令和7年9月29日判決言渡 令和6年(行ケ)第10081号審決取消請求事件 口頭弁論終結日令和7年7月2日判決 原告 アニコムホールディングス株式会社 同訴訟代理人弁護士 鮫島正洋 高見憲 篠田淳郎 同訴訟代理人弁理士 本多一郎 大田黒隆 被告 特許庁長官 同指定代理人 梶尾誠哉 野洋一郎 間野裕一 佐藤智康 阿曾裕樹 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は、原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求特許庁が不服2023-12768号事件について令和6年7月17日にした審決を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 原告は、令和4年1月25日、発明の名称を「愛玩動物マッチングシステム及び愛玩動物マッチング方法」とする発明について特許出願(特願2022-9740号。請求項の数は8。以下「本願」といい、本願に添付された明細書と図面を併せて「本願明細書等」という。本願の特許請求の範囲の記載は、別紙1特許願の「特許請求の範囲」の箇所に記載のとおりである。)をしたところ、令和4年11月30日付けの拒絶理由通知を受け、令和5年2月3日、意見書 明細書等」という。本願の特許請求の範囲の記載は、別紙1特許願の「特許請求の範囲」の箇所に記載のとおりである。)をしたところ、令和4年11月30日付けの拒絶理由通知を受け、令和5年2月3日、意見書を提出するとともに手続補正を行ったが(以下、この手続補正を「第1次補正」という。)、同年4月28日付けで拒絶査定を受けた。 (甲1~5)⑵ 原告は、令和5年7月31日、上記拒絶査定に対し不服の審判請求(不服2023-12768号)をするとともに、手続補正を行った(以下、この手続補正を「第2次補正」という。)。第2次補正は、特許請求の範囲の記載の請求項2、7及び8を削除し、請求項3ないし6をそれぞれ請求項2な いし5とするとともに、請求項1及び請求項3(第2次補正前の請求項4)の記載についても補正した(第2次補正後の請求項の数は5。)。(甲6、7)⑶ 原告は、令和6年2月20日付けの拒絶理由通知を受け、同年4月25日、意見書を提出するとともに手続補正を行ったが(以下、この手続補正を「第 3次補正」という。第3次補正後の特許請求の範囲の記載は、後記2のとおりである。)、特許庁は、令和6年7月17日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は同月30日、原告に送達された。(甲8~10)⑷ 原告は、令和6年8月26日、本件審決の取消しを求めて、本件訴訟を提 起した。 2 第3次補正後の特許請求の範囲の記載第3次補正後の特許請求の範囲の記載は以下のとおりである(下線部は第3次補正による補正箇所を示す。以下、請求項1の発明を「本願発明」という。)。 請求項2ないし5は、請求項1の従属項である。 【請求項1】 譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧する 次補正による補正箇所を示す。以下、請求項1の発明を「本願発明」という。)。 請求項2ないし5は、請求項1の従属項である。 【請求項1】 譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧する閲覧手段と、譲受人が引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く)及び日時を予約する予約手段と、引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く)までの愛玩動物の輸送を手配する輸送調整手段とを有し、 譲受人が指定した引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く)及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断調整手段をさらに備えることを特徴とする愛玩動物マッチングシステム。 【請求項2】 前記健康診断が、獣医師による訪問健診、又は、動物病院における健康診断である請求項1記載の愛玩動物マッチングシステム。 【請求項3】前記健康診断が、引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く)から半径10km以内の施設で勤務している獣医師による訪問健診、又は、引 き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く)から半径10km以内に所在している動物病院における健康診断である請求項1記載の愛玩動物マッチングシステム。 【請求項4】愛玩動物の品種、年齢及び健康診断の結果からなる群から選ばれる一以上の 情報に基づいて、愛玩動物に適したフードを提案するフード提案手段をさらに 備える請求項1~3のいずれか一項記載の愛玩動物マッチングシステム。 【請求項5】愛玩動物の品種、年齢及び健康診断の結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適した保険を提案する保険提案手段をさらに備える請求項1~4のいずれか一項記載の愛玩動物マッチングシステム。 3 本件審 健康診断の結果からなる群から選ばれる一以上の情報に基づいて、愛玩動物に適した保険を提案する保険提案手段をさらに備える請求項1~4のいずれか一項記載の愛玩動物マッチングシステム。 3 本件審決の内容⑴ 本件審決の内容は、別紙2審決書(写し)のとおりである。その理由の要点は、本願発明は、引用文献1(特開2021-9599号公報。甲12)に記載された発明(以下「引用発明」という。)に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項により特許を 受けることができない、というものである。 ⑵ 本件審決は、上記判断をするに当たり、引用発明の内容、本願発明との一致点及び相違点を、次のとおり認定した。 ア引用発明の内容犬及び猫等の動物の譲渡を支援するシステムであって、譲渡者端末10、 マッチングサーバ20、電子カルテサーバ30、獣医師端末40及び譲受者端末50を備える譲渡支援システム1において、マッチングサーバ20は、譲渡者端末10、電子カルテサーバ30、獣医師端末40及び譲受者端末50とインターネットを介して通信を行うものであって、 出力手段21や記憶手段28を備えており、出力手段21は、動物の譲受希望者の譲受者端末50に対し、その動物に関する関連情報(動物関連情報)を出力し、記憶手段28は、動物関連情報データベースを記憶し、譲渡者端末10から、登録対象である動物(新規動物)の写真、動画像、犬種等の動物関連情報がアップロードされると、動物関連情報データベー スに記録し、 譲受希望者から譲受者端末50を用いてアクセスされると、動物の検索を行うための動物関連情報の一覧が表示されるメニュー画面を表す画面データを譲受者端末50に送信し、譲受希望者が、表示された動 譲受希望者から譲受者端末50を用いてアクセスされると、動物の検索を行うための動物関連情報の一覧が表示されるメニュー画面を表す画面データを譲受者端末50に送信し、譲受希望者が、表示された動物関連情報を参照して、自身の希望に合う動物を検索し、見つかった場合、その動物の引き取り希望の意思表示をす るための操作を行うことによって、その動物に関心を有する意思表示を示すデータを受信し、マッチングに関与する獣医師又は動物病院として、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院の少なくとも一方を決定し、あるいは、譲受者端末50から、複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の 識別情報を受信し、受信された識別情報により示される獣医師又は動物病院を決定する、譲渡支援システム1。 イ一致点譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧する閲覧手段と、 譲受人が引き渡し場所を予約する予約手段と、を有する、愛玩動物マッチングシステム。 ウ相違点(ア) 相違点1 本願発明は、予約手段について、「引き渡し場所」が「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」ものであって、さらに「日時」も予約するのに対し、引用発明は、「引き渡し場所」が「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」ものではなく、「日時」を予約するものでもない点。 (イ) 相違点2 本願発明は、「引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除 く)までの愛玩動物の輸送を手配する輸送調整手段」を有し、「譲受人が指定した引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く)及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断調整手段」をさらに備えるのに対し、引用発明は、上記輸送調整手段を有するこ 人が指定した引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く)及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断調整手段」をさらに備えるのに対し、引用発明は、上記輸送調整手段を有することや上記健康診断調整手段を備えることが特定されていない点。 4 原告の主張する本件審決の取消事由⑴ 取消事由1引用発明の認定の誤り⑵ 取消事由2本願発明と引用発明の相違点の認定の誤り ⑶ 取消事由3容易想到性の判断の誤り第3 当事者の主張 1 取消事由1(引用発明の認定の誤り)について〔原告の主張〕 ⑴ 引用発明が解決しようとする課題について検討すると、引用文献1にいう非特許文献1のウェブサイト(甲13の1~3)では、里親希望者は譲渡する動物を登録した動物病院まで引き取りに行かねばならず、これがマッチングの成立を阻む要因となっていたとの問題があったところ、引用文献1は、このような問題を解決する生体流通の新しい仕組みとして、ブリーダー直販 を中心とした生体流通を「動物病院基軸」で構築すること、具体的には、マッチングに関与する獣医師又は動物病院をより柔軟に決定できる技術を提供すること等が、発明が解決しようとする課題であるとされている(引用文献1の【0006】及び【0007】)。 また、引用文献1では、課題を解決するための手段として、動物の譲受希 望者と動物とのマッチングに関与する獣医師及び動物病院の少なくとも一方 を決定する決定手段を備える譲渡支援システムを提供することが記載されている(【0008】)。 そして、引用文献1では、生体販売業界の現状として、ブリーダーによる直接販売には、①対面販売違反の疑い、②飼育に対する十分な説明が困難、③アフターフォローが不十分、などの問題があ 【0008】)。 そして、引用文献1では、生体販売業界の現状として、ブリーダーによる直接販売には、①対面販売違反の疑い、②飼育に対する十分な説明が困難、③アフターフォローが不十分、などの問題があることが指摘されており(【0 019】~【0024】)、引用発明は、既存の生体流通経路を利用せず、ブリーダーからの直販スタイルでありながら、生体を引き渡す場所を動物病院(獣医師)とすることで現状の課題を解決する一つの方策を提示したい、との発明者の思いから発明の着想に至ったものである(【0025】)。また、【0026】の記載によれば、引用発明は、適切な情報を新規飼主に伝達し、か かりつけ病院と生体情報を紐付けて、生体管理の徹底とマイクロチップ番号の適切な登録等を行うことを可能にすることで、上記②及び③の問題を解決する効果をもたらすものであり、このような効果をもたらすためには、動物の引き渡し場所を獣医師又は動物病院とすることが必須となる。 