平成29(ワ)43439 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年6月8日 東京地方裁判所
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判決文本文114,068 文字)

-1-令和4年6月8日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成29年(ワ)第43439号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和4年2月18日判決主文 1 被告らは、原告に対し、連帯して9812万5758円並びにうち4757万4700円に対する、被告aについては平成30年1月13日から、被告会社については平成29年12月28日から、うち3155万1600円に対する平成30年10月6日から、うち1899万9458円に対する令和元年7月10日か ら各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は、これを5分し、その1を被告らの負担とし、その余を原告の負担とする。 4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求被告らは、原告に対し、連帯して5億1732万5439円並びにうち1億6514万9400円に対する、被告aについては平成30年1月13日から、被告会社については平成29年12月28日から、 うち2億2138万0080円に対する平成30年10月6日から、うち1億3079万5959円に対する令和元年7月10日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は、原告が、被告会社との間で危機管理業務等に関する助言・-2-指導等の業務委託契約を締結したところ、被告会社の代表取締役で原告の顧問の地位に就いた被告aが、⑴原告の顧問という立場を利用して、取引業者から私的に金銭(以下、斡旋手数料等の名目で原告の取引業者と被告らとの間で、原告との契約上の対価とは別に、契約締結や取引の見返りとして授受される金銭を「裏金」という 問という立場を利用して、取引業者から私的に金銭(以下、斡旋手数料等の名目で原告の取引業者と被告らとの間で、原告との契約上の対価とは別に、契約締結や取引の見返りとして授受される金銭を「裏金」という。)を受け取り、 国技館の改修工事を巡り施工業者の選定に不当に介入するなどして上記取引業者の利益を図るなど種々の業務委託の趣旨に反する背任行為を行った、⑵取引業者に対し裏金を要求し、それに応じない取引業者との取引を一方的に中止するなどした上、被告aが裏金を受け取る場面の動画がインターネット上の動画サイトに投稿されたことにより、 原告の信用を毀損した、⑶必要性も緊急性も認められない国技館の木戸改修工事等及び雨水槽漏水対策工事を不合理な金額で発注させた、⑷取引業者から裏金を受領して、原告に不当な対価による契約を締結させたことによって、① 既払の業務委託料8775万5080円(平成24年2月から平 成28年1月末まで分)、② 信用毀損による無形損害5000万円、③ 木戸関連工事代金相当額である6095万5200円、④ 雨水槽漏水対策工事代金相当額である7990万9200円、⑤ 取引業者から受領した裏金相当額計2億0870万5959円、 a 株式会社A(以下「A」という。)からの7791万円、b それ以外からの1億3079万5959円、⑥ 調査費用の一部3000万円の合計5億1732万5439円の損害を被ったと主張して、被告aに対し、不法行為又は会社法429条1項による損害賠償請求権に基 づき、被告会社に対し、①につき債務不履行又は会社法350条、②-3-から⑥までにつき会社法350条による損害賠償請求権に基づき、連帯して(遅延損害金については重なる限度で)5億1732万5439円並びにう に対し、①につき債務不履行又は会社法350条、②-3-から⑥までにつき会社法350条による損害賠償請求権に基づき、連帯して(遅延損害金については重なる限度で)5億1732万5439円並びにうち1億6514万9400円(上記①のうち平成24年分ないし平成26年分及び平成27年分の一部の合計8514万9400円、②、⑥)に対する被告会社については平成29年12月28 日、被告aについては平成30年1月13日(訴状送達の日の翌日)から、うち2億2138万0080円(上記①のうち平成27年分の一部及び平成28年分合計260万5680円、③、④、⑤a)に対する平成30年10月6日(同月4日付訴えの変更申立書送達の日の翌日)から、及びうち1億3079万5959円(上記⑤b)に対す る令和元年7月10日(同月5日付訴えの変更申立書送達の日の翌日)から、各支払済みまで民法(平成29年法律第44号による改正前のもの)所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 2 前提事実(証拠によって認定した事実は認定に供した証拠等を各項 末尾に摘示し、それ以外の事実は当事者間に争いがないか、弁論の全趣旨により容易に認定できる。)⑴ 原告ア原告は、太古より五穀豊穣を祈り執り行われた神事(祭事)を起源とし、我が国固有の国技である相撲道の伝統と秩序を維持し継 承発展させるために、本場所及び巡業の開催、これを担う人材の育成、相撲道の指導・普及等を行うと共に、これらに必要な施設(原告の主たる事務所の住所地に所在する国技館を含む。)を維持、管理運営し、もって相撲文化の振興と国民の心身の向上に寄与することを目的とする公益財団法人である(甲1、12)。 イ原告は、従前、財団法人日本相撲協会との名称であったが、平 む。)を維持、管理運営し、もって相撲文化の振興と国民の心身の向上に寄与することを目的とする公益財団法人である(甲1、12)。 イ原告は、従前、財団法人日本相撲協会との名称であったが、平成-4-26年1月30日に公益目的事業を行うものとして行政庁の認定(以下「公益認定」という。)を受け(公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律2条2号、4号)、現名称に変更し、公益財団法人に移行した(甲1、42の5頁、甲106の19頁)。 ⑵ 原告の定款等には以下の定めがある。 ア定款(甲12)この法人には理事10名以上15名以内(年寄及び外部有識者から選任)、監事2名以上3名以内(外部有識者から選任)を置き、理事のうち1名を理事長とし、理事長以外の9名を業務執行理事とする。(26条) 理事は、理事会を構成し、法令及びこの定款の定めるところにより、職務を執行する。理事長は、法人を代表し、その業務を執行し、業務執行理事は、理事会において別に定めるところにより、法人の業務を分担執行する。(28条1項、2項)理事会は、法人の業務執行の決定、理事の職務の執行の監督、 理事長及び業務執行理事の選定及び解職、評議員会の招集の決定を行う。(37条)この法人に顧問を若干名置くことができ、顧問は、この法人の運営に関して理事長の諮問に答え、委員会等の会議に出席して意見を述べることができる。(56条1、4項) この法人の事務を処理するため、事務局を設け、主事その他の事務職員を置く。職員は理事長が任免する。なお、重要な使用人については、理事会の承認を得て行う。(57条)イ原告の理事職務権限規程によれば、1件につき1億円以上の支出については、理事会の承認・決裁を受け、1件が1000万円以 。なお、重要な使用人については、理事会の承認を得て行う。(57条)イ原告の理事職務権限規程によれば、1件につき1億円以上の支出については、理事会の承認・決裁を受け、1件が1000万円以 上1億円未満の支出は理事長の決裁、担当事業の1件1000万-5-円未満の支出は事業部長の決裁、日常の少額の支払・月次定期的定額的な支払(給料を含む。)・100万円未満の決裁及び支払は事務局主事の決裁の範囲とされている(甲106)。 ウ原告の契約管理規程2条によれば、原告の契約は、原則として、指名競争入札又はプロポーザル(企画競争入札)とするとされて いるものの、同4条2項では、緊急の必要により競争入札に付すことができないとき、競争入札に付すことが協会にとって不利と認められるとき、時価に比して著しく有利な価格で契約を締結することができる見込みのあるとき、予定価格が1000万円未満の工事等の請負契約をするとき等はこの限りではないと定められ ている(甲33)。 ⑶ 原告関係者ア B1は、平成24年1月に原告の代表理事に就任し(2回目)、平成27年11月20日に死亡するまで原告の代表理事を務めていた者である(以下「B前理事長」という。)(甲1、158)。 イ C1は、平成24年から原告の理事となり、広報部長、平成26年4月からは事業部長を務め、B前理事長死亡による理事長代行を経て、平成27年12月18日から代表理事を務めている者である(以下、当時の役職にかかわらず「C理事長」という。)(甲1、11、109、158)。 ウ D1は、平成24年2月に原告の理事となり、平成27年12月以降、原告の事業部長を務めている者である(以下「D事業部長」という。)(甲1、11、107)。 エ E1は、平成24年2月に ウ D1は、平成24年2月に原告の理事となり、平成27年12月以降、原告の事業部長を務めている者である(以下「D事業部長」という。)(甲1、11、107)。 エ E1は、平成24年2月には原告の理事の地位にあり、事業部長を務めていたが、平成26年3月24日に理事を退任した者であ る(以下「E親方」という。)(甲1、29)。 -6-オ F1は、遅くとも平成24年2月には原告の理事の地位にあり、平成28年3月28日に理事に重任された者である(以下「F理事」という。)(甲1、11)。 カ b1は、公認会計士の資格を有し、遅くとも平成24年2月には原告の監事を務めていた者である(以下「b監事」という。)(甲1、 11)。 キ c1は、元検事で、遅くとも平成24年2月には原告の外部理事を務めており、平成28年3月に退任した者である(以下「c理事」という。)(甲1)。 ク d1は、平成24年5月に原告に採用され、同年6月には原告の 事務局のトップである主事に昇任したが、平成26年3月には主事代行に降格され、同年10月に原告を退職した者である(以下、時期を問わず「d主事」という。)(甲29、乙41)。 主事とは、原告の事務を総轄する役職であり、上記⑵イの範囲の決裁及び支払を行うほか、理事会その他の定例的な会議の議題調 整及び進行、事務職員の労務管理等を業務とするものである(甲42の3頁、甲106の4・19頁)。 ケ e1(以下「e」という。)は、平成25年2月に原告に採用され、平成26年12月31日に一度退職した後、平成28年4月に復職し、同年11月に主事になった者である(甲159)。 コ f1(以下「f」という。)は、昭和56年7月に原告に採用され、昭和60年の国技館の建設に携わり、平成2 した後、平成28年4月に復職し、同年11月に主事になった者である(甲159)。 コ f1(以下「f」という。)は、昭和56年7月に原告に採用され、昭和60年の国技館の建設に携わり、平成24年8月には原告の施設管理責任者として国技館改修工事の発注業務、工期の管理業務などを担当し、平成26年5月に定年退職した後も、原告に嘱託雇用されていた者である(甲32、153)。 サ g1(以下「g」という。)は、原告の事務局職員で経理・人事-7-室の室長代理をしていた者であるが、平成28年4月1日、原告を退職した。h1(以下「h」という。)は、原告の事務局職員であった者であるが、同月死亡した。(甲29、132、証人e43頁、弁論の全趣旨(原告最終準備書面10頁))⑷ 被告ら ア被告会社は、平成13年12月14日に設立された情報通信システムの企画及びそれに関連するコンサルティング業務、並びにスポーツイベント・文化事業等の企画・斡旋・プロデュース・運営受託等を目的とする株式会社である。被告会社は平成29年10月25日の株主総会の決議により解散し、清算手続中である。(甲 2、3)イ被告aは、昭和59年に兵庫県警を退官し、アパレル関係の仕事をしていたが(甲144)、平成13年12月14日、被告会社を設立し(被告aの一人会社)、以来、被告会社が解散するまでの間、その代表取締役を務め、解散後は代表清算人を務めている。 ⑸ 業務委託契約の締結ア原告は、平成24年2月6日、被告aを危機管理政策顧問として、被告会社又は被告aに対し(委託の相手方については争いがある。)、原告の訴訟案件にかかわる危機管理運営に関する助言業務(業務内容はその都度原告が指定するとされており、同日付けの 通知書で理事長が 会社又は被告aに対し(委託の相手方については争いがある。)、原告の訴訟案件にかかわる危機管理運営に関する助言業務(業務内容はその都度原告が指定するとされており、同日付けの 通知書で理事長が指示する日本相撲協会の訴訟案件に関わる危機管理運営に関する助言業務とされた。)を、契約期間1年間、委託料1日当たり2万円(税別)で委託した(甲5、7、8)。なお、上記業務委託契約は、下記の業務委託契約の締結により、平成24年8月31日をもって終了した(甲6)。 イ原告は、平成24年9月1 日、被告aを常任特別顧問として、-8-被告会社又は被告aに対し(委託の相手方については争いがある。)、原告の事務局業務全般の助言と指導、理事長の特命業務、理事長の要請に基づく事業部間の調整、危機管理に関わる業務、理事長の要請による理事会等必要な会議の出席についての業務を、契約期間1年間(契約期間満了の1か月前までに両者から申入れの ない場合1年間自動更新)、委託料月額126万9000円(税別)で委託した(甲6、8、9)(特に断らない限りは、上記アと併せて、原告と被告a又は被告会社との間の一連の業務委託契約を「本件業務委託契約」という。)。 ウ原告は、平成27年1月1日以降、本件業務委託契約の委託料を 月額144万8000円(税別)へと引き上げた。 エ原告は、平成24年2月から平成28年1 月末まで、被告会社に対し、本件業務委託契約に基づき、平成24年分1224万3000円、平成25年分2284万2000円、平成26年分2284万2000円、平成27年分2865万5560円、平成28年 分117万2520円の合計8775万5080円を支払った(弁論の全趣旨。なお、被告らは平成27年12月分について被告aが給料として受 000円、平成27年分2865万5560円、平成28年 分117万2520円の合計8775万5080円を支払った(弁論の全趣旨。なお、被告らは平成27年12月分について被告aが給料として受領したと主張するほかは争うことを明らかにしていないところ、被告aが原告に対し労働契約上の地位を有しないことにつき確定判決があり、仮に同月分を被告aが受領してい るとしても、業務委託料として支払われたものと認められる。)。 オ原告は、平成28年1月28日、被告会社に対し、同月末日をもって本件業務委託契約を解除する旨の意思表示をし、同日をもって本件業務委託契約は終了した(甲14の1、2)。 ⑹ パチンコに関する契約関係と動画流出 ア株式会社G(以下「G」という。)の代表取締役のi1(以下「i」-9-という。)は、従業員であるj1(以下「j」という。)を介して被告aと知り合い、被告aに対し、原告公認のパチンコ台を作るのに協力する目的で、同級生であるk1(以下「k」という。)が営業部長を務めており、肖像権を利用した商品の企画等を行っている株式会社H(以下「H」という。)を紹介した(乙3)。 イ Gのiは、被告aに対し、原告がパチンコメーカーにパチンコ台の製造販売に際して相撲部屋、力士、年寄、行司等の四股名、名称、写真、映像、肖像等の利用を許諾する契約(以下「名称等利用許諾契約」という。)の締結交渉に関連して、平成24年11月12日に500万円、同月22日に1200万円を現金で交付した(な お、被告aが、iに同金員を返金したか否かは争いがある。)。 ウ原告は、平成25年5月25日、I1(以下「I」という。)との間で、契約期間を同年7月1日から平成30年6月30日までとして、名称等利用許諾契約(以下「本件名称等 したか否かは争いがある。)。 ウ原告は、平成25年5月25日、I1(以下「I」という。)との間で、契約期間を同年7月1日から平成30年6月30日までとして、名称等利用許諾契約(以下「本件名称等利用許諾契約」という。)を締結し、パチンコメーカーがHに対し原告との交渉業務 等を委託したのを受けて、平成25年5月27日、Hとの間で上記力士等の名称等の利用許諾の対価を最低保証許諾料1億円(支払期日平成25年7月末日)、10万台を超えると1台当たり2000円とする旨の覚書を締結した(甲113~115、弁論の全趣旨)。 なお、被告会社は、Hから、平成25年4月17日に262万5000円、同年7月5日に3950万円の振込送金を受けた(甲112)。 エ iは、平成26年1月頃、平成24年11月12日に現金500万円を被告aに交付した際の様子を隠し撮りした動画(以下「本 件動画」という。)をインターネット上の動画サイトであるYou-10-Tube上に投稿した(甲35の1、2)。また、上記イの現金授受については、原告顧問のパチンコ裏金受領疑惑として、平成26年1月から2月にかけて週刊誌等で報じられ(甲36の1~4、甲37)、同年3月には全国紙でも報じられた(甲147)。 オ原告は、平成27年9月25日、Iとの間で本件名称等利用許 諾契約を更新し、契約期間を令和5年6月30日までに延長した(甲116)。原告は、Hが原告との交渉業務をkが代表取締役を務める株式会社J1(以下「J」という。)に再委託したことを受けて、平成27年9月25日、Jとの間で上記力士等の名称等の利用許諾の対価を最低保証許諾料1億円(支払期日同年12月末 日)、10万台を超えると1台当たり2000円とする旨の覚書を締結した(甲117、11 年9月25日、Jとの間で上記力士等の名称等の利用許諾の対価を最低保証許諾料1億円(支払期日同年12月末 日)、10万台を超えると1台当たり2000円とする旨の覚書を締結した(甲117、118)。 なお、被告会社は、平成27年12月1日、Jから3240万円の振込送金を受けた(甲112)。 ⑺ 国技館基幹設備等改修工事等の契約関係 ア国技館基幹設備等昭和59年11月に完成した国技館の老朽化に伴い、平成23年10月19日開催の理事会で、国技館基幹設備等改修工事(以下「国技館改修工事」という。)を実施することが決定された。 平成23年12月28日開催の理事会で、国技館改修工事の請負業者を株式会社大林組(以下「大林組」という。)とすることが決定され(乙33)、平成24年1月26日理事会で、株式会社日建設計(以下「日建設計」という。)を設計施工管理会社とすることが決定された(乙35)。 しかし、平成24年3月18日開催の理事会で、大林組との契-11-約内定を白紙にすることが決まり、同年5月2日開催の理事会で、日建設計との契約内定も白紙に戻すこととなった(甲15、16、乙37、39)。 平成24年7月15日の理事会において、事業部長(当時はE親方)を委員長とする国技館改修工事推進委員会の設置が報告 された。同委員会は、国技館改修工事完了予定の平成31年までの間、基幹設備等改修及びその時期までに行う緊急工事に関する実施案並びに設計施工者選定に係る実施案を検討し、理事会への上程を行うという役割を担っていた。(甲18、乙42)同委員会は、平成26年11月7日、原告の建設関連事項を全 て協議できる委員会とする趣旨で、建設委員会(以下、いずれの委員会についても「建設委員会」という 割を担っていた。(甲18、乙42)同委員会は、平成26年11月7日、原告の建設関連事項を全 て協議できる委員会とする趣旨で、建設委員会(以下、いずれの委員会についても「建設委員会」という。)へと名称が変更された(甲162、乙20)。 平成24年5月24日開催の理事会で、国技館改修工事に関する設計・監理のコンサルタントとして、被告aが紹介した株式 会社NTTファシリティーズ(以下「NTTファシリティーズ」という。)を選定することが承認された(乙40)。原告は、同年8月1日、NTTファシリティーズとの間で、国技館改修工事に係る管理・技術コンサルタント業務を委託するコンストラクション・マネジメント業務委託契約(以下「本件CM業務委託契約」 という。)を締結した(甲18、26、180)。 NTTファシリティーズの役割は、国技館改修工事に関する設計施工者選定支援、設計段階における設計内容の確認、指導及び調整、工事中における工事内容の確認を行い、建設委員会へ出席して、専門的見地からアドバイスすることとされていた(甲18、 26)。なお、NTTファシリティーズの総括責任者は、当初は-12-l1(以下「l」という。)であったが、平成25年8月頃、m1(以下「m」という。)に交代した(甲26)。 原告は、平成25年9月30日、K株式会社(以下「K」という。)との間で、設計・監理者及び施工者をK(設計・監理及び施工とも電気設備担当は株式会社A(以下「A」という。)、機械 設備担当は新菱冷熱工業株式会社(以下「新菱冷熱」という。))とする国技館改修工事につき、設計範囲を26項目、工事範囲を①受変電設備の更新、②空調熱源劣化更新、③空調機更新、④防災センター更新の4項目として、総工事金額41億3700万円( 熱」という。))とする国技館改修工事につき、設計範囲を26項目、工事範囲を①受変電設備の更新、②空調熱源劣化更新、③空調機更新、④防災センター更新の4項目として、総工事金額41億3700万円(税別)で請負契約及び設計・監理業務受託契約を締結した(以 下「国技館改修工事請負契約」という。)。同契約では、原告が電気設備工事担当業者としてA、機械設備工事担当業者として新菱冷熱を指定し、Kは上記2社に対し、国技館改修工事請負契約で定められた金額でそれぞれに電気設備工事、機械設備工事を発注しなければならないとされている。 工事金額の内訳(いずれも税込み)は以下のとおり。 基本・実施設計代金 1億8375万円建築工事 1億1025万円電気設備工事 3150万円機械設備工事 4200万円 施工代金 39億0836万2500円建築工事 8億1611万2500円電気設備工事 14億9625万円機械設備工事 15億9600万円監理代金 9345万円 建築工事 3150万円-13-電気設備工事 3045万円機械設備工事 3150万円コストオンフィー代金 1億5828万7500円【設計】電気設備工事 157万5000円機械設備工事 210万円 【施工】電気設備工事 7481万2500円機械設備工事 7980万円なお、コストオンフィー代金は、原告がKに対し統括管理業務及び共益業務を委託し、各設備工事発注額の各5%に相当する金額を支払うこととされたものである。 工事金額の支払時期については、基本・実施設計代金(コストオンフィー 告がKに対し統括管理業務及び共益業務を委託し、各設備工事発注額の各5%に相当する金額を支払うこととされたものである。 工事金額の支払時期については、基本・実施設計代金(コストオンフィー代金を含む。)につき、契約締結時に20%分の3748万5000円、設計完了時に1億4994万円を支払い、施工・監理代金(コストオンフィー代金を含む。)につき、工事着手時に20%分の8億3128万5000円、残金を各年3月末 日及び9月末日において完了した部分の出来高払いとして請求月の翌月末日に現金で全額支払うことが定められている。 (甲31、160)原告は、平成29年6月末日までに、Kとの間で国技館改修工事請負契約を合意解除し、新たな工事業者に国技館改修工事を 続行させている(甲183~187)。 イ国技館その他工事(国技館改修工事請負契約の工事範囲4項目以外)診療所エレベータ2階延長更新工事原告は、建設委員会による承認の上、平成26年11月28日、 Kに対し、診療所エレベータ2階延長更新工事を発注し、請負代-14-金4950万円(税別)を支払った(甲82~86)。 教習所修繕工事原告は、建設委員会による承認の上、平成27年2月13日、Kに対し、教習所修繕工事を発注し、請負代金4150万円(税別)を支払った(甲87~92)。 ポンプ類劣化更新工事原告は、建設委員会による承認の上、平成27年3月31日、Kに対し、ポンプ類劣化更新工事を発注し、請負代金2100万円(税別)を支払った(甲97~100)。 決まり手表示更新工事等 原告は、建設委員会による承認の上、平成27年5月頃、Kに対し、決まり手表示更新工事を発注し、請負代金2750万円(税別)を支払った(甲65~68)。 00)。 決まり手表示更新工事等 原告は、建設委員会による承認の上、平成27年5月頃、Kに対し、決まり手表示更新工事を発注し、請負代金2750万円(税別)を支払った(甲65~68)。 原告は、建設委員会による承認の上、平成27年5月頃、Aに対し、取組表示灯のLED化工事を発注し、請負代金1790万 円(税別)を支払った(甲69、71、72、74、76)。 原告は、建設委員会による承認の上、平成27年12月頃、Aに対し、決まり手表示の漢字化工事を発注し、請負代金60万6000円(税別)を支払った(甲70、73、75、77)。 電話設備幹線更新工事 原告は、建設委員会による承認の上、平成27年5月11日、Kに対し、電話設備幹線更新工事を発注し、請負代金2460万円(税別)を支払った(甲78~81)。 木戸関連工事a 木戸の改修工事 木戸とは、国技館の正門の左右に位置する本場所の入場券販-15-売所を兼ねた建物(各23㎡)をいい、原告は、平成27年5月27日、Kに対し、国技館の正門の正面に向かって右手の木戸の改修工事(以下「木戸改修工事」という。)を代金4880万円(税別)で発注した。Kは、同月28日から同年8月31日にかけて木戸改修工事を施工し、同年7月24日には完成 検査が行われた(甲49添付資料1・2、甲50~52)。 原告は、平成27年12月21日、Kに対し、木戸改修工事代金として5270万4000円(税込み。振込額は手数料を控除した5270万3568円)を支払った(甲53、54)。 木戸改修工事当時、L親方、M親方、N親方が木戸を担当し ていた(以下、木戸担当親方を「木戸の親方ら」という。)b 木戸のサイネージシステム工事木戸改修工事には、切符販売状況モニ )。 木戸改修工事当時、L親方、M親方、N親方が木戸を担当し ていた(以下、木戸担当親方を「木戸の親方ら」という。)b 木戸のサイネージシステム工事木戸改修工事には、切符販売状況モニター設置電気設備更新工事が含まれていたが、これは、木戸の切符売り場窓口上部にあった手書き等の掲示板を、液晶モニターを設置し、チケット 販売仲介業者の情報配信サービスと連携することで、最新のチケットの販売状況をデジタルで表示する形式であるデジタルサイネージに切り替える工事である。 Kは、木戸改修工事において、木戸の外側に新しい液晶ディスプレイ3台を取り付けた(甲49添付資料3の4)。 原告は、平成27年7月31日、株式会社O1(以下「O」という。)に対し、上記サイネージシステムの構築に係る工事(以下「木戸サイネージシステム工事」という。)を、工事代金764万円(税別)、工期同年8月1日から同月27日までの約定で発注した(甲55、58)。 Oは、同年7月24日頃、Aに対し、上記工事の一部である-16-液晶モニター設置工事を90万円で発注し(甲56)、また、同年8月1日、サイネージシステム提供及び設定作業に関して株式会社NTTぷらら(以下「NTTぷらら」という。)の派遣社員のn1(以下「n」という。)に対し業務を委託した(甲60、弁論の全趣旨)。 原告は、同年8月28日、Oから同工事の引渡しを受け、同年9月30日、Oに対し工事代金825万1200円(税込み)を支払った(甲58、59、61)。 既存遡及工事原告は、建設委員会による承認の上、平成27年6月10日、 Kに対し、国技館の倉庫増築等に伴う防火設備についての既存遡及工事を発注し、請負代金1500万円(税別)を支払った(甲101~105) 告は、建設委員会による承認の上、平成27年6月10日、 Kに対し、国技館の倉庫増築等に伴う防火設備についての既存遡及工事を発注し、請負代金1500万円(税別)を支払った(甲101~105)。 雨水利用設備更新工事原告は、建設委員会による承認の上、平成27年9月14日、 Kに対し、雨水利用設備更新工事を発注し、請負代金2939万円(税別)を支払った(甲93~96)。 