平成17(ワ)20498 損害賠償請求

裁判年月日・裁判所
平成19年6月11日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文19,686 文字)

平成19年6月11日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成17年(ワ)第20498号損害賠償請求事件口頭弁論終結日平成19年4月9日判決原告A(以下「原告A」という)。 原告B(以下「原告B」という)。 原告C(以下「原告C」という)。 原告D(以下「原告D」という)。 原告ら訴訟代理人弁護士若林直子被告医療法人社団昌医会(以下「被告昌医会」という)。 同代表者理事長G亡E訴訟承継人被告F(以下「被告F」という)。 亡E訴訟承継人被告G(以下「被告G」という)。 亡E訴訟承継人被告H(以下「被告H」という)。 亡E訴訟承継人被告I(以下「被告I」という)。 被告ら訴訟代理人弁護士清塚勝久遠藤元一青木智子梅林和馬上田豊陽小西貞行上記小西貞行訴訟復代理人弁護士寺西康一郎主文 別紙1①の「被告」欄記載の被告らは,原告Aに対し,連帯して「認容額」欄記載の金員及び「内金」欄記載の内金に対する平成15年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 別紙1②の「被告」欄記載の被告らは,原告Bに対し,連帯して「認容額」欄記載の金員及び「内金」欄記載の内金に対する平成15年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 別紙1③の「被告」欄記載の被告らは,原告Cに対し,連帯して「認容額」欄記載の金員及び「内金」欄記載の内金に対する平成15年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 別紙1④の「被告」欄記載の被告らは,原告Dに対し,連帯して「認容額」欄記載の金員及び「内金」欄記載の内金に対する平成15年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を による金員を支払え。 別紙1④の「被告」欄記載の被告らは,原告Dに対し,連帯して「認容額」欄記載の金員及び「内金」欄記載の内金に対する平成15年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,これを20分し,その9を原告Aの,その1を原告Bの,その 1を原告Cの,その1を原告Dの各負担とし,その余は被告らの連帯負担とする。 この判決は,第1項ないし第4項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1請求 別紙2①の「被告」欄記載の被告らは,原告Aに対し,連帯して「請求額」欄記載の金員及び「内金」欄記載の内金に対する平成15年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 別紙2②の「被告」欄記載の被告らは,原告Bに対し,連帯して「請求額」欄記載の金員及び「内金」欄記載の内金に対する平成15年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 別紙2③の「被告」欄記載の被告らは,原告Cに対し,連帯して「請求額」欄記載の金員及び「内金」欄記載の内金に対する平成15年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 別紙2④の「被告」欄記載の被告らは,原告Dに対し,連帯して「請求額」欄記載の金員及び「内金」欄記載の内金に対する平成15年9月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要本件は,被告昌医会の開設する病院の医師(院長)であった承継前被告亡Eにおいて原告Aの脳動脈瘤破裂によるくも膜下出血を見落として適切な治療を行わなかった診療上の注意義務違反(過失)があったために,原告Aに脳動脈瘤の再破裂によるくも膜下出血(本件再出血)が生じて高次脳機能障害等の後遺障害が残ったことにつき, 出血を見落として適切な治療を行わなかった診療上の注意義務違反(過失)があったために,原告Aに脳動脈瘤の再破裂によるくも膜下出血(本件再出血)が生じて高次脳機能障害等の後遺障害が残ったことにつき,原告A並びにその夫である原告B及び子である原告C,原告Dが,被告昌医会並びにEの相続人であるその余の被告らに対し,不法行為責任(被告昌医会については使用者責任)に基づいて,本件再出血が生じたことによる損害金(当該後遺障害による損害金を含む)及び本件再出。 血が生じた日からの民法所定の割合による遅延損害金の連帯支払を求めている事案であり,争点は損害額である。 前提事実(証拠原因により認定した事実については,括弧書きで当該証拠原因を掲記する。その余の事実は当事者間に争いがない)。 (1)当事者ア被告昌医会は,肩書地において「葛西循環器脳神経外科病院」という名称の病院(以下「被告病院」という)を開設している。 。 脳神経外科医師であった承継前被告亡Eは,平成15年8月当時,被告昌医会の理事長であり,被告病院の院長も務めていたが,平成18年4月21日に死亡した。 被告FはE医師の妻,被告G及び被告HはE医師と被告Fとの間の子,被告IはE医師の非嫡出子である。他にE医師の相続人はいない。 イ原告A(昭和22年生の女性)は,平成15年8月20日に被告病院においてE医師による診療を受けた者である。 原告Bは原告Aの夫,原告C及び原告Dは原告Bと原告Aとの間の子である。 (2)E医師の過失及びこれによる結果,,。 原告Aは平成15年8月18日深夜就寝中に激しい頭痛で目が覚めたその頭痛は,事後的客観的に見ると,脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血を生じたことによるものであった。 