平成29(わ)1913 背任

裁判年月日・裁判所
平成30年4月20日 名古屋地方裁判所
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判決文本文9,858 文字)

主文 被告人Aを懲役3年に,被告人Dを懲役1年6月に,被告人Hを懲役1年2月に処する。 この裁判確定の日から,被告人A及び被告人Dに対しては4年間,被告人Hに対しては3年間,それぞれその刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人Aは,酸素,窒素の製造等を目的とするB株式会社(以下「B」という)のC営業部部長として,C営業部中部・西日本販売課が取り扱うロケット用部品洗浄及びメンテナンス関連業務等に関する下請業者への業務発注及び代金支払の決定等を統括し,業務発注等に際しては,Bのために誠実にその職務を遂行し,Bが無用な支出により損害を被ることがないようにすべき任務を有していたもの,被告人Dは,ロケット部品の洗浄等を目的とする株式会社E(以下「E」という)の代表取締役として,その業務全般を統括していたもの,Fは,配管材料の販売等を目的とする株式会社G(以下「G」という)の代表取締役として,その業務全般を統括していたもの,被告人Hは,各種プラントのメンテナンス業務等を目的とするI株式会社(以下「I」という)の代表取締役として,その業務全般を統括していたものであるが第1 1 被告人A及び被告人Dは,被告人Aが,被告人Dから現金を供与された見返りとして,その現金額に被告人Dの報酬分等を加えた額を代金額とする作業等をEがC営業部中部・西日本販売課から受注した旨の架空取引を作出し,BからEにその作業代金を支払わせようと考え,共謀の上,自己らの利益を図る目的で,被告人Aの前記任務に背き,被告人Dが,平成25年11月下旬頃,EがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていないフレキホース伸長作業用治具等の各作業を実施した旨の内容虚偽のE作成名義の請求書10通及び納 き,被告人Dが,平成25年11月下旬頃,EがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていないフレキホース伸長作業用治具等の各作業を実施した旨の内容虚偽のE作成名義の請求書10通及び納品書10通を,名古屋市a区bc丁目d番地所在のBe事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計945万円を請求した上,被告人Aが,同年11月30日 頃から同年12月1日頃までの間に,同所において,前記各請求書等に同年11月30日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がEに発注した前記各請求書記載の各作業が実施されており,Eによる各請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年12月30日,情を知らないC営業部中部・西日本販売課Jらを介して,株式会社K銀行f営業部に開設されたB名義の当座預金口座からL信用金庫g支店に開設されたE名義の普通預金口座に正規の作業代金とともに945万円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第1の1) 2 被告人A及び被告人Dは,前記第1の1と同様に考え,共謀の上,自己らの利益を図る目的で,被告人Aの前記任務に背き,被告人Dが,平成25年12月下旬頃,EがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていないフレキホース再整備作業等の各作業を実施した旨の内容虚偽のE作成名義の請求書11通及び納品書11通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計997万5000円を請求した上,被告人Aが,同月28日頃から平成26年1月5日頃までの間に,同所において,前記各請求書等に平成25年12月31日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がEに発注した前記各請求書記載の各 被告人Aが,同月28日頃から平成26年1月5日頃までの間に,同所において,前記各請求書等に平成25年12月31日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がEに発注した前記各請求書記載の各作業が実施されており,Eによる各請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,平成26年1月31日,情を知らない前記Jらを介して,前記B名義の当座預金口座から前記E名義の普通預金口座に正規の作業代金とともに997万5000円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第2の1) 3 被告人A及び被告人Dは,前記第1の1と同様に考え,共謀の上,自己らの利益を図る目的で,被告人Aの前記任務に背き,被告人Dが,平成26年1月下旬頃,EがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もし ていないフレキホース洗浄作業等の各作業を実施した旨の内容虚偽のE作成名義の請求書11通及び納品書11通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計1050万円を請求した上,被告人Aが,同年2月1日頃,同所において,前記各請求書等に同年1月31日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がEに発注した前記各請求書記載の各作業が実施されており,Eによる各請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年2月28日,情を知らない前記Jらを介して,前記B名義の当座預金口座から前記E名義の普通預金口座に正規の作業代金とともに1050万円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第3の1) 4 被告人A及び被告人Dは,前記第1の1と同様に考え,共謀の上,自己らの利益を図る目的で,被告人Aの前記任務に背き,被 額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第3の1) 4 