雨水槽漏水対策工事国技館の地下部分には、雨水槽(雨水を排水するための排水槽をいう。)が設置されていた。原告は、雨水利用設備更新工事にお けるろ過装置の調査により、これらの雨水槽に欠陥があり漏水の発生が判明したとして、雨水槽を修繕する雨水槽漏水対策工事を実施することとした(甲49、乙22)。 原告は、平成27年9月25日、Kに対し、雨水槽漏水対策工事を、請負代金9203万4360円(税込み)、工期を同月28 日から平成28年5月10日までとして発注した(甲62)。 -17-原告は、平成29年3月27日にKからの請求を受けて、同年4月28日、Kに対し、雨水槽漏水対策工事代金として7990万9200円(振込額は手数料を控除した7990万8768円)を支払った(甲63、64)。 ウその他の工事等 システム入替工事原告は、平成26年6月頃、Oに対し、原告内で使用していたパソコン、サーバ及びソフトウェア等のシステム一式を入れ替える工事(以下「システム入替工事」という。)を発注し、同年7月31日、請負代金4233万6000円を支払った(甲131、 132)。 ネットワーク設置工事原告は、平成26年11月頃、Oに対し、ネットワーク設置工事を発注し、同年12月25日、請負代金273万2400円(なお、実際の支 った(甲131、 132)。 ネットワーク設置工事原告は、平成26年11月頃、Oに対し、ネットワーク設置工事を発注し、同年12月25日、請負代金273万2400円(なお、実際の支払金額は、手数料432円が控除された金額である 273万1968円)を支払った(甲133~135)。 ソフトウェア保守契約原告は、平成27年6月頃、NTTぷららとOを介して、IT資産管理ソフトウェア「SKYSEA」を原告内のシステムに導入したことに伴い(甲60)、同年7月頃、Oとの間で、「SKY SEA」の保守契約を、保守定額料金年額100万6560円(税込み)で締結した(甲136)。 原告は、平成27年9月30日、Oに対し、木戸サイネージシステム工事の工事代金825万1200円(税込み)と共に、保守定額料金100万6560円を支払った(甲61)。なお、実際 の支払金額は、木戸サイネージシステム工事の工事代金と「SK-18-YSEA」の保守定額料金の合計金額925万7760円から手数料432円が控除された925万7328円である(甲61)。 国技館LED照明工事Oが行った国技館バックヤード・事務所のLED照明導入工事に関して、原告と日栄サポート&サービス株式会社(以下「日栄 サポート」という。)との間で、原告が日栄サポートに国技館内のLED照明による省エネルギーサービス事業を7年間、サービス料月額65万4413円(税別)で委託する旨の平成27年11月16日付け契約書が作成されている(甲159の36・37頁、甲176。なお、同契約書に基づく契約を「省エネルギーサービ ス契約」というが、その成立には争いがある。)。 エ A及びOから被告会社への送金被告会社は、Aから、平成25年12月27日に2 甲176。なお、同契約書に基づく契約を「省エネルギーサービ ス契約」というが、その成立には争いがある。)。 エ A及びOから被告会社への送金被告会社は、Aから、平成25年12月27日に2337万3000円、平成26年5月30日に5453万7000円の振込送金を受けた(甲112)。 被告会社は、Oから、平成26年7月31日に400万円、平成27年1月15日に27万3240円、同年9月30日に201万9600円の振込送金を受けた(甲112)。 ⑻ 株式会社P(以下「P」という。)との契約ア原告は、平成25年12月27日、Pとの間で、契約期間を平成 26年1月1日から同年12月31日まで、期間満了の1か月前までに通知がない場合には自動更新されるとの約定で、国技館内での飲食物販についての出店・営業に関する契約(以下「本件出店営業契約」という。)を締結した(甲119)。 イ原告は、平成27年10月13日、Pとの間で、同月14日に開 催される大相撲松本場所の会場において相撲関連商品を販売するこ-19-とを承諾する旨の覚書を締結した(甲120)。 ウ被告会社は、Pから、平成26年6月23日から平成28年12月9日までの間に、以下のとおり計10回合計2649万8140円の振込送金を受けた(甲112)平成26年6月23日 16万8225円 平成26年10月29日 126万円平成27年2月6日 224万4565円平成27年2月25日 18万5730円平成27年6月30日 722万4626円平成27年10月30日 696万1332円 平成28年2月29日 679万5417円平成28年7月6日 89万3323円平成28年10月31日 9万0126 4626円平成27年10月30日 696万1332円 平成28年2月29日 679万5417円平成28年7月6日 89万3323円平成28年10月31日 9万0126円平成28年12月9日 67万4796円⑼ 動画配信の契約関係 ア PPVとは、Q株式会社(以下「Q」という。)が運営するインターネット上のライブ動画配信プラットフォーム上で提供する有料サービスの1つである「ペイ・パー・ビュー」をいい、各PPV視聴者が1回ごとに視聴を希望するコンテンツを選び、その支払をすることで当該コンテンツの視聴が可能となる形式の配信サービスをいう (甲123)。 VOD配信とは、VideoonDemand方式で行う動画のストリーミング配信及びダウンロード配信をいう。 イ Qとの契約原告は、平成26年1月9日、NTTぷらら、R株式会社(以下 「R」という。)の子会社であるQとの間で、原告が主催する各本-20-場所の取組映像をPPV配信し、その売上を原告40%、NTTぷらら20%、Q40%の割合で分配し、売上分配金を配信が完了した月の末日から90日以内に支払う旨のPPV配信に関する基本契約を締結した(甲122、123)。 原告は、平成26年1月9日から平成27年8月24日までの 間に、NTTぷらら、Qとの間で、平成26年1月場所から平成27年9月場所までの奇数月に開催される本場所ごとにPPV配信に関する個別契約を計11回にわたって締結し、これらのPPV配信が行われた(甲124の1ないし124の11、弁論の全趣旨)。 被告会社は、Qから、平成26年4月28日から平成27年12月28日までの間に、以下のとおり計11回合計148万5429円の振込送金を受けた( の1ないし124の11、弁論の全趣旨)。 被告会社は、Qから、平成26年4月28日から平成27年12月28日までの間に、以下のとおり計11回合計148万5429円の振込送金を受けた(甲112)。 平成26年4月28日 15万1807円平成26年6月30日 14万5069円 平成26年8月29日 11万3238円平成26年10月31日 11万9683円平成26年12月26日 14万4832円平成27年2月27日 11万5700円平成27年4月30日 13万8700円 平成27年6月30日 14万0650円平成27年8月31日 13万6450円平成27年10月30日 14万6100円平成27年12月28日 13万3200円ウ Rとの契約 原告は、平成27年1月1日、Rとの間で、1場所当たり100-21-万円、配信先を日本国内に限定し、平成27年開催の全6場所の毎日3番分の取組映像を対象とするVOD配信に関する映像ライセンス利用許諾契約を締結した(甲121、126)。 原告は、平成27年10月19日、NTTぷらら、Rとの間で、原告が主催する各本場所の取組映像をPPV配信し、その売上金 を原告40%、NTTぷらら20%、R40%の割合で分配し、売上分配金を配信が完了した月の末日から90日以内に支払う旨のPPV配信に関する基本契約を締結した(甲125)。同契約に基づき、平成27年11月場所、平成28年1月場所、3月場所、5月場所の各取組映像がPPV配信された(弁論の全趣旨)。 原告は、平成28年1月10日、Rとの間で、上記の映像ライセンス利用許諾契約の配信対象に、平成28年1月場所も追加する覚書を締結した(甲127)。 原告は、平成 (弁論の全趣旨)。 原告は、平成28年1月10日、Rとの間で、上記の映像ライセンス利用許諾契約の配信対象に、平成28年1月場所も追加する覚書を締結した(甲127)。 原告は、平成28年2月16日、Rとの間で、R等が運営するウェブサービスにおいて、国内・海外を問わず、年間6場所につき各 場所終了後から翌年同場所開催前日までのインターネット配信を、対価平成28年分6500万円、平成29年以降分年8000万円を毎年3月末日に支払うとの条件で許諾する旨のコンテンツ利用許諾契約を締結した(甲128)。 被告会社は、Rから、平成28年1月29日から平成28年5月 31日までの間に、以下のとおり計4回合計579万4550円の振込送金を受けた(甲112)。 平成28年1月29日 12万7250円平成28年4月15日 540万円平成28年4月28日 12万5700円 平成28年5月31日 14万1600円-22-エ S株式会社(以下「S」という。)との契約原告は、平成29年1月1日、株式会社電通(以下「電通」という。)との間で、年間6場所につき各場所終了後から翌年同場所開催前日又は契約期間満了の日のいずれか早い日までのインターネット配信を、対価1億3500万円を偶数月の末日に2250万 円ずつ支払うとの条件で許諾する旨のコンテンツ利用許諾契約を締結した(甲129)。電通は、Sを含む複数社に対し上記配信の権利を再許諾した(甲129、130)。 被告会社は、Sから、平成28年6月30日から同年12月27日までの間に、以下のとおり計3回合計1620万円の振込送金 を受けた(甲112)。 平成28年6月30日 540万円平成28年9月30日 540万円平成28年12 同年12月27日までの間に、以下のとおり計3回合計1620万円の振込送金 を受けた(甲112)。 平成28年6月30日 540万円平成28年9月30日 540万円平成28年12月27日 540万円⑽ 被告aは、原告の平成27年11月15日の理事会で、原告の事務 全般の総轄責任者として雇用されたにもかかわらず、平成28年1月26日に解雇されたが、上記解雇は権利濫用により無効であると主張して、東京地方裁判所に、原告に対して労働契約上の地位の確認及び未払賃金の支払を求める訴え(以下、同訴えに係る訴訟を第一審、第二審を区別せず「別件訴訟」という。)を提起した。同訴訟の 第1審裁判所は、平成30年8月28日、被告aが原告に雇用された事実は認められないとして、請求棄却の判決を言い渡し(甲106)、第2審裁判所は、平成31年2月6日、控訴棄却判決を言い渡し(甲110)、同判決は同月28日の経過により確定した(甲111)。 3 争点 本件の争点は、原告の以下の⑴ないし⑷の請求項目についての被告-23-らの責任原因(争点1~4)並びに損害の有無及びその額(争点5)である。 ⑴ 金銭受領関係(被告会社に対する入金は裏金に該当するものか、裏金の受領が被告aの義務違反行為といえるか。(争点1))⑵ 木戸・雨水槽関係(被告aが、必要性・緊急性の認められない木 戸関連工事及び雨水槽漏水対策工事を原告に行わせたものであるか。 (争点2))⑶ 信用毀損関係(被告aの行為により、原告の信用が毀損されたか。 (争点3))⑷ 業務委託関係(被告aは、本件業務委託契約の趣旨に反する行為 をしていたか。(争点4)) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(金銭受領関係)について(原告の主張) )⑷ 業務委託関係(被告aは、本件業務委託契約の趣旨に反する行為 をしていたか。(争点4)) 4 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(金銭受領関係)について(原告の主張)ア裏金受領の有無 被告aは、原告の常任特別顧問の肩書を利用して、原告との取引を希望する者に対し、原告の新たな取引先となるように取り計らう見返りとして金銭を要求し、以下のとおり、被告会社の三井住友銀行新宿西口支店の口座(以下「本件被告口座」という。)に金銭を振り込ませて裏金を受領した(被告会社は被告aの一人会 社で実質的に同一主体である。)。 Aからの裏金被告aは、平成24年11月頃、Aに対し、国技館改修工事の施工業者として推薦できるとして、斡旋手数料の話を持ち掛け、Aが国技館改修工事の施工業者に選定された場合には、工事請負 代金総額の5%程度を斡旋手数料として受け取るとの約束を取-24-り付けた。そして、Aを国技館改修工事の電気設備工事の施工業者として推薦し、実際にAが施工業者に選定されると、その見返りとして、被告会社に工事代金の5%に当たる7791万円を振り込ませ、裏金を受領した。 Oからの裏金 被告aは、原告とOとの間で、国技館の改修工事のうちシステム入替工事、ネットワーク設置工事、ソフトウェア保守契約、木戸サイネージシステム工事の請負契約を締結させ、その見返りとして、Oから被告会社に入金させてこれを受領した。 被告らは、Oからの入金が、被告会社がOに太陽光発電に関心 のある企業などを紹介した業務委託費であると主張するが、Oの代表取締役であるoが原告のヒアリングにおいて、被告会社と正当な契約関係にあったとは説明せず、被告会社の存在すら知らないと述べて被告会社への支払を否定したこ 介した業務委託費であると主張するが、Oの代表取締役であるoが原告のヒアリングにおいて、被告会社と正当な契約関係にあったとは説明せず、被告会社の存在すら知らないと述べて被告会社への支払を否定したことに加え、木戸サイネージシステム工事については被告aと親交のあるnがOから業 務委託を受ける形で行っていること、被告aがNTTぷららを介してOに「SKYSEA」というシステムを原告に導入させ、その保守契約をOに発注させたことからすれば、原告との上記各契約締結に関する裏金に該当することは明らかである。 パチンコメーカーの仲介業者からの裏金 被告aは、原告理事会に諮ることなく、平成25年5月25日、原告とIとの間で、本件名称等利用許諾契約を締結させ、さらに平成27年9月25日、上記契約の有効期間が2年以上残っている状況で、それを延長する契約を締結させたところ、その見返りとして、Iから委託を受けたH、さらにその業務の全部または一 部を再委託されたJから裏金を受領した。 -25-Pからの裏金被告aは、平成25年12月27日、独断で、懇意の関係にあったPに国技館内で出店及び営業することを了承する本件出店営業契約を原告に締結させ、その見返りとして、平成26年6月から平成28年12月まで計10回にわたり裏金を受領した。P から被告会社への送金は、原告とP間の本件出店営業契約締結後に始まっているから、被告aがPに対し便宜を図って原告と契約できるようにしたことへの見返りであったと考えるのが合理的である。 被告らは、Pから被告会社への入金が、店舗展開サポートによ るコンサルタント料金又は被告会社が株式会社なだ万(以下「なだ万」という。)や株式会社京樽(以下「京樽」という。)から仕入れた弁当の転売代金であったと 告会社への入金が、店舗展開サポートによ るコンサルタント料金又は被告会社が株式会社なだ万(以下「なだ万」という。)や株式会社京樽(以下「京樽」という。)から仕入れた弁当の転売代金であったと主張する。しかし、被告a以外に実働する役員・従業員のいない被告会社がPに対し多額の報酬に見合うようなコンサルタントサービスを提供できたはずがな く、被告会社がPとの間で店舗展開サポートに関する覚書を締結し、Pが原告との間で本件出店営業契約を締結した後に被告会社に対する送金が始まっていることから、Pからの入金がコンサルタント料金であるとの主張は信用できないし、本件被告口座からなだ万や京樽に対して出金された記録がないことから、上記入金 が弁当の転売代金であるとも認められない。 動画配信業者からの裏金被告aは、平成26年1月9日、原告とQとの間で、取組映像をPPV配信し、その売上を分配する旨の契約を締結させ、原告との取引機会を提供する便宜を図った見返りとして、Qから売上 金の一部を被告会社に振り込ませて受領した。 -26-さらに、被告aは、平成27年10月19日、原告とNTTぷらら、Rとの間で、PPV配信に関して売上を分配する旨の契約を締結させ、その見返りとして、Rから売上金の一部を被告会社に振り込ませて受領した。 被告らは、被告会社とQないしRとの間で動画配信に関するコ ンサルタント契約を締結したと主張するが、相撲に詳しいタレントらの起用の提案等についてはコンサルタント契約を締結するほど専門的な知識を要するものではなく、力士や相撲部屋に関する情報提供については機密事項の漏洩に該当しそれ自体が原告に対する背任行為であるといえ、被告らの主張は認められない。 また、被告aは、平成27年から平成28年にか なく、力士や相撲部屋に関する情報提供については機密事項の漏洩に該当しそれ自体が原告に対する背任行為であるといえ、被告らの主張は認められない。 また、被告aは、平成27年から平成28年にかけて、原告とRとの間で、取組映像のインターネット配信に関する権利を、低額な金額で許諾する内容の契約を締結させ、その見返りとして被告会社に金銭を振り込ませて受領した。被告aは、平成29年1月1日、原告と電通との間で、取組映像のインターネット配信に 関する契約を締結させ、その見返りとして、電通の再許諾先として指定されていたSから被告会社に金銭を振り込ませて受領した。 イ裏金の受領が被告aの義務違反行為といえるか原告の常任特別顧問の地位にあり、被告会社の代表取締役とし て本件業務委託契約に基づく業務の遂行に当たっていた被告aが、その職権を濫用して、取引業者から裏金を受領し、私腹を肥やすことは、それ自体が背任行為に当たる。 被告らはS等からの入金は斡旋手数料であると主張するが、仮にそうであるとしても、被告aが原告の顧問の地位にありながら、 原告の取引業者から斡旋手数料を受け取ること自体、原告の利益-27-を損なう利益相反行為といえる。 また、被告aは、被告会社の代表取締役として本件業務委託契約に基づき、原告の各種契約案件につき、業者選定、契約交渉・締結等の業務の遂行に当たっていたものであり、原告に対して善管注意義務を負っていた。具体的には、原告に最大限の利益をもたらす よう、①A、Oとの契約のように、原告が契約の相手方に対し金銭を支払う契約においては、できる限り原告が支払うべき対価を減額し、原告の財産を減少させないよう誠実に交渉すべき義務を、②その他の取引業者との契約のように、原告が契約の相手方から対価を 方に対し金銭を支払う契約においては、できる限り原告が支払うべき対価を減額し、原告の財産を減少させないよう誠実に交渉すべき義務を、②その他の取引業者との契約のように、原告が契約の相手方から対価を受け取る契約においては、できる限り原告が受け取るべき対 価を増額し、裏金相当額を原告に対価として支払うよう誠実に交渉すべき義務を有していた。それにもかかわらず、被告aは故意に、裏金相当額を原告が支払う対価から減額させる交渉も、原告が受け取る対価を裏金相当額増額させる交渉も行わず、自ら裏金を受領した。 よって、被告aは、裏金の受領につき、不法行為又は会社法429条の損害賠償責任を負い、被告会社は会社法350条の損害賠償責任を負う。 (被告らの主張)ア Aからの入金 被告aには業者を選定する権限はなく、施工業者の選定に不当に介入したことなどなく、原告が指摘する入金については一切関与していない。仮に被告aが斡旋手数料として受領していたとしても、Aとの契約締結に至る過程で被告aの担った役割からすれば、斡旋手数料を放棄させてAに更なる減額をするように交渉す る義務はなく、原告から受託した業務の遂行自体は適切に行われ-28-ていたのであるから、原告との契約に抵触することはない。 イ Oからの入金被告aは、システム入替工事、ネットワーク設置工事、ソフトウェア保守契約、木戸サイネージシステム工事につき、原告とOとの間の契約交渉を任されたことはなく、原告が指摘する入金は、被告 会社が、Oとの間で、太陽光発電に関心のある企業やLED照明の導入を検討している企業を探してOに紹介する旨の業務委託契約を締結して、熊本県内の会社と神奈川県内のゴルフ場を紹介した対価として受け取ったものであり、原告との関係で裏金を受け ある企業やLED照明の導入を検討している企業を探してOに紹介する旨の業務委託契約を締結して、熊本県内の会社と神奈川県内のゴルフ場を紹介した対価として受け取ったものであり、原告との関係で裏金を受け取ったわけではない。 ウパチンコメーカーの仲介業者からの入金被告aは、原告とパチンコメーカーとの契約交渉を独断で行っていたわけではない。原告においては、原告が収入を得る契約について理事会手続を省くことがあったため、本件名称等利用許諾契約についても理事会決議を経ていなかった。しかし、理事長や理事、副 理事、執行部付親方らが出席する定例会では何度も議論しており、同契約は原告役員らの総意に基づき締結されたものであって、契約手続に不正はない。 被告会社は、Hから、デジタルコンテンツについての①海外での消費者の嗜好調査を行う業務及び②当該調査結果に基づいてコン テンツ収集を行う業務を委託されており、①の業務の対価として、平成25年4月17日に262万5000円、同年7月5日に3950万円の合計4212万5000円を受領した。また、Hの契約上の地位を引継いだJからも、平成27年12月1日、②の業務の対価として3240万円を受領した。被告会社では、事務職員や元 役員のp1(以下「p」という。)が被告aの業務を手伝うことで-29-上記業務委託契約に対応しており、嗜好調査等については被告会社と取引関係のある会社に外注していたので業務量はそれほど多くはなかった。乙4の3の契約書の作成日が、Jの会社設立日よりも前になっているのは、Hの業務を早急に引き継ぐべく設立手続と業務の引継ぎを並行して進めていたところ、設立手続が遅れてしまっ たためである。 エ Pからの入金平成26年1月1日までは国技館に飲食店を出していた 、Hの業務を早急に引き継ぐべく設立手続と業務の引継ぎを並行して進めていたところ、設立手続が遅れてしまっ たためである。 エ Pからの入金平成26年1月1日までは国技館に飲食店を出していたのは1社のみであったところ、原告は、内閣府から公益認定を受けるにあたっては複数のレストランとの契約が望ましいとの要請を受けた。 被告aは、B前理事長から指示を受け国技館に出店する業者を探したものの、本場所開催期間以外の来客が期待できないという理由で大手企業の誘致は困難であった中、Pが協力してくれることとなり、定例会の承認を経てPに出店を依頼することになった。 原告が指摘する入金は、被告会社が、Pとの間で、県外、海外へ の出店のサポートの外、国内外での販売方法に対する助言をするコンサルタント契約を締結してコンサルタント料金として受け取ったもの、又は被告会社がなだ万や京樽から仕入れた弁当をPに転売した代金として受け取ったものであり、原告との関係で裏金を受領したわけではない。Pと原告の間の本件出店営業契約の締結に時間 を要した結果、Pと被告会社との間の契約が先行しているが、被告会社が受領したコンサルタント料にはPの国技館への出店に関する手数料は含まれていない。被告会社は少なくとも平成27年6月、10月、平成28年2月、10月には、本件被告口座の預金からなだ万や京樽に対し弁当代を支払っている。 オ動画配信業者からの入金-30-動画配信及びインターネット配信サービスに関する業務は、原告では広報部長の指揮監督の下、広報部が担当するものであり、被告aは、原告の動画配信関係の契約に関与していない。 原告が指摘するQからの入金及びRからの平成28年4月15日を除く他3回の入金は、被告会社が、Q、Rとの間で動画配信に が担当するものであり、被告aは、原告の動画配信関係の契約に関与していない。 原告が指摘するQからの入金及びRからの平成28年4月15日を除く他3回の入金は、被告会社が、Q、Rとの間で動画配信に 関するコンサルタント契約を締結して受け取ったものであり、原告との関係で裏金を受領したわけではない。なお、被告会社によるコンサルタント契約に基づく情報提供は、インターネット上でも検索可能な学生横綱に関する情報や過去にテレビ等で紹介されたような動画配信に協力的な相撲部屋の名称等であり、原告の機密事項で はなく内規に反するものではない。 Rからの平成28年4月15日の入金及びSからの入金については、契約書もなく、内容の確認ができていないが、仮に斡旋手数料だとしても、被告aが取引先業者に有利となるように不正を行った事実はない。甲126の映像ライセンス利用許諾契約と、後に締 結された甲129のコンテンツ利用許諾契約は、配信先の範囲及び対象となる映像内容が異なっており、契約金額の比較の対象とするのは妥当ではない。 ⑵ 争点2(木戸、雨水槽関係)について(原告の主張) ア木戸関連工事被告aは、原告の顧問という立場を利用して、必要性も緊急性も認められない木戸改修工事を、競争入札も実施せずに、不合理に高額な工事代金で、Kに行わせた。 被告aは、原告に無断で、木戸サイネージシステム工事を、被告 aと懇意の関係にあるOに行わせた。 -31-イ雨水槽漏水対策工事被告aは、原告の顧問という立場を利用して、雨水槽に欠陥が生じていた事実はなかったにもかかわらず、必要性も緊急性も認められない雨水槽漏水対策工事を、競争入札を実施することなく、Kに行わせた。 (被告らの主張)ア木戸関連工事木戸改修工事 生じていた事実はなかったにもかかわらず、必要性も緊急性も認められない雨水槽漏水対策工事を、競争入札を実施することなく、Kに行わせた。 (被告らの主張)ア木戸関連工事木戸改修工事は、木戸の親方らからの強い要望があったため、被告aがB前理事長に報告して、原告において検討を開始した工事であるが、その後は木戸の親方らが主体となって施工業者と協議して 進めたもので、被告aの関与はほとんどなく、建設委員会においても工事内容及び必要性について協議され、実施が承認されている。 完成検査書に、原告事務局の施設管理責任者であったfと主事としての業務を行っていた被告aの押印があるのは当然であり、何ら問題はない。 木戸サイネージシステム工事は、木戸の親方らが主体となって、施工業者であるOのnと協議して進めたもので、被告aの関与はほとんどない。被告aがOと懇意の関係にあり、nと個人的に親しかったという事実もない。 イ雨水槽漏水対策工事 雨水槽漏水対策工事は、建設委員会で協議した上で進められたものであり、被告aが独断で実施したものではなく、何ら不正はない。 ⑶ 争点3(信用毀損関係)について(原告の主張)被告aは、以下のとおりの背任行為を行って、相手方業者又は世 間一般との関係で、原告の社会的評価を低下させ、その信用を毀損-32-した。 ア国技館改修工事を巡るやりとり被告aは、鹿島建設株式会社(以下「鹿島建設」という。)の営業担当者に対し、国技館改修工事を自ら取り仕切ることを強調して利益供与を要求し、原告が裏金を提供しない取引先を切 り捨てるようなコンプライアンス上問題のある法人であるとの印象を与えた。 被告aは、国技館改修工事の業者選定段階で、NTTファシリティーズの担当者と 求し、原告が裏金を提供しない取引先を切 り捨てるようなコンプライアンス上問題のある法人であるとの印象を与えた。 被告aは、国技館改修工事の業者選定段階で、NTTファシリティーズの担当者との打合せ及び建設委員会において、特定の施工業者であるAやKを推薦し、他方で、反対意見を述べるNT Tファシリティーズのlを総括責任者から外すなどして、NTTファシリティーズを含む工事業者に対し、原告が取引先に背任行為を強要することも辞さない不公正な手続で工事を発注するコンプライアンス上問題のある法人であるとの印象を与えた。 被告aは、平成24年11月頃、原告の常任特別顧問の立場を 濫用して、Aに対し、国技館改修工事の施工候補業者として参画するように仕向け、同社を推薦したことに関し裏金を要求して、原告が裏金を提供する業者でなければ工事の発注をしないコンプライアンス上問題のある法人であるとの印象を与えた。 イ iによる動画投稿 被告aが、パチンコメーカーとの間の名称等利用許諾契約の締結交渉に関連して、仲介業者であったGのiから現金500万円を受け取った姿が撮影された本件動画が、インターネットの動画サイト上に投稿され、週刊誌や全国紙でも報じられた。原告の常任特別顧問にある者による裏金の授受という不適切かつ背任的な行 為が公開され、ネット上で拡散し、マスメディアでも報じられたこ-33-とにより、世間一般に対し、公益財団法人であるにもかかわらず原告との取引には多額の裏金を要するとの印象を与え、内閣府や文部科学省にもガバナンス上問題のある法人との印象を与えた。 