- 1 -令和3年(ワ)第1146号 損害賠償請求事件※ なお、被告国立大学法人京都大学は「被告大学」と略称が付されている。 主 文1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 5事実及び理由第1 請求1 被告大学は、原告に対し、550万円(ただし、330万円の限度で被告京都市と連帯して)及びこれに対する令和3年6月5日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 102 被告京都市は、原告に対し、被告大学と連帯して330万円及びこれに対する令和3年6月5日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要1 事案の要旨本件は、原告が、被告らに対し、被告大学が設置、運営する京都大学の敷地15外構部分に設置されていた立看板に関して、被告京都市が被告大学に行政指導をし、被告大学が原告の設置した立看板を撤去したことは、違憲、違法であるなどと主張して、共同不法行為に基づき、連帯して損害賠償金330万円及びこれに対する令和3年6月5日(不法行為の後の日であり、訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めると20ともに、被告大学に対しては、上記立看板の撤去及び同立看板を撤去した後、労働組合である原告との間で一切の調整に応じない対応が不当労働行為に当たると主張して、不法行為に基づき、損害賠償金220万円及び前同様の遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲の証拠及び弁論の全趣旨により容25易に認められる事実) - 2 -(1)当事者被告大学は、京都大学を設置、運営する国立大学法人である(以下、被告大学が設置、運営する京都大学を「被告大学」ということもある。 り容25易に認められる事実) - 2 -(1)当事者被告大学は、京都大学を設置、運営する国立大学法人である(以下、被告大学が設置、運営する京都大学を「被告大学」ということもある。)。被告大学の吉田キャンパスは、別紙1左上図のとおり、本部構内、北部構内、西部構内、医学部構内等に分かれている。 5原告は、被告大学の教職員で構成される労働組合である。 (2)本件に関連する法令及び被告大学の内部規程次のアからカまでの各法令又は規程の内容のうち、本件と関係のある部分は、別紙2のとおりである。 ア 屋外広告物法10イ 京都市屋外広告物等に関する条例(甲13、以下「本件条例」という。)ウ 京都市屋外広告物等に関する条例施行規則(甲14、以下「本件施行規則」という。)エ 京都大学立看板規程(以下、改正の前後を通じて「本件規程」という。)(ア)平成29年12月19日付け制定のもの(甲7、以下「改正前規程」15という。)(イ)平成30年7月24日付け改正のもの(乙13、以下「改正後規程」という。)オ 立看板の設置場所を定める規程(乙2)カ 京都大学立看板規程実施要領(甲8、以下「本件要領」という。)20(3)被告大学に対する屋外広告物規制の内容ア 本部構内は、別紙1のとおり、北側の今出川通、東側の吉田本町道、南側の東一条通、西側の東大路通に囲まれている(甲4、乙4、5)。本部構内の今出川通沿いは沿道型第2種地域(本件条例8条1項10号)に指定されており、同構内のその他の区域は第2種地域(同項2号)に指定さ25れている(甲16)。 - 3 -屋外広告物規制地域に指定された地域においては、原則として、屋外広告物を設置するに当たり、市長の許可を受ける必要がある(本件条例9条1項本 に指定さ25れている(甲16)。 - 3 -屋外広告物規制地域に指定された地域においては、原則として、屋外広告物を設置するに当たり、市長の許可を受ける必要がある(本件条例9条1項本文)。ただし、公共的団体が公共の目的のために表示する屋外広告物の表示等については、市長の許可が不要とされている(本件条例9条1項ただし書1号、6条2項2号)。被告大学は公共的団体に該当するため、5被告大学が公共の目的のために表示する屋外広告物については許可が不要であるが、本件条例11条1項各号に定められた基準(以下「許可基準」という。本部構内に対して適用される基準は後記イのとおりである。)に適合させる努力義務を負う(本件条例15条)。 イ 「区画」(本件条例2条12号)内において表示し、又は設置する屋外10広告物又は掲出物件にあっては、当該区画内に存する屋外広告物及び掲出物件の面積の合計に制限(上限)が設けられている(本件条例11条1項11号イ、以下「面積基準」という。)。ただし、区画の面積の大きい施設等については、駐車場の出入り口誘導用の屋外広告物等を一定数設けることにより、交通渋滞等による周辺の環境への悪影響を防ぐなど、公益上15又は土地・建物の管理上必要な場合があることから、区画の面積に応じて一定の面積の管理用屋外広告物(本件条例2条5号)は、面積基準にかかわらず、これとは別に掲出することが許容されている(本件施行規則21条の2)。 本部構内については、本部構内を一区画とすると、沿道型第2種地域で2015㎡まで(本件条例11条1項11号イ、別表第5「第5種地域、第6種地域、第7種地域、沿道型第2種地域、沿道型第3種地域及び沿道型第4種地域特定地区」欄参照)、第2種地域で5㎡までの面積基準(同別表「第2種地域及び歴史 条1項11号イ、別表第5「第5種地域、第6種地域、第7種地域、沿道型第2種地域、沿道型第3種地域及び沿道型第4種地域特定地区」欄参照)、第2種地域で5㎡までの面積基準(同別表「第2種地域及び歴史遺産型第2種地域」欄参照)を守った上で、本部構内全体で屋外広告物を15㎡まで設置することができる(甲16、18)。 25また、管理用屋外広告物については、上記15㎡とは別に、30㎡まで掲 - 4 -出することができる(本件施行規則21条の2第4号)。 (4)被告京都市による行政指導被告京都市は、被告大学に対し、平成29年10月5日付け通知書を交付し、被告大学の外構周辺部分に公衆に表示される形で設置されている立看板について、屋外広告物に該当するため本件条例等の関係法令に抵触している5こと、道路にはみ出して設置されているものは不法占用になること及び強風等による倒壊で通行に危険を及ぼす可能性があることを指摘して、本件条例に適合するように是正することを求めた(乙1、以下「本件行政指導」という。)。 (5)被告大学による立看板の撤去10ア 被告大学は、平成29年12月19日から平成30年3月30日にかけて改正前規程、立看板の設置場所を定める規程及び本件要領を制定し、これらは同年5月1日から施行された(甲7、8、乙2)。 被告大学は、同日、原告が設置した立看板を含めて、改正前規程3条所定の被告大学が指定した場所以外に掲出されていた立看板に、撤去を求め15る通告書(甲9)を貼付した。同通告書には、「本立看板を、直ちに撤去するか、または、公認団体は、立看板規程に沿って、指定された場所に設置してください。そのままになっている場合は、大学が撤去します。」と記載されていた。 イ 被告大学は、平成30年5月13日、改正前規程3条所定の 、公認団体は、立看板規程に沿って、指定された場所に設置してください。そのままになっている場合は、大学が撤去します。」と記載されていた。 イ 被告大学は、平成30年5月13日、改正前規程3条所定の被告大学が20指定した場所以外に掲出されていた複数の立看板を一斉に撤去した。その中には、原告が本部構内及び北部構内に設置していた立看板も含まれていた(以下、被告大学による同日の撤去行為のうち、原告の設置した立看板を対象とするものを「本件撤去行為1」という。)。 原告は、令和2年6月16日、百万遍自転車通用口脇の柵に立看板を設25置した(別紙1・①の場所)。被告大学は、同日、この立看板を撤去した - 5 -(以下「本件撤去行為2」といい、本件撤去行為1と併せて「本件両撤去行為」という。)。