主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告は,原告に対し,P23を経由して仕向銀行たる原告から被仕向銀行たる被告に通知された支払要求指令電文,残高照会要求指令電文及び振込支払要求指令電文のすべてについて,平成19年5月6日付けP1運営機構事務取扱規則の定めるところに従い,許可報告電文又は拒否報告電文(ただし,「提携外」を理由とする拒否報告電文を除く。)を,P23を経由して送信せよ。 2 被告は,原告に対し,以下の各金員を支払え。 (1) 平成20年11月4日から,被告が前記1の許可報告電文又は拒否報告電文(ただし,「提携外」を理由とする拒否報告電文を除く。)の送信行為を再開するに至るまで,1日当たり21万7400円の割合による金員(2) 1850万円及びこれに対する平成20年11月4日から支払済みまで年6%の割合による金員(3) 別紙1の各「損害発生日」欄記載の日から,被告が前記1の許可報告電文又は拒否報告電文(ただし,「提携外」を理由とする拒否報告電文を除く。)の送信行為を再開するに至るまで,1日当たり同別紙の各「1台当り収益/日」欄記載の額の割合による金員3(1) 被告は,P23を経由して仕向銀行たる原告から通知されてくる支払要求指令電文,残高照会要求指令電文及び振込支払要求指令電文のすべてに対し,原告が「提携外」であるという理由で拒否報告電文を送信する行為をしてはならない。 (2) 被告は,平成20年9月19日に行った別紙2記載の内容の原告とのC Dオンライン提携業務に関するプレスリリースを撤回する旨のプレスリリースをせよ。 (3) 被告 てはならない。 (2) 被告は,平成20年9月19日に行った別紙2記載の内容の原告とのC Dオンライン提携業務に関するプレスリリースを撤回する旨のプレスリリースをせよ。 (3) 被告は,被告のホームページに掲載している別紙2記載の内容の原告とのCDオンライン提携業務に関する記事及び被告設置の現金自動支払機又は現金自動預払機に掲示された別紙3記載の内容の顧客への告知文を,削除ないし撤去せよ。 第2 事案の概要等 1 原告は,社団法人P2銀行協会(以下「P2銀行協会」という。)に加盟するP2銀行であり,被告は,都市銀行であるところ,原告と被告は,他の都市銀行やP2銀行協会の加盟行と共にオンライン現金自動支払機の相互利用に関する基本契約等を締結し,相互に他行の保有する現金自動支払機(以下「CD」という。),現金自動預入払出兼用機(以下「ATM」という。)及び自動振込機(以下,CD,ATM及び自動振込機を合わせて「ATM等」という。)による現金の払出し,残高照会,振込み及びこれらに付随する業務(以下「本件提携業務」という。)を行っていた。ところが,被告は,原告に対し,平成20年8月1日付け解約通知書によって,同年11月3日をもって被告を委託者,原告を受託者とする本件提携業務に係る委託契約を解約する旨の意思表示をした。 本件は,原告が,(1) 上記解約は無効であり,被告はオンライン現金自動支払機の相互利用に関する基本契約等に基づき本件提携業務に係る電文送信を行う債務を負っているにもかかわらず,平成20年11月4日以降その履行を拒否しているなどと主張して,上記基本契約等に基づく債務の履行請求として電文送信を(前記第1の1の請求),(2) 電文送信の拒否行為は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法 を拒否しているなどと主張して,上記基本契約等に基づく債務の履行請求として電文送信を(前記第1の1の請求),(2) 電文送信の拒否行為は私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)2条9項6号イ,不公正な取引方法(以下「一般指定」という。)2項所定の不当な取引拒絶に該当する旨主張して,同法24条に基づく差止請 求として電文送信の拒否行為等の差止め等を(前記第1の3の請求),(3)電文送信の拒否行為は債務不履行に当たるとともに,不法行為も構成するなどと主張して,債務不履行又は不法行為による損害賠償請求として逸失利益等の支払を(前記第1の2の請求)求めた事案である。 2 前提となる事実(いずれも,当事者間に争いがないか,後記各項掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。)(1) 当事者についてア原告は,平成13年に設立された株式会社であり,同年6月11日,P2銀行協会の加盟行である株式会社P3銀行(以下「P3銀行」という。)から,営業の全部譲渡を受けた(以下,P3銀行を含む趣旨で「原告」と表記することがある。)。以来,原告は,P2銀行協会に加盟するP2銀行として銀行業を営んでおり,平成20年当時の預金残高は,約1兆6559億円であった。(甲200,201,202の1~2)イ被告は,大正8年に設立された株式会社(当時の商号は「株式会社P4銀行」であり,平成8年4月1日に「株式会社P5銀行」に商号を変更した。)であり,同年7月2日に株式会社P6銀行を吸収合併し,平成18年1月4日には,株式会社P7銀行(平成14年1月15日以前の商号は「株式会社P8銀行」であり,同日,株式会社P9銀行を吸収合併した。)を吸収合併した(以下,株式会社P8銀行,株式会社P7銀行又は株式会 4日には,株式会社P7銀行(平成14年1月15日以前の商号は「株式会社P8銀行」であり,同日,株式会社P9銀行を吸収合併した。)を吸収合併した(以下,株式会社P8銀行,株式会社P7銀行又は株式会社P9銀行を含む趣旨で「被告」と表記することがある。)。被告は,都市銀行として銀行業を営んでおり,平成20年当時の預金残高は,約101兆8615億円であった。(乙45,46の1~4)(2) 原告と被告との間のCDオンライン提携の経緯についてア被告を含む都市銀行13行と社団法人P10銀行協会(以下「P10 銀行協会」という。)に加盟する地方銀行64行は,昭和63年2月29日,オンライン現金自動支払機の相互利用に関する合意をし,同年7月8日には,オンライン現金自動支払機の相互利用に関する基本契約を締結した上,平成元年11月1日,P11管理機構(平成16年1月に「P1運営機構」に名称変更。以下,名称変更の前後を通じて「P1運営機構」という。)を設立し,その運営規約(以下「P1運営規約」という。)及び事務取扱規則(以下「P1取扱規則」という。)を定めた。 (甲3,4,9,125,乙3~10,24,25,43)イ被告を含む都市銀行13行とP3銀行を含むP2銀行協会(当時は社団法人P12銀行協会)の加盟行68行は,昭和63年10月31日,オンライン現金自動支払機の相互利用に関する合意(以下「本件基本合意」という。)をした。(甲1)ウこれを受けて,被告を含む都市銀行12行とP3銀行を含むP2銀行協会の加盟行68行は,平成2年4月13日,オンライン現金自動支払機の相互利用に関する基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結した。P3銀行を含むP2銀行協会の加盟行は,同年5月14日,P1運営機構に加盟した。(甲2~4,9,12 ,オンライン現金自動支払機の相互利用に関する基本契約(以下「本件基本契約」という。)を締結した。P3銀行を含むP2銀行協会の加盟行は,同年5月14日,P1運営機構に加盟した。(甲2~4,9,125,乙3~11,24,25,43)エ本件基本契約においては,①都市銀行とP2銀行協会加盟行は,それぞれが保有するATM等を相互に利用し,現金支払業務及び残高照会業務を行う(1条),②上記業務の円滑な運営を行うために必要な事項についてはP1運営規約による(3条2項),③上記業務を行うためにP1運営機構が管理,運営するP11を介して都市銀行の業態内オンライン提携網であるP13サービス(以下「P14」という。)とP2銀行協会の業態内オンライン提携網であるP15サービス(以下「P16」という。)の各オンラインセンターを回線で接続する(4条),④被仕 向銀行(CDカードを発行した銀行)が仕向銀行(ATM等を設置した銀行)に対して銀行間利用料を支払う(7条),⑤上記業務の取扱いは,P1取扱規則による(8条)ものとされていた。本件基本契約を締結した各行は,それぞれ他行の顧客による現金の払出しが行われた場合に他行から徴収する銀行間利用料の額を個別に定めて他行の承認を得るとともに,この場合,現金払出しの窓口となった銀行が当該払出しを行った顧客から顧客手数料を徴収することになることから,顧客手数料を変更するたびにその内容を他行に通知してきた。(甲2,乙11~17)オその後,P1運営機構におけるシステムの接続は,前記エのP11ではなく,株式会社P17(以下「P17」という。)が提供するP18サービスを利用して行われることになり,平成16年1月4日,P1運営規約及びP1取扱規則の改定が行われた。これに伴い,被告を含む都市銀行7行と原告 社P17(以下「P17」という。)が提供するP18サービスを利用して行われることになり,平成16年1月4日,P1運営規約及びP1取扱規則の改定が行われた。これに伴い,被告を含む都市銀行7行と原告を含むP2銀行協会の加盟行51行は,本件基本契約の条項を改定し,①都市銀行とP2銀行協会加盟行は,それぞれが保有するATM等を相互に利用し,現金支払業務及び残高照会業務を行うため,P17が提供するP18サービスを利用する(4条),②銀行間利用料は,都市銀行とP2銀行協会加盟行の間でそれぞれ個別に定める(7条)旨合意した。(甲3,4,乙18)カ被告を含む都市銀行7行と原告を含むP2銀行協会加盟行は,平成17年4月28日,他行カード振込業務に関する基本契約(以下「本件振込基本契約」という。)を締結した上,同日,他行カード振込業務取扱規則(以下「振込取扱規則」という。)を定めた。本件振込基本契約においては,①都市銀行及びP2銀行協会加盟行は,それぞれが保有するATM等による振込みにおいて,それぞれが発行するCDカードを使用して,振込資金等の口座からの引落し及びその他付随する業務を行う(1条),②上記業務を行うためにP18サービスを利用する(4条), ③上記業務にかかる銀行間利用料については,各提携銀行間で個別に定める(7条)ものとされていた。