- 1 -判決主文 1 地方公務員災害補償基金北海道支部長が原告に対し令和2年12月21日付けでした地方公務員災害補償法に基づく公務外災害認定処分を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求主文同旨第2 事案の概要本件は、標津町の職員として勤務していた原告が、公務に起因して抑うつ状態(適応障害)を発症したと主張して、処分行政庁に対し、地方公務員災害補償法に基づき公務災害認定を請求したところ、処分行政庁が令和2年12月21日付けで公務外の災害と認定する処分をしたことから、被告地方公務員災害補償基金に対し、当該処分の取消しを求める事案である。 1 前提事実(証拠の掲記のない事実は当事者間に争いがないか弁論の全趣旨により容易に認められる事実である。)(1) 原告の経歴等ア原告は、平成▲年▲月▲日生まれの男性である(乙2)。 イ原告は、平成25年3月にA大学を卒業し、同年4月から平成26年3月までの間、B小学校に、平成26年4月から平成27年3月までの間、C小学校にそれぞれ教員として勤務した(乙2、原告本人)。 ウ原告は、平成27年4月1日、標津町職員として採用され(採用後1年間は試用期間)、商工観光課に配属された。原告は、同年8月31日及び同年9月1日に年次有給休暇を取得し、同年9月3日から同月30日まで病気休暇を取得した。(乙2、6)- 2 -エ原告は、同年9月8日、釧路赤十字病院を受診し、抑うつ状態(適応障害)と診断された。 オ原告は、同年10月1日、財政課に配属された。原告は、同月13日から同月16日まで年次有給休暇を取得し、同年11月10日から平成28年12月31日まで病気休暇を取得した。(乙2、6)カ原告は、平成29年1月1日 1日、財政課に配属された。原告は、同月13日から同月16日まで年次有給休暇を取得し、同年11月10日から平成28年12月31日まで病気休暇を取得した。(乙2、6)カ原告は、平成29年1月1日から同年10月31日まで、地方公務員法28条2項に基づき休職した。原告は、休職中の同年8月1日、標津町教育委員会に出向となり、生涯学習課に配属された。原告は、同年11月1日から勤務時間を正午まで(同年12月は午後3時まで)として復職したが、同年11月は10日間と3時間30分、同年12月は6日間と6時間の病気休暇をそれぞれ取得した。(甲1〔6頁〕、乙2、6)キ原告は、平成30年1月11日、同月23日、同月31日から同年3月31日まで病気休暇を取得した(乙6)。原告は同日、標津町に出向となり、辞職した(乙2)。 (2) 本件訴訟に至る経緯ア原告は、平成30年11月21日付け公務災害認定請求書により、処分行政庁に対し、抑うつ状態(適応障害)が公務に起因するとして、地方公務員災害補償法に基づく公務災害認定を請求した(甲3)。 イ処分行政庁は、上記アの請求に対し、公務と原告の抑うつ状態(適応障害)との間に相当因果関係が認められないとして、令和2年12月21日付けで公務外の災害と認定する処分(以下「本件処分」という。)をした(甲1)。 ウ原告は、本件処分を不服として、令和3年3月16日付けで、地方公務員災害補償基金北海道支部審査会に審査請求をしたところ、同審査会は、同年12月7日、同審査請求を棄却する旨の裁決をした。 エ原告は、令和4年6月5日、本件処分の取消しを求めて本件訴訟を提起- 3 -した(顕著な事実)。 (3) 精神疾患の公務起因性の認定基準被告は、平成24年3月16日付けで、理事長から各支部長に宛て、「精神疾 5日、本件処分の取消しを求めて本件訴訟を提起- 3 -した(顕著な事実)。 (3) 精神疾患の公務起因性の認定基準被告は、平成24年3月16日付けで、理事長から各支部長に宛て、「精神疾患等の公務災害の認定について」(平成24年3月16日地基補第61号。以下「認定基準」という。)を通知した。同基準のうち本件に関係する部分には、要旨、別紙1記載のとおりの記載がある。(乙1)(4) 認定基準の運用指針被告は、平成24年3月16日付けで、補償課長から各支部事務長に宛て、「「精神疾患等の公務災害の認定について」の実施について」(平成24年3月16日地基補第62号)を通知した。同基準のうち本件に関係する部分には、要旨、別紙2記載のとおりの記載がある。(乙17) 2 争点抑うつ状態(適応障害)の発症及び悪化の公務起因性の有無 3 争点についての当事者の主張(原告の主張)(1) 抑うつ状態(適応障害)の発症の公務起因性ア原告は、平成27年8月ころ、不眠、抑うつ、食欲不振、全身の湿疹、倦怠感を覚えるようになり、このころ、抑うつ状態(適応障害)を発症した。 イ標津町職員の所定勤務時間は、午前8時30分から午後5時15分までであるところ、標津町の夜勤者記録によれば、原告は同年6月及び7月には1日6時間の時間外勤務をしていたと推測される。 そして、標津町の時間外勤務命令簿及び夜勤者記録によれば、原告は、同年7月には、平日のうち18日にわたって時間外勤務を行っていたから、平日における時間外勤務の合計は108時間を超える。加えて、原告は同月中、休日にも出勤して時間外勤務を行っていた。 - 4 -原告は、同年6月においても、休日出勤も併せて19日間出勤していたことから、100時間を超える時間外勤務を行っていたと推計 、原告は同月中、休日にも出勤して時間外勤務を行っていた。 - 4 -原告は、同年6月においても、休日出勤も併せて19日間出勤していたことから、100時間を超える時間外勤務を行っていたと推計される。 原告は、同年8月に入っても、修学旅行の受け入れや補助事業の準備などのために業務が落ち着かず、長時間労働が続いたために、睡眠が困難な状況に陥り、必要最低限の睡眠時間を確保できなかった。 ウ原告は、同年6月後半から7月末にかけては、昼間は現場で祭りの準備、夜は祭り関係の事務やその他の日常業務に追われ、課全体として業務過多の状態であったにもかかわらず、課長が一般事務は管理職の仕事ではないと公言するなど、仕事の状況を相談しにくい状況にあった。また、原告は、同年8月以降、前年度未実施のイベントの担当を任されたが、当該イベントの準備が遅滞し、係長に相談しても放任される状況にあった。このように、原告の従事する業務は、質的にも過重であった。 エ以上からすれば、原告が同月ころに抑うつ状態(適応障害)を発症したことと、公務との間には、相当因果関係がある。 (2) 抑うつ状態(適応障害)の悪化の公務起因性ア原告は、平成27年11月6日に実施された歓迎・送別会の翌週から、不眠、抑うつ、食欲不振、職場への強い不安感、頭痛、倦怠感、ふらつきなどの症状を覚え、同月10日に釧路赤十字病院を受診したところ、睡眠薬、抗不安薬を追加されて、自宅で療養することとなった。このように、原告の症状は、このころ悪化した。 イ原告は、同年10月1日に財政課に配属されたが、原告と入れ替わりで商工観光課に異動となった前任者は、同月28日、商工観光課で原告が担当していた仕事に関して原告と通話した際、舌打ちし、ふざけんなやと小声で述べるなどした。 財政課の財政担当兼管財 告と入れ替わりで商工観光課に異動となった前任者は、同月28日、商工観光課で原告が担当していた仕事に関して原告と通話した際、舌打ちし、ふざけんなやと小声で述べるなどした。 財政課の財政担当兼管財担当係長は、同年11月2日、原告との面談において、お前なんて潰そうと思えば簡単に潰せる、死んだ魚のような目を- 5 -している、その目でこっち見るな、むかつくからなどと述べた。同係長は、他の職員と雑談しているときに原告が話に入ると、話を急にやめることがあった。 そして、同係長は、同月6日、原告に対し、財政課・商工観光課の歓迎・送別会の二次会において、「向いてないから辞めた方がいいじゃない」、「試用期間だから、3月にクビにしてもらうように副町長に言うわ」などと原告の人格を否定する発言をした。また、原告と入れ替わりで商工観光課に異動した上記前任者は、同日、原告に対し、「結婚したばかりなのに俺の家庭生活をどうしてくれる」、「俺はお前のことを絶対に許さない。」などと述べた。 財政担当兼管財担当係長らの言動は、業務指導等の範囲を逸脱し、原告の人格や人間性を否定するような嫌がらせ、いじめに該当する。 ウ以上からすれば、原告の症状が同月10日頃に悪化したのは上記イの事情によるものであり、原告の症状の悪化と公務との間には相当因果関係がある。 (被告の主張)(1) 抑うつ状態(適応障害)の発症の公務起因性ア原告は、平成27年9月8日ころ、抑うつ状態(適応障害)を発症した。 イ同年5月から8月までの原告の時間外勤務時間は、時間外勤務命令簿を基本としつつ、夜勤者記録又は出退勤整理簿の記載を反映すると、別紙3「時間外勤務時間」欄のとおりとなる。これによれば、原告が抑うつ状態(適応障害)を発症する1~4か月前において、原告の1か月間の時間外勤 しつつ、夜勤者記録又は出退勤整理簿の記載を反映すると、別紙3「時間外勤務時間」欄のとおりとなる。これによれば、原告が抑うつ状態(適応障害)を発症する1~4か月前において、原告の1か月間の時間外勤務時間は100時間を超えていなかった。 時間外勤務命令簿は、原告の申告に基づき、その労働時間を把握する目的で作成されているものであるから、原告の実勤務時間を検討するにあたっては、これを基本とすることが適切である。これに対し、夜勤者記録は、- 6 -庁舎管理の観点から夜間警備員が作成したものであり、原告の労働時間の把握を目的として作成されたものではない。また、標津町では、平日に時間外勤務をする場合、午後5時15分から午後6時までは休憩時間とされていたため、当該時間は勤務時間に含まれない。 ウ同年7月及び同年8月の原告の業務は、新規採用職員であった原告にとって一定の負担があり、精神的又は肉体的負荷があったことは否定できないものの、地方公共団体の職員であれば、通常想定される程度のものであり、遂行が困難であったとはいえない。また、標津町では原告が新規採用職員であることを踏まえた業務配分がされており、上司、同僚による支援や協力が得られない状況であったとはいえないこと、原告には標津町に採用される前にも2年間の教員経験があったことを考慮すれば、原告の行っていた業務は急激かつ著しい職務内容の変化を伴うものではなく、これにより原告に過重な精神的又は肉体的負荷があったとはいえない。 エ以上のとおり、原告の主張する出来事は、認定基準が挙げる「その他強度の精神的又は肉体的負荷を与える事象」④ないし⑥、⑨、⑫のいずれにも該当しない。したがって、原告が同月ころに抑うつ状態(適応障害)を発症したことと、公務との間に、相当因果関係はない。 (2) 抑うつ状態( 又は肉体的負荷を与える事象」④ないし⑥、⑨、⑫のいずれにも該当しない。したがって、原告が同月ころに抑うつ状態(適応障害)を発症したことと、公務との間に、相当因果関係はない。 (2) 抑うつ状態(適応障害)の悪化の公務起因性ア財政課における原告の前任者が、平成27年10月28日に原告の主張するような発言をしたことはない。仮にあったとしても、原告のミスについて不満を述べたにすぎない。 イ財政課の財政担当兼管財担当係長は、同年11月2日、原告に対し、部下の体調や仕事の状況について、上司として適切かつ相当な助言を行ったにすぎず、それを超えて原告を誹謗中傷するような発言はしていない。原告は、同係長が他の職員と話している際、原告が話に入ろうとすると急に話を止めたと主張するものの、主観的な認識にすぎない。 - 7 -同係長らは、原告に対し、財政課・商工観光課の歓迎・送別会の二次会において、原告の業務態度に対する注意や助言のためにある程度厳しい発言をしたが、原告を一方的に誹謗中傷したものではない。そして、かかる出来事は、酒席での単発的な出来事にとどまるのであり、原告の抑うつ状態(適応障害)を悪化させるほどの精神的負荷を与えるものではない。 ウ以上のとおり、上記の出来事は認定基準が挙げる「その他強度の精神的又は肉体的負荷を与える事象」の⑩に当たらないから、原告の抑うつ状態(適応障害)が悪化したことと公務との間に相当因果関係はない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる(なお、以下では、平成27年の出来事については年の記載を省略することがある。)。 (1) 商工観光課についてア事務分掌商工観光課の事務は、商工労働担当と観光担当とに分かれている。商工労働担当は、商 では、平成27年の出来事については年の記載を省略することがある。)。 (1) 商工観光課についてア事務分掌商工観光課の事務は、商工労働担当と観光担当とに分かれている。商工労働担当は、商業の振興に関すること、鉱、工業の振興に関すること、労政に関すること等を取り扱い、観光担当は、町民祭り、水・キラリ(町民祭りの一つ)に関すること、観光の紹介、宣伝及びイベントに関すること等を取り扱う。(乙4)イ構成員商工観光課では、原告が配属された4月1日当時、D(以下「D課長」という。)が課長兼商工労働担当係長を、E(以下「E係長」という。)が観光担当係長を務め、原告及びF(以下「F」という。)の2名が、課員として商工労働担当事務及び観光担当事務に従事していた(乙3の1)。 このうち、D課長は同日に着任したが、E係長及びFは、前年度も商工観光課に所属しており、商工観光課での経験は2年7か月ほどであった(証- 8 -人D〔1、2頁〕)。 ウ原告の業務内容原告は、商工観光課において、エコ・ツーリズム交流推進事業、観光統計、町民まつり「水・キラリ」、海の公園の運営、観光協会等に関連する業務に従事し、これらの業務において、他の職員の補助的な業務をすることが多かった。もっとも、原告は、砂利採取地不足問題の対応、労働者のための円滑な資金運用に関する広報等の業務、新卒者等の就職状況調査、新たな要領による観光統計調査、観光協会のスタンプラリー、レンタル自転車運営等について、責任者とされていた。(乙19、証人D〔2頁〕、原告本人〔2、3頁〕)(2) 町民まつり「水・キラリ」について町民まつり「水・キラリ」は、毎年夏に2日間にわたって開催される標津町最大のイベントであり、標津町内外から約2万7000人の観光客を集めている。商工観光 (2) 町民まつり「水・キラリ」について町民まつり「水・キラリ」は、毎年夏に2日間にわたって開催される標津町最大のイベントであり、標津町内外から約2万7000人の観光客を集めている。商工観光課は同イベントの事務局となることから、毎年7月から8月にかけては、課全体の業務量が他の月より多くなる。(乙12、13、証人D〔7、8頁〕)平成27年の町民まつり「水・キラリ」は、同年8月1日及び2日に開催された(甲3〔584頁〕、乙19)。 (3) 原告の勤務時間等ア標津町職員の所定勤務時間等標津町職員の勤務日は、国民の祝日に関する法律に規定する祝日及び12月31日から翌年の1月5日までを除く月曜日から金曜日まで(土曜日及び日曜日は週休日)とされており、一日の所定勤務時間は、午前8時30分から午後5時15分までのうち、休憩時間1時間を除く7時間45分であった(甲3〔38頁〕、乙5)。また、標津町の「時間外勤務手当支給執行基準」では、時間外勤務命令4時間につき30分の休憩を取ることと- 9 -されていた(甲3〔81頁〕)。 イ標津町における時間外勤務命令簿について標津町では、平日に時間外勤務を行わせる際、「平日勤務(月から金)の時間外勤務及び深夜勤務命令簿」(以下「平日時間外勤務命令簿」という。)を作成していた。平日時間外勤務命令簿は、時間外勤務を行う職員が、「①実施月日及び曜日」、「②勤務予定時間」及び「③勤務内容」を記載し、決裁権者である課長又は課長補佐が記載内容を確認して「命令及び決裁」欄に決裁印を押印するほか、直接監督責任者が「時間外勤務」欄及び「深夜勤務」欄に勤務時間を記載し、「直接監督責任者の確認印」欄に確認印を押印して作成するものとされていた。