- 1 -主文 本件訴えのうち,以下の部分を却下する。 (1)請求の趣旨(1)アに係る訴え(2)請求の趣旨(1)イ及びウのうち別紙WTC契約目録5記載の契約に係る部分,同目録1~4記載の各契約に係る部分のうち平成15年1月分まで及び平成16年2月分以降の賃料及び共益費の支出命令の違法を理由とする部分に係る訴え(3)請求の趣旨(1)エに係る訴え(4)請求の趣旨(2)に係る訴え(5)請求の趣旨(3)アに係る訴え(6)請求の趣旨(3)イ及びウのうち平成15年1月分まで及び平成16年4月分以降の賃料及び共益費の支出命令の違法を理由とする部分に係る訴え(7)請求の趣旨(3)エに係る訴え 原告らのその余の訴え及び参加人らの訴えに係る請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,参加によって生じた費用は参加人らの負担とし,その余の費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1請求 請求の趣旨(1)48号ア被告市長は株式会社ワールドトレードセンタービルディング以下W,(「TC社」という)に対し,別紙WTC契約目録1~4記載の各契約(以。 「」,,下WTC契約1~4といい別紙ATC契約目録記載の各契約も含め同様に略称し「WTC契約「ATC契約」と総称する)に係る毎月,」,。 の賃料及び共益費(以下,合わせて「賃料等」という)として,平成2。 0年3月分以降,別表第1の4のうちWTC契約1~4に係る適正賃料等- 2 -欄記載の各金額を超える額の公金を支出してはならない。 イ被告市長は,WTC社に対し,66億7916万7496円及びうち35億5137万2242円については平成16年6月4日から,うち31億2779万5254円については平成20年2月1日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合に ,66億7916万7496円及びうち35億5137万2242円については平成16年6月4日から,うち31億2779万5254円については平成20年2月1日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を大阪市に支払うよう請求せよ。 ウ被告市長は,Aに対し,5000万円及びこれに対する平成16年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を大阪市に支払うよう請求せよ。 エ被告市長は,亡B相続人に対し,5000万円及びこれに対する平成16年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を大阪市に支払うよう請求せよ。 (2)51号被告水道局長は,WTC社に対し,WTC契約5に係る毎月の賃料等として,平成20年3月分以降,別表第1の4のうちWTC契約5に係る適正賃料等欄記載の金額を超える額の公金を支出してはならない。 (3)52号,(「」ア被告市長はアジア太平洋トレードセンター株式会社以下ATC社という)に対し,ATC契約に係る毎月の賃料等として,平成20年3。 月分以降,別表第2の3の月額適正賃料等欄記載の各金額を超える額の公金を支出してはならない。 イ被告市長は,ATC社に対し,61億5098万5083円及びうち36億6242万7587円については平成16年6月4日から,24億8855万7496円については平成20年2月1日から,それぞれ支払済みまで年5分の割合による金員を大阪市に支払うよう請求せよ。 ウ被告市長は,Aに対し,5000万円及びこれに対する平成16年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を大阪市に支払うよう請求- 3 -せよ。 エ被告市長は,B相続人に対し,5000万円及びこれに対する平成16年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を大阪市に支払うよう請求せよ。 (4) 市に支払うよう請求- 3 -せよ。 エ被告市長は,B相続人に対し,5000万円及びこれに対する平成16年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員を大阪市に支払うよう請求せよ。 (4)151号ア(1)アに同じ。 イ(2)に同じ。 ウ(3)アに同じ。 本案前の答弁(1)48号ア主文1(1)同旨イ請求の趣旨(1)イに係る訴えのうち,大阪市が平成14年12月末日までにWTC社に対して支出した金員及びこれに対する平成16年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員に係る部分を却下する。 (2)51号主文1(4)同旨(3)52号ア主文1(5)同旨イ請求の趣旨(3)イに係る訴えのうち,大阪市が平成14年12月25日までにATC社に対して支出した金員及びこれに対する平成16年6月4日から支払済みまで年5分の割合による金員に係る部分を却下する。 本案の答弁原告ら及び参加人らの請求をいずれも棄却する。 第2事案の概要 事案の骨子本件は,原告ら及び参加人ら(以下,特に必要がない限り「原告ら」と,- 4 -総称する)が,大阪市とWTC社,ATC社が締結した賃貸借契約(WT。 C契約,ATC契約)は,賃料等が高額であることなどの理由により違法であるとして,被告らに対し,賃貸借契約に基づいて支払われた賃料等のうち適正額を超える部分について両社が不当に利得しているとして,不当利得金を大阪市に返還するよう請求することを求めるとともに,上記賃料等のうち適正額を超える部分についての支出の差止めを求め,上記契約の締結及び上記支出命令の本来的な権限者に損害賠償請求をするよう求めた事案であり,各事件の骨子は以下のとおりである。 (1)48号アWTC契約1~4のうち,賃料等が適正額(別表第1の4の適正賃料等 及び上記支出命令の本来的な権限者に損害賠償請求をするよう求めた事案であり,各事件の骨子は以下のとおりである。 (1)48号アWTC契約1~4のうち,賃料等が適正額(別表第1の4の適正賃料等欄記載の金額)を超える部分が違法であるため,これらの契約に基づく賃料等の支出命令のうち,上記適正額を超える部分が違法であるとして,法令上本来的な支出命令権者である被告市長に対し,平成20年3月分以降,上記適正額を超える上記賃料等の支出命令の差止めを求める請求(請求の趣旨(1)ア)イWTC契約1~5のうち,賃料等が適正額(別表第1の3及び4の適正賃料等欄記載の金額)を超える部分が違法であるため,これらの契約に基づいて平成10年4月1日から平成20年1月31日までにWTC社に支払われた賃料等のうち,上記適正額を超える部分に係る総額(66億7916万7496円)が不当利得に該当するとして,被告市長に対し,WTC社に上記不当利得金及びその遅延損害金を大阪市に支払うよう請求することを求める請求(請求の趣旨(1)イ)ウ大阪市長の職にあったAが,WTC契約1~4に基づいて部下職員に専決させた賃料等の支出命令(ただし,同人が市長の職にあった平成15年12月19日から平成19年12月18日までにされたものに限。),()るのうち適正額別表第1の3及び4の適正賃料等欄記載の金額- 5 -を超える部分が違法であるとして,Aに5000万円の損害賠償及びその遅延損害金を請求するよう求める請求(請求の趣旨(1)ウ。 )エ大阪市長の職にあったBが,WTC契約1~4を締結したこと及びこれに基づいて部下職員に専決させた賃料等の支出命令(ただし,平成10年4月1日から,同人が市長の職にあった平成15年12月18日までにされたものに限る)のうち適正額(別 約1~4を締結したこと及びこれに基づいて部下職員に専決させた賃料等の支出命令(ただし,平成10年4月1日から,同人が市長の職にあった平成15年12月18日までにされたものに限る)のうち適正額(別表第1の3の適正賃料等欄。 記載の金額)を超える部分が違法であるとして,被告市長に対し,Bの相続人に5000万円の損害賠償及びその遅延損害金を請求するよう求める請求(請求の趣旨(1)エ。 )(2)51号WTC契約5のうち,賃料等が適正額(別表第1の4の適正賃料等欄記載の金額)を超える部分が無効であるため,これらの契約に基づく賃料等の支出命令のうち,上記適正額を超える部分が違法であるとして,法令上,,本来的な支出命令権者である被告水道局長に対し平成20年3月分以降上記適正額を超える上記賃料等の支出命令の差止めを求める請求(請求の趣旨(2) 。 )(3)52号アATC契約1~6のうち,賃料等が適正額(別表第2の3の月額適正賃料等欄記載の金額)を超える部分が違法であるため,これらの契約に基づく賃料等の支出命令のうち,上記適正額を超える部分が違法であるとして,法令上本来的な支出命令権者である被告市長に対し,平成20年3月分以降,上記適正額を超える上記賃料等の支出命令の差止めを求める請求(請求の趣旨(3)ア)イATC契約1~6のうち,賃料等が適正額(別表第2の2及び3の適正賃料等欄記載の金額)を超える部分が違法であるため,これらの契約に基づいて平成6年5月1日から平成20年1月31日までにATC社- 6 -に支払われた賃料等のうち,上記適正額を超える部分に係る総額(61億5098万5083円)が不当利得に該当するとして,被告市長に対し,ATC社に上記不当利得金及びその遅延損害金を大阪市に支払うよう請求することを求める請求(請求 適正額を超える部分に係る総額(61億5098万5083円)が不当利得に該当するとして,被告市長に対し,ATC社に上記不当利得金及びその遅延損害金を大阪市に支払うよう請求することを求める請求(請求の趣旨(3)イ)ウ大阪市長の職にあったAが,ATC契約1~6に基づいて部下職員に専決させた賃料等の支出命令(ただし,同人が市長の職にあった平成15年12月19日から平成19年12月18日までにされたものに限る)のうち,適正額(別表第2の2及び3の月額適正賃料等欄記載の。 金額)を超える部分が違法であるとして,Aに5000万円の損害賠償及びその遅延損害金を請求するよう求める請求(請求の趣旨(3)ウ。 )エ大阪市長の職にあったBが,ATC契約1~6を締結したこと及びこれに基づいて部下職員に専決させた賃料等の支出命令(ただし,平成6年5月1日から,同人が市長の職にあった平成15年12月18日までにされたものに限る)のうち適正額(別表第2の2の適正賃料等欄記。 載の金額)を超える部分が違法であるとして,被告市長に対し,Bの相続人に5000万円の損害賠償及びその遅延損害金を請求するよう求める請求(請求の趣旨(3)エ。 )(4)151号ア(1)アに同じ。 イ(2)に同じ。 ウ(3)アに同じ。 前提事実(争いのない事実並びに証拠(特記しない限り枝番を含む)及び。 弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)当事者等ア原告ら及び参加人らは,いずれも大阪市の住民又は大阪市に主たる事務所を置く法人である(弁論の全趣旨。 )- 7 -イ被告市長は,大阪市の執行機関であり,損害賠償金又は不当利得返還金の支払を請求する権限を有する行政庁である。 被告水道局長は,大阪市の営む水道事業及び工業用水道事業の管理者であり,当該業務の執行に関し 告市長は,大阪市の執行機関であり,損害賠償金又は不当利得返還金の支払を請求する権限を有する行政庁である。 被告水道局長は,大阪市の営む水道事業及び工業用水道事業の管理者であり,当該業務の執行に関し,大阪市を代表する権限を有する行政庁である(地方公営企業法8条1項本文。 )Bは,平成7年12月19日から平成15年12月18日まで大阪市長の職にあった者であり(争いがない,平成19年11月26日に死亡し)た(乙143。 ),(),Aは平成15年12月19日に大阪市長の職に就任し争いがない平成19年12月18日限り退任した者である(弁論の全趣旨。 )(2)契約締結及び支出命令の権限関係並びに契約手続ア不動産の借入れに関する契約の権限関係市長部局に係る不動産の借入れに関する権限は,本来的には被告市長が有するが,借入れに関する決定は各所管局長の専決事項と定められている(事務専決規程(昭和38年大阪市達第3号。乙28の1。そして,))市長部局に係る不動産の借入れに関する契約の締結権限は,住宅局の所管,,業務に係るものは住宅局長に港湾局の所管業務に係るものは港湾局長にその他のものについては建設局長に委任されている(契約規則(昭和39年大阪市規則18号。乙28の2)3条2項1号。また,建設局長の上)記契約締結権限は,建設局用地部長の専決事項と定められている(建設局部課長等専決要綱(乙28の3)3条,別表11の1。 )水道事業に係る不動産の借入れに関する権限は,法令どおり,地方公営企業の管理者(被告水道局長)が有する。 イ賃料等の支出命令の権限関係市長部局に係る支出命令は,本来的には市長が権限を有するが,賃料等の支出命令は,配付予算の範囲で定例確定的経費の支出決定に関すること- 8 -として,予算に関する事務を所管す の支出命令の権限関係市長部局に係る支出命令は,本来的には市長が権限を有するが,賃料等の支出命令は,配付予算の範囲で定例確定的経費の支出決定に関すること- 8 -として,予算に関する事務を所管する課長の専決事項と定められているから,各局庶務課長が専決権限を有している(市役所課長等専決規程(昭和23年大阪市達第5号。乙28の4)5条1項1号,弁論の全趣旨。 ),,水道事業に係る支出命令は本来的には被告水道局長が権限を有するが賃料等の支出命令は,事業施行上,定例に属する事項として,水道局庶務((()課長が専決権限を有する水道局部課長専決規程昭和41年大阪市水規程第3号。乙28の5)4条11号,弁論の全趣旨。 )ウ契約締結手続不動産の取得又は処分又は賃貸借する場合において,当該不動産の価格又は賃料を決定しようとするときは,原則として,大阪市不動産評価審議会に諮問しなければならないが,市長が別に定めるものについては,例外的にその必要がないものと定められている(大阪市財産規則(昭和39年大阪市規則第17号,乙144)12条の2。