(甲5,124の2)(3) 本件解約に至る経緯についてア原告と被告は,本件基本契約の締結後,相手方の承認の下,相互に相手方発行のCDカードを使用して自行のATM等による現金の払出しが行われた場合に相手方から徴収する銀行間利用料の額を1件当たり100円(税別。ただし,1件当たりの払出金額が11万円を超えるときには2件として計算する。)と定め,本件振込基本契約の締結後は,同様に,他行カ 場合に相手方から徴収する銀行間利用料の額を1件当たり100円(税別。ただし,1件当たりの払出金額が11万円を超えるときには2件として計算する。)と定め,本件振込基本契約の締結後は,同様に,他行カード振込業務を行った場合の銀行間利用料を相互に定めた上で,本件提携業務を行ってきた。これらの場合,現金払出し又は振込みの窓口となった銀行が当該払出し等を行った顧客(以下「他行顧客」という。)から顧客手数料を徴収することになるところ,原告は,平成16年4月当時,他行顧客から徴収する顧客手数料について,①時間内(平日午前8時45分から午後6時まで及び土曜日午後2時まで)は100円(税別),②時間外(平日の午前8時45分まで及び午後6時以降,土曜日午後2時以降並びに日祝日)は200円(税別)としていた。 (乙12~17,19,32)イところが,原告は,平成16年5月,コンビニエンスストア(以下「コンビニ」という。)やスーパーマーケット(以下「スーパー」という。)等の業者と提携し,全国各地のコンビニやスーパー等で自行ATM等の設置を進めるとともに,他行顧客から徴収する顧客手数料を①時間内は無料,②時間外は100円(税別)とするいわゆるP19事業(以下「P19事業」という。)の展開を始めた。その結果,原告のATM等を利用して現金の払出しを行う被告の顧客が増加したため,それまでは原告の支払額とほぼ拮抗していた被告の原告に対する銀行間利用料の支払額は,同年8月頃から,徐々に増加していった。(乙19,2 6,32)ウ被告は,平成18年6月20日,原告に対し,本件提携業務における銀行間利用料の支払額に不均衡が生じているとして,被告が原告に対して支払う銀行間利用料の引下げを求めた。その後,原告と被告の間で,2年以上にわたって協議,交渉 0日,原告に対し,本件提携業務における銀行間利用料の支払額に不均衡が生じているとして,被告が原告に対して支払う銀行間利用料の引下げを求めた。その後,原告と被告の間で,2年以上にわたって協議,交渉が続けられたが,最終的な合意には至らなかった。(甲11~14,22~32,193,194,乙43,44,証人P20,証人P21)エそこで,被告は,平成20年8月1日付け解約通知書によって,原告に対し,同年11月3日をもって被告を委託者,原告を受託者とする本件提携業務に係る委託契約(以下「本件委託契約」といい,原告が本件委託契約に基づいて行う業務を「本件委託業務」という。)を解約する旨の意思表示(以下「本件解約」という。)をした。被告は,同年9月19日から,本件解約の事実を知らせるため,ホームページ等において別紙2記載の内容のプレスリリース等を行い,被告設置のATM等に別紙3記載の内容の顧客への告知文を掲示した上で(以下,これらをまとめて「本件プレスリリース等」という。),同年11月4日以降,本件委託契約に伴う事務処理を停止した。これに伴い,被告は,自行の顧客が自行発行のCDカードを使用して原告の設置したATM等により現金払出し,残高照会又は振込みを行おうとした場合には,P23を通じて仕向銀行たる原告から通知される支払要求指令電文,残高照会要求指令電文又は振込支払要求指令電文に対し,P1取扱規則所定の許可報告電文又は拒否報告電文(「提携外」を理由とするものを除く。)の送信(以下「本件電文送信」という。)を行うことなく,「提携外」を理由とする拒否報告電文を送信するようになった(以下「本件応答拒否」という。)。(甲6,18の1~2,甲19の1~8)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1) 本件基本合意等に基づ する拒否報告電文を送信するようになった(以下「本件応答拒否」という。)。(甲6,18の1~2,甲19の1~8)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1) 本件基本合意等に基づく債務の履行請求(前記第1の1の請求)本件解約の効力(争点1)(2) 独占禁止法24条に基づく差止請求(前記第1の3の請求)ア本件応答拒否の一般指定2項該当性の有無(争点2)イ独占禁止法24条所定の差止要件の有無(争点3)(3) 債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求(前記第1の2の請求)ア債務不履行又は不法行為の成否(争点4)イ損害額(争点5) 2 争点1(本件解約の効力)に関する当事者の主張(1) 原告の主張ア P1運営機構の加盟行は,本件基本合意,本件基本契約,P1運営規約,P1取扱規則及び本件振込基本契約に基づき,本件提携業務を行う債務を負っている。本件基本合意等は,P1運営機構の設立を目的として締結された団体設立契約又はその加盟行を法的に拘束するために定められた団体規範であるから,これによって生じた加盟行間における本件提携業務を行うべき債権債務関係を個別に解消することは許されない。 イ仮に,原告と被告との間に本件委託契約という個別の法律関係が存在するとしても,本件委託業務の処理は受任者である原告の利益も目的とするものであり,本件基本合意等には期間の定めや解約に関する規定が存在しないから,被告は本件委託契約についての解除権を放棄したというべきである。また,本件委託契約は,継続的契約に当たり,当事者の信頼関係を基礎とするものであるから,契約を継続しがたい重大な事由又はやむを得ない事由のない限り,解約することは許されない。 ウ以上のとおり,本件解約は 件委託契約は,継続的契約に当たり,当事者の信頼関係を基礎とするものであるから,契約を継続しがたい重大な事由又はやむを得ない事由のない限り,解約することは許されない。 ウ以上のとおり,本件解約は,いずれにしても効力を生じていないから,被告は,本件電文送信を行うべき契約上の債務を負うというべきである。 (2) 被告の主張ア本件基本契約及び本件振込基本契約を締結する際には,これを締結した個々の銀行がそれぞれ個別にCDオンライン提携業務の委託契約を締結することが前提とされていた。被告は,原告との間で,本件基本契約等に基づき,別途,銀行間利用料について合意することによって,本件委託契約を締結したものであり,本件解約によって本件委託契約は終了したというべきである。 イ最高裁昭和54年(オ)第353号同56年1月19日第二小法廷判決・民集35巻1号1頁によると,受任者が著しく不誠実な行動に出るなどのやむを得ない事由がない場合であっても,委任者が委任契約の解除権自体を放棄したものとは解されない事情があるときは,委任者は民法651条に則り委任契約を解除することができるものとされているところ,被告が本件委託契約の解除権を放棄した事実はない。また,被告は,原告に対する銀行間利用料の支払額が増加したため,銀行間利用料の引下げを求めて交渉を重ねたが,合意に至らなかったことから,本件解約に至ったものであり,本件解約には正当な理由があるというべきである。 したがって,本件解約は,いずれにしても有効である。 ウ以上のとおり,原告と被告との間の本件委託契約は,本件解約により終了したから,被告には,本件電文送信を行う債務は存しない。 3 争点2(本件応答拒否の一般指定2項該当性の有無)に関する当事者の主張(1) 原告の主張 間の本件委託契約は,本件解約により終了したから,被告には,本件電文送信を行う債務は存しない。 3 争点2(本件応答拒否の一般指定2項該当性の有無)に関する当事者の主張(1) 原告の主張ア独占禁止法2条9項6号イ,一般指定2項所定の取引拒絶に関しては,①市場における有力な事業者が,②競争者を対象市場から排除するという独占禁止法上不当な目的を達成するための手段として取引拒絶を行い,③これによって取引を拒絶される事業者の通常の事業活動が困難となる おそれがあり,④顧客の利便性を著しく侵害し,⑤客観的にみて競争促進的又は合理的なビジネス上の正当化事由が存在しない場合には,公正競争阻害性が認められるというべきである。 イ ①被告は,株式会社P22銀行(以下「P22銀行」という。)に次ぐ5048万枚のCDカードを発行し,我が国のCDカード発行総数(4億6384万枚)の10.9%のシェアを有しているから,「ATM等役務提供市場」(我が国の金融機関に預金口座を有しその発行するCDカードを有するATM等の利用者を需要者とし,ATM等による現金払出し等の役務を提供し,顧客手数料を得る事業に係る市場)における有力な事業者に当たるというべきである。②原告と被告との間の交渉経緯等に照らせば,被告は,その意向に逆らってP19事業を継続していた原告を上記市場から排除するという独占禁止法上不当な目的を達成するために,本件応答拒否を行ったとみるのが相当である。③本件応答拒否の後,原告の設置したATM等の利用者が約2割減少したのみならず,被告の顧客割合が高い東海地区では,原告の保有するATM等が撤去されたり,ATM等の設置提携先から提携解消等の申入れを受けるなどの影響が生じており,被告以外の金融機関が被告に追随して同様の応答拒否等を行う 客割合が高い東海地区では,原告の保有するATM等が撤去されたり,ATM等の設置提携先から提携解消等の申入れを受けるなどの影響が生じており,被告以外の金融機関が被告に追随して同様の応答拒否等を行う可能性も十分あるから,本件応答拒否によって原告の事業活動が困難となるおそれがあるというべきである。④被告の顧客は,本件応答拒否によって原告の設置したATM等を利用することができなくなっており,他の金融機関の顧客も原告の設置したATM等の利用を避けるようになると想定されるから,本件応答拒否は,ATM等利用者の利便性を著しく侵害する行為に該当する。