引用文献1の【0029】の記載、特に「譲受希望者は、その獣医師の立 ち会いの下、又はその動物病院において、動物の引き渡しを受ける。」との記載から、引用発明において、譲受希望者が、獣医師の立ち会いの下又は動物病院において、動物の引き渡しを受けることが明らかである。 また、【0033】及び【0061】の記載から、引用文献1において、「マッチングに関与する獣医師又は動物病院」が、動物の引き渡し場所となる獣 医師又は動物病院(対象動物病院)であることが分かる。【0062】~【0064】には、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院(対象動物病院)の決定方法として、複数の手段が記載されている。【0069】~【0072】の記載からは、対象動物病院において、獣医師が診察後、動物を譲受希望者に引き 渡し場所となる獣医師又は動物病院(対象動物病院)の決定方法として、複数の手段が記載されている。【0069】~【0072】の記載からは、対象動物病院において、獣医師が診察後、動物を譲受希望者に引き渡すことが分かる。マッチング後は、動物が、引き渡し場所と なる獣医師又は動物病院の患者となり、当該獣医師又は動物病院が診察をし て、カルテを作成することで、譲受希望者は譲渡される予定の動物の健康状態を把握することができる。【0073】~【0082】には、変形例として別の実施形態が記載されているが、この変形例においても、動物の引き渡し場所は、動物病院又は獣医師となっている。引用文献1には、動物の引き渡し場所として、動物病院又は獣医師が立ち会う場所以外の場所は、一切記載 されておらず、示唆もされていない。 引用文献1の特許請求の範囲の記載の請求項1及び請求項9にある「前記譲受希望者と前記動物とのマッチングに関与する獣医師及び動物病院」とは、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院のことであり、引用文献の特許請求の範囲には、必須の構成要件として、動物の引き渡し場所となる獣医 師又は動物病院を決定する決定手段又は決定するステップが記載されている。 以上のとおり、引用文献1の発明の詳細な説明及び特許請求の範囲の記載から、引用発明において、動物の引き渡し場所は、動物病院か獣医師の立ち会う場所に限られることが明らかである。 ⑵ 本件審決は、引用文献1に記載された発明(引用発明)の課題は、「マッチ ングの成立を阻む要因として、譲渡される動物の引き取り場所(引き渡し場所)が動物病院に限られていた」ことと、「動物の個体管理の技術が動物と譲受希望者とのマッチングに活用されていなかった」ことの二つであるとし、前者の課題を解決するために 動物の引き取り場所(引き渡し場所)が動物病院に限られていた」ことと、「動物の個体管理の技術が動物と譲受希望者とのマッチングに活用されていなかった」ことの二つであるとし、前者の課題を解決するためには、引き渡し場所が「動物病院」に限られていなければよく、必ずしも「獣医師(が立ち会う場所)又は動物病院」のいず れかでなければならない理由はなく、引用発明において、動物病院又は獣医師が立ち会う場所で動物を引き渡すことが課題解決のための必須の構成であるとはいえないから、それら以外の場所を引き渡し場所とするように変更することに阻害要因があるとはいえないと判断した(審決書10頁8~33行)。 しかし、引用文献1の【0006】には、「非特許文献1のサイトにおいて は、動物を譲渡できるのは動物病院に限られていた。里親希望者は譲渡する 動物を登録した動物病院までその動物を引き取りに行かねばならず、これがマッチングの成立を阻む要因となっていた。」との記載がある。そして、引用文献1にいう非特許文献1のウェブサイト(甲13の1~3)の記載をみると、動物を保護して預かっている動物病院が、ウェブサイトに当該動物の情報を登録して、譲受希望者からの申込みを待ち、申込みがあった場合には譲 受希望者との面談を行い、譲渡してもよいと判断した場合に譲渡することになっているが、譲渡が決定した動物の輸送や譲渡場所の設定といった項目は記載されておらず、動物病院側には、譲渡が決定した動物を譲受人の希望する場所へ輸送することは求められておらず、譲受希望者は、動物を当該動物病院まで引き取りに行く必要がある。そうすると、引用文献1の【0006】 の上記記載は、引き渡し場所が動物病院となっていること自体ではなく、引き渡し場所の動物病院が、預かっている旨の登録を行っ 病院まで引き取りに行く必要がある。そうすると、引用文献1の【0006】 の上記記載は、引き渡し場所が動物病院となっていること自体ではなく、引き渡し場所の動物病院が、預かっている旨の登録を行った動物病院に固定されており、引き渡し場所となる動物病院を柔軟に選択できないことがマッチングの成立を阻む要因となっていることを指摘していると解され、引用文献1は、上記要因に対する解決手段として、引き渡し場所を動物病院又は獣医 師が立ち会う場所とすることは維持しつつ、動物病院又は獣医師をより柔軟に決定できる技術を提供するものである。 したがって、本件審決の上記判断は誤りである。 ⑶ 本件審決は、引用文献1の【0061】、【0062】及び【0064】の記載を基に、引用発明が「マッチングに関与する獣医師又は動物病院として、 動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院の少なくとも一方を決定し、あるいは、譲受者端末50から、複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、受信された識別情報により示される獣医師又は動物病院を決定する」との構成を有すると認定している。この認定は、「あるいは」との接続詞を用いていることから、マッチングに関与する獣医 師及び動物病院が、①動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院か、又 は②譲受者端末50から、複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、受信された識別情報により示される獣医師又は動物病院のいずれかであればよいとの解釈をしているものと解される。 しかし、前記⑴のとおり、引用文献1の【0033】及び【0061】の記載から、「マッチングに関与する動物病院」とは、引き渡し場所となる獣医 師又は動物病院を指すものと解されるのであって、これ以外の かし、前記⑴のとおり、引用文献1の【0033】及び【0061】の記載から、「マッチングに関与する動物病院」とは、引き渡し場所となる獣医 師又は動物病院を指すものと解されるのであって、これ以外の解釈は採り得ない。また、【0062】及び【0064】の記載は、「対象動物病院」、すなわち引き渡し場所となる獣医師又は動物病院を決定する手順の一例を記載したものである。 したがって、本件審決の上記認定は、【0061】、【0062】及び【00 64】の誤った解釈に基づいたものであって、誤りである。 ⑷ 以上によれば、本件審決が認定する引用発明のうち、「マッチングに関与する獣医師又は動物病院として、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院の少なくとも一方を決定し、あるいは、譲受者端末50から、複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、受信され た識別情報により示される獣医師又は動物病院を決定する、」との部分は誤りであり、正しくは、「マッチングに関与する獣医師及び動物病院として、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院の少なくとも一方を決定する、」と認定すべきである。 したがって、引用発明を正しく認定すると、以下のとおりであり、本件審 決は引用発明の認定を誤っており、この誤りは審決の結論に影響を及ぼすものであるから、本件審決は取り消されるべきものである。 「犬及び猫等の動物の譲渡を支援するシステムであって、譲渡者端末10、マッチングサーバ20、電子カルテサーバ30、獣医師端末40及び譲受者端末50を備える譲渡支援システム1において、 マッチングサーバ20は、 譲渡者端末10、電子カルテサーバ30、獣医師端末40及び譲受者端末50とインターネットを介して通信を行うものであって、 る譲渡支援システム1において、 マッチングサーバ20は、 譲渡者端末10、電子カルテサーバ30、獣医師端末40及び譲受者端末50とインターネットを介して通信を行うものであって、出力手段21や記憶手段28を備えており、出力手段21は、動物の譲受希望者の譲受者端末50に対し、その動物に関する関連情報(動物関連情報)を出力し、記憶手段28は、動物関連情報データベースを記憶し、 譲渡者端末10から、登録対象である動物(新規動物)の写真、動画像、犬種等の動物関連情報がアップロードされると、動物関連情報データベースに記録し、譲受希望者から譲受者端末50を用いてアクセスされると、動物の検索を行うための動物関連情報の一覧が表示されるメニュー画面を表す画面データ を譲受者端末50に送信し、譲受希望者が、表示された動物関連情報を参照して、自身の希望に合う動物を検索し、見つかった場合、その動物の引き取り希望の意思表示をするための操作を行うことによって、その動物に関心を有する意思表示を示すデータを受信し、 マッチングに関与する獣医師又は動物病院として、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院の少なくとも一方を決定する、譲渡支援システム1」〔被告の主張〕⑴ 原告は、引用発明の認定に誤りがあると主張するだけで、誤った結果、な ぜ審決の結論に影響を及ぼすといえるのかについて主張していない。そして、原告の主張する引用発明の認定の誤りは、本件審決における対比や容易想到性の判断を左右しないから、本件審決の結論に影響を及ぼすものではない。 ⑵ 本件審決は、引用文献1の【0006】の記載について、原告の阻害要因に関する主張を採用できないことに関して述べているのみであり、引用文献 1の【0006】に記 影響を及ぼすものではない。 ⑵ 本件審決は、引用文献1の【0006】の記載について、原告の阻害要因に関する主張を採用できないことに関して述べているのみであり、引用文献 1の【0006】に記載された課題は、本件審決における引用発明の認定に つながるものではない。 また、引用文献1の【0006】には、「譲受希望者が動物を保護して預かっている動物病院まで引き取りに行く必要があり、動物病院が遠方にある場合などはマッチングが成立しない」との具体的な問題は一切記載されておらず、非特許文献1のウェブサイトをみても、動物の具体的な引き渡し場所に ついて記載はないから、「マッチングが成立しない」問題が、「譲受希望者が動物を保護して預かっている動物病院まで引き取りに行く必要があり、動物病院が遠方にある場合」であることなどとは理解できない。 ⑶ 原告は、引用文献1の【0008】、【0025】及び【請求項1】の記載を根拠として、動物の引き渡し場所は獣医師及び動物病院であると主張する。 しかし、本件審決はそもそも「獣医師又は動物病院」を動物の「引き渡し場所」として引用発明を認定しているし、引用文献1の【0025】には、「生体を引き渡す場を動物病院(獣医師)とすることで現状の課題を解決する一つの方策を提示したい、という思いから本願発明の着想に至った。」と記載されているから、動物の引き渡しを「動物病院(獣医師)」とすることは理解で きるが、それにとどまり、引用文献1における動物の引き渡しについて、「動物病院(獣医師)」に限っているとか、「動物病院(獣医師)」以外で行うことは一切できないとするものではない。 ⑷ 原告は、引用文献1の【0019】ないし【0024】を引用し、引用発明は、適切な情報を新規飼主に伝達し、かかりつけ病院と生体 物病院(獣医師)」以外で行うことは一切できないとするものではない。 ⑷ 原告は、引用文献1の【0019】ないし【0024】を引用し、引用発明は、適切な情報を新規飼主に伝達し、かかりつけ病院と生体情報を紐付け て、生体管理の徹底とマイクロチップ番号の適切な登録等を行うことを可能にすることで、少なくともブリーダー直販による、飼育に対する十分な説明が困難、アフターフォローが不十分等の問題を解決する効果をもたらすものであるから、引用発明は、動物の引き渡し場所を獣医師又は動物病院とすることが必要となる旨主張する。 しかし、引用文献1の【発明の効果】の箇所にある【0017】には、「本 発明によれば、犬や猫等の動物の譲渡が行い易くなる。」と記載されているのみであるから、これと異なる原告の主張する効果は、引用文献1の効果ではない。また、引用文献1の【0006】の記載によれば、引用文献1に記載された発明が解決しようとする課題は、動物のマッチングの成立に関する課題と、動物の個体管理がマッチングに活用されていないという課題である。 原告の上記主張は、後者の課題についての効果を述べるものであるが、本件審決の認定した引用発明は、前者の課題を解決するための構成である。したがって、原告の上記主張は、本件審決が認定した引用発明とは関係のない主張である。 ⑸ 〔原告の主張〕⑶の主張は、本件審決が認定した引用発明の「譲受端末5 0から、複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、受信された識別情報により示される獣医師又は動物病院を決定する」の部分の構成について、「引き渡し場所」との文言が明示的に記載されていないことをもって、「引き渡し場所」であることを捨象して認定しているというものであると解される。 又は動物病院を決定する」の部分の構成について、「引き渡し場所」との文言が明示的に記載されていないことをもって、「引き渡し場所」であることを捨象して認定しているというものであると解される。 しかし、本件審決は、引用文献1の【0062】及び【0064】から上記構成を認定しているところ、【0061】には「動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院(以下、説明を簡単にするため「対象動物病院」という。)」と記載され、それに引き続き【0062】に「対象動物病院の決定方法の他の例」と記載されているのであるから、本件審決が認定した上記構成におけ る「獣医師又は動物病院」は、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院のことであることは明らかであって、「引き渡し場所」であることを捨象して認定していることはない。 2 取消事由2(本願発明と引用発明の相違点の認定の誤り)について〔原告の主張〕 前記1のとおり、引用発明は、引き渡し場所を動物病院又は獣医師が立ち会 う場所に限っているから、引き渡し場所に関する本願発明と引用発明の相違点は、本願発明の予約手段の引き渡し場所が「動物病院又は獣医師が立ち会う場所を除く」ものであるのに対し、引用発明は引き渡し場所が「動物病院又は獣医師が立ち会う場所」である点となる。 なお、本件審決は、相違点1として、予約手段に関する二つの相違点をまと めて認定しているが、これらをまとめて認定する理由はなく、相違点2も、「輸送調整手段」に関する相違点と「健康診断調整手段」に関する相違点という二つの相違点が含まれているが、これらもまとめて認定する理由はない。 したがって、本願発明と引用発明の相違点を正しく認定すると、以下の相違点1’ないし相違点4’となり、本件審決は、相違点の認定を誤っており、こ が含まれているが、これらもまとめて認定する理由はない。 したがって、本願発明と引用発明の相違点を正しく認定すると、以下の相違点1’ないし相違点4’となり、本件審決は、相違点の認定を誤っており、こ の誤りは審決の結論に影響を及ぼすものであるから、取り消されるべきものである。 [相違点1’]本願発明が、予約手段について、「引き渡し場所」が「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」ものであるのに対して、引用発明は、「引き渡し場所」が 「獣医師又は動物病院の少なくとも一方」である点。 [相違点2’]本願発明が、予約手段について、日時を予約するものであるのに対して、引用発明は、「日時」を予約するものではない点。 [相違点3’] 本願発明が、「引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く)までの愛玩動物の輸送を手配する輸送調整手段」を備えるのに対して、引用発明は、「輸送調整手段」に相当する構成を備えない点。 [相違点4’]本願発明が、「譲受人が指定した引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会 う場所を除く)及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断 調整手段」を備えるのに対して、引用発明は、「健康診断調整手段」に相当する構成を備えない点。 〔被告の主張〕本願発明と引用発明の一致点である「引き渡し場所」について、本願発明は、「動物病院又は獣医師が立ち会う場所を除く」と特定されているのに対し、引 用発明はそのような特定がされていないのであるから、本件審決は、「動物病院又は獣医師が立ち会う場所を除く」という本願発明の構成を用いて、引用発明との相違点を正しく認定しており、このような認定手法に誤りはない。 3 取消事由3(容易想到性の判断の誤り)について〔原告の主張 獣医師が立ち会う場所を除く」という本願発明の構成を用いて、引用発明との相違点を正しく認定しており、このような認定手法に誤りはない。 3 取消事由3(容易想到性の判断の誤り)について〔原告の主張〕 ⑴ 予約手段における「引き渡し場所」についての容易想到性の判断の誤り(相違点1関係)前記1のとおり、引用発明は、非特許文献1のウェブサイトに記載された譲渡システムでは、動物の引き渡し場所が当該動物を預かっている旨の登録をした動物病院に固定されており、そのことがマッチングの成立を阻む要因 となっているという問題点を指摘し、それを解決するために、既存の生体流通を根本から見直し、ブリーダー直販を中心とした生体流通を動物病院基軸で構築する、具体的には、マッチングの対象となる動物についてより多様な情報を提供でき、かつ、マッチングに関与する獣医師又は動物病院をより柔軟に決定できる技術を提供しようとするものである(【0006】、【0007】 等)。マッチングに関与する獣医師又は動物病院とは、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院のことである(【0033】、【0061】)。 そして、引用発明は、生体販売業界の現状に鑑みて(【0019】〜【0024】)、既存の生体流通経路を経由せず、ブリーダーからの直販スタイルでありながら、生体を引き渡す場を動物病院(獣医師)とすることで、現状の 課題を解決する一つの方策として完成されたものである(【0025】)。 また、引用発明は、動物の引き渡し場所を獣医師又は動物病院とすることで、引き渡し時に獣医師が介在し、健康診断及びワクチネーションを中心とした予防医療を提供したうえで新しい飼主に引き渡すことによって、適切な情報を新規飼主に伝達し、かかりつけ動物病院と生体情報を紐付けたう 引き渡し時に獣医師が介在し、健康診断及びワクチネーションを中心とした予防医療を提供したうえで新しい飼主に引き渡すことによって、適切な情報を新規飼主に伝達し、かかりつけ動物病院と生体情報を紐付けたうえで生体を提供することや、マイクロチップ番号の適切な登録も可能となるとい った効果を奏するものである(【0026】)。 したがって、引用発明において、引き渡し場所が「獣医師又は動物病院の少なくとも一方」となっていることは、引用発明の技術思想の根幹をなすものであり、引用発明の課題を解決するための必須の要件である。 そして、相違点(原告主張の[相違点1’])を解消するためには、引用発 明の引き渡し場所を、「獣医師又は動物病院の少なくとも一方」から、動物病院及び獣医師が立ち会う場所以外の場所に変更する必要があるが、このような変更をすることは、引用発明の技術思想の根幹をなし、引用発明の課題を解決するための必須の要件を変更することとなり、引用発明の技術思想に反するものであるから、動機付けはなく、むしろ阻害要因がある。 したがって、引用発明の引き渡し場所を、「獣医師又は動物病院の少なくとも一方」から、動物病院及び獣医師が立ち会う場所以外の場所に変更して相違点(原告主張の[相違点1’])を解消することは、当業者にとって容易想到ではない。本件審決は、その認定した相違点1のうち、「引き渡し場所」に関する相違点について容易想到であると判断しており、相違点の容易想到性 についての判断を誤っている。この誤りは審決の結論に影響を及ぼすものであるから、本件審決は取り消されるべきものである。 ⑵ 健康診断調整手段を備えることに関する容易想到性の判断の誤り(相違点2関係)本願発明は、引き渡し場所から動物病院及び獣医師が立ち会う場所が除か 、本件審決は取り消されるべきものである。 ⑵ 健康診断調整手段を備えることに関する容易想到性の判断の誤り(相違点2関係)本願発明は、引き渡し場所から動物病院及び獣医師が立ち会う場所が除か れているから、健康診断調整手段は、引き渡し場所以外の場所において行わ れる健康診断を手配するための手段である。 これに対して、引用発明は、動物の引き渡し場所が動物病院(獣医師)であり、引き渡し時に獣医師が介在し、健康診断及びワクチネーションを中心とした予防医療を提供したうえで新しい飼主に引き渡すことによって適切な情報が飼主に提供されるなどの利点を有する(【0026】)。そのため、引用 発明において、引き渡し場所以外の場所において健康診断が行われることはなく、引き渡し場所以外の場所において行われる健康診断を手配するための手段である、健康診断調整手段を採用する動機付けがない。 本件審決は、引用文献1の【0069】の記載に基づいて、譲渡支援システム1の運営者が、「『譲受人が指定した引き渡し場所(動物病院及び獣医師 が立ち会う場所を除く)及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断調整手段』をさらに備えるように構成することも、当業者であれば容易に想到し得るものである。」と判断しているが、【0069】の記載からすれば、診察が行われるのは引き渡しが行われる動物病院においてであることが明らかであり、引用発明においては、引き渡し場所以外の場所におい て行われる健康診断を手配するための手段である、健康診断調整手段を採用する動機付けがない。 したがって、引用発明に対して健康診断調整手段を採用して相違点(原告主張の[相違点4’])を解消することは、当業者にとって容易想到ではない。 本件審決は、その認定した相違点2のうち、「健 けがない。 したがって、引用発明に対して健康診断調整手段を採用して相違点(原告主張の[相違点4’])を解消することは、当業者にとって容易想到ではない。 本件審決は、その認定した相違点2のうち、「健康診断調整手段」に関する相 違点について容易想到であると判断しており、相違点の容易想到性についての判断を誤っている。この誤りは審決の結論に影響を及ぼすものであるから、取り消されるべきものである。 〔被告の主張〕⑴ 予約手段における「引き渡し場所」についての容易想到性の判断の誤り(相 違点1関係)に対し ア本願発明の「引き渡し場所(動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く)」という構成は、本願発明の「愛玩動物マッチングシステム」において、複数の引き渡し場所の選択肢の中から、愛玩動物を引き渡す「引き渡し場所」として想定されておらず、除くことによって得られる効果もない「動物病院」及び「獣医師が立ち会う場所」を単に除いただけであるから、単なる 引き渡し場所の選択であって、適宜決定し得る設計的な事項にすぎず、当業者であれば容易に想到し得るものであり、このような変更を行ったとしても、その構成によって格別な効果があるともいえない。 