主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 第5号事件被告は、原告Aに対し、金350万円及びこれに対する令和5年1月25日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 2 第164号事件被告は、原告一般社団法人富山県平和大使協議会(以下「原告法人」とい う。)に対し、金2200万円及びこれに対する令和5年8月18日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨⑴ 第5号事件は、原告Aが、富山市議会が令和4年9月28日にした別紙記 載の決議により原告Aの請願権等が侵害されたとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、350万円(慰謝料300万円及び弁護士費用50万円の合計額)及びこれに対する不法行為後の日で訴状送達の日である令和5年1月25日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。なお、原告Aは、行政事件訴訟法3条 2項に基づき上記決議の取消しも求めていたが、これを取り下げた。 ⑵ 第164号事件は、原告法人が、上記決議並びに富山市長が令和4年8月から9月にかけてした記者会見での発言及び富山市議会での答弁により原告法人の名誉権等が侵害されたとして、被告に対し、国家賠償法1条1項に基づき、2200万円(慰謝料2000万円及び弁護士費用200万円の合計 額)及びこれに対する不法行為後の日で訴状送達の日である令和5年8月1 8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定 年8月1 8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認定することができる事実)⑴ 当事者等 ア原告Aは、富山市に居住し、Bが大韓民国で設立した宗教団体である世界平和統一家庭連合(以下「本件教団」という。)の教義を信仰している者である。本件教団は、平成27年に現在の名称に変更するまでは世界基督教統一神霊協会と称しており、「統一教会」や「統一協会」と略称されることがあり、現在は「旧統一教会」や「旧統一協会」と称されることが ある。(弁論の全趣旨)イ原告法人は、UniversalPeaceFederation(UPF)が掲げるビジョンとゴールの達成に向けた諸活動を推進することを目的とする一般社団法人であり、UPF の日本支部であるUPF-Japan の富山支部と位置付けられている。UPF は、Bが設立した「OneFamilyUnderGod」をビジョン として掲げるNGO であり、本件教団の関連団体である。原告法人が令和5年6月に設立されるまでは、富山県平和大使協議会という名称の法人格のない団体が原告法人と同様の活動をしていた。(甲10、丙1~4、6、弁論の全趣旨)ウ被告は、富山県内の普通地方公共団体であり、令和4年8月以降現在ま での市長はC(以下「C市長」という。)である。 ⑵ 安倍元首相の暗殺とその後の社会情勢等令和4年7月8日に安倍晋三元首相が暗殺された後、同事件の被疑者が本件教団の信者の子であり、「宗教に対する恨み」が犯行の動機であるとの報道がされ、全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士らが、信者が本件教団に 高額の献金 元首相が暗殺された後、同事件の被疑者が本件教団の信者の子であり、「宗教に対する恨み」が犯行の動機であるとの報道がされ、全国霊感商法対策弁護士連絡会の弁護士らが、信者が本件教団に 高額の献金をして家庭が崩壊した事例を取り上げて本件教団を批判するなど し、本件教団や本件教団と政治家との関係が問題視されるようになった(弁論の全趣旨、公知の事実)。 ⑶ C市長による決意表明及び富山市議会による決議アこのような状況下で、C市長は、令和4年8月17日に行われた記者会見において、本件教団について「私としては、まず市長としての公務、あ るいは富山市としてでありますが、今後、旧統一教会及びその関係団体との関わりは一切持たないことにいたします。」「関係団体が主催する諸行事及びイベント等への出席、並びに市の後援等の名義使用承認についても、今後は一切行わないことといたします。」「旧統一教会関係団体の幹部や役員の方はもとより、そのような団体に所属しておられる方であることがは っきりわかる場合には、一切、政治的には関わりを持たないということにさせていただきます。」などと発言した(以下、これらの発言を「本件決意表明」という。)(丙13)(判決注:本判決において定義した「本件決意表明」は、原告らが主張するものとは発言日が異なるものの、他の発言と併せてみれば、実質的に異なるものではない。)。 イ C市長は、令和4年9月12日に開かれた富山市議会の定例会において、市議からの質問に対し、「いわゆる旧統一教会、あるいはその関係団体ですが、元信者や親族から不相当な献金、あるいは教義の強要などに対する損害賠償請求訴訟を提起されており、裁判において当該団体の不法行為が認定された事例や、これは先ほども申しましたけれども、現在も裁判で係 信者や親族から不相当な献金、あるいは教義の強要などに対する損害賠償請求訴訟を提起されており、裁判において当該団体の不法行為が認定された事例や、これは先ほども申しましたけれども、現在も裁判で係 争中の事例があること、さらに、親が熱心な信者である家庭の子どもが貧困状態に陥るなどの悲惨な事例が報道等によって明るみになっていることからも、社会的に極めて問題がある団体と言わざるを得ないものと考えております。」