ウ電通への金銭要求行為被告aは、平成25年6月、電通に対し、国技館設置の取組表の 電光板をLEDを使用した大型ビジョンに付け替える事業を発注して ンス上問題のある法人との印象を与えた。 ウ電通への金銭要求行為被告aは、平成25年6月、電通に対し、国技館設置の取組表の 電光板をLEDを使用した大型ビジョンに付け替える事業を発注してもらいたいのであれば、E親方に裏金を用意するよう要請し、電通がこれを拒むと、契約期間が残っているにもかかわらず、電通が手掛けている力士の応援グッズの製作・販売事業を合理的な理由なく中止させ、原告が裏金を提供しない取引先を切り捨てるよ うなコンプライアンス上問題のある法人であるとの印象を与えた。 (被告らの主張)被告らは、以下のとおり原告の信用を毀損していない。 ア国技館の改修工事を巡るやりとり被告aは、鹿島建設の営業担当者に対して裏金を要求するよ うな発言をしておらず、鹿島建設から国技館改修工事の協力を得られなかったのは、東日本大震災の復興工事等で余裕がなかったからである。仮に、被告aが利益供与を要求したとしても、鹿島建設の営業担当者は、被告a個人の行為と捉えており、また実際にはこのやり取りについて伝播していないことから、原告 の信用を毀損したとはいえない。 被告aは、建設委員会において、B前理事長の意向を受けて、談合疑惑のある業者を排除すること、早期に改修工事に着手することを優先するべく発言し、NTTファシリティーズの担当者に外れてもらったことはあったが、不公正な手続を強いるも のではなかった。被告aは、原告の意向に反することなく、手続-34-を進めていたのであって、NTTファシリティーズを含む工事業者との関係で、原告の信用を毀損したとはいえない。 被告aは、Aに対し、裏金を要求したことはなく、仮に、被告会社がAに対し斡旋手数料の話を持ち出していたのだとしても、これによって、原告の信用が毀 者との関係で、原告の信用を毀損したとはいえない。 被告aは、Aに対し、裏金を要求したことはなく、仮に、被告会社がAに対し斡旋手数料の話を持ち出していたのだとしても、これによって、原告の信用が毀損されるものではないし、かかる 事実が伝播されたものでもないから、原告の社会的評価は下がらない。 イ iによる動画投稿被告aは、Gのiからのいずれの現金授受についても、jから懇願されて一旦は受け取ったものの(ただし、二回目については開封 確認はしていない。)、jを介して全てiに返還しており、原告の危機管理委員会も、平成26年7月20日の理事会で、被告aが受け取った現金をすべて返還していることから責任がない旨報告している。 本件動画を投稿したのはiで、それを報じたのはマスメディア である。軽率にも現金を授受しているかのような本件動画を撮られたことに被告aにも不注意があるとしても、本件動画が公にされたのはi及びマスメディアの故意行為によるものであるから、被告aの過失と原告の信用毀損との間に因果関係はない。 ウ電通との関係 原告の主張は否認する。電通が原告の許諾を得て手掛けていた力士の応援グッズの製作及び販売は、E親方の提案で始まった事業であるが、売れ行きが芳しくなく合意解約に至ったのであり、その終了に被告aの不当な介入などない。 ⑷ 争点4(業務委託関係)について (原告の主張)-35-原告は、平成24年2月6日から平成28年1月末まで、被告会社に対し、原告の危機管理業務に関する助言業務を始めとして、原告の事務局業務全般の助言と指導等の業務を委託し(本件業務委託契約)、多額の業務委託料を支払い続けた。しかし、被告aは、原告の顧問という立場を悪用して、私利私欲のために、本件業務委託契約 、原告の事務局業務全般の助言と指導等の業務を委託し(本件業務委託契約)、多額の業務委託料を支払い続けた。しかし、被告aは、原告の顧問という立場を悪用して、私利私欲のために、本件業務委託契約 の趣旨に明らかに反する極めて悪質な任務違背行為を日常的に行っていた。被告aは、後記アのとおり、B前理事長の威光を背景に思うままに原告の総務、法務、人事、経理等の主要な業務を掌握して、特定の役職員を味方に付ける一方で、敵対的な人間を排除して、原告の影の実力者として原告を牛耳り、自らの金儲けのために後記イな いしエの任務違背行為を行ったのである。 よって、被告会社は本件業務委託契約に基づく受託業務を履行したとはいえないし、かかる被告aの行為は、被告会社の取締役としての任務違背及び不法行為にも該当する。 ア人事等の掌握 被告aは、B前理事長の威光を背景に、原告の役員のうちF理事、c理事、b監事を味方につけ、原告の職員のうちg、hを配下とするとともに、被告会社の取締役の息子であるqを原告の職員として採用して配下とした。被告aは、国技館の改修工事について発注業務、工期の管理業務などを担当する施設管理責任者であったr 1(以下「r」という。)を資料管理室へ追いやって、fを同立場に就かせ、被告aに逆らうとどのような仕打ちがされるか分からないという恐怖心を植え付けつつ、定年退職後も嘱託として原告で雇用することを約束することによって服従させていた。 他方で、被告aは、E親方、E親方の補佐役で事務局も統括して いたT親方、d主事、e、公益法人制度改革対策委員会担当である-36-s及びtといった被告aの背任行為を咎め、原告を利用した金儲けの障害になる人物を原告から排除した。そのため、C理事長を始めとする原告の役職員は、被 、公益法人制度改革対策委員会担当である-36-s及びtといった被告aの背任行為を咎め、原告を利用した金儲けの障害になる人物を原告から排除した。そのため、C理事長を始めとする原告の役職員は、被告aの行為に疑念を持ったとしても、異論を唱えることはできなかった。 被告aは、B前理事長の死亡後、当初はB前理事長からC理事長 と頑張るように言われたなどと述べて、当時事業部長であったC理事長を取り込もうとしたが、C理事長が被告aの意に沿わない態度をとると知ると、敵対的な態度をとるようになった。その後、被告aは、C理事長が新理事長となることを阻止すべく画策し、平成27年12月18日の理事会では、被告aと親密な関係にある F理事、c理事、b監事がC理事長の理事長選任に反対する行動に出るに至った。 イ国技館改修工事等に係る任務違背行為業者選定被告aは、国技館改修工事の施工業者の選定を巡って、当初決 定していた施工業者に関して内定が取り消されると、鹿島建設に対し利益供与を要求して同工事の受注を持ち掛けた。被告aは、NTTファシリティーズが、設計・監理コンサルタントに選定されるように取り計らった後、施工業者から斡旋手数料を受け取るために、以下のとおり、特定の業者を施工業者として推すなど、 原告内部の意思決定に不当に介入した。 まず、被告aは、原告が大手ゼネコンへの一括発注を目指しており、NTTファシリティーズも工事費の増加を理由に分割発注に反対していたにもかかわらず、建築・電気設備・機械設備の分割発注を主張し、候補業者にK、A、株式会社九電工(以下「九 電工」という。)を入れるように要請し、入札の見積書が開封さ-37-れた平成25年3月4日以後は、建築はK、電気設備はAを選定するよう要請した。 者にK、A、株式会社九電工(以下「九 電工」という。)を入れるように要請し、入札の見積書が開封さ-37-れた平成25年3月4日以後は、建築はK、電気設備はAを選定するよう要請した。 被告aは、打合せにおいて、NTTファシリティーズに対し公正さを疑わせるような発言を繰り返した上、施工業者の選定においては公明正大に評価することだけが目的ではないとして、NT Tファシリティーズが公明正大な評価を提示したとしても、あくまで参考にするだけで、原告の都合や考え方を踏まえて原告が業者を決めると発言し、被告aの意に沿わないNTTファシリティーズの担当者のlを排除するなどした。 平成25年5月30日開催の理事会では、「施工」の対象を修 繕の急を要する最小限の9項目に限り、工事費を30億円に圧縮することが決まり、同年7月12日開催の建設委員会では「設計・施工分離方式」とする方針が決定された。それにもかかわらず、被告aは、上記改修工事の発注方針を無視して、消費税率のアップを理由に特定の施工業者との間の契約締結を急がせ、理事会へ の報告・承認の手続を経ないまま、最終的に「施工」対象は4項目、「設計・施工一括形式」で総額41億3700万円と理事会で承認された工事費を大幅に超過する金額で国技館改修工事請負契約を締結させた。 そして、被告aは、実際にAから裏金を受領しているし、Kか らも裏金を受領しているであろうことは間違いない。 国技館その他工事被告aは、契約管理規程に反し、必要性や緊急性がないにもかかわらず、原告に対し、被告aと懇意の関係にあるKやAなどの特定の施工業者を指名させて、診療所エレベータ2階延長更新工 事、教習所修繕工事、ポンプ類劣化更新工事、決まり手表示更新-38-工事、電話設備幹線更 、被告aと懇意の関係にあるKやAなどの特定の施工業者を指名させて、診療所エレベータ2階延長更新工 事、教習所修繕工事、ポンプ類劣化更新工事、決まり手表示更新-38-工事、電話設備幹線更新工事、木戸関連工事、既存遡及工事、雨水利用設備更新工事、雨水槽漏水対策工事を行わせ、原告の利益に背いた。 その他の工事等被告aは、原告に対し、被告aと懇意の関係にあったOを指名 させて、システム入替工事、ネットワーク設置工事、木戸サイネージシステム工事を行わせ、ソフトウェア保守契約を締結させる見返りとして、Oから裏金を受け取った。 被告aは、OによるLED照明代替費用のシミュレーションに基づき、原告と日栄サポートの間で、平成27年11月16日、 国技館のLED照明工事に関して、電気代の節約分よりもサービス料が上回る節電効果の見込めない省エネルギーサービス契約を締結させた。 なお、被告aは、平成28年1月5日、fに対し、D事業部長にばれないようにしろと口止め行為に及び、自らの背任行為ない し利益相反行為を隠蔽しようとした。 ウパチンコ関係の任務違背行為被告aは、パチンコメーカーとの名称等利用許諾契約を巡り、平成24年11月、仲介業者であるGのiから、被告a個人が受け取る謝礼を手数料名目で4000万円とする見積書を受け取った上 で、別のパチンコメーカーの会長が後援会長となっているE親方の知らないところで話を進めるため親方らに配るという名目で1700万円を受け取るという任務違背行為に及んだ。 被告aは、インターネット上に本件動画がアップロードされ、週刊誌や全国紙でもこの問題が報じられたことから、受領した現金 は返却したと弁解し、原告において不問に付されるようにc理事-39-と画策 は、インターネット上に本件動画がアップロードされ、週刊誌や全国紙でもこの問題が報じられたことから、受領した現金 は返却したと弁解し、原告において不問に付されるようにc理事-39-と画策し、内閣府に対する報告書も被告aに責任がない旨を強調する内容で提出するように仕向けた。 被告aは、平成25年には、原告理事会に諮ることなく、原告と別のパチンコメーカーとの間で名称等利用許諾契約を締結させ、さらに平成27年には、上記契約の有効期間が2年以上残ってい る状態で、有効期間を延長する契約を締結させたところ、被告aは、これらの見返りとして、仲介役のH及びJから裏金を受け取った。 エその他の任務違背行為Pからの裏金上記⑴(原告の主張)アのとおり、被告aは、原告に、Pと の間で国技館内での出店・営業を許諾する本件出店営業契約及び大相撲松本場所で相撲関連商品を販売するために出店・営業することを許諾する旨の覚書を締結させ、Pから裏金を受け取った。 電通への金銭要求行為上記⑶(原告の主張)ウのとおり、被告aは、国技館設置の取 組表の電光板の付け替え事業に関し、電通に対し裏金を要請し、電通がこれを拒むと、電通が手掛けている力士の応援グッズの製作・販売事業を合理的な理由なく中止させた。 仕組債の購入被告aは、平成27年3月以降、原告に償還される国債等の多 額の資金の運用について、当時事業部長であったC理事長に対し、内閣府から仕組債の購入が要請されたと虚偽の説明をして、75億円の仕組債を購入すべきと迫り、平成27年12月2日の定例会でも75億円を使わないと内閣府に取られるなどと繰り返し虚偽の説明をして、原告に仕組債の購入を迫った。 感謝状の作成-40-被告aは、平成27年5月場所の 27年12月2日の定例会でも75億円を使わないと内閣府に取られるなどと繰り返し虚偽の説明をして、原告に仕組債の購入を迫った。 感謝状の作成-40-被告aは、平成27年5月場所の千秋楽で贈呈する予定であった森永製菓株式会社(以下「森永製菓」という。)宛てに製作した金プレートの感謝状を、自らの対外的な信用度を高めることを目的として、自分宛ての感謝状に作り直させた。 特定の相撲案内所の紹介 被告aは、平成27年11月16日、NTTファシリティーズに対し、国技館改修工事とは別の案件について、理事会に諮ることなく追加業務を発注した際に、自身と懇意の関係にある特定の相撲案内所から相撲チケットを購入するように要求した。 オ被告aが従事していたとされる原告の業務 仮に、被告aが、平成24年2月から平成28年1月までの間に、外観上、本件業務委託契約の正当な業務を行っているように見えたとしても、原告の取引先業者との商談の調整の中で、取引先業者から謝礼等を得るなどして自身の利益を図ることが目的であり、背任行為を達成するための準備行為にすぎない。 危機管理業務被告aが原告の危機管理委員会の業務に従事していたとされる期間中、危機管理委員会にかかる資料、ファイル、データ等が一切存在せず、被告aは、原告及び親方、力士らの不祥事を、自身の権勢拡大の目的にのみ利用していたといえる。 主事業務仮に、被告aが、原告内において主事業務に従事する者が不在となった平成26年10月以降、事実上、主事業務を行っていたことがあるとしても、d主事を退職に追い込んで、原告内に主事が不在の状況を作出したのも被告a自身であり、自身の利益を図 るために事務局業務すらも牛耳るようになったにすぎない。 -41- ことがあるとしても、d主事を退職に追い込んで、原告内に主事が不在の状況を作出したのも被告a自身であり、自身の利益を図 るために事務局業務すらも牛耳るようになったにすぎない。 -41-(被告らの主張)原告と本件業務委託契約を締結したのは被告会社ではなく、被告aである。被告aは、平成24年2月、原告と本件業務委託契約を締結してから、国技館で業務を行い、B前理事長らの指示に従って必要に応じて会議に出席するなどして、原告から受託した業務を適切 に行った。原告の指摘はいずれも邪推にすぎず、全て事実に反する。 ア人事等の掌握原告の職員らの任免は理事長が決するものであり、理事の選任及び解任は評議員会の決議により決せられるものであるから、被告aには、原告の職員らを任免し、理事を選任及び解任する権限は 存しなかった。被告aは、B前理事長から相談を受けて自らの意見を告げることはあったが、誰かを辞めさせようと仕向けたことなどなく、まして評議員会をコントロールして理事を排除することなどあり得なかった。 被告aは、B前理事長が理事長として原告を差配していた当時、 B前理事長を慕う理事らとは比較的良好な関係を築いており、また外部理事であるc理事とは危機管理業務において、b監事とは原告の公益財団法人化に向けての業務において、共に仕事をしており接点が多かったため、良好な関係を築くに至った。原告の職員らは、B前理事長への信頼が厚く、B前理事長から原告の事務局業 務全般の助言と指導を受託した被告aの助言や指導にも従っていたのであり、被告aが、gやhを特別に配下に置き、fを服従させたということはない。qについては、被告aがB前理事長に対し推薦したが、原告の手続に従って採用されたのであり問題はない。 他方で、E親方 のであり、被告aが、gやhを特別に配下に置き、fを服従させたということはない。qについては、被告aがB前理事長に対し推薦したが、原告の手続に従って採用されたのであり問題はない。 他方で、E親方について、被告aが排除することなどできるはず もなく、排除した事実はない。T親方について、原則として経費と-42-認められないにもかかわらず、都内のホテル代を請求したことから、危機管理業務としてE親方とc理事と共に事実関係を調査したところ、自発的に退職したのであって、被告aが排除したものではない。d主事は、主事に求められる職務遂行能力が備わっておらず、能力不足ゆえに降格させられ、その後、経歴詐称の事実が判明 したために自発的に原告を退職したのであって、被告aが排除したものではない。eについては被告aとの間でトラブルはなく、sについては契約期間満了により退職、tについては自主退職したのであり、被告aが同人らを排除した事実はない。 C理事長は、平成27年12月18日の原告理事会において、理 事長就任へのシナリオが妨害されることを恐れ、事務局の統括責任者に選任された被告aの出席を禁じるなど強引な議事進行を行ったのに対し、c理事、b監事及びF理事が、被告aの欠席について異論を唱えただけであり、被告aの画策により、C理事長の理事長選任を反対する行動に出たわけではない。背景には、原告内の権 力争いがあり、C理事長は、B前理事長の死後、B前理事長やF理事と親しかった被告aを強引に排除することによって、後継理事長の最有力候補であったF理事の理事長就任を阻止しようとしていた。 イ国技館改修工事等に係る任務違背行為 業者選定当初内定していた施工業者との契約の見直しは、内定当時の国技館基幹設備等改修工事推進委員 F理事の理事長就任を阻止しようとしていた。 イ国技館改修工事等に係る任務違背行為 業者選定当初内定していた施工業者との契約の見直しは、内定当時の国技館基幹設備等改修工事推進委員会のu委員長と大林組の間に癒着があるかもしれないとの疑念が生じたことに起因して理事会において判断されたものであり、被告aの不当な介入などなく、 鹿島建設の営業担当に対し利益供与を要求して同工事の受注を-43-持ち掛けたことはない。その後、業者との癒着の問題が生じないように、原告の意向で分割発注することとなり、B前理事長の意向で談合疑惑があった会社も候補から外すこととなった。 被告aが、国技館改修工事の業者選定の際にK及びAを推したという事実も、両社から裏金を受領した事実もない。他方で、被 告aが九電工への発注を推したのは事実であるが、九州場所での体育館使用など九電工と良好な関係を保つことが原告のためになると考えたからであり、九電工に対して機械設備工事の施工業者の選定前に、契約後に追加発注して帳尻を合わせるので見積金額を低額に提示するようにと求めたことはない。実際に国技館の 機械設備の改修業者として選定されたのは、被告aの意向と異なる新菱冷熱であることからしても、被告aの独断で自由に国技館改修工事の業者選定をできる状況になかったことは明らかである。 建設委員会の委員は、工事に関する専門的知識を有しているわ けではなく、国技館改修工事に関する取り決めは、すべてNTTファシリティーズの主導及び助言の下で行われていた。被告aも同様で、原告の顧問としての地位を有し、建設委員会の委員として国技館改修工事に関わっていたが、工事に関する専門的知識がなく、Aとの減額交渉を含め原告から業者の選定や契約金額の減 額交渉を も同様で、原告の顧問としての地位を有し、建設委員会の委員として国技館改修工事に関わっていたが、工事に関する専門的知識がなく、Aとの減額交渉を含め原告から業者の選定や契約金額の減 額交渉を指示されたことはなかった。被告aは、あくまで理事会や建設委員会といった原告内部での決定事項やB前理事長の意向を伝えただけであり、原告を代理又は代表して業者と交渉できる立場にはなく、国技館改修工事の業者選定や発注に関して原告が主張するような強大な権限を持っていなかった。 原告は、建設委員会での国技館改修工事の業者選定における被-44-告aの発言を問題視するが、東日本大震災後の復興工事が行われており、原告の要望を十分に汲み取ってくれる業者が簡単には見つからない状況下で、被告aは、B前理事長の意向を受けて、NTTファシリティーズの意見は参考にするが、最終的には原告が業者を選定するということを確認しただけであって、原告の利益 に反する意見を述べたわけではない。 被告aは、国技館の老朽化が進んでいたことから改修工事が急務であったこと、消費税増税前に契約を締結するべきであると考えたこと、速やかに改修工事を終えることがB前理事長の意思であったことから、早期に契約をすべきと考え、それに沿った意見 を述べたことはあるが、原告の方針を無視したものではない。これに対し、NTTファシリティーズのlは、慎重で体面ばかり気にし、当初からB前理事長とは見解を異にしていた上、平成25年3月頃の打合せでの感情的な態度がB前理事長の逆鱗に触れたため、被告aがNTTファシリティーズに事情を伝えて、担当 者から外れてもらった。 建設委員会では、当初の「設計・施工一括で30億円」という理事会方針から、優先交渉権者3社の意向に配慮して、優先交渉 aがNTTファシリティーズに事情を伝えて、担当 者から外れてもらった。 建設委員会では、当初の「設計・施工一括で30億円」という理事会方針から、優先交渉権者3社の意向に配慮して、優先交渉権者3社が望むならば設計契約締結を先行するという方針へ変更したが、施工業者が設計契約締結を先行することを直ちに望ま なかった以上、被告aが「設計・施工一括」での話し合いを進めたとしても原告の意思に反しない。 被告aの国技館改修工事の工事代金に関する発言は、適正な金額であれば発注して構わないというB前理事長の意向を踏まえて、同趣旨の意見を述べているにすぎない。 国技館その他工事-45-上記⑵(被告らの主張)ア及びイのとおり、木戸関連工事及び雨水槽漏水対策工事は、いずれも建設委員会で協議して進められたものであるから、被告aに不正はない。原告主張のその余の工事についても建設委員会で協議しており、請負代金の支払もC理事長らの決裁を経て進められたものであって、被告aに不正など ない。 その他の工事上記⑴(被告らの主張)イのとおり、被告aは、システム入替工事、ネットワーク設置工事、ソフトウェア保守契約、木戸サイネージシステム工事につき、原告とOとの間の契約交渉を任され たことはなく、原告が指摘する入金は、被告会社がOとの業務委託契約に基づく紹介料として受け取ったにすぎず、原告との関係の裏金を受け取ったわけではない。 省エネルギーサービス契約について、国技館の照明をLEDに変更した場合、一般的にはサービス料を加味してもコストが 嵩むなどということは考え難く、原告の理事会や定例会で承認を得た上でLED照明による省エネルギーサービス契約の締結に至っているのであり、同契約は被告aが独断で行ったものではな てもコストが 嵩むなどということは考え難く、原告の理事会や定例会で承認を得た上でLED照明による省エネルギーサービス契約の締結に至っているのであり、同契約は被告aが独断で行ったものではなく、不当な介入はない。 ウパチンコ関係の任務違背行為 被告aは、パチンコメーカーとの名称等利用許諾契約に際して、原告からパチンコ業者との交渉を依頼されたことはなく、金額等の具体的な交渉を行った事実はない。被告aは、iから一旦受領した金員を、jを介して返却しており、原告の危機管理委員会による事実関係の調査の結果も、被告aには何ら責任がないと結論付け ている。 -46-原告は、定例会に諮った上で、別のパチンコメーカーとの間で名称等利用許諾契約を締結したのであって、被告aの関与はない。上記契約の有効期間の延長についても、被告aが締結させたものではない。 エその他の任務違背行為 Pからの裏金上記⑴(被告らの主張)エのとおり、原告は、定例会の承認を経てPに出店を依頼することになったのであり、原告が指摘する入金は、被告会社が、Pとの間の別のコンサルタント契約に基づく料金又はPに弁当を転売した弁当代として受け取ったもので あり、原告との関係で裏金を受け取ったわけではない。 電通への金銭要求行為上記⑶(被告らの主張)ウと同じ。 仕組債の購入被告aは、原告に対し、公益財団法人として資産価値の維持 を図るために資金運用するように努める必要があると説明し、償還された資金についても運用すべきであるとして、国債やメガバンクの社債の購入を進言したのであり、仕組債の購入を迫ったことはない。 感謝状の作成 原告は、広報の依頼により、森永製菓宛に製作した金プレートの感謝状を発注したが て、国債やメガバンクの社債の購入を進言したのであり、仕組債の購入を迫ったことはない。 感謝状の作成 原告は、広報の依頼により、森永製菓宛に製作した金プレートの感謝状を発注したが、理事から特定の一社にだけ渡すのは問題ではないかとの反対意見があったため、森永製菓への贈呈を断念することとなり、他方で、発注のキャンセルができなかったため、被告aが個人的に当該プレートを買い取って問題を収束 させた。 -47-特定の相撲案内所の紹介争う。 オ被告aが従事していた原告の業務被告aは、以下のとおり、多岐にわたる業務をこなし、その仕事内容が評価されて任される仕事が徐々に増え、それに伴い業務委 託費も増額されたのであって、仮に業務の一部に善管注意義務違反があったとしても、被告aが行っていた業務全体から見れば数パーセントにも至らない些細な部分にすぎない。 危機管理業務被告aは、危機管理政策顧問に就任した当初から不祥事を起 こした者を調査し、弁護士らとその対応や処分を検討するなど原告内のコンプライアンスに関わる業務を行っていた。 被告aが携わっていた危機管理業務は機密性が極めて高く、職員等に漏れる可能性があることから、B前理事長から資料を保存しなくてよいと言われており、資料の引継ぎがなかったと しても不自然ではない。 公益認定業務被告aは、初期段階から公益認定を受けるための作業を手伝い、各種手続の下調べや調整、交渉、定款変更のドラフト作成、内閣府との交渉等の業務を行った。 事務局業務全般の指導・助言等B前理事長の信頼を得た被告aは、上記、の業務以外にも、徐々に事務局業務全般の指導・助言を任されるようになり多忙を極めるようになったことから、平 た。 事務局業務全般の指導・助言等B前理事長の信頼を得た被告aは、上記、の業務以外にも、徐々に事務局業務全般の指導・助言を任されるようになり多忙を極めるようになったことから、平成24年9月に、業務委託の内容に上記業務等も追加され、役職も危機管理政策顧問 から常任特別顧問へと変更され、業務委託料も月額126万9-48-000円に増額された。 これにより、被告aは、上記等の理事長の特命業務の他、原告の事務局業務全般の助言・指導、事業部間の調整、危機管理に関わる業務、理事会等必要な会議の出席等を行った。 主事業務 被告aは、平成26年10月にd主事が退職した後は、B前理事長から指示を受けて、本来は主事が行うべき業務、具体的には、請求書の確認、給与・賞与の支給についての理事長・事業部長に対する報告、執行部定例会への出席及び議題の検討・調整、事務所における業務遂行状況の監督、各部署の問題や相 談事に対する助言や忠告、事務局に回ってきた契約管理票・契約書の確認、理事会・評議員会の議題調整、会議での説明、その他B前理事長の指示を受けた重要案件に関する取引先との商談の調整、職員の昇給や異動の確認、外部役員(理事、監事、評議員)への連絡調整や議案等の説明、建設委員会など委員会 の事務等を行っていた。 被告aは、平成27年11月15日に事務総長に就任した以降は、事務総括責任者として、上記の主事業務のほか、請求書の承認、給与の支給内容の決裁、執行部定例会の進行、B前理事長の協会葬の準備を行った。 ⑸ 争点5(損害の有無及びその額)について(原告の主張)ア裏金相当額 被告会社ないし被告aは、上記⑴(原告の主張)のとおり、原告の取引先から裏金として以下の金額 た。 ⑸ 争点5(損害の有無及びその額)について(原告の主張)ア裏金相当額 被告会社ないし被告aは、上記⑴(原告の主張)のとおり、原告の取引先から裏金として以下の金額を受領した。後記、 の理由から、当該裏金相当額である合計2億0870万5-49-959円は原告の損害となる。 A 7791万円O 629万2840円H 4212万5000円J 3240万円 P 2649万8140円Q 148万5429円R 579万4550円S 1620万円上記合計 2億0870万5959円 A、Oからの裏金のように、原告が契約相手方に対し金銭を支払う契約で、被告らが裏金を受領している事案においては、被告らが誠実に、原告が支払うべき対価を減額する交渉を行っていれば、当該裏金相当額分減額することができたから、原告は裏金相当額の損害を被った。 