- 1 -平成21年1月20日判決言渡同日原本交付裁判所書記官平成18年(ワ)第7758号不正競争行為差止等請求事件〔第1事件,同第7〕759号損害賠償請求事件〔第2事件〕口頭弁論終結日平成20年10月20日判決第1事件原告兼第2事件被告(以下「原告」という)。 有限会社ナチュラルウェーブ訴訟代理人弁護士野嶋直第1事件被告兼第2事件原告(以下「被告」という)。 株式会社ウェーブ第1事件被告(以下「被告」という)。 ニッショク株式会社第1事件被告(以下「被告」という)。 A被告ら訴訟代理人弁護士池谷博行主文 被告株式会社ウェーブ及び被告ニッショク株式会社は,それぞれ「新快通ハーブ粒」又は「快通ハーブ粒」の表示を使用したハーブを主原料とする粒状の加工食品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示してはならない。 被告らは,原告に対し,各自626万7736円及びこれに対する平成18年1月1日(ただし,被告Aについては平成18年6月15日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 被告株式会社ウェーブの原告に対する請求を棄却する。 訴訟費用は,これを5分し,その3を原告の,その余を被告らの各負- 2 -担とする。 この判決の第1,2項は,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1請求【第1事件】 被告株式会社ウェーブ(以下「被告ウェーブ」という)及び被告ニッショ。 ク株式会社(以下「被告ニッショク」といい,被告ウェーブと併せて「被告会社ら」という)は,それぞれ「新快通ハーブ粒」又は「快通ハーブ粒」の表。 示を使用したハーブを主原料とする粒状の加工食品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのため い,被告ウェーブと併せて「被告会社ら」という)は,それぞれ「新快通ハーブ粒」又は「快通ハーブ粒」の表。 示を使用したハーブを主原料とする粒状の加工食品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,又は電気通信回線を通じて提供してはならない。 被告らは,原告に対し,連帯して1億円及びこれに対する平成18年1月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 【第2事件】原告は,被告ウェーブに対し,1253万9038円及びこれに対する訴状送達の日の翌日(平成18年4月2日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 第2事案の概要第1事件は,原告が,被告会社らにおいて「新快通ハーブ粒」又は「快通ハーブ粒」の表示を使用したハーブを主原料とする粒状の加工食品(以下,ハーブを主原料とする粒状の加工食品を「ハーブ粒商品」という)を販売しよう。 としており,原告の有する後記商標権を侵害するおそれがあり,又は不正競争防止法2条1項1号の不正競争を行うおそれがあると主張して,後記商標権又は不正競争防止法3条に基づき上記販売等の差止めを求める(商標権に基づく請求と不正競争防止法3条に基づく請求は選択的に併合されたものである)。 とともに,被告会社らに対して後記の製造委託契約上の債務不履行又は民法7- 3 -09条の不法行為並びに不正競争防止法4条(2条1項14号の虚偽事実告知の不正競争行為)に基づき,被告A(以下「被告A」という)に対しては会。 社法429条に基づき,各自原告の被った1億3113万8799円の損害金の内金1億円の連帯支払及びこれに対する不法行為の日の後である平成18年1月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 第2事件は,被告ウェーブが,原告に対し,後記製造委託契 支払及びこれに対する不法行為の日の後である平成18年1月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 第2事件は,被告ウェーブが,原告に対し,後記製造委託契約上の原告の債務不履行に基づく損害賠償請求として1253万9038円及びこれに対する同事件の訴状送達の日の翌日である平成18年4月2日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 (。) 争いのない事実等末尾に証拠の掲記のない事実は当事者間に争いがない( )当事者 原告は,いわゆる健康食品などの販売等をする有限会社であり,平成12「」(「」。),年1月より快通ハーブ粒という商品名以下原告表示というでハーブ粒商品(以下「原告商品」という)を販売している。 。 被告ウェーブ及び被告ニッショクは,いわゆる健康食品などの販売等をする株式会社であり,被告Aは,両社の代表取締役である。 ( )原告の商標権 原告は,下記の商標権(以下「本件商標権」といい,その登録商標を「本件登録商標」という)を有する(甲39,40。 。 )登録番号第5062995号指定商品第29類ハーブを主成分とする粒状の加工食品出願日平成17年11月4日登録日平成19年7月13日登録商標快通ハーブ粒(標準文字)( )製造委託契約 - 4 -原告は,平成11年より被告ウェーブに対して原告商品の製造を委託していたが,平成13年1月1日,被告ウェーブとの間で,次の内容の「快通ハーブ粒製造委託契約」と題する契約(以下「本件製造委託契約」といい,同契約に係る契約書〔甲4〕を「本件製造委託契約書」という)を締結した。 (甲4。 ),。()ア原告の発注する数量について被告ウェーブは安定 と題する契約(以下「本件製造委託契約」といい,同契約に係る契約書〔甲4〕を「本件製造委託契約書」という)を締結した。 (甲4。 ),。()ア原告の発注する数量について被告ウェーブは安定供給を行う2項イ原告は発注するに当たり,120粒,1000個を最低ロットとする。 また,発注予測については,事前に原告が被告ウェーブに通知するものとする(3項)。 ,。 ウ被告ウェーブは快通ハーブ粒のチラシ付きサンプルを無償で提供する提供数量については,原告・被告ウェーブ協議の上決定する(5項)。 エ被告ウェーブの自社ブランドとして発売されている,スリムダイエット,,。 粒の包装変更として120粒定価2900円の発売を原告は承認するスリムダイエット粒をOEM商品として他社に供給するときは,後記カの販売エリアの遵守について,相手方とのOEM契約書においてその履行を確認することとする(6項)。 オ納入価格は120粒1箱,1305円20銭とする。ただし,1000個に対して300個の無償添付を行う(7項)。 カ快通ハーブ粒の販売に当たり,原告は近畿2府4県及び石川,三重,徳島の各県(以下「本件エリア」という)においては店舗販売ルートにお。 けるハーブ粒商品の独占販売を行い,それ以外の地域については,被告ウェーブの製造販売するスリムダイエット粒と協調販売を行う。被告ウェー()ブの発売するスリムダイエット粒は原告の上記独占発売地域本件エリア外において販売活動を行うものとする。なお,被告ウェーブの取引先に関し,広域販売網を持つ会社との取引については,その出店先が上記条項に抵触しないこと(9項。以下,この条項を「本件エリア条項」という。 。)- 5 -キ被告ウェーブの製造販売する上記商品(ハーブティ他お茶製品)の納入先に対し については,その出店先が上記条項に抵触しないこと(9項。以下,この条項を「本件エリア条項」という。 。)- 5 -キ被告ウェーブの製造販売する上記商品(ハーブティ他お茶製品)の納入先に対しては,原告は快通ハーブ粒の販売は行わないものとする(10。 項)ク契約事項に違反し原告又は被告ウェーブに損害が生じた時は,相当額を補償するものとする(12項)。 ( )本件製造委託契約の終了 被告ウェーブは,平成17年12月13日付けの契約解除通知書の送付(同月14日到達)により,原告に対し,原告が本件製造委託契約に違反して他社に「快通ハーブ粒」の製造委託をしたことを原告の債務不履行とし,これにより信頼関係が破壊されたことを理由に,同契約を解除する旨の意思表示をした(甲5の1,乙1の1・2。 )これに対して原告は,同月28日付けで,被告ウェーブが解除原因に関して原告の債務不履行を主張する前提となる原告の製造委託義務が原告にはないこと及び同被告が本件エリア内においてハーブ粒商品商品名ス,(「ーパーハーブティー粒」等。以下,被告会社らが本件エリア内において原告以外の店舗に販売していたハーブ粒商品を「被告商品」という)を販。 売していることを理由に本件製造委託契約を解除する旨の意思表示をした(甲5の2。 )その後,原告は,被告ウェーブに対してハーブ粒商品の製造委託をしていない。 ( )被告ニッショクは,平成17年10月28日,第29類「ハーブを主原 料とする粒状の加工食品」を指定商品とし,商標を「快通ハーブ粒」とする商標登録出願(商願2005-101239)をした(甲10。また,)被告らは,株式会社キリン堂(以下「キリン堂」という)に対し,ハー。 ブを主原料とする粒状の加工食品の商談を持ちかけたことがあった。 そこで 願(商願2005-101239)をした(甲10。また,)被告らは,株式会社キリン堂(以下「キリン堂」という)に対し,ハー。 ブを主原料とする粒状の加工食品の商談を持ちかけたことがあった。 そこで,原告は,被告らに対し,大津地方裁判所に不正競争防止法に基- 6 -づく差止めの仮処分命令を申し立て,同裁判所は,平成18年3月7日,被告らに対し「新快通ハーブ粒」又は「快通ハーブ粒」の表示を使用し,たハーブを主原料とする加工食品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,又は電気通信回路を通じて提供してはならない(同裁判所平成18年(ヨ)第6号)と命ずる旨の仮処分命令をした。 争点 【第1事件】( )不正競争防止法3条(2条1項1号)又は商標権に基づく差止請求につ いてア原告表示(快通ハーブ粒)は原告の商品表示として周知性を取得し「」ているか(争点1)イ被告会社らが被告表示を使用してハーブ粒商品を販売することが原告商品との誤認混同を生じさせるおそれがあるか(争点2)ウ指定商品及び商標の類否(争点3)エ営業上の利益又は商標権の侵害のおそれの有無(争点4)( )原告の被告ウェーブに対する債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償 請求権の有無(争点5)( )原告の被告ニッショクに対する不法行為(共同不法行為)に基づく損害 賠償請求権の有無(争点6)( )被告Aの原告に対する会社法429条に基づく取締役の第三者に対する 損害賠償責任の有無(争点7)( )被告らの営業誹謗行為による損害賠償請求権の有無(争点8) ( )上記債務不履行又は不法行為に基づき原告が被った損害額(争点9) 【第2事件】( )本件製造委託契約に基づき原告は被告ウェーブに対して製造委託義務を 負うか否か(争点10 点8) ( )上記債務不履行又は不法行為に基づき原告が被った損害額(争点9) 【第2事件】( )本件製造委託契約に基づき原告は被告ウェーブに対して製造委託義務を 負うか否か(争点10。 )- 7 -( )被告ウェーブの被った損害(争点11) 第3主要な争点(争点5以下)に関する当事者の主張 争点5(原告の被告ウェーブに対する損害賠償請求権の有無)について【原告の主張】( )本件製造委託契約における被告ウェーブの債務不履行 ,。 ,本件エリア条項は被告ウェーブの販売地域に関する規定であるそして本件エリア条項は,上記地域内で店舗販売ルートにのせることを制限していること及び広域販売網を持つ会社との取引を制限していることから,被告ウェーブが上記地域内の問屋などを通じて販売することを制限する趣旨である。 しかるに,被告ウェーブは,これに違反して,ハーブ粒商品を販売しているので,債務不履行責任を負う。 ( )また,本件製造委託契約は,当然に又は付随義務として,被告ウェーブ の関連会社(被告ニッショク等)に対しても本件エリア条項を遵守させる義務をも含むものであるから,被告ウェーブは,被告ニッショクのハーブ粒商品の販売についても債務不履行責任を負う。 なお,原告は,平成11年から,被告ウェーブに快通ハーブ粒の製造を委託しており,これに関し,原告と被告ウェーブは,平成12年夏ころには既に本件製造委託契約書とは別の契約書を取り交わしていた。しかるに,被告ウェーブ(ないし被告ニッショク)が製造販売している商品について,平成12年秋,薬事法違反の疑いが生じたことから,再度,同年年末に本件製造委託契約書を取り交わしたものである。 本件製造委託契約書は,原告と被告ウェーブ双方がその契約内容を納得した上で作成したものであり, 2年秋,薬事法違反の疑いが生じたことから,再度,同年年末に本件製造委託契約書を取り交わしたものである。 本件製造委託契約書は,原告と被告ウェーブ双方がその契約内容を納得した上で作成したものであり,口頭で本件エリア条項の効力のみを失わせるような別段の合意はなかった。 ( )被告らは,原告代表者との間でキリン堂のみを除外する趣旨の口頭によ - 8 -る合意をしたと主張する。しかし,被告Aは,原告代表者とは直接交渉していないと上記主張と矛盾する供述をしていること,被告Aは,別の契約書作成後,弁護士と相談の上「この内容でよかったら,これで判子ついてあげ,たらいいやないかということで,私は判子をつきました」と供述していること,被告Aが弁護士と打合せの上で発送した契約解除通知書(甲5の1)の表現(近畿圏並びに石川県…販売を行うことを付け加えて)も口頭合意「」の不存在を前提としていることからすると,被告ウェーブの主張は事実ではない。 ( )被告会社らの上記行為は,本件製造委託契約により開示を受けた原告商 品及び取引先に関する情報を利用した悪質なものであることから,単なる債務不履行に止まらず,原告に対する不法行為を構成する。 【被告ウェーブの主張】( )本件製造委託契約の債務不履行がないこと ア以下のとおり,本件製造委託契約は,被告ウェーブのハーブ粒商品の販売エリアについて,本件エリア内のキリン堂の店舗には販売しないという約束であったのであり,原告のいうように本件エリアにおけるすべての販売を禁止するものではなかった。確かに,本件エリア条項の字面だけを読めば,原告の主張どおりであるが,被告ウェーブの主張に合理性がある。 イ被告ウェーブは,平成10年ころに原告との取引を開始し,当初は,被告ニッショクが製造した商品を,被告ウェーブを 項の字面だけを読めば,原告の主張どおりであるが,被告ウェーブの主張に合理性がある。 イ被告ウェーブは,平成10年ころに原告との取引を開始し,当初は,被告ニッショクが製造した商品を,被告ウェーブを通じて原告に販売していた。被告ウェーブは,平成13年ころ原告からプライベートブランドで商品を販売したいという申し出を受け,従前の被告ニッショクが製造していた商品と同じハーブ粒商品であるが「快通ハーブ粒」という商品名(原,告表示)でハーブ粒商品を受託製造し,原告に販売するようになった。 その際,原告と被告ウェーブ間で製造委託契約書が作成されたが,最初に作られたものは,被告ウェーブの従業員が被告Aの了解なく勝手に作っ- 9 -たものであった。内容的には本件製造委託契約書と同じものであったが,原告の提案で入っていた本件エリア条項では,被告ウェーブが従来から販売しているハーブ粒商品を販売することができなくなってしまうことから,被告Aは,原告代表者に対し,この条項どおりにするのであれば,5000万円くらいは出してもらわないと割に合わないと話をした。それに対し,原告代表者は,そんなお金はないと述べた上で,被告Aに対し,被告ウェーブが販売していたハーブ粒商品はそのまま本件エリア条項記載のエリアで販売してもいいが,そのエリア内のキリン堂だけには販売しないでほしいと述べた。原告の主な取引先はキリン堂であり,キリン堂で商品が競合すると原告の売上げにかなりの影響を及ぼす一方,被告ウェーブとしては,当時,キリン堂とは殆ど取引がなく,取引をするため営業活動をした上で直接キリン堂に販売することと,逆に取引実績を持っている原告を通じて販売することを比べると,後者の方に利があると判断したからである。そのようなことから,原告と被告ウェーブとの利害が一致し,上記に述べた キリン堂に販売することと,逆に取引実績を持っている原告を通じて販売することを比べると,後者の方に利があると判断したからである。そのようなことから,原告と被告ウェーブとの利害が一致し,上記に述べた趣旨で,本件製造委託契約書が作成されたものである。 ウこのように,被告ウェーブが本件エリア条項記載のエリアにハーブ粒商品を一切売却しないというような契約ではなかった。そのことは,本件製造委託契約締結後も,原告は,被告らがこれらの商品を製造販売していることを認識していたにもかかわらず何らの抗議もしなかったことから明らかである。 エ原告代表者も,本件製造委託契約書が作成される前にもう1通の契約書があったことは認めるところ,その理由として,被告側に当時(平成12年11月ころ)薬事法違反の事実が出てきたことが理由であると述べているが,薬事法違反があったからということで契約内容に変更追加されたものがないのに,同じ内容の契約書を作成する理由がなく,原告代表者の供述は信用できない。 - 10 -次に,原告代表者の供述によれば,被告ウェーブの扱うハーブ粒商品の販売先を限定した理由について,当然原告側に大きなメリットがあることであるが,被告ウェーブ側のメリットは,原告から大量の注文が見込めるということのようである。しかし,原告が被告ウェーブに快通ハーブ粒を製造委託したのが平成12年初めころであり,その前はハーブ粒商品を一切購入した実績がなかったから,当時被告ウェーブにおいて大量注文が見込めるなどとは到底判断できず,この点からも原告代表者の供述は信用できない。他方,被告ウェーブの上記主張に沿う被告Aの供述は具体的,詳細で合理性があり,信用できる。 また,原告代表者は,平成14年ころに被告ウェーブが本件エリア内にあるドラッグストアに被告ウェーブのハーブ粒商品 ,被告ウェーブの上記主張に沿う被告Aの供述は具体的,詳細で合理性があり,信用できる。 また,原告代表者は,平成14年ころに被告ウェーブが本件エリア内にあるドラッグストアに被告ウェーブのハーブ粒商品が販売されているのを知り,同被告の従業員に改善を求めたと供述する。しかし,仮にそうだとすれば,そのことが実行されているかどうか確認しているはずであるし,もし改善されていなければ,被告ウェーブに対してさらに文書で警告するとか差止請求をするとかの措置を執るはずであるのに,そのようなことは一切行っていない。したがって,原告代表者が被告ウェーブ従業員に改善を求めたという事実自体に信用性がなく,さらに,本件エリア条項の内容が被告ウェーブが主張するとおりの内容であったことを意味する。 争点6(原告の被告ニッショクに対する不法行為に基づく損害賠償請求権の有無)について【原告の主張】( )被告ニッショクは,以下のとおり,被告ウェーブと実質的に一体である ことから,信義則上,被告ニッショクに対しても,本件条項の効力が及ぶ。 ア物的設備の一体性被告ウェーブの実質的な本店は大津市〈以下略(被告ニッショクの本〉店と同じ住所)である。また,被告ニッショクは,被告ウェーブの製造部- 11 -門であり専ら同被告の製品を製造等している。 イ役員及び従業員等の一体性被告会社らの代表取締役及び両者の従業員は共通している。また,被告会社らの取締役も被告Aの親族であって,ほぼ共通している。なお,被告ウェーブの株式1980株のうち,9割を被告ニッショク,1割を被告Aが保有している(株主は2名のみ。 )( )原告は,被告ウェーブとの間で本件製造委託契約に基づき,本件エリア 内においてはハーブ粒商品を原告のみが販売できる法律上の利益(上記地域内に店舗を有する広域 している(株主は2名のみ。 )( )原告は,被告ウェーブとの間で本件製造委託契約に基づき,本件エリア 内においてはハーブ粒商品を原告のみが販売できる法律上の利益(上記地域内に店舗を有する広域販売会社に関しては,上記地域内において原告のみが該当する会社へ販売できる利益を含む)を有している。これらはいわゆる。 商圏に関する原告の利益であり,被告ニッショクは故意に原告の同利益を侵害したものであるから,原告に対して不法行為責任を負う。 【被告ニッショクの主張】原告は,被告ニッショクが被告ウェーブの製造部門であるから被告ウェーブと実質的に一体の会社であると主張する。 しかし,基本的には,被告ニッショクが製造した商品を被告ウェーブが購入し,それを販売しているが,被告ニッショクが製造した商品を直接販売する場合もあり,逆に被告ウェーブ自ら製造し販売している場合もある。また,被告ニッショクは,被告ウェーブ以外の会社からも商品の製造を委託されて,その会社のプライベート商品などを製造している。被告らは,代表者こそ同じであるが,会社の目的,取締役の構成及び本社所在地は異なるものであり,両社が一体のものという評価はできない。 争点7(被告Aの原告に対する会社法429条に基づく取締役の第三者に対する損害賠償責任の有無)について【原告の主張】被告Aは,被告ウェーブ及び被告ニッショクの代表取締役であるところ,そ- 12 -の職務の執行をするに当たり悪意又は重過失により原告に損害を与えていることから,被告Aも原告に対してその損害を賠償する責任がある。 【被告Aの主張】本件エリア条項の解釈は,既に述べたとおりである。そうだとすれば,被告Aに何ら責任はない。仮に,原告の主張どおりであったとしても,被告Aに被告ウェーブに対する任務懈怠があったわけではなく,さら 張】本件エリア条項の解釈は,既に述べたとおりである。そうだとすれば,被告Aに何ら責任はない。仮に,原告の主張どおりであったとしても,被告Aに被告ウェーブに対する任務懈怠があったわけではなく,さらに悪意あるいは重過失もない。 争点8(被告らの営業誹謗行為による損害賠償請求権の有無)について【原告の主張】被告会社らは,原告と競争関係にある会社である。 被告Aは,被告会社らの代表者として,平成17年6月以降,原告の取引先であるキリン堂に対し,①原告がキリン堂各店において被告ウェーブから仕入れたサンプルを配布した上,被告ウェーブ以外のところが製造した快通ハーブ粒を販売した,②サンプル商品と本体商品の成分が異なる,③被告ニッショクが「快通ハーブ粒」の商標登録を原告より先に申請していたことを理由に,原告の商標登録が認められる見込みはなく,その結果,原告商品の販売が差し止められるなどと告知した。 しかしながら,原告は,原告商品及びサンプルの製造,発送を一括して委託しており,サンプルのみを別に配布していないので,上記①は虚偽である。また,サンプル商品と本体商品の成分は同一であるから②も虚偽である。 したがって,被告らの上記各告知行為は原告の信用を害する虚偽の事実の告知に該当する(不正競争防止法2条1項14号。 )なお,被告Aは,上記告知と同時に,キリン堂に対し「新快通ハーブ粒」,(製造被告ニッショク,販売被告ウェーブ)なるハーブ粒商品の購入を要求していることからも,両者に悪意又は過失がある。 原告はその信用を回復するため多大な費用と労力を要しており,原告の受け- 13 -た損害は1000万円を下らない。 そして,被告Aは,被告会社らの取締役であるところ,その職務を執行するに当たり,悪意又は重過失により上記不正競争行為を行ったことから,被告A 告の受け- 13 -た損害は1000万円を下らない。 そして,被告Aは,被告会社らの取締役であるところ,その職務を執行するに当たり,悪意又は重過失により上記不正競争行為を行ったことから,被告Aは会社法429条に基づく損害賠償責任を負う。 【被告らの主張】原告の主張のうち,原告と被告会社らが競争関係にあることは認めるが,その余は否認する。まず,原告は,平成17年6月27日,被告ウェーブに対しサンプル5000個を発注し,同被告はその発注に応じてサンプル5000個を原告方に送付したものであって,キリン堂等原告の取引先に直送したわけでない。 原告は,平成17年10月ないし11月にかけて,キリン堂各店において,被告ウェーブから仕入れたサンプルを配布した上,被告ウェーブ以外のところで製造した「快通ハーブ粒」を販売していた。上記サンプルは,1粒が270㎎であったにもかかわらず,当該「快通ハーブ粒」は1粒300㎎であった。さらに,上記サンプルの原材料には,その主成分として「センナ茎末」と表示され,実際にも同材料が使用されていたが,当該「快通ハーブ粒」の原材料には,その主成分として「センナエキス」と表示され,実際にも同材料が使用されていた「センナ茎末」は,センナの茎本体であり,他方「セン。 ナエキス」は,本体から抽出したエキスであり,全く別物である。したがって,上記サンプルと当該「快通ハーブ粒」とは別の原材料を使用していたものであり,その点を被告ニッショクがキリン堂の株主であったことから,キリン堂に対し指摘したものである。 以上のとおりであって,被告らは何ら虚偽の事実を告知していない。 争点9(上記債務不履行又は不法行為に基づき原告が被った損害額)について【原告の主張】- 14 -( )被告会社らは,本件エリア条項に違反してハーブ粒商品で ら虚偽の事実を告知していない。 争点9(上記債務不履行又は不法行為に基づき原告が被った損害額)について【原告の主張】- 14 -( )被告会社らは,本件エリア条項に違反してハーブ粒商品である被告商品 を合計5万0831個販売した。 ア株式会社ファミリーケア(以下「ファミリーケア」という)。 ファミリーケアは,株式会社アルフレッサ等を経由して株式会社平和堂に販売した。 平成13年1月から平成15年8月分4640個平成15年9月から平成17年12月分2164個合計6804個イ株式会社スギ薬局(以下「スギ薬局」という)。 平成13年1月から平成15年8月分369個平成15年9月から平成17年12月分1663個合計2032個(スギ薬局全店〔368店舗〕での販売個数に本件エリア条項に係る対象店舗〔104店舗〕の比率〔0.2826〕を乗じて対象店舗の販売個数を算出した)。 ウピップフジモト株式会社(以下「ピップフジモト」という)。 平成13年1月から平成15年8月分1380個平成15年9月から平成17年12月分1208個合計2588個エ加藤産業株式会社(以下「加藤産業」という)。 平成13年1月から平成15年8月分4132個平成15年9月から平成17年12月分5016個合計9148個オ株式会社クスリのアオキ(以下「クスリのアオキ」という)。 平成13年1月から平成15年8月分7955個平成15年9月から平成17年12月分6960個- 15 -合計1万4915個カ株式会社コクミン(卸売会社は株式会社タモン。以下,株式会社コクミンを「コクミン」といい,株式会社タモンを「タモン」という)。 平成13年1月から平成15年8月まで5681個平成15年9月から平成17年1 ミン(卸売会社は株式会社タモン。以下,株式会社コクミンを「コクミン」といい,株式会社タモンを「タモン」という)。 平成13年1月から平成15年8月まで5681個平成15年9月から平成17年12月まで4970個合計1万0651個キ株式会社イオン(以下「イオン」という)。 平成13年1月から平成15年8月まで3667個平成15年9月から平成17年12月まで1026個合計4693個ク原告の損害(ア)逸失利益a定価に基づいて1個当たりの利益を計算した場合原告の各ドラッグストアに対する販売価格は,販売量等の取引条件によって異なるので,原告の損害は,本件商品の定価(3045円)を基準とし,販売数量に利益(定価-仕入原価)を乗じた金額により計算すべきである。 そうすると,平成13年1月1日から平成17年12月31日までの間の原告の損害は,別紙損害額計算書①のとおり1億0613万8799円になる。 b転売価格に基づいて1個当たりの利益を計算した場合ドラッグストアの平成18年における平均粗利益率は23.5%であるから,平均転売価格は2329円となる。 これを基に,平成13年1月1日から平成17年12月31日までの間に被告会社らが販売したハーブ粒商品の数量5万0831個のうち,平成13年1月から平成15年8月までの販売分2万7824個- 16 -に1個当たりの利益1325円を乗じた金額である3686万6800円,平成15年9月から平成17年12月までの販売分2万3007個に1個当たりの利益1429円を乗じた金額である3287万7003円を合計すると,別紙損害額計算書②のとおり6974万3803円となる。 (イ)被告らの信用毀損行為による損害1000万円(ウ)原告が原告訴訟代理人に委任して本訴訟を提起せざるを得 万7003円を合計すると,別紙損害額計算書②のとおり6974万3803円となる。 (イ)被告らの信用毀損行為による損害1000万円(ウ)原告が原告訴訟代理人に委任して本訴訟を提起せざるを得なくなったことによる弁護士費用相当損害金1500万円(エ)合計(上記(ア)aの場合)1億3113万8799円(上記(ア)bの場合)9474万3803円( )因果関係 ア原告商品は,ハーブ粒商品であり,最終需要者は,一般の自然人でもある。他方,被告会社らが本件製造委託契約に違反して販売したハーブ粒商品も,原告商品と形状,効果,ドラッグストア等の需要者及び最終需要者が共通する。 また,原告は,原告商品販売開始時(平成12年)から,大手小売業者(スギ薬局,ユタカファーマシー,薬のアオキ,コクミン等)及びスーパ(,),,ーマーケット平和堂イズミヤ等さらには一般の卸売業者に対して原告商品のサンプル及び案内を送付したり,販売担当者と面談する等の方法により営業活動をしていた。 ,,,したがって被告会社らが販売したハーブ粒商品の売上げ個数が当然原告の損害額算定の基礎となる。 イ原告がセンナ茎を原料に含む粒状の便通改善健康食品の販売状況を調査したところ,被告会社らが販売等している「スーパーハーブティー粒,」- 17 -「スリムダイエット粒「便の達人」を除いて,他社製の同種競合商品」,は販売されていなかった。なお,イズミヤで販売されている「ハーブ&フ」,「」ァイバーの価格は7000円コクミンで販売されているおなか美人の価格は500円であり,各商品は原告商品と価格帯を異にするので,原告商品と競合しない。 ,,原告は上記調査対象の各社に対し原告商品の営業活動をしていたので被告会社らが本件製造委託契約に か美人の価格は500円であり,各商品は原告商品と価格帯を異にするので,原告商品と競合しない。 ,,原告は上記調査対象の各社に対し原告商品の営業活動をしていたので被告会社らが本件製造委託契約に違反してハーブ粒商品を販売したことにより,各社における原告商品の販売個数が減少した。したがって,被告会社らの販売個数は当然に原告の損害額算定の基礎となる。 【被告らの主張】( )販売個数 ア被告ウェーブは,ファミリーケアに対し直接販売している。販売個数は7177個であった。 イ被告ウェーブが株式会社服部物産に対して販売したものをスギ薬局に直送したことは認めるが,その販売個数は6206個である。 ウピップフジモトへの販売個数が2588個であったことは認める。 エ加藤産業への販売個数は,天然野草茶粒が2863個,スーパーハーブティー粒が2339個,合計5202個であった。 オ被告ウェーブが北陸国分株式会社金沢本部に対して販売したものをクスリのアオキに直送したことは認める。ただし,販売個数は平成13年1月から平成15年12月までの2305個,平成16年1月から平成17年2月までが3049個の合計5354個である。 ,,,,。 カ上記のほか被告ウェーブは現在イオンコクミンとは取引がないただ,被告ニッショクは,イオンと平成14年9月から現在まで取引があり,コクミンとは平成13年4月から数年前まで取引があった。 ( )因果関係 - 18 -ハーブ粒商品は,原告及び被告会社ら以外の者も販売しており,被告会社らが販売したハーブ粒商品の全部が当然に原告の損害に結びつくとは到底いえない。 すなわち,被告らが「健康ハーブ粒」という言葉で,インターネットを使って検索してみると,約86万3000件がヒットした。次いで「快,通ハ の全部が当然に原告の損害に結びつくとは到底いえない。 すなわち,被告らが「健康ハーブ粒」という言葉で,インターネットを使って検索してみると,約86万3000件がヒットした。次いで「快,通ハーブ粒」の主原料である「センナ」と「粒」という言葉で検索すると,約8万0700件がヒットした。その中には「センナ茎選りすぐり商品,【ケンコーコム(乙22の2「楽天市場】センナ茎粒120g(約4】」),【00粒入り:宇治茶かほる園(乙22の3「楽天市場】センナ丸A6)」),【00粒:ウェブドラッグサプリの店(乙22の4「センナ茎粒お茶付き」),新90g(250㎎×約360粒+3…(乙22の5「どどっ!とで)」),るでる粒420粒-Yahoo!ショッピング(乙22の6)など,い」ずれもセンナを主原料とする粒商品が販売されている。 争点10(本件製造委託契約に基づき原告は被告ウェーブに対して製造委託義務を負うか否か)について【被告ウェーブの主張】( )本件製造委託契約書上,特に被告ウェーブのハーブ粒商品販売地域が制 ,,「」限されていることからすると原告は被告ウェーブに対し快通ハーブ粒(原告商品)の製造委託義務があるところ,原告は,平成17年6月27日の製造委託を最後に,他社に「快通ハーブ粒(原告商品)の製造委託をす」るようになった。上記の原告の行為は,本件製造委託契約上の製造委託義務に違反する行為であることから,被告ウェーブは,同年12月14日到達の書面にて本件製造委託契約を解除する旨の意思表示をした。 ( )また,以下のアないしウによれば,原告の被告ウェーブに対する製造委 託義務について,原告と被告ウェーブとの間に黙示の合意があった。 ア被告ウェーブは,原告との本件製造委託契約におい した。 ( )また,以下のアないしウによれば,原告の被告ウェーブに対する製造委 託義務について,原告と被告ウェーブとの間に黙示の合意があった。 ア被告ウェーブは,原告との本件製造委託契約において,被告ウェーブが- 19 -ハーブ粒商品を本件エリア内のキリン堂に販売しない旨を約束した。被告ウェーブに対するこのような販売規制の裏返しとして,原告と被告ウェーブとの間の製造委託義務が肯定される。 イ原告は,本件製造委託契約において,被告ウェーブがハーブ粒商品を近畿2府4県及び石川県,三重県,徳島県に販売しないという主張をし,被告らはこれを否認しているが,仮に原告の主張を前提とすると,上記アで記載した以上の販売規制を被告ウェーブに負わせるものであり,当然その裏返しとして製造委託義務の合意が推認される。 