また、平日時間外勤務命令簿には、「事務的な時間外勤務の開始は 責任者が「時間外勤務」欄及び「深夜勤務」欄に勤務時間を記載し、「直接監督責任者の確認印」欄に確認印を押印して作成するものとされていた。また、平日時間外勤務命令簿には、「事務的な時間外勤務の開始は午後6時からとすること。」との記載があった。(甲3〔57~61頁〕、乙7の3)ウ標津町における夜勤者記録について標津町役場庁舎では、標津町から委託を受けた業者が夜間警備を行っており、夜間警備員は、庁舎管理のため、「22時以降の夜勤者」と題する書面(以下、単に「夜勤者記録」という。)に午後10時以降に庁舎に残っている職員の氏(人によっては氏名)を記載していた(乙18、証人D〔9頁〕)。 エ標津町における週休日その他の休日における時間外勤務について標津町では、職員に週休日その他の休日に時間外勤務を行わせる際、「週休日、休日における時間外勤務命令」(甲3〔62~66頁〕、乙7の3)を作成し、総務課長、副町長の決裁もされていた。その他、「土曜・日曜・祝日における職員出勤・退勤整理簿」において各職員の出勤時間、退勤時間が手書きで記録されていた(甲3〔70~73頁〕)。 オ原告の時間外勤務時間5月11日から8月31日にかけての原告の実勤務時間は、別紙4記載- 10 -のとおりである(甲3〔23、24、57~73頁〕、乙5、7の3及び4、18。なお、後記(8))。 なお、原告は、午後5時15分以降に業務を行う際も、午後5時15分から午後6時までの間に休憩を取ることがなく、午後6時以降に休憩を取ることもほとんどなかった(甲8、原告本人〔21、22頁〕。なお、後記(8))。 カ時間外勤務時の業務内容原告の時間外勤務時の業務内容は、5月はエコツーリズム協議会の総会資料作成、修学旅行の受入れ対応、観光協会の会費事務及び物販販 21、22頁〕。なお、後記(8))。 カ時間外勤務時の業務内容原告の時間外勤務時の業務内容は、5月はエコツーリズム協議会の総会資料作成、修学旅行の受入れ対応、観光協会の会費事務及び物販販売、6月はエコツーリズム協議会の総会準備、観光課所有施設入込数統計業務及び観光協会経理事務、7月は町民まつり「水・キラリ」の関連業務、8月は「水・キラリ」の準備・運営・片付け及び修学旅行の受入れ業務が主であった(甲3〔57~66頁〕、乙7の3)。原告は、町民まつり「水・キラリ」の前後になると、日中に関連団体との連絡・調整に追われ、午後5時以降に役場での事務作業を行っていた(原告本人〔19頁〕)。 キ他の職員の勤務状況E係長は、5月は1日、6月は3日、7月は12日、8月は1日、平日の午後10時以降に勤務した日があったほか、8月に3日、休日に勤務した日があった。Fは、6月は1日、7月は8日、8月は5日、平日の午後10時以降も勤務した日があったほか、5月に1日、7月に1日、8月に3日、休日に勤務した日があった。(甲3〔63~66、72頁〕、乙7の3、18)(4) 財政課における勤務体制財政課では、10月1日当時、Gが課長を、H(以下「H係長」という。)が財政担当兼管財担当係長を務め、原告及びI(以下「I」という。)の2名が、課員として財政担当事務及び管財担当事務に従事することとなった- 11 -(乙3の2)。Jは、財政課の配属であったが、原告が財政課に配属されたのと入れ替わる形で商工観光課に配属された(乙3の1及び2、21、証人H〔2頁〕)。 (5) 財政課での人間関係等ア H係長は、11月初旬ころ、原告の体調を確認するほか、原告が勤務中に周りの職員を見るなどの業務上の姿勢について指導するために原告と面談した。この際、 2頁〕)。 (5) 財政課での人間関係等ア H係長は、11月初旬ころ、原告の体調を確認するほか、原告が勤務中に周りの職員を見るなどの業務上の姿勢について指導するために原告と面談した。この際、H係長は、原告に対し、死んだ魚のような目をしているなどと述べた。(甲3〔329頁〕、証人H〔4、5、10、11頁〕、原告本人〔6頁〕)イ財政課及び商工観光課では、平成27年11月6日、歓迎・送別会を実施した。H係長は、その二次会において、原告に対し、「向いていない。」、「使い物にならない。」、「辞めた方がいい。」などの発言をした。(乙14、15)(6) 原告の持病について原告は、平成25年10月9日、医師からクローン病の可能性があると診断され、その後クローン病の治療を始めた。原告は、平成27年頃、ほぼ確実にクローン病であるとの診断を受けた。(甲3〔144~310頁〕、原告本人〔10頁〕)(7) 原告の精神科への通院状況ア原告は、9月8日、釧路赤十字病院精神科を受診した。原告は、同科のK医師(以下「K医師」という。)に対し、「それまでは頑張っていたけど、平成27年8月初旬より眠りが浅く、寝ても1時間~1時間半くらいで目が覚める。8月中旬より、全身に湿疹、気分の落ち込みや身体がだるい状況。8月後半から食欲不振、空腹感のなさがある。」、「8月31日にもうダメだと思って、何も考えられなくなって実家(L)に連絡して帰った。」、「正直どうすれば良いか分からない。」などと述べた。(甲3〔323、3- 12 -24頁〕)イ原告は、9月17日、28日にも釧路赤十字病院精神科を受診した。