そして,これを受けて,)大阪市不動産評価審議会付議省略事項には,第9項として「貸ビル等の,一部の室を賃借する場合の賃料」が規定されている(乙145。大阪市)水道事業に関する不動産の賃貸借についても,同旨の規定が定められている(大阪市水道局資産規程(昭和42年大阪市(水)規程第6号,乙14),())。 9条の2大阪市不動産評価審議会付議省略事項乙1469項(3)WTC社及びATC社の設立等,,,ア大阪市は昭和58年8月大阪市制100周年記念事業の1つとして大阪南港北港地区に21世紀に向けた新しいまちを建設しようとするテ,「クノポート大阪」計画を発表し,昭和6 社の設立等,,,ア大阪市は昭和58年8月大阪市制100周年記念事業の1つとして大阪南港北港地区に21世紀に向けた新しいまちを建設しようとするテ,「クノポート大阪」計画を発表し,昭和63年7月,その基本計画を策定し()。 ,,,,た乙109当該基本計画では開発地区を南港地区北港北地区北港南地区に区分し,そのうち南港地区は,国際交易機能等を中心に集積させ,比較的高密度な開発を行うものとし,その中の国際交易・業務ゾーンの施設の1つとして,大阪ワールドトレードセンタービルディング(コ- 9 -スモタワー(以下「WTCビル」という,アジア太平洋トレードセン)。)タービル(以下「ATCビル」という)が位置づけられていた(乙10。 9。 )イWTCビルは,貿易情報提供機能,貿易・港湾関連業務機能の集積,情報処理業務機能の集積,アメニティ機能,インテリジェントビル機能を期待されたビルであり,高さ256m,地上55階,地下3階,敷地面積約2万㎡総床面積約14万9000㎡として平成7年4月に開業した甲,,(49,乙52の2。 )WTC社は,平成元年4月に,国際貿易並びに国際情報交流促進のための会議施設,展示施設等各種施設の設置,運営及び管理並びに不動産の所有,売買,賃貸借,仲介及び管理等を目的として設立された大阪市(出資比率(平成16年7月1日現在)26.6%,三井不動産株式会社(同)16.0%,三井物産株式会社(同8.0%)などを大口株主とする株)式会社であり(甲50,51,WTCビルを所有している(弁論の全趣)旨。 )ウATCビルは,アジア・太平洋地域をはじめ世界各国からの製品輸入促進,中小流通業の振興と流通機能の発信,関西経済の国際化,活性化,アジア文化を演出した魅力ある集客機能を期 論の全趣)旨。 )ウATCビルは,アジア・太平洋地域をはじめ世界各国からの製品輸入促進,中小流通業の振興と流通機能の発信,関西経済の国際化,活性化,アジア文化を演出した魅力ある集客機能を期待されたビルであり,ITM棟(12階建,O’s棟(6階建)で構成される敷地面積約6万8000)㎡,延床面積約33万5000㎡の施設として,平成6年4月に開業した(甲49,乙52の1。 )ATC社は,平成元年4月に,国際卸流通センターの建設・運営に関する企画・立案並びに研究調査の受託並びに不動産の賃貸及び管理等を目的として設立された大阪市(出資比率(平成16年7月1日現在)33.9%,伊藤忠商事株式会社(同8.6%,日本政策投資銀行(同8.1))%,株式会社ダイエー(同8.1%)などを大口株主とする株式会社で)- 10 -あり(甲50,52,ATCビルを所有している(弁論の全趣旨。 ))エ湊町地区は,昭和60年12月に策定された「関西国際空港関連施設整備大綱」をきっかけに,大阪都心の一方の核であるミナミに隣接し,関西国際空港等と直結した交通結節点として,また,交通利便性を生かした国際化,情報化に対応する新都市拠点としての役割が期待されるに至り,昭和62年「新都市拠点整備事業湊町地区総合整備計画」が策定され,,その事業主体として平成元年3月株式会社湊町開発センター以下M,,(「DC社」という)が設立された(甲49。MDC社は,複合交通セン。 )ター(OCATビル)の整備を行い,同ビルは,平成8年3月に開業した(甲49。 )オWTC社,ATC社とも,設立当初から,大阪市の助役その他の幹部職員が歴代の代表取締役に就任していたほか(甲51~53,弁論の全趣旨,両社及びMDC社には,大阪市の現職又はOBの複数の 9。 )オWTC社,ATC社とも,設立当初から,大阪市の助役その他の幹部職員が歴代の代表取締役に就任していたほか(甲51~53,弁論の全趣旨,両社及びMDC社には,大阪市の現職又はOBの複数の職員が常勤)又は非常勤の役員として継続的に就任していた(甲50。 )(4)賃貸借契約の締結(争いがない)ア48号,151号港湾局長は,WTC社との間において,平成10年4月1日から平成12年9月1日にかけて,別紙WTC契約目録1記載のとおり,WTC社所有のWTCビルの貸室部分について,港湾局の事務所とするために借り入れる旨の賃貸借契約(WTC契約1)を締結し,そのころ,その引渡しを受けた。 建設局長は,WTC社との間において,平成12年11月1日から平成14年12月1日にかけて,別紙WTC契約目録2~4記載のとおり,WTCビルの貸室部分について,建設局(WTC契約2,都市環境局(旧)下水道局であるが,組織変更の前後を通じ,都市環境局と称する(W。)TC契約3,ゆとりとみどり振興局(WTC契約4)の事務所とするた)- 11 -,,。 めに借り入れる旨の賃貸借契約を締結しそのころその引渡しを受けたイ51号,151号被告水道局長は,WTC社との間において,平成12年11月1日,別紙WTC契約目録5記載のとおり,WTCビルの貸室部分について,水道局の事務所とするために借り入れる旨の賃貸借契約を締結し,そのころ,その引渡しを受けた。 ウ52号,151号建設局長は,ATC社との間において,平成5年10月1日,別紙ATC契約目録1記載のとおり,ATC社所有のATCビルの貸室部分について,BPCネットワークセンター(平成15年4月1日にIBPC大阪ネットワークセンターに組織変更)として用いるために借り入れる旨の賃。 貸借契約 載のとおり,ATC社所有のATCビルの貸室部分について,BPCネットワークセンター(平成15年4月1日にIBPC大阪ネットワークセンターに組織変更)として用いるために借り入れる旨の賃。 貸借契約を締結し,そのころ,その引渡しを受けた。 建設局長は,ATC社との間において,平成7年5月1日(ATC契約2ア)及び平成8年4月17日(ATC契約2イ,別紙ATC契約目録)2ア及びイ記載のとおり,ATCビルの貸室部分について,輸入住宅促進センターとして用いるために借り入れる旨の賃貸借契約を締結し,そのころ,その引渡しを受けた。 建設局長は,ATC社との間において,平成8年1月20日,別紙ATC契約目録3記載のとおり,ATCビルの貸室部分について,エイジレスセンターとして用いるために借り入れる旨の賃貸借契約を締結し,そのころ,その引き渡しを受けた。 建設局長は,ATC社との間において,平成8年5月20日,別紙ATC契約目録4記載のとおり,ATCビルの貸室部分について,デザイン振興プラザとして用いるために借り入れる旨の賃貸借契約を締結し,そのころ,その引き渡しを受けた。 建設局長は,ATC社との間において,平成12年4月1日,別紙AT- 12 -C契約目録5記載のとおり,ATCビルの貸室部分について,大阪環境産業振興センターとして用いるために借り入れる旨の賃貸借契約を締結し,そのころ,その引き渡しを受けた。 建設局長は,ATC社との間において,平成12年4月13日,別紙ATC契約目録6記載のとおり,ATCビルの貸室部分について,消費者セ,,ンターとして用いるために借り入れる旨の賃貸借契約を締結しそのころその引き渡しを受けた。 (5)賃料等の額及び支出命令,支出(争いがない)WTC契約及びATC契約における賃料等の額は,それぞれの契約締結当 して用いるために借り入れる旨の賃貸借契約を締結しそのころその引き渡しを受けた。 (5)賃料等の額及び支出命令,支出(争いがない)WTC契約及びATC契約における賃料等の額は,それぞれの契約締結当時において,別表第1の1及び第2の2記載のとおりと定められていた。 大阪市は,WTC契約及びATC契約の平成16年4月1日時点での月額支払賃料の適正額について鑑定をし,WTC契約については4700円/月(),(。 ,・㎡乙63ATC契約については4650円/月・㎡乙64以下乙63と合わせて「本件私的鑑定」という)との鑑定結果を得た。 ,。 ,,,大阪市は本件私的鑑定の結果をふまえWTC社及びATC社と協議し平成16年4月分から,WTC契約及びATC契約の賃料等を別表第1の2の賃料欄(賃料4700円/月・㎡,共益費1800円/月・㎡)及び第2の3の月額契約賃料当欄(ATC契約1及び6につき賃料4763円/月・㎡,同2~5につき賃料4627円/月・㎡,共益費1815円/月・㎡)各記載のとおりの額に減額する旨の合意をした。 被告市長(WTC契約1~4,ATC契約)及び被告水道局長(WTC契約5)は,別表第1の1及び2,第2の2及び3のとおり,WTC契約及びATC契約締結後,これらの各契約に基づき,WTC契約については毎月末日までに,ATC契約については毎月25日までに,それぞれ翌月分の賃料等の支出命令を権限者に専決させ,そのころ,その旨の支出がされた。ただし,ATC契約に係る平成15年4月分~9月分については同年5月9日ま- 13 -でに,同年10月分~平成16年3月分までは平成15年9月25日までに上記支出命令及び支出がされた。 (6)特定調停(甲1)アWTC社,ATC社,MDC社(以下「本件3社」という)は,平成。 でに,同年10月分~平成16年3月分までは平成15年9月25日までに上記支出命令及び支出がされた。 (6)特定調停(甲1)アWTC社,ATC社,MDC社(以下「本件3社」という)は,平成。 15年6月,大阪簡易裁判所に対し,大阪市や金融機関を相手方として特定調停(以下「本件調停」という)を申し立てた(同年7月,当庁に移。 送。 。)本件調停は,複数の期日を重ねた結果,第4回調停期日(平成16年1月13日)において,調停委員会が調停案を提示し,同月31日,大阪市議会において附帯決議を付した議決がされた上で,同年2月12日に成立した。 イ本件調停において成立した調停条項の骨子は,本件3社の大阪市からの借入金債務の一部を株式化(WTC社につき約200億円のうち約125億円MDC社につき約311億円のうち約204億円又は代物弁済A,)(TC社につき約187億円のうちATC駐車場を約30億円で代物弁済)の対象とし,その残額を劣後債権とした上で,大阪市は,金融機関からの借入金債務のうち回収不能部分につき損失補償し,平成16年9月末日までに相当額(WTC社及びATC社につき各40億円,MDC社につき24億円)を追加出資すること,金融機関は,本件3社の借入金債務の相当額(WTC社につき約782億円中約137億円,ATC社につき約1099億円中約698億円,MDC社につき約183億円中約91億円)を免除し,その残額を40年(WTC社)又は30年(ATC社及びMDC社)で分割弁済するというものであった。 ウ本件調停では,調停成立に先立ち,調停案の裏付けとして本件3社の再建計画が提出された。 WTC社の再建計画は,計画期間を平成16年度から40年間とし,賃- 14 -料収益については,大阪市関連は平成16年度に8%減少し,8年間は同 停案の裏付けとして本件3社の再建計画が提出された。 WTC社の再建計画は,計画期間を平成16年度から40年間とし,賃- 14 -料収益については,大阪市関連は平成16年度に8%減少し,8年間は同額で推移,平成24,25年度は1%ずつ減少,平成26年度以降は前年と同額と見込み,その他の賃料収入は,平成16年度から平成25年度まで毎年1%ずつ減少し,平成26年度以降は前年と同額と見込んでいた。 そして,債務超過の解消は平成16年度,当期損益の黒字化は平成23年度と見込んでいた。 ATC社の再建計画は,計画期間を平成16年度から30年間とし,賃料収益については,大阪市関連は平成16年度に8%減少し,4年間は同額で推移,平成20年度に2%減少し,平成21年度以降は前年と同額と見込み,その他の賃料収入は,平成16年度から平成20年度まで毎年2%づつ減少し,平成21年度以降は前年と同額と見込んでいた。そして,債務超過の解消は平成15年度,当期損益の黒字化は平成21年度と見込んでいた。 MDC社の再建計画は,計画期間を平成16年度から30年間とし,平成18年度から平成20年度までは毎年1%ずつ減少,平成21年度以降は前年と同額と見込んでいた。そして,債務超過の解消は平成23年度,当期損失の黒字化は平成16年度と見込んでいた。 ,,。 本件調停において本件3社の再建計画案は監査法人の鑑定を受けた同鑑定では,再建計画には一応の合理性があるものの,本件3社の純資産が過少であるために資金ショートの可能性もあり,大阪市において本件3社を地域開発の中核拠点として活用する施策の継続及び将来の資金不足に備えた実効性のある追加的な金融支援策を検討する必要性があるとの意見が付されていた。 (7)監査請求及び訴え提起ア原告らのうちの1人は,平成15年9月4日 活用する施策の継続及び将来の資金不足に備えた実効性のある追加的な金融支援策を検討する必要性があるとの意見が付されていた。 (7)監査請求及び訴え提起ア原告らのうちの1人は,平成15年9月4日,被告市長に対し,大阪市情報公開条例に基づき,本件3社が提出した本件調停の申立書の情報公開- 15 -を求め,同年10月14日,本件3社が提出した再建計画書及びこれに対する鑑定書の情報公開を求めたが,そのころ,いずれも却下された(弁論の全趣旨。 ),,,同原告は当庁に対し上記各却下決定の取消しを求める訴えを提起し当庁は,平成16年2月26日,これらをいずれも取り消す旨の判決をした(弁論の全趣旨。 ),,,,被告市長は上記判決の趣旨に従い平成16年4月9日上記申立書再建計画書及び鑑定書を開示した(弁論の全趣旨。 )イ原告らは,平成16年1月23日,大阪市監査委員に対し,大阪市が筆頭株主である第三セクター3社(WTC社,ATC社及びMDC社)を救済するために公金を投入することが違法であるとして,本件3社に対するこれまでの補助金の返還と今後の支出差止め,将来の損失補償の差止めを求めたほか,本件3社の賃料が民間に比して2倍から3倍の高額であるとして,これまでに支払った市と民間賃料の差額返還を求める監査請求をした(以下「本件第1次監査請求」という。