同月20日,原告Aが被告病院を受診した際,その診療を担当したE医師は 寝中に激しい頭痛で目が覚めたその頭痛は,事後的客観的に見ると,脳動脈瘤が破裂してくも膜下出血を生じたことによるものであった。 同月20日,原告Aが被告病院を受診した際,その診療を担当したE医師は,脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血と診断してクリッピング術又はコイル塞栓術等の適切な治療を行うべき診療上の注意義務を負っていたが,くも,,(,膜下出血を見落として上記治療を行わず上記注意義務に違反した以下この注意義務違反(過失)を「本件過失」という。 。)本件過失があったために,原告Aは,同年9月2日,脳動脈瘤の再破裂に よるくも膜下出血を生じた(以下,この出血を「本件再出血」という。 。),(),(,,なお本件再出血くも膜下出血はgradeⅤ深昏睡除脳硬直瀕死の状態の重篤なものであり当初JCSが300の意識障害痛み・),,(刺激に反応しない状態)であった(甲A4,B1,弁論の全趣旨。 )(3)本件再出血により生じた結果等ア原告Aは,本件再出血があったために,平成15年9月2日から同年12月30日までは入院してその後平成16年9月8日までは通院してた,(だし,同年4月19日から同月24日までは入院して)被告病院で診療を受けた。上記入院中,平成15年9月2日,脳動脈瘤に対するコイル塞栓術を,同年10月9日,くも膜下出血に続発して生じた正常圧水頭症に対するV-Pシャント術を,平成16年4月20日,再度のコイル塞栓術を受けた(甲A4,5。 ),,,なお原告Aは平成16年9月24日から平成17年1月14日まで国家公務員共済組合連合会虎の門病院(以下「虎の門病院」という)に。 通院して診療を受けた(甲C12ないし17(枝番を含む,弁論の全。)趣旨。 )イ後遺障害( から平成17年1月14日まで国家公務員共済組合連合会虎の門病院(以下「虎の門病院」という)に。 通院して診療を受けた(甲C12ないし17(枝番を含む,弁論の全。)趣旨。 )イ後遺障害(ア)原告Aは,本件再出血があったために,高次脳機能障害が生じ,平成17年1月14日,その症状が固定した(症状固定日については,弁論の全趣旨。 ),()高次脳機能障害とは脳の器質的病変に基づくもの器質性精神障害であり,一般に,認知,行為(の計画と正しい手順での遂行,記憶,)思考,判断,言語,注意の持続などが障害された状態であるとされている(甲B4の1・2,弁論の全趣旨。 )(イ)また,原告Aは,本件再出血があったために,眼の「120点スクリーニングテスト」において,比較暗点が右眼につき42点(絶対暗点 は0点左眼につき78点絶対暗点は0点であるという障害が残っ),()た(甲A10,24の1,弁論の全趣旨。以下,この障害と上記(ア)の高次脳機能障害を併せて「本件後遺障害」という。なお,以下では,自動車損害賠償保障法施行令2条関係の別表第一,第二を単に「別表第一「別表第二」といい,その別表第一,第二所定の後遺障害等級を」,単に「後遺障害等級」ということとする。 。)(4)原告らの家族関係等(甲A19,20,原告C及び原告D各本人)原告Bは,肩書地の自宅において宝飾品加工業を営んでいる。 原告Aは,中学校卒業後,美容師をしていたが,昭和47年に原告Bと結婚して,昭和48年に原告C及び原告Dを出産し,以後,平成15年8月にくも膜下出血を生ずるまでは,家事及び育児の傍らに原告Bの仕事を手伝うなど,精神・身体の障害はなく年齢相応の通常の日常生活を送っていた。 原告Cは,平成15年6月に結婚して,本件再出血があった後の同年 くも膜下出血を生ずるまでは,家事及び育児の傍らに原告Bの仕事を手伝うなど,精神・身体の障害はなく年齢相応の通常の日常生活を送っていた。 原告Cは,平成15年6月に結婚して,本件再出血があった後の同年10月に上記自宅を出た。 原告Dは,現在も,上記自宅で原告B及び原告Aと同居して,会社勤めをしている。 原告らの主張(1)被告昌医会及びE医師の責任前提事実によれば,E医師は,民法709条に基づいて,本件再出血により原告らに生じた損害(本件後遺障害が生じたことによる損害を含む)を。 賠償すべき義務(債務)を負ったといえるし,被告昌医会は,民法715条1項に基づいて,上記損害を賠償すべき義務があるといえる。 そして,E医師の相続人である被告F,被告G,被告H及び被告Iは,上記E医師の債務を順次10分の5,10分の2,10分の2,10分の1の割合で相続したといえる。 (2)本件後遺障害について ア本件後遺障害は,後遺障害等級2級(別表第一)に相当する。 すなわち,原告Aは,重度の高次脳機能障害があって,労働能力は皆無であるし,自宅内の日常生活動作は家族の介助・指示を受けながら辛うじ,,。 て一応できるものの自宅外の行動が困難であり随時介護が必要であるイ仮に高次脳機能障害に係る後遺障害等級について被告らの見解(5級)に従うとしても,原告Aは両眼に視野欠損もあるから,本件後遺障害が後遺障害等級4級を下回ることはない。 (3)原告Aの損害ア入院費(投薬代を含む)17万7000円。 原告Aは,前提事実(3)アの2回の入院につき,その入院費として計17万7000円を要した。 イ診療費(投薬代を含む)6万4470円。 原告Aは,前提事実(3)アの通院診療(虎の門病院分を含む)の診療。 費として計6万4470円(内2万7670円 費として計17万7000円を要した。 イ診療費(投薬代を含む)6万4470円。 原告Aは,前提事実(3)アの通院診療(虎の門病院分を含む)の診療。 費として計6万4470円(内2万7670円が被告病院分)を要した。 