(甲11、乙5)3 争点(1)被告京都市の不法行為責任本件行政指導は違法か(争点1)5(2)被告大学の不法行為責任(争点2)ア 本件両撤去行為が違憲・無効な本件条例又は違法な本件行政指導に基づくもので違法といえるかイ 本件規程の制定及び本件両撤去行為が不当労働行為といえるかウ 被告大学が不誠実団交(労働組合法7条2号)をしたといえるか10エ 本件両撤去行為は違法な自力救済か(3)損害の発生及び金額(争点3)4 争点に関する当事者の主張(1)本件行政指導は違法か(争点1)(原告の主張)15ア 本件条例は違憲・無効であるから、これに基づく本件行政指導も違法である。 (ア)本件条例は、明確性の原則に違反し、規制対象が不明確で漠然としており、表現活動に対して萎縮的効果を生じさせるものであるから、違憲である。 20本件条例は、労働組合が組合活動として設置する屋外広告物で許可基準に適合するものであ 規制対象が不明確で漠然としており、表現活動に対して萎縮的効果を生じさせるものであるから、違憲である。 20本件条例は、労働組合が組合活動として設置する屋外広告物で許可基準に適合するものであれば、市長の許可なく設置することができると定めているのに(本件条例9条1項5号参照)、屋外広告物の設置主体の認定方法について明記されていない。「区画」(本件条例2条12号)の定義も不明確である。さらに、一つの区画が複数の屋外広告物規制区25域に該当する場合の面積基準についても判然としない。これらの点につ - 6 -いて複数の解釈や、恣意的な解釈及び判断を可能にする点で、本件条例は不明確である。 (イ)本件条例は、規制対象が過度に広範であるため、違憲である。 区画の広さによって景観に与える屋外広告物の影響は異なるにもかかわらず、本件条例は、区画の広さを問わず一区画に掲出できる屋外広告5物の面積基準を一律に定めている。これは、一定の広さを超える区画に対して過度に広範な規制を定めたものといえる。 被告大学のように、そこが伝統的に表現活動や人々の意見交換の場となり、表現の自由の行使が本来の利用目的となっている施設においては、可能な限り表現の場を確保するよう配慮すべきである(パブリックフォ10ーラム論)。本件条例は、被告大学を含むそういった施設において掲出される屋外広告物も例外なく規制対象とする点で違憲である。 イ 制定された本件条例それ自体が違憲でないとしても、本件条例を被告大学に対して適用するのは憲法14条及び21条に反して違憲であるから、本件行政指導も違法である。 15(ア)本部構内は、他の区画よりも広大な敷地と多数の利用者を有するにもかかわらず、被告京都市は、本部構内を一区画と認定し、屋外広告物の面積を全体として1 から、本件行政指導も違法である。 15(ア)本部構内は、他の区画よりも広大な敷地と多数の利用者を有するにもかかわらず、被告京都市は、本部構内を一区画と認定し、屋外広告物の面積を全体として15㎡とする努力義務を課している。被告京都市が、被告大学に過大な制約を課すように本件条例の解釈、適用を行ったもので、違法である。 20(イ)本件行政指導により、被告大学を表現の場として利用する者は、敷地面積自体が広くない他の区画と比較して、立看板等の屋外広告物を設置する機会が非常に限られることになる。このような差が生じることに合理的な理由はなく、本件行政指導は憲法14条に反する。 (ウ)被告大学における立看板を設置する文化は、歴史が深く、その表現活25動行為の価値も非常に高い。しかし、被告京都市は、そのような事情を - 7 -一切考慮することなく本件行政指導を行っている。また、本件条例による規制は設置主体により大きく異なるにもかかわらず、被告京都市は、各立看板の設置主体を特定することもせずに、一律かつ網羅的に被告大学に対して本件行政指導を行い、原告の表現行為を不当に制限したから、違法である。 5(被告京都市の主張)ア 本件条例が違憲でないこと(ア)本件条例は、漠然不明確であるとはいえない。「区画」とは「建築物又は別に定める工作物の敷地」と定義されており(本件条例2条12号)、通常の判断能力を有する一般人であればその範囲を判断することが可能10である。 (イ)本件条例は、規制対象が過度に広範であるともいえない。区画の広さに応じて掲出できる屋外広告物の合計面積を定めた場合、区画の面積が広い場所において区画内の特定の場所に屋外広告物を集中して表示することが可能になってしまう。これにより景観への悪影響が想定されるこ に応じて掲出できる屋外広告物の合計面積を定めた場合、区画の面積が広い場所において区画内の特定の場所に屋外広告物を集中して表示することが可能になってしまう。これにより景観への悪影響が想定されるこ15とからすれば、区画の広さにかかわらず一区画に掲出できる屋外広告物の合計面積を定めることに合理性がある。 イ 本件条例を適用することが違憲・違法となるはずがないこと本件条例において一区画につき一律に屋外広告物の面積基準を設けることは合理的であって違憲ではなく、本件条例に基づく本件行政指導も、何20ら違法ではない。 被告大学の敷地周辺においては、敷地外の歩道上等に不特定多数の大学関係者が掲出したと思われる屋外広告物が常時設置されており、明らかに本件条例で定める許可基準に違反していた。本件行政指導は、被告京都市が被告大学に対して本件条例が定める努力義務を果たすよう任意の協力25を求めたものであって、これが違憲・違法とされる余地はないし、被告大 - 8 -学の敷地内でどのような屋外広告物の掲出を認めるかについては被告大学の自治に委ねられるものであるから、この点でも本件行政指導が違憲と評価されることはない。 (2)被告大学の不法行為責任(争点2)(原告の主張)5ア 本件両撤去行為が違憲・無効な本件条例又は違法な本件行政指導に基づくもので違法であること本件両撤去行為は、違憲・無効な本件条例及び違法な本件行政指導に基づき行われたものであるから、同じく違法である。 本件条例が違憲・無効であること、本件行政指導が違法であることは、10上記(1)(原告の主張)に同じ。 イ 本件規程の制定及び本件両撤去行為が不当労働行為に当たり、違法であること被告大学が本件規程を制定し、本件両撤去行為をしたことは原告の団結権を は、10上記(1)(原告の主張)に同じ。 イ 本件規程の制定及び本件両撤去行為が不当労働行為に当たり、違法であること被告大学が本件規程を制定し、本件両撤去行為をしたことは原告の団結権を侵害し、不当労働行為であるから違法である。 15(ア)原告の立看板は、労働組合たる原告の維持・運営に必要不可欠な労働組合活動の一環として設置されたものであるから、被告大学は原告による労働基本権(憲法28条)の行使として立看板の設置を受忍しなければならない。また、被告大学は原告に対して立看板の掲出を長年にわたり許容していたから、原告による立看板の掲出は労使間の慣行として確20立されていた。被告大学がこれを一方的に破棄することはできないにもかかわらず、被告大学は、本件規程の制定に当たって原告との交渉や意見聴取を行わなかったし、本件両撤去行為に先立って何らの説明も交渉も行うことなく本件両撤去行為を実施した。 (イ)さらに、本件条例上、本部構内の今出川通沿い(沿道型第2種地域)25では、屋外広告物を少なくとも10㎡以内で掲出することが可能であり、 - 9 -かつ、それは努力義務の範囲のものであったから、原告の立看板は、何ら本件条例に違反したものではなかった。被告大学は、原告の立看板を撤去する必要はなかった上、原告の立看板は本件規程の対象ではないから、本件規程を根拠に撤去することもできない。被告大学は、合理的な根拠なく、本件両撤去行為を行ったのである。 5被告大学は、本部構内の第2種地域において本件条例が定める5㎡の面積基準を超過していることから、本部構内の沿道型第2種地域では屋外広告物を一切掲出することはできない旨主張する。しかし、本件条例の規定をそのように解釈することはできず、被告大学は恣意的な解釈をしているというほかな いることから、本部構内の沿道型第2種地域では屋外広告物を一切掲出することはできない旨主張する。しかし、本件条例の規定をそのように解釈することはできず、被告大学は恣意的な解釈をしているというほかない。仮にそのように解釈するとしても、第2種地10域で面積基準を超過し、本件条例に違反する状態を作出しているのは被告大学自身であり、被告大学は違反状態を是正するための措置を何ら講じていない。