- 1 - 判 決 主 文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求の趣旨 1 文部科学大臣が令和2年6月30日付けでした原告に対する国立大学法人北 海道大学学長を解任する旨の処分を取り消す。 2 被告らは、原告に対し、連帯して1466万1832円及びこれに対する令 和2年6月30日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 原告は、被告国立大学法人北海道大学(以下「被告北大」という。)の総長 (学長)であったが、被告北大の総長選考会議は、原告の非違行為30件を認 めて、文部科学大臣に原告の総長解任の申出(以下「本件解任申出」という。) をした。これを受けた文部科学大臣は、総長選考会議が認定した非違行為のう ち28件を認定し、原告を被告北大の学長から解任する決定(以下「本件解任 処分」という。)をした。 本件は、原告が、総長選考会議による本件解任申出について、①手続に瑕疵 があること、②解任事由である「その他役員たるに適しないと認めるとき」に 該当しないにもかかわらずこれを認定したこと、③判断過程審査に裁量権の逸 脱・濫用があること、④比例原則違反による裁量権の逸脱・濫用があることな どから違法であり、本件解任申出の違法性は文部科学大臣の本件解任処分に承 継されると主張して、被告国に対し本件解任処分の取消しを求め、被告北大職 員及び文部科学大臣の行為によって損害を被ったと主張して、被告国及び被告 北大に対し、国家賠償法1条1項及び民法719条に基づく損害賠償請求とし て、連帯して損害金1466万1832円及びこれに対する不法行為の日(本 - 2 - 件解任処分の日)である令和2年6月30日から民法所定の年3%の割合によ 民法719条に基づく損害賠償請求とし て、連帯して損害金1466万1832円及びこれに対する不法行為の日(本 - 2 - 件解任処分の日)である令和2年6月30日から民法所定の年3%の割合によ る遅延損害金の支払を求める事案である。 2 被告北大における総長選考会議規程の定め 別紙1「国立大学法人北海道大学総長選考会議規程」(甲1、以下「本件規 程」という。)のとおり(一部)である。 3 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに掲記証拠及び弁論の全趣旨によ り容易に認められる事実) ⑴ 当事者 原告は、総長選考会議で総長の候補者に決定された後、文部科学大臣より 被告北大の学長に任命され、平成29年4月、6年の任期(令和5年3月ま で)で被告北大の総長に就任した。 ⑵ 本件解任処分に至る経緯 総長選考会議は、平成30年11月6日、原告の非違行為を調査するため、 本件規程18条の2に基づいて調査委員会を設置した(甲52)。 調査委員会は、平成31年2月6日、総長選考会議に調査報告書を提出し た(甲4)。 総長選考会議は、令和元年7月4日、調査報告書が報告した原告の非違行 為のうち30件の非違行為(別紙3添付の別紙1記載のもの)について事実 確認をして、総長解任の申出を決議し、同月10日、文部科学大臣に原告の 総長解任申出(本件解任申出)をした(甲20、21、63)。 文部科学大臣は、令和2年6月26日、総長選考会議が事実確認した原告 の非違行為30件のうち28件(別紙4添付の別紙記載のもの)の事実確認 をし、同事実によって、国立大学法人法17条2項に規定する「その他役員 たるに適しないと認めるとき」に該当するものと判断し、原告を同月30日 付けで被告北大の学長から解任する本件解任処分を行った(甲28)。 原告は、同月29日、本件解任処分の通知 に規定する「その他役員 たるに適しないと認めるとき」に該当するものと判断し、原告を同月30日 付けで被告北大の学長から解任する本件解任処分を行った(甲28)。 原告は、同月29日、本件解任処分の通知を受領した。 - 3 - ⑶ 原告は、令和2年12月10日、本件訴訟を提起した(顕著な事実)。 4 争点 ⑴ 本件解任申出の手続に瑕疵があり、違法であると認められるか(本件解任 処分はその違法性を承継するか。)。 ⑵ 本件解任処分及び本件解任申出において認定された各非違行為に事実及び 評価の誤りがあるか。 ⑶ 本件解任申出に裁量権の逸脱・濫用があるか(本件解任処分はその違法性 を承継するか。)。 5 争点に関する当事者の主張 各争点における当事者の主張は、別紙2「争点整理一覧表」記載のとおりで ある。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 当事者間に争いのない事実、前記前提事実、後掲各証拠及び弁論の全趣旨に よれば、本件解任申出及び本件解任処分の経緯について、以下の事実が認めら れる。 ⑴ 総長選考会議のA1議長(以下「A1議長」という。)、A42議長代行 及び被告北大の顧問弁護士であるA2弁護士(以下「A2弁護士」という。) は、平成30年9月29日、総長室を訪れ、原告に対し、被告北大の職員 らから原告が不適切な言動や行動に及んだことを裏付ける録音記録を含む 資料を受領しており、進退について検討するように伝えたところ、原告は 総長の辞任を拒否した(弁論の全趣旨)。 ⑵ A2弁護士は、平成30年10月22日、被告北大のA3理事(以下 「A3理事」という。)、A4理事(以下「A4理事」という。)及びA5理 事(以下「A5理事」という。)に対し、教職員らから原告の非違行為につ いて報告を受けたとして、資料を送付した(甲66、弁論の全趣旨)。 という。)、A4理事(以下「A4理事」という。)及びA5理 事(以下「A5理事」という。)に対し、教職員らから原告の非違行為につ いて報告を受けたとして、資料を送付した(甲66、弁論の全趣旨)。 - 4 - 上記理事3名にA6理事(以下「A6理事」という。)及びA43理事兼 事務局長を加えた5名は、同月23日、総長選考会議に上記資料の検討を委 ねるべきとして、同資料をA1議長に送付した(甲67)。 ⑶ 総長選考会議は、平成30年11月6日、平成30年度第1回臨時会議に おいて、A7弁護士(委員長)、A8弁護士及びA9弁護士の3名からなる 調査委員会(以下「調査委員会」という。)を設置した(甲52、弁論の全 趣旨)。 A1議長は、同月12日、原告に対し、総長選考会議において、調査委員 会を設置し、原告の非違行為等について調査することを決定したこと、今後、 原告に対して、調査委員会から事実確認のための聞き取り調査を行うので、 その対応をお願いすることなどを通知した(甲2)。 調査委員会は、同年12月3日から平成31年1月22日にかけて被告 北大職員等34名を対象にヒアリングを実施したが、原告の聴取は行わず、 原告に対する調査対象事実の告知も行わなかった(弁論の全趣旨)。 調査委員会は、同年2月6日、総長選考会議に対し、調査報告書を提出し た(甲4)。 ⑷ 原告は、平成30年12月9日、A1議長に対し、総長選考会議A1議長 宛ての「辞表提出に関する誓約及び要請について」と題する書面及び文部科 学大臣宛ての「総長辞任願い」と題する書面を提出したが、被告北大は、原 告の辞任届を受理しなかった。 「辞表提出に関する誓約及び要請について」と題する書面には、辞表の提 出により、総長選考委員会と調査委員会が現に行っている解任手続を速やか に終了すること、及び辞めた理由は の辞任届を受理しなかった。 「辞表提出に関する誓約及び要請について」と題する書面には、辞表の提 出により、総長選考委員会と調査委員会が現に行っている解任手続を速やか に終了すること、及び辞めた理由は健康上の問題で総長を遂行できないとす ること、また、調査委員会が調べている非違行為の内容について、証拠物件 である文書・録音を原告に提出することを要請し、これらが保障されるので あれば、原告は自らの健康上の理由で辞任することを誓約する旨記載されて - 5 - いた。 また、「総長辞任願い」と題する書面には、健康上の理由から被告北大総 長の職を辞することの承認を願うことが記載されていた(甲3、弁論の全趣 旨)。 原告は、同月中旬、体調不良のため休職して入院し、退院後の平成31年 2月7日、総長職務代理であったA3理事に復職を申し出た(弁論の全趣 旨)。 しかし、同理事は、原告に対し、総長選考会議議長から原告がパワーハラ スメントほかの複数の非違行為に及んだとの報告を受けたことを踏まえ、役 員会において、原告の主治医が就労可能であると判断しても、直ちに復職を 認めるべきではないとの結論に至ったとして、原告の復職の申出には応じら れない旨回答した(甲5)。 ⑸ 総長選考会議は、平成31年2月14日、原告に対し、「国立大学法人北 海道大学総長選考会議規程第18条の規定に基づく今後の手続きについて (通知)」(甲6)において、調査報告書を添付し、本件規程18条に基づく 解任の申出に係る審議を行うにあたっての手続を通知した。同通知では、調 査報告書添付書類の閲覧期間は同月21日から同年3月1日まで(土曜日及 び日曜日を除く。)の午前8時30分から午後5時までの間と指定され、原 告の陳述書の提出期限は同年4月8日までとされた。 これに対し、当時の原告代理人ら(以下、単に「原告 ら同年3月1日まで(土曜日及 び日曜日を除く。)の午前8時30分から午後5時までの間と指定され、原 告の陳述書の提出期限は同年4月8日までとされた。 これに対し、当時の原告代理人ら(以下、単に「原告代理人ら」という。) は、同年2月26日、要請書(甲7)において、調査報告書添付書類の謄写 及び同報告書添付の音声データの複製、並びに、閲覧期間の大幅な延長を求 めた。 総長選考会議は、同年3月1日、「平成31年2月26日付け貴殿からの 要請書について」(甲8)において、閲覧及び謄写並びに音声データの聴取 及び複製の可否について示した上で、閲覧、謄写等を認める条件として、原 - 6 - 告及び原告代理人らに対して、当該書類等を正当な権利行使以外の目的に利 用しないこと、取得した情報を第三者に開示しないこと、及び本件の関係者 への直接の働きかけを将来にわたって一切行わないことを約する誓約書の提 出を条件とし、閲覧期間を同年3月20日まで延長した。 原告代理人らは、同月6日、「ご連絡書」(甲9)において、誓約書記載の 「本件の関係者への直接の働きかけを将来にわたって一切行いません。」と する条件を削除すること、調査報告書添付書類のカメラや複写機を利用した 謄写を認めること、閲覧期間の再延長を求めた。 総長選考会議は、同月7日、「平成31年3月6日付け貴殿からの連絡書 について」(甲10)において、原告の代理人らの誓約書から「本件の関係 者への直接の働きかけを将来にわたって一切行いません。」とする条件を削 除することに同意したが、その他の要求については認めなかった。 原告代理人らは、同年4月9日、「ご連絡書」(甲14)において、①証拠 書類の閲覧期間制限を撤回し、意見陳述実施日まで閲覧を認めること、②原 告に提出を求める誓約書についても「本件の関係者への直接の働きかけ 代理人らは、同年4月9日、「ご連絡書」(甲14)において、①証拠 書類の閲覧期間制限を撤回し、意見陳述実施日まで閲覧を認めること、②原 告に提出を求める誓約書についても「本件の関係者への直接の働きかけを将 来にわたって一切行いません。」とする条件を撤回すること、③コピー機・ カメラによる謄写や音声データの複製を認めること、④同月19日までとさ れている陳述書の提出期限を延期することを求めた。 総長選考会議は、同月12日、「平成31年4月9日付け貴殿からの連絡 書について」(甲15)において、陳述書の提出期限を令和元年5月10日 まで延長すること、調査報告書添付書類の閲覧等を意見陳述日の前日までの 間とすることを認めた。 原告代理人らは、同年5月10日、総長選考会議に対し、意見書(甲16) を提出し、原告は陳述書(甲17)を提出した。 ⑹ 原告及び原告代理人らは、令和元年5月21日、総長選考会議の臨時会議 (令和元年度第1回)において口頭で意見陳述を行い、質疑応答が行われた。 - 7 - 同会議には、A3理事、A4理事及びA5理事は出席しなかった(甲18、 57)。 その後、総長選考会議は、同月25日(同第2回)、同年6月2日(同第 3回)、同月11日(同第4回)、同月18日(同第5回)、同月24日(同 第6回)及び同年7月4日(同第7回)に臨時会議を実施したが、いずれの 会議にもA3理事、A4理事及びA5理事は出席しなかった(甲58ないし 63)。 なお、原告及び原告代理人らは、同年6月21日にも口頭による意見陳述 を行ったが、これには、A1議長のほか総長選考会議委員4名のみが出席し た(甲19の2)。 総長選考会議は、令和元年度第7回臨時会議において、調査報告書が認定 した非違行為のうち30件を認めて総長解任の申出を決議し、同月10日、 文部科学大臣に対 議委員4名のみが出席し た(甲19の2)。 総長選考会議は、令和元年度第7回臨時会議において、調査報告書が認定 した非違行為のうち30件を認めて総長解任の申出を決議し、同月10日、 文部科学大臣に対し、本件解任申出をした(甲20、21、63)。 ⑺ 原告は、令和2年1月29日、被告北大に対して復職を再度求めたが(甲 22)、総長職務代理のA3理事は、同年2月10日、令和元年7月11日 の役員会において、文部科学大臣の判断が出るまでの間は復帰を認めるのは 適切でない旨を決定したことを通知した(甲23)。 ⑻ 文部科学大臣は、令和2年1月17日付け「行政手続法第13条第1項 第1号に基づく聴聞の実施について(通知)」(甲24)を発し、総長選考 会議の「国立大学法人北海道大学総長の解任の申出に係る審議等の結果」 に記載された事案について、原告による日常的なハラスメント18件、対 外的な被告北大の信用を失墜する行為2件、被告北大代表者及び研究者と しての問題行為3件、総長としての資質を疑われる行為5件の事実確認を したこと、原告に対して聴聞を実施することを通知した。 原告は、同年3月11日、文部科学大臣に対して陳述書(甲25)及び 意見書(甲26)を提出し、同月16日、文部科学省による聴聞が実施さ - 8 - れた(甲27)。 ⑼ 文部科学大臣は、令和2年6月26日、「国立大学法人法第17条第2項 に基づく処分」(甲28)において、総長選考会議が認定した30件の非違 行為のうち28件を認定し、同月30日付けで原告を被告北大の総長から解 任する本件解任処分を行った。 2 争点⑴(⑴ 本件解任申出の手続に瑕疵があり、違法であると認められる か〈本件解任処分はその違法性を承継するか。〉。)について ⑴ 総長選考会議における意見陳述の機会の不存在(別紙2の第1の1) 争点⑴(⑴ 本件解任申出の手続に瑕疵があり、違法であると認められる か〈本件解任処分はその違法性を承継するか。〉。)について ⑴ 総長選考会議における意見陳述の機会の不存在(別紙2の第1の1) ア 原告は、総長選考会議が非違行為について調査するとしながら、どのよ うな事情で解任申出の審議を行うに至ったのか原告に説明せず、また、調 査委員会の調査報告書添付書類について、その大半の謄写を認めず、事情 聴取の音声データの録音等も認めなかったから、実質的な反論及び立証を 行う機会の付与が認められず、意見陳述の機会が与えられたと認めること はできないから、本件規程18条2項に反している旨主張する。 イ しかしながら、前記認定事実⑸のとおり、総長選考会議は、平成31年 2月14日、原告に対し、解任の申出に係る審議に関する手続を通知する 際、調査報告書を添付しているのであって、原告は、この調査報告書によ って、調査対象事項及びそれに対する調査委員会による調査結果の内容を 把握できており、解任申出の審議を行うに至った事情について説明を受け なければ、意見陳述をすることができなかったとは認められない。 また、原告代理人らに対しても、多くの調査報告書添付書類の謄写や事 情聴取の音声データの録音が認められていなかったことが認められるが (甲9)、これらの謄写した書類や録音が外部に流出することによる弊害 は容易に想像することができる一方で、原告代理人らには、これらの閲覧 等が認められ、筆記及びパソコンの打ち込みによる謄写も認められていた こと、調査報告書の内容は原告の言動に関するものであることからすると、 - 9 - これらの書類の謄写や音声データの録音等をしなければ、意見陳述をする ことができなかったとはいえない(なお、実際、原告及び原告代理人らは、 詳細な陳述書(甲17 であることからすると、 - 9 - これらの書類の謄写や音声データの録音等をしなければ、意見陳述をする ことができなかったとはいえない(なお、実際、原告及び原告代理人らは、 詳細な陳述書(甲17)及び意見書(甲16)を提出している。)。 そして、原告の陳述書の提出期限は、最終的には令和元年5月10日ま で延長され、調査報告書添付書類の閲覧についても、総長選考会議におけ る口頭での意見陳述が行われた同月21日の前日まで認められていること からすると、原告には、本件規程18条2項による意見陳述の機会が実質 的に与えられていたということができる。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 ⑵ 議長が総長選考会議による解任手続前に原告に対して総長の辞任を要求し た違法(別紙2の第1の2) ア 原告は、A1議長らは、原告の非違行為の証拠資料に接する前に、何ら 総長辞任を要求する権限がないにもかかわらず、公益通報を阻止している などと虚偽の事実を申し向けて辞任を要求しており、違法である旨主張す る。 イ しかしながら、前記認定事実⑴のとおり、A1議長、A42議長代行及 びA2弁護士は、原告に対して、進退について検討するよう申し入れたに すぎず、しかも、原告は同申入れに対し、辞任を拒否しているのであって、 同申入れは、本件解任申出の手続に何ら影響を及ぼしていない。 したがって、原告の上記主張は、本件解任申出の手続が違法であること を何ら基礎付けるものではなく、理由がない。 ⑶ 理事・副学長3名のオブザーバー出席の違法(別紙2の第1の3) ア 原告は、本件規程7条の2は、「会議が必要と認めるときは、会議の委 員以外の者の出席を求め、説明又は意見を聴くことができる」と定めてい るところ、これは審議に必要な範囲で、個別的に出席を求め、発言を求め るものであるにもかかわらず 「会議が必要と認めるときは、会議の委 員以外の者の出席を求め、説明又は意見を聴くことができる」と定めてい るところ、これは審議に必要な範囲で、個別的に出席を求め、発言を求め るものであるにもかかわらず、A3理事(副学長)、A4理事(副学長) - 10 - 及びA5理事(副学長)の3名(以下「A3理事ら3名」という。)は、 平成31年2月12日の臨時第2回総長選考会議まで出席しており、特に A4理事及びA5理事は非違行為の被害者とされている立場である以上、 利害相反する他方当事者の直接関与となり、手続上の重大な瑕疵がある旨 主張する。 イ しかしながら、本件規程7条の2は、特段、出席することができない者 を規定していないし、かえって、「国立大学法人北海道大学総長選考会議 における理事の出席に関する申合せ」(丙35)によれば、総長選考会議 には、総括理事、教育担当理事及び研究担当理事を出席させることとする、 総長選考会議の求めに応じ、その他の理事を出席させることができると規 定されているところ、A3理事は総括理事、A4理事は教育担当理事、A 5理事は研究担当理事であることから(甲97)、A3理事ら3名の出席 自体は同申合せに沿っているといえる。 さらに、A3理事ら3名は、調査委員会の設置が決められた平成30年 11月6日の平成30年度第1回臨時会議(甲52)、調査委員会に対す る質疑応答がなされ、調査報告書の提出をもって調査委員会における調査 を終了することが了承された平成31年2月12日の同第2回臨時会議 (甲54)及び原告の解任申出に関する選考会議のスケジュール等の報告 がなされた同年3月19日の同第4回会議(甲55)にオブザーバーとし て参加しているが、原告の非違行為について事実確認が始まった令和元年 5月21日の令和元年度第1回臨時会議から、本件解任決議をした 告 がなされた同年3月19日の同第4回会議(甲55)にオブザーバーとし て参加しているが、原告の非違行為について事実確認が始まった令和元年 5月21日の令和元年度第1回臨時会議から、本件解任決議をした同年7 月4日の同第7回臨時会議まで間の会議には出席しておらず、利害関係の ある理事らが本件解任申出の決定に実質的に関与したということもできな い。 したがって、総長選考会議にA3理事ら3名がオブザーバー出席したこ とが違法であるとは認められず、原告の上記主張は理由がない。 - 11 - ⑷ 開催自体を秘密にした臨時会議で審議した違法(別紙2の第1の4) ア 解任に関する会議の開催の秘密 原告は、定例の総長選考会議の開催は、被告北大のホームページに より公表されており、情報開示請求があれば開示しなければならないに もかかわらず、本件解任申出の手続に関する臨時総長選考会議は被告北 大のホームページに全く記載されておらず、その存在が分からなければ 開示請求もできない以上、会議開催自体の秘匿や会議内容の確認や記録 保存の懈怠は、公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」と いう。)11条及び4条に違反する旨主張する。 しかしながら、被告北大ホームページでは、総長選考会議が文部科 学大臣に対して本件総長解任申出をしたことが掲載され(丙36の1、 2)、その後も本件解任申出を受けた文部科学大臣が原告を解任した旨 が掲載されている(丙45)。また、本件解任申出の手続における臨時 総長選考会議の議事録はいずれも作成されているのであって(丙52、 54、57ないし63)、総長選考会議における意思決定に至る過程を 合理的に跡付け、又は検証することができる文書は作成されていると いうべきであるから、公文書管理法11条及び4条に違反していると はいえない。 また、そ 、総長選考会議における意思決定に至る過程を 合理的に跡付け、又は検証することができる文書は作成されていると いうべきであるから、公文書管理法11条及び4条に違反していると はいえない。 また、そもそも公文書管理法は、行政文書等の適正な管理、歴史公 文書等の適切な保存及び利用等を図り、もって行政が適正かつ効率的 に運営されるようにするとともに、国及び独立行政法人等の有するそ の諸活動を現在及び将来の国民に説明する責務が全うされるようにす ることを目的とするものであり(同法1条)、同法11条及び4条に従 った文書が作成されていなかったからといって、当該文書が作成され るべき手続が直ちに違法になるとも解されないのであって、原告が主 張する会議開催の秘匿や文書の管理の問題は、本件解任申出の手続の - 12 - 違法に影響しないといいうべきである。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 イ 原告の辞任の申出を審議せず、手続をとらなかったこと 原告は、平成30年12月8日、健康上の問題を理由に総長の辞任を 申し出て、同月9日、A1議長はこれを本件規程9条2項の辞任の申出 として受領し、何ら辞任の届出を止める権限がないにもかかわらず、そ の後の手続を進めなかったことは、重大な手続違背であると主張する。 