イ獣医師は、通常業務として動物の診察に忙殺されていることが、当業者の技術常識であり、愛玩動物マッチングシステムの引き渡し場所として動 物病院や獣医師が立ち会う場所は適切ではなく、そのこと自体が動機付けとなって、引き渡し場所から動物病院や獣医師が立ち会う場所を除くように構成する。 ウ引用文献1の【0019】には、生体販売業界の現状として、「犬猫等の動物(いわゆるペット)に関し、生体流通の経路には、陳列展示形式の販 売、保護犬猫の里親募集、及びブリーダーによる直接販売がある」と記載 【0019】には、生体販売業界の現状として、「犬猫等の動物(いわゆるペット)に関し、生体流通の経路には、陳列展示形式の販 売、保護犬猫の里親募集、及びブリーダーによる直接販売がある」と記載されている。そうすると、引用文献1に接した「愛玩動物マッチングシステム」の当業者は、動物の引き渡し場所の選択肢について、生体販売業界の現状を踏まえ、陳列展示されている場所、里親の居住地、ブリーダーの所在地などの場所を選択肢としてシステムを構築することが考えられると ころ、このような引き渡し場所は、いずれも本願発明で特定される「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」場所である。 エ原告は、〔原告の主張〕のとおり、非特許文献1のウェブサイトに記載された譲渡システムでは、動物の引き渡し場所が当該動物を預かっている旨の登録をした動物病院に固定されていることを前提とする主張をするが、 これは、引用文献1の【0006】には記載がない、非特許文献1のウェ ブサイトの具体的な内容についての主張であり、引用文献1の記載に基づく主張ではない。また、非特許文献1のウェブサイトを見ても、動物の具体的な引き渡し場所について記載はなく、動物の引き渡し場所が当該動物を預かっている旨の登録をした動物病院に固定されているとはいえない。 そして、引用文献1の【0006】に記載されている内容を検討しても、 動物病院における譲渡や引き取りを要因とする課題しか読み取ることができず、これらを要因とした課題を解決するためには、動物の引き渡し場所を動物病院に限らないようにすればよい。 そうすると、仮に、原告が主張するように、引用発明は「引き渡し場所」が「動物病院及び獣医師が立ち会う場所」であると認定したとしても、引 用発明において、「引き渡し場所」が「動 すればよい。 そうすると、仮に、原告が主張するように、引用発明は「引き渡し場所」が「動物病院及び獣医師が立ち会う場所」であると認定したとしても、引 用発明において、「引き渡し場所」が「動物病院及び獣医師が立ち会う場所」であることが、引用発明の技術思想を実現するための必須条件であるとはいえず、「動物病院及び獣医師が立ち会う場所」以外の場所に変更することが、引用発明の技術思想を実現するための必須条件を変更することになるとはいえない。 また、引用発明の「譲渡システム1」について、技術的な面から検討しても、特段限定のない「引き渡し場所」から「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」引き渡し場所に変更することは、「引き渡し場所」の選択肢を記憶する記憶手段の記憶内容を変更するのみであって、システムとして特段の設計変更ではないから、当業者であれば容易に想到し得る。 したがって、「引き渡し場所」の選択肢から「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」引き渡し場所に変更することに阻害要因はない。 ⑵ 健康診断調整手段を備えることに関する容易想到性の判断の誤り(相違点2関係)に対しア引用文献1の【0069】の記載からすれば、引用発明の「譲渡支援シ ステム1」では、動物病院における獣医師の診察が予定されている。そし て、前記⑴イのとおり、獣医師は、通常業務として動物の診察に忙殺されていることが、当業者の技術常識であるから、動物病院で動物の引き渡しを行う場合の獣医師による診察(健康診断)は、当然、事前の手配が必要となる。そうすると、引用発明の「譲渡支援システム1」において、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院を決定(予約)する手段を備え るだけでは、動物の引き渡しの際に直ちに獣医師の診察を受けることはで そうすると、引用発明の「譲渡支援システム1」において、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院を決定(予約)する手段を備え るだけでは、動物の引き渡しの際に直ちに獣医師の診察を受けることはできず、この手段とは別に、引き渡し場所となる獣医師又は動物病院や、引き渡しの日時に基づいて、動物の診察の日時、診察を行う獣医師、診察の内容などを手配する手段を更に備える必要がある。 したがって、本願発明の「健康診断調整手段」における「健康診断を手 配する」ことが、「日時」や「内容」を手配するものであったとしても、引用発明において、本願発明の「健康診断調整手段」に係る構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 イ本件審決が相違点1について判断したとおり、引用発明において、「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」引き渡し場所に変更することは当 業者であれば容易に想到し得るものであるところ、例えば譲受希望者の居住地を引き渡し場所とする場合、同居住地には立ち会うべき獣医師はいないから、動物の引き渡し後に、動物病院における診察や、獣医師の訪問による診察等を受けない限り、動物の診察(健康診断)を受けることはできない。そうすると、引用発明の「譲渡支援システム1」において、譲受希 望者の居住地を引き渡し場所とする場合には、動物の診察の日時、診察を行う獣医師、診察の内容などを手配する手段において、どの動物病院で診察を受けたいとか、又は譲受希望者の居住地で獣医師の訪問による診察を受けたいなどの診察の場所も手配する必要が生じることは、当業者にとって自明である。 したがって、本願発明の「健康診断調整手段」における「健康診断を手 配する」ことが、「場所」を手配するものであったとしても、引用発明において、本 ことは、当業者にとって自明である。 したがって、本願発明の「健康診断調整手段」における「健康診断を手 配する」ことが、「場所」を手配するものであったとしても、引用発明において、本願発明の「健康診断調整手段」に係る構成を採用することは、当業者であれば容易に想到し得るものである。 第4 当裁判所の判断 1 本願発明について ⑴ 特許請求の範囲第3次補正後の本願の特許請求の範囲は、前記第2の2記載のとおりである。 ⑵ 本願明細書等の記載本願明細書等の記載は、別紙1特許願の明細書の箇所及び図面の箇所に記 載のとおりであるが、具体的には、次の記載が存在する。なお、本願明細書等の記載は、第1次補正から第3次補正までによって補正されておらず、本願に係る特許願に記載されたものから変更されていない。 ア技術分野「本発明は、愛玩動物マッチングシステム及び愛玩動物マッチング方法 に関し、詳しくは、インターネットを介して愛玩動物の状態を確認することのできる閲覧手段と、譲受人が引き渡し場所及び日時を指定する予約手段と、愛玩動物の引き渡し場所までの輸送を手配する輸送調整手段とを備える愛玩動物マッチングシステム及び愛玩動物マッチング方法に関する。」(段落【0001】) イ背景技術「ペットを良好な環境で繁殖するには、広大な敷地や騒音の少ない自然環境が必要であり、ヒトの居住地とは離れた場所に繁殖場が設けられるのが一般的である。」(段落【0003】)「一方、ペットの潜在的な飼い主(本発明において「譲受人」と称す。) の多くは、市街地や住宅地に居住しており、ペットの繁殖地とは離れてい る。」(段落【0004】)「このため、ペットを、どうやってスムーズに引き渡すのかが課題となっている。 称す。) の多くは、市街地や住宅地に居住しており、ペットの繁殖地とは離れてい る。」(段落【0004】)「このため、ペットを、どうやってスムーズに引き渡すのかが課題となっている。」(段落【0005】)「特許文献1には、インターネット回線網を利用したペットの販売システムが開示されているが、愛玩動物をインターネット上で閲覧可能とする 方法を開示するに留まっており、具体的な引き渡し方法については開示されていない。」(段落【0006】)ウ発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段「そこで、本発明は、簡易な方法で、愛玩動物マッチングシステムや愛玩動物マッチング方法を提供することを目的とする。」(段落【0008】) 「本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、愛玩動物の閲覧手段に、引き渡しの予約手段と輸送調整手段を組合わせることにより、譲受人と愛玩動物のマッチングをスムーズに実施できることを見出し、本発明を完成するにいたった。」(段落【0009】)エ発明の効果 「本発明により、簡易な方法で、愛玩動物マッチングシステムや愛玩動物マッチング方法を提供することが可能となる。」(段落【0011】)オ発明を実施するための形態「本発明の一実施態様の愛玩動物マッチングシステムは、譲受人(譲受人から依頼を受けた代理人を含む)がインターネットを介して愛玩動物を 閲覧する閲覧手段と、譲受人が引き渡し場所及び日時を予約する予約手段と、愛玩動物の引き渡し場所までの輸送を手配する輸送調整手段とを有することを特徴とする。」(段落【0013】「閲覧手段は、繁殖者(繁殖者から依頼を受けた代理人及び繁殖者から愛玩動物を購入した愛玩動物販売者を含む)から提供された愛玩動物の画 像を譲 を有することを特徴とする。」(段落【0013】「閲覧手段は、繁殖者(繁殖者から依頼を受けた代理人及び繁殖者から愛玩動物を購入した愛玩動物販売者を含む)から提供された愛玩動物の画 像を譲受人に提供する。」(段落【0014】) 「予約手段は、譲受人の指定に従い、愛玩動物の引き渡し場所及び日時を予約する手段である。・・・引き渡し場所を予約することについては、予め譲受人が入力した引き渡し可能な場所に基づいて、候補地を提案し、譲受人が提案された候補地の中から希望する場所を選択するという構成であってもよい。例えば、繁殖者の居住地、繁殖者の居住地の最寄り駅、譲 受人の居住地、譲受人の居住地の最寄り駅、譲受人の居住地に近いターミナル駅、譲受人の居住地に近い空港、繁殖者が提示した場所などが候補地として提示され、その中から譲受人が希望する場所を選択する。」(段落【0015】)「輸送調整手段は、引き渡し場所までの愛玩動物の輸送を手配する。愛 玩動物の繁殖場とヒトの居住地は離れた場所に設けられることが多く、輸送手段に制限があるため、愛玩動物のスムーズな引き渡しには輸送調整手段が必要である。」(段落【0016】)「健康診断調整手段は、譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する。愛玩動物の取引においては、健康 な状態で愛玩動物を引き渡すことが必要であり、愛玩動物の引き渡し前に健康診断を実施することが好ましい。健康診断とは、一般的には体重、疾病・裂傷の確認であり、必要に応じて遺伝子検査、腸内フローラ検査等を実施する。予約や輸送の手配と同時に健康診断を手配することで、スムーズな引き渡しを実現できる。」(段落【0018】) 「健康診断は、獣医師による訪問健診、又は、動物病院におけ ローラ検査等を実施する。予約や輸送の手配と同時に健康診断を手配することで、スムーズな引き渡しを実現できる。」