とした上、「昨年5月に富山県平和大使協議会から受けた平和大使の称号を返上させていただきますとともに、今年6月に富山県平和大 使協議会で決議された私の後援会組織の設立についても御辞退を申し上げ ることといたしました。また、本市といたしましても、今後は旧統一教会の関係団体からの、例えば市長の出前トークの申込みや主催する行事及びイベント等への出席依頼、市の後援等名義の使用承認申請があった場合、これらには一切応じないことといたしました。」と答弁した(丙14)。 ウさらに、C市長は、令和4年9月14日の富山市議会の定例会において、 市議の「今、旧統一協会が反社会的なカルト集団との認識はありますか。 ないですか。聞きたいと思います。」との質問に対し、「不相当な献金や教義の強要などに対する損害賠償請求訴訟を今も提起されているということ、あるいは、裁判において不法行為ですね、これが認定された事例があるというふうなこと、また、現在も裁判で係争中の事例があるというふうに、 大変問題のある団体だなというふうに感じております。」と答弁した(以下、本件決意表明とイ、ウの各答弁を併せて「本件決意表明等」という。)(丙15)。 エ富山市議会は、同月28日の定例会において、別紙のとおり、「富山市議会が世界平和統一家庭連合(旧統一教会) 以下、本件決意表明とイ、ウの各答弁を併せて「本件決意表明等」という。)(丙15)。 エ富山市議会は、同月28日の定例会において、別紙のとおり、「富山市議会が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)及び関係団体と一切の関係を 断つ決議」と題する議案を全会一致で可決した(以下、同決議を「本件決議」という。)(甲1、丙16)。 3 争点⑴ 本件決議は公権力の行使に該当するか⑵ 本件決意表明等及び本件決議が国家賠償法上の違法性を有するか (以下のアからエまでは原告Aのみ、カは原告法人のみ、オは原告ら両名に関する争点である。)ア本件決議は原告Aの請願権(憲法16条)及び政治参加の自由を侵害するかイ本件決議は原告Aの思想良心の自由及び信教の自由(憲法19条及び2 0条1項前段)を侵害するか ウ本件決議は平等原則(憲法14条1項)に違反するかエ本件決議は適正手続の保障(憲法31条、13条)に違反するかオ本件決意表明等及び本件決議はいわゆる宗教ヘイトに該当するか、また、それにより原告法人の尊厳を蹂躙し、(本件決議は)原告Aの名誉感情を侵害するものであるか カ本件決意表明等及び本件決議は原告法人の名誉を毀損するか⑶ 原告らの損害 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(本件決議は公権力の行使に該当するか)について(原告Aの主張) 本件決議は、地方自治法89条によって設置された議事機関たる富山市議会による対外的な政治的意思の表明であり、憲法92条の地方自治の本旨に根拠を有する公権力の行使に該当する。 (被告の主張)本件決議は、公共団体の内部的意思決定にすぎず、国民の権利や義務を変動 せしめるものではないから、公権力の行使には該当しない。 ⑵ 争点2 を有する公権力の行使に該当する。 (被告の主張)本件決議は、公共団体の内部的意思決定にすぎず、国民の権利や義務を変動 せしめるものではないから、公権力の行使には該当しない。 ⑵ 争点2(本件決意表明等及び本件決議が国家賠償法上の違法性を有するか)についてア(本件決議は原告Aの請願権(憲法16条)及び政治参加の自由を侵害するか)について (原告Aの主張)憲法16条は請願権を保障している。請願権は、民意を国政ないし地方行政に反映させる方法として参政権を補充する重要な政治的権利とされているところ、これを制度化した請願法5条は「この法律に適合する請願は、官公署において、これを受理し誠実に処理しなければならない。」と定めており、普通地 方公共団体の議会に請願する際は、議員の紹介により請願書を提出しなければ ならないとされている(地方自治法124条)。 原告Aは、富山市議会に対して本件決議の取消し等を求める請願をするため、面識のある複数の富山市議会議員に対し、紹介議員になることを依頼したが、いずれも、本件決議を理由として原告Aの依頼を拒否した。そこで、原告Aは、上記請願をするため、富山市議会議長に紹介議員を引き受けるよう懇請したが、 これも本件決議を尊重すべきとの理由で拒否された。 本件決議が全会一致で可決されていることからすれば、他の議員も原告Aが依頼した議員と同様に本件決議を理由として紹介議員になることを拒否するものと考えられるから、本件決議は、本件教団や原告Aを含む本件教団の信者が富山市議会に対する請願に必要な紹介議員を得ることを著しく困難にし、原告 Aの請願権の行使を著しく困難にするものというべきである。 なお、原告Aは、市議会議長から紹介議員が不要な陳情制度を案内されたが、陳 る請願に必要な紹介議員を得ることを著しく困難にし、原告 Aの請願権の行使を著しく困難にするものというべきである。 