角,口部の下側の直線と後記下顎部の上部の略直線とのなす角度は略直角である(なお,被告らはそれぞれの角度について順に21.5度,93度,86.5度であると主張するが,いずれも最大でも3. 5度の違いに過ぎず,被告らの主張を前提にしても上記のと おり認定できる。)。 f-7 下顎部は,その上部の略直線と,その中部の外側に凸となる曲線と,その下部の略直線とで構成される。 g 孔部の具体的な形状ほぼ水平方向に配置されている。 ほぼ水平な長軸に対して対称な楕円形状である。 h 切込線の形状h-1 左側外形線の下部に直線状の切込線を備える。 左側外形線の上部に直線状の切込線を備える。 h 称な楕円形状である。 h 切込線の形状h-1 左側外形線の下部に直線状の切込線を備える。 左側外形線の上部に直線状の切込線を備える。 h-2 右側外形線の鼻頭部の略直線の延長上に,略直線,内側に凸の曲線及び略鉛直方向の略直線からなり,その先端は鼻頭先端の高さまで達する切込線を備える。 同切込線は,鼻翼の外形に対応する。 h-3 孔部の左右端及び下部に,切込線を備える。 右端の切込線は右上約45度方向の直線により構成される。左端の切込線は水平方向の直線により構成される。下部の切込線は,下方向の直線により構成される。 i 右側外形線に対応する矩形の形状右側外形線(鼻頭部及び口部を除く。)に沿って,略同一形状の多数の微細な矩形が,その長辺がいずれも右側外形線方向を向くように配置されている。 (3) 本件本意匠の要部についてア要部について登録意匠とそれ以外の意匠が類似であるか否かの判断は,需要者の視覚を通じて起こさせる美感に基づいて行うものである(意匠法24条2項)。したがって,その判断にあたっては,意匠に係る物品の性質,用途,使用態様,さらには公知意匠にない新規な創作部分の存否等を参酌して,需要者の注意が惹き付けられる部分を要部として把握した上で,両意匠が要部において構成態様を共通にするか否かを中心に観察し,全体として美感を共通にするか否かを判断すべきである。 イ需要者,使用態様について本件本意匠及び被告意匠は,いずれも立体フェイスマスクに関するものであり,その需要者は美容に関心を持つ一般消費者である。立体フェイスマスクは,不織布等の含水性のシート体を素材として,美容液等を含 本件本意匠及び被告意匠は,いずれも立体フェイスマスクに関するものであり,その需要者は美容に関心を持つ一般消費者である。立体フェイスマスクは,不織布等の含水性のシート体を素材として,美容液等を含浸させた状態で顔面に貼付して使用されるものであることからすれば(甲4の2等),需要者は,顔面の正中線に対応する部分に着目するということができる。ウ公知意匠について(ア) 公開特許公報(特開2007-330329。乙1)の図2には,立体フェイスマスクの形状が開示されている(以下「乙1意匠」という。)。 同意匠は,顔面の正中線に対応する図2の左側外形線において,額部,眉間部,鼻梁部,鼻頭部,上顎部,口部,下顎部を備えることが認められる。 ただし,左側外形線は,①額部は直線で構成されていること,②眉間部は内側に凸となる鋭角であること,③鼻頭部は外側に凸となる鋭角と直線で構成され,上顎部との間に鋭角の切込みがあること,④上顎部は直線で構成されていること,⑤口部は2本の直線と内側に凸となる鋭角で構成されていること,⑥下顎部は外側に凸となる曲線で構成されていることなどが認められる。 (イ) 公開特許公報(特開平7-194430。乙2)の図3には,立体フェイスマスクの形状が開示されている(以下「乙2意匠」という。)。 同意匠は,顔面の正中線に対応する図3の左側外形線において,額部,眉間部,鼻梁部,口部,下顎部を備えることが認められる(なお,上顎部はなく,鼻頭部は口部と一体となっている。)。 エ関連意匠について本件本意匠と本件関連意匠①②とは,右側外形線,左側外形線,孔部,切込線の形状,右側外形線に対応する矩形の形状において一致する。 