(段落【0018】) 「健康診断は、獣医師による訪問健診、又は、動物病院における健康診断であることが好ましい。専門家による健康診断を調整することにより、引き渡し直後に愛玩動物が罹患するといったトラブルを抑制することができる。」(段落【0019】)「健康診断は、引き渡し場所から半径10km以内の施設で勤務してい る獣医師による訪問健診、又は、引き渡し場所から半径10km以内に所 在している動物病院における健康診断であることがより好ましい。引き渡し場所の近隣で勤務している獣医師、又は、近隣に所在している動物病院による健康診断を調整することで、引き渡し後の定期的な健康診断やワクチン接種等についても、引き渡し時の健康診断と同じ動物病院等で受診しやくなり、譲受人の負担を軽減することができる。」(段落【0020】) ⑶ 本願発明の概要ア上記⑴の特許請求の範囲及び上記⑵の本願明細書等の記載によれば、本願発明は、愛玩動物の閲覧手段に、引き渡しの予約手段と輸送調整手段を組み合わせることにより、譲受人と愛玩動物のマッチングをスムーズに実施し、簡易な方法で、愛玩動物マッチングシステムや愛玩動物マッチング 方法を提供するものである(段落【0008】、【0009】、【0011】)。 本願発明の一実施態様の愛玩動物マッチングシステムは、譲受人がインターネットを介して愛玩動物を閲覧する閲覧手段と、譲受人が引き渡し場所及び日時を予約する予約手段と、愛玩動物の引き渡し場所までの輸送を手配する輸送調整手段とを有することを特徴とするが(段落【0013】 ~【0016】)、さらに、譲受人が指定した引き渡し場所及び日時 日時を予約する予約手段と、愛玩動物の引き渡し場所までの輸送を手配する輸送調整手段とを有することを特徴とするが(段落【0013】 ~【0016】)、さらに、譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断調整手段を備えるものとすることもできる(段落【0018】~【0020】)。 イ本願明細書等において、愛玩動物を譲受人に引き渡す場所について、動物病院又は獣医師が立ち会う場所とする旨の記載はないが、動物病院又は 獣医師が立ち会う場所を除くとする旨の記載もなく、引き渡し場所から動物病院又は獣医師が立ち会う場所を除くことによる効果についての記載もない。 2 引用発明について引用文献1(甲12)には、別紙3「引用文献1の記載」のとおりの記載が 存在する。 3 取消事由1(引用発明の認定の誤り)について⑴ 本件審決は、引用文献1に記載された発明(引用発明)を前記第2の3⑵アのとおり認定した。 ⑵ア原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑴及び⑵のとおり、引用発明において、動物の引き渡し場所は、動物病院か獣医師の立ち会う場所に限られ ることが明らかであり、本件審決は、引用発明の認定においてこの点を認定しなかったことが誤りである旨主張する。 イ引用文献1の【0006】は、「発明が解決しようとする課題」として、里親希望者が譲渡する動物を登録した動物病院までその動物を引き取りに行かねばならず、これがマッチングの成立を阻む要因となっていたこと を挙げているが、この要因の除去は、引き渡しの場所を「譲渡する動物を登録した動物病院」以外の場所に変更することによっても可能であるといえる。また、【0006】には、動物の個体管理の技術が動物と譲受希望者とのマッチングに活用されていな き渡しの場所を「譲渡する動物を登録した動物病院」以外の場所に変更することによっても可能であるといえる。また、【0006】には、動物の個体管理の技術が動物と譲受希望者とのマッチングに活用されていなかったことも、発明が解決しようとする課題として挙げるが、この課題の解決は引き渡し場所とは関係がない。し たがって、引用文献1の【0006】の記載から、引用発明の動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られるとはいえない。 引用文献1の【0007】は、生体流通の新しい仕組みとして「ブリーダー直販を中心とした生体流通を動物病院基軸で構築すること」、具体的には、「マッチングに関与する獣医師又は動物病院をより柔軟に決定でき る技術を提供すること」を、発明が解決しようとする課題としている。しかし、「基軸」の語は「物事の基本・中心となるもの。中軸」等の意味を有する語であり(広辞苑第七版)、「生体流通を動物病院基軸で構築する」との記載は、必ずしも引き渡し場所を動物病院とすることを意味するとは解されない。また、「マッチングに関与する獣医師又は動物病院」の記載も、 必ずしも引き渡し場所をマッチングに関与する動物病院又は獣医師が立 ち会う場所とすることを意味するとは解されない。したがって、引用文献1の【0007】の記載によっても、引用発明の動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られるとはいえない。 引用文献1において「課題を解決するための手段」として記載された【0008】には、引用文献1の発明が、「前記譲受希望者と前記動物とのマッ チングに関与する獣医師及び動物病院の少なくとも一方を決定する決定手段」を提供するとの記載があるが、上記【0007】と同様、マッチングに関与する獣医師又は動物病院が存在す 者と前記動物とのマッ チングに関与する獣医師及び動物病院の少なくとも一方を決定する決定手段」を提供するとの記載があるが、上記【0007】と同様、マッチングに関与する獣医師又は動物病院が存在することは、動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られることを意味するとは解されない。 引用文献1の【0025】には、「本願の発明者らは、・・・生体を引き渡す場を動物病院(獣医師)とすることで現状の課題を解決する一つの方策を提示したい、という思いから本願発明の着想に至った。」との記載があるが、一つの方策を提示する着想に至るまでの発明者の心情に関して記載したものにすぎず、引用文献1に記載された発明の具体的な構成を特定し た記載とは認められないから、【0025】の記載から、引用発明における動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られるとは解されない。 引用文献1の【0026】には、引き渡し時に獣医師が介在することや、動物病院(獣医師)を基軸とした引き渡しの記載が存在する。しかし、「介 在」の語は、「両者の間に他のものがはさまってあること。」を意味するものであり(広辞苑第七版)、引き渡し時に獣医師が介在するとは、引用文献1の他の段落の記載の内容も考慮すれば、引き渡しに獣医師が関与することを意味するものと解され、引き渡しの際に獣医師が必ず立ち会うことを意味するとは解されない。動物病院(獣医師)を基軸とした引き渡しとの 記載も、前記【0007】と同様、動物の引き渡し場所を動物病院又は獣 医師が立ち会う場所に限定するものとは解されない。そして、【0026】に記載のある、適切な情報の新規飼主への伝達、かかりつけ動物病院と生体情報との紐付け、生体管理の徹底とマイクロチップ番号の適切な登録等 が立ち会う場所に限定するものとは解されない。そして、【0026】に記載のある、適切な情報の新規飼主への伝達、かかりつけ動物病院と生体情報との紐付け、生体管理の徹底とマイクロチップ番号の適切な登録等は、引き渡しに獣医師が関与すれば足りるといえ、引き渡しの場所を動物病院又は獣医師が立ち会う場所にしなければ実現しないものであるとは 認められない。 引用文献1の【0029】以下に記載された構成は、あくまで引用文献1に記載された発明の実施形態の一例であり(【0073】)、【0029】以下の構成において、引き渡し場所を動物病院又は獣医師が立ち会う場所とする記載があるとしても、そのことをもって、引用発明において引き渡 し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られると解することはできない。 【0073】以下に記載された変形例の記載には、「上述の実施形態において、例えば、動物が獣医師から譲受希望者に引き渡された後、マッチングサーバ20が譲受希望者にワクチンの案内及び検診の案内等を送って もよい。」との記載はあるが(【0076】)、変形例において行ってもよいことの例示の記載にすぎない上、獣医師が直接譲受希望者に動物を引き渡すことを要する旨の記載ではないから、この記載をもって、変形例では動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られるとは解されない。また、変形例も、引用発明1に記載された発明の実施形態の 一例にすぎないといえる。 引用文献1の請求項の記載には、「マッチングに関与する獣医師及び動物病院」との記載(【請求項1】、【請求項9】)、及び「マッチングに関与する獣医師又は動物病院」(【請求項7】)との記載があるが、この記載から、引用発明における動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う 場所 項1】、【請求項9】)、及び「マッチングに関与する獣医師又は動物病院」(【請求項7】)との記載があるが、この記載から、引用発明における動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う 場所に限られると解されないことは、上記【0007】と同様である。 そして、他に、引用文献1に、引用発明における動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られると解すべき根拠となる記載があるとは認められない。 ウ原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑵のとおり、非特許文献1のウェブサイトの記載内容からすれば、引用文献1の【0006】の記載は、引 き渡し場所が動物病院となっていること自体ではなく、引き渡し場所の動物病院が、預かっている旨の登録を行った動物病院に固定されており、引き渡し場所となる動物病院を柔軟に選択できないことがマッチングの成立を阻む要因となっていることを指摘していると解され、引用文献1は、上記要因に対する解決手段として、引き渡し場所を動物病院又は獣医師が 立ち会う場所とすることは維持しつつ、動物病院又は獣医師をより柔軟に決定できる技術を提供するものであると主張する。 しかし、引用文献1の【0006】に記載された課題について、引き渡しの場所を「譲渡する動物を登録した動物病院」以外の場所に変更すれば課題の解決となることは、前記イのとおりであり、この点は、非特許文献 1のウェブサイトの記載を考慮しても変わらない。 エ以上によれば、引用文献1の記載から、引用文献1に記載された発明において、動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られると解することはできず、本件審決が、引用発明について、動物の引き渡し場所が動物病院か獣医師の立ち会う場所に限られると認定しなかっ たことが誤りである 動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られると解することはできず、本件審決が、引用発明について、動物の引き渡し場所が動物病院か獣医師の立ち会う場所に限られると認定しなかっ たことが誤りであると解することはできない。 原告の前記第3の1〔原告の主張〕⑴及び⑵の主張は、前記イ及びウの説示に照らし、採用することができない。 ⑶ 原告は、前記第3の1〔原告の主張〕⑶のとおり、引用発明が「マッチングに関与する獣医師又は動物病院として、動物の引き渡し場所となる獣医師 又は動物病院の少なくとも一方を決定し、あるいは、譲受者端末50から、 複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、受信された識別情報により示される獣医師又は動物病院を決定する」との構成を有すると認定したのは、引用文献1の【0061】、【0062】及び【0064】の誤った解釈に基づいたものであって、誤りであると主張する。 