なお、原告Aは、市議会議長から紹介議員が不要な陳情制度を案内されたが、陳情ではなく地方自治法所定の請願の形式でなければ、請願法5条が定める誠実処理がされる法的保障がなく、陳情では請願を代替することはできない。 以上によれば、本件決議は原告Aの請願権を侵害するものである。 このほか、請願権は自由権規約25条に基づく政治参加の自由のコロラリーであるところ、本件決議は、本件教団等の信徒らがその信者であることを名乗ってする政治参加(富山市議会議員との交流等)を拒絶するもので、同規約にも違反するものである。 (被告の主張) 本件決議は、請願の制限を目的とするものではなく、また、富山市議会では、宗教的理由により請願を差別的に取り扱ったことはない。 市議会議長の回答には、議長在職中は請願の紹介議員となることは差し控えたいと考えているとの記載があり、本件決議のみを理由として原告Aの依頼を拒否したわけではないと考えられるから、他の議員が全員原告Aの依頼を拒否 するかは明らかではない。また、原告Aが紹介議員を得られなかったとしても、 それは請願書の内容が各議員の信条や信念に合致しないからであり、本件決議とは関係がないし、原告Aは陳情により意思表示をすることができ、富山市議会は請願と陳情をほとんど差異なく取り扱うこととする取扱要領を定めているから、本件決議が原告Aの請願権を違法に侵害したとはいえない。 このほか、私人や団体が議員と一定の関係を持つ権利を有するものとはいえ ず、本件決議が原告Aの政治参加の自由を侵害するものとはいえない。 イ(本件決議は原告Aの思想良心の自由及び信教の自由( このほか、私人や団体が議員と一定の関係を持つ権利を有するものとはいえ ず、本件決議が原告Aの政治参加の自由を侵害するものとはいえない。 イ(本件決議は原告Aの思想良心の自由及び信教の自由(憲法19条及び20条1項前段)を侵害するか)について(原告Aの主張)憲法19条及び20条1項前段は、思想良心の自由及び信教の自由を保障 しているところ、これらは、内心の自由にとどまらず、宗教や信念を表明する自由をも保障するものであり(自由権規約18条1項参照)、教義が説く理念や戒律に従った社会の実現を目指して政治的な働きかけを行うことも、宗教や信念の表明ということができる。原告Aは、本件教団の信者として、その教義を実践するため、政治活動を行ってきたが、これが本件決議により 困難になった。このように、本件決議は、原告Aの思想良心の自由や信教の自由の一内容である宗教や信念の表明、宗教活動の自由を侵害するものであり、国家賠償法1条1項所定の違法行為に当たる。 (被告の主張)本件決議は、宗教的理由により本件教団等との関わりを断つとの宣言では ないから、これによって原告Aの内心の自由や宗教等を表明する自由、宗教活動を何ら侵害するものではない。 ウ(本件決議は平等原則(憲法14条1項)に違反するか)について(原告Aの主張)本件決議は、普通地方公共団体の議会が特定の宗教団体及びその関連団体 との関係を遮断することを宣言するものであり、特定の宗教団体の信仰、世 界観、儀式又は宗教活動を理由に、その信者らの思想良心の自由、信教の自由、請願権について規制し、差別的取扱いをするものというべきである。このような差別的取扱いは、憲法14条1項の法の下の平等の原則に違反するものである。 (被告の主張) 本 由、信教の自由、請願権について規制し、差別的取扱いをするものというべきである。このような差別的取扱いは、憲法14条1項の法の下の平等の原則に違反するものである。 (被告の主張) 本件決議は、本件教団や原告Aの宗教を理由とする決別を宣言するものではないから、原告Aに対する宗教を理由とする差別的取扱いではなく、平等原則に違反しない。 エ(本件決議は適正手続の保障(憲法31条、13条)に違反するか)について (原告Aの主張)本件決議は、本件教団が「消費者の不安をあおり、高額な商品を購入させる「霊感商法」などで大きな社会問題となった団体」であり、「極めて問題のある団体」と決めつけた上、「今後一切の関係を断ち切る」という不利益を課すものであるから、これを正当化するには、本件教団が指定暴力団並み の反社会的勢力であることを前提とする必要があり、聴聞の機会の付与といった適正な手続を経る必要がある。しかし、本件教団やその関連団体に弁解の機会は与えられず、これは適正手続の保障に反する。 原告Aは、適正な手続保障がないまま本件教団が弾劾され不利益処分を受け、それによって信徒である原告A自身の不利益が生じたことについて異議 を唱える権利を有する。 (被告の主張)宗教団体としての本件教団とその信者である原告Aとは別の主体であるから、本件教団に不利益を課すに当たり、原告Aとの関係で適正手続違反を問題にする余地はない。 オ(本件決意表明等及び本件決議はいわゆる宗教ヘイトに該当するか、また、 それにより原告法人の尊厳を蹂躙し、(本件決議は)原告Aの名誉感情を侵害するものであるか)について(原告らの主張)自由権規約20条2項は、差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪 より原告法人の尊厳を蹂躙し、(本件決議は)原告Aの名誉感情を侵害するものであるか)について(原告らの主張)自由権規約20条2項は、差別、敵意又は暴力の扇動となる国民的、人種的又は宗教的憎悪の唱道について法律で禁止すると定め、宗教ヘイト(差別 的取扱い等を扇動する宗教的憎悪の唱道)を禁止している。