令和2(行ウ)138 違法確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和5年2月21日 大阪地方裁判所
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判決文本文28,698 文字)

- 1 -令和5年2月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和2年(行ウ)第138号違法確認等請求事件主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は、原告に対し、11万円及びこれに対する令和2年10月9日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 本件は、原告が、内閣官房内閣総務官(以下「内閣総務官」という。)に対し、行政機関の保有する情報の公開に関する法律(以下「情報公開法」という。)に基づき、別紙2情報公開請求文書目録記載の各行政文書の開示請求をしたところ、内閣総務官から、開示請求の日から30日以内に開示決定等(情報公開法9条各項の決定をいう。以下同じ。)を行うことが事務処理上困難であると して、同法10条2項に基づき開示決定等の期限を30日間延長する旨の通知を受けたため(以下、この延長を「本件延長」という。)、本件延長は同項に定められた要件を満たさないものであり、内閣総務官が本件延長をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法であるなどと主張して、被告に対し、同項に基づき、損害賠償金11万円(慰謝料及び弁護士費用)及びこれに対する上記通 知を受けた日である令和2年10月9日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 1 関係法令の定め(1) 情報公開法の定めア 4条(開示請求の手続) 情報公開法4条1項は、同法3条の規定による開示の請求(以下「開示- 2 -請求」という。)は、同項各号に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を行政機関の長に提出してしなければならない旨定める。 イ 5条 る開示の請求(以下「開示- 2 -請求」という。)は、同項各号に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を行政機関の長に提出してしなければならない旨定める。 イ 5条(行政文書の開示義務)情報公開法5条柱書きは、行政機関の長は、開示請求があったときは、開示請求に係る行政文書に同条各号に掲げる情報(以下「不開示情報」と いう。)のいずれかが記録されている場合を除き、開示請求者に対し、当該行政文書を開示しなければならない旨定め、同条1号ないし6号は、不開示情報を類型ごとに掲げている。 ウ 10条(開示決定等の期限)情報公開法10条1項本文は、開示決定等は、開示請求があった日から 30日以内にしなければならない旨定める。 情報公開法10条2項前段は、同条1項の規定にかかわらず、行政機関の長は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を30日以内に限り延長することができる旨、同項後段は、この場合において、行政機関の長は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期 間及び延長の理由を書面により通知しなければならない旨定める。 (2) 内閣官房行政文書管理規則(以下「本件管理規則」という。甲3)の定め本件管理規則は、公文書等の管理に関する法律(以下「公文書管理法」という。)10条1項の規定に基づき、内閣官房における行政文書の管理について必要な事項を定めることを目的として定められたものである。 ア本件管理規則3条1項は、内閣官房に総括文書管理者、副総括文書管理者及び監査責任者それぞれ1人を置く旨定め、同条2項は、総括文書管理者は、内閣総務官をもって充てる旨定める。 イ本件管理規則4条1項は、内閣官房の部局に部局総括 括文書管理者、副総括文書管理者及び監査責任者それぞれ1人を置く旨定め、同条2項は、総括文書管理者は、内閣総務官をもって充てる旨定める。 イ本件管理規則4条1項は、内閣官房の部局に部局総括文書管理者及び部局副総括文書管理者それぞれ1人並びに文書管理者を置く旨定め、同条8 項は、同条1項に定めるもののほか、部局に部局総括文書管理担当者及び- 3 -文書管理担当者を置く旨定める。 本件管理規則4条14項は、同条1項及び8項に定めるもののほか、部局における行政文書の管理の適正化を図るため、特に必要があると認める場合には、部局総括文書管理者は、総括文書管理者と協議の上、当該部局の行政文書の管理の体制について定めることができる旨定める。 ウ本件管理規則8条1項は、総括文書管理者は、行政文書ファイル等の適切な保存に資するよう、行政文書ファイル保存要領を作成するものとする旨定める(なお、行政文書ファイル等とは、①単独の行政文書、及び②相互に密接な関連を有する行政文書を1つの集合物にまとめた行政文書ファイル、の双方を併せたものをいう。)。 本件管理規則8条4項は、副総括文書管理者は、文書管理者から引継ぎを受けた行政文書ファイル等について、別に定めるところにより、当該行政文書ファイル等を適切に保存するとともに、集中管理を行うものとする旨定める。 エ本件管理規則19条は、本件管理規則の施行に関し必要な細則は、別に 総括文書管理者が定める旨定める。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告による開示請求(甲1)原告は、令和2年9月8日、内閣総務官に対し、開示を求める文書を別紙 2情報公開請求文書目録のとお 弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1) 原告による開示請求(甲1)原告は、令和2年9月8日、内閣総務官に対し、開示を求める文書を別紙 2情報公開請求文書目録のとおり記載した行政文書開示請求書(以下「本件開示請求書」という。)を提出し、同目録記載1ないし5の文書(以下、番号順に「本件開示請求文書1」などといい、併せて「本件各開示請求文書」という。)の開示請求(以下「本件開示請求」という。)をした。 (2) 本件延長(甲2) 内閣総務官は、令和2年10月7日付けで、本件開示請求について、情報- 4 -公開法10条2項に基づいて、開示決定等の期限を30日間延長して同年11月9日とすることとし(本件延長)、その旨を原告に対して通知した。本件延長の通知書には、開示決定等の期限を延長することとした理由として、「処理すべき事務が多く、開示請求があった日から30日以内に開示決定等を行うことが事務処理上困難であるため」と記載されている。 (3) 本件訴えの提起原告は、令和2年10月14日、本件延長は情報公開法10条2項の要件を満たさず違法であるとして、内閣総務官が本件開示請求について開示決定等をしないことが違法であることの確認及び本件各開示請求文書を公開する旨の開示決定の義務付けを求めて、本件訴えを提起した。 (4) 内閣総務官による開示決定等(甲6の1~6の4、乙1)内閣総務官は、開示決定等の期限である令和2年11月9日、本件開示請求について、4件の文書(合計47頁)を開示するとともに、本件各開示請求文書のうち文書が作成されていないため存在しないもの(本件開示請求文書1)については不開示とする旨の決定(以下「本件開示等決定」という。) を (合計47頁)を開示するとともに、本件各開示請求文書のうち文書が作成されていないため存在しないもの(本件開示請求文書1)については不開示とする旨の決定(以下「本件開示等決定」という。) をし、これを原告に対して通知した。 本件開示等決定において開示することとされた文書は、本件開示請求文書2ないし5に対応する文書であり、それぞれ、①内閣官房行政文書ファイル保存要領(平成23年4月1日総括文書管理者決定。甲6の1)、②内閣官房における行政文書ファイル等の集中管理の推進に関する方針(平成26年 3月31日総括文書管理者決定。甲6の2)、③内閣官房が保有する保存期間1年未満の行政文書ファイル等の取扱いについて(平成28年9月1日総括文書管理者決定。