甲1。 ,)大阪市監査委員は,同年3月23日,上記監査請求のうち,WTC社及びATC社に関する部分については,平成15年1月分(WTC契約につ,)いては平成14年12月末日支出ATC契約については同月25日支出までの賃料に係る部分につき監査請求期間を経過し,かつ,その経過について正当な理由がないとして却下し,その余の部分については,算出民間賃料との価格差の程度,市場調査及 C契約については同月25日支出までの賃料に係る部分につき監査請求期間を経過し,かつ,その経過について正当な理由がないとして却下し,その余の部分については,算出民間賃料との価格差の程度,市場調査及び交渉の経緯等に照らせば,賃料等の支出額の適正性が十分確保されていないとの疑念は払拭できないものの,その支出が違法であり,大阪市に損害が発生していると合理的かつ明確な根拠をもって認定することは極めて困難であるとして棄却する旨の監査をし(甲1,そのころ,その旨を原告らに通知した(弁論の全趣旨。 )),,(,,)ウ原告らは平成16年4月19日本件訴え48号51号52号- 16 -を提起した(顕著な事実。 )エ参加人らは,平成16年9月15日,大阪市監査委員に対し,WTC契約及びATC契約が民間賃料に比して1.5倍から2倍の高額であるとして,適正額を超える部分に係る賃料等の支出の差止めを求める監査請求をした(以下「本件第2次監査請求」という。甲54。 ),,,,大阪市監査委員は同年10月13日大阪市とWTC社ATC社は平成16年4月分以降の賃料につき協議する旨の覚書が交わされているから,適正額を超える支出がされる蓋然性がないとして,これを却下する旨の監査をし(甲54,そのころ,その旨を参加人らに通知した(弁論の)全趣旨。 )オ参加人らは,平成16年11月11日,本件共同訴訟参加の申立て(151号)をした(顕著な事実。 )(8)鑑定及びこれに至る経緯ア原告らは,WTC契約及びATC契約の賃料等の額の不当性を立証するため,平成17年1月19日,WTC社及びATC社を嘱託先として,WTC社及びATC社と大阪市以外の賃借人との間で締結された賃貸借契約に係る賃貸条件(物件,面積,賃料・共益費の額,一 当性を立証するため,平成17年1月19日,WTC社及びATC社を嘱託先として,WTC社及びATC社と大阪市以外の賃借人との間で締結された賃貸借契約に係る賃貸条件(物件,面積,賃料・共益費の額,一時金の有無及び額)について調査嘱託を申し立て,そのころ,当庁はこれを採用したが,同年3月31日,両社はこれに回答できない旨を回答した。 イ原告らは,平成17年4月14日,WTC社及びATC社を所持者として,両社と大阪市以外の賃借人との間で締結された賃貸借契約に係る契約書の文書提出命令を申し立てた(当庁平成17年(行ク)第16号,第17号。 )WTC社及びATC社は,両社と各賃借人との賃借条件が明らかになれ,,ば他の賃借人や賃借希望者から強く値下げを迫られることは必至であり営業に支障が生ずるとして,上記申立ての却下を求めた。 - 17 -原告ら,被告ら,WTC社及びATC社は,複数回の進行協議を重ね,WTC社及びATC社が原告らに各契約区分に従って平均賃料等の一覧表を開示すること,裁判所で選任された鑑定人から求められれば,店舗部分を含めて,大阪市以外の賃借人との賃貸借契約に係る資料の提出に応ずる旨を約束し(以下「本件資料提出合意」という,原告らは,上記文書。)提出命令の申立てを取り下げた(進行協議期日(平成17年9月15日)調書。 )ウ当裁判所は,原告らの申請により,平成18年9月19日,いずれも東京地方裁判所不動産競売評価人候補者であるC,D,Eを鑑定人(合議)として選任し(以下,上記3名を「本件鑑定人」という,WTC契約。)1①②④⑥⑦(鑑定事項1(1)に相当し,鑑定書にいう物件アに相当する,WTC契約2②~⑨,WTC契約3③~⑥,WTC契約5①~⑥。)(鑑定事項1(2),物件イ,ATC契約1(鑑定事項2(1),物 ①②④⑥⑦(鑑定事項1(1)に相当し,鑑定書にいう物件アに相当する,WTC契約2②~⑨,WTC契約3③~⑥,WTC契約5①~⑥。)(鑑定事項1(2),物件イ,ATC契約1(鑑定事項2(1),物件ウ,))(,),(,ATC契約2ア鑑定事項2(2) 物件エATC契約3鑑定事項2(3)物件オ,ATC契約4(鑑定事項2(4),物件カ,ATC契約5(鑑定)),),(,),事項2(5)物件キATC契約6鑑定事項2(6)物件クについてWTCビル,ATCビルの特徴をふまえた上で,上記各契約で定められた利用条件等に留意し,不動産鑑定評価基準に準拠して,それぞれ当初の賃()貸借契約締結日の時点における新規適正賃料等いずれも単位面積当たりを算定する旨の鑑定を採用した。 エ本件鑑定人は,WTCビル及びATCビルにて開催された進行協議期日(平成18年11月17日)において,WTCビル及びATCビルを検分したほか,必要な調査を経て,平成19年7月10日,上記鑑定事項について鑑定作業を行い,それぞれの鑑定物件におけるそれぞれの鑑定時点での新規適正賃料及び適正共益費の単位面積当たりの額を,別表第3のとおりと鑑定した(以下「本件鑑定」という。なお,本件鑑定人は,WT。)- 18 -C社及びATC社に対し,平成19年5月15日,大阪市に関連しない賃借人との賃貸借契約に係る資料の提出を求めたが,WTC社及びATC社は,本件資料提出合意にもかかわらず,これに応じなかった(弁論の全趣旨。 ) 争点及び当事者の主張(1)監査請求の対象(48号,51号,52号の本案前の争点1)(被告らの主張)原告らのした本件第1次監査請求では,過去に支払われた賃料については監査の対象とされているものの,将来の支出部分については監 監査請求の対象(48号,51号,52号の本案前の争点1)(被告らの主張)原告らのした本件第1次監査請求では,過去に支払われた賃料については監査の対象とされているものの,将来の支出部分については監査請求の対象とはされていない。 したがって,原告らの訴え(48号,51号,52号)のうち,将来の賃料等の支出の差止めを求める部分(請求の趣旨(1)ア,(2),(3)ア)については,適法な監査請求の前置がなく,不適法である。 (原告らの主張)争う。 (2)監査請求期間経過の正当理由の有無(48号,51号,52号の本案前の争点2)(被告らの主張)アWTC契約及びATC契約は,いずれも,大阪市の諸規程に則って締結されたものであり,かつ,これらに基づく賃料等の支出も,大阪市議会によって承認された予算に基づき,正規の手続に則って行われていたのであって,特に秘密裏にされていたという事情はない。 イWTC社及びATC社の営業報告書等の決算書類は,平成13年10月から,行政資料センター及び公文書館に配架され,住民の閲覧に供されている。そして,両社の営業報告書及びWTC社の損益計算書には,WTCビル及びATCビルに関する不動産収益の具体的金額が記載されている- 19 -(乙67,68。 )また,大阪市の支出賃料総額は,大阪市議会(たとえば,平成10年3月16日・文教経済委員会)で明らかにされ,その旨の議事録が作成されている(乙65。 )さらに,WTC契約及びATC契約の賃料等が,民間賃料等に比して高額であるか否かは,大阪市議会(平成13年11月19日・決算特別委員会)で議論され,平成14年1月ころ,その旨の議事録が作成されている(乙66,弁論の全趣旨。 )ウこれらの事実にかんがみれば,原告らがWTC契約及びATC契約の締結及びこれに基づく賃 算特別委員会)で議論され,平成14年1月ころ,その旨の議事録が作成されている(乙66,弁論の全趣旨。 )ウこれらの事実にかんがみれば,原告らがWTC契約及びATC契約の締結及びこれに基づく賃料等の支出(平成15年1月22日までにされたもの)につき,1年を経過してした本件第1次監査請求には,監査請求期間を経過したことについて正当な理由は存在しない。 原告らは,本件調停における申立書,再建計画書,鑑定書の情報公開が,,遅れたことを上記正当な理由を基礎づける事情の1つとして主張するがそもそも本件第1次監査請求は,これらの文書が公開された平成16年4月9日より以前である同年1月23日にされているのであるから,そもそも上記各文書がなければ監査請求できなかったという関係にあるわけではなく,原告らの上記主張は失当である。 (原告らの主張)原告らは,本件第1次監査請求をするため,本件調停における申立書や再建計画書,鑑定書の開示を求めていたにもかかわらず,被告市長がこれを不当に拒絶していたし,WTC社及びATC社における大阪市以外の賃借人に係る賃料等についても明らかにされていなかった。 ,,,したがって大阪市の住民は少なくとも平成16年1月23日までには相当の注意力をもって調査しても,監査請求をすることができる程度まで財務会計行為の存在及び内容を知ることができなかったというべきであって,- 20 -監査請求期間経過については正当な理由がある。 (3)WTC契約,ATC契約に係る適正賃料等(全事件の本案の争点1)(原告らの主張)アWTC契約1の適正賃料等は,本件鑑定のとおり,全期間を通じ,4400円/月・㎡であり,WTC契約2~5の適正賃料等(1㎡当たりの月),,(,)。 額は全期間を通じ4300円/月・㎡である別 1の適正賃料等は,本件鑑定のとおり,全期間を通じ,4400円/月・㎡であり,WTC契約2~5の適正賃料等(1㎡当たりの月),,(,)。 額は全期間を通じ4300円/月・㎡である別表第1の3 イATC契約1の適正賃料等は,平成6年度は5800円/月・㎡(本件鑑定のとおり,平成7年度は5169円/月・㎡,平成8~11年度は)4854円/月・㎡,平成12~15年度は3594円/月・㎡,平成16年度以降は2800円/月・㎡である(別表第2の2,3。 )ATC契約2アの適正賃料等は,平成7年度は5000円/月・㎡(本件鑑定のとおり)である(別表第2の2。 )ATC契約2イ,3,4の適正賃料等は,平成8~11年度は4700円/月・㎡(ATC契約3,4につき本件鑑定のとおり,平成12~1)5年度は3500円/月・㎡,平成16年度以降は2800円/月・㎡である(別表第2の2,3。 )ATC契約5の適正賃料等は,平成12~15年度は3500円/月・㎡(本件鑑定のとおり)であり,平成16年度以降は2800円/月・㎡である(別表第2の2,3。 )ATC契約6の適正賃料等は,平成12~15年度は3800円/月・㎡(本件鑑定のとおり)であり,平成16年度以降は2800円/月・㎡である(別表第2の2,3。 )ウ被告らは,本件鑑定につき,適切な賃貸事例の収集がなく,賃貸事例比較法が採用されなかったとして論難する。 しかし,本件鑑定において賃貸事例比較法の採用がされなかったのは,WTC社及びATC社が,進行協議期日(平成17年9月15日)におい- 21 -て,裁判所で選任された鑑定人から求められれば,店舗部分を含めて,資料の提出に応ずる旨を約束したにもかかわらず(本件資料提出合意,そ)の約束を履行しなかったことに起因するもので おい- 21 -て,裁判所で選任された鑑定人から求められれば,店舗部分を含めて,資料の提出に応ずる旨を約束したにもかかわらず(本件資料提出合意,そ)の約束を履行しなかったことに起因するものである。そして,WTC社及びATC社は,大阪市によって大多数の株式を保有される株式会社であるから,WTC社及びATC社の約束不履行は,まさに被告らによる約束不履行と同視できるものである。 また,不動産鑑定評価基準自体,各不動産鑑定士が,自己の専門的学識と応用能力に基づき,個々の案件に応じて不動産の鑑定評価を行うことを許容しているから(乙106,本件鑑定人が,賃貸事例比較法の採用が)困難となる中で,賃貸事例比較法に準ずる鑑定方法しか用いることができなかったとしても,これをもって,本件鑑定が不動産鑑定評価基準に準拠していないなどとはいえない。 被告らは,本件鑑定が,ATC契約につき,平成5年から平成12年にかけて,神戸ファッションマート(平成5年,ATCビル中央値(平成),,,),()6年平成7年平成8年平成12年オスカードリーム平成7年の6つの数値を基準としているにすぎないと論難する。しかし,同一ビル,,内の賃貸事例が同一需給圏内の最も客観的かつ適切な賃貸事例であるしATCビルでは民間の賃借人だけで100を超えており(乙137,事)例数としても十分であるから,これに依拠した本件鑑定は,十分に精度が高いものというべきである。 被告らは,本件鑑定が,WTC契約につき,市中心部巨大ビルからの推定賃料(平成10年及び同12年,神戸ファッションマートからの推定)賃料(平成12年,オーク一番街からの推定賃料(平成12年,WT))Cビルの賃料水準の4つの数値を基準にしているにすぎないと論難する。 しかし,同一ビル内の賃貸事 ファッションマートからの推定)賃料(平成12年,オーク一番街からの推定賃料(平成12年,WT))Cビルの賃料水準の4つの数値を基準にしているにすぎないと論難する。 しかし,同一ビル内の賃貸事例が,最も客観的かつ適切な賃貸事例であるから,これに依拠した本件鑑定は,十分に精度が高いものというべきであ- 22 -る。 (被告らの主張)ア不動産鑑定評価基準は,建物及びその敷地の正常賃料の鑑定評価額は,積算賃料及び比準賃料(賃貸事例比較法による試算賃料)を関連づけて決定するものとすると定めている(乙106。 )しかるに,本件鑑定は,鑑定評価に必要な要因資料及び事例資料の収集が適切かつ十分に行えなかった結果,賃貸事例比較法を採用せず,比準賃料を算定せずに,賃貸事例比較法に準ずる方法によって適正賃料等の額を算定したとしている(本件鑑定。 )したがって,本件鑑定は,不動産鑑定評価基準に準拠していないものというべきであり,その結果をもってWTC契約及びATC契約の新規賃料等の適正額を認定することはできない。 イ仮に,本件鑑定にいう賃貸事例比較法に準ずる方法に一定の有用性が認められるとしても,同方法の意味するところが不明であるし,依拠すべき基準も明らかではない。