その上、被告大学は、原告以外の団体又は個人に対しては、被告大学の敷地外の沿道から見える位置に立看板を設置することを許容している。これらの事実は、被告大学に原告を弱体化させる目的又は原15告の活動に介入しようとする目的があったことにほかならず、合理的な理由なく原告の組合活動を妨害するものであって、被告大学が原告に対して不当労働行為をしたといえる。 ウ 被告大学が不誠実団交をし、これが違法であること原告による立看板の設置は労使慣行となっていたのに、被告大学は、原20告との団体交渉において、被告大学が掲出する屋外広告物と原告が掲出を希望する屋外広告物との間で調整することを一切拒否した。これは、不誠実団交として違法である。 エ 本件両撤去行為が違法な自力救済であること改正前規程10条3項及び4項並びに改正後規程9条3項及び4項は、25被告大学が、他者の所有する立看板を、何らの法的手続を経ることなく一 - 10 -方的に撤去することを可能にし、現行法制度の下では原則として認められていない自力救済を認めるもので、違法である。故に、改正前規程10条3項及び4項並びに改正後規程9条3項及び4項に基づいて被告大学が行った本件両撤去行為も違法である。 (被告大学の主張)5ア 本件条例は違憲でなく、本件行政指導も違法ではないこと本件条例 3項及び4項並びに改正後規程9条3項及び4項に基づいて被告大学が行った本件両撤去行為も違法である。 (被告大学の主張)5ア 本件条例は違憲でなく、本件行政指導も違法ではないこと本件条例において、屋外広告物の表示に当たり許可が必要な範囲や満たすべき許可基準はいずれも明確であり、屋外広告物が許可基準に適合しているかは、設置主体とは関係なく、屋外広告物の性状等から客観的に判定し得るから、本件条例は違憲ではない。本件条例は過度に広範な規制を定10めたものでもない。 イ 本件規程の制定及び本件両撤去行為は不当労働行為に当たらないこと被告大学が本件規程を制定し、本件両撤去行為をしたことは、原告の団結権を侵害するものでも不当労働行為でもない。 (ア)被告大学は、本部構内を含む被告大学の敷地の管理権を有する。他方15で、原告は、被告大学に対して、本部構内の外構部分に立看板の設置を認めさせる権利を有しないから、被告大学が原告による立看板の設置を受忍すべき立場にない。また、被告大学が原告に対して立看板の設置について許可したことはなく、原告による立看板の掲出が法的に労使慣行として確立したこともない。本件規程の制定及び本件両撤去行為は、被20告大学の敷地管理権の適法な行使であり、何ら違法ではない。 (イ)原告の立看板の設置が組合活動の一環として設置されるものであるとしても、被告大学の敷地管理権の制約を伴う以上、労働組合法の保護を受けられるのは組合活動に必要な限度に限られる。組合員募集等を内容とする原告の立看板は、被告大学内において就労する労働者の目に触25れる場所において設置されれば足り、外構部分に公衆に視認されるよう - 11 -な状態で設置する必要性は存しない。 ウ 被告大学は不誠実団交をしていないこと被告大 る労働者の目に触25れる場所において設置されれば足り、外構部分に公衆に視認されるよう - 11 -な状態で設置する必要性は存しない。 ウ 被告大学は不誠実団交をしていないこと被告大学は、原告が設置する立看板について、代替的な設置場所を具体的に提案しており、不合理に原告の立看板の掲出を拒否し続けているものではないから、不誠実団交であるとはいえない。 5被告大学は、原告に対し、大学運営のために必要な屋外広告物を削減することには応じられない旨を説明した上で、従来の設置場所と掲出の効果につき遜色のない代替設置場所を具体的に提案している。このように、被告大学は、被告大学が掲出する屋外広告物と原告が設置する立看板との間で調整を行った。 10エ 本件両撤去行為が違法な自力救済ではないこと改正前規程10条3項及び4項並びに改正後規程9条3項及び4項には、撤去の要請に応じない立看板を撤去することが可能であることが定められ、撤去した立看板は30日間保存されるものであり、設置者の財産権への制約を必要最小限にとどめている。改正前規程10条3項及び4項並15びに改正後規程9条3項及び4項の規定が違法とはいえないし、これに基づいて行われた本件両撤去行為も違法ではない。 (3)損害の発生及び金額(争点3)(原告の主張)ア 本件行政指導及び本件両撤去行為による損害20(ア)慰謝料 300万円本件両撤去行為により、原告は表現の自由及び労働基本権を侵害された。その慰謝料は300万円を下らない。 (イ)弁護士費用 30万円イ 不当労働行為及び不誠実団交による損害25(ア)慰謝料 200万円 - 12 -被告大学が、原告による労働基本権の行使であり労使慣行に基づき長年にわたって掲出してきた立看板を撤去し 不当労働行為及び不誠実団交による損害25(ア)慰謝料 200万円 - 12 -被告大学が、原告による労働基本権の行使であり労使慣行に基づき長年にわたって掲出してきた立看板を撤去したこと、その後一切の利用調整に応じない対応や不誠実団交をしたことによる慰謝料は、200万円を下らない。 (イ)弁護士費用 20万円5(被告大学の主張)否認し、争う。 原告は、本件両撤去行為により表現の自由が侵害されたと主張するが、本部構内の外構部分において、公衆に視認されるような状態で立看板を設置する方法による表現行為が制限されたにすぎない。特定の表現手段の制限が表10現者の表現の自由を侵害するというためには、表現者が法的に当該表現手段の利用権を有することが必要である。原告による被告大学の敷地の利用は、被告大学の管理権に服するところ、原告には、立看板の設置のために敷地の外構部分を利用する権原はない。したがって、原告の表現の自由に対する侵害はない。 15(被告京都市の主張)原告の主張アにつき、否認し、争う。 第3 当裁判所の判断1 認定事実後掲証拠(枝番号の記載は省略することがある。)及び弁論の全趣旨によれ20ば、以下の事実が認められる。 (1)本件行政指導に至る経緯ア 被告大学の本部構内の外構部分及びその周辺には、かねてより原告を含む団体や個人など不特定多数の者が数多くの立看板を設置していた(甲1~3、23~25、34、37、38)。被告大学が立看板の設置を許可25したことはないが、平成29年11月頃まで、立看板の設置者に対してそ - 13 -の撤去を求めたことはなかった(弁論の全趣旨)。 イ 被告京都市は、平成24年頃から、被告大学に対し、その外構部分に設置されていた多数の立看板につき で、立看板の設置者に対してそ - 13 -の撤去を求めたことはなかった(弁論の全趣旨)。 イ 被告京都市は、平成24年頃から、被告大学に対し、その外構部分に設置されていた多数の立看板につき、本件条例に適合するように行政指導を行っており、その一環として平成29年10月5日付けで本件行政指導を行った(前提事実(4)、弁論の全趣旨)。 5被告大学は、同日以降、被告京都市から、同大学が本部構内の外構部分及びその周辺で設置する屋外広告物について、管理用屋外広告物に当たらないものがあり、その合計面積は面積基準を超えていると説明を受けていた。具体的には、次の(ア)から(ウ)までのとおり、「京都大学総合博物館 THE KYOTO UNIVERSITY MUSEUM」の表示(面積2.58㎡)、総合博10物館ポスター掲示(面積0.7416㎡)、正門の本部構内案内図(面積2.106㎡)があり、これらは管理用屋外広告物に該当せず、合計面積が5.4276㎡と第2種地域の面積基準を超えている旨の説明であった。(甲31、乙12)(ア)「京都大学総合博物館 THE KYOTO UNIVERSITY MUSEUM」の表示(面積152.58㎡) (イ)総合博物館ポスター掲示(面積0.7416㎡) - 14 - (ウ)正門の構内案内図(面積2.106㎡) (2)本件撤去行為1に至る経緯ア 原告は、本部構内の外構部分に立看板を4枚設置していた(その位置は、5別紙1の①、②、⑥及び⑦の地点である。)(乙5)。原告の立看板は、その看板に原告の名称やホームページのURL等が不動文字で記載されたものであり、労働組合として告知すべきことがあれば、同不動文字の上に書面を貼り付ける方法で使用されていた。