平成23(ワ)33365 職務発明譲渡対価請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年12月19日 東京地方裁判所
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平成26年12月19日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成23年(ワ)第33365号職務発明譲渡対価請求事件口頭弁論の終結の日平成26年11月4日判決 原告 A同訴訟代理人弁護士水口洋介金井克仁 被告株式会社セガ同訴訟代理人弁護士川田 篤同訴訟復代理人弁護士町田健一 主文 1 被告は,原告に対し,60万円及びこれに対する平成23年10月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを500分し,その3を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求被告は,原告に対し,1億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は,被告の従業者であった原告が,被告に対し,職務発明について特許を受ける権利を被告に承継させたことにつき,特許法35条(平成16年法律第79号による改正前のもの。以下同じ。)3項の規定に基づき,相当の対価合計32億0720万円(名称を「物体識別方法及び装置」とする発明について9億0720万円,名称を「競争ゲーム装置及びその制御方法」とする発明について23億円)のうち1億円及びこれに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに各項末尾掲記の証拠及び弁論の全趣旨 これに対する訴状送達の日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに各項末尾掲記の証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実)(1) 当事者被告は,アミューズメントマシン及び家庭用ゲーム機の製造販売等を事業とする株式会社である。原告は,昭和58年3月に被告に入社して,第1研究開発部新技術開発課に所属し,平成元年に退職したが,平成4年7月に再び被告に入社して,平成10年1月に退職した。原告は,被告在職中,ゲーム装置の開発に従事していた。 (2) 被告による特許権の取得等ア物体識別方法及び装置に関する発明について(ア) 原告は,昭和61年頃,物体識別方法及び装置に関する発明(以下「本件発明1」という。)をした。本件発明1は,その性質上被告の業務範囲に属し,かつ,発明に至った行為が被告における原告の職務に属するものであって,特許法35条1項所定の職務発明に当たる。 (イ) 被告は,原告から本件発明1について特許を受ける権利を承継し,昭和61年10月6日,発明の名称を「物体識別方法及び装置」とし,原告を発明者として特許出願をし,平成8年9月19日にその特許権(特許番号第2564120号。以下「本件特許権1」といい,この 特許を「本件特許1」という。)の設定登録を受けた。請求項の数は6である。 (ウ) 本件特許1に対し特許異議の申立て(平成9年異議第72838号事件)がされ,同事件の係属中の平成10年1月5日,被告は,明細書の特許請求の範囲の訂正をした。この訂正は,請求項2及び3を削除し,請求項1及び4の記載を訂正して請求項4ないし6を請求項2ないし4にそれぞれ訂正するというものである。特許庁は, 日,被告は,明細書の特許請求の範囲の訂正をした。この訂正は,請求項2及び3を削除し,請求項1及び4の記載を訂正して請求項4ないし6を請求項2ないし4にそれぞれ訂正するというものである。特許庁は,同年6月30日,訂正を認め,特許請求の範囲請求項1及び2に記載された発明についての特許を維持するとの決定をし,同決定は,その頃確定した。上記訂正後の特許請求の範囲の記載は別紙「訂正後の特許請求の範囲の記載1」に記載のとおりである。 (甲1,乙32,33)(エ) 本件特許権1は,平成18年10月16日,存続期間満了により消滅した。 (オ) 被告は,平成13年まで,本件発明1を実施して,ワールドビンゴ,ビンゴパーティというビンゴゲーム機(以下「被告ビンゴゲーム機」という。)を製造,販売したが,これについて,他社に実施許諾をしたことはない。 イ競争ゲーム装置及びその制御方法に関する発明について(ア) 被告従業者は,昭和63年春頃,競争ゲーム装置及びその制御方法に関する発明をした。上記発明は,その性質上被告の業務範囲に属し,かつ,発明に至った行為が被告における被告従業者の職務に属するものであって,特許法35条1項所定の職務発明に当たる。 (イ) 被告は,被告従業者から上記発明について特許を受ける権利を承継し,昭和63年4月9日,発明の名称を「競争ゲーム装置及びその制御方法」とし,原告を発明者として特許出願(以下「本件原々々出 願2」という。)をし,平成9年5月9日に特許権(特許番号第2645851号)の設定登録を受けた。被告は,平成8年12月12日,本件原々々出願2の一部を新たな特許出願(以下「本件原々出願2」という。)とし,平成10年12月11日に特許権(特許番号第2861978号)の設定登 設定登録を受けた。被告は,平成8年12月12日,本件原々々出願2の一部を新たな特許出願(以下「本件原々出願2」という。)とし,平成10年12月11日に特許権(特許番号第2861978号)の設定登録を受けた。被告は,平成10年8月28日,本件原々出願2の一部を新たな特許出願(以下「本件原出願2」という。)とし,平成11年8月13日に特許権(特許番号第2965035号)の設定登録を受けた。 被告は,平成11年6月7日,本件原出願2の一部を新たな特許出願(以下「本件出願2」という。)とし,平成12年7月7日に特許権(特許番号第3084412号。以下「本件特許権2」といい,この特許を「本件特許2」という。)の設定登録を受けた。請求項の数は12である。 (ウ) 被告は,平成17年3月28日,本件特許2について,明細書の特許請求の範囲の訂正審判を請求した。この訂正は,請求項1ないし5及び7ないし11を削除し,請求項6及び12をそれぞれ請求項1及び2とし,それぞれを訂正するというものである。特許庁は,平成17年6月16日,訂正を認めるとの審決をし,同審決は,その頃確定した。上記訂正後の特許請求の範囲の記載は,別紙「訂正後の特許請求の範囲の記載2」に記載のとおりである(以下,訂正後の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る発明を「本件発明2-1」及び「本件発明2-2」という。)。 (乙1の1・2)(エ) 本件特許権2は,平成20年4月9日,存続期間満了により消滅した。 (オ) 被告は,本件原々々出願2及び本件原々出願2並びに本件原出願 2に係る発明及び本件発明2-1及び2を実施して,ワイルドダービー,ロイヤルアスコット,エキサイティングボートレースというゲーム機(以下,併せて「被告競馬ゲーム機」という。)を製造,販売するととも 2に係る発明及び本件発明2-1及び2を実施して,ワイルドダービー,ロイヤルアスコット,エキサイティングボートレースというゲーム機(以下,併せて「被告競馬ゲーム機」という。)を製造,販売するとともに,これらについて,他社に実施許諾をし,平成12年4月1日から平成15年3月31日までに●(省略)●の実施料収入を得た。 (3) 被告における補償金に関する職務規程及びその運用ア被告は,職務発明等について,「従業員による発明等に対する補償規則」(以下「補償規則」という。)を定めていて,その対象となる補償を,出願補償,登録補償,実績補償及び特別補償の4つに区分し(2条),それぞれの額及び支給手続などについては,細則に基づくものとしている(3条1項)。なお,補償対象者である従業者が退職しても,これにより生じた補償金を受ける権利は消滅しないとしている(7条)。 イ 「実績補償細則」(以下「補償細則」という。)は,国内で登録済みの特許権等で,その実施によって被告が相当の利益を受けたと認められるもの又はこれを他社へ実施許諾すること等によって被告が相当の実施料収入を得たものを対象として,毎年4月1日から支給該当年3月31日までの1年間の国内における実施実績及び当該期間における実施許諾に基づく実施料収入の額について調査を行い(3条1項),知的財産権部は,調査の結果を基に補償金の額を評定して,その評定結果を経営会議へ諮り(7条1項),経営会議は,知的財産権部の評定結果について審議し,補償金支給の可否,支給時期及び支給額について決定するとしている(同条2項)。なお,補償対象者が退職者(懲戒解雇者を除く。)である場合は,対象者又はその相続人から請求があれば次期に補償し,請求がない場合は補償を留保し,民法に定める時効により消失するとしている(8条3 項)。なお,補償対象者が退職者(懲戒解雇者を除く。)である場合は,対象者又はその相続人から請求があれば次期に補償し,請求がない場合は補償を留保し,民法に定める時効により消失するとしている(8条3項)。 ウ補償規則及び実績補償細則の運用被告は,平成7年度から実績補償制度を導入し,各事業年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)の実施実績などについて,その事業年度の終了後に調査をすることにしたが,平成7年度の調査は,その時点において登録されていた特許について,実績補償制度の導入前の実績についても遡及的に調査をした。この調査は,翌事業年度又は翌々事業年度には終了し,知的財産権部が補償金の額を評定して,経営会議に諮り,経営会議が決定した支給時期に補償金が支払われた。なお,被告は,補償金の額の算定に際し当初の出願に係る発明と当初の出願を分割した出願に係る発明とを二重に評価することにならないよう,当初の出願に係る発明において当初の出願を分割した出願に係る発明を含む全体の実績を評価して,補償金の額を評定していた。 被告は,退職者に係る発明の実績補償金については,その額の評定をして支払金額を確定したが,支払を留保した。 経営会議が決定した実績補償金の支給時期は,平成7年度(平成7年4月1日から平成8年3月31日)分が平成8年7月24日,平成8年度(平成8年4月1日から平成9年3月31日)分が平成9年11月21日,平成9年度(平成9年4月1日から平成10年3月31日)分が平成11年1月20日,平成10年度(平成10年4月1日から平成11年3月31日)分が平成12年5月11日,平成11年度(平成11年4月1日から平成12年3月31日)分が平成13年4月27日,平成12年度(平成12年4月1日から平成13年3月31日)分が平成 1年3月31日)分が平成12年5月11日,平成11年度(平成11年4月1日から平成12年3月31日)分が平成13年4月27日,平成12年度(平成12年4月1日から平成13年3月31日)分が平成14年5月13日,平成13年度(平成13年4月1日から平成14年3月31日)分が平成15年5月20日であった。 (乙2)(4) 被告による実績補償金の支払 原告は,平成22年4月16日,被告に対し,本件発明1並びに本件発明2-1及び2を含む複数の発明について実績補償金の支払を請求した。 被告は,同日,原告に対し,本件発明1についての実績補償金として10万円を,本件原々々出願2及び本件原々出願2並びに本件原出願2に係る発明及び本件発明2-1及び2について被告による実施に係る実績補償金として44万円,実施料に関する実績補償金として●(省略)●をそれぞれ支払う旨を告げ,平成22年5月21日,原告に対し,これを支払った。 (甲3,乙2,23)(5) 消滅時効の援用被告は,平成23年11月22日の本件口頭弁論期日において,原告に対し,本件発明1並びに本件発明2-1及び2について,平成11年度以前に支払時期が到来した相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効を援用するとの意思表示をした。 2 争点(1) 本件発明1についてア相当の対価の額(ア) 被告が受けるべき利益の額(イ) 被告が貢献した程度(ウ) 共同発明者の有無イ消滅時効の成否(2) 本件訂正発明2-1及び2についてア原告が本件発明2-1及び2の発明者かイ相当の対価の額(ア) 被告実施に係る部分について被告が受けるべき利益の額(イ) 被告が貢献した -1及び2についてア原告が本件発明2-1及び2の発明者かイ相当の対価の額(ア) 被告実施に係る部分について被告が受けるべき利益の額(イ) 被告が貢献した程度(ウ) 共同発明者の有無 (エ) 他の発明の貢献の程度ウ消滅時効の成否 3 争点に関する当事者の主張(1) 本件発明1についてア相当の対価の額(ア) 原告a 被告が受けるべき利益の額被告ビンゴゲーム機の平成13年度までの売上高は,被告直営店におけるゲーム機による収益を併せて224億円を下らない。原告が本件発明1をした頃,数字のついた玉を扱うビンゴゲーム機は存在しなかったが,本件発明1により,複数の数字のついた玉をランダムに抽出し,その数字を読んでいくことでゲームを進めるビンゴゲーム機が実現し,これにより,被告は,長期間,多額の売上げを得ることができた。そうであるから,本件発明1による超過売上高は,被告ビンゴゲーム機の売上高の60%である。被告は,ゲームセンター用ゲーム機を製造し,直接これを販売するが,その利益率は高いから,仮想実施料率は15%である。 そうすると,本件発明1により被告が受けるべき利益の額は20億1600万円である(224億円×60%×15%=20億1600万円)。 