ウ本件製造委託契約において,快通ハーブ粒1000個に対し300個の無償添付(サンプル)を行うことになっている。これは,原告の商品(快通ハーブ粒)の販売を促進するために,契約が継続する間被告ウェーブの負担でサンプルを供給するものであり,通常このような長期のサンプル供給はあり得ない。それも,原告に対する販売量の3分の1という約束以上の大量のサンプルを供給している(乙12。このような被告ウェーブの)多大な負担は,原告が被告ウェーブに製造委託義務を負っていることに基づくものであり,原告の製造委託義務がなければ被告ウェーブは原告に協力もしなければ負担もしないはずである。 【原告の主張】原告と被告ウェーブとの間で,同被告が主張するような製造委託義務の定めはない。そのことは,本件製造委託契約書に同義務の規定がないことにより裏付けられる。 争点11(被告ウェーブの被った損害額)について【被告ウェーブの主張】平成17年1月から6月までの被告ウェ はない。そのことは,本件製造委託契約書に同義務の規定がないことにより裏付けられる。 争点11(被告ウェーブの被った損害額)について【被告ウェーブの主張】平成17年1月から6月までの被告ウェーブの原告に対する売上額と粗利益額は,下記のとおりである。 記- 20 -売上額粗利1月6万0240円1万5360円2月794万3870円231万6703円3月523万8140円153万0327円4月1610万6000円495万8500円5月559万4800円144万9800円6月566万9318円226万2568円合計4061万2368円1253万3258円上記のとおり,1か月当たりの平均売上額は,676万8728円であり,。 ,同じく1か月当たりの平均粗利益額は208万8876円となるしたがって平成17年7月から解除通知到達の日の前日(12月13日)までの粗利益額,,。 は1132万0360円となりこれが被告ウェーブが被った損害額である〔計算式〕208万8876円×5+208万8876円×13/31【原告の主張】被告ウェーブの主張は争う。 第4当裁判所の判断【第1事件について】 争点3(指定商品及び商標の類否,4(営業上の利益又は商標権の侵害の)おそれの有無)について,,。 事案にかんがみまず商標権に基づく差止請求権の存否について判断する,,(,,)( )原告は本件商標権を有するところ 証拠 甲10 原告代表者 によれば,被告ウェーブは,平成17年10月28日,原告の取引先であるキリン堂に対し「新快通ハーブ粒」なる商品名でハーブを主原料とする粒,状の加工食品の見積書を送付したこと,また,同日,被告ニッショクは,指定商品を「第29類ハーブを主原料とする 告の取引先であるキリン堂に対し「新快通ハーブ粒」なる商品名でハーブを主原料とする粒,状の加工食品の見積書を送付したこと,また,同日,被告ニッショクは,指定商品を「第29類ハーブを主原料とする粒状の加工食品」とし,商標を「」()。 快通ハーブ粒標準文字とする商標登録出願をしたことが認められる- 21 -このように,被告ニッショクの商標登録出願に係る商標の指定商品は「第,29類ハーブを主原料とする粒状の加工食品」であり,かつ,被告ウェーブがキリン堂に提出した見積書は,同指定商品に係るものであることが明らかであるところ,被告会社ら双方の代表者である被告Aの応訴態度その他の事情を併せ考慮すると,被告会社らは,将来「ハーブを主原料とする粒状の加工食品」に「快通ハーブ粒」又は「新快通ハーブ粒」という標章を付し,これを付した上記商品を製造販売するおそれがあることを優に認めることができる。被告会社らは,ハーブ粒商品については商品名を含め具体的な計画は何もなく,むしろ「新快通ハーブ粒」なる商品名では販売しない予定である旨主張するが,この主張を裏付ける具体的な証拠はなく,上記認定事実に照らし,この主張を採用することはできない。 ( )上記のとおり,被告会社らは,将来「ハーブを主原料とする粒状の加工 食品」に「快通ハーブ粒」又は「新快通ハーブ粒」という標章を付し,これを付した上記商品を製造販売するおそれがあるところ,その商品は,本件商標権の指定商品と同一である。そして,被告標章の「快通ハーブ粒」は,本件登録商標と称呼及び観念が同一であり,本件登録商標と類似する。また,「新快通ハーブ粒」のうち「新」は「快通ハーブ粒」の後続新商品であること等を示す接頭語であり,それ自体に自他商品識別力がないので「快通ハ,ーブ粒」の部分が自他識別力 本件登録商標と類似する。また,「新快通ハーブ粒」のうち「新」は「快通ハーブ粒」の後続新商品であること等を示す接頭語であり,それ自体に自他商品識別力がないので「快通ハ,ーブ粒」の部分が自他識別力を持つ要部であることが明らかである。したがって「新快通ハーブ粒」も,本件登録商標と称呼及び観念が類似し,本件,登録商標と類似する。 したがって,これらの標章をハーブ粒商品に使用することは,本件商標権を侵害するから,原告の請求(第1事件)のうち,本件商標権に基づく差止請求部分には理由があるというべきである(ただし,ハーブ粒商品はいずれも有体物であり,コンピュータプログラムなどのように電気通信回線を「通」,,じて提供されるものではないから電気通信回線に係る差止めについては- 22 -その性質上理由がない。よって,原告の請求は,被告会社らに対し「新。),快通ハーブ粒」又は「快通ハーブ粒」の表示を使用したハーブを主原料とする粒状の加工食品を譲渡し,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示することの差止めを求める限度で理由がある。 ( )ところで,不正競争防止法3条(2条1項1号)に基づく請求は,本件 商標権に基づく請求と選択的関係にあるので,本件商標権に基づく差止請求を認容する以上,判断の必要がなく,取り下げられたものとして扱うのが相当である。 争点5(原告の被告ウェーブに対する損害賠償請求権の有無)について( )前記争いのない事実等のとおり,原告と被告ウェーブは,本件製造委託 契約を締結したところ,同契約の9項には本件エリア条項(近畿2府4県及び石川,三重及び徳島の各県においては,原告が店舗販売ルートにおけるハーブ粒商品の独占販売を行うこと等)が定められている。原告は,被告ウェーブは本件エリア条項に違反して本件エリア内に 近畿2府4県及び石川,三重及び徳島の各県においては,原告が店舗販売ルートにおけるハーブ粒商品の独占販売を行うこと等)が定められている。原告は,被告ウェーブは本件エリア条項に違反して本件エリア内においてハーブ粒商品である被告商品を販売したものであり,被告のこの行為は原告に対する債務不履行を構成する旨主張する。これに対し,被告ウェーブは,原告と本件製造委託契約を締結した際,本件エリア条項にかかわらず,本件エリア内のキリン堂の店舗には販売しないという口頭の約束があったが,原告のいうように本件エリア内すべての店舗に対しその販売を禁止するという合意はなかった旨主張する。 そこで,本件エリア条項に関し,原告と被告ウェーブとの間でどのような内容の合意がなされたかを検討する。 ,(,,,,( )前記争いのない事実に 証拠 甲411の1・2乙4原告代表者 被告代表者)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる。 ア被告ニッショク(旧商号・日本飾糸株式会社。平成2年8月17日商号変更)は,もとは飾糸の製造加工,販売等を主たる業務としていたが,昭- 23 -和61年ころから健康食品の製造販売を行うようになり,平成2年ころからハーブを原料とする茶及び錠剤(ハーブ粒商品)を製造販売するようになった。被告ウェーブは,平成8年12月12日,茶の製造販売等を主たる業務として設立され,主として被告ニッショクが製造する商品の販売業務を行っていた。 ,。 ,イ原告は平成10年ころから被告ウェーブとの取引を始めたそのころ被告ウェーブは,ハーブ粒商品及びハーブ茶製品の両方を取り扱っていたが,商品割合としては,ハーブ粒商品よりもハーブ茶商品の方が多く,ハーブ粒商品の販売量は比較的少なかった。そして,原告は,平成12年1月ころ「快通ハー ブ粒商品及びハーブ茶製品の両方を取り扱っていたが,商品割合としては,ハーブ粒商品よりもハーブ茶商品の方が多く,ハーブ粒商品の販売量は比較的少なかった。そして,原告は,平成12年1月ころ「快通ハーブ粒」という商品名のハーブ粒商品の製造を被告ウェ,ーブに委託し,その販売を開始した。ただし,そのころは原告と被告ウェーブ間に上記製造委託関係等につき契約書等は作成されていなかった。 ウ平成12年夏ごろ,上記製造委託関係について原告と被告ウェーブを契約当事者とする契約書が作成された。その内容は,その後に締結された本(),,件製造委託契約書甲4とほぼ同内容のものであったが上記契約書は被告ウェーブの代表者である被告Aの了解を得ないまま,被告ウェーブの従業員が取り交わしたものであり,また,被告ウェーブのハーブ粒商品の販売エリアを限定した本件エリア条項が付されていたことから,改めて契約書を作成することとし,本件製造委託契約書(甲4)が作成された。 エ被告ウェーブは,本件製造委託契約締結後も,本件エリア内において,ハーブ粒商品をキリン堂を除く店舗に販売していた。 オしかし,原告は,遅くとも平成14年ころに,被告ウェーブが本件エリア内のドラッグストア(キリン堂を除く)にハーブ粒商品(被告商品)。 を販売していたことを認識したが,被告ウェーブとの本件製造委託契約を解除するなど取引を停止する措置を執らず,取引関係を継続した。 カ平成17年3月,被告ニッショクが製造しているコエンザイムQ10を- 24 -含む健康食品に,未承認の医薬品成分(イデベノン)が検出されるということがあり,原告は,同年6月,株式会社アムスライフサイエンス(以下「アムス」という)に快通ハーブ粒の製造を委託する旨の製造委託契約。 を締結し,同年7月から製造委託を始めた。 )が検出されるということがあり,原告は,同年6月,株式会社アムスライフサイエンス(以下「アムス」という)に快通ハーブ粒の製造を委託する旨の製造委託契約。 を締結し,同年7月から製造委託を始めた。そして,原告は,同年6月27日,被告ウェーブにサンプル品5万個を発注し,その納品を受けたのを最後に,被告ウェーブに製造委託することを取りやめた。 キ被告ウェーブは,原告が快通ハーブ粒の製造委託先を被告ウェーブからアムスに変更したことを知り,平成17年12月13日付けの契約解除通知書の送付(同月14日到達)により,原告に対し,原告が本件製造委託契約に違反して他社に「快通ハーブ粒」の製造委託をしたことを原告の債務不履行とし,これにより信頼関係が破壊されたことを理由に,同契約を解除する旨の意思表示をした。上記契約解除通知書において,被告ウェーブは,原告が被告ウェーブに最後に製造委託した平成17年6月27日以降の得べかりし利益相当の損害賠償を請求するとともに「近畿圏並びに,石川県,三重県及び徳島県においてハーブ粒及びスリムダイエット粒の販売を行うことを付け加えて申し述べておきます」と記載していた(甲5。 の1。 )( )前記争いのない事実等のとおり,本件製造委託契約書の9項(本件エリ ア条項)には「快通ハーブ粒の販売に当たり,原告は近畿2府4県,及び石川,三重,徳島の各県においては店舗販売ルートにおけるハーブ粒商品の独占販売を行い,それ以外の地域については,被告ウェーブの製造販売するスリムダイエット粒と,協調販売を行う。