なお、Aに関しては、国技館改修工事の契約解除の時点では、裏金を支払っていた事実を知らなかったものの、仮に知っていたとすれば、原告において契約解除に際してAに支払うべき工事代金について裏金分を減額交渉できたから、原告の損害を構成する。 ①H、②J、③P、④Q、⑤R、⑥Sからの裏金のように、原 告が契約相手方から契約所定の対価を受け取る契約で、被告らが裏金を受領している事案においては、①及び②との契約は契約金額が著しく低く定められていて、それ自体原告に損害を与えるものであるほか、被告らが が契約相手方から契約所定の対価を受け取る契約で、被告らが裏金を受領している事案においては、①及び②との契約は契約金額が著しく低く定められていて、それ自体原告に損害を与えるものであるほか、被告らが誠実に当該裏金分を原告に支払わせるように交渉していれば、原告が受け取る対価を裏金相当 額分増額させることができたから、原告は当該裏金相当額の損-50-害を被った。 イ木戸関連工事、雨水槽漏水対策工事代金相当額原告は、被告aの任務違背行為によって、必要性のない木戸関連工事及び雨水槽漏水対策工事を発注して工事代金を支払っているから、木戸関連工事につき木戸改修工事5270万4000円及 び木戸サイネージシステム工事825万1200円の合計6095万5200円、雨水槽漏水対策工事につき7990万9200円の各工事代金相当額の損害を被った。 ウ信用毀損による無形損害原告は、公益財団法人として業務の公正さ、適正さが強く求めら れており、被告aの任務違背行為によって、原告の社会的評価及び信用が著しく毀損され、これにより少なくとも5000万円の損害を被った。 エ業務委託料相当額被告aは、原告の顧問という立場を悪用して、私利私欲のために、 業務の委託の趣旨に明らかに反する極めて悪質な任務違背行為・利益相反行為を日常的に行っていたのであり、原告が被告会社に対し支払った業務委託料が正当な対価と認められる余地はなく、業務委託料相当額である8775万5080円は原告の損害となる。 オ調査費用原告は、被告aが行った不正行為を明らかにするため、弁護士複数名、公認会計士複数名並びに建築物の改修及び保全等に係る調査研究を行う団体に調査を委嘱したのであり、令和2年11月までに計1億0554万4648円もの調 行った不正行為を明らかにするため、弁護士複数名、公認会計士複数名並びに建築物の改修及び保全等に係る調査研究を行う団体に調査を委嘱したのであり、令和2年11月までに計1億0554万4648円もの調査費用が発生しており、 被告らは少なくともそのうち3000万円について賠償義務を負-51-う。 (被告らの主張)ア裏金相当額Aから振り込まれた斡旋手数料は、Aの粗利から支出されたものであり、当該斡旋手数料の有無によって、原告が負担する工 事金額が増減することはなく、Aとの契約締結に至る過程で被告aの担った役割からすれば、被告会社に斡旋手数料を放棄させてAに更なる減額をするように交渉する義務はなく、原告に損害はない。Aからの減額可能性があった旨の回答は、あくまでも仮定の話に過ぎず、実際に減額されたか否かは明らかでない。 また、原告は、Aから被告会社への振込みが発覚した後、Aとの契約を解除し、その際工事代金を減額させているから、原告に損害は生じてない。 Oからの入金が損害になるとの主張は争う。 パチンコメーカーの仲介業者からの入金について、そもそも 本件名称等利用許諾契約の契約金額が低いことを裏付ける客観的証拠はない。本件名称等利用許諾契約の延長についても、パチンコ台の開発の遅れによるためであり、B前理事長が追加費用を取らずに契約を延長させてもよいという見解を示していたものの、原告はビジネスだからという理由で1億円の契約金を取 得して契約を延長したのであるから、原告が損害を被っているわけではない。さらに、原告は、本件名称等利用許諾契約を解約しており、損害は生じていない。 Pからの入金について、そもそも原告の収入となるPの出店料は、売上の20%と決められており、被告会社への斡旋手数料 。さらに、原告は、本件名称等利用許諾契約を解約しており、損害は生じていない。 Pからの入金について、そもそも原告の収入となるPの出店料は、売上の20%と決められており、被告会社への斡旋手数料 の支払による影響はなく、また国技館にて飲食物販を行う国技-52-館サービス株式会社の出店料10~15%と比べても高く設定されていることから、原告には何ら損害が生じていないというべきである。 動画配信業者からの入金について、そもそも動画配信関係の原告の収入は、視聴者から受領した売上の40%と決められて おり、被告会社への斡旋手数料の支払による影響はない。また、インターネット配信業者からの入金についても、その契約内容からして1場所当たり100万円が低額であるとはいえない。 イ木戸関連工事、雨水槽漏水対策工事代金相当額被告aは、そもそも背任行為をしておらず、原告に損害はない。 木戸関連工事の代金について、原告は、新築の標準予算単価を基に、代金が著しく高額であると指摘するが、標準予算単価は標準的な事務所を前提として算出されたものであって、チケットブース、液晶ディスプレイなどの費用は含まれておらず、参考とならない。 ウ信用毀損による損害の発生は否認する。 エ業務委託料相当額上記⑷(被告らの主張)オのとおり、仮に原告からの委託業務の一部に善管注意義務違反が認められるとしても、当該業務は被告aが行っていた業務全体からするとごくわずかにすぎず、他の業務は履行しているのであるから、原告の主張する損害全額は認められな い。 オ調査費用不知。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 証拠(後掲証拠のほか、甲158、甲159、乙16、証人e、原告-53-代表者及び被告a本人兼被告会 い。 オ調査費用不知。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実 証拠(後掲証拠のほか、甲158、甲159、乙16、証人e、原告-53-代表者及び被告a本人兼被告会社代表者(以下「被告a本人」という。))並びに弁論の全趣旨によれば、次の各事実が認められる。 ⑴ 被告aの原告における業務遂行の概要ア被告aは、平成14年頃に知人の紹介でB前理事長と知り合い、平成18年には原告の台湾巡業の勧進元となるなどしてB前理事 長と親交を深めていき、各種の相談を受けるようになった(甲143、乙16)。 そうした中、前提事実⑸アのとおり、平成24年2月6日には、被告aが原告の危機管理政策顧問に就任し、原告と被告会社との間で本件業委託契約が締結された(なお、本件業務委託契約に係 る契約書(甲5、6)や通知書(甲7~10)には、被告会社と被告aの記載が混在しているものの、各契約書に被告会社の公印が押されていること、本件被告口座に平成24年3月5日から業務委託料に相当する入金がされており、本件業務委託契約の業務委託料は原則として本件被告口座への振込みの方法で支払われてい ること(甲112)からすると、本件業務委託契約の相手方は被告会社であったと認められる。)。 イ平成24年4月17日開催の理事会では、不祥事の予防、発生した不祥事に対する適宜・適切な対応及び再発防止を目的とする危機管理委員会の設置が承認され、委員長にc理事、副委員長に C理事長、委員にT理事、b監事と被告aが就任することになった(乙38)。 ウ被告aは、平成24年2月以降、国技館内の一室を執務室として与えられ、本件業務委託契約に基づき、訴訟案件に関わる危機管理運営に関する助言業務として、不祥事を起こした者の調査、 (乙38)。 ウ被告aは、平成24年2月以降、国技館内の一室を執務室として与えられ、本件業務委託契約に基づき、訴訟案件に関わる危機管理運営に関する助言業務として、不祥事を起こした者の調査、 処分の検討等を行うようになったほか、B前理事長からの要請で、-54-同年9月までの間に、同年6月に主事に就任したd主事を補助して、事務局の指導・助言を行うようになった。また、当時、原告が進めていた公益財団法人への移行に関し、公益認定を受けるための業務にも携わることとなり、公益認定に向けての各種手続の調査、調整等の業務を行うようになった。さらに、被告aは、B前理 事長から、国技館改修工事に係る委員会にも出席するよう命じられ、同年8月22日開催の第1回建設委員会から出席するようになった。(甲18、41の3頁、甲42の5・45頁)エ平成24年8月28日の理事会において、被告aにつき、職務権限を決めた上で常勤契約とすることが承認された(甲169、 乙43)。 オ被告aは、同年9月1日に原告の常任特別顧問に就任し、原告は、同日、被告会社との間で本件業務委託契約の委託業務を、①事務局業務全般の助言と指導、②理事長の特命業務、③理事長の要請に基づく事業部間の調整、④危機管理に関わる業務、⑤理事長 の要請による理事会等必要な会議の出席についての業務に広げ、業務委託料を月額126万9000円(税別)とすることを合意した(前提事実⑸イ)。同月27日の理事会では、被告aの業務内容を、上記①から⑤までの業務と明確にしたことが報告された(乙44)。 なお、被告会社には、被告a以外に原告の業務に関与した者はおらず、本件業務委託契約に基づく業務の履行はすべて被告aが行ったものである(争いがない。)。 カ被告aは、d主事 乙44)。 なお、被告会社には、被告a以外に原告の業務に関与した者はおらず、本件業務委託契約に基づく業務の履行はすべて被告aが行ったものである(争いがない。)。 カ被告aは、d主事の在職中(d主事が主事代行に降格された後も含む。)、d主事が行っていた業務の2、3割程度を補助するよ うになった(甲42の46頁、乙16)。 -55-キ被告aは、同年9月頃からd主事、b監事とともに、公益認定に関し、内閣府や文部科学省等との交渉業務を行うようになった(甲41の3頁、甲42の5頁)。 原告は、平成26年1月30日、公益認定を受け、公益財団法人へ移行した(前提事実⑴イ)。 ク T親方は、平成24年2月に原告の理事に就任し、事業部長であったE親方の補佐役として原告事務局を取りまとめていた者であるが、被告aは興信所に依頼してT親方を尾行させ、T親方と女性との密会現場の写真を入手し、それを原告の広報及び週刊誌に送り付けた。これにより、平成24年9月27日、T親方の不倫 を報じる記事が週刊誌に掲載され、T親方は原告を退職した。(甲29、乙16)また、平成26年1月の理事選でE親方が落選したことについて、原告内では被告aがB前理事長の対抗馬となるE親方を落選させるために動いたためであるとの噂が広まっていた(甲29、1 58の11頁)。 ケ d主事は、事務局として建設委員会にも出席していたが、平成25年3月頃から、国技館改修工事の業者選定方法等について、被告aのやり方に異を唱えるようになった(甲29)。すると、被告aは、B前理事長等にd主事の悪評を触れ込み、同年9月2日 には、C理事長に対しても、d主事が好き勝手やっている、B前理事長も怒っているなどと述べた。その後、d主事は、B前理事長か と、被告aは、B前理事長等にd主事の悪評を触れ込み、同年9月2日 には、C理事長に対しても、d主事が好き勝手やっている、B前理事長も怒っているなどと述べた。その後、d主事は、B前理事長から建設委員会の担当を外され(平成25年9月11日開催の第9回建設委員会から出席していない。)、平成26年3月には主事代行に降格された。結局、d主事は、同年10月、辞職を申し出て、 原告を退職した。(甲23、29、158添付資料1、甲159、-56-161)d主事のもとで施設管理、経理人事等の職務を担当していたeも、平成25年9月、広報部に異動となり、被告aとの関係で原告に居づらくなって平成26年12月に自主退職した。 被告aは、上記カのとおり、d主事の補助を行っていたが、平成 26年10月にd主事が退職してからは、B前理事長からの指示で主事業務を事実上担うようになり、執行部定例会への出席及び議題の検討・調整、事務局に回ってきた契約管理票・契約書の確認、理事会・評議員会の議題調整、会議での説明、その他重要案件に関する取引先との商談等の業務(本来の主事業務の7、8割程度)を 行っていた(甲42の3・46頁、乙16、弁論の全趣旨(被告ら準備書面⑼))。 コ fは、平成24年6月1日、施設管理室室長代理(2級)に昇格し、資料管理室に異動となったrに代わって、施設管理責任者となったが、被告aから定年退職後の嘱託雇用を約束され、その指 示を受けながら、国技館改修工事等に関与した(甲32、153)。 サ被告aは、事務局職員のg及びhを主事候補として重用し、両名は被告aの指示に従って、原告の規程に反する業務を行うことがあった。例えば、gは、平成26年7月31日、原告の口座からOに対してシステム入替工事の代金を振り込む g及びhを主事候補として重用し、両名は被告aの指示に従って、原告の規程に反する業務を行うことがあった。例えば、gは、平成26年7月31日、原告の口座からOに対してシステム入替工事の代金を振り込む際、みずほ銀行に 対し、口座払戻しの権限者であるC理事長(当時は事業部長)が出張中で払戻請求書への押印等ができないが、至急案件であると頼み込み、特例で払戻請求書なしの振込みを実行させた。(甲29、甲42の27頁、甲132、159の33頁)被告aは、自己の辞任に続いて原告を退職したgに再就職先を 斡旋した(甲42の27・28頁)。 -57-シ平成27年10月1日の理事会では、1年近く主事が空席となっていることが話題になったが、その際、c理事及びb監事は被告aが主事も兼務することに賛成する意見を述べた(乙54)。 ス平成27年11月20日にB前理事長が死亡すると、被告aは同年12月22日の協会葬に向けて準備を行った(乙16)。 セ平成27年12月18日に開催されたB前理事長死亡後初の理事会では、F理事、c理事、b監事らが、被告aが同理事会に出席していないことを疑問視する発言をして、被告aが職員に採用されたか否かで紛糾した。同理事会では、C理事長が理事長に選任された。(甲109、155)。 ソ被告aは、平成28年1月5日の仕事始めの朝、原告事務所に出勤し、C理事長との間で、同月末をもって本件業務委託契約を終了させ、顧問を辞職すると合意し、翌日から出勤しなくなった(甲107、109)。 ⑵ パチンコに関する契約関係と動画流出 ア被告aは、原告公認のパチンコ台を製作することを企図していたところ、平成24年6月頃、当時、広告企画会社であるGに勤めていたjを介してG代表取締役のiと知り合い する契約関係と動画流出 ア被告aは、原告公認のパチンコ台を製作することを企図していたところ、平成24年6月頃、当時、広告企画会社であるGに勤めていたjを介してG代表取締役のiと知り合い、iに対し、パチンコメーカーの紹介を依頼した。iは、同級生であるkが営業部長を務めており、肖像権を利用した商品の企画等を行っているH を被告aに紹介した。そして、GとHが仲介業者となって、パチンコメーカーである株式会社U(以下「U」という。)との間で名称等利用許諾契約締結に向けた交渉をすることとなった。この際、i及びkは、被告aに契約締結の謝礼として4000万円の手数料を支払うことを提示し、被告aの了承を得た。(前提事実⑹ア、 甲34の1、証人i)-58-イ被告aは、iに対し、Uとの契約はE親方に知らせずに決める必要がある、これに反対しそうな理事らには金をつかませる必要があるとして、そのための金銭として2000万円程度用意するよう要求した。そこで、iは、Hが用意した1000万円のうち、まずは500万円を被告aに交付することとし、平成24年11月 12日、被告aが滞在していた福岡市内のホテルの部屋を訪問し、被告aに紙袋に入った現金500万円を交付した。被告aは、上記500万円を受け取って中身を確認すると、「絶対こればれんようにしてくれる?」、「Bにばれるようになると、中止せなあかん、潰さなあかんようになるから。」と述べるとともに、残りの金銭につ いて「別に小分けでもかまわんですよ。」、「できたら、場所中にパパパッと銭切りとかやっておきたい。」などと早急に用意するように求めた。 iは、上記現金500万円交付の場面をスマートフォンで隠し撮りしていた。 次いで、iは、同月22日、国技館近くの喫茶店で、 銭切りとかやっておきたい。」などと早急に用意するように求めた。 iは、上記現金500万円交付の場面をスマートフォンで隠し撮りしていた。 次いで、iは、同月22日、国技館近くの喫茶店で、被告aに対し、紙袋に入った現金1200万円を交付した。上記1200万円はHが追加で用意して、iに交付したものであった。 (甲34の1、甲35の1・2、証人i)ウその後、Hが用意した2200万円のうちiが被告aに交付し たのが1700万円であったことが被告aらに知られ、被告aからそのことを咎められたiはHに500万円を返還した。また、Uとの契約成立時にGが4000万円の手数料を受け取ることとなっていたことが被告aに知られ、iはこの件の担当を外れることとなった。そして、j、k及び被告aとで交渉を進めることとな り、Hが紹介した別のパチンコメーカーとの間で交渉が進められ、-59-原告は、平成25年5月25日、Iとの間で、契約期間を同年7月1日から平成30年6月30日までとする本件名称等利用許諾契約を締結した。 また、IがHに対し原告との交渉業務等を委託したのを受けて、原告は、平成25年5月27日、Hとの間で本件名称等利用許諾 契約における力士等の名称等の利用許諾の対価を最低保証許諾料1億円、10万台を超えると1台当たり2000円とし、Hは上記1億円を同年7月末日までに支払う旨の覚書を締結した。 (前提事実⑹ウ、甲34の1・2、甲113~115)エ本件名称等利用許諾契約は、原告の理事会にかけることなく、 B前理事長の了承のもとに被告aが締結交渉を行い、d主事に公印を押させたものであり、その後定例会に報告された(甲29、109、146の2、甲158)。 オ被告会社は、Hから、平成25年4月17日に262万 の了承のもとに被告aが締結交渉を行い、d主事に公印を押させたものであり、その後定例会に報告された(甲29、109、146の2、甲158)。 オ被告会社は、Hから、平成25年4月17日に262万5000円、同年7月5日に3950万円の振込送金を受けた(甲11 2)。 カ Iと原告との間で本件名称等利用許諾契約が締結されたことを聞いたiは、jやkにGへの手数料支払を求めたが応じてもらえず、平成25年9月頃から、E親方と接触したり、原告関係者に手紙で被告aの裏金受領を告発したりして被告aに手数料支払を了 承させようとしたが、功を奏さなかった(甲29、34の2、甲41の19頁、甲158添付資料6・7)。 原告内部では、その頃から、被告aが名称等利用許諾契約の関係で裏金を受領したとの噂が広まったが、被告aがそれを否定したことから、原告としてそれ以上の対処はしなかった(甲158 添付資料6・7)。 -60-キ平成26年1月から2月にかけて、iからの情報提供により、週刊ポスト等の雑誌に原告顧問のパチンコ裏金受領疑惑を報じる記事が掲載された。また、iは同時期に、本件動画をインターネット上の動画サイト(YouTube)に投稿した。 (前提事実⑹エ、証人i40頁)。 平成26年3月6日には、全国紙でも本件動画流出の件が報じられた(甲147)。 ク平成26年3月6日の理事会において、c理事は、本件動画流出の件について調査が必要と判断すれば危機管理委員会で対応する旨発言し、B前理事長から調査の要否の判断を一任された(甲 148、158添付資料9)。 平成26年7月20日の理事会において、c理事は、弁護士2名を使って予備調査を実施した結果、被告aはiから2回にわたり現金を受け取ったもののその後jを介 (甲 148、158添付資料9)。 平成26年7月20日の理事会において、c理事は、弁護士2名を使って予備調査を実施した結果、被告aはiから2回にわたり現金を受け取ったもののその後jを介して返却したと認められ、一旦金を受け取りビデオで撮られていることには落ち度はあるも のの、iが被告aを利用して親方衆に配るためと偽ってHに金を用意させ、その金を自己の事業資金として着服しようと画策したとの疑いが強いことから、本格調査の必要なしとの結論に達したと報告した。この報告を受けて、被告aの裏金受領疑惑についてはこれで決着とすることとなった。なお、c理事は、被告a、j、k からは事情聴取したが、iについては警察が捜査中であるとして事情聴取しなかった。(甲41の5頁、甲151、乙26)ケ iは、平成27年7月、上記カの過程で、H宛に金を払わなければ本件動画をインターネットで流す旨のメールを送信したことが恐喝未遂に当たるとして逮捕されたが、示談成立により同年8月1 4日、不起訴処分となった(甲34の2、乙1、証人i)。 -61-コ原告は、平成26年1月に本件動画流出の件が週刊誌で報道されて以降、複数回、内閣府公益認定等委員会事務局や文部科学省担当者からこの件についての原告の対応や調査の状況の照会を受け、被告aの言い分に即した内容の報告書を提出するなどした(甲149、150、152、158添付資料8・11)。 サ原告は、平成27年9月25日、Iとの間で本件名称等利用許諾契約の契約期間を令和5年6月30日まで5年間延長する旨の合意をする覚書を締結した(甲116)。また、原告は、Hが原告との交渉業務をkが代表取締役を務めるJに再委託したことを受けて、平成27年9月25日、Jとの間で延長期間の本件名称等 年間延長する旨の合意をする覚書を締結した(甲116)。また、原告は、Hが原告との交渉業務をkが代表取締役を務めるJに再委託したことを受けて、平成27年9月25日、Jとの間で延長期間の本件名称等 利用許諾契約における力士等の名称等の利用許諾の対価を最低保証許諾料1億円、10万台を超えると1台当たり2000円とし、Jが上記1億円を同年12月末日までに支払う旨の覚書を締結した(甲117、118)。 被告会社は、平成27年12月1日、Jから3240万円の振込 送金を受けた(甲112)。 シ上記サの期間延長の覚書と延長期間の最低保証許諾料に関する覚書には原告の公印が押されているが、それは公印を管理していたC理事長の了承なく押印されたものであった。また、これらの覚書の締結交渉は被告aが行ったもので、理事会には諮られず、 事後に定例会で説明があっただけであった。(甲109)ス原告は、平成29年6月、I等に本件名称等利用許諾契約の無効を通知し、最終的に同契約を合意解除して、Iに対し、ライセンス料として受け取っていた2億1300万円を返還した。 ⑶ 国技館改修工事の業者選定過程 ア国技館改修工事については、大林組を施工業者、日建設計を設-62-計施工管理会社とすることが内定していた(前提事実⑺ア)。 イ被告aは、平成24年3月2日、国技館の建設以来改修工事を担当していた鹿島建設の担当者であるv1(以下「v」という。)に対し、原告の危機管理政策顧問という肩書を示し、国技館改修工事の受注業者から大林組と日建設計が外れることを説明した上 で、「私の仕切りの下で動き出す。」「鹿島は、やりたいか。」「やりたいんだったら、金かかるで。」と言って、国技館改修工事を受注するには被告aに対する謝礼金が必要である が外れることを説明した上 で、「私の仕切りの下で動き出す。」「鹿島は、やりたいか。」「やりたいんだったら、金かかるで。」と言って、国技館改修工事を受注するには被告aに対する謝礼金が必要であることを匂わせた。vは、このことを鹿島建設の役員に報告した。(甲17)ウ平成24年3月18日の理事会において、国技館基幹設備等改 修工事推進委員会のT委員長から、前提事実⑺アの大林組選定当時の上記委員会のu委員長と大林組との癒着を疑わせる事情があるとして大林組との工事契約の見直しが提案された。B前理事長は、業者選定経過に疑念が指摘された以上、このまま契約を進めることはできないとの判断を示し、理事会としても、大林組と の工事契約の内定を白紙に戻すことが承認された。(甲15、乙37)。 エ被告aは、NTT関係者の紹介で、平成24年3月19日、NTTファシリティーズのlらと面談し、国技館改修工事に関し、正式に日建設計・大林組の内定と改修計画が白紙に戻されたことを 伝え、NTTファシリティーズには工事業者の選定業務のみならず、国技館改修工事に関する提案を依頼したいと申し出た。その際、被告aは、原告は当初約100億円の資産を有していたが、言われるままに工事費を支払い、計画的な国技館改修工事ができずに資産が流出してしまったという経緯を伝え、原告は現在約50 億円を保有しており、有効な国技館改修工事の計画を立てたいと-63-考えていること、B前理事長になってから、相撲協会の改革を進めており、国技館改修工事の入札の件にしても第三者に説明ができるように、コンプライアンスも含めて体制も変えなければならないことを説明した。(甲145の1)オ平成24年4月11日には、被告aの仲介でB前理事長、E親 方とNTTフ も第三者に説明ができるように、コンプライアンスも含めて体制も変えなければならないことを説明した。(甲145の1)オ平成24年4月11日には、被告aの仲介でB前理事長、E親 方とNTTファシリティーズとの初顔合わせが行われた。その際、NTTファシリティーズの副社長は、電電公社・NTTが前身という会社の成り立ちからして、公的な立場で業務を提供することが多く、キックバックや寄付等の行為はできないし、きちんと契約をして進めることになると発言し、B前理事長もそれを望み、 お金がきちんと使われているか見てほしい、計画的にお金を使いたいが、ゼネコンの見積要求のまま支払っており、見積りの正当性も確認できていないので、必要なところにメリハリをつけて実施したいと発言した。被告aも、原告の立場で考えてくれる人を望んでいると説明した上で、その場で、NTTファシリティーズ に対して、国技館改修工事のコンサルタントを依頼することにつきB前理事長の了承を取り付けた。 なお、この打合せ中に、被告aは施設管理室のrはよくないので配置替えし、その部下の信頼できる者に改修工事を任せる意向であると表明した。 (甲145の2)カ平成24年4月17日の理事会において、国技館改修工事に、従前から関与している鹿島建物総合管理株式会社のほか、NTTファシリティーズ等も携わることが報告された。また、平成23年度の原告の業績が約50億円の赤字となったことから、b監事 が財務状況の調査を行っていることも報告された。(乙38)-64-平成24年5月2日の理事会では、国技館改修工事の設計・監理を担当する日建設計の内定も取り消され、国技館基幹設備等改修工事推進委員会のメンバーも再選されることになった(甲16)。 キ平成24年5月24日 年5月2日の理事会では、国技館改修工事の設計・監理を担当する日建設計の内定も取り消され、国技館基幹設備等改修工事推進委員会のメンバーも再選されることになった(甲16)。 キ平成24年5月24日の理事会において、国技館改修工事の施工管理をNTTファシリティーズに依頼することが承認された。 その際、施工管理業者はコンペをして選定した方がよいとの意見も出た。(乙40)平成24年6月19日の理事会において、他2社の見積書と比較の上、NTTファシリティーズを施工管理業者に選定することが改めて承認された。w監事からは、前回の理事会で、B前理事長 がNTTファシリティーズを選定する方向性を示したこと自体が契約管理規程に違反するのではないかとの指摘があった。(乙41)ク平成24年7月15日の理事会において、建設委員会(当時の名称は国技館改修工事推進委員会)を設置することが報告された(前提事実⑺ア)。 B前理事長は、被告aに対し建設委員会に入るように指示した(被告a本人6頁)。 ケ原告は、平成24年8月1日、NTTファシリティーズとの間で、国技館改修工事の管理・技術コンサルタント業務を委託する本件CM業務委託契約を締結した。なお、当初の業務の履行期間 は、同日から令和元年10月31日までであったが、平成25年12月9日に、令和2年7月31日までに変更され、さらに、平成27年11月16日に、業務内容として国技館施設管理に係る技術支援を目的とした施設管理補助業務が追加され、追加業務期間は平成28年1月1日から平成30年8月31日までとなった (甲26、179~181)。 -65-コ平成24年8月22日の第1回建設委員会において、被告aは、前年からの経緯を説明し、d主事は、工事請負契約は、契約管理 年8月31日までとなった (甲26、179~181)。 -65-コ平成24年8月22日の第1回建設委員会において、被告aは、前年からの経緯を説明し、d主事は、工事請負契約は、契約管理規程に則り、1000万円未満は随意契約、1000万円以上は指名競争入札となるが、国技館改修工事は例外的に業務遂行能力も評価できるプロポーザル方式随意契約とすることを説明した(甲 18、33)。なお、原告では、1000万円を超える契約であっても、第三者が確認して金額に問題がなく適正であると判断された場合には、競争入札を行わずに随意契約を締結することが行われていた(証人e51・52頁)。 サ被告aは、平成24年11月ころ、Aに対し、国技館改修工事を 受注する意思があれば、被告会社を通じて、原告やNTTファシリティーズに推薦できる旨の申入れをした。これを受けて、Aは、上記工事の施工候補業者になる意思を伝え、被告aに推薦を依頼した。(甲43、44)シ平成24年12月21日の理事会において、国技館改修工事の 設計施工者選定を競争参加意向表明方式で行った結果、鹿島建設1社となったことが報告された。しかし、その1社と随意契約となると価格競争が行われず、出来レースとの懸念が生じるため、その対応策として施工業者の選定方法について、建築・電気設備・機械設備の3グループそれぞれ複数社で競争を行い、各グループ ごとに工事会社を選定し、グループ全体を調整する機能を建築グループで選定されたゼネコンに任せることが承認された。(乙45)ス平成25年1月31日の理事会において、国技館改修工事の①建築工事につきK、鹿島建設等3社、②電気設備工事につき株式会社きんでん、株式会社関電工(以下「関電工」という。)、株式会 社住友電設、 成25年1月31日の理事会において、国技館改修工事の①建築工事につきK、鹿島建設等3社、②電気設備工事につき株式会社きんでん、株式会社関電工(以下「関電工」という。)、株式会 社住友電設、Aの4社、③機械設備工事につき新菱冷熱、九電工等-66-3社が参加表明したことが報告された(乙46)。 セ被告aは、平成25年2月ころ、Aに対し、施工候補業者として推薦したことに関する斡旋手数料の話を持ちかけた(甲43、44)。 ソ平成25年3月18日の国技館改修工事に係る設計施工者選定 評価内容についての原告とNTTファシリティーズの打合せにおいて、被告aは、建築工事の施工業者について、Kにつき、鹿島建設とは情報量の違いがあり、大きくハンディがあるため、その状況下で鹿島建設を選定すると出来レースと見られやすいと指摘した。 また、被告aは、電気設備工事の施工業者につき、別工事での談合疑惑がある2社(株式会社きんでん、関電工。乙13)を失格扱いとし、残る2社のうち工事費が安いAとすべきであると発言した。これに対し、NTTファシリティーズのlが、Aの見積りは依頼した仕様に沿わないものであるから再確認が必要であるとの指 摘をしたが、被告aは「NTTファシリティーズの評価内容を変えろとは言っていない。適正な評価をしてもらうべきと考えている。」と発言した。(甲19)タ平成25年4月16日第6回建設委員会において、委員長のE親方から、国技館の建物設備は老朽劣化が進み早期更新が必須で あり、また、その更新工事に出せる工事費には限りがあること、どんな意見に対してもきちんと反論できる公正な評価・選定をする必要があることといった業者選定の基本方針が示され、NTTファシリティーズも選定に関するどんな疑惑にも説明できる 事費には限りがあること、どんな意見に対してもきちんと反論できる公正な評価・選定をする必要があることといった業者選定の基本方針が示され、NTTファシリティーズも選定に関するどんな疑惑にも説明できる公正な評価を実施し、信頼のおける施工者に安く工事を発注するという 基本姿勢で行っていると表明した。 -67-NTTファシリティーズは、応募各社から提出された見積書を集計した結果、各工事の最安値工事費(K、関電工、新菱冷熱)の合計額が61.5億円となったとして、NTTファシリティーズ算出の想定額43億円より大幅に超過した理由及び6社が一方的に見積りに項目除外条件を付けてきたため各社の見積条件が異なる という施工業者選定の懸念点を説明したところ、被告aは、原告としては、適正な価格が知りたい、見積額が適正なコストならば構わない旨の発言をした。 NTTファシリティーズは、国技館の機能を停止させずに、かつ工事をしなければ顧客サービスに支障が生じる項目に限定した場 合の工事費を約30億円弱(税別)と算出した上で、最小限の工事を発注し、次の工事を行う場合にはその発注時に改めて競争で選定すべきという考えを伝え、早期工事発注のための工事の進め方として、見積条件を揃えて修正見積額を出させて優先交渉権者を選定し、最小限の工事内容を詰めていくという方法を提案した。こ れに対し、被告aは、NTTファシリティーズの評価は参考にはするが、原告が施工業者を決定するのであり、NTTファシリティーズの考え方を押し付けないで欲しいと述べ、委員会で決定したことは、理事会への報告のみで足り、理事会の承認は不要であり、見積条件がバラバラであっても、何らかの形で早く施工業者の選定 を行い工事に着手したい、安いKだけに確認すればよく、公明正大に たことは、理事会への報告のみで足り、理事会の承認は不要であり、見積条件がバラバラであっても、何らかの形で早く施工業者の選定 を行い工事に着手したい、安いKだけに確認すればよく、公明正大に議論しても仕方がないと述べた。そして、6社に条件なしの見積額を確認すべきであって、KとAのみに確認しただけでは、どちらが安いのか判断できないし、業者選定に疑念が出るおそれがあるとaの意見に反対したlに対し、被告aは、NTTファシリティー ズが選定評価報告を出せないというなら出さなくて構わないとの-68-意見を述べた。b監事も、6社全てに見積確認を行う必要なしとの意見を述べた。 また、NTTファシリティーズは、電気設備業者につき、他の工事で談合疑惑報道が出ているものの必ずしも原告で失格扱いにする必要がなく、現時点では談合判定が下されていないのに、見積り の一番安い会社を含めて失格扱いとし、見積りに除外条件を付けたAを選定すると恣意的と捉えられ易いことを指摘した。これに対し、被告aは、それはNTTファシリティーズの考え方であり、談合疑惑報道が出た時点で談合判定が出ることが多く、原告は談合疑惑報道が出た会社に工事を任せられないと反論し、Aに対す る見積り確認の結果、他社と比較して見積金額が高くなったとしても、談合疑惑のある業者には工事を発注しないと述べた。 (甲20)チ平成25年5月頃、eは、d主事から、被告aが国技館改修工事に関して建設業者から金銭を受け取っていることを認める発言を したと聞いた(甲29、証人e11・12頁)。 ツ平成25年5月30日の理事会において、E親方は、国技館改修工事につき、各工事の最安値工事費の合計額は60億円となり、震災復興工事や今後の資材及び労務の高騰により経済状況が変わっ 12頁)。 ツ平成25年5月30日の理事会において、E親方は、国技館改修工事につき、各工事の最安値工事費の合計額は60億円となり、震災復興工事や今後の資材及び労務の高騰により経済状況が変わっており、想定額45億円以内で予定の実施項目を工事すること は困難であること、建設委員会において、工事発注は国技館機能を停止させない最小限の9項目に限定し(工事費約30億円)、工事業者の選定の評価基準としては工事費の安さを重視するが、電気設備工事については談合疑惑報道が出た会社は選定しない旨を決定したこと、その結果、建築工事はK、電気設備工事はA、機械 設備工事は新菱冷熱が優先交渉権者となり、最小限項目での見積-69-書を提出してもらい、NTTファシリティーズと共に見積額協議を実施することを報告し、承認された。C理事長は、15億円見積りが増えるということかを確認したところ、d主事は、最低限必要なところをチェックして、観客に影響のあるところだけ優先的に契約し、緊急でない残りについてはその都度必要かを判断して いきたいと回答した。さらに、C理事長が契約した後にさらに足りなくなるということはないかと質問したところ、E理事が追加の工事を要する場合は、NTTファシリティーズが内容をチェックして必要なものだけに限り見積りをさせて進めたいと回答した。 (甲21、乙47) 上記最小限の工事項目としては、①防災センター更新、②空調熱源劣化更新、③誘導灯更新、④客用便所更新、⑤受変電設備の更新、⑥空調機更新、⑦照明器具更新、⑧サービスエリア・案内所設備更新、⑨貴賓室便所更新の9項目が挙げられていた(甲21、乙47)。 テ上記優先交渉権者3社に、上記9項目に限定した再見積りを依 頼したところ、3社合計の見積額が48億円を超え ・案内所設備更新、⑨貴賓室便所更新の9項目が挙げられていた(甲21、乙47)。 テ上記優先交渉権者3社に、上記9項目に限定した再見積りを依 頼したところ、3社合計の見積額が48億円を超えることとなった(甲22)。 平成25年7月12日の第8回建設委員会において、上記3社から、基本計画図には不確定要素が多く適正な見積金額を提示するのは困難で、業務開始は設計契約締結だけとしたい旨の上申が あったとして、優先交渉権者3社が望んでいる場合には、先行して設計契約締結を進める方針(設計・施工分離方式)となった。その際、国技館改修工事は、縮小した範囲で済むものではなく、近い将来全体工事の実施が必要となるとの意見が出た。(甲23、26)ト平成25年7月24日のKとの打合せにおいて、被告aは、原 告としては、設計・施工で業者と決定した証を作りたいため、26-70-項目すべての設計を行うという前提で、30から35億円での設計施工契約を締結したいとの希望を述べ、日々のやりとりについてはfを窓口とすることを述べた(甲24)。 ナ平成25年7月26日のNTTファシリティーズとの打合せにおいて、被告aは、Kに対して設計だけでなく工事も一緒に発注 するので見積りにつきまとめてNTTファシリティーズに相談するように指示したと述べ、Kからは設計を先に進めないとリスクがあるため難しいと言われたが、リスク分ものせて見積もればよいと話した、30億円か47億円か60億円でも構わない、などと述べた。NTTファシリティーズのlが、その方式では工事費 が膨らむ可能性があると指摘すると、被告aは、お金が膨らむのは仕方ないと発言し、さらにlが、施工業者の選定に当たって複数社に見積提案を依頼して評価した上で選定していることから、後で金 事費 が膨らむ可能性があると指摘すると、被告aは、お金が膨らむのは仕方ないと発言し、さらにlが、施工業者の選定に当たって複数社に見積提案を依頼して評価した上で選定していることから、後で金額が高くなることを認めると、当初の競争・優先交渉権の選定が成り立たなくなると指摘し、NTTファシリティーズの役 割が見えなくなると発言すると、被告aは、工事会社が当初見積もった金額でできないというのであれば仕方ない、金額には関係がないと反論し、lが、設計を先行して進めることは3社との間で合意していることであると述べると、被告aは、原告の意向は工事を含めて発注することであり、役割がないのであればNTT ファシリティーズとの契約をやめればよいなどと述べた。(甲26、27、29)ニ平成25年7月中旬から下旬にかけてのNTTファシリティーズとの打合せにおいて、被告aが、NTTファシリティーズのmに対し、40億円程度の工事金額にするための助言を求めたとこ ろ、mは、施工の見積範囲を9項目から4項目へと減らす提案を-71-行い、被告aの指示で前提事実⑺アの4項目での再見積りを施工候補3社に対して依頼した(甲25)。 ヌ平成25年8月1日のNTTファシリティーズのmとの打合せにおいて、被告aは、同年7月26日のlの発言(上記ナ)を受けて、NTTファシリティーズは何もできないなら、lを含めてメ ンバーを変えてもらう必要があり、やる気がないならNTTファシリティーズとの契約を解除するしかないなどと述べ、理事長の名代の立場としてNTTファシリティーズの役員との面会を求めた(甲28)。 被告aは、同年8月5日、NTTファシリティーズの役員に対し、 担当者のlについて公明正大にというばかりで融通が利かないと苦情を述 NTTファシリティーズの役員との面会を求めた(甲28)。 被告aは、同年8月5日、NTTファシリティーズの役員に対し、 担当者のlについて公明正大にというばかりで融通が利かないと苦情を述べて、担当者を交替させた(甲26)。 ネ Aは、平成25年8月頃、被告aとの間で、Aが施工業者に選定された場合には、被告会社に対し工事請負代金総額の5%程度を斡旋手数料として支払う旨を合意した(甲43、44)。 ノ被告aは、平成25年9月頃、B前理事長等にd主事の悪評を触れ込み、d主事は建設委員会の担当から外された(上記⑴ケ)。 遅くともこの頃から、被告aは、NTTファシリティーズやKから建設委員会の議事や報告事項を事前に知らされており(被告a本人71・72頁)、主事業務の中の会議の議題の調整(前提事 実⑶ク)に該当する行為を行っていた。 ハ平成25年9月10日、Kから、国技館改修工事の工事概算見積書(合計41億4000万円)が提出され、被告aは、NTTファシリティーズのmに対し、上記見積りに関し、消費税アップ前に契約したいので中身をチェックしないで業者の言い値でやって くれとの指示をした。そのため、NTTファシリティーズは計算-72-間違いを訂正させるに留まった。(甲25、26、30)平成25年9月11日の第9回建設委員会において、設計・施工一括契約で進めることが諮られ、了承された。被告aは、消費税の関係から同月中に契約する方向で進めたいと発言した。(甲161)ヒ平成25年9月14日の理事会において、E親方から、同月1 1日の第9回建設委員会で国技館改修工事につき、建築工事はK、電気設備工事はA、機械設備工事は新菱冷熱と契約することを決定したと報告し、理事会で承認された。その際、E親方は、 親方から、同月1 1日の第9回建設委員会で国技館改修工事につき、建築工事はK、電気設備工事はA、機械設備工事は新菱冷熱と契約することを決定したと報告し、理事会で承認された。その際、E親方は、中央監視盤、受変電設備をまずは優先して改修し総額40億円程度となる予定であることを説明し、建設コンサルのNTTファシリティ ーズが中に入り公明正大に行っている旨発言した。(乙27)上記理事会で、c理事から資料の開示を求められたことを受け、同月下旬に、理事らに、国技館改修工事に係る契約書(抜粋)の写しが配付された。しかし、それによっても、契約金額が当初予算30億円から10億円以上も増額している理由は明らかでなか った。(甲29、乙28、証人e9頁)フ平成25年9月30日、原告は、前提事実⑺アのとおり、Kとの間で、電気設備担当をA、機械設備担当を新菱冷熱として、国技館改修工事につき、設計範囲を26項目、施工の工事範囲を①受変電設備の更新、②空調熱源劣化更新、③空調機更新、④防災セン ター更新の4項目とする国技館改修工事請負契約を締結した(甲31、160)。 なお、このうち原告からKを通じて支払われるAの電気設備工事費の総額は、15億5820万円(税込み)であった(前提事実⑺アの電気設備工事の工事金額の合計)。 ヘ E親方は、受注業者がKに決まった後、D事業部長に対し、被告-73-aから、Kから受注金額の3%を裏金として受け取るということでよいかと尋ねられ、そのような金があるなら少しでも工事費を安くするようにと突き返したという出来事を話した(甲107の7頁)。 ホ平成25年10月3日の理事会において、NTTファシリティ ーズが国技館改修工事請負契約の概要について説明したところ、C理 するようにと突き返したという出来事を話した(甲107の7頁)。 ホ平成25年10月3日の理事会において、NTTファシリティ ーズが国技館改修工事請負契約の概要について説明したところ、C理事長を始めとする原告の理事らから、工事代金が当初予算から増額した経緯や詳細設計前に施工金額が決まっている点などについて質問が出された(乙28)。 これに対し、同年11月17日の理事会において、NTTファシ リティーズは、国技館改修工事について、同年9月に設計のみならず施工まで含めて契約を締結することで消費税約1億5000万円の削減となること、現在40億円の見積りを精査することで当初予算30億円に近づける努力をすること、今後検討する中では実施しない工事もあり得ることを説明した(乙29)。 マ平成26年4月10日開催の第10回建設委員会から、委員長がC理事長に代わり、NTTファシリティーズに加え、施工業者3社の担当者も毎回ではないものの、委員会に出席するようになった。同日、NTTファシリティーズのmは、建設委員会の審議対象について、国技館全体に関わる工事(基幹設備改修工事)につい ては審議決定した内容に基づき理事会に承認をもらい、対象外の年度修繕・修理、その他緊急工事を修繕工事と称して事業部長又は理事長の承認をもらい工事を進めると説明した。また、設計項目について工事エリアと設備の種類に応じて見直しを行い、設計項目につき当初計画の26項目から49項目へ細分化することを 説明した。(甲162、乙17)-74-ミ平成26年11月7日の第13回建設委員会において、NTTファシリティーズのmが、設計対象になっているという49項目の工事のうち設計が完了している43項目の代金請求について説明したところ、被告aは、こ 26年11月7日の第13回建設委員会において、NTTファシリティーズのmが、設計対象になっているという49項目の工事のうち設計が完了している43項目の代金請求について説明したところ、被告aは、これらの業務は予算内なので問題ないなどと発言した(甲162、乙20)。 ム平成28年1月9日に第21回建設委員会がC理事長出席で開催された。この回から、D事業部長が委員長となった一方、被告aが出席することはなくなった。同日の建設委員会では、これまでの各種工事の金額の妥当性や工事承認から施工までの流れについて疑問が呈され、NTTファシリティーズのmは、国技館改修工 事請負契約が4項目の工事のみを施工対象とするもので、それ以外の項目は建設委員会で必要性を判断して個別に発注する予定で工事を進めていること、最終的に国技館を直すには60億円位かかることを説明した。(甲163)平成28年2月18日の第22回建設委員会においても、D事 業部長等から、国技館改修工事請負契約の対象となっている工事が4項目のみであることについて疑問であるとの意見が出された(甲164)。 平成28年5月2日のNTTファシリティーズとの打合せにおいても、D事業部長が、国技館改修工事請負契約の工事項目が4項 目に絞られ、必要な工事が追加工事となったことで工事費用が増大しているのではないかと質問すると、NTTファシリティーズは、金額の大きな工事かつ原告との日程調整が必要な工事を基幹4項目として捉えており、その他の館貸に影響なくすぐに対応可能な工事については追加工事として扱っていたと回答した。原告 は、NTTファシリティーズに対し、これまでに実施した工事を見-75-直すよう指示した。(甲165)メ原告は、国技館改修工事請負契約を途中で解 加工事として扱っていたと回答した。原告 は、NTTファシリティーズに対し、これまでに実施した工事を見-75-直すよう指示した。(甲165)メ原告は、国技館改修工事請負契約を途中で解除し、平成29年6月末日までに、Kに対し、工事出来高分として17億9550万円(そのうちAに支払われるべき電気設備工事代金は5億9325万円(いずれも税込み))を支払った(甲183~187、弁 論の全趣旨(証拠説明書⒄))。 ⑷ 国技館その他工事の契約締結経緯原告は、平成25年1月28日、NTTファシリティーズに対して、平成24年8月1日から1年間(以後、自動更新)を契約期間として、国技館の緊急修繕工事についてのマネジメント業務を委託 した(甲26)。平成26年から平成27年にかけて、国技館について、以下の工事が行われた(前提事実⑺イ)。いずれの工事も、契約締結に当たり、相見積りの徴求や競争入札は実施されず、国技館改修工事の施工業者等との間で契約が締結された(甲32、弁論の全趣旨)。 ア木戸関連工事木戸関連工事の概要は、前提事実⑺イのとおりであり、建設委員会等において以下のとおり検討された。 平成26年4月10日の第10回建設委員会(同回からC理事長が委員長に就任した。)において、木戸担当のL親方が、木 戸が狭いので拡大してほしいと要望したところ、Kは、木戸は地下の建物と一体化しており、拡張するのは難しく、代わりに木戸で行っている業務を南門に移し、南門門衛室を建て替えるという方針を説明した(乙17)。 平成26年7月11日の第11回建設委員会において、南門 門衛室の建替え案が説明されたが、木戸の親方らが木戸の内装-76-を改修してほしい、できれば木戸を離れたくないと要望してい 。 平成26年7月11日の第11回建設委員会において、南門 門衛室の建替え案が説明されたが、木戸の親方らが木戸の内装-76-を改修してほしい、できれば木戸を離れたくないと要望していたことが紹介され、C理事長が、南門門衛室の建替えと木戸の拡張の二つが必要であれば、木戸の親方の意見を聴いた上で、建設委員会で工事費を加味して決定するとの方針を示し、NTTファシリティーズにおいて木戸の拡張をメインとし、南門門衛室 の建て替えを必要最低限の面積とする方針で再提案することとなった。Kからは、木戸の親方らの要望をふまえ、木戸を横に最大1.1m拡張して窓口を増やすことができる旨説明された。 (乙18)平成26年9月13日の第12回建設委員会において、木戸 改修工事について、Kは、木戸の親方らの希望を踏まえて①後方に拡張して窓口を増やす案と②横及び後方に拡張して窓口を増やす案の2案を説明し、木戸の周りで観客が並んだ時の配慮として庇をはね出す案を検討した旨説明した。また、木戸と南門門衛室双方に案内用の液晶ディスプレイを設置する要望が木戸側 から出ている旨の説明もあった。被告aは、木戸拡張に附帯する工事費用の提示を求め、C理事長は、木戸の拡張に伴って発生する防火シャッターの改造費用の提示を求め、さらに1 億円かかるならば木戸の拡張はなくなると思うとの意見を述べた。これに対し、K担当者は、防火シャッターの設置場所と概算費用を次 回の建設委員会で提出する旨を説明した。(乙19)平成26年11月7日の第13回建設委員会において、木戸改修工事について、Kが、当初は大きな拡張を予定していたが、木戸の親方らと協議のうえ、そこまでは必要ないという話になり、木戸室内の袖壁と分電盤を移動し室内を広くして窓口の上 において、木戸改修工事について、Kが、当初は大きな拡張を予定していたが、木戸の親方らと協議のうえ、そこまでは必要ないという話になり、木戸室内の袖壁と分電盤を移動し室内を広くして窓口の上 に液晶モニターを設置する案を推奨したところ、同案で実施す-77-ることが決定された。なお、内部のレイアウトについては後日木戸の親方らと打合せすることとなり、庇については可動式のテントで再提案することとなった。既存遡及工事については、NTTファシリティーズのmが防火シャッターの概算予算を説明した。(甲162、乙20) 平成27年3月5日の第16回建設委員会において、木戸改修工事について、Kは、木戸を拡張して窓口数は3窓とすること、ディスプレイ55型を3面設置すること、雨の対策として移動式の収縮テントで対応する方針で木戸の親方らと打合せしていること、シャッターを下ろした状態ではカウンターでの作業が できないためロールスクリーンに変更していること、木戸室内で収納スペースを多くとるようにしていること、木戸は三角屋根で天井裏が広いため、天井に人が乗れるようにしたこと等を説明して進捗報告を行ったところ、特段異論は出なかった(乙21)。 NTTぷららは、平成27年4月、被告a、Kから打診を受けて、木戸ディスプレイ設置計画に伴うディスプレイ表示方法の検討を開始し、同年5月、nが表示内容について木戸の親方らからヒアリングを実施した(甲60)。 平成27年5月8日の第17回建設委員会において、Kは、木 戸改修工事を同年6月4日から同年7月29日まで行い、同年8月3日に木戸の通常業務が再開できるようL親方と打合せをしている旨説明した。(乙22)また、このことは同年5月28日の理事会でも報告された(乙52)。 日から同年7月29日まで行い、同年8月3日に木戸の通常業務が再開できるようL親方と打合せをしている旨説明した。(乙22)また、このことは同年5月28日の理事会でも報告された(乙52)。 平成27年5月8日付けで、木戸拡張工事に関する工事実施-78-判定承認書が作成された。これには、実施理由として「第12回建設委員会にて、拡張は行わず、内装及び各設備の劣化更新を行う事で決定し、親方との協議の上、総合的修繕を行う。」、工事内容として「空調機本体更新及び衛生配管更新他設備工事、室内壁等の建築工事、切符販売状況モニター設置他電気設備更新」と記 載されていた。(甲49添付資料1・2)なお、木戸改修工事に係る工事実施判定承認書の承認欄にはB前理事長の個人印が押されている(甲49添付資料2)。 Kから原告に対し、平成27年5月22日、木戸改修工事について工事代金を4880万円(税別)とする見積書が提出され、 原告は、同月27日、Kに対し木戸改修工事を同金額で発注した。 Kは、同月28日から同年8月31日にかけて木戸改修工事を施工し、同年7月24日には完成検査が行われた。(前提事実⑺イa)上記見積書及びKからの請求書の承認欄にはC理事長の個人 印が押され(甲49添付資料3-1、甲53)、注文書には原告の公印が押されている(甲50)。 nは、平成27年6月下旬、木戸ディスプレイの表示方法につき、NTTぷらら社内でサイネージソフトを使用したシステム構成案(木戸サイネージシステム)を報告したところ、NTTぷ ららでは実施できないと判断されたため、Oが契約し、n個人が請け負う形式で進めることとなった(甲60)。 平成27年7月10日の第18回建設委員会において、Kは、木戸改修工事についての ららでは実施できないと判断されたため、Oが契約し、n個人が請け負う形式で進めることとなった(甲60)。 平成27年7月10日の第18回建設委員会において、Kは、木戸改修工事についての工事状況を報告するとともに、同月12日にNTTぷららから、モニターに表示する画像について木 戸の親方らに確認してもらう予定である旨報告した(乙23)。 -79-nは、平成27年7月12日、木戸サイネージシステム工事に関し、L親方ほか関係者と打合せを実施して、要望を聴取し、同年8月のチケット販売開始に間に合うように作成して対応することとなった(甲60)。 原告は、平成27年7月31日、Oに対し、木戸サイネージシ ステム工事を工事代金764万円(税別)、工期平成27年8月1日から同月27日までの約定で発注した(前提事実⑺イb)。 なお、同工事に関しては平成27年7月31日付け注文書、同年8月4日付け見積書、合格通知書が作成されており、これらには被告aの個人印が押されているほか、注文書には原告の公印、見 積書にはC理事長の個人印が押されているが、上記のとおり見積書の作成日付が注文書の作成日付より後になっている。(甲55、57、58)Oは、平成27年7月24日頃、Aに対し、木戸サイネージシステム工事のうち液晶モニター設置工事を90万円で発注し、 また、同年8月1日、サイネージシステム提供及び設定作業に関してnに対し業務を委託した(前提事実⑺イb)。 原告は、平成27年8月28日、Oから木戸サイネージシステム工事の引渡しを受け、同年9月30日、Oに対し工事代金825万1200円(税込み)を支払った(前提事実⑺イb)。 平成27年9月11日の第19回建設委員会において、木戸改修工事(木戸サイ 事の引渡しを受け、同年9月30日、Oに対し工事代金825万1200円(税込み)を支払った(前提事実⑺イb)。 平成27年9月11日の第19回建設委員会において、木戸改修工事(木戸サイネージシステム工事を含む。)が完了したことが報告されたが、木戸のモニター工事は木戸正面にモニターを設置するだけのもので、中のソフト関連については別途800万円程度の費用が掛かることがC理事長から確認された。な お、木戸の親方らの要望として、モニターを内側の壁にも設置し-80-てほしいとの要望があり、屋内用モニターを臨時に設置したことが報告された。(乙24)平成27年11月6日の第20回建設委員会において、木戸の臨時の屋内用モニターを本設置する場合には、費用が1000万円以上かかることから保留とされた(乙25)。 原告は、平成27年12月21日、Kに対し、木戸改修工事代金として5270万4000円(税込み)を支払った(前提事実⑺イa)。 