主文 1 第1事件原告らの第1事件被告三重県知事B,第1事件被告三重県県土整備部長D,第1事件被告三重県県土整備部下水道室長E及び被告三重県津地方県民局下水道部長Fに対する訴えのうち,平成12年4月1日から平成16年4月22日までになされた支出命令にかかる部分を却下する。 2 第1事件原告らの第1事件被告三重県出納長Cに対する訴えのうち,平成12年4月1日から平成16年4月22日までになされた支出にかかる部分を却下する。 3 第1事件原告らの第1事件被告Gに対する訴えのうち,別紙1「第1契約目録」契約番号9-3・5,10-12ないし14・16ないし18・21記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号9-1ないし5,10-1ないし11記載の精算金の支出にかかる部分,並びに別紙2「第2契約目録」契約番号1ないし73,88ないし92記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号1ないし45,47ないし51,53ないし71,73ないし85,87記載の精算金の支出命令にかかる部分を却下する。 4 第1事件原告らの第1事件被告Hに対する訴えを却下する。 5 第1事件原告らの第1事件被告Iに対する訴えのうち,別紙1「第1契約目録」契約番号10-22記載の前払金の支出命令にかかる部分を除く訴えを却下する。 6 第1事件原告らの第1被告Jに対する訴えのうち,別紙1「第1契約目録」契約番号11-7・8・14・20記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号10-12ないし18・20ないし24,11-1・2・5ないし7・9ないし13・15ないし17・19・21・22記載の精算金の支出命令にかかる部分,並びに別紙2「第2契約目録」契約番号93ないし109記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号52,88,89,91ないし109,116,151記載 21・22記載の精算金の支出命令にかかる部分,並びに別紙2「第2契約目録」契約番号93ないし109記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号52,88,89,91ないし109,116,151記載の精算金の支出命令にかかる部分を除く訴えを却下する。 7 第1事件原告A8の第1事件被告Jに対する訴えのうち,別紙1「第1契約目録」契約番号11-20記載の前払金の支出命令に係る部分及び同番号10-13・16,11-2記載の精算金の支出命令にかかる部分を却下する。 8 第2事件原告の第2事件被告三重県知事B,第2事件被告三重県出納長C及び第2事件被告三重県津地方県民局下水道部長Fに対する訴えを却下する。 9 第2事件原告の第2事件被告Gに対する訴えのうち,別紙3「第3契約目録」契約番号③記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号①,②記載の精算金の支出命令にかかる部分を却下する。 第2事件原告の第2事件被告Jに対する訴えのうち,別紙3「第3契約目録」契約番号③,④記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号①,②記載の精算金の支出命令にかかる部分を却下する。 11 第1事件原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 12 第2事件原告の第2事件被告G及び第2事件被告Jに対するその余の請求をいずれも棄却する。 13 訴訟費用は第1事件原告ら及び第2事件原告の負担とする。 事実 第1 当事者の求めた裁判 1 第1事件(1) 請求の趣旨ア中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)事業白塚浄化センター建設及び同センター建設を目的とする海岸堤防建設のための工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託費,一般事務費などの一切の支出に関し,その名目いかんにかかわらず,平成12年度以降,第1事件被告三重県知事B,第1事件被告三重県県土整備部長D, の工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託費,一般事務費などの一切の支出に関し,その名目いかんにかかわらず,平成12年度以降,第1事件被告三重県知事B,第1事件被告三重県県土整備部長D,第1事件被告三重県県土整備部下水道室長E及び第1事件被告三重県津地方県民局下水道部長Fは支出命令を,第1事件被告三重県出納長Cは支出をしてはならない。 イ第1事件被告G,第1事件被告H,第1事件被告I及び第1事件被告Jは,三重県に対し,連帯して,金13億8621万6890円及びこれに対する平成12年7月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ訴訟費用は第1事件被告らの負担とする。 エ仮執行宣言(2) 請求の趣旨に対する第1事件被告三重県知事B,第1事件被告三重県出納長C,第1事件被告三重県県土整備部長D,第1事件被告三重県県土整備部下水道室長E及び第1事件被告三重県津地方県民局下水道部長Fの答弁ア第1事件原告らの請求をいずれも棄却する。 イ訴訟費用は第1事件原告らの負担とする。 (3) 請求の趣旨に対する第1事件被告Gの答弁ア第1事件原告らの請求をいずれも棄却する。 イ訴訟費用は第1事件原告らの負担とする。 (4) 第1事件被告H,第1事件被告I及び第1事件被告Jの答弁ア本案前の答弁(ア) 主文4項ないし6項同旨(イ) 訴訟費用は第1事件原告らの負担とする。 イ本案に対する答弁(ア) 第1事件原告らの請求をいずれも棄却する。 (イ) 訴訟費用は第1事件原告らの負担とする。 2 第2事件(1) 請求の趣旨ア平成11年度中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)河芸幹線(第1-2工区)管渠工事請負工事に関し,その名目のいかんにかかわらず,平成12年度以降,第2事件被告三重県知事B及び第2事件被告三重県津地方県民局下水 中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)河芸幹線(第1-2工区)管渠工事請負工事に関し,その名目のいかんにかかわらず,平成12年度以降,第2事件被告三重県知事B及び第2事件被告三重県津地方県民局下水道部長Fは,一切の支出命令を,第2事件被告三重県出納長Cは,支出を行ってはならない。 イ第2事件被告G及び第2事件被告Jは,三重県に対し,連帯して,金9924万4950円及びこれに対する平成12年7月5日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ訴訟費用は第2事件被告らの負担とする。 エ仮執行宣言(2) 第2事件被告三重県知事B,第2事件被告三重県出納長C及び第2事件被告三重県津地方県民局下水道部長Fの答弁ア本案前の答弁(ア) 主文8項同旨(イ) 訴訟費用は第2事件原告の負担とする。 イ本案に対する答弁(ア) 第2事件原告の請求をいずれも棄却する。 (イ) 訴訟費用は第2事件原告の負担とする。 (3) 第2事件被告G及び第2事件被告Jの答弁ア本案前の答弁(ア) 主文10項同旨(イ) 訴訟費用は第2事件原告の負担とする。 イ本案に対する答弁(ア) 第2事件原告の請求をいずれも棄却する。 (イ) 訴訟費用は第2事件原告の負担とする。 第2 事案の概要等 1 第1事件は,第1事件原告らが,中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)事業志登茂川浄化センター(以下「本件浄化センター」という。)建設及びこれを目的とする海岸堤防(以下「本件海岸堤防」という。)建設のための工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託費,一般事務費などの一切の支出が違法であるとして,第1,第2事件被告三重県知事B(以下「被告知事」という。),第1事件被告三重県県土整備部長D(以下「被告県土整備部長」という。),第1事件被告三重県県土整備部下水道室長E( 出が違法であるとして,第1,第2事件被告三重県知事B(以下「被告知事」という。),第1事件被告三重県県土整備部長D(以下「被告県土整備部長」という。),第1事件被告三重県県土整備部下水道室長E(以下「被告下水道室長」という。)及び第1,第2事件被告三重県津地方県民局下水道部長F(以下「被告下水道部長」という。)に対し平成12年度以降の支出命令の差止めを,第1,第2事件被告三重県出納長C(以下「被告出納長」という。)に対し平成12年度以降の支出の差止めを,三重県知事であった第1,第2事件被告G(以下「被告G」という。),三重県県土整備部長であった第1事件被告H(以下「被告H」という。),三重県県土整備部下水道課長であった第1事件被告I(以下「被告I」という。)及び三重県津地方県民局下水道部長であった第1,第2事件被告J(以下「被告J」という。)に対し平成10年度及び平成11年度の支出相当額を三重県に損害賠償するよう求めた事案である。 第2事件は,第2事件原告が,本件浄化センターに接続するための中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)河芸幹線(第1-2工区)管渠工事(以下「本件管渠工事」という。)のための工事請負費等の一切の支出が違法であるとして,被告知事及び被告下水道部長に対し平成12年度以降の支出命令の差止めを,被告出納長に対し平成12年度以降の支出の差止めを,被告G及び被告Jに対し平成10年度及び平成11年度の支出相当額を三重県に損害賠償するよう求めた事案である。 なお,第2事件原告が求める支出命令及び支出の差止め並びに損害賠償は,いずれも第1事件における請求に含まれるものである。 2 前提事実(当事者間で争いがないか,証拠により容易に認定できる事実。)(1)ア原告らは,三重県の住民である。 イ被告知事は,本件浄化センター建設及びこれ 事件における請求に含まれるものである。 2 前提事実(当事者間で争いがないか,証拠により容易に認定できる事実。)(1)ア原告らは,三重県の住民である。 イ被告知事は,本件浄化センター建設及びこれを目的とする本件海岸堤防建設のための工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託費,一般事務費に関する支出命令の権限を,被告出納長は,同支出の権限を有している。 被告県土整備部長,被告下水道室長,被告下水道部長はそれぞれ三重県事務決裁及び委任規則(昭和62年三重県規則第22号)に基づき本件浄化センター建設及び同センター建設を目的とする本件海岸堤防建設のための工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託費,一般事務費に関する支出命令につき専決の権限を有している。 なお,県土整備部下水道課長の職は,平成14年4月1日に廃止されて県土整備部下水道チームマネージャーの職が設けられ,さらに,平成16年4月1日にその職が廃止されて,県土整備部下水道室長の職が設けられた。 ウ被告Gは平成7年4月から平成15年4月21日まで三重県知事の職にあり,被告Hは平成11年4月1日から平成13年3月31日まで三重県県土整備部長の職にあり(乙66の1),被告Iは平成11年4月1日から平成13年3月31日まで三重県県土整備部下水道課長の職にあり(乙66の2),被告Jは平成11年4月1日から平成13年3月31日まで三重県津地方県民局下水道部長の職にあった(乙66の3)。 (2) 被告知事,被告県土整備部長,県土整備部下水道課長及び被告下水道部長は,平成5年ころから,中南勢水域流域別下水道整備総合計画(以下「中南勢流総」という。乙3の2)に基づく流域下水道の1つとして,中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)事業(以下「本件下水道事業」という。)計画について,企画立案を 域流域別下水道整備総合計画(以下「中南勢流総」という。乙3の2)に基づく流域下水道の1つとして,中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)事業(以下「本件下水道事業」という。)計画について,企画立案を行い,当初は単費による調査計画のための支出命令を行い,被告出納長はこれに従い支出を行ってきた。 被告知事,被告県土整備部長,県土整備部下水道課長及び被告下水道部長は,本件下水道事業の中心的な施設である本件浄化センターの立地・建設にかかる環境影響調査を行い,事業計画の規模や年次計画を行った(甲17)。 (3) 三重県には,昭和54年3月9日に公告され,同年4月1日から施行された環境影響評価に関する指導要綱(以下「旧アセス要綱」という。乙34)と,平成6年5月31日に公告され,同年6月1日に施行された指導要綱(以下「新アセス要綱」という。乙35の1,36)があった。 その後,三重県では,平成10年12月に新アセス要綱に代わるものとして,三重県環境影響評価条例(平成10年三重県条例第49号。乙39,40,42)が制定された。 また,三重県には,環境影響評価に関する技術指針として,昭和54年12月に策定された環境影響評価技術指針(以下「旧技術指針」という。)と,平成7年3月に策定された三重県環境影響評価技術指針(以下「前技術指針」という。乙35の2)があったが,平成11年5月に新たな三重県環境影響評価技術指針が策定され,告示されている(甲2)。 (4)ア三重県は,平成5年9月28日以降,本件浄化センターの設置に伴う環境影響評価(以下「本件環境影響評価」という。)を実施した(乙47)。 イ三重県は,平成7年9月,新アセス要綱4条に基づき,環境調査の結果を基に,本件浄化センター設置に伴う環境影響評価準備書(以下「本件準備書」という。乙43の1ないし3)を作 を実施した(乙47)。 イ三重県は,平成7年9月,新アセス要綱4条に基づき,環境調査の結果を基に,本件浄化センター設置に伴う環境影響評価準備書(以下「本件準備書」という。乙43の1ないし3)を作成し,同月18日付けで,被告知事,津市長及び河芸町長に送付した(乙48)。 また,三重県は,新アセス要綱5条に基づき,平成7年9月19日及び同月20日,日刊新聞に本件準備書が取りまとめられたことを公告するとともに,同月21日から同年10月26日までの間,本件準備書を三重県津土木事務所下水道課ほか3か所で縦覧に供し,同年9月28日に津市立白塚小学校において,同月29日に河芸町立豊津小学校において地元説明会を開催し(甲4の10・11),本件準備書の概要版(乙43の3)の配布等を行った(乙49)。 ウそして,被告知事は,平成7年9月19日,新アセス要綱6条4項に基づき,三重県環境影響評価委員会(以下「評価委員会」といい,その構成員を「評価委員」という。)