原告は、同日、K医師に対し、結構精神は安定していると思う、薬を飲むとぐっすり眠れるが飲まないと寝つきが悪かったり朝早く目が覚めたりする旨述べた 月17日、28日にも釧路赤十字病院精神科を受診した。原告は、同日、K医師に対し、結構精神は安定していると思う、薬を飲むとぐっすり眠れるが飲まないと寝つきが悪かったり朝早く目が覚めたりする旨述べた。K医師は、部署変更の連絡があったためか、不眠や抑うつ感は軽快している印象があり、表情も良くなっている旨診療録に記載した。 (甲3〔325、326頁〕)ウ原告は、10月15日、釧路赤十字病院精神科を受診した。原告は、同日、K医師に対し、休んでいる間に良くなった皮膚の湿疹が、仕事の再開によりまた出てきた、仕事を再開した当初は睡眠薬を飲まなくても眠れたが、湿疹がひどくなったころから起きてしまうようになった、自分の代わりに商工観光課に戻った人と気まずい関係にあるなどと述べた。K医師は、原告の湿疹について、精神的なものと一概にはいえず、ストレスや不安は病的なものとは思えない旨診療録に記載した。(甲3〔327、328頁〕)エ原告は、11月10日、予約を早めて釧路赤十字病院精神科を受診した。 原告は、K医師に対し、ここ3日ほどは眠れず起きてしまう、何かがあるとかゆみが増し、つゆが出るほど掻いてしまう旨述べた。 また、原告は、K医師に対し、「配置換えになって交代した人に良くは思われてないようです。」、「前にやってた仕事でミスしたところがあって、電話が来てすごい剣幕であれこれ聞かれて、「ふざけんなよ。」て。」、「先週くらいに上司に呼ばれて」、「目が死んでる。て言われました。」と述べた。加えて、原告は、歓送迎会の二次会において、「もといた課長に「向いてないから辞めた方が良いわ」て言われた。」、現在の課の係長から、「「今のままなら辞めた方がいい」て言われて。」などと述べた。 K医師は、原告について、声は小さく、表情はさえず、皮膚症状が強い、再度不眠症 ら辞めた方が良いわ」て言われた。」、現在の課の係長から、「「今のままなら辞めた方がいい」て言われて。」などと述べた。 K医師は、原告について、声は小さく、表情はさえず、皮膚症状が強い、再度不眠症状が出現し、職場に対する恐怖心、強い不安感が見える旨診療- 13 -録に記載したほか、休職を勧め、原告に処方する抗不安薬を追加し、睡眠薬を変更した。(甲3〔328~330頁〕)(8) 事実認定の補足説明(原告の実勤務時間について)ア前記(3)オについて、原告は、商工観光課での勤務において、平日の午後5時15分以降に残業する際はほとんど休憩を取らずに勤務していた旨を主張し、その本人尋問においてこれに沿う供述をするところ(原告本人〔21、22頁〕)、かかる供述は、他の商工観光課職員が繁忙期を中心に午後10時以降の時間外勤務を余儀なくされていたこと(前記(2)、(3)キ)に整合している。 これに対し、被告は、平日の勤務において午後5時15分から午後6時までは休憩時間であったと主張し、D課長の作成した陳述書(乙20)にも、緊急な事務の対応が必要な場合を除いては、午後6時までを休憩時間とするよう職員に対し指示していたなどとの記載がある(5頁)。しかし、D課長は、令和2年7月頃、原告が定時以降午後6時までの間に休憩を取っていたかについての処分行政庁からの照会に対して、「概ね仕事をしていたと思われるが、課内職員も同様である。休憩は上司からの指示でなく自らが取るものではないか」と回答しており(乙12)、その記載内容は上記陳述書の記載内容と明らかに矛盾する。そして、D課長は、自らは午後5時15分以降に職場に残っていたことがなく、午後5時15分以降の職員の様子を見たことはないと証言しており(証人D〔15、16頁〕)、時間外勤務をした際の原告の様子 る。そして、D課長は、自らは午後5時15分以降に職場に残っていたことがなく、午後5時15分以降の職員の様子を見たことはないと証言しており(証人D〔15、16頁〕)、時間外勤務をした際の原告の様子を直接確認したことはないのであるから、原告の休憩時間に関する上記陳述書の記載は採用できない。 また、平日時間外勤務命令簿には、時間外勤務の開始時刻としてほとんど「18:00」と記載され、これより早い時刻が記載されている日はないものの、そもそも同命令簿には時間外勤務の開始を午後6時とする旨の記載があることから、これを記入した原告が、時間外勤務の開始としてこ- 14 -れより早い時刻を書くことを避けていたものと推認され、時間外勤務の実際の開始時刻を正確に記載したものとは認め難い。 以上によれば、午後5時15分以降に時間外勤務をする際はほとんど休憩時間を取らなかったとの原告の上記供述は、当時の商工観光課の繁忙状況に整合しており、これと矛盾する事情は認められないから、これを信用することができる。 イ被告は、夜勤者記録の記載について、庁舎管理の観点から夜間警備員が作成したものであり、職員の労働時間の把握を目的として作成されたものではないと主張し、D課長は、委託を受けた夜間警備員が職員の容姿を把握していたか不明である旨証言する(証人D〔17頁〕)。しかし、夜勤者記録は庁舎管理のために委託された業務の一環として作成されるものである以上、内容の正確性が求められることに変わりはなく、職員の容姿を把握していない者であっても、席の配置などから残っている職員が誰であるかは把握できる。