しかしながら、前記認定事実⑷のとおり、原告は、A1議長に対し、 文部科学大臣宛ての「総長辞任願い」と題する書面を提出したが、同時 に、総長選考会議宛ての「辞表提出に関する誓約及び要請について」と 題する書面を提出し、同書面には、辞表の提出により、総長選考委員会 と調査委員会が行っている解任手続を速やかに終了すること、及び辞め た理由は健康上の問題で総長を遂行できないとすること、また、調査委 員会が調べている非違行為の内容について、証拠物件である文書・録音 を原告 査委員会が行っている解任手続を速やかに終了すること、及び辞め た理由は健康上の問題で総長を遂行できないとすること、また、調査委 員会が調べている非違行為の内容について、証拠物件である文書・録音 を原告に提出することが保障されることを条件に辞任することを誓約す る旨記載されていることからすると、上記「総長辞任願い」は、原告の 確定的な意思に基づく辞任届であるとは認められない。 したがって、A1議長が原告について辞任の手続を進めなかったこと は違法とはいえず、原告の上記主張は理由がない。 ウ 定足数を欠いた聴聞手続 原告は、令和元年6月21日に原告が行った口頭による意見陳述(甲 19の2)が総長選考会議の定足数を充たさない会議で行われており、 違法である旨主張する。 しかしながら、本件規程18条2項は、総長から意見陳述の申出が あった場合には、口頭又は書面で陳述の機会を与えなければならないと 規定するところ、前記認定事実⑸のとおり、原告は、同年5月10日に、 - 13 - 総長選考会議に対し、意見書(甲16)及び原告の陳述書(甲17)を 提出しており、書面で陳述する機会が与えられている。さらに、前記認 定事実⑹のとおり、原告及び原告代理人らは、同年5月21日に、総長 選考会議の定足数を満たした臨時会議(令和元年度第1回)において、 口頭による意見陳述の機会も与えられている。 なお、前記認定事実⑹のとおり、原告は、同年6月21日に、A1議 長ほか総長選考会議委員4名のみが出席した場において、口頭による意 見陳述を行っているが、これは総長選考会議として実施されたものとは 認められないから、総長選考会議の定足数を満たしていないからといっ て違法であるとはいえない。 したがって、上記原告の主張は理由がない。 ⑸ 調査委員会における調査手 されたものとは 認められないから、総長選考会議の定足数を満たしていないからといっ て違法であるとはいえない。 したがって、上記原告の主張は理由がない。 ⑸ 調査委員会における調査手続の瑕疵(別紙2の第1の5) ア 原告は、調査委員会において、原告に対する事情聴取を行わなかったこ と、原告に対して調査対象事実が告知されなかったこと、調査委員会が非 違行為認定の根拠とした録音データの反訳書には、録音データにはない事 情が付加されていたことなどから、原告に対する手続保障が与えられず、 認定方法の公平性が欠けており、信義誠実原則に反して違法である旨、そ して、調査委員会の調査に重大な違法がある以上、本件解任申出も違法な ものとなる旨主張する。 イ しかしながら、調査委員会において、原告に対する事情聴取を行わなけ ればならないとする明確な規定は存在せず、誰に対する調査を行うか等の 調査方法は、調査委員会の裁量に委ねられているというべきである。そし て、調査委員会の調査結果がそのまま総長選考会議の結論になるというも のではなく、実際に、上記のとおり、原告は、総長選考会議に対し、意見 書(甲16)及び陳述書(甲17)を提出し、また、令和元年5月10日 には、総長選考会議の臨時会において、口頭で意見陳述を行い、さらに、 - 14 - 同年6月21日にもA1議長ほか総長選考会議委員4名に対して口頭によ る意見陳述も行っているのであるから、調査委員会において、原告に対す る事情聴取を行っていないからといって、本件解任申出が違法であるとは いえない。 また、録音データの反訳書(丙3)には、反訳者の主観的な評価が反映 されている部分があることが認められるが、その内容は、全体を通して、 録音内容を概ね正確に反訳しており、総長選考会議において原告の また、録音データの反訳書(丙3)には、反訳者の主観的な評価が反映 されている部分があることが認められるが、その内容は、全体を通して、 録音内容を概ね正確に反訳しており、総長選考会議において原告の非違行 為に関する認定を著しく誤らせる程度の情報が付加されているとは認めら れない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 ⑹ 調査委員会の人選の瑕疵(別紙2の第1の6) ア 原告は、本件規程18条の2第2項は、「調査委員会は、学外の有識者 を含む委員で構成する」と定めているが、調査委員会の委員として、大学 教育の研究者としても大学運営者としても素人であり、同質の弁護士3名 を選任したことは、上記規程に反する旨主張する。また、被告北大は、法 人文書不開示決定通知書(甲86)において、調査委員の選考については 総長選考会議議長により決定し、選考経過を明らかにする文書は存在しな い旨回答しているが、選考経過を明らかにできない点は公文書管理法11 条及び4条に違反するほか、議長により決定した点は本件規程18条の2 第3項に違反する旨主張する。 イ しかしながら、本件規程18条の2第2項は、調査委員会は学外の有識 者を含む委員で組織すると規定するのみで、調査委員の具体的な属性につ いて何ら規定しておらず、また、委員全員を学外の有識者とすることを禁 止するものであるとも解されないから、学外の第三者である弁護士3名を 調査委員に選任したことが違法であるとはいえない。 そして、平成30年度臨時第1回国立大学法人北海道大学総長選考会議 - 15 - 議事要旨(甲52)によれば、調査委員の選考は、同会議において、議長 から、前記認定事実⑶記載の3名の弁護士により調査委員会を構成するこ となどが諮られ、これが了承されたことが認められるのであって、同議事 事要旨(甲52)によれば、調査委員の選考は、同会議において、議長 から、前記認定事実⑶記載の3名の弁護士により調査委員会を構成するこ となどが諮られ、これが了承されたことが認められるのであって、同議事 要旨により、調査委員の選考過程は明らかであるし、議長により決定され たものでもない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 ⑺ 調査委員会の調査目的の違法(別紙2の第1の7) ア 原告は、調査委員会は、委嘱された事実についてその真偽、評価をする のではなく、総長選考会議から提出された調査対象資料を法的に体裁を整 え、それに加えて、「調査対象事項で示された個々の行為は、その日常的 に行われてきた行為の一端にすぎない」として、原告の悪性及び悪行を主 張し、「総長としての資質」の欠落に結び付けたもので、調査委員会の調 査目的が違法であった旨主張する。 イ しかしながら、後述のとおり、総長選考会議が調査委員会の調査に基づ いて認定した30件の非違行為のうち、28件の事実が認められ、「その 他総長たるに適しない」と認めた本件解任申出に裁量の逸脱濫用は認めら れず、そのほかに調査委員会の調査目的が違法であることをうかがわせる 事情も認められない。 したがって、原告の上記主張は理由がない。 ⑻ 以上のとおり、本件解任申出の手続に瑕疵は認められず、違法であると は認められない。 3 争点⑵(本件解任処分及び本件解任申出において認定された各非違行為に 事実及び評価の誤りがあるか。)について ⑴ 平成29年5月2日のA10財務部長(以下「A10財務部長」という。) に対するハラスメントとされている点について(別紙2第2の1⑴) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメ - 16 - ントとして、「原告が、 」という。) に対するハラスメントとされている点について(別紙2第2の1⑴) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメ - 16 - ントとして、「原告が、平成29年5月2日夕方、A10財務部長らが原 告に北海道日本ハムファイターズと被告北大との間における新球場に関 する協議内容について報告するため総長室に入った際に、A10財務部 長に対して、『財務部長が今やらなければならない業務を放棄している』 『A11さん(元文部科学省顧問)に言うぞ』といった、威圧的な言動 を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⑴)、総長選考 会議もほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別紙1記載1)。 イ 証拠(丙1p231、379、証人A10)及び弁論の全趣旨によれば、 次の事実が認められる。 A10財務部長及びA6理事は、平成29年5月2日午後4時頃、原 告に対し、北海道日本ハムファイターズ(以下「日ハム」という。)と 被告北大との間における新球場に関する協議内容を報告するため、総長 室に入室した。 原告は、A10財務部長とA6理事が入室してすぐ、A10財務部長 に対し、第3期中期計画における財務計画のシミュレーションの検討が どうなっているかを問い質した。 これに対し、A10財務部長は、問題なく作業を進捗させている旨報 告したところ、原告は、「財務部長、あなたは今やらなければならない 業務を放棄している。今後、日ハムとの協議については一切関わるな。」 などと厳しい口調で叱責した。 A10財務部長及びA6理事は、総長室を退室したが、再び、原告は、 A10財務部長に入室するよう指示し、これにA12学長補佐(以下 「A12学長補佐」という。)及びA13元政策調整室長も同席した。 そして、原告は、A10財務部長に対し、「文部科 たが、再び、原告は、 A10財務部長に入室するよう指示し、これにA12学長補佐(以下 「A12学長補佐」という。)及びA13元政策調整室長も同席した。 そして、原告は、A10財務部長に対し、「文部科学省のA11顧問 に言えば、お前の首なんか飛ばせるんだ、A11顧問に言い付けるぞ。」 などと叱責した。 - 17 - ウ この点、原告は、A10財務部長に対し、日ハムの新球場誘致ではな く、人件費削減による研究環境悪化への対策を講じることについて取り 組むよう指示した、業務上の必要性のある正当な言動である旨主張する。 そして、原告は、「平成29年6月に開催される経営協議会において、 財政再建と人件費削減の見通しを報告することが必須であるとA10財 務部長に伝えていたが、大きな進展が見られない状況だった。そのため、 同日の面談において、A10財務部長に対し、人件費削減は重要かつ中 核的な課題であると話し、責任者として真剣に取り組んでもらいたい旨 話をしたが、激高したり、威圧的・脅迫的な言葉は使っていない。また、 経営協議会のメンバーであるA11顧問は被告北大の財政シミュレーシ ョンに強い関心を持っており、『A11さんから、歯に衣着せぬ厳しい 指摘があるかもしれない。このような対応ではご理解いただけない。大 変だ。』と述べ、積極的な姿勢での取組みを促したのであり、人事に関 わり圧力を加える発言はしていない。」旨陳述する(甲107p5、原 告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A10財務部長の証言と相反する ところ、A10財務部長の証言は、具体的かつ詳細である上、経緯に照 らして自然で、調査委員会に対する説明(丙1p231)とも一致して いる。また、同席していたA6理事の調査委員会に対する説明(丙1p 379)とも概ね一致するものであり、A10財務部長の証言の信 緯に照 らして自然で、調査委員会に対する説明(丙1p231)とも一致して いる。また、同席していたA6理事の調査委員会に対する説明(丙1p 379)とも概ね一致するものであり、A10財務部長の証言の信用性 は高いといえる。他方、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述を 裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告が、A10財務部長の財務計画のシミュレーションの検 討が十分でないと考えたとしても、「財務部長が今やらなければならな - 18 - い業務を放棄している。」「文部科学省のA11顧問に言えば、お前の首 なんか飛ばせるんだ、A11顧問に言い付けるぞ。」などといった、威 圧的な言動で叱責する必要はないのであって、かかる原告の言動が業務 上の必要性のある正当な言動であるとはいえない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⑵ 平成29年6月30日のA14研究推進部長(以下「A14研究推進部長」 という。)に対する言動について(別紙2第2の1⑵) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告が、平成29年6月30日頃、総長室において、A14 研究推進部長から、内閣府の事業である『まち・ひと・しごと』の予算積 算の件で現状積算額の報告を受けた際、A14研究推進部長に対し、『激 昂し』『お叱り、罵声』『足を踏み鳴らし』などと受け止められる態様で、 『何を考えているのか』『メモをとるな』などと、威圧的な叱責を行った。」 との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⑵)、総長選考会議もこれと ほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別紙1記載2)。 イ 考えているのか』『メモをとるな』などと、威圧的な叱責を行った。」 との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⑵)、総長選考会議もこれと ほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別紙1記載2)。 イ 証拠(丙1p28、47、丙2p8、証人A14、証人A5)及び弁論 の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 A14研究推進部長は、平成29年6月上旬から中旬頃、原告から、 内閣府の事業である「まち・ひと・しごと」の調整役に指名され、文部 科学省の出向者から予算規模が一拠点当たり5年間で100億円、1年 間で20億円と聞いていたことから、これを前提とした資料を作成した。 A14研究推進部長は、同月30日、担当のA5理事と共に総長室に 行き、同資料を説明したところ、原告は、A14研究推進部長に対し、 大きな声で、「総長裁量経費で2億円しか準備していない、100億円 というような指示はしていない。」「何を考えているのか。」「メモを取る - 19 - な。」などと叱責し、床を二度、三度強く踏みつけるなどした。 その間、A14研究推進部長は、硬直した状態で黙って立っていた。 A5理事は、総長室を退室した後も、A14研究推進部長の息が荒く、 顔色も悪く、精神的に不安定なように見えたことから、同人を理事室に 入れて、1時間ほど話をして落ち着かせた。 ウ この点、原告は、A14研究推進部長が述べた「まち・ひと・しごと」 事業の予算の額について質問したが、A14研究推進部長からかみ合っ た回答がなされなかったため、注意指導した、業務上必要性のある正当 な言動である旨主張する。 そして、原告は、「平成29年6月29日の会議において、北海道及 び札幌市等に対し、原告は被告北大として単年度2億円を用意する心づ もりがあると呼びかけていた。同会議終了後、A5理事から被告 張する。 そして、原告は、「平成29年6月29日の会議において、北海道及 び札幌市等に対し、原告は被告北大として単年度2億円を用意する心づ もりがあると呼びかけていた。同会議終了後、A5理事から被告北大の 予算案を北海道庁に示す必要があるとの報告を受けたため、A14研究 推進部長に対し、予算案を示すよう指示した。にもかかわらず、A14 研究推進部長から報告されたのは被告北大の予算を単年度で20億円、 5年間で100億円まで増やしたというものであった。A14研究推進 部長に対し、それを実現できる根拠や方策について質問したが、かみ合 った回答がなかったため、指導注意した。また、『メモをとらないよう に。』と発言したが、メモを取ることに夢中にならず、質問の意図を踏 まえて回答してほしいという趣旨であった。」旨陳述する(甲107p 8、原告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A14研究推進部長及びA5理事 の各証言と整合しないところ、A14研究推進部長及びA5理事の各証 言は、いずれも具体的かつ詳細で、その内容は概ね一致しており、その 経緯も自然である。また、A5理事の調査委員会に対する説明(丙1p 47)や、途中から総長室に入室したA15政策調整室長代理(以下 - 20 - 「A15室長代理」という。)の調査委員会に対する説明(丙1p28、 丙2p8)とも整合しており、A14研究推進部長及びA5理事の各証 言の信用性は高いといえる。他方、上記イの認定事実と相反する原告の 陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告が、A14研究推進部長の「まち・ひと・しごと」事業 の予算の額について質問に対する回答が十分でないと考えたとしても、 大きな声で、「総長裁量経費で2億円しか準備して ない。 そして、原告が、A14研究推進部長の「まち・ひと・しごと」事業 の予算の額について質問に対する回答が十分でないと考えたとしても、 大きな声で、「総長裁量経費で2億円しか準備していない、100億円 というような指示はしていない。」「何を考えているのか。」「メモを取る な。」などと叱責し、床を二度、三度強く踏みつけるなどする必要はな いのであって、かかる原告の言動が業務上の必要性のある正当な言動で あるとはいえない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⑶ 平成29年9月1日のA6理事に対する言動について(別紙2第2の1⑶) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告が、平成29年9月1日午後2時頃、総長室において、 北海道大学の構内が北海道日本ハムファイターズの球場移転先の候補の1 つとされていたことから、A6理事が原告に、大学側において検討チーム を設置することを進言したところ、A6理事に対して、『何を考えている んだ』『こんなもん、来るわけないだろう』などと不必要に怒鳴るなど、 威圧的な発言を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⑶)、 総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載3)を認 定する。 イ 証拠(丙1p363、丙4p44、証人A16)及び弁論の全趣旨によ - 21 - れば、以下の事実が認められる。 A6理事は、平成29年9月1日午後2時過ぎ頃、A16政策調整 室長(以下「A16室長」という。)を伴って総長室を訪れ、原告に対 し、被告北大が日ハムの新球場移転先の最終候補地になった場合に備 え、検討チームを立ち上げることを進言した。 過ぎ頃、A16政策調整 室長(以下「A16室長」という。)を伴って総長室を訪れ、原告に対 し、被告北大が日ハムの新球場移転先の最終候補地になった場合に備 え、検討チームを立ち上げることを進言した。 原告は、最初これを聞いていたが、途中から、机を叩いて、「何を考 えているんだ。」「こんなもん、来るわけないだろう。」と怒鳴った。 これに対し、A6理事は、事前に、札幌市から要請があった時に備え て、本学としての方針というのは、きちんと関係の所とも検討を進めて おいた方が良いと思う旨言って譲らなかったところ、原告から怒られた ため、「そんな事だったら、立候補しなかったらいいじゃないですか。」 と言った。 原告は、「何、考えているんですか。」というようなことを言って机を 思いっきり叩き、その後、A6理事も原告と一緒に同席することになっ ていた来客の対応に同席しないほうがいい旨告げた。 このとき、A6理事が、机を叩いたり、怒鳴ったりしたことはなかっ た。 ウ この点、原告は、A6理事に対し、「(日ハムの球場の移転に関する) 検討チームを今作る必要はありません。」と述べ、A6理事からその理 由を質問された際に「現時点ではトップシークレットであり、話せな い。」と回答した、原告がハラスメントを行ったと評価することはでき ない旨主張する。 そして、原告は、「A6理事に対し、『検討チームを今作る必要ありま せん。』と回答したが、不必要に怒鳴ったり、突き放すような一方的か つ強圧的な発言をしたことはない。札幌市の幹部から新球場を被告北大 内に作る予定がない旨を聞かされており、そのことを公にしないでほし - 22 - いと要望を受けていた上、被告北大のОBからも反対意見を受けていた ことから、原告は、A6理事に対し、検討チームを作る必要がない理由 について、『現時点ではシーク を公にしないでほし - 22 - いと要望を受けていた上、被告北大のОBからも反対意見を受けていた ことから、原告は、A6理事に対し、検討チームを作る必要がない理由 について、『現時点ではシークレットであり、話せない。』と説明するこ としかできなかった。それに対し、A6理事は激昂し、手のひらで強く ドンと1回机を叩きながら、原告に対し、『何を考えているのですか。』 と怒鳴り、さらに、『今まで、私達にやる必要がない仕事をやらせてい たのですか。』と怒鳴り続けた。」旨陳述する(甲107p11、原告本 人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、同席していたA16室長の証言と 相反するところ、A16室長の証言は、具体的かつ詳細である上、その 経緯も自然である。また、A6理事長の調査委員会に対する説明(丙1 p363)とも一致し、さらに、政策調整室の総長室に一番近い席に座 っていたA17も、調査委員会に対し、同様の回答をしている(丙4p 44)ことからすると、A16室長の証言の信用性は高いといえる。他 方、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告が、日ハムの検討チームを作る必要はないと考えていた としても、「何を考えているんだ。」「こんなもん、来るわけないだろう。」 などと怒鳴る必要はないのであって、上記認定の態様に照らせば、原告 の言動はハラスメントに該当すると評価することができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⑷ 平成29年9月8日のA5理事らに対して、前言を理不尽に覆す合理性を 欠く発言を行った事実について(別紙2第2の1⑷) ア 本 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⑷ 平成29年9月8日のA5理事らに対して、前言を理不尽に覆す合理性を 欠く発言を行った事実について(別紙2第2の1⑷) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン - 23 - トとして、「原告が、平成29年9月8日午後2頃、文部科学省で実施さ れた研究大学強化促進事業の中間評価ヒアリングに出席するために同省を 訪れていたA5理事、A14研究推進部長、A18研究推進部研究支援課 長(以下「A18課長」という。)