令和5(わ)321 加重収賄、贈賄

裁判年月日・裁判所
令和6年4月17日 高知地方裁判所
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判決文本文2,740 文字)

令和5年(わ)第321号被告人Aに対する加重収賄、被告人Bに対する贈賄各被告事件 主文 被告人Aを懲役1年6月に、被告人Bを懲役8月に処する。 被告人Aに対し、未決勾留日数中20日をその刑に算入する。 被告人Aに対し、この裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人Aは、刑務官として高知刑務所処遇部処遇部門に勤務し、被収容者の処遇に関する職務に従事していたもの、分離前の相被告人C(以下「C」という。)は、同刑務所に懲役受刑者として収容されていたもの、被告人Bは、Cの知人であるが、第1 被告人Aは、別表1記載のとおり、令和5年7月12日から同年8月14日までの間、「場所」欄記載の各場所において、14回にわたり、手紙の授受、電話連絡等の方法により、Cと被告人Bらとの連絡を仲介するという職務上不正な行為をし、その謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものと知りながら、被告人Bから、別表2記載のとおり、同年7月30日から同年8月6日までの間、3回にわたり、D銀行E支店に開設された被告人B名義の普通預金口座ほか1口座から、F銀行G支店に開設された被告人A名義の普通預金口座に振り込ませて、現金合計16万円を無利息で借り受け、もって職務上不正な行為をしたことに関し賄賂を収受するとともに、その職務に関し賄賂を収受して職務上不正な行為をし、第2 被告人Bは、Cと共謀の上、被告人Bが、令和5年7月30日から同年8月6日までの間、3回にわたり、被告人Aに対し、前記趣旨の下に、前記のとおり振り込んで、現金合計16万円を無利息で貸し付け、もって同人の職務上不正な行為に関し賄賂を供与した。 (量刑の理由)第1 事案の概要 、被告人Aに対し、前記趣旨の下に、前記のとおり振り込んで、現金合計16万円を無利息で貸し付け、もって同人の職務上不正な行為に関し賄賂を供与した。 (量刑の理由)第1 事案の概要本件は、高知刑務所の刑務官であった被告人Aが、同刑務所で受刑中のCと同刑務所外にいた被告人Bらとの連絡を仲介するという職務上不正な行為をし、その謝礼及び今後も同様の取り計らいを受けたいとの趣旨の下に供与されるものと知りながら、被告人Bから現金合計16万円を無利息で借り受けて賄賂を収受した加重収賄の事案(判示第1)と、被告人Bが、Cと共謀の上、前記のとおり被告人Aに賄賂を供与した贈賄の事案(判示第2)である。 第2 被告人Aについて被告人Aは、刑務官として刑罰権を適正に行使することにより受刑者の更生と社会復帰を促す立場にあったにもかかわらず、その職責に背いて多数回にわたり受刑者と外部者との不正連絡を仲介し、その対価として16万円という少なくない額を無利息・無担保で借り受けたものであり、これらの一連の行為は、刑務所の規律と秩序を阻害し、受刑者であるCの更生を妨げるものであるから厳しい非難を免れない。被告人Aは、ギャンブル等で多額の借金を抱え、その返済資金や遊興費を得るために犯行に及んだもので、このような短絡的な動機に酌むべき点はなく、被告人Aの刑事責任は軽視できない。 一方で、被告人Aについては、自らの犯行を認めて反省の態度を示していること、まだ若く前科前歴がないこと、母親が情状証人として出廷して今後の監督を誓約し、再就職先の経営者も更生への協力を誓約する旨の文書を作成していることなど量刑上有利に斟酌できる事情が認められる。そうすると、被告人Aに対しては、主文の刑を定めた上、その刑の執行を猶予するのが相当である。 第3 被告人Bについて 約する旨の文書を作成していることなど量刑上有利に斟酌できる事情が認められる。そうすると、被告人Aに対しては、主文の刑を定めた上、その刑の執行を猶予するのが相当である。 第3 被告人Bについて被告人Bは、受刑者であるCと共謀の上、刑務官である被告人Aを利用して、Cが関与したとされる詐欺事件の捜査状況という刑務所の外部交通に関する正規の手続ではやり取りできない内容を伝える手紙を複数回にわたってCに閲覧 させ、Cと被告人Bを含む刑務所外の者らとの間の不正連絡の仲介に対する謝礼等の趣旨で被告人Aに賄賂を供与した。かかる行為は前記のとおり刑務所の規律と秩序を阻害し受刑者であるCの更生を妨げる悪質なものであるところ、被告人Bは、Cの口利きで賄賂を出捐したほか、かかる不正連絡を積極的に利用して正規の手続では許されない情報の伝達を行うなど犯行に積極的に関与して利益を受けている。なお、被告人Bは、判示の各贈賄行為を行っていた間の令和5年8月時点で、被告人Aから、Cが自分以外の者との間でも不正連絡を行っていることを聞かされており、自分が直接関与しない不正連絡についても概括的には認識していたと認められるところ、Cと自分を含む刑務所外の者との間の不正連絡を仲介する対価の趣旨であることを理解しつつ賄賂の供与を続けていたのであるから、Cと自分以外の者との間の不正連絡について明確には認識していなかったとしても、被告人Bの刑事責任が減じられるものではない。 また、被告人Bは、本件と罪種は異なるものの、平成31年4月に懲役2年、4年間執行猶予の有罪判決を受けて更生の機会を与えられたにもかかわらず、当該執行猶予期間満了から約3か月後に判示第2の犯行に及んでいるのであって、かかる犯行が刑務所の外部交通に関する厳格な制限規定を無視するものであることを考えれば 生の機会を与えられたにもかかわらず、当該執行猶予期間満了から約3か月後に判示第2の犯行に及んでいるのであって、かかる犯行が刑務所の外部交通に関する厳格な制限規定を無視するものであることを考えれば、被告人Bには、社会規範を遵守し、前刑で執行猶予を受けたことを踏まえて更生しようという意識が欠如していると言わざるを得ない。 そうすると、被告人Bの刑事責任は軽いものではなく、犯行を認めて反省の態度を示していること、内縁の妻が今後金銭管理を行うなどして被告人Bの生活を支えていくことを約束しているといった量刑上有利に斟酌できる事情を考慮しても、被告人Bに対して主文の程度の懲役刑の実刑をもって臨むのはやむを得ない。 (求刑・被告人Aについて、懲役1年6月、被告人Bについて懲役10月)(被告人Aの弁護人の科刑意見・執行猶予付き判決)(被告人Bの弁護人の科刑意見・執行猶予付き判決) 令和6年4月17日高知地方裁判所刑事部 裁判長裁判官稲田康史 裁判官鈴木美香 裁判官徳舛純一 (別表1、2省略)

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