そして、夜勤者記録の体裁として、各日の午後10時から午前1時以降まで、1時間ごとに残留している職員の氏(人によっては氏名)を記録していることにも照らせば、その記載内容を信用す あるかは把握できる。そして、夜勤者記録の体裁として、各日の午後10時から午前1時以降まで、1時間ごとに残留している職員の氏(人によっては氏名)を記録していることにも照らせば、その記載内容を信用することができる。 ウ以上を前提として、原告の実勤務時間を検討する。 標津町の職員の勤務時間及び休暇等に関する規則によれば、職員の始業時刻は午前8時30分であるから、原告の始業時刻は、別途の証拠がない限り、午前8時30分と認める(認定事実(3)ア)。また、原告の終業時刻は、平日時間外勤務命令簿と夜勤者記録の記載が相違しない場合には、平日時間外勤務命令簿のとおりとし、これらが相違する場合には、上記イにより、夜勤者記録の記載のとおりとする。そして、上記アからすれば、午後5時15分から終業時刻に至るまで、原告が休憩することはなかったものとして、原告の実勤務時間を算定すべきである。 - 15 -したがって、原告の実勤務時間は、別紙4のとおり認められる。 2 争点について(1) 精神障害の公務起因性についてア地方公務員災害補償法に基づく補償は、地方公務員の公務上の災害(負傷、疾病、障害又は死亡)に対して行われるところ(同法1条)、公務員の疾病等を公務上の災害と認めるためには、公務と当該疾病等との間に相当因果関係(公務起因性)が認められることが必要である(最高裁昭和50年(行ツ)第111号同51年11月12日第二小法廷判決・裁判集民事119号189頁参照)。 そして、地方公務員災害補償制度は、公務に内在する危険が現実化して公務員に疾病等の結果をもたらした場合に、被災職員が所属する地方公共団体等に過失がなくとも、その危険を負担させ損失の補償をさせるとの危険責任の法理に基づくものであるから、上記の相当因果関係が認められるためには、当該 果をもたらした場合に、被災職員が所属する地方公共団体等に過失がなくとも、その危険を負担させ損失の補償をさせるとの危険責任の法理に基づくものであるから、上記の相当因果関係が認められるためには、当該疾病等の結果が、当該公務に内在する危険が現実化したものであると認められることが必要である(最高裁平成6年(行ツ)第24号同8年1月23日第三小法廷判決・裁判集民事178号83頁、最高裁同4年(行ツ)第70号同8年3月5日第三小法廷判決・裁判集民事178号621頁参照)。 イ精神疾患に関しては、環境由来のストレスと個体側の反応性、脆弱性との関係で精神的破綻が生じるかどうかが決まるという考え方である「ストレス-脆弱性」理論が一般的に受け入れられており、同理論によれば、ストレスが非常に強ければ個体側の脆弱性が小さくても精神疾患が起こり、逆に脆弱性が大きければストレスが小さくても破綻が生じる関係にある。 もっとも、上記のとおり、地方公務員災害補償制度が危険責任の法理に基づくものであることからすれば、公務の危険性の有無は、平均的な地方公務員、すなわち、何らかの個体側の脆弱性を有しながらも、当該公務員- 16 -と職種、職場における立場、経験等の点で同種の者であって、特段の勤務軽減まで必要とせずに通常業務を遂行することができる者を基準として、当該公務が精神疾患を発症・悪化させるほどの心理的負荷を加えるものといえるかによって判断すべきと解される。 なお、認定基準は、被告内部の通知にすぎず、裁判所はこれに拘束されるものではないが、同基準は、「ストレス-脆弱性」理論をはじめとする精神医学上の知見に依拠したものといえるから、精神疾患の公務起因性の判断に当たっての一般的な経験則として、これを参照するのが相当である。 (2) 抑うつ状態(適応障害)の 脆弱性」理論をはじめとする精神医学上の知見に依拠したものといえるから、精神疾患の公務起因性の判断に当たっての一般的な経験則として、これを参照するのが相当である。 (2) 抑うつ状態(適応障害)の発症時期原告の抑うつ状態(適応障害)の発症時期について、原告は8月ころであると主張するのに対し、被告は9月8日ころであると主張する。 前記前提事実(1)エに加え、原告がK医師に説明していた内容(認定事実(7)ア)に照らせば、原告の症状は8月から徐々に悪化し、9月8日に抑うつ状態(適応障害)と診断されるに至ったものと認められるが、8月中に抑うつ状態(適応障害)といえるまでに至っていたと認めるに足る証拠はない。 したがって、原告の抑うつ状態(適応障害)は、9月8日ころに発症したものと認められる。 (3) 原告の業務による精神的・肉体的負荷ア原告は、4月1日に標津町に採用され、商工観光課に配置されたところ、認定事実(1)ウのとおり、原告が商工観光課において従事した業務は幅広く、かつ、小学校教員として勤務していた前年度までの原告の業務内容とは大きく異なる内容のものであった。 そして、原告は、砂利採取地不足問題の対応、労働者の円滑な資金運用のための広報活動、新卒者等の就職状況調査、新たな要領による観光統計調査、観光協会のスタンプラリー、レンタル自転車運営等、複数の業務について、採用当初から自らが責任者として従事していた(認定事実(1)ウ)。 - 17 -さらに、商工観光課は多忙な課であり、勤務経験のある職員であっても、繁忙期を中心に、午後10時以降まで残って業務することや、休日に勤務することがあった(認定事実(3)キ)。特に、町民まつり「水・キラリ」の前後である7月から8月にかけては、課全体としての業務量が他の月より多くなっており 0時以降まで残って業務することや、休日に勤務することがあった(認定事実(3)キ)。特に、町民まつり「水・キラリ」の前後である7月から8月にかけては、課全体としての業務量が他の月より多くなっており、当該イベントの規模、開催日、商工観光課の役割の重要性等を考慮すれば(認定事実(2))、商工観光課の職員4名は、限られた期間・人員で大量の業務に対応しなければならず、配属されたばかりの原告も相当量の業務に対応する必要があったと認められる。また、午後6時までの休憩時間に関する処分行政庁からの照会に対するD課長の回答内容(認定事実(8))に照らせば、原告の労務管理は積極的にされておらず、原告は業務量や残業時間について上司に相談できない状況にあったと認められる。 以上のとおり、平成27年4月に原告が採用されて以降、配属先において、幅広く、かつ従前と異なる業務に従事したことや、業務量が多かった一方で、上司に相談することもできない状況にあったことに照らすと、原告が他の職員と比べて補助的な業務に多く従事していたことを考慮しても、その業務内容は質的に過重なものであったといえる。 イ原告は、7月6日から8月5日までの間の1か月間に、合計123時間10分の時間外勤務を行った。このうち、原告は、7月21日から8月4日までの間に、15日連続で勤務しており、その中には午前8時から翌朝午前1時までの15時間(休憩時間を除く。)の勤務が含まれ、当該期間における1日の勤務時間の平均は、11時間を超えていた。また、原告は、7月6日以前の期間においても1か月合計30時間を超える時間外勤務を行っていた。(認定事実(3)オ、(8)、別紙4)したがって、原告の業務内容は、量的にも過重なものであったといえる。 ウ以上のとおり、平成27年4月以降、原告の従事する業務内容が著 時間外勤務を行っていた。(認定事実(3)オ、(8)、別紙4)したがって、原告の業務内容は、量的にも過重なものであったといえる。 ウ以上のとおり、平成27年4月以降、原告の従事する業務内容が著しく- 18 -変化したことのほか、原告が抑うつ状態(適応障害)を発症する前の業務の質・量を総合的に考慮すれば、原告においては、認定基準「その他強度の精神的又は肉体的負荷を与える事象」の⑤、⑥、⑨に直ちに該当するとまではいえないとしても、これらの内容と同等といえる程度に強度な精神的・肉体的負荷が業務によって生じていた(同⑫)と認めるのが相当である。 (4) 業務以外の負荷について認定事実(6)のとおり、原告は、平成25年10月9日にクローン病の可能性があるとの診断を受け、平成27年においてもその治療を続けており、同年には、ほぼ確実にクローン病である旨の診断を受けたことから、原告には、業務以外にも精神的・肉体的負荷を生じさせ得る事情があったとも考えられる。 しかし、上記のとおり、原告は、抑うつ状態(適応障害)を発症する約2年前にクローン病の可能性を知り、これに対する治療を継続してきたのであるから、原告が抑うつ状態(適応障害)を発症した時点において、クローン病によって特段の精神的・肉体的負荷が生じていたとは認められない。 (5) 以上より、原告には、業務による強度の精神的又は肉体的負荷が認められ、かつ、業務以外の負荷及び個体側要因が特段認められないから、原告の抑うつ状態(適応障害)の発症には、公務起因性があると認められる。 したがって、その余の点について判断するまでもなく、原告の抑うつ状態(適応障害)を公務外の災害と認定した本件処分は違法であり、取消しを免れない。 3 結論よって、原告の請求は理由があるからこれを認容するこ の余の点について判断するまでもなく、原告の抑うつ状態(適応障害)を公務外の災害と認定した本件処分は違法であり、取消しを免れない。 3 結論よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとし、主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第5部- 19 - 裁判長裁判官守山修生 裁判官渡貫昭太 裁判官斎 藤 由里阿 - 20 -(別紙1)ア対象疾病等本通知で対象とする疾病(以下「対象疾病」という。)は、国際疾病分類第10回修正版(「ICD-10」という。)第Ⅴ章「精神および行動の障害」に分類される精神疾患であって、器質性のもの及び有害物質に起因するものを除くものとする。 対象疾病のうち、業務に関連して発症する可能性のある精神疾患は、主としてICD-10のF2からF4までに分類される精神疾患とする。 イ認定要件公務が原因で精神疾患を発症したとして公務災害認定請求のあった事案においては、当該精神疾患が対象疾病に該当し、かつ、次の要件をいずれも満たして発症したときに、地方公務員災害補償法施行規則別表第1第9号に該当する疾病として取り扱う。 (ア) 対象疾病発症前のおおむね6か月の間に、業務により強度の精神的又は肉体的負荷を受けたことが認められること。 