平成13(わ)622 有印私文書偽造,同行使,電磁的公正証書原本不実記録,同供用,窃盗,詐欺,免状不実記載,道路交通法違反,犯人隠避教唆,恐喝,公正証書原本不実記録,同行使,脅迫,道路運送車両法違反被告事件

裁判年月日・裁判所
平成15年5月28日 仙台地方裁判所
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判決文本文3,859 文字)

主文 被告人を懲役9年に処する。 未決勾留日数中500日をその刑に算入する。 (事案の概要)本件は,おおむね時系列順に,被告人が,① 自動二輪車を窃取した窃盗の事案,② 暴走族の総長として集団暴走を計画し,自らも無免許で自動二輪車を運転して一般車両の通行を妨害した上,その処罰を免れるために,後輩を自己の身代わりとして警察に出頭させた道路交通法違反,犯人隠避教唆の事案,③ 2度にわたって,いわゆる美人局を行い金品を喝取した恐喝の事案,④ 無断で合計22件,17名分の住民異動を行い,2通の国民健康保険被保険者証(以下「保険証」という。)をだまし取った有印私文書偽造,同行使,電磁的公正証書原本不実記録,同供用,詐欺の事案,⑤ 不正に入手した保険証等を利用して消費者金融業者2店から現金をだまし取ろうとしたが,未遂に終わった有印私文書偽造,同行使,詐欺未遂の事案及び同様の方法で消費者金融業者4店から現金をだまし取った詐欺の事案,⑥ 合計9台の車両を窃取し,そのうち6台を中古車買取業者に売却して現金をだまし取った窃盗,詐欺の事案,⑦ 無断で他人の婚姻届4通及び養子縁組届1通を偽造して市役所等に提出し,うち婚姻届3通を受理させた有印私文書偽造,同行使,公正証書原本不実記載,同行使,公正証書原本不実記載未遂の事案,⑧ 共犯者の女性を,上記⑦の婚姻届の提出によって作り出した架空の人物(以下「架空人」という。)に成りすまさせ,不正に架空人名義の原動機付自転車の運転免許証2通を取得した有印私文書偽造,同行使,免状不実記載,道路交通法違反の事案,⑨ 無断で婚姻させた男女1組の離婚届を偽造し,役所に提出してこれを受理させた有印私文書偽造,同行使,公正証書原本不実記載,同行使の事案である。 (量刑事情の要旨)第 記載,道路交通法違反の事案,⑨ 無断で婚姻させた男女1組の離婚届を偽造し,役所に提出してこれを受理させた有印私文書偽造,同行使,公正証書原本不実記載,同行使の事案である。 (量刑事情の要旨)第1 次の各事情によれば,被告人の刑事責任は極めて重大である。 1 前記①ないし③の各犯行について(省略) 2 前記④ないし⑨の各犯行について(1) 前記④ないし⑨の各犯行が順次計画された経過の概要は以下のとおりである。(省略)(2) 被告人は,少年院仮退院中から本件犯行を始め,その後,犯罪行為を繰り返しながら逃亡生活を続け,逃走資金や生活費等を得る手っ取り早い方法として,雑誌の記事等を参考にしながら,前記のような犯行計画を次々と考え出し,その計画を共犯者に持ちかけて実行に移し,途中,何人もの共犯者が逮捕されたという事実や自らも検挙されそうになった事実を経てもなお,社会や関係者多数への影響等を一切顧みることもせず,約1年間にわたって,各地を転々としながら常習的に本件各犯行を敢行していったのであって,誠に身勝手極まりないというほかはない。 犯行態様についてみても,前記のとおり,本件各犯行はいずれも極めて計画的であり,被告人とその共犯者間においては,それぞれの役割分担が明確にされ,入念な準備行為を経た上で,非常に手際よく実行されている。そして,前記のとおり,犯行を重ねるうちにますます巧妙化し,最終的には虚偽の婚姻届の提出にまで及んでいる上,無断で婚姻させた男女のうち1組については,犯行の発覚を遅らせるために,婚姻届提出後10日間ほどで再び離婚届を出すなどしているのであって,極めて悪質である。 被告人は,本件各犯行のすべてについて詳細で具体的な犯行計画を立て,窃盗においては,共犯者と共に,窃取する自 10日間ほどで再び離婚届を出すなどしているのであって,極めて悪質である。 被告人は,本件各犯行のすべてについて詳細で具体的な犯行計画を立て,窃盗においては,共犯者と共に,窃取する自動車を探し出し,工具を使用して自動車のドアロックを開け,合いかぎを製作するなどの実行行為を担っている。また,住民異動手続等や中古車買取業者への売却,消費者金融業者への申し込み等においては,共犯者に対して具体的な指示を出して実行させ,利益分配の点でも,共犯者A及びBとの犯行においては,Bの分も含めて6割の分け前を,Aが関与していない犯行においては,Bの分も含めてほぼ全額を取得していたのであり,被告人が,終始,本件各犯行の中心的存在であったことは明らかである。