平成13(ワ)138 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成14年9月20日 奈良地方裁判所 葛城支部
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判決文本文15,604 文字)

判決要旨不動産の売買に関し,建築基準法上の接道義務違反を理由に,売主及び仲介業者に損害賠償が認められた事例平成13年(ワ)第138号損害賠償請求事件口頭弁論終結の日・平成14年7月15日判決奈良県橿原市a町b番地のc原告 A同訴訟代理人弁護士喜多芳裕大阪市d区e丁目fのg被告  BことC同訴訟代理人弁護士大園重信奈良県橿原市h町i番地被告  DことE同訴訟代理人弁護士朝守令彦同内橋裕和同荻原研二同藤井茂久同佐々木育子同山口暁 主文 1 被告Cは,原告から別紙引換給付義務一覧表記載の債務の履行を受けるのと引き換えに,原告に対し,2953万2100円を支払え。 2 被告Eは原告に対し,1430万円及びこれに対する平成13年5月9日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 3 原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,原告と被告Cとの間においては,すべて被告Cの負担とし,原告と被告Eとの間においては,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余は被告Eの負担とする。 5 この判決は,原告勝訴 4 訴訟費用は,原告と被告Cとの間においては,すべて被告Cの負担とし,原告と被告Eとの間においては,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余は被告Eの負担とする。 5 この判決は,原告勝訴の部分に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告らは原告に対し,連帯して2953万2100円及び内100万円については,平成6年3月18日から,内2500万円については,平成6年11月9日から,内353万2100円については,被告Cに関しては平成13年5月11日(同被告に対する訴状送達の日の翌日)から,被告Eに関しては平成13年5月9日(同被告に対する訴状送達の日の翌日)から,各支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,建築基準法上の接道義務違反の土地付建売住宅を購入した者が,売主に対し,瑕疵担保責任を理由に売買契約を解除して,原状回復及び損害賠償を請求すると共に,仲介業者に対し,仲介契約の債務不履行を理由に損害賠償を請求した事案である。 1 争いのない事実等(1) 被告らの身分等ア被告Cは,「B」の屋号で不動産業を営む者であるが,別紙物件目録1記載の土地(以下「本件土地」という。)及び別紙物件目録2記載の建物(以下「本件建物」という。)を所有していた。 イ被告Eは,「D」の屋号で宅地建物取引業者として不動産仲介業を営む者であるが,自ら宅地建物取引主任者の資格も有している。 (争いがない。)(2) 本件土地建物の売買ア原告は,平成6年3月15日,被告Cより本件土地建物を代金2600万円で買い受ける旨の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し,同年3月17日に手付金100万円,同年11月8日に2500万円の計2600万円を支払い,本 告Cより本件土地建物を代金2600万円で買い受ける旨の売買契約(以下「本件売買契約」という。)を締結し,同年3月17日に手付金100万円,同年11月8日に2500万円の計2600万円を支払い,本件土地建物の引渡しを受けた。 イ被告Eは,宅地建物取引業者として本件売買契約を仲介し(以下「本件仲介契約」という。),さらに宅地建物取引主任者として,平成6年3月15日,原告に対して重要事項説明をした。 原告は,平成6年11月8日,被告Eに対し,仲介手数料として49万4400円を支払った。 (被告Eとの関係ではすべて争いがなく,被告Cとの関係ではアは争いがなく,イについては甲1,2,11)(3) 本件建物の接道義務違反建築基準法上,建物の敷地は建築基準法上の道路に2メートル以上接しなければならないところ(建築基準法43条),本件建物の敷地である本件土地は建築基準法上の道路に全く接していない。 