ウ入院付添費81万9000円原告Aは,本件再出血を生じた平成15年9月2日当時の症状が重篤であったこと,同月8日のリハビリテーション開始以後も,刺激がなければ,,覚醒を維持することが困難で立位保持もままならない状態であったこと本件再出血に続発して生じた正常圧水頭症により痴呆様症状を呈して病院内の移動中に突然衣服を脱ぎだしてしまうような状態であったこと,加害者であるE医師及び被告病院に原告Aの看護を全面的に委ねることができなかったこと,これらを考慮すると,前提事実(3)アの入院(平成15年9月2日から同年12月30日まで及び平成16年4月19日から同月24日まで)の全期間(計126日)について近親者による付添いを要したというべきである。その入院付添費は,日額6500円とすると81万9000円(6500円×126)となる。 エ通院付添費5万9400円原告Aは,一人では外出することができず,医師の説明や指示を理解し記憶することもできないから,症状固定に至るまでの全通院(18日)について,近親者による付添いを要したというべきである。その通院付添費,()。 は日額3300円とすると5万9400円3300円×18となるオ症状固定までの自宅付添費294万0600円原告Aは,平成15年12月30日の退院後も,昼夜の区別がつかず,食事の最中に食べ物を混ぜ合わせたりして遊んでしまうような状態で,常時介護がなければ日常生活を営むことが不可能であったから,退院日の翌日である同月31日から症状固定に至るまで ,昼夜の区別がつかず,食事の最中に食べ物を混ぜ合わせたりして遊んでしまうような状態で,常時介護がなければ日常生活を営むことが不可能であったから,退院日の翌日である同月31日から症状固定に至るまでの全期間(381日)について,近親者による付添いを要したというべきである。ただし,平成16年4月19日から同月24日までの入院期間中(6日)は自宅付添費は不要であったし,上記エの通院付添費は重複するから,症状固定までの自宅付添費は,日額8000円とすると,次の数式のとおり294万0600円となる。 8000円×(381-6)-5万9400円(上記エ)=294万0600円カ将来の介護費9322万3920円原告Aは,日常生活動作を行うために逐一指示を必要とする上,自発性や意欲の欠如により外部からの働きかけがなければ行動を起こさないから,日常生活を営む上で常時監視,見守りを必要とする。 そうとすると,将来の介護費を算定するにあたっては,常時介護を必要とする場合に準じて考えるべきである。具体的には,症状固定時から原告Bが70歳になるまでの4年間(ライプニッツ係数3.546)の介護費は日額8000円が相当であり,その後,原告Aの平均寿命までの28年間(ライプニッツ係数14.898)については,職業付添人を依頼せざ るを得ず,その費用は日額2万円が相当である。 したがって,原告Aの将来の介護費は,次の数式のとおり9322万3920円となる。 8000円×365×3.546+2万円×365×(14.898-3.546)=9322万3920円キ入通院慰謝料262万円原告Aは,症状固定時である平成17年1月14日までに,4か月(126日)の入院及び13か月間の通院をしており,これに対する慰謝料は262万円が相当である。 ク入院雑費18万90 料262万円原告Aは,症状固定時である平成17年1月14日までに,4か月(126日)の入院及び13か月間の通院をしており,これに対する慰謝料は262万円が相当である。 ク入院雑費18万9000円原告Aは,被告病院に計126日入院した。その入院雑費は,1日当たり1500円として計18万9000円となる。 ケ交通費6万円原告Aが被告病院に入院中(平成15年9月2日から同年12月30日まで)に家族が付添看護をすべく被告病院に自家用車で通うために要した燃料費は,計5万5707円(1往復当たり464.2円)である。被告(). (. 病院に通院12日するために要した燃料費は55704円 2円×12)である。したがって,入通院のための交通費は,6万円を下らない。 コ後遺症慰謝料3000万円上記(2)の点に,本件後遺障害の内容が,人間を人間らしくしている機能に障害を残すものであり,程度の差にかかわらずそれ自体死に等しいものであること,E医師に故意又は重大な過失があること,被告らが,未だに謝罪をしないばかりでなく,原告Aの救済を放置して自らの保身に努めていること,これらを加味すれば,原告Aの後遺症慰謝料は3000万円が相当である。 サ逸失利益2549万6767円原告Aの後遺障害の程度は,上記(2)のとおり後遺障害等級2級相当である(労働能力喪失率は100%。 )しかして,原告Aは,中学卒の女性で症状固定時は57歳であったところ,本件再出血がなければ,最低12年間は通常どおり稼働することが可能であった。 したがって,原告の逸失利益は次のとおりとなる。 基礎年収287万6700円(平成14年賃金センサス女子中卒・55歳ないし59歳の年収額)×8.8632(就労可能年数12年に対応するライプニッツ係数)=25 て,原告の逸失利益は次のとおりとなる。 基礎年収287万6700円(平成14年賃金センサス女子中卒・55歳ないし59歳の年収額)×8.8632(就労可能年数12年に対応するライプニッツ係数)=2549万6767円シ住宅改造費用41万円原告Aは,現在,肩書地の自宅に居住しているが,本件後遺障害である,,視野欠損のため起きあがりや立ち上がりの動作及び片足立ちが不安定で浴槽への出入りに介助を必要とするほか,階段を昇る際にも見守りを必要,,(),,とすることから自宅建物について段差のある箇所玄関部分階段浴室及びトイレに手すりを付けること,和式便器を洋式便器に変更するこ,,。 ,と浴槽と床の段差を少なくすることこれらを考えているその費用は41万円(トイレの改造費用17万8000円,浴室改造費用22万円,手すり設置費用1万2000円)を下らない。 ス文書代41万4370円原告Aは,被告病院及び片岡病院に対して行った証拠保全の記録謄写費用として41万4370円を要した。 