しかし、本件審決の引用発明の認定は、「動物の引き渡し場所となる獣医師 又は動物病院の少なくとも一方を決定」する構成と、「譲受者端末50から、複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、受信された識別情報により示される獣医師又は動物病院を決定する」構成とが含まれることを示すものであり、これらの構成が引用発明に含まれることは、引用文献1の【0061】、【0062】及び【0064】の記載から認 めることができる。 また、引用文献1の【0061】、【0062】及び【0064】の記載は、【0029】以下に記載された発明の実施形態に関する記載であるところ、前記⑵イのとおり、この実施形態は、あくまで引用文献1に記載された発明の実施形態の一例であり、この実施形態に関して、引き渡し場所を動物病院 に記載された発明の実施形態に関する記載であるところ、前記⑵イのとおり、この実施形態は、あくまで引用文献1に記載された発明の実施形態の一例であり、この実施形態に関して、引き渡し場所を動物病院 又は獣医師が立ち会う場所とする記載があるとしても、そのことをもって、引用発明において引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られると解することはできない。そうすると、仮に、原告の主張するとおり、「譲受者端末50から、複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、受信された識別情報により示される獣医師又は動 物病院を決定する」構成が、「動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院の少なくとも一方を決定」する構成に含まれると解したとしても、このことをもって、引用発明における動物の引き渡し場所が獣医師又は動物病院に限られると解すべきことにはならない。 以上によれば、引用発明が「マッチングに関与する獣医師又は動物病院と して、動物の引き渡し場所となる獣医師又は動物病院の少なくとも一方を決 定し、あるいは、譲受者端末50から、複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、受信された識別情報により示される獣医師又は動物病院を決定する」との構成を有すると認定したことが誤りであるとは認められず、原告の上記主張は採用することができない。 ⑷ その他、引用文献1の記載に基づき、引用発明を前記第2の3⑵アのとお りであるとした本件審決の認定に誤りがあるとは認められない。 ⑸ 取消事由1に関する結論以上によれば、本件審決における引用発明の認定に誤りがあるとは認められず、取消事由1には理由がない。 4 取消事由2(本願発明と引用発明の相違点の認定の誤り)について ⑴ 原告は る結論以上によれば、本件審決における引用発明の認定に誤りがあるとは認められず、取消事由1には理由がない。 4 取消事由2(本願発明と引用発明の相違点の認定の誤り)について ⑴ 原告は、前記第3の2〔原告の主張〕のとおり、本件審決における本願発明と引用発明の相違点の認定が誤りであると主張する。 しかし、原告の主張は、引用発明が引き渡し場所を動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限っていることを前提とするものであるところ、この前提とする内容が誤りであることは前記3の説示のとおりである。 原告は、本件審決が相違点を二つと認定したことが不当である旨主張しており、原告の主張する本願発明と引用発明の相違点は相違点1’ないし相違点4’の四つである。しかし、本件審決が認定した相違点のうち、相違点1は予約手段に関する相違点、相違点2は輸送調整手段及び健康診断調整手段に関する相違点であり、輸送調整手段と健康診断調整手段は、本願発明が備 える手段として関連性を有するから、本件審決が相違点を二つと認定したことが不当であるとは解されない。しかも、原告は、本件審決が相違点を四つでなく二つと認定したことが、本願発明の進歩性欠如に関する本件審決の結論に影響を及ぼす理由について、何ら主張しておらず、この点においても、取消事由の主張として失当である。 その他、原告の主張を検討しても、前記第2の2のとおりである本願発明 の内容と、前記第2の3⑵アのとおりである引用発明の内容からすれば、本願発明と引用発明の相違点が前記第2の3⑵ウのとおりであるとした本件審決の認定は相当であると解され、この判断を覆すべき根拠となる事情は認められない。 ⑵ 取消事由2に関する結論 以上によれば、本件審決における本願発明と引用発明の相違点の認定に るとした本件審決の認定は相当であると解され、この判断を覆すべき根拠となる事情は認められない。 ⑵ 取消事由2に関する結論 以上によれば、本件審決における本願発明と引用発明の相違点の認定に誤りがあるとは認められず、取消事由2には理由がない。 5 取消事由3(容易想到性の判断の誤り)について⑴ 予約手段における「引き渡し場所」についての容易想到性の判断の誤り(相違点1関係)について ア原告は、前記第3の3〔原告の主張〕⑴のとおり、引用発明において、引き渡し場所が「獣医師又は動物病院の少なくとも一方」となっていることは、引用発明の技術思想の根幹をなすものであり、引用発明の課題を解決するための必須の要件であるとした上で、引用発明の引き渡し場所を、「獣医師又は動物病院の少なくとも一方」から、動物病院及び獣医師が立 ち会う場所以外の場所に変更することは、引用発明の技術思想の根幹をなし、引用発明の課題を解決するための必須の要件を変更することとなり、引用発明の技術思想に反するものであるから、動機付けはなく、むしろ阻害要因があると主張する。 しかし、原告の上記主張は、引用発明における動物の引き渡し場所が動 物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られることを前提とするものであるところ、この前提とされた内容が認められないことは、前記3⑵イ、ウのとおりであるから、原告の主張はその前提を欠くものであって、採用することができない。 イそこで、予約手段における「引き渡し場所」に関する相違が、本件審決 認定の相違点1で述べられるとおり、本願発明では「動物病院及び獣医師 が立ち会う場所を除く」ものであるのに対し、引用発明では「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」ものでないことにあることを前提に、その点の容易想到 とおり、本願発明では「動物病院及び獣医師 が立ち会う場所を除く」ものであるのに対し、引用発明では「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」ものでないことにあることを前提に、その点の容易想到性について検討する。 引用文献1は、発明が解決しようとする課題として、里親希望者は譲渡する動物を登録した動物病院までその動物を引き取りに行かねばならず、 これがマッチングの成立を阻む要因となっていたことを挙げる(【0006】)ところ、上記要因の除去は、引き渡し場所を「譲渡する動物を登録した動物病院」以外の場所に変更することによっても可能であり(前記3⑵イ)、引用文献1において発明が解決しようとする課題として他に挙げているもの(【0006】、【0007】)も、引用発明における動物の引き渡 し場所を動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限定するものではなく(前記3⑵イ)、引用発明における動物の引き渡し場所が動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られるとは解されない(前記3⑵イ、ウ)。そうすると、引用発明における動物の引き渡し場所を、「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」場所とすることは、当業者であれば適宜なし得た設計的事 項にすぎない。 また、引用発明において、引き渡し場所を、特段限定のない引き渡し場所から、「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」引き渡し場所に変更することによって、システムの大きな設計変更が必要になるとは認められない。 そして、本願明細書等には、引き渡し場所から「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」ことによって得られる効果について何ら記載されておらず(前記1⑶イ)、本願発明において、引き渡し場所から「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」ものとした構成によって得られる効果が、当業者が予測する によって得られる効果について何ら記載されておらず(前記1⑶イ)、本願発明において、引き渡し場所から「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」ものとした構成によって得られる効果が、当業者が予測することのできる範囲を超えた顕著なものであるとは認め られない。 したがって、引用発明の、特段の限定のない引き渡し場所を、「動物病院及び獣医師が立ち会う場所を除く」場所に変更することは、当業者であれば容易に想到し得たものである。そうすると、本件審決の、予約手段における「引き渡し場所」についての容易想到性の判断に誤りはない。 ⑵ 健康診断調整手段を備えることに関する容易想到性の判断の誤り(相違点 2関係)についてア原告は、前記第3の3〔原告の主張〕⑵のとおり、本願発明は、引き渡し場所から動物病院及び獣医師が立ち会う場所が除かれているから、健康診断調整手段は、引き渡し場所以外の場所において行われる健康診断を手配するための手段であるとし、引用発明は、動物の引き渡し場所が動物病 院又は獣医師が立ち会う場所に限られるとの前提の上で、引用発明においては、引き渡し時に健康診断等が行われるから、引き渡し場所以外の場所において行われる健康診断を手配するための手段である、健康診断調整手段を採用する動機付けがない旨主張する。 しかし、前記3⑵イ、ウのとおり、引用発明において、動物の引き渡し 場所は、動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られるものではないから、原告の主張はその前提を欠くものであって、採用することができない。 イ前記3⑵イ、ウのとおり、引用発明において、動物の引き渡し場所は動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られない。 他方、引き渡し場所がどこであるかにかかわらず、愛玩動物の引き渡し において、その動物の健 、ウのとおり、引用発明において、動物の引き渡し場所は動物病院又は獣医師が立ち会う場所に限られない。 他方、引き渡し場所がどこであるかにかかわらず、愛玩動物の引き渡し において、その動物の健康状態の把握は重要である。引用文献1は、動物のマッチングに獣医師又は動物病院が関与することを前提としており、【0026】は、引用文献1で説明する実施形態においては、健康診断及びワクチネーションを中心とした予防医療を提供したうえで新しい飼主に引き渡すことによって、適切な情報を新規飼主に伝達することが可能で あること、昨今急速に普及している生体販売時の遺伝子病検査情報に対し ても中長期的な獣医師の管理監督を受けることが可能となるとの記載があり、当業者は、引用文献1の記載からも、愛玩動物の引き渡しにおいて、動物の健康状態の把握が重要であると理解することができる。 このように、当業者が、愛玩動物の引き渡しにおいて、動物の健康状態の把握が重要であると理解することができるとすれば、引用発明に関し、 譲受人が指定した引き渡し場所及び日時に基づいて、愛玩動物の健康診断を手配する健康診断調整手段をさらに備えるように構成することも、当業者が容易に想到し得るものであるといえる。 