また,賃貸事例比較法は,各価格時点に近い時点の取引事例等をできる限り収集すべきであり,各価格時点において数少ない事例のみしか収集できない場合には,不動産鑑定評価基準に準拠した鑑定を行う前提条件を欠く。 ,,,本件鑑定はATC契約については平成5年から平成12年にかけて神戸ファッションマート(平成5年,ATCビル中央値(平成6年,平)成7年,平成8年,平成12年,オスカードリーム(平成7年)の6つ)の数値を基準としているにすぎない。また,本件鑑定は,WTC契約については, マート(平成5年,ATCビル中央値(平成6年,平)成7年,平成8年,平成12年,オスカードリーム(平成7年)の6つ)の数値を基準としているにすぎない。また,本件鑑定は,WTC契約については,市中心部巨大ビルからの推定賃料(平成10年及び同12年,)神戸ファッションマートからの推定賃料(平成12年,オーク一番街か)らの推定賃料(平成12年,WTCビルの賃料水準の4つの数値を基準)にしているにすぎない。 - 23 -そうすると,本件鑑定は,賃貸事例として比較すべき十分な事例を集積できずに行ったものであるから,仮に賃貸事例比較法に準ずる方法に一定の合理性が認められるとしても,不動産鑑定評価基準に準拠した鑑定とは到底いえない。 ウ上記のとおり,不動産鑑定評価基準は,建物及びその敷地の正常賃料の鑑定評価額は,積算賃料及び比準賃料(賃貸事例比較法による試算賃料)を関連づけて決定するものとすると定めているが,そもそも建物賃貸借は個別性が強いので新規賃貸事例と比較するのが困難であるから,新規適正賃料の評価に当たっては,賃貸事例を過度に重視すべきではない。ましてや,賃貸事例の十分な収集ができないままで賃貸事例比較法に準じて算定した賃料は,その信頼性には大いに疑問の余地があるから,なお一層,これを重視すべきではないというべきである。 しかるに,本件鑑定は,積算賃料ではなく,賃貸事例比較法に準ずる方法により算定された賃料を重視して適正賃料等を算出している。したがって,本件鑑定の信頼性は低いというべきである。 エ本件鑑定は,ATCビルについて,平成7年及び平成8年の積算賃料を算出していないから,不動産鑑定評価基準に準拠したものということはできない。 また,本件鑑定は,WTCビル及びATCビルの積算賃料を算出するに当たり,平成5年10月,平成 年及び平成8年の積算賃料を算出していないから,不動産鑑定評価基準に準拠したものということはできない。 また,本件鑑定は,WTCビル及びATCビルの積算賃料を算出するに当たり,平成5年10月,平成10年4月,平成12年4月,同年11月の各時点における期待利回りをいずれも5%としているが,そのような算定をするに当たり,比較可能な他の資産の収益性や,金融市場における運用利回りの動向に留意した形跡がない。したがって,本件鑑定は,その意味でも信頼性が低い。 本件鑑定は,WTCビル,ATCビルにつき,市場参加者が誰でも認識できるような水準が形成されているとはいい難いので,適正な賃料水準に- 24 -は一定の幅があるとしているから,仮に本件鑑定に準拠するにしても,そのような幅を考慮すべきである。 オしたがって,本件鑑定にかかわらず,WTC契約及びATC契約で定め,。 られた賃料等は適正賃料等から乖離したものではないというべきである(4)WTC契約,ATC契約締結の違法性(全事件の本案の争点2)(原告らの主張)ア地方公共団体の経費は,その目的を達成するための必要かつ最小の限度を超えて支出してはならない(地方財政法4条1項。 )したがって,地方公共団体が,正常賃料等を超える金額で不動産を賃借することは,たとえ契約賃料等が正常賃料等の1.1倍にすぎなかったとしても,当然に違法となる。 もっとも,賃貸借契約の締結に当たり,長等の裁量が一切否定されるわけではないが,当該賃貸借契約の具体的な行政目的,賃借の必要性,相手,,,,,方との交渉経緯内容賃料の決定手続経済情勢財政状況等に照らし適正賃料を上回る賃料等での契約がやむを得ないものとして正当化される特別な事情,適正賃料の水準を超える賃料を受諾,決定しなければ当該賃貸借契約を締 内容賃料の決定手続経済情勢財政状況等に照らし適正賃料を上回る賃料等での契約がやむを得ないものとして正当化される特別な事情,適正賃料の水準を超える賃料を受諾,決定しなければ当該賃貸借契約を締結することが不可能あるいは著しく困難となり,必要不可欠な行政目的を達成することができない特別の事情が認められる場合に限り,裁量の範囲内として違法性が否定されるにすぎない。 イ前記のとおり,WTC契約及びATC契約における適正賃料等は,別表第1の3及び4並びに同第2の2及び3記載のとおりであるが,実際の契約は,別表第1の1,同第2の2のとおり,上記適正賃料額を大きく上回っていた。 ウ大阪市が不動産を賃借する場合において,当該不動産の価格又は賃料を決定しようとするときは,大阪市不動産評価審議会に諮問しなければならないとされているが,そのような手続がとられていない。 - 25 -エ被告らは,WTC契約における賃料等の額の決定に当たり,WTC社が提示した募集賃料(乙53)を前提としたのであって,その相当性は三鬼商事株式会社(以下「三鬼商事」という)の作成したオフィスレポート。 (乙59)によって判断した上,生駒商事株式会社(以下「生駒商事」という)の作成した資料(乙54)を前提として賃料低下率を乗じたと主。 張するが,その契約の規模,賃料額に比して,極めて不十分であったといわざるを得ない。かえって,WTC契約が最初に締結された平成10年ころは,WTCビルから大口のテナント(三井物産)の退去が見込まれ,一層の空洞化が懸念されていた時期であったから,借り手優位の状況を生かして,賃料等の減額交渉をすべきであった。 被告らは,WTC契約を締結する合理的な理由があったと主張するが,WTC契約に基づいて入居した各部局があえて都心から離れた南港地区にあるW 優位の状況を生かして,賃料等の減額交渉をすべきであった。 被告らは,WTC契約を締結する合理的な理由があったと主張するが,WTC契約に基づいて入居した各部局があえて都心から離れた南港地区にあるWTCビルに入居しなければならない合理的な理由は証明されていない。 むしろ,WTC社が開業当初から経営不振であり,WTCビルの入居率が低かったことから,大阪市は,WTCビルの入居率を高めるためにWTC契約を締結したのであって,その真の目的は,第三セクターであるWTC社の救済にあったというべきである。 ,,,オ被告らはATC契約6締結に当たり三鬼商事に賃料等の調査をさせこれを参考にしたと主張する(乙22の4。しかし,ATC契約6締結)時点では,三鬼商事の調査は行われておらず,したがって,ATC契約6は,調査も全く行われずに,しかも必要な決裁手続もとられていなかったことが判明した。これらの事実は,被告ら主張事実の信用性の根幹を揺るがす重大な事実である。 また,大阪市は,その他のATC契約締結に当たっても,必要な調査をしていなかった。 - 26 -そもそも,ATC契約によってATCビルに入居した各部局がATCビルに移転しなければならない合理的な理由はなく,むしろ,ATC契約の真の目的は,第三セクターであるATC社の救済にあったというべきである。 (被告らの主張)ア地方財政法4条1項は「地方公共団体の経費は,その目的を達成する,ための必要且つ最少の限度をこえて,これを支出してはならない」と規。 定するが,この規定は,地方自治法2条14項に掲げられている「最少経費による最大の効果」を予算執行の立場から簡潔に表現した規定であり,その「必要且つ最少の限度」の判定に当たっては,広く社会的,政策的ないし経済的見地から総合的にこれをなすべきである れている「最少経費による最大の効果」を予算執行の立場から簡潔に表現した規定であり,その「必要且つ最少の限度」の判定に当たっては,広く社会的,政策的ないし経済的見地から総合的にこれをなすべきである。地方財政法4条1項の抽象的性質に照らしても,同規定該当性に関する判断については,行為者の広範な裁量に委ねられており,かかる広範な裁量権の逸脱又は濫用が認められる場合に限り,当該財務会計行為が違法となるのであって,本件のように,WTC契約及びATC契約に係る契約賃料等の額が本件鑑定に係る適正賃料等の額を上回るからといって,直ちにWTC契約,ATC契約の締結が裁量権の逸脱又は濫用に当たるものとして,違法となるものではない。 イ大阪市が,ATC契約を締結した経緯は,以下のとおりである。 (ア)ATC契約1(BPCネットワークセンター)についてa大阪市は,昭和63年ころ,アジア太平洋地域の都市との提携を通じて,ビジネス交流の促進を図り,両都市間の相互理解,友好親善を深めるとともに,相互の経済発展に寄与することを目的とするビジネ()()。 スパートナー都市BPC提携を推進することとした乙30参照BPCネットワークセンターは,このようなBPC提携事業を推進し,中小企業の国際化を図るためのビジネス交流の拠点として,国内- 27 -及び海外の企業に対する情報提供,商品展示等の事業を展開することが予定されていた(乙30参照。 )このようなBPCネットワークセンターの理念,特に主要な目的に,,中小企業の国際化をあげていることにかんがみればその入居施設は輸入促進を通じて中小企業振興を図ることを目的とするATCビルが最も適しているため,大阪市は,BPCネットワークセンターをATCビルに入居させることとした。 bATC社は,平成4年10月ころ 設は輸入促進を通じて中小企業振興を図ることを目的とするATCビルが最も適しているため,大阪市は,BPCネットワークセンターをATCビルに入居させることとした。 bATC社は,平成4年10月ころ,ITM棟の賃貸条件(賃料)として,3階から8階までは1万7500円/月・坪(5293円/月・㎡,9階から12階までは1万7000円/月・坪(5142円)/月・㎡,共益費を実費と設定していた(乙31~33。ATC))社は,ATCビル周辺には類似の賃貸事例がなかったことから,同時期に開業し,ATCビルとコンセプトが似ている神戸ファッションマ()()ートの開業当初平成3年10月の賃料1万6000円/月・坪及び大阪市内の大規模ビルの募集賃料を参考にして上記金額を決めるに至ったのであるが,同時に行った調査によれば,大阪市内の新築ビル4棟の賃料は,これを大きく上回っていた(乙34。 )全国主要都市のオフィスビル,倉庫,店舗等の仲介及び企画コンサルタント業を営む三鬼商事の調査によれば,平成4年12月における大阪市内の梅田地区,南森町地区,淀屋橋・本町地区,船場地区,心,(「」。)斎橋・難波地区新大阪地区の6地区以下本件6地区というにおける新築の巨大ビル(賃貸面積4000坪以上のビルをいう。以下,三鬼商事の調査結果につき同じ)の平均募集賃料は2万460。 ,()。 0円/月・坪であり上記設定賃料を大きく上回っていた乙59大阪市は,BPCネットワークセンターを入居させるためにはATCビルが最も適していると判断し,上記設定賃料が妥当と判断した上- 28 -で,ATC契約1を締結することとした(乙17の4。 )また平成6年5月1日時点で大阪市輸入促進事業推進補助金大,,(阪市内の輸入促進に係る賃貸施設へ 設定賃料が妥当と判断した上- 28 -で,ATC契約1を締結することとした(乙17の4。 )また平成6年5月1日時点で大阪市輸入促進事業推進補助金大,,(阪市内の輸入促進に係る賃貸施設への中小企業,海外企業の入居促進のため,大阪市からATC社ほかの認定事業者に交付される補助金。 ATC社ほかの認定事業者は,当該業者への賃料を,その分だけ低廉に設定できるようになる。以下「本件補助金」という。乙2参照)の利益を受けていない賃借人70社のうち,6501円~7000円/月・㎡の賃料等区分(9階から12階までの設定賃料に共益費を加え。),た賃料等6957円/月・㎡が含まれるに属する賃貸人が12社7001円~7500円/月・㎡の賃料等区分(3階から8階までの設定賃料に共益費を加えた賃料等7108円/月・㎡が含まれる)。 に属する賃借人が11社あり,それ以上の賃料等区分での賃借人が13社あるから,これらで上記70社の過半数(36社)を占める(乙137。 )(イ)ATC契約2(輸入住宅促進センター)についてa大阪市は,平成7年ころ,大阪経済を担う中小企業の活性化を目指し,今後の市場成長が期待される次世代産業分野における中小企業の育成及び振興を企図していた。かかる状況下で,大阪市は,安価で高品質な海外の住宅及び建材を取り扱う輸入住宅及び輸入建材取扱企業の出展等による輸入住宅及び建材に関する情報収集,情報提供事業,一般顧客向けの各種イベント開催,アンケート実施等による輸入住宅購入見込客情報の収集事業,モデルルームや海外及び国内の専門書,資料の展示等による輸入住宅に関する理解促進と啓蒙,普及事業の各事業を行う施設を設置することとした(乙36参照。同センターの)入居施設としては,ワンフロア当たりの面積が広く,展示場機能を有する施 資料の展示等による輸入住宅に関する理解促進と啓蒙,普及事業の各事業を行う施設を設置することとした(乙36参照。同センターの)入居施設としては,ワンフロア当たりの面積が広く,展示場機能を有する施設が最適であるところ,ATCビルはその要望に応えるもので- 29 -あったから,大阪市は,同センターをATCビルに入居させることとした。 b前記のとおり,ATC社は,平成4年10月ころ,ITM棟の賃貸条件賃料として3階から8階までは1万7500円/月・坪 (),(293円/月・㎡,9階から12階までは1万7000円/月・坪)(5142円/月・㎡,共益費を実費と設定しており,平成7~8)年ころも同様の賃貸条件を設定していた。 大阪市は,ATC契約2の締結に先立ち,三鬼商事に賃貸事例を照会したところ,ATCビル周辺で賃借人を募集しているのはWTCビルのみであり,WTCビルの賃料等は7000円前後/月・㎡であるとの回答を得た。なお,三鬼商事の調査によっても,平成6年12月当時における本件6地区の新築以外の巨大ビルの募集賃料は1万9600円/月・㎡であったから(乙60,上記設定賃料はこれを大き)く下回るものである。 