一方,本件本意匠は,上記の 関連意匠について本件本意匠と本件関連意匠①②とは,右側外形線,左側外形線,孔部,切込線の形状,右側外形線に対応する矩形の形状において一致する。 一方,本件本意匠は,上記のとおりの下側外形線を備えるのに対し,本件関連意匠①②は,いずれも首部を有しており,この点において相違する(甲5の2,6の2)。 オ本件本意匠の要部上記認定したところを総合して,本件本意匠の要部を検討する。 立体フェイスマスクにおいて,需要者は,顔面の正中線に対応する右側外形線に着目するということができるところ,当該部分に額部,眉間部,鼻梁部,鼻頭部,上顎部,口部,下顎部を備えること自体は,機能上不可欠なものであり,本件本意匠の出願前にも当該部分を備える意匠が存在していたことが認められる。 そうすると,本件本意匠の要部は,右側外形線の具体的な形状にあるといえる。 カ被告らの主張について(ア) 被告らは,顔面にフィットさせる二つ折りの立体フェイスマスクにおいて,顔面の凹凸に沿った形状とすること(すなわち,右側外形線の具体的な形状)は機能上当然に導かれる形状であって,看者の注意を惹く部分ではなく,機能上不可欠の形状であると主張する。 しかしながら,フェイスマスクの顔面に対応する部分に,額部,眉間部,鼻梁部,鼻頭部,上顎部,口部,下顎部を設けること自体は,立体フェイスマスクの機能上不可欠ということができるものの,これらの各部位の具体的な形状は,各創作者において工夫する余地があるのであって,この点は,乙1意匠,乙2意匠の具体的形状が本件本意匠と同一ではないこと,平面上のフェイスマスクにおいて目,鼻,口に対応する部分の配置及び形状に様々なものがあること(甲16)からも明らかというべきである。 1意匠,乙2意匠の具体的形状が本件本意匠と同一ではないこと,平面上のフェイスマスクにおいて目,鼻,口に対応する部分の配置及び形状に様々なものがあること(甲16)からも明らかというべきである。 (イ) 被告らは,切込線及び顔面と首部の境界部分が要部であると主張する。 しかしながら,切込線自体は,意匠の外縁を形成するものではなく,それほど目立つとはいえないし,使用実態を考慮しても,立体フェイスマスクは美容液等を含浸させた状態で顔面に貼付して使用されることからすれば,その貼付する状態はある程度自由に調整することができ,切込線の形状によって決定的に異なることになるわけでもない。 また,顔面と首部の境界部分(下側外形線)については,立体フェイスマスクは顔面を覆うことを主目的としたものであり,首部はそれに付随するものであることからすれば,この部分を顔面の正中線に対応する右側外形線と同等に捉えることはできないというべきである。したがって,被告らの主張には理由がない。 (4) 類否についてア本件本意匠と被告意匠との共通点及び差異点(ア) 共通点本件本意匠と被告意匠とは,基本的構成態様のうち,全体的な形状(A),右側外形線の形状(B),左側外形線の形状(Cの一部),右側外形線と左側外形線との関係(D),孔部の形状(E)において共通する。 また,具体的構成態様のうち,右側外形線の具体的形状(F),右側外形線(鼻頭部及び口部を除く。)に沿って,略同一形状の多数の微細な矩形があること(Hの一部)において共通する。(イ) 差異点① 左側外形線下部の突起形状の有無本件本意匠には,突起形状がないのに対し,被告意匠 て,略同一形状の多数の微細な矩形があること(Hの一部)において共通する。(イ) 差異点① 左側外形線下部の突起形状の有無本件本意匠には,突起形状がないのに対し,被告意匠には突起形状がある。 ② 下側外形線の構成本件本意匠は略直線及び外側に凸の曲線により構成されているのに対し,被告意匠はへの字状の折れ線で構成されている。 ③ 孔部の具体的形状本件本意匠は,水平方向から約20度右上向きに配置され,上部の曲率半径が小さく下部の曲率半径が大きい凸レンズ断面状であるのに対し,被告意匠は,ほぼ水平方向に配置され,ほぼ水平な長軸に対して対称な楕円形状である。 ④ 左側外形線の切込線本件本意匠は下部にへの字状の切込線を一つ備えるのに対し,被告意匠は上部と下部に直線上の切込線を一つずつ備える。 ⑤ 鼻頭部の切込線本件本意匠は,鼻頭部の略直線の延長上に,略直線,内側に凸の曲線からなる切込線を備えるのに対し,被告意匠は,鼻頭部の略直線の延長上に,略直線,内側に凸の曲線及び略鉛直方向の略直線からなり,その先端は鼻頭先端の高さまで達する切込線を備える。 ⑥ 孔部の切込線本件本意匠は,左右端に切込線を備え,右端の切込線は右上約20度の方向の直線,左端の切込線は下側に凸の曲線により構成されるのに対し,被告意匠は,左右端及び下部に切込線を備え,右端の切込線は右上約45度方向の直線,左端の切込線は水平方向の直線,下部の切込線は,下方向の直線により構成される。 ⑦ 右側外形線に対応する矩形本件本意匠は長辺がいずれも略水平となるように配置されているのに対し,被告意匠は長辺 込線は水平方向の直線,下部の切込線は,下方向の直線により構成される。 ⑦ 右側外形線に対応する矩形本件本意匠は長辺がいずれも略水平となるように配置されているのに対し,被告意匠は長辺がいずれも右側外形線方向を向くように配置されている。 イ類否の判断(ア) 本件本意匠と被告意匠は,上記ア(ア)の共通点があるところ,これらのうち特に右側外形線の具体的形状は本件本意匠の要部に関するものであって,両者に共通の美感を生じさせるといえる。 本件本意匠と被告意匠とは,上記ア(イ)の差異点が認められる。しかしながら,これらはいずれも本件本意匠の要部に関するものではない。 左側外形線の下部の突起部分の有無(①)や下側外形線の構成(②)については,意匠全体の外縁を画するもので一定の美感を形成するものということはいえるが,左側外形線については,全体的な形状が共通していることからすれば下部の突起部分によってそれほど美感の相違が生じているとはいえないし,下側外形線の構成は異なるものの,本件本意匠の要部に関する共通点によって生じる美感の共通性を失わせるほどの差異とまではいえない。また,孔部の具体的形状(③)についても,孔部の位置や大きさに大差がない以上,上記程度の相違点が美感に及ぼす影響は小さいといえる。 さらに,切込線(④⑤⑥)についても,被告意匠には,本件本意匠の切込線とほぼ同じ位置に切込線があることからすれば,その具体的な構成の差異は美感を異にするとまではいえない。 また,右側外形線に対応する矩形の配置(⑦)についても,そもそも矩形自体が細かい上,矩形の配置に需要者が着目するともいえないことからすれば,この点が美感に及ぼす影響もまた小さいといえる。 (イ) 被告らは, (⑦)についても,そもそも矩形自体が細かい上,矩形の配置に需要者が着目するともいえないことからすれば,この点が美感に及ぼす影響もまた小さいといえる。 (イ) 被告らは,本件各意匠及び被告意匠の構成に関して,各寸法比に差異があると主張するが,被告らの主張する寸法比を前提にしても,証拠(乙8,9)及び弁論の全趣旨によれば,両意匠の重なり合いの程度は別紙意匠対照図の程度と認められるから,この点を理由に両意匠は類似しないということはできない。 (5) 小括したがって,本件本意匠と被告意匠とは,その美感を共通にするものであって,類似すると認められる。 2 争点3(被告amiの侵害行為の有無及び共同不法行為の成否)について(1) 証拠(甲9,乙11~19,21~30)によると,被告amiは,化粧品製造販売業者としての許可を有しており,平成21年3月頃から,被告美友が販売する化粧品について,その化粧液の成分表に基づく成分の確認や薬事法に係る申請手続等の業務を請け負っていたこと,被告商品については,被告amiが製造販売元として表記され,被告amiにおいて,上記成分の確認や薬事法に係る申請手続等を行っていたことは認められるものの,被告amiが,被告商品の実際の通関手続まで行っていたこと,及び被告amiが被告商品の輸入販売によって利益を得ていたことについては,これを認めるに足りる証拠はない。 (2) 以上を踏まえて検討するに,被告amiは,被告商品の輸入販売行為を直接行うものではないにせよ,被告美友の依頼を受けて被告商品の輸入販売に必要不可欠な手続を行っており,一般消費者にもその関与が周知されていたといえる。このような関与に照らせば,被告amiは,被告美友と共同して,被告商品の輸入販売等によっ 頼を受けて被告商品の輸入販売に必要不可欠な手続を行っており,一般消費者にもその関与が周知されていたといえる。このような関与に照らせば,被告amiは,被告美友と共同して,被告商品の輸入販売等によって意匠権侵害を行ったと認めるのが相当である。 したがって,被告amiは,本件の意匠権侵害について,共同不法行為 責任を負い,侵害行為も認められる。 3 争点4(原告の損害額)について(1) 被告商品の販売による損害額原告は,被告らによる被告商品の販売数量は130万枚,販売単価は1枚当たり50円と主張するが,被告らが自認する22万8240枚(48万5280枚を輸入し,25万7040枚を返品したとの主張)を超える数量を認めるに足りる証拠はなく,前記返品(乙19,29)後になお在庫を抱えているとするのは合理的ではないから,現時点において在庫は有しておらず,前記争いのない数量22万8240枚については,販売済みであると認められる。また,証拠(甲8,乙20)によれば,被告商品は,フェイスマスク単独では1枚当たり28円で販売されていたと認められるから,販売単価は1枚当たり28円と認めるのが相当である。したがって,被告商品の販売総額は,639万0720円である。 また,実施料率については,本件本意匠は,立体フェイスマスクの意匠であって繊維製品といえるところ,平成4年度~10年度までの繊維製品の実施料率の平均値は6.1%であるが,原告が本件本意匠の開発に時間と労力を投入したこと(甲24,25),前記のとおり,本件本意匠と被告意匠とは類似し,商品としても,美容液を浸潤させて用いる立体フェイスマスクとして完全に競合する関係にあり(甲7,8,15,16,21~23,26~33),上記実施料率で使用許諾する関係にあるとは解さ 意匠とは類似し,商品としても,美容液を浸潤させて用いる立体フェイスマスクとして完全に競合する関係にあり(甲7,8,15,16,21~23,26~33),上記実施料率で使用許諾する関係にあるとは解されないこと,当該意匠は,商品の売上げに相当程度寄与していたといえることを考慮すると,被告意匠の使用に対する使用料率としては15%をもって相当と認める。したがって,意匠法39条3項に基づく,被告商品の販売による原告の損害額は,95万8608円(639万0720円×0.15)である。(2) 弁護士費用相当額本件事案の性質,審理の経過等の諸般の事情を総合考慮すると,被告らによる本件本意匠の侵害行為と相当因果関係のある原告の弁護士費用相当額の損害は,10万円と認めるのが相当である。 (3) 小括以上のとおり,本件意匠権1の侵害による原告の損害額は,105万8608円と認められる。 第5 結論以上によれば,被告らにおいて被告商品をなお輸入等するおそれはあるものの,現時点で在庫を有しているとは認められず,損害については上記のとおりであるから,原告の請求については,主文の限度で認容し,その余については理由がないから棄却し,認容する請求については仮執行宣言を付することとして,主文のとおり判決する。大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官谷有恒 裁判官松川充康 裁判官網田圭亮  (別紙)被告商品目録 商品名:セラムLE マスクシート (別紙)被告商品目録 商品名:セラムLEマスクシート

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