すなわち,本件土地付近の位置関係の略図は,別紙図面1記載のとおりであり,本件土地は,同図面(う)の6戸1棟の長屋建住宅のうち,最も東寄りの部分であるところ,現況では,本件土地の南側部分に道路部分(別紙図面1記載の(ア)及び(イ)の部分,以下「本件南側私道」という。)があるが,当該部分は,その西側の道路は,田の畦道であり,段差もあることから,西側が行き止まりの袋地状の道路になり,しかもその延長は約109メートルあり,途中に自動車転回場も設けられていないため,建築基準法上の位置指定道路にはならない(建築基準法施行令144条の4第1項本文,但書)。そこで,本件土地付近の建築基準法上の道路としては,別紙図面東端の市道しか存在しないことになり,この道路に2メートル以上接しなければならないことになる。被告Cは,まず別紙図面1の(あ)及び(う )。そこで,本件土地付近の建築基準法上の道路としては,別紙図面東端の市道しか存在しないことになり,この道路に2メートル以上接しなければならないことになる。被告Cは,まず別紙図面1の(あ)及び(う)部分につき,(あ)については,同図面の(ア)の部分を専用通路とし,(う)については,同図面の(ウ)の部分を専用通路として建築確認申請をし,平成6年3月22日に同確認を得た(建築物の敷地が公道に接していない場合,その敷地から公道まで2メートル幅の土地を確保し,この2メートル幅の土地もその建築物の敷地として建築確認申請すればその建築物の敷地は公道に2メートル接していることになるから,建築基準法上は接道義務を満たしていることになり,このように公道に面していない建築物の敷地につき,接道義務を満たすために確保されるその敷地から公道までの2メートル幅の土地のことを「専用通路」という。)。次に,被告Cは,別紙図面1の(い)につき,同図面(イ)部分を専用通路として建築確認申請をし,平成6年8月15日に同確認を得た。さらに,被告Cは,別紙図面1の(え)及び(ウ)部分(214番30土地)を平成7年6月21日に4筆に分筆し,平成7年7月17日以降平成8年5月30日まで順次売却した。なお,別紙図面1記載の(え)部分の3戸1棟の長屋建住宅の建築確認申請は,平成7年10月17日であり,同年12月4日に同確認が得られた。これにより,別紙図面1記載の(ウ)部分は,本件土地の専用通路にはなりえなくなり,本件土地は建築基準法上の接道義務を満たしていない。 (争いがない。)(4) 本件売買契約の解除原告は,平成13年3月7日付内容証明郵便により,被告Cに対し,民法570条,566条の瑕疵担保責任を理由に,本件売買契約を解除する旨の意思表示と売買代金返還請求をし,同郵 本件売買契約の解除原告は,平成13年3月7日付内容証明郵便により,被告Cに対し,民法570条,566条の瑕疵担保責任を理由に,本件売買契約を解除する旨の意思表示と売買代金返還請求をし,同郵便は平成13年3月14日に被告Cに到達した。 (被告Cとの関係では争いがなく,被告Eとの関係では甲13の1・2) 2 争点(1) 被告Cの責任ア原告の主張上記のとおり,現況では,本件建物は,建築基準法上の接道義務を満たしていないため,改築,増築は不可能であるばかりか,違法建築物として奈良県から是正命令を受けて取り壊さざるを得なくなる可能性もあるものであるが,原告は,本件土地建物購入の際,被告Cからそのような説明は一切受けていないものである。 このように,本件土地建物には接道義務違反という隠れたる瑕疵が存在するものであり,これにより原告が本件売買契約の目的を達成することができないことは明らかであるから,被告Cは瑕疵担保責任を負担し,原告は,民法570条,566条により本件売買契約を解除することができるものである。 イ被告Cの主張確かに,被告Cが別紙図面1記載の(ウ)土地も同図面東端区画の3戸1棟の敷地の一部としたことにより,本件建物を含む6戸の建物については,連棟式建物としての建築確認における接道経路を喪失したとはいえるが,現在でも本件南側私道は4メートル幅のアスファルト舗装道路となっており,同道路を通って東側の公道に出入り出来るのであって,日常生活への影響は生じていない。 また別紙図面1の(え)記載の3戸1棟の連棟式建物の所有者からの協力が得られれば,あるいは本件南側私道を公道に編入することが出来れば,必要とされる接道を確保して再度建築確認を取得することも可能である。 以上からすれば,原告が本件売買契約 建物の所有者からの協力が得られれば,あるいは本件南側私道を公道に編入することが出来れば,必要とされる接道を確保して再度建築確認を取得することも可能である。 以上からすれば,原告が本件売買契約を解除することは許されない。 (2) 本件売買契約の解除が認められる場合,被告Cの同時履行の抗弁権の有無ア被告Cの主張仮に,本件売買契約の解除が認められる場合,原告の請求は,原告の被告Cに対する別紙引換給付義務一覧表記載の義務と同時履行の関係になるから,引換給付の判決がされるべきである。 イ原告の主張同時履行の抗弁権は,公平の見地から認められるものであり,自らの債務を履行する意思がないかもしくは履行する資力のない当事者が同時履行の抗弁権を主張することは信義則から許されないところ,被告Cは,原告の請求を履行する意思も能力(資力)もないことが明らかであるから,信義則上同時履行の抗弁権を主張することは許されない。 (3) 被告Eの責任ア原告の主張被告Eは,原告とは準委任の関係にあり,善管注意義務を負担している。 被告Eは,本件売買契約に際しての重要事項説明において,本件土地の接道状況につき,原告に対し,「敷地が約4メートル幅の私道に約6.4メートル接している」と真実に反する説明をし,実際の接道状況について全く説明しなかったものであり,これが善管注意義務違反になるのは明らかである。 仮に,被告Eが重要事項説明の時点では注意義務を尽くしても実際の接道状況がわからなかったとしても,平成6年3月22日には,別紙図面1記載の(ア)は(あ)の専用通路として建築確認がされ,平成6年8月15日には同図面記載の(イ)は(い)の専用通路として建築確認がされたのであるから,注意義務を尽くせば,平成6年11月8日の本件売買契約 の(ア)は(あ)の専用通路として建築確認がされ,平成6年8月15日には同図面記載の(イ)は(い)の専用通路として建築確認がされたのであるから,注意義務を尽くせば,平成6年11月8日の本件売買契約の決済日の時点では,本件重要事項説明書どおりの接道義務を満たすことが出来ないことが明らかであったにもかかわらず,原告にその旨告げずに決済させたものである。 従って,被告Eは,債務不履行に基づき,原告が被った損害を賠償する責任がある。 イ被告Eの主張被告Eは,本件売買契約締結時においても,決済時においても,別紙図面1記載の(ウ)部分が専用通路であると認識していたものである。 被告Eが重要事項説明に際し,「専用通路により接している」と説明しなかった点に過失はあるが,現実にも説明及び決済の時点では,本件土地は,別紙図面1記載の(ウ)部分が確保されており,なんらの違法もなかったこと,重要事項説明書には,専用通路についてまで記入する欄はなく,厳密に専用通路についてまでの関係まで記入する業者は極めて少なかったことなどからすると,被告Eの過失は極めて軽微なものである。 本件土地建物は近隣の物件に比べて極めて低廉であったから,被告Eが原告に対し,別紙図面1記載の(ウ)部分が専用通路であると説明していても,原告が本件土地建物を購入していたのは明らかであり,被告Eの説明義務違反と原告の損害との間に相当因果関係はない。 また被告Eが「専用通路により接道義務を満たしている」と説明していたとしても,結局後の被告Cの行為によって損害は発生していたものであるから,やはり被告Eの説明義務違反と原告の損害との間に相当因果関係はない。 (4) 原告の損害ア原告の主張① 売買代金相当額  2600万円② 仲介手数料  49万4400円 のであるから,やはり被告Eの説明義務違反と原告の損害との間に相当因果関係はない。 (4) 原告の損害ア原告の主張① 売買代金相当額  2600万円② 仲介手数料  49万4400円③ 登記手続費用 33万7700円④ 弁護士費用 270万円⑤ 上記金員に対する,①については代金受領の日の翌日から,②ないし④については訴状送達の日の翌日(被告Cについては,平成13年5月11日,被告Eについては,同年同月9日)から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金(本件売買契約及び本件仲介契約は,被告らにとって商行為である。)イ被告Cの主張被告Cが支払義務を負うのは原状回復としての売買代金の返還にとどまり,それ以上の損害賠償義務を負うものではない。 ウ被告Eの主張仮に,被告Eの説明義務違反により原告に損害が生じたとしても,その額は本件土地建物の客観的価値と売買価格との差額にとどまり,本件土地建物の客観的価値は1200万円であるので,原告の損害額は1400万円を超えない(登記手続費用と弁護士費用は,被告Eの説明義務違反と相当因果関係はない。)。 