大阪市は,輸入住宅促進センターを入居させるためにはATCビルが最も適していると判断し,上記設定賃料が妥当と判断した上で,ATC契約2を締結することとした(乙18の4)また,平成7年4月1日時点において,本件補助金の利益を受けていない賃借人60社のうち,ATC契約2及び後記ATC契約3及び4と同程度の賃料等区分(6501円~7000円/月・㎡)に属する賃借人が13社,それ以上での賃料等区分に属する賃借人が18社ある(乙137。平成8年4月1日時点において,本件補助金の利)益を受けていない賃借人51社のうち,A 円~7000円/月・㎡)に属する賃借人が13社,それ以上での賃料等区分に属する賃借人が18社ある(乙137。平成8年4月1日時点において,本件補助金の利)益を受けていない賃借人51社のうち,ATC契約2及び後記ATC契約3及び4と同程度の賃料等区分(6501円~7000円/月・㎡)に属する賃借人が10社,それ以上の賃料等区分に属する賃借人が5社あった(乙137。 )- 30 -(ウ)ATC契約3(エイジレスセンター)及びATC契約4(大阪デザイン振興プラザ)についてa大阪市は,国内の高齢化の進行にかんがみ,大阪経済を担う中小企業の活性化を目指し,福祉関連分野の市場開拓を支援するため,高齢者福祉をテーマにした総合福祉情報の展示及び発信の拠点施設として,各種イベント等による世界の福祉先進国における福祉,介護及びライフスタイルなどの紹介,福祉関連製品取扱企業の出展等による先端技術を駆使した福祉機器,住宅設備機器などの商品展示等の事業を展開する施設を,ATC社及び株式会社朝日新聞社と共同で設置することとした(乙38。同センターの入居施設としては,構造上展示)場に適した仕様を有しており,大規模な賃借スペースを確保できることが必要であるところ,ATCビルはその要望に応えるものであったから,大阪市は,同センターをATCビルに入居させることとした。 bかねてから,大阪市において,デザイン振興のための施策が遂行されていたが,その施策,活動は分散的,断片的なものに限られていたから,平成2年12月,デザイン振興政策を統合的に行うため,大阪市デザイン振興懇談会により「デザインマインドシティー大阪の推,進」との提言がされた(乙40。大阪市は,この提言を受け,各種)施策を遂行してきたが,デザイン振興の拠点施設として,デザイン振興プラザを イン振興懇談会により「デザインマインドシティー大阪の推,進」との提言がされた(乙40。大阪市は,この提言を受け,各種)施策を遂行してきたが,デザイン振興の拠点施設として,デザイン振興プラザを設置することとした。ATCビルは,ATCデザインセンターが存在し,相乗効果が期待できること,ATCビル内のテナントとの取引が見込まれること,ATCビルのワンフロアの賃借可能面積が広大であり,かつ,構造上展示場に適していることなどから,大阪市は,ATC社と共同して,ATCビルに同プラザを入居させることとした。 cATC社は,従前どおりの賃貸条件を設定しており,大阪市は,そ- 31 -の賃貸条件どおりにATC契約1,2を締結したこと,三鬼商事への照会の結果,ATCビル周辺で賃借人を募集しているビルは住友生命国際交流センター及びWTCビルしかなく,前者の賃料が1万5000円/月・坪,後者の賃料が2万4133円/月・坪とのことであったこと,前者では十分な賃貸面積を確保困難なことをふまえ,大阪市は,設定賃料どおりにATC契約3,4を締結した(乙19の4,乙20の4。なお,三鬼商事の調査によっても,平成7年12月当時)における本件6地区の新築以外の巨大ビルの募集賃料は1万9400円/月・坪であったから(乙61,上記設定賃料はこれを大きく下)回るものである。 また,前記のとおり,平成7年4月1日時点及び平成8年4月1日時点において,ATC契約3,4と同程度又はそれ以上高額の賃貸条件で賃借していた賃借人が相当数存在した(乙137。 )(()),(エ)ATC契約5大阪環境産業振興センターグリーンエコプラザATC契約6(消費者センター)についてa大阪市は「平成11年版大阪経済白書」によって環境産業が有望,な産業分野であると位置づけら )ATC契約5大阪環境産業振興センターグリーンエコプラザATC契約6(消費者センター)についてa大阪市は「平成11年版大阪経済白書」によって環境産業が有望,な産業分野であると位置づけられたことなどから(乙45,環境関)連新事業の育成,振興及び市民,企業等に対する環境問題への啓発の拠点整備という観点から,総合的な情報発信機能を備えるとともに,環境関連分野における中小企業の育成,振興を図る施設として,大阪()。 環境産業振興センターグリーンエコプラザを設置することとしたATCビルは,輸入住宅促進センターやエイジレスセンターといった次世代産業マートの運営ノウハウを有するとともに,集積メリットを生かした出展企業間の相互交流等が期待できること,ワンフロアの賃借可能面積が広大で,展示場に適した仕様となっていることから,大阪市は,ATC社及び株式会社日本経済新聞社と共同で同センターを- 32 -ATCビルに入居させることとした。 b大阪市は,平成8年11月,行財政改革の一環として,消費者行政関連業務の再編を行うこととした(乙69。大阪市の消費者行政関)連業務としては,消費生活動産や消費生活情報の提供,消費者教育,啓発を行っていた消費者センターと,事業者への規制を行っていた消費生活課が存在したため,消費者行政施策を総合的に推進するため,これらを統合した消費者センターを設置することとした(乙70。 )もともと消費者センターは,大阪市中心部の船場センタービルに位置し,消費生活課は市役所1階に位置していたから,これを統合する必要に迫られたが,両業務を統括することにより人員が増加するために従前の船場センタービルのままでは狭隘であること,船場センタービルは日曜日及び祝日に閉館していたことから(乙78,大阪市は,)日曜日や祝日も開 たが,両業務を統括することにより人員が増加するために従前の船場センタービルのままでは狭隘であること,船場センタービルは日曜日及び祝日に閉館していたことから(乙78,大阪市は,)日曜日や祝日も開館し,幅広い年齢層に集客実績があって,構造上展示場に適していたATCビルに,同センターを入居させることとした(乙49参照。 )cATC社は,従前どおりの賃貸条件を設定しており,大阪市は,その賃貸条件どおりにATC契約1~4を締結したこと,三鬼商事への照会の結果,大阪市内大型賃借ビル58件の月額賃料等の平均値が1万9490円/月・坪であって,ATCビルの設定賃料はこれを下回っていたことから(乙21の8,乙22の4,大阪市は,設定賃料)どおりで,ATC契約5,6を締結した。なお,三鬼商事の調査によっても,平成11年12月当時における本件6地区の新築以外の巨大ビルの募集賃料は1万8500円/月・坪であったから(乙62,)上記設定賃料はこれを下回るものである。 また,平成12年4月1日時点において,本件補助金の利益を受けていない賃借人94社のうち,6501円~7000円/月・㎡の賃- 33 -料等区分(ATC契約5が含まれる)に属する賃借人が9社,70。 01円~7500円/月・㎡の賃料等区分(ATC契約6が含まれる)に属する賃借人が4社,それ以上の賃料等区分に属する賃借人。 が14社あった(乙137。 )ウ大阪市が,WTC契約を締結した経緯は以下のとおりである。 (ア)WTC契約1(港湾局)について,(。 「」a港湾局は港区築港所在の庁舎昭和44年建設以下築港庁舎という)を使用していたが,平成7年1月の阪神淡路大震災を契機。 として,港湾局が担う防災対策を推進するため,耐震性の弱い旧庁舎を耐震改修することとし,高 所在の庁舎昭和44年建設以下築港庁舎という)を使用していたが,平成7年1月の阪神淡路大震災を契機。 として,港湾局が担う防災対策を推進するため,耐震性の弱い旧庁舎を耐震改修することとし,高度の防災対策のとられているWTCビルへ仮移転することとした(乙58の1。 ),,(),bWTC社は平成4年ころWTCビルの賃貸条件賃料として7階から17階までは7600円/月・㎡,18階から27階までは7000円/月・㎡,28階から38階までは7300円/月・㎡,39階から45階までは7600円/月・㎡,共益費はいずれも1800円/月・㎡と設定していた(乙53。この設定賃料は,平成4)年12月における本件6地区における新築の巨大ビルの平均募集賃料2万4600円/月・坪(7441円/月・㎡)とほぼ同額であった(乙59。 )大阪市は,平成4年から平成9年までの市内ビジネスゾーンにおけるオフィスビルの平均募集賃料の下落率が約28%(平成4年の平均募集賃料は1万6030円/月・坪であったが,平成9年9月時点で1万1540円/月・坪に下落)であることや延床面積3000坪。 以上のビルの平均募集賃料が1万7960円/月・坪(5433円/月・㎡)であることなどを参考にして(乙54,WTCビルの設定)賃料から約3割減額した5110円/月・㎡が賃料として適正額であ- 34 -ると考えWTC社と協議の上同金額でWTC契約1を締結した乙,,(23の1~3。 )平成10年当時,WTCビルの賃借人53社のうち,WTC契約1(),と同額以上の賃料等で入居している賃借人が12社あり乙115外郭団体(大阪市が4分の1以上出資している団体)のうち出資者が大阪市だけであるものを除くと,賃借人50社のうちWTC契約1と同額以上の賃料 額以上の賃料等で入居している賃借人が12社あり乙115外郭団体(大阪市が4分の1以上出資している団体)のうち出資者が大阪市だけであるものを除くと,賃借人50社のうちWTC契約1と同額以上の賃料等で入居している賃借人が9社(乙116,外郭団)体全てを除いても,賃借人47社のうちWTC契約1と同額以上の賃料等で入居している賃借人が8社(甲30)ある。 (イ)WTC契約2(建設局,WTC契約3(都市環境局,WTC契約))5(水道局)について,(。 「」a水道局は北区扇町所在の庁舎昭和10年建築以下扇町庁舎。),,,というを使用していたが平成8年ころから市内配水管の水量水圧の一元管理などのOA化,災害時の指揮命令系統の拡充,庁舎の,。 耐震性強化などの必要性から扇町庁舎の建て替えが計画されていた建設局及び都市環境局は,都心部に立地する大阪駅前第2ビルを使用していたが,OA化にともなうスペース不足,温度上昇等に悩まされており,阪神淡路大震災を契機とした災害対策室の整備も望まれていた。 水道局,建設局,都市環境局は,平成12年1月,上記問題点を解決し,ベイエリア地域を活性化するなどの目的で,WTCビルに入居し,既に入居している建設局も仮移転ではなく本移転とすることとした(乙55,58の2~5。 )b大阪市は,WTC社の設定賃料を約3割減額させた賃料5110円,,/月・㎡共益費1800円/月・㎡でWTC契約1を締結したこと三鬼商事への照会の結果,大阪市内大型賃借ビル58件の月額賃料等- 35 -(),の平均値が1万9156円/月・坪5794円/月・㎡であってWTC契約1での賃料はこれを下回っていたこと,共益費が各ビルごとに実費として徴収させるもので比較検討が困難であること,WTCビル ),の平均値が1万9156円/月・坪5794円/月・㎡であってWTC契約1での賃料はこれを下回っていたこと,共益費が各ビルごとに実費として徴収させるもので比較検討が困難であること,WTCビル以外に大規模な床面積を確保することが困難であることなどから(乙24の3,乙25の3,乙27,大阪市は,WTC契約1と同)様の賃料でWTC契約2,3,5を締結した。なお,三鬼商事の調査によっても,平成11年12月当時における本件6地区の新築以外の巨大ビルの募集賃料は1万8500円/月・坪であったから(乙62,上記設定賃料はこれを下回るものである。 ),,,平成12年当時WTCビルの賃借人52社のうちWTC契約23,5と同額以上の賃料等で入居している賃借人が19社あり(乙115,外郭団体のうち出資者が大阪市だけであるものを除くと,賃)借人48社のうちWTC契約1と同額以上の賃料等で入居している賃借人が16社(乙116,外郭団体全てを除いても,賃借人47社)のうちWTC契約2,3,5同額以上の賃料等で入居している賃借人が9社ある(甲30。 )(ウ)WTC契約4(ゆとりとみどり振興局)について,,,ゆとりと緑振興局は平成13年4月1日建設局花と緑の推進本部教育委員会スポーツ部,市民局文化振興課及び経済局都市観光課が統合して新設された局である。そこで,大阪市は,既に建設局が入居していたWTCビル17階部分をゆとりと緑振興局に移管するとともに,新たに25階部分も賃借することとして,移管前の建設局に係るWTC契約,()。 2の賃貸条件を継承した上でWTC契約4を締結した乙26の3WTC契約4は,WTC契約2,3,5のわずか5か月後に締結されており,賃料水準も大きな変動がなかったと考えられるから,独自に違法性を論ずる余地は を継承した上でWTC契約4を締結した乙26の3WTC契約4は,WTC契約2,3,5のわずか5か月後に締結されており,賃料水準も大きな変動がなかったと考えられるから,独自に違法性を論ずる余地はない。 - 36 -エ不動産所有権は,売買契約等を通じて転々流通し得るものであるから,取引当事者とは無関係に客観的な市場価格が形成され得る。したがって,不動産の売買契約という一回性の経済取引を行うに当たっては,係る客観的な市場価格をもって取引をすべきであるとの財務会計上の義務を導き出,。 しやすいし現に不動産の売買に当たっては鑑定を行うのが一般的であるこれに対し,賃貸借契約は,人的信頼関係に基づく継続的取引により発生するものであり,契約当事者の個性その他の様々な要素の影響を無視し得ない。また,賃貸借契約は,土地所有権のように転々流通することがないから,取引市場が形成されない。実際にも,同一地域内における貸しビルの賃料等は物件によって様々であるし,同一の貸しビル内ですら,賃借人によって賃料等が区々となることが珍しくない。現に,WTC契約及びATC契約においては,賃料等が一定の幅をもって分布している。 さらに,不動産賃貸借に当たり,新規賃料の鑑定を行うことは不可能ではないかもしれないが,正確な鑑定のためには,賃料等の数値ないし資料を入手することが必要となるところ,契約の相手方が営業秘密に渡るような数値ないし資料を任意で提供するはずがないから,現実には,新規賃料の鑑定は困難であり,現に不動産取引慣行上も一般的ではない。