昭和33(オ)451 売掛代金請求

裁判年月日・裁判所
昭和35年8月30日 最高裁判所第三小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件上告を棄却する。      上告費用は上告人の負担とする。          理    由  上告代理人松井康浩の上告理由第一点所論二の(1)について。  原判示によれば、

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判決文本文1,806 文字)

主文本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理由上告代理人松井康浩の上告理由第一点所論二の(1)について。 原判示によれば、相殺禁止の特約がなされたのは上告人がDに対し昭和二八年四月二八日付証明書(甲第五号証)を発行したときであり、また右特約の内容はDの上告人に対する罐代金債権を受働債権とする上告人の相殺を禁ずる趣旨で、上告人の自働債権には限定がないことは明らかである。そして、相殺禁止の特約においては、自働、受働各債権がいずれも特定していなければならないものではないし、また特約の当時相殺適状にある債権についてのみなしうるものでもないことはもちろんであるから、所論は理由がない。 所論二の(2)、(3)について。 原判決の判示によれば、DはもしDの上告人に対する罐代金債権が上告人に対する既存債務と差引勘定されることになれば被上告人に対する本件債務を弁済することができなくなることを心配し、この心配を除くため被上告人の要求に従い上告人に対し必ず現金で支払うとの表現を用いる確約を求めたというのであるから、Dとしては本件債務の弁済期以前に所論債務のうちにDの上告人に対する罐代金債権と差引勘定される可能性のあるものがあることを知つてこれを心配したものであることは明らかである。従つて原判決は所論債務の弁済期について直接明示していないが、判示諸事情を綜合して判示結論に達したものであり、その判断は首肯しうるので、所論は理由がない。 所論二の(4)について。 原判決の「被控訴人はこれを承諾して云々」との判示からみて、原判決は上告人- 1 -が被上告人、D間の判示事情を諒承の上証明書を発行したと認定判示しているものと解され、この事実は挙示の証拠から肯認するに難くないので、所論は採る して云々」との判示からみて、原判決は上告人- 1 -が被上告人、D間の判示事情を諒承の上証明書を発行したと認定判示しているものと解され、この事実は挙示の証拠から肯認するに難くないので、所論は採るをえない。 されば、二(5)(6)の要論はすべて理由がなく、原判決には所論の違法はない。 所論三について。 原判決を通読すれば、原判決の所論解釈をなした根拠は、現金払という文字には常に相殺禁止の意味があるとするものではなく、現金払の表現を用いた合意がなされた判示事情からみれば、この合意は、通常支払方法としてなされる現金払か手形払かの約定の意味をこえ、必ず現実に現金をもつて弁済を履行することを約したものとし、このような意味からして相殺禁止の特約を内容とするものと解釈したことは明らかである。そしてこのような解釈が経験則上許されないものでないことはもちろんであるから、所論は理由がない。 同第二点について。 民法五〇五条二項の規定は特約当事者間に弁済が円滑に行われている場合にのみ適用されると解しなければならない理由はなく、また右特約は弁済の円滑に行われることを前提としてなされるのが通常であるともいいえない。さらに本件においても、現金払の表現を用いた合意を相殺禁止の特約を内容とするものと解するにあたり、多数の不渡手形の発生または倒産のような場合を除外したと解すべき資料は認められないばかりでなく、逆に原判決が判示するように、右合意をなした当時のDの経営状況、信用状態から、D、被上告人がともに差引勘定のおそれめることを心配し、上告人はその間の事情を諒承して現金払を確約したというのであるから、この合意は不渡手形の発生のような事態を予見してなされたものであることをうかごうに足る。従つてまた、合意当時の事情が変更したことにより合意は拘束力を持た- 2 現金払を確約したというのであるから、この合意は不渡手形の発生のような事態を予見してなされたものであることをうかごうに足る。従つてまた、合意当時の事情が変更したことにより合意は拘束力を持た- 2 -なくなつたと解すべき何らの理由も認められない。所論は民法五〇五条二項の規定について独自の見解を披瀝するものにすぎず、原判決には所論のような法令ないし経験則の違反は認められない。 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官島保裁判官河村又介裁判官垂水克己裁判官高橋潔裁判官石坂修一- 3 -

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