ここで、「業務により強度の精神的又は肉体的負荷を受けたこと」とは、具体的に、次のいずれかのような事象を伴う業務に従事したことをいう。 ・人の生命にかかわる事故への遭遇・その他強度の精神的又は肉体的負荷を与える事象(イ) 業務以外の負荷及び個体側要因により対象疾病を発症したとは認められないこと。 ウ業務による負荷の検討業務による精神的又は肉体的負荷について、上記 の精神的又は肉体的負荷を与える事象(イ) 業務以外の負荷及び個体側要因により対象疾病を発症したとは認められないこと。 ウ業務による負荷の検討業務による精神的又は肉体的負荷について、上記イ(ア)の事象の有無を判断するため、対象疾病発症前のおおむね6か月の間に、対象疾病の発症に関与したと考えられる業務による出来事(対人関係のトラブルを含む。)- 21 -として、具体的にどのようなものがあったのかを把握し、その出来事に対応した適当な着眼事項に基づいて分析した上で、その負荷の強さを検討する。 そして、上記の検討の結果、その出来事が次の(ア)又は(イ)に掲げる場合に該当するときは、上記イ(ア)に該当する事象があったものと判断できることとする。 (ア) 人の生命にかかわる事故への遭遇略(イ) その他強度の精神的又は肉体的負荷を与える事象①~③、⑦、⑧、⑪ 略④ 発症直前の1か月におおむね160時間を超えるような、又は発症直前の3週間におおむね120時間以上の時間外勤務を行ったと認められる場合(手待時間が多い等の勤務密度が特に低い場合を除く。)⑤ 発症直前の連続した2か月間に1月当たりおおむね120時間以上の、又は発症直前の連続した3か月間に1月当たりおおむね100時間以上の時間外勤務を行ったと認められる場合⑥ 発症直前の1か月以上の長期間にわたって、質的に過重な業務を行ったこと等により、1月当たりおおむね100時間以上の時間外勤務を行ったと認められる場合⑨ 機構・組織等の改革又は人事異動等による、急激かつ著しい職務の内容の変化を伴う業務に従事したと認められる場合⑩ 職場でひどい嫌がらせ、いじめ又は暴行を執拗に受けたと認められる場合⑫ ①から⑪までに準ずるような業務による負荷があったと認められる い職務の内容の変化を伴う業務に従事したと認められる場合⑩ 職場でひどい嫌がらせ、いじめ又は暴行を執拗に受けたと認められる場合⑫ ①から⑪までに準ずるような業務による負荷があったと認められる場合エ業務以外の負荷及び個体側要因の検討(ア) 業務以外の負荷の検討- 22 -対象疾病発症前のおおむね6か月の間に、被災職員自身の出来事、被災職員の家族の出来事、金銭関係などの業務以外の出来事が認められる場合には、それらの出来事が客観的に対象疾病を発症させるおそれのある程度のものと認められるか否かについて検討する。 (イ) 個体側要因の検討精神疾患の既往歴、社会適応状況における問題、アルコール等依存症、性格傾向における偏りが認められる場合には、それらの個体側要因が客観的に対象疾病を発症させるおそれのある程度のものと認められるか否かについて検討する。 オ公務起因性についての考え方被災職員が対象疾病を発症し、かつ、上記ウ及びエの検討の結果、次の(ア)又は(イ)に該当する場合は、上記イの要件を満たすものとする。 (ア) 業務による強度の精神的又は肉体的負荷が認められ、かつ、業務以外の負荷及び個体側要因が特段認められない場合(イ) 業務による強度の精神的又は肉体的負荷が認められ、かつ、業務以外の負荷及び個体側要因の両方又はそのいずれかが認められるものの、それらが明らかに対象疾病の発症の有力な原因となったとは認められない場合カ精神疾患の悪化の公務起因性既に公務外で精神疾患を発症して治療が必要な状態にある者については、極めて強い業務による負荷を生じさせる出来事が認められる場合であって、その出来事の後おおむね6か月以内に対象疾病が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められるときに限り、その出来事が悪 ては、極めて強い業務による負荷を生じさせる出来事が認められる場合であって、その出来事の後おおむね6か月以内に対象疾病が自然経過を超えて著しく悪化したと医学的に認められるときに限り、その出来事が悪化の原因であると推認して、悪化した部分について公務起因性を認めることもあり得る。 - 23 -(別紙2)ア別紙1ウ(イ)の例のうち、時間外勤務の時間数を指標にしているものについては、勤務を行った時間及びそれ以外の業務に関する活動を行った時間のうち、1週当たり40時間(1日当たり8時間)を超える時間(以下、当該時間に係る勤務及び活動を「時間外勤務等」という。)を対象とする。 イ時間外勤務等の過重性は、次のとおり検討する。 (ア) 時間外勤務等の過重性の検討にあたっては、時間外勤務等の時間数だけでなく、その必要性、勤務密度及び内容を考慮する。また、時間外勤務等の時間帯、不規則性、実質的な睡眠時間の確保等の状況も、必要に応じて考慮する。 (イ) 時間外勤務等の過重性は、原則的にその原因となった出来事等の過重性と関連させて検討する(特に、1月当たりおおむね80時間以上の時間外勤務等を行っていた場合には、留意する)。 ※別紙3は掲載を省略する。
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