第3 当裁判所の判断 1 前提事実前記争いのない事実等及び証拠(甲1ないし8,9の1ないし5,17,18,20,25ないし29,36の1・2,乙1の1ないし14,2の1ないし8,5,丙1,12,原告本人,被告C本人,被告E本人)並びに弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (1) 被告Cは,大学卒業後,しばらく父親の営む縫製業の仕事に従事した後,不動産会社に勤務するようになり,昭和55年12月頃から,自宅(堺市j町k丁)を事務所にして,「B」という名称で大阪府知事から宅地建物取引業免許を取得して,宅地建物取引業を始めるようになった。なお,被 動産会社に勤務するようになり,昭和55年12月頃から,自宅(堺市j町k丁)を事務所にして,「B」という名称で大阪府知事から宅地建物取引業免許を取得して,宅地建物取引業を始めるようになった。なお,被告Cは,昭和44,5年頃,宅地建物取引主任の資格を取得している。 (2) 被告Cは,平成5年11月頃,かつての同僚であるF(当時G株式会社の代表者)から,本件土地を含む一連の住宅用地になる土地(以下「全体土地」という。)の紹介を受け,同土地上に住宅を建築して販売することを計画し,同土地平成6年1月17日,全体土地の売買契約を締結し,同年2月2日にその旨の所有権移転登記を受けた。 (3) 被告Cは,全体土地に別紙図面2記載のとおり,17件の分譲住宅を建築し,その南側を道路とする計画であったが,その具体的方法については,Fや一級建築士と相談のうえ,別紙図面1記載のとおり,全体土地を4区画に分けて,それぞれに長屋住宅を建てる方法とした。 被告Cは,平成6年2月22日,まず別紙図面1の(あ)及び(う)部分につき,(あ)については,同図面の(ア)の部分を専用通路とし,(う)については,同図面の(ウ)の部分を専用通路として建築確認申請をし,平成6年3月22日に同確認を得て,平成6年3月頃から,両区画の合計9戸の住宅販売を開始した。なお,このような建築確認となっているのは,本件南側私道は,その西側の道路は,田の畦道であり,段差もあることから,西側が行き止まりの袋地状の道路になり,しかもその延長は約109メートルあり,途中に自動車転回場も設けられておらず,建築基準法上の位置指定道路にはならない(建築基準法施行令144条の4第1項本文,但書)ため,本件土地付近の建築基準法上の道路としては,別紙図面東端の市道しか存在しないことになり,この道路に2メートル 築基準法上の位置指定道路にはならない(建築基準法施行令144条の4第1項本文,但書)ため,本件土地付近の建築基準法上の道路としては,別紙図面東端の市道しか存在しないことになり,この道路に2メートル以上接しなければならないことになるところ,別紙図面1記載の(あ)(う)は,それぞれ(ア)(ウ)部分の専用通路を通じて市道に接している状況にする必要があったためである。 (4) 原告は,平成6年3月15日,被告Eの仲介で,被告Cより本件土地建物を代金2600万円で買い受ける旨の本件売買契約を締結した。 被告Eは,その際,宅地建物取引主任者として,原告に対して重要事項説明をしたが,その重要事項説明書(甲2)の「敷地と道路の関係」欄には,「敷地が約4メートル幅の私道に接し間口が約6.4メートルに接している。」旨の記載がある。被告Eは,上記の建築確認の際の接道関係を知っていたが,重要事項説明の際には,上記のような説明をし(上記の約4メートル幅の私道とは,本件南側私道を指している。),本件南側私道は建築基準法上の接道義務の関係では「道路」にはあたらず,建築基準法上の「道路」は別紙図面1記載の東端の市道であり,本件土地は,別紙図面1記載の(ウ)の専用通路を経由して市道に接していることになるという説明は一切しておらず,被告Cも同様である。なお,現況では,別紙図面1記載の(ア)(イ)の幅が全体土地全体を通じて約4メートル幅の道路(本件南側私道)となっており,その北側の建物敷地部分と本件南側私道との間にはL字型側溝が設置され,建物敷地部分がやや道路部分より高くなっているが,この側溝は別紙図面1記載の(あ)(う)部分の建築確認を取得する前に完成していた。 (5) 被告Cは,別紙図面1記載の(い)につき,同図面(イ)部分を専用通路として建築確認申請をすると っているが,この側溝は別紙図面1記載の(あ)(う)部分の建築確認を取得する前に完成していた。 (5) 被告Cは,別紙図面1記載の(い)につき,同図面(イ)部分を専用通路として建築確認申請をすると共に(同年8月15日建築確認取得),平成6年8月頃から,別紙図面1の(う)部分の建物建築を開始し,平成6年10月下旬から11月初めにかけて,6戸1棟の連棟式住宅(但し,土地はそれぞれ分筆されており,建物表示登記も1戸毎の個別の登記となっている。)が完成した。 原告は,平成6年11月8日に手付金100万円以外の残金2500万円を被告Cに支払い,本件土地建物の引渡しを受けて,まもなく同建物に居住を始めた。