昭和23(ク)5 強制執行停止決定事件の抗告につきなした決定に対する抗告

裁判年月日・裁判所
昭和24年6月16日 最高裁判所第一小法廷 決定 却下 福岡高等裁判所 昭和22(ウ)14
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を却下する。      抗告費用は抗告人の負担とする。          理    由  本件強制執行停止決定申請の要旨は、その申請書の記載によれば次の如くである。 す

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判決文本文5,295 文字)

主文本件抗告を却下する。 抗告費用は抗告人の負担とする。 理由本件強制執行停止決定申請の要旨は、その申請書の記載によれば次の如くである。 すなわち、抗告人ははじめ宮崎地方裁判所に相手方Bを被告として、同人及び訴外D間に成立した宮崎区裁判所昭和二一年(ハ)第二三号家屋明渡請求事件の裁判上の和解調書の執行力ある正本にもとづいてなされた係争建物明渡の強制執行に対して、第三者異議の訴を提起し、その訴の提起を前提として同裁判所から本案判決あるまで該執行を停止する旨の所謂停止決定を得たのであるが、その後同裁判所は本案判決において原告たる抗告人の請求全部を棄却すると共に民訴第五四八条第一、二項の規定に従い該停止決定を取消し、かつこの取消の裁判につき仮執行の宣言を付したのである。そこで抗告人は右判決に対し福岡高等裁判所に控訴を申立て、その事を理由として民訴第五一二条にもとづいて右宮崎地方裁判所のなした仮執行宣言付裁判の執行に対し、それが停止決定を求めるというに歸着する。 そもそも、第三者異議の訴の提起された場合、受訴裁判所が申立により強制執行の停止を命ずるのは、民訴第五四九条第四項により同法第五四七条を準用して、これをなすのである。然るにこの停止決定の効力が何時まで持続せられるかについては、学説上多少議論の存するところではあるが、わが国裁判所の実務上の取扱いにおいては、一般に「民訴第五四七条は受訴裁判所が本案たる異議の訴につき判決をなすまでの措置を、また次条第五四八条は本案判決後の措置を、それぞれ規定するものであり、従つて第五四七条第二項に「判決ヲ為スニ至ルマテ」とあるのは、本案判決を言渡すまでという意味であつて、後者による停止決定が本案確定に至るまでその効力を持続するに反し、前者によるそれは受 ものであり、従つて第五四七条第二項に「判決ヲ為スニ至ルマテ」とあるのは、本案判決を言渡すまでという意味であつて、後者による停止決定が本案確定に至るまでその効力を持続するに反し、前者によるそれは受訴裁判所の本案判決言渡までそ- 1 -の効力を持続するに過ぎない」との見解が採用せられている。かかる見解によれば、受訴裁判所が原告の請求全部を棄却する判決において、既に発した停止決定を取消す旨の裁判をしなかつた場合にあつても、それは該停止決定の効力を持続せしむることを意味するものではなく、むしろ当然にその効力の消滅を来たすこととなるのである。だから原告敗訴の本案判決において既に発した停止決定を取消し、かつその取消の裁判に対し仮執行の宣言を付することは唯該停止決定の効力の当然消滅を表明するだけのことであつて法律上は全然無意義に等しい。従つてかゝる判決に対して上訴を申立てたことを事由として民訴第五一二条にもとづきこれが仮執行停止を求める申請をしても既にその取消の裁判そのものが法律上無意義なものである以上、これが仮執行の停止を求めることも亦当然無意義たらざるを得ないのである。 然るに実際においてはかゝる無意義の申請がしばしばなされることがあるので、この場合裁判所では、これを字義通りに解釋して法律上無意義な申請としてそのまゝ却下することよりも、いさゝか申請書の明瞭な記載に反する嫌いはあるがむしろ民訴第五四七条にもとづいて新たな停止決定を求めるものと解し、同条所定の要件の具備する限り、その申請を許容する方が、はるかに当事者の真意に合致する所以であると考え、これを処理していたのであるが、漸次この取扱方が一般化され現在においては、わが裁判上の慣行とまでなつているのである。 さて本件について、これを見るに、原審も亦前示わが裁判上の一般慣行に従い本件申請を民 を処理していたのであるが、漸次この取扱方が一般化され現在においては、わが裁判上の慣行とまでなつているのである。 