ら計7名の役職員に対し、出張先のロ シアから成田に到着後1人で同省を訪れるので迎えは不要であると事前に 伝えていたにも拘わらず、迎えがないことに激昂し、同省の玄関前で出迎 えたA18課長を叱責するとともに、同省の控室においてこれら7名の役 職員に対して、『なんで迎えに来ないのだ』『お前たちに一言言っておく』 などと怒鳴るなど、前言を理不尽に覆す合理性を欠く発言を行った。」と の事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⑷)、総長選考会議もこれとほ ぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載4)を認定する。 イ 証拠(丙1p59、131、432、丙4p47、130、原告本人 (一部)、証人A5、証人A14)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事 実が認められる。 原告は、平成29年9月8日、A5理事、A14研究推進部長及びA 18課長ら7名の役職員と共に、文部科学省において、研究大学強化促 進事業の中間評価ヒアリングに参加する予定であった。 そして、原告は、当日、出張先のロシアから成田空港に到着後、文部 科学省に向かう予定であり、A5理事らとは同省の控室で待ち合わせる 予定であった。 原告は、出張前、政策調整室のA19秘書(以下「A19秘書」とい う。)から文部科学省に アから成田空港に到着後、文部 科学省に向かう予定であり、A5理事らとは同省の控室で待ち合わせる 予定であった。 原告は、出張前、政策調整室のA19秘書(以下「A19秘書」とい う。)から文部科学省に着いたとき迎えが必要かどうか聞かれ、不要で ある旨伝えていたが、空港や駅への迎えについては特に指示をしていな かった。 原告は、同日、成田空港から文部科学省へ向かう途中、A19秘書 に複数回架電し、成田に着いたことや、新橋駅に到着したことなどを - 24 - 伝えていた。 A18課長は、政策調整室からの電話で、原告を文部科学省の玄関で 出迎えてほしい旨の連絡を受けたことから、同省の玄関前で原告を出迎 えたところ、原告は、A18課長を叱責した。 そして、原告は、文部科学省の控室に到着したが、部屋に入るなり、 大声で「お前たちに一言言っておく。」「なんで迎えに来ないのだ。」な どと叱責した。 ウ この点、原告は、上記アの事実及び評価には誤りがあり、これをもっ て、原告がハラスメントを行ったと評価することはできない旨主張する。 そして、原告は、「交通事情から待ち合わせの時刻に遅刻することが 確実になったため,A19秘書に電話をし、A18課長に遅刻する旨 連絡するよう伝え、文科省に到着して合流した際、『先ずは、皆さんに 一言、遅刻いたしましたことお詫び申し上げます。』と述べた。」旨陳 述する(甲107p13、原告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A5理事及びA14研究推進部長 の各証言と相反するところ、A5理事及びA14研究推進部長の各証言 は、いずれも具体的かつ詳細である上、経緯も自然で、その内容は概ね 一致している。また、同人らの調査委員会における各説明(丙1p59、 432、丙4p47)や、A18課長の調査委員会に対する回答(丙4 p130 れも具体的かつ詳細である上、経緯も自然で、その内容は概ね 一致している。また、同人らの調査委員会における各説明(丙1p59、 432、丙4p47)や、A18課長の調査委員会に対する回答(丙4 p130)、政策調整室で電話対応をしていたA19秘書の調査委員会 に対する説明(丙1p131)とも概ね一致しており、A5理事及びA 14研究推進部長の各証言の信用性は高いといえる。他方、上記イの認 定事実と相反する原告の上記陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告は、事前に文部科学省での出迎えは不要であると伝え、 - 25 - 明確に空港や駅への出迎えを指示していなかったにもかかわらず、駅に 迎えが来ないことについて大声で叱責していることからすると、原告の 発言は合理性を欠いたものといえ、原告がハラスメントを行ったと評価 することができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実(た だし、原告が、事前に迎えが不要であると伝えていたのは、文部科学省で の出迎えであったと認められる。)及び評価は概ね正当であると認められ、 原告の上記主張は理由がない。 ⑸ 平成29年10月26日のA15室長代理らに対する理不尽で合理性を欠 く発言について(別紙2第2の1⑸) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成29年10月26日午後、A21企画部次長と A13元財務部次長を随行し、文部科学省を訪問した際に、『事前にアポ イントメントを入れると相手も構えてしまうのでアポイントメントは入れ ない』と述べていたにもかかわらず、A15室長代理がアポイントメント を取っていなかったことに怒り、同省から電話でA20政策調整室専門員 トメントを入れると相手も構えてしまうのでアポイントメントは入れ ない』と述べていたにもかかわらず、A15室長代理がアポイントメント を取っていなかったことに怒り、同省から電話でA20政策調整室専門員 (以下「A20専門員」という。)に対して、『申し訳ないじゃすまないん だぁー』『A15君をだせ』といった理不尽で合理性を欠く発言を行った。」 との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⑸)、総長選考会議もこれと ほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載5)を認定する。 イ 証拠(丙1p844、870、丙2p19、23、証人A15、証人A 20)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 原告は、平成29年10月18日、A15室長代理に対し、概算要求 の件で、インドネシアから戻った際、直接文部科学省に行き、法人支援 課を中心に関係するところを数か所回りたい、たくさんのところを回る ので、アポイントメントを取ると、審議官級などが出てきて、忌憚のな - 26 - い話を課長や課長補佐から聞くことができないので、アポイントメント は絶対に入れないでくれと強く指示された。そのため、A15室長代理 は、アポイントメントを取らなかった。 原告は、同月26日、文部科学省を訪問したが、政策調整室に架電し、 対応したA20専門員に対し、訪問予定の関係各課にアポイントメント を入れていないことについて、「申し訳ないんじゃすまないんだー。」 「A15君を出せ。」などとA15室長代理を叱責する発言をした。 ウ この点、原告は、自分ではアポイントメントを取らないと述べたこと があるに過ぎず、アポイントメントを取らなくてよいと述べたことはな い、仮に原告の指示が、アポイントメントを取らなくてよいと受け取ら れても仕方がないものであったとしても、アポイン 取らないと述べたこと があるに過ぎず、アポイントメントを取らなくてよいと述べたことはな い、仮に原告の指示が、アポイントメントを取らなくてよいと受け取ら れても仕方がないものであったとしても、アポイントメントを取らなか った責任が誰にあるのかは不明であるから、原告がA15室長代理を問 いただした行為の合理性も不明であり、原告の行動が理不尽で不合理と の評価を受けるものではない旨主張する。 そして、原告は、「『総長が直接文部科学省の課長にアポイントメン トを入れると相手も構えてしまうので、私からはアポイントメントは入 れません。』と指示をしたにすぎず、あくまで自分から直接連絡はしな いという趣旨であって、一切アポイントメント不要との指示をするはず がない。また、『申し訳ないんじゃすまないんだー。』『A15君を出 せ。』などとは発言していない」旨陳述する(甲107p14、原告本 人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A15室長代理及びA20専門員 の各証言と相反するところ、A15室長代理の証言は、原告から具体的 に理由を告げられてアポイントメントを絶対に入れないでくれと言われ た旨、具体的かつ明確に証言しており、また、A15室長代理が原告ほ か随行者に送った「10月26日(水)の文部科学省集合について」と - 27 - 題するメールには、アポイントメントの相手方や時間が記載されていな いこと(丙2p23)とも整合し、調査委員会に対する説明(丙2p1 9)とも一致している。また、A20専門員の証言も詳細かつ具体的で ある上、調査委員会に対する説明(丙1p844)とも概ね一致してお り、A21研究推進部長(以下「A21研究推進部長」という。)も調 査委員会に対してA15室長代理及びA20専門員と同様の説明(丙1 p870)をしているのであって、A15室長代理及びA20 一致してお り、A21研究推進部長(以下「A21研究推進部長」という。)も調 査委員会に対してA15室長代理及びA20専門員と同様の説明(丙1 p870)をしているのであって、A15室長代理及びA20専門員の 各証言の信用性は高いといえる。他方、上記イの認定事実と相反する原 告の上記陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告が、A15室長代理に対し、事前にアポイントメントを 入れると相手も構えてしまうのでアポイントメントは入れない旨指示し ていたにもかかわらず、A15室長代理がアポイントメントを取ってい なかったことついて、電話で対応したA20専門員に対し、「申し訳な いんじゃすまないんだぁー。」「A15君を出せ。」と発言したことは、 理不尽で合理性を欠く発言といえる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は正当と認められ、原告の上記主張は理由がない。 ⑹ 平成29年10月26日のA6理事に対する不適切な叱責を行った点につ いて(別紙2第2の1⑹) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成29年10月26日午後、フロンティア基金の 寄附者への感謝状を贈呈するため北海道大学東京オフィスを訪れた際に、 A6理事が同席しないことを知っていた、あるいは知っておくべきであっ たにもかかわらず、同理事が同席していないことに怒り、その場から同理 - 28 - 事に電話をし『なぜ、君はいないんだ』などと述べて同席しなかったこと に対し不適切な叱責を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記 載1⑹)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記 載6)を認定する。 イ んだ』などと述べて同席しなかったこと に対し不適切な叱責を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記 載1⑹)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記 載6)を認定する。 イ 証拠(丙1p368、丙4p15、234、証人A22)及び弁論の全 趣旨によれば、次の事実が認められる。 A6理事は、平成29年10月12日、北大フロンティア基金(以下 「フロンティア基金」という。)の担当理事として、校友会エルムの総 会(同月26日午後2時~午後5時開催)にオブザーバーとして参加す ることが決まった。 当初予定されていたフロンティア基金の寄附者のA23(以下「A2 3」という。)への感謝状贈呈の日程がキャンセルされたことから、原 告は、同月19日、A23に直接電話をして、原告が、東京に出向いて 感謝状を贈呈することとなった。 A23が、同月26日午後5時から、被告北大の東京オフィスでの感 謝状の贈呈を希望したことなどから、被告北大の広報課担当者は、A6 理事に、上記日程等を伝えたところ、A6理事は、出席できない旨を伝 えた。 同月20日、感謝状の贈呈の日程が確定したため、広報課担当者は、 「感謝状受領者情報」を作成し、原告は、A19秘書からこの電子ファ イルをメールで受け取ったが、この陪席者欄にA6理事は記載されてい なかった。 原告は、同月26日午後、フロンティア基金の寄附者への感謝状を贈 呈するため被告北大の東京オフィスを訪れた際、A6理事が出席しない ことを知り、被告北大の校友会エルムの総会に出席していたA6理事に - 29 - 電話をし、「なぜ、君はいないんだ。フロンティア基金の感謝状の贈呈 で、担当理事がいないということは、あり得ないことだ。」と叱責した。 A6理事は、「この日は前から『私は不在です』ということは申し上 電話をし、「なぜ、君はいないんだ。フロンティア基金の感謝状の贈呈 で、担当理事がいないということは、あり得ないことだ。」と叱責した。 A6理事は、「この日は前から『私は不在です』ということは申し上 げていましたよね。」と原告に伝えたが、原告は「聞いていない。」 「もうこれで二度目だぞ。」「三度目は無いぞ。もう一回やったらただ じゃおかない。」などと叱責した。 当時、被告北大において、フロンティア基金の感謝状の贈呈に担当理 事が出席しなければならないというルールはなかった。 ウ この点、原告は、上記アで認定された事実及びその評価には誤りがあ り、原告がハラスメントを行ったと評価することはできない旨主張する。 そして、原告は、「感謝状贈呈式において、A23から被告北大に対 する要望を聞いたが、その担当であるA6理事が不在であったため、A 6理事に架電した、原告がA6理事に対して『なぜ、A6さんはここに いないんですか。』と質問をした事実はあるが、叱責したり、威圧的発 言をした事実はない。」旨陳述する(甲107p16、原告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A6理事の調査委員会に対する説 明(丙1p368、丙4p15)と相反するところ、A6理事の同説明 内容は詳細かつ具体的である上、経緯も自然で、A22広報課課長補佐 (以下「A22課長補佐」という。)の証言とも整合している。また、 A22課長補佐は、総長選考委員会に対しても、同様の回答をしており (丙4p234)、A6理事の調査委員会に対する説明の信用性は高い といえる。他方、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述を裏付け る証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 - 30 - そして、原告は、A19秘書から「感謝状受領者 反する原告の上記陳述を裏付け る証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 - 30 - そして、原告は、A19秘書から「感謝状受領者情報」の電子ファイ ルをメールで受け取り、この「感謝状受領者情報」の陪席者欄にA6理 事は記載されていなかったのであるから、A6理事が感謝状の贈呈に同 席しないことは知り得た上に、そもそも当時、フロンティア基金の感謝 状の贈呈に担当理事が出席しなければならないというルールもなかった にもかかわらず、「なぜ、君はいないんだ。」などと述べて、同席しな かったことについて不適切な叱責を行っているといえる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が上記アで認定した事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の主張は理由がない。 ⑺ 平成29年12月14日のA14研究推進部長に対するハラスメントとさ れている点について(別紙2第2の1⑺) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成29年12月14日午前、総長室において、A 14研究推進部長から、A12学長補佐、A16室長及びA15室長代理 の同席を得て、同日午後に開催の『地方大学・地域産業創生交付金に係る 意見交換会』の事前レクチャーを受けた際に、A14研究推進部長に対し て、『おまえ』『あんた』という品位と礼節を欠く呼称を用いたほか、『そ のヒアリングとかレクは無いんだよ。』『冒頭呼ぶだけか。』『何をやるのか わからないで呼ばれて行くのか。』『レクするのは誰だ。理事か。その仕事 は。』『A14さんだろ。それだけ言いたかった。』『やっとわかった。』『な んで持って来ないのさ。なんでここにないのさ。なんで政策調整室にない のさ。』などと発言し、他人が同席する場において粗 その仕事 は。』『A14さんだろ。それだけ言いたかった。』『やっとわかった。』『な んで持って来ないのさ。なんでここにないのさ。なんで政策調整室にない のさ。』などと発言し、他人が同席する場において粗暴な言動により一方 的で不適切な叱責を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載 1⑺)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載 7)を認定する。 イ 証拠(丙3p2、丙4p150、丙22の1、証人A14)及び弁論の - 31 - 全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 「まち・ひと・しごと」事業に関し、同日、北海道庁が主導する「地 方大学・地域産業創生交付金に係る意見交換会」が計画されていたが、 当初、原告は同会議に出席しない予定とされていた。 同会議の前日、原告の希望で、原告が同会議の冒頭に出席することに なり(丙4p150)、同会議当日の朝、A14研究推進部長は、総長 室に同会議の資料を持参し、原告に対して説明を行った。 原告は、A14研究推進部長に対し、「そのヒアリングとかレクは、 ないんだよ。」「冒頭呼ぶだけかっ。」「何をやるのか分からないで呼 ばれて行くのか。レクするのは誰だ。理事か。その仕事は。A14さん だろ。それだけ言いたかった。」「何で持ってこないのさ。何でここに ないのさ。何で政策調整室にないのさ。」などと叱責し、A14研究推 進部長を「お前」「あんた」などと呼称した上、机を叩くなどした 。 ウ この点、原告は、上司の部下に対する発言内容として、社会通念上相 当なものである、「あんた」「お前」という呼称を用いたのは9回のみで あり、上司と部下の関係にあることからすれば、直ちに品位と礼節を欠 く呼称と評価することはできない旨主張する。 そして、原告は、「朝、A14研究推進部長に内閣府での報告を聞い た のは9回のみで あり、上司と部下の関係にあることからすれば、直ちに品位と礼節を欠 く呼称と評価することはできない旨主張する。 そして、原告は、「朝、A14研究推進部長に内閣府での報告を聞い たところ何も回答がなく、会議の資料も持参せずに内容について聞いて も何も答えられなかったため叱責した。」旨陳述する(甲107p19、 原告本人)。 しかし、原告は、当初、「地方大学・地域産業創生交付金に係る意見 交換会」には出席しない予定であったところ、同会議の前日に原告の希 望で同会議に出席することとなり、同会議の当日に原告に対する説明を することになったという経緯がある上に、原告は、A14研究推進部長 に対して、「お前」「あんた」という品位と礼節を欠く呼称を複数回に及 - 32 - んで使い、また、「そのヒアリングとかレクは、ないんだよ。」「冒頭呼 ぶだけかっ。」「何をやるのか分からないで呼ばれて行くのか。レクする のは誰だ。理事か。その仕事は。A14さんだろ。それだけ言いたかっ た。」「何で持ってこないのさ。何でここにないのさ。何で政策調整室に ないのさ。」などと、粗暴な言動でA14研究推進部長を一方的に叱責 しているのであって、上司の部下に対する発言として、社会通念上相当 なものであるということはできない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の主張は理由がない。 ⑻ 平成29年12月14日のA10財務部長らに対するハラスメントとされ ている点について(別紙2第2の1⑻) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「平成30年度から32年度までの3年間の北海道大学札幌キ ャンパスで使用する電気一式の入札手続きについて、P社が落札したと 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「平成30年度から32年度までの3年間の北海道大学札幌キ ャンパスで使用する電気一式の入札手続きについて、P社が落札したとこ ろ、原告は、平成29年12月14日午後、総長室において、A10財務 部長から試算では3年間で約5億円の経費削減になる旨報告を受けた際に、 同財務部長に対して、合理的な理由もないのに『入札を取り消せ』などと 非難したほか、北海道電力について言及したうえ『入札はやり直しだ』と いった特定の業者のために入札を改めて実施するように要請したと受け取 れる理不尽な発言を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載 1⑻)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載 8)を認定する。 イ 証拠(丙2p158、168、172、176、証人A10、証人A1 6)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 - 33 - 平成29年12月14日、平成30年度から平成32年度までの3年 間の被告北大の札幌キャンパスで使用する電気一式の一般競争入札が行 われた。 被告北大では、電気は一般物品扱いであり、単価の高低以外に競争要 素がないことから、最低価格落札方式(予定価格を設定して、その予定 価格の範囲内で最も低額で入札したものが落札する方式)が採用されて いた。 同入札において、東京の新電力会社が落札者となり、3年間で約5 億円の経費削減効果が得られることとなった。 同日、A10財務部長は、経費削減効果を原告に報告するため、A1 6室長とともに総長室に入室し、原告に対し、落札結果を報告したとこ ろ、原告は、突然表情を変えて怒り始め、A10財務部長に対し、「財 務部長は北海道経済をどう考えているんだ、何で北電に落とさせなかっ たんだ 長とともに総長室に入室し、原告に対し、落札結果を報告したとこ ろ、原告は、突然表情を変えて怒り始め、A10財務部長に対し、「財 務部長は北海道経済をどう考えているんだ、何で北電に落とさせなかっ たんだ。」などと、机をたたきながら叱責した。 A10財務部長は、原告に対し、一般競争入札であり最低価格落札方 式しか採用できないことや落札者が決定しておりやり直しはできないこ となどを説明したが、原告は、「入札をやり直せ。」「契約をやり直 せ。」などと叱責を続けた。 また、A10財務部長は、一旦退室したのち、再び原告に呼ばれ、A 24理事兼事務局長(以下「A24事務局長」という。)らと共に総長 室に入室して再度説明したが、「財務部長の責任だ、私は足下をすくわ れた。