したがって、本件審決の、健康診断調整手段を備えることに関する容易想到性の判断に誤りはない。 ⑶ 取消事由3に関する結論以上によれば、本件審決における本願発明と引用発明の相違点の容易想到性の判断に誤りがあるとは認められず、取消事由3には理由がない。 6 結論以上のとおりであり、原告が主張する取消事由はいずれも理由がなく、本件 審決について、これを取り消すべき違法はない。したがって、原告の請求は棄却されるべきである。 よって、主文のとおり判決する。 とおりであり、原告が主張する取消事由はいずれも理由がなく、本件 審決について、これを取り消すべき違法はない。したがって、原告の請求は棄却されるべきである。 よって、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官中平健 裁判官今井弘晃 裁判官 水野正則 別紙1 省略 別紙2 省略 別紙3引用文献1の記載 【特許請求の範囲】【請求項1】 動物の譲受希望者の第1端末に対し、当該動物に関する関連情報を出力する出力手段と、前記第1端末から、前記動物に関心を有する意思表示を受信する受信手段と、前記譲受希望者と前記動物とのマッチングに関与する獣医師及び動物病院の少なくとも一方を決定する決定手段と、 前記決定された獣医師又は動物病院に対応する第2端末に対し、前記動物の診療記録を送信する送信手段とを有する動物の譲渡支援システム。 【請求項7】前記出力手段は、前記マッチングに関与する獣医師又は動物病院の候補となる獣 医師及び動物病院の各々について、当該獣医師又は動物病院の属性を示す属性情報を前記第1端末に出力し、前記受信手段は、前記第1端末から、前記候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、前記決定手段は、前記識別情報により示される獣医師又は動物 報を前記第1端末に出力し、前記受信手段は、前記第1端末から、前記候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、前記決定手段は、前記識別情報により示される獣医師又は動物病院を前記マッチ ングに関与する獣医師又は動物病院として決定する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の動物の譲渡支援システム。 【請求項9】動物の譲受希望者の第1端末に対し、当該動物に関する関連情報を出力するステップと、 前記第1端末から、前記動物に関心を有する意思表示を受信するステップと、 前記譲受希望者と前記動物とのマッチングに関与する獣医師及び動物病院の少なくとも一方を決定するステップと、前記決定された獣医師又は動物病院に対応する第2端末に対し、前記動物の診療記録を送信するステップとを有する動物の譲渡支援方法。 【発明の詳細な説明】【技術分野】【0001】本発明は、動物の譲渡支援システム及び情報支援方法に関する。 【発明の概要】 【発明が解決しようとする課題】【0006】非特許文献1のサイトにおいては、動物を譲渡できるのは動物病院に限られていた。里親希望者は譲渡する動物を登録した動物病院までその動物を引き取りに行かねばならず、これがマッチングの成立を阻む要因となっていた。また、特許文献1 及び2に記載されたような動物の個体管理の技術が存在するものの、動物と譲受希望者とのマッチングには活用されていなかった。 【0007】これに対し本発明は、より多くの人々にペットと生活する幸せを享受してもらいたい、という思いを実現するために、生体流通の新しい仕組みを構築する。そのた め、本願の発明者らは、既存の生体流通を根本から見直し、ブリーダー直販を の人々にペットと生活する幸せを享受してもらいたい、という思いを実現するために、生体流通の新しい仕組みを構築する。そのた め、本願の発明者らは、既存の生体流通を根本から見直し、ブリーダー直販を中心とした生体流通を動物病院基軸で構築する。具体的には、本発明は、マッチングの対象となる動物についてより多様な情報を提供でき、かつ、マッチングに関与する獣医師又は動物病院をより柔軟に決定できる技術を提供する。 【課題を解決するための手段】 【0008】 本発明は、動物の譲受希望者の第1端末に対し、当該動物に関する関連情報を出力する出力手段と、前記第1端末から、前記動物に関心を有する意思表示を受信する受信手段と、前記譲受希望者と前記動物とのマッチングに関与する獣医師及び動物病院の少なくとも一方を決定する決定手段と、前記決定された獣医師又は動物病院に対応する第2端末に対し、前記動物の診療記録を送信する送信手段とを有する 動物の譲渡支援システムを提供する。 【0016】本発明は、動物の譲受希望者の第1端末に対し、当該動物に関する関連情報を出力するステップと、前記第1端末から、前記動物に関心を有する意思表示を受信するステップと、前記譲受希望者と前記動物とのマッチングに関与する獣医師及び動 物病院の少なくとも一方を決定するステップと、前記決定された獣医師又は動物病院に対応する第2端末に対し、前記動物の診療記録を送信するステップとを有する動物の譲渡支援方法を提供する。 【発明の効果】【0017】 本発明によれば、犬や猫等の動物の譲渡が行い易くなる。 【発明を実施するための形態】【0019】本願発明の説明に先立ち、生体販売業界の現状を説明する。犬猫等の動物(いわゆるペット)に関し、生体流通 よれば、犬や猫等の動物の譲渡が行い易くなる。 【発明を実施するための形態】【0019】本願発明の説明に先立ち、生体販売業界の現状を説明する。犬猫等の動物(いわゆるペット)に関し、生体流通の経路には、陳列展示形式の販売、保護犬猫の里親 募集、及びブリーダーによる直接販売がある。現在の生体流通は、75%が陳列展示形式の販売によるものである。しかし、動物愛護の機運が高まっており、SNS(SocialNetworkingService)を中心にこの販売方法には大きな非難が起きている。 また生体販売店舗に動物愛護団体が押し掛けるなどのトラブルが報告されている。 【0020】 陳列展示形式の生体販売への批判が強まる中、保護犬猫の里親募集及びブリーダ ーによる直接販売の流通経路が注目されている。保護犬猫に関しては里親希望者が増加しており、社会的にも認められつつある。保護犬猫の里親となることがステータスになり、セレブタレントがSNS等で発信することが一般的になりつつある。 しかしながら未だに保護犬猫の里親になるという選択肢の存在を知らない層も存在しており、保護犬猫に対する認知度を高める必要がある。 【0021】また、ブリーダーから直接生体を購入することが善とされる風潮が出来上がる中で、ブリーダー直販サイトを通じて直接犬猫を購入する人が急増している。欧米ではブリーダー直販が基本的な販売スタイルではある。しかしながら特に日本のブリーダー直販は現状では(1)対面販売違反の疑い、(2)飼育に対する十分な説明が 困難、(3)アフターフォローが不十分、等の問題があることも指摘されている。 【0022】2019年6月、改正動物愛護管理法が可決成立し、流通過程における生体の取り扱いにはより適切な対応が求めら 難、(3)アフターフォローが不十分、等の問題があることも指摘されている。 【0022】2019年6月、改正動物愛護管理法が可決成立し、流通過程における生体の取り扱いにはより適切な対応が求められている。また生体販売時のマイクロチップ装着及び登録が義務化された。さらに販売週齢56日齢の規制が本格的に決定した。 【0023】環境省が発表している全国自治体の犬猫殺処分頭数は「殺処分ゼロ」の掛け声の元、激減しつつある。しかしながら現状は地方自治体が自らの施設で殺処分することを避ける為、提携する動物愛護団体に譲渡しているという現状があることも指摘されている。動物愛護団体では年齢の若い保護犬猫は比較的簡単に譲渡できるが、 高齢犬や問題行動を持つ動物を譲渡しきれず、長期にわたり愛護団体施設に滞留する傾向があり問題となっている。場合によっては愛護団体崩壊と呼ばれる状態となり、悲惨な状況の飼育施設において飼養され、死亡するケースも報告されている。 【0024】ブリーダーにおいて、繁殖に用いる母犬猫は通常5~6歳程度で引退させる。動 物愛護の意識の高まりの中で無秩序に繁殖させることは避けなければならず、繁殖 回数の制限は今後よりいっそう厳しくなるものと思われる。ブリーダーは繁殖引退をむかえてから亡くなるまで場合によっては10年近く引退動物を飼養し続ける必要がある。ブリーダーの飼養コストの増大によって、以下の(ア)~(オ)の悪循環が発生している。 (ア)生体に対する投資減少 (イ)良い生体を生産出来ない(ウ)生体販売価格の低下(エ)経済状況悪化(オ)生体に対する投資減少【0025】 以上の状況において、本願の発明者らは、既存の生体流通経路を経由せず、ブリーダーからの直販 (ウ)生体販売価格の低下(エ)経済状況悪化(オ)生体に対する投資減少【0025】 以上の状況において、本願の発明者らは、既存の生体流通経路を経由せず、ブリーダーからの直販スタイルでありながら、生体を引き渡す場を動物病院(獣医師)とすることで現状の課題を解決する一つの方策を提示したい、という思いから本願発明の着想に至った。 【0026】 以下で説明する実施形態においては、引渡し時に獣医師が介在し、健康診断及びワクチネーションを中心とした予防医療を提供したうえで新しい飼い主に引き渡すことによって、適切な情報を新規飼主に伝達し、かかりつけ動物病院と生体情報を紐付けたうえで生体を提供することが可能となる。また、動物病院(獣医師)を基軸とした生体の引渡しによって生体衛生管理の徹底とマイクロチップ番号の適切な 登録も可能となる。併せて昨今急速に普及している生体販売時の遺伝子病検査情報に対しても中長期的な獣医師の管理監督を受けることが可能となる。 【0029】1.構成図1は本実施形態に係る譲渡支援システム1の全体構成を例示するブロック図で ある。譲渡支援システム1は、犬及び猫等の動物(又は生体)の譲渡を支援するシ ステムである。この実施形態において、譲渡の対象となる動物は、一般的な種ではなく特定の個体を指す。また、この実施形態において、「譲渡」とは、譲渡及び貸与を含む。譲渡支援システム1は、譲渡者端末10、マッチングサーバ20、電子カルテサーバ30、獣医師端末40a、獣医師端末40b(第2端末の一例)、及び譲受者端末50を備える。譲渡支援システム1において、動物の譲渡又は貸与を希望 する者(以下、説明を簡単にするため単に「譲渡希望者」という)は、マッチングサーバ20にその動物 端末の一例)、及び譲受者端末50を備える。譲渡支援システム1において、動物の譲渡又は貸与を希望 する者(以下、説明を簡単にするため単に「譲渡希望者」という)は、マッチングサーバ20にその動物を登録する。動物の譲受又は借用を希望する者(以下、説明を簡単にするため単に「譲受希望者」という)は、マッチングサーバ20にアクセスし、登録されている動物の中から動物を選択する。マッチングが成立すると、マッチングサーバ20はマッチングに関与する獣医師又は動物病院を決定する。譲受 希望者は、その獣医師の立ち会いの下、又はその動物病院において、動物の引き渡しを受ける。 【0031】譲渡者端末10、電子カルテサーバ30、獣医師端末40、及び譲受者端末50(第1端末の一例)は通信回線2を介してマッチングサーバ20と通信を行う。通 信回線2は、例えばインターネットや移動体通信網、電話回線、LAN(LocalAreaNetwork)などのうちの少なくとも1つを含む。 【0033】獣医師端末40は、動物病院に設置された端末又は獣医師が有する端末である。 この実施形態では、獣医師端末40は、情報提供端末及び関与者端末に大別される。 情報提供端末は、動物の情報を譲渡支援システム1に提供する動物病院に設置された端末又は獣医師が有する端末である。情報提供端末は、主として譲渡者に関与する獣医師又は動物病院の端末である。この例では獣医師端末40aが情報提供端末に相当する。