のみならず,被告人は,各犯行につき対人接触が必要な場面には一切かかわらないことで,自らは極力安全なところに身を置き続け,特に,福岡県内及び宮城県内においては,これまた自らの指示により,上記の対人接触役として,多数の年少者を言葉巧みに犯罪行為に巻き込んでいるのであって,甚だ悪質であり,この点も,共犯者中でも一際厳しい処罰を考えざるを得ない重要な要素である。 さらに,本件各犯行による財産的被害についてみると,消費者金融業者からだまし取った金額は合計約100万円に上り,窃取した自動車は9台,窃盗の被害総額は合計約1400万円にもなり,うち6台については中古車買取業者への売却を通じて,合計500万円余りの詐欺の被害を生じさせているのであって,各被害者が受けた財産的被害は多大である。 また,被告人らは,無断で5組の婚姻届及び養子縁組届を偽造して市役所等に提出し,うち3組の婚姻届を受理させ,さらに,そのうち1組については,その後離婚届まで偽造して提出している。また,無断で また,被告人らは,無断で5組の婚姻届及び養子縁組届を偽造して市役所等に提出し,うち3組の婚姻届を受理させ,さらに,そのうち1組については,その後離婚届まで偽造して提出している。また,無断で22件,17人分の住民異動を行い,その結果手に入れた保険証,住民票及び印鑑登録証明書等を消費者金融業者からの借入れや中古車の売却に悪用していたのであって,無断で婚姻届を偽造し提出されたり,住民登録を異動され,知らぬ間に車両の名義人などにされた被害者らが受けた事実上の不都合及び困惑や不安等の精神的苦痛は大きい。とりわけ,戸籍に婚姻や離婚をした旨の記載をされてしまった被害者が受けた精神的苦痛は甚大である。 加えて,被告人らの犯行は,各地で婚姻届等の受理手続,住民異動手続及びそれに付随する保険証等の発行事務手続,運転免許証の取得手続等を甚だしく混乱させ,ひいては,円滑,迅速な行政執行や行政サービスの在り方に制約,支障を来すとともに,戸籍をはじめとするこれらの制度自体の信頼を害し,さらには,社会生活の中で公文書として高度の信用性をもつべきはずの保険証や印鑑登録証明書,運転免許証等の信用をも害したのである。そして,従前の戸籍法上は,無断で婚姻届等を提出された被害者は,婚姻が無効になった場合であっても戸籍上は抹消という形を取らざるを得ず,その痕跡を完全に払拭することができなかったことから,そのような不都合を是正するために,被告人らの犯行をきっかけとして,一定の場合には戸籍上から婚姻の記載自体を抹消することができるという内容で戸籍法が改正されるにまで至っているのであるが,それほど,被告人らの犯行が社会に与えた影響は計り知れないものがあったというべきである。 しかも,本件各犯行は,各種公証制度の悪用を目的とした同種ないし類似 で至っているのであるが,それほど,被告人らの犯行が社会に与えた影響は計り知れないものがあったというべきである。 しかも,本件各犯行は,各種公証制度の悪用を目的とした同種ないし類似事犯を誘発させる模倣性をも帯びているというべく,一般予防の見地からも,一段と厳しい科刑を念頭に置かなければならない。 第2 もっとも,各犯行中には判示のとおり未遂に終わっているものや被害品の一部が還付されているものがあるほか,経済的な損害を被った被害者のうち,被害品の還付等による損害の回復がされなかった13名の被害者に対しては,被告人の父が合計780万円余りを支払って被害弁償をし,示談が成立しており,そのうち5名の被害者は被告人に対する宥恕の意思を示している。 そして,被告人は,逮捕直後から本件各犯行を素直に認め,長期間の身柄拘束を通じて,本件各犯行やこれまでの自身の生活を振り返り,反省・悔悟の情を深めている。また,被告人は若年で前科がなく,社会復帰後は法律関係の資格を取ってまじめに稼働したいとの希望を持ち,勾留中もそのための書物を読むなどしており,更生の意欲もうかがわれる。さらに,被告人の父が,公判廷において,被告人の社会復帰後,自身が経営する会社で被告人を稼働させるなどしてその指導監督に当たることを誓っていることなど,被告人にとって酌むべき事情も認められ,科刑上相応の考慮が求められる。 第3 しかしながら,これらの被告人にとって有利に解すべき事情を十分考慮しても,被告人の本来の刑事責任が前記のとおり甚だ深刻,重大であることからすると,結局,被告人に対し,主文掲記の刑を科すことは,誠にやむを得ないというべきである。 平成15年5月28日仙台地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官畑中英明 ,被告人に対し,主文掲記の刑を科すことは,誠にやむを得ないというべきである。 平成15年5月28日仙台地方裁判所第1刑事部裁判長裁判官畑中英明裁判官佐々木直人裁判官大塚さや子

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