甲6の3)、④内閣官房文書取扱規則(平成23年3月30日内閣総理大臣決定。甲6の4)である(以下、本件開示等決定において開示されたこれらの各文書を、上記①ないし④記載の数字に応じて、「本 件開示文書①」などといい、併せて「本件各開示文書」という。)。 - 5 -(5) 本件各開示文書の概要等ア本件開示文書①(甲6の1)本件開示文書①(内閣官房行政文書ファイル保存要領)は、本件管理規則8条1項に基づき、内閣官房における行政文書ファイル等の保存について必要な事項を定めることを目的として制定された総括文書管理者決定で あり、内閣官房における紙文書の保存場所及び保存方法、電子文書の保存場所及び保存方法、行政文書ファイル等の引継手続等を定めたものである。 イ本件開示文書②(甲6の2)本件開示文書②(内閣官房における行政文書ファイル等の集中管理の推進に関する方針)は、本件管理規則8条4項に基づき、行政文書ファイル 等の劣化、散逸の防止及び国 本件開示文書②(甲6の2)本件開示文書②(内閣官房における行政文書ファイル等の集中管理の推進に関する方針)は、本件管理規則8条4項に基づき、行政文書ファイル 等の劣化、散逸の防止及び国立公文書館への移管業務の円滑化を図るため、内閣官房において保存する行政文書ファイル等の集中管理について必要な事項を定めるものである。本件開示文書②は、集中管理の対象となる行政文書ファイル等について定めるほか、集中管理の実施場所、集中管理の実施方法等について定めている。 ウ本件開示文書③(甲6の3)本件開示文書③(内閣官房が保有する保存期間1年未満の行政文書ファイル等の取扱いについて)は、本件管理規則19条に基づく総括文書管理者決定であり、内閣官房の保有する行政文書ファイル等のうち、保存期間が1年未満のものの廃棄について定めるほか、廃棄時の記録内容等につい て定めたものである。 エ本件開示文書④(甲6の4)本件開示文書④(内閣官房文書取扱規則)は、内閣官房における文書の取扱いに関する統一基準その他基本的事項を定めるものであり(1条)、法律及びこれに基づく命令の規定により特別の定めが設けられている場合 を除き、内閣官房における文書の取扱いに関しては、内閣官房文書取扱規- 6 -則(本件開示文書④)によるものと定められ(2条)、具体的には、文書取扱いの原則(5条)、文書の接受及び配布(11条~19条)、文書の作成及び決裁(20条~30条の2)、文書の施行(31条~36条)等について定められている。 (6) 原告による訴えの変更 原告は、令和2年11月24日付け訴えの変更申立書により、行政事件訴訟法21条1項に基づき、上記(3)の各請求を上記第1の国家賠償請求に変更する旨の申立てをした。当 による訴えの変更 原告は、令和2年11月24日付け訴えの変更申立書により、行政事件訴訟法21条1項に基づき、上記(3)の各請求を上記第1の国家賠償請求に変更する旨の申立てをした。当裁判所は、同年12月10日、これを許可する旨の決定をした。 3 争点 (1) 内閣総務官が本件延長をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるか否か(2) 損害の発生及びその額 4 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(内閣総務官が本件延長をしたことが国家賠償法1条1項の適用上 違法であるか否か)について(原告の主張)次のとおり、内閣総務官が本件延長をしたことは、国家賠償法1条1項の適用上違法である。 ア総論 情報公開法10条1項及び2項の文言や、情報公開法が政府の諸活動について国民に対して迅速に行政文書を開示することを求めた趣旨等に照らせば、開示請求があった場合には原則として30日以内に開示決定等をすべきであり、開示決定等の期限を延長するのは例外的な場合に限られるというべきであるから、同項の「事務処理上の困難その他正当な理由」があ るか否かについては、厳格に判断されるべきである。 - 7 -本件開示請求については、①対象文書の検索、特定等が容易であり(下記イ)、また、②不開示情報が記載されているか否かの判断も容易なものであった(下記ウ)から、本件開示請求のあった日から30日以内に開示決定等をすることは容易であった。そうすると、本件延長が情報公開法10条2項の「事務処理上の困難その他正当な理由」があるという要件を欠 いていたことは明らかであるから、内閣総務官が本件延長をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法である。 イ本件各開示請求文 の「事務処理上の困難その他正当な理由」があるという要件を欠 いていたことは明らかであるから、内閣総務官が本件延長をしたことは国家賠償法1条1項の適用上違法である。 イ本件各開示請求文書の性質等に照らして、文書の検索、特定等が容易であること本件各開示請求文書は、公文書管理法や本件管理規則に基づいて、行政 文書の作成、管理、利用及び保管等についての公務員の職務上のルール(規範)を定めた文書である。このような文書の性質からすれば、内閣官房の職員は、本件各開示請求文書の存在や内容を認識した上で、これに基づいて日常的に事務を行っているのであり、本件各開示請求文書がどのような文書であるかということや、その保管場所等について、容易に確認するこ とができたのであるから、通常の行政文書と同様の検索作業をする必要はなかった。 また、原告は、本件開示請求において、本件各開示請求文書の存否等を容易に確認できるように、本件管理規則の条文を摘示して作成者等を特定するなどした上で開示請求をしていたのであるから(具体的には、本件開 示請求文書2及び5については文書の名称等を、本件開示請求文書3及び4については作成者及び作成の根拠となる本件管理規則の条文等を、本件開示請求文書1についても作成者や作成の根拠となる本件管理規則の条文、文書の内容の概要等を、本件開示請求書にそれぞれ記載している。)、内閣官房の職員は、総括文書管理者や部局総括文書管理者等に対して確認 することなどにより、本件各開示請求文書の所在等を容易に確認できる状- 8 -況にあった。 さらに、内閣官房においては、文書管理システムを活用して公文書を管理しており、いわゆる階層構造により文書が整理されていた上に、電子ファイルについては、作成段階においてファイル 8 -況にあった。 さらに、内閣官房においては、文書管理システムを活用して公文書を管理しており、いわゆる階層構造により文書が整理されていた上に、電子ファイルについては、作成段階においてファイルの名称に当該ファイルの内容に応じた標題や作成日等を記載することとされているから、どこにどの ような行政文書が存在するのかについては容易に検索することができるものであった。特に、本件開示文書①ないし③については、少なくとも中分類が「告示、訓令及びその他の規則の制定又は改廃」であることは容易に判明するものであるから、検索も容易であったといえる。 以上のとおり、本件各開示請求文書の検索や所在の確認は、非常に容易 に行うことができるものであった。 ウ不開示情報が記載されているか否かの判断も容易であること本件各開示文書として開示された文書は合計47頁にすぎず、分量が少ないものである上に、本件各開示文書は上記イのとおり行政文書の作成、管理、利用及び保管等についての公務員の職務上のルール(規範)を定め た文書であり、その性質に照らしていずれも公開すべきであることが明らかな文書であるから(他の省庁においては、同様の文書がホームページ等で公開されている。)、不開示情報に該当するか否かの審査もほとんど必要性がないものである。具体的には、本件開示文書①ないし③については、「行政機関の長が定めた文書」には当たらないものの、本件管理規則に基 づき総括文書管理者が定めた行政文書であり、広い意味では公文書管理法10条1項の「行政文書の管理に関」して定めた文書に当たるから、同条4項の趣旨に照らして、そもそも遅滞なく公表されるべき文書というべきである。また、本件開示文書④も、同条2項にいう文書の「作成に関する事項」及び「整理に の管理に関」して定めた文書に当たるから、同条4項の趣旨に照らして、そもそも遅滞なく公表されるべき文書というべきである。また、本件開示文書④も、同条2項にいう文書の「作成に関する事項」及び「整理に関する事項」を定めたものであり、その性質上、事前に公 表されるべき文書(行政文書管理規則)に準ずるものである。