に対して,本件準備書に対する意見を求めた(乙50)。 評価委員会は,K四日市大学教授(現,名誉教授)を委員長とし,L三重大学工学部教授,M三重大学名誉教授及びN三重大学生物資源学部助教授を委員とする合計4名の小委員会を設置し,本件準備書についての審議に充てた(乙51,52の1ないし4)。 評価委員会幹事会は,平成7年9月29日に開催され,事業者からの説明を受けた後,指摘事項を示した(甲53の1,乙53)。 第1回小委員会は,平成7年10月16日に委員全員が出席の上で開催され,事業者からの説明を受けた後,指摘事項を示した(甲53の2,乙54)。 K委員長及びL委員は,平成7年11月21日,琵琶湖流域下水道湖南中部浄化センターを視察した(甲53の3・4,乙55)。 第2回小委員会は,平成7年11月24日にN委 を示した(甲53の2,乙54)。 K委員長及びL委員は,平成7年11月21日,琵琶湖流域下水道湖南中部浄化センターを視察した(甲53の3・4,乙55)。 第2回小委員会は,平成7年11月24日にN委員を除く委員3名が出席して開催され,指摘事項を示した(甲53の5,乙56)。第2回小委員会に欠席したN委員については,平成7年12月5日に個別協議が行われた(甲53の6,乙57)。 小委員会は,平成8年1月18日,本件準備書に対する意見を取りまとめ,評価委員会に報告し(乙58),評価委員会は同月22日,小委員会の意見を評価委員会の審議結果とすることにした(乙38,59)。 エ三重県は,環境影響評価の再調査等を行い,平成8年7月,本件浄化センター設置に伴う環境影響評価書(以下「本件評価書」という。甲18,乙44の1ないし3)を作成した。 三重県は,平成8年7月24日,本件評価書を被告知事に送付し(乙60),同日,日刊新聞に本件評価書が取りまとめられたことを公告するとともに,同月25日から同年8月30日までの間,三重県中勢沿岸流域下水道建設事務所ほか3か所において縦覧に供した(乙61)。 オまた,三重県は,平成9年3月,平成10年3月,平成11年1月,平成12年1月及び同年3月,本件浄化センター設置に伴う工事着手前の特筆すべき動物・植物の事後調査報告書を作成した(乙45の1ないし5)。 カ三重県は,平成12年3月,本件下水道事業の計画を見直したことから,本件評価書について再度予測及び評価を行うこととして,環境影響評価検討書(案)(以下「本件検討書案」という。)を作成した(甲14,乙46の1・2)。 キそして,被告知事は,平成12年3月16日,三重県環境影響評価条例施行規則80条に基づき,評価委員会に対して,本件検討書案に対する意見を求めた(乙 いう。)を作成した(甲14,乙46の1・2)。 キそして,被告知事は,平成12年3月16日,三重県環境影響評価条例施行規則80条に基づき,評価委員会に対して,本件検討書案に対する意見を求めた(乙62)。 ク三重県は,平成13年3月,本件浄化センター設置に伴う工事着手前の特筆すべき動物・植物の事後調査報告書を作成した(乙45の6)。 (5)ア白塚海岸に本件浄化センターが建設されるのに伴い,旧堤防が取り壊され,新たに本件海岸堤防が建設される予定で,その敷地予定地の民有地などが買収される予定である。 イ白塚海岸は,伊勢湾沿岸と熊野灘に面して長大な海岸線を有する三重県でも貴重な自然海岸であり,希少植物を含む生態構造や,アカウミガメの産卵に代表される貴重な生態系の存在が地道な観察や保存活動によって明らかにされてきた。 ウ三重県は,本件下水道事業の実施に当たり,財団法人三重県環境保全事業団(以下「環境保全事業団」という。)との間で,環境アセスメントのために委託契約を,別紙4「財団法人三重県環境保全事業団との契約関係一覧表」に記載のとおり随意契約の方法により締結した。上記の業務委託費の支出命令はなされ,その支出が同一覧表に記載のとおり行われた(甲54の1ないし9,乙10ないし17)。 (6) 流域下水道にかかる都市計画法及び下水道法による手続ア都市計画変更の手続(甲23)(ア) 被告知事は,平成9年1月7日,三重県が施行する都市計画事業(以下「本件都市計画事業」という。)を変更したい旨の公告をし,その変更案を公告の日から2週間,三重県土木部都市計画課等において,公衆の縦覧に供した。 (イ) 被告知事が,上記変更案について関係市町の意見を求めたところ,平成9年2月3日付けで安濃町長から,同月10日付けで津市長及び河芸町長から,それぞれ異存 画課等において,公衆の縦覧に供した。 (イ) 被告知事が,上記変更案について関係市町の意見を求めたところ,平成9年2月3日付けで安濃町長から,同月10日付けで津市長及び河芸町長から,それぞれ異存がない旨の回答があった。 (ウ) 被告知事は,三重県都市計画地方審議会に上記変更案を付議したところ,平成9年2月24日開催の審議会において原案どおり可決された。 (エ) 被告知事は,平成9年2月24日付けで,都市計画の変更につき建設大臣に認可申請を行い,同月25日に認可を得た。 (オ) 被告知事は,平成9年3月11日,次のとおり都市計画を変更した旨を告示し(乙25),建設大臣及び関係市町長に都市計画法14条1項に規定する図書の写しを送付した。なお,上記都市計画の総括図,計画図及び計画書のいずれにも,河芸幹線管渠や海岸堤防(防潮施設)については表示がされていなかった。 a 下水道処理場施設の名称志登茂川浄化センター施設の種類下水処理施設位置津市白塚町字境及び安芸郡河芸町大字影重字下洲原敷地面積約62300㎡b 幹線管渠志登茂川幹線起点津市白塚町字境終点津市一味田町三ノ坪安濃幹線起点津市栗真中山町字下沢終点津市栗真町屋町字松本放流渠起点津市白塚町字境終点津市白塚町字境イ都市計画事業施行の認可手続(甲23)(ア) 被告知事は,平成9年11月13日付けで,建設大臣に本件下水道事業施行についての認可申請を行った。 (イ) 建設大臣は,平成9年11月18日付けで,上記認可申請に対する認可をし,被告知事及び関係市町長に都市計画法60条3項1号及び2号に掲げる図書の写しを送付した。 (ウ) 建設大臣は,平成9年12月2日付けで,上記認可についての公告を行った。 (エ) に対する認可をし,被告知事及び関係市町長に都市計画法60条3項1号及び2号に掲げる図書の写しを送付した。 (ウ) 建設大臣は,平成9年12月2日付けで,上記認可についての公告を行った。 (エ) 被告知事は,平成10年1月6日,上記認可を受けた旨の公告を行った。 ウ下水道法による事業計画認可手続(ア) 被告知事は,事業計画(以下「本件事業計画」という。甲26,乙4の6・7)につき関係市町の意見を求めたところ,平成9年9月5日付けで津市長から,同月11日付けで安濃町長から,同月17日付けで河芸町長から,それぞれ原案に同意する旨の回答があった(乙4の3ないし5)。 (イ) 被告知事は,平成9年11月13日付けで,建設大臣に事業計画の認可申請を行った(甲26,乙4の2)。 (ウ) 建設大臣は,平成9年12月3日付けで,上記認可申請に対する認可をした(甲26,乙4の1)。 エ上記イの都市計画は,本件浄化センターからの放流渠の位置の変更に伴い,変更され,平成12年9月1日に縦覧に供された(乙33)。 オ被告知事は,平成12年に本件事業計画の変更を申請して(乙76),認可を受け,さらに平成15年12月,計画目標年次を平成27年とする計画の見直しを行い,国土交通省中部地方整備局長の認可を受けた(乙117)。 (7) 三重県が,平成10年度及び平成11年度に,本件浄化センター建設及びこれを目的とする本件海岸堤防建設のための工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託費,一般事務費として支出した金員は,別紙1「第1契約目録」及び別紙2「第2契約目録」に記載のとおりである(甲9,乙65の1・2,116の2・3)。 (8)ア平成12年3月24日,平成11年度中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)河芸幹線(第1-2工区)管渠工事につき,公募型指名競争入札が とおりである(甲9,乙65の1・2,116の2・3)。 (8)ア平成12年3月24日,平成11年度中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)河芸幹線(第1-2工区)管渠工事につき,公募型指名競争入札が行われ,アイケーディ・藪建設特定建設工事共同企業体が落札した。 イそこで,三重県は,平成12年3月27日,上記共同企業体との間で,次のとおりの内容で,本件管渠工事の請負契約を締結した(乙23)。 工事場所三重県津市白塚町から三重県安芸郡河芸町大字影重まで工期平成12年3月27日から平成13年1月19日まで請負工事金額 1億8270万円(消費税及び地方消費税870万円を含む。)管渠の内径800mm,延長351.61m,立坑2基施工方法密閉型泥濃式推進工法(9) 三重県が,平成10年度及び平成11年度に本件管渠工事請負契約に関して支出した金員は,別紙3「第3契約目録」に記載のとおりである(甲6,9,乙23,30,65の1,116の1・2)。 (10)ア第2事件原告は,平成12年3月17日,三重県監査委員に対し,本件管渠工事の請負契約の締結及びこれに関連する工事費等の支出の差止めと,被告Gに対する平成10年度及び平成11年度に本件管渠工事に関連して支出された金員の損害賠償を求める住民監査請求を行った(甲22)。 イ三重県監査委員O,同P,同Q及び同Rは,平成12年5月15日,上記監査請求を棄却した(甲23)。 ウ第2事件原告は,平成12年6月14日,第2事件訴訟を当裁判所に提起した(当裁判所に顕著である。)。 (11)ア第1事件原告らを含む26名は,平成12年3月29日,三重県監査委員に対し,本件浄化センターの建設を目的とした海岸堤防建設のための工事費の支出差止めと,被告G及び被告Jに対する平成10年度及び平成11年度に本件下水道事業 名は,平成12年3月29日,三重県監査委員に対し,本件浄化センターの建設を目的とした海岸堤防建設のための工事費の支出差止めと,被告G及び被告Jに対する平成10年度及び平成11年度に本件下水道事業に関連して支出された金員の損害賠償請求を求める住民監査請求を行った(甲1,8)。 イ三重県監査委員O,同Q及び同Rは,平成12年5月26日,上記監査請求について,平成11年3月28日までになされた支出については,監査請求期間を経過しているとして,監査の対象から除外し,その余の部分について棄却した(甲2)。 ウ第1事件原告らは,平成12年6月21日,第1事件訴訟を当裁判所に提起した(当裁判所に顕著である。)。 3 原告らの主張(1) 三重県が,別紙4「財団法人三重県環境保全事業団との契約関係一覧表」記載の委託契約を随意契約の方法により締結したことは,地方自治法234条に違反する。 すなわち,環境保全事業団は,中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)環境アセスメント及び漁場調査を実施する能力がなく,委託契約に反して再委託を行った。同事業団による環境アセスメントは,浄化槽管理士の資格しか有しない技術者を責任技術者と認め,他の調査会社に違法な再委託をし,業務の実施計画を書面で提出することなく,調査の詳細についての打合せの記録を残すことなく,調査実態を記録した写真や調査に当たる調査員の資格や経歴について確認することなくなされたもので,ずさんな内容となった。例えば,環境保全事業団の行ったとされる3次元流況解析シミュレーション(乙44の1(200ないし203頁))は,干潮時における流況を示すベクトルが,志登茂川及び安濃川河口に向かって遡上しているように表示されているが,干潮時には伊勢湾へ流出すると考えられるのであり,コンピュータによる演算が途中で打ち切られ は,干潮時における流況を示すベクトルが,志登茂川及び安濃川河口に向かって遡上しているように表示されているが,干潮時には伊勢湾へ流出すると考えられるのであり,コンピュータによる演算が途中で打ち切られ,満足する結果が得られなかったことを示している。 環境保全事業団に解析モデルについての知識がなかったことは,評価委員会において,同事業団の職員だけでなく,芙蓉海洋開発株式会社や株式会社イーエストウエンティ・ワンの社員が出席し,解析モデルの質問に対応できるように準備していたことから明らかである。 (2) 次の都市計画法違反,環境破壊,水質汚濁,河川の流量,費用対効果の問題,2次災害の危険があるから,本件下水道事業にかかる支出は,最小の経費で最大の効果を挙げるよう定めた地方自治法2条14項に違反する。 ア都市計画法違反本件下水道事業は,2以上の市町にわたる下水道施設として,幹線管渠として河芸幹線を計画しているにもかかわらず,被告らがこれを除外して都市計画案に提示せずに三重県都市計画地方審議会に諮問し,可決を受け決定告示を行ったのは,都市計画法11条に違反する。 また,本件下水道事業の都市計画決定と同時に本件海岸堤防の防潮施設としての都市計画決定がなされるべきであったのになされなかったのも違法である。 さらに,被告G,被告H及び被告Iは,津市長が発行した津市都市計画図に本件都市計画事業の内容が記載されていないことを知りながら,その改訂を津市長に求めなかったのは違法である。 イ環境破壊,水質汚濁,河川の流量の問題本件下水道事業は,河川水の流況の変化をもたらす計画であり,河川法の目的に反する。この河川水の流況変化について被告知事と関係部課との協議もなされていない。また,各河川との位置からしても,本件浄化センターはその位置の選定を誤った。 本件海岸堤 す計画であり,河川法の目的に反する。この河川水の流況変化について被告知事と関係部課との協議もなされていない。また,各河川との位置からしても,本件浄化センターはその位置の選定を誤った。 本件海岸堤防建設工事は,白砂青松の景観や自然の持つ海浜の浄化作用や貴重な生態系を破壊するものであり,三重県自然環境保全条例(甲117)に反している。 ウ費用対効果の問題(ア) 本件下水道事業計画は,都市計画事業として計画実施されるが,その処理区画を都市計画区域外(市街化調整区域)にも拡大しており,流域関連公共下水道事業として対象市町で実施するには,都市計画区域内の都市計画税納税者と,都市計画区域外の同税未納者との間に都市計画税を財源とする同流域関連下水道事業に建設費用負担について不公平が生ずる。 費用負担の不公平は,開発行為により新規に開発された住宅団地,集合住宅の住民と既成市街地に居住する住民との間にも発生するし,住宅の新改築に当たり合併処理浄化槽の設置を国の補助金を受けて自己負担で行った住民との間にも発生する。また,コミュニティプラントや合併処理浄化槽などの浄化施設にはそれぞれ国や地方自治体の補助金等が支給されるなどして設置されており,それらを取り壊してまで下水道に接続することを義務付けるのは二重投資となる。 本件下水道事業計画における水使用量,汚水発生量は実態に見合わない過大なものである。 本件海岸堤防工事は,現在有効に機能している海岸堤防を取り壊すことを前提としたもので,無駄である。 (イ) 今後実施される下水道事業は,浄化槽のほうが安く効果的であるというのは,常識である。国もこれを認めて,道路法を改正して道路下への浄化槽の設置を認め(甲34の8),最小投資で最大効果を得られるようにした。 本件下水道事業の計画処理区域の場合,津駅前地区等の人 というのは,常識である。国もこれを認めて,道路法を改正して道路下への浄化槽の設置を認め(甲34の8),最小投資で最大効果を得られるようにした。 本件下水道事業の計画処理区域の場合,津駅前地区等の人家密集地区は,本来,下水道を整備すべき地域であったと考えられるが,今回,これと抱き合わせて,人口密集地とは到底いえない河芸町や安濃町まで汚水管を延ばすのは無駄である。 (ウ) 被告らは,費用効果分析結果は費用便益比1.25であると主張するが,その算定根拠とする「全県域汚水適正処理構想策定マニュアル(案)」(平成5年10月,下水道協会発行)は,平成14年2月に「効率的な汚水処理施設整備のための都道府県構想マニュアル(案)」(甲114)として改訂されている。これによると,従来,15年とされていた合併処理浄化槽の耐用年数を,躯体30年,機器設備類11年と改めている。躯体と機器設備類の費用効率を9対1とし,全体としての耐用年数を26年として計算すると,別紙5のとおり,費用効果分析は0.8444(浄化槽1基の価格を110万6000円とした場合)又は0.9437(浄化槽1基の価格を150万円とした場合)と算出され,1を下回るのであり(甲115),合併処理浄化槽による個別処理方式のほうが有利なのである。このことは,高度処理型合併浄化槽の市中価格が今後低下することが見込まれており,当該地域で人口減少と中心市街地の空洞化が進むと考えられることからすると,合併処理浄化槽による個別処理方式が経済的に更に有利となるのである。 エ本件管渠工事の手順の問題本件管渠工事は,本件浄化センターの用地取得の見込みがないにもかかわらず,事業実施上の手順を無視して行われたものである。 オ本件管渠工事の施工上の問題本件管渠工事の行われる道路は旧街道であり,その幅員は狭隘で両側 本件浄化センターの用地取得の見込みがないにもかかわらず,事業実施上の手順を無視して行われたものである。 オ本件管渠工事の施工上の問題本件管渠工事の行われる道路は旧街道であり,その幅員は狭隘で両側に古い家並みが続き,工事による事業損失の影響は容易に予想される。また,工事期間中の交通の遮断,騒音,振動等による関係住民への影響は多大であり,本件下水道事業による公益に比較してその損失は大きい。 本件管渠工事に当たっては,地下水の強制排除が行われ,既設の井戸水の水位低下や薬液注入工法による井戸水の汚染,地下水脈の変動等が予測され,地上の家屋等の物件への地盤沈下等による影響が容易に予測される。それは,本件管渠工事期間中に限られるものばかりではなく,工事完了後何年も経過して発生することはよく知られており,その被害の程度を予測すれば,本件管渠工事の危険性は多大である。 カ 2次災害の危険本件浄化センターの建設予定地域に近い伊勢湾には活断層が存在していて直下型地震の危険性があり,東海,東南海,南海の巨大プレート型地震の危険性もあるが,これらによって地震による地盤の液状化現象や,津波,高潮が予想される。そして,いったん被害を受ければその規模は甚大であり,汚水があふれ出し,近隣住民は長期間の避難生活を余儀なくされる。 また,本件管渠工事の施工される地域は,三重県が平成9年3月に防災についてまとめた「三重県地域防災計画被害想定調査報告書」(甲45)でも,地震による地盤の液状化被害が予測されるとした地域であり,老朽家屋の密集する当該地域への大規模な地下工作物の設置は,地震による2次災害の危険性を増大させるものである。 (3) 環境影響評価手続の違法についてア本件浄化センター設置に伴う環境影響評価に関する手続は,アセス要綱や技術指針の趣旨に反し,不当であり ,地震による2次災害の危険性を増大させるものである。 (3) 環境影響評価手続の違法についてア本件浄化センター設置に伴う環境影響評価に関する手続は,アセス要綱や技術指針の趣旨に反し,不当であり,その後引き続き行われた本件検討書案などの審査についても同様であるから,本件下水道事業の実施とそのための本件海岸堤防の建設は違法である。 イ上記の各手続で,本件準備書,本件評価書及び本件検討書案が作成された。 しかし,本件準備書及び本件評価書には,土壌動物,クモ類,陸産貝類の調査・影響の予測・評価の項目が全く欠如している。ちなみに,旧アセス要綱及び旧技術指針では,調査項目として土壌動物が挙げられ,前技術指針では,調査項目としてクモ類,陸産貝類,土壌動物が挙げられている。この調査がなされなかったのは,調査や評価できる者がおらず,評価委員会にその分野の研究者が全くいなかったからである。 本件検討書案においても,鳥類についての調査やその生態系についての正確な観察分析が不十分である。本件浄化センターが完成した場合,シロチドリ及びコサジサシの営巣が困難となるが,この点が評価されていない。オオタカの調査は平成5年10月24日,平成6年1月10日,同年4月6日の3日間しか行われていない。 ウ評価委員会では,本件準備書を評価委員全員に配布しておらず(甲35の3),小委員会委員のみに配布している。すなわち,ほとんどの評価委員は,本件準備書に目を通していないことになり,これでは評価委員を選任する意味がない。 さらに,N委員は小委員会を1回欠席しているが,その理由は明らかにされていない。また,本件準備書において,海産動物である腔腸動物門等の種が,単に腔腸動物門等の種としか同定されておらず,生物学者であれば,当然に「せめて,目の段階まで同定すること」といった意見 かにされていない。また,本件準備書において,海産動物である腔腸動物門等の種が,単に腔腸動物門等の種としか同定されておらず,生物学者であれば,当然に「せめて,目の段階まで同定すること」といった意見を述べるべきところを,一切述べていない。 海藻学専攻のM委員も,専攻以外の分野である海浜植物の生態系保存について何ら発言していない。 評価委員会には,生物分野においては,昆虫学専攻の委員が3名,陸生諸物に詳しく環境庁による海浜植物群落調査を担当したことのある委員が2名いるにもかかわらず,これらの者は小委員会に参加しておらず,不十分な小委員会による意見が,評価委員会の意見となっている。 (4) 環境権に基づく公金差止請求原告らは,憲法13条,25条を根拠として環境権に基づく差止請求権を有する。国民1人1人は,正常な大気と水,天然の景勝,静穏な環境に取り囲まれて,健康で安全な生活を営む自由を有するべきである。良好な環境はいわば住民全体の共有財産というべきであるから,一部の者がみだりにその事業活動などによって,地域の環境を汚染したり,ましてや行政庁が公益のためと称して,地域の環境を汚染したり破壊したりすることは,住民全体の共有財産に対する侵害であって許されるべきではない。良好な環境を奪われ,又は奪われるおそれがある場合には,住民にはこのような環境破壊を行う者に対してこれを止めさせる権利を持つと認めるべきである。 しかるに,本件浄化センター及び本件海岸堤防建設は,環境を破壊するものであるから,原告らは,住民訴訟においてその差止めを求めることができるというべきである。 (5) 被告G,被告H,被告I及び被告Jが,平成10年度と平成11年度に,本件浄化センター建設及びこれを目的とする本件海岸堤防建設のための工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託 である。 (5) 被告G,被告H,被告I及び被告Jが,平成10年度と平成11年度に,本件浄化センター建設及びこれを目的とする本件海岸堤防建設のための工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託費,一般事務費として違法に支出命令をした金員は13億6821万6890円に及ぶ。 また,被告G及び被告Jが,平成10年度と平成11年度に,本件管渠工事のための工事請負費等として違法に支出命令をした金員は9924万4950円に及ぶ。 (6) よって,第1事件原告らは,地方自治法242条の2(平成14年法律第4号による改正前のもの。以下同じ。)第1項1号,4号に基づき,①被告知事,被告県土整備部長,被告下水道室長及び被告下水道部長に対して本件浄化センター建設及びこれを目的とする本件海岸堤防建設のための工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託費,一般事務費の一切の支出命令の差止め,被告出納長に対してはその支出の差止め,②被告G,被告H,被告I及び被告Jに対して三重県への13億8621万6890円及びこれに対する第1事件訴状送達の翌日である平成12年7月5日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 また,第2事件原告は,地方自治法242条の2第1項1号,4号に基づき,①被告知事及び被告下水道部長に対して本件管渠工事のための一切の支出命令の差止め,②被告G及び被告Jに対して三重県への9924万4950円及びこれに対する第2事件訴状送達の日の翌日である平成12年7月5日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 4 被告らの主張(1) 本案前の答弁の理由ア第1事件について(ア) 原告らが問題としている支出については,三重県事務決裁及び委任規則により三重県県土整備部下水道課長,三重県津地 払を求める。 4 被告らの主張(1) 本案前の答弁の理由ア第1事件について(ア) 原告らが問題としている支出については,三重県事務決裁及び委任規則により三重県県土整備部下水道課長,三重県津地方県民局下水道部長の権限とされており,三重県県土整備部長であった被告Hには支出命令の権限はないから,同被告に対する訴えは被告適格を欠いており,不適法である。 (イ) 被告Iは平成11年4月1日に三重県県土整備部下水道課長に就任したから,原告らの被告Iに対する請求のうち被告Iが支出命令権限を有するのは,別紙1「第1契約目録」契約番号10-22の前払金の支出のみであるから,同被告に対するその余の支出に関する訴えは被告適格を欠いており,不適法である。 (ウ) 被告Jは平成11年4月1日に三重県津地方県民局下水道部長に就任したから,原告らの被告Jに対する請求のうち被告Jが支出命令権限を有するのは別紙1「第1契約目録」契約番号11-7・8・14・20の前払金の支出及び同番号10-12ないし18・20ないし24,11-1・2・5ないし7・9ないし13・15ないし17・19・21・22の精算金の支出並びに別紙2「第2契約目録」契約番号93ないし109の前払金の支出及び同番号52,88,89,91ないし109,116,151の精算金の支出のみであるから,同被告に対するその余の支出に関する訴えは被告適格を欠いており,不適法である。 イ第2事件について(ア) 被告知事,被告出納長及び被告下水道部長に対する訴え本件管渠工事は,平成13年4月13日に完成し,同月26日に検査に合格した。そこで,三重県は,同年6月4日,本件管渠工事の請負代金をすべて支払ったものであり,今後これに関する工事費について支払は予定されていない。 よって,本件管渠工事に関する支出命令及び支 査に合格した。そこで,三重県は,同年6月4日,本件管渠工事の請負代金をすべて支払ったものであり,今後これに関する工事費について支払は予定されていない。 よって,本件管渠工事に関する支出命令及び支出の差止めを求める訴えは,訴えの利益を欠き,不適法である。 (イ) 被告Jに対する訴え被告Jは,平成11年4月1日に三重県津地方県民局下水道部長に就任した。したがって,同年3月31日以前は三重県津地方県民局下水道部長の職にはなく,別紙3「第3契約目録」契約番号①,②記載の精算金及び同番号③,④記載の前払金の各支出(合計2360万2200円)には関与していない。 したがって,被告Jが支出命令権者であることを前提とする平成10年度のうち上記各支出についての本件訴えは不適法である。 (2) 原告らの主張(1)についてア三重県が環境保全事業団と環境アセスメントに関する委託契約を随意契約により締結したことは,地方自治法施行令167条の2第1項2号の規定によるものであり,地方自治法234条には違反しない。 イ本件浄化センターの建設計画は,伊勢湾における赤潮の発生を防止するとともに,水質改善を図るため,水質汚濁の主要原因である生活排水の高度処理を行うことを目的として津市白塚海岸及び河芸町河芸海岸に立地し,前面の伊勢湾に高度処理した放流水を排出するものであるが,環境保全に万全を期すため,旧アセス要綱に基づく環境影響評価を行い,事前に事業実施による環境への影響を科学的に予測し,評価する必要があった。 本件浄化センター周辺海域の海水の流れは,志登茂川や安濃川といった河川水の流入による影響を受けて複雑な3次元的なものとなっており,海水の流れの予測には従前から用いられてきた海域の流れを平面的に捉える2次元流況モデルに比べて予測精度が高い3次元流況モデルによる解析 河川水の流入による影響を受けて複雑な3次元的なものとなっており,海水の流れの予測には従前から用いられてきた海域の流れを平面的に捉える2次元流況モデルに比べて予測精度が高い3次元流況モデルによる解析,再現が必要であった。 閉鎖水域である伊勢湾などの内湾の水質は,河川などから流入する汚濁物質の影響を受けるとともに,植物プランクトンから魚介類に至るまでの生物が担う反応のみならず,有機物の沈降,流動,拡散といった物理的な変化過程,また酸化・還元などの化学反応が同時に起こるという複雑な系となっている。 このため,水質の予測には,栄養塩類である窒素やリンによってプランクトンが増殖し,海の代表的な汚染指標である化学的酸素要求量(COD)が再生産されるという内湾の富栄養化現象も組み込んだ精度の高い富栄養化モデルによる解析,再現が必要であった。 これらの2つのモデル(3次元流況モデル,富栄養化モデル)を組み合わせた生態系モデルが再現性が良好で,かつ精度の高い水質予測を行うモデルとして適切なものと判断された。 平成5年当時,生態系モデルを使用した予測の実績があったのは,三重県内では環境保全事業団のみであった。県内の環境影響評価での海域の水質予測に生態系モデルを用いた事例としては,四日市市の東ソー株式会社の四日市第2エチレン事業計画及び四日市市の昭和四日市石油株式会社の重油接触分解装置などの増設計画があり,環境保全事業団が調査,予測,評価を行っていたか,行っている過程にあった。また,環境保全事業団は,伊勢湾はもとより五ヶ所湾などの実績も豊富にあり,平成4年度末までに三重県で環境影響評価の手続を開始した108事業のうち過半数の57事業について,事業者からの委託を受けた実績があった。 ウこれに対して,原告らは,3次元流況解析シミュレーションの干潮時の流況を に三重県で環境影響評価の手続を開始した108事業のうち過半数の57事業について,事業者からの委託を受けた実績があった。 