また,仮に新規賃料鑑定に必要な数値ないし資料を入手できたとしても,鑑定には多大な労力と時間を要するので(本件鑑定でも,現地検分から鑑定書提出まで約8か月を要した,不動産賃貸借に当たり新規賃料鑑定が必要と。)するのは非現実的 値ないし資料を入手できたとしても,鑑定には多大な労力と時間を要するので(本件鑑定でも,現地検分から鑑定書提出まで約8か月を要した,不動産賃貸借に当たり新規賃料鑑定が必要と。)するのは非現実的である。 前記のとおり,大阪市は,WTC契約及びATC契約締結に当たり,その必要性及び賃料等の額の適正性を十分に調査した上で契約締結に至ったものであり,WTC契約及びATC契約に係る賃料等は,現にWTCビル及びATCビルにおいて一定の幅をもって分布している範囲内に収まっていたのであるから,契約賃料等の額が本件鑑定における適正賃料等の額よ- 37 -りも高くとも,大阪市に許された裁量の範囲を逸脱又は濫用したものということはできない。したがって,WTC契約及びATC契約の締結は違法でない。 (5)WTC契約,ATC契約に基づく賃料等の支出命令の違法性(全事件の本案の争点3)(原告らの主張)ア前記(4)(原告らの主張)記載のとおり,WTC契約及びATC契約は違法である。 イ賃貸借契約における支出負担行為(契約締結)とその実現過程である支出命令は密接な関連性があるため,支出負担行為が違法であれば,支出命令もその違法性を承継し,当然に違法となる。 ウ仮に支出負担行為としてされた契約が違法であるにもかかわらず,私法上無効であるとはいえないため,その履行としてされた支出命令が違法とならない場合があるとしても,当該普通地方公共団体が当該契約の取消権又は解除権を有しているときや,当該契約が著しく合理性を欠き,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在し,かつ,客観的にみて当該普通地方公共団体が当該契約を解消することができる特殊な事情があるときは,支出命令権者は,これらの事情を考慮することなく,当該契約に基づく義務の履行として漫然と支出命令 在し,かつ,客観的にみて当該普通地方公共団体が当該契約を解消することができる特殊な事情があるときは,支出命令権者は,これらの事情を考慮することなく,当該契約に基づく義務の履行として漫然と支出命令を行ってはならないという財務会計上の義務を負っていると解すべきである。 本件においては,本来的な支出命令権者及び専決によりその権限を有するに至った者は,契約の見直し,賃料改定交渉等を行わずに漫然と支出命令を行っており,支出命令が違法となる。 (被告らの主張)ア前記(4)(被告らの主張)記載のとおり,WTC契約及びATC契約の締結は違法でない。 - 38 -イ仮にWTC契約及びATC契約が違法であったとしても,これが強行法規に反したり,相手方の利益を考慮する必要がない特段の事情が存在する場合でない限り,契約が私法上無効となることはない。 ,,まず原告らがWTC契約及びATC契約の違法性として主張するのは地方財政法4条1項違反であるが,これは,地方公共団体の事務運営に関する抽象的な基本原則を提示したものにすぎず,WTC契約及びATC契約の賃料等がいかなる金額に至れば裁量権の濫用又は逸脱に渡るものとして違法,無効となるのかについて,WTC社及びATC社に明らかであるとは到底いえない。原告らは,大阪市から多数の職員がWTC社及びATC社に出向していることを指摘するが,だからといってWTC社及びATC社においてWTC契約及びATC契約締結に向けた裁量権の濫用,逸脱の有無が当然に明らかになるとはいえない。 そもそも,地方公共団体が締結した契約について,その対価が高額であることをもって契約の効力を否定することが安易に許容されるとすれば,取引の安全を著しく害し,地方公共団体との取引を著しく抑制する結果となる。すなわち,契約の相手方としては,より高額 の対価が高額であることをもって契約の効力を否定することが安易に許容されるとすれば,取引の安全を著しく害し,地方公共団体との取引を著しく抑制する結果となる。すなわち,契約の相手方としては,より高額な対価をもって契約締結を行おうとするのが経済的合理性にかなう当然の行動であり,その対価が公序良俗違反とまで認められる暴利行為であれば格別,これに至らない程度でしかないのに事後的に契約の効力が否定されるとすれば,地方公共団体との間で契約を締結することは困難となるし,事実上,当該相手方に地方公共団体と同様の地方財政等への配慮を要求する結果となってしまう。 そして,大阪市は,ATC契約の締結に当たってはATCビルの設定賃料等どおりの賃料等で契約を締結したものであり,WTC契約の締結に当たっては,WTCビルの設定賃料等から約3割減額させた賃料等の額で契約を締結したものであって,いずれも,WTCビル及びATCビルにおい- 39 -て一定の幅をもって分布している賃料等の額の範囲内であったから,これをもって強行法規に違反するとか,相手方の利益を考慮する必要がない特段の事情が存在するなどということはできない。 そして,契約が無効ではない以上,その履行としてされた支出命令が違法となることはない。 ウ原告らは,仮に支出負担行為としてされた契約が違法であるにもかかわらず,私法上無効であるとはいえないため,その履行としてされた支出命令が違法とならない場合があるとしても,当該普通地方公共団体が当該契約の取消権又は解除権を有しているときや,当該契約が著しく合理性を欠き,予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在し,かつ,客観的にみて当該普通地方公共団体が当該契約を解消することができる特殊,,,な事情があるときは支出命令権者はこれらの事情を考慮すること 算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在し,かつ,客観的にみて当該普通地方公共団体が当該契約を解消することができる特殊,,,な事情があるときは支出命令権者はこれらの事情を考慮することなく当該契約に基づく義務の履行として漫然と支出命令を行ってはならないという財務会計上の義務を負っていると解すべきであるとした上で,本件では,そのような義務の違反があったと主張する。 しかし,WTC契約及びATC契約は賃貸借契約であり,契約期間の定めがある場合は,中途解約権が留保されない限り,賃借人が一方的に解除することはできないし(民法618条参照,一方的に賃料を減額させる)こともできない。原告らは,大阪市がWTC契約及びATC契約を見直さなかったことが違法であると主張するが,これは,大阪市が,WTC契約及びATC契約期間の満了時にWTCビル及びATCビルを退去しなかったことが違法であるというに等しく,論理に飛躍がある。また,WTC契約及びATC契約について,賃料等が高額であることだけを理由として,賃借人による取消権又は解除権さらには「契約を解消することができる特殊な事情」が認められることは考えられない。 (6)B及びAの責任原因(48号,51号,52号の本案の争点)- 40 -(原告らの主張)アB(市長在任・平成7年12月19日~平成15年12月18日)は,本来的な権限者として,WTC契約1~4の締結に当たり,WTCビル以外に適切な賃貸物件がないか調査すべきであったのに,これを怠った。 Bは,本来的な権限者として,ATC契約締結に当たり,真に当該契約に係る入居部局を新設することが必要であったか否か(消費者センター以),(),外移転させることが必要であったか否か消費者センターを精査し仮にその必要があったとしても,ATC に当該契約に係る入居部局を新設することが必要であったか否か(消費者センター以),(),外移転させることが必要であったか否か消費者センターを精査し仮にその必要があったとしても,ATCビル以外に適切な賃貸物件があった否かを調査すべきであったのに,これらを怠った。 イまた,B及びA(市長在任・平成15年12月19日~平成19年12月18日)は,本来的な権限者として,WTC契約1~4に基づく賃料の支出命令に当たり,賃料額の適正性を調査させるべきであったのに,これを怠った。 ウ上記のとおり,B及びAは,本来的な権限者として,部下職員が違法行為を行うことを阻止すべき指揮監督上の義務に違反していたから,損害賠償責任を免れない。 (被告らの主張)ア前記のとおり,WTC契約及びATC契約の締結は違法ではないし,仮に違法であったとしても,B及びAにおいて,部下職員が違法行為を行うことを阻止すべき指揮監督上の義務違反はない。 イ仮に,WTC契約及びATC契約が違法であったとしても,無効となる,,,余地はないから支出命令は違法ではないし仮に違法であったとしてもB及びAにおいて,部下職員が違法行為を行うことを阻止すべき指揮監督上の義務違反はない。 第3争点に対する判断 監査請求の対象(48号,51号,52号の本案前の争点1)について- 41 -(1)甲第1号証によれば,原告らは,平成16年1月23日,本件第1次監査請求において,大阪市が筆頭株主である第三セクター3社(本件3社)を救済するために公金を投入することが違法であるとして,本件3社に対するこれまでの補助金の返還と今後の支出差止め,将来の損失補償の差止めを求めたほか,3社の賃料が民間に比して2倍から3倍の高額であるとして,これまでに支払った市と民間賃料の差額返還を求 本件3社に対するこれまでの補助金の返還と今後の支出差止め,将来の損失補償の差止めを求めたほか,3社の賃料が民間に比して2倍から3倍の高額であるとして,これまでに支払った市と民間賃料の差額返還を求めたことが認められる。 このように,本件第1次監査請求においては,補助金については過去の返還と併せて将来の支出差止めを求めているにもかかわらず,民間賃料との差額については,過去の返還を求めるにとどまり,将来の支出差止めを求めていないことからすれば,同監査請求においては,WTC契約及びATC契約に係る支出命令のうち,同監査請求がされた平成16年1月23日までに支出されていた賃料に係るもの(WTC契約については平成15年12月末日までにされた平成16年1月分までのもの,ATC契約については平成15年9月25日までにされた平成16年3月分までのもの)に限り,当該監査請求の対象とされていたというべきである。 (2)したがって,本件第1次監査請求に基づいた48号,51号,52号事件のうち,WTC契約に係る平成16年2月分以降の賃料等についての支出命令を対象財務会計行為とするもの請求の趣旨(1)ア(2)の全部及び同(1)(,イのうち平成16年2月分以降の賃料等の支出命令の違法を理由とする部分)及びATC契約に係る平成16年4月分以降の賃料等の支出命令を対象財務会計行為とするもの(請求の趣旨(3)アの全部及び同イのうち平成16年4月分以降の賃料等の支出命令の違法を理由とする部分)は,監査請求を前置しない不適法な訴えとして,却下を免れない。 監査請求期間経過の正当理由の有無(48号,51号,52号の本案前の争点2)について(1)前記のとおり,WTC契約,ATC契約は,最も遅いものでも平成14- 42 -年12月1日(WTC契約3②)に締結さ 経過の正当理由の有無(48号,51号,52号の本案前の争点2)について(1)前記のとおり,WTC契約,ATC契約は,最も遅いものでも平成14- 42 -年12月1日(WTC契約3②)に締結されているから,本件第1次監査請(),,,求平成16年1月23日はWTC契約ATC契約の締結については。 ,財務会計行為があった日から1年以上経過した後にされたものであるまた本件第1次監査請求は,WTC契約及びATC契約に基づく平成15年1月分の賃料の支出(WTC契約につき平成14年12月31日まで,ATC契約につき同月25日にされている)に係る支出命令についても,財務会計。 行為があった日から1年以上経過した後にされたものである。 そこで,本件第1次監査請求が,上記各財務会計行為があった日から1年以上経過した後にされたことについて正当な理由があるといえるか否かを検討する。 (2)普通地方公共団体の住民が,相当の注意力をもって調査を尽くしても客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に財務会計行為上の行為の存在又は内容を知ることができなかった場合,監査請求期間経過の正当理由の有無は,特段の事情がない限り,当該普通地方公共団体の住民が相当の注意力をもって調査すれば客観的にみて上記の程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から相当な期間内に監査請求をしたかどうかによって判断されるべきである(最高裁平成14年9月12日第一小法廷判決・民集56巻7号1481頁。そして,住民監査請求制度が,違法,不当)な財務会計行為を行政内部で是正させようとするものであり,住民監査請求をする際には,違法,不当な当該行為又は怠る事実を「証する書面」を添える必要がある(地方自治法242条1項)ことに照らせば,上記の「客観的にみて住 政内部で是正させようとするものであり,住民監査請求をする際には,違法,不当な当該行為又は怠る事実を「証する書面」を添える必要がある(地方自治法242条1項)ことに照らせば,上記の「客観的にみて住民監査請求をするに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時」とは,当該行為が違法又は不当であるという疑惑を持つに足りる程度に当該行為の存在及び内容を知ることができたと解される時であると解するのが相当である。 (3)そこで,大阪市の住民が,WTC契約及びATC契約の締結並びにこれ- 43 -らに基づく賃料等の支出命令について,客観的にみて上記の程度にその存在及び内容を知ったといえるのはいつかを検討する。 まず,WTCビル及びATCビルは,一般市民に公開された施設であるから,大阪市の各部局ないし施設がWTCビル及びATCビルに入居していること自体は,当該各部局ないし施設の入居直後から,公知の事実であったというべきである。 