イ雨水槽漏水対策工事平成26年12月16日の分科会において、新菱冷熱は、同年 6月から12月にかけて国技館の雨水槽の水位調査を行った結果、雨水槽で水位が低下しており、雨水槽から年間1095㎥の漏水が発生していると報告した(甲168別紙1)。 被告aは、平成27年4月17日、C理事長に対し、雨水槽漏水対策工事を早急に行う必要があるから、定例会で許可しても らうなどと連絡してきた(甲158添付資料3)。 平成27年5月8日の第17回建設委員会において、雨水槽漏水対策工事について、NTTファシリティーズのmは、原告の承認に基づき雨水ろ過装置の調査を実施したところ、建物の地下ピットにある雨水槽に漏水があることが判明した旨を報告し た。新菱冷熱は、雨水槽の 工事について、NTTファシリティーズのmは、原告の承認に基づき雨水ろ過装置の調査を実施したところ、建物の地下ピットにある雨水槽に漏水があることが判明した旨を報告し た。新菱冷熱は、雨水槽の漏水が月に約100㎥あり、損失は水道代に換算すると年間60万円程度になること、雨水槽を改修するために仮設の水槽が必要となることを説明し、工事内容を提案した。(乙22)平成27年7月10日の第18回建設委員会において、雨水 槽漏水対策工事について、新菱冷熱は、仮設タンクを地下の設備-81-スペースに設置して実施することを提案し、同年8月から実施することが承認された。(乙23)平成27年9月11日の第19回建設委員会において、雨水槽漏水対策工事について、NTTファシリティーズのmは、建設委員会で承認されたとおり工事に着手する予定である旨を報告 した(乙24)。 原告は、平成27年9月25日、Kに対し、雨水槽漏水対策工事につき、請負代金9203万4360円(税込み)、工期を同月28日から平成28年5月10日までとして発注した(前提事実⑺イ)。なお、注文書には原告の公印、請求書にはC理事 長及びD事業部長の個人印がそれぞれ押印されている(甲62、63)。 平成27年11月6日の第20回建設委員会において、Kの担当者は、水槽内部の水抜きをしている状況であり、水槽内部を調査したところ、問題事項として、鉄筋が露出するところがあっ たこと、上のスラブから漏水しているところがあったことを説明した(乙25)。 原告は、平成29年3月27日にKからの請求を受けて、同年4月28日、Kに対し、雨水槽漏水対策工事代金として7990万9200円を支払った(前提事実⑺イ)。 ウその余の国技館その他工事 は、平成29年3月27日にKからの請求を受けて、同年4月28日、Kに対し、雨水槽漏水対策工事代金として7990万9200円を支払った(前提事実⑺イ)。 ウその余の国技館その他工事その余の国技館その他工事については、前提事実⑺イないし、、のとおり、建設委員会の承認を得て、発注され、それぞれ請負代金が支払われた。これらの工事に関する建設委員会でのやりとりは以下のとおりである。 診療所エレベータ2階延長更新工事-82-平成26年7月11日の第11回建設委員会において、診療所エレベータ2階延長更新工事について、Kの担当者は、2階席の観客がけがをした等の緊急時に階段やエスカレーターを利用して診療所まで搬送している現状から、緊急時の対応として原告から要望を受けたとして、上記工事を進めることを諮った。委員 からは、車いすで2階席に行く観客にも使ってもらってよいとの意見が出され、緊急用に使用することを徹底するという前提で進め、コストを提案してもらうことになった(乙18)。また、同年9月13日の第12回建設委員会では、同工事をした場合に要する遡及工事(国技館全体で現行建築基準法に適合させるように、 防火シャッター等を新設・改造する工事)の見積りが提示された時点で打合せをすることとなった。 平成26年11月7日の第13回建設委員会では、Kの担当者から、診療所エレベータ2階延長更新工事に入っていることが報告された(乙20)。 もっとも、上記工事の工事実施判定承認書が作成されたのは平成26年11月13日で、同月28日に注文請書が作成されているところ、NTTファシリティーズが見積金額の査定を行ったのは同年12月18日であった(甲82~84)決まり手表示更新工事等 平成2 11月13日で、同月28日に注文請書が作成されているところ、NTTファシリティーズが見積金額の査定を行ったのは同年12月18日であった(甲82~84)決まり手表示更新工事等 平成26年7月11日の第11回建設委員会において、Aの担当者が、決まり手表示が竣工後30年間更新が行われておらず、故障の際の交換部品がない等の問題があることを説明し、液晶ディスプレイ案を推奨したところ、C理事長が交換部品がないなら仕方ないとこの方針を了承した(乙18)。 平成27年3月5日の第16回建設委員会において、Aの担当-83-者から取組表示の内部蛍光灯の安定器が生産中止となっていて修理ができないとして、そのLED化更新工事が提案された。その際、決り手表示更新工事に使用した足場を利用して工事費を削減するとの説明があり、同委員会でLED化更新工事が承認された。(乙21) 同年5月8日の第17回建設委員会では、同年7月に決まり手表示更新工事と取組表示更新工事とを同時に行うことが報告された(乙22)。 同年7月10日の第18回建設委員会では、委員長のC理事長から、来週から決まり手表示更新工事及び取組表示更新工事に着 手する予定であることが紹介され、同年9月11日の第19回建設委員会では、Kの担当者から上記各工事が完了した旨の報告があった。その際、C理事長は、決まり手について相撲文字(ひらがな)を採用したと報告した。(乙23、24)同年11月6日の第20回建設委員会では、C理事長らから、 決まり手表示を液晶に変えたが、ひらがなよりも漢字の方がインパクトがあるなどの理由で漢字に直してもらうこととした旨の報告があった(乙25)。平成28年1月9日開催の第21回建設委員会では、決まり手表示の漢字化工事は年末に完了 、ひらがなよりも漢字の方がインパクトがあるなどの理由で漢字に直してもらうこととした旨の報告があった(乙25)。平成28年1月9日開催の第21回建設委員会では、決まり手表示の漢字化工事は年末に完了している旨報告があったが、C理事長は、工事費用がこんなにかかるとは 思っていなかったと発言し、今後は事前に確認するようにとmに指示した(甲163)。 教習所修繕工事平成26年7月11日の第11回建設委員会で、教習所修繕工事について、K等から、空調機の設置、便所の配管更新、浴室 周り・稽古場の窓枠修繕等の提案があり、空調機は不設置、便所-84-の配管は承認、浴室周り・稽古場の窓枠修繕は部分的な修繕を検討することとなった(乙18)。同年9月13日の第12回建設委員会では、部分的な修繕での再提案がされた(乙19)。平成27年3月5日の第16回建設委員会では、C理事長から教習所修繕工事が実施中であることが紹介され、Kの担当者から工事状 況が報告された(乙21)。同年5月8日の第17回建設委員会でも、教習所修繕工事の内装工事が完了し、この後配管改修工事に入ることが報告された(乙22)。 電話設備幹線更新工事平成26年7月11日の第11回建設委員会で、Aの担当者が、 電話設備幹線ケーブルが老朽化しており、更新が必要であると報告し、ケーブルの先行工事が了承された(乙18)。 ポンプ類劣化更新工事平成26年7月11日の第11回建設委員会で、新菱冷熱の担当者から、ポンプ類劣化更新工事を行うとの説明があり、特に 反対意見もなく、承認された(乙18)。 雨水利用設備更新工事平成26年7月11日の第11回建設委員会で、新菱冷熱の担当者から、雨水利用設備機器が10年以上前から故障しており、更 反対意見もなく、承認された(乙18)。 雨水利用設備更新工事平成26年7月11日の第11回建設委員会で、新菱冷熱の担当者から、雨水利用設備機器が10年以上前から故障しており、更新して雨水を利用すれば年間水道料が350万円削減できる として更新することが提案され、承認された(乙18)。 平成26年7月20日の理事会において、当時、建設委員会委員長であったC理事長は、建設委員会において、平成27年度の修繕工事として、決まり手表示更新工事、電話設備基幹更新工事、雨水利用設備更新工事、ポンプ類劣化更新工事の実施を承認し たことを報告した(甲151、乙26)。 -85-平成27年5月28日の理事会において、建設委員会から、国技館の緊急工事として、木戸改修工事、決まり手表示更新工事等、雨水利用設備更新工事などが実施されたことが報告された(乙52、53)。 ⑸ その他の工事等 ア電通への金銭要求行為電通は、平成25年6月頃、原告に対し、国技館内に設置されている取組表の電光板をLED大型ビジョンに付け替える提案をしていた。被告aは、電通に対し、上記事業に関して、E親方に個別に金銭を用意できるかと尋ねた。電通側は即座にこれを断 ったところ、その後上記事業の話は進まなかった。(甲38の1)。 電通は、原告との間で、同年4月から5年間の契約で、力士の応援グッズの製作・販売事業を行っていたが、平成27年2月に、被告aからB前理事長が国技館の特設ブースが目障りだと言っているので販売を止め、グッズの在庫の一部を原告に納品するよ うにと指示され、残り3年近くあった契約が打ち切られ、原告に対し無償で在庫の半分程度を送付することとなった(甲38の1・2)。 イシステム入替工事被告aは、 の一部を原告に納品するよ うにと指示され、残り3年近くあった契約が打ち切られ、原告に対し無償で在庫の半分程度を送付することとなった(甲38の1・2)。 イシステム入替工事被告aは、平成25年10月22日、C理事長に対し、原告の コンピューター関係のメンテナンス料が高すぎる、セキュリティに問題があるなどとして、パソコンの入替えを始める旨伝えた(甲158添付資料13)。 原告は、平成26年6月頃、Oに対し、システム入替工事を4233万6000円で発注し、同年7月31日、Oに対し、同額 を送金した。上記送金は、gが、振込銀行に対し、C理事長が出-86-張中で不在のため払戻請求書に押印等ができないが、振込先の資金繰りに関わるので至急送金したいと申し出て、払戻請求書なしに対応してもらったものであった。(甲132)ウネットワーク設置工事原告は、平成26年11月頃、Oに対し、ネットワーク設置工 事を発注し、同年12月25日、請負代金273万2400円を支払った(前提事実⑺ウ)。 エソフトウェア保守契約原告は、平成27年7月頃、Oとの間で、ソフトウェア保守契約を、保守定額料金年額100万6560円で締結した。上記ソ フトウェアの導入は、NTTぷららのnと「SKYSEA」営業担当者が、被告aに提案していたものであったが、交渉途中で、被告aがNTTぷららを外して、Oから直接「SKYSEA」を導入することを決め、原告はOとの間でソフトウェア保守契約を締結した。(甲60) また、同月31日、Oに対し、木戸サイネージシステム工事を、工事代金825万1200円で発注した(前提事実⑺イb、認定事実⑷ア)。原告は、同年9月30日、Oに対し、ソフトウェア保守契約の保守定額料金及び木 1日、Oに対し、木戸サイネージシステム工事を、工事代金825万1200円で発注した(前提事実⑺イb、認定事実⑷ア)。原告は、同年9月30日、Oに対し、ソフトウェア保守契約の保守定額料金及び木戸サイネージシステム工事の工事代金の合計金額925万7760円(なお、実際の支払金額 は、手数料432円が控除された金額である925万7328円)を支払った(前提事実⑺ウ)。 オ国技館LED照明工事平成27年9月11日の第19回建設委員会において、被告aから、東京電力以外の電力会社から電力を購入するとLED化 工事が無償となり、その代わり、4年から5年の間、下がった電-87-気代からいくらか当該電力会社に支払うとの契約を締結する必要があるとの話が紹介された。被告aは、アリーナ以外の場所での採用を考えているとして、後日、建設委員会に提案すると述べた。(乙24)Oは、同月16日付で、原告に対し、「LED照明代替費用のシ ミュレーション」と題する書面を提出したが、それによれば、LED照明の導入によって電気代が年間637万7470円削減されるとされていた(甲157)。 しかし、その後の同年10月1日の理事会では、省エネルギーサービス契約は議題とはされず(乙54)、同年11月6日の第2 0回建設委員会でも、国技館の電気代を削減する方法が議論されたものの、日栄サポートとの間で省エネルギーサービス契約を締結するとの話は出なかった(乙25)。そうした中、同月16日付けで省エネルギーサービス契約に係る契約書が作成され、国技館のバックヤードや事務所にLED照明が導入された(甲159、 176)。 被告aは、平成28年1月5日、原告事務所を去るに当たり、fに対し、D事業部長にばれないようにしろ、LED照明の仕 館のバックヤードや事務所にLED照明が導入された(甲159、 176)。 被告aは、平成28年1月5日、原告事務所を去るに当たり、fに対し、D事業部長にばれないようにしろ、LED照明の仕入先のことは絶対にしゃべるななどと発言をした(甲178)。 平成28年1月9日の建設委員会で、C理事長は、原告が先日 電力会社を変えた、その電力会社がLED化工事を無料でしてくれた上に5年間又は7年間契約すれば電気代が安くなると聞いているが、その電力会社に利益が出る仕組みがよくわからない、この件は被告aが行い、gがよく知っているとの発言をした(甲163)。 ⑹ P関係-88-ア被告aは、平成25年ころ、国技館内で飲食物販を行う業者を探し、長野県で飲食業を営んでいるPに対して出店を持ち掛けた(乙16)。 イ原告は、平成25年12月27日、Pとの間で、契約期間を平成26年1月1日から同年12月31日まで、出店料は売上高に 対する20%、期間満了の1か月前までに通知がない場合に自動更新とするとの約定で国技館内でのファーストフードサービスの出店・営業を認める本件出店営業契約を締結し、Pは、その頃から国技館内に出店し、たこ焼き、たい焼き等の販売等を始めた(甲119)。 また、Pは、国技館に出店後しばらくしてから、なだ万や京樽の弁当販売を始めた。(甲159の28頁、乙16)ウ被告会社は、平成27年4月1日、なだ万との間で、納入する商品の価格を、国技館において一般に販売される予定小売売価の80%とし、それに係る消費税を加えたものを代金とする国技館 内における外注弁当納入に関する契約を締結した。同契約では、毎月末締めで翌月2日になだ万が被告会社に請求し、請求書受領月の末日に弁当代金を被告会 れに係る消費税を加えたものを代金とする国技館 内における外注弁当納入に関する契約を締結した。同契約では、毎月末締めで翌月2日になだ万が被告会社に請求し、請求書受領月の末日に弁当代金を被告会社がなだ万の指定する口座に振り込む方法で支払うこととされていた。(乙10)被告会社は、平成27年5月10日、京樽との間で、国技館を 利用する顧客への弁当の販売受託等に関し契約を締結し、商品の納品場所を国技館内1階、2階のかめ屋売店とし、1個当たりの販売価格1400円の商品納入金額を780円とする覚書を締結した。同契約では、代金を毎月末締め翌月末日までに京樽の指定した口座に振り込む方法で支払うこととされていた。(乙11の 1・2)-89-原告は、平成27年10月13日、Pとの間で、同月14日に開催される大相撲松本場所の会場において相撲関連商品を取り扱う旨の覚書を締結した(甲120)。 エ被告会社は、平成26年6月から平成28年12月までの間、以下の①から⑩までのとおり、Pから本件被告口座に振込送金を 受けた。また、以下の❶から❹までのとおり、被告会社は、本件被告口座から出金して他の口座に送金した。(前提事実⑻ウ、甲112)なお、本件被告口座の取引履歴(甲112)の摘要欄の「当手」とは「当店券出金」(顧客が支店窓口を訪れ、口座の現金を他の口 座に向けて出金すること)を指す(弁論の全趣旨(原告第4準備書面19頁))。 ① 平成26年6月23日 16万8225円② 平成26年10月29日 126万円③ 平成27年2月6日 224万4565円 ④ 平成27年2月25日 18万5730円⑤ 平成27年6月30日 722万4626円❶ 同日 376万0418円 平成27年2月6日 224万4565円 ④ 平成27年2月25日 18万5730円⑤ 平成27年6月30日 722万4626円❶ 同日 376万0418円⑥ 平成27年10月30日 696万1332円❷ 同日 357万1282円 ⑦ 平成28年2月29日 679万5417円❸ 同日 354万2288円⑧ 平成28年7月6日 89万3323円⑨ 平成28年10月31日 9万0126円❹ 同日 8万2949円 ⑩ 平成28年12月9日 67万4796円-90-入金合計①~⑩ 2649万8140円送金合計❶~❹ 1095万6937円⑺ 仕組債購入平成25年7月14日の理事会において、d主事が、国債、定期預金、仕組債の運用について報告した(乙48)。 平成27年3月15日の理事会において、平成27年度の資金運用について、国債のほか仕組債も繰り上げ償還される見込みであり、国債、定期預金の利回りが以前より低い水準にあることから、資金の運用対象として、資金運用規程に運用対象として挙げられているもの以外についても、運用の検討対象に加える旨可決され、具体的 な購入対象及び時期については理事長に一任することとされた(甲154、乙50、51)。 平成27年10月1日の理事会において、同年1月1日から同年9月30日までの資金運用について報告があった。その際、b監事及びB前理事長は、仕組債が順次繰上償還された旨発言し、B前理 事長は、資金運用の一環として社債購入を試みたものの、時間のずれで予定額を購入できなかったことを報告した。(乙54)被告aは 及びB前理事長は、仕組債が順次繰上償還された旨発言し、B前理 事長は、資金運用の一環として社債購入を試みたものの、時間のずれで予定額を購入できなかったことを報告した。(乙54)被告aは、B前理事長の死亡後、C理事長に対し、年内もしくは平成27年12月18日の理事会までに仕組債を75億円分購入しないと原告の財産が内閣府に取られるなどと述べて、仕組債の購入を 執拗に勧めてきた。C理事長は、同年11月25日、内閣府及び文部科学省を訪問し、事実確認したところ、資金運用は原告が決める事項であると回答され、内閣府が原告の財産を取ることがあるとは説明されなかった。(甲41の13頁、甲109、158の18頁)被告aは、平成27年12月2日の定例会においも、資金運用は 法律で決まっていて、今年中でなければ没収されると述べたものの、-91-C理事長は内閣府に確認するなどと言って取り合わなかった(甲158添付資料19)。 平成28年1月28日の理事会において、C理事長は、資金運用として75億円を3か月間の定期預金にしたことを報告した(甲170、乙55)。 2 争点に対する判断⑴ 争点1(金銭受領関係)についてア総論上記1⑴で認定したとおり、被告aは、B前理事長と親交を深め、平成24年2月に原告の危機管理政策顧問を委嘱され、本件業務 委託契約に基づき原告事務所内で危機管理業務に従事するようになると、B前理事長からの信頼を得て、公益認定申請に係る業務、建設委員会への出席、事務局全般の指導・助言等へと業務の範囲を広げていき、同年9月には常任特別顧問に就任し、d主事を補助して、後にはd主事に代わって主事業務の一部又は大半を担うとと もに、取引先との商談にも関わるようになっていった。このように被 囲を広げていき、同年9月には常任特別顧問に就任し、d主事を補助して、後にはd主事に代わって主事業務の一部又は大半を担うとと もに、取引先との商談にも関わるようになっていった。このように被告aは原告の業務全般に広く関わるようになった上、B前理事長に重用され、近しい立場にいたことから、職員の人事権を有するB前理事長に原告職員の評価等を進言して降格、異動させることが可能であり(認定事実⑴ケ、コ。上記1⑶オからすれば、施設管 理責任者をrからfに代えたのも被告aの意向である。)、原告内部の人事についても、事実上の影響力を有するようになった。 実際、原告においては、被告aの意に沿わない職員(d主事、e、r)は冷遇され、原告から去っていくなどした一方、被告aの指示に従っていた事務局職員のg、h、fは、被告aに重用されたり、 嘱託雇用を約束されたりしたため(認定事実⑴コ、サ。被告aがg-92-の再就職先を斡旋するなどしていることからも、gが在職中被告aの指示に従って行動していたことが推認される。)、被告aはこうした職員を通じて、事務局業務を差配することができていた。 役員についても、F理事、c理事、b監事のように被告aに積極的に与する者もいた(認定事実⑴シ、セ、⑵ク、⑶タ)ほか、被告 aの言動に不信感を持つ役員においても、被告aがB前理事長の威光を後ろ盾としていたこと、被告aがT親方の身辺調査をして不倫の事実をマスコミに報道させて、退職を余儀なくさせたこと(認定事実⑴ク)、E親方の理事選での落選は、被告aが動いたためであるとの噂が流れていたこと(同)などから、被告aに進言し ても聞き入れられることはなく、却って原告内での自己の立場が悪化するだけであるとの意識が蔓延し、被告aに明示的に反対意見を述べるこ であるとの噂が流れていたこと(同)などから、被告aに進言し ても聞き入れられることはなく、却って原告内での自己の立場が悪化するだけであるとの意識が蔓延し、被告aに明示的に反対意見を述べることが出来ない雰囲気が原告内に醸成されていった(原告代表者3・13・17・60~63・70・71頁)。 こうした状況から、被告aは、意図する新たな取引先との契約締 結について、事前にB前理事長に承諾を取り付けてから理事会に諮ったり(認定事実⑶オ、キ)、契約締結後に定例会で事後報告するにとどめたり(認定事実⑵エ、サ、シ)といったことをするようになり、原告が締結する契約関係についても、一定の影響力を行使できる立場にあった。 イ裏金受領の有無被告らは、原告が裏金であると主張する本件被告口座に入金された金銭につき、その趣旨を争うと共に、被告aの関与を否定するので、以下、個別に検討する。 Aからの入金 認定事実⑶コのとおり、国技館改修工事の施工業者は、プロポ-93-ーザル(企画競争入札)の方法で選定することとなっていた。具体的には、応募業者の提出した見積書等に基づいて、原告の建設委員会においてNTTファシリティーズの助言を受けながら業者選定を行い、最終的に理事会の承認を得ることが必要である(前提事実⑵イ)から、被告a自身に直接の業者選定権限がある わけではないことは被告らが主張するとおりである。 しかし、被告aは、上記アのとおり原告内で一定の影響力を有しており、国技館改修工事の関係では、建設委員会の出席資格を有して意見を述べることができた。また、NTTファシリティーズを原告に紹介し、本件CM業務委託契約の締結をB前理事長に 承認させたのも被告aであるから、被告aは、NTTファシリティーズに対しても て意見を述べることができた。また、NTTファシリティーズを原告に紹介し、本件CM業務委託契約の締結をB前理事長に 承認させたのも被告aであるから、被告aは、NTTファシリティーズに対しても一定の影響力を行使することができたものである。 実際、被告aは、平成25年2月頃にAに対して国技館改修工事の施工候補業者として推薦したことに関する斡旋手数料を要 求した以降(認定事実⑶セ)、電気設備工事の応募業者4社の見積金額の最安値は関電工であったにもかかわらず、NTTファシリティーズに対して談合疑惑のある業者を失格扱いとし、談合疑惑のない会社のうち工事費が安いAを選定すべきであるとの意見を述べ(認定事実⑶ソ)、Aを含む見積りに項目除外条件を付 した応募業者に条件を揃えて修正見積額を出させた上で選定すべきであるとのNTTファシリティーズのlの意見には、原告が施工業者を決定するのであり、NTTファシリティーズの意見を押し付けないでほしいなどと述べて反対し、最安値を付けた業者を失格とし、見積りに条件を付したAを選択すると恣意的な選定 と疑われるのではないかとのlの指摘に対しても、Aの再見積額-94-が他社よりも高くなったとしても、談合疑惑のある業者には発注しないと反論し(認定事実⑶タ)、Aが電気設備工事の優先交渉業者に選定されるべく発言をし、さらには、被告aに反対意見を述べるlについて、公明正大にというばかりで融通が利かないとして、NTTファシリティーズの役員にかけあって交代させた (認定事実⑶ヌ)。これらの事実からすると、被告aは、国技館改修工事の電気設備工事の施工業者にAが選定されるべく取り計らったことが認められる。 そして、Aは、平成25年8月頃、被告aに対し、Aが施工業者に選定された場合には、被告会 ると、被告aは、国技館改修工事の電気設備工事の施工業者にAが選定されるべく取り計らったことが認められる。 そして、Aは、平成25年8月頃、被告aに対し、Aが施工業者に選定された場合には、被告会社に対して工事請負代金総額の 5%程度を斡旋手数料として支払う旨合意したこと(認定事実⑶ネ)、同年9月30日には、Aは、Kを介して、国技館改修工事の電気設備工事を15億5820万円で受注していること(認定事実⑶フ)、その後、Aが被告会社に合計で上記15億5820万円の5%に相当する7791万円を送金していること(前提事 実⑺エ)からすると、上記7791万円は、被告aの求めに応じて、Aが電気設備工事の施工業者に選定されたことの見返りとして、斡旋手数料名目で支払われた金銭であると認められる。 これに対し、被告らは、被告aがAに対し、斡旋手数料を要求したことを否定するが、Aからの回答書(甲44)には、被告a から国技館改修工事の施工業者として推薦できるとの申し入れがあり、その後被告会社から斡旋手数料の話が持ち出されたと記載されているところ、Aが殊更虚偽の回答を行う理由も見当たらず、その後の被告aの業者選定への介入行為や被告aが建設業者から金銭を受け取っていることを認めていたとのd主事の発言 (認定事実⑶チ)に照らしても、上記回答は信用することができ-95-る(なお、推薦の申出をしたのが被告aである以上、斡旋手数料のやりとりも被告aが行ったと推認するのが合理的である。)から、被告らの主張は採用できない。 この点について、被告aは、上記Aからの入金は被告会社の元役員のp等が被告aの知らないところで、勝手に受領していたも のであると供述するが(被告a本人6・35~37・39・58・59頁)、当時被告会社に上記の者 告aは、上記Aからの入金は被告会社の元役員のp等が被告aの知らないところで、勝手に受領していたも のであると供述するが(被告a本人6・35~37・39・58・59頁)、当時被告会社に上記の者が実働していたことの裏付けはない上(甲42の42頁参照)、仮にそのような者がいたとしても、本件業務委託契約に基づく業務遂行に何ら関わっていなかったという被告従業員(そのことは被告aも認めている(被告a 本人68頁)。)が勝手にAとの間で多額の金銭を受け取る約束をしていたというのはにわかに信じ難く、被告会社の代表取締役である被告aが本件被告口座への多額の入金について全く認識していなかった(被告a本人68・69頁)というのも著しく不合理であって、被告aの上記供述は荒唐無稽としかいいようがない。 よって、Aからの被告会社への入金は、被告a(被告会社は被告aの一人会社であり(前提事実⑷イ)、当時、本件業務委託契約以外に事業を行っていたとの実態もうかがわれないから、被告会社への送金は実質的に被告aへの送金と同視できる。)への裏金であったと認められる。 Oからの入金前提事実⑺ウ、エのとおり、①原告は、平成26年6月頃、Oに対し、システム入替工事を発注し、同年7月31日、工事代金4233万6000円をOに振り込んでいるところ、同日、被告会社はOから工事代金の約10%に相当する金額400万円の 送金を受け、②原告は、同年11月頃、Oに対し、ネットワーク-96-設置工事を発注し、同年12月25日に請負代金273万2400円を支払っているところ、平成27年1月15日、被告会社はOから工事代金の10%に相当する27万3240円の送金を受け、③原告は、同年7月頃、Oとの間で、ソフトウェア保守契約を保守定額料金年額10 円を支払っているところ、平成27年1月15日、被告会社はOから工事代金の10%に相当する27万3240円の送金を受け、③原告は、同年7月頃、Oとの間で、ソフトウェア保守契約を保守定額料金年額100万6560円で締結し、同月31日 には、Oに対し、木戸サイネージシステム工事を工事代金825万1200円で発注し、同年9月30日、Oに対し、ソフトウェア保守契約の保守定額料金及び木戸サイネージシステム工事の工事代金の合計金額925万7760円を支払っているところ、被告会社は、同日、Oから支払金額の約20%に相当する201 万9600円の送金を受けている。 