平成12年(行ケ)第300号特許取消決定取消請求事件(平成13年10月29日口頭弁論終結)判決原告クイーンズユニバーシティアットキングストン訴訟代理人弁理士佐伯憲生被告特許庁長官及川耕造指定代理人宮本和子同森田ひとみ同宮川久成 主文 特許庁が平成10年異議第74645号事件について平成12年3月27日にした決定を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告主文と同旨 2 被告原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は、名称を「光化学療法による悪性および非悪性病変の検出および治療方法」とする特許第2731032号発明(1989年7月28日米国特許出願に基づく優先権主張、平成2年7月25日国際出願、平成9年12月19日設定登録、以下「本件発明」という。)の特許権者である。 上記特許につき特許異議の申立てがされ、特許庁は、同特許異議の申立てを平成10年異議第74645号事件として審理した上、平成12年3月27日、「特許第2731032号の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は同年4月19日原告に送達された。 (2) 原告は、本件決定の取消しを求める本訴提起後の平成13年8 の請求項1ないし5に係る特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。)をし、その謄本は同年4月19日原告に送達された。 (2) 原告は、本件決定の取消しを求める本訴提起後の平成13年8月23日、願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載を訂正する旨の訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2001-39136号事件として審理した上、同年10月4日、上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」といい、本件訂正審決に係る訂正を「本件訂正」という。)をし、その謄本は同月16日原告に送達された。 2 特許請求の範囲の記載(1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載(注、本件訂正による削除部分を下線で示す。)【請求項1】プロトポルフィリンIXをその代謝前駆体から選択的に蓄積する急速に成長する組織の検出又は処理における患者の生体内での使用のため光化学的療法用又は診断用組成物であって、前記急速に成長する組織は、皮膚、結膜、粘膜、子宮内膜及び尿路上皮の悪性及び非悪性異常又は病変から成る群から選択されるものであり、該組成は、前記患者の前記組織において光化学的に有効な療法的又は診断的量の前記プロトポルフィリンIXが生体内蓄積するのに有効な量の該プロトポルフィリンIXの前記前駆体を含んで成る、ことを特徴とする組成物。 【請求項2】前記組成物が光活性化光への前記患者の組織の暴露に先立って該患者に投与される、請求項1に記載の組成物。 【請求項3】前記光活性化光が350~635ナノメーターの範囲にある、請求項2に記載の組成物。 【請求項4】生体内処理されるべき前記患者からの前記急速に成長する組織が、呼吸器、消化器もしくは腔の粘膜、口、咽頭、食道、胃、腸、腸付属器、直腸、肛門管、鼻道、鼻腔、鼻咽腔、気管、気管支、細 【請求項4】生体内処理されるべき前記患者からの前記急速に成長する組織が、呼吸器、消化器もしくは腔の粘膜、口、咽頭、食道、胃、腸、腸付属器、直腸、肛門管、鼻道、鼻腔、鼻咽腔、気管、気管支、細気管支、尿管、膀胱、尿道、膣、頚管、子宮、壁側胸膜又は肺胸膜、腹腔および骨盤腔の内層、並びにそれらの腔の内部に含まれる器管の表面、硬膜および髄膜の悪性又は良性の異常又は病変から選択される、請求項1に記載の組成物。 【請求項5】前記プロトポルフィリンIXの前駆体が5-アミノレブリン酸である、請求項1~4のいずれか1項に記載の組成物。 (2) 本件訂正によって訂正された特許請求の範囲の記載【請求項1】プロトポルフィリンIXをその代謝前駆体から選択的に蓄積する急速に成長する組織の処理における患者の生体内での使用のため光化学的療法用組成物であって、前記急速に成長する組織は、皮膚、結膜、粘膜、子宮内膜及び尿路上皮の悪性及び非悪性異常又は病変から成る群から選択されるものであり、該組成は、前記患者の前記組織において光化学的に有効な療法的量の前記プロトポルフィリンIXが生体内蓄積するのに有効な量の該プロトポルフィリンIXの前記前駆体を含んで成る、ことを特徴とする組成物。 【請求項2~5】上記(1)と同じ。 3 本件決定の理由本件決定は、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおり認定した上、本件発明は、「CancerLetters」36(1987)1~10頁記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反して特許されたものであり、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条1項及び2項の規定により取り消すべきも から、特許法29条2項の規定に違反して特許されたものであり、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)4条1項及び2項の規定により取り消すべきものとした。 第3 当事者の主張 1 原告本件決定が、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおり認定した点は、本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたため、誤りに帰したことになる。そして、この瑕疵は本件決定の結論に影響を及ぼすものであるから、本件決定は違法として取り消されるべきである。 2 被告本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは認める。 第4 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により特許請求の範囲の記載が上記のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって、請求項1及びこれを直接又は間接に引用する請求項2~5のいずれについても、特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると、本件決定が、本件発明の要旨を本件訂正前の特許請求の範囲のとおりであると認定したことは、結果的に誤りであったことに帰する。そして、これが本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから、本件決定は、瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって、原告の請求は理由があるから認容し、訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第13民事部裁判長裁判官篠原勝美裁判官長沢幸男裁判官宮坂昌利 原勝美 長沢幸男 宮坂昌利
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