ウこれに対して,原告らは,3次元流況解析シミュレーションの干潮時の流況を示すベクトル(乙44の1(200ないし203頁))が反対方向となっていると指摘している。 しかし,3次元流況モデルによる流れの結果を表現する場合,評価書では2層目(水深2ないし5m)の流況及び流速を表示するのが通常である。なぜなら,1層目(水深0ないし2m)の流れは,潮流による流れと,外因的な影響(微細地形,風,河川水等)が混合した状態であり,局所的な流れの変化に目を奪われがちになるからである。ベクトル図を表示する目的は,全体の流れはこのようになると理解してもらうことであり,そのために対象とした場所の外因的な影響も少なくなる2層目の流れを表示しているのである。 そして,志登茂川及び安濃川の下げ潮における流れのベクトルが河口に向けて遡上しているように見えるのは補償流のためである。補償流とは,表層の流れに対して物質の保存から,それを補う流れとして下層に発生する逆向きの流れをいう。これは実際の海洋においても,その存在が一般的に確認されている。例えば,風が吹いたときに表層の水は風の向きと同じ流れとなるが,下層の水はそれと逆の流れとなる。よく見られる青潮の発生は補償流によるもので,岸から沖に風が吹くと,表層の水は沿岸から沖合に流れる。それに伴い低層の貧酸素水が沖合から岸方向に流れ,地形(スロープ)に沿って湧昇するために起こるのである。また,河口域では,海水が河川の下部を上流方向に逆上する現象が生じ,この現象は塩水くさび(エスチュアリー)と呼ばれている(乙134)。 本件の3次元流況モデルにおいても,下げ潮時には表層(1層目)において密度の小さい河川水が の下部を上流方向に逆上する現象が生じ,この現象は塩水くさび(エスチュアリー)と呼ばれている(乙134)。 本件の3次元流況モデルにおいても,下げ潮時には表層(1層目)において密度の小さい河川水が沖合方向に強く流れるので,下層(2層目)は,それを補う流れとして逆向きの流れとなっているのである。 エしたがって,別紙4「財団法人三重県環境保全事業団との契約関係一覧表」①,②の委託契約は環境保全事業団に行わせるのが最適であり,その性質及び目的から競争入札に適しなかったものである。 同一覧表③の委託契約は,その調査内容が上記①,②の契約と同一継続案件であるので,同一業者に委託することが経済的かつ効率的であった。また,同調査には富栄養化モデルなどによる予測評価が必要であると判断したため,三重県域におけるこれらの実績を有していた環境保全事業団に行わせるのが適切であった。 同一覧表④の委託契約は,平成5年10月から平成6年3月にかけて実施した上記①,②の契約の調査に関連して行う追加拡散予測計算及び追加調査(水質,動植物)であり,切り離して委託することは不適切であった。 同一覧表⑤の委託契約における調査は,平成5年10月から平成8年3月にかけて実施した上記①ないし④の契約の調査に関連して行う追加拡散予測計算及び追加調査(水質)であり,切り離して委託することは不適切であった。 同一覧表⑥,⑦の委託契約は,本件評価書の事後調査計画に基づく環境保全のための事後調査である。当時,環境保全事業団はこの委託業務の調査に対して実績があり,完成度の高い成果が得られるものと考えられ,その性質上,競争入札に適しないと判断された。 同一覧表⑧の委託契約は,本件浄化センター放流渠位置変更に伴う環境影響評価再検討の業務であり,当初の環境アセスメントの予測,評価と統一性を持たせ られ,その性質上,競争入札に適しないと判断された。 同一覧表⑧の委託契約は,本件浄化センター放流渠位置変更に伴う環境影響評価再検討の業務であり,当初の環境アセスメントの予測,評価と統一性を持たせる必要があった。 (3) 原告らの主張(2)について本件下水道事業にかかる支出は,地方自治法2条14項に違反しない。 ア都市計画法に違反しないことについて(ア) 河芸幹線管渠を都市計画決定対象施設としないことについて都市計画法11条1項には,いろいろな施設が列挙されているが,列挙された施設すべてを都市計画において定める必要はない。同法11条1項は,都市計画には同条項1号ないし11号で掲げる施設で必要なものを定めると規定している。 より適切な都市計画の策定と事務手続の合理化,円滑化を図る観点から,平成8年11月12日,全国都市計画主管課長会議において,下水道の都市計画決定の目安が示され,下水道管渠について都市計画の定める範囲は,①下水排除面積が1000ha以上の管渠,②処理水を放流するための主たる管渠の2つが目安とされた(乙26)。三重県では,この目安を基準として,都市計画決定する管渠の範囲を定めている。 河芸幹線の処理区画面積は650.9haであるので,河芸幹線管渠は都市計画に定める範囲外となり,その必要がないから,都市計画決定を行っていない。 (イ) 本件海岸堤防を防潮施設として都市計画決定しないことについて本件海岸堤防は,都市計画法施行令(昭和44年政令第158号)5条に規定される防潮の施設に該当し,都市計画法11条1項11号の都市施設に該当する。 しかし,都市計画法11条1項柱書き前段及び同法13条1項柱書きには,都市施設は必要なものを都市計画に定める旨規定されており,都市計画に定めるかどうかは,都市計画決定権者の判断に委ねられている る。 しかし,都市計画法11条1項柱書き前段及び同法13条1項柱書きには,都市施設は必要なものを都市計画に定める旨規定されており,都市計画に定めるかどうかは,都市計画決定権者の判断に委ねられている。 三重県で堤防が都市計画に定められている例はなく,また,全国的にもそのような例はまれである。 したがって,海岸堤防を都市計画に定めないことが合理性を欠き,違法若しくは不当とはいえない。 (ウ) 津市作成の「津都市計画総括図」に本件都市計画事業が記載されていないことについて作成者(発行者)が津市役所と記載されている「津都市計画総括図」には,本件都市計画事業の内容が記載されていないが,同図面は,都市計画法14条に規定する総括図,計画図そのものではなく,市民に広く利用されるために津市が作成している概要図の性質を持つものと解され,これに対し,被告らには,津市長に対し,本件都市計画事業の内容を記載するように指示する権限はなく,義務もない。 ちなみに,都市計画法14条1項は,「都市計画は,国土交通省令で定めるところにより,総括図,計画図及び計画書によって表示するものとする。」と規定しているところ,同条項に基づく総括図(乙32)には,本件都市計画事業の内容(排水区域,計画決定幹線管渠(下水排除面積が1000ha以上の管渠),処理施設)が明記されている。 イ環境破壊,水質汚濁,河川流量の問題がないことについて(ア) 志登茂川,安濃川,田中川では,河川維持流量は定められていないから,河川法違反の事実はない。また,下水道が整備されることによる河川流量の減少はさほど大きくない。河川流量が減少するのは,大半が生活排水であり,河川に対する負荷がむしろ減少するので,河川の流量の低下により河川水質改善の効果が半減するという原告らの主張は誤りである。 (イ) 大幅な水質 きくない。河川流量が減少するのは,大半が生活排水であり,河川に対する負荷がむしろ減少するので,河川の流量の低下により河川水質改善の効果が半減するという原告らの主張は誤りである。 (イ) 大幅な水質改善効果があることa 下水道の必要性閉鎖性水域である伊勢湾の水質は,陸域からの汚濁物質の流入による影響のみならず,栄養塩類である窒素やリンにより増殖するプランクトンによる有機汚濁の影響を受け,富栄養化が進み,魚介類に影響を及ぼす赤潮等が発生している。 このため,伊勢湾水質総量規制等の排水規制強化によりCODの汚濁負荷量の削減は図られてきたが,水域全体のCOD濃度はほぼ横ばいで推移しており,水質環境基準達成率は,同様の閉鎖性水域である東京湾や大阪湾と比較しても低い状態にあり,赤潮の発生の要因でもある窒素及びリンなどの富栄養化対策の取組も必要となっている。 このため,本件浄化センターは,伊勢湾における赤潮の発生を予防するとともに水質の改善を図るため,水質汚濁の主要原因である生活排水の高度処理を行うことを目的として津市白塚海岸及び河芸町河芸海岸に立地し,前面伊勢湾に高度処理した放流水を排出しようとするものである。 b 伊勢湾の水質改善効果本件下水道事業は,中南勢流総(乙3の2)に基づく流域下水道の1つであり,津市北部,河芸町及び安濃町を対象区域としている。 この対象区域の家庭,事業所等から排出される汚水は,管渠により本件浄化センターに集水され,高度処理された後,同センターの前面海域に排出される。その処理水の水質は,平成7年3月,中南勢流総に従って本件下水道事業の全体計画を策定した「中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)基本計画策定業務」の基本計画書において,下表のとおりとされていて,本件浄化センターの建設により水質が大幅に改善されるのである。 水道事業の全体計画を策定した「中勢沿岸流域下水道(志登茂川処理区)基本計画策定業務」の基本計画書において,下表のとおりとされていて,本件浄化センターの建設により水質が大幅に改善されるのである。 設計水質処理水質BODmg/-200 CODmg/-140 SSmg/-180 T-Nmg/- T-Pmg/- (設計水質とは,本件浄化センターで処理される前の汚水の水質であり,処理水質とは,本件浄化センターで処理された後に前面海岸に排出される処理水の水質である。)(ウ) 原告らは,汚泥の焼却によって新たな大気汚染等の環境負荷を増大させるとも主張するが,汚泥の焼却等による処理・処分は,流域下水道であっても,浄化槽等の生活排水処理施設であっても同じように必要である。 また,二酸化硫黄等の大気汚染関係規制対象物質については,関係法令に従いその規制基準を遵守するのはもちろんのこと,二酸化硫黄等の大気汚染による新たな環境負荷については,本件評価書において環境保全目標を設定し,これら目標を満足していると評価されている。 (エ) 以上のとおり,本件浄化センターは十分な負荷削減性能を有しており,本件下水道事業により公共用水域(河川,海域等)の大幅な水質改善が図られ,また,汚泥の処理による大気汚染も環境保全目標を満足する。したがって,全体として,大幅な水質・環境改善効果が得られるものである。 ウ費用対効果について(ア) 下水道と浄化槽の比較a 一般に,下水道は浄化槽に比べ約2倍の耐用年数がある(乙6)。下水道は,一般家庭からだけでなく,事務所,オフィス,学校などを含む街全体からの多種多様な排水を いて(ア) 下水道と浄化槽の比較a 一般に,下水道は浄化槽に比べ約2倍の耐用年数がある(乙6)。下水道は,一般家庭からだけでなく,事務所,オフィス,学校などを含む街全体からの多種多様な排水を処理できるが,浄化槽が処理できるのは,一般家庭から排出される汚水の処理のみである。下水道は,多種多様な排水を処理するだけでなく,汚泥処理や雨水対策なども行うことができるが,浄化槽そのものでは汚泥処理の対応ができないため,別途,し尿処理センターなどの汚泥処理施設の建設が必要となる。 したがって,一般的に事業所からの排水などを含む多種多様な排水が発生する地域には下水道事業が適しており,個別の家庭排水のみを処理すればよい地域には浄化槽が適しているとされている(乙7)。 このことから,当時の都市計画法においても,13条1項6号において,円滑な都市活動を確保し,良好な都市環境を保持するため,市街化区域については下水道を定めるものとされている。 b また,水質に関する検査についても,下水道事業においては,下水道法施行令12条において最低月2回の検査が義務付けられ,検査項目として水質基準の重要な要素であるBOD(生物化学的酸素要求量)が義務付けられているが,浄化槽の場合は,浄化槽法11条において年1回の水質検査の義務付けしかなく,その検査項目にはBODが含まれていない。 ちなみに,三重県においては,下水道の水質検査を毎日行っており,良好な水質の確保という観点からも,下水道に優位性がある。 c さらに,合併浄化槽は,現実的には全戸に設置できる敷地があるとは限らず,生活道路が狭小で,家屋密度の高い地区では合併浄化槽の設置は特に困難な場合が多い。 d 以上のとおり,本件においては,下水道が浄化槽に比べ優位性があるから,本件下水道事業が計画され,実施さ らず,生活道路が狭小で,家屋密度の高い地区では合併浄化槽の設置は特に困難な場合が多い。 d 以上のとおり,本件においては,下水道が浄化槽に比べ優位性があるから,本件下水道事業が計画され,実施されているものである。 (イ) 本件事業計画の変更下水道計画は,基準年次における実績を基に,計画目標年次(概ね20年後程度)の人口や下水道使用料を予測し,これに見合う内容の事業計画を策定することとされている。 従前の本件事業計画(乙4の7)は,基準年次を昭和60年とし,計画目標年次を平成17年として策定されたものであって,計画策定から相当年数経過しており,①周辺の土地利用の変化により,処理区域の見直しが必要となったこと,②家庭や工場における節水の傾向や,生活水準の向上等,社会情勢の変化を受けて計画汚水量の見直しが必要になったこと,③計画目標年次が平成17年であり,事業期間の見直しが必要となったこと等の理由により,計画目標年次を平成27年とする事業計画の見直しを行い,平成15年12月に認可を受けた(乙117)。 これによる変更の内容は,別紙6「表1ないし3」のとおりである。 (ウ) 本件下水道事業の費用効果分析a 下水道事業の費用効果分析にはいろいろな手法があるが,ここでは,本件下水道事業の全体事業の費用及び全体計画時の便益(下水道の効果には生活環境の改善等いくつかの種類があるが,効果のうち計測,定量化されたものを便益とする。)を算定し,利子率及び施設の耐用年数を用いて,年当たりの費用及び便益に換算して比較する簡易比較法によることとする。 なお,費用等の計上に当たっては,基準年度を基本的には平成12年度とし,利子率を年4%に設定している。 b 費用について本件下水道事業にかかる費用については,三重県が事業主体となって施工する流域下水道 ,費用等の計上に当たっては,基準年度を基本的には平成12年度とし,利子率を年4%に設定している。 b 費用について本件下水道事業にかかる費用については,三重県が事業主体となって施工する流域下水道事業(終末処理場と幹線管渠の施工)と,流域内市町が事業主体となって施工する流域関連公共下水道事業(幹線管渠に接続する管渠の施工)とがある(別紙7「表-16,17」)。 本件下水道事業にかかる費用は別紙7「表-14」のとおりであり,年当たり費用は91億8490万円となる。なお,耐用年数については,「三省統一マニュアル」(乙6)には,「経済比較の際に参考となる年数」として,「各種省令に基づくもの」と「施設の使用実績」が示されているが,「経済比較の際に参考となる年数」については,各事業主体において,これらの数値を参考に地域条件,管理体制等を考慮の上,適切な年数を設定して用いることとしている。被告らの算出した費用効果分析においては,適用できる施設の耐用年数が具体的に示されていなかったことから,当時最もよく利用されていた平成10年3月発行の「下水道事業における費用効果分析マニュアル(案)」(乙74)に示された数値によったものである。 