被告人A及び被告人Dは,前記第1の1と同様に考え,共謀の上,自己らの利益を図る目的で,被告人Aの前記任務に背き,被告人Dが,平成26年2月下旬頃,EがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていないフレキホース洗浄作業等の各作業を実施した旨の内容虚偽のE作成名義の請求書11通及び納品書11通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計945万円を請求した上,被告人Aが,同年3月1日頃,同所において,前記各請求書等に同年2月28日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がEに発注した前記各請求書記載の各作業が実施されており,Eによる各請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年3月31日,情を知らない前記Jらを介して,前記B名義の当座預金口座から前記E名義の普通預金口座に正規の作業代金とともに945万円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与えた(平成29年10月18日付け公訴事実1)。 第2 1 被告人Aは,Fから現金を供与された見返りとして,その現金額にFの報酬分等を加えた額を代金額とする作業等をGがC営業部中部・西日本販売 課から受注した旨の架空取引を作出し,BからGにその作業代金を支払わせようと考え,Fと共謀の上,自己の利益を図る目的で,自らの前記任務に背き,Fが,平成25年11月下旬頃,GがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていない継手・シール類等の各作業を実施した旨の内容虚偽のG作成名義の請求書3通及び納品書3通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計152万2500円を請求した上,被告人Aが,同月3 各作業を実施した旨の内容虚偽のG作成名義の請求書3通及び納品書3通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計152万2500円を請求した上,被告人Aが,同月30日頃から同年12月1日頃までの間に,同所において,前記各請求書等に同年11月30日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がGに発注した前記各請求書記載の各作業が実施されており,Gによる各請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年12月30日,情を知らない前記Jらを介して,B,K信託銀行株式会社及びGとの間で締結された売掛債権信託契約に基づく一括支払信託の方法により,K信託銀行株式会社から株式会社M銀行h支店に開設されたG名義の普通預金口座に,BがGに支払うべき正規の作業代金額及び前記152万2500円の合計金額から手数料を差し引いた金額を振込入金させた上,平成26年4月30日,前記B名義の当座預金口座から前記K銀行i証券営業部に開設されたK信託銀行株式会社名義の当座預金口座に正規の作業代金とともに152万2500円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第1の2) 2 被告人Aは,前記第2の1と同様に考え,Fと共謀の上,自己の利益を図る目的で,自らの前記任務に背き,Fが,平成25年12月下旬頃,GがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていない継手・シール類等の各作業を実施した旨の内容虚偽のG作成名義の請求書3通及び納品書3通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計152万2500円を請求した上,被告人Aが,同月28日頃から平成26年1月5日頃までの間に,同所において,前記各請求書 等に平成25年12月 中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計152万2500円を請求した上,被告人Aが,同月28日頃から平成26年1月5日頃までの間に,同所において,前記各請求書 等に平成25年12月31日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がGに発注した前記各請求書記載の各作業が実施されており,Gによる各請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,平成26年1月31日,情を知らない前記Jらを介して,前記売掛債権信託契約に基づく一括支払信託の方法により,K信託銀行株式会社から前記G名義の普通預金口座に,BがGに支払うべき正規の作業代金額及び前記152万2500円の合計金額から手数料を差し引いた金額を振込入金させた上,同年6月2日,前記B名義の当座預金口座から前記K信託銀行株式会社名義の当座預金口座に正規の作業代金とともに152万2500円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第2の2) 3 被告人Aは,前記第2の1と同様に考え,Fと共謀の上,自己の利益を図る目的で,自らの前記任務に背き,Fが,平成26年1月下旬頃,GがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていない配管材料類の作業を実施した旨の内容虚偽のG作成名義の請求書1通及び納品書1通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として21万円を請求した上,被告人Aが,同年2月1日頃,同所において,前記請求書等に同年1月31日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がGに発注した前記請求書記載の作業が実施されており,Gによる請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年2月28日,情を知らない前記Jらを介して,前記売掛債権信託契約に基づく一括支払 