また、国連総会で採択された宗教又は信念に基づく全ての不寛容及び差別の撤廃に関する宣言は、その2条1項において、何人も、いかなる機関からも、宗教またはその他の信念を理由とする差別を受けることはないとし、3条において、宗教または信念を理由として人間が相互に差別し合うことは、人間の尊厳に対す る侮辱であり、国際連合憲章の原則を否定するものであるとしている。 そして、本件決議は、司法判断を経ず、十分な根拠も合理性もないまま、本件教団及びその関連団体を「極めて問題の多い」団体であり、富山市議会が「今後一切の関係を断ち切る」必要のある反社会的団体であると宣言するものであるから、本件教団及びその信者らに対する差別と敵意を扇動する宗 教的憎悪の唱道、すなわち宗教ヘイトに該当するというべきであり、違法である。このような宗教ヘイトに該当する本件決議により、本件教団の信者である原告Aの名誉感情は著しく傷つけられた。また、本件決意表明等も、上記同様に宗教ヘイトに該当し、本件決議と共に原告法人の尊厳を蹂躙するものである。 なお、被告が、イベントの後援を取り消し、富山市議会の多数の議員らが原告法人の設けた役職等を辞任したのは、原告法人が本件教団の関連団体であるためであり、これらはいずれも本件決意表明等及び本件決議の結果である。このように、本件決意表明等及び本件決議は、単なる宣言ではなく差別の扇動であり、差別的取扱いの事実上の指示であ 団の関連団体であるためであり、これらはいずれも本件決意表明等及び本件決議の結果である。このように、本件決意表明等及び本件決議は、単なる宣言ではなく差別の扇動であり、差別的取扱いの事実上の指示であったというべきである。 (被告の主張) 本件決意表明等及び本件決議は、その内容や文面のとおり、元信者や親族から不相当な献金や教義の強要等に関して訴訟を提起され、本件教団の不法行為が認定された事例があること等から、本件教団が社会的に極めて問題のある団体であると考えられたためにされたものであって、宗教的理由によりされたものではないから、宗教ヘイトには該当しない。 また、被告及び富山市教育委員会による原告法人や関連団体のイベントに対する後援取消しについても、本件決意表明等と整合させるために行われたが、これにも何ら宗教的理由は存在せず、宗教ヘイトには該当しない。 なお、富山市議会議員らが原告法人の関連団体から退会したとしても、それは当該議員らによる任意の判断に基づく行為であり、被告は関与し得ない。 カ(本件決意表明等及び本件決議は原告法人の名誉を毀損するか)について(原告法人の主張)本件決意表明等及び本件決議は、本件教団や原告法人の前身である団体が、現在も不相当な献金や教義の強要等に関して訴訟を提起されている社会的に極めて問題がある団体であり、被告が一切の関係を断つべき「不気味で反社 会的なカルト集団」であるとの事実を摘示し、又はそのような論評をするものであり、原告法人の社会的評価を低下させるから、名誉毀損に該当する。 本件決意表明等及び本件決議は、本件教団のみならずその関連団体についても一切の関係を断ち切るとしているのであるから、一般市民の普通の注意と受け取り方を基準にすると、本件教団と原告法人の前身 当する。 本件決意表明等及び本件決議は、本件教団のみならずその関連団体についても一切の関係を断ち切るとしているのであるから、一般市民の普通の注意と受け取り方を基準にすると、本件教団と原告法人の前身等の関連団体は一体 であり、原告法人の前身の団体等も不相当な献金や教義を強要した極めて問題がある団体であると受け取るのが通常である。また、C市長は市議からの「旧統一教会が反社会的なカルト集団との認識はありますか」との質問に対し、これを否定せず、大変問題のある団体であると答えているから、一般市民は、C市長が、原告法人の前身である団体について反社会的なカルト集団 であることを肯定したとの印象を抱くのが通常である。そして、C市長や富 山市議会の議員らは、みだりに他人の名誉を含む人格権を侵害しないよう配慮すべき職務遂行上の注意義務に違反して、原告法人の前身の団体の名誉を侵害する本件決意表明等や本件決議を行ったものであるから、国家賠償法1条1項に基づく賠償責任を負うものである。 したがって、本件決意表明等や本件決議は原告法人の前身である法人格の ない団体に対する名誉毀損に該当し、原告法人は同団体が有する損害賠償請求権を承継したといえる。なお、地方議会外の宗教法人や一般社団法人(本件決議当時は自律的な権利能力なき社団であった。)等を対象とし、これらを反社会的団体であると決めつけて誹謗し、一切の関係を断ち切る旨の決意表明や宣言を行うことが、地方議会の内部的規律にとどまるものでないこと は明らかである。よって、本件決意表明等及び本件決議のいずれについても、格別の制限なく名誉毀損の成否を審理すべきである。 (被告の主張)本件決意表明等及び本件決議は、本件教団による不相当な献金等を問題視しているが、その関連団体も不相当な献 決議のいずれについても、格別の制限なく名誉毀損の成否を審理すべきである。 (被告の主張)本件決意表明等及び本件決議は、本件教団による不相当な献金等を問題視しているが、その関連団体も不相当な献金を受けてきたなどとは述べておら ず、原告法人の前身の団体については何らの言及もないから、原告法人の前身の団体の名誉を毀損する表現ではない。