以下,上記金額の根拠等を説明する。 (a) 年当たりの費用は,総費用に換算係数を乗じて計算されている。 (b) 費用は,建設費,維持管理費,用地費の3項目から成り立っている。 (c) 建設費のうち,幹線管渠に関するもの(流域下水道部分)は三重県が施行するもので,その費用は206億1930万円となり(別紙7「表-16」①),その詳細は別紙7「表-18」のとおりである。 建設費のうち,幹線管渠に接続する管渠に関するものは,関連市町(津市,河芸町,安濃町)が施行するもので,その費用は942億3800万円である(別紙7 その詳細は別紙7「表-18」のとおりである。 建設費のうち,幹線管渠に接続する管渠に関するものは,関連市町(津市,河芸町,安濃町)が施行するもので,その費用は942億3800万円である(別紙7「表-17」)。 したがって,管渠に関する建設費は,1148億5730万円(206億1930万円+942億3800万円)となる。 管渠建設に関する年当たりの費用算出の換算係数は0.0466であるので,管渠建設に関する年当たりの費用は53億5240万円(1148億5730万円×0.0466)となる(別紙7「表-14」)。 (d) 建設費のうち,本件浄化センターの土木・建築に関するものは,別紙7「表-16」のとおり259億6690万円となり,その詳細は,別紙7「表-19」の「土木・建築」欄のとおりである。 土木・建築に関する年当たりの費用算出の換算係数は0.0466であるので,本件浄化センターの土木・建築に要する年当たりの費用は12億1010万円(259億6690万円×0.0466)となる(別紙7「表-14」)。 (e) 建設費のうち,本件浄化センターの機械・電気に関するものは別紙7「表-16」のとおりで,180億8870万円となり,その詳細は,別紙7「表-19」の「機械・電気」欄のとおりである。 機械・電気に関する年当たりの費用算出の換算係数は0.0899であるので,本件浄化センターの機械・電気に要する年当たりの費用は16億2620万円(180億8870万円×0.0899)となる(別紙7「表-14」)。 (f) 本件浄化センターの維持管理に要する費用は,年額9億3380万円である(別紙7「表-15」)。 (g) 本家浄化センターの用地費は,別紙7「表-16」のとおりで,15億6060万円となる。 用地費に関する年当たりの費用は,利子率(0 費用は,年額9億3380万円である(別紙7「表-15」)。 (g) 本家浄化センターの用地費は,別紙7「表-16」のとおりで,15億6060万円となる。 用地費に関する年当たりの費用は,利子率(0.04)を用いて6240万円(15億6060万円×0.04)となる(別紙7「表-14」)。 (h) 以上の年当たりの費用を合計すると,91億8490万円となる(別紙7「表-14」)。 c 効果について(a) 下水道事業の一般的な効果としては,以下のものが挙げられる。 ⅰ 生活環境の改善下水道整備による生活環境の改善効果として,悪水路の解消による悪臭の解消,景観の向上等の効果がある。 ⅱ 便所の水洗化下水道整備によって便所の水洗化が可能になるが,下水道整備を行わない場合は浄化槽の設置が必要となる。 ⅲ 公共用水域の水質保全下水道整備によって公共用水域の水質が改善されれば,公共用水域の環境存在価値が回復する。また,地域の状況等によっては,水質汚濁によって増加する上水道等の浄化費用や水質汚濁によって増加する農業被害が軽減されることになる。 ⅳ その他の効果下水道整備によるその他の効果として,処理場等の上部を公園等に活用できる効果や下水道管渠に光ファイバーケーブルを敷設できる効果などが考えられる。 (b) ところで,生活環境の改善,公共用水域の水質保全等の効果は,実際のマーケットで取引され金銭で購入できる市場財ではなく,非市場財であり,これらの非市場財の定量化(金銭化)は容易ではないとされてきた。しかし,効果算定のためのいくつかの手法が経済学の1分野として研究されていて,それらの研究成果を踏まえ,社団法人日本下水道協会は,「下水道事業における費用効果分析マニュアル(案)」を発行しており,下水道事業の費用効果分析の効果算出は,これ 学の1分野として研究されていて,それらの研究成果を踏まえ,社団法人日本下水道協会は,「下水道事業における費用効果分析マニュアル(案)」を発行しており,下水道事業の費用効果分析の効果算出は,これに基づいてなされるのが一般的である。 このマニュアル案において効果項目とされているのは,別紙7「表-20」のとおりである。 (c) そこで,別紙7「表-20」の「2.便所の水洗化(=住宅環境の改善)」中の,「浄化槽の設置・維持管理費用」について検討する。便所の水洗化効果は,下水道事業が実施されない場合に代替事業として費用名浄化槽の設置費用(維持管理費用を含む。)として計上され,換言すれば,浄化槽の設置費用及び維持管理費用の総額が,下水道事業の便益(効果)となる。 ⅰ 本件下水道事業における汚水の処理は高度処理である。 ここで,高度処理とは,標準活性汚泥法に代表される2次処理により得られる処理水質よりきれいな処理水質を得る処理である。 伊勢湾においては,閉鎖性水域の富栄養化防止を目的として,平成8年2月27日に窒素及びリンにかかる水質環境基準の水域類型指定がなされ,これらの水質環境基準を達成すべく,本件下水道事業は,窒素及びリンを除去する高度処理としている。 そこで,本件下水道事業の代替施設については,高度処理型の合併浄化槽と考えるのが相当であり,その設置及び維持管理費用を検討する。 ⅱ 本件下水道事業の代替施設として高度処理型の合併浄化槽を設置した場合,その設置及び維持管理費用は,別紙7「表-1」のとおり,年当たり115億1150万円となる(現実的には,全戸に合併浄化槽が設置できる敷地があるとは限らない。特に生活道路が狭小で,家屋密度の高い地区では合併浄化槽の設置が極めて困難である。しかし,ここでは,効果算定の必要上,全戸に合併浄 現実的には,全戸に合併浄化槽が設置できる敷地があるとは限らない。特に生活道路が狭小で,家屋密度の高い地区では合併浄化槽の設置が極めて困難である。しかし,ここでは,効果算定の必要上,全戸に合併浄化槽が設置可能であることを前提としている。)。 (d) 別紙7「表-20」には,「○」印で表示されるその他の効果計測項目があるので,以下,説明する。 ⅰ 「1.生活環境の改善(=下水道設備によるドブの解消)」中の「中小水路の覆蓋化(設置・清掃・流量確保)費用」について一般的には効果として算定するが,本件下水道事業においては上記の合併浄化槽(高度処理)を代替施設と考えており,中小水路の覆蓋化費用を計上することは,この場合,効果の重複計上となるおそれがあり,効果算定に加えないこととした。 ⅱ 「3.公共用水域の水質保全(=下水道整備で解消されるべき費用等)」中の,「水質汚濁で失われる公共用水域の存在価値」,「水質汚濁による上水・工業用水の浄化費用」,「農業用水の汚濁による農業被害額」について高度処理型の合併浄化槽が設置され,適切かつ十分な維持管理がなされれば,本件浄化センターが設置されるのと概ね同様の効果が得られると考えられ,これについて効果算定することは重複計上になる部分があるとも考えられることから,効果算定をしなかった。 ⅲ 「4.浸水の防除(=下水道整備で解消されるべき被害額)」中の「浸水被害の軽減額」について本件下水道事業では,雨水管を整備しないので,これに関する効果はない。 ⅳ 「5.その他(=新たに発生する便益額)」中の,「処理場等の用地を公園等に活用できる価値」,「雨水管の流雪溝としての利用価値」,「管渠の光ファイバー設置空間(電線類地中化)としての利用」について「処理場等の用地を公園等に活用できる価値」については 等の用地を公園等に活用できる価値」,「雨水管の流雪溝としての利用価値」,「管渠の光ファイバー設置空間(電線類地中化)としての利用」について「処理場等の用地を公園等に活用できる価値」については,本件下水道事業における施設の一部について公園等に活用する計画がないわけではないが,現時点では計画が具体化しておらず,算定に加えなかった。 「雨水管の流雪溝としての利用価値」については,雨水管を整備しないので,これに関する効果はない。 「管渠の光ファイバー設置空間(電線類地中化)としての利用」については,現時点で事業計画はなく,これについての効果はないものとした。 (e) 別紙7「表-20」中の非計測項目について「表-20」中には「●」印で表示される効果非計測項目があるが,これらについては定量化(金銭化)が困難であることから,効果算定には加えなかった。 (f) 以上から,少なくとも定量化できる本件下水道事業による効果算定額は,年当たり115億1150万円である。 d したがって,本件下水道事業は便益が費用を上回っており,費用便益比(Benefit/Cost)は,別紙7「表-21」のとおり1.25となる。これは,全戸に合併浄化槽が設置可能であること,及び高度処理型の合併浄化槽が設置され,適切かつ十分な維持管理がなされることを前提としたものであり,現実には,1.25を更に上回る可能性が高いと想定される。 エ本件管渠工事の手順について本件浄化センターの用地は,民有地に限っても平成12年3月24日時点で77.9%を取得しているので,概ね用地取得の目途が立っており,事業の手順を無視したものとはいえない。 オ本件管渠工事の施工について本件管渠工事は,「下水道推進工法の指針と解説-2000年版-」(日本下水道協会)に基づき設計された「泥濃式推 途が立っており,事業の手順を無視したものとはいえない。 オ本件管渠工事の施工について本件管渠工事は,「下水道推進工法の指針と解説-2000年版-」(日本下水道協会)に基づき設計された「泥濃式推進工法」によるものであり,「切羽安定」のため地下水圧より高い「高濃度泥水圧」をかけて掘削するものであり,地下水の強制排水は行われないから,井戸水の水位低下や地盤沈下はあり得ない(乙104,105)。 また,薬液注入工法については,「疑問に答える薬液注入工法の設計・施工のノウハウ」(乙24の1)や「薬液注入工法による建設工事の施工に関する暫定指針(建設省)」(乙24の2)等に基づいて実施しており,薬液は使用されたが,人体に影響の少ないものを使用し,また,地下水の安全性を確認するため観測井戸を設置し,水質監視を行った。その結果,当該工事において行われた井戸調査でも水質汚染は生じなかった(乙104,105)。 カ 2次災害の危険のないことについて(ア) 三重県は,「下水道施設の耐震対策指針と解説-1997年版-」(日本下水道協会)に基づき,本件浄化センターの耐震設計を行い,綿密な地盤(地質)調査を行って液状化現象が生じる可能性の検討を行っており(乙98ないし102),本件海岸堤防を含め,本件浄化センターの建設工事に当たっては,十分な耐震対策,液状化対策を行う予定であり,耐震対策に何ら問題はない。仮に,液状化現象が発生し,本件浄化センターにおいては機能面で一時的な停止があっても,復旧に時間を要するものとはならず,下水処理機能に支障が生じるおそれはない。 水害対策として,本件浄化センターの造成地盤高を周囲と比べて約1m嵩上げ盛土するとともに,出入口等を既往最高潮位T.P.+2.7mと同じ高さに盛土したり,防水壁を計画したりしており,水防上の い。 水害対策として,本件浄化センターの造成地盤高を周囲と比べて約1m嵩上げ盛土するとともに,出入口等を既往最高潮位T.P.+2.7mと同じ高さに盛土したり,防水壁を計画したりしており,水防上の問題はない。また,極めて異常な出水により本件浄化センターの造成地が浸水する可能性もないとはいえないが,各施設の出入口で水防活動を行うことにより,処理場機能の確保が可能である。 (イ) 本件管渠工事についても,上記(ア)のとおり,地質調査に基づく液状化判定を含む耐震設計を行った上(乙103),実施しており,耐震対策に問題はない。仮に,液状化現象が発生しても,管渠は流下機能を確保できる構造となっており,下水処理機能に支障が生じるおそれはない。 (ウ) 「三重県地域防災計画被害想定調査報告書」(甲45)は,三重県が地域防災計画震災対策編を改訂するに当たり,「地震によりどの程度の被害が想定されるか,調査した結果」を取りまとめたものであり,個々の施設の耐震性を評価したものではなく,この報告書をもって本件浄化センター等の耐震性が劣るということはできない。 (4) 原告らの主張(3)について三重県は,適切な環境アセスメントを実施している。 ア三重県は,一定規模以上の開発事業等の実施に当たり,あらかじめ事業者自らが環境ヘの影響について調査,予測及び評価を行い,その結果に基づき事業にかかる環境の保全について適正に配慮させることを目的に,昭和54年3月,旧アセス要綱を制定した。 その後,平成6年5月,旧アセス要綱の大幅な見直しを行い,新アセス要綱を策定した。 また,平成9年6月,国において環境影響評価法が制定されたことから,三重県においても,平成10年12月,新アセス要綱に代えて,三重県環境影響評価条例を制定した。 なお,環境影響評価制度は,事業者自らが事 ,平成9年6月,国において環境影響評価法が制定されたことから,三重県においても,平成10年12月,新アセス要綱に代えて,三重県環境影響評価条例を制定した。 なお,環境影響評価制度は,事業者自らが事業にかかる環境影響について事前に調査,予測及び評価を行い,その結果を公表し,関係地域住民等の意見を求めるための手続等を実施することにより,地方公共団体や住民等に幅広く分散して保有されている環境情報(環境の保全の見地からの意見)を,事業者が事業計画の熟度を高めていく過程で収集し,環境保全対策を講じるなど,事業計画を環境保全上より望ましいものにしていくためのものである。 イ本件流域下水道の事業者である三重県は,旧アセス要綱に基づき,平成5年9月28日付けで,環境影響評価制度を所管する知事あてに通知を行い,平成5年度から本件環境影響評価を実施した。 本件環境影響評価における環境影響行為とそれにより影響を受けるおそれのある環境項目は,本件事業計画の内容に基づき,工事中及び施設供用時の2段階に分け,次のとおり抽出した(甲18,乙44の1ないし3)。 段階環境影響行為影響を受けるおそれのある環境項目工事中基礎工事大気質,水質,騒音,振動,地形・地質,廃棄物施設・付帯設備等の建設大気質,騒音,震動,廃棄物施設供用排ガスの排出大気質,悪臭,陸上動物,陸上植物時排水の放流水質(底質),海生生物施設の稼働悪臭,騒音,震動,低周波空気振動,廃棄物施設・付帯設備等の存在陸上動物,陸上植物,自然景観,野外レクリエーション地ウ三重県は,新アセス要綱第4条に基づき,平成7年9月,環境調査の結果を基に本件準備書を作成し,知事,津市長及び河芸町長に送付した。 また,新アセス要綱第5条に基づき,平成7年9月19日及び 地ウ三重県は,新アセス要綱第4条に基づき,平成7年9月,環境調査の結果を基に本件準備書を作成し,知事,津市長及び河芸町長に送付した。 