被告ウェーブの発売するスリムダイエット粒は原告の上記独占発売地域外において販売活動を行うものとする。 なお,原告の取引先に関し,広域販売網を持つ会社との取引については,その出店先が上記条項に抵触しないこと」の条項記載がある。 ダイエット粒は原告の上記独占発売地域外において販売活動を行うものとする。 なお,原告の取引先に関し,広域販売網を持つ会社との取引については,その出店先が上記条項に抵触しないこと」の条項記載がある。この条項にいう「広域販売網を持つ会社」の「出店先」には「広域販売網を持つ会社」の直- 25 -営店のほか卸売会社の転売先も含むものかなど,後記のように,被告ウェーブが販売すべき店舗の範囲について疑義が生ずる余地がある曖昧なところもある。しかし,少なくとも,被告ウェーブが本件エリア内の店舗に自ら快通ハーブ粒を販売することを一律に禁止され,本件エリア外においてのみ自社の販売するスリムダイエット粒を販売することが許容されているにすぎないことは,本件エリア条項の文言上は一義的に明確といわざるを得ず,上記文言で示された合意の存在を否定し,これと異なる口頭の合意の存在を認定することは,慎重である必要がある。 この点に関し,被告ウェーブは,本件製造委託契約は被告ウェーブのハーブ粒商品の販売エリアについて本件エリア内のキリン堂の店舗には販売しないという約束であったのであり,原告のいうように本件エリアにおけるすべての販売を禁止するものではなかったと主張する。 確かに,上記認定のとおり,被告ウェーブは,本件製造委託契約締結時点で,ハーブ茶商品のみならず,ハーブ粒商品をも販売していたものであるところ,被告ウェーブがいかなる理由で,自己に一方的に不利益な販売地域の限定を内容とする本件エリア条項に同意して本件製造委託契約を締結したのかにわかに首肯し得ないところがあり,かつ,被告ウェーブは,本件製造委託契約締結後まもなく本件エリア条項に反してハーブ粒商品(被告商品)の販売を開始し,これに対し,原告もこれを知りながら本件製造委託契約を解除することなく被告ウェーブとの取 被告ウェーブは,本件製造委託契約締結後まもなく本件エリア条項に反してハーブ粒商品(被告商品)の販売を開始し,これに対し,原告もこれを知りながら本件製造委託契約を解除することなく被告ウェーブとの取引を継続し,契約解除等の強硬措置にでることがなかったのであって,これらの事実によれば,被告ウェーブ(被告A)において,本件製造委託契約締結に当たり,真に本件エリア条項の趣旨を理解し,これを文字どおりに遵守する意思を有していたかどうかについては少なからず疑問があり,契約交渉の過程で,原告側(代表者E)から(特に)キリン堂に販売してもらっては困るなどと発言したことに対し,被告がキリン堂には販売しない(他の店舗には販売してもよい)と理解した可能性- 26 -は否定できず,そのような理解を前提に,本件製造委託契約を締結したとみる余地がないではない。しかし,本件製造委託契約全体をみれば,被告ウェーブも,原告との取引関係が正常に推移する限り,原告から継続的,安定的にハーブ粒商品の製造委託を得られるというメリットを享受し得る上,本件エリア条項の反対解釈として本件エリア以外の地域では自由にハーブ粒商品を販売できることも考慮すると,被告ウェーブにおいて本件エリア条項を受け入れてでも本件製造委託契約を締結する合理的な理由がなかったとはいえない。また,仮に,被告ウェーブ(被告A)において,本件エリア条項が本件エリア内のキリン堂に対する販売のみを禁止するものであると理解したとしても,原告が被告ウェーブと同様の理解の下に本件製造委託契約を締結し,,,たと認めるに足りる証拠はなくそうである以上原告と被告ウェーブ間で同被告主張の内容の口頭の合意が成立したとは認められない。さらに,本件エリア条項がキリン堂に対するのみならず,上記エリア内のすべての小売店舗に販売す る証拠はなくそうである以上原告と被告ウェーブ間で同被告主張の内容の口頭の合意が成立したとは認められない。さらに,本件エリア条項がキリン堂に対するのみならず,上記エリア内のすべての小売店舗に販売することを禁止していることはその文言上明らかであるところ,被告ウェーブ代表者である被告Aが本件エリア条項の文言自体は認識し,理解しながら本件製造委託契約を締結したことは,同契約を解除する際の契約解除通知書(甲5の1)にも,本件エリア条項を意識して,ことさら「近畿圏並びに石川県,三重県及び徳島県においてハーブ粒及びスリムダイエット粒の販売を行うことを付け加えて申し述べておきます」と記載していること。 からも明らかである。 以上より,原告と被告ウェーブ間には,本件エリア条項の文言どおり,被告ウェーブに対し本件エリア内のすべての店舗においてハーブ粒商品の販売を禁止するとの合意が成立したと認められ,本件エリア内のキリン堂に販売しない(他の店舗には販売できる)との口頭による合意があったとは認められず,この点に関する被告ウェーブの主張は採用できない。 ( )以上のとおり,被告ウェーブは原告に対し,本件製造委託契約の債務不 - 27 -履行に基づく損害賠償責任を負うものというべきである。 争点6(原告の被告ニッショクに対する損害賠償請求権の有無)について( )原告は,被告ニッショクは本件製造委託契約の契約当事者ではないもの の,被告ウェーブと実質的に一体であることから,信義則上,被告ニッショクに対しても本件エリア条項の効力が及ぶ旨,及び被告ウェーブとの間で本件製造委託契約に基づき,本件エリア内においてはハーブ粒商品を原告のみが販売できるという,商圏に関する法律上の利益(上記地域内に店舗を有する広域販売会社に関しては,上記地域内において原告のみが該 本件製造委託契約に基づき,本件エリア内においてはハーブ粒商品を原告のみが販売できるという,商圏に関する法律上の利益(上記地域内に店舗を有する広域販売会社に関しては,上記地域内において原告のみが該当する会社へ販売できる利益を含む)を有しているところ,被告ニッショクは故意に原。 告の同利益を侵害したものであるから不法行為責任を負う旨主張する。そこで,まず,被告ニッショクと被告ウェーブとの実質的一体性の有無について検討する。 ( )証拠(甲3の1・2,12の1,乙7,被告代表者)及び弁論の全趣旨 によれば,被告ウェーブは,平成8年12月12日に設立された茶の製造販売等を業とする会社であり,滋賀県彦根市〈以下略〉に本店を置き(大津市〈以下略〉に支店登記がされている,平成18年6月2日現在,被告A。)が代表取締役を,同被告の母(B,同被告の息子(C)がそれぞれ取締役)を,同被告の兄(D)が監査役を務めていること,被告ニッショクは,昭和44年2月3日に設立された飾糸の製造加工販売等を業とする会社であり,平成17年4月22日までは大津市〈以下略〉に本店を置いていたが,同月23日,大津市〈以下略〉に本店を移転し,平成18年6月2日現在,被告,(),(),が代表取締役を同被告の母B同被告の兄Dがそれぞれ取締役を同被告の子(C)が監査役を務めていること,上記登記簿上の本店所在地にかかわらず,被告ウェーブの実質上の本店は被告ニッショクと同様,大津市〈以下略〉に所在し,共通の従業員が同所で勤務していること,被告ウェーブの株式(1980株)の内,その約9割を被告ニッショクが保有し,その- 28 -余を被告Aが保有していること,被告ウェーブは,基本的には被告ニッショクの製造した商品を販売する会社であり,被告会社らの販売部門を 80株)の内,その約9割を被告ニッショクが保有し,その- 28 -余を被告Aが保有していること,被告ウェーブは,基本的には被告ニッショクの製造した商品を販売する会社であり,被告会社らの販売部門を担当するものといえること,以上の事実が認められる。 ( )上記認定事実によれば,被告会社らの関係は,その独立の法人格が形骸 化し,又は濫用している程度に一体とみ得るか否かはともかく,少なくとも経済的には相当に密接な関係があることが明らかである。前記のとおり,被告ウェーブは,本件製造委託契約中の本件エリア条項に違反して本件エリア内の店舗にハーブ粒商品を販売していたものであるところ,仮に被告Aが,本件エリア条項を本件エリア内のキリン堂に対する販売のみを禁止したものと誤信していたとしても,本件エリア条項の文言は一義的に明確であり,それにもかかわらず,営業エリアの制限という重要な事項について,被告会社らの代表取締役として原告との間で共通認識を得なかったものであるから,上記誤信につき少なくとも重大な過失があったというべきである。そうすると,被告Aは,被告ニッショクの代表取締役として,同社の製造し,被告ウェーブに販売するハーブ粒商品が本件エリア条項に違反して販売されることを認識しながら又は重大な過失により認識しないまま,ハーブ粒商品を製造し,被告ウェーブに販売していたというべきである。また,被告ニッショクが被告ウェーブを介さずに直接販売したハーブ粒商品についても同様に,かかる行為が本件エリア条項に違反していることを認識していたか又は重大な過失により認識していなかったというべきである。このような被告ニッショク(被告A)の行為は,故意又は重大な過失により被告ウェーブの債務不履行に加担したものであり,これにより,本件製造委託契約によって定められた原告の いなかったというべきである。このような被告ニッショク(被告A)の行為は,故意又は重大な過失により被告ウェーブの債務不履行に加担したものであり,これにより,本件製造委託契約によって定められた原告の法律上の利益を侵害し,原告に損害を被らせたものと評価することができる。 ( )以上より,被告Aの上記行為は民法709条の不法行為に当たるという べきであり,被告ニッショクは,原告に対し,会社法350条に基づく不法- 29 -行為責任を免れない。したがって,被告ニッショクは,民法719条1項により被告ウェーブと連帯してこれによる損害賠償責任を負うものというべきである。 また,上記認定したところによれば,被告Aは,本件エリア内における被告商品の販売が本件エリア条項に反することを認識し,又は重大な過失により認識しないまま,被告ウェーブの代表取締役として本件エリア内において被告商品を販売したものであるから,かかる被告Aの行為も民法709条の不法行為に当たり,被告ウェーブは会社法350条による不法行為責任を負うものというべきである。 争点7(被告Aの原告に対する損害賠償責任の有無)被告Aは,被告会社らの共通の代表取締役であるところ,前記3のとおり,本件エリア条項に違反していることを認識しながら又は重大な過失により認識しないまま,本件エリア条項に違反して本件エリア内の店舗にハーブ粒商品を販売し,これにより,被告ウェーブに上記2のとおりの債務不履行及び不法行為に基づく損害賠償責任を負わせたものである。 また,被告Aは,被告ニッショクの代表取締役として,故意又は重大な過失により被告ウェーブの上記債務不履行に加担し,自社で製造したハーブ粒商品を被告ウェーブに販売したものであり,これにより,被告ニッショクに上記3のとおりの不法行為に基づく損害賠償責任を 又は重大な過失により被告ウェーブの上記債務不履行に加担し,自社で製造したハーブ粒商品を被告ウェーブに販売したものであり,これにより,被告ニッショクに上記3のとおりの不法行為に基づく損害賠償責任を負わせたものである。 以上によれば,被告Aは,被告会社らの代表取締役として,その職務を行うについて悪意又は重大な過失により被告会社らに対する義務に違反したものであるから,被告Aの取締役としての任務懈怠行為と相当因果関係が認められる限り,第三者である原告が被った損害を賠償する責任がある。 