上記最終決済の際は,被告Eも立ち会っているが,その際も被告Cや被告Eから,原告に対して上記の接道関係は説明されていない。 (6) 被告Cは,別紙図面1記載の(え)及び(ウ)部分(n番p土地)を平成7年6月21日に4筆に分筆し,平成7年7月17日以降平成8年5月30日まで順次売却した。これにより,別紙図面1記載の(ウ)部分は,本件土地を含む別紙図面1記載の(う)部分の専用通路として利用できなくなり,同部分は,建築基準法上の接道義務を満たさなくなった。なお,別紙図面1記載の(え)部分の3戸1棟の長屋建住宅の建築確認申請は,平成7年10月17日であり,同年12月4日に同確認が得られた。 (7) 原告は,平成12年になってもう少し大きい建物に買い替えようと考え,不動産業者に相談したところ,業者の調査で本件土地が建築基準法上の接道義務を満たさないことを初めて知った。 原告は,平成13年頃,肩書住所地に別の一戸建ての土地建物を購入し,転居した。 原告は,平成13年3月7日付内容証明郵便により,被告Cに対し,民法570条,566条の瑕疵担保責 知った。 原告は,平成13年頃,肩書住所地に別の一戸建ての土地建物を購入し,転居した。 原告は,平成13年3月7日付内容証明郵便により,被告Cに対し,民法570条,566条の瑕疵担保責任により本件売買契約を解除する旨の意思表示と売買代金返還請求をし,同郵便は平成13年3月14日に被告Cに到達した。 原告は,平成13年4月27日,本訴を提起した。 (8) 被告Cは,平成13年3月16日,妻Hと協議離婚し,被告Cが所有していた不動産の一部を財産分与を原因として,妻Hに所有権移転登記した。 原告は,平成13年6月19日,主位的には上記所有権移転が通謀虚偽表示により無効であるとし,予備的には同所有権移転が詐害行為に該当するとして,Hを被告として,所有権移転登記抹消登記手続等請求事件(当裁判所平成13年(ワ)第203号事件)を提起し,同訴訟は現在も係争中である。 (9) 被告Cは,本訴係属中の平成14年2月12日,別紙図面1記載の(う)部分の6戸(原告を含む。)と(え)部分の3戸の各所有者を相手方として,(え)部分の所有者が(う)部分の所有者のために建築基準法所定の接道が具備されるに必要な協力をすることを求めて,葛城簡易裁判所に調停の申立てをしたが,原告はその調停に応じていない。 2 被告Cの責任について上記認定事実によれば,本件土地は,現在建築基準法上の接道義務を満たしていないこと,ところが,現況では,本件土地の南側に約4メートル幅の本件南側私道が存在し,一見すると,本件南側私道が建築基準法上の「道路」にあたり,一般人にとっては,接道義務を満たしているように見えること,実際にも,原告は,本件土地建物購入に際し,被告Eから,「敷地が約4メートル幅の私道(本件南側私道)に接し間口が約6.4メートルに接している。」旨 にとっては,接道義務を満たしているように見えること,実際にも,原告は,本件土地建物購入に際し,被告Eから,「敷地が約4メートル幅の私道(本件南側私道)に接し間口が約6.4メートルに接している。」旨の説明を受けただけで,被告Cからもそれ以上の特段の説明を受けなかったため,接道義務違反があることを知らずに,本件土地建物を購入したことが認められる。 ところで,上記接道義務違反が生じた時期についてみるに,なるほど,一見すると,本件売買契約締結時点においては,本件土地建物は別紙図面1記載の(ウ)部分を専用通路として接道義務を満たしていたようにも思われる。しかしながら,上記認定事実及び弁論の全趣旨によれば,被告Cは,もともと全体土地に別紙図面2記載のとおりの分譲を計画していたこと,ところが,接道義務との関係で,本件南側私道が位置指定道路になりえないため,専用通路を設けて東側の市道に接道する必要が生じ,別紙図面1記載のとおりの接道関係に従って建築確認を得たこと,しかし,この接道関係はあくまで建築確認のみのための便宜的な方策にすぎず,実際には本件南側私道部分のみを道路部分と考えており,別紙図面1記載の(ウ)部分も道路部分とすることを考えていた形跡はないこと(道路部分と敷地部分を隔てるL字型側溝自体,別紙図面1記載の(あ)(う)の建築確認を取得以前に完成していたものであるし,(え)部分の分譲にあたり,(ウ)部分を除いて分譲すると,その経済的価値が著しく低下するのは明らかであり,被告Cがそのような経済的負担を覚悟で,別紙図面1記載の(ウ)部分を専用通路として確保するつもりであったとは到底考えられない。