発注した前記請求書記載の作業が実施されており,Gによる請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年2月28日,情を知らない前記Jらを介して,前記売掛債権信託契約に基づく一括支払信託の方法により,K信託銀行株式会社から前記G名義の普通預金口座に,BがGに支払うべき正規の作業代金額及び前記21万円の合計金額から手数料を差し引いた金額を振込入金させた上,同年6月30日,前記B名義の当座預金口座から前記K信託銀行株式会社名義の当座預金口座に正規の作業代金とともに21万円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第3の2) 4 被告人Aは,前記第2の1と同様に考え,Fと共謀の上,自己の利益を図る目的で,自らの前記任務に背き,Fが,平成26年2月下旬頃,GがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていないブラケット製作等の各作業を実施した旨の内容虚偽のG作成名義の請求書5通及び納品書5通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計126万円を請求した上,被告人Aが,同年3月1日頃,同所において,前記各請求書等に同年2月28日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がGに発注した前記各請求書記載の各作業が実施されており,Gによる各請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年3月31日,情を知らない前記Jらを介して,前記売掛債権信託契約に基づく一括支払信託の方法により,K信託銀行株式会社から前記G名義の普通預金口座に,BがGに支払うべき正規の作業代金額及び前記126万円の合計金額から手数料を差し引いた金額を振込入金させた上,同年7月31日,前記B名義の当座預金口座から前記K信託銀行株式会社名義の当座預金口 に,BがGに支払うべき正規の作業代金額及び前記126万円の合計金額から手数料を差し引いた金額を振込入金させた上,同年7月31日,前記B名義の当座預金口座から前記K信託銀行株式会社名義の当座預金口座に正規の作業代金とともに126万円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与えた(平成29年10月18日付け公訴事実2)。 第3 1 被告人A及び被告人Hは,被告人Aが,被告人Hから現金を供与された見返りとして,その現金額に被告人Hの報酬分等を加えた額を代金額とする作業をIがC営業部中部・西日本販売課から受注した旨の架空取引を作出し,BからIにその作業代金を支払わせようと考え,共謀の上,自己らの利益を図る目的で,被告人Aの前記任務に背き,被告人Hが,平成25年11月下旬頃,IがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていない真空計較正の作業を実施した旨の内容虚偽のI作成名義の請求書1通及び納品書1通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として52万5000円を請求した上,被告人Aが,同月30日頃から同年12月1日頃までの間に,同所において,前記請求書等に 同年11月30日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がIに発注した前記請求書記載の作業が実施されており,Iによる請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年12月30日,情を知らない前記Jらを介して,前記B名義の当座預金口座から株式会社O銀行j支店に開設されたI名義の当座預金口座に正規の作業代金とともに52万5000円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第1の3) 2 被告人A及び被告人Hは,前記第3の1と同様に考え,共謀の上,自己らの利益を図る目 00円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第1の3) 2 被告人A及び被告人Hは,前記第3の1と同様に考え,共謀の上,自己らの利益を図る目的で,被告人Aの前記任務に背き,被告人Hが,平成25年12月下旬頃,IがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていないフレキホース再整備作業を実施した旨の内容虚偽のI作成名義の請求書1通及び納品書1通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として63万円を請求した上,被告人Aが,同月28日頃から平成26年1月5日頃までの間に,同所において,前記請求書等に平成25年12月31日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がIに発注した前記請求書記載の作業が実施されており,Iによる請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,平成26年1月31日,情を知らない前記Jらを介して,前記B名義の当座預金口座から前記I名義の当座預金口座に正規の作業代金とともに63万円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第2の3) 3 被告人A及び被告人Hは,前記第3の1と同様に考え,共謀の上,自己らの利益を図る目的で,被告人Aの前記任務に背き,被告人Hが,平成26年1月下旬頃,IがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていない減圧弁再整備作業を実施した旨の内容虚偽のI作成名義の請求書1通及び納品書1通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として48万3000円を請求した上,被告人Aが,同 年2月1日頃,同所において,前記請求書等に同年1月31日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がIに発注した前 出して,同作業代金として48万3000円を請求した上,被告人Aが,同 年2月1日頃,同所において,前記請求書等に同年1月31日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がIに発注した前記請求書記載の作業が実施されており,Iによる請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年2月28日,情を知らない前記Jらを介して,前記B名義の当座預金口座から前記I名義の当座預金口座に正規の作業代金とともに48万3000円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与え(平成29年12月28日付け公訴事実第3の3) 