主文 被告人を懲役12年に処する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和5年12月30日午前7時頃、大阪府岸和田市(住所省略)先路 上において、運転開始前に飲んだ酒の影響により、前方注視及び運転操作が困難な状態で普通乗用自動車を発進させて運転を開始し、もってアルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自車を走行させたことにより、同日午前7時1分頃、同市(住所省略)先道路を北東から南西へ向かい時速約56キロメートルで進行中、自車を右斜め前方に進行させて対向車線側端に設けられた路側帯上に進出させ、折 から同路側帯及びその付近を南西から北東に向かい歩行していたA(当時82歳)及びB(当時50歳)に自車前部をそれぞれ衝突させて同人らを路上等に転倒させ、よって、前記Aに外傷性縦隔気腫の傷害を負わせ、同日午前8時頃、同市内の病院において、同人を前記傷害により死亡させるとともに、前記Bに加療約5か月間を要する外傷性くも膜下出血等の傷害を負わせた。 (量刑の理由)本件は、被告人が、アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させ、歩行していた高齢の母と全盲の子に自車を衝突させて、母を死亡させ、子に重傷を負わせた事案である。 被告人は、前日夜から長時間にわたり複数の飲食店で多量の飲酒をした後、自動 車を運転して帰路につき、その道中、対向車線へのはみ出し等を繰り返した末に路肩で停車し居眠りをするなど、正常な運転がおよそ困難な状態に陥ったことを明確に認識できたのに運転を再開し、比較的高速度で制動措置をとることもないまま自車を対向車線側の路側帯上にまで逸走させたもので、その運転行為は危険極まりないものである。これにより、何ら落ち度のない被害者2名を巻き込む事故を引き起 較的高速度で制動措置をとることもないまま自車を対向車線側の路側帯上にまで逸走させたもので、その運転行為は危険極まりないものである。これにより、何ら落ち度のない被害者2名を巻き込む事故を引き起 こし、うち1名を死亡させ、うち1名に約5か月間もの加療を要する重傷を負わせ ており、本件の結果は取り返しのつかない重大なものである。 被告人は、代行運転で帰宅するつもりであった旨述べており、自宅を出たときから飲酒運転をする意図があったとは認められないものの、安易に自動車で酒席に赴いた上、帰宅に際し、代行運転への依頼や他の交通手段の利用も容易であったのに、あえて自動車を運転したのであるから、同情の余地はない。加えて、被告人は、平 成27年に酒気帯び運転で懲役6月・3年間執行猶予の刑に処され、改善更生の機会を得ていたのに、その後も複数回飲酒運転を行い、本件に及んだというのであって、飲酒運転の危険性を軽視する態度は明らかであり、厳しい非難を免れない。 以上によれば、本件の犯情の程度は、アルコールの影響による危険運転致死の事案の中でやや重い部類に位置付けられる。 そして、被告人は自己の責任を認め、被告人なりの反省の言葉を述べているものの、本件に向き合って真摯な対応に努めたとは認め難く、その反省は未だ不十分といわざるを得ないことからすれば、任意保険による損害の補填が見込まれること等を踏まえても、主文の刑はやむを得ないと判断した。 (求刑:懲役12年) 令和6年9月24日大阪地方裁判所堺支部第2刑事部 裁判長裁判官武田正 裁判官西谷大吾 裁判官奥野佑麻 裁判長 裁判官 武田正 裁判官 西谷大吾 裁判官 奥野佑麻
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