したがって、- 9 -本件各開示文書については、不開示とする部分が存在しないためいずれも公開すべきであることが明らかであって、不開示情報に該当するか否かの審査の必要性がほとんどないものである(なお、原告が内閣総務官以外の複数の行政機関の長に対して本件各開示請求文書と同様の文書の開示請求をしたところ、そのほとんどにおいて30日以内に開示決定がされており、 このことからも本件各開示請求文書の開示に関する審査に長時間を要しないということができる。)。 以上によれば、本件各開示文書については、不開示情報が記載されているか否かの判断は非常に容易であった。 エ被告の主張について 被告は、情報公開法に基づく開示請求については受付順に処理することが原則である旨主張するが、仮にそのような処理をすると、先に受け付けた開示請求が検索や開示の可否の審査等に長時間を要するものであった場合に、その後に受け付けられた開示請求が比較的短時間で処理することが可能なものであったとしても、後から受け付けられた開示請求までもが3 0日以内に処理することができなくなってしまうから、情報公開法が開示決定等の期限を定めた趣旨に反する。したがって、被告の主張は理由がない。 (被告の主張)次のとおり、内閣総務官が本件延長をしたことが、国家賠償法1条1項の 適用上違法であるとはいえない。 ア総論情報公開法10条2 告の主張は理由がない。 (被告の主張)次のとおり、内閣総務官が本件延長をしたことが、国家賠償法1条1項の 適用上違法であるとはいえない。 ア総論情報公開法10条2項に基づく開示決定等の期限の延長をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるというためには、単に当該延長が同項の要件を欠くということのみならず、延長をした行政機関の長又は当該 延長に係る開示請求を担当する職員が、開示決定等又はその必要な準備を- 10 -するに当たり、職務上尽くすべき注意義務を尽くすことなく、漫然と開示決定等を遅延させたと認められることを要するというべきである。 そして、内閣官房内閣総務官室内の開示請求に関する事務処理態勢等(下記イ)を踏まえれば、本件開示請求については、①文書の検索や不開示情報が記載されているか否かの審査等にも一定の負担を要するものである上 に(下記ウ)、②同時期に多数の開示請求がされ、内閣総務官室の他の事務も繁忙な時期にされたものであって(下記エ)、「事務処理上の困難その他正当な理由がある」というべきであるから、本件延長は適法なものである。したがって、内閣総務官が本件延長をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違法であるとはいえない。 イ開示請求に関する内閣官房の事務処理態勢等内閣官房に所属する行政機関の保有する行政文書の開示請求(以下「内閣官房宛て開示請求」という。)に対応する事務については、内閣総務官室が担当するものとされ、具体的には、内閣総務官室の調整担当(内閣総務官室内の一部署)の職員(調整担当職員)が担当する(なお、令和2年9 月当時、調整担当職員のうち上記事務を担当する者は6名であった。)。 調整担当職員は、開示請求に関して、①内閣官房全体の開示請求の受付 署)の職員(調整担当職員)が担当する(なお、令和2年9 月当時、調整担当職員のうち上記事務を担当する者は6名であった。)。 調整担当職員は、開示請求に関して、①内閣官房全体の開示請求の受付業務(開示請求書の不備の補正の指示、開示請求の内容に応じた他の各部局への照会、各部局からの相談に対する資料の提供等の対応、開示決定等の通知書の審査等)、②内閣官房のうち内閣総務官室の所管する事務に関 する文書に係る開示請求への対応の総括業務(開示請求の対象文書に係る事務の担当職員への照会、担当職員からの相談に対する対応、開示決定等の通知書の審査等)、③内閣総務官室の所管する事務のうち、調整担当職員自らが所管する事務に関する文書に係る開示請求への個別の対応業務(文書の検索・特定、不開示情報が記載されているか否かの検討、開示決 定等の決裁文書の作成、開示決定等の通知書の作成等)などの各業務を行- 11 -っている。 さらに、1つの開示請求において開示対象となる文書が複数あり、それらの文書がそれぞれ異なる担当によって管理されている場合には、不開示情報が記載されているか否かに関する判断の統一等を含め、判断の適正を確保するため、調整担当職員が中心となって、対象文書に関する各事務の 担当職員と相互に連絡・情報共有をした上で、開示対象となる文書の特定や不開示情報が記載されているか否かの検討等の各事務を行っており、このような場合には、調整担当職員の事務の負担が更に大きくなる。 ウ本件開示請求の内容及び対象文書の性質に照らして、短期間で開示決定等をすることが容易ではないこと 本件開示請求に係る行政文書については、開示を求める文書の名称が特定されておらず、作成者の立場、作成根拠、作成手続又は文書の大まかな内容のみにより対象 決定等をすることが容易ではないこと 本件開示請求に係る行政文書については、開示を求める文書の名称が特定されておらず、作成者の立場、作成根拠、作成手続又は文書の大まかな内容のみにより対象文書が特定されているにとどまるものもあったから、関係する担当者において文書を幅広に検索する必要があり、開示対象となる文書の検索に一定の時間を要するものであった(文書の検索作業も、書 架やサーバ上の共有フォルダに保存されている文書について、一定の見当をつけた上で逐一確認する作業が必要になる。)。 また、本件各開示請求文書は、記録上、内閣官房において開示請求を受けたことがない文書であったため、過去の取扱例等に沿って対応することができるものではなく、一から本件開示請求の対象とされた文書の内容を 吟味し、開示・不開示の検討をする必要があった。 加えて、本件各開示文書には、調整担当職員自らが所管する事務に関する文書(本件開示文書①ないし③)のみならず、内閣総務官室内の、調整担当以外の担当(部署)の職員が所管する事務に関する文書(本件開示文書④)が含まれており、これらの文書に係る事務の担当者、同担当者の上 職者、調整担当職員等の複数の者が関与した上で、決定権者である内閣総- 12 -務官が決裁する必要があったから、文書の検索や不開示情報が記載されているか否かの審査に要する負担が比較的大きいものであった(上記イ参照)。 エ本件開示請求以外にも多数の開示請求がされていたほか、他の事務も繁忙であったこと 本件開示請求がされた令和2年9月8日前後の時期においては、多数の開示請求がされていた。具体的には、内閣官房宛て開示請求は、同年8月に85件、同年9月に206件あり、そのうち内閣総務官に対する開示請求はそれぞれ48件、112 9月8日前後の時期においては、多数の開示請求がされていた。具体的には、内閣官房宛て開示請求は、同年8月に85件、同年9月に206件あり、そのうち内閣総務官に対する開示請求はそれぞれ48件、112件であった。内閣総務官に対する過去の各年度の開示請求の件数が、平成30年度は153件、平成31年度(令和元 年度)は635件であったことに照らしても、本件開示請求がされた時期の開示請求の件数は多かったというべきであり、実際に令和2年9月当時、調整担当職員においては内閣官房宛ての開示請求の未済案件を常時100件以上抱えていた。 また、本件開示請求がされた前後の時期においては、①令和2年9月1 6日に内閣が総辞職し、その後、菅義偉衆議院議員が新たに内閣総理大臣に指名されて新内閣が発足したことにより、内閣総務官室の職員は閣議事項の整理、内閣の主管に属する人事に関する事務等を行う必要があったし、②新型コロナウイルス感染症の陽性者等が生じた場合の業務継続体制の検討等も進める必要があるなど、繁忙であった。 オ原告の主張について原告は、本件各開示請求文書が行政文書を作成、保管するなどする上で必要なルールを定めたものであり、職員にとっても一番身近な文書であるなどとして、本件開示請求が短期間で処理することができるものである旨主張するが、①上記イないしエの各事情に照らして短期間で処理すること が可能であったとはいえない上に、②公文書の管理等を担当する職員であ- 13 -っても当該行政機関が保有する行政文書の内容や保管場所を網羅的に把握しているものでもないし、③仮に、調整担当職員等において特定の文書が本件各開示請求文書に該当する可能性が高いと判断できたとしても、漏れや誤りなく正確に開示請求に対応するためには、担当者への照会等を しているものでもないし、③仮に、調整担当職員等において特定の文書が本件各開示請求文書に該当する可能性が高いと判断できたとしても、漏れや誤りなく正確に開示請求に対応するためには、担当者への照会等をするなど、当該文書以外に開示の対象となる文書が存在しないかなどを慎重に 確認する必要がある。