原告は、何ら書面を貼り付けていな に原告の名称やホームページのURL等が不動文字で記載されたものであり、労働組合として告知すべきことがあれば、同不動文字の上に書面を貼り付ける方法で使用されていた。原告は、何ら書面を貼り付けていない状態のまま、立看板を設置していたこともあった。(甲10、乙1016、弁論の全趣旨)イ 被告大学は、被告京都市による本件行政指導を受けて、平成29年11月14日、原告の構成員を含む被告大学の教職員に対し、「キャンパス周辺への立て看板等の設置について(通知)」と題する通知書(甲5)を発 - 15 -出した。同通知書には、被告大学の外構部分に公衆に表示される形で設置されている立看板等について、屋外広告物として本件条例に抵触しているほか、道路にはみ出すと不法占用になり、強風等による倒壊も危惧され、通行に危険を及ぼす可能性がある旨、被告大学の外構部分に設置されている立看板は本件条例5条及び9条に違反している旨、並びに教職員に本件5条例等の法令を遵守するよう求める旨が記載されていた。 ウ 被告大学の総務課労務管理室(以下「被告労務管理室」という。なお、同室に属する担当者を指して「被告労務管理室」という場合もある。)は、平成29年11月27日、原告に対して、同月14日に被告大学が立看板に関する通知(上記イ)を発したこと、原告には、原告が立看板の設置を10希望する場所を管理する部局の了解の下に立看板を設置してもらうことになると説明した。(甲35、乙16、証人A、証人B)エ 被告大学は、平成29年12月19日から平成30年3月30日にかけて改正前規程、立看板の設置場所を定める規程及び本件要領を制定した(前提事実(5)ア)。 15オ 被告労務管理室は、改正前規程が制定され、施行日(平成30年5月1日)が近付いているにもかかわらず 改正前規程、立看板の設置場所を定める規程及び本件要領を制定した(前提事実(5)ア)。 15オ 被告労務管理室は、改正前規程が制定され、施行日(平成30年5月1日)が近付いているにもかかわらず原告の立看板が本部構内の外構部分に設置されたままであったことから、同年4月25日に原告との間で協議の場を設けた。被告労務管理室は、その協議の場で、原告に対して、原告の設置する立看板にも改正前規程の適用があるとしてこれを撤去すること20を求める旨、被告大学としては原告の設置する立看板の枚数を減らすことを意図するものではない旨、本部構内の外構部分から内部に設置場所を移動してもらいたい旨、及び原告が本部構内の内部に代替設置場所を希望するのであれば、改正前規程11条に基づく設置が実現できるように被告大学総務課が同場所を管理する部局長と掛け合う旨を伝えた。 25原告は、被告労務管理室に対し、本件条例や改正前規程の内容や解釈に - 16 -分からない部分があるため、様子見をすることとし、現時点で外構部分に設置された原告の立看板を撤去するつもりはないと伝えた。 (甲35、乙16、証人A、証人B)カ 被告大学は、平成30年5月1日、原告が設置した立看板に通告書(甲9)を貼付した。同通告書には、立看板の撤去を求める旨の記載があった5(前提事実(5)ア)。 キ 被告労務管理室は、平成30年5月7日、原告との間で協議の場を設け、同年4月25日の際と同様に撤去の要請と説明(上記オ)を行い、原告が代替設置場所の提供を受けることを希望し、その場所の提案をするのであれば、その場所を管理する部局長に被告大学総務課が掛け合うことを伝え10た。原告の出席者は、立看板の撤去を拒否し、立看板には原告のホームページのURL等が記載されており、教職員の加入 するのであれば、その場所を管理する部局長に被告大学総務課が掛け合うことを伝え10た。原告の出席者は、立看板の撤去を拒否し、立看板には原告のホームページのURL等が記載されており、教職員の加入が強制されていないオープンショップ制である原告は、立看板を設置し続けることにより、労働組合としての存在を周知し続ける必要がある旨を述べた。また、原告の出席者は、原告の立看板は、可能な限り多くの人に見てもらう必要があるため、15本部構内内部のどこにでも設置していいのであれば原告の立看板を本部構内内部に移動することを検討する、あるいは、本部構内の全ての建物に原告の立看板を設置する程度の措置は必要であるといった趣旨の発言をした。(甲35、36、乙16、証人A、証人C、証人B)ク 被告大学は、平成30年5月13日に本件撤去行為1をし、撤去した原20告の立看板を原告の事務所建物前まで運搬して、事実上返還した。(前提事実(5)イ、甲10、弁論の全趣旨)(3)本件撤去行為2に至る経緯ア 原告は、平成30年5月14日、被告大学に対し、本件撤去行為1に関する抗議文を送付した。 25被告大学は、同月16日付けで、各部局長に対して、改正前規程11条 - 17 -が想定している、敷地を管理する部局長が特に必要と認めた場合に設置することのできる立看板には、原告が設置主体である立看板も含まれる旨を通知した(乙3)。 イ 被告労務管理室は、平成30年5月17日、原告との間で協議の場を設けた。被告労務管理室は、原告に対し、本件撤去行為1は本件規程に基づ5いたものであり、原告が希望する代替設置場所を提案してくれれば、被告大学総務課が同場所を管理する部局長と調整を行う用意があると伝えた。 原告が、被告労務管理室に対し、立看板を外構部分に再度設置 5いたものであり、原告が希望する代替設置場所を提案してくれれば、被告大学総務課が同場所を管理する部局長と調整を行う用意があると伝えた。 原告が、被告労務管理室に対し、立看板を外構部分に再度設置する余地があるか尋ねたところ、被告労務管理室は、外構部分への設置はできないと回答した。 10原告は、被告労務管理室に対し、原告内部にも、被告大学の教職員に十分な周知ができるのであれば本部構内の内部のみの掲示で構わないという意見があり、原告としてどのような方針で臨むか決定しておらず、持ち帰って検討する旨を述べた。 (乙16、証人A、証人B)15ウ 被告労務管理室は、平成30年5月31日、原告との間で協議の場を設けた。原告は、被告労務管理室に対し、本件撤去行為1の前に代替設置場所等の十分な説明がなかったことに対する謝罪及び原告の立看板を撤去前と同じ場所へ再設置することを求めた。被告労務管理室は、本件撤去行為1の前に繰り返し原告に対する説明を行ったこと及び外構部分への立20看板の設置には応じられないことを伝えた。 被告労務管理室は、原告から、北部構内で学内向けに設置していた原告の立看板を撤去した理由を尋ねられ、改正前規程に基づく撤去であり、北部構内に設置されていた立看板を撤去前の場所に設置することを求めるならば北部構内の部局と調整すると回答した。 25(乙16、証人A、証人B) - 18 -エ 被告労務管理室は、平成30年6月14日、原告との間で協議の場を設けた。原告は、原告の立看板を撤去前と同じ場所へ再設置することを求め、被告労務管理室は、外構部分への設置は応じられないと回答した。 この頃、被告大学内で、改正前規程について、西部構内の内部にも立看板の設置場所を設ける内容の改正が検討されていたところ、原告が、被告 、被告労務管理室は、外構部分への設置は応じられないと回答した。 この頃、被告大学内で、改正前規程について、西部構内の内部にも立看板の設置場所を設ける内容の改正が検討されていたところ、原告が、被告5労務管理室に対して同改正に関して言及したため、被告労務管理室は、原告が西部構内の内部における設置場所への設置を希望するのであれば、設置が認められるよう配慮すると伝えた。原告は、持ち帰って検討する旨を述べた。 (乙16、証人A、証人B)10オ 原告は、平成30年6月21日付けで、被告大学に対し、本件撤去行為1は不当労働行為に該当し、原告の立看板について原状回復を求める旨記載された書面(乙6)を交付した。同書面には、「本学における看板の設置の在り方について、誠実かつ建設的な話合いのテーブルに着く用意はある。そのために、まず職員組合の看板を撤去前の状態に復することを求め15る。」という記載があり、これは外構部分への再設置がされなければ話合いに応じない、話合いの前提として外構部分への再設置を求めるという趣旨であった(証人A)。 