セ弁護士費用1535万2966円(4)原告Bの損害1650万円ア固有の慰謝料原告Bは,妻である原告Aが,本件後遺障害を負い,互いに協力して家 庭を支えたり穏やかな老後の生活を共有する存在でなくなったことによって,妻の死亡の場合に比肩すべき精神的苦痛を受けた。これに対する慰謝料は,1500万円が相当である。 イ弁護士費用150万円(5)原告C及び原告Dの損害各825万円ア固有の慰謝料原告C及び原告Dは,実母である原告Aが,本件後遺障害を負い,母として慕う存在でなくなったことによって,実母の死亡の場合に比肩すべき。 ,。 精神的苦痛を受けたこれに対する慰謝料は各750万円が相当であるイ弁護士費用各75万円 が,本件後遺障害を負い,母として慕う存在でなくなったことによって,実母の死亡の場合に比肩すべき。 ,。 精神的苦痛を受けたこれに対する慰謝料は各750万円が相当であるイ弁護士費用各75万円 被告らの主張(1)本件再出血が生じたことによる損害(本件後遺障害が生じたことによる損害を含む)の賠償責任を負うことは争わない。 。 (2)本件後遺障害の程度本件後遺障害は,後遺障害等級5級に相当する。 原告Aは,短期記憶能力や服薬,金銭の管理,動作性能力に劣るところがあり,また,火の不始末はあるが,視力,聴力,意思伝達,指示への反応,毎日の課題を理解する,生年月日を言う,自分の名前を言う,場所を理解するなどの能力には劣るところがなく,持続力・持久力にも問題がない。原告Aは,きわめて軽易な労務には服することができるし,随時の介護も必要としない。 (3)原告Aの損害についてア入院費(投薬代を含む)17万7000円は認める。 。 イ診療費(投薬代を含む)については,被告病院に通院中の診療費2万。 7670円は損害として認めるが,後医である虎の門病院に通院中の診療費が本件再出血が生じたことによる損害であることは争う。虎の門病院で の診療が本件再出血と関連することの証明がされていない。 ウ入院付添費81万9000円は争う。 原告Aの家族が付添看護について被告病院の医師の指示を受けたとの事実は確認できず,また,被告病院の完全看護体制の下においてもなお付添看護が必要であったことを窺わせる客観的事情がない。 エ通院付添費5万9400円は争う。 通院付添の事実関係が不明である。 オ将来の介護費9322万3920円は争う。 原告Aがいわゆる植物状態にないことは明らかであり,その他原告Aに常時介護が必要であると窺わせる事情はない。 原告Aは,危 院付添の事実関係が不明である。 オ将来の介護費9322万3920円は争う。 原告Aがいわゆる植物状態にないことは明らかであり,その他原告Aに常時介護が必要であると窺わせる事情はない。 原告Aは,危険行為に及ぶことはなく,また,家族からの指示については的確に応答している。このような状況からすると,介護費が日額3000円を上回ることはあり得ない。 カ入通院慰謝料262万円は争う。 原告Aが入院した期間が4か月(126日)であることは認めるが,通院期間は否認する。後医である虎の門病院での診療が本件再出血と関連することの証明がされておらず,通院期間は平成16年1月21日から同年9月8日までの232日間であるとみるのが相当である。さらに,この232日間において原告Aが通院した回数は12回であり,その通院頻度は1か月当たり2回に満たないから,慰謝料算定のための通院期間は,不定期通院として,実通院日数12日の3.5倍である42日であるとみるべきである。 そうとすると,原告ら主張の入通院慰謝料262万円は過大にすぎる。 キ入院雑費18万9000円は認める。 ク交通費6万円は争う。 原告Aが被告病院に入院中(平成15年9月2日から同年12月30日 まで)に家族が付添看護に当たった回数(日数,原告Aが被告病院に自)家用車で通院した回数(日数,原告Aの自宅から被告病院までの経路及)び距離について,客観的証拠がない。 ケ後遺症慰謝料3000万円は争う。 本件後遺障害は後遺障害等級5級に相当するから,2級に相当することを前提とする原告らの主張は失当である。 コ逸失利益2549万6767円は争う。 本件後遺障害は後遺障害等級5級に相当するから,2級に相当して労働能力喪失率が100%であることを前提とする原告らの主張は失当である。 サ住宅改造費用41 コ逸失利益2549万6767円は争う。 本件後遺障害は後遺障害等級5級に相当するから,2級に相当して労働能力喪失率が100%であることを前提とする原告らの主張は失当である。 サ住宅改造費用41万円は争う。 原告らは,住宅改造の抽象的な必要性を示すにとどまり,原告Aが現居宅で生活するにあたっての具体的な不都合性について何らの指摘もしない。また,その改造費用については,現居宅の状況をベースにした具体的な見積書は提出せず,インターネット上の商品を無作為に抽出して(現居宅に適合する規格の商品か否かについての検討もしていない)その合計。 価額を主張するにとどまる。さらに,原告らの主張は本件後遺障害が後遺障害等級2級に相当することを前提としていると解されるが,本件後遺障害は5級に相当するのであり,住宅改造の必要性や程度は原告らの主張よりも低い。 シ文書代41万4370円は認める。 ス弁護士費用1535万2966円は争う。 (4)原告B,原告C及び原告Dの損害についてア固有の慰謝料については争う。 近親者の慰謝料請求は,生命侵害の場合以外,死亡の場合に比肩するような精神的苦痛を受けた場合にのみ認められる。しかるに,本件後遺障害 は後遺障害等級5級に相当し,原告Aの障害の程度が死亡と同視しうる程重篤であるとは認められないから,原告B,原告C及び原告Dの受けた精神的苦痛が死亡の場合に比肩するようなものであるとは到底いえない。 イ弁護士費用は争う。 第3当裁判所の判断 被告らの損害賠償責任前提事実によれば,E医師は,民法709条に基づいて,少なくとも原告Aに対し(その余の原告らに対する関係は後述する,本件再出血があったこ。)