北電に行って説明してこい。」などと発言した。 ウ この点、原告は、原告の発言は、新電力会社の安定的な電力供給等 への不安から発せられたものであり、発言内容に合理性があり、理不 尽な言動ではない旨主張する。 - 34 - そして、原告は、「被告北大は研究機器やコンピュータ等を継続的に 使用しており、急な停電は研究を無に帰す事態を引き起こすリスクがあ るから、供給の安定性が重要であること、北海道電力は北海道最大の企 業であり、地方創生を先導する大きな役割を果たしていること、電力の 契約に関する入札も総合評価方式と考え、総合的な評価をする必要があ ると考えていたことから、A10財務部長の報告を受け、『では各社の 提案を見直して、総合的に判断して、もし問題があれば再度入札です ね。』『新電力が撤退したときに、北電が請け負ってくれるのですね。 契約を見直してください。問題があれば、再契約しなければなりませ ん。』と発言したもので、合理性がある。」旨陳述する(甲107p2 1、原告本人)。 し 、北電が請け負ってくれるのですね。 契約を見直してください。問題があれば、再契約しなければなりませ ん。』と発言したもので、合理性がある。」旨陳述する(甲107p2 1、原告本人)。 しかし、原告の上記陳述は、A10財務部長の証言と相反するところ、 A10財務部長の証言は、具体的かつ詳細であり、経緯も自然で、調査 委員会に対しても、同様の回答(丙1p249)をしている。また、そ の場に同席していたA16室長の証人尋問における証言とも概ね整合し、 さらに、A15室長代理及び総長室の隣の政策調整室にいたA19秘書 も、調査委員会に対して、A10財務部長の上記証言に沿う説明をして いること(丙1p6、109)からすると、A10財務部長の証言の信 用性は高いといえる。他方、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳 述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、被告北大において、電気は一般物品扱いであり、単価の高低 以外に競争要素がないことから、最低価格落札方式を採用しているにも かかわらず、原告は、A10財務部長に対し、机を叩きながら、「財務 部長は北海道経済をどう考えているんだ、なんで北電に落とさせなかっ - 35 - たんだ。」「入札をやり直せ。」「契約をやり直せ。」などと叱責をし、 特定の業者のための入札を改めて実施するように要請したと受け取れる 発言をしているのであって、原告の発言が、新電力会社の安定的な電力 供給等への不安から発せられたものであるとしても、その発言に合理性 があるとはいえない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⑼ 平成30年1月25日のA15室 があるとはいえない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⑼ 平成30年1月25日のA15室長代理に対するハラスメントとされてい る点について(別紙2第2の1⑼) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告が、平成30年1月24日夕刻、国際ニュースサイト 『worldfolio』が原告に依頼したインタビューに英語で答える原案を作成す るため、総務企画部広報課の職員に対し、同月25日午前にA25准教授 と打合せの予定を入れるように指示したが、その予定が入っていなかった ことに対し、同日午前、政策調整室内でA15政策調整室室長代理に対し、 『朝に呼べって言ったじゃない』『何を聞いてるのさ』『余計なものを作っ たってしょうがないだろ』『2度目だ』『もう3回目はないぞ。本当に』と いった一方的で粗暴な口調の懇切さと配慮を欠く発言を行った。」との事 実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⑼)、総長選考会議もこれとほぼ同 一の事実(別紙3添付の別紙1記載9)を認定する。 イ 証拠(甲107p25(一部)、丙3p10、丙4p140、丙22の 2、原告本人(一部)、証人A15)及び弁論の全趣旨によれば、以下の 事実が認められる。 原告は、平成30年1月24日夕方、国際ニュースサイトであるワー ルドフォリオが原告に依頼したインタビューに英語で答える原案を作成 - 36 - するため、A25准教授に電話をし、翌25日午前中に総長室に来るよ う依頼した。 A15室長代理は、同日朝、A25准教授から、原告とA25准教授 との打合せ時間について問合せを受けたが、連絡があるまで待つよう指 示し、同日午前11時過ぎ頃、A25准教授 室に来るよ う依頼した。 A15室長代理は、同日朝、A25准教授から、原告とA25准教授 との打合せ時間について問合せを受けたが、連絡があるまで待つよう指 示し、同日午前11時過ぎ頃、A25准教授の視点・考えで回答案の作 成を進めて欲しい旨指示をした。 原告は、同月25日午前11時頃、A25准教授との打合せの予定が 午前中に入っていなかったことに立腹し、A15室長代理に対し、「朝 に呼べって言っていたじゃない。何を聞いているのさ。」「余計なもの を作ったってしょうがないだろ。」「2度目だ。」「もう3回目はない ぞ。本当に。」などと叱責した。 ウ 原告は、A15室長代理が原告からの指示にもかかわらず、A25准 教授との打ち合わせの調整を行っていなかったのであるから、原告がA 15室長代理を叱責することはもっともであり、原告の発言は社会通念 に照らして相当である、一方的で粗暴な口調の懇切さと配慮を欠くとい う評価は誤っている旨主張する。 そして、原告は、A15室長代理が指示内容を勝手に変更し、不要な 作業を行っていたことが明らかになったため、声を荒げて注意したもの で、必要なことであった旨陳述する(甲107p26、原告本人)。 確かに、上記イのとおり、原告は前日にA25准教授と電話をし、同 月25日午前中に打合せを行う予定となっていたところ、A15室長代 理が、自らの判断で、A25准教授に対し、連絡があるまで待つよう指 示し、また、A25准教授の視点・考えで回答案の作成を進めて欲しい 旨指示したことが認められる。 しかしながら、そうであるからといって、A15室長代理に対し、 「朝に呼べって言ったじゃない。何を聞いてるのさ。」「余計なものを作 - 37 - ったってしょうがないだろ。」「2度目だ。」「もう3回目はないぞ。本当 に。」などと一方的 A15室長代理に対し、 「朝に呼べって言ったじゃない。何を聞いてるのさ。」「余計なものを作 - 37 - ったってしょうがないだろ。」「2度目だ。」「もう3回目はないぞ。本当 に。」などと一方的かつ粗暴な口調で叱責する必要はないのであって、 これらの原告の発言が懇切さと丁寧さを欠く不適切な発言であるといえ る。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実は、 一部経緯に誤っているところがあるものの、原告の言動及びその評価につ いては、概ね正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がな い。 ⑽ 平成30年1月25日のA15室長代理に対するハラスメントとされた点 について(別紙2第2の1⑽) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成30年1月25日午前11時30分頃、政策調 整室内で、A15室長代理に、はじめから午後の会議で使う予定がないに もかかわらず、午後の会議に使用すると称し、事前の予告なしに、45分 間の休憩を含めてわずか2時間半の間に、雑誌に連載されたオランダの農 業事情に関する論考4回分程(4段組み紙面で合計9頁程)をA4用紙の 1、2枚に要点整理するように指示をするという、理不尽かつ配慮を欠く 業務を命じた。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⑽)、総長選 考会議もほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別紙1記載10)。 イ 証拠(丙1p13、1207、丙2p94ないし105、丙4p209、 証人A15、証人A12)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認めら れる。 原告は、平成30年1月25日午前11時30分頃、政策調整室内で、 A15室長代理に対し、週刊東洋経済に連載されたオランダ農業事情に 関する論考4回分程(4段組紙面で合計9頁)4編を渡し、同日午 。 原告は、平成30年1月25日午前11時30分頃、政策調整室内で、 A15室長代理に対し、週刊東洋経済に連載されたオランダ農業事情に 関する論考4回分程(4段組紙面で合計9頁)4編を渡し、同日午後2 時からの内閣府が公募する地域版SIPに関する会議に資料として出す - 38 - ため1ないし2枚にまとめるよう指示した。 その後、原告は、A12学長補佐に対し、上記記事のコピーを見せな がら、「今これ作れって言ってきた、あいつ余計なことをするからペナ ルティだ。」などと発言した。 A15室長代理は、昼食もとらず、上記論考の要約をA4用紙2枚に まとめて、同会議に向かう原告に渡したところ、原告は、歩きながらこ れを読み、A15室長代理に戻した。 同会議では、A15室長代理の要約は使われることはなく、また、オ ランダ農業や上記論考に関する話題も出なかった。 ウ この点、原告は、A15室長代理の作成した資料が指示と異なってい たため打合せで使用しなかったが、当初から使うつもりのない資料を作 成させたわけではないし、2時間半の間に論考4回分程を要点整理する ように指示することは、部下への指示として社会通念上相当なものであ り、理不尽かつ配慮を欠く業務を命じたという評価は誤っている旨主張 する。 そして、原告は、「会議では北海道農業の在り方について議論する予 定であったが、A15室長代理がまとめたのは直接関係のないオランダ 農業の資料であったため、自ら資料をまとめ、口頭での説明に使用した。 A12学長補佐には、『午前中に心が乱れ余計なことをしたので、午後 の会議の資料をまとめる時間がない。ペナルティではないが、足りない 資料をまとめさせているが、よいだろうか。』と意見を聴いたのであり、 A15室長代理のペナルティとして要約を作成させた旨の発言はしてい の会議の資料をまとめる時間がない。ペナルティではないが、足りない 資料をまとめさせているが、よいだろうか。』と意見を聴いたのであり、 A15室長代理のペナルティとして要約を作成させた旨の発言はしてい ない。」旨陳述する(甲107p27、原告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A12学長補佐の証言と相反する ところ、A12学長補佐の証言は、具体的かつ詳細である上、調査委員 会に対する説明(丙1p1207)及びA15室長代理の証言とも整合 - 39 - している。また、上記第3の3⑼で認定したとおり、同日午前中に原告 はA15室長代理を叱責しており、そのペナルティとして要約を指示す るという経緯も自然である。そうすると、A12学長補佐の証言の信用 性は高いといえる。他方、上記イの認定事実と相反する原告の陳述を裏 付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告は、A15室長代理に対し、午後の会議の資料として不 要であるにもかかわらず、同日午前中の出来事に対するペナルティとし て、昼食時間を含めて約2時間半の間に、オランダ農業事情に関する論 考4回分程(4段組紙面で合計9頁)4編を1ないし2枚にまとめるよ う指示している上に、その内容や分量に照らし、容易な作業であるとも いえないことからすれば、原告の上記指示は、部下への指示として社会 通念上相当であるとはいえず、理不尽かつ配慮を欠く業務を命じたとい うことができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⑾ 平成30年1月25日のA10財務部長に対するハラスメントとされた点 について(別紙2第2の1⑾) ア 本件解任処分において、 、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⑾ 平成30年1月25日のA10財務部長に対するハラスメントとされた点 について(別紙2第2の1⑾) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成30年1月25日午後、総長室において、教職 員十数名で、内閣府が公募する地域版SIPに関する構想の打ち合せを行 った際に、A10財務部長がその席上、内閣府とのパイプが弱い旨の発言 をしたところ、『下っ端役人に言われても知らんわ』『A26社長というの は黒田総裁のブレーンだから。その辺を使えっていうならいくらでも使う んだけれど、何にも知らないそんなのに言われたくないよ』『忖度言った - 40 - ってしょうがないんだ。そんなんだったら山本に言うぞ。岸田さんを使お うか。』『怒らせるな。』など威圧的で品位と礼節を欠く極めて不適切な発 言を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⑾)、総長選考 会議もほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別紙1記載11)。 イ 証拠(丙22の3、丙3p11、証人A10)及び弁論の全趣旨によれ ば、次の事実が認められる。 平成30年1月25日午後、総長室において、原告、教員、URA、 財務部及び政策調整室の職員十数名で、地域版SIPに関する構想の打 合せを行った。 A10財務部長は、同打合せにおいて、内閣府の参事官から、被告北 大は内閣府とのパイプがないから不利だとの話を聞いていたため、同打 合せでその旨発言をしたところ、原告は急に怒り出し、「下っ端役人に 言われても知らんわ。」「何にも知らないそんなのに言われたくないよ。」 「忖度言ったってしょうがないんだ。そんなんだったら山本(内閣府特 命担当大臣)に言うぞ。岸田(外務大臣)さんを使おうか っ端役人に 言われても知らんわ。」「何にも知らないそんなのに言われたくないよ。」 「忖度言ったってしょうがないんだ。そんなんだったら山本(内閣府特 命担当大臣)に言うぞ。岸田(外務大臣)さんを使おうか。」「怒らせる な。」などと叱責した。 ウ この点、原告は、上記各発言はA10財務部長に向けられたもので はないし、やり取りの後半では原告のユーモア交じりの発言に対して 笑いが起きていることからすれば、威圧的で品位と礼節を欠く極めて 不適切な発言ではない旨主張する。 そして、原告は、「『下っ端役人』『何にも知らないそんなの』とは、 内閣府参事官を指した言葉であって、A10財務部長に向けた発言で はない。A10財務部長は、『人を出してくれたら嬉しいというような 感じでしょうかね。』と発言したが、人件費削減により大学の経営が危 機に瀕している中、職員を出向させることで負担を強いられることを A10財務部長が自覚していない点で看過できず、『忖度言ったってし - 41 - ょうがないんだ。』と発言した。岸田元文部科学副大臣から内閣府に対 してクレームをつけるため、『そんなんだったら山本に言うぞ。岸田さ んを使おうか。』などと発言した。」旨陳述する(甲107p29、原 告本人)。 しかし、原告は、A10財務部長の発言に対して「下っ端役人に言わ れても知らんわ。」「何にも知らないそんなのに言われたくないよ。」な どと乱暴な言葉を使うなどした上で、A10財務部長に対して、「忖度 言ったってしょうがないんだ。そんなんだったら山本(内閣府特命担当 大臣)に言うぞ。岸田(外務大臣)さんを使おうか。」「怒らせるな。」 などと厳しい口調で叱責しているのであり、威圧的で品位と礼節を欠く 不適切な発言と評価することができる。 この点、原告は、やり取りの後半では原告のユーモア交じりの発言に を使おうか。」「怒らせるな。」 などと厳しい口調で叱責しているのであり、威圧的で品位と礼節を欠く 不適切な発言と評価することができる。 この点、原告は、やり取りの後半では原告のユーモア交じりの発言に 対して笑いが起きているなどと主張し、録音データにそのような笑いが あることが認められるが、原告の「怒らせるな。」という発言の後、し ばらく沈黙があり、A10部長が「すみません。」などと謝罪した後に、 原告の発言に対して笑いが起こっているのであって、一連のやり取りを 全体としてとらえれば、原告が指摘する笑いは、その場を取り繕うもの にすぎないといえるのであって、前記評価を左右しない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⑿ 平成30年3月15日のA27産学・地域共働推進機構特任教授(以下 「A27特任教授」という。)に対するハラスメントとされている点につい て(別紙2第2の1⑿) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成30年3月15日、A27特任教授を総長室に 呼び、A16室長とA15室長代理の同席のもと、A27特任教授に、 - 42 - 『俺のところに来ているのだって全部だめだぞ』『外国特許を取るときに 日本触媒を見捨てたからね、あんたの所は。』『何をやっているんだよ。』 『なんか言ったらоnちゃん(北海道テレビ放送のマスコットキャラクタ ー)だとかそっちばかりやったってしょうがないんだって。』『оnちゃん のだって動き悪いし。全部フォローが悪いんだよ。』『1年間見て最後に怒 られているよ。』などと述べて、他人の面前で、時には机を叩くなどして、 相当性を欠く態様で叱責を行った。」との事実を認定し(別紙4 のだって動き悪いし。全部フォローが悪いんだよ。』『1年間見て最後に怒 られているよ。』などと述べて、他人の面前で、時には机を叩くなどして、 相当性を欠く態様で叱責を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別 紙記載1⑿)、総長選考会議もほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の 別紙1記載12)。 イ 証拠(丙1p801、丙22の4、丙3p13、証人A27)及び弁論 の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 A27特任教授は、平成30年3月初旬頃、原告から産学連携推進本 部の活動報告及び財務報告を求められており、同月15日時点で資料の 作成途中であった。また、A27特任教授は、北海道テレビ放送のマス コットキャラクターであるоnちゃんに関する広報活動を担当していた。 原告は、平成30年3月15日午前10時20分頃、A27特任教 授を総長室に呼び出し、A16室長及びA15室長代理を同席させた 上、同教授に対し、「俺のところに来ているのだって全部駄目だぞ。」 「外国特許取るときに日本触媒を見捨てたからね、あんたの所は。」 「何をやっているんだよ。」「なんか言ったらоnちゃんだとかそっち ばっかりやったってしょうがないんだって。」「оnちゃんのだって動 き悪いし。全部フォローが悪いんだよ。1年間見て最後に怒られてい るよ。」などと述べ、机を1回叩いて叱責した。 ウ この点、原告は、机を叩いたのは1回だけで、資料がないことを強 調したものにすぎず、大学の外部資金の獲得が急務であるなか、部下 が不十分な報告をした点を叱責したもので、社会通念上相当である旨 - 43 - 主張する。 そして、原告は、「当時、財務省からの要求で、被告北大は国以外の 民間等からの外部資金調達がノルマとなっていた。A27特任教授に対 し、平成29年度の実績と平成30年度の外部資金調 - 主張する。 そして、原告は、「当時、財務省からの要求で、被告北大は国以外の 民間等からの外部資金調達がノルマとなっていた。A27特任教授に対 し、平成29年度の実績と平成30年度の外部資金調達に関する具体的 な案の提示を再三再四求めていたが、平成30年3月15日にやっと報 告があった。A27特任教授に対して実績が上がっていないと指摘する と、A27特任教授は立ち上がって、『やっていますよ。』と大声で言い、 机を叩くなどした。また、оnちゃんについても北海道テレビ放送から 苦言を呈されたことがあり、やるべきことをやっていないとの思いがあ って、A27特任教授を叱責した。」旨陳述する(甲107p32、原 告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A27特任教授の証言と相反する ところ、A27特任供述の証言は、具体的かつ詳細である上、調査委員 会に対する説明(丙1p801)とも一致している。そして、録音デー タ(丙22の4)によれば、原告の叱責に対し、A27特任教授は穏当 に応答していることからすると、録音データの前に原告が主張するよう にA27特任教授が激高していたというのも不自然である。他方、上記 イの認定事実と相反する原告の主張を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、A27特任教授の報告が遅れていたり、北海道テレビ放送と のプログラムが十分でないとしても、本件と直接関係のないA16室長 及びA15室長代理を同席させた上、その面前で、机を叩いて、A27 特任教授に対して、「全部駄目だぞ。」「何をやっているんだよ。」などと 叱責しているのであり、上司の部下に対する発言として配慮を欠いてお り、社会通念上相当なものであるとはいえない。 - 44 - エ したがって、文部科学省及び総長選考 やっているんだよ。」などと 叱責しているのであり、上司の部下に対する発言として配慮を欠いてお り、社会通念上相当なものであるとはいえない。 - 44 - エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⒀ 平成30年5月16日のA21研究推進部長に対するもの(別紙2第2の 1⒀) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成30年5月16日夕刻、打合せが終了した後に、 その場に出席していたA5理事とA21研究推進部長を総長室に呼び入れ、 A28政策調整室長代理(以下「A28室長代理」という。)とA29政 策調整室係員(以下「A29係員」という。)を同席させたうえで、『卓越 大学院プログラム』の申請準備に関して、これに関与していなかったA5 理事とA21研究推進部長に『何やっているのさ』などと威圧的に述べて、 理不尽な叱責を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⒀)、 総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載13)を 認定する。 イ 証拠(甲21別紙p42、丙1p302、881、証人A5)及び弁論 の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 卓越大学院プログラムについて、平成29年度まではA5理事及びA 21研究推進部長が担当していたが、平成30年度からはA4理事及び A30企画課長(以下「A30課長」という。)