平成20(少コ)1346 損害賠償請求事件(通常手続移行)

裁判年月日・裁判所
平成21年2月10日 東京簡易裁判所 棄却
ファイル
hanrei-pdf-37696.txt

判決文本文4,382 文字)

- 1 -平成21年2月10日判決言渡東京簡易裁判所平成20年(少コ)第1346号損害賠償請求事件(通常手続移行)判決主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1請求の趣旨被告は原告に対し,金50万円を支払え。 第2事案の概要 請求原因及び原告の主張の要旨( )原告は被告から,平成19年8月31日,下記の土地建物(以下「本件土 地建物」という)を,代金2200万円で買い受けた(以下「本件契約」と。 いう。 )記①所在・地番静岡県熱海市町b番ca地目・地積山林961平方メートル②所在・地番静岡県熱海市a町b番d地目・地積山林16平方メートル③所在静岡県熱海市a町b番地c家屋番号d番e種類・構造居宅・車庫鉄筋コンクリート・鉄骨造陸屋根6階建床面積1階㎡2階㎡3階㎡34.10114.15121.624階㎡5階㎡6階㎡179.92179.92161.70- 2 -( )本件建物の1階車庫には家財道具など大量の残置物があり,本件土地の竹 薮などの地上・地中にもベッドマットなどの残置物が大量にあり,原告はこれらの残置物を撤去するために,建物の修理費用とは別に50万円余りの費用を要した。 ( )被告は,原告が現地を見分した際に車庫の内部を原告に見せず,車庫内や 土地内に前記残置物があることを原告に伝えないまま本件契約を締結したのであり,瑕疵担保責任免除の特約があっても,原告に知らされなかった1階車庫内及び本件土地の地上・地中に隠れていた大量の残置物による売主としての被告の責任は免れない。 ( )原告は,少なくとも前記土地の地中に埋まっていた残置物の廃棄処分費用 相当額である50万円の損害を受 び本件土地の地上・地中に隠れていた大量の残置物による売主としての被告の責任は免れない。 ( )原告は,少なくとも前記土地の地中に埋まっていた残置物の廃棄処分費用 相当額である50万円の損害を受けているから,被告には本件土地建物の売主として,これを賠償する責任がある。 被告の主張の要旨( )本件契約は,土地及び中古建物の売買であり「公簿面積「現状有姿」 ,」,による売買とし,売主の瑕疵担保責任を一切免除する旨の特約がある。 ( )本件契約前の平成19年8月28日に,原告が本件土地建物を見分した 際に,建物1階の車庫の電動式シャッターが開かず見分できなかったが,シャッターが開くように通電等の手配をした上で日を改めて見分しようと被告が提案したのに,原告はこれに応じず,内部を見る必要はないとして自ら見分の機会を放棄した。 ( )被告は,平成17年6月17日,本件土地建物を温泉利用の目的で訴外甲 から購入したが,その後温泉利用ができないことが判明し,一度も現地へ行くことなく放置していたため,本件契約当時,本件車庫内の残置物や本件土地上の残置物の存在は知らなかった。これを知りつつ,あえて原告に告げなかったのではない。 本件の争点- 3 -本件契約における瑕疵担保責任免除特約の意義及びその適用範囲第3当裁判所の判断 認定事実証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 ( )本件土地は地目山林(現況宅地)であり,本件建物は昭和39年10月に 新築された6階建てである(甲1,乙7。 )( )原告代表者は,後記の契約交渉を始める平成19年8月26日以前から, 本件土地建物の評判を聞きつけ,熱海の現地を見に行ったことがあり,これを修理してアパートか民宿として活用することを目的に購入を検討してい 者は,後記の契約交渉を始める平成19年8月26日以前から, 本件土地建物の評判を聞きつけ,熱海の現地を見に行ったことがあり,これを修理してアパートか民宿として活用することを目的に購入を検討していた(原告代表者。 )( )平成19年8月24日,被告側の不動産仲介業者である株式会社Aの乙の もとに,株式会社Bの丙から,本件土地建物を買いたい人物を紹介したいとの連絡が入り,同月26日に原告代表者及び原告側仲介業者と契約に向けての話し合いをすることになった。原告代表者は,同26日に,原告側の不動産仲介業者であるC株式会社の丁とともに,株式会社Aの乙及び戊との間で本件契約の交渉を行い,売買価格については被告側が当初提示した2700万円から2500万円への値下げを求め,翌々日の同月28日に,関係者で熱海の現地を見分することとなった。その際,原告代表者は株式会社Aの乙に対し,手付金として100万円を支払おうとしたが,乙は交渉の結果,契約書及び重要事項説明書の内容が変更になることから,預り金として受け取り,預り証を交付した(乙6,証人乙。 )( )現地見分の予定日である8月28日には,C株式会社の関係者は現地に来 ず,原告代表者,株式会社Aの乙及び戊の3人が午後1時30分頃現地に集まった。3人は3階の玄関から本件建物に入り,順次内部の各部屋を見て回り,建物の損傷状況や相当量の残置物がある状況を確認した。