とにより生じた損害(本件後遺障害が生じたことによる損害を含む)を賠償。 すべき義務(債務)を負ったというべ なくとも原告Aに対し(その余の原告らに対する関係は後述する,本件再出血があったこ。)とにより生じた損害(本件後遺障害が生じたことによる損害を含む)を賠償。 すべき義務(債務)を負ったというべきであるし,また,被告昌医会は,民法715条1項に基づいて,少なくとも原告Aに対し(その余の原告らに対する関係は後述する,上記損害を賠償すべき義務があるというべきである。そ。)して,被告F,被告G,被告H及び被告Iは,上記のE医師の債務を順次10分の5,10分の2,10分の2,10分の1の割合で相続したといえる。 そこで,以下,原告らの主張する損害について検討する。 まず,本件後遺障害の内容,程度について検討する。 (1)前提事実に証拠(甲A4,5,9ないし16,18ないし20,24の1,原告C及び原告D各本人のほか,各項に掲げるもの)及び弁論の全趣旨を併せると,以下の事実が認められる。 ア高次脳機能障害については,一般に,意思疎通能力(記銘・記憶力,認知力,言語力等,問題解決能力(理解力,判断力等,作業負荷に対す))る持続力・持久力及び社会行動能力(協調性等)の4つの能力の喪失の程度に着目して評価が行われる(甲B4の1・2。 )イ後遺障害診断書等の内容(ア)平成16年2月9日付け(診断日は同月4日)の主治医意見書(被告病院のJ医師作成) a心身の状態に関する意見日常生活自立度は,J2,Ⅰである。 理解及び記憶については,短期記憶には問題があるが,日常の意思決定を行うための認知能力,自分の意思の伝達能力及び食事には問題がない。 問題行動はなく,精神・神経症状もない。 (なお,Jとは,何らかの障害等を有するが,日常生活はほぼ自立しており,独力で外出する程度をいい,このうちJ2とは,隣近所へなら外出する程度を指す。Ⅰとは 。 問題行動はなく,精神・神経症状もない。 (なお,Jとは,何らかの障害等を有するが,日常生活はほぼ自立しており,独力で外出する程度をいい,このうちJ2とは,隣近所へなら外出する程度を指す。Ⅰとは,何らかの痴呆を有するが,日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している程度をいう(乙B1)。 )b介護に関する意見転倒・骨折が発生する可能性が高く,訪問診療,訪問看護,訪問リハビリテーション及び通所リハビリテーションが必要である。また,血圧に関し,内服を確認する必要がある。 (イ)平成16年1月22日調査・同年3月1日審査の介護認定審査会の判定結果室内での移動に見守りを必要とするが概ね自立していること,外出に付添いが必要であり通院以外に遠出することがないこと,服薬管理や金銭管理に支障があり記憶力の低下が見られること,これらを考慮し,日常生活自立度はA1,Ⅱbである。 (なお,Aとは,屋内での生活は概ね自立しているが,介助なしには外出しない程度をいい,このうちA1とは,介助により外出し日中はほとんどベッドから離れて生活するものを指す。Ⅱとは,日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても,誰かが注意していれば自立できる程度をいい,このうちⅡbとは,家庭外のみならず家庭内でもこの状態が見られるものを指す(乙B1)。 ) (ウ)平成16年6月22日付け診断日は同月9日の主治医意見書被()(告病院のJ医師作成)a心身の状態に関する意見日常生活自立度は,J2,Ⅰである。 理解及び記憶については,短期記憶には問題があるが,日常の意思決定を行うための認知能力,自分の意思の伝達能力及び食事には問題がない。 問題行動はなく,精神・神経症状もない。 b介護に関する意見転倒・骨折が発生する可能性が高く,訪問診 題があるが,日常の意思決定を行うための認知能力,自分の意思の伝達能力及び食事には問題がない。 問題行動はなく,精神・神経症状もない。 b介護に関する意見転倒・骨折が発生する可能性が高く,訪問診療,訪問看護,訪問リハビリテーション及び通所リハビリテーションが必要である。また,血圧に関し,内服を確認する必要がある。 (エ)平成16年6月28日調査・同年7月21日審査の介護認定審査会の判定結果日中は起きて生活し2,3日に一度介助により自宅近くに散歩に出かけること,薬を分けられず少し前のことも忘れること,1人での留守番が困難になりつつあること,日にちやお金の計算等の数的なものを忘れやすいこと,これらを考慮し,日常生活自立度はA1,Ⅱaである。 (なお,Ⅱとは,上記のとおり,日常生活に支障を来すような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても,誰かが注意していれば自立できる程度をいい,このうちⅡaとは,家庭外でこの状態が見られるものを指す(乙B1))。 (オ)平成17年7月1日付け(診断日も同日)の主治医意見書(虎の門病院のK医師作成)a心身の状態に関する意見日常生活自立度は,J2,Ⅱbである。 理解及び記憶については,短期記憶に問題があり,日常の意思決定を行うにあたって見守りも必要であるが,自分の意思の伝達能力及び食事には問題がない。 精神・神経症状はないが,火の不始末という問題行動がある。 b介護に関する意見尿失禁が発生する可能性が高く,訪問リハビリテーションが必要で。 ,,。 あるまた移動に関し1人で外出させると帰れない可能性がある(カ)平成17年6月27日調査・同年7月27日審査の介護認定審査会の判定結果室内移動は自立しているが外出は付添いがなければできないこと,短期記憶障害があり電話対応や1人 と帰れない可能性がある(カ)平成17年6月27日調査・同年7月27日審査の介護認定審査会の判定結果室内移動は自立しているが外出は付添いがなければできないこと,短期記憶障害があり電話対応や1人での留守番ができないこと,これらを考慮し,日常生活自立度はA2,Ⅱbである。 (,,,,なおAとは上記のとおり屋内での生活は概ね自立しているが介助なしには外出しない程度をいい,このうちA2とは,外出の頻度が少なく日中も寝たり起きたりの生活をしているものを指す(乙B1))。 (キ)平成18年2月10日付け(診断日は同年1月27日)の後遺障害診断書(K医師作成)a傷病名くも膜下出血後遺症b精神・神経の障害,他覚症状及び検査結果言語性IQ 動作性IQ 全IQ ウ各種検査結果等(ア)MMS23点以下が痴呆疑いであるが,20点以下とする人もいる(甲B2。 ) ①平成15年10月15日11/30②平成15年10月29日17/30③平成15年11月10日17/30④平成15年11月18日19/30⑤平成15年12月15日17/30(イ)HDS-R(長谷川式簡易知能スケール)20点以下が痴呆疑いである(甲B2,甲B3。 )平成17年9月16日16点(ウ)WAIS-R普通の人の100人のうち68人が85点から115点の間である(甲B3。 )平成17年10月21日言語性IQ 動作性IQ 全IQ エ原告Aの現在の日常生活(ア)食事については,自力で食べることが可能である。ただし,自分からは空腹感を訴えないということがあった。 (イ)更衣については,独力で行うことが可能であるが(ただし,ズボンの着脱の際にふらつくことがある,指示がないと,例えば, とが可能である。ただし,自分からは空腹感を訴えないということがあった。 (イ)更衣については,独力で行うことが可能であるが(ただし,ズボンの着脱の際にふらつくことがある,指示がないと,例えば,一日中。)寝間着のまま過ごしたり,寒いのにコートをはおらないなどということがあった。 入浴については,背中や足元を洗ったり洗髪をする際には,ふらつきがあることから,原告Dが介助をしている。 排尿については,常時おむつを着用しており,おむつに漏らすこともあるが,自らトイレで行うこともあり,おむつが濡れた場合には自ら交 換することもある。他方,排便は,自ら判断して独力で行うことができる。 なお,歯磨きは自ら必要と判断して行うが,他人の歯ブラシとの区別はつかない。 (ウ)炊事や洗濯,掃除等のいわゆる家事労働については,自発的には行わないが,依頼ないし指示があれば独力で行う。ただし,炊事については,細かい手順を1つずつ指示することが必要である。また,テレビ等の他の対象に興味を示すと作業を途中で投げ出すことがあるなど,持久力の顕著な低下が認められる。ビーズアクセサリーを行わせた際,原告Dが横について説明しながらでも2時間行うのがやっとであった。 なお,字を読むことは可能であるが,新聞は読まない。また,毎日の昼寝を日課としている。 最近は,勝手に火を使用することはなく,火の不始末はない。 ,。 ,(エ)ほとんど自宅内で過ごしており勝手に外出したことはないなお原告Aを1人で外出させたことはなく,外出の際には必ず誰かが付き添っている。 (オ)歩行中に右に右にずれる傾向があり,立ち上がるときによくふらつく。階段の昇降は,一人で行うことができるが,踏み外したときのことを心配して必ず後ろに誰かが付いている。 (カ)普通の会話はできる。隣人とも挨拶は に右にずれる傾向があり,立ち上がるときによくふらつく。階段の昇降は,一人で行うことができるが,踏み外したときのことを心配して必ず後ろに誰かが付いている。 (カ)普通の会話はできる。隣人とも挨拶は交わす。幻覚・妄想はない。 ,,(キ)短期記憶障害が認められ本件再出血以前の記憶は保たれているが新しいことが覚えられない。例えば,当日の日付が言えなかったり,電話がかかってきたことを忘れたりする。かかってきた電話の内容を伝えることは困難である。 (ク)自発性の低下が顕著に認められ,自分から何かを訴えることはほとんどない。声をかけなければ,一日中寝ていることもある。隣人とも会 話をしなくなった。 (ケ)原告Cは,月に1,2回,原告Aの居宅に行き,泊まりがけで世話。 ,,をしているまた原告Bは昼間は自宅敷地の作業場で作業をしており原告Dも平日は午前7時から午後7時ころまで仕事のために自宅を留守にしているのであって,常時原告Aの介護をしているわけではない。 (2)上記(1)に基づいて本件後遺障害の内容,程度について検討する。 ア本件後遺障害のうち高次脳機能障害について少なくとも「神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの(後遺障害等級5級)に該」当するといえる(この点については被告らも争っていない。 。)問題は,後遺障害等級の5級を超えて3級(神経系統の機能又は精神「に著しい障害を残し,終身労務に服することができないもの)又は2級」(別表第一(神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し,随時介護)「を要するもの)に該当するかである。 」原告Aは,自発性の著しい低下により何事においても自ら主体的,積極的に行動するということがない。 しかし,食事,排泄,更衣等の日常生活の維持 し,随時介護)「を要するもの)に該当するかである。 」原告Aは,自発性の著しい低下により何事においても自ら主体的,積極的に行動するということがない。 しかし,食事,排泄,更衣等の日常生活の維持に必要な身の回り処理の動作については介護なくして独力で行うことができるし,炊事,洗濯,掃除等の家事についても家族からの一定ないし随時の指示があれば独力で行うことができること,家族からの監視がない間に危険な行動をしたことがあったとは認められないこと,これらの諸点及び諸検査の結果を総合考慮すると,介護を要する2級に当たると認められないことはもとより,少なくともいわゆる家事労働はできるのであって,全く労務に服することができないとまではいえないから,3級に当たるとも認め難い。 