争点8(被告らの営業誹謗行為による損害賠償請求権の有無)( )原告と被告会社らとの間が競争関係にあることは,当事者間に争いがな い。 - 30 -( )被告Aが被告会社らの代表者として告知した原告の営業上の信用を害す る虚偽の事実として原告が主張するものは,平成17年6月以降,原告の取引先であるキリン堂に対し,①原告がキリン堂各店において被告ウェーブから仕入れたサンプルを配布した上,被告ウェーブ以外のところが製造した快通ハーブ粒を販売した,②サンプル商品と本体商品の成分が異なる,③被告ニッショクが「快通ハーブ粒」の商標登録を原告より先に申請していたことを理由に,原告の商標登録が認められる見込みはなく,その結果,原告商品の販売が差し止められる,などというものである。証拠(乙13の1・2,14,15の1~5,16の1・2,17の1・2,被告A)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア被告ウェーブの従業員が平成17年10月ころキリン堂に赴いたところ,原告の快通ハーブ粒が置いてあった。その商品(以下「本件商品」という)は,快通ハーブ粒本体の上にサンプル包が5,6包載せてあり,。 全体がビニール袋でラッピングしてあった。同従業員は,本件商品を ろ,原告の快通ハーブ粒が置いてあった。その商品(以下「本件商品」という)は,快通ハーブ粒本体の上にサンプル包が5,6包載せてあり,。 全体がビニール袋でラッピングしてあった。同従業員は,本件商品を購入し,これを被告ウェーブに持ち帰って,被告Aに見せた。 イ被告Aが本件商品の本体包装箱及びサンプルの包を開披したところ,サンプル包内のハーブ粒が被告ニッショクが製造し,被告ウェーブが原告に販売したものであったのに対し,本体包装箱内のハーブ粒はサンプル品と粒径が異なるなど,被告会社の製造販売に係るものではなく,原告の新たな製造委託先であるアムスが製造したものであり,サンプル品と本体商品の内容が異なるものであると考えられた。 ウそこで,被告Aは,キリン堂の常務取締役に電話をかけてその旨を指摘して抗議し,さらに,平成17年12月1日到達の内容証明郵便でキリン堂に対し,被告ニッショク名義で「貴社は,本件商品のサンプルを配布,のうえ,本件商品を販売されていますが,サンプルは1粒270㎎であるにもかかわらず,本件商品は1粒300㎎です。また,サンプルの原材料- 31 -には,主成分として『センナ茎末』と表示され,実際にも同材料が使用されていますが,本件商品の原材料には,主成分として『センナエキス』と表示され,実際にも同材料が使用されています。このようにサンプルで消費者を誘引し,実際にはそれと異なる商品を販売するのは,消費者を欺く,『』。」「,ものであり詐欺に該当すると言っても過言ではありません万一以上の問題が公になれば,貴社の株式の価値にも大きく影響を及ぼすこと,,。」は明らかであり貴社の株主として見過ごすことのできない事実です。 ,,,などと記載して郵送したなお被告Aは平成17年11月29日現在キリン堂の も大きく影響を及ぼすこと,,。」は明らかであり貴社の株主として見過ごすことのできない事実です。 ,,,などと記載して郵送したなお被告Aは平成17年11月29日現在キリン堂の株式6万4500株を有する株主であった。 エこれに対し,キリン堂からは,平成17年12月27日付けで,同社代表取締役名義で本件商品につきましては従前から当社において取扱・,「,販売させていただいおりますところ,平成17年8月中旬ころに本件商品の販売者・仕入先である有限会社ナチュラルウェーブ様から,内容成分のリニューアルを行う旨連絡を受け,当社はその後も引き続き販売させていただいています「貴社からのご質問内容のうち,1粒270㎎のサン。」プルを現行の本件商品のサンプルとして配布していたのではないかとのご質問につきましては,正確な事実は判然としませんが,上記の内容成分のリニューアルに伴う新旧商品の入れ替えにかかる過程で,従前の商品と現行の本件商品が併売されていた時期があった可能性があり,結果的に一時的に1粒270㎎のサンプルが本件商品のサンプルとして配布されていた可能性があります。ただし,現在におきましては,1粒300㎎のサンプルを配布しており,顧客に誤解を与える可能性はないものと考えられます「本件商品及び現在配布しているサンプルの原材料には『センナ茎。」エキス末』と表示されており,本件商品の販売者である有限会社ナチュラルウェーブ様によれば実際に本件商品及び現在配布しているサンプルには『センナ茎エキス末』が使用されているとの報告を受けています。したが- 32 -って,現時点では,成分に関しサンプルと本件商品の成分は一致し,また表示についても正確なものがなされていると考えられます」などと記載。 した回答書が寄せられた。 オ本 います。したが- 32 -って,現時点では,成分に関しサンプルと本件商品の成分は一致し,また表示についても正確なものがなされていると考えられます」などと記載。 した回答書が寄せられた。 オ本件商品の本体包装箱の裏面には,原材料として「センナ茎エキス末」との記載があるが,サンプル品と同じハーブ粒が収納されていた被告ニッショク製造に係る快通ハーブ粒の包装箱の裏面には,これに対応する原材料名として「センナの茎」との記載があった。 ( )以上の認定事実に基づき判断する。 アまず「原告がキリン堂各店において被告ウェーブから仕入れたサンプ,ルを配布した上,被告ウェーブ以外のところが製造した快通ハーブ粒を販売した」という点が虚偽の事実か否かについてみるに「被告Aが『原告,がキリン堂各店において被告ウェーブから仕入れたサンプルを配布した上,被告ウェーブ以外のところが製造した快通ハーブ粒を販売した』と告知した」との事実は,前示( )ウの内容証明郵便には記載されておらず, 被告Aがキリン堂の常務取締役に上記事実を告知したか否かは本件証拠上必ずしも明らかではない。しかし,仮に被告Aが上記事実を告知したとしても,この行為は不正競争防止法第2条1項14号の不正競争行為には当たらないというべきである。すなわち,上記認定のとおり,本件商品は,本体の包装箱の上にサンプル包が5,6包載せられ,全体をビニール包装でラッピングしたものであるところ,その販売形態及び被告ニッショクの抗議に対するキリン堂の回答内容(内容成分のリニューアルに伴う新旧「商品の入れ替えにかかる過程で,従前の商品と現行の本件商品が併売されていた時期があった可能性があり,結果的に一時的に1粒270㎎のサンプルが本件商品のサンプルとして配布されていた可能性があります。ただし,現在に にかかる過程で,従前の商品と現行の本件商品が併売されていた時期があった可能性があり,結果的に一時的に1粒270㎎のサンプルが本件商品のサンプルとして配布されていた可能性があります。ただし,現在におきましては,1粒300㎎のサンプルを配布しており,顧客に誤解を与える可能性はないものと考えられます)によれば,本体包。」- 33 -装箱にサンプル包を載せてラッピングしたのは,キリン堂がその店頭販売の段階で行ったものと推認される。そして,キリン堂自身が新旧商品の入れ替えの過程で,一時的に1粒270㎎のサンプルが本件商品(1粒30),,0㎎のサンプルとして配布されていた可能性があると述べておりかつ当時,実際に快通ハーブ粒の製造元が被告ニッショクからアムスに変更したばかりだったのであるから「原告がキリン堂各店において被告ウェー,ブから仕入れたサンプルを配布した上,被告ウェーブ以外のところが製造した快通ハーブ粒を販売した」ことが虚偽であると断定することはできない。また,原告は,原告商品及びサンプルの製造,発送を一括して委託しており,サンプルのみを別に配布していない旨主張する。しかし,仮にそのとおりであるとしても,原告商品及びサンプルを一つにラッピングして販売したのは上記のとおりキリン堂であって,原告の関知するところではないから,上記判断を左右するものではない。したがって,仮に被告Aが上記事実を原告の取引先であるキリン堂に告知したとしても,虚偽の事実を告知したということはできず,被告Aの行為は不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為には当たらない。 イ次に「サンプル商品と本体商品の成分が異なる」という点について,,,「,上記内容証明郵便でキリン堂に告知した内容はサンプルの原材料には主成分として『センナ茎末』と表示され,実 たらない。 イ次に「サンプル商品と本体商品の成分が異なる」という点について,,,「,上記内容証明郵便でキリン堂に告知した内容はサンプルの原材料には主成分として『センナ茎末』と表示され,実際にも同材料が使用されていますが,本件商品の原材料には,主成分として『センナエキス』と表示され,実際にも同材料が使用されています」というものであるところ,か。 かる告知は「主成分」との表現を用いているものの,全体として見れば原材料が異なる旨の告知であり,化学的な意味での「成分」の相違を指摘するものとまでは認められない。そこで,かかる意味において,上記告知が虚偽の事実であるか否かについてみると,上記認定のとおり,本件商品の本体包装箱の裏面には,原材料として「センナ茎エキス末」との記載があ- 34 -るが,サンプル品と同じハーブ粒が収納されていた被告ニッショク製造に係る快通ハーブ粒の包装箱の裏面にはこれに対応する原材料名としてセ,「ンナの茎」との記載があったところ「センナ茎エキス末」と「センナの,茎」が化学的な「成分」として同じかどうかはともかく「物」として異,なることは否定できない。そうである以上,原材料が異なる旨の上記告知内容が虚偽の事実であると断定することはできない。したがって,被告Aが上記事実を原告の取引先であるキリン堂に告知したからといって,虚偽の事実を告知したということはできず,被告Aの行為は不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為には当たらない。 ウさらに「被告ニッショクが『快通ハーブ粒』の商標登録を原告より先,,,に申請していたことを理由に原告の商標登録が認められる見込みはなくその結果,原告商品の販売が差し止められる」と告知したという点については,これをいう原告代表者の供述及び甲第32号証(原告代表者の陳述 申請していたことを理由に原告の商標登録が認められる見込みはなくその結果,原告商品の販売が差し止められる」と告知したという点については,これをいう原告代表者の供述及び甲第32号証(原告代表者の陳述書)の記載は,その内容が具体性に欠けるばかりでなく,的確な証拠の裏付けを欠くものであって,直ちに採用することはできず,他に被告Aが上記内容をキリン堂に告知したとの事実を認めるに足りる証拠はない。したがって,被告Aが上記内容をキリン堂に告知したことを前提に,これが競争関係にある原告の信用を害する虚偽の事実を告知したものであり,不正競争防止法2条1項14号の不正競争行為に当たるとの原告の主張は理由がない。 ( )以上によれば,被告らの営業誹謗行為を理由とする原告の損害賠償請求 は理由がない。 争点10(本件製造委託契約に基づき原告は被告ウェーブに対して製造委託義務を負うか否か)争点9に対する判断に先立ち,まず,争点10について判断する。 ( )前示認定のとおり,原告は,平成17年6月,アムスに快通ハーブ粒の - 35 -製造を委託する旨の製造委託契約を締結し,同年7月から製造委託を始めるとともに,同月27日,被告ウェーブにサンプル品5万個を発注し,その納品を受けたのを最後に,被告ウェーブに製造委託することを取りやめたものである。 