b 被告が貢献した程度被告は玉読取式に関する技術を有しておらず,原告が拒絶査定や異議申立てに対応したのであるから,被告が玉読取式を発案して原告に研究を指示したことを考慮しても,被告が貢献した程度は55%である。 c 共同発明者の有無 被告の当時の第1研究開発部新技術開発課のB(以下「B」という。)は本件発明1の したことを考慮しても,被告が貢献した程度は55%である。 c 共同発明者の有無 被告の当時の第1研究開発部新技術開発課のB(以下「B」という。)は本件発明1の共同発明者でなく,本件発明1に共同発明者はいない。 d したがって,原告の主張する相当の対価の額は,9億0720万円である(20億1600万円×(1-0.55)=9億0720万円)。 (イ) 被告a 被告が受けるべき利益の額被告ビンゴゲーム機の平成10年度から13年度までの売上高は,3億5000万円である。被告直営店におけるビンゴゲーム機による収益は,法定通常実施権の範囲であるから,売上高に含まれない。 また,平成11年頃から本件発明1の代替技術としてICタグが普及し,玉番号読取式のビンゴゲーム機には穴番号読取式のビンゴゲーム機という代替製品も存在するのであって,ゲーム機における企画の重要性を考えれば,本件発明1による超過売上高は,被告ビンゴゲーム機の売上高の10%を超えない。本件発明1は,競業他社から実施許諾の申入れがされたことがないし,ICタグが普及し始めた平成11年以降は本件発明1についての実施許諾を受ける意義は失われ,その市場価値は限りなく低いから,仮想実施料率は,およそ1%を超えるものではない。 そうすると,本件発明1により被告が受けるべき利益の額は,高くても35万円である(3億5000万円×10%×1%=35万円)。 b 被告が貢献した程度被告の当時の新商品の企画力,資金力,営業力及びブランド力,本件発明1をするに至った経緯,本件発明1について特許を受ける までの事情,被告ビンゴゲーム機の製品化及び販売における原告の関与の低さなどを考慮すれば,被告の 金力,営業力及びブランド力,本件発明1をするに至った経緯,本件発明1について特許を受ける までの事情,被告ビンゴゲーム機の製品化及び販売における原告の関与の低さなどを考慮すれば,被告の貢献度は95%を下回るものではない。 c 共同発明者の有無Bは,3本の検出用コイルを3次元に設ける構成を創作したものであって,本件発明1の共同発明者であり,その寄与した割合は3分の1である。 d したがって,被告の主張する相当の対価の額は,高くても1万1667円である(35万円×(1-0.95)×(1-1/3)=1万1667円)。 イ消滅時効の成否(ア) 被告a 消滅時効の起算点勤務規則等に,事業年度ごとに,発明の実績に応じた金額を支給する旨の定めがされている場合には,各事業年度の実績補償金の支給時期がそれぞれの実績に対応する相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となる。 被告においては,勤務規則である補償規則及び補償細則により,事業年度ごとに当該発明の実績に応じた金額を支給する旨の定めがされているのであり,各事業年度の実績補償金の支給時期がその事業年度に対応する相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となる。 b 消滅時効期間の経過勤務規則に基づく補償金支払請求権と法定の相当の対価の支払請求権とは併存し,勤務規則による補償金の支払をしても,相当の対価の支払請求権について債務の承認をしたことになるものではない。 c 消滅時効の援用原告が被告在職時に補償規則,実績補償細則に関心を持たなかったために,相当の対価の支払を請求しなかったのであり,退職者に通知がされていないと c 消滅時効の援用原告が被告在職時に補償規則,実績補償細則に関心を持たなかったために,相当の対価の支払を請求しなかったのであり,退職者に通知がされていないとしても,退職者による権利行使自体が妨げられるものではなく事実上の障害があるに過ぎないから,被告が消滅時効を援用することが信義則に反するものではない。 (イ) 原告a 消滅時効の起算点相当の対価の支払を受ける権利は,従業者から使用者等への特許を受ける権利の譲渡時点において一定の金額をもって発生する1個の権利で,使用者等が現に得た利益や実績とは無関係な概念として理解され,期間ごとに区分されるとは観念することができないのであって,実績補償金の最終支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となる。 仮にそれぞれの事業年度の実績補償金の支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となるとしても,被告の補償規則及び補償細則の定めは従業者に周知されていないし,合理性を欠くから,労働契約の内容にならず,補償金の支払通知を受けた日が消滅時効の起算点となる。また,原告は,現実に実績補償金の支払を受けるまでは,相当の対価の支払を受ける権利を行使することができないから,補償金の支払を受けた日までは消滅時効が進行しない。 b 消滅時効期間の経過仮に相当の対価の支払請求権の消滅時効が実績補償金の支払期日ごとに進行するとしても,被告は,平成22年4月16日,本件発明1ついて実績補償金を支払うことを告げて債務の承認をした。 c 消滅時効の援用平成9年から運用を開始した実績補償の支給手続の根拠となる実績補償細則等が原告の在籍中に説明されておらず,本件訴訟前の知財仲 を告げて債務の承認をした。 c 消滅時効の援用平成9年から運用を開始した実績補償の支給手続の根拠となる実績補償細則等が原告の在籍中に説明されておらず,本件訴訟前の知財仲裁センターによる調停段階でも明らかにされなかったこと,退職者について実績補償金の支給の可否や支給時期等を知らせない体制であったことを考慮すると,被告が相当の対価の支払請求権について消滅時効を援用することは信義則に反する。 (2) 本件発明2-1及び2についてア原告が本件発明2-1及び2の発明者か(ア) 原告本件発明2-1及び2の特徴的部分は,走行ラインに沿った一連の目標位置で構成される走行テーブルを設定すること,走行体の現在位置を検出しその値と,走行テーブルから読み出した次の目標位置とで計算して走行体を制御し,模型体が走行ラインに沿って順位を競って走るようにすることにある。走行体を走らせるための走行テーブルが少なくとも観客がベットした状況を要素として所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成するという構成は,公知であり,本件発明2-1及び2の特徴的部分ではない原告は,実験デモ機及び馬走行ソフトを開発することにより,上記特徴的部分の完成に創作的に寄与したのであるから,原告は,本件発明2-1及び2の発明者である。 (イ) 被告本件発明2-1及び2の特徴的部分は,走行体を走らせるための走行テーブルが少なくとも観客がベットした状況を要素として所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成するという構成であり,原告は,この構成に創作的に寄与していない。 イ相当の対価の額(ア) 原告a 被告実施に係る部分について被告が受けるべき利益の額被告の競馬 成であり,原告は,この構成に創作的に寄与していない。 イ相当の対価の額(ア) 原告a 被告実施に係る部分について被告が受けるべき利益の額被告の競馬ゲーム機の平成13年度までの売上高は,被告直営店におけるゲーム機による収益を併せて445億円を下らない。原告が本件発明2-1及び2をした頃,競馬ゲーム機市場では,馬がそれぞれ決まったトラックを走る固定トラック方式が主流であったが,原告により馬がフィールド上を自由に走ることのできる方式の競馬ゲーム機を発明したことで,被告は馬がフィールド上を自由に走ることのできる方式の競馬ゲームを製品化して市場を席捲したのである。そうであるから,本件発明2-1及び2による超過売上高は,被告競馬ゲーム機の売上高の75%を下らない。被告は,ゲームセンター用ゲーム機を製造し,直接これを販売するが,その利益率は高いから,仮想実施料率は15%である。 そうすると,被告実施に係る部分について本件発明2-1及び2により被告が受けるべき利益の額は,50億円になる(445億円×75%×15%=50億円)b 被告が貢献した程度原告が馬がフィールド上を自由に走ることのできる方式の競馬ゲームを独自に発案したことを考慮すれば,被告が貢献した程度は50%である。 c 共同発明者の有無本件発明2-1及び2に共同発明者はいない。 d 他の発明の貢献の程度被告が有する競馬ゲーム機に関する特許が他にあるが,いずれも機能が限定的であり,本件発明2-1及び2の寄与の程度は80% である。 e したがって,原告の主張する相当の対価の額は,23億円である(57億5000万円×(1-0.5)×80%=23億 定的であり,本件発明2-1及び2の寄与の程度は80% である。 e したがって,原告の主張する相当の対価の額は,23億円である(57億5000万円×(1-0.5)×80%=23億円)。 (イ) 被告a 被告実施に係る部分について被告が受けるべき利益の額被告競馬ゲーム機の平成10年度から13年度までの売上高は,50億円を上回らない。被告直営店における競馬ゲーム機による収益は,法定通常実施権の範囲であるから,売上高に含まれない。競馬ゲーム機については,平成12年に有力な競業他社に包括ライセンスがされていること,代替製品としてCG式のものが従来から存在し,かつ,被告においても平成12年以降はCG式のものに切り替えられていること,ゲーム機市場一般における代替製品が存在することのほか,ゲーム機の売上げにおける企画や資金力,営業力及びブランド力の重要性を考えれば,本件発明2-1及び2による超過売上高は,被告競馬ゲーム機の売上高の5%を超えない。被告は,本件発明2-1及び2を実施料率5%で実施させているから,仮想実施料率はこれを超えるものではない。 そうすると,被告実施に係る部分について本件発明2-1及び2により使用者等が受けるべき利益の額は,高くても1250万円である(50億円×5%×5%=1250万円)。 b 被告が貢献した程度被告による企画を契機に本件発明2-1及び2が生まれたこと,競馬ゲーム機の技術開発が多数の被告従業者によりされていること,特許出願及び審査の経緯,競馬ゲーム機の商品企画における原告の寄与が皆無であること,資金調達,営業活動及びブランド向上への原告の寄与は皆無であること,製品の販売努力並びにその後の製品 開発及び販売努力への原告の貢献がないことを考慮す における原告の寄与が皆無であること,資金調達,営業活動及びブランド向上への原告の寄与は皆無であること,製品の販売努力並びにその後の製品 開発及び販売努力への原告の貢献がないことを考慮すれば,被告が貢献した程度は99%を下回るものではない。 c 共同発明者の有無本件発明2-1及び2の特徴的部分は,走行テーブルを顧客のベット状況を要素としてレースのたびごとに生成する点にあり,このような技術的思想を創作したのは,被告第1研究開発部のC(以下「C」という。)及びDである。その他の構成は,原告以外の者の着想によるものか,公知のものである。そうであるから,原告が本件発明2-1及び2の発明者であるとしても,原告の寄与の程度は20%にとどまる。 d 他の発明の貢献の程度被告が有する競馬ゲーム機に関する特許権の件数は24件あり,親子関係にあるものを一体としてみると,13群に分けられる。本件発明2-1及び2は,競合他社とのライセンス契約において代表特許とされず,競馬ゲーム機の基本的な構成のうちの駆動手段を制御する構成を開示するにとどまるから,競馬ゲーム機についての本件発明2-1及び2の寄与の程度は20%程度にとどまる。 e したがって,被告の主張する相当の対価の額は,高くても●(省略)●×(1-0.8)×1%×20%=●(省略)●)。 ウ消滅時効の成否(ア) 被告各事業年度の実績補償金の支給時期がその事業年度に対応する相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点になるから,平成11年度までの実績補償金については,その支給時期から10年が経過して,消滅時効が完成した。 (イ) 原告 実績補償金の最終支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の 年度までの実績補償金については,その支給時期から10年が経過して,消滅時効が完成した。 (イ) 原告 実績補償金の最終支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となるから,消滅時効は完成していない。 第3 当裁判所の判断 1 本件発明1について(1) まず,消滅時効の成否について判断する。 ア消滅時効の起算点(ア) 勤務規則等に,特許を受ける権利を使用者等に承継させたことによる相当の対価の支払時期が定められているときは,勤務規則等の定めによる支払時期が到来するまでの間は,相当の対価の支払を受ける権利の行使につき法律上の障害があるものとして,その支払を求めることができないというべきであり,勤務規則等に,使用者等が従業者等に対して支払うべき対価の支払時期に関する条項がある場合には,その支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となると解するのが相当である(最高裁平成13年(受)第1256号平成15年4月22日第三小法廷判決・民集57巻4号477頁)。 被告の実績補償制度は,知的財産権部が,各事業年度(毎年4月1日から翌年3月31日まで)の実施実績などについて行った調査の結果に基づいて補償金の額を評定し,経営会議が,補償金支給の可否,支給時期及び支給額を決定するというのであるから,相当の対価のうち各事業年度における特許発明の実施等に対応する分については,それぞれ当該期間の特許発明の実施等の実績に応じた額の支払時期が到来するまでその支払を求めることができない。