⑤本件応答拒否には,客観的にみて競争促進的なビジネス上の正当化事由は存在しない。 ウしたがって,被告による本件応答拒否は,公正競争阻害性を有するものであり,独占禁止法2条9項6号イ,一般指定2項所定の不当な取引 拒絶に該当するというべきである。 (2) 被告の主張ア原告がP19事業の展開を始めた後,原告のATM等を利用して現金の払出しを行う被告の顧客が増加したため,それまでは原告の支払額とほぼ拮抗していた被告の原告に対する銀行間利用料の支払額は、徐々に増加し,平成20年7月には,平成18年7月時点の3.35倍(月額5833万9365円)に達した。被告は,原告に対する銀行間利用料の支払額が著しく増加したため,銀行間利用料の引下げを求めて2年間にわたって原告と協議,交渉を続けたものの,合意に達しなかったことから,本件解約に至ったものであり,本件解約には正当な理由があるというべである。 イ以上のとおり,被告が本件解約により本件委託契約が終了したのに伴って本件応答拒否をしたことには,正当な理由があり,何ら公正競争阻害性を有するものではない。したがって,本件応答拒否は,独占禁止 イ以上のとおり,被告が本件解約により本件委託契約が終了したのに伴って本件応答拒否をしたことには,正当な理由があり,何ら公正競争阻害性を有するものではない。したがって,本件応答拒否は,独占禁止法2条9項6号イ,一般指定2項所定の不当な取引拒絶には当たらない。 4 争点3(独占禁止法24条所定の差止要件の有無)に関する当事者の主張(1) 原告の主張ア原告は,本件応答拒否によって,被告の顧客から得ていた時間外手数料等の顧客手数料収入を失ったばかりか,ATM等の設置提携先から提携解消等の申入れを受け,ATM等の撤去を余儀なくされた。また,被告による本件応答拒否が是認された場合には,他の金融機関がこれに追随して同様の行為に及ぶ可能性も十分あるから,原告は,P19事業を継続することができなくなるおそれがある。 イしたがって,原告は,本件応答拒否によって利益侵害を受け,著しい損害を被るおそれがあるから,独占禁止法24条に基づき,被告に対して本件応答拒否の停止等を求める差止請求権を有する。 (2) 被告の主張独占禁止法24条所定の差止要件の充足に関する原告の主張は争う。 5 争点4(債務不履行又は不法行為の成否)に関する当事者の主張(1) 原告の主張ア本件応答拒否は,本件基本合意等又は本件委託契約に基づく債務の不履行に該当する。 イまた,被告は,故意又は過失により本件応答拒否を行ったものであるところ,本件応答拒否は,原告の上記契約上の権利を侵害するとともに,独占禁止法19条にも違反する行為であるから,原告に対する不法行為を構成する。 (2) 被告の主張本件解約及び本件応答拒否は,正当な理由に基づくものであって,独占禁止法上の不当な取引拒絶にも該当 条にも違反する行為であるから,原告に対する不法行為を構成する。 (2) 被告の主張本件解約及び本件応答拒否は,正当な理由に基づくものであって,独占禁止法上の不当な取引拒絶にも該当しないから,債務不履行や不法行為は成立しない。 6 争点5(損害額)に関する当事者の主張(1) 原告の主張原告は,被告の債務不履行又は不法行為によって,次の損害を被った。 ア原告は,被告の顧客が原告保有のATM等を利用した際に支払われる顧客手数料(時間外手数料及び振込手数料)によって年額7935万0392円(日額21万7400円)の粗利益を得ていたところ(なお,他行から支払われる銀行間利用料は,ATM等の維持管理費用として原告から他社にそのまま支払われる仕組みになっている。),本件応答拒否の後,顧客手数料を得られなくなったため,日額21万7400円の損害(逸失利益)を被っている。 イ原告は,本件応答拒否の後,被告発行のCDカードが利用不能となることによる混乱を最小限に抑えるため,種々の措置を講じざるを得なく なり,150万円の損害(①ATM等の本体に貼る告知用ステッカーの作成費用40万円,②上記ステッカーの貼付費用60万円,③ATM画面の情報更新費用50万円の合計額)を被った。 ウ原告は,本件応答拒否の後,平成22年10月末までの間に,別紙1(損害一覧表)記載の79台のATM等について,顧客利便性が著しく低下したという理由で,同別紙の「損害発生日」欄記載の日の前月中に提携契約を解除され,又は撤去することを余儀なくされた。上記79台の撤去等の直前3か月間の平均粗利益額は,同別紙の「1台当り収益/日」欄記載のとおりである。したがって,原告は,遅くとも上記「損害発生日」欄記載の各日以降,上記平 ることを余儀なくされた。上記79台の撤去等の直前3か月間の平均粗利益額は,同別紙の「1台当り収益/日」欄記載のとおりである。したがって,原告は,遅くとも上記「損害発生日」欄記載の各日以降,上記平均粗利益額相当の損害(逸失利益)を被っている。 エ原告は,被告に対して少なくとも1億8216万1496円(前記アの損害1億5783万2400円,前記イの損害2282万9096円及び前記ウの損害150万円の合計額)の損害賠償請求権を有しているところ,これを行使するために本件訴訟の提起,追行を原告訴訟代理人に委任したものであるから,その約10%に相当する1700万円の損害(弁護士費用)を被った。 (2) 被告の主張損害額に関する原告の主張は争う。 第4 当裁判所の判断 1 前記第2の2の事実,証拠(甲16,193,194,199,乙43,44,証人P20,証人P21及び後掲各証拠)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1) 我が国における金融機関のCDオンライン提携の経緯についてア我が国においては,昭和40年代から,顧客(預金者)の利便性の向上等を目的としてATM等の設置が進められ,昭和50年頃からは,同一 地域内の金融機関の間でCDオンライン提携を進める動きが広まった。 昭和55年頃からは,都市銀行,地方銀行,P2銀行(当時はP12銀行),信用金庫,信用組合等の業態ごとに,業態内でのCDオンライン提携が進められたが,昭和59年3月に郵便貯金の全国オンラインネットワークシステムの運用が開始されたのを受けて,これに対抗するため,民間金融機関の間で,業態の垣根を越えた提携に向けて検討,協議が重ねられた。(甲9,125)イ被告を含む都市銀行13行とP10銀行協会に加盟する地方 されたのを受けて,これに対抗するため,民間金融機関の間で,業態の垣根を越えた提携に向けて検討,協議が重ねられた。(甲9,125)イ被告を含む都市銀行13行とP10銀行協会に加盟する地方銀行64行は,昭和63年2月29日,オンライン現金自動支払機に関する合意をし,同年7月8日には,オンライン現金自動支払機の相互利用に関する基本契約を締結した上,平成元年11月1日,P1運営機構を設立し,P1運営規約及びP1取扱規則を定めた。P1運営機構は,業態間におけるCDオンライン提携の中継業務の円滑な運営を図ることを目的として設立された組織であり,P1運営規約によって,P1運営機構を通じてCDオンライン提携を行っている業態に所属する金融機関がP1運営機構に加盟する資格を有するものとされている。平成2年2月には,P1運営機構を通じて,都市銀行の業態内オンライン提携網であるP14とP10銀行協会の業態内オンライン提携網であるP24サービス(以下「P25」という。)の接続が開始され,同年5月には,P14とP2銀行協会の業態内オンライン提携網であるP16及び信託銀行の業態内オンライン提携網であるP26(以下「P27」という。)との間並びにP25とP16との間でそれぞれCDオンライン提携が始まった。 (甲3,4,9,125,乙3~10,24,25)ウその後,信用金庫,信用組合,労働金庫,農業協同組合並びに長期信用銀行及びP28金庫(以下「P28」という。)等の各業態内オンライン提携網も,P1運営機構を通じて接続するようになり,現在では, これらの業態に所属する1400以上の金融機関がP1運営機構に加盟している。もっとも,P1運営機構に加盟している金融機関が全て相互にCDオンライン提携を行っているわけではなく,長期信用銀行の業態に属する の業態に所属する1400以上の金融機関がP1運営機構に加盟している。もっとも,P1運営機構に加盟している金融機関が全て相互にCDオンライン提携を行っているわけではなく,長期信用銀行の業態に属する新生銀行,P29銀行及びP28は,P1運営機構に加盟しているものの,都市銀行及び信託銀行以外の業態とはCDオンライン提携を行っていない。また,金融機関の間におけるCDオンライン提携が全てP1運営機構を通じて行われているわけではなく,株式会社P30銀行(以下「P30銀行」という。),P22銀行,P31銀行,P32,P33銀行,P34銀行,P35銀行,P36銀行等は,P1運営機構に加盟せずに,それぞれ個別に各金融機関との間でCDオンライン提携を行っている。(甲9,125)(2) 原告と被告との間のCDオンライン提携の経緯についてア被告を含む都市銀行13行とP3銀行を含むP2銀行協会(当時は社団法人P12銀行協会)の加盟行68行は,昭和63年10月31日,本件基本合意をした。本件基本合意においては,①都市銀行とP2銀行協会加盟行は,それぞれが保有するATM等を相互に利用し,現金支払業務及び残高照会業務を行う(1項),②上記業務の取扱店舗は,ATM等を設置した営業所及び代理店のうち,都市銀行及びP2銀行協会加盟行がそれぞれ定めたものとする(2項),③上記業務を行うためにP11を介してP14とP16双方のオンラインセンターを回線で接続する(5項),④被仕向銀行(CDカードを発行した銀行)が仕向銀行(ATM等を設置した銀行)に対して銀行間利用料を支払う(7項)などとされていた。(甲1)イその後,被告を含む都市銀行12行とP3銀行を含むP2銀行協会の加盟行68行は,平成2年4月13日,本件基本契約を締結した。これを受けて,P3銀行を含むP (7項)などとされていた。(甲1)イその後,被告を含む都市銀行12行とP3銀行を含むP2銀行協会の加盟行68行は,平成2年4月13日,本件基本契約を締結した。これを受けて,P3銀行を含むP2銀行協会の加盟行は,同年5月14日, P1運営機構に加盟した。 