原告法人は、本件教団と原告法人の前身の団体が一体であることを前提としているようであるが、当時、本件教団と原告法人の前身の団体との関係を知っている者は信者以外にはほとんどいなかったと考えられるから、一般市民の普通の注意と受け取り方を基準 にすると、原告法人の前身の団体が不相当な献金や教義の強要を行ったと受け止められることはない。 このほか、被告が、原告法人の前身の団体や本件教団について「不気味で反社会的なカルト集団」なる表現をしたことはない。確かに、富山市議会の議員の1人が「反社会的なカルト集団」との文言を用いたが、これは1人の 議員の発言にすぎず、被告が責任を負う立場にはないし、上記議員の質問に 対してC市長が否定も肯定もしなかったことで、一般市民が、本件教団が反社会的なカルト集団であるとの印象を抱くとの主張は争う。 なお、議会は広範な権限や権能を有するため、議会がどのような事項をどのような内容で決定するかについては、政治的なものを含め、議会の裁量的な政策判断に委ねられている。 ⑶ 争点3(原告らの損害)について(原告らの主張)原告Aが本件決議により請願権を侵害されたこと等により被った精神的苦痛に対する慰謝料としては300万円が相当であり、弁護士費用は50万円を下らない。 また、原告法人の前身の団体は、本件決意表明等により尊厳を蹂躙されるとと されたこと等により被った精神的苦痛に対する慰謝料としては300万円が相当であり、弁護士費用は50万円を下らない。 また、原告法人の前身の団体は、本件決意表明等により尊厳を蹂躙されるとともに、社会的評価と信用の低下という損害を被った。これらに対する慰謝料は、それぞれ500万円が相当である。そして、本件決議により原告法人の前身の団体が被った尊厳の蹂躙や社会的評価と信用の低下に対する慰謝料としても、それぞれ500万円が相当である。このほか、原告法人の弁護 士費用としては200万円を下らない。 (被告の主張)否認又は争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 前記前提事実並びに後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ⑴ 請願及び陳情に関する富山市議会の規則富山市議会会議規則90条は、「議長は、陳情書又はこれに類するもので、必要があると認めるものは、請願書の例により処理するものとする。」と定 めている(乙1)。また、富山市議会請願・陳情取扱要領は、議長は陳情書 を受理した後、陳情書の写しを各会派に配布し、陳情者が審査を希望しないものや、違法な行為又は公序良俗に反する行為を求めるものなどの場合を除き、所管し又は関係する委員会に付託するものとし(これは同要領に定める請願を受理したときとほぼ同様の扱いである。)、委員会に付託された陳情は、請願の例により、審査・処理するものと定めている(乙2)。 ⑵ 本件決意表明等に関する事情ア C市長は、令和4年7月21日の記者会見において、本件教団の関係団体との今後の付き合い方について質問を受け、一度しっかり立ち止まり、自分なりに考えてみたいと回答した(丙14)。 イ C市長は、自身や富山市と本件教団の関係団体と 見において、本件教団の関係団体との今後の付き合い方について質問を受け、一度しっかり立ち止まり、自分なりに考えてみたいと回答した(丙14)。 イ C市長は、自身や富山市と本件教団の関係団体との関係について調査し、 同年8月3日の記者会見において、その結果を説明した(丙14)。 ウ C市長は、同月17日、本件教団は元信者やその親族から提訴されており、裁判において本件教団の不法行為が認定されている事実を確認したこと、現在も裁判で係争中の事例も確認したことを踏まえ、本件決意表明をすることにしたと述べた(丙13)。 エ C市長は、同年9月12日の富山市議会の定例会において、市議会議員から本件決意表明をするに至った経緯について質問を受け、ウと同様の説明をした(前提事実⑶イ、丙14)。 オ C市長は、同月14日の富山市議会において、市議会議員から、本件決意表明をしたことは評価しているが、その判断に至った理由が重要であ るとした上で、本件教団の正体は反日の反社会的な集団で、カルト教団であることは明らかではないか、本件教団が反社会的なカルト集団との認識はあるか、ないかとの質問を受け、本件教団については、不相当な献金や教義の強要などに対する損害賠償請求訴訟を提起されているということ、裁判において不法行為が認定された事例があるというように、 大変問題のある団体であると感じている旨答弁した(前提事実⑶ウ、丙 15)。 ⑶ 本件決議の内容(甲1、丙6)本件決議の内容は別紙のとおりであり、具体的には、本件教団が消費者の不安をあおり、高額な商品を購入させる「霊感商法」などで大きな社会問題となったことを理由として、C市長や富山市と同様に、富山市議会も、各会 派と本件教団や関係団体 具体的には、本件教団が消費者の不安をあおり、高額な商品を購入させる「霊感商法」などで大きな社会問題となったことを理由として、C市長や富山市と同様に、富山市議会も、各会 派と本件教団や関係団体との関係について調査し、公表するとともに、本件教団及び関係団体と今後一切の関係を断ち切ることを宣言するものである。 