関与者端末は、動物と譲受者とのマッチングに関与する動物病院に設置された端末又は獣医師が有する端末である。「マッチングに関与する動物病院」と は、例えば、動物を譲受者に引き渡す場所となる動物病院をいい、「マッチングに関 与する獣医師」とは動物を譲受者に引き渡 は獣医師が有する端末である。「マッチングに関与する動物病院」と は、例えば、動物を譲受者に引き渡す場所となる動物病院をいい、「マッチングに関 与する獣医師」とは動物を譲受者に引き渡す現場に立ち会う獣医師をいう。関与者端末は、主として譲受者に関与する獣医師又は動物病院の端末である。この例では獣医師端末40bが関与者端末に相当する。以下の説明では、獣医師端末40a(情報提供端末)と獣医師端末40b(関与者端末)とを各々区別しない場合には、これらを「獣医師端末40」と称する。 【0037】図2は、マッチングサーバ20の機能構成を例示するブロック図である。マッチングサーバ20は、出力手段21、受信手段22、決定手段23、送信手段24、提供手段25、取得手段26、予測手段27、及び記憶手段28を備える。出力手段21は、動物の譲受希望者の譲受者端末50に対し、その動物に関する関連情報 (以下「動物関連情報」という)を出力する。受信手段22は、譲受者端末50、動物に関心を有する意思表示を受信する。決定手段23は、譲受希望者と動物とのマッチングに関与する獣医師及び動物病院の少なくとも一方を決定する。送信手段24は、決定手段23により決定された獣医師又は動物病院に対応する獣医師端末40に対し、動物の診療記録を送信する。 【0039】記憶手段28は、各種のデータを記憶する。この例において、記憶手段28は、動物関連情報データベースを記憶する。動物関連データベースは、譲渡対象の動物の各々について動物関連情報を記録したデータベースである。記憶手段28は、さらに、提携動物病院データベース、譲渡希望者データベース、及び譲受希望者デー タベースを記憶する(いずれも図示略)。提携動物病院データベースは、提携獣医師 ータベースである。記憶手段28は、さらに、提携動物病院データベース、譲渡希望者データベース、及び譲受希望者デー タベースを記憶する(いずれも図示略)。提携動物病院データベースは、提携獣医師/動物病院の属性情報を記録したデータベースである。提携獣医師の属性情報は、例えば、氏名、連絡先(例えば電話番号及びメールアドレス)、年齢、性別、経歴、及び症例数に関する情報を含む。提携動物病院の属性情報は、例えば、名称、連絡先(例えば電話番号及びメールアドレス)、在籍獣医師数、在籍獣医師の氏名、在籍 看護師数、所有検査装置名、入院設備の有無、ペットホテルの有無、駐車スペース の広さ(駐車可能台数)、待合室の広さ、平均待ち時間に関する情報を含む。譲渡希望者データベースは、譲渡希望者の属性情報を記録したデータベースである。譲渡希望者の属性情報は、例えば、譲渡希望者のユーザID、氏名、年齢、性別、家族構成、住所、住居の種別(一戸建てか集合住宅か等)に関する情報を含む。ユーザISDは、譲渡支援システム1においてユーザを識別するためのIDである。譲受 希望者データベースは、譲受希望者の属性情報を記録したデータベースである。譲受希望者の属性情報は、例えば、譲受希望者のユーザID、氏名、年齢、性別、家族構成、住所、住居の種別(一戸建てか集合住宅か等)に関する情報を含む。 【0048】(1)新規動物の登録 まず、譲渡対象となる動物の登録動作を説明する。まず、譲渡希望者は、譲渡者端末10を用いて、動物を譲渡する意思がある旨をマッチングサーバ20に登録する。具体的には、譲渡者端末10は、登録対象である動物(以下「新規動物」という)の動物関連情報をマッチングサーバ20にアップロードする(ステップS101)。動物関連情報は、譲渡の対 ーバ20に登録する。具体的には、譲渡者端末10は、登録対象である動物(以下「新規動物」という)の動物関連情報をマッチングサーバ20にアップロードする(ステップS101)。動物関連情報は、譲渡の対象である動物に関連する情報である。動物関連情報 は例えば、その動物の写真、動画像、犬種、性別、年齢、及び飼い主の氏名のうち少なくとも一部を示す。なお、譲渡者は、動物を譲渡する意思がある旨を獣医師又は動物病院に相談することができる。この場合、獣医師又は動物病院が、獣医師端末40aを介して、動物関連情報をマッチングサーバ20にアップロードしてもよい。この場合、動物関連情報には、上記に加えてマイクロチップのID又は電子カ ルテが含まれてもよい。また、動物関連情報は、その動物の所有者の変遷、又は診察記録を含んでもよい。マッチングサーバ20(詳細には記憶手段28)は、譲渡者端末10から受信された新規動物の動物関連情報を、動物関連情報データベースに記録する。 【0054】 (2)マッチング 次いで、譲渡支援システム1が行うマッチング動作を説明する。譲受希望者は、譲受者端末50を用いて、マッチングサーバ20にアクセスする。マッチングサーバ20は、動物の検索を行うためのメニュー画面を表す画面データを譲受者端末50に送信する。譲受者端末50は、この画面データが表すメニュー画面を自装置のUI部505に表示する。 【0055】図9は、メニュー画面を例示する図である。メニュー画面には、動物関連情報の一覧が表示される。この例においては、メニュー画面には、動物関連情報のうちその動物の写真(又はサムネイル画像)が含まれる。また、メニュー画面には、動物の検索条件を譲受希望者が指定するための表示要素であるボタンB1が含まれる。 おいては、メニュー画面には、動物関連情報のうちその動物の写真(又はサムネイル画像)が含まれる。また、メニュー画面には、動物の検索条件を譲受希望者が指定するための表示要素であるボタンB1が含まれる。 検索条件は例えば、犬種、性別、及び予測余命である。譲受希望者がボタンB1を選択する操作を行うと、UI部505に表示される画面は、検索条件を指定するための画面(以下「検索条件指定画面」という)に移行する。 【0060】図12は、詳細情報の表示画面を例示する図である。図12の例では、選択され た動物の、犬種/猫種、性別、年齢、予測余命、ワクチン接種歴、病歴等がUI部505に表示される。譲受希望者は、表示された動物関連情報を参照し、自身の希望に合う動物を検索する。自身の希望に合う動物が見つかった場合、譲受希望者はUI部505を用いてその動物の引き取り希望の意思表示をするためのボタンB3を選択する操作を行う。 【0061】図8の説明に戻る。ステップS108において、譲受者端末50は、譲受希望者の操作に従い、その動物に関心を有する意思表示を示すデータをマッチングサーバ20に送信する。ステップS109において、マッチングサーバ20(詳細には決定手段23)は、マッチングに関与する獣医師又は動物病院として、動物の引き渡 し場所となる獣医師又は動物病院(以下、説明を簡単にするため「対象動物病院」 という)の少なくとも一方を決定する。決定手段23は、例えば、提携動物病院データベース譲受希望者データベースを参照して対象動物病院を決定する。例えば、決定手段23は、譲受希望者データベースに予め登録されている譲受希望者の住所をデータベースから読み出し、読み出された住所に最も近い動物病院を提携動物病院データベースから抽出 病院を決定する。例えば、決定手段23は、譲受希望者データベースに予め登録されている譲受希望者の住所をデータベースから読み出し、読み出された住所に最も近い動物病院を提携動物病院データベースから抽出し、この動物病院を対象動物病院として決定してもよい。 【0062】また、対象動物病院の決定方法の他の例として、例えば、マッチングサーバ20は、動物の引き渡し場所となる動物病院の候補を複数提示し、これら複数の動物病院の中から譲受人に対象動物病院を選択させてもよい。一例として、マッチングサーバ20は、譲受希望者の住所との所定の位置関係にある動物病院をデータベース から複数選択し、選択結果を譲受者端末50に送信する。譲受者端末50のUI部505は、候補の動物病院の一覧を表示する。所定の位置関係とは、例えば、直線距離がしきい値以内であるという関係、又は道なりに移動した場合の所要時間がしきい値以内であるという関係である。この場合、マッチングサーバ20は、マッチングに関する対象動物病院の候補となる獣医師又は動物病院の各々について、提携 動物病院データベースからその獣医師又は動物病院の属性情報を抽出し、抽出した属性情報を譲受者端末50に出力する。 【0064】譲受希望者は、提示された複数の選択肢の中からいずれかを選択する操作を譲受者端末50のUI部505を用いて行う。マッチングサーバ20は、譲受者端末5 0から、複数の候補の中から選択された一の獣医師又は動物病院の識別情報を受信し、受信された識別情報により示される獣医師又は動物病院を、対象動物病院として決定する。 【0069】(3)動物の引き渡し 対象動物病院が決定されると、譲渡支援システム1の運営者又は運営者から委託 を受けた者等により、譲渡対 を、対象動物病院として決定する。 【0069】(3)動物の引き渡し 対象動物病院が決定されると、譲渡支援システム1の運営者又は運営者から委託 を受けた者等により、譲渡対象である動物が譲渡希望者の下から対象動物病院まで搬送される。搬送された動物は、対象動物病院の獣医師により診察される。獣医師は、獣医師端末40bにおいて新規の電子カルテを起票する。電子カルテサーバ30に従前の電子カルテが記憶されている場合、獣医師は、獣医師端末40bにおいて起票した電子カルテと従前の電子カルテとの対応付けを行う。この対応付けは、 例えばマイクロチップの番号が用いられる。電子カルテサーバ30に従前の電子カルテが記憶されていない場合、獣医師は、獣医師端末40bから、起票した電子カルテを新たな電子カルテとして電子カルテサーバ30に登録する。獣医師は、この動物に対し、必要に応じてワクチン接種等の処置を行う。 【0070】 図8の説明に戻る。ステップS111において、獣医師端末40は、獣医師の操作に従い、対応付けを行った新規カルテをマッチングサーバ20に送信する。マッチングサーバ20は、獣医師端末40から新規カルテを受信すると、ステップS112において、受信された新規カルテを電子カルテサーバ30に送信し、電子カルテサーバ30は受信された新規カルテを従前の電子カルテと対応付けて自装置の記 憶装置303に記憶する。 【0071】診察後、獣医師は、動物を譲渡希望者に引き渡す。マッチング成立後は、その動物はその対象動物病院の患者となり、その動物病院の獣医師が電子カルテにその後の経過を記録する。その後、時間が経ってその動物が亡くなり電子カルテにその旨 が記録されると、その動物の現実の余命をマッチングサーバ20のAI 者となり、その動物病院の獣医師が電子カルテにその後の経過を記録する。その後、時間が経ってその動物が亡くなり電子カルテにその旨 が記録されると、その動物の現実の余命をマッチングサーバ20のAIに教師データとして用いることができる。マッチングサーバ20では、動物の引き渡し当時の予測余命と現実の余命とを教師データとして機械学習が行われる。これにより、余命の予測処理の精度を向上させることができる。 【0072】 以上説明したように、この実施形態によれば、譲渡希望者と譲受希望者とを条件 に従ってマッチングさせることができ、これにより、動物の譲渡希望者及び譲受希望者は条件に合う相手を見つけ易くなる。また、この実施形態では、対象動物病院が譲渡対象である動物の新規カルテを作成するため、譲受希望者は譲渡される予定の動物の健康状態を把握することができる。 【0073】 3.変形例上述した実施形態は、本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、上述した実施形態及び以下に示す各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施されてもよい。 以上
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