また,新アセス要綱第5条に基づき,平成7年9月19日及び同月20日付けの日刊新聞に,本件準備書の縦覧期間を掲載して公告し,同年9月21日から同年10月26日まで,三重県津地方県民局津土木事務所ほか3か所において本件準備書を縦覧に供するとともに,地元説明会の開催,本件準備書の概要版の配布により関係地域住民への周知を図り,さらに同年11月9日までの間,関係地域住民からの意見書を受け付けた。 エ本件準備書に対し,住民から3件の意見書が提出された。 なお,本件準備書に対する平成8年1月25日付けの知事意見書では,動植物については,ハマボウ等が「自然のレッドデータブック三重」において希少種とされているので,特筆すべき種として取り上げ,予測・評価を行うこと,アカウミガメの産卵調査を行うこと,オオヒョウタンゴミムシ等の海浜昆虫の調査等を行うことなどの意見が記載されている。 また,津市長からは,平成8年2月2日付けで,発生汚泥の自家処理,工事期間中の水質保全,排出水の水質監視,海浜部の狭小化にかかる自然景観への配慮等を求める意見書が提出され,河芸町長からは,平成8年1月29日付けで,本件準備書に対して異存はないものの,事業遂行に当たっては環境保全に十分留意することを求める意見書が提出された。 オ三重県は,本件準備書に対する関係地域住民,知事等の意見を尊重して,一部再調査を行うとともに,白塚海岸の砂浜及び動植物の保全を図るため,事業計画面積を11.32ha(本件浄化センター8.96ha,海岸護岸部2.36ha)から7.01ha(本件浄化センター6.23ha,海岸護岸部0.78ha)に縮小し,また,幅約15 全を図るため,事業計画面積を11.32ha(本件浄化センター8.96ha,海岸護岸部2.36ha)から7.01ha(本件浄化センター6.23ha,海岸護岸部0.78ha)に縮小し,また,幅約15mを残すとしていた砂浜を幅約80m残すこととするなどの事業計画の変更を行い,平成8年7月,本件評価書を作成した。 また,三重県は,本件評価書についても本件準備書と同様に,知事,津市長及び河芸町長への送付,公告・縦覧等の手続を実施している。 カ以上のように,本件環境影響評価にかかる調査,本件準備書の作成,その公告・縦覧,説明会の開催,住民等の意見の収集,住民等の意見を尊重した評価書の作成,その公告・縦覧までの一連の手続については,旧アセス要綱及び新アセス要綱に基づき適正に実施している。 さらに,三重県は,本件評価書の中の事後調査計画において,環境の保全について万全を期すため,事後調査を行うこととし,平成8年度から主として,動植物について事後調査を行い,年度ごとに報告を行っている。これらの調査結果に基づき,平成12年3月,本件検討書案を取りまとめた。この本件検討書案は,同年3月7日,三重県津地方県民局下水道部長から三重県環境部長あてに提出され,評価委員会の審議に付された。 この検討書では,動植物にかかる事後調査において新たに特筆すべき種が確認されたことから,三重県は,これらに対する影響を回避,最小化してその保全を図る見地から,改めて事業計画の見直しを行い,放流渠の位置の変更,工事用仮設道路の変更,特筆すべき動植物保全のための緑化計画変更等の環境保全対策を講じることとした。現在,平成12年5月30日付け三重県環境部長意見等に基づき,より適切なものとするべく調査検討作業を進めているところである。 キ評価委員会では,平成7年9月21日,組織運営 策を講じることとした。現在,平成12年5月30日付け三重県環境部長意見等に基づき,より適切なものとするべく調査検討作業を進めているところである。 キ評価委員会では,平成7年9月21日,組織運営要領7条に基づいて,小委員会を設置することとし,専門家4名の委員を充てた。L教授は,有機光化学,物理有機化学の専門家であり,排出ガス等による大気への影響等についての意見を求めるために委員に選任された。K教授は,水質汚濁に関して幅広い知識と経験を有し,排出水等による水質への影響等についての意見を求めるために委員に選任された。M教授は,海藻の分野について造詣が深く,水質汚濁が海藻等の養殖漁場に及ぼす影響についての意見を求めるために委員に選任された。N教授は,植物プランクトンの生態や海洋環境保全等の専門家であり,排出水等による水生生物への影響についての意見を求めるために委員に選任された。 小委員会に先立って,平成7年9月29日に評価委員会幹事会が開催され,「現況調査で,生育・生息が確認されているハマボウ(植物)及びシロチドリ(鳥類)は,いずれも「自然のレッドデータブック・三重-三重県の保護上重要な地形・地質及び野生動物-」(三重県自然誌の会著)において希少種とされているので,両種を特筆すべき主として取上げ予測・評価を行うこと。」,「オオヒョウタンゴミムシ等の海浜昆虫の調査について検討すること。」の指導を行った。 小委員会では,既存施設の視察調査や幹事会等における意見も踏まえ,2回の小委員会で慎重かつ十分な議論が行われ,「本計画地周辺の海岸部においては,オオヒョウタンゴミムシ,カワラハンミョウ等の保護上重要な海浜昆虫が生息する可能性があるので,これら海浜昆虫に係る生息確認調査を行うとともに,その結果を踏まえ必要な保全措置等を検討する必要がある ,オオヒョウタンゴミムシ,カワラハンミョウ等の保護上重要な海浜昆虫が生息する可能性があるので,これら海浜昆虫に係る生息確認調査を行うとともに,その結果を踏まえ必要な保全措置等を検討する必要がある。」との意見をまとめた。なお,N教授は小委員会を1回欠席したが,後日,個別に意見の徴求がなされている。 小委員会の審議結果は,評価委員会の運営規程2項(4)(乙38)に基づき,会長の同意を得た上で委員会の調査審議結果として他の委員にも報告され,格別の異議はなかったものである。 (5) 原告らの主張(4)について本件下水道事業は,原告らが主張するような環境権を侵害するものではない。 そもそも,環境権なる権利については,実定法の根拠がなく,その成立要件及び内容等も極めて不明確であり,これを私法上の権利として承認することは法的安定性を害するものとして許されるものではない。 また,本件浄化センターの建設により,大幅な水質改善が図られる。 本件下水道事業は,都市の健全な発展及び公衆衛生の向上,公共用水域の水質保全等のために欠くべからざる公共性を有する事業であり,本件浄化センター及び本件海岸堤防については,上記(4)のとおり適切に環境影響評価を行い,現況調査,事後調査の結果や住民意見書等を受けて,自然環境に及ぼす事業の影響の回避,最小化を図るため,建設計画地の縮小,放流渠の位置変更,緑地創出等の対策を講じることとしており,できる限りの自然環境保全を図るものである。 このような本件下水道事業の公共性等を考慮すれば,水質汚染等の環境問題が原告らの「環境権」侵害とならないことは明らかである。 5 本案前の答弁の理由に対する原告らの反論本件下水道事業に関する支出権限は,地方自治法232条により,三重県知事にあるから,被告Gは被告適格を有する。 被告県土整備部 らないことは明らかである。 5 本案前の答弁の理由に対する原告らの反論本件下水道事業に関する支出権限は,地方自治法232条により,三重県知事にあるから,被告Gは被告適格を有する。 被告県土整備部長及び被告下水道室長(当時の下水道課長)には,予算の配分権限があり,支出命令の権限があるから,被告H及び被告Iは被告適格を有する。 県土整備部下水道課長及び被告下水道部長には,会計規則及び決裁事務委任規則等により,支出額に応じて支出命令権者が定められているから,被告I及び被告Jは被告適格を有する。 第3 当裁判所の判断 1 訴えの利益について(主文1,2項)原告らは,平成12年度以降の支出命令及び支出の差止めを求めているが,平成12年4月1日から口頭弁論終結日である平成16年4月22日までに既に支出命令及び支出がなされたものについては,差止めを求める利益を欠くことになるから,その部分にかかる第1事件の訴えは不適法である。 2 監査請求期間の経過について(主文3,9項)(1) 住民監査請求は,当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは,正当な理由があるときを除いて,これを行うことができない(地方自治法242条2項)。 (2) しかるに,上記前提事実(7),(11),証拠(甲9,乙65の1・2,116の2・3)及び弁論の全趣旨によれば,別紙1「第1契約目録」契約番号9-3・5,10-12ないし14・16ないし18・21記載の前払金の支出命令及び同番号9-1ないし5,10-1ないし11記載の精算金の支出命令,並びに別紙2「第2契約目録」契約番号1ないし73,88ないし92の前払金の支出命令,同番号1ないし45,47ないし51,53ないし71,73ないし85,87記載の精算金の支出命令は,いずれも平成11年3月28日以前になされたもの 号1ないし73,88ないし92の前払金の支出命令,同番号1ないし45,47ないし51,53ないし71,73ないし85,87記載の精算金の支出命令は,いずれも平成11年3月28日以前になされたものであって,第1事件原告らが監査請求を行った平成12年3月29日までに1年を経過していることが認められる。 そして,期間徒過に関する正当な理由の存在を認めるに足りる証拠はないから,上記支出命令にかかる被告G,被告H,被告I及び被告Jに対する訴えは,適法な監査請求を経たものとはいえず,不適法である(被告H,被告I及び被告Jに対する上記支出命令にかかる訴えは,後記3の理由によっても不適法である)。 (3) また,上記前提事実(8)ないし(10),証拠(甲9,乙65の1,116の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,別紙3「第3契約目録」契約番号③の前払金の支出命令及び同番号①,②記載の精算金の支出命令は,いずれも平成11年3月16日以前になされたものであって,第2事件原告が監査請求を行った平成12年3月17日までに1年を経過していることが認められる。 そして,期間徒過に関する正当な理由の存在を認めるに足りる証拠はないから,上記支出命令にかかる被告G及び被告Jに対する訴えは,適法な監査請求を経たものとはいえないから,不適法である(被告Jに対する上記支出命令にかかる訴えは,後記3の理由によっても不適法である。)。 3 被告H,被告I,被告Jの支出命令権限について(主文4,5,6,10項)(1) 上記前提事実(1),(7),(9),証拠(乙27ないし30,65の1・2,66の1ないし3,67ないし73,113の1ないし3,114,115,116の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,本件浄化センター及び本件海岸堤防の建設工事は,三重県津地方県民局下水道部が 2,66の1ないし3,67ないし73,113の1ないし3,114,115,116の1ないし3)及び弁論の全趣旨によれば,本件浄化センター及び本件海岸堤防の建設工事は,三重県津地方県民局下水道部が所管する工事であること,三重県の平成10年度から12年度までの支出負担行為についての決裁区分は,別紙8「決裁区分一覧表」記載のとおりで,被告県土整備部長,県土整備部下水道課長(現在の下水道室長),被告下水道部長は,同一覧表に記載のとおりの専決権限を有していたこと,三重県の平成10年度から12年度までの支出命令についての権限は,原則として「当該課所の長」(ただし,「課」には本庁の「課」が含まれ,「所」には地域機関の「部」が含まれる(三重県会計規則2条)。)に委任され,本庁の課長補佐,係長又は地域機関の県民局副部長等が専決する事項については専決者に委任されていること(三重県会計規則8条),前年度会計の出納整理期間中に支出命令を行う場合は前年度の専決権者が支出命令の権限を有することが認められる。 (2) しかるに,被告Hは,平成11年4月1日から平成13年3月31日まで三重県県土整備部長であったから,別紙8「決裁区分一覧表」記載のとおりの専決権限を有しているものの,別紙1「第1契約目録」及び別紙2「第2契約目録」記載の前払金及び精算金の支出命令については何らの専決権限を有していないと認められる。 被告Iは,平成11年4月1日から平成13年3月31日まで三重県県土整備部下水道課長であったから,別紙1「第1契約目録」の契約番号10-22記載の前払金の支出命令について専決権限を有していたものの,その余の別紙1「第1契約目録」及び別紙2「第2契約目録」記載の前払金及び精算金の支出命令については何らの専決権限を有していないと認められる。 被告Jは,平成 令について専決権限を有していたものの,その余の別紙1「第1契約目録」及び別紙2「第2契約目録」記載の前払金及び精算金の支出命令については何らの専決権限を有していないと認められる。 被告Jは,平成11年4月1日から平成13年3月31日まで三重県津地方県民局下水道部長であるから,別紙1「第1契約目録」契約番号11-7・8・14・20記載の前払金の支出命令及び同番号10-12ないし18・20ないし24,11-1・2・5ないし7・9ないし13・15ないし17・19・21・22記載の精算金の支出命令,別紙2「第2契約目録」契約番号93ないし109記載の前払金の支出命令及び同番号52,88,89,91ないし109,116,151記載の精算金の支出命令,並びに別紙3「第3契約目録」契約番号④,⑥記載の前払金の支出命令及び同番号③ないし⑤記載の精算金の支出命令については専決権限を有していたものの,その余の別紙1「第1契約目録」,別紙2「第2契約目録」及び別紙3「第3契約目録」記載の前払金及び精算金の支出命令については何らの専決権限を有していないと認められる。 (3) そうすると,被告Hに対する第1事件の訴えは不適法となる。 被告Iに対する第1事件の訴えのうち,別紙1「第1契約目録」契約番号10-22記載の前払金の支出命令にかかる部分を除く訴えは不適法となる。 被告Jに対する第1事件の訴えのうち,別紙1「第1契約目録」契約番号11-7・8・14・20記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号10-12ないし18・20ないし24,11-1・2・5ないし7・9ないし13・15ないし17・19・21・22の精算金の支出命令にかかる部分,並びに別紙2「第2契約目録」契約番号93ないし109記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号52,88,89,91な いし13・15ないし17・19・21・22の精算金の支出命令にかかる部分,並びに別紙2「第2契約目録」契約番号93ないし109記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号52,88,89,91ないし109,116,151記載の精算金の支出命令にかかる部分を除く訴えは不適法となる。 被告Jに対する第2事件の訴えのうち,別紙3「第3契約目録」契約番号③,④記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号①,②記載の精算金の支出命令にかかる部分は不適法となる。 