本件基本契約においては,①都市銀行とP2銀行協会加盟行は,それぞれが保有するATM等を相互に利用し,現金支払業務及び残高照会業務を行う(1条),②上記業務の取扱店舗は,ATM等を設置した営業所及び代理店のうち,都市銀行及びP2銀行協会加盟行がそれぞれ定めたものとする(2条),③上記業務の円滑な運営を行うために必要な事項についてはP1運営規約による(3条2項),④上記業務を行うためにP1運営機構が管理,運営するP11を介してP14とP16の各オンラインセンターを回線で接続する(4条),⑤被仕向銀行が仕向銀行に対して銀行間利用料を支払う(7条),⑥上記業務の取扱いは,P1取扱規則による(8条)などとされていた。(甲1~4,9,125,乙3~11,24,25)ウ本件基本契約を締結した各行は,それぞれ他行発行のCDカードを使用して自行のATM等による現金の払出しが行われた場合に他行から徴収する銀行間利用料の額を個別に定めて他行の承認を得るとともに,この場合,現金払出しの窓口となった銀行が当該払出しを行った顧客から顧客手数料を徴収することになることから,顧客手数料を変更するたびにその内容を他行に通知してきた。 P3銀行も,平成2年4月20日,被告に対し,①被告に請求する銀行間利用料を1件当たり103円(税込み。ただし,1件当たりの払出金額が11万円を超える場合には2件として計算する。)とする,②同月27日までに被告から特段の申出がない場合には,これが承諾されたもの 間利用料を1件当たり103円(税込み。ただし,1件当たりの払出金額が11万円を超える場合には2件として計算する。)とする,②同月27日までに被告から特段の申出がない場合には,これが承諾されたものとする,③これが承諾された場合には,被告に対しても同額の銀行間利用料を支払う旨の申入れをするとともに,被告発行のCDカードによりP3銀行のATM等を利用して現金払出しが行われた場合には,顧客から1件当たり103円(ただし,平日午後6時以降及び土曜日午後 2時以降は206円。いずれも税込み。)の顧客手数料を徴収する旨を通知した。上記申入れに対して被告から特段の申出はなかったため,同月27日,P3銀行と被告との間で,相互の銀行間利用料を上記申入れの内容どおりとする旨の合意が成立した。 その後も,P3銀行は,平成3年9月22日に日曜日のオンライン提携が開始された際,平成9年4月1日に消費税率が引き上げられた際,平成10年10月5日にP1運営機構におけるCDオンライン提携の平日稼働時間延長及び祝日稼働が行われた際等において,被告に対し,上記申入れと同様の申入れを行い,被告との間で,相互の銀行間利用料に関する合意を成立させてきた。(乙12~17,19,32)エその後,P1運営機構におけるシステムの接続は,前記アのP11ではなく,P17が提供するP18サービスを利用して行われることになったため,平成16年1月4日,P1運営規約及びP1取扱規則の改定が行われた。これに伴い,本件基本契約の条項も,①都市銀行とP2銀行協会加盟行は,それぞれが保有するATM等を相互に利用し,現金支払業務及び残高照会業務を行うため,P17が提供するP18サービスを利用する(4条),②銀行間利用料は,都市銀行とP2銀行協会加盟行の間でそれぞれ個別に定 れが保有するATM等を相互に利用し,現金支払業務及び残高照会業務を行うため,P17が提供するP18サービスを利用する(4条),②銀行間利用料は,都市銀行とP2銀行協会加盟行の間でそれぞれ個別に定める(7条)などと改められたが,P18センターへの切替えに合わせた改定や字句の修正にとどまり,従前の枠組みを変更するような内容ではなかった。(甲3,4,乙18)オ被告を含む都市銀行7行と,P3銀行から営業の全部譲渡を受けた原告を含むP2銀行協会加盟行は,他行カード振込業務についてもCDオンライン提携を始めることとし,平成17年4月28日,本件振込基本契約を締結した上,同日,振込取扱規則を定めた。本件振込基本契約においては,①都市銀行及びP2銀行協会加盟行は,それぞれが保有するATM等による振込みにおいて,それぞれが発行するCDカードを使用 して,振込資金等の口座からの引落し及びその他付随する業務を行う(1条),②上記業務の取扱店舗は,ATM等を設置した営業所及び代理店のうち,都市銀行及びP2銀行協会加盟行がそれぞれ定めたものとする(2条),③上記業務を行うためにP18サービスを利用する(4条),④上記業務にかかる銀行間利用料については,各提携銀行間で個別に定める(7条),⑤上記業務の取扱いは,別に定める取扱規則による(8条)ものとされていた。原告と被告は,本件振込基本契約の締結後は,前記ウと同様に,相手方の承認の下,他行カード振込業務を行った場合の銀行間利用料を相互に定めた上で,他行カード振込業務を行ってきた。(甲5,124の2)(3) 原告によるP19事業の展開についてア原告は,平成16年5月,コンビニやスーパー等の業者と提携し,全国各地のコンビニやスーパー等で自行ATM等の設置を進めるとともに,それまでは,①時 ) 原告によるP19事業の展開についてア原告は,平成16年5月,コンビニやスーパー等の業者と提携し,全国各地のコンビニやスーパー等で自行ATM等の設置を進めるとともに,それまでは,①時間内(平日午前8時45分から午後6時まで及び土曜日午後2時まで)は100円(税別),②時間外(平日の午前8時45分まで及び午後6時以降,土曜日午後2時以降並びに日祝日)は200円(税別)としていた他行顧客から徴収する顧客手数料を引き下げ,①時間内は無料,②時間外は100円(税別)とするP19事業の展開を始めた。(甲167,195~198,乙19,32)イ原告のP19事業は,次のような仕組みを前提としたものであった。 (ア) 原告は,コンビニやスーパー等の業者(以下「設置提携先」という。)と提携し,設置提携先のコンビニ店舗等に自らを設置者とするATM等を無償で設置させてもらうとともに,これを開発したP37株式会社(以下「P37」という。)に対し,上記ATM等の運用業務を委託する。 (イ) 原告は,上記ATM等を利用する顧客から顧客手数料(時間外手 数料,クレジット手数料及びP22銀行手数料)を徴収するとともに,当該利用が他行発行のCDカードによるものである場合には,他行から銀行間利用料の支払を受ける。この場合,原告は,P37に対し,ATM等運用業務の委託費用として,他行払出し1件当たり100円(ただし,ATM等開設後9か月以内の時間外他行払出しについては200円。いずれも税別。)を支払う(なお,100円のうち28円は,P37を通じて,同社の関連会社であって警備・警送業務を担当するP38株式会社に支払われる。)。また,上記ATM等においてクレジット会社やP22銀行から原告に対して手数料が支払われるような取引が行われた を通じて,同社の関連会社であって警備・警送業務を担当するP38株式会社に支払われる。)。また,上記ATM等においてクレジット会社やP22銀行から原告に対して手数料が支払われるような取引が行われた場合には,当該手数料の一部についても,原告からP37等に対する委託費用として支払われる。 (ウ) 他方,設置提携先は,P37との合意に基づき,P37に対し,上記ATM等のレンタル料や保守費用等を支払うが,上記ATMの利用件数が一定以上に達した場合には,P37から,利用件数に応じたキャッシュバックを受ける。(甲134,167,195~198,乙32)ウ原告のP19事業においては,前記イのとおり,設置提携先のコンビニ店舗等に無償でATM等を設置させてもらい,設置提携先において,P37に対してATM等のレンタル料等を支払うものとされていた上,原告がP37等に支払う委託費用の単価は,P1運営機構に加盟している大多数の金融機関の間で採用されている銀行間利用料と同額に設定されており,実質的には,他行から支払われる銀行間利用料をそのまま上記委託費用の支払に充てることが予定されていた。このため,原告は,ATM等を設置する場合に通常必要となる費用(設置場所の賃料や電気代,ATM等本体の費用,設置工事費,現金等の補填回収費用,警備費等)を大幅に削減することができるものと見込んでいた。(甲167, 195~198,乙32)エ原告は,P19事業を開始した後,株式会社P39や株式会社P40(以下「P40」という。)等を初めとするコンビニ業者等との提携を進め,設置提携先のコンビニ店舗等に自らを設置者とするATM等を設置していった。このため,原告の店舗外ATM等の設置台数は急激に増加し,それに伴い,他行発行のCDカードによる原告のATM等の利用 進め,設置提携先のコンビニ店舗等に自らを設置者とするATM等を設置していった。このため,原告の店舗外ATM等の設置台数は急激に増加し,それに伴い,他行発行のCDカードによる原告のATM等の利用件数も大幅に増加した。 原告と被告との間においても,P19事業開始後,原告のATM等を利用して現金の払出しを行う被告の顧客が増加したため,それまでは原告の支払額とほぼ拮抗していた被告の原告に対する銀行間利用料の支払額(原告から支払を受けるべき銀行間利用料の額を控除したもの)は,平成16年8月頃から,徐々に増加していった。同年1月から平成21年3月までの間における被告の原告に対する銀行間利用料支払額の推移は,別紙4のとおりであり,被告が銀行間利用料の引下げを求める前月(平成18年5月)の支払額は,約1403万円に上った。被告の支払額は,その後も増加の一途をたどり,同年12月には約3748万円,平成19年12月には約5384万円となり,本件解約の前月(平成20年7月)には,平成18年5月当時の4倍以上である約5834万円,年間約6億円にまで増大した。これに伴い,被告の銀行間利用料支払総額に占める原告への支払額の割合も増加し,後記(5)イのとおり,原告と同様に顧客手数料を無料とする事業を展開していた株式会社P41銀行(以下「P41銀行」という。)との間で銀行間利用料の引下げが合意された平成18年12月以降は,約60%から約95%の間で推移した。(乙26)(4) 本件解約に至る経緯についてア被告は,平成18年6月20日,原告に対し,本件提携業務における 銀行間利用料の支払額に不均衡が生じているとして,被告が原告に対して支払う銀行間利用料の引下げを求めた。