が担当していた。 平成30年5月16日夕刻、原告は、経営改革推進事業の打ち合せの 後、A5理事及びA21研究推進部長を総長室に呼び、これにA28室 長代理とA29係員を同席させた。 そして、原告は、A5理事及びA21研究推進部長に対し、卓越大学 院プロクラムの申請準備につい 後、A5理事及びA21研究推進部長を総長室に呼び、これにA28室 長代理とA29係員を同席させた。 そして、原告は、A5理事及びA21研究推進部長に対し、卓越大学 院プロクラムの申請準備について、机を叩きながら、「国際本部は寝な いで仕事してるのに、あなたたちは一体何をしているんだ。」などと大 きな声で叱責した。 - 45 - A21研究推進部長は、原告に対し、自分は担当を外れているため、 卓越大学院プログラムに関わるのであれば事務局長を通して欲しいと伝 えると、原告は、「引継ぎをちゃんとしなきゃだめだ。」と述べた。 ウ この点、原告は、前企画課長であったA21研究推進部長に対し、後 任への引継ぎをちゃんと行うよう指示するもので、業務上の必要性のあ る正当な言動である旨主張する。 そして、原告は、「叱責をしたり、机を叩いたりしたことはない。会 議後にA21研究推進部長を呼び止めたが、同人から現在は卓越大学院 プログラムの担当ではないとの回答があり、後任のA30課長に引き継 ぎをきちんとする必要があると考え、『後任への引き継ぎをちゃんとし ないとだめです。』と述べた。」旨陳述する(甲107p34、原告本 人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A5理事の証言と相反するところ、 A5理事の証言は、具体的かつ詳細である上、経緯に照らしても自然で ある。また、A29係員の調査委員会に対する説明(甲21別紙p42、 丙1p302)とも整合する上、担当を外れたにもかかわらず叱責され たという経緯についてはA21研究推進部長の調査委員会に対する説明 (丙1p881)とも整合しており、A5理事の証言の信用性は高いと いえる。この点、A21研究推進部長は、調査委員会に対して、原告が 机を叩いたことについて記憶にない旨説明しているが(丙1p883)、 この点に 881)とも整合しており、A5理事の証言の信用性は高いと いえる。この点、A21研究推進部長は、調査委員会に対して、原告が 机を叩いたことについて記憶にない旨説明しているが(丙1p883)、 この点について記憶が定かでないとしても不自然であるとまではいえず、 他に上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告は、既にA5理事及びA21研究推進部長が卓越大学院 プログラムの担当から外れていたにもかかわらず、同人らがその担当者 - 46 - であると誤解して、同プログラムの進捗状況について、「何をやってい るんだ。」などと机を叩いて叱責しており、そもそも両名に対する理不 尽な叱責である上、その態様も威圧的なものであり、業務上の必要性の ある正当な言動であるとはいえない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⒁ 平成30年5月30日のA31政策調整室長代理(以下「A31室長代理」 という。)に対するもの(別紙2第2の1⒁) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、世界トップレベル研究拠点プログラムの2次審査申 請の内容について、A28室長代理(WPI対策室長)に対して『よく書 けている』『今年は大丈夫だな』のようなコメントをしていたところ、そ の締切である平成30年6月1日の直前の同年5月30日朝に、自宅から 大学まで向かう総長車中において、A31室長代理に『全然ブラッシュア ップされていない。自分が言ったことも全然直っていない。どうやって直 すのかの方針もない』といった、前言を翻す理不尽な発言を 自宅から 大学まで向かう総長車中において、A31室長代理に『全然ブラッシュア ップされていない。自分が言ったことも全然直っていない。どうやって直 すのかの方針もない』といった、前言を翻す理不尽な発言をしたうえ、大 学に出勤し政策調整室に入室するとすぐに『今すぐ全員を呼べ』などとい った威圧的な言動をし申請書の書き直しを命じるという、不合理で不適切 な業務指示を行った。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⒁)、 総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載14)を 認定する。 イ 証拠(丙2p109、丙3p19、丙18の1・2、丙22の6、丙5 6p1、証人A28)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められ る。 平成30年度のWPI(世界トップレベル研究拠点プログラム)申請 において、第2次審査の書類提出期限は同年6月1日であった。 - 47 - 同年5月18日、WPIの申請書は、英語圏の審査員が読んでも違和 感がない表現にするための英語表現のレビューを依頼し、その回答を待 っている段階だった。 WPI対策室長であったA28室長代理は、同日、原告に同日時点の 申請書を渡し、この後英語表現のブラッシュアップをする予定であると 伝えた。 原告は、同月24日、A28室長代理に対し、申請書について、「よ く書けている。」「今年は大丈夫だな。」と述べた。 A28室長代理は、英語表現のブラッシュアップ中であること、同月 30日に原告の決裁とサインを貰う予定であることを伝えた。 A28室長代理は、同月29日、原告に申請書を渡した。 原告は、書類提出期限の前日である同月30日朝、総長車内において、 A31室長代理に対し、「なんもブラッシュアップされていないこれ。」 「がっつり怒るから、今日。気合 29日、原告に申請書を渡した。 原告は、書類提出期限の前日である同月30日朝、総長車内において、 A31室長代理に対し、「なんもブラッシュアップされていないこれ。」 「がっつり怒るから、今日。気合い入れないと。」「私の言ったのだっ て全然直ってないし、どうやって直すかの方針もないし。」などと発言 した。 原告は、同日午前9時25分頃、「今すぐ全員呼べ。」と指示し、理 事、担当教員及びURAに対し、「計算科学、情報科学、実験科学の連 動がよくわからない。特に情報科学の組み込みがよく分からない。」な どとコメントし、同日中に書き直した申請書を原告と理事全員に送付す るよう指示した。 A28室長代理は、同日午後10時23分、書き直した申請書を総長 及び理事全員に送付した。 ウ この点、原告は、A28室長代理に対し、「よく書けている。」「今 年は大丈夫だな。」と述べたのは士気を鼓舞するためであり、修正を要 しないことを表明する文脈ではないし、「今すぐ全員を呼べ。」と述べ - 48 - たのは、申請書の締切が翌日であったことから、申請書の修正を急いで 行うために関係者を呼び集めたもので、合理性及び必要性のある業務指 示である旨主張する。 そして、原告は、「英語で書かれた申請書は5月29日の2、3週間 前に受け取っていたが、同月30日に見た申請書は、前年のものと比較 してこなれたものとはなっていなかったことから、A31室長代理に対 し、『全然ブラッシュアップされていない。』などと発言した。」旨陳 述する(甲107p36、原告本人)。 しかしながら、原告は、提出期限の約2週間前の平成30年5月18 日に英語で書かれた申請書を受け取り、内容を確認した上で、A28室 長代理に対し、「よく書けている。」「今年は大丈夫だな。」と伝えて いたにもかかわ ら、原告は、提出期限の約2週間前の平成30年5月18 日に英語で書かれた申請書を受け取り、内容を確認した上で、A28室 長代理に対し、「よく書けている。」「今年は大丈夫だな。」と伝えて いたにもかかわらず、提出期限の2日前になって、A31室長代理に対 し、「なんもブラッシュアップされていないこれ。」「がっつり怒るか ら、今日。気合い入れないと。」などと突然前言を翻し、それにもかか わらず「今すぐ全員を呼べ」などと高圧的に発言して、同日中の申請書 の書き直しを命じているのであって、これら一連の経緯にかんがみれば、 原告のかかる書き直しの指示に合理性があるとはいえず、不合理で不適 切な業務指示であるということができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⒂ 平成30年6月5日のA30課長に対するもの(別紙2第2の1⒂) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「平成30年4月16日の経営戦略室会議レク時に、『卓越大 学院プログラム』申請に関して、申請書類を3週間前及び1週間前の2度 にわたり原告に申請書類を提示するというスケジュールについて原告の許 可を得て、そのスケジュールに沿って打合せを行い、原告からの意見を踏 - 49 - まえて申請書類を修正したにもかかわらず、原告は、同年6月5日にA3 0課長らが申請前の最終確認のため総長室を訪れたところ、A30課長に 対して、事前に原告が了承した予定とは異なる『10日位前には申請書類 を見せてもらわないといけない』といった理不尽な言動に及んだ。」との 事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⒂)、総長選考会議もこれとほぼ 同一の事実(別紙3添付の別紙1記載15)を認定する。 申請書類 を見せてもらわないといけない』といった理不尽な言動に及んだ。」との 事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⒂)、総長選考会議もこれとほぼ 同一の事実(別紙3添付の別紙1記載15)を認定する。 イ 証拠(丙1p1054、1074、1107、丙4p283、証人A3 0)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 A30課長は、平成30年4月16日、原告に対して、経営戦略室会 議の議事進行レクチャーを行った際、平成30年度の卓越大学院プログ ラムの申請(獣医学院と工学院のプログラム2件)スケジュールについ て、資料(丙1p1074~1076)を用いて説明し、申請書類の提 出期限である同年6月6日までの間に、原告に対するレクチャーを2回 することとし、1回目を同年5月16日及び17日、2回目を同月29 日とすることで原告の了承を得た。 A30課長は、同月16日及び17日、原告に対して申請書類を提示 しながら1回目の意見交換を行い、それを踏まえて申請書類の作成・修 正作業が進められ、同月29日に2回目の意見交換が行われた。 A30課長は、工学院のプログラムについて、原告が元工学研究院長 であることなどから担当理事と相談の上、3回目の説明をすることとし、 申請書類の提出期限の前日である同年6月5日に総長室を訪ねたところ、 入室するや否や、原告は、A30課長に対し、「企画課は何をやってい るのか。」「ガヴァナンスがなっていない。」「スケジュールがなって いない。」「申請書類は10日くらい前に見せてもらわないといけな い。」などと怒鳴った。その際、A4理事及びA5理事らが同席してい た。 - 50 - ウ この点、原告は、上記発言はしておらず、「申請日の10日位前には 申請書類のフローチャートを要約したパワーポイントの変更点がわ A4理事及びA5理事らが同席してい た。 - 50 - ウ この点、原告は、上記発言はしておらず、「申請日の10日位前には 申請書類のフローチャートを要約したパワーポイントの変更点がわかる ものを見せてもらわないといけない。」という趣旨の発言である旨主張 し、A30課長に対して上記発言はしていない旨陳述する(甲107p 36)。 しかしながら、A30課長の証言は、具体的かつ詳細である上、経緯 に照らして自然で、調査委員会に対する説明(丙1p1073)とも整 合している。また、A32総務企画部企画課課長補佐も、調査委員会に 対し、それまでに原告に対してレクチャーをしていたにもかかわらず、 原告から叱責を受けた旨、A30課長の証言と整合する説明(丙1p1 107)をしており、A30課長の証言の信用性は高いといえる。他方、 上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告は、申請までのスケジュールの説明を受けた上、2回レ クチャーを受けることを了承し、実際に2回にわたってレクチャーを受 けていたのであるから申請までのスケジュールを把握することができて いた上、申請書類の内容についても一定程度は理解することができてい たにもかかわらず、申請書の提出期限の前日のレクチャーにおいて突然、 「企画課は何をやっているのか。」「ガヴァナンスがなっていない。」 「スケジュールがなっていない。」「申請書類は10日くらい前に見せ てもらわないといけない。」などと怒鳴っているのであって、原告の叱 責は理不尽であるということができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がな ているのであって、原告の叱 責は理不尽であるということができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⒃ 平成30年6月6日のA29係員に対するもの(別紙2第2の1⒃) - 51 - ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成30年6月6日夕刻、A29係員に対し、『明 日までに、『日本の科学研究の失速を食い止める会』(6月12日開催) での講演のパワーポイントを作っておいて。明日みせて』とだけ命じて、 それ以上の具体的な指示をすることもなく、同係員にパワーポイント原稿 を作成させ、同月11日、総長室内で同係員に対し『A29さんに作って もらったパワーポイントは、数えられるくらいしか使っていない。結局、 自分でほとんど作ったよ』『こんな学生でも作れるようなパワーポイント じゃだめなんだ』などと、嫌がらせとも受け止められる理不尽かつ不条理 な指示と発言をしたうえ、同年7月5日、総長と若手事務職員による意見 交換会において、他の職員の面前で『彼女にわざとやらせているのに、で きるわけないだろうという仕事をドンと与えてやっているのに』という不 適切な発言をした。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⒃)、 総長選考会議もこれとほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別紙1記 載16)。 イ 証拠(丙1p185、丙4p220、証人A29、証人A28)及び弁 論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 原告は、平成30年6月6日夕方頃、帰りの総長車に乗り込んだ際、 原告を見送っていたA29係員に対し、車の窓から「日本の科学研究の 失速を食い止める会の講演資料を作って、明日までに見せて。」とだけ 指示をし は、平成30年6月6日夕方頃、帰りの総長車に乗り込んだ際、 原告を見送っていたA29係員に対し、車の窓から「日本の科学研究の 失速を食い止める会の講演資料を作って、明日までに見せて。」とだけ 指示をした。 A29係員は、日本の科学研究の失速を食い止める会に関する講演の 内容を把握していなかったことから、上司であるA16室長、A28室 長代理及びA31室長代理と相談しながら、パワーポイントを作成し、 翌7日にこれを原告に見せた。これに対し、原告は、方向性はよく、グ ラフ等を追加するよう指示した。 - 52 - この指示を受けて、A29係員は、連日残業をして改訂作業を行い、 同月8日(金曜日)午後8時30分頃、原告にメールで改訂したパワー ポイントを提出した。 原告は、同月11日(月曜日)、A29係員が総長室に入室した際、 「A29さんに作ってもらった資料はほとんど使わなかった。自分で資 料を作った。A29さんに作ってもらった資料、何ページあるかな。」 などと言った。 その後、A29係員が再度入室した際には、「自分は忙しい、こんな 学生でも作れるような資料じゃ駄目で、自分は自分でしか作れない講演 資料を作らなければならない。」などと言った。 原告は、同年7月5日、原告とA29係員を含む若手職員との意見交 換会において、「彼女(A29係員)に、できるわけがないだろうとい う仕事をどんどん、わざとやらせているのに、周りが手取り足取り、こ うしたらいいんじゃないかというふうに言って、これじゃ育たない。」 などと発言した。 ウ この点、原告は、発表までに自ら資料を作成することは難しいと判断 し、A29係員に対して資料を渡してパワーポイントに張り付けるよう 指示したもので、言動は穏当であり、不適切とはいえない旨主張する。 そして、原告は、「 ら資料を作成することは難しいと判断 し、A29係員に対して資料を渡してパワーポイントに張り付けるよう 指示したもので、言動は穏当であり、不適切とはいえない旨主張する。 そして、原告は、「平成30年6月6日午前中にA19秘書から講演 依頼を聞き、その2~3時間後、資料を提示した上でA29係員にパワ ーポイントの作成を依頼した。同月11日のA29係員に対する発言は、 若手職員に自由に仕事をさせるべきであり、いろいろな意見を述べて混 乱させるようなことをしないで欲しいという趣旨である。また、意見交 換会において、『彼女に難しい仕事を与えても、周りが手取り足取り世 話を焼き、こうしたらいいんじゃないかと言ってきて、若手が育たない。 - 53 - 失敗したという経験をしないと伸びない。』という趣旨で発言した。」 旨陳述する(甲107p38、原告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A29係員の証言と整合しないと ころ、A29係員の証言は、具体的かつ詳細である上、その経緯も自然 である。そして、A28室長代理の証言とも整合し、A31室長代理の 調査委員会に対する説明(丙1p185)とも整合していることからす れば、A29係員の証言の信用性は高いといえる。他方、上記イの認定 事実と相反する原告の上記陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告は、講演の内容も把握していない若手職員のA29係員 に対し、車の窓越しに、既に夕方であるにもかかわらず、翌日までに講 演資料を作るよう指示するだけで、それでもA29係員は、上司に相談 するなどして残業しながらパワーポイント作成し、原告に見せたところ、 方向性はよい、グラフ等を追加するように指示され、これに従って連日 残 資料を作るよう指示するだけで、それでもA29係員は、上司に相談 するなどして残業しながらパワーポイント作成し、原告に見せたところ、 方向性はよい、グラフ等を追加するように指示され、これに従って連日 残業して改訂作業を行った。にもかかかわらず、原告は、A29係員が 作った資料はほとんど使わなかった旨言い、また、A29係員が作った 資料について、学生でも作れるような資料じゃ駄目だなどと告げるなど、 原告の言動は、理不尽で不条理であるといわざるを得ないし、若手職員 との意見交換の場において、できるわけがない仕事をどんどんわざとや らせているなどと言うなど、若手職員に対する配慮に欠けた発言をして いるのであり、これについても不適切な発言といわざるを得ない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認められ、原告の上記主張は理由がない。 ⒄ 平成30年7月2日のA16室長らに対するもの(その1)(別紙2第2 の1⒄) - 54 - ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成30年7月2日午前、A16室長とA31室長 代理に対し、原告のスケジュール調整に関して『日程のスケジュールが全 く駄目だよ。今日もA31さんに言ったけど。任せているだけだからこん なになっているんだよ』『全然うまくいかないじゃないすか、これじゃ』 『あんな、狭いもん説明してどうすんのさ』『だったら、意見交換なんて する必要ないしょ』などと怒声を混じえて威圧的に相当性を欠く発言をし た。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1⒄)、総長選考会議もこ れとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載17)を認定する。 イ 証拠(丙22の7、丙3p22、証人A16)及び弁論の全趣旨によれ ば、以下の し(別紙4添付の別紙記載1⒄)、総長選考会議もこ れとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載17)を認定する。 イ 証拠(丙22の7、丙3p22、証人A16)及び弁論の全趣旨によれ ば、以下の事実が認められる。 原告は、平成30年7月2日、総長室において、A16室長及びA3 1室長代理に対し、「日程のスケジュールが全く駄目だよ。任せているだ けだからこんなになっているんだよ。」「全然うまくいかないじゃないで すか、これじゃ。」「あんな、狭いもん説明してどうすんのさ。」「だった ら、意見交換なんてする必要ないしょ。」などと怒鳴って発言した。 ウ この点、原告は、過密な日程が常に予定されており、両名に相手の報 告内容を事前によく確認し、予定時間を的確に定めるように重ねて注意 したものであり、スケジュール管理改善や計画案についての業務上のや り取りであって、必要性がある旨主張する。 そして、原告は、「『日程のスケジュールが全く駄目だよ。任せてい るだけだからこんなになっているんだよ。』『全然うまくいかないじゃな いですか、これじゃ。』との発言は、同日の監査報告が予定よりも大幅 に伸び、理事連絡会議の開催時間の変更を余儀なくされたことについて、 予定時間を的確に定めるよう注意したものである。『あんな、狭いもん 説明してどうすんのさ。』『だったら、意見交換なんてする必要ないし - 55 - ょ。』との発言は、A16室長及びA31室長代理に対する叱責ではな く、文部科学省から指示された狭い範囲での計画案に対し、疑問や苛立 ちを共有したいとの思いから出た発言である。また、これらの発言は別 の日に行ったものであり、録音データの前半部分と後半部分が切り貼り されている。」旨陳述する(甲107p39、原告本人)。 しかしながら、A16室長及びA31室 た発言である。また、これらの発言は別 の日に行ったものであり、録音データの前半部分と後半部分が切り貼り されている。」旨陳述する(甲107p39、原告本人)。 しかしながら、A16室長及びA31室長代理とも録音データ(丙2 2の7、丙3p22)の内容は同年7月2日のものであると述べ、その 他録音が切り貼りされたものであると疑わせる証拠はない。そうすると、 録音データの内容が切り貼りされたものであり、同日のものではない旨 の原告の主張は採用できない。 