4 第1,第2事件原告A8の二重起訴について(主文7項)第1,第2事件原告は,第1事件及び第2事件を提訴しているが,第2事件原告が求める支出命令及び支出の差止め並びに損害賠償は,いずれも第1事件における請求に含まれるものであるから,後訴である第1事件の請求のうち第2事件の請求と重複する部分は二重起訴に当たり不適法である。上記2,3で不適法とされた部分を除き二重起訴に当たる部分は,第1事件原告A8の第1事件被告Jに対する訴えのうちの別紙1「第1契約目録」契約番号11-20記載の前払金の支出命令にかかる部分及び同番号10-13・16,11-2記載の精算金の支出命令にかかる部分の訴えである。 5 第2事件原告の被告知事,被告出納長及び被告下水道部長に対する第2事件の訴えの適否について(主文8項)弁論の全趣旨によれば,本件管渠工事は既に終了し,これについての支出命令及び支出が今後行われることはなくなったと認められる。 そうとすれば,被告知事,被告出納長及び被告下水道部長に対する第2事件の差止請求は,訴えの利益が消滅しているから,不適法である。 6 第1事件原告らの被告知事,被告出納長,被告県土整備部長,被告三重県下水道室長及び被告下水道部長に対する第1事件の訴えの適否について弁論の全趣旨に 訴えの利益が消滅しているから,不適法である。 6 第1事件原告らの被告知事,被告出納長,被告県土整備部長,被告三重県下水道室長及び被告下水道部長に対する第1事件の訴えの適否について弁論の全趣旨によれば,本件浄化センター建設及びこれを目的とする本件海岸堤防建設のための工事請負費,用地取得・調査・設計委託等の業務委託費,一般事務費などの支出命令及び支出が,平成16年4月23日(本件口頭弁論終結日)以降もなされることは相当の確実さを持って予測され,しかもその費用は莫大なものになると認められる。 そうとすれば,その支出命令及び支出によって三重県に回復困難な損害を生ずるおそれがある(地方自治法242条の2第1項1号ただし書参照)といい得るから,第1事件原告らの被告知事,被告出納長,被告県土整備部長,被告三重県下水道室長及び被告下水道部長に対する第1事件の訴えのうち,平成16年4月23日以降にかかる部分は,適法である。 7 原告らの主張(1)について(1) 上記前提事実(5)ウ,証拠(甲6,54の1ないし10,乙10ないし17,34,35の1・2,36,37,39,40ないし42,44の1,93ないし96,110)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア本件浄化センター建設計画は,伊勢湾における赤潮の発生を防止するとともに,水質改善を図るため,水質汚濁の主要原因である生活排水の高度処理を行うことを目的として津市白塚海岸及び河芸町河芸海岸に立地し,前面の伊勢湾に高度処理した放流水を排出するものであるが,平成5年当時,三重県では,環境保全のため,昭和54年に制定された旧アセス要綱に基づく環境影響評価を行い,事前に事業実施による環境への影響を科学的に予測し,評価する必要があった。同様に,平成6年6月1日以降は新アセス要綱に基づき,平 ため,昭和54年に制定された旧アセス要綱に基づく環境影響評価を行い,事前に事業実施による環境への影響を科学的に予測し,評価する必要があった。同様に,平成6年6月1日以降は新アセス要綱に基づき,平成11年6月12日以降は三重県環境影響評価条例及び同施行規則に基づき環境影響評価を行う必要があった。 イ平成5年当時,海水の流れの予測には,2次元流況モデルと3次元流況のモデルがあったが,海域の流れを平面的に捉える2次元流況モデルに比べて3次元流況モデルのほうがより精度の高い解析が期待できた。特に本件浄化センター周辺海域の海水の流れは,志登茂川や安濃川といった河川水の流入による影響を受けて複雑な3次元的なものとなっているので,3次元流況モデルによる解析が有用であった。 また,閉鎖水域である伊勢湾などの内湾の水質は,河川などから流入する汚濁物質の影響を受けるとともに,植物プランクトンから魚介類に至るまでの生物が担う反応のみならず,有機物の沈降,流動,拡散といった物理的な変化過程,また酸化・還元などの化学反応が同時に起こるという複雑な系となっているため,水質の予測には,栄養塩類である窒素やリンによってプランクトンが増殖し,海の代表的な汚染指標である化学的酸素要求量(COD)が再生産されるという内湾の富栄養化減少も組み込んだ精度の高い富栄養化モデルによる解析も有用であった。 ウ平成5年当時,3次元流況モデル及び富栄養化モデルを組み合わせた生態系モデルを使用した予測の実績があったのは,三重県内では環境保全事業団のみであった。県内の環境影響評価での海域の水質予測に生態系モデルを用いた事例としては,四日市市の東ソーの四日市第2エチレン事業計画(乙93,94)及び四日市市の昭和四日市石油の重油接触分解装置などの増設計画(乙95)があり,環境保全 域の水質予測に生態系モデルを用いた事例としては,四日市市の東ソーの四日市第2エチレン事業計画(乙93,94)及び四日市市の昭和四日市石油の重油接触分解装置などの増設計画(乙95)があり,環境保全事業団が調査,予測,評価をしていたか,している過程にあった。環境保全事業団は,伊勢湾はもとより五ヶ所湾などの実績も豊富にあり,平成4年度末までに三重県で環境影響評価の手続を開始した108事業のうち過半数の57事業について,事業者からの委託を受けた実績があった(乙96)。 エそこで,三重県は,平成5年に,別紙4「財団法人三重県環境保全事業団との契約関係一覧表」①,②の委託契約は環境保全事業団に行わせるのが最適であるとして,随意契約により同契約を締結した。 三重県は,同一覧表③の委託契約について,その調査内容が上記①,②の契約と同一継続案件であるので,同一業者に委託することが経済的かつ効率的であり,同調査には富栄養化モデルなどによる予測評価が必要であると判断し,三重県域におけるこれらの実績を有していた環境保全事業団に行わせるのが適切であるとして,随意契約により同契約を締結した。 三重県は,同一覧表④の委託契約について,平成5年10月から平成6年3月にかけて実施した上記①,②の契約の調査に関連して行う追加拡散予測計算及び追加調査(水質,動植物)であり,切り離して委託することは不適切であるとして,随意契約により同契約を締結した。 三重県は,同一覧表⑤の委託契約について,平成5年10月から平成8年3月にかけて実施した上記①ないし④の契約の調査に関連して行う追加拡散予測計算及び追加調査(水質)であり,切り離して委託することは不適切であるとして,随意契約により同契約を締結した。 三重県は,同一覧表⑥,⑦の委託契約について,本件評価書の事後調査計画に う追加拡散予測計算及び追加調査(水質)であり,切り離して委託することは不適切であるとして,随意契約により同契約を締結した。 三重県は,同一覧表⑥,⑦の委託契約について,本件評価書の事後調査計画に基づく環境保全のための事後調査であり,当時,環境保全事業団はこの委託業務の調査に対して実績があり,完成度の高い成果が得られると考え,随意契約により同契約を締結した。 三重県は,同一覧表⑧の設計委託契約について,本件浄化センターの放流渠位置変更に伴う環境影響評価再検討の業務であり,当初の環境アセスメントの予測,評価と統一性を持たせる必要があるとして,随意契約により同契約を締結した。 (2) 上記認定の事実によれば,三重県が,別紙4「財団法人三重県環境保全事業団との契約関係一覧表」に記載の設計業務委託契約を随意契約の方法により締結したことは,本件環境影響評価を適切に実施する,あるいは,従前の契約で委託された業務の追加,補充や再検討の業務で従前の契約と同一の発注先とすることが合理的であるなどの理由があったのであって,いずれも「その性質又は目的が競争入札に適しない」(地方自治法234条2項,同施行令167条の2第1項2号)と判断して,随意契約の方法により締結したことに何らの違法もないというべきである。 (3)アこの点,原告らは,「環境保全事業団は3次元流況モデルを保有しておらず,芙蓉海洋開発が同モデルを保有していた。環境保全事業団は,業務を違法に芙蓉海洋開発に再委託していたもので,三重県が環境保全事業団と随意契約の方法により設計業務委託契約を締結したのは違法である。」とも主張する。 しかし,上記認定のとおり,平成5年当時,環境保全事業団には,水質のみならず大気質・騒音・振動・植物・動物等の現況調査及び予測評価の結果を総合的に取りまとめた環境影響 は違法である。」とも主張する。 しかし,上記認定のとおり,平成5年当時,環境保全事業団には,水質のみならず大気質・騒音・振動・植物・動物等の現況調査及び予測評価の結果を総合的に取りまとめた環境影響評価書を作成した実績があり,かつ,三重県内の事業者で唯一,3次元流況モデル及び富栄養化モデルを組み合わせた生態系モデルを使った,水質の予測評価を行った環境影響評価書を作成した実績があったことなどからすると,環境保全事業団は,自ら3次元流況モデルを保有しなかったとしても(甲6(6ないし9頁)参照),3次元流況モデルによる解析を第三者に委託するなどして本件環境影響評価を適切に行うことが十分に期待できたということができるから,随意契約の方法により設計業務委託契約を締結したことが違法であるとはいえない。 イまた,原告らは,「本件評価書に記載された3次元流況解析シミュレーション(乙44の1(200ないし203頁))は,干潮時の流況を示すベクトルが反対方向であり,環境保全事業団に解析の能力がなかった。」と主張する。 しかし,原告らの指摘するベクトルは,地形や風といった外因的な影響を受けやすい表層(水深0ないし2m)ではなく,2層目(水深2ないし5m)の流況及び流速を示したものであり(乙44の1(199頁4ないし5行目)),2層目においては表層と逆向きの流れ(補償流)が発生する(乙134)のであるから,原告らの指摘は失当である。 (4) したがって,原告らの主張(1)は採用できない。 8 原告らの主張(2)について(1) 都市計画法違反の有無についてア原告らは,「河芸幹線管渠を都市計画対象施設としないことが違法である。」旨主張する。 しかし,証拠(甲26,乙4の7,20,26)及び弁論の全趣旨によれば,平成8年11月12日,全国都市計画主管課長会 告らは,「河芸幹線管渠を都市計画対象施設としないことが違法である。」旨主張する。 しかし,証拠(甲26,乙4の7,20,26)及び弁論の全趣旨によれば,平成8年11月12日,全国都市計画主管課長会議において,下水道の都市計画決定の目安が示され,下水道管渠について都市計画の定める範囲は,①下水排除面積が1000ha以上の管渠,②処理水を放流するための主たる管渠の2つが目安とされたこと,河芸幹線はその処理区画面積が1000haに達しなかったことから都市計画決定が行われなかったことが認められる。 そして,そもそも都市計画法11条は「都市計画区域については,都市計画に,次に掲げる施設で必要なものを定めるものとする。」と規定しており,都市施設を都市計画に定めるか否かは都市計画決定権者の判断に委ねられているから,上記の三重県の取扱いは何ら違法でないというべきで,原告らの同主張は採用できない。 イ原告らは,「本件海岸堤防を防潮施設として都市計画決定をしていないことが違法である。」旨主張する。 確かに,本件海岸堤防は,都市計画法11条1項11号,同法施行令5条5条に規定された「防潮の施設」に該当するが,上記アで説示のとおり都市施設を都市計画に定めるか否かは都市計画決定権者の判断に委ねられているから,本件海岸堤防につき都市計画決定をしていないことは違法でなく,原告らの同主張は採用できない。 ウ原告らは,「津市作成の「津都市計画図」には,本件都市計画事業の内容が記載されていないことが違法である。」旨主張する。 しかし,証拠(乙32)及び弁論の全趣旨によれば,原告らの指摘する津市作成の図面は都市計画法14条所定のものではないこと,同法同条所定の津都市計画総括図には,本件都市計画事業の内容が規定されていることが認められるから,原告らの指摘する事情が本 原告らの指摘する津市作成の図面は都市計画法14条所定のものではないこと,同法同条所定の津都市計画総括図には,本件都市計画事業の内容が規定されていることが認められるから,原告らの指摘する事情が本件都市計画事業や本件下水道事業を違法とする余地はなく,原告らの主張は採用できない。 (2) 環境破壊,水質汚濁,河川の流量の問題についてア原告らは,「本件下水道事業は,河川水の流況の変化をもたらす計画であり,河川法の目的に反する。この河川水の流況変化について被告知事と関係部課との協議もなされていない。」と主張する。 確かに,本件下水道事業は,河川水の流況の変化をもたらす計画ではあるが,それが河川管理上支障を及ぼすほどのものであると認めるに足りる証拠はなく,それだけで本件下水道事業が河川法に違反するとはいえない。 イまた,原告らは,「各河川との位置からしても,本件浄化センターはその位置の選定を誤った。」と主張するが,証拠(甲3,乙5)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 一般に,流域下水道の終末処理場については,下水道は自然流下を原則とするので,地形的に最も低い地点を選定するのが有利であるが,その他の条件として,①十分な敷地面積が確保できること,②放流先の利水計画と調整が図れること,③幹線管渠が経済的に建設できること,④放流水域に近接していること,⑤周辺地域住民の同意が得られることを総合的に勘案し決定するとされている。 (イ) 三重県は,本件下水道事業の終末処理場についても上記の各条件について検討し,津市島崎地区,栗真町屋地区,白塚地区の3地区が処理場の適地として候補に上ったが,①島崎地区,栗真町屋地区とも都市計画道路によって敷地が分断されること,②栗真町屋地区には,候補地内に既存の排水機場があること,③島崎地区に ,白塚地区の3地区が処理場の適地として候補に上ったが,①島崎地区,栗真町屋地区とも都市計画道路によって敷地が分断されること,②栗真町屋地区には,候補地内に既存の排水機場があること,③島崎地区については,敷地面積が不足すること,④白塚地区については,海岸堤防を外へ切り回すことにより敷地の一体的な使用が可能となること等を総合的に判断して,最終的に白塚地区を最適地と考え,選定した。 そもそも,本件浄化センターの位置の選定は,事業者である三重県の裁量に委ねられていると解されるが,上記認定の事実によれば,三重県においてその権限を濫用したとは認められない。 ウさらに,原告らは,「本件海岸堤防建設工事が,白砂青松の景観や自然の持つ海浜の浄化作用や貴重な生態系を破壊する。」と主張するが,本件海岸堤防建設工事が,白砂青松の景観や自然の持つ海浜の浄化作用や貴重な生態系を一部損なうことがあるにしても,他方で,本件下水道事業による河川水及び海水の水質改善という効果も得られるのであって,原告らの主張の事実により本件下水道事業にかかる支出命令及び支出が地方自治法2条14項に違反することになるとは解されない。 