そうすると、本件開示請求について、文書の検索の作業を簡略化することはできない。加えて、そもそも開示請求については公平性等の観点から原則として受付順に処理するものであるから、他の開示請求への対応や他の事務の繁忙度を考慮することなく、本件開示請求に対する対応に要する時間のみを根拠として早期に開示決定等をすべきであ ったとはいえない。 また、原告は、文書管理システムにより行政文書ファイル等が管理されていることをもって、本件各開示請求文書の検索は容易である旨主張するが、文書管理システムにより行政文書ファイル等を検索するためには、行政文書ファイル管理簿に記載された、各行政文書ファイル等に関する分類、 名称(いわゆる小分類)、保存期間、文書作成取得日、文書作成取得日における文書管理者等の情報(書誌情報)を把握しているなどの一定の条件を満たすことが必要である。そして、本件開示請求に関して、本件開示請求書の記載から文書の名称等に見当をつけることができるのは、本件開示請求文書2及び5のみであり、その余の文書は、作成者の立場、作成の根拠 規定、大まかな内容が記載されるにとどまり、文書管理システムにより容易に検索できると見込まれる文書ではなかったから、原告の上記主張は理由がない。 (2) 争点(2)(損害の発生及びその額)について(原告の主張) 本件延長により、原告は、適時に国が保有する情報の開示を受ける権利を- 14 - の上記主張は理由がない。 (2) 争点(2)(損害の発生及びその額)について(原告の主張) 本件延長により、原告は、適時に国が保有する情報の開示を受ける権利を- 14 -侵害され、精神的苦痛を被った。このような情報の開示を受ける権利は、民主主義において、選挙権と同様に基本的かつ重要な権利であるから、原告が本件延長によって被った精神的損害に対する金銭的賠償としては、10万円が相当である。また、弁護士費用相当額としては、1万円が相当である。 (被告の主張) 原告の主張は否認し又は争う。 原告は、本件開示等決定により本件開示請求の目的を達しており、原告に金銭によって慰謝すべき損害があるとはいえない。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 前記前提事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 (1) 内閣官房の構造等ア内閣官房及び内閣総務官室内閣官房には、内閣総務官室、内閣広報室、内閣情報調査室の三室及び 内閣サイバーセキュリティセンターが置かれている(内閣官房組織令1条、乙3)。 内閣総務官室がつかさどる事務は、閣議事項の整理に関すること、機密に関すること、内閣の主管に属する人事に関すること、内閣総理大臣、内閣官房長官及び内閣官房副長官の官印その他の公印の保管に関すること、 公文書の接受、発送及び保存に関すること、職員の厚生及び教養訓練に関すること、予算、決算及び会計に関すること、総理大臣官邸の管理運営に関すること並びに上記以外の内閣の庶務である。内閣総務官室には、内閣総務官が1人置かれており、内閣総務官室の事務を掌理することとされ、その下に内閣審議官及び内閣参事官が置かれている。また、内閣総 に関すること並びに上記以外の内閣の庶務である。内閣総務官室には、内閣総務官が1人置かれており、内閣総務官室の事務を掌理することとされ、その下に内閣審議官及び内閣参事官が置かれている。また、内閣総務官室 は、その担当事務に応じて、調整担当、企画担当、総務担当等の複数の部- 15 -署(内閣総務官室においては「担当」と呼称されている。)により構成されている。(内閣官房組織令2条1項ないし3項、乙3、4、証人A14頁)イ調整担当職員内閣総務官室のうち、調整担当の職務は、内閣官房宛て開示請求に関す る対応事務、内閣官房の公文書管理制度、人事評価制度、自然災害や感染症(新型コロナウイルス感染症を含む。)発生時における業務継続計画制度、障害者雇用の促進等に関する事務、各種ハラスメントへの相談対応事務等である。令和2年9月当時、内閣総務官室には、9名の調整担当職員が置かれていたところ、上記9名のうち開示請求に関する対応事務を担当 していたのは、参事官補佐であったAを含めて6名(A、主査1名及び主査付4名)であった。Aは、調整担当の職務の実施責任者として、実務担当者である主査及び主査付に対して指揮命令をする立場にあった。(乙9・1、2頁、証人A1、2、16、17頁)(2) 情報公開法に基づく開示請求に対する調整担当職員の対応事務等 内閣官房宛て開示請求の受付等に係る事務や、内閣総務官に対する開示請求に係る事務については、内閣総務官室が担当することとされ、内閣総務官室においては、調整担当職員がこの事務を担当する(内閣官房組織令2条1項9号、乙5)。 調整担当職員が開示請求に関して担当する事務としては、①内閣官房宛て 開示請求を受け付け、その進捗管理を行う窓口としての業務(以下「担当業務 当する(内閣官房組織令2条1項9号、乙5)。 調整担当職員が開示請求に関して担当する事務としては、①内閣官房宛て 開示請求を受け付け、その進捗管理を行う窓口としての業務(以下「担当業務①」という。)、②内閣官房のうち内閣総務官室の所管する事務に係る文書の開示請求への対応の総括としての業務(以下「担当業務②」という。)、③内閣総務官室の所管する事務のうち調整担当が所管する事務に係る文書の開示請求に関し、個別に対応する業務(以下「担当業務③」という。)がある ところ、各業務の具体的な内容等は、次のアないしエのとおりである。 - 16 -ア担当業務①(内閣官房宛て開示請求一般に関する業務)について調整担当職員は、内閣官房宛て開示請求につき、開示請求の宛先や内容等に応じて、内閣官房のうちいずれの部局が保有する文書に対する開示請求であるのかを振り分け、内閣官房内の各部局の開示請求対応事務担当者に対し、対象となる文書を所管する部局であるか否かの照会を行う(対象 となり得る文書を保有している可能性がある部局が複数存在する場合には、当該複数の部局にそれぞれ照会をする。)。調整担当職員は、上記照会をする前提として、開示請求書の内容が不明確である開示請求や、文書の特定が不十分である開示請求などについては、開示請求者に対して直接連絡し、補正を指示するなどの事務を行い、その後、補正がされるまでの対 応等も行う。 また、調整担当職員は、内閣官房内の各部局の開示請求対応事務担当者と連絡を取り、各部局における開示請求対応事務の作業状況を確認し、一覧表を作成するなどしてその進行管理をするほか、内閣官房内の各部局から、文書の特定や文書に記載された情報の不開示情報該当性の検討におい て生じた疑義についての相談(開示決定 業状況を確認し、一覧表を作成するなどしてその進行管理をするほか、内閣官房内の各部局から、文書の特定や文書に記載された情報の不開示情報該当性の検討におい て生じた疑義についての相談(開示決定通知書の記載方法や、開示決定期限に関する確認等の形式的な事項に関する照会のほか、不開示情報該当性の検討のための類似事例の紹介や情報提供等を求める旨の照会等)を受けたりその回答をしたりする。さらに、調整担当職員は、各部局の担当者が作成した開示決定等の通知書の文案についての審査等も行う。 なお、調整担当職員においては、開示請求を受け付けて各部局等に照会をする際に、当該開示請求の対象文書の検索や不開示情報の記載の有無の確認が容易であるか否かを判断したり、その判断に基づいて処理の優先順位を付けたりすることはしていない。(以上につき、乙9・5~7頁、証人A4~6頁) イ担当業務②(内閣総務官に対する開示請求に関する業務)について- 17 -調整担当職員は、内閣総務官に対する開示請求につき、内閣総務官室において対象文書に係る事務を所管する担当(部署)に対して、文書の保有の有無等の照会を行う。また、調整担当職員は、開示請求の対象文書が明らかでない場合や、対象文書に係る事務を所管する担当が一義的に特定できない場合には、必要に応じて開示請求者に対して補正を求めるとともに、 対象文書に関係があると思われる事務を担当する複数の担当に対してそれぞれ対象文書の保有の有無等を照会し、その結果の取りまとめをする。 