さて本件について、これを見るに、原審も亦前示わが裁判上の一般慣行に従い本件申請を民訴第五四七条による新たな停止決定を求むるものと解して同条所定の要件を具備するか否かを調査し、その結果これを許容し得ないものと認めて申請却下の決定をなすに至つたものであることは、原決定の説示に徴して明らかである。そしてその理由の要領は「抗告人が第三者異議の訴として本案において主張するところは、必ずしも明確ではないが(一)若し本件強制執行の債務名義が相手方Bと訴外Dとの間に成立した宮崎区裁判所昭和二一年(ハ)第二三号家屋明渡請求事件の- 2 -裁判上の和解調書であるに拘わらずその執行力ある正本にもとづき執行上債務者でない抗告人に対し執行の開始せられたことを理由とするものであるならばそれは民訴第五四四条に所謂執行方法に関する異議の事由たるに止まり第三者異議の訴の原因として主張し得る限りでない。従つて本案請求はその主張自体理由なきに歸する。 又(二)若し抗告人が第三者として執行の目的物たる係争家屋についてその引渡を妨ぐる賃借権を有することを理由とするものであるならば、固より第三者異議の訴の原因として主張し得る、ところではあるが、抗告人提出の証拠によつてはその主張事実につき適切な疏明ありとなし得ない。そして抗告人の主張は二者その一を出てないのであるから、いづれの点から見ても本件停止決定申請はこれを許容すべきでない」というにある。 果して然りとすれば原審が本件申請を却下したのは、抗告人の主張するように、民訴第五四九条又は第五一二条及び第五〇〇条の規定が憲法に適合しないと解釋してこれを適用しなかつたためではなく、むしろ抗告人の本案請求が民訴第五四九条の第 請を却下したのは、抗告人の主張するように、民訴第五四九条又は第五一二条及び第五〇〇条の規定が憲法に適合しないと解釋してこれを適用しなかつたためではなく、むしろ抗告人の本案請求が民訴第五四九条の第三者異議の訴であることを前提としておるのであり、又本件申請を同法第五一二条による停止命令を求むるものと解するならばその主張自体理由なきものとして却下するの外はなく、これを同法第五四七条にもとづく新たな停止命令を求むる申請と理解しても、なお事実上の主張につき疏明なき故を以て却下すべきものとの結論に到達したのである。 されば本件抗告理由は畢竟原決定の趣旨を正解せず、原審が何等の判断もしていない違憲問題を構えて、強いて民訴応急措置法第七条の抗告理由を捻出するものであつて到底同条所定の適法なる抗告理由となすに足りない。 よつて抗告費用につき民訴第九五条第八九条に従い主文の通り決定する。 裁判官真野毅の意見は次のとおりである。 わたくしの結論は、多数意見と同様であり理由もほゞ同じであるが、異る箇所も- 3 -あるから左に述べる。 原審福岡高等裁判所になされた本件強制執行停止決定申請の要旨は、次のとおりである。 (一)被申請人は、被申請人と訴外Dとの間に成立した執行力ある和解調書正本に基き、申請人が前から賃借し居住している家屋の明渡につき強制執行に着手したので、申請人は宮崎地方裁判所に強制執行異議の訴を提起した。 (二)かかる本案訴訟の外に、同裁判所は申請に基き強制執行停止命令を発していた。 (三)そして、本案の強制執行異議事件の判決で申請人は敗訴し請求は棄却せられると共に、「曩さに当裁判所が発した強制執行停止命令は之を取消す。前項に限り仮に執行することを得る」旨が言渡された。 (四)そこで、申請人は福岡高等裁判所に前記本案判決に対し控訴を提起 は棄却せられると共に、「曩さに当裁判所が発した強制執行停止命令は之を取消す。前項に限り仮に執行することを得る」旨が言渡された。 (四)そこで、申請人は福岡高等裁判所に前記本案判決に対し控訴を提起すると共に「被申立人は右判決の仮執行宣言に基いて宮崎地方裁判所執行吏に右家屋明渡の強制執行を委任し」強制執行に着手したから第二審の判決のあるまで強制執行を停止する旨の決定を求むるため本申請に及んだ次第であるというにある。 第三者異議の訴が提起され強制執行停止決定の申請があつた場合には、民訴第五四九条第四項により同第五四七条を準用して、「異議ノ為メ主張シタル事情ガ法律上理由アリト見エ且事実上ノ点ニ付キ疏明アリタルトキハ受訴裁判所ハ判決ヲ為スニ至ルマデ」強制執行の停止を命ずることができる。前記(二)の強制執行停止決定は、まさにこれに該当するのである。