2 争点1(本件決議は公権力の行使に該当するか)国家賠償法1条1項の「公権力の行使」とは、国又は公共団体の作用のうち純然たる私経済作用と同法2条の公の営造物の設置・管理作用を除いた全ての 作用を指すものと解するのが相当である。そして、本件決議は公務員により構成される議会の決議であって、純然たる私経済作用ではなく、公の営造物の設置・管理作用でもないことが明らかであるから、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に当たるというべきである。 なお、本件決意表明等についても、公務員である市長の記者会見や議会にお ける政治的な方針の表明等であり、純然たる私経済作用ではなく、公の営造物の設置・管理作用でもないから、国家賠償法1条1項の「公権力の行使」に該当するものというべきである(もっとも、この点について当事者間に特段争いはないものと解される。)。 3 争点2(本件決意表明等及び本件決議が国家賠償法上の違法性を有するか) ⑴ 本件決議は原告Aの請願権及び政治参加の自由を侵害するかについて原告Aは、普通地方公共団体の議会に請願をするためには、議員の紹介が必要であるから、本件決議は原告Aの請願権を侵害するものであると主張する。 しかし、本件決議は、富山市議会議員が本件教団や関係団体と関わりを持 つことを直ちに禁じるとの法的効果を有するものではなく、原告Aの請願を 紹介するか否かは、富山市議会議 。 しかし、本件決議は、富山市議会議員が本件教団や関係団体と関わりを持 つことを直ちに禁じるとの法的効果を有するものではなく、原告Aの請願を 紹介するか否かは、富山市議会議員それぞれが自身の意思で判断すべき事柄である。そもそも、議員は自身の政治的信条等に沿わない請願を紹介すべき義務を負うものではなく、請願をしようとする者は議員に対し紹介議員になるよう求める権利を有するものではない。議会に対して議員の賛同を得られないような内容の請願をすることができないことは、地方自治法124条に おいて想定されていることである。 また、紹介議員を得られなくても陳情をすることは妨げられないところ、前記認定事実記載のとおり、富山市議会は陳情を請願とほぼ同様に取り扱うこととしている上、請願法5条が定める誠実処理義務は、請願者と請願を受けた官公署との間に特別な公法上の権利義務関係を生じさせるものとは解さ れないため、請願と陳情の法的効果に差異はないから、原告Aの請願権が本件決議により法的に制約されたとはいえない。したがって、原告Aの上記主張に理由がない。 このほか、原告Aは、本件決議が自由権規約25条所定の政治参加の自由をも侵害すると主張するが、上記のとおり、本件決議によって原告Aの政治 参加の自由は何ら侵害されていないというべきである。 ⑵ 本件決議は原告Aの思想良心の自由及び信教の自由を侵害するかについて原告Aは、本件決議は、原告Aの宗教や信念の表明、宗教活動の自由を侵害するものであると主張する。 しかしながら、本件決議は富山市議会がその意思を事実上表明したにすぎ ず、何らの法的効果を伴うものではない。本件決議の内容をみても、原告Aを含む本件教団の信者がその教義を信仰することや、宗教や信念を表明するこ 決議は富山市議会がその意思を事実上表明したにすぎ ず、何らの法的効果を伴うものではない。本件決議の内容をみても、原告Aを含む本件教団の信者がその教義を信仰することや、宗教や信念を表明すること、宗教活動を行うこと、政治的働きかけを行うことなどを禁止したり、制限したりするものではなく、原告Aの思想良心の自由や信教の自由を侵害するものとはいえない。 ⑶ 本件決議は平等原則に違反するかについて 原告Aは、本件決議は特定の宗教団体の信仰、世界観、儀式又は宗教活動を理由に差別的取扱いをするものであり、憲法14条1項に違反する旨主張するが、前記認定事実⑶のとおり、本件決議は、本件教団が消費者の不安をあおり、高額な商品を購入させる霊感商法を行ったこと等により大きな社会問題になっていることを理由としてされたものであって、本件教団の信仰、 世界観、儀式又は宗教活動には何ら言及していない。そもそも、前記⑴及び⑵において説示したとおり、本件決議は法的効果を有するものではなく、原告Aの権利を制約するものとは認められない。このように、本件決議は本件教団の信仰等を理由に差別的取扱いをするものではなく、平等原則には違反しないというべきである。 ⑷ 本件決議は適正手続の保障に違反するかについて行政手続について、それが刑事手続でないとの理由のみで、その全てが憲法31条の保障のらち外にあるわけではないが、行政手続は、刑事手続とは性質を異にし、また行政目的に応じて多種多様であるから、行政処分の相手方に、常に事前の告知、弁解、防御等の機会を与えることを要するものでは ない(最高裁判所平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁参照)。本件決議は、そもそも処分性があるとはいえない上、前記⑴から⑶で説示したとおり、原告A を与えることを要するものでは ない(最高裁判所平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁参照)。