被告C自身,別件訴訟の証人尋問において,接道義務は建築確認を取得する際に満たしていれば足り,その後接道義務を満たさなくなっても問題はないと考えていたと 確保するつもりであったとは到底考えられない。被告C自身,別件訴訟の証人尋問において,接道義務は建築確認を取得する際に満たしていれば足り,その後接道義務を満たさなくなっても問題はないと考えていたという趣旨の供述をしている(甲20)。),上記建築確認の接道関係もあくまで連棟式建物を前提とし,その敷地も共有である必要があるのに(専用通路はあくまで特定の建物敷地にすぎないから,特定の建物のためだけのものである必要があり,数軒共用の専用通路などありえない。),被告Cは,もともと分譲にあたり,各土地を個別に分筆することを前提にしており(甲1,2の記載から明らかである。),建物の表示登記も個別に行い,その構造も容易に一戸建の建物に変更できるものにしていたことが認められ,これらの事実によれば,本件売買契約の時点で,既に本件土地が接道義務を満たさなくなることは確定していたものというべきであり,従って,本件土地の接道義務違反が生じた時期は,被告Cが別紙図面1記載の(ウ)部分を第三者に売却した時期ではなく,本件売買契約締結の時点であると認めるのが相当である。 そうすると,上記接道義務違反の点は,本件土地建物の隠れたる瑕疵に該当するというべきであり,本件土地建物の売主は買主である原告に対して瑕疵担保責任を免れず,原告は契約目的を達することができないものとして(民法570条,566条1項),本件売買契約を解除することができるものというべきである。 被告Cは,この点につき,本件南側私道が存在するため,日常生活への影響は生じておらず,別紙図面1の(え)記載の3戸1棟の連棟式建物の所有者からの協力が得られれば,あるいは本件南側私道を公道に編入することが出来れば,必要とされる接道を確保して再度建築確認を取得することも可能であるから,原告が本件売買契約を解除 1棟の連棟式建物の所有者からの協力が得られれば,あるいは本件南側私道を公道に編入することが出来れば,必要とされる接道を確保して再度建築確認を取得することも可能であるから,原告が本件売買契約を解除することは許されないと主張している。 しかしながら,一般に土地付建売住宅を購入する者は,特段の事情のない限り,単に当初の建物に居住することのみを目的に購入するものではなく,将来において,建物を建て替えたり,あるいは転売することをも目的として購入するものと推認でき,本件においても上記特段の事情を窺わせる事情は存在しないし,被告Cが主張する接道対策もこれが近い将来実現可能であることを認めるに足りる的確な証拠もないから,原告は単に損害賠償請求にとどまらず,本件売買契約の解除をすることも許されるものと解するべきである。 そして,原告が平成13年3月14日,被告Cに対し,本件売買契約を解除する旨の意思表示をしたことは上記認定のとおりであるから,これにより本件売買契約は解除されたものである。 3 被告Cの同時履行の抗弁権の有無について原告は,上記のとおり,本件売買契約を解除して,被告Cに対し,原状回復及び損害賠償を請求しているところ,民法571条の規定及びその趣旨によれば,被告Cのこれらの債務と解除により原告に生じる原状回復義務(別紙引換給付義務一覧表記載の債務)とは同時履行関係にあるのは明らかであり,被告Cは,本訴において,別紙引換給付義務一覧表記載の債務との同時履行の抗弁権の行使を主張している。 これに対し,原告は,被告Cには,上記の債務を履行する意思も能力もないから,同時履行の抗弁権を行使することは信義則上許されないと主張している。 なるほど,被告Cがその本人尋問において,資力がないため本件請求金員を支払うことが困難であ 務を履行する意思も能力もないから,同時履行の抗弁権を行使することは信義則上許されないと主張している。 なるほど,被告Cがその本人尋問において,資力がないため本件請求金員を支払うことが困難である旨供述しているものの,この程度の事実から被告Cの履行拒絶の意思が明確であるとまで判断するのは相当ではなく(そもそも同時履行の抗弁権自体,対価的な関係にある債務の債務者の公平のための制度であるから,同時履行の抗弁権の行使の排斥はより慎重にされるべきである。),信義則上,同時履行の抗弁権を行使することができないとまではいえない。そうすると,原告が本件売買契約を解除後,上記反対給付の履行の提供をしたことを認めるに足りる証拠がない以上,被告Cは,同時履行の抗弁権により,本件の原状回復義務ないし損害賠償義務について遅滞の責任を負わず,また本件請求に関しては,裁判所として,別紙引換給付義務一覧表記載の債務の履行との引換給付判決を命じることとなる。 