さらに、調整担当職員は、担当業務①と同様に、内閣総務官室の職員から、文書の特定や文書に記載された情報の不開示情報該当性の検討において生じた疑義についての相談を受けたりその回答をしたりするほか、開示 決定等の通知書の文 業務①と同様に、内閣総務官室の職員から、文書の特定や文書に記載された情報の不開示情報該当性の検討において生じた疑義についての相談を受けたりその回答をしたりするほか、開示 決定等の通知書の文案についての審査等を行う。(以上につき、乙9・5~7頁、証人A4、5頁)ウ担当業務③(調整担当が所管する事務に係る文書の開示請求に関する業務)について調整担当職員は、調整担当が所管する事務に係る文書の開示請求につき、 開示請求の対象となり得る文書を検索し、開示対象となる文書を特定した上で、不開示情報が記載されているか否かの検討や、開示決定等の決裁文書の作成、開示決定等の通知書の作成等の事務を行う。 調整担当職員が文書を検索する際には、執務室内の書架に格納されている文書を閲覧して確認するほか、電子データとして保存されている文書に ついてはサーバ上の共有フォルダ内のデータを確認するなどして検索を行う。(以上につき、乙9・8~10頁、証人A8頁)エ開示請求において複数の部局等が関与する場合の対応について1通の開示請求書により複数の文書の開示請求がされ、その対象となる各文書を所管する内閣総務官室内の担当(部署)が複数存在する場合には、 調整担当職員が中心となって各担当の職員と連絡を取り、それぞれの担当- 18 -の当該開示請求に関する検討状況を共有するなどして(なお、各担当において開示対象となる文書に当たると判断された文書は、各担当等から調整担当職員に集約されることになっている。)、文書の存否や不開示情報の有無の検討について各担当において齟齬が生じないように調整している(証人A51、52頁)。 (3) 本件延長に至る経緯等ア本件開示請求原告は、令和2年9月8日、本 の検討について各担当において齟齬が生じないように調整している(証人A51、52頁)。 (3) 本件延長に至る経緯等ア本件開示請求原告は、令和2年9月8日、本件開示請求をした(前提事実(1))。 イ本件開示請求に関する各担当への照会等Aは、令和2年9月8日頃、本件開示請求に関し、本件各開示請求文書 が存在する場合にはいずれについても内閣総務官室が所管する文書であると見当をつけたが、内閣総務官室内のどの担当(部署)が所管するものであるかについては直ちには分からなかったため、調整担当職員である主査及び主査付に指示して、内閣総務官室の全ての担当に対して回答期限を同月15日(本件開示請求の受付日から1週間)として本件各開示請求文書 の保有の有無について照会させた。また、Aは、本件開示請求文書2ないし4については調整担当職員が所管する事務に関する文書である可能性があると考え、調整担当職員においても本件各開示請求文書の保有の有無を検討するように指示した。(乙9・8頁、証人A6、7頁)ウ調整担当職員の検索及び各担当からの回答結果等 調整担当職員においては、遅くとも令和2年9月22日までに、本件開示請求文書2ないし4に該当する文書を検索し、その結果を取りまとめた。 その際、調整担当職員においては、本件開示請求文書4について、作成の根拠となる本件管理規則の条文により対象となる文書が特定されていたため、これに該当する文書が複数存在する可能性も踏まえて検討していた。 また、内閣総務官室の各担当の職員は、遅くとも令和2年9月22日頃- 19 -までに、調整担当職員に対し、上記イの照会に対する回答をしていたところ、具体的には、企画担当が、本件開示請求文書 また、内閣総務官室の各担当の職員は、遅くとも令和2年9月22日頃- 19 -までに、調整担当職員に対し、上記イの照会に対する回答をしていたところ、具体的には、企画担当が、本件開示請求文書5に当たる文書として内閣官房文書取扱規則(本件開示文書④)を保有している旨の回答を、総務担当が、本件開示請求文書1に該当する文書として文書管理者(本件管理規則4条1項)の一覧を記載した文書を保有している旨の回答を、それぞ れしていた。 Aは、調整担当職員から上記の検索状況や回答状況等について順次報告を受けていたところ、令和2年9月22日頃、総務担当から本件開示請求文書1に当たるとして回答された文書が本件管理規則4条14項に基づいて定められたものではなく、本件開示請求文書1には当たらない文書であ る可能性があると気付いたため、調整担当職員に対し、総務担当に再検討をさせるように指示した。なお、本件開示請求文書1については、上記の総務担当から回答された文書以外には、各担当から本件開示請求の対象となる文書として回答された文書はなかった。(以上につき、乙9・10~12頁、証人A8~10、32~37頁) エ対象文書の特定等上記ウの再検討の指示を受けた総務担当の職員は、令和2年9月30日頃までに、当初回答していた文書は本件開示請求文書1には該当せず、そのほかに本件開示請求文書1に該当する文書は保有していない旨を、調整担当職員に回答した(証人A36、37頁)。 調整担当職員においては、本件開示請求文書1に該当する文書が存在しないことを改めて確認するなどした上で、総務担当からの上記回答を踏まえ、令和2年10月初旬頃、本件開示請求に関し、本件開示請求文書1に該当する文書は保有しておらず、本件開示請求文書2ないし4に該当 ないことを改めて確認するなどした上で、総務担当からの上記回答を踏まえ、令和2年10月初旬頃、本件開示請求に関し、本件開示請求文書1に該当する文書は保有しておらず、本件開示請求文書2ないし4に該当する文書は調整担当が所管する本件開示文書①ないし③であり、本件開示請求 文書5に該当する文書は企画担当が所管する本件開示文書④であると判断- 20 -し、Aにその旨報告した(乙9・12、13頁)。 なお、本件各開示文書は、いずれも電子データとして保管されていた文書であるが、調整担当職員が作成・管理していた記録上では、本件開示請求がされるまで、開示請求を受けて開示したことがない文書であった(証人A11、26、53頁)。 オ本件延長に至る判断の経緯等Aは、調整担当職員から受けた上記エの報告を了承した上で、①文書の特定の後には不開示情報が記載されているか否かの検討が必要になるところ、開示対象となる文書の枚数が50枚程度と少なくはない上に、これまで開示したことがない文書であったため、上記検討にも一定の時間を要 すると思われること、②令和2年8月及び9月頃は開示請求の件数が急増し、同年8月に受理した開示請求の処理も遅れがちで開示決定等の期限の延長を余儀なくされていたため、同年10月に開示決定等の期限が到来する開示請求が多数存在したこと、③同月以降も新たに多数の開示請求がされることが予想されていたこと、④新内閣の発足に伴う他の業務により繁 忙であることなどの各事情を踏まえて、本件開示請求について開示決定等の期限の延長が必要であり、かつ、短期間の延長では期限までに開示決定等をすることが困難であると判断した。Aは、上記判断に基づき、本件延長をすることに関し、上司に当たる内閣参事官、内閣審議官及び内閣総務官の了解を 必要であり、かつ、短期間の延長では期限までに開示決定等をすることが困難であると判断した。Aは、上記判断に基づき、本件延長をすることに関し、上司に当たる内閣参事官、内閣審議官及び内閣総務官の了解を得た(乙9・14、15頁、証人A10~13頁)。 内閣総務官は、令和2年10月7日付けで、本件開示請求に対する開示決定等の期限を30日間延長して同年11月9日までとする旨の本件延長をし(なお、同月7日は土曜日、同月8日は日曜日である。)、原告に対してその旨通知した(甲2)。 (4) 本件延長後の経緯等 Aは、本件延長がされた頃、本件各開示文書を所管する各担当の職員にお- 21 -いて、上記各文書に不開示情報が記載されているか否かを検討するように指示した。調整担当の職員及び企画担当の職員は、令和2年10月中旬頃までに上記の検討をしたところ、上記各文書には不開示情報は記載されていないことが確認されたため、調整担当の職員においてそれらの結果を取りまとめてAに報告した。 Aは、上記の検討結果に誤りがないかを確認した上で、令和2年11月上旬頃、内閣参事官、内閣審議官及び内閣総務官に対し、本件開示請求に係る開示決定等の方針を報告し、本件開示等決定をすることについて了承を得た。 (以上につき、乙9・15、16頁、証人A10~13、41~43頁)内閣総務官は、令和2年11月9日、本件開示等決定をした(乙1)。 (5) 令和2年9月頃の開示請求の件数等内閣官房宛て開示請求の件数は、令和2年8月が85件、同年9月が206件であり、令和2年8月1日から同年11月30日までの間にされた開示請求の件数の合計は730件であった。このうち、内閣総務官に対する開示請求の件数は、同年8月が48件、同年 85件、同年9月が206件であり、令和2年8月1日から同年11月30日までの間にされた開示請求の件数の合計は730件であった。このうち、内閣総務官に対する開示請求の件数は、同年8月が48件、同年9月が112件であり、同年8月1 日から同年11月30日までの間にされた内閣総務官に対する開示請求の件数の合計は422件であった。また、上記の422件のうち、情報公開法10条2項に基づく開示決定等の期限の延長をした上で開示決定等をしたのは402件であり、開示決定等の期限の延長をせずに開示決定等をしたのは5件であった(その他の15件については開示請求の取下げにより終了したも のである。)。(乙6の3、11)上記の件数の開示請求がされたことなどにより、令和2年9月当時、調整担当職員は、開示請求に係る案件を常に100件以上担当していた(証人A3、4頁)。 なお、平成30年度の内閣総務官に対する開示請求の件数は153件であ り、平成31年度(令和元年度)の内閣総務官に対する開示請求の件数は6- 22 -35件であった(乙6の1、6の2)。 (6) 令和2年9月の内閣総辞職令和2年8月28日、安倍晋三内閣総理大臣(当時)が辞任の意向を表明し、同年9月16日、内閣が総辞職した。その後、菅義偉衆議院議員が内閣総理大臣に指名され、新内閣が発足した。 内閣総務官室は、閣議事項の整理や内閣の主管に属する人事に関する事務を担当していたところ、上記新内閣の発足に当たっては、調整担当職員も含む内閣総務官室の職員が必要な書類の作成等の事務を行っていた。(以上につき、乙7の1、7の2、乙9・3頁、証人A3、18、19頁)(7) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大等 令和2年9月頃においては、新型コ 作成等の事務を行っていた。(以上につき、乙7の1、7の2、乙9・3頁、証人A3、18、19頁)(7) 新型コロナウイルス感染症の感染拡大等 令和2年9月頃においては、新型コロナウイルス感染症の感染拡大が続いている状況であったところ、調整担当職員は、感染症発生時における業務継続計画制度を担当していたため、内閣官房の職員が新型コロナウイルス感染症に感染した場合等の対応の検討等の事務を行っていた(乙9・4頁、証人A2、3頁)。 (8) 原告がした他の開示請求等原告は、令和2年7月頃から令和3年5月頃にかけて、人事院事務総長、国土交通大臣、財務大臣等の37の行政機関の長に対し、本件各開示請求文書と類似する、各省庁等における文書の管理等について定めた規則、細則、要領等の文書の開示を求める旨の開示請求をしたところ、このうち少なくと も30以上の行政機関の長は、情報公開法10条2項に基づく開示決定等の期限の延長をすることなく、開示請求の受付日から30日以内に開示決定等をした。なお、原告がしたこれらの開示請求においても、開示を求める文書について、文書の作成根拠となる条文や、作成者の立場、文書の大まかな内容等により特定しているものがあった(甲11、12、原告本人4、5頁)。 2 争点(1)(内閣総務官が本件延長をしたことが国家賠償法1条1項の適用上違- 23 -法であるか否か)について(1) 開示決定等の延長の適否に係る考慮事情等情報公開法10条1項本文は、開示決定等は、開示請求があった日から30日以内にしなければならない旨定め、同条2項は、同条1項の規定にかかわらず、行政機関の長は、「事務処理上の困難その他正当な理由」があると きは、同項に規定する期間を30 示請求があった日から30日以内にしなければならない旨定め、同条2項は、同条1項の規定にかかわらず、行政機関の長は、「事務処理上の困難その他正当な理由」があると きは、同項に規定する期間を30日以内に限り延長することができる旨定める。そして、ここにいう「事務処理上の困難」とは、開示請求があった日から30日以内に開示決定等をすることが当該行政機関にとって困難であることを意味するものと解され、その判断に当たっては、開示請求に係る行政文書の多寡、開示請求に係る行政文書の検索の難易、開示・不開示の審査の難 易、第三者からの意見聴取の要否、当該時期における他に処理すべき開示請求事案の多寡のほか、当該行政機関の他の事務の繁忙、勤務日等の状況を考慮すべきものと解するのが相当である。 (2) 本件開示請求についてア開示請求に係る行政文書の検索の難易等について (ア) まず、開示を求める文書の件数をみると、本件開示請求は5件の文書の開示を求めるものであり、件数として少ないとはいえない。 (イ) 次に、文書の性質や開示請求書における文書の特定の程度等をみると、本件開示請求書の「請求する行政文書の名称等」欄の記載内容(別紙2記載のとおり)に照らせば、これらの文書がいずれも内閣官房における 行政文書の作成、保存、管理等に関する一般的な取扱いを定めた規則、細則、要領等であると認識することができるから、調整担当職員においては、個別の案件や日々の業務に関して作成された行政文書の開示請求がされた場合と比べれば、対象となる文書がどのような文書であるかについて、比較的見当をつけやすいものであるといえる。特に、本件開示 請求文書2及び5については、対象となる行政文書の文書名(又は当該- 24 -行政文書の文書名を特定するに な文書であるかについて、比較的見当をつけやすいものであるといえる。特に、本件開示 請求文書2及び5については、対象となる行政文書の文書名(又は当該- 24 -行政文書の文書名を特定するに足りる文書名の一部)が記載されており、文書の特定の程度が高かったものといえるから、少なくともこれらの文書については、文書の検索は比較的容易であったといえる。 しかし、本件開示請求文書1、3及び4については、当該行政文書の作成の根拠となる本件管理規則の条文や、作成者の役職(総括文書管理 者等)、文書の内容の概要のみが記載されているにとどまり、文書の特定の程度が必ずしも高いとはいえず、内閣総務官が保有する文書のうちどの文書が開示すべき文書に当たるのかが直ちに明らかになるものではない。特に、文書の名称が具体的に特定されておらず、作成者の役職等により文書が特定されている場合には、文書の検索作業中に特定の文書 が開示請求の対象文書に当たることが判明したとしても、当該文書のほかにも対象文書が存在する可能性があるため、文書の検索を直ちに終了することはできず、引き続き文書の検索を慎重に行う必要がある。したがって、少なくとも本件開示請求文書1、3及び4については、検索がごく短期間で終了するような容易なものであったとはいえない。 そうすると、本件各開示請求文書には、検索が容易な文書が含まれる一方で、検索が容易であるとはいい難く慎重な検索作業を要する文書も含まれていたというべきであるから、本件各開示請求文書の検索作業が全体として容易なものであったとはいえない。 (ウ) また、上記の本件各開示請求文書の特定の程度等にも照らせば、本件 開示請求については、内閣総務官室内の特定の担当(部署)のみにおいて文書の検索を行えば足りるとはいえず とはいえない。 (ウ) また、上記の本件各開示請求文書の特定の程度等にも照らせば、本件 開示請求については、内閣総務官室内の特定の担当(部署)のみにおいて文書の検索を行えば足りるとはいえず、開示請求の窓口業務を担当する調整担当職員においては、内閣総務官室の各担当に照会して保有する文書を幅広に検索する必要があったと認められる。そして、複数の担当が文書の検索を行う場合には、調整担当職員から各担当の職員への連絡、 各担当における検索作業、各担当の職員から調整担当職員への検索結果- 25 -の報告、調整担当職員によるこれらの検索結果の取りまとめ等の各事務が生ずる上に、各担当における文書の検索作業を行う時期も、それぞれの担当ごとの繁忙度や緊急の業務の有無等により左右され得る。そうすると、調整担当職員による上記検索結果の取りまとめは、最も遅い時期に検索作業を完了した担当からの報告を待ってから行わざるを得ないか ら、本件各開示請求文書の検索作業について、一定の期間を要することはやむを得ないというべきである。 (エ) 加えて、本件開示請求については、本件開示請求文書1に該当する文書として総務担当から調整担当職員に報告された文書があったが、本件開示請求文書1に該当しない疑いがあったため、調整担当職員から総務 担当に対してその確認や再検討を求める必要があったことが認められる(認定事実(3)ウ)。このように、本件開示請求については、開示請求の対象文書であるか否かの確認等に一定の期間を要したといえるし、このような確認等の作業が必要のないものであったともいえない。 (オ) 以上のとおり、本件各開示請求文書については、慎重な検索作業を要 する文書も含まれ、文書の検索が全体として容易であったとはいい難い上に、複数の担当において ものであったともいえない。 (オ) 以上のとおり、本件各開示請求文書については、慎重な検索作業を要 する文書も含まれ、文書の検索が全体として容易であったとはいい難い上に、複数の担当において検索作業を行う必要があったことや、開示請求の対象文書であるか否かの確認等を行う必要があったことに照らしても、文書の検索に一定の期間を要したことについては、やむを得ない面があるというべきである。 イ開示・不開示の審査の難易等本件延長をした時点においては、本件開示請求の対象文書として、本件各開示文書が特定されていたところ、これらの各文書は、いずれも内閣官房における行政文書の作成、保存、管理等に関して定められた行政文書であり、その性質上、情報公開法5条各号の不開示情報は記載されていない 蓋然性が高いと考えられるから、不開示情報が記載されているか否かの審- 26 -査が比較的容易な部類に属するものと解される。 他方で、内閣総務官室においては、本件開示請求よりも前に本件各開示文書の開示を求める開示請求を受けたことはなく、これらの文書は本件開示等決定において初めて開示される文書であった(認定事実(3)エ)というのであるから、本件各開示文書について、過去の開示決定等を参考にして 開示・不開示の審査を簡略化することはできず、上記各文書の冒頭から末尾まで、網羅的に不開示情報の有無を検討する必要があったと認められる。 加えて、これらの文書は合計47頁にわたり(前提事実(4))、一定の分量があったというべきである上に、本件開示文書①ないし③と本件開示文書④とでは文書を所管する担当が異なっていたため、複数の担当における作 業が必要であったことにも照らせば、上記の文書の性質に照らして不開示情報の有無の審査が比較的容易であること ③と本件開示文書④とでは文書を所管する担当が異なっていたため、複数の担当における作 業が必要であったことにも照らせば、上記の文書の性質に照らして不開示情報の有無の審査が比較的容易であることを考慮してもなお、本件各開示文書の不開示部分の審査に一定の期間を要することは、やむを得ない面があったといえる。 ウ本件開示請求当時の業務の繁閑等について 本件開示請求がされた当時の内閣総務官室や調整担当職員の業務の繁閑等について検討すると、内閣総務官室は、内閣の主管に属する人事や機密に関することのほか、内閣の庶務に係る事務を幅広く担当しているのであって(認定事実(1)ア)、通常時においても業務負担が軽い部局とは考えにくい上に、本件開示請求がされた令和2年9月は、当時の内閣が総辞職し、 新たに菅義偉衆議院議員が内閣総理大臣に指名されて新内閣が発足した時期であるから(認定事実(6))、内閣の庶務に係る事務を担当する内閣総務官室においては、新内閣の発足に伴う各種事務が生ずるなど、繁忙な時期であったと認められる。 また、調整担当職員は、内閣官房宛て開示請求に関し、担当業務①ない し③(認定事実(2))を担当しており、これらの業務量は内閣官房宛て開示- 27 -請求やそれらのうちの内閣総務官に対する開示請求の件数に比例して増大するものと認められる。そして、内閣官房宛て開示請求の件数は、令和2年8月が85件、同年9月が206件、同年10月及び11月が合計439件(同年8月から11月までの合計は730件)であり、このうち内閣総務官に対する開示請求だけをみても、同年8月が48件、同年9月が1 12件、同年10月及び11月が合計262件(同年8月から11月までの合計は422件)であったというのであるから( のうち内閣総務官に対する開示請求だけをみても、同年8月が48件、同年9月が1 12件、同年10月及び11月が合計262件(同年8月から11月までの合計は422件)であったというのであるから(認定事実(5))、本件開示請求がされた令和2年9月や同年10月頃は、客観的にみて、内閣官房宛て開示請求の件数及びそれらのうちの内閣総務官に対する開示請求の件数がいずれも非常に多かったと認められ、調整担当職員の事務負担も非常 に大きかったと認められる(平成30年度にされた内閣官房宛て開示請求の件数〔153件〕や、平成31年度〔令和元年度〕にされた内閣官房宛て開示請求の件数〔635件〕に照らしても、令和2年9月頃の開示請求の件数は、月200件を超えており、非常に多かったといえる。)。 以上の状況を踏まえれば、本件開示請求がされ、これに対する対応が必 要となった令和2年9月ないし10月頃は、内閣総務官室全体が繁忙であった上に、調整担当職員は特に繁忙な時期であったと認められる。 エ総合的検討上記アのとおり、本件各開示請求文書の検索が全体として容易であったとはいい難く、本件開示請求については本件各開示請求文書を保有してい るか否かについて内閣総務官室の各担当において検索をする必要があったところ、上記ウの内閣総務官室の各担当の繁忙度等を踏まえれば、調整担当職員において1週間の期間を設けて各担当に文書の検索を指示したことについては、開示請求に対する迅速な対応という観点に照らして不合理な点はない。また、各担当からの文書の検索結果の報告が完了したのが、上 記の期間を更に1週間ほど超過した令和2年9月22日頃になったこと- 28 -や、総務担当から回答された文書が本件開示請求文書1に当たるか否かを確認するため 索結果の報告が完了したのが、上 記の期間を更に1週間ほど超過した令和2年9月22日頃になったこと- 28 -や、総務担当から回答された文書が本件開示請求文書1に当たるか否かを確認するために更に1週間程度の期間を要したことについても、上記ウの令和2年9月当時の各担当の繁忙度に加えて、本件各開示請求文書には文書の特定の程度が高くないものが含まれていたことなどに照らせば、やむを得ないものといえる(なお、総務担当が当初本件開示請求文書1に当た ると回答した文書は、文書管理者の一覧を記載したものであり〔認定事実(3)ウ〕、その内容自体は「行政文書の管理の体制について定めた文書」に当たると判断されても不合理とはいえないことを踏まえれば、客観的には当該文書の作成根拠が本件管理規則4条14項に基づくものではなかったとしても、総務担当が本件開示請求文書1に当たる文書として上記文書を 回答したことをもって、漫然と開示決定等を遅らせたものということはできない。)。そうすると、本件延長をした令和2年10月7日時点において、本件開示請求に対する対応が、文書の検索が終了した段階にとどまっていたこともやむを得ないというべきである。 以上に加えて、本件各開示文書については、上記イのとおり合計47頁 という一定の分量を有する文書に関し、開示した前例がない中で不開示情報が記載されているか否かの検討をする必要があったこと、内閣総務官室の各担当が繁忙であった中で、複数の担当においてそれぞれ不開示情報の記載の有無を検討する必要があったこと、令和2年9月やその前後の時期に受理した内閣官房宛て開示請求の件数が非常に多く、本件開示請求以外 にも同時期に多数の開示請求に関する事務を処理する必要があったことなどの事情を踏まえれば、当時の状況の下では その前後の時期に受理した内閣官房宛て開示請求の件数が非常に多く、本件開示請求以外 にも同時期に多数の開示請求に関する事務を処理する必要があったことなどの事情を踏まえれば、当時の状況の下では、客観的に見て、本件開示請求があった日から30日以内に当該開示請求に係る事務処理を完了することが困難であったと認められる。また、内閣総務官において、同時期に処理すべき開示請求の件数の多寡や他の事務の繁忙等を考慮して(認定事実 (3)オ)、開示決定等の期限を30日間延長することが必要であると判断し- 29 -たことも、特段不合理なものであるとは認められない。 