原告代表者から1階車庫の内部を見たいとの申出があったが,建物内部から車庫へ行くこ- 4 -とはできず,外部からの入口シャッターが電動式で当時は通電されていなかったため,戊が後日シャッターを開閉できる状態に通電してから再度見分するように勧めたが,原告代表者は「まあいいや」と答え,駐車できる台数は2台程である旨の戊の説明を聞いただけで,車 通電されていなかったため,戊が後日シャッターを開閉できる状態に通電してから再度見分するように勧めたが,原告代表者は「まあいいや」と答え,駐車できる台数は2台程である旨の戊の説明を聞いただけで,車庫の再見分は求めなかった。 また,原告代表者が「敷地の境界はどこか」と質問したので,乙らが敷地の範囲を説明し,脇の竹薮付近にベッドマットレス等が放置されている状況を確認したが,原告代表者からは特に質問はなかった(乙6,証人乙。 )( )同28日の夜,熱海の現地から戻った後で,丁から価格を2100万円に 値引きするように求める連絡が乙宛に入った。これを受けて乙が被告の意向を確認した上で,購入後一定期間放置していたことによる隠れた瑕疵があり得ること,建物の老朽化も相当進行していること,残置物の処理のこと等を考慮して値引きに応じることとし,2150万円を提示した。丁との交渉の結果,この2150万円にC株式会社が取得する50万円を加えた2200万円まで値引きし,売主の一切の瑕疵担保責任を免除し,残置物について責任を負わないとする特約を付して契約することに合意した(乙6,証人乙。 )( )同年8月31日,新宿の己司法書士事務所において本件契約書を取り交わ し,D銀行E支店において代金決裁を行った。その際,預かり金100万円を手付金として代金の一部に充当した(乙6,証人乙。本件契約書(甲1))及び重要事項説明書(乙7)には,本件土地につき公簿売買とすること,本件建物につき現状有姿売買とすること,売主の瑕疵担保責任を一切免除する旨の特約の記載がある。 ( )本件建物の1階車庫内には相当量の残置物があり,本件土地上にも一定量 の残置物があるが(甲3,地中に埋められていたとする残置物の存在は必ず)しも明らかではない。残置物の種類は,冷蔵庫・テレ )本件建物の1階車庫内には相当量の残置物があり,本件土地上にも一定量 の残置物があるが(甲3,地中に埋められていたとする残置物の存在は必ず)しも明らかではない。残置物の種類は,冷蔵庫・テレビ・扇風機等の電化製品,マットレス・畳,食器類・お膳類等の厨房器具類等である。残置物の量は,全体で4トントラック8台分,2トントラック2台分,合計で約36ト- 5 -ン程度であったが,建物内の各居室,1階車庫,敷地内ごとの量は明らかでなく(証人庚,地中に埋められていたとする残置物の量も明らかでない。原)告は,本件残置物の撤去費用として,約50万円を証人庚が代表取締役である訴外株式会社Fに支払った(証人庚,甲7。 ) 瑕疵担保責任免除特約の意義及びその適用範囲以上の事実を踏まえて,本件契約における瑕疵担保責任免除特約の意義及びその適用範囲について検討する。 ( )上記で認定した本件契約交渉の過程をみると,購入後一定期間放置してい たことによる隠れた瑕疵があり得ること,建物の老朽化も相当進行していること,残置物の処理等を考慮して,当初被告が提示した価格2700万円が結局2200万円まで値引きされ,その値引きの代わりの条件として売主の瑕疵担保責任を一切免除する旨の特約を盛り込むことになったものと認められる。そうすると,本件契約における瑕疵担保責任免除特約は,土地につき公簿売買とすること,本件建物につき現状有姿売買とすることと相俟って,単なる建物の構造上の瑕疵や土地建物の権利についての瑕疵だけでなく,建物内及び土地上の残置物の質・量についての認識の違いがあった場合についても,その処理費用等についての売主(被告)の責任を免責する趣旨のものとして合意されたものと解するのが相当である。 ( )また,原告代表者は,1階車庫のシャッターを開けた状 の違いがあった場合についても,その処理費用等についての売主(被告)の責任を免責する趣旨のものとして合意されたものと解するのが相当である。 ( )また,原告代表者は,1階車庫のシャッターを開けた状態で内部の見分を することを勧められたがこれを断ったこと,敷地の範囲・境界についても説明を受けて見分し,脇の竹薮付近にベッドマットレス等が放置されている状況を確認していること,被告が1階車庫内部の残置物の状況や,土地上の残置物の状況について,ことさら事実と異なる説明をしたと認めるに足りる証拠はないことからすると,原告代表者は本件土地建物の状況を実地見分により十分認識し,又は認識しうる状況で前記瑕疵担保責任免除特約に合意したものと推認するのが相当である。 - 6 - まとめ以上のとおりであるから,原告代表者は本件土地建物の状況を十分に認識した上で,本件建物内及び土地上の残置物の処理費用等についての被告の責任を,も免責する趣旨の本件瑕疵担保責任免除特約に合意したものと認められるので原告が本件残置物の撤去費用として訴外株式会社Fに支払った約50万円を原告の損害とみることはできない。 よって,原告の本件損害賠償請求には理由がないのでこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京簡易裁判所民事第9室藤岡謙三裁判官

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る