被告ウェーブは,原告は本件製造委託契約上,被告ウェーブに対する製造委託義務を負うところ,上記のとおり原告が被告ウェーブに対する製造委託を取りやめたことは同契約の債務不履行に当たる旨主張する。 ( )しかし,本件製造委託契約上,原告が被告ウェーブに対する製造委託義 務を負う旨を明示的に定めた規定はない。 被告ウェーブは,本件製造委託契約において,被告ウェーブがハーブ粒商品を本件エリア内のキリン堂に販売しない 委託契約上,原告が被告ウェーブに対する製造委託義 務を負う旨を明示的に定めた規定はない。 被告ウェーブは,本件製造委託契約において,被告ウェーブがハーブ粒商品を本件エリア内のキリン堂に販売しない旨を約束し,このような販売規制の裏返しとして,原告の被告ウェーブに対する製造委託義務が肯定される旨主張する。本件エリア条項は,前示認定のとおり,本件エリア内のキリン堂のみならず同店舗を含むすべての店舗に対するハーブ粒商品の販売を制限するものであるが,この判断を前提としても,本件エリア条項の存在がその性質上必然的に原告の被告ウェーブに対する製造委託義務を肯定する根拠となるものでないことは明らかである。 また,被告ウェーブは,本件製造委託契約において,快通ハーブ粒100(),0個に対し300個の無償添付サンプルを行うことになっているところ通常このような長期かつ大量のサンプル供給はあり得ず,このような被告ウェーブの多大な負担は,原告が被告ウェーブに製造委託義務を負っていることに基づくものであり,原告の製造委託義務がなければ被告ウェーブは原告に協力もしなければ負担もしないはずである旨主張する。しかし,サンプル品の配布により本体商品の販売数量が増加すれば,結果的に被告ウェーブに対する製造委託数量も増加するというメリットがあり,また,上記程度の数量のサンプルの供給が通常あり得ないということについては,これを認める- 36 -に足りる証拠はない。したがって,上記のようなサンプルの無償添付という事情も,いまだ原告の被告ウェーブに対する製造委託義務を推認する根拠として十分なものとはいい難い。 他に,原告が本件製造委託契約上,被告ウェーブに対する製造委託義務を負っていたことを推認し得るだけの主張立証はない。 ( )以上より,原告が,被告ウェーブに対する 拠として十分なものとはいい難い。 他に,原告が本件製造委託契約上,被告ウェーブに対する製造委託義務を負っていたことを推認し得るだけの主張立証はない。 ( )以上より,原告が,被告ウェーブに対する本件製造委託契約上の製造委 託義務に違反した債務不履行があるとは認められないから,その余の点(争点11)について判断するまでもなく,被告ウェーブの原告に対する請求は理由がない。 () 争点9被告会社らの債務不履行又は不法行為に基づき原告が被った損害額( )損害額算定に際しての基本的な考え方 原告は,本件エリア内において販売された被告商品の販売数量に,被告会社らが販売した原告商品の1個当たりの利益額を乗じた額をもって,被告会社らの債務不履行又は不法行為に基づき原告が被った損害額であると主張している。しかし,被告会社らの損害賠償責任は,債務不履行,民法709条の不法行為又は会社法429条に基づくものであるから,被告商品の販売により被告会社らが得た利益の額をもってそのまま原告の受けた損害の額と法律上推定することはできず(本件に不正競争防止法5条2項等の損害額推定規定を適用することはできない,被告会社らによる被告商品の販売行為。)と相当因果関係のある原告の販売機会の喪失による消極的損害の額を認定する必要がある。その際には,本件エリア内における被告会社らによる被告商品の販売数量を確定した上,被告会社らによる販売行為がなければ原告が販売できたであろう(相当因果関係内にある)販売数量を認定し,これに原告における1個当たりの利益額(転売利益)を乗じることによって原告の消極的損害の額を認定するのが原則である(かかる意味において,原告が主張するような定価を基にした損害額の算定方法〔第3の5ク(ア)a〕は,およそ- 37 -合理的根拠を欠くも ることによって原告の消極的損害の額を認定するのが原則である(かかる意味において,原告が主張するような定価を基にした損害額の算定方法〔第3の5ク(ア)a〕は,およそ- 37 -合理的根拠を欠くものであり採用の余地はない。しかしながら,本件で。)は,本件エリア内における被告会社らによる販売行為によって原告が販売機会を喪失し,損害を受けたこと自体は明らかであるものの,被告会社らが本件エリア内において現実に何個販売したのか,また被告会社らによる販売行為がなければ原告が販売できたであろう数量を具体的に確定することは極めて困難といわざるを得ない。そこで,民事訴訟法248条により,不正競争防止法5条2項等の損害額推定規定をしん酌しつつ,本件において合理的と認められる損害額の算定方法に基づき,相当な損害額を認定するのが相当である。そして,本件においては,本件エリア内における被告会社らによる販売個数を推計し,被告会社らが得た利益の額を基準として,これに所定割合を乗じること等により原告の被った損害の額を算定することが合理的であると考えられるので,以下,被告会社らが本件エリア条項に違反して被告商品を販売することにより得た利益の額を検討する。 なお,損害額算定の基礎となる販売期間は,本件製造委託契約が締結された平成13年1月1日から同契約が原告により債務不履行解除された平成17年12月31日までである(原告による契約解除通知は同月28日付けでなされているところ,同通知の被告ウェーブへの到達日は同月31日ころと推認される。なお,被告ウェーブは,同月14日到達の契約解除通知書により本件製造委託契約を解除する旨の意思表示をしているが,同意思表示は前示のとおり原告に製造委託義務違反が認められず解除原因を欠くから無効である。以下において「被告商品」とは,被告 契約解除通知書により本件製造委託契約を解除する旨の意思表示をしているが,同意思表示は前示のとおり原告に製造委託義務違反が認められず解除原因を欠くから無効である。以下において「被告商品」とは,被告が上記期間内に販売したものを指すものとする。また,平成13年1月から平成15年8月分までと,。)平成15年9月から平成17年12月分まででは被告ウェーブの仕入価額に相異があるので,各販売期間ごとの販売数量が証拠上明らかなものはそれによって認定し,明らかでないものは販売期間(全期間を60か月とし,平成13年1月から平成15年8月までを32か月,同年9月から平成17年1- 38 -。)。 2月までを28か月とするに応じて案分する方法で認定することとする( )販売数量 アファミリーケア関係(ア)証拠(甲20の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,ファミリーケアは,大阪市中央区に本店を置く卸売会社であり,主として平和堂に被告商品を販売していたことが認められ,被告ウェーブからファミリーケアに対する被告商品の販売個数は6804個(平成13年1月から平成15年8月分が4640個,平成15年9月から平成17年12月分が2164個)であったことが認められる。 (イ)ところで,本件エリア条項の骨子は,①快通ハーブ粒の販売に当たり,原告は本件エリアにおいては店舗販売ルートにおけるハーブ粒商品の独占販売を行う,②被告ウェーブの取引先に関し,広域販売網を持つ会社との取引については,その出店先が上記条項に抵触しないこと,というものである。①が適用される場合には,本件エリア内に本店が所在する販売先に対するハーブ粒商品の販売が直ちに本件エリア条項に違反するのに対し,②が適用される場合には,販売先(広域販売網を持つ会社)の本店所在地が本件エリア内にあると は,本件エリア内に本店が所在する販売先に対するハーブ粒商品の販売が直ちに本件エリア条項に違反するのに対し,②が適用される場合には,販売先(広域販売網を持つ会社)の本店所在地が本件エリア内にあるとしても,それだけでは本件エリア条項に違反することにはならず,その出店先が本件エリア内にある場合であって,その出店先が販売した分に限り本件エリア条項に違反することになるというべきである。そこで,ファミリーケアのように,本件エリア内に本店を有する卸売会社に対する販売は,本件エリア条項の上記①,②のいずれに当たるかが問題となる。 上記②にいう「広域販売網を持つ会社」とは,その意義が必ずしも明確ではないものの「出店先」という用語が使用されていることを併せ,考えると,自らが小売店舗網を直営し,又はフランチャイザーとして複数のフランチャイジーを組織する会社を指すものと解するのがその通常- 39 -の語義に照らしても自然である。これに対し「卸売会社」をもって「広域販売網を持つ会社」とし,その転売先である小売店舗を「出店先」とするのは通常の語義から著しく離れることになる。また「出店先」が,本件エリア内にあるかどうかを本件エリア条項違反の有無の判断基準にするためには,被告ウェーブにおいて「出店先」が本件エリア内にあ,るかどうかをあらかじめ把握できる場合でなければならないと解されるところ,被告ウェーブが卸売会社に商品を販売する際に,当該卸売会社が本件エリア内にある転売先(小売店舗)に転売するかどうかをあらかじめ把握することは通常は困難であり,当該卸売会社の転売先が本件エリア内にあるかどうかという,自らがコントロールし得ない事情によって被告ウェーブが本件エリア条項に違反したか否かの判断基準とすることは不合理というべきであって,被告ウェーブがかかる不合理 先が本件エリア内にあるかどうかという,自らがコントロールし得ない事情によって被告ウェーブが本件エリア条項に違反したか否かの判断基準とすることは不合理というべきであって,被告ウェーブがかかる不合理な判断基準を前提に本件製造委託契約を締結したとは到底認められない。 以上より,②の「広域販売網を持つ会社」にはファミリーケアのような卸売会社は含まれないと解すべきであり,卸売会社に対する販売については①が適用されると解すべきである。そうすると,ファミリーケアの本店が本件エリア内(大阪市中央区)に所在する以上,被告ウェーブのファミリーケアに対する販売数量は,すべて本件エリア条項に違反することになる。 したがって,ファミリーケア関係の被告ウェーブの本件エリア条項に違反する販売個数は,前記のとおり6804個(平成13年1月から平成15年8月分が4640個,平成15年9月から平成17年12月分が2164個)である。 イスギ薬局(,),, 証拠 甲1821の1及び弁論の全趣旨によれば被告ウェーブは被告商品を愛知県名古屋市に本社を置く株式会社服部物産に販売し,同社- 40 -がスギ薬局(本店所在地・愛知県安城市)にこれを転売したものであることが認められる。したがって,スギ薬局が全国各地に直営販売店を有する広域販売網を持つ会社であるとしても,被告ウェーブの直接の販売先が本件エリア外である以上,その販売が本件エリア条項に違反するということはできない。 ウピップフジモト関係弁論の全趣旨によれば,ピップフジモトは,大阪市に本社を置く卸売会社であり,被告商品をイズミヤ等に販売(転売)していることが認められる。そして,被告ウェーブのピップフジモトに対する被告商品の販売数量が2588個であることは,当事者間に争いがない。そうすると,ピップフジ ,被告商品をイズミヤ等に販売(転売)していることが認められる。そして,被告ウェーブのピップフジモトに対する被告商品の販売数量が2588個であることは,当事者間に争いがない。そうすると,ピップフジモト関係については,本件エリア条項の①が適用され,上記2588個全量が本件エリア条項に違反することになる。