したがって、本件延長については、当時の状況から客観的にみて、情報公開法10条2項にいう「事務処理上の困難」があったと認められるから、本件延長は適法にされたものである。 (3) 原告の主張について ア本件各開示請求文書の検索が容易である旨の主張について原告は、①本件各開示請求文書は行政文書の作成、保管等についてのルールを定めた文書であり、内閣官房においてはこれらの文書に基づいて日常的な事務が行われているから、検索が容易な文書であることは明らかであり、内閣官房の職員はその保管場所等を容易に確認することができた、 ②本件開示請求書の記載によれば、内閣官房の職員は、総括文書管理者等に本件各開示請求文書の所在等を確認するなどして容易に検索することができた、③内閣官房においては、文書管理システムを利用して公文書を管理しているから、本件各開示請求文書の検索は容易であったなどと主張する。 しかし、本件各開示請求文書の中には、作成根拠となる本件管理規則の条文や作成者の立場等のみにより特定され、特定の程度が高くないものが含まれており、必ずしも検索 などと主張する。 しかし、本件各開示請求文書の中には、作成根拠となる本件管理規則の条文や作成者の立場等のみにより特定され、特定の程度が高くないものが含まれており、必ずしも検索が容易であるといえないことは上記(2)アで説示したとおりである。加えて、開示請求を受けた行政機関において、文書の存否やどの文書が開示すべき文書に当たるかなどを正確に判断するため に、当該文書を所管する部署に一定の期間を設けて検索を依頼することは、開示請求に対する組織的な対応として必要なことであるから、そのような検索を依頼すること自体が職務上の任務懈怠であるなどとする原告の主張は採用することができない(上記①)。 また、本件管理規則により定められた総括文書管理者、部局総括文書管 理者等は、内閣官房や内閣官房内の各部局において保有する個々の行政文- 30 -書についてその内容や保管場所を常時把握することをその職責として求められているものではないから、これらの者に文書の所在等を確認すれば容易に本件各開示請求文書を検索することができたとはいえない(上記②)。 さらに、原告が主張する文書管理システムは、行政文書ファイル管理簿に記載された各行政文書ファイル等(関係法令の定め(2)ウ参照)の分類、 名称、保存期間、保存場所、文書作成取得日等の情報を入力することにより、行政文書ファイル等を検索する機能を備えたシステムであって(公文書管理法7条1項、公文書等の管理に関する法律施行令11条1項参照)、これにより行政文書ファイル等を検索するためには上記の各情報が必要であると解されるところ、少なくとも本件開示請求文書2及び5を除く文書 については、文書管理システムにより文書を検索するために必要な情報が本件開示請求書に記載されていたとは 上記の各情報が必要であると解されるところ、少なくとも本件開示請求文書2及び5を除く文書 については、文書管理システムにより文書を検索するために必要な情報が本件開示請求書に記載されていたとはいい難いから、文書管理システムを用いていれば本件各開示請求文書を全て容易に検索することができたとは認められない(上記③)。 したがって、原告の上記主張はいずれも採用することができない。 イ不開示情報が記載されているか否かの判断が容易である旨の主張について原告は、本件各開示文書は、行政文書の作成、保管等についての職務上の規範を定めたものであり、その性質上、公文書管理法に基づき公表すべきとされる文書に準ずるものであって、不開示情報が記載されていること は考え難く、不開示情報の記載の有無の審査の必要性がほとんどないなどと主張する。 しかし、本件各開示文書が公文書管理法に基づき公表すべきとされる文書に準ずる性質を一部有しているとしても、そのことのみをもって直ちに、不開示情報の記載の有無の審査が必要でなかったとはいえない。また、本 件各開示文書について、過去に一度も開示の対象とされたことがなかった- 31 -(不開示情報の有無が検討されたことがなかった)ことなどからすると、不開示情報が記載されているか否かの審査がほとんど必要なかったとはいえないし、不開示情報該当性を検討する担当(部署)が複数であったことなどの事情も踏まえると、その審査にある程度の期間を要したこともやむを得ないというべきである。原告の上記主張は採用することができない。 ウ他の省庁等が開示決定等をするまでに要した期間等について原告は、①各省庁等においては本件各開示文書と同様の性質を有する文書をホームページ上で公開して ることができない。 ウ他の省庁等が開示決定等をするまでに要した期間等について原告は、①各省庁等においては本件各開示文書と同様の性質を有する文書をホームページ上で公開しているものが多い、②内閣総務官以外の37の行政機関の長に対して本件各開示請求文書と同様の文書に係る開示請求をしたところ、そのうちほとんどの行政機関において、開示決定等の期限 が延長されることなく30日以内に開示決定等がされた(認定事実(8))などと主張し、本件開示請求について開示決定等の期限を延長する必要性はなかった旨主張する。 しかし、異なる行政機関に対して類似する行政文書の開示請求をした場合であっても、開示決定等の期限の延長を要するか否かは当該行政機関の 繁忙度等の個別的な事情により異なるのであって、本件開示請求の内容等に加え、本件開示請求文書1に該当するか否かについて内部で検討を要した文書があったこと、令和2年9月ないし10月頃の内閣官房宛て開示請求が非常に多かったこと、新内閣が発足したため内閣総務官室や調整担当職員が繁忙であったこと等に照らせば、情報公開法10条2項の「事務処 理上の困難」があったと認められることは既に説示したとおりである。 したがって、原告の上記主張は採用することができない。 エその他の主張について原告は、開示決定等の期限を30日間延長したことは、必要な日数を超えて過剰な期間の延長をしたものであるなどと主張するが、上記(2)のとお り、30日間の延長をしたことが不合理であるとはいえないから、原告の- 32 -上記主張は採用することができない。 また、原告は、本件延長について、本件開示請求が受け付けられた令和2年9月8日から62日後(情報公開法10条1項及 はいえないから、原告の- 32 -上記主張は採用することができない。 また、原告は、本件延長について、本件開示請求が受け付けられた令和2年9月8日から62日後(情報公開法10条1項及び2項の期間を合わせた60日間を超える期限)を開示決定等の期限としたことが違法である旨を主張するものとも解されるが、令和2年9月8日の60日後である令 和2年11月7日は土曜日、翌8日は日曜日であって、いずれも民法142条にいう「休日」に当たるから、本件延長により開示決定等の期限を同月9日まで延長したことは違法ではない。 原告は、同時期に多数の開示請求がされていたとしても、受付順に処理するのではなく短期間で処理できることが見込まれる開示請求から速やか に処理すべきである旨主張するが、公平性の観点や、いわゆる処理漏れを防止する観点、処理に時間を要する開示請求の更なる処理の遅滞を防止する観点などから、まずは開示請求を受け付けた順に処理を進めることは合理的な対応であるから(なお、内閣総務官室における取扱いは、先に受け付けられた開示請求に対する開示決定等がされるまで後に受け付けられた 開示請求に対する開示決定等をしないというものではなく、飽くまでも開示請求に対するいわゆる初動としての対応や、同じ進捗状況にある複数の開示請求についての照会や検討等を受付順に行うという取扱いにすぎないと認められる。)、原告の上記主張は採用することができない。 (4) 小括 以上によれば、内閣総務官が本件延長をしたことは情報公開法10条2項に基づく適法なものであるから、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとは認められない。 第4 結論よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとお り判決する。 に基づく適法なものであるから、国家賠償法1条1項の適用上違法であるとは認められない。 第4 結論 よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官 徳地淳 裁判官 太田章子 裁判官 関尭熙(別紙1省略)

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