そうであるから,各事業年度の実績補償金の支払時期が特許発明の実施等の実績に応じた相当の対価のうちの当該期間における特許発明の実施に対応する分の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となるのであり, 。そうであるから,各事業年度の実績補償金の支払時期が特許発明の実施等の実績に応じた相当の対価のうちの当該期間における特許発明の実施に対応する分の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となるのであり,これを本件発明1について特許を受ける権利を被告に譲渡したことによる相当の対価 についてみると,そのうちの各事業年度における特許発明の実施に対応する分の支払を受ける権利の消滅時効の起算点は,平成7年度分が平成8年7月24日,平成8年度分が平成9年11月21日,平成9年度分が平成11年1月20日,平成10年度分が平成12年5月11日,平成11年度分が平成13年4月27日,平成12年度分が平成14年5月13日,平成13年度分が平成15年5月20日である。 (イ) 原告は,相当の対価の支払を受ける権利は,従業者から使用者等への特許を受ける権利の譲渡時点において一定の金額をもって発生する1個の権利で,使用者等が現に得た利益や実績とは無関係な概念として理解され,期間ごとに区分されるとは観念することができないのであって,実績補償金の最終支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となると主張する。しかしながら,勤務規則等に,相当の対価の支払時期が定められているときは,その支払時期が到来するまでの間は支払を求めることができないが,その支払時期が到来すると支払を求めることができるのであるから,それぞれの事業年度の実績補償金の支払時期が相当の対価の支払を受ける権利の消滅時効の起算点となるのであり,実績補償金の最終支払時期がその起算点となるものではない。原告の上記主張は,採用することができない。 また,原告は,被告の補償規則及び補償細則の定めは従業者に周知されていないし,合理性を欠くから,労働契約の内容にならないと主張する。しかしなが ではない。原告の上記主張は,採用することができない。 また,原告は,被告の補償規則及び補償細則の定めは従業者に周知されていないし,合理性を欠くから,労働契約の内容にならないと主張する。しかしながら,前記前提事実に証拠(乙2,23)を総合すれば,被告は,原告が被告に在職している期間中,補償規則及び補償細則を差替式の規定集として各部に備え付けていて,従業者が自由にこれを閲覧することができたことが認められるし,補償規則及び補償細則の内容が合理性を欠くということもできない。原告の上記主張は,採用することができない。 さらに,原告は,現実に実績補償金の支払を受けるまでは,相当の対価の支払を受ける権利を行使することができないから,補償金の支払を受けた日までは消滅時効が進行しないと主張する。しかしながら,被告の補償規則及び補償細則は従業者に周知されていたから,原告が現実に実績補償金の支払を受けていないとしても,各事業年度の支払時期に相当の対価の支払を受ける権利を行使することができたものである。原告の上記主張は,採用することができない。 イ消滅時効期間の経過(ア) 原告が本件訴訟を提起したのは,平成23年10月13日であるから,原告の相当の対価の支払を受ける権利のうち平成7年度分から平成11年度分までの実績補償金の支払時期を起算点とする消滅時効期間が経過していることになる。 ところで,前提事実に証拠(甲3,乙2,23)を総合すれば,被告は,平成22年4月16日,補償金対象特許等や未払額について原告に説明した際に,本件発明1の実績補償金について,平成9年度以前の15万円は消滅時効が完成したが,平成10年度ないし平成12年度の各3万円及び平成13年度の1万円は消滅時効が完成していないと説明し,同年5月 際に,本件発明1の実績補償金について,平成9年度以前の15万円は消滅時効が完成したが,平成10年度ないし平成12年度の各3万円及び平成13年度の1万円は消滅時効が完成していないと説明し,同年5月21日,原告に対し,平成10年度ないし平成13年度の合計10万円を支払ったことが認められる。これらの事実によると,被告は,相当の対価のうちの平成10年度及び平成11年度の支払を受ける権利について,債務を承認したものであり,これにより,その消滅時効は中断したといわなければならない。そうすると,平成10年度及び平成11年度の相当の対価の支払を受ける権利については,原告が本件訴訟を提起した平成23年10月13日までに消滅時効期間が経過していないものである。 (イ) 被告は,勤務規則に基づく補償金支払請求権と法定の相当の対価 の支払請求権とは併存し,勤務規則による補償金の支払をしても,相当の対価の支払請求権について債務の承認をしたことになるものではないと主張する。しかしながら,勤務規則等に使用者等が従業者等に対して支払うべき対価に関する条項がある場合において,従業者等は,これによる対価の額が特許法35条4項の規定に従って定められる対価の額に満たないときに,同条3項の規定に基づいて,その不足する額に相当する額の支払を求めることができるのであるから,使用者等が勤務規則による補償金の支払をしたときは,相当の対価の支払をしたものというべきである。被告の上記主張は,採用することができない。 ウ消滅時効の援用したがって,平成9年度分以前の相当の対価の支払を受ける権利は,被告の消滅時効の援用により消滅したものである。 原告は,平成9年から運用を開始した実績補償の支給手続の根拠となる実績補償細則等が原告の在籍中に説明さ 9年度分以前の相当の対価の支払を受ける権利は,被告の消滅時効の援用により消滅したものである。 原告は,平成9年から運用を開始した実績補償の支給手続の根拠となる実績補償細則等が原告の在籍中に説明されておらず,本件訴訟前の知財仲裁センターによる調停段階でも明らかにされなかったこと,退職者について実績補償金の支給の可否,支給時期等について知らせない体制であったたことを考慮すると,被告が消滅時効を援用することは信義則に反すると主張する。しかしながら,被告は,原告が被告に在職している期間中,補償規則及び補償細則を差替式の規定集として各部に備え付けていて,従業者が自由にこれを閲覧することができたのであり,また,証拠(乙2,23)によれば,被告は,原告を考案者とした考案の名称を「移動体への給電装置」とする実用新案(登録番号1996748号)につき,平成9年11月12日付「特許等実績補償金支給明細書」を作成し,同月24日,原告に対し,平成8年度分の実績補償金10万円を支払っていることが認められるから,原告は,平成9年の時点で職務発 明について実績補償金の支払があることを知ることができたのである。 