そして、会話の内容によると、スケジュール調整についてA16室長 及びA31室長代理を叱責していることは明らかであり、改善すべき点 があるのであればその旨を指摘すれば足りるにもかかわらず、両名を怒 鳴りながら叱責をしているのであって、かかる原告の言動に業務上の必 要性があるということはできない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⒅ 平成30年7月2日のA16室長らに対するもの(その2)について(別 紙2第2の1⒅) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による日常的なハラスメン トとして、「原告は、平成30年7月2日午後、総長車にA16室長とA 31室長代理を同乗させた上で、両名に対して、『私も総長として人事ま で握っているから、失礼なことをしますよ。人事まで動かしますよ。悪い ですけど、事務局長よりこっちなんですから、本来は』といった、人事を 掌握している原告独自の判断で不利益な人事をするかのような、不適切で 威圧的な言動に及んだ。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1 - 56 - ⒅)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別 紙1記載18)。 イ 証拠(丙22の8 切で 威圧的な言動に及んだ。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載1 - 56 - ⒅)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別 紙1記載18)。 イ 証拠(丙22の8、丙3p29、証人A16)及び弁論の全趣旨によれ ば、次の事実が認められる。 原告は、平成30年7月2日午後、総長車内において、A16室長及び A31室長代理に対し、スケジュール調整について叱責した後、「失礼に 当たるなら、今の方が失礼ですよ。」「何も分からないで議長をやって、何 も分からないのに喋れっていうんですか。そうしたら、私も総長として人 事まで握っているから、失礼なことしますよ。人事まで動かしますよ。悪 いですけど、事務局長よりこっちなんですから、本来は。」などと発言し た。 ウ 原告は、上記発言は原告が信頼するA16室長及びA31室長代理に、 今後の大学改革について事務局長に対する不満を交えて相談した中での ものであって、両名の非を責めたものでも人事に言及したものでもない し、口調は通常の会話のレベルを大きく超えるものではなく、不適切で 威圧的な言動とはいえない旨主張する。 そして、原告は、「事務局長の大学経営改革促進事業に関する態度に ついて批判し、意見交換会で詳細を知らないまま司会をしなければなら ず、質問にも答えられない状況だったことから、『失礼に当たるなら、 今の方が失礼ですよ。何も分からないで議長をやって、何も分からない のに喋れっていうんですか。』と発言したもので、A16室長及びA3 1室長代理を叱責したものではない。また、財務部次長に関する人事に も不満があったことから、『私も総長として人事まで握っているから、 失礼なことしますよ。人事まで動かしますよ。』と発言したもので、A 16室長及びA31室長代理を叱責したものではない。また、録音デー に も不満があったことから、『私も総長として人事まで握っているから、 失礼なことしますよ。人事まで動かしますよ。』と発言したもので、A 16室長及びA31室長代理を叱責したものではない。また、録音デー タ(丙22の8、丙3p29~32)はこれらの文脈を踏まえていない - 57 - もので、切り貼りされたものである。」旨陳述する(甲107p40、 原告本人)。 しかしながら、A16室長及びA31室長代理とも録音データ(丙2 2の8、丙3p29)の内容は同日のものであると述べ、その他録音が 切り貼りされたものであると疑わせる証拠はない。そうすると、原告は 上記のとおりの叱責をしたと認められる。 そして、本件は前記⒄と同日の発言であり、A16室長及びA31室 長代理に対し、スケジュール調整に関する叱責をした上で、「私も総長 として人事まで握っているから、失礼なことしますよ。人事まで動かし ますよ。悪いですけど、事務局長よりこっちなんですから、本来は。」 と発言していることからすれば、この発言は人事権を背景とした両名に 対する発言であることは明らかであり、不適切で威圧的な言動というこ とができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⒆ 空沼小屋再開記念式典に関する対外的非礼行為(別紙2第2の2⑴) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による対外的な被告北大 の信用を失墜する具体的行為として、「被告北大山岳部が管理していた山 小屋『空沼小屋』の再開記念式典が、平成29年7月2日に現地で開催 されることとなり、これに出席する予定の駐日スイス大使と原告との面 談日程を調整していた同年4月28日に、原告は同山岳部OBで学校法 人北海道科学大学理事長である 式典が、平成29年7月2日に現地で開催 されることとなり、これに出席する予定の駐日スイス大使と原告との面 談日程を調整していた同年4月28日に、原告は同山岳部OBで学校法 人北海道科学大学理事長であるA33(以下「A33理事長」という。) に対して、電話で『山岳部が総長のスケジュールを管理する、或いは行 動を決定するとは何事だ。』という趣旨のことを、礼節を欠いた表現で伝 えた。また、原告は、同年7月2日に開催された再開記念式典に出席し た駐日スイス大使との面談を、合理的な理由もなく一方的にキャンセル - 58 - するという、要人に対して非礼な対応に及んだ。」との事実を認定し(別 紙4添付の別紙記載2⑴)、総長選考会議もほぼ同一の事実を認定する (別紙3添付の別紙1記載21)。 イ 証拠(丙1p391、1187、丙2p119~125、丙4p3、証 人A33、証人A12)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められ る。 被告北大山岳部が管理していた山小屋「空沼小屋」の再開記念式典が、 平成29年7月2日に現地で開催され、同式典に駐日スイス大使が出席 することとなっていた。 A19秘書は、同年4月25日、スイス大使館担当者に対し、同式典 後、原告が大使にあいさつする機会をもらいたい旨のメールを送り、同 月26日、同担当者から、面談を行うことについて了承する旨のメール を受けた。 北大山の会の会長である被告北大のA34教授の依頼を受けて、被告 北大山岳部OBであった学校法人北海道科学大学理事長であるA33理 事長は、同年4月27日、原告に対し、同式典に出席する駐日スイス大 使の希望により、原告との面談を、同大使が札幌に到着する同年7月1 日の夕刻もしくは空沼小屋等から戻った同月2日夕刻に設定したいとし て、原告の都合を尋ねるメールを送った。 同年4月28 スイス大 使の希望により、原告との面談を、同大使が札幌に到着する同年7月1 日の夕刻もしくは空沼小屋等から戻った同月2日夕刻に設定したいとし て、原告の都合を尋ねるメールを送った。 同年4月28日朝、原告は、A33理事長からのメールに対し、同人 に架電し、「無礼だ。北大総長を何と思っているんだ。」「山岳部が総長 の行動を指示するのか、山岳部が俺の行動をなんで決めるんだ。」など と発言した。これに対し、A33理事長は、「もし都合が付けば出席い ただきたい、出席したくなければ結構です。」と述べた。 その後、原告は、A12学長補佐に対し、「A33理事長に電話した。 非常に無礼だ、北大総長をなめるなと言ってやった。」などと述べると - 59 - ともに、駐日スイス大使との面談をキャンセルするよう伝えた。 A19秘書は、同日、スイス大使館担当者に対し、原告は海外出張直 前であり、タイムズハイヤーエデュケーションのパネラーとしての参 加・準備のため、駐日スイス大使との面談をキャンセルする旨メールで 連絡した。なお、タイムズハイヤーエデュケーションのパネラーとして の参加は、駐日スイス大使との面談が決まる前から入っていた予定であ った。 被告北大のA35名誉教授(以下「A35名誉教授」という。)は、 A33理事長から上記原告の言動を聞き、同年5月12日、原告と面会 し、A33理事長への謝罪が必要であることなどを伝えた。 同面会後、原告は、A12学長補佐に対し、A33理事長との関係修 復について対応すると伝え、これを受けて、A12学長補佐は、A33 理事長に対して、過日電話で大変失礼をしたなどと記載した文書を作成 し、原告の確認を得た上でA33理事長に送付した。 ウ この点、原告は、A33理事長に上記礼節を欠く発言はしていないし、 駐日スイス大使との面 して、過日電話で大変失礼をしたなどと記載した文書を作成 し、原告の確認を得た上でA33理事長に送付した。 ウ この点、原告は、A33理事長に上記礼節を欠く発言はしていないし、 駐日スイス大使との面談の日程調整をする前から中国科学技術大学学長 との面会の予定があり、空沼小屋の記念式典と重複したことから、政策 調整室に対し、「7月2日を指定したのは当方であるから、謝罪したい。」 とスイス大使館への連絡を指示しており、また、仮にA33理事長との 間に一時的な誤解が生じたとしても、原告とA33理事長とが直接話し 合って誤解は解消されており、被告北大の信用を失墜させるものとは評 価できない旨主張する。 そして、原告は、「A33理事長から電話を受け、空沼小屋に一緒に 登山をして欲しいとの依頼を受けたが、総長就任後の多忙な時期であり 断った。A12学長補佐にはA33理事長から強い口調で依頼があり、 大学の事業を優先して断ったが、これで良かったかを尋ねた。その後A - 60 - 33理事長に架電し、山岳部から総長を山に登らせろと言われて依頼し たと言われ、A33理事長とはその場で和解した。駐日スイス大使との 面談については、中国への出張と重なったためキャンセルした。」旨陳 述する(甲107p41、原告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A33理事長及びA12学長補佐 の証言と整合しないところ、両者の証言は、具体的かつ詳細である上、 原告がA33理事長からのメールに対して架電し、「無礼だ。」と発言し た経緯等も一致している。また、両者の証言は、A12学長補佐の調査 委員会に対する説明(丙1p1184、丙4p3)、A35名誉教授の 調査委員会に対する説明(丙1p391)やA19秘書とスイス大使館 担当者とのメールの内容(丙2p119~125)とも整合している。 そうすると 対する説明(丙1p1184、丙4p3)、A35名誉教授の 調査委員会に対する説明(丙1p391)やA19秘書とスイス大使館 担当者とのメールの内容(丙2p119~125)とも整合している。 そうすると、A33理事長及びA12学長補佐の証言の信用性は高いと いえる。他方、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述を裏付ける 証拠はない。なお、A33理事長は、調査委員会に対し、「非常に無礼 だ。北大総長をなめるな」という直接的な表現はなかった旨説明してい るが(丙4p166)、証人尋問において、当時は学校法人北海道科学 大学の理事長をしており、プライドがあって、子供のけんかのように言 った言わないというようなことを書く気分ではなかったと証言している ことからすると、A33理事長の調査委員会に対する上記説明は、上記 イの認定を左右しない。 したがって、上記イの認定事実と整合しない原告の上記陳述は採用で きない。 そして、原告は、他大学の理事長であるA33理事長に対して、「無 礼だ。北大総長を何と思っているんだ。」「山岳部が総長の行動を指示す るのか、山岳部が俺の行動をなんで決めるんだ。」などと礼節を欠いた 発言をし、また、被告北大から駐日スイス大使との面談を申し込み、了 - 61 - 承を得た経緯があるにもかかわらず、合理的な理由もなく一方的にキャ ンセルするよう指示し、駐日スイス大使に対する非礼な対応に及んでい るといえるのであって、被告北大の信用を失墜させる言動であるという ことができる。 そして、これらの経緯は、前記イ認定のとおりであって、原告の発言 が原告とA33理事長との間の一時的な誤解に基づくものとはいえない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 理事長との間の一時的な誤解に基づくものとはいえない。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 ⒇ ANAの件(別紙2第2の2⑵) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による対外的な被告北大の 信用を失墜する具体的行為として、「原告は、平成29年10月22日午 後8時から9時頃、羽田空港国際線ターミナル内の『ANA LOUNG E』受付において、全日本空輸株式会社(以下「ANA」という。)のル ールによれば同行者1名までが入室可能であり、同行者2名は入室できな いにもかかわらずこれを求めて拒否されると、自身が被告北大総長である ことを名乗り『X総長が来たのに、何でちゃんと対応しなかったんだ、っ て怒られるのは、他の人ですよ』などと述べて、本来であれば受けられな い待遇をことさらに要請し、もって被告北大の信用を失墜させかねない行 為に及んだ。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載2⑵)、総長選考 会議もこれとほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別紙1記載22)。 イ 証拠(丙1p2、98、469、488、丙30、証人A36、証人A 15)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 原告は、平成29年10月23日から同月25日にインドネシアで開 催される日本・インドネシア学長会議に出席するため、同月22日から 海外出張を予定していたところ、同会議の業務を担当していたA36係 員(以下「A36係員」という。)は、原告に対し、出張前の事前レク - 62 - チャーの際に、ANAのルールによれば羽田空港のANAラウンジを利 用できるのは原告及び同行者1名までである旨伝えていた。 原告は、同年10月22日午後8時から午後9時頃、羽田空港 - 62 - チャーの際に、ANAのルールによれば羽田空港のANAラウンジを利 用できるのは原告及び同行者1名までである旨伝えていた。 原告は、同年10月22日午後8時から午後9時頃、羽田空港国際線 ターミナル内のANAラウンジ受付において、受付職員に対し、原告に 加えてA37国際部長(以下「A37国際部長」という。丙1p463) 及びA36係員のラウンジへの入室を求めた。 受付職員がこれを断ると、原告は、自身が被告北大の総長であること を告げた上で、「私は札幌支店長と知り合いである。ここでラウンジに 入れなかったというようなことが後で札幌支店長の耳に入ったら、困る のは他の人ですよ。なんでX総長が来たのにちゃんと対応しなかったん だと怒られるのは他の人ですよ。」などと怒った様子で大声で述べた。 また、原告は、交代した職員に対しても、同様のことを告げた上で、 「札幌支店に電話してみなさい。」などと述べた。 その後、今回限りの利用として3名のラウンジ入室が許可された。 原告が受付職員と話し始めてからラウンジに入室するまで10分以上 かかった。 このとき、ラウンジには、数名の客がいた。 その後、A15室長代理は、ANAから原告の上記言動についてクレ ームを受け、A16室長と共にANA札幌支社に赴いて謝罪した。 ウ この点、原告は、ANAとの間では、総長在任期間中はVIP待遇と してもらっており、現場の判断でラウンジへの入室を可能としてもらっ たにすぎず、原告とANAの担当者とのやり取りは一般的な交渉の範囲 内であり、ことさら執拗に入室を要請したものではなく、被告北大の信 用を失墜させるものとは評価できない旨主張する。 そして、原告は、「ANAの支店長と電話ができないかとは述べたが、 受付において被告北大の総長であるとアピールしたことは したものではなく、被告北大の信 用を失墜させるものとは評価できない旨主張する。 そして、原告は、「ANAの支店長と電話ができないかとは述べたが、 受付において被告北大の総長であるとアピールしたことはなく、穏当な - 63 - 交渉をしただけである。」旨陳述する(甲107p42、原告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A36係員の証言と相反するとこ ろ、A36係員の証言は、具体的かつ詳細で、調査委員会に対する説明 (丙1p488)とも概ね整合し、ANAのクレームを受けてA15室 長代理らが謝罪に赴いた経緯等に照らしても自然である。また、A37 国際部長の調査委員会に対する説明(丙1p469)やA15室長代理 の証言とも整合しており、A36係員の証言の信用性は高いといえる。 他方、上記イの認定事実と相反する原告の陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告は、ANAのルール上許容されていない同行者2名のラ ウンジ利用を求めた上、これが断られると、自身が被告北大の総長であ ると伝え、「ここでラウンジに入れなかったというようなことが後で札 幌支店長の耳に入ったら、困るのは他の人ですよ。」などと怒った様子 で大声で述べ、札幌支店長へ連絡することを要求し、その時間も10分 以上に及んでいることからすると、本来であれば受けられない待遇を殊 更に要求したというべきであり、原告のかかる言動は、被告北大の信用 を失墜させる行為であるということができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 (21) 電力の競争入札に関する件(別紙2第2の3⑴) ア 本件解任処分において、文部科学省は した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 (21) 電力の競争入札に関する件(別紙2第2の3⑴) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告の被告北大代表者及び研究 者としての問題行為として、「原告は、平成29年12月14日、総長室 において、被告北大札幌キャンパスで使用する電気一式購入の政府調達案 件について、競争入札によって落札者が決定し、入札結果を報告してきた A10財務部長に対し、合理的な理由もなく『入札を取り消せ』などと非 - 64 - 難し、北海道電力について言及したうえで、特定の業者のために入札を改 めて実施するよう要請したと受け取れる理不尽な言動に及ぶなど、落札結 果を覆し北海道電力と契約できるよう、政府調達の基本ルールを無視した 不適切な業務を指示した。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載3 ⑴)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載2 3)を認定する。 イ 証拠及び弁論の全趣旨から認められる事実は、上記⑻イで認定したとお りである。 ウ この点、原告は、政府調達の基本ルールを無視した不適切な業務指示 がなされたとは評価できない旨主張し、上記⑻ウ のように陳述する (甲107p21、原告本人)。 しかしながら、上記⑻ウ で指摘したとおり、上記⑻イの認定事実と 相反する原告の上記陳述は採用できず、上記⑻ウ で指摘したとおり、 被告北大において、電気は一般物品扱いであり、単価の高低以外に競争 要素がないことから、最低価格落札方式を採用しているにもかかわらず、 原告は、A10財務部長に対し、合理的な理由なく、「財務部長は北海 道経済をどう考えているんだ。なんで北電(北海道電力)に落とさせな かったんだ。」「入札をやり直せ。」「契約をやり直せ。」などと叱責 、 原告は、A10財務部長に対し、合理的な理由なく、「財務部長は北海 道経済をどう考えているんだ。なんで北電(北海道電力)に落とさせな かったんだ。」「入札をやり直せ。」「契約をやり直せ。」などと叱責し、 特定の業者のために入札を改めて実施するよう要請したと受け取れる理 不尽な言動に及んでいるのであって、原告の言動は、政府調達の基本ル ールを無視した不適切な業務指示であるということができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 (22) 北大フロンティア基金「総長政策活動口座」開設の件(別紙2第2の3⑵) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告の被告北大代表者及び研究 者としての問題行為として、「原告は、平成29年11月頃から、『本学の - 65 - 学生に対する支援、教育研究、社会貢献及び国際交流に関する活動等の推 進並びに教育研究環境の整備拡充を図るとともに、経済的な理由で修学が 困難な学生に対して財政的に支援することを目的』とするフロンティア基 金の趣旨に反するにもかかわらず、同基金を利用して、総長の活動費(懇 親会費等)として自由に使えるような資金を確保することを企図して、A 20専門員らにこれを実現するよう命令するという、裁量の範囲を逸脱し て不適切な業務を指示した。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載 3⑵)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載 24)を認定する。 イ 証拠(丙1p920、853、972、1129、1202、丙2p1 79、証人A20、証人A16、証人A12)及び弁論の全趣旨によれば、 次の事実が認められる。 フロンティア基金は、北大フロンティア基金規程(丙1p972) において、その管理及び 02、丙2p1 79、証人A20、証人A16、証人A12)及び弁論の全趣旨によれば、 次の事実が認められる。 フロンティア基金は、北大フロンティア基金規程(丙1p972) において、その管理及び運営に関して必要な事項が定められており、被 告北大の学生に対する支援、教育研究、社会貢献及び国際交流に関する 活動等の推進並びに教育研究環境の整備充実を図るとともに、経済的な 理由で修学が困難な学生に対して財政的に支援することを目的とする寄 附金であり、学生支援事業経費、卒業生・産業界等との連携支援事業経 費等その他基金の目的達成に必要な事業経費等に充てるものとされ、フ ロンティア基金の趣旨や会計ルールに則って支出されていた。 被告北大では、会議費等支出基準(丙2p189)として、被告北大 において、総長及び理事が業務遂行のために外部の個人又は団体と交際 するために要する経費の支出について必要な事項が定められていた。 同基準では、会議費の支出範囲は、意見交換又は情報収集のための各 種懇談会等に係る会費又は懇談会費の実費(ただし、名目に関わらず単 なる酒宴と認められるものは除く。)と規定されていた。 - 66 - 被告北大では、毎年年末に総長がポケットマネーで酒を購入して、各 部局に配っていたところ、原告は、平成29年12月頃、A20専門員 に対し、フロンティア基金に、役員の活動費を積み立てておき、公的・ 私的な活動費(総長がポケットマネーで支払っていた内部の懇親会費等) として使用することができないか、活動費として自由に使えるところに 20万円入金したいなどとして、被告北大の総務企画部広報課(以下 「広報課」という。)