これを受けて,原告と被告との間で,2度にわたって面談の機会が設けられたが, 業務における 銀行間利用料の支払額に不均衡が生じているとして,被告が原告に対して支払う銀行間利用料の引下げを求めた。これを受けて,原告と被告との間で,2度にわたって面談の機会が設けられたが,被告は,原告から,設置提携先との協議を理由に具体的な回答を得ることができなかったことから,同年7月31日,同年10月1日をもって本件基本契約に基づいて原告に委託しているオンライン提携業務(被告発行のCDカードによる原告のATM等を利用して現金の払出し及び残高照会を行う業務)に係る委託契約を解約する旨を通知した。(甲10,187)イこれを受けて,原告は,平成18年8月17日,被告に対し,顧客手数料の有料化を行う方向で検討中である旨を告げた。これに対し,被告は,顧客手数料の有料化による解決を図った場合には,公正取引委員会との関係が懸念されることを伝えた上で,原告との対話を続ける旨返答した。(甲187)ウところが,平成18年9月1日のP42新聞において,原告が顧客手数料を有料化する方針であることが報じられた。原告のP19事業では,設置提携先は,P37に対し,レンタル料や保守費用等を支払うものの,ATM等の利用件数が一定以上に達した場合には,利用件数に応じたキャッシュバックを受けることになっていたため,上記報道後,設置提携先の間では,利用件数の減少を招くとして,顧客手数料の有料化に対する反発が広がった。このため,原告は,顧客手数料の有料化は困難であると判断し,同月19日,被告に対し,顧客手数料を無料としたまま,銀行間利用料の引下げによる解決を図りたい旨申し入れた。これを受けて,被告は,翌20日,銀行間利用料を相互に無料化することを提案した。これに対し,原告は,同月22日,上記提案を受け入れるのは困難であると返答し,同年10月16日には りたい旨申し入れた。これを受けて,被告は,翌20日,銀行間利用料を相互に無料化することを提案した。これに対し,原告は,同月22日,上記提案を受け入れるのは困難であると返答し,同年10月16日には,銀行間利用料を80円に引き下げることを提案した。(甲22,23,187) エ被告は,原告に通知した委託契約の終了日が到来したことから,平成18年10月18日,原告の意向を踏まえて本件委託業務の委託を継続し,銀行間利用料の水準について引き続き協議したいとした上で,同年12月1日から銀行間利用料を暫定的に21円(税込み)とし,妥結後に暫定期間中の差額を支払う旨の提案をした。これに対し,原告は,同年10月26日,銀行間利用料を減額してまでP19事業を継続する意思はないとして,被告との銀行間利用料の引下げではなく,設置提携先を説得して顧客手数料を有料化することで解決したいと返答した。一方,被告は,双方のATM等の設置数や顧客数に照らし,銀行間利用料を21円に引き下げることによって銀行間利用料支払額の不均衡の是正が図られるとして,上記提案の根拠を示した上,銀行間利用料の引下げによる最終解決と暫定的な引下げの早期実施を求めた。両者の間では,平成19年2月末頃まで,銀行間利用料を暫定的に引き下げる旨の合意に向けた協議が続けられたが,原告が将来顧客手数料の有料化を実施することを前提とする条項とすることを求めたのに対し,被告がこれを拒否したため,折り合いがつかなかった。(甲11~13,131~136,180,181,187)オその後,原告は,設置提携先との間で顧客手数料有料化の交渉を行っているとして,被告から面談の申入れを受けない限り,自ら連絡することはなかった。被告は,平成19年7月31日の面談の際,原告から,P40等の設置提携先との交 携先との間で顧客手数料有料化の交渉を行っているとして,被告から面談の申入れを受けない限り,自ら連絡することはなかった。被告は,平成19年7月31日の面談の際,原告から,P40等の設置提携先との交渉を継続中である旨の説明を受けたため,その推移を見守ったが,同年12月11日,上記交渉が不調に終わったとの報告を受けた後も,何ら連絡がなかったことから,平成20年2月8日,原告に対し,改めて,銀行間利用料を1件当たり21円(税込み)として本件委託業務を受託できるかどうかについて,早急に回答するよう求めた。(甲190~192) カ原告は,平成20年3月7日,被告に対し,「現時点において弊行が最大限取り得る措置」とした上で,①設置提携先の協力を得て顧客手数料を順次有料化し,②その完了までの一時的措置として,被告の顧客がP40傘下のコンビニに設置されたATM等を利用した場合の銀行間利用料を73円に引き下げることを提案した。これに対し,被告は,上記金額では銀行間利用料の不均衡の解消は難しいとして,再度,本件委託業務を21円で受託することの可否について回答を求めた。その後も,原告と被告の間で,協議が重ねられたが,合意に至らなかったため,被告は,同年8月1日付け解約通知書によって,同年11月3日をもって本件委託契約を解約する旨通告するとともに,被告が原告から受託している業務(原告発行のCDカードを利用して被告保有のATM等による現金の払出し,残高照会及び振込みを行う業務)については,同月4日以降も従来と同じ条件で取扱いを継続することを明らかにした。(甲6~8,14,24~32)キ原告は,平成20年9月16日,被告に対し,本件解約の効力を争い,本件応答拒否の差止め等を求める仮処分を当庁に申し立てたが、同年10月3日,却下決定を受け 甲6~8,14,24~32)キ原告は,平成20年9月16日,被告に対し,本件解約の効力を争い,本件応答拒否の差止め等を求める仮処分を当庁に申し立てたが、同年10月3日,却下決定を受け,これを不服として抗告したものの,同月31日,抗告を却下された。(乙2,3)クその後,被告は,平成20年11月4日以降,本件委託契約に伴う事務処理を停止した。これに伴い,被告は,自らの顧客が自行発行のCDカードを使用して原告の設置したATM等により現金払出し,残高照会又は振込みを行おうとした場合には,本件応答拒否を行っているが,これによってP1運営機構やその加盟行等のCDオンライン提携業務に支障や混乱は生じていない。 (5) 被告と原告以外の金融機関との間における銀行間利用料についてア被告は,前記(2)ウのとおり,本件基本契約等や昭和63年に締結し た前記(1)イのオンライン現金自動支払機の相互利用に関する基本契約等の締結行との間で,相互の銀行間利用料の額について個別に合意してきたところ,このうち,P41銀行との間では相互に1件当たり21円(税込み),P43銀行との間では相互に無料,P44銀行との間では相互に一部無料で合意している。(乙42)イ上記3行のうち,P41銀行は,平成16年頃から,原告と同様に,ATM等の顧客手数料を無料とする事業を展開していた。被告は,上記事業の開始後,P41銀行に対する銀行間利用料の支払額が著しく増加したため,同行に対し,銀行間利用料の引下げを求めて交渉を重ねた。 その結果,被告とP41銀行は,平成18年11月,銀行間利用料を相互に1件当たり21円(税込み)とする旨合意した。なお,同年10月には,被告のP41銀行に対する銀行間利用料の支払額は,月額1億円近くに達していた。 は,平成18年11月,銀行間利用料を相互に1件当たり21円(税込み)とする旨合意した。なお,同年10月には,被告のP41銀行に対する銀行間利用料の支払額は,月額1億円近くに達していた。 P41銀行は,その後も現在に至るまで,被告との提携関係を維持しつつ,顧客手数料を無料とする事業も継続しており,平成21年5月には,被告との間で,顧客手数料の無料化を実施しているATM等の提携時間の延長を実施するなどしている。(乙42)(6) P30銀行と被告とのCDオンライン提携等についてア一般に,CDオンライン提携における顧客手数料徴求の仕組みは,仕向徴求方式と被仕向徴求方式の2種類に大別される。 このうち仕向徴求方式は,ATM等設置行(仕向銀行)が顧客手数料(時間内手数料,時間外手数料及び振込手数料)の額等を定めて自らこれを取得する方式であり,P1運営機構の加盟行は,便宜供与として他行の設置したATM等を利用させてもらうことに伴う費用の負担という趣旨から,この方式を採用している。この方式においては,CDカード発行行(被仕向銀行)は,顧客手数料に関して何ら決定権を持たず,こ れを取得することもできない。この方式の下では,CDカード発行行は,顧客のATM等利用件数を左右する顧客手数料の決定権を持たず,顧客のATM等利用件数に応じて銀行間利用料の支払額も変動することになることから,ATM等設置行の定めた顧客手数料体系によって,銀行間利用料の支払額が大きく左右される結果となる。 これに対し,被仕向徴求方式は,CDカード発行行(被仕向銀行)が顧客手数料の額等を定めて自らこれを取得する方式であり,金融機関と提携してコンビニのATM等を運営している株式会社P45(以下「P45」という。)及び株式会社P46 CDカード発行行(被仕向銀行)が顧客手数料の額等を定めて自らこれを取得する方式であり,金融機関と提携してコンビニのATM等を運営している株式会社P45(以下「P45」という。)及び株式会社P46(以下「P46」という。)のほか,P30銀行,P22銀行,P33銀行等がこれを採用している。この方式においては,CDカード発行行が顧客手数料についての決定権を有しており,自己の顧客戦略に従って顧客手数料の額や顧客の取引状況等に応じた優遇策等を定め,自ら顧客手数料を取得する。この方式の下では,CDカード発行行は,自らの顧客が他行のATM等を利用した場合には,当該他行に対して銀行間利用料を支払う必要があるものの,顧客のATM等利用件数を左右する顧客手数料の決定権を有しているため,自らの定めた顧客手数料体系に応じて銀行間利用料の支払額も変動することになる。(甲138~140)イ被告は,平成18年2月28日,P30銀行との間で,共同ATMに関する業務提携契約を締結し,同行に対して本件委託業務と同様のCDオンライン提携業務を委託してきた。上記契約においては,被告の顧客がP30銀行の設置するATM等を利用した場合には,被告は,P30銀行に対し,ATM利用料(銀行間利用料)を支払う一方,当該顧客からは,被告が自ら定めた料金体系に従って顧客手数料を徴収,取得するものとされている。