【DRY-RUN】主 文 本件訴を却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 (当事者双方の申立) 原告は「昭和三七年七月一日施行の山形県、福島県、宮城県の各
主文 本件訴を却下する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 (当事者双方の申立)原告は「昭和三七年七月一日施行の山形県、福島県、宮城県の各選挙区における参議院地方選出議員選挙はいずれも無効であることを確認する。訴訟費用は被告等の負担とする。」との判決を求め、被告ら各指定代理人は本案前の申立として主文同旨の判決を求めた。 (当事者双方の主張)原告は、一、 請求の原因として別紙「請求の原因訂正の申立」と題する書面記載のとおり陳述し、二、 被告らの本案前の申立の理由に対する反論として、別紙「反駁書」と題する書面記載のとおり述べ、被告ら若しくはその指定代理人は、本案前の申立の理由として、一、 公職選挙法第二〇四条によつて、選挙の効力に関し異議がある選挙人が訴訟を提起することができるのは、当該選挙人が所属する選挙区の選挙に限られ、他の選挙区の選挙の効力についてはこれをなし得ないのである。本件の原告は、その主張するところによれば、本件選挙の際青森県選挙区に属する選挙人であるのであるから、青森県以外の選挙区における本件選挙の効力を争いうる適格を有しない。 よつて本訴はいずれも不適法な訴として却下されるべきである。(東京高等裁判所昭和三〇年一二月一六日判決、行政裁判例集第六巻一二号三〇一頁参照)三、 尚原告の前記「反駁書」と題する書面中の、被告らの右一に記載するような、選挙の効力を争いうる選挙人の資格を狭く制限する解釈が憲法第三二条に違反するむねの主張は憲法第三二条の趣旨及び選挙の効力に関する訴訟の本質を理解しないことによる誤つたものである。何となれば、(1) 憲法第三二条は元来裁判所の権限として定まつている事項について裁判を受ける権利を保障するに過ぎない。また司法は右第三 に関する訴訟の本質を理解しないことによる誤つたものである。何となれば、(1) 憲法第三二条は元来裁判所の権限として定まつている事項について裁判を受ける権利を保障するに過ぎない。また司法は右第三二条などから推知されるとおり、究極において個人の権利利益の保障を主眼とするものであるから、市民的自由や権利と認められない国家機関相互の権限争議や公の機関の内部組織に関する争は、法律上裁判所にこれを解決する権限を与えれば格別、当然には司法審査の対象とはならない。現行制度で認められている選挙訴訟などはこれである。 (2) 選挙の効力に関する争訟は、一個人の権利義務の問題ではなく、本来の法律上の紛争に当らない。従つて法律に規定ある場合初めて訴訟を提起しうるのである。 (3) 原告は自己の平等なるべき選挙権の平等性が害されたことを理由としているので、一見自己の権利の侵害の救済を求めているようであるが、それがひつきよう選挙の効力を争うものである以上やはり民衆訴訟として公職選挙法第二〇四条による訴訟と解すべきである。従つて法律をまたず裁判所に出訴し得るものと解すべきでない。かりに、本件原告の請求が民衆訴訟たる一般選挙訴訟と異るものと解しても、原告の救済は原告所属選挙区の選挙の効力を争い得れば権利の保護として充分であり、他の選挙区の効力まで争い得るものとする必要はない。 と述べた。 理由 被告らの本案前の申立について一、 (1) 地方選出の衆議院議員は都道府県を単位とする各選挙区において選挙されるものではあるが、右選挙区は選挙執行の便宜の為に設けられた手続上の区画たるにすぎないのであるから、右選挙によつて選出された参議院議員は当該選挙区のみの代表者たるにとどまらず、全国民を代表するものといわなければならないのであつて、この 便宜の為に設けられた手続上の区画たるにすぎないのであるから、右選挙によつて選出された参議院議員は当該選挙区のみの代表者たるにとどまらず、全国民を代表するものといわなければならないのであつて、このことは公職選挙法第一六条の「現在の……参議院(地方選出)議員……は行政区画の変更に因りその選挙区に異動があつても、その職を失うことはない」との規定によつても明瞭である。そうすると右選挙果が公正に定められることについては全選挙人が等しく利害関係を有するものというべく、その点から云えば、所属選挙区の如何を問わず、全選挙人に、右選挙に関し訴訟を提起しうる適格を認めるに足る理由があ<要旨第一>るようである。しかしながら、公職選挙法が右選挙区の制度を設けて各選挙区毎に個別的に選挙を行わせるこ</要旨第一>ととした以上、選挙人が具体的にその選挙権を行使しうるのはその所属選挙区に限られているのであるから、その所属選挙区における選挙の効力を争うために選挙訴訟を提起しうべき権利を認める必要があると同時に、それだけで十分であり、それ以上に自ら参加することができない他の選挙区の選挙の効力についてまで容喙する権利を認める必要はないといわなければならない。 (2) 公職選挙法は第二〇四条において、選挙訴訟を提起しうるものとして選挙人の外に議員候補者を掲げているのであつて、このことからみても、その所謂選挙人とは専ら当該選挙区に属する選挙人のみに限るとする趣旨であることが十分うかがいうる。何となれば、右法条において特に議員候補者に出訴権限を認めた所以は、右のように選挙訴訟を提起しうるものを当該選挙区の選挙人に限るとした結果、その選挙区の選挙人ではない議員候補者(立候補はいずれの選挙区からでもできる)は、その選挙の結果に最も深い利害関係を有しながら、その効力を争い得ないと うるものを当該選挙区の選挙人に限るとした結果、その選挙区の選挙人ではない議員候補者(立候補はいずれの選挙区からでもできる)は、その選挙の結果に最も深い利害関係を有しながら、その効力を争い得ないという事態が生じうることとなり、極めて不合理であるからに外ならない。のみならず、もし右選挙人が選挙区の如何を問わず全選挙人を含むとすれば、選挙人でない議員候補者はあり得ないので、選挙人の外に特に議員候補者を挙げることが無意味とならねばならないからである。 二、 原告は右のように選挙訴訟を提起しうる選挙人を当該選挙区に所属する選挙人に限るとすることは、憲法<要旨第二>第三二条に違反すると主張するが、憲法の右規定は、何人も自己の権利または利益が不法に侵害された場合に</要旨第二>は、裁判所に対してその主張の当否を判断し、その損害の救済に必要な措置をとることを求めることができることを保障したものであるというべきところ、選挙訴訟なるものは特定人の権利又は利益の保護が目的でなく、広く選挙人一般に訴訟提起の資格を認める所謂民衆訴訟であつて、かかる民衆訴訟は右憲法第三二条の要請に基ずくものではなく、法律に特別の規定が存する場合に限り認められるものであり(行政事件訴訟法第四二条)、従つて選挙訴訟を提起しうる選挙人を全選挙人とするか、これを前記のように当該選挙区に所属する選挙人に限るとするかは、立法政策上もしくは公職選挙法の解釈上の問題であつて、憲法上の問題ではない。従つて原告の右主張は採るを得ない。 三、 しかして原告が本件選挙当時は勿論その後も引き続き青森県選挙区に属することは原告の自ら認めるところであるから、原告は青森県以外の選挙区における本件選挙の効力を争いうる適格を有しないものというの外はなく、本件訴はこれを不適法として却下することとし、訴訟費用の負 属することは原告の自ら認めるところであるから、原告は青森県以外の選挙区における本件選挙の効力を争いうる適格を有しないものというの外はなく、本件訴はこれを不適法として却下することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官高井常太郎裁判官上野正秋裁判官新田圭一)
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