に聞くよう指示した。 A20専門員は、広報課に対して、原告から言われた内容を説明した ところ、広報課は、同基金は自由に使えるわけではなく て、被告北大の総務企画部広報課(以下 「広報課」という。)に聞くよう指示した。 A20専門員は、広報課に対して、原告から言われた内容を説明した ところ、広報課は、同基金は自由に使えるわけではなく、ルールを変え ることはできない旨回答した。 A20専門員は、その旨を原告に伝えたところ、原告は、できないは ずはないなどと言って再度検討するよう指示し、その後、A20専門員 は、広報課と原告との間を何度か行き来したが、広報課の回答は変わら なかった。 そのため、A20専門員は、広報課以外に相談する相手として原告が 名前を挙げたA16室長に相談した。 原告は、同月27日、A16室長やA20専門員に対し、本当は10 0万円くらい出したい、来年の評議会の懇親会と事務連の忘年会を合体 させて、その時にも使おうと思っている、ビアガーデンに寄附者を招待 するときに部局長を呼んで、その時にも使いたいなどと話した。 そして、A16室長が財務部等と相談するなどした結果、フロンティ ア基金に総長政策活動口座が開設されることとなり、寄附者を原告、金 額を20万円、使途範囲の具体例として交際費等(学内外の接待、会合 参加、慰安、贈答、謝礼等)、会議費等とし、その支出に当たっては、 社会通念上妥当と判断される範囲にとどめることとされた。 ウ この点、原告は、フロンティア基金に新たな口座を作成させたが、裁 - 67 - 量の範囲を逸脱し不適切な指示を行ったものと評価することはできない 旨主張する。 そして、原告は、「以前、工学部で預けていた寄附金をフロンティア 基金に振り替え、使途が広がった経験があった。A20専門員に対し て『基金室はそう言っていますが、ルールは変わっています。広報課 では既に変えています。』と発言したのは、上記経験を踏まえ、国際会 議等の交際接待費について 途が広がった経験があった。A20専門員に対し て『基金室はそう言っていますが、ルールは変わっています。広報課 では既に変えています。』と発言したのは、上記経験を踏まえ、国際会 議等の交際接待費について、教授が自己負担していたものを寄附金で 補助できないかという趣旨である。」旨陳述する(甲107p43、原 告本人)。 しかし、これまで被告北大の総長は、毎年年末にポケットマネーで酒 を購入して、各部局に配っていたところ、原告は、酒宴を含む内部の懇 親会等に自由に使える資金を確保することを企図して、フロンティア基 金に積立金を設けるべく、A20専門員に対し、何度も広報課とのやり とりを指示しているところ、本来、フロンティア基金は、学生支援、教 育研究、社会貢献及び国際交流活動等の教育研究環境の整備充実、学生 への財政支援を目的としているのであって、フロンティア基金に酒宴を 含む内部の懇親会費等に自由に使える積立金を設けることは、この目的 (趣旨)にそぐわないものといえる。加えて、被告北大の会議費等支出 基準においては、外部の個人又は団体と交際するために要する経費の支 出について、名目に関わらず単なる酒宴と認められるものは除くと規定 されていたことに照らすと、原告が企図した内部において酒宴を含む懇 親会費等に自由に使える資金を確保することを企図してフロンティア基 金に積立金を設けることを検討するよう指示したことは、総長として軽 率な指示であったということができる。そして、かかる原告の指示・意 向を受けて、A16室長が財務部等と相談するなどして、なんとか不相 当なものとならないようにするべく、支出に当たって社会通念上妥当と - 68 - される範囲にとどめることとするなど、部下職員に不要な負担をかける ことにもなっているのであって、原告のかかる業務指示は、不適切であ ったい するべく、支出に当たって社会通念上妥当と - 68 - される範囲にとどめることとするなど、部下職員に不要な負担をかける ことにもなっているのであって、原告のかかる業務指示は、不適切であ ったいうことができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、概ね正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がな い。 (23) 研究者の立場にあるものとしての問題行為―特別講演のパワーポイント作 成の件(別紙2第2の3⑶) ア 本件解任処分において、文部科学省は、原告による被告北大代表者及び 研究者としての問題行動として、「原告は、日本スピリチュアルケア学会 の第11回学術大会における特別講演『ロボットと倫理』(平成30年9 月29日)で使用する予定のパワーポイントスライドの作成に当たり、ま ず、他人が作成したデータを転載することで自ら作成したうえ、平成30 年9月7日から同月中旬ころにかけて、他人が作成したデータであること がわからないように加工するようA29係員を通じてA38大学力強化推 進本部主任URA(以下「A38URA」という。)に指示するとともに、 そのデータを交付した上、A38URAをしてそのように修正させ、もっ て研究者倫理に違反し著作権を侵害する不適切な業務を行わせた。」との 事実を認定し(別紙4添付の別紙記載3⑶)、総長選考会議もこれとほぼ 同一の事実(別紙3添付の別紙1記載25)を認定する。 イ 証拠(丙1p626、628、646、丙2p190、証人A38、証 人A29)及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 原告は、「ロボットと倫理」というテーマで、平成30年9月29日 の日本スピリチュアルケア学会の第11回学術大会における特別講演を 依頼され、自ら講演用のパワー ば、次の事実が認められる。 原告は、「ロボットと倫理」というテーマで、平成30年9月29日 の日本スピリチュアルケア学会の第11回学術大会における特別講演を 依頼され、自ら講演用のパワーポイント(丙1p646。以下「パワー ポイント①」という。)を作成したところ、同月7日、A38URAに - 69 - 対し、「ロボットと倫理」というテーマで講演を依頼されて資料を作成 しており、その資料を確認して欲しい旨依頼した。 その後、A38URAは、A28室長代理に対し、原告に具体的な内 容を確認してほしい旨頼み、これを受けてA28室長代理は、A29係 員に対して原告に確認するよう指示した。 A29係員は、同日、原告にこれを確認したところ、原告は、自らが 作成したパワーポイント①をパソコンの画面に示しながら、資料のほと んどをインターネットから取得しているので、A38URAに原告のオ リジナル資料に見えるよう加工して欲しい旨を伝えた。 A29係員は、原告に対し、引用元を明示するのであれば、見栄えは 悪いかもしれないが、そういう方法もできるが、そうではなくて、自分 のオリジナルの資料に見えるように加工するということか確認したとこ ろ、原告は、インターネットで検索したら、すぐにコピーしてきたもの と分かってしまうのが一番心配であるなどと言って、A38URAにオ リジナルの資料に見えるように加工してもらい、原告がロシアから帰国 する同月14日に修正したデータをもらいたい旨言った。そして、A2 9係員は、原告の指示をメモ(丙1p626)にした。 A38URAは、パワーポイント①のデータと総長の指示としてA2 9係員が作成したメモを受け取り、パワーポイント①を確認したところ、 スライド中に出典の情報がないにも関わらず、スライドを丸ごと引用し た A38URAは、パワーポイント①のデータと総長の指示としてA2 9係員が作成したメモを受け取り、パワーポイント①を確認したところ、 スライド中に出典の情報がないにも関わらず、スライドを丸ごと引用し たり、図(画像)をそのまま引用するなどし、これらが全体の3分の1 以上を占めていることを把握した。そのため、A38URAは、丸ごと 引用されているスライドには出典を明記するパワーポイント(丙1p6 74。以下「パワーポイント②」という。)を作成し、これをA28室 長代理に送付し、スライドを引用したものについては出典を明記して対 応せざるを得ないが、図の引用については、図のエッセンスを抜き出し - 70 - て新たな図を作るという趣旨でよいかどうかなどをメールで尋ねた。そ の際、A38URAは、被告北大の総長が講演をする以上、どこかで見 たような画像などが出典を明記せずに盛り込まれているスライドを使う のは、あってはならないことだと思う(特に倫理について講演する資料 では)などと指摘した。 その後、A38URAは、A28室長代理から引用された画像を変え るよう指示を受けたことから、画像を入れ替える等したパワーポイント (丙1p703。以下「パワーポイント③」という。)を作成した。 A38URAは、同月14日、原告に対し、パワーポイント③につい て、指示どおり引用等はせずにオリジナル資料のように作成した旨説明 し、原告は、「短時間でよくやってくれた。」などと述べ、パワーポイ ント③の内容について承諾した。 A38URAは、政策調整室を通じて、原告にパワーポイント③のデ ータを渡した。 被告北大は、「北海道大学における科学者の行動規範」(丙2p21 2、241)を定めており、被告北大において研究活動を行うすべての 科学者が、日本学術会議が策定した「 のデ ータを渡した。 被告北大は、「北海道大学における科学者の行動規範」(丙2p21 2、241)を定めており、被告北大において研究活動を行うすべての 科学者が、日本学術会議が策定した「科学者の行動規範」に基づき、研 究活動を行うことを宣言し、研究の立案・計画・申請・実施報告等の過 程において、研究・調査データのねつ造、改ざん、盗用等の不正行為を 行わず、またこれに加担しないことなどを定めている。そして、盗用と は、他の者のアイデア、分析方法、解析方法、データ、研究結果、論文 又は用語を当該者の了解又は適切な表示なく流用することとされている。 ウ この点、原告は、A38URAに対し、講演で使用するパワーポイン トデータが著作権を侵害していないかのチェックを依頼したもので、何 ら研究者倫理に反するものとは評価できない旨主張する。 - 71 - そして、原告は、「A38URAに対し、パワーポイントの中で引用 がないものは引用を明示し、引用が分からないものはその旨明示して欲 しいと指示した。A38URAを試験するために引用元の資料は渡さず に上記指示を行った。」旨陳述する(甲107p44、原告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A38URA及びA29係員の各 証言と整合しないところ、両者の証言は、具体的かつ詳細である上、A 29係員が原告からの指示内容を記録したメモの内容(丙1p304) やA38URAのメール(丙1p628)ともよく整合しており、A3 8URA及びA29係員の各証言の信用性は高いといえる。他方、上記 イの認定事実と整合しない原告の上記陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と整合しない原告の上記陳述は採用で きない。 そして、原告は、講演で使用する予定のパワーポイントのスライド 原告の上記陳述を裏付ける証拠はない。 したがって、上記イの認定事実と整合しない原告の上記陳述は採用で きない。 そして、原告は、講演で使用する予定のパワーポイントのスライドを 作成するにあたって、出典を引用することなく他人が作成した資料を多 く引用した上、A29係員を通じて、A38URAに対し、他人が作成 したデータであることがわからないように加工するよう指示しているの であって、かかる指示は、他人の著作権を侵害しかねないものであるし、 また、かかる指示は、北海道大学における科学者の行動規範で行わない とされている盗用にも該当しかねない研究者倫理に違反するものという ことができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認められ、原告の上記主張は理由がない。 (24) 倫理監督者の承認を得ず報酬を得て講演を行った行為(別紙2第2の4⑴) ア 本件解任処分において、文部科学省は、その他、総長としての資質を疑 われる行為として、「原告は、被告北大との間で平成27年度から平成3 0年度までの間に物品取引があり、被告北大の代表者である原告との関係 - 72 - において、国立大学法人北海道大学役職員倫理規程(別紙5、以下「倫理 規程」という。)上に定める『利害関係者』に該当する一般社団法人北海 道セメント協会(以下「北海道セメント協会」という。)が主催した平成 29年11月24日の『セメントの底力セミナー』及び平成30年5月9 日の『第72回セメント技術大会』において、同規程に基づく倫理監督者 の承認を得ずに同協会からの依頼に応じ報酬を得て講演を行い、もって倫 理規程に違反する行為に及んだ。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙 記載4⑴)、総長選考会議もほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の の承認を得ずに同協会からの依頼に応じ報酬を得て講演を行い、もって倫 理規程に違反する行為に及んだ。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙 記載4⑴)、総長選考会議もほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の別 紙1記載26)。 イ 証拠(丙2p274、281)及び弁論の全趣旨によれば、被告北大は、 平成27年度~平成30年度まで、北海道セメント協会と物品契約を締結 しており、同協会は、被告北大の代表者であった原告との関係で、倫理規 程3条1項の「利害関係人」に該当するところ(丙2p281)、原告は、 同協会が主催する「セメントの底力セミナー」(平成29年11月24日) 及び「第72回セメント技術大会」(平成30年5月9日)(以下「本件講 演」という。)において、倫理監督者の承認を得ず、同協会からの依頼に 応じて講演し、報酬(謝礼額合計22万8841円)を得た事実が認めら れる。 ウ この点、原告は、倫理規程違反を2回行ったが、倫理規程を誤解して いたに過ぎず、取得した報酬金も全額寄附しているのであり、悪質な違 反とはいえず、むしろ寄附によって原告の適格性を示す事情である旨主 張する。 そして、原告は、「北海道セメント協会から依頼を受けた『セメント の底力セミナー』及び『第72回セメント技術大会』は不特定多数かつ 多数の者の利益の増進に寄与する公益目的事業であり、倫理規程が適用 されないと判断した。また、報酬30万円はフロンティア基金に寄附し - 73 - ている。したがって、倫理規程に反する行為は一切行っていない。」旨 陳述する(甲107p47)。 しかしながら、北海道セメント協会は平成27年度から平成30年度 まで被告北大と物品契約を締結しているから、本件講演当時、被告北大 の代表者である原告との関係で倫理規程3条1項の利害関係者に該当す るところ、倫理 ら、北海道セメント協会は平成27年度から平成30年度 まで被告北大と物品契約を締結しているから、本件講演当時、被告北大 の代表者である原告との関係で倫理規程3条1項の利害関係者に該当す るところ、倫理規程9条1項によれば、利害関係者からの依頼に応じて 報酬を受けて、講演を行う場合には、あらかじめ倫理監督者の承認を得 なければならないのであって、当該講演が不特定多数かつ多数の者の利 益の増進に寄与する公益を目的事業であることや、その報酬をフロンテ ィア基金に寄付したからといって、あらかじめの倫理監督者の承認が不 要であるとする理由はない。 したがって、原告が倫理規程9条1項に違反していることは明らかで ある。 そして、原告は、総長の立場にありながら、2度にわたって倫理監督 者の承認を得ずに本件講演を行い、利害関係者から報酬(謝礼額合計2 2万8841円)を得ており、その金額も少額とはいえないことからす れば、取得した報酬をフロンティア基金に寄附したことを考慮しても、 かかる原告の行為は、総長としての資質を疑わせる行為であるというこ とができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 (25) 総長室の移動工事による追加支出を要する行為(別紙2第2の4⑵) ア 本件解任処分において、文部科学省は、その他、総長としての資質を疑 われる行為として、「原告は、人件費削減幅の縮小が総長へ立候補した際 の動機であるとしていたが、これを実現するためには、全学的な経費節減 に取り組まなければならないところを、総長室がある事務棟の耐震改修工 - 74 - 事が完了していたにもかかわらず、平成29年3月に事務棟北側に配置さ れていた総長室を日当たりの良い南側に変更 減 に取り組まなければならないところを、総長室がある事務棟の耐震改修工 - 74 - 事が完了していたにもかかわらず、平成29年3月に事務棟北側に配置さ れていた総長室を日当たりの良い南側に変更する工事を行わせ、当初の計 画にはない追加の経費を支出させるという不適切な行為をした。」との事 実を認定し(別紙4添付の別紙記載4⑵)、総長選考会議もほぼ同一の事 実を認定する(別紙3添付の別紙1記載27)。 イ 証拠(丙2p303、丙4p4、p211、証人A12、原告本人(一 部))及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 原告の前総長は、医学部、歯学部、小部局以外では一律14.4%の 人件費の削減等を打ち出していたところ、原告は、人件費の削減率を7. 5%に圧縮し、大学の教育水準の維持を図ることなどを訴えて総長選挙 に立候補し、再選を目指した前総長を破って総長に就任した。 総長室のある事務棟の改修工事は、平成29年2月28日に完成して いたところ、総長就任直前であった原告は、同工事完了後に内覧をした 後、A12学長補佐に対し、「今の総長室は暗い、明るい場所に変更し て欲しい。」旨言い、事務棟北側に配置されていた総長室を日当たりの 良い南側に移すことを強く要望した。 原告の上記要望に基づき、平成29年4月、総長室の設置場所変更に 伴う改修工事(模様替え及び電気設備工事)が発注され、同工事に合計 132万3000円が支出された。 ウ この点、原告は、追加工事を依頼した時点で総長室のある事務局棟 の改修工事は完了しておらず、追加工事を指示する前にA12学長補 佐及びA24事務局長から追加工事が可能である旨の回答を得ており、 その費用も事務局棟工事全体の0.3%である132万3000円と 低額にとどまり、追加工事の指示は会議室を機 を指示する前にA12学長補 佐及びA24事務局長から追加工事が可能である旨の回答を得ており、 その費用も事務局棟工事全体の0.3%である132万3000円と 低額にとどまり、追加工事の指示は会議室を機能的に利用するために 必要で、来訪者の多い総長室の日当たりを良くするために必要な工事 であった旨主張する。 - 75 - そして、原告は、「総長室の移転を打診したのは、会議室を取り囲む 形で総長室を設置することにより、動線上の利点や機能的な会議が実 現できると考えたからである。A12学長補佐から、改修工事が完了 していないため、総長室の移転が可能であるとの報告を受け、その際 に改修費用は最小限にとどめて欲しいと伝えた。」旨陳述する(甲10 7p48)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A12学長補佐の証言と相反する ところ、A12学長補佐の証言は、具体的かつ詳細である上、原告が改 修工事完成後に総長室を日当たりの良い南側に変更して欲しい旨要望し た点は、同人の調査委員会に対する回答(丙4p4)や財務部主計課A 39の回答(丙4p211)とも整合しており、A12学長補佐の証言 の信用性は高いといえる。他方、上記イの認定事実と相反する原告の主 張を裏付ける証拠はない。 そして、原告は、既に改修工事が完了していたにもかかわらず、原告 の一存により、自らが使用する総長室の場所を北側から南側に移す工事 をさせ、132万円余りの追加費用を被告北大に負担させている。その 上、かかる指示は、原告が総長選に立候補した際に人件費の削減率を圧 縮するよう訴えて総長に就任した姿勢とも整合しないものであることか らすると、原告の上記主張を考慮しても、原告の上記言動は、適切さを 欠いているといえるのであって、原告の総長としての資質を疑わせる行 為ということができる。 エ したが とも整合しないものであることか らすると、原告の上記主張を考慮しても、原告の上記言動は、適切さを 欠いているといえるのであって、原告の総長としての資質を疑わせる行 為ということができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、概ね正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がな い。 (26) 感謝状贈呈式を欠席した行為(別紙2第2の4⑶) ア 本件解任処分において、文部科学省は、その他、総長としての資質を疑 - 76 - われる行為として、「原告は、平成30年12月6日午後1時30分から 予定されていた、北大フロンティア基金に500万円の寄附をしたA40 サンエス技研株式会社取締役名誉会長(以下「A40名誉会長」という。) への感謝状贈呈式への出席を、原告自らが贈呈することが予定されていた のにもかかわらず、合理的な理由もないのに直前になり翻意したうえこれ を欠席し、重要な職務を懈怠した。」との事実を認定し(別紙4添付の別 紙記載4⑶)、総長選考会議もほぼ同一の事実を認定する(別紙3添付の 別紙1記載28)。 イ 証拠(甲17p99、甲19の2p7、丙1p373、丙4p236) 及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 フロンティア基金の寄附者については、平成30年度から500万円 以上の寄附者に対して、原則として総長が訪問して感謝状を手渡しする ルールとなっていた。 原告は、平成30年12月6日午後1時30分から、フロンティア基 金に500万円を寄附したA40名誉会長に対し、東京で感謝状を贈呈 する予定であった。 原告は、自ら文部科学省訪問の日時を設定した上、A6理事に対し、 A40名誉会長に対する感謝状贈呈式の二、三日前、「最近、文部科学 省に顔を出せていないから、文部科学省に を贈呈 する予定であった。 原告は、自ら文部科学省訪問の日時を設定した上、A6理事に対し、 A40名誉会長に対する感謝状贈呈式の二、三日前、「最近、文部科学 省に顔を出せていないから、文部科学省に行かないといけない。」旨述 べ、同贈呈式を欠席した。 原告は、時間調整をすることによって、文部科学省を訪れるとともに、 A40名誉会長の感謝状贈呈式に出席する余地があった。 ウ この点、原告は、感謝状贈呈式に先立ち、文部科学省を訪問する理由 があり、感謝状贈呈は副学長によりされることが多く、総長が出席しな ければならないとはされていなかったし、感謝状贈呈は総長の職務の中 で優先順位がそれほど高いものではなく、A6理事もその旨了承してい - 77 - ることからすれば、感謝状贈呈式の欠席によって被告北大の運営に重大 な支障は生じていない旨主張する。 