エしたがって,原告らの同主張は採用できない。 (3) 費用対効果についてア証拠(甲34の6,乙4の7,6ないし9,19,31,74ないし92,106,107,117ないし128,131ないし133)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 一般に,下水道は浄化槽に比べ約2倍の耐用年数がある。下水道は,一般家庭からだけでなく,事務所,オフィス,学校などを含む街全体からの多種多様な排水を処理できるが,浄化槽が処理できるのは,一般家庭から排出される汚水の処理のみである。下水道は,多種多様な排水を処理するだけでなく,汚泥処理や雨水対策な ,学校などを含む街全体からの多種多様な排水を処理できるが,浄化槽が処理できるのは,一般家庭から排出される汚水の処理のみである。下水道は,多種多様な排水を処理するだけでなく,汚泥処理や雨水対策なども行うことができるが,浄化槽そのものでは汚泥処理の対応ができないため,別途,し尿処理センターなどの汚泥処理施設の建設が必要となる。したがって,一般的に事業所などからの排水などを含む多種多様な排水が発生する地域には下水道事業が適している。 水質に関する検査についても,下水道事業においては,下水道法施行令12条において最低月2回の検査が義務付けられ,検査項目としてBOD(生物化学的酸素要求量)が義務付けられているが,浄化槽の場合は,浄化槽法11条において年1回の水質検査の義務付けしかなく,その検査項目には水質基準の重要な要素であるBODが含まれていない。ちなみに,三重県においては,下水道の水質検査を毎日行っている。 (イ) 社団法人日本下水道協会発行の「下水道事業における費用効果分析マニュアル(案)」(乙74)に基づき,平成15年12月に変更が認可された本件下水道事業(乙117)の費用効果分析の結果は次のとおりで,便益が費用を上回っている。 すなわち,本件下水道事業にかかる費用は,別紙7「表-15ないし19」を基にして,「表-14」のとおり,年当たり費用は91億8490万円と算出される。 他方,下水道事業の一般的な効果としては,別紙7「表-20」のとおり,生活環境の改善(悪水路の解消,景観の向上),便所の水洗化,公共用水域の水質保全,その他の効果(処理場等の上部を公園等に活用できる効果,下水道管渠に光ファイバーケーブルを敷設できる効果など)がある。本件下水道事業による効果のうちの便所の水洗化につき定量化すると,別紙7「表-2ないし13」を 理場等の上部を公園等に活用できる効果,下水道管渠に光ファイバーケーブルを敷設できる効果など)がある。本件下水道事業による効果のうちの便所の水洗化につき定量化すると,別紙7「表-2ないし13」を基にして,「表-1」のとおり,年当たり115億1150万円と算出される。 そうすると,効果を費用で除した数値は,1.25となる。 イ費用効果分析については様々な手法があり得るが,上記の三重県による費用効果分析に格別不合理とする点はなく,本件下水道事業は,浄化槽と比較した費用対効果の点からしても,何ら地方自治法2条14項に違反するものではない。なお,上記でア(イ)で算出された効果は,別紙7「表-20」のうちの効果計測項目9項目のうちの1つにすぎず,効果非計測項目も10項目存在することからすると,本件下水道事業による効果が更に高くなることも予想される。また,本件下水道事業対象地区の全戸には家屋の密集するところもあり,高度処理の可能な合併浄化槽が設置できるわけではなく,この点でも本件下水道事業による効果と費用の差が一層開くものと解される。 この点,原告らは,「合併浄化槽の耐用年数を全体として26年(躯体30年,機器設備類11年)として計算すると,本件下水道事業の費用効果分析を試算すると,別紙8のとおり,0.8444(浄化槽1基の価格を110万6000円とした場合)又は0.9437(浄化槽1基の価格を150万円とした場合)と算出される。」などと主張するが,合併浄化槽の全体としての耐用年数を15年とみるか,26年とみるかについては,合併浄化槽それぞれの性能や維持管理の状況等の事情によって異なるのであって,15年を採用することが直ちに不合理なものということはできないし,仮に15年より長期の年数を採用したとしても,上記ア(イ)の計算に上らない効果も存 や維持管理の状況等の事情によって異なるのであって,15年を採用することが直ちに不合理なものということはできないし,仮に15年より長期の年数を採用したとしても,上記ア(イ)の計算に上らない効果も存在するのであって,このことによって効果が費用を必ず下回るものと認めることはできない。 したがって,原告らの同主張は採用できない。 (4) 本件管渠工事の手順について原告らは,「本件管渠工事は,本件浄化センターの用地取得の見込みがないのに,実施したもので,違法である。」と主張するが,本件浄化センターの用地取得の見込みがないと認めるに足りる証拠はなく,原告らの主張は採用できない。。 (5) 本件管渠工事の施工について原告らは,「本件管渠工事の行われる道路は狭隘で,工事期間中の交通遮断や振動,騒音等によって住民への影響が大きい。」と主張するが,本件下水道事業を中止すべきほどの損失が付近住民に生じたと認めるに足りる証拠はない。 また,原告らは,「本件管渠工事に当たって,地下水の強制排除が行われて井戸水の水位低下や地盤沈下が生じる,薬液注入工法により井戸水が汚染される。」などと主張するが,証拠(乙23,24の1・2,104,105,112)及び弁論の全趣旨によれば,本件管渠工事は泥濃推進工法により地下水の強制排水を行わずに施工されていること,薬液注入工法は国土交通省の定める指針等に基づいて施工されており,実際にも付近の井戸水に汚染は見つからなかったことが認められ,原告らの主張は採用できない。 (6) 2次災害の危険についてア証拠(甲45,乙98ないし105,112)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 三重県は,本件浄化センターの耐震設計,液状化検討を行っており,本件海岸堤防を含め,本件浄化センターの工事実施に当たっても,耐 5,112)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 (ア) 三重県は,本件浄化センターの耐震設計,液状化検討を行っており,本件海岸堤防を含め,本件浄化センターの工事実施に当たっても,耐震対策及び液状化対策が採られる見込みである。 三重県は,水害対策として,下水処理場の造成地盤高を周囲と比べて約1m嵩上げ盛土するとともに,出入口等を既往最高潮位と同じ高さに盛土し,防水壁を計画している。 (イ) 三重県は,管渠工事についても,地質調査に基づく液状化判定を含む耐震設計を行った上,実施している。 イ上記認定の事実によれば,本件浄化センター及び幹線管渠につき,地震による2次災害のおそれは乏しいというべきである。 また,仮に本件浄化センター及び幹線管渠につき,2次災害のおそれを完全に否定できないとしても,他方で,それまでの期間,本件下水道事業には海水及び河川水の水質改善等の効果があり,また,復旧も見込まれるのであって,そのおそれによって直ちに本件下水道事業にかかる支出命令及び支出が地方自治法2条14項に違反することになるとも解されない。 したがって,原告らの同主張は採用できない。 9 原告らの主張(3)について(1) 上記前提事実(3),(4),証拠(甲4の10・11,14,18,53の1ないし6,乙34,35の1・2,36ないし42,43の1ないし3,44の1ないし3,45の1ないし6,46の1・2,47ないし51,52の1ないし4,53ないし63,108,109,111)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア三重県は,一定規模以上の開発事業等の実施に当たり,あらかじめ事業者自らが環境ヘの影響について調査,予測及び評価を行い,その結果に基づき事業にかかる環境の保全について適正に配慮させることを目的に,昭和54年3月 規模以上の開発事業等の実施に当たり,あらかじめ事業者自らが環境ヘの影響について調査,予測及び評価を行い,その結果に基づき事業にかかる環境の保全について適正に配慮させることを目的に,昭和54年3月,旧アセス要綱を制定した。 その後,平成6年5月,旧アセス要綱の大幅な見直しを行い,新アセス要綱が策定された。 さらに,平成9年6月,国において環境影響評価法が制定されたことから,三重県においても,平成10年12月,三重県環境影響評価条例が制定された。 イ三重県は,旧アセス要綱に基づき,平成5年9月28日付けで,環境影響評価制度を所管する知事あてに通知を行い,平成5年度から本件浄化センター設置に伴う環境影響評価を実施した。 本件環境影響評価における環境影響行為とそれにより影響を受けるおそれのある環境項目は,事業計画の内容に基づき,工事中及び施設供用時の2段階に分けて抽出した(甲18)。 ウ新アセス要綱4条に基づき,三重県は,平成7年9月,環境調査の結果を基に本件準備書を作成し,知事,津市長及び河芸町長に送付した。 また,新アセス要綱5条に基づき,平成7年9月19日及び同月20日付けの日刊新聞に,本件準備書の縦覧期間を掲載して公告し,同年9月21日から同年10月26日まで,三重県津地方県民局津土木事務所ほか3か所において本件準備書を縦覧に供するとともに,地元説明会の開催,本件準備書の概要版の配布により関係地域住民への周知を図り,さらに同年11月9日までの間,関係地域住民からの意見書を受け付けた。 エ被告知事は,平成7年9月19日,新アセス要綱6条4項に基づき,評価委員会に対して,本件準備書に対する意見を求めた。 評価委員会は,同月21日,その組織運営要領7条1項に基づいて小委員会を設置することにし,有機光化学及び物理有機化学の専門家であ 4項に基づき,評価委員会に対して,本件準備書に対する意見を求めた。 評価委員会は,同月21日,その組織運営要領7条1項に基づいて小委員会を設置することにし,有機光化学及び物理有機化学の専門家であるL三重大学工学部教授,水質汚濁に関する専門家であるK四日市大学教授(委員長),海藻の分野に造詣の深いM三重大学名誉教授,植物プランクトンや海洋環境保全の専門家であるN三重大学生物資源学部助教授の4名を充てた。 評価委員会幹事会は,平成7年9月29日に開催され,その後,上記小委員会が同年10月16日と同年11月24日の2度にわたって開催された。なお,N委員は,第2回小委員会に欠席したため,同年12月5日に個別に意見聴取が行われた。 小委員会は,平成8年1月18日,本件準備書に対する意見を取りまとめて評価委員会に報告した。評価委員会は,同月22日,運営規程2条(4)に基づき,会長の同意を得て,小委員会の意見を評価委員会の意見とし,他の評価委員に報告した。 オ本件準備書に対し,住民から3件の意見書が提出された。 なお,本件準備書に対する平成8年1月25日付けの知事意見書では,動植物については,ハマボウ等が「自然のレッドデータブック三重」において希少種とされているので,特筆すべき種として取り上げ,予測・評価を行うこと,アカウミガメの産卵調査を行うこと,オオヒョウタンゴミムシ等の海浜昆虫の調査等を行うことなどの意見が記載されている。 また,津市長からは,平成8年2月2日付けで,発生汚泥の自家処理,工事期間中の水質保全,排出水の水質監視,海浜部の狭小化にかかる自然景観への配慮等を求める意見書が提出され,河芸町長からは,平成8年1月29日付けで,本件準備書に対して異存はないものの事業遂行に当たっては環境保全に十分留意することを求める意見書が提出された る自然景観への配慮等を求める意見書が提出され,河芸町長からは,平成8年1月29日付けで,本件準備書に対して異存はないものの事業遂行に当たっては環境保全に十分留意することを求める意見書が提出された。 カ三重県は,本件準備書に対する関係地域住民,知事等の意見を尊重して,一部再調査を行うとともに,白塚海岸の砂浜及び動植物の保全を図るため,事業計画面積を11.32ha(浄化センター8.96ha,海岸護岸部2.36ha)から7.01ha(浄化センター6.23ha,海岸護岸部0.78ha)に縮小し,また,幅約15mを残すとしていた砂浜を幅約80m残すこととするなどの事業計画の変更を行い,平成8年7月,本件評価書を作成した。 また,三重県は,本件評価書についても本件準備書と同様に,知事,津市長及び河芸町長への送付,公告・縦覧等の手続を実施した。 キ三重県は,評価書の中の事後調査計画において事後調査を行うこととし,平成8年度から主として,動植物について事後調査を行い,年度毎に報告を行っている。これらの調査結果に基づき,平成12年3月,本件検討書案を取りまとめた。本件検討書案は,同年3月7日,三重県津地方県民局下水道部長から三重県環境部長あてに提出され,評価委員会の審議に付された。 本件検討書案では,動植物にかかる事後調査において新たに特筆すべき種が確認されたことから,三重県は,これらに対する影響を回避,最小化してその保全を図る見地から,改めて事業計画の見直しを行い,放流渠の位置の変更,工事用仮設道路の変更,特筆すべき動植物保全のための緑化計画変更等の環境保全対策を講じることとされた。 (2) 上記認定の事実によれば,本件環境影響評価にかかる調査,本件準備書の作成,その公告・縦覧,説明会の開催,住民等の意見の収集,住民等の意見を尊重した本件評 環境保全対策を講じることとされた。 (2) 上記認定の事実によれば,本件環境影響評価にかかる調査,本件準備書の作成,その公告・縦覧,説明会の開催,住民等の意見の収集,住民等の意見を尊重した本件評価書の作成,その公告・縦覧までの一連の手続は適正に行われており,本件環境影響評価に本件下水道事業にかかる支出命令又は支出が違法になるような瑕疵があるとは認められない。 この点,原告らは,「本件準備書及び本件評価書には,土壌動物,クモ類,陸産貝類の調査・影響の予測・評価の項目が全く欠如している。本件検討書においても,鳥類についての調査やその生態系についての正確な観察分析が不十分である。評価委員は,ほとんど本件準備書に目を通していない。」旨主張するが,原告ら主張の調査項目が一部欠落していたとしても,評価委員会は小委員会を構成して審議に当たらせ,その審議結果を得て,会長の同意を得て評価委員会の調査審議結果とすることができるとされており(乙38),実際に,本件準備書につき小委員会が審議し,会長の同意を得て評価委員会の調査審議結果としている(乙58,59)から,本件環境影響評価に瑕疵があるとは認められない。 したがって,原告らの同主張は採用できない。 原告らの主張(4)について環境権なる権利については,実定法の根拠がなく,その成立要件及び内容等も極めて不明確であるから,これをもって,財務会計行為の差止めを求める根拠となし得ないというべきである。 したがって,原告らの同主張は採用できない。 11 結論よって,主文のとおり判決する。 津地方裁判所民事第1部裁判長裁判官内田計一裁判官上野泰史裁判官後藤誠(別紙省略) 裁判長裁判官内田計一裁判官上野泰史裁判官後藤誠(別紙省略)
▼ クリックして全文を表示