被告とP30銀行との間で合意されたATM利用料(銀行間利用料)は,1件当たり100円(税別)であるが,平成23年 1月1日以降は,月間利用件数に応じた割引制度が導入されている。 被告のP30銀行に対する銀行間利用料の支払額(ただし,被告が取得する顧客手数料を控除する前のもの)は,本件解約の直前である平成20年7月時点では月額約6億5700万円であり,平成22年 被告のP30銀行に対する銀行間利用料の支払額(ただし,被告が取得する顧客手数料を控除する前のもの)は,本件解約の直前である平成20年7月時点では月額約6億5700万円であり,平成22年6月時点では月額約7億9300万円であった。他方,被告がP30銀行の設置したATM等を利用した自行の顧客から徴収,取得する顧客手数料の額は,平成21年6月から平成22年6月までの間,概ね2億5000万円から3億円で推移していた。(乙29,35~42)ウ被告は,P30銀行の設置したATM等を利用した自行の顧客から徴収,取得する顧客手数料を①時間内は100円(税別),②時間外は200円(税別)としていたが,平成19年3月以降,①時間内は無料,②時間外は100円(税別。ただし,優遇条件を満たす顧客に対しては終日無料。)に改めた。このため,被告の顧客は,同月以降,P30銀行の設置したATM等においても,時間内は無料で現金の払出しを行うことが可能となったが,P30銀行設置のATM等と原告の設置したATM等との間には,設置台数,利用時間,サービス内容,顧客手数料,ATM等の画面や利用明細書の記載内容等の点で,次のような相違が存在している。 (ア) 設置台数①原告設置のATM等は,2365台前後であるのに対し,②P30銀行設置のATM等は,1万5012台である。 (イ) 利用時間①原告設置のATM等は,平日午前8時から午後9時まで及び休日午前9時から午後5時まで利用可能であるのに対し,②P30銀行設置のATM等は,原則として24時間,365日間利用可能である。 (ウ) 利用可能なサービス内容 ①原告設置のATM等では,現金出金(1回10万円以内),残高照会及び振込み のATM等は,原則として24時間,365日間利用可能である。 (ウ) 利用可能なサービス内容 ①原告設置のATM等では,現金出金(1回10万円以内),残高照会及び振込み(ただし,P40内に設置されているATM等では振込みはできない。)が可能であるにとどまるのに対し,②P30銀行設置のATM等では,現金出金(1回50万円以内),残高照会,振込み(ただし,P30銀行と個別に振込業務提携をした金融機関の発行するCDカードによる振込みに限る。),入金,法人カードの利用及び暗証番号の変更が可能である。 (エ) 顧客手数料①原告設置のATM等では,時間内無料,時間外100円(税別)であり,振込みについては別途振込手数料が必要とされているのに対し,②P30銀行設置のATM等では,時間内無料,時間外100円(税別。ただし,優遇条件を満たす顧客に対しては終日無料。)であり,個人顧客が被告の本支店に対する振込みを行う場合には,振込手数料は不要とされている。 (オ) ATM等の画面や利用明細書の記載内容等①原告設置のATM等では,原告がATM等の画面や利用明細書の記載内容等の決定権を有しているため,被告がこれらを自らの広告媒体として利用することはできないのに対し,②P30銀行設置のATM等では,被告がATM等の画面や利用明細書の記載内容等の決定権を有しており,被告の広告媒体として利用することが可能である。 (甲143,乙29,31の1,35~42) 2 争点1(本件解約の効力)について(1) 原告は,P1運営機構の加盟行は本件基本合意,本件基本契約,P1運営規約,P1取扱規則及び本件振込基本契約に基づいて本件提携業務を行う債務を負っているところ,本件基本合意等は,P1運 (1) 原告は,P1運営機構の加盟行は本件基本合意,本件基本契約,P1運営規約,P1取扱規則及び本件振込基本契約に基づいて本件提携業務を行う債務を負っているところ,本件基本合意等は,P1運営機構の設立を目的として締結された団体設立契約又はその加盟行を法的に拘束するために 定められた団体規範であるから,これによって生じた加盟行間における本件提携業務を行うべき債権債務関係を個別に解消することは許されない旨主張する。 確かに,前記1で認定した事実によると,①本件基本合意や本件基本契約は,P1運営機構を通じてCDオンライン提携を行っている都市銀行の業態に属する複数の銀行と,P2銀行の業態に属する複数の銀行との間で締結されたものであり,②本件基本合意や本件基本契約では,都市銀行とP2銀行協会加盟行は,それぞれが保有するATM等を相互に利用し,現金支払業務及び残高照会業務を行い,上記業務の運営や取扱いについてはP1運営規約やP1取扱規則による旨の定めが置かれており,③本件振込基本契約も,これらの複数の銀行の間で締結され,④本件振込基本契約においても,都市銀行及びP2銀行協会加盟行は,それぞれが保有するATM等による振込みにおいて,それぞれが発行するCDカードを使用して,振込資金等の口座からの引落し及びその他付随する業務を行い,上記業務の取扱いについては別に定める取扱規則による旨の定めが置かれていたというのであるから,本件基本合意等において,CDオンライン提携関係に関する基本的な事項が定められていたことは,原告の指摘するとおりである。 しかしながら,他方,前記1で認定した事実によると,①我が国では,元々,個々の金融機関がそれぞれ自らの顧客(預金者)の利便性の向上等を目的としてATM等の設置を進めてきたこと,②その後,顧客(預 しかしながら,他方,前記1で認定した事実によると,①我が国では,元々,個々の金融機関がそれぞれ自らの顧客(預金者)の利便性の向上等を目的としてATM等の設置を進めてきたこと,②その後,顧客(預金者)の利便性を高めるため,業態ごとに業態内の金融機関の間でCDオンライン提携を進める動きが広まり,更にこれら業態間のCDオンライン提携網を接続するためにP1運営機構が設立され,これを介して各金融機関のCDオンライン提携が行われるようになったこと,③このため,P1運営機構の加盟行の間では,便宜供与として他行の設置したATM等を利用 させてもらうことに伴う費用の負担という趣旨から,自らの顧客(預金者)が他行のATM等を利用した場合には,当該他行(ATM等設置行)において顧客手数料を徴収することを認めるとともに,当該他行に対して銀行間利用料が支払われる仕組みがとられていたこと,④そこで,本件基本合意や本件基本契約では,被仕向銀行が仕向銀行に対して銀行間利用料を支払うものとされ(P18サービスへの切替えに伴う改定が行われた平成16年以降は,銀行間利用料は都市銀行とP2銀行協会加盟行の間でそれぞれ個別に定める旨が明記された。),これを締結した各都市銀行とP2銀行協会の加盟各行との間で,別途,銀行間利用料について合意されることが予定されていたこと,⑤本件振込基本契約でも,他行カード振込業務に係る銀行間利用料については,各提携銀行間で個別に定めるものとされており,別途,各行間で銀行間利用料の合意が行われることが予定されていたこと,⑥現に,本件基本契約を締結した各行は,それぞれ他行の顧客による現金の払出しが行われた場合に他行から徴収する銀行間利用料の額を個別に定めて他行の承認を得てきたこと,⑦原告と被告の間でも,本件基本契約の締結後,相手方の承認 結した各行は,それぞれ他行の顧客による現金の払出しが行われた場合に他行から徴収する銀行間利用料の額を個別に定めて他行の承認を得てきたこと,⑦原告と被告の間でも,本件基本契約の締結後,相手方の承認の下,相互に相手方の発行したCDカードを使用して自行のATM等による現金の払出しが行われた場合に相手方から徴収する銀行間利用料の額を定め,本件振込基本契約の締結後は,同様に,他行カード振込業務を行った場合の銀行間利用料を相互に定めた上で,本件提携業務を行ってきたこと等を指摘することができる。 これら諸点に照らすと,本件基本合意等は,P1運営機構を通じてCDオンライン提携を行っている都市銀行の業態に属する複数の銀行と,P2銀行の業態に属する複数の銀行との間におけるCDオンライン提携に関する基本的な枠組みを取り決めた契約であって,これによって直ちに個々の締結行間で提携業務を行うべき具体的な債権債務関係を発生させるものではなく,別途,本件基本合意等を締結した各行の間において,銀行間利用 料について合意することによって初めて,本件基本合意等で定められた上記枠組みを取り込んだ内容のCDオンライン提携業務に関する準委任契約が成立し,これに基づき,双方に具体的な債権債務関係が生ずることになると解するのが相当である。そして,上述のとおり,原告と被告は,本件基本合意等の締結後,相互に相手方の発行したCDカードを使用して自行のATM等による現金の払出しが行われた場合に相手方から徴収する銀行間利用料の額を定め,本件振込基本契約の締結後は,同様に,他行カード振込業務を行った場合の銀行間利用料を相互に定めた上で,本件提携業務を行ってきたというのであるから,これらによって,被告が原告に対して相手方の保有するATM等による現金の払出し,残高照会,振込み及びこれ 務を行った場合の銀行間利用料を相互に定めた上で,本件提携業務を行ってきたというのであるから,これらによって,被告が原告に対して相手方の保有するATM等による現金の払出し,残高照会,振込み及びこれらに付随する業務を行うことを委託するという準委任契約としての性質を有する本件委託契約が成立するとともに,原告が被告に対しても上記業務を委託する同様の性質の委託契約が成立したことになるというべきである。 そうすると,本件基本合意等によって直ちに本件提携業務を行うべき債権債務関係が発生するということはできないし,以上のような本件基本合意等の趣旨や内容等に加え,前記1で認定した我が国におけるCDオンライン提携の経緯等の諸事情,殊に,①P1運営機構の加盟行が全て相互にCDオンライン提携を行っているわけではなく,その中には,一部の加盟行との間でのみCDオンライン提携を行うにとどまるものもあることや,②本件解約後,本件応答拒否によってP1運営機構やその加盟行等のCDオンライン提携業務に格別支障や混乱は生じていないこと等をも併せ考慮すると,本件委託契約がP1運営機構の加盟行間で締結された本件基本合意等を前提として締結されたものであるからといって,そのことによって直ちに本件委託契約を解約することが妨げられるものではないというべきである。 