もっとも,上記のとおり家事について家族からの一定ないし随時の指示が必要であるほか,自発性の低下のために身の回り処理の動作についても 家族からの指示が必要な場合があること,持続力・持久力が低下していることが認められるのであって,これらの点については,後記の将来の介護費や後遺症慰謝料を検討する際に斟酌することとする。 イ本件後遺障害のうち眼の障害について一般に,別表第二にいう「半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの」(後遺障害等級9級,13級)とは,ゴールドマン型視野計により視野を測定して,V/4視標による8方向の視野の角度の合計が正常視野の角度の60%以下になった場合をいうものとされ,かつ,暗点については絶対暗点を採用し比較暗点は採用しないとされているところ,当裁判所も,基本的にはこれに従う。そうすると,前提事実(3)イ(イ)のような事実だけでは,上記「半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの」に該当するとはいえないし,他に,本件全証拠を検討してみても,上記「半盲症,視野狭 はこれに従う。そうすると,前提事実(3)イ(イ)のような事実だけでは,上記「半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの」に該当するとはいえないし,他に,本件全証拠を検討してみても,上記「半盲症,視野狭窄又は視野変状を残すもの」に該当するといえるだけの事実を認めるに足りる証拠はない。 もっとも,前提事実(3)イ(イ)のような障害がある点については,後記の将来の介護費や後遺症慰謝料を検討する際に斟酌することとする。 損害(特記しない限り,原告Aの損害である)。 (1)入院費(投薬代を含む)17万7000円。 原告Aは,本件再出血があったことによって前提事実(3)ア前段のとおり被告病院に入院して診療を受けたところ,その入院費(投薬代を含む)と。 して計17万7000円を要したことは争いがない。 (2)診療費(投薬代を含む)5万9990円。 まず,原告Aは,本件再出血があったことによって前提事実(3)ア前段のとおり被告病院に通院して診療を受けたところ,その診療費(投薬代を含む)として計2万7670円を要したことは争いがない。 。 次に,前提事実(3)ア後段の虎の門病院での診療についてみるに,前提事 実及び上記2の認定事実に証拠(甲A4)及び弁論の全趣旨を併せると,原告Aが被告病院で最後に診療を受けたのは平成16年9月8日であるが,その診療の際,診療打切り(症状固定)とはされず,次回診療日として同年10月6日が予約されたこと,原告Aは,同年9月22日に被告病院において本件に係る証拠保全(カルテ等の検証)が実施されたことから,以後,被告病院を受診することは避けて,虎の門病院を受診するようになったことが認められるから,特段の事情のない限り,虎の門病院での診療も本件再出血があったことにより必要になったものと推認すべきである。そして,この推 受診することは避けて,虎の門病院を受診するようになったことが認められるから,特段の事情のない限り,虎の門病院での診療も本件再出血があったことにより必要になったものと推認すべきである。そして,この推認を妨げる事情は本件全証拠によっても認めるに足りないから,虎の門病院での診療費(投薬代を含む)も本件再出血があったことにより生じた損害で。 あると認めるのが相当である。証拠(甲C12ないし17(枝番を含む)。)によれば,その診療費は計3万2320円であると認められる(原告ら主張額のうち同額を超える4480円については,これを認めるに足りる的確な証拠がない。 。)(3)入院付添費50万4000円本件では医師による付添の指示があったことを認めるに足りる証拠はないが,証拠(甲A18,20)によれば,原告Aの入院中,毎日,その余の原告らのいずれか(又は複数)が付き添ったことが認められるところ,前提事実(2)のような本件再出血(くも膜下出血)の重症度,前提事実(3)アのような手術の経過及び本件後遺障害の重症度を総合考慮すると,原告Aは被告病院に入院中近親者の付添看護を要したものと認めるのが相当であり,この入院付添費としては,1日当たり4000円として計50万4000円(126日分)をもって相当と認める。 (4)通院付添費5万4000円証拠(甲A4,18,C3ないし17(枝番を含む)及び弁論の全趣。)旨によれば,前提事実(3)アの原告Aの通院は計18回であるが,その通院 については,毎回,その余の原告らのいずれか(又は複数)が付き添ったことが認められるところ,前提事実(2)のような本件再出血(くも膜下出血)の重症度及び本件後遺障害の重症度を総合考慮すると,原告Aは症状固定までの全通院(18回)について近親者の付添看護を要したも ことが認められるところ,前提事実(2)のような本件再出血(くも膜下出血)の重症度及び本件後遺障害の重症度を総合考慮すると,原告Aは症状固定までの全通院(18回)について近親者の付添看護を要したものと認めるのが相当であり,この通院付添費としては,1回当たり3000円として計5万4000円(18日分)をもって相当と認める。 (5)将来の介護費2175万1266円上記2の認定事実によれば,原告Aは,日常生活の維持に必要な身の回り処理の動作について,いわゆる介護までは必要としないものの,家族からの指示を必要とする場合があることが認められるから,将来の介護費として,症状固定時(57歳)からの平均余命28年間(ライプニッツ係数14.8981につき1日当たり4000円として計2175万1266円をもっ),て相当と認める。 (6)症状固定までの自宅介護費144万6000円これまでに判示したところによれば,原告Aにつき,被告病院退院日の翌日である平成15年12月31日から本件後遺障害の症状固定時である平成17年1月14日まで(ただし,平成16年4月19日から同月24日までの入院期間は除く)の375日間についての,自宅における生活に係る介。 