なお,被告Eが同時履行の抗弁権を有していないことはいうまでもない。 4 被告Eの責任についてところで,およそ不動産売買の仲介業者は不動産の売買等の法律行為を媒介することを引き受けるもので,事実行為たる媒介の性質に照らし,仲介契約は準委任契約であるから,仲介業者は一般に不動産取引について専門的知識と経験を有するものとして,依頼者その他取引関係者に対し,信頼を旨とし誠実にその業務を行い,委任事務である仲介業務の処理に当たっては準委任の本旨に従い,善良な管理者の注意義務をもってこれを処理することを要するものである(民法644条,656条)。 これを本件についてみるに,上記認定のとおり,被告Eは,原告に対する重要事項の説明において,法令に基づく制限の概要(宅地建物取引業法35条1項2号)のうち,建 る(民法644条,656条)。 これを本件についてみるに,上記認定のとおり,被告Eは,原告に対する重要事項の説明において,法令に基づく制限の概要(宅地建物取引業法35条1項2号)のうち,建築基準法関係の敷地と道路の関係について,真実は建築基準法上の接道義務を満たさないことが確定し(上記2で判示したとおり,本件土地の接道義務違反は,本件売買契約締結後,後発的に生じたものではなく,本件売買契約の時点で存在したものであり,その点は宅地建物取引主任の資格を有する被告Eが注意義務を尽くせば,容易に判明したことであると解される。),従って,少なくとも今後の建物の増改築や建替えが不可能であるのに,その点をなんら説明することなく,同法上の道路にはあたらない私道との接道関係を説明したにすぎないというのであるから,上記の点に説明義務違反があるのは明らかである。そして,この過失は重大であって,決して軽過失とはいえない。 被告Eは,本件土地建物は近隣の物件に比べて極めて低廉であったから,被告Eが原告に対し,別紙図面1記載の(ウ)部分が専用通路であると説明していても,原告が本件土地建物を購入していたのは明らかであり,被告Eの説明義務違反と原告の損害との間に相当因果関係はない旨主張している。しかしながら,土地付建物を購入するものにとって,建築基準法上の接道関係は,将来の建替えや転売の可否あるいは転売価格等に大きく影響するものであって,接道義務違反があることを知れば,通常売買契約の締結をしないであろうことは容易に推認でき,他に被告Eが説明義務を果たしていた場合にも原告が本件売買契約を締結したことを認めるに足りる的確な証拠はない以上,被告Eの説明義務違反と原告の損害との間の相当因果関係があるというべきである。また被告Eは,同被告が「専用通路により接道義 にも原告が本件売買契約を締結したことを認めるに足りる的確な証拠はない以上,被告Eの説明義務違反と原告の損害との間の相当因果関係があるというべきである。また被告Eは,同被告が「専用通路により接道義務を満たしている」と説明していたとしても,結局後の被告Cの行為によって損害は発生していたものであるから,やはり被告Eの説明義務違反と原告の損害との間に相当因果関係はないとも主張している。しかしながら,この点は,上記2で既に判示したとおりであって,本件土地の接道義務違反は,本件売買契約後,後発的に生じたものではなく,本件売買契約の時点から存在していたと認めるべきであるから,被告Eの上記主張も採用できない。 従って,被告Eは,本件仲介契約の債務不履行として,原告が被った損害を賠償する責任があるものというべきである。 5 原告の損害について(1) 被告C関係上記のとおり,原告は,瑕疵担保責任に基づき,本件売買契約を解除し,あわせて損害賠償を請求している。 従って,被告Cは,原告の本件売買契約解除により,原状回復義務として,売買代金2600万円の返還義務を負うのはもちろんであるが,原告は,これ以外に,瑕疵担保責任に基づく損害賠償として,相当因果関係の範囲内である原告主張の仲介手数料(49万4400円,甲11により認める。)や登記手続費用(33万7700円,甲12により認める。)相当の損害の賠償も求めることができるものというべきである。 (2) 被告E関係ア被告Eが支払義務を負うのは,同被告の債務不履行と相当因果関係のある損害にとどまるものである。 ところで,上記認定事実によれば,原告は,被告Eの債務不履行により瑕疵ある(接道義務に違反する)本件土地建物を購入したものではあるが,接道義務に違反する不動産を購入した者が どまるものである。 ところで,上記認定事実によれば,原告は,被告Eの債務不履行により瑕疵ある(接道義務に違反する)本件土地建物を購入したものではあるが,接道義務に違反する不動産を購入した者が必ず売買契約を解除するとは限らないから,解除に伴って発生する損害は被告Eとの関係では特別損害にあたるものと解され,本件において,被告Eがその点を予見可能であったことの主張・立証はない。 