そして、原告は、「国立大学協会のアンケート報告及び5か年計画の 委員就任を断ることなどの理由から、文部科学省に自ら赴く必要がある 一方で、感謝状贈呈式は重要な業務ではあるが、これまで総長が欠席し て理事が感謝状を贈呈することもあった。A40名誉会長に対しては後 日直接お詫びの電話をしており、A40名誉会長からは『気にしなくて 結構です。』と言われた。」旨陳述する(甲107p48、原告本人)。 確かに、500万円以上のフロンティア基金への寄附者には総長自ら 感謝状を贈呈するルールがあったとしても、その他の業務の必要性によ っては、かかる業務を優先して感謝状贈呈式を欠席することが直ちに職 務の懈怠を基礎付けるとはいえない。 しかしながら、文部科学省へ赴く必要があったとしても、原告は自ら 文部科学省への訪問時間を設定しているところ、時間を調整することに より、感謝状贈呈式への出席と文部科学省の訪問を両立させる余地もあ 。 しかしながら、文部科学省へ赴く必要があったとしても、原告は自ら 文部科学省への訪問時間を設定しているところ、時間を調整することに より、感謝状贈呈式への出席と文部科学省の訪問を両立させる余地もあ ったのであり、これを試みることなく、感謝状贈呈式を欠席しているこ とからすると、文部科学省へ赴く必要があったことは感謝状贈呈式を欠 席する合理的な理由とはいえない。そして、フロンティア基金への高額 寄附者に総長が自ら感謝状を贈呈することは、継続的な寄附につながり 得るものであることからすれば、合理的理由なく感謝状贈呈式の二、三 日前に欠席を決めたことは、被告北大の運営に重大な支障が生じていな いとしても、重要な職務の懈怠であるということができ、上記原告の言 動は、原告の総長としての資質を疑わせる行為ということができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 (27) 学術コンサルティング制度に関し異議を唱えた行為(別紙2第2の4⑷) - 78 - ア 本件解任処分において、文部科学省は、その他、総長としての資質を疑 われる行為として、「原告は、学術コンサルティング制度の導入に関して、 平成30年2月14日開催の部局長等連絡会議の前日(同月13日)に行 われた事前レクチャーにおいて、既に理事連絡会議や役員会の議を経て同 年4月に導入する方針が固まっていたにもかかわらず、その方針に異議を 唱え、会議の議題とすることを見送らざるを得なくなり、直前で導入を延 期させたために、多くの関係者を困惑させ、業務を増大させるとともに、 役職員らの士気を低下させた。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記 載4⑷)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記 載29)を認定 くの関係者を困惑させ、業務を増大させるとともに、 役職員らの士気を低下させた。」との事実を認定し(別紙4添付の別紙記 載4⑷)、総長選考会議もこれとほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記 載29)を認定する。 イ 証拠(丙4p57、証人A5、証人A14)及び弁論の全趣旨によれば、 以下の事実が認められる。 A5理事は、原告も出席していた平成29年9月11日の理事連絡会 議において、学術コンサルティング制度(本務として教員が営利企業等 に対する学術的指導を行う制度)の創設について説明し、間接経費(大 学の収益)を指導料の10%とすることについても説明した。 これに対し、原告は、間接経費についてはコメントせず、部局長等意 見交換会に付議して意見をもらうよう指示した。 A5理事は、原告も出席した同年10月18日の部局長等意見交換会 において、学術コンサルティング制度の創設及び間接経費を10%とす ることについて説明し、翌年4月1日からの制度開始に向けて準備を進 めることとされた。これに対して原告は特段意見を述べなかった。 原告が欠席した平成30年2月7日の役員会において、同年4月1日 付けで学術コンサルティング制度を創設すること及び間接経費を10% とすることについて了承され、同年2月14日の部局長等連絡会議で意 見聴取を行うこととなった。 - 79 - A14研究推進部長は、同月13日、原告に対する翌日の部局長等連 絡会議の事前レクチャーにおいて、学術コンサルティング制度の間接経 費を10%とすることについて説明したところ、原告は間接経費割合に ついて聞いていない、間接経費の割合を20~30%にしたい旨発言し た。そのため、同部局長等連絡会議の議題として提案することは見送ら れた。 原告は、同年3月1日、A16室長らの説得により学術コンサルティ いていない、間接経費の割合を20~30%にしたい旨発言し た。そのため、同部局長等連絡会議の議題として提案することは見送ら れた。 原告は、同年3月1日、A16室長らの説得により学術コンサルティ ング制度を部局長等連絡会議にて審議することを了承し、同月13日の 部局長等連絡会議、同年4月18日の教育研究評議会及び同月23日の 役員会での審議を経て、同年5月1日付けで間接経費を10%とする学 術コンサルティング制度が新設された。 ウ この点、原告は、平成30年2月13日以前から、外部資金の獲得額 が減る恐れがあるため、間接経費を30%に上げるよう検討を要請して おり、同日もこれに基づいて指示をしたもので、唐突な指示とはいえな いし、学術コンサルティング制度の新設の遅れは1か月程度にとどまる 上、業務の増大も認められない旨主張する。 そして、原告は、「平成30年2月13日以前から、担当理事であっ たA5理事に対して間接経費を上げるよう指示していた。学術コンサル ティング制度が提案された当初、間接経費は5%ほどしか計上されてい なかったが、その段階で間接経費を共同研究費と同じ30%まで上げら れないか検討をお願いしていた。したがって、同日に間接経費を上げる ように指示したことが唐突であったということはない。」旨陳述する (甲107p49、原告本人)。 しかしながら、原告の上記陳述は、A5理事の証言と相反するところ、 A5理事の証言は、具体的かつ詳細である上、間接経費を10%とする ことを原告が了承していた経緯については、理事連絡会、部局長等連絡 - 80 - 会議及び役員会の議事録(丙4p61、66)とも整合しており、A5 理事の証言の信用性は高いといえる。他方、原告は、平成30年2月1 3日前から間接経費を30%に上げられないか検討をお願いしていた旨 主 会議及び役員会の議事録(丙4p61、66)とも整合しており、A5 理事の証言の信用性は高いといえる。他方、原告は、平成30年2月1 3日前から間接経費を30%に上げられないか検討をお願いしていた旨 主張するが、これを裏付ける証拠はなく、かえって同議事録の記載と整 合しない。 したがって、上記イの認定事実と相反する原告の上記陳述は採用でき ない。 そして、原告は、平成29年9月11日の理事連絡会議及び同年11 月18日の部局長等意見交換会において、A5理事が学術コンサルティ ング制度において間接経費を指導料の10%とすることについて説明し ている場に出席し、これについて特段の意見を述べていなかったにもか かわらず、平成30年2月13日の事前レクチャーにおいて、突然、間 接経費割合について聞いていない、間接経費の割合を20~30%にし たい旨発言し、これにより学術コンサルティング制度の新設が1か月遅 延しているのであって、かかる原告の言動が関係者を困惑させ業務を増 大させたであろうことは容易に想像することができ、また、職員の士気 を低下させているのであって(証人A14)、原告の上記言動は、原告 の総長としての資質を疑わせる行為ということができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 (28) コミュニケーションマークについて優柔不断な姿勢を示した行為(別紙2 第2の4⑸) ア 本件解任処分において、文部科学省は、その他、総長としての資質を疑 われる行為として、「原告は、平成30年3月頃、広報のためのプロジェ クトチームにおいて被告北大の新たなコミュニケーションマークを決定す るに際し、『全部自分が見るんだ。決定は私がするから』などと指示しな - として、「原告は、平成30年3月頃、広報のためのプロジェ クトチームにおいて被告北大の新たなコミュニケーションマークを決定す るに際し、『全部自分が見るんだ。決定は私がするから』などと指示しな - 81 - がらも、『俺決められない』『決めなくてもいいや』などと述べて最終的 な判断をしない優柔不断な姿勢を示し、もってその決定を遅延させた。」 との事実を認定し(別紙4添付の別紙記載4⑸)、総長選考会議もこれと ほぼ同一の事実(別紙3添付の別紙1記載30)を認定する。 イ 証拠(丙19p2、丙33、証人A27、証人A15)及び弁論の全趣 旨によれば、以下の事実が認められる。 原告は、平成29年9月14日、ブランド活用推進プロジェクトチー ム(以下「ブランドチーム」という。)の全体リーダーの1人であるA 27特任教授から被告北大ブランドの商品化に関する報告を受けた際、 「北大の名前、北大のマークを付けた商品に関してはボールペン1本か らすべて見る。」と発言した。 これに対し、A27特任教授は、全てのものを総長である原告が見る のは現実的ではないと考え、ブランドチームに一定の権限移譲をするよ う進言したが、原告は、総長として、被告北大のマークが入っているも のは全て自分の目を通さない限り許可はしない旨発言した。 ブランドチームは、同年12月頃から、原告の了解の下、被告北大の コミュニケーションマークの改定作業を行い、平成30年2月28日に は、アートディレクターのA41(以下「A41デザイナー」という。) と、デザイン開発委託契約を締結し、同年3月14日、原告に対し、A 41デザイナーによる新しいコミュニケーションマーク3案のプレゼン テーションの機会を設けたが、原告は、同プレゼンテーション後、「俺 は決められない、他の人の意見も聞く。」旨述べ、その後、 告に対し、A 41デザイナーによる新しいコミュニケーションマーク3案のプレゼン テーションの機会を設けたが、原告は、同プレゼンテーション後、「俺 は決められない、他の人の意見も聞く。」旨述べ、その後、プロジェク トチームによる2回目のプレゼンテーションを経ても新しいコミュニケ ーションマークを選定しなかった。 そして、同月19日、理事連絡会議において、新たなコミュニケーシ ョンマークの検討がされたが、そこでも決定には至らなかった。 - 82 - A27特任教授らは、同月27日に、A41デザイナーを訪問し、デ ザイン開発委託契約で定められた納期である同月30日までに被告北大 側がデザインを決定できないことを伝えて謝罪した。 その後、コミュニケーションマークの改定作業は、原告の総長在任中 は進まなかった。 ウ この点、原告は、理事連絡会での決定を受けてコミュニケーションマ ークのデザインを決定しようとしたが、A15室長代理が再検討を求め 譲らなかったためにやむなく遅延が生じたものであるし、既に使用して いた使用期限が切れていないコミュニケーションマークが存在していた から、コミュニケーションマークの決定を積極的に促さなかったとして も被告北大の運営に何ら差支えはない旨主張する。 そして、原告は、「コミュニケーションマークの決定には理事全員の 賛同がなければならないと考えており、理事連絡会では全員の賛成がな かったため決まらなかった。その後、A27特任教授やA15室長代理 から催促や進言はなく、多忙な理事らも注意を払う時間がなかった。」 旨陳述する(甲107p36、原告本人)。 しかしながら、A15室長代理が再検討を求め譲らなかったためにや むなく遅延が生じたことを認めるに足りる証拠はない。 そして、原告は、「北大の名前、 述する(甲107p36、原告本人)。 しかしながら、A15室長代理が再検討を求め譲らなかったためにや むなく遅延が生じたことを認めるに足りる証拠はない。 そして、原告は、「北大の名前、北大のマークを付けた商品に関して はボールペン1本からすべて見る。」「被告北大のマークが入っているも のは全て自分の目を通さない限り許可はしない。」旨発言しているにも かかわらず、自らコミュニケーションマークを選定しようとせず、「俺 は決められない、他の人の意見も聞く。」旨述べ、理事連絡会議でも決 定に至らないと、その後は、その決定をすることなく、原告の総長在任 中は、コミュニケーションマークの改定作業が進まなかったことからす ると、原告の優柔不断な姿勢が原因で、新しいコミュニケーションマー - 83 - クの決定がされなかったということができ、かかる原告の言動は、原告 の総長としての資質を疑わせる行為ということができる。 エ したがって、文部科学省及び総長選考会議が認定した上記アの事実及び 評価は、正当であると認めることができ、原告の上記主張は理由がない。 4 争点⑶(本件解任申出に裁量権の逸脱・濫用があるか〈本件解任処分はそ の違法性を承継するか。〉。)について ⑴ 裁量権の逸脱・濫用(判断過程審査)(別紙2第3) ア 原告は、本件解任申出には、その判断に重大な事実誤認及び評価の誤り があるにとどまらず、考慮すべき事情を考慮しておらず、裁量権の逸脱・ 濫用があり違法である旨、そして、この違法性は文部科学大臣による本件 解任処分に承継され、本件解任処分も違法である旨主張する。 イ しかしながら、総長選考会議は、本件解任処分において認定された、原 告の日常的なハラスメント18件、対外的な被告北大の信用を失墜する具 体的行為2件、被告北大代表者及び研究者としての 旨主張する。 イ しかしながら、総長選考会議は、本件解任処分において認定された、原 告の日常的なハラスメント18件、対外的な被告北大の信用を失墜する具 体的行為2件、被告北大代表者及び研究者としての問題行為3件及びその 他総長としての資質を疑われる行為5件の合計28件の非違行為(以下 「本件処分認定事実」という。)に更に2件の事実を加えた事実を認定し ているところ、上記のとおり、原告には、本件解任処分において認定され た合計28件の非違行為が認められる。 そして、処分認定事実の内容は、被告北大の職員に対して威圧的にふる まう、過度に叱責する、合理的な理由もなく予定をキャンセルする、不必 要な業務を指示する、研究者倫理に反し著作権を侵害しかねない指示をす る、合理的な理由なく前言を覆す、入札の公正さを害するような言動に及 ぶ、職員倫理規定に違反する、対外的にも尊大な態度で接するなど、多岐 にわたっており、また、被告北大の職員を困惑させるとともに、被告北大 の信用を失墜させるものである。 - 84 - そうすると、本件処分認定事実以外の2件の事実を除いても、総長選考 会議が、原告の総長選時に示された、「望まれる総長像~国立大学法人北 海道大学の総長選考基準~(平成27年3月19日総長選考会議)」に基 づき、原告は「社会の信頼を得ることができ、かつ、基幹総合大学として の教育研究活動を適切かつ効果的に運営することができる者」とはいえず、 本件規程18条1項4号所定の「その他総長たるに適しないと認められる とき」に該当すると判断した評価は正当ということができる。 ウ この点、原告は、総長の解任申出は被告北大内におけるチェック機能 を果たしてもなお解任事由が解消されない場合に行うものでなければな らない旨主張する(別紙2第3の1イ)。 しかしながら、 この点、原告は、総長の解任申出は被告北大内におけるチェック機能 を果たしてもなお解任事由が解消されない場合に行うものでなければな らない旨主張する(別紙2第3の1イ)。 しかしながら、国立大学法人法及び本件規程のいずれにおいても、解 任申出の事由を定めるにとどまり、総長の解任申出は、大学内における チェック機能を果たしてもなお解任事由が解消されないような場合に行 わなければならないとする規定は存在しない。また、実質的にも、総長 は、大学のトップの地位にあって、職員の人事権等など大きな権限を有 していることからすれば、大学内のチェック機能を果たさなければ解任 申出ができないとすれば、不適格な総長を解任することが現実に困難と なることも考えられるから、大学内のチェック機能を果たさなければ解 任申出ができないと解することは相当であるともいえない。 また、原告は、①被告北大の財政状況を改善させたこと、②平成31 年「THE世界大学ランキング日本版」において、被告北大が全国5位 にランキングされ、教育力の向上を達成していること、③平成30年1 0月にWPIに採択され、これにより毎年7億円の補助金が交付され、 若手研究者の安定的雇用の促進や世界的な研究者との交流の促進が図ら れることなどの原告の実績について、総長選考会議及び文部科学省は考 慮していない旨主張する(別紙2第3の3)。 - 85 - しかしながら、原告が主張するこれらの実績は、原告個人の功績であ るといえるかどうかは必ずしも明らかではない上に、上記のとおり、原 告の非違行為の件数及びその内容に照らせば、仮に原告が主張するよう な功績が原告に認められるとしても、総長選考会議が「その他総長たる に適しないと認められるとき。」に該当するとした判断に裁量権の逸 脱・濫用があるとは認められない。 容に照らせば、仮に原告が主張するよう な功績が原告に認められるとしても、総長選考会議が「その他総長たる に適しないと認められるとき。」に該当するとした判断に裁量権の逸 脱・濫用があるとは認められない。 ⑵ 裁量権の逸脱・濫用(比例原則違反)(別紙2第4) ア 原告は、仮に総長としての不適切な行為が認められたとしても、それは 軽微なものにとどまり、また、学内のチェック機能によって改善されるべ きもので、総長解任という重大な不利益を課すことを正当化し得るもので はない、原告の総長としての資質を疑わせる事由とこれに課された不利益 がバランスを失していることは明らかであり、本件解任申出は、比例原則 に反するものとして、裁量権の逸脱・濫用といわざるを得ない旨、また、 この違法性は文部科学省による本件解任処分に承継されるから、本件解任 処分も違法である旨主張する。 イ しかしながら、上記のとおり、総長の解任申出をする場合に学内のチェ ック機能を経なければならないとする理由はないし、原告の非違行為の件 数及びその内容に照らせば、本件解任処分による原告の不利益が大きいこ とを踏まえても、総長選考会議が「その他総長たるに適しないと認められ るとき。」に該当すると認めた判断が比例原則に反するものとはいえず、 本件解任申出に裁量権の逸脱・濫用は認められない。 5 結論 よって、原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして、 主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第2部 - 86 - 裁判長裁判官 右 田 晃 一 裁判長 裁判官 藤 永 か お る 裁判長裁判官 市 原 隆 一 郎 (別紙1及び5を除き、別紙は掲載省略。) - 87 - 裁判長 裁判官 藤 永 か お る 裁判長裁判官 市 原 隆 一 郎 (別紙1及び5を除き、別紙は掲載省略。) - 87 - (別紙1) 国立大学法人北海道大学総長選考会議規程 第1条 この規程は、(中略)総長選考会議(以下「会議」という。)の議事の手続その 他会議に関し必要な事項について定めるものとする。 第7条 1 会議は、委員の3分の2以上が出席しなければ議事を開くことができない。 2 会議の議事は、(中略)出席委員の過半数をもって決するものとする。 第7条の2 会議が必要と認めるときは、会議に委員以外の者の出席を求め、説明又は意見 を聴くことができる。 第9条 総長の選考は、次の各号のいずれかに該当する場合にこれを行う。 ⑴ (省略) ⑵ 総長が辞任を申し出て、文部科学大臣がこれを受理した場合 ⑶ (省略) 第18条 1 会議は、総長が次の各号のいずれかに該当すると認めたときは、文部科学大 臣に総長の解任を申し出るものとする。 ⑴ 心身の故障のため職務の遂行に堪えないと認められるとき。 ⑵ 職務上の義務違反があるとき。 ⑶ 職務の執行が適当でないため本学の業務の実績が悪化した場合であって、 総長に引き続き職務を行わせることが適当でないと認められるとき。 ⑷ その他総長たるに適しないと認められるとき。 2 会議は、前項の申出の審議を行うに当たり、総長から意見陳述の申出があっ た場合には、口頭又は書面で陳述の機会を与えなければならない。 - 88 - 3 第1項の申出に係る議事は、委員総数の3分の2以上をもって決するものと する。 第18条の2 1 会議は、前条第1項の申出の審議を行うに当たり、調査委員会を設置し、調 査 - 88 - 3 第1項の申出に係る議事は、委員総数の3分の2以上をもって決するものと する。 第18条の2 1 会議は、前条第1項の申出の審議を行うに当たり、調査委員会を設置し、調 査を行うことができるものとする。 2 調査委員会は、学外の有識者を含む委員で組織する。 3 前項の委員は、会議の承認を得て、議長が委嘱する。 4項ないし7項(省略) - 89 - (別紙5) 国立大学法人北海道大学役職員倫理規程 第1条 この規程は、国立大学法人北海道大学(以下「本学」という。)に勤務する役 員及び職員(以下「役職員」という。)の職務に係る倫理の保持に資するため必 要な措置を講ずることにより、職務の執行の公正さに対する国民の疑惑や不信を 招くような行為の防止を図り、もって本学業務に対する国民の信頼を確保するこ とを目的とする。 第2条 1 この規程において、「事業者等」とは法人(法人でない社団又は財団で代表 者又は管理人の定めがあるものを含む。)その他の団体及び事業を行う個人 (当該事業の利益のためにする行為を行う場合における個人に限る。)という。 2 (省略) 第3条 1 この規程において、「利害関係者」とは、役職員が職務として携わる次の各 号に掲げる事務の区分に応じ、当該各号に定める者をいう。 ⑴ 契約に係る事務 物品購入、受託研究、共同研究その他の契約に関し、契約を締結している 事業者等、契約の申込みをしている事業者等及び契約の申込みをしようとし ていることが明らかである事業者等 ⑵⑶ (省略) 2 役職員に異動があった場合において、当該異動前の職に係る当該役職員の利 害関係者であった者が、異動後引き続き当該職に係る他の役職員の利害関係者 であるときは、当該利害関係者であった者は、当該異動の日か 役職員に異動があった場合において、当該異動前の職に係る当該役職員の利 害関係者であった者が、異動後引き続き当該職に係る他の役職員の利害関係者 であるときは、当該利害関係者であった者は、当該異動の日から起算して3年 間(当該期間内に、当該利害関係者であった者が当該職に係る他の役職員の利 - 90 - 害関係者でなくなったときは、その日までの間)は、当該異動があった役職員 の利害関係者である者とみなす。 3 (省略) 第9条 1 役職員は、利害関係者からの依頼に応じて報酬を受けて、講演(中略)をし ようとする場合は、あらかじめ倫理監督者の承認を得なければならない。 2 倫理監督者は、利害関係者から受ける前項の報酬に関し、役職員の職務の種 類又は内容に応じて、当該報酬の額が公正な職務の執行に対する国民の疑惑や 不信を招くおそれがあると判断した場合は、当該講演等を承認しないものとす る。
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