本件決議は、そもそも処分性があるとはいえない上、前記⑴から⑶で説示したとおり、原告Aの請願権その他の権利を法的に制約するものとは認められないから、本件決議に際して事前の告知、弁解、防御等の機会を与える必要があったとはいえず、原告による適正手続違反の主張は理由がない。 ⑸ 本件決意表明等及び本件決議はいわゆる宗教ヘイトに該当するか、また、それにより、原告法人の尊厳を蹂躙し、(本件決議は)原告Aの名誉感情を侵害するものであるかについて原告らは、本件決意表明等及び本件決議は、本件教団やその信者に対する差別と敵意を扇動する宗教的憎悪の唱道、すなわち宗教ヘイトであると主張 する。しかし、本件決意表明等及び本件決議は、本件教団が不相当な献金や 教義の強要等について訴訟を提起され、不法行為が認定された事例があること、消費者の不安をあおり、高額な商品を購入させる霊感商法等で大きな社会問題となったことを理由として、本件教団や関係団体との関係を断つことを宣言等するものであり、専ら本件教団の対外的な行為、世俗的な側面に着目したものというべきであって、本件教団の信仰や世界観、儀式又は宗教活 動等の宗教的な側面に着目したものとはいえない(なお、C市長は、本件教団が反社会的なカルト集団であるとの認識の有無を問われた際に、本件教団についてカルト集団と認識しているとは述べず、不相当な献金や教義の強要等について不法行為が認定された事例があることなどから、問題がある団体と感じていると答弁しており、本件教団は異端である、不気味な反社会的な 宗教団体であるなどと述べた事実は認められない。)。原告らは、献金の要請や受領、宗 事例があることなどから、問題がある団体と感じていると答弁しており、本件教団は異端である、不気味な反社会的な 宗教団体であるなどと述べた事実は認められない。)。原告らは、献金の要請や受領、宗教的な意義を有する物品の販売は宗教的権利として保障されていると主張するが、不法行為に該当する違法な献金の要請等が宗教活動の一環として許容されたり、保障されたりすることがないことはいうまでもない。 以上によれば、本件決意表明等や本件決議が宗教的憎悪の唱道、宗教ヘイト に当たるとは認められない。 原告らは、本件決意表明等及び本件決議が宗教ヘイトに該当することを前提として、これらが原告Aの名誉感情を傷付けるとともに、原告法人の尊厳を蹂躙するものであると主張するが、上記のとおり、本件決意表明等及び本件決議はいずれも宗教ヘイトに該当しないので、原告らの上記主張は前提を 欠くものである。 ⑹ 本件決意表明等及び本件決議は原告法人の名誉を毀損するかについてア国家賠償法1条1項により公務員の公権力の行使が違法といえ、国家賠償責任が肯認されるためには、当該公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違反したといえることが必要である(最高裁判所昭和 60年11月21日第一小法廷判決・民集39巻7号1512頁参照)。 そして、普通地方公共団体の長は、議会の審査上の必要がある場合、議会の求めに応じて、議案の説明等を行うために議会に出席すべき義務を負う(地方自治法121条参照)。また、普通地方公共団体の長が、議会における議員からの質疑に対して答弁する場合に、種々の意見又は利害の対立がある事項について言及することがあるため、答弁内容は住民等を含む 第三者の社会的評価に影響する可能性を内包するものである。さらに、議 からの質疑に対して答弁する場合に、種々の意見又は利害の対立がある事項について言及することがあるため、答弁内容は住民等を含む 第三者の社会的評価に影響する可能性を内包するものである。さらに、議会における普通地方公共団体の長の答弁には、答弁の内容に関して普通地方公共団体の長としての政治的判断を含む一定の裁量が存在することにも照らすと、普通地方公共団体の長の議会での答弁における発言によって結果的に住民等の第三者の社会的評価が低下したとしても、直ちに普通地方 公共団体の長がその職務上の法的義務に違背するものとはいえない。 上述した観点に加え、第三者の名誉の保護との調整にも鑑みて、市長が市議会での答弁において第三者の名誉や社会的評価を低下させる発言を行った場合には、同発言に至る経過、同発言をした動機及びその内容、発言態様等を考慮し、当該市長が普通地方公共団体の長としての政治的判断を 含む一定の裁量を逸脱したといえる場合に、国家賠償法1条1項にいう違法な行為があったとして、当該地方公共団体に国家賠償責任が肯定されるものと解するのが相当である。 イ前提事実⑶によれば、本件決意表明等はいずれも同旨のものであると認められる。そうすると、C市長という同一人の、いずれも公的な場におけ る同旨の発言内容について違法性を殊更別異に解する必要があるとまではいえないから、C市長による本件決意表明等のうち、議会での答弁だけでなく記者会見での発言部分についても、前記アと同様の基準により国家賠償法1条1項にいう違法な行為の有無を判断することが相当である。 ウ前記ア同様に、普通地方公共団体の議会の決議が、国家賠償法1条1項 の適用上違法となるかどうかについても、その決議に関与した議員の職務 上の法的義務に違背して当該決議が ある。 ウ前記ア同様に、普通地方公共団体の議会の決議が、国家賠償法1条1項 の適用上違法となるかどうかについても、その決議に関与した議員の職務 上の法的義務に違背して当該決議がされたかどうかを検討することになる。 