また,原告の本件売買契約の解除の判断については,いまだ確定判決で認定されたわけではないから,本訴の口頭弁論終結時において,被告Eとの関係では,解除を前提とする損害額がいまだ確定的に発生していると認めるのも困難である。 そうすると,上記いずれの観点からしても,被告Eは,原告主張の解除を前提とする損害賠償を負うものということはできず,被告Eが負担するのは,解除を前提としない損害,すなわち本件売買代金額と接道義務違反を前提とする,本件売買契約当時の本件土地建物の適正価格との差額にとどまるものというべきである(仲介手数料や登記手続費用は解除を前提とする損害であるから,被告Eの責任と相当因果関係のある損害とは認められない。)。 イそこで,上記差額について検討する。 証拠(甲28)によれば,不動産鑑定士は,平成13年12月3日時点の本件土地建物の正常価格を611万4000円と評価していることが認められる。 しかしながら,上記のとおり,原告の損害額としては,接道義務違反を前提とする,本件売買契約当時の本件土地建物との適正価格との差額を算定するべきであるから,本件売買価格と上記の評価額との差額を原告の損害ということはできない。 ところで,証拠(甲28)によれば,不動産鑑定士は,上記鑑定評価にあたり,接道関係で,土地建物共に50パーセントの減価をしてい 売買価格と上記の評価額との差額を原告の損害ということはできない。 ところで,証拠(甲28)によれば,不動産鑑定士は,上記鑑定評価にあたり,接道関係で,土地建物共に50パーセントの減価をしていることが認められるから,他に特段の事情の認められない本件においては,本件売買契約時点の本件土地建物の適正価格は,本件売買代金の50パーセントであると推認するのが相当である。なお,被告Eは,本件土地建物の価格に関して,不動産業者の査定書(丙13の1ないし6,14)を提出しているが,その価格根拠が必ずしも明らかではないうえ,不動産評価の専門家である不動産鑑定士の意見を左右するほどの信頼性を有するものとは認められない。 そうすると,被告Eとの関係での原告の損害は本件売買契約の代金額2600万円の50パーセントである1300万円であると認めるのが相当である。 6 弁護士費用について本件事案の内容,審理経過,認容額等に照らすと,被告Cが負担すべき弁護士費用としては,270万円,被告Eが負担すべき弁護士費用としては130万円が相当である。 なお,瑕疵担保責任ないし債務不履行責任として弁護士費用の賠償を認め得るかは問題ではあるが,上記認定にかかる接道義務違反の内容や説明義務違反の内容からすると,被告らの負う瑕疵担保責任ないし債務不履行責任の内実は反社会性ないし反倫理性の程度において不法行為責任に匹敵すべき違法性を有するといわざるを得ないから,弁護士費用の賠償も認められるものと解するのが相当である。 7 結論以上によれば,原告の被告らに対する請求は主文の限度でいずれも理由がある(被告Eの債務不履行による損害賠償債務は,期限の定めのない債務であり,債権者から履行の請求を受けた時に履行遅滞に陥るものと解するべきであるから,遅延損害金は る請求は主文の限度でいずれも理由がある(被告Eの債務不履行による損害賠償債務は,期限の定めのない債務であり,債権者から履行の請求を受けた時に履行遅滞に陥るものと解するべきであるから,遅延損害金は,代金受領の日の翌日からではなく,訴状送達の日の翌日から発生するものである。)。なお,被告らの支払義務は重なり合う限度において,共同不法行為の場合に類するものとして,いわゆる不真正連帯の関係にあるものと解される。 よって,主文のとおり判決する。 奈良地方裁判所葛城支部裁判官神山隆一 引換給付義務一覧表 1 本件土地について原告名義での所有権移転登記の抹消登記手続 2 本件建物について真正な登記名義の回復を原因とする被告Cへの所有権移転登記手続 3 本件土地及び建物についての抵当権設定登記の抹消登記手続 4 被告Cへの本件土地及び建物の引き渡し以上物件目録 1 土地所在奈良県橿原市l町字m地番  n番o地目宅地地積  70.85平方メートル 2 建物所在橿原市l町n番地o家屋番号  n番o種類居宅構造木造スレート葺3階建床面積 1階 39.74平方メートル2階 39.74平方メートル3階 12.42平方メートル 建床面積 1階 39.74平方メートル2階 39.74平方メートル3階 12.42平方メートル以上

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