Oから被告会社への各入金はいずれも原告とO間の契約に基づく原告の代金支払日と同日又は近接する日に行われ、その金額も支払金額の約10%又は約20%に相当するものである。このことからすれば、原告とO間の上記各契約の締結とOから被告会 社への各入金との間には、関連性があるものと推認される。また、上記①の工事代金4233万6000円の振込みは、被告aの指示でgが払戻請求書にC理事長の押印等がないまま緊急に実行したものであること(認定事実⑴サ)、上記①のシステム入替工事に先立ち、平成25年10月に被告aがC理事長にパソコンの 入替えを始める旨伝えていること(認定事実⑸イ)、上記③につき「SKYSEA」の導入交渉は被告aが行っており、NTTぷららではなくOから「SKYSEA」を導入してOと直接ソフトウェア保守契約を締結することは被告aが決定したものであること(認定事実⑸エ)、木戸サイネージシステム工事についても 被告aからの打診でNTTぷららが検討を始めた案件であるが、-97-途中でOが契約主体となることとなり、NTTぷららの派遣社員のnがOから個人として請け サイネージシステム工事についても 被告aからの打診でNTTぷららが検討を始めた案件であるが、-97-途中でOが契約主体となることとなり、NTTぷららの派遣社員のnがOから個人として請け負うこととなったこと(認定事実⑷ア、)などからすると、上記Oとの各契約の締結交渉には被告aが関与していると認められ、被告aがAにも斡旋手数料名目で金銭を要求し、被告会社に送金させていることも考慮すると、 Oから被告会社への各入金は、被告aの労により原告との成約に至ったことへの見返りの趣旨で交付された裏金と認めるのが相当である。 これに対し、被告らは、Oから被告会社への上記各送金は、被告会社がOとの間で、太陽光発電に関心のある企業やLED照明 の導入を検討している企業を探して紹介する旨の業務委託契約を締結し、その業務委託料として受け取ったものであると主張し、被告aはそれに沿う陳述(乙16)をするが、上記業務委託契約が締結された事実や上記各送金がその業務委託料であることを裏付ける客観的証拠はない。却って、原告によるヒアリング調査 の中で、Oの代表取締役oは、被告aとは1回会っただけで、被告会社のことは知らないと述べて、被告会社への送金について何ら説明しなかった(証人e18頁)というのであるから、被告会社とOとの間にOに業務委託料の支払義務を生じさせるような業務委託契約が成立していたとは到底認めることができず、被告 らの上記主張は採用できない。 パチンコメーカーの仲介業者からの入金前提事実⑹ウ、オのとおり、①原告は、平成25年5月25日、Iとの間で、本件名称等利用許諾契約を締結し、同月27日、Iが原告との交渉業務等を委託したHとの間で本件名称等利用許 諾契約における力士等の名称等の利用許諾の対価を最低 平成25年5月25日、Iとの間で、本件名称等利用許諾契約を締結し、同月27日、Iが原告との交渉業務等を委託したHとの間で本件名称等利用許 諾契約における力士等の名称等の利用許諾の対価を最低保証許-98-諾料1億円、10万台を超えると1台当たり2000円とし、Hは上記1億円を同年7月末日までに支払う旨の覚書を締結したところ、被告会社は、Hから、上記覚書の締結日と近接する同年4月17日に262万5000円、上記1億円の支払期日に近接する同年7月5日に3950万円の振込みを受け、②原告は、平 成27年9月25日、Iとの間で本件名称等利用許諾契約の期間延長に際し、Hから再委託されたJとの間で力士等の名称等の利用許諾の対価を最低保証許諾料1億円、10万台を超えると1台当たり2000円とし、Jは上記1億円を同年12月末日までに支払う旨の覚書を締結したところ、被告会社は、Jから、上記1 億円の支払日と近接する同年12月1日に3240万円の振り込みを受けている。このことからすれば、原告とパチンコメーカーの仲介業者との間の上記各覚書の締結と当該仲介業者から被告会社への各入金との間には、関連性があるものと推認される。 そして、パチンコメーカーとの間の名称等利用許諾契約の締結交 渉は、被告aがj、kと共に進めていたものであり(認定事実⑵ウ)、原告側での契約手続も被告aによって本来必要な理事会決議なしに進められていること(同⑵エ)、被告aとk及びiとの間では、Iの前に契約交渉をしていたUから被告aが4000万円の手数料を受け取ることが了承されていたこと(同⑵ア)から すると、H及びJから被告会社への各入金は、被告aの労により本件名称等利用許諾契約が成立し、原告と上記各覚書の締結に至ったことへの見返りの趣旨で交付された が了承されていたこと(同⑵ア)から すると、H及びJから被告会社への各入金は、被告aの労により本件名称等利用許諾契約が成立し、原告と上記各覚書の締結に至ったことへの見返りの趣旨で交付された裏金と認めるのが相当である。これに対し、被告らは、被告会社がHから、デジタルコンテンツについての①海外での消費者の嗜好調査を行う業務及 び②当該調査結果に基づいてコンテンツ収集を行う業務を委託-99-され、①の業務の対価として、合計4212万5000円を受領したと主張し、Hからの平成25年1月11日付け発注書(乙8の1)を提出する。また、被告らは、被告会社がHの契約上の地位を引き継いだJから上記②の業務の対価として、3240万円を受領したと主張し、Hからの平成26年4月7日付の発注書 (乙8の2)及び平成27年7月15日付の契約上の地位の譲渡に関する覚書(乙8の3)を提出する。しかし、いずれの発注書もその記載内容は抽象的で、被告会社がいかなる内容の業務を委託されたのか明らかではない上、被告会社が実際に業務を遂行したことを裏付ける証拠もない。被告らは、被告会社では、事務職 員や元役員のpが被告aの業務を手伝うことで上記業務委託契約に対応しており、嗜好調査等については被告会社と取引関係のある会社に外注していたなどとも主張しているが、かかる主張を裏付ける証拠も存在しない。実際、Hは、被告会社への送金が明らかになる前の段階では、原告に対して、被告らに何らかの不正 な利益を与える目的での支払を行ったり、そのような支払を可能とする契約等を締結したりしたことはない旨回答していたし(甲137)、平成29年9月8日及び同月11日に行われたHの代表取締役xと原告(e及びD事業部長等が出席)との面談でも、Hと被告会社との業務委託 る契約等を締結したりしたことはない旨回答していたし(甲137)、平成29年9月8日及び同月11日に行われたHの代表取締役xと原告(e及びD事業部長等が出席)との面談でも、Hと被告会社との業務委託契約の話は一切出ていない(甲146 の1・2)。被告aにおいても、被告会社への送金についての客観的証拠が出されていなかった別件訴訟の本人尋問では、被告会社がHから金銭を受け取ったこと自体を否認して、コンサルタント業務の報酬を受領したなどとは述べていなかったのであるから(甲42の19頁)、被告らはその場しのぎで主張を変遷させ ているといわざるを得ず、以上の諸点からすれば、被告らの上記-100-主張はおよそ採用できない。 Pからの入金認定事実⑹イ、ウによれば、Pは被告会社がなだ万や京樽から仕入れた弁当を国技館内で販売し、被告会社を通じてその弁当代をなだ万や京樽に支払っていたものと認められる。そして、 被告会社がなだ万及び京樽と弁当販売に関する契約を締結した時期からすると、Pが上記弁当販売を行っていたのは平成27年の5月場所以降の国技館で本場所が開催される時期(5月場所、9月場所、1月場所)と認められるところ、上記各契約の約定に従えば、被告会社がなだ万や京樽に代金を支払う期限はそ の翌月末日(平成27年5月場所の販売であれば同年6月末日)となる。被告らが弁当代の支払であると主張する認定事実⑹エの⑤、⑥、⑦、⑨の入金(合計2107万1501円)は、上記被告会社の弁当代金支払期限頃に行われており、実際に同日に被告会社が入金を受けた額の一部を他口座に送金していること も認められるのであるから、被告らの上記2107万1501円の入金は弁当代の支払であるとの主張を排斥するこ 行われており、実際に同日に被告会社が入金を受けた額の一部を他口座に送金していること も認められるのであるから、被告らの上記2107万1501円の入金は弁当代の支払であるとの主張を排斥することはできず、これを本件出店営業契約締結の見返りであるということはできない。 他方、その余の①~④、⑧、⑩の入金(542万6639円) については、弁当販売時期以外の入金であったり、弁当代金支払期限とは異なる日の入金で対応する他への送金もなかったりすることから、弁当代金であるとは認められない。 そして、Pの被告会社への入金は、平成26年6月から開始されているところ、その前に原告との間で本件出店営業契約が 締結され、国技館に出店することが決まり、その後実際に販売-101-が始まったこと(認定事実⑹イ)、Pに国技館への出店を持ち掛けたのは被告aであり(同⑹ア)、Pの出店は被告aによって進められたものと認められることからすれば、上記入金はPの国技館等への出店と関連性を有することが認められる。 被告らは、被告会社がPとの間で、県外、海外への出店サポ ート等のコンサルタント契約を締結し、報酬を受け取る合意をしていたとして、上記送金の一部は国技館出店とは別のサポートについてのコンサルタント料金として受け取ったものであると主張し、その旨の被告会社とP間の平成25年7月1日付け覚書(乙9)を提出する。しかし、Pが被告会社のサポートを 受けて、国技館や大相撲松本場所以外に出店したとの事実はうかがわれず、被告会社が行ったとする県外、海外への出店サポートの内容を裏付ける証拠もない。被告会社に、かかるコンサルタント業務に従事できる人材がいたことも認め難く、上記コンサルタント契約が実態を伴うものとは認められない。 以上に加 への出店サポートの内容を裏付ける証拠もない。被告会社に、かかるコンサルタント業務に従事できる人材がいたことも認め難く、上記コンサルタント契約が実態を伴うものとは認められない。 以上に加え、被告aが他の原告の取引業者から裏金を受領していることも考慮すると、上記入金額542万6639円は、Pが原告との間で本件出店営業契約を締結し、国技館等で出店営業できることとなったことへの見返りの趣旨で交付された裏金と認めるのが相当である。 動画配信業者(Q及びR)からの入金前提事実⑼イのとおり、原告は、平成26年1月9日、NTTぷらら、Qとの間で、本場所の取組映像のPPV配信に関し、配信が完了した月の末日から90日以内に売上の分配金を支払う旨の基本契約を締結し、平成26年1月9日から平成27 年8月24日まで、平成26年1月場所から平成27年9月場-102-所までの奇数月に開催される本場所ごとにPPV配信に関する個別契約を計11回にわたって締結した。そして、Qから、被告会社に対し、平成26年4月28日から平成27年12月28日にかけて計11回合計148万5429円の入金がされている。両者の関係をみると、平成26年1月場所のPPV 配信が完了したのは同年1月であり、同月末日から90日以内の日である平成26年4月28日に一回目の入金がされており、同様に合計11回のPPV配信の個別契約と11回の配信後の被告会社への入金(1回あたり11万円から15万円程度)が繰り返されている。これらのことからすると、QとのPPV 配信契約と同社から被告会社への入金とは関連性を有するものと推認される。 次に、前提事実⑼ウ、のとおり、PPV配信の契約主体がQからRに代わると、被告会社への振込元もRに代わり PPV 配信契約と同社から被告会社への入金とは関連性を有するものと推認される。 次に、前提事実⑼ウ、のとおり、PPV配信の契約主体がQからRに代わると、被告会社への振込元もRに代わり、従前同様、本場所ごとに、PPV配信が完了した月の末日から9 0日以内の日に1回あたり12万から15万円程度がRから被告会社に振り込まれるようになったのであるから、RとのPPV配信契約と同社から被告会社への入金とは関連性を有するものと推認される。 そして、上記各PPV配信の基本契約には、NTTぷららも関 与しているところ、前述のとおり、NTTぷららと被告aとは木戸サイネージシステム工事や「SKYSEA」の導入の件でも関係があったこと(認定事実⑷ア、同⑸エ)、被告aが平成26年4月7日にC理事長にインターネットの画像の有料化は広報部ではなく事業部ですると発言していたこと(甲158 添付資料12)、被告らがQやRから被告会社が動画配信に関-103-するコンサルタント業務を受注していたなどと主張していることからすれば、被告aが上記各PPV配信に係る契約に関わっていたことは優に認定できるのであって、上記2社から被告会社への各入金は、被告aの労により、原告とPPV配信に関する契約締結に至り、動画配信取引を行うこととなったことの 見返りの趣旨で被告会社に支払われた裏金と認めるのが相当である。 これに対し、被告らは、Qからの前提事実⑼イの本件被告口座への入金及びRからの前提事実⑼ウの3回の入金(540万円以外のもの)は、被告会社がQやRとの間で動画配信に 関するコンサルタント契約を締結し、相撲に詳しいタレント、力士出身者の経営する飲食店及び力士の情報等相撲関連の情報を提供したことのコンサルタント料を受 は、被告会社がQやRとの間で動画配信に 関するコンサルタント契約を締結し、相撲に詳しいタレント、力士出身者の経営する飲食店及び力士の情報等相撲関連の情報を提供したことのコンサルタント料を受け取ったものであると主張するが、かかる契約を証する書面等の裏付け証拠はなく、その主張する情報提供の内容自体が対価の支払を要するような ものとも認め難いのであって、被告らの上記主張は採用できない。 また、原告とRは平成28年2月16日に本場所の取組映像のインターネット配信に関するコンテンツ利用許諾契約を締結しており、同契約では平成28年分の許諾対価6500万円を 同年3月末日までに支払うと定められているところ、同支払時期に近接した同年4月15日に、Rが被告会社に540万円を送金しており(前提事実⑼ウ、)、これらの間には関連性があることが推認される。被告らは、この540万円の入金について、何らの説明もしておらず、上記のとおり、既にRは、P PV配信にかかる契約に関して、契約締結及び動画配信取引の-104-見返りとして被告会社に金銭を支払っていたこと、被告aが他の原告の取引業者から裏金を受領していることも考慮すると、上記被告会社への540万円の入金も同趣旨のインターネット配信に係る契約締結の見返りとして支払われたものと認めるのが相当である。 動画配信業者(S)からの入金前提事実⑼エのとおり、Sは、原告が電通との間で平成29年1月1日に締結したインターネット配信に関するコンテンツ利用許諾契約の再許諾先の一つであるところ、同契約前の約半年間に、Sから被告会社に対し3度にわたり各540万円が入 金されている。それ以前に原告が同種契約を締結していたRから被告会社への入金が裏金であると認められ の一つであるところ、同契約前の約半年間に、Sから被告会社に対し3度にわたり各540万円が入 金されている。それ以前に原告が同種契約を締結していたRから被告会社への入金が裏金であると認められることや被告らが同入金の趣旨について何ら説明していないことからすれば、Sからの上記入金も同様の趣旨の金銭であったとも考えられる。 しかし、Sと被告aないし被告会社の関係性は不明であり、 電通がSを再許諾先に選定した経緯も明らかではない。そもそも原告の直接の契約の相手方は電通であり、認定事実⑸アのとおり電通は被告aからの裏金要請を拒んだという経緯があることからすると、被告aがSを再許諾先に選定するよう電通に求めたとしても電通がそれに応じるとは限らないから、被告aが Sに再許諾先への選定を約してその見返りとして金銭の支払を求めたと断じることはできない。しかも、これらの送金がされた時期には既に被告aは原告の顧問の地位を解かれ、原告の契約締結に影響力を行使することはできなくなっていたから、Sがこれを期待して被告会社に送金したとも認め難い。 したがって、Sから被告会社への入金の趣旨は不明であり、-105-インターネット配信取引に係る裏金であったとまでは認めることができない。 ウ被告らの責任原因上記のとおり、被告aはA等の原告の取引業者から裏金を受領していたと認められるところ、かかる被告aの裏金の要求・受 領行為は、被告会社の代表取締役で原告の常任特別顧問の立場にもある被告aが本件業務委託契約に基づく被告会社の業務を遂行するに当たって行ったものである。そして、被告会社は本件業務委託契約に基づく業務の遂行につき善管注意義務を負うところ、被告会社の代表取締役で本件業務委託契約に基づく業務 に従事していた被 遂行するに当たって行ったものである。そして、被告会社は本件業務委託契約に基づく業務の遂行につき善管注意義務を負うところ、被告会社の代表取締役で本件業務委託契約に基づく業務 に従事していた被告aにおいても、委託の趣旨にかなう方法で誠実に上記業務の遂行に当たる義務があったというべきである。 ところで、本件業務委託契約は、当初から危機管理業務を委託業務としており、これを被告会社に委託することで原告のコンプライアンス管理を徹底することを企図していたものと認めら れるから、上記業務の遂行に当たっても原告にコンプライアンス上の問題が生じないようにすることが委託の趣旨であったということができる。また、被告aは、本件業務委託契約に基づき、原告が締結する契約に関する業者選定や契約交渉・締結事務にも従事していたが、①平成23年度、原告は50億円の赤字を計上 し(認定事実⑶カ)、財務状況の改善が求められる状況にあったこと、②老朽化した国技館の改修工事においても限られた資金を有効活用する必要があったこと(同⑶エ、オ、タ)、③国技館改修工事の業者選定に関して、E親方が建設委員会で、工事費には限りはあるが、どんな意見に対してもきちんと反論できる公正な 評価・選定をするとの基本方針を示し、NTTファシリティーズ-106-も選定に関するどんな疑惑にも説明できる公正な評価を実施し、信頼のおける施工者に安く工事を発注するという基本姿勢で行っていると表明したこと(同⑶タ)、④E親方は理事会で国技館改修工事の業者選定については、安さを重視したが談合疑惑のある業者は排除したと報告し、契約金額の決定に当たっては、NT Tファシリティーズと共に見積りを査定して決定していく旨発言したこと(同⑶ツ)、⑤NTTファシリティーズは国技館改修請 談合疑惑のある業者は排除したと報告し、契約金額の決定に当たっては、NT Tファシリティーズと共に見積りを査定して決定していく旨発言したこと(同⑶ツ)、⑤NTTファシリティーズは国技館改修請負契約締結後の理事会で、40億円余の契約金額を当初予算額の30億円に近づける努力をすると説明したこと(同⑶ホ)の各事実によれば、当時の原告においては、取引業者と各種契約を締 結するに当たっては、公正な業者選定がなされることに加え、適正かつ原告に有利な価格での契約が締結されることが重視されていたといえ、被告aが本件業務委託契約に基づき原告の契約交渉・締結行為に関与するに当たっては、原告の上記意向ができる限り実現するよう努力することが委託の趣旨であったと認めら れる。 そうすると、被告aが業者との間で契約締結交渉を行うに当たっては、業者選定の公正さに疑義が生じるような行為を行わない義務があることはもとより、原告が対価を支払う契約においては、原告が支払う対価をできる限り減額できるよう、少なくとも減額 交渉可能な事情を知った場合には自ら相手方業者と原告が支払う対価の減額交渉を行うか、又はかかる事情を原告に告げて、原告において減額交渉を行う機会を与える義務があったというべきであるし、逆に、原告が対価を受け取る契約においては、原告が受け取る対価をできる限り増額できるよう、少なくとも増額交 渉可能な事情を知った場合には自ら相手方業者と原告が受け取-107-る対価の増額交渉を行うか、又はかかる事情を原告に告げて、原告において増額交渉をする機会を与える義務(以下、この義務を「対価交渉義務」という。)があったというべきである。 しかし、被告aは、上記アのとおり、原告の危機管理政策顧問又は常任特別顧問及び本件業務委託契約の従 渉をする機会を与える義務(以下、この義務を「対価交渉義務」という。)があったというべきである。 しかし、被告aは、上記アのとおり、原告の危機管理政策顧問又は常任特別顧問及び本件業務委託契約の従事者として、原告 が締結する契約関係についても、一定の影響力を行使できる状況にあったことを利用して、各種の契約交渉・締結行為に関与し、契約締結や取引の見返りとしての金銭を要求し、上記イのとおり取引業者から斡旋手数料等の名目で金銭を受領した。当然ながら、これらは原告に秘して行われたものであって、原告には当 該契約につき受領した金銭相当額の減額・増額の価格交渉をする機会は与えられていない。 かかる被告aの行為は、公正な業者選定と適正かつ有利な価格設定の実現を阻むもので、上記各義務に違反し、本件業務委託契約の委託の趣旨に反する行為であることは明らかである。 以上によれば、上記イの被告aの裏金の受領行為は、被告aの上記各義務に違反するものとして、不法行為を構成するというべきであり、これにつき被告会社も会社法350条の責任を負うこととなる。 これに対し、被告らは、本件業務委託契約の業務の遂行は適切 に行われており、Aから斡旋手数料を受領していたとしても、それが本件業務委託契約に抵触することはないと主張する。しかし、国技館改修工事はもともと大林組が施工業者として内定していたところ、当時の国技館基幹設備等改修工事推進委員会委員長と大林組との間に癒着を疑わせる事情があるとして、その内定が取 り消されている経緯(認定事実⑶ウ)に照らしても、建設委員会-108-の一員である被告aが特定の業者から不透明な金銭を受領することが本件業務委託契約上許されていたとは到底いえないのであって、被告らの上記主張は採 (認定事実⑶ウ)に照らしても、建設委員会-108-の一員である被告aが特定の業者から不透明な金銭を受領することが本件業務委託契約上許されていたとは到底いえないのであって、被告らの上記主張は採用できない。 ⑵ 争点2(木戸、雨水槽関係)についてア木戸関連工事の契約締結について 木戸改修工事について上記認定事実⑷アによれば、木戸改修工事は、木戸の親方らの要望を受けて実施が検討されることとなったものであり、建設委員会でその工事内容、方法、金額等が順次報告提案され、建設委員会での議論を経た上で承認されたものである(証人eは、木戸 の親方らは木戸の拡張を希望していたのであって、実施された工事内容での改修は希望していなかったと証言するが(30・31頁)、木戸改修工事は、当初案よりも実際の拡張面積は減ったものの、木戸の親方らの意見を随時聴きながら建設委員会で審議がされているのであって、同工事が木戸の親方らの希望に反し、木 戸の親方らも同工事の必要性に不信感を抱いていたとの上記証言は建設委員会議事録に反し、採用できない。)。また、工事実施判定承認書にはB前理事長の個人印、注文書には原告の公印、見積書及び請求書にはC理事長の個人印が押されていること(認定事実⑷ア、)からしても、被告aが顧問の立場を利用して一 存で発注させたなどということもできない。 原告は、y1(以下「y」という。)の鑑定意見書(甲49、49の2)及び証人yの証言をもとに、木戸の内装や各設備の劣化を裏付ける資料がないにもかかわらず、実際には、工事実施判定承認書に反して、木戸の外部に可動式テントが設けられただけで なく、木戸の窓が新たに交換された上に、木戸の出入口の拡張工-109-事が行われるなど、必要性が不明な工事まで実施 工事実施判定承認書に反して、木戸の外部に可動式テントが設けられただけで なく、木戸の窓が新たに交換された上に、木戸の出入口の拡張工-109-事が行われるなど、必要性が不明な工事まで実施されており、工事代金のうち、工事実施判定承認書の上記1⑷アの記載に照らして承認の範囲内といえるのが1235万3490円、承認の範囲外となるのが1008万1299円であるとして、木戸改修工事につき工事の必要性がなかったと主張する。しかし、建設委員 会の議論では、木戸を横や後ろに拡張することはしないが、室内を広くすること(認定事実⑷ア)、移動式の収縮テントを設置すること(同⑷ア)、シャッターを下ろした状態ではカウンターでの作業ができないためロールスクリーンに変更すること(同⑷ア)などの話が出ており、これらの議論を踏まえて工事が承 認されていることからすれば、実際に施工された工事内容(証人yの証言から見積書の内容及び甲49の添付資料1の設計図のとおりと認められる。)が建設委員会の承認内容を逸脱するものとは認められない。証人yは、工事実施判定承認書の記載が最終決定事項であるから、その記載から工事の必要性を判断すべきで あると証言するが(証人y16頁)、同工事実施判定承認書(甲49の添付資料2)は施設管理者のz、NTTファシリティーズのm、原告の施設管理責任者fのいずれも建設委員会に出席していたものの、委員ではない者が作成しているものであって、建築委員会での承認事項を限定する趣旨で記載されたものとは認め られない。 また、原告は、木戸改修工事の工事代金は、不必要な数の空調機が購入・設置され、木戸の外側に切符販売状況モニターとして平均単価の3~5倍以上の価格のディスプレイを取り付けるなど、木戸新築工事の工事代金( 、原告は、木戸改修工事の工事代金は、不必要な数の空調機が購入・設置され、木戸の外側に切符販売状況モニターとして平均単価の3~5倍以上の価格のディスプレイを取り付けるなど、木戸新築工事の工事代金(標準予算単価は、30万円/㎡程 度)よりも著しく多額(212万円/㎡程度)であるとして、こ-110-れは被告aが、競争入札を実施せず不合理に高額な工事代金でKに発注したためであると主張する。確かに、原告の契約管理規程では1000万円以上の工事請負契約は原則として指名競争入札又は企画競争入札とするとされているところ(前提事実⑵ウ)、国技館その他工事は1000万円以上の契約であっても、入札は 実施されていない(認定事実⑷)。しかし、これらの工事が審議された建設委員会では、競争入札を行う必要があるとの議論は全くなされておらず、むしろ、KやNTTファシリティーズに木戸関連工事に関する費用も含めた報告提案を行わせ、それを了承していることからすると、国技館その他工事は、緊急に行う必要が ある国技館改修工事の追加工事との位置づけ(上記1⑶ツ、ニのとおり、国技館改修工事は、当初想定していた工事金額から大幅に超過する見込みとなったため、ひとまず最小限必要な工事9項目(その後4項目に変更)を発注することとなり、残りの工事についてはその都度必要性を判断して行うこととされており、追加 工事が予定されていた。)で、契約管理規程第4条2項の例外規定により競争入札をせず、指名により国技館改修工事の施工業者が行うことが前提となっていたものと推認される(建設委員会でそのことに異論が出始めたのは、平成28年2月18日の第22回建設委員会であって、それ以前は委員らはそのような問題意識 を有していなかったものと認められる。甲164)。被告aに (建設委員会でそのことに異論が出始めたのは、平成28年2月18日の第22回建設委員会であって、それ以前は委員らはそのような問題意識 を有していなかったものと認められる。甲164)。被告aにおいても、国技館改修工事の一環として同工事の施工業者に国技館その他工事を発注することを前提としていたことは他の委員と同様であるが、あえて原告に競争入札をさせないよう何らかの介入をしたと認めるに足りる証拠はない。したがって、木戸改修工 事につき競争入札が行われなかったことを被告aの任務違背な-111-いし不法行為ということはできない。 また、木戸改修工事の工事代金が割高であるとの感は否定できないとしても、被告aがKと共謀して、工事代金を不当に釣り上げたと認めるに足りる証拠はないから(認定事実⑶ヘからすると、被告aが、Kに対し裏金を要求しようと考えていたことはうかが われるものの、実際にKから裏金を受領したとの証拠はない。)、上記代金額で原告が木戸改修工事を発注したことが被告aの任務違背ないし不法行為ということはできない。 