そして,乙第66号証及び弁論の全趣旨によれば,平成13年11月19日に開催された大阪市議会平成12年度決算特別委員会(準公営・一般)において,F委員から,本件3社がいわゆるバブル経済の時期に手がけられたものであること,ATC社が受領している平成12年度の年間賃料額(51億5800万円)は,大阪市につき約16億2600万円,民間の賃借人につき35億3200万円(ただし,大阪市からATC社に民間企業の賃料補助の趣旨で交付されている本件補助金4億0600万円を加えると,39億3600万円)であり,総賃貸床面積(10万1200㎡)は,大阪市につき1万8400㎡,民間の賃借人につき8万2800㎡であること,その結果,大阪市の支払っている賃料等は,民間の賃借人の支払っている賃料等の約1.9倍(大阪市の年間平均賃料 1200㎡)は,大阪市につき1万8400㎡,民間の賃借人につき8万2800㎡であること,その結果,大阪市の支払っている賃料等は,民間の賃借人の支払っている賃料等の約1.9倍(大阪市の年間平均賃料約8万8369円/月・㎡(=16億2600万円/年÷1万8400㎡)は,民間の賃借人の年間平均賃料約4万(). )7536円=39億3600万円/年÷8万2800㎡の約185倍の水準に至っていることを指摘する質問をしていること,WTC社についても,平成12年度の民間の賃借人の年間支払賃料総額が4億9500万円,民間の賃借人の総賃貸床面積が1万2414㎡であって,大阪市の賃料水準5110円/月・㎡は民間の賃借人の賃料水準の約1.5倍(大阪市の月額賃料5110円/㎡は,民間の賃借人の月額平均賃料3322円/㎡(=4億9500万円/年÷1万2414㎡÷12月)の約1.53倍)であることを指摘する質問をしていること,さらに,これらの事実を評して「ATC- 44 -やWTCは会社の収入面や営業面で大阪市が前面に出て,しかも出血サービスまでして支えていると,こういうことを示しているのではないかと考えます」と追及していること,これらの議事録は,平成14年1月ころに作成。 されて公開されたことが認められる。 そうすると,大阪市の住民が相当の注意力をもって調査すれば,上記委員会の議事録が作成された平成14年1月ころには,同委員会において,上記議員が,大阪市がWTCビル及びATCビルに民間の賃借人よりも約1.5倍ないし約1.9倍の水準の賃料で入居し,かつ,賃料を支払い続けているという事実を指摘して質問をし,大阪市を批判していることを知ることができたというべきである。そうすると,大阪市の住民は,そのころ,WTC契約及びATC契約並びにこれらに基づく 賃料を支払い続けているという事実を指摘して質問をし,大阪市を批判していることを知ることができたというべきである。そうすると,大阪市の住民は,そのころ,WTC契約及びATC契約並びにこれらに基づく賃料の支出に係る支出命令が違法又は不当であるという疑惑を持つに至る程度にその存在及び内容を知ることができたというべきである。 しかるに,本件第1次監査請求は,上記時点から約2年経過した後にされたものであるから,上記の程度に財務会計行為の存在及び内容を知ることができた時から相当期間内にしたものということはできない。 (4)したがって,本件訴え(48号,51号,52号)のうち,本件第1次監査請求がされた日(平成16年1月23日)から1年以上前にされた財務会計行為に係る部分(WTC契約及びATC契約の締結に関する部分並びにこれらに基づいて支出された平成15年1月分までの賃料に係る支出命令に),,関する部分は監査請求期間を経過したことにつき正当な理由がないから適法な監査請求を前置しない不適法なものとして,却下を免れない。 WTC契約,ATC契約に係る適正賃料等(全事件の本案の争点1)について(1)前記のとおり,当裁判所は,いずれも東京地方裁判所不動産競売評価人候補者であるC,D,Eの3名を鑑定人(合議)として選任し,WTC契約- 45 -1①②④⑥⑦,WTC契約2②~⑨,WTC契約3③~⑥,WTC契約5①~⑥,ATC契約2ア,ATC契約3,ATC契約4,ATC契約5,ATC契約6について,WTCビル,ATCビルの特徴をふまえた上で,上記各契約で定められた利用条件等に留意し,不動産鑑定評価基準に準拠して,それぞれ当初の賃貸借契約締結日の時点における新規適正賃料等(いずれも単位面積当たり)を算定する旨の鑑定を採用し,本件鑑定人は,それぞれの 定められた利用条件等に留意し,不動産鑑定評価基準に準拠して,それぞれ当初の賃貸借契約締結日の時点における新規適正賃料等(いずれも単位面積当たり)を算定する旨の鑑定を採用し,本件鑑定人は,それぞれの鑑定物件におけるそれぞれの鑑定時点での新規適正賃料及び適正共益費の単位面積当たりの額を,別表第3のとおりと鑑定した。 本件鑑定人は,本件対象不動産は賃貸用不動産であるから,本来,賃貸事例比較法を採用することが望ましいが,WTCビル及びATCビルの賃貸事例の資料が本件鑑定人に対し開示されなかったこと(前提事実(8)エ,W)TCビル及びATCビルは,供給に対し,有効需要が少なく市場バランスを欠くため,市場での自由な価格競争を実現することができておらず,そこで成立した賃貸事例の信頼性は低く,賃料水準自体形成されているとはいい難いことから,賃貸事例比較法を有効に活用することが困難であると考え,賃貸事例比較法に準ずる方法を採用し,積算法を加味して,適正賃料を算定した。ここで,賃貸事例比較法に準ずる方法とは,①大阪市中心部の巨大ビル(4000坪以上)の賃料水準からアプローチする方法,②WTCビル,ATCビルの賃料分布からアプローチする方法,③神戸ファッションマート,オーク一番街,オスカードリーム,コスモプラザビルなどの現地調査とヒアリング及び大阪市に拠点を置く不動鑑定士,不動産会社,信託銀行などのヒアリング結果を参考とする方法などを総合して適正賃料を把握する方法である。 (2)弁論の全趣旨によれば,本件鑑定人は,東京地方裁判所不動産競売評価,(,人候補者として同裁判所における民事執行事件の評価民事執行法58条188条)を始め,数多くの不動産鑑定を手がけてきたことが認められる。 - 46 -そして,本件鑑定人が採用した上記方法は,WTCビル及び 補者として同裁判所における民事執行事件の評価民事執行法58条188条)を始め,数多くの不動産鑑定を手がけてきたことが認められる。 - 46 -そして,本件鑑定人が採用した上記方法は,WTCビル及びATCビルの賃貸状況に見られる特殊性と鑑定の基礎資料が限定されているという状況の下において,その豊富な知識と経験を活かし,可能な限り適正な正常賃料を把握しようとするもので,合理的な手法として高く評価されるべきであり,その具体的な判断内容を精査しても,不合理,不自然な点は見当たらない。本件鑑定書の判断内容の信頼性は高いというべきであり,本件鑑定書の内容をもって,WTC契約及びATC契約の契約時における新規適正賃料の額と認定すべきである。 (3)これに対し,被告らは,本件鑑定が,賃貸事例比較法を採用せず,比準賃料を算定せずに,賃貸事例比較法に準ずる方法によって適正賃料等の額を算定したから,不動産鑑定評価基準に準拠しないものであると主張する。 確かに,不動産鑑定評価基準は,建物及びその敷地の正常賃料の鑑定評価額は,積算賃料及び比準賃料(賃貸事例比較法による試算賃料)を関連づけて決定するものとすると定めているが,同時に,各不動産鑑定士が,自己の専門的学識と応用能力に基づき,個々の案件に応じて不動産の鑑定評価を行うことを許容しているから(乙106,限られた資料の中で,各不動産鑑),,定士が鑑定方法を工夫し賃貸事例比較法に準ずる方法を用いたこと自体は何ら問題とするに値しない。 また,被告らは,本件鑑定にいう賃貸事例比較法に準ずる方法に一定の有用性が認められるとしても,同方法の意味するところが不明であって,依拠すべき基準も明らかではないし,これらの点を措くとしても,各価格時点において数少ない賃貸事例しか収集できておらず,そもそも賃貸事例比較法に準 れるとしても,同方法の意味するところが不明であって,依拠すべき基準も明らかではないし,これらの点を措くとしても,各価格時点において数少ない賃貸事例しか収集できておらず,そもそも賃貸事例比較法に準ずる方法さえ採用していないと主張する。 しかし,上記のとおり,本件鑑定は,賃貸事例比較法に準ずる方法の具体的な内容を明らかにしているし,WTCビルの賃料水準やATCビル中央値(平成6年,平成7年,平成8年,平成12年)を収集し,適正賃料等算定- 47 -の資料としている。もっとも,本件鑑定人が両ビルの賃貸事例の詳細を十分に検討できなかったことは,被告らの指摘するとおりである(前提事実(8)エ)が,前記のとおり,本件鑑定人は,WTCビル及びATCビルにおいては,供給に対し需要が少ない借り手市場であるため,市場での自由な価格競争が実現されておらず,両ビルにおける賃貸事例の信頼性が低いという認識に立ち,これを補完するものとして,より広域の範囲で賃料水準を把握し,それとの比較において,本件対象物件についての適正な賃料水準を把握する手法を採っているものであり,この判断は合理的である。本件鑑定人がWTCビル及びATCビルの賃料事例の開示が受けられなかったことは,本件鑑,,,定の精度に対し影響を及ぼし得る事実であるが広域の賃料水準を把握しこれを取り込んで適正賃料等を算定するという上記鑑定手法に照らせば,その影響は限定的であり,本件鑑定の信頼性に疑念を抱かせる性質のものではない。 したがって,被告らによる本件鑑定の論難は,本件鑑定の信頼性に対する有効な批判とはいえない。 WTC契約,ATC契約に基づく賃料等の支出命令の違法性(全事件の本案の争点3)について(1)前記のとおり,本件訴え(48号,51号,52号)のうち,WTC契約に係る平成16年 はいえない。 WTC契約,ATC契約に基づく賃料等の支出命令の違法性(全事件の本案の争点3)について(1)前記のとおり,本件訴え(48号,51号,52号)のうち,WTC契約に係る平成16年2月分以降の賃料等についての支出命令の違法を理由とする部分及びATC契約に係る平成16年4月分以降の賃料等についての支出命令の違法を理由とする部分は,そもそも監査請求がされておらず,本件第1次監査請求がされた日(平成16年1月23日)から1年以上前にされた財務会計行為に係る部分(WTC契約及びATC契約の締結に関する部分並びにこれらに基づいて支出された平成15年1月分までの賃料に係る支出命令に関する部分)は,監査請求期間を経過したことにつき正当な理由がない。そこで,その余の部分(WTC契約に基づく平成15年2月分から平成- 48 -16年1月分までの賃料等に係る支出命令の違法を理由とする部分及びATC契約に基づく平成15年2月分から平成16年3月分までの賃料等に係る支出命令の違法を理由とする部分(48号,51号,52号)並びにWTC契約及びATC契約に基づく平成20年3月分以降の賃料等に係る支出命令の違法を理由とする部分(151号)について検討する。 )(2)本件で問題とされている支出命令は,WTC契約及びATC契約の履行として,賃料等を支出する前提として行われる財務会計上の行為である。 ,,,一般に賃貸借契約を締結した賃借人は当該賃貸借契約を締結した以上その効力として,賃料の支払義務を免れないが,この点は,当該賃借人が地方公共団体であったとしても何ら変わるところはない。したがって,賃借人たる地方公共団体は,原則として,賃貸借契約に基づいて賃料の支出及びその前提としての支出命令をする義務を負う。しかし,当該賃貸借契約が私法上無効で としても何ら変わるところはない。したがって,賃借人たる地方公共団体は,原則として,賃貸借契約に基づいて賃料の支出及びその前提としての支出命令をする義務を負う。しかし,当該賃貸借契約が私法上無効である場合,又は当該地方公共団体がその取消権又は解除権を有しているときや,当該賃貸借契約が著しく合理性を欠き,そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在し,かつ,客観的にみて当該地方公共団体が当該賃貸借契約を解消することができる特殊な事情にある場合には,支出命令権者は,当該賃貸借契約の効力を否定して賃料支払義務から脱却すべき義務を負っているというべきであり,そうであるにもかかわらず漫然と支出命令を行った場合には,当該支出命令は違法となるというべきである(最高裁平成20年1月18日第二小法廷判決・判例タイムズ1261号145頁参照。 )そこで,本件において,WTC契約及びATC契約が私法上無効といえるか否か,仮に私法上無効ではないとしても,当該地方公共団体がその取消権又は解除権を有しているときや,当該賃貸借契約が著しく合理性を欠き,そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在し,かつ,客観的にみて当該地方公共団体が当該賃貸借契約を解消すること- 49 -ができる特殊な事情にある場合といえるか否かについて検討する。 (3)まず,原告らは,WTC契約及びATC契約が,地方公共団体の経費はその目的を達成するための必要かつ最小の限度を超えて支出してはならないとの趣旨を定めた地方財政法4条1項及びこれと同趣旨の地方自治法2条14項に違反するため無効であると主張する。しかし,これらの規定は,地方公共団体の長その他の職員が,予算の執行として契約の締結その他の支出負担行為を行うに当たり,当該行為の具体的な事 地方自治法2条14項に違反するため無効であると主張する。しかし,これらの規定は,地方公共団体の長その他の職員が,予算の執行として契約の締結その他の支出負担行為を行うに当たり,当該行為の具体的な事情に照らして,最も少ない額をもって目的を達成するように努める法的な義務を課したものと解されるから,より少ない金額で所期の目的を達成できることが明らかであるのにあえてそれを大きく超えた条件で支出負担行為をした場合のように,長その他の職員に与えられた裁量権の範囲の著しい逸脱又は濫用があり,当該行為を無効にしなければ地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となる特段の事情が認められる場合に限り,当該契約が私法上も無効となるというべきである。 (4)そこで,本件において,そのような特段の事情が認められるか否かを検討する前提事実(5)(8)エのとおり,WTC契約及びATC契約の約定賃料等と本件鑑定に係る適正賃料等は,それぞれ別表3記載のとおりであり,そのすべての契約において,上記約定賃料等は,適正賃料等を上回っており,それを倍率として表すと,WTC契約について,適正賃料等の1.57倍~1.61倍,ATC契約について,適正賃料等の1.23倍~1.99倍である。 しかし,本件鑑定において指摘されているとおり,WTCビル及びATCビルにおける賃料等には,極めて大きなばらつきがあり(例えば,WTCビルにおける平成9年度の賃料単価には,約6倍の差がある,上記適正賃。)料等付近に集中する賃料分布になっていない。そして,WTC契約及びATC契約における約定賃料等が他の民間賃借人の賃料等と比較して,突出して- 50 -高いとまではいえず,他の民間の賃借人の賃料等の賃料分布内に収まるものである。すなわち,証拠(甲30,乙137)によれば,A おける約定賃料等が他の民間賃借人の賃料等と比較して,突出して- 50 -高いとまではいえず,他の民間の賃借人の賃料等の賃料分布内に収まるものである。すなわち,証拠(甲30,乙137)によれば,ATC契約1の締結(平成5年10月1日)に近接した平成6年5月1日当時,ATCビルの民間の賃借人(本件補助金の利益を受けていない者に限る。以下,ATC契約につき同じ)70社のうち,ATC契約1の賃料等(7108円/月・。 ㎡)と同程度の賃料等区分(7001円~7500円/月・㎡)に属する賃借人が11社,それ以上の賃料等区分での賃借人は13社あったこと,ATC契約2~4の締結(平成7年5月1日~平成8年5月20日)に近接した平成7年4月1日当時,ATCビルの民間の賃借人60社のうち,13社がATC契約2~4(6957円/月・㎡)と同程度の賃料等区分(6501円~7000円/月・㎡)に属し,18社がそれ以上での賃料等区分に属していたこと,平成8年4月1日当時,ATCビルの民間の賃借人51社のうち,10社が上記同程度の賃料等区分に属し,5社がそれ以上の賃料等区分に属していたこと,ATC契約5及び6の締結(平成12年4月1日,同月13日)に近接した平成12年4月1日当時,ATCビルの民間の賃借人94社のうち,9社がATC契約5(6957円/月・㎡)と同程度の賃料等区分に属し,4社がATC契約6(7108円/月・㎡)と同程度の賃料等区分に属し,14社がそれ以上の賃料等区分に属していたこと,WTC契約1の締結(平成10年8月1日~平成12年9月1日)に近接した平成10年当時,WTCビルの民間の賃借人(外郭団体を除く。以下,WTC契約につき同じ)47社のうち,8社がWTC契約1(5110円/月・㎡)と。 同額以上の賃料で入居していたこと(賃料だけでいえば 成10年当時,WTCビルの民間の賃借人(外郭団体を除く。以下,WTC契約につき同じ)47社のうち,8社がWTC契約1(5110円/月・㎡)と。 同額以上の賃料で入居していたこと(賃料だけでいえば,9社であるが,このうち1社は,共益費が無料のため,賃料と共益費の合計は,WTC契約1を下回るので除外した,WTC契約2~5の締結(平成12年11月1。)日~平成14年12月1日)に近接した平成12年当時,WTCビルの民間の賃借人35社のうち9社がWTC契約2~5(5110円/月・㎡)と同- 51 -額以上の賃料で入居していたこと(賃料だけでいえば,10社であるが,このうち1社は共益費が無料で,賃料と共益費の合計は,WTC契約2~5を下回るので除外した)が認められる。 。 そして,前記のとおり,本件鑑定人が,WTCビル及びATCビルの賃貸市場では,その市場参加者の誰もが認識できる賃料水準が形成されていないため,その賃料分析だけでは,適正な賃料水準の把握はできないとして,大阪市中心部の巨大ビルの賃料水準や神戸ファッションマート,オーク一番街などの賃料水準などの比較検討を併せて行い,これらを総合考慮して本件適正賃料等を算定したことからも明らかなとおり,本件適正賃料等の把握は,必ずしも容易なことではない。しかも,WTC社及びATC社としては,供給に比べて有効需要が伸び悩む中,WTCビル及びATCビルを,できるだけ高い賃料で賃貸したいと考えているわけであり(本件鑑定によっても,賃貸事業採算性に着目する積算賃料は,相当高額である,いくら借り手市。)場であるからといって,大阪市がその賃料を一方的に決めることはできず,両社との交渉の結果決まることになる。また,大阪市は,WTCビル及びATCビルの賃借人であるとともに,WTCビルを所有するWTC社 場であるからといって,大阪市がその賃料を一方的に決めることはできず,両社との交渉の結果決まることになる。また,大阪市は,WTCビル及びATCビルの賃借人であるとともに,WTCビルを所有するWTC社,ATCビルを所有するATC社の大口株主でもあり,両ビルの公共性も含め,賃料の交渉において要する考慮は,単純ではない。 これらのことに照らせば,WTC契約及びATC契約に係る契約賃料等の額が適正賃料額等を超過していたことは,前記のとおりであり,事後的に見れば,WTC社及びATC社に対し,より強い姿勢で交渉に望み,より低い賃料等で契約することは可能であったといえるものの,上記各契約の賃料等の定めが,公序良俗に違反する程度にまで高いものといえないことはもとより,大阪市において,より少ない金額で所期の目的を達成できることが明らかであるのに,あえてそれを大きく超えた条件で上記各契約を締結したものともいえない。そして,証拠(乙30,36,38,49,55,58,7- 52 -0)及び弁論の全趣旨によれば,大阪市は,概ね,前記3(4)(被告らの主張)イ(ア)a(イ)a(ウ)ab(エ)ab及びウ(ア)a(イ)a(ウ)に記載された経緯ないし目的でWTC契約及びATC契約を締結したことが認められ,上記各契約を締結する必要性が認められること(なお,証拠(甲17,37~45)によれば,上記各契約により大阪市が使用している各室の中には,十分な有効活用がされていないと思われるものもあるが,それは活用の仕方の問題であり,大阪市が上記各契約を締結した当時,賃借する必要性がなかったことを推認させるものではない)も併せて考えれば,WTC契約及びATC契。 約には,当該行為を無効にしなければ地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となるほどの著しい裁量権 たことを推認させるものではない)も併せて考えれば,WTC契約及びATC契。 約には,当該行為を無効にしなければ地方自治法2条14項,地方財政法4条1項の趣旨を没却する結果となるほどの著しい裁量権の逸脱又は濫用があったとはいえず,私法上無効であったとはいえない。 (5)次に,原告らは,WTC契約及びATC契約が私法上無効ではないとしても,本件では,大阪市がその取消権又は解除権を行使し,又はWTC契約及びATC契約が著しく合理性を欠き,そのためその締結に予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在し,かつ,客観的にみて大阪市がWTC契約及びATC契約を解消することができる特殊な事情にある場合にあると主張する。 しかし,WTC契約及びATC契約は契約期間の定めのある賃貸借契約であって,中途解約権の留保もされていたとは認めるに足りないから,賃借人として賃貸借契約を一方的に解除することはできないし(民法618条参照,直ちに一方的に賃料を減額させることも困難である。確かに,大阪市)は,WTC契約及びATC契約の期間満了に当たり,異議を述べて契約更新。 ,,,を拒絶することも契約上可能ではあったしかし前記のとおり大阪市は平成16年4月分以降,WTC契約及びATC契約における賃料等の減額を申し入れてその合意に達したのであるから,十分であったとはいえないまでも,適正賃料等の額との乖離は一定程度減少したといえるし,前提事実,証- 53 -拠(乙119~135)及び弁論の全趣旨によれば,WTC契約及びATC契約に係る賃借部分が,現に,大阪市の事務所,BPCネットワークセンター,輸入住宅促進センター等として,上記各契約を締結した当初の目的に沿って使用され,一定の効用を上げていることが認められる(もっとも,現時点において有効活用の程 市の事務所,BPCネットワークセンター,輸入住宅促進センター等として,上記各契約を締結した当初の目的に沿って使用され,一定の効用を上げていることが認められる(もっとも,現時点において有効活用の程度に差があることは,前記のとおりである)こと。 や,仮にWTC契約及びATC契約を解消するとすれば,別途事務所スペース等の確保及び移転費用も必要となることにかんがみれば,客観的にみて,大阪市がWTC契約及びATC契約を解消することが期待できる特殊な事情にあったとまではいえないというべきである。 (6)以上のとおり,WTC契約及びATC契約が私法上無効であるとも,これらに予算執行の適正確保の見地から看過し得ない瑕疵が存在し,かつ,客観的にみて当該地方公共団体が当該賃貸借契約を解消することができる特殊な事情にある場合にあるともいえないから,WTC契約及びATC契約に基づく賃料等の支出命令は違法とはいえないというべきである。 その余の点について(1)地方自治法242条の2第1項4号本文に係る訴えは,執行機関又は職員に対し,職員等に対する損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを求める訴訟である。したがって,ここにいう「執行機関又は職員」とは,当該訴訟で求められている損害賠償又は不当利得返還の請求を行う権限を有する行政庁及びその補助機関をいうものと解される。 前記のとおり,WTC契約5は,地方公営企業たる大阪市水道事業に係るものである。被告水道局長は,大阪市の営む水道事業及び工業用水道事業の管理者であり,当該業務の執行に関し,大阪市を代表する権限を有する行政庁であるから(地方公営企業法8条1項本文,WTC契約5の締結又はこ)れに基づく賃料等の支出に係る支出命令が違法であるとして適正賃料等を超える部分(不当利得)の返還を求める権限を有するのは る行政庁であるから(地方公営企業法8条1項本文,WTC契約5の締結又はこ)れに基づく賃料等の支出に係る支出命令が違法であるとして適正賃料等を超える部分(不当利得)の返還を求める権限を有するのは,被告市長ではなく- 54 -被告水道局長と解される。そうすると,48号に係る請求の趣旨(1)イのうち当該部分に係る訴えは,被告適格を有する被告水道局長ではなく,被告適格のない被告市長を被告としているものであるから,不適法な訴えとして,却下を免れない。 (2)また,地方自治法242条の2第1項4号本文に係る訴えにつき認容判決が確定した場合においては,当該地方公共団体の長は,当該判決が確定した日から60日以内の日を期限として,当該請求に係る損害賠償金又は不当利得金の支払を請求しなければならないとされている(地方自治法242条の3第1項。このように,地方公共団体の長が,同判決確定後,ごく短期)間に損害賠償金又は不当利得金の支払を請求しなければならないとされているのは,同訴訟において請求の相手方及び金額が確定されることが前提となっていると解される。 前記のとおり,請求の趣旨(1)エ及び(2)エに係る訴えは,BがしたWTC契約及びATC契約の締結並びにこれに基づく賃料等の支出命令が違法であるとして,Bの相続人に対して損害賠償請求及びその遅延損害金の請求をするよう求める訴えであるが,請求の相手方が明らかではないから,請求の特定が十分でないといわざるを得ない(なお,Bが平成19年11月26日に死亡した事実は,本件口頭弁論終結の2か月以上前である第16回口頭弁論期日(平成19年12月6日)において取り調べられた乙第143号証により明らかとなっていた。そうすると,その余の点を判断するまでもなく,。)請求の趣旨(1)エ及び(2)エに係る訴えは不適法 弁論期日(平成19年12月6日)において取り調べられた乙第143号証により明らかとなっていた。そうすると,その余の点を判断するまでもなく,。)請求の趣旨(1)エ及び(2)エに係る訴えは不適法なものとして却下を免れない。 結論 以上のとおり,本件訴え(48号,51号,52号)のうち,WTC契約に基づく平成16年2月分以降の賃料等に係る支出命令の違法を理由とする部分及びATC契約に基づく平成16年4月分以降の賃料等に係る支出命令の違法- 55 -を理由とする部分はそもそも監査請求がされておらず,本件第1次監査請求がされた日(平成16年1月23日)から1年以上前にされた財務会計行為に係る部分(WTC契約及びATC契約の締結に関する部分並びにこれらに基づいて支出された平成15年1月分までの賃料に係る支出命令に関する部分)は,監査請求期間を経過したことにつき正当な理由がないから,いずれも不適法として却下することとする(主文1項(1),(2),(4),(5),(6) 。また,48)号のうち,WTC契約5の締結及びこれに基づく支出命令の違法を理由とする部分は,被告適格を有しない者を被告にしたものとして(主文1項(2) ,B)を請求の相手方とする部分は請求の特定がないものとして(主文1項(3),(7) ,いずれも不適法であるから却下することとする。 )本件訴え(48号,51号,52号)のその余の部分(WTC契約1~4に基づく平成15年2月分から平成16年1月分までの賃料等に係る支出命令に関する部分及びATC契約に基づく平成15年2月分から平成16年3月分までの賃料等に係る支出命令に関する部分)及び本件訴え(151号)に係る各請求は,WTC契約及びATC契約に基づく支出命令が違法であるとは認めら,(),。 れないからいずれも棄 16年3月分までの賃料等に係る支出命令に関する部分)及び本件訴え(151号)に係る各請求は,WTC契約及びATC契約に基づく支出命令が違法であるとは認めら,(),。 れないからいずれも棄却することとし主文2項主文のとおり判決する大阪地方裁判所第7民事部裁判長裁判官廣谷章雄裁判官森鍵一- 56 -裁判官棚井啓- 57 -
▼ クリックして全文を表示