4 被告人A及び被告人Hは,前記第3の1と同様に考え,共謀の上,自己らの利益を図る目的で,被告人Aの前記任務に背き,被告人Hが,平成26年2月下旬頃,IがC営業部中部・西日本販売課から受注しておらず実施もしていない真空ポンプ点検作業等の各作業を実施した旨の内容虚偽のI作成名義の請求書2通及び納品書2通を,前記e事業所内のC営業部中部・西日本販売課に提出して,同作業代金として合計52万5000円を請求した上,被告人Aが,同年3月1日頃,同所において,前記各請求書等に同年2月28日付け検収印を押印して,C営業部中部・西日本販売課がIに発注した前記各請求書記載の各作業が実施されており,Iによる各請求が正当な請求であるとしてその代金支払を決定し,よって,同年3月31日,情を知らない前記Jらを介して,前記B名義の当座預金口座から前記I名義の当座預金口座に正規の作業代金とともに52万5000円を振込入金させ,もってBに同額の財産上の損害を与えた(平成29年10月18日付け公訴事実3)。 (法令の適用) 1 被告人Aについて被告人Aの第1ないし第3の各行為はいずれも包括して刑法60条,247条に該当する 額の財産上の損害を与えた(平成29年10月18日付け公訴事実3)。 (法令の適用) 1 被告人Aについて被告人Aの第1ないし第3の各行為はいずれも包括して刑法60条,247条に該当するところ,各所定刑中いずれも懲役刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も犯情の重い第1の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役3年に処し,情状により同法25 条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予することとする。 2 被告人Dについて被告人Dの第1の各行為は包括して刑法65条1項,60条,247条に該当するところ,所定刑中懲役刑を選択し,その刑期の範囲内で被告人を懲役1年6月に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予することとする。 3 被告人Hについて被告人Hの第3の各行為は包括して刑法65条1項,60条,247条に該当するところ,所定刑中懲役刑を選択し,その刑期の範囲内で被告人を懲役1年2月に処し,情状により同法25条1項を適用してこの裁判が確定した日から3年間その刑の執行を猶予することとする。 (量刑の理由)本件は,BのC営業部部長の地位にあった被告人Aが,同社の取引先であったE,G及びIの各代表取締役を務めていた被告人D,F及び被告人Hと共謀の上,平成25年11月頃から翌26年7月頃にかけて,被告人D,F及び被告人HがBに架空発注をした上,被告人Aがその支払を決裁して同社従業員にその支払をさせるなどして同社に合計4500万円を上回る財産上の損害を与えた事案である。 被告人Aは,自らがC営業部部長として担当していた業務の取引先経営者であった被告人D,F及び被告人Hに対し,女性との交際 せるなどして同社に合計4500万円を上回る財産上の損害を与えた事案である。 被告人Aは,自らがC営業部部長として担当していた業務の取引先経営者であった被告人D,F及び被告人Hに対し,女性との交際費等の遊興費として費消する目的で現金の提供を求める一方,その見返りとして,被告人DらにBへの架空請求を行わせるなどして犯行に及んでおり,その地位を顧みず自己の個人的な利益のみを図った経緯は強い非難に値する。また,被告人Aは,上記のような関係にある被告人Dらを本件に巻き込んだ上,相当な期間にわたって,C営業部部長としての取引先への発注から支払までに及ぶその地位や権限を濫用して,Bに高額の財産上の損害を及ぼしており,本件の首謀者といえる。しかも,被告人Aは,犯行後は,原価 の付替えをするなどして,犯行の発覚を免れるための隠ぺい工作も行っていた。 被告人Dは,Eの事業資金等を得られるなどと考えて,被告人Aから求められるままに,相当の期間にわたってBに対する架空請求を行い続け,同社に3900万円余りの損害を与えた。しかも,Eの関係者を巻き込んでBから支払われた金員を現金化するなどして,実際に多額の利益を得ていた。Bとの取引関係上,被告人Aの求めを断りにくいという立場にあったとはいえ,その経緯は,相応の非難に値し,Bに対して共犯者の中で最も高額の損害を与えており,その犯行において不可欠の重要な役割を果たしたといえる。 被告人Hも,Iの事業資金を得られるなどと考えて,被告人Aから求められるままに,相当の期間にわたってBに対する架空請求を行い続け,同社に対して200万円以上の損害を及ぼした。被告人HもBとの取引関係上,被告人Aの求めを断りにくいという立場にあったとはいえ,その経緯は,相応の非難に値し,その関与する犯行において不可欠の重要な役割を果た て200万円以上の損害を及ぼした。被告人HもBとの取引関係上,被告人Aの求めを断りにくいという立場にあったとはいえ,その経緯は,相応の非難に値し,その関与する犯行において不可欠の重要な役割を果たしたといえる。 以上によれば,被告人3名の刑事責任は軽視できず,特に,被告人Aは本件の首謀者であり,Bに与えた損害も大きい。もっとも,EからBに対しては,余罪も含め,1億4000万円の被害弁償が行われており,その原資の一部は,被告人Aが協力してその親族から被告人Dが借り受けた金員であった。また,IからもBに対して,同様に1000万円の被害弁償が行われている。加えて,被告人A,被告人D及び被告人Hは,Bに対して,それぞれ更なる被害弁償を約束している。 本件と同種事案の量刑傾向を踏まえながら,こうした本件における財産的被害の回復の状況に加え,被告人3名にいずれも前科はなく,本件の事実を認めて反省の態度も示していることなども併せ考えると,被告人Aも含め,被告人3名に対しては,社会内における更生の機会を与えるのが相当であると認め,主文のとおり量刑した。 (求刑―被告人Aにつき懲役3年,被告人Dにつき懲役1年6月,被告人Hにつき懲役1年2月) 平成30年4月26日名古屋地方裁判所刑事第3部 裁判長裁判官吉井隆平 裁判官小宮思帆音 裁判官小泉満理子は差支えのため署名押印できない。 裁判長裁判官吉井隆平

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