また,販売期間ごとの販売数量が証拠上明らかでないので,これを期間に応じて案分して推計すると,平成13年1月から平成15年8月分が1380個,平成15年9月から平成17年12月分が1208個ということになる。 エ加藤産業(京都支店)関係証拠(甲22の1・2)及び弁論の全趣旨によれば,加藤産業は兵庫県西宮市に本店を置く卸売会社であり,平成15年3月から平成17年12月までの同支店に対する被告商品の販売数量は5196個(平成13年1月から平成15年8月分が570個,平成15年9月から平成17年12月分が4626個)であり,そのうち17個の返品があったので,結局,5179個であったことが認められる。そうすると,本件エリア条項の①が適用され,上記5179個全部(平成13年1月から平成15年8月分が570個,平成15年9月から平成17年12月分が4609個)が本件エリア条項に違反することになる。 なお,原告は,平成13年1月から平成15年2月までの被告商品の販- 41 -売数量が3952個と推計される旨主張するが,加藤産業からその間に被告会社らから購入した被告商品がある旨の回答がなく,原告の上記推計を根拠づける事情も見あたらないので,原告の上記主張は採用できない。 オクスリのアオキ関係弁論の全趣旨によれば,被告ウェーブは,石川県金沢市に本店を置く北(「」),陸国分株式会社金沢本部通称金沢国分に対して被告商品を販売し同社が「クスリ できない。 オクスリのアオキ関係弁論の全趣旨によれば,被告ウェーブは,石川県金沢市に本店を置く北(「」),陸国分株式会社金沢本部通称金沢国分に対して被告商品を販売し同社が「クスリのアオキ」に被告商品を転売したことが認められる。そうすると,これについては本件エリア条項の①が適用され,被告ウェーブが北陸国分株式会社(金沢本部)に対して販売した被告商品の全量が本件エリア条項に違反することになる。そして,被告ウェーブのアオキに対する被告商品の販売数量は,5354個を限度として当事者間に争いがない。 原告は,上記販売数量は1万4915個であると主張するが,被告商品の販売数量が上記争いのない販売数量を超えると認めるに足りる証拠はない。 ,,そして販売期間ごとの被告商品の販売数量は証拠上明らかでないのでこれを販売期間に応じて案分して推計すると,平成13年1月から平成15年8月までが2855個,同年9月から平成17年12月までが2499個となる。 カコクミン(タモン経由)関係証拠(甲18,調査嘱託の結果)によれば,被告ウェーブは,長野県長野市に本店を置くタモンに対し,被告商品を合計1万0651個販売したことが認められる。しかし,本件エリア条項①は販売先の本店所在地を基準に判断するのが相当であるから,長野県長野市を本店所在地とするタモンに対する上記販売分は,本件エリア条項に違反するものではない。 キイオン関係証拠(調査嘱託の結果)によれば,被告ウェーブは,①平成13年1月- 42 -から平成14年8月までは卸売会社を経由して,②平成14年9月から平成17年12月までは被告ニッショクから直接,イオンに対し被告商品を販売していたものであり,そのうち,②の期間中の販売数量は合計1万3984個であったことが認められる。これに対し, 14年9月から平成17年12月までは被告ニッショクから直接,イオンに対し被告商品を販売していたものであり,そのうち,②の期間中の販売数量は合計1万3984個であったことが認められる。これに対し,①の期間中の販売数量を認定し得る証拠はないが,①の期間については,いずれにしても,被告ウェーブは卸売会社を経由してイオンに販売していたものであるから,その販売分については本件エリア条項の①により当該卸売会社の所在地によって本件エリア条項に違反するかどうかを決すべきであるところ,本件において被告ウェーブが販売した上記卸売会社の所在地をうかがい知ることのできる証拠はない。そうすると,同期間中に被告ウェーブが卸売会社経由でイオンに販売した被告商品については,本件エリア条項に違反すると認めるに足りる証拠はないというべきであるしたがって被告会社ら実。 ,(際には被告ニッショク)のイオンに対する販売数量は,②の期間中の合計1万3984個になる。 そして,証拠(甲41)及び弁論の全趣旨によれば,イオンは,全国に391店舗を有し,本件エリア内にも77店舗を擁する会社であり,本件エリア条項にいう「広域販売網を持つ会社」に該当するから,②の期間すなわち平成14年9月から平成17年12月までの間に販売した被告商品については同条項の②が適用されるところ,イオンの有する全店舗391のうち本件エリア内にある店舗77の比率は0.1969であるから,本件エリア内にあるイオンの店舗(出店先)に対する被告商品の販売数量は2753個となる(×=,1個未満四捨五入。 13,9840.19692753.4496)また,販売期間ごとの販売数量が証拠上明らかでないので,販売期間に応じて案分して推計すると,平成14年9月から平成15年8月までが826個,同年9月から平成 0.19692753.4496)また,販売期間ごとの販売数量が証拠上明らかでないので,販売期間に応じて案分して推計すると,平成14年9月から平成15年8月までが826個,同年9月から平成17年12月までが1927個となる。 ク合計- 43 -以上のとおり,被告会社らが本件期間内に販売したハーブ粒商品の個数は,合計2万2678個(平成13年1月から平成15年8月までが1万0271個,同年9月から平成17年12月までが1万2407個)である。 ( )利益の額 (,,,), 証拠 甲48の1~6 被告代表者及び弁論の全趣旨によれば被告ウェーブが販売した被告商品の単価(卸売価格)を2329円(定価3045円×〔1-ドラッグストア平均粗利益率0.235〕=2329円)と推計することが合理的といえる。 ,,そして仕入価額が平成13年1月から平成15年8月までは1004円同年9月から平成17年12月までは900円であったことは当事者間に争いがない(なお,被告は,平成17年4月25日から仕入価額が930円に変更されたと主張し,甲27〔商品売買に関する覚書〕には,被告ウェーブが仕入価額を930円する旨の覚書案を作成し,原告に送付したことが認められるが,これを原告が了承し実際に仕入価額が930円に変更されたことを認めるに足りる証拠はない。 。)以上より,被告会社らにおける上記ハーブ粒商品の1個当たりの利益を推計すると,平成13年1月から平成15年8月までが1325円,同年9月から平成17年12月までは1429円となる。これに上記販売個数を乗じて本件商品の販売により被告会社らが得た粗利益を推計すると,平成13年1月から平成15年8月までが1360万9075円,同年9月から平成17年12月までは1772万960 。これに上記販売個数を乗じて本件商品の販売により被告会社らが得た粗利益を推計すると,平成13年1月から平成15年8月までが1360万9075円,同年9月から平成17年12月までは1772万9603円となり,合計3133万8678円となる。 なお,経費については,被告らから具体的な主張はなく,また,前示認定のとおり,被告会社らは,本件製造委託契約を締結する前からハーブ粒商品を販売していたものであって,同契約締結後にハーブ粒商品を販売するに当- 44 -たり追加的に必要な経費が発生したとは認められないから,被告会社らの得た利益の算定に当たり,経費を控除しないこととする。 そうすると,被告会社らが本件期間中にハーブ粒商品を販売して得た利益の合計額は,上記のとおり3133万8678円となる。 ( )原告が被った損害額 前記のとおり,被告会社らが本件期間中にハーブ粒商品を販売して得た利,。 益の額をもってそのまま原告の被った損害の額と推認することはできない証拠(甲6,7,16,乙4,原告代表者,被告A)及び弁論の全趣旨によれば,原告商品は,ハーブ関連の健康食品に分類されるところ,そのような健康食品には原告商品のようなセンナ茎を含有しないものも含めれば280余種類があり,原告商品と同様のハーブ粒商品もその一部をなすものであって,これら多種類にわたるハーブ関連の健康食品が原告商品の競合商品として存在するものであること,センナ茎を含有するハーブ粒商品が,これを含有しないハーブ粒商品その他のハーブ関連の健康食品と比べて爆発的に人気が出たなどの事情は認められないこと,被告会社らは,本件製造委託契約締結前からハーブ粒商品その他のハーブ関連の健康食品を販売していたこと,その他,被告ウェーブはキリン堂との取引がなく,原告商品と被告商品の各取扱先が競 められないこと,被告会社らは,本件製造委託契約締結前からハーブ粒商品その他のハーブ関連の健康食品を販売していたこと,その他,被告ウェーブはキリン堂との取引がなく,原告商品と被告商品の各取扱先が競合しているのはクスリのアオキのみであり,原告が原告商品の営業をした取引先のうち被告会社らが被告商品の営業をかけた取引先はコクミン,ユタカファーマシー及びスギ薬局にとどまること,以上の事実が認められる。 上記事実によれば,原告商品には,ハーブ粒商品のほかハーブ関連の健康食品が競合商品として想定されるところ,その競合商品は極めて多種類に及ぶことからすると,他の競合商品の存在やその販売数量等を度外視して,被告商品が販売されることにより,当然にこれと同数の原告商品の販売ができなくなったと認定することは到底できない。また,原告商品及び被告商品の- 45 -取扱先が競合し,被告商品の販売により原告商品の販売数量の減少が予想される本件エリア条項に違反する販売先はクスリのアオキのみにとどまるものと考えられ,被告商品の販売による原告商品の販売数量への影響は相当に限定されたものにとどまるものというべきである。その他,原告商品と被告商品の価格差等,本件に現われた一切の事情を考慮し,被告会社らが本件期間中にハーブ粒商品を販売して得た利益の20%をもって,被告会社らが本件エリア条項に違反して本件エリア内の店舗にハーブ粒商品を販売したことにより原告が被った損害の額と認めるのが相当である。 そうすると,損害額は626万7736円(1円未満四捨五入)となる。 第5 結論 以上によれば,原告の被告らに対する請求は,本件商標権に基づき,被告会社らに対しそれぞれ「新快通ハーブ粒」又は「快通ハーブ粒」の表示を使用したハーブを主原料とする粒状の加工食品の譲渡,引き渡し,譲渡若しくは引 ば,原告の被告らに対する請求は,本件商標権に基づき,被告会社らに対しそれぞれ「新快通ハーブ粒」又は「快通ハーブ粒」の表示を使用したハーブを主原料とする粒状の加工食品の譲渡,引き渡し,譲渡若しくは引渡しのための展示の差止め及び債務不履行,不法行為又は会社法429条に基づき,被告らに対し,原告の被った損害626万7736円及びこれに対する不法行為の日の後である平成18年1月1日(ただし,被告Aの会社法429条基づく損害賠償債務については,履行の請求を受けた時から遅滞に陥るというべきであるから,遅延損害金の起算日は訴状送達の日の翌日である平成18年6月15日とすべきである)から支払済みまで民法所定の年5分の割合によ。 る遅延損害金の支払を求める限度で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,被告ウェーブの請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部- 46 -田中俊次裁判長裁判官西理香裁判官北岡裕章裁判官
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