これらの事情に鑑みれば,被告による消滅時効の援用が信義則に反するということはできない。原告の上記主張は,採用することができない。 (2) そこで,平成10年度以降の相当の対価の額について検討する。 ア被告が受けるべき利益の額について(ア) 使用者等は,職務発明について特許を受ける権利等を承継しない場合でも,当該特許権について無償の通常実施権を取得することができるから,「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」とは,使用者等が当該発明を実施することによって得られる利益の全体をいうものではなく,使用者等が従業者等から特許 通常実施権を取得することができるから,「その発明により使用者等が受けるべき利益の額」とは,使用者等が当該発明を実施することによって得られる利益の全体をいうものではなく,使用者等が従業者等から特許を受ける権利を承継し,当該発明を排他的かつ独占的に実施する地位を得,その結果,実施許諾を得ていない競業他社に対する禁止権を行使することによって得られる利益の額をいうものと解される。この利益の額は,特許権者が当該発明を他社に実施許諾をせずに自ら実施している場合は,他社に対して当該発明の実施を禁止できることにより,他社に実施許諾していた場合に予想される売上高と比較して,これを上回る売上高,いわゆる超過売上高を得たことに基づく利益をいうものと解される。ここで超過売上高とは,仮に他社に実施許諾した事態を想定した場合に使用者等が得たであろう仮想の売上高と現実に使用者等が得た売上高とを比較して算出された差額に相当するものというべきであり,使用者等が得た売上高に,特許の価値,ライセンス契約の有無,市場占有率,市場における代替技術の存在等の諸般の事情を考慮して定められる独占的地位に起因する一定の割合を乗じて算出すべきである。そして,超過売上高を得たことに基づく利益は,上記方法により算出された超過売上高に,仮想実施料率を乗じて算出するのが相当である。 (イ) 弁論の全趣旨によれば,被告ビンゴゲーム機の平成10年度から 13年度までの間の被告の直営店及び第三者に対する売上高は3億5000万円であると認められる。 証拠(甲4,乙27)及び弁論の全趣旨によれば,平成4年頃,ビンゴゲームやルーレットゲームなど数字を合わせるゲームであるナンバーゲーム機の市場規模は36億円であり,被告の製品は,その中で69.5%を占めていたこと,平成11年頃から 旨によれば,平成4年頃,ビンゴゲームやルーレットゲームなど数字を合わせるゲームであるナンバーゲーム機の市場規模は36億円であり,被告の製品は,その中で69.5%を占めていたこと,平成11年頃からICタグ(RFID)が普及して,本件発明1の代替技術として,これを使用したビンゴゲーム機を導入することができるようになり,被告も平成14年からICタグへの切替えをしていること,ビンゴゲーム機には,大別して,玉番号読取式のものと穴番号読取式のものがあり,被告は,本件発明1の実施品である玉番号読取式のビンゴゲーム機を製造,販売したほか,平成元年から穴番号読取式のビンゴゲーム機「ビンゴサーカス」を製造,販売して現在に至っていることが認められ,これらの事情を併せ考えると,本件発明1を自ら実施したことによる超過売上高は,平成10年以後の被告のビンゴゲーム機の売上高の50%であると認めるのが相当である。 被告は,本件発明1について他社に実施許諾をしたことはなく,また,平成11年頃からICタグを使用したビンゴゲーム機を導入することができるようになり,これは,本件発明1の代替技術となるものであるから,当業者が本件発明1について実施許諾を受ける必要性は乏しいといわなければならず,これらの事情に照らすと,仮想実施料率は2%であると認めるのが相当である。 そうすると,本件発明1の実施により被告が受けるべき利益の額は,350万円であると認められる(3億5000万円×50%×2%=350万円)。 イ被告が貢献した程度について 前記前提事実に証拠(甲4,12,乙9,10,16,32,33,39)及び弁論の全趣旨を総合すれば,(ア) 昭和61年頃,原告が所属していた被告の第1研究開発部新技術開発課は,原告のほか,入社2 前記前提事実に証拠(甲4,12,乙9,10,16,32,33,39)及び弁論の全趣旨を総合すれば,(ア) 昭和61年頃,原告が所属していた被告の第1研究開発部新技術開発課は,原告のほか,入社2年目のBが所属していた,(イ) Cは,玉が落ちる穴の番号を読み取る方式のビンゴゲーム機が発売されていた中で,実際のビンゴゲームのように,大きく玉をかき混ぜた後に取り出した玉の番号を読み取る方式のビンゴゲーム機開発の企画書を作成して被告研究開発部本部長E(以下「E」という。)に提出し,Eは,原告に対し,ビンゴゲーム機において玉の番号を読み取る技術の開発を指示した,(ウ) 原告は,これを受けて,電磁的な方法により玉の番号を読み取る方式を検討し,Bは原告の指示を受けながらビンゴ玉の試作品の製作を担当していた,(エ) Bは,玉内の検出用コイルの本数を1本にして実験をしていたところ,玉が検出器に入る角度によって検出用コイルの信号を検出することができない場合があることが判明し,原告と打ち合わせをする中で,玉内の検出用コイルの本数を3本に増やしてみた,(オ) 原告は,任意の玉から1ないし25の番号を読み取る実験に成功し,本件発明1を着想したが,その具体的な製品化や販売には関与していない,以上の事実が認められる。 そうすると,原告は,被告から発明の課題を提供され,被告の資材等を用い,被告従業者の補助を得て本件発明に至ったものである。これらの事情に照らすと,本件発明1がされるについて,被告が貢献した程度は,80%であると認めるのが相当である。 ウ共同発明者の有無について上記イ認定の事実によると,Bは,原告の指示に従いその実験等を補助したにすぎず,本件発明1の完成に創作的に寄与していないから,本件発明1の共同発明者であるとい 共同発明者の有無について上記イ認定の事実によると,Bは,原告の指示に従いその実験等を補助したにすぎず,本件発明1の完成に創作的に寄与していないから,本件発明1の共同発明者であるということはできない。そして,他に本件 発明1の共同発明者がいると認めるに足りる証拠はない。 エしたがって,本件発明1について特許を受ける権利を被告に承継させたことによる平成10年度ないし平成13年度の相当の対価の合計額は,70万円になる(350万円×(1-0.8)=70万円)。 オ被告による実績補償金の支払について被告は,平成22年5月21日,原告に対し,平成10年度ないし平成13年度の本件発明1の実績補償金合計10万円を支払っているから,原告は,被告に対し,平成10年度ないし平成13年度の相当の対価の未払額60万円及びこれに対する支払を催告した日の翌日から支払済みまで民法所定の年5分の遅延損害金の支払を求めることができる。 