被告労務管理室は、同月22日、原告との間で協議の場を設けた。被告労務管理室は、原告に対して、北部構内に学内向けで設置されていた立看20板については本件規程11条に基づいて撤去前の設置場所に設置することを検討している旨を伝え、原告はこれを了承した。原告は、本部構内の外構部分に設置されていた原告の立看板について、まずは撤去前と同じ場所へ再設置することを求め、そうしなければ原告内部の調整が図れないと述べた。被告労務管理室が外構部分への設置は応じられないと伝えると、25原告は代替設置場所としては本部構内の入口付近などが望ましい旨を述 - 19 -べた。そこで、被告労務管理室が、代替設置場所を検討し 務管理室が外構部分への設置は応じられないと伝えると、25原告は代替設置場所としては本部構内の入口付近などが望ましい旨を述 - 19 -べた。そこで、被告労務管理室が、代替設置場所を検討した上で原告に対して提案することとなった。(乙16、証人B)カ 平成30年7月24日付けで改正後規程が制定され、同規程10条を除き、同日施行された。同条は同年10月1日施行とされた。(乙13)キ 原告は、平成30年8月9日付けで、被告大学に対し、同月31日まで5に原告の立看板の原状回復等を求める要求書を提出した(乙7、証人A)。 被告労務管理室は、同月21日、原告との間で協議の場を設けた。被告労務管理室は、原告に対して、北部構内に設置されていた立看板については、撤去前の設置場所を管理する部局の許可が得られたことから原状回復が可能であることを伝え、本部構内の外構部分に設置されていた立看板に10ついては本部構内の代替設置場所(その位置は、別紙1の③、④、⑤及び⑧の地点である。)を提案した。被告労務管理室は、代替設置場所を記載した地図及び代替設置場所に原告の立看板を設置した場合のイメージ図(当該場所を撮影した写真に原告の立看板を合成したもの。乙4)を原告に交付した。原告は持ち帰って検討すると述べた。(乙5、16、証人B)15ク 原告は、平成30年9月7日付けで、被告大学に対し、被告大学が原告の立看板を一方的に撤去したことは容認することができず、被告労務管理室が提案した代替設置場所への設置を検討する前提として、不当に撤去された原告の立看板の原状回復を求める旨の文書(乙8)を提出した。 ケ 平成30年11月17日、北部構内に設置されていた原告の立看板は、20原告の同意の下、撤去前と同等の場所に再設置された。(証人A、弁論の全趣 の原状回復を求める旨の文書(乙8)を提出した。 ケ 平成30年11月17日、北部構内に設置されていた原告の立看板は、20原告の同意の下、撤去前と同等の場所に再設置された。(証人A、弁論の全趣旨)コ 原告と被告大学は、平成31年2月22日、団体交渉を行った。被告大学は、原告に対し、本件行政指導や本件条例の内容として、本部構内を一区画として、沿道型第2種地域で15㎡まで、第2種地域で5㎡までの面25積基準を守った上で、本部構内全体で掲出する屋外広告物を15㎡までと - 20 -する必要があること、原告の立看板も含めて本部構内の外構部分及びその周辺に掲示された屋外広告物が上記面積基準の上限を超えており本件条例に違反する状態であること、面積基準については被告大学が設置する本部構内案内図等の屋外広告物で超過していることを説明した。(乙15、証人D)5原告は、令和元年10月11日付けで、被告大学に対し、本件撤去行為1で撤去された原告の立看板の再設置について団体交渉を申し入れる書面(乙9)を提出した。同書面には、本件条例の内容について原告が被告京都市から聴き取った内容からすれば、平成31年2月22日にされた被告大学の説明には誤りがある旨の記載もあった。 10被告大学は、これを受けて、令和元年10月28日付けで、被告京都市に対し、①本部構内の外構部分及びその周辺に掲示された屋外広告物が本件条例に違反している状態とは、屋外広告物の設置主体にかかわらず屋外広告物全体として本件条例に違反しているという意味であるか、②管理用屋外広告物も本件施行規則21条の2が定める面積を超えるものは面積15基準の制約の対象となるかを尋ねた。被告大学は、同年12月4日付けで、被告京都市から、被告大学の理解のとおりであると回答を受けた。被告 物も本件施行規則21条の2が定める面積を超えるものは面積15基準の制約の対象となるかを尋ねた。被告大学は、同年12月4日付けで、被告京都市から、被告大学の理解のとおりであると回答を受けた。被告大学は、同月11日付けで、原告に対して被告京都市の回答を伝えた。(乙10)サ 原告と被告大学は、令和2年2月7日に団体交渉を行った。原告は、被20告大学に対し、被告大学が外構部分に掲示している屋外広告物を削減した上で、本件条例により屋外広告物の掲示が認められる面積の範囲内で、原告の立看板の設置を認めるよう求めた。被告大学は、大学運営のために必要な屋外広告物を削減することには応じられず、その屋外広告物のみで面積基準を超えているため、原告の立看板を本部構内の外構部分に設置する25ことはできないことを説明した。その上で、被告大学は、原告に対して、 - 21 -従前提案した代替設置場所での設置を検討するよう求めた。 シ 原告は、令和2年6月16日、百万遍自転車通用口脇の柵(別紙1・①の場所)に立看板を設置した。被告大学は、同日、原告に対して同立看板を撤去するよう要請した。原告が撤去に応じなかったため、同日、被告大学は本件撤去行為2をし、撤去した立看板を原告の事務所建物前まで運搬5して、事実上返還した。(前提事実(5)イ、甲11、弁論の全趣旨)ス 原告と被告大学は、令和2年7月29日、本件撤去行為1で撤去された原告の立看板の再設置について団体交渉を行った。被告大学は、同年2月7日の際と同様の説明及び要請(上記サ)を行った。 2 争点について10(1)本件行政指導は違法か(争点1)ア 本件条例が違憲・無効か(ア)本件条例が明確性の原則に違反するかa 法律をもって表現の自由を規制するについては、基準の広汎、不明 について10(1)本件行政指導は違法か(争点1)ア 本件条例が違憲・無効か(ア)本件条例が明確性の原則に違反するかa 法律をもって表現の自由を規制するについては、基準の広汎、不明確の故に当該規制が本来憲法上許容されるべき表現にまで及ぼされて15表現の自由が不当に制限されるという結果を招くことがないように配慮する必要があり、表現の自由を規制する法律の規定について限定解釈をすることが許されるのは、その解釈により、規制の対象となるものとそうでないものとが明確に区別され、かつ、合憲的に規制し得るもののみが規制の対象となることが明らかにされる場合でなければな20らず、また、一般国民の理解において、具体的場合に当該表現物が規制の対象となるかどうかの判断を可能ならしめるような基準をその規定から読みとることができるものでなければならない(最高裁昭和48年(あ)第910号同50年9月10日大法廷判決・刑集29巻8号489頁、最高裁昭和57年(行ツ)第156号同59年12月1252日大法廷判決・民集38巻12号1308頁参照)。 - 22 -b 原告は、本件条例において、①労働組合が設置する屋外広告物で許可基準に適合するものであれば、市長の許可なく設置することができると定められていることを前提に、屋外広告物の設置主体の認定方法について明記されていないこと、②「区画」の定義が不明確であること、③一つの区画が複数の屋外広告物規制区域に該当する場合の面積5基準についても判然としないことから明確性の原則に違反して違憲であると主張する。 ①について、本件条例9条1項ただし書及び同項5号は、労働組合活動のために表示する屋外広告物で、許可基準(本件条例11条1項6号を除く。)に適合しているものは市長の許可が不要である ると主張する。 ①について、本件条例9条1項ただし書及び同項5号は、労働組合活動のために表示する屋外広告物で、許可基準(本件条例11条1項6号を除く。)に適合しているものは市長の許可が不要であると定め10ているもので、設置主体によって許可が不要であると定めているものではない。したがって、この点に関する原告の主張は前提を欠く。 ②について、「区画」は、「建築物又は別に定める工作物の敷地」(本件条例2条12号)と定義され、同工作物については本件施行規則2条において、「物の製造、貯蔵又は処理の用に供する施設」(同15条6号)、「自動車等駐車施設」(同7号)、「野球場、陸上競技場、遊園地、動物園その他の運動・レジャー施設」(同8号)等と具体的に定められているところ、これらの規定からすれば、通常の判断能力を有する一般人の理解において、「区画」とは建築物や工作物が設置されている一体としての敷地を指し、建築物や敷地の管理権に基づい20て区分されるものと読み取ることができる。すなわち、本件条例11条1項11号は、区画内において表示又は設置することができる屋外広告物の面積の基準(上限)を定めたものであるから、仮に、一つの区画内に複数の管理権者が存在することを許容すると、当該区画内において各管理権者が表示又は設置する屋外広告物が競合する事態が生25じ得るところ、本件条例はこのような事態が生じないように制定され - 23 -たものであると解するのが合理的であるから、区画とは基本的に建築物又は工作物の敷地の管理権に基づいて区分されるものと解することができる。そして、同一の管理権者によって管理されている複数の建築物又は工作物が近接して存在していたとしても、それぞれの敷地の間に公道や別の管理権者が管理する敷地が存在することにより、上 解することができる。そして、同一の管理権者によって管理されている複数の建築物又は工作物が近接して存在していたとしても、それぞれの敷地の間に公道や別の管理権者が管理する敷地が存在することにより、上記5同一管理権者が管理する敷地が外形上明確に区分されている場合には、各敷地がそれぞれ一つの区画に当たると解することは、通常の判断能力を有する一般人をして理解可能である。以上より、「区画」の定義が不明確であるとはいえない。 ③について、なるほど、本件条例には、一つの区画が複数の屋外広10告物規制区域に該当する場合の面積基準を直截に規律する規定はないが、複数の屋外広告物規制区域に該当する区画の取扱いとして、単一の区域に該当する場合に比べて、面積基準を緩和し、あるいは加重することは相当でないから、各区域内の面積基準に適合した上で、区画全体としては複数の屋外広告物規制区域のうちより緩やかな面積基準15に適合する必要があるものと解される。これは、規制の趣旨に適合的である上、通常の判断能力を有する一般人をして理解可能であるから、規制の対象となるか否かの判断を可能ならしめる基準を、本件条例の規定から読み取ることができるものといえる。 c 以上より、原告の上記主張はいずれも採用できず、本件条例が明確20性の原則に違反するとはいえない。 (イ)本件条例が過度に広範な規制をするものといえるかa 屋外広告物法は、良好な景観を形成し、若しくは風致を維持し、又は公衆に対する危害を防止することを目的とし(同法1条)、本件条例は、屋外広告物、掲出物件等の位置、規模、形態及び意匠について25必要な制限を行うことにより、都市の景観の維持及び向上を図るとと - 24 -もに、屋外広告物及び掲出物件の破損、落下、倒壊等による公衆に対する危 等の位置、規模、形態及び意匠について25必要な制限を行うことにより、都市の景観の維持及び向上を図るとと - 24 -もに、屋外広告物及び掲出物件の破損、落下、倒壊等による公衆に対する危害を防止することを目的とするものである(本件条例1条)。 本件条例は、区画の面積にかかわらず、屋外広告物規制区域の区分に応じて、区画内において表示し、又は設置する屋外広告物又は掲出物件の面積について一律の制限を定めている(本件条例11条1項151号イ)。また、これとは別に、区画の面積に応じて、面積基準の制限を受けずに設置することができる管理用屋外広告物の面積を定めている(同号イ、本件施行規則21条の2)。 本件条例による規制の在り方とは逆に、区画の面積に応じて一つの区画内において表示し又は設置することのできる屋外広告物及び掲出10物件の面積を定める場合(すなわち、広大な面積を有する区画については表示することのできる屋外広告物の面積をより多く許容することとする場合)、当該区画内の特定の場所に集中して屋外広告物を設置することが可能となり、都市の良好な景観を形成し、あるいは景観の維持向上を図るという屋外広告物法及び本件条例の目的を果たせない15こととなる。そのため、区画の面積の大小にかかわらず、区画を単位として一律の制限を定めることには合理的な理由があるといえる。そして、本件条例は、このような一律の制限を定める一方で、区画の広さに応じて、当該区画の管理を行うために必要な屋外広告物(管理用屋外広告物)の設置を認めることで、広大な面積を有する区画には小20さい区画よりも多くの管理用屋外広告物の設置を可能として一律の面積基準を採用することによる弊害を軽減し、都市の良好な景観の維持及び向上を図る目的による屋外広告物の掲出に対する規制を 画には小20さい区画よりも多くの管理用屋外広告物の設置を可能として一律の面積基準を採用することによる弊害を軽減し、都市の良好な景観の維持及び向上を図る目的による屋外広告物の掲出に対する規制を必要最小限度のものにとどめているものといえる。したがって、区画の面積にかかわらず、一つの区画につき一律の面積基準を定めることは、屋外25広告物法及び本件条例の目的に照らして合理的かつ相当な手段による - 25 -規制であるといえる。 また、屋外広告物法及び本件条例の目的からすれば、区画内に存在する施設の性質を考慮することは必ずしも相当でなく、施設の性質を問うことなく一律に本件条例の対象とすることも合理性を有するものと認められる。 5b 以上に加え、公共的団体が公共の目的のために表示する屋外広告物の表示等については、市長の許可は不要であり、公共的団体に該当する被告大学は、許可基準に適合させる努力義務を負うにすぎないこと(前提事実(3))をも考慮すると、本件条例が過度に広範な規制をするものとはいえない。 10イ 本件条例を被告大学に対して適用することが違憲・違法か(ア)原告は、本部構内を一区画と認定して面積基準の努力義務を課すことは違法であると主張する。 区画の意義は、上記ア(ア)bで検討したとおりであるところ、本部構内は、四方を公道で囲まれた一団の土地であり、土地及び地上の建物15を被告大学が所有し管理するものであるから、これを一つの区画と認定することは上記ア(ア)bの解釈に整合的である。なるほど、本部構内の中には別紙1のとおり複数の建物が設置されているが、区画の意義に照らすと、これらの建物ごとに本部構内を細分化して一区画とする認定が適切なものとは考えられない。また、上記ア(イ)のとおり、本部構20内を 紙1のとおり複数の建物が設置されているが、区画の意義に照らすと、これらの建物ごとに本部構内を細分化して一区画とする認定が適切なものとは考えられない。また、上記ア(イ)のとおり、本部構20内を対象とする区画については、その面積に応じた管理用屋外広告物の表示が許されており、他の区画に比べて過大な制約を課したものともいえない。さらに、被告大学は、許可基準に適合させる努力義務を負うにすぎないことをも考慮すると、原告の上記主張は採用できない。 (イ)原告は、本件行政指導は、被告大学を表現の場として利用する者に対25して他の区画と比較して大きな制約を課すものであるから、憲法14条 - 26 -に反すると主張する。 そこで検討すると、そもそも表現の場なる観念が明瞭でないことを措くとしても、本件行政指導は、被告大学に対して行われたものであるから、原告主張に係る利用者、すなわち、立看板を掲出し、あるいはしようとする者(被告大学を除く。)に対する制約を直截の目的とするもの5ではないこと、原告が、被告大学の管理する本部構内について、後記のとおり、これを立看板の設置場所として当然に利用する権原を有するとも認められないこと、本件条例は、その目的に照らし、区画を基準とし、区画の面積や施設の性質等を考慮せず、一律の規制をすることに合理性があることに照らすと、原告の主張は理由がなく、採用することができ10ない。 (ウ)原告は、本件行政指導が原告の表現行為を不当に制限するものであるから違法であると主張する。 