かかる停止決定の効力が何時まで持続するかは、学説上多少議論の存するところではあるが、民訴第五四七条は、受訴裁判所が申請に基き差当り決定において本案の訴につき判決をなすに至るまでの暫定措置を定めることを趣旨とするものであり、次条第五四八条は、本案判決において本案判決後の措置を定めることを趣旨とするものである。従つて、民訴第五四七条の停- 4 -止決定は、本案判決言渡に至るまで効力を持続するに過ぎないものであつて、本案判決確定に至るまでその効力を持続するものでないと解すべきである。それ故、裁判所が本案の判決において原告の請求を棄却したときは、既に発した停止決定を取消す旨を特に言渡さなかつた場合においても、執行停止の効力は該決定の本質上当然消滅するに至るものである。されば、前記(三)のごとく、原告敗訴の本案判決において既に発した停止決定を取消しこの取消に仮執行の宣言を附することは、ただ該停止決定の効力の 止の効力は該決定の本質上当然消滅するに至るものである。されば、前記(三)のごとく、原告敗訴の本案判決において既に発した停止決定を取消しこの取消に仮執行の宣言を附することは、ただ該停止決定の効力の当然に消滅したことを表明するだけのものであつて、法律上は全く無意義に等しいものである。しかるに、申請人は最高裁判所に対する抗告状においては民訴第五一二条による同第五〇〇条の準用を主張し、仮執行の宣言を付した判決に対し上訴を提起した場合の執行停止決定について論ずるのであるが、前述のごとく前記本案判決における停止決定の取消の仮執行宣言は、法律上無意義に等しいものであつて、被申立人はこれによつて執行力を獲得したものではない。本案判決の言渡によつて停止決定の効力は当然消滅し、被申立人は別に存する執行力ある和解調書正本に基き強制執行をなし得るに至つたまでのものに過ぎない、従つて、かかる場合の仮執行宣言に対し、民訴第五一二条第五〇〇条による執行停止ということは、無意義であつて本来あり得べき事柄でもなく又許さるべき事柄でもないから、抗告人の新な主張は当を得たものでない。原審における強制執行停止申請には明白に執行力ある和解調書正本に基く強制執行の停止を求めている。又該申請は、その内容から見て第三者異議の訴を基本としたものであることは明かであるばかりでなく、疏第二号(仮執行の宣言ある第一審判決)によれば申請人は「第三者として本訴異議に及んだと陳述し」ている程であるから、その本訴が第三者異議の訴以外の何ものでもないことは疑問をさしはさむ余地がないところである。かるが故に、原決定が一方において、本訴を第三者異議の訴以外のものと予定して下した判断の部分は、本件としては全く筋違であるが、それはただ不必要な説明を加えた- 5 -に過ぎないものと見るべきである。そして原 、原決定が一方において、本訴を第三者異議の訴以外のものと予定して下した判断の部分は、本件としては全く筋違であるが、それはただ不必要な説明を加えた- 5 -に過ぎないものと見るべきである。そして原決定は他方において、本訴を第三者異議の訴と見た場合について、民訴第五四九条第四項、第五四七条により「申立人提出の証書では申立人が右異議の訴で主張した事情が法律上理由ありとみえ且つ事実上の点に付いて適切な疏明があるとは謂えない」として本件強制執行停止決定の申請を失当と認め棄却したことは、まことに正当であると言わなければならない。要するに、原決定は抗告理由の主張するように、民訴第五四九条又は第五一二条、第五〇〇条を違憲だと解釋したものでもなく、またそのやうに解釋しなければなし得ない裁判であるという訳のものでもない。抗告理由は名を憲法適否に藉りているけれども、その実は毫も憲法適否の問題には相関連するところがないのである。それ故、かかる抗告は民訴応急措置法第七条の訴訟条件を欠く不適法のものとして却下せらるべきである。(最高裁判所昭和二二年(ク)第一号、同年一二月八日決定参照)この決定はその理由に関する裁判官眞野毅の意見を除き裁判官全員一致の意見によるものである。 昭和二四年六月一六日最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官澤田竹治郎裁判官眞野毅裁判官岩松三郎裁判官斎藤悠輔は出張中につき、署名捺印することができない。 裁判長裁判官澤田竹治郎- 6 - ができない。 裁判長裁判官澤田竹治郎- 6 -

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