したがって,原告の上記主張は,いずれにしても採用することができない。 (2) 次に,原告は,仮に原告と被告との間に本件委託契約という個別の法律関係が存在するとしても,本件委託業務の処理は受託者である原告の利益も目的とするものであり,本件基本合意等には期間の定めや解約に関する規定が存在しないから,被告は本件委託契約についての解除権を放棄した旨主張する。 しかしながら,前記1,2(1)で認定,説示したところ とするものであり,本件基本合意等には期間の定めや解約に関する規定が存在しないから,被告は本件委託契約についての解除権を放棄した旨主張する。 しかしながら,前記1,2(1)で認定,説示したところによると,①本件委託契約は,被告が自行の顧客のために原告の保有するATM等による現金の払出し,残高照会,振込み及びこれらに付随する業務を行うことを原告に委託する旨の準委任契約であり,②原告は,本件委託業務を遂行することによって,被告の顧客から顧客手数料を徴収するとともに,被告から銀行間利用料の支払いを受けることができるが,③これらの支払いを受けるのは,便宜供与として原告の設置したATM等を被告の顧客に利用させることに伴う費用を回収するという趣旨からのものであるというのである。これに加えて,前記1で認定した我が国におけるCDオンライン提携の経緯や趣旨,目的等を併せ考慮すると,本件委託契約が受託者である原告に対して一定の利益を確保しようとする目的に出たものであるということはできないから,委託者である被告は,民法651条により本件委託契約を解除することができるものというべきである。 また,この点をしばらく措くとしても,本件委託業務は,被告の顧客(預金者)が他行のATM等を利用して現金の払出し等を行う際に必要とされる業務であり,これを原告に委託するかどうかは,委託者である被告の顧客戦略に密接に関わるものである。これに加えて,本件委託契約の前提となる本件基本合意等には,解除権の放棄やその行使の制約等を定めた規定は見当たらない上,P1運営機構の加盟行が全て相互にCDオンライ ン提携を行っているわけでもないことは前記1,2(1)で認定,説示したとおりであるから,本件においては,被告が解除権自体を放棄したものとは解されない事情があるというべきであ 相互にCDオンライ ン提携を行っているわけでもないことは前記1,2(1)で認定,説示したとおりであるから,本件においては,被告が解除権自体を放棄したものとは解されない事情があるというべきである。 この点について,原告は,被告による解除権放棄の根拠として,本件基本合意等に期間の定めや解約に関する規定が存在しないことを指摘するけれども,準委任契約が当事者間の信頼関係を基礎とする契約であることに照らすと,期間の定めや解約に関する規定がないからといって,それのみで直ちに解除権が放棄されたとみることはできない。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (3) また,原告は,本件委託契約は継続的契約に当たるから,契約を継続しがたい重大な事由又はやむを得ない事由のない限り,これを解約することは許されない旨主張する。 確かに,前記1,2(1)で認定,説示したところによると,本件委託契約は,被告が原告に対して原告の設置したATM等による現金の払出し,残高照会,振込み及びこれらに付随する業務の委託を目的とするものであり,その性質上,ある程度の期間,受託業務を継続して行うことが予定されており,現に,原告は,長年,被告から,上記業務を受託してきたものであるから,本件委託契約が継続的契約としての性質を有するものであることは否定し難い。 しかしながら,他方,前記1,2(1)で認定,説示したところによると,①原告と被告は,いずれも銀行であり,相互に相手方の保有するATM等による現金の払出し,残高照会,振込み及びこれらに付随する業務を委託する旨の準委任契約を締結し合ってきたものであって,②これらの契約は,P1運営機構の加盟行の間で締結された本件基本合意等の内容がそのまま取り込まれたものであったというのである。このような本件委託契 する旨の準委任契約を締結し合ってきたものであって,②これらの契約は,P1運営機構の加盟行の間で締結された本件基本合意等の内容がそのまま取り込まれたものであったというのである。このような本件委託契約の内容や締結の経緯等に照らすと,原告と被告は,いずれも自らの経営判断に 基づいて対等な立場で契約関係に入った独立した事業者であり,その間に,本件提携業務の委託に関する契約関係をめぐる情報の非対称性があるわけではなく,原告の事業が本件委託契約に基づく取引に全面的に依存しているといった関係が存するわけでもないというべきである。そうすると,本件委託契約が期間の定めのない継続的契約であるからといって,これを解約するのに,契約を継続し難い重大な事由ややむを得ない事由が必要とされる理由はないといわざるを得ない。 もっとも,本件委託契約が継続的契約として当事者間の信頼関係を基礎とするものであることに鑑みると,これを解約することが信義誠実の原則に違背する場合には,その効力が否定されることはいうまでもない。 そこで,このような見地に立って本件についてみるに,前記1で認定した事実によると,①原告及び被告を含むP1運営機構の加盟行の間では,便宜供与として他行の設置したATM等を利用させてもらうことに伴う費用の負担という趣旨から,自らの顧客(預金者)が他行のATM等を利用した場合には,当該他行(ATM等設置行)において顧客手数料を徴収することを認めるとともに,当該他行に対して銀行間利用料が支払われる仕組みがとられていたものであり,加盟行が他行から支払われる銀行間利用料で収益を上げるようなことはおよそ想定されていなかったこと,②ところが,原告は,上記のような費用体系を利用し,他行から支払われる銀行間利用料でATM等の委託費用を賄うことを前提として設置提 間利用料で収益を上げるようなことはおよそ想定されていなかったこと,②ところが,原告は,上記のような費用体系を利用し,他行から支払われる銀行間利用料でATM等の委託費用を賄うことを前提として設置提携先のコンビニ店舗等に無償でATM等を設置させてもらい,他行顧客の顧客手数料を無料にして他行顧客を自行のATM等に誘引するP19事業を始めたこと,③その結果,原告のATM等を利用する被告の顧客が増加したため,それまでは原告の支払額とほぼ拮抗していた被告の原告に対する銀行間利用料の支払額は,増加の一途をたどり,本件解約時点では,交渉開始当初の4倍以上,年間約6億円もの水準に達するという想定外の事態が生じ, そのまま本件委託契約関係を継続した場合には,被告のみが一方的に多大な支出の累積を甘受しなければならない状況に陥ったこと,④このため,被告は,平成18年6月20日,原告に対し,銀行間利用料の引下げを求めて交渉に入ったが,原告側において,顧客手数料有料化の方針を伝える一方,銀行間利用料の引下幅の縮小を求めるなど,基本的な姿勢が定まらず,2年以上にわたって協議が続けられたものの,結局,銀行間利用料の引下額をめぐって折り合いがつかず,合意に達しなかったことから,本件解約に及んだものであること,⑤本件委託契約には,期間の定めはなかったが,被告は,本件解約に当たり,なお原告に契約終了に向けた準備のための猶予を与えるため,3か月強の予告期間を設け,その満了によって初めて本件解約の効力を発生させることにしたこと等を指摘することができる。 これら諸点に照らすと,本件委託契約が継続的な契約関係であることを十分考慮してみても,本件解約が信義誠実の原則に違背するものでないことは明らかというべきである。 したがって,原告の上記主張は,採用することができ すと,本件委託契約が継続的な契約関係であることを十分考慮してみても,本件解約が信義誠実の原則に違背するものでないことは明らかというべきである。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (4) 以上のとおり,本件解約は有効であり,原告と被告との間の本件委託契約は,本件解約により終了したから,本件委託契約に基づいて原告の指摘するような本件電文送信を行うべき義務が被告に生ずる余地はない。したがって,原告の被告に対する本件基本合意等又は本件委託契約に基づく債務の履行請求(請求の趣旨第1の1)は,いずれにしても理由がない。 3 争点2(本件応答拒否の一般指定2項該当性の有無)について(1) 独占禁止法2条9項6号イ,一般指定2項は,「不当に,ある事業者に対し取引を拒絶」することをもって,不公正な取引方法(不当な取引拒絶)としている。 一般に,事業者は,取引先を選択する自由を有しているから,事業者が 価格,品質,サービス等の要因を考慮して独自の判断によって他の事業者との取引を拒絶した場合には,これによって,たとえ相手方の事業活動が困難となるおそれが生じたとしても,それのみでは直ちに公正な競争を阻害するおそれがあるということはできないから,不当な取引拒絶には該当しないというべきである。もっとも,例えば,市場における有力な事業者が競争者を市場から排除するなどの独占禁止法上不当な目的を達成するための手段として取引拒絶を行い,このため,相手方の事業活動が困難となるおそれが生じたというような場合には,このような取引拒絶行為は,もはや取引先選択権の正当な行使であると評価することはできないから,公正な競争を阻害するおそれがあるものとして,一般指定2項に該当するというべきである。 (2) この点について,原告は,被告 は,もはや取引先選択権の正当な行使であると評価することはできないから,公正な競争を阻害するおそれがあるものとして,一般指定2項に該当するというべきである。 (2) この点について,原告は,被告の意向に逆らってP19事業を継続していた原告をATM等役務提供市場から排除するという独占禁止法上不当な目的を達成するために本件解約の上で本件応答拒否を行ったものであるから,本件応答拒否は公正競争阻害性を有する旨主張する。 確かに,前記1で認定した事実によると,①原告がP19事業を開始した後,他行発行のCDカードによる原告のATM等の利用件数が増加したため,②被告は,原告に対し,銀行間利用料の引下げを求め,最終的に本件解約に至ったものであり,③この間の両者の交渉過程では,原告による顧客手数料の有料化による解決が検討されたこともあったというのであるから,原告によるP19事業の開始が本件解約に至る契機となったことは,原告の指摘するとおりである。 (3) しかしながら,他方,前記1で認定した事実によると,①原告は,被告から銀行間利用料の引下げを求められたのに対し,平成18年8月の時点では,自ら顧客手数料の有料化を検討中である旨を表明していたこと,②その後,これが報道され,設置提携先の間で顧客手数料の有料化に対する 反発が広がったことから,原告は,同年9月,被告に対し,銀行間利用料の引下げによる解決の意向を申し入れ,以来,両者の間で,銀行間利用料の引下額や引下時期等をめぐる交渉が重ねられたこと,③ところが,原告は,同年10月には,銀行間利用料を減額してまでP19事業を継続する意思はないとして,再び被告に対して顧客手数料の有料化の方針を伝えたこと,④被告は,平成18年8月に原告から顧客手数料の有料化を検討中である旨を伝えられた当初から,公正取 てまでP19事業を継続する意思はないとして,再び被告に対して顧客手数料の有料化の方針を伝えたこと,④被告は,平成18年8月に原告から顧客手数料の有料化を検討中である旨を伝えられた当初から,公正取引委員会との関係での懸念を示しており,その後の交渉過程においても,顧客手数料の有料化を前提とする合意を締結することに難色を示していたこと等を指摘することができる。 これら諸点に照らすと,むしろ原告の方が顧客手数料の有料化による解決に積極的な姿勢を示していたことがうかがわれるのであって,被告が顧客手数料の有料化によって原告をP19事業から撤退させ,ATM等役務提供市場から排除する目的を有していたということはできない。 また,前記1で認定した事実によると,P1加盟行である原告と被告との間では,仕向徴求方式がとられているため,委託者である被告(CDカード発行行)は,顧客のATM等利用件数を左右する顧客手数料の決定権を持たず,顧客のATM等利用件数に応じて銀行間利用料の支払額も変動することになることから,受託者である原告(ATM等設置行)の定めた顧客手数料体系によって,銀行間利用料の支払額が大きく左右される結果となるというのである。このような事情の下では,委託者である被告が本件委託業務の委託報酬に当たる銀行間利用料の支払額を抑制するには,受託者である原告に対して銀行間利用料の引下げを求めるか,又は本件委託契約を解約して委託を取り止めるか,いずれかの方法によるしかないことになる。ところが,前記1で認定した事実によると,①原告がP19事業を開始した後,原告のATM等を利用して現金の払出しを行う被告の顧客が増加したため,被告の原告に対する銀行間利用料の支払額は,増加の一 途をたどり,②このため,被告は,平成18年6月20日,原告に対し,銀行間利用 ATM等を利用して現金の払出しを行う被告の顧客が増加したため,被告の原告に対する銀行間利用料の支払額は,増加の一 途をたどり,②このため,被告は,平成18年6月20日,原告に対し,銀行間利用料の引下げを求め,2年以上にわたって交渉を続けたものの合意に達しなかったことから,本件解約に至ったものであって,③被告の原告に対する銀行間利用料の支払額は,この間に4倍以上に増大し,年間約6億円もの水準に達していたというのであるから,被告が本件解約に至ったことには正当な理由があるというべきである。 (4) これに対し,原告は,被告の不当な目的を裏付ける事情として,被告が提案した1件当たり21円(税込み)という銀行間利用料の額には合理的根拠がなく,原告においてこれを受け入れることはP19事業の仕組みとの関係で不可能であり,被告もこれを認識していたことを指摘する。 しかしながら,前記1で認定した事実によると,①P41銀行もATM等の顧客手数料を無料とする事業を展開しているところ,②被告は,同行に対しても銀行間利用料の引下げを要請し,③同行は,これに応じて銀行間利用料を21円(税込み)に引き下げた後も,被告との提携関係を維持しつつ,顧客手数料を無料とする事業も継続し,更に被告との提携時間の延長等を実施しているというのであるから,このような事情も踏まえれば,1件当たり21円という銀行間利用料がおよそ不合理なものであると断じることはできない。また,前記1で認定したとおり,原告のP19事業においては,他行から支払われる銀行間利用料をそのままP37に対する委託費用の支払に充てること等が予定されていたからといって,被告において,このような仕組みが成り立つような金額を銀行間利用料として原告に支払い続けることを甘受しなければならない理由はないとい 対する委託費用の支払に充てること等が予定されていたからといって,被告において,このような仕組みが成り立つような金額を銀行間利用料として原告に支払い続けることを甘受しなければならない理由はないというべきである。 (5) また,原告は,被告の不当な目的を裏付ける事情として,被告がATM等の顧客手数料を無料とする事業を展開しているP30銀行に対してCDオンライン提携業務を委託し,月額約6億4719万円(平成20年6月~10月の平均額)の銀行間利用料の支払を行っているが,原告とP30 銀行との間にはATM等のサービス内容に実質的な差異はないことを指摘する。 しかしながら,前記1で認定した事実によると,①P30銀行設置のATM等と原告の設置したATM等との間には,設置台数,利用時間,サービス内容,顧客手数料,ATM等の画面や利用明細書の記載内容等の点において,様々な相違があるのみならず,②被告とP30銀行との間では,委託者である被告(CDカード発行行)が顧客手数料についての決定権を有し,自己の顧客戦略に従って顧客手数料の額や顧客の取引状況等に応じた優遇策等を定め,自ら顧客手数料を取得することができるものとされているため,③被告は,顧客のATM等利用件数を左右する顧客手数料の料金体系を変更することによってP30銀行に対する銀行間利用料の支払額を変動させることが可能であり,④P30銀行のATM等を利用した顧客から,顧客手数料(時間内手数料,時間外手数料及び振込手数料)を徴収,取得することもできるというのであるから,被告がP30銀行との間ではCDオンライン提携業務の委託を続けたからといって,このことをもって,本件解約が不当な目的で行われたことを裏付ける事情であるということはできない。 (6) 次に,原告は,被告の不当な目 間ではCDオンライン提携業務の委託を続けたからといって,このことをもって,本件解約が不当な目的で行われたことを裏付ける事情であるということはできない。 (6) 次に,原告は,被告の不当な目的を裏付ける事情として,被告が銀行間利用料の支払額が1億円にも達していたP41銀行との間では銀行間利用料を21円とする旨合意する一方,これと同時期に原告に対しては銀行間利用料の無料化を要請したことを指摘する。 しかしながら,被告が原告との交渉の初期段階においてP41銀行との最終的な合意内容と同一の条件を提示しなかったことが不自然,不合理であるとまでいうことはできない。 (7) さらに,原告は,被告の不当な目的を裏付ける事情として,本件解約が行われた平成20年11月以降も,被告における銀行間利用料の支払超過 が解消されていないことを指摘する。 しかしながら,前記1で認定した事実によると,①本件解約の前月には,被告の原告に対する銀行間利用料の支払額は,月額約5834万円,年間約6億円の水準に達しており,②被告における銀行間利用料の支払総額の約60%から約95%の間を占める状態が続いていたというのであるから,前記(3)で説示した諸事情をも併せ考慮すると,被告の銀行間利用料の支払超過が本件解約後も続いているからといって,本件解約が不当な目的で行われたことを裏付ける事情であるということはできない。 (8) 以上のとおり,被告が本件解約により本件委託契約が終了したのに伴って本件応答拒否をしたことについて,公正競争阻害性があるということはできず,独占禁止法2条9項6号イ,一般指定2項所定の不当な取引拒絶に当たるということはできない。したがって,原告の被告に対する独占禁止法24条に基づく差止請求(請求の趣旨第1の3)は,その ことはできず,独占禁止法2条9項6号イ,一般指定2項所定の不当な取引拒絶に当たるということはできない。したがって,原告の被告に対する独占禁止法24条に基づく差止請求(請求の趣旨第1の3)は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 4 争点4(債務不履行又は不法行為の成否)について(1) 原告は,本件応答拒否は,本件基本合意等又は本件委託契約に基づく債務の不履行に該当し,原告の上記契約上の権利を侵害するとともに,独占禁止法19条にも違反する行為として不法行為を構成する旨主張する。 (2) しかしながら,被告には本件基本合意等又は本件委託契約に基づき本件電文送信を行う義務が存しないことは,前記2で認定,説示したとおりであり,また,本件応答拒否が独占禁止法19条に違反するものでないことは,前記3で認定,説示したとおりであるから,原告の上記主張は,採用することができない。 したがって,原告の被告に対する債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求(請求の趣旨第1の2)は,その余の点について判断するまでもなく,理由がない。 5 結論以上によれば,原告の請求はいずれも理由がないのでこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第8部 裁判長裁判官福井章代 裁判官日置朋弘 裁判官秋吉信彦
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