護費として,1日当たり4000円,計150万円を損害と認めるのが相当である。 ただし,上記(4)の通院付添費5万4000円は重複するので,これを控除すると,144万6000円となる。 (7)入通院慰謝料250万円前提事実に証拠(甲A4,甲C3ないし17(枝番を含む)を併せる。)と,原告Aは,本件再出血(くも膜下出血)及びそれに続発して生じた正常圧水頭症の診療を受けるために,被告病院に平成15年9月2日から同年1 ,,2月30日まで及び平成16年4月19日から同月24日まで入院しまた平 (くも膜下出血)及びそれに続発して生じた正常圧水頭症の診療を受けるために,被告病院に平成15年9月2日から同年1 ,,2月30日まで及び平成16年4月19日から同月24日まで入院しまた平成16年1月21日から平成17年1月14日までの長期にわたり被告病院及び虎の門病院に通院した(平成16年1月に1回,2月に2回,3月に1回,4月に3回,5月ないし8月に各1回,9月に2回,10月に1回,11月に3回,平成17年1月に1回,以上合計18回通院した)ことが。 認められる。この点に加え,上記入院期間中に3回も頭部の手術を受けざるを得なかったこと,本件再出血(くも膜下出血)の重症度,その他本件に顕れた諸般の事情を考慮すると,入通院慰謝料は250万円をもって相当と認める。 (8)入院雑費18万9000円原告Aが本件の入院雑費として計18万9000円を要したこと,この計18万9000円が本件再出血があったことにより生じた損害であること,これらについては争いがない。 (9)交通費近親者の付添交通費は,上記(3)の入院付添費及び(4)の通院付添費に含まれ,別途算定しない。また,原告Aの通院のための交通費は,その主張自体に照らして,付添人である家族の運転する自家用車の燃料費であると認められるところ,これは通院付添費に含まれる。 (10)後遺症慰謝料計1800万円上記2のような内容,程度の本件後遺障害が残ったことによって原告Aが多大な精神的苦痛を受けたであろうことは容易に推察されるし,原告B並びに原告C及び原告Dについても,愛する妻ないし母が本件後遺障害のために自発性の著しい低下を来して身の回り処理の動作についてすら家族からの指示を必要とするようになったことなどを考慮すると,原告Aが生命を害された場合にも比肩するような精神的苦痛を受 本件後遺障害のために自発性の著しい低下を来して身の回り処理の動作についてすら家族からの指示を必要とするようになったことなどを考慮すると,原告Aが生命を害された場合にも比肩するような精神的苦痛を受けたであろうことが推察される。 上記2のような本件後遺障害の内容,程度のほか,本件に顕れた諸般の事 情を総合考慮すると,上記精神的苦痛に対する慰謝料は,原告Aにつき1500万円,原告B,原告C及び原告Dにつき各100万円をもって相当と認める。 (11)逸失利益1976万4342円上記2のとおりであるから,原告Aの本件後遺障害による労働能力喪失率を79パーセントとみる。 ,,,しかして原告Aは中学卒の女性で症状固定時は57歳であったところ本件後遺障害がなければ,原告ら主張の12年間(ライプニッツ係数8.8632,通常どおり稼働して282万2700円(平成15年賃金センサ)ス女子中卒・55歳ないし59歳の年収額)の年収を得ることが可能であったといえる。 そうすると,原告Aの逸失利益は,次の数式のとおり1976万4342円となる。 282万2700円×0.79×8.8632=1976万4342円(12)住宅改造費用これまでに判示した事実関係からは,本件後遺障害があるために原告ら主張のような住宅改造をする必要があるとまでは認め難いし,他に,本件全証拠を検討してみても,上記必要性を認めるに足りるだけの事情は見当たらない。 (13)文書代41万4370円原告Aが被告病院及び片岡病院に対して行った証拠保全の記録謄写費用として計41万4370円を要したこと,この計41万4370円が本件過失と相当因果関係のある損害であること,これらについては争いがない。 (14)弁護士費用以上による損害額は,原告Aにつき6185万9968円,原告B, 円を要したこと,この計41万4370円が本件過失と相当因果関係のある損害であること,これらについては争いがない。 (14)弁護士費用以上による損害額は,原告Aにつき6185万9968円,原告B,原告C及び原告Dにつき各100万円となる。 本件過失と相当因果関係のある弁護士費用損害金は,原告Aにつき620万円,原告B,原告C及び原告Dにつき各10万円と認める。 以上によれば,被告昌医会及びE医師は,不法行為(被告昌医会は使用者責任)に基づき,連帯して,原告Aに対し6805万9968円,原告B,原告C及び原告Dに対し各110万円及びこれらの金員の内弁護士費用を除いた6185万9968円,各100万円に対する不法行為後である平成15年9月()2日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払うべき義務債務を負ったといえる。そして,E医師の上記債務を,被告Fが10分の5,被告G及び被告Hが各10分の2,被告Iが10分の1の各割合で相続したものといえる。 以上の次第で,原告らの本訴請求については,主文第1項ないし第4項の金員の支払を求める限度で理由があるから,その限度で認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担につき民訴法64条本文,61条,65条1項ただし書を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第14部貝阿彌誠裁判長裁判官坂田大吾裁判官 宮川広臣裁判官

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