そして、普通地方公共団体の議会は、普通地方公共団体の必置機関である(憲法92条、93条1項、地方自治法89条参照)上、議事機関として自律的な機能を有し、また、いわゆる住民自治の原則の下、広範な権限や権能を有する(地方自治法96条から100条の2まで参照)ものである。 このような議会の法的地位・性質やその広範な権限又は権能等に照らすと、議会が、議事機関としての権限に基づいて決議をするに際して、どのような事項をどのような内容で行うかについては、政治的なものをも含め、一定程度、議会の裁量的な政策判断に委ねられているというべきである。 そうすると、普通地方公共団体の議会の決議において、第三者の名誉や 社会的評価を低下させる内容が含まれるとしても、これによって直ちに国家賠償法1条1項の適用上違法ということはできず、議会が同決議をするに至った経過、同決議をした動機及びその内容、決議の態様等を考慮し、当該議会が政治的判断を含む上記の一定の裁量を逸脱したといえる場合に、国家賠償法1条1項にいう違法な行為があったとして、当該地方公共団体 に国家賠償責任が肯定されるものと解するのが相当である。 エこれを本件についてみると、前提事実及び認定事実のとおり、令和4年7月8日に安倍元首相が暗殺された後、本件教団と政治家との関係が社会問題となり、C市長は同月21日の記者会見で記者から本件教団との付き合い方について質問を受け、これに回答すべき状況にあったこと、C市長 は自身や富山市と本件教団の関係団体と 治家との関係が社会問題となり、C市長は同月21日の記者会見で記者から本件教団との付き合い方について質問を受け、これに回答すべき状況にあったこと、C市長 は自身や富山市と本件教団の関係団体との関係について調査し、本件教団に関する裁判例も調査した上で本件決意表明等をしたこと、C市長は市議会で議員から本件決意表明をするに至った経緯や理由等について質問を受け、答弁をすべき状況にあったこと、C市長が本件決意表明等をしたことなどを踏まえ、富山市議会としても本件教団との関係について調査をする と表明するとともに、本件決議をしたことがそれぞれ認められる。そして、 C市長による本件決意表明等及び富山市議会による本件決議は、いずれも、本件教団及びその関連団体について、極めて問題のある団体である旨の内容を含むものの、それを超えて、本件教団及びその関連団体を執拗に非難するような内容ではなく、そのように考える根拠も明示している。また、本件教団及びその関連団体をことさらに挑発するような態様で行われたも のでもなく、市長や市議会の通常の業務として淡々と行われたものである。 他方で、相当数の裁判例において本件教団の信者が事業の執行としてした献金の要請や物品の販売等が不法行為に当たるとして、本件教団の我が国における宗教法人に損害賠償が命じられていることは当裁判所に顕著である。 以上の諸事情を考慮すると、C市長が本件決意表明等をするに至る経過、その動機及び内容、発言態様等を考慮しても、これがC市長の有する一定程度の裁量を逸脱したものとまでは認められない。 同様に、富山市議会が本件決議をするに至った経過、その動機及び内容、決議の態様等を考慮しても、これが富山市議会の有する一定程度の裁量を 逸脱したものとまでは認められない。 は認められない。 同様に、富山市議会が本件決議をするに至った経過、その動機及び内容、決議の態様等を考慮しても、これが富山市議会の有する一定程度の裁量を 逸脱したものとまでは認められない。 したがって、C市長の本件決意表明等及び富山市議会による本件決議について、原告法人の名誉を毀損することにより国家賠償法上違法であるものとは認められない。 オなお、原告法人は、本件決意表明等及び本件決議は本件教団や原告法人 の前身である団体が「不気味な反社会的なカルト集団」であるとの事実を摘示し、又はそのような論評をするものであると主張するが、本件決意表明等や本件決議中に、本件教団や関係団体は不気味な反社会的なカルト集団であるとの発言や記載はなく、一般市民の通常の注意と受け取り方を基準とすると、不相当な献金や教義の強要、霊感商法等が不法行為に当たる と裁判で判断された事例が複数あるという事実を摘示したにすぎず、それ を超えて、本件教団や関係団体が不気味な反社会的なカルト集団であるという事実を言外に摘示していると認めることもできない。確かに、富山市議会の議員が「反社会的な集団」「カルト教団」と述べた部分はある(丙15参照)が、C市長がこれを肯定したものではないから、この点に関する原告法人の上記主張は採用できない。 4 まとめ以上によれば、本件決意表明等及び本件決議が国家賠償法上違法であるとは認められない。原告らは、このほかにも縷々主張するが、いずれも結論を直ちに左右するものではない。 第4 結論 よって、その余の点(原告らの損害)について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 富山地方裁判所民事部裁判長裁判官 主文 の余の点(原告らの損害)について判断するまでもなく、原告らの請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとして、主文のとおり判決する。 理由 富山地方裁判所民事部裁判長裁判官矢口俊哉 裁判官古庄順 裁判官相島圭介
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