そもそも、被告大学が本件条例により負うのは、許可基準に適合させる努力義務にすぎず(前提事実(3)ア)、本件行政指導は、被告京都15市が、被告大学に対して、本件条例が定める面積基準に適合させるべき努力義務を果たすよう、事実上求めた のは、許可基準に適合させる努力義務にすぎず(前提事実(3)ア)、本件行政指導は、被告京都15市が、被告大学に対して、本件条例が定める面積基準に適合させるべき努力義務を果たすよう、事実上求めたものにすぎない。また、被告京都市が本件行政指導を行ったのは、本部構内の敷地につき管理権を有する被告大学に対してであって、被告大学の敷地周辺に設置される立看板の設置主体を特定した上で行ったものではないし、被告京都市において、20立看板の設置主体や設置の目的をあらかじめ個別に検討しなければならない理由はない。したがって、本件行政指導を行ったとしても、何ら違法ではない。 ウ 小括以上より、本件行政指導は違法とはいえない。 25(2)被告大学の不法行為責任(争点2) - 27 -ア 本件両撤去行為が違憲・無効な本件条例又は違法な本件行政指導に基づくもので違法といえるか上記(1)のとおり、本件条例は違憲・無効なものではないし、本件行政指導も違法なものではないから、この点に関する原告の主張は採用できない。 5イ 本件規程の制定及び本件両撤去行為が不当労働行為といえるか(ア)被告大学は、本部構内を含む被告大学の敷地の管理権を有するから、被告大学の職員、学生又は各種の団体に対して、本部構内の内部又は外構部分に立看板等の屋外広告物を設置することを認めるか否かについて裁量がある。他方で、原告は、敷地の管理権者である被告大学に対して、10本部構内の外構部分に立看板の設置を求める権利を当然に有するものではない。 原告は、被告大学との間で、本部構内の内部や外構部分に、労働組合である原告が立看板を設置することが労使慣行として認められており、被告大学はこれに反して本件規程を制定することはできないと主張す15る。 そこで検討 間で、本部構内の内部や外構部分に、労働組合である原告が立看板を設置することが労使慣行として認められており、被告大学はこれに反して本件規程を制定することはできないと主張す15る。 そこで検討すると、長年にわたり、被告大学の敷地内及びその外構部分に、原告を含む不特定多数の団体又は個人の立看板が入れ替わり立ち替わり設置されていたことは認められるが、被告大学がこれらの立看板を設置することを明示的に許可したことはない(認定事実(1)ア)。 20被告大学と原告との間で、本件規程が制定される以前に原告の立看板の設置について協議し、被告大学がこれを許可したこともうかがわれない。 こういった点を考慮すると、被告大学は、被告大学の敷地内及びその外構部分に設置される立看板(原告のものを含む。)について積極的に設置を禁止したり撤去したりすることはしなかったというにすぎず、黙示25的にも、原告を含め立看板を設置した者に対し、立看板の設置を許可し - 28 -ていたものということはできない。そうすると、被告大学が、敷地の管理権者として、原告に対して立看板の設置を権利として認めるという明確な規範意識を有していたものとはいえないから、被告大学と原告との間で、立看板の設置に関する労使慣行が成立していたと認めることはできない。 5なお、令和2年7月29日の団体交渉の席上、立看板設置に係る労使慣行の存在に言及した原告側の発言に対し、被告大学側出席者が「もちろんです。」と応答したことが認められるが(甲28の24頁)、この事実も上記認定、判断を左右しない。 したがって、原告の主張は採用できない。 10(イ)本件規程の制定及び本件両撤去行為が、被告大学の敷地管理権の行使としての裁量を逸脱した権利の濫用であり、原告の正当な労働組合活動に対する妨害 したがって、原告の主張は採用できない。 10(イ)本件規程の制定及び本件両撤去行為が、被告大学の敷地管理権の行使としての裁量を逸脱した権利の濫用であり、原告の正当な労働組合活動に対する妨害又は原告を弱体化するものであるといえる場合には、不当労働行為に当たり得るから、以下検討する。なお、原告は労働組合法7条各号のいずれに当たるのか明確に主張していないが、支配介入(同条153号)に当たると主張しているものと解される。 被告大学は、本部構内の第2種地域において、「京都大学総合博物館THE KYOTO UNIVERSITY MUSEUM」の表示(面積2.58㎡)、総合博物館ポスター掲示(面積0.7416㎡)、正門の構内案内図(面積2.106㎡)を屋外広告物として設置している。これらは管理用屋外広告物に20該当せず、合計面積が5.4276㎡と第2種地域の5㎡の面積基準を超えていた。他方で、本件両撤去行為後において被告大学が本部構内の沿道型第2種地域で設置していた屋外広告物は15㎡の面積基準内であり、本部構内全体の屋外広告物の面積も、15㎡の面積基準に収まっていた。(認定事実(1)イ、甲31の2)25被告大学は、本部構内の第2種地域において既に面積基準に違反する - 29 -(上限を超過する)状態であることから、沿道型第2種地域の面積基準に適合するか否か又は本部構内全体で面積基準に適合するか否かにかかわらず、沿道型第2種地域も含めて本部構内全体の外構部分に新たに屋外広告物を設置することを許容しないという方針とした(証人B)。被告大学は、同方針に基づき、本件規程を制定した。 5この点について、被告大学が本部構内の第2種地域に設置する屋外広告物(管理用屋外広告物を除く。)のうち、「京都大学総合博物館 THEK 。被告大学は、同方針に基づき、本件規程を制定した。 5この点について、被告大学が本部構内の第2種地域に設置する屋外広告物(管理用屋外広告物を除く。)のうち、「京都大学総合博物館 THEKYOTO UNIVERSITY MUSEUM」の表示及び正門の構内案内図は強固な材質のものであり、その面積を削減したり移動したりすることはできないが、総合博物館ポスターは面積を削減することが可能であった(認定事実10(1)イ)。被告大学の上記方針を前提としても、被告大学が同ポスターの面積を削減し、本部構内の第2種地域の屋外広告物の面積を5㎡の面積基準にとどめることができれば、沿道型第2種地域には10㎡程度の屋外広告物を設置することができるようになる。総合博物館ポスターの面積を削減することができない理由は判然としないところ(証人D、15弁論の全趣旨)、被告大学としては同ポスターの面積を削減した上で、沿道型第2種地域に設置希望者の立看板の設置を認める措置を取ることも不可能ではなかった。しかし、同措置を取るためには、被告大学が、被告大学の運営のために設置することが必要な屋外広告物との関係を踏まえて、設置を認める対象者の範囲、設置を認める屋外広告物の内容、20設置期間、設置を認めるための手続、設置希望者が競合した場合の処理方法などを定める必要がある。また、被告大学の運営のために設置することが必要な屋外広告物は、常に一定のものであるとは限られないから、これらと設置希望者の屋外広告物とを調整する必要も生じ得る。そうすると、被告大学には上記措置を取らなければならない義務があるわけで25はないから、このような運用又は制度を確立することの必要性、被告大 - 30 -学に生じ得る手間や負担を考慮して、同措置を取らなかったことが被告大学の なければならない義務があるわけで25はないから、このような運用又は制度を確立することの必要性、被告大 - 30 -学に生じ得る手間や負担を考慮して、同措置を取らなかったことが被告大学の裁量権を逸脱するものとはいえない。 そして、本件規程の制定及び本件両撤去行為は、被告大学が、本部構内の外構部分に設置された立看板について、本件条例が定める面積基準に適合させる目的で、原告が設置したものか否かを区別することなく、5一律に行われたものであること(前提事実(5)、認定事実(2))に加え、撤去後において、被告大学が原告に対し代替設置場所提供の方針を繰り返し示していたこと(認定事実(3))に照らすと、原告の正当な労働組合活動を妨害する又は原告を弱体化する目的で行われたとは認められない。 10以上によれば、被告大学が、被告大学の敷地の管理権に基づき、本部構内の外構部分に立看板を設置することを禁じる本件規程を制定し、本件規程に基づき本件両撤去行為をしたことが、原告に対する不当労働行為に当たるとはいえない。 (ウ)原告は、被告大学が、原告以外の団体又は個人に対しては、本部構内15の外構部分ではないものの、被告大学の敷地外の沿道から見える位置に立看板を設置することを許容していることからすれば、被告大学による本件規程の制定及び本件両撤去行為は、不当労働行為に当たると主張する。被告大学は、本部構内の敷地内で一定の範囲で立看板を設置することを認め、設置できる場所を定め(改正前規程3条、改正後規程3条、204条、立看板の設置場所を定める規程1条、2条、本件要領3条、8条)、同場所以外に立看板を設置しようとする者にも、その敷地を管理する部局長の了承を得た上で立看板を設置することを許容している(改正前規程11条、改正後規程11条)。 程1条、2条、本件要領3条、8条)、同場所以外に立看板を設置しようとする者にも、その敷地を管理する部局長の了承を得た上で立看板を設置することを許容している(改正前規程11条、改正後規程11条)。本部構内の敷地内には、敷地外の沿道からも見える形で設置されている立看板も存在するが(甲26)、上記25各規程に基づき設置が認められたものと解されるし、原告の立看板につ - 31 -いても上記各規定に基づいて本部構内の敷地内に設置することは否定されていない。なお、被告大学は、原告の立看板に限らず、いかなる立看板についても被告大学の敷地の外構部分に設置することを認めていない(改正前規程3条、改正後規程4条、本件要領4条)。そうすると、原告の主張によっても、本件規程の制定及び本件両撤去行為は、原告の正5当な労働組合活動を妨害する又は原告を弱体化する目的で行われたとは認められず、合理的な理由なく原告の組合活動を妨害するものでもないから、不当労働行為とはいえない。 ウ 被告大学が不誠実団交をしたといえるか被告労務管理室は、原告に対して、本部構内の外構部分に立看板を設置10することを許容することができない旨、原告が希望する代替設置場所があれば、本来は設置希望者である原告が当該場所を管理する部局長の了承を得るべきところ、許可を得られるように被告大学総務課が協力をする旨を何度も伝えていた(認定事実(2)ウ、オ、キ、(3)イ、ウ、エ、オ、サ)。なるほど、被告大学は、各部局長に対して、改正前規程11条が想15定している立看板には原告が設置主体である立看板も含まれる旨を通知しているところ(認定事実(3)ア)、各部局長の許可が得られるよう被告大学総務課が協力するとの意向が示されていたことは、被告労務管理室において、原告が立看板を設置する である立看板も含まれる旨を通知しているところ(認定事実(3)ア)、各部局長の許可が得られるよう被告大学総務課が協力するとの意向が示されていたことは、被告労務管理室において、原告が立看板を設置する目的が原告の存在や活動の周知を行うことであると理解し、原告の組合活動に配慮した上で立看板の設置につい20て協力する姿勢があったことを示すものといえる。 そして、被告大学が平成30年8月21日に提案した代替設置場所は、別紙1の③、④、⑤及び⑧の場所であるところ、これは、原告が同年6月22日に構内の入口付近などが望ましいと述べたこと(認定事実(3)オ)を受けて、本件条例が定める面積基準を超えないよう、本部構内の敷地内25でありつつ、原告が従前立看板を設置していた場所と近い位置関係にある - 32 -地点を提示することにより、原告の要望に可能な限り応えようとしたものであると認められる(なお、現実には、代替設置場所の提供には至っていないが、これは、原告側の対応において、本件両撤去行為により撤去された立看板を、外構部分に再設置することで原状回復することを求め続け、このほかに代替設置場所の希望を提案しなかったことによるものであ5る。)。 ここまで検討してきたとおり、被告大学は、労働組合である原告に対し、外構部分への立看板の設置については、被告大学として許容できないことを明確に伝えつつ、原告に生じる不利益を低減させるように代替措置を提案していたと認められ、団体交渉に臨む態度が不誠実であったとは認めら10れない。 確かに、原告の立場からすれば、被告大学が総合博物館ポスターの面積を削減し、新たに規程を制定するなどして原告を含む団体や個人に対して本部構内の沿道型第2種地域において屋外広告物の設置を認める運用を制度化することが、被告大 れば、被告大学が総合博物館ポスターの面積を削減し、新たに規程を制定するなどして原告を含む団体や個人に対して本部構内の沿道型第2種地域において屋外広告物の設置を認める運用を制度化することが、被告大学の上記提案よりも望ましい提案であったと思15われる。しかし、被告大学がそのような対応をしなかったことが被告大学の裁量を逸脱するものでないことは上記イのとおりである。そして、原告と被告大学との間の上記の交渉の経過に照らせば、結果として、原告の立看板の設置場所について、被告大学による提案と原告の要望との間に折り合いがつかなかったことをもって、被告大学が正当な理由がなく団体交渉20を拒むものと同視し得るような不誠実な態度であったとは認められない。 エ 違法な自力救済といえるか被告大学による本件両撤去行為は、被告大学が自ら実力を行使したものと評価すべきである。 しかしながら、被告大学は、本部構内を含む被告大学の敷地の管理権に25基づき、本件規程を制定した上、改正前規程10条1項又は改正後規程9 - 33 -条1項に基づき、原告に対し、外構部分に設置された立看板の撤去をあらかじめ求めたこと、それにもかかわらず原告が撤去しなかったこと、被告大学は、撤去した原告の立看板を原告の事務所前まで運搬し、事実上返還したこと(認定事実(2)ク、(3)シ)、被告大学は、本件両撤去行為に先立つ原告との協議の場等において、本部構内の外構周辺部分には立看5板を設置することができないことを繰り返し伝えていたこと(認定事実(2)イ、ウ、キ、(3)イ、ウ、エ、オ、サ)に加え、原告は、敷地の管理権者である被告大学に対して、本部構内の外構部分に立看板の設置を求める権利を当然に有するものではなく、立看板の設置に関する労使慣行が成立していたとも認められない 、オ、サ)に加え、原告は、敷地の管理権者である被告大学に対して、本部構内の外構部分に立看板の設置を求める権利を当然に有するものではなく、立看板の設置に関する労使慣行が成立していたとも認められないこと(前記(2)イ(ア))も踏まえる10と、改正前規程10条3項又は改正後規程9条3項に基づいて行われた被告大学による本件両撤去行為は、敷地に対する管理権に基づき、円満な管理状態を実現する目的で行われた必要かつ相当な行為であったというべきであり、本件両撤去行為が違法であるとはいえない。 オ 小括15よって、被告大学に原告に対する不法行為責任は認められない。 (3)まとめ以上より、争点3について判断するまでもなく、原告の被告らに対する請求はいずれも理由がない。 3 結論20よって、原告の請求をいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 京都地方裁判所第6民事部 25裁判長裁判官 - 34 -齋藤 聡 裁判官5髙岡寛実 裁判官堀田康介は転補のため署名押印できない。 10 裁判長裁判官齋藤 聡 - 36 -別紙21 屋外広告物法 (2項省略) 5 - 37 -2 本件条例(甲13) - 38 - (1~8号省略) 5(1号省略) (2項3~9号、3項省略) - 39 - (1号省略) (3~9号省略) 5(1項11~21 (1~8号省略) 5(1号省略) (2項3~9号、3項省略) - 39 - (1号省略) (3~9号省略) 5(1項11~21号、2項省略) (2~4号省略) 10(3項以下省略) - 40 - (1~10号省略) (1項12号、2項以下省略)5 - 41 -3 本件施行規則(甲14) - 42 -4 本件規程(甲7、乙13)(1)改正前規程(甲7) 5 - 43 -(2)改正後規程(乙13) - 44 -5 立看板の設置場所を定める規程(乙2) - 45 - - 46 -6 本件要領(甲8) 5
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