2 本件発明2-1及び2について(1) 原告が本件発明2-1及び2の発明者かについて判断する。 ア発明者とは,特許請求の範囲に記載された発明について,その具体的な技術手段を完成させた者,すなわち,ある技術手段を着想し,それを具体化して完成させるための過程において発明の特徴的部分の完成に創作的に寄与した者をいうと解すべきところ,この発明の特徴的部分とは,特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち,従来技術には見られない部分,すなわち,当該発明特有の課題解決手段を基礎付ける部分をいうと解するのが相当である。 イそこで,本件発明2-1及び2の特徴的部分についてみる。 (ア) 証拠(乙1の2,2)によれば,本件発明2-1及び2は,複数の走行体が走行面を走行する競争ゲーム装 解するのが相当である。 イそこで,本件発明2-1及び2の特徴的部分についてみる。 (ア) 証拠(乙1の2,2)によれば,本件発明2-1及び2は,複数の走行体が走行面を走行する競争ゲーム装置及びその制御方法に関する,工場内で製品等の荷物を運搬する無人運搬車のような自走車の走行は,従来,床などの走行面に例えば白線により走行ラインを描き,自走車がこの走行ラインに沿って走行することにより行われ,白線から外れそうになると,白線からのずれを無人運搬車が検知して,その ずれを無くすように無人運搬車の走行方向を修正しているが,従来の無人運搬車は予め決められた走行ラインに沿って動くものであり,無人運搬車の走行ラインを変えるには,走行ライン自体を引き直さなければならないし,自走車が大きく走行ラインを外れた場合には修正が困難であり,状況を判断して自走車の走行ラインを変えたりすることは不可能であった,また,競馬,自動車レース等を模倣した従来の競争ゲームは,環状のトラック上を馬や自動車模型のような自走車を走らせて,到着順位を競ったり,到着順位を予想するものであるが,この競争ゲームでは,自走車をあくまで決められた環状のトラック上しか走らせることができず,フィールド上の自由なコースを走って競争する実際の競馬や自動車レースに比べて臨場感に薄れ,興味も半減したものとならざるを得なかった,このように従来は,予め決められた走行ラインを外れないように自走車の走行を制御するもので,走行ラインを必要に応じて変えたり,走行状況に応じて変えることができないので,無人運搬車の場合は必要に応じた適切な制御ができず,競争ゲームの場合は臨場感のあるゲームができなかったところ,臨場感に溢れ興味深い競争ゲームを楽しむことができる競争ゲーム装置及びその制御方法を提供す 人運搬車の場合は必要に応じた適切な制御ができず,競争ゲームの場合は臨場感のあるゲームができなかったところ,臨場感に溢れ興味深い競争ゲームを楽しむことができる競争ゲーム装置及びその制御方法を提供することを目的として,別紙「訂正後の特許請求の範囲の記載2」に記載のとおりの構成を採用した,本件発明2-1及び2は,このように構成したので,走行体の位置と進行方向を正確に検出して,自由に走行させることができ,臨場感に溢れ興味深い競争ゲームを楽しむことができる,以上の事実が認められる。 そして,前記前提事実に証拠(乙1の1・2,15)及び弁論の全趣旨を総合すれば,平成13年3月5日,本件特許2に対し特許異議の申立て(異議2001-70718号事件)がされ,特許庁は,同年11月19日,本件特許2を取り消すとの決定をした(以下「本件 取消決定」という。),被告は,平成14年1月11日,東京高等裁判所に本件取消決定の取消しを求める訴え(同裁判所平成14年(行ケ)第29号)を提起し,同事件の係属中の平成17年3月28日,明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし5及び7ないし11を削除し,請求項6及び12を請求項1及び2とし,それぞれを訂正するとの内容の訂正審判を請求した,特許庁は,同年6月16日,本件取消決定において本件原々々出願2と同一とされた請求項1,2,7及び8が削除され,引用された刊行物には,「少なくとも観客がベットした状況」によってレース展開が変化する旨の記載及びそれを示唆する記載は認められないから,「少なくとも観客がベットした状況」によってゲームのレースの展開が変化する点は,当業者が容易に想到できたものとは認められないとして,訂正を認めるとの決定をした,東京高等裁判所は,同年8月30日,本件取消決定を取り消すとの判決を言い渡し てゲームのレースの展開が変化する点は,当業者が容易に想到できたものとは認められないとして,訂正を認めるとの決定をした,東京高等裁判所は,同年8月30日,本件取消決定を取り消すとの判決を言い渡し,特許庁は,同年10月22日,本件特許権2を維持するとの決定をした,以上の事実が認められる。 (イ) 上記認定の事実によれば,走行体をトラック上でなく任意の走行ラインに沿って走行させることは,本件出願2の出願日である昭和63年4月9日よりも前の周知技術か,又は周知技術に基づき当業者が容易に設計変更できる事項であると認められる。そうすると,本件発明2-1及び2の特徴的部分は,臨場感に溢れ興味深い競争ゲームを楽しむことができる競争ゲーム装置及びその制御方法を提供するという課題を解決するために,「走行テーブルは少なくとも観客がベットした状況を要素として所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成される」という構成を採用したところにあると認められる。 ウ証拠(乙7ないし9)によれば,Cは,昭和62年4月頃,Eから,競馬ゲームの企画を考えるよう指示を受け,シグマ社の競馬ゲームと異 なり,馬の能力を順位付けしたり,ベットを条件として考慮して順位及びレース展開を決定することにより客がある程度レースを予測することができるような競馬ゲームの企画をしたこと,企画に変更が生じた場合はCに連絡することとされたことが認められる。そして,原告は,本件発明2-1及び2の特徴的部分であると認定した上記構成が公知であると主張しているところ,このことを併せ考えると,原告が上記構成の完成に創作的に寄与したと認めることはできない。 そうであるから,原告が本件発明2-1及び2の発明者であると認めることはできない。 (2) したがって,本件発明2-1 と,原告が上記構成の完成に創作的に寄与したと認めることはできない。 そうであるから,原告が本件発明2-1及び2の発明者であると認めることはできない。 (2) したがって,本件発明2-1及び2に係る原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 3 以上のとおりであって,原告の請求は,本件発明1について,60万円及びこれに対する支払を催告した日の後であり訴状送達の日の翌日であることが記録上明らかな平成23年10月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余は理由がなく,本件発明2-1及び2については理由がない。 