木戸サイネージシステム工事について上記1の認定事実によれば、木戸への液晶ディスプレイの設置 は木戸側の要望として出されたもので(認定事実⑷ア)、平成26年11月7日の第13回建設委員会で、木戸の窓口の上に液晶モニターを設置する案が決定され(同⑷ア)、平成27年3月5日の第16回建設委員会において、ディスプレイ55型を3面設置することが報告され、特段異論が出なかったこと(同⑷ア )を受けて、被告aとKがNTTぷららに木戸ディスプレイの表示方法について話を持ち掛け、木戸の親方らにヒアリングしながら進められたこと(同⑷ア)が認められる。そして、平成27年7月10日の第18回建設委員会に 告aとKがNTTぷららに木戸ディスプレイの表示方法について話を持ち掛け、木戸の親方らにヒアリングしながら進められたこと(同⑷ア)が認められる。そして、平成27年7月10日の第18回建設委員会において、NTTぷららから、モニターに表示する画像について木戸の親方らに確認しても らう予定である旨報告されており(同⑷ア)、木戸サイネージシステム工事を行うこと自体については、建設委員会の承認があったものと認められる。そして、実際には、木戸サイネージシステム工事は、Oとの間で締結されているものの、Oへの注文書には原告の公印、見積書にはC理事長の個人印が押されていること (同⑷ア)、平成27年9月11日の第19回建設委員会にお-112-いて、木戸サイネージシステム工事の完了(工事金額を含む。)が報告されていること(同⑷ア)からすると、木戸サイネージシステム工事は被告aが必要性もないのに一存で行ったものということはできない。契約相手方がOとされた点については、建設委員会で報告・議論がされた形跡はなく、NTTぷららが受注 を断ったにもかかわらず、OがNTTぷららの派遣社員のn個人に業務委託するという方法で契約が締結されているのはやや不自然であり、上記⑴イのとおり、被告aがOから金銭を受領していることに照らすと、被告aがOを中間業者にして便宜を図ったという可能性は否定できないが、原告はこれにかかる損害は別 に請求しているから、そのことをもって、木戸サイネージシステム工事の発注それ自体が違法ということはできない。 よって、木戸関連工事についての原告の請求は理由がない。 イ雨水槽漏水対策工事について原告は、国技館の雨水槽が漏水していた事実もないのに、被告a が必要性も緊急性も認められない雨水槽漏水対 って、木戸関連工事についての原告の請求は理由がない。 イ雨水槽漏水対策工事について原告は、国技館の雨水槽が漏水していた事実もないのに、被告a が必要性も緊急性も認められない雨水槽漏水対策工事をKに行わせたと主張し、国技館の周辺地盤の地下水の位置と雨水槽の設置位置との関係からすると、雨水槽から漏水するという事象は発生し得ず、現に雨水槽工事の実施前に、雨水槽に欠陥が生じていたことを裏付ける資料は発見されていないとのyの鑑定書(甲49)を 提出する。 しかし、上記1⑷イのとおり、雨水槽の漏水はもともと新菱冷熱が雨水槽の水位調査に基づき指摘したもので、NTTファシリティーズのmがそのことを建設委員会に報告し、同委員会で雨水槽漏水対策工事を実施することが承認されたものである。被告aが かかる工事の実施を定例会に上程しようとしていた事実は認めら-113-れるが(認定事実⑷イ)、新菱冷熱は国技館改修工事の施工業者として被告aが推薦していた業者ではなく、被告aとの特段の関係もうかがわれないから、被告aが新菱冷熱に漏水の有無について虚偽の報告をさせて不要な工事を実施させようとしたとまでは認められない。 仮に、yの意見書の指摘のとおり、地下水との位置関係上、国技館の雨水槽から漏水が生じるということはあり得ないとしても、被告aがかかる専門的知識を有していたとは認められず、被告aが実際には雨水槽に漏水が生じていないことを知っていたことを裏付ける証拠はない。却って、設備工事の施工業者の新菱冷熱から 漏水調査の結果漏水が判明したとの報告を受けたとすれば、それを信用して対策工事を進めることとしたとしても不合理ではなく、対策工事の内容もKが見積書を提出し、NTTファシリティーズが査定していることから(甲49添付資 が判明したとの報告を受けたとすれば、それを信用して対策工事を進めることとしたとしても不合理ではなく、対策工事の内容もKが見積書を提出し、NTTファシリティーズが査定していることから(甲49添付資料14)、およそ意味のない工事であると被告aが認識していた又は認識し得たと認めるこ とは困難である。 したがって、雨水槽漏水対策工事について、被告aの違法行為を認めることはできない。 ⑶ 争点3(信用毀損関係)についてア国技館改修工事をめぐる斡旋手数料要求行為による信用毀損に ついて上記認定事実⑶イのとおり、被告aは、平成24年3月2日、鹿島建設に対し、国技館改修工事の受注のためには金がかかるなどと述べて、被告aへの利益供与を要求した。なお、被告らは、上記事実を否認しているが、鹿島建設担当者vから出された被告aと のやりとりに関する陳述書の記載は具体的であって、鹿島建設が-114-ありもしない事実を事細かに作出してまで被告らに不利な事実(同時に原告にとっても不名誉な事実である。)を述べる理由はないこと、上記⑴イで判断したとおり、被告aが国技館改修工事の施工業者に選定されたAに斡旋手数料を要求し、実際に受け取っていることからすると、vの陳述書(甲17)は信用することがで き、上記事実を認定することができる。 また、上記のとおり、被告aは、国技館改修工事の業者選定段階で、Aに対し、施工業者として推薦すると持ち掛け、その見返りとして斡旋手数料を要求した。 かかる取引業者への金銭要求行為は、原告においては、顧問とい う内部関係者に金銭を支払えば取引業者として推薦してもらえて受注を見込める、逆に金銭を支払わない業者は推薦されず、受注を見込めないということを意味するのであって、相手方に対し、原告が とい う内部関係者に金銭を支払えば取引業者として推薦してもらえて受注を見込める、逆に金銭を支払わない業者は推薦されず、受注を見込めないということを意味するのであって、相手方に対し、原告が不公正な方法で取引業者の選定を行っているコンプライアンス上問題がある法人であるとの印象を与えるものである。そして、こ うした要求行為は、相手方業者の原告に対する営業方針にかかわるものであるから、直接の要求相手である担当者を通じて、その上司や役員等に伝達される性質の情報であるといえる(実際に鹿島建設のvはこのことを上司に報告している(認定事実⑶イ))。 したがって、被告aの上記金銭要求行為は、原告の信用を毀損す る行為といえる。 イ国技館改修工事の業者選定に係る信用毀損について被告aは、国技館改修工事の業者選定の過程で、①平成25年3月18日のNTTファシリティーズの担当者との打合せで、Kにつき、鹿島建設とは情報量の違いがあり、大きくハンディがあるた め、その状況下で鹿島建設を選定すると出来レースと見られやす-115-いと指摘し(認定事実⑶ソ)、②同年4月16日の建設委員会において、安いKだけに見積りを確認すればよく、公明正大に議論しても仕方がないとの意見を述べるなど(同⑶タ)、Kに有利な発言をしていた。なお、実際に被告aがKから斡旋手数料等の金銭を受領したことを裏付ける証拠はないものの、eが聞いたとするd主事 の発言(同⑶チ)、D事業部長が聞いたとするE親方の発言(同⑶ヘ)からすると、被告aはKにも契約受注の見返りとしての金銭を要求しようとしていたことがうかがわれるのであって、被告aの上記発言はKが施工業者に選定されることを企図してされたものと認めるのが相当である。 また、被告aが建設委員会等 りとしての金銭を要求しようとしていたことがうかがわれるのであって、被告aの上記発言はKが施工業者に選定されることを企図してされたものと認めるのが相当である。 また、被告aが建設委員会等でAに有利な発言をしていたことは上記⑴イのとおりである。 さらに、被告aは、建設委員会で決まった設計・施工分離形式での発注方針を一存で覆し、Kに高くなっても構わないから設計・施工一括形式での見積りを作成するよう指示するなど、工事金額が 膨らむことを厭わない言動をするようになった(認定事実⑶ト、ナ、ニ)。 NTTファシリティーズのlは、被告aがAとKに有利な発言をする度に、見積りの再確認等を行う必要性があると指摘したり(認定事実⑶ソ、タ)、設計・施工一括形式での発注をしようとす る被告aに反対意見を述べたりしていた(認定事実⑶ナ)ところ、被告aはNTTファシリティーズのmや役員にlに対する苦情を述べて、同人を交替させた(認定事実⑶ヌ)。 かかる被告aの言動は、NTTファシリティーズの従業員や役員に対して、原告が、設計・監理コンサルタントとしての業務を誠 実に履行しようとする担当者を排除してでも、不公正な方法で取-116-引業者を選定しようとするコンプライアンス上問題がある法人であるとの印象を与えるもので、原告の信用を毀損する行為といえる。 ウパチンコ関係の裏金受領と本件動画流出による信用毀損について 上記認定事実⑵イのとおり、被告aは、iに対し、パチンコメーカーとの名称等利用許諾契約の根回しのために親方らに配ると申し述べて金銭を要求し、実際に2回に分けて合計1700万円をiから受け取った。 被告らは、被告aがiから受領した金銭は2回ともjを介して iに返還されていると主張し、被告aも、iが 配ると申し述べて金銭を要求し、実際に2回に分けて合計1700万円をiから受け取った。 被告らは、被告aがiから受領した金銭は2回ともjを介して iに返還されていると主張し、被告aも、iが親方衆にばらまいてほしいとお金を持参するのでいったん預かってほしいとjに頼まれ、一回目はjの顔を立てるために受け取る演技をした、二回目はjから相談があると言われて待ち合わせ場所に行ったところiが来て紙袋を置いて行ったが、いずれもjに返還したなど と供述する(被告a本人19~22・46・47・63~66頁)。 しかし、被告aにおいてかかる裏金受領の演技をしてまでjの顔を立てる合理的な理由もないし、被告aはiから500万円を受領した際、追加の金銭交付を求めており(認定事実⑵イ)、返還を前提に500万円を受領したとは信じ難い言動をとっている。 逆に、iは返還を受けたことを否定しているところ、iは、被告aから金銭を要求されたことについて、E親方の後援会長が他のパチンコメーカーの会長であるから、他の理事に金銭をつかませてE親方のいないところで話を決めてしまう、九州場所で理事にばらまくのでその時までに用意してくれと言われたなどと具体 的に述べており(証人i4・6・7頁)、その内容は本件動画の-117-被告aの発言とも合致している上、本件動画を撮った理由も被告aから領収書は出せないと言われていたため、後日のトラブルに備えて証拠を残すために録画した(証人i8・9・46・47・52頁)と合理的な説明をしている。また、その後、iは、Hから受領していた2200万円のうち500万円を返還している ところ、この事実は被告aが1700万円を受領しているとの事実に沿うものである(被告aが1700万円をiに返還しているのであれば、2200万 していた2200万円のうち500万円を返還している ところ、この事実は被告aが1700万円を受領しているとの事実に沿うものである(被告aが1700万円をiに返還しているのであれば、2200万円全額をHに返還させるはずである。)。 さらに、iはその後、この件の担当から外されているところ、Gがパチンコメーカーから4000万円の手数料を受領すること になっていたことが被告aに知られ、被告aの不信を買って外されたとのiの説明(証人i11頁)も不合理ではない。これらのことからすると、上記1⑵ア~ウの認定に沿う同人の陳述(甲34の1・2)及び証言は信用することができ、これに反する被告aの供述は信用することができない。 以上によれば、被告aに交付された1700万円は、被告aの求めに応じて交付されたものと認めるのが相当であり、被告aがそれをiに返還した事実は認められない。 その後、iは、本件動画をインターネット上に投稿し、不特定多数の者が本件動画を閲覧できる状態となった上、週刊誌や全国 紙にも記事が掲載されたこと(認定事実⑵キ)で、原告の顧問の地位にある人物がパチンコメーカーとの契約締結に当たり、仲介業者から不透明な金銭を受け取ったことが広く社会一般に認識されることとなった。上記投稿を閲覧した者や上記記事の読者は、原告はその関係者が取引業者と癒着し、不公正な契約行為を行っ ているコンプライアンス上問題のある法人であるとの印象を持-118-つことは明らかであり、原告の社会的評価は著しく低下し、信用が大きく毀損されたというべきである。現に、内閣府や文部科学省もこの報道に注目し、事実関係や対処方針に関心を有していたことが認められ(同⑵コ)、原告にとって看過できない不祥事であったというべきである。 被告 いうべきである。現に、内閣府や文部科学省もこの報道に注目し、事実関係や対処方針に関心を有していたことが認められ(同⑵コ)、原告にとって看過できない不祥事であったというべきである。 被告らは、原告の信用が毀損されたのはiの本件動画の投稿とマスメディアの報道によるものであって、被告aの行為に起因するものではないと主張するが、被告aがかかる行為に及ばなければ、本件動画が投稿されることも、マスメディアに報道されることもなかったのであるから、上記主張は被告らの責任を否定する ものではない。 よって、被告aのiからの裏金受領は、原告の信用を大きく失墜させる行為というべきである。 エ電通への金銭要求行為上記認定事実⑸アのとおり、被告aは、LED大型ビジョン付替 の提案をしてきた電通に対し、E親方に個別に金銭を用意できるかと尋ね、暗に提案事業を受注したいのであれば、原告側への金銭交付が必要であるとほのめかして、金銭を要請した。被告らは、被告aの上記要請を否認しているが、電通担当者の陳述書(甲38の1)はvの陳述書と同様の理由で信用することができるから、上記事実 を認定することができる。ただし、上記要請の断りと電通の応援グッズ事業の打ち切りとの間には、1年半程度の期間が空いており、応援グッズ事業の打ち切りの理由が明らかでないことから、被告aの金銭要求に応じなかったことによって、応援グッズ事業が打ち切られたとまでは認めることはできない。 これを前提に信用毀損の有無を検討すると、被告aの電通への金-119-銭要求行為は、上記アと同様、電通に対して、原告が不公正な方法で取引業者の選定を行っているコンプライアンス上問題がある法人であるとの印象を与えるもので、応援グッズ事業打ち切りとの因果関係が認 -銭要求行為は、上記アと同様、電通に対して、原告が不公正な方法で取引業者の選定を行っているコンプライアンス上問題がある法人であるとの印象を与えるもので、応援グッズ事業打ち切りとの因果関係が認められなくとも、金銭要求自体が原告の信用を毀損する行為といえる。 オ以上によれば、上記アないしエの被告aの行為は、原告の信用を毀損するものとして、不法行為に当たるというべきであり、これにつき被告会社も会社法350条の責任を負うこととなる。 ⑷ 争点4(業務委託関係)について上記⑴アで判断したとおり、被告aはB前理事長の威光を背景に、 原告内部の人事についても、事実上の影響力を有するようになったほか、役員らの間でも被告aに明示的に反対意見を述べることが出来ない雰囲気が醸成されていった結果、原告が締結する契約関係についても、一定の影響力を行使できるようになっていた。 原告は、被告aが、上記の状況を利用して、私利私欲のために、本 件業務委託契約の趣旨に反する任務違背行為を行っていたと主張するので、検討する。 ア国技館の改修工事国技館改修工事の業者選定被告aは、本件業務委託契約に基づき、建設委員会のメンバー として国技館改修工事の業者選定に関わるとともに、事務局の主事業務も補助して、取引先との交渉等の業務にも従事することになったことを奇貨として、国技館改修工事に関して、従前決まっていた大林組等との契約が白紙に戻されるや、鹿島建設やAに斡旋手数料を要求し、実際にAからは斡旋手数料支払の合意を取り 付け、受領した。そして、上記⑴イ、⑶ア、イのとおり、国技-120-館改修工事の業者選定において、推薦していたK、Aが選定されるべく、建設委員会やNTTファシリティーズとの打合せにおいて、上記2 、受領した。そして、上記⑴イ、⑶ア、イのとおり、国技-120-館改修工事の業者選定において、推薦していたK、Aが選定されるべく、建設委員会やNTTファシリティーズとの打合せにおいて、上記2社に有利な発言をし、上記2社が施工業者に選定されるよう取り計らった。また、上記⑶イのとおり、建設委員会で決まった発注方針を一存で覆し、工事金額が増大することを容認す る言動をして、それに反対するNTTファシリティーズ担当者を交替させた。そして、消費税増税を理由にして、NTTファシリティーズに適正金額か否かを精査させることなく、原告に契約締結を急がせ、工事費総額30億円との理事会方針や設計・施工分離方式の建設委員会方針に反して、最終的に、設計・施工一括方 式(施工範囲は4項目のみ)、工事費41億3700万円の国技館改修工事請負契約を締結させたものである(認定事実⑶ツ、テ、ニ、ハ、ヒ)。 このような被告aの国技館改修工事の業者選定への不当な介入や設計・監理コンサルタント会社の査定を経ない拙速な契約締 結行為は、被告aが当初NTTファシリティーズに述べていた業者選定の基本姿勢(認定事実⑶エ)やB前理事長のNTTファシリティーズに対する要望(同⑶オ)、平成25年4月16日の建設委員会でE親方から表明された業者選定の基本方針(同⑶タ)、同年5月30日の理事会でE親方が説明した業者選定の評価基 準や今後の契約交渉方針(同⑶ツ)、同年9月14日の理事会でE親方のNTTファシリティーズによる公明正大な契約であるとの発言(同⑶ヒ)に反するものである。そして、上記⑴ウで述べたとおり、当時の原告においては、取引業者と各種契約を締結するに当たっては、公正な業者選定がなされることに加え、適正 かつ原告に有利な価格での契約が締結され ものである。そして、上記⑴ウで述べたとおり、当時の原告においては、取引業者と各種契約を締結するに当たっては、公正な業者選定がなされることに加え、適正 かつ原告に有利な価格での契約が締結されることが重視されて-121-いたといえ、被告aが本件業務委託契約に基づき原告の契約交渉・締結行為に関与するに当たっては、原告の上記意向ができる限り実現するよう努力することが委託の趣旨であったと認められるのであるから、上記被告aの上記行為は本件業務委託契約の趣旨に反するものであったと認められる。 これに対し、被告らは、被告aはB前理事長の意向を踏まえて、建設委員会及び打合せの場において、早急に工事を進めるために発言したにすぎないなどと主張する。しかし、仮にB前理事長に早急に工事を進めたいという意向があったとしても、大林組や日建設計との契約を白紙に戻した理由(認定事実⑶ウ)やB前理事 長のNTTファシリティーズに対する要望(同⑶オ)に照らせば、B前理事長において業者選定の公正さも重視していたことに変わりがなく、被告aが斡旋手数料を受領して業者選定に不当介入することを許容していたとは認められない。また、消費税増税という事情を加味したとしても、B前理事長がNTTファシリティ ーズに見積金額の正当性の確認を望むと述べて、本件CM業務委託契約を締結していること(同⑶オ、ケ)に照らせば、見積りの査定をおざなりにして高額な金額で契約を締結することを是認していたということもできない。 さらに、被告らは、平成25年7月12日の第8回建設委員会 での設計・施工分離方式への変更は、優先交渉権者3社が望む場合のことであって、施工業者がそれを望まなかった以上、設計・施工一括方式で進めたとしても問題はないと主張するが、認定事実⑶ナの 会 での設計・施工分離方式への変更は、優先交渉権者3社が望む場合のことであって、施工業者がそれを望まなかった以上、設計・施工一括方式で進めたとしても問題はないと主張するが、認定事実⑶ナのとおり、Kは設計の先行を希望していたにもかかわらず、被告aが見積金額の増額を承知で一括方式を進めたのであって、 被告らの主張は前提において採用できない。その他、被告らは被-122-告aの業者選定への関与につき、原告ないしB前理事長の意思に反するものではなかったなどとるる主張するが、認定事実⑶の事実関係に反し、採用できない。 Aからの斡旋手数料の受領被告aが、契約締結の見返りとして斡旋手数料等の名目で取引 業者から金銭を受領する行為が本件業務委託契約の趣旨に反することは上記⑴ウで述べたとおりである。なお、被告aがKから斡旋手数料を受領していたと認めるに足りる証拠はない。 国技館その他工事原告は、被告aが、契約管理規程に反し、必要性や緊急性がな いにもかかわらず、原告に対し、国技館改修工事請負契約で施工範囲とされた4項目以外の工事を次々と行わせたと主張する。 しかし、木戸関連工事及び雨水槽漏水対策工事の発注が任務違背行為ということができないことは、上記⑵で判断したとおりである。また、その余の国技館その他工事についても、前提事実⑺ イ、認定事実⑷ウのとおり、建設委員会に工事の必要性が説明され、議論等がされた上でその実施が了承されている。 原告は、国技館その他工事について建設委員会で協議がされていたとしても、被告aが主導して何ら必要性のない各工事を進めている以上、不問に付されるはずがないと主張する。しかし、国 技館その他工事のうち漏水発覚により緊急に実施することとなった雨水槽漏水 いたとしても、被告aが主導して何ら必要性のない各工事を進めている以上、不問に付されるはずがないと主張する。しかし、国 技館その他工事のうち漏水発覚により緊急に実施することとなった雨水槽漏水対策工事と既存遡及工事以外は、もともと国技館改修工事の設計項目(当初26項目、平成26年4月10日の第10回建設委員会で46項目に細分化)に含まれている工事であって(甲160、162の3頁)、国技館改修工事請負契約の施 工範囲の4項目よりは優先度は劣るとしても、工事実施の必要性-123-がなかったとはいえないから(認定事実⑶テのとおり、平成25年7月12日の第8回建設委員会においても、国技館改修工事は、縮小した9項目で済むものではなく、近い将来全体工事の実施が必要となるとの意見が出ている。)、必要性がないとの前提が異なっている。 また、原告は、国技館その他工事は契約金額が1000万円以上のものであっても、競争入札が実施されておらず、契約管理規程に反すると主張するが、当時、国技館の改修に関連する工事は競争入札に付さずに、国技館改修工事の施工業者と随意契約を締結することが前提事項となっていたと認められ(上記⑵ア)、 競争入札が行われていないという一事をもって任務違背ということはできない。さらに、平成26年から平成27年当時、国技館改修工事の追加工事については、原告担当者(f)、NTTファシリティーズ、施工者との間で内容を協議した上で、建設委員会には概算のみを示して実施承認を得て、その後見積りがとられ てNTTファシリティーズが査定して施工に至るという運用がされていて(甲25、163)、最終的な施工金額について建設委員会が採否していなかったことがうかがわれるが(認定事実⑷ア、同⑷ウ)、そのような運用に委 リティーズが査定して施工に至るという運用がされていて(甲25、163)、最終的な施工金額について建設委員会が採否していなかったことがうかがわれるが(認定事実⑷ア、同⑷ウ)、そのような運用に委員長であったC理事長も含め出席者が異論や疑問を呈していたことはうかがわれない(C 理事長は、当初は理事会で国技館改修工事の見積額が増加したことを懸念する発言をしていたが(認定事実⑶ツ、ホ)、追加工事について審議する建設委員会では上記運用に異を唱える発言はなく、被告aが出席しなくなった第21回建設委員会でこれまでの運用を改めるように指示したにとどまる。)。かかる運用が是認 されてきた背景には、原告において、被告aに表立って異を唱え-124-ることができない雰囲気が醸成されていたことが影響しているとしても、被告aを重用し、業務委託を続けてきたB前理事長や立場の悪化を恐れて反対意見を述べてこなかった当時の原告執行部の責任は原告において甘受すべきであって、後日になって、上記の運用を業務委託の趣旨に反すると主張することは相当で ない。よって、上記運用につき、被告aに任務違背を認めることはできない。 また、これらの工事についても、NTTファシリティーズが各工事金額を査定していたことは認められ(甲25、166、弁論の全趣旨)、国技館改修工事請負契約締結の際のように被告aが NTTファシリティーズによる査定を阻止したといった事情を認めるに足りる証拠もないこと(NTTファシリティーズは、平成28年7月25日の打合せで、追加工事の見積査定業務に関し、原告担当者から査定金額の指示を受けたことはないと述べている。甲25)からすれば、これらの工事金額の決定につき、被告 aによる不当な差配があったと断じることもできない。原告は、 定業務に関し、原告担当者から査定金額の指示を受けたことはないと述べている。甲25)からすれば、これらの工事金額の決定につき、被告 aによる不当な差配があったと断じることもできない。原告は、注文書が残っていないことや契約関係書類の作成日付に疑問や齟齬があることから、これらの工事の金額の決定に疑義があると主張するが、かかる事情があったとしても、直ちに被告aが不当に工事金額を釣り上げたということはいえない。 なお、被告aは、遅くとも平成25年9月頃から、NTTファシリティーズやKから建設委員会の議事や報告事項を事前に知らされていたものであるが(認定事実⑶ノ)、被告aがKから工事の見返りとしての金銭を受領することを約していたと認めるに足りる証拠はなく、Aについても国技館改修工事請負契約以外 の工事について斡旋手数料を受領できることになっていたとは-125-認められないことからすると、被告らが何らかの利益を得るために、国技館その他工事を建設委員会に上程していったとまでは認められない。 Oへのその他工事被告aは、原告に対し、Oを指名して、システム入替工事、ネ ットワーク設置工事、木戸サイネージシステム工事を行わせるとともに、ソフトウェア保守契約を締結する見返りとして、Oから金銭を受け取った(上記⑴イ)。この行為が本件業務委託契約の趣旨に反することは上記⑴ウで述べたとおりである。 また、これらのうち1000万円以上の契約であるシステム入 替工事について競争入札がされた形跡はない。却って、ソフトウェア保守契約は、被告aが交渉途中でNTTぷららからOに契約相手を変更していること(認定事実⑸エ)、システム入替工事について被告aがgに指示して事業部長の不在中に緊急に振込みを行わせていること ウェア保守契約は、被告aが交渉途中でNTTぷららからOに契約相手を変更していること(認定事実⑸エ)、システム入替工事について被告aがgに指示して事業部長の不在中に緊急に振込みを行わせていること(認定事実⑴サ、⑸イ)からすると、被告a が正規の手続をとらずに、Oへの発注手続を進めていたことが推認され、被告aがOから金銭を受領していることも考慮すると、被告aはOと特別の関係にあったというよりほかなく、顧問の地位を利用して、原告にOとの間で各種契約を締結させて、私利を得ていたと認められる。よって、被告aのOとの契約交渉・締結 行為は本件業務委託契約の趣旨に反する任務違背行為ということができる。 LED照明工事について原告は、被告aが、無断で、原告に日栄サポートとの間で、省エネルギーサービス契約を締結させたと主張する。 この点、省エネルギーサービス契約書には、原告の公印が押さ-126-れているものの、上記認定事実⑸オのとおり、契約締結日とされている平成27年11月16日より前に建設委員会で上記の契約締結が承認された事実は認められない。また、上記認定事実⑸オのC理事長の発言からすると、平成28年1月の時点で、C理事長は電力会社を変更して電気代を安くするとの認識は有して いたものの、原告にサービス料の支払義務が生じることは認識していなかったことが推認される。そうすると、C理事長(当時、事業部長で、公印の管理者であった。)が省エネルギーサービス契約に係る契約書に押印したとは認められない。そして、この案件を進めていたのは被告aとgであったこと、平成28年1月5 日に被告aがfに対し、LED照明の仕入先について他言禁止を命じていること(甲178)からすると、九州場所中に公印を物理的に管理していたgが いたのは被告aとgであったこと、平成28年1月5 日に被告aがfに対し、LED照明の仕入先について他言禁止を命じていること(甲178)からすると、九州場