よって,上記の限度で原告の請求を認容することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官高野輝久 裁判官三井大有 裁判官藤田 壮 (別紙)訂正後の特許請求の範囲の記載1【請求項1】各々共振周波数の異なる被検出用共振回路が付設された複数個の物体を各々識別する物体識別方法であって,前記物体を検出用コイルに接近させ,前記検出用コイルを,前記各被検出用共振回路の共振周波数を含む周波数帯域で,掃引発振器により周波数を掃引して励磁し,励磁周波数の変化に伴って,励磁中の前記検出用コイルに生ずるインピーダンスが変化した時点を検出し,前記変化した時点での励磁周波数を周波数計算手段により計数し,前記周波数計算手段による計数値を予め設定してある被検出用共振回路の共振周波数と比較して,当該周波数に対応する共振回路を有する物体を識別することを特徴とするゲーム機における物体識別方法。 【請求項2】各々共振周波数の異なる 数値を予め設定してある被検出用共振回路の共振周波数と比較して,当該周波数に対応する共振回路を有する物体を識別することを特徴とするゲーム機における物体識別方法。 【請求項2】各々共振周波数の異なる被検出用共振回路が付設された複数個の物体を各々識別する物体識別装置であって,角度を異ならせて設けた検出用コイルと,前記複数の検出用コイルを,順番に,前記各被検出用共振回路の共振周波数を含む周波数帯域で周波数を順次変化させて励磁する励磁手段と,物体の接近に伴って,励磁中の前記検出用コイルに生ずるインピーダンス変化を検出するインピーダンス変化検出手段と,前記インピーダンス変化を検出した時点の,前記励磁手段の励磁周波数を検出する周波数検出手段と,前記検出された励磁周波数を各物体について予め設定してある被検出用共振回路の共振周波数と比較して,物体を特定する判定手段とを備えてなることを特徴とするゲーム機における物体識別装置。 【請求項3】前記励磁手段として,掃引発振器を備えたことを特徴とする特許請求の範囲第2項記載のゲーム機における物体識別装置。 【請求項4】前記励磁手段として,周波数を順次切替える機能を有する多段周波数発振器を備えたことを特徴とする特許請求の範囲第2項記載のゲーム機における物体識別装置。 (別紙)訂正後の特許請求の範囲の記載2【請求項1】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置であって,前記複数の模型体が自由走行可能に配置されたフィールド面と,前記フィールド面の下方に配置された走行面と,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように前記走行面上に配置され,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能に構成された複数の走行体と,前記複数の走行体のそれぞれについて ド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように前記走行面上に配置され,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能に構成された複数の走行体と,前記複数の走行体のそれぞれについて,所定の制御周期で各走行体の現在時刻における位置の座標値を順次検出する手段と,前記複数の走行体のそれぞれに対し,前記所定の制御周期に対応して所定時間間隔で設定された,曲線を含む自由な走行ラインに沿った一連の走行目標位置の座標値を含む走行テーブルを設定する手段とを有し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された現在時刻における位置の座標値と対応する次の時刻における走行目標位置の座標値とに基づき次の時刻までの間に各走行体の進むべき走行方向および速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を前記制御周期毎に順次演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行テーブルに格納された制御周期毎の前記位置座標値によって規定される前記走行ラインに沿って走行し,走行体に牽引される各模型体が順位を競って前記自由な走行ラインに沿って走行するように構成されてなり,前記走行テーブルは,少なくとも観客がベットした状況を要素として所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成されることを特徴とする競争ゲーム装置。 【請求項2】複数の模型体がフィールド上を順位を競って走行する競争ゲーム装置の制御方法であって,前記複数の模型体をフィールド面上に自由走行可能に配置し,前記フィールド面の下方に配置された走行面上に,前記フィールド面を挟んで対応する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように複数の走行体を配置し,前記複数の走行体は,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能で あり,前記複数の走行体のそれぞれに対し,所定の制 する模型体のそれぞれと磁力を介して結合するように複数の走行体を配置し,前記複数の走行体は,それぞれに搭載された駆動手段によって自走可能で あり,前記複数の走行体のそれぞれに対し,所定の制御周期に対応して所定時間間隔で設定された,曲線を含む自由な走行ラインに沿った一連の走行目標位置の座標値を含む走行テーブルを設定し,前記複数の走行体のそれぞれについて,前記所定の制御周期で各走行体の現在時刻における位置の座標値を順次検出し,前記複数の走行体のそれぞれについて,検出された現在時刻における位置の座標値と対応する次の時刻における走行目標位置の座標値とに基づき次の時刻までの間に各走行体の進むべき走行方向および速度を含む前記駆動手段を制御するための駆動量を前記制御周期毎に順次演算し,これに基づき前記駆動手段を制御することにより,前記走行体のそれぞれが設定された走行テーブルに格納された制御周期毎の前記位置座標値によって規定される前記走行ラインに沿って走行し,走行体に牽引される各模型体が順位を競って前記自由な走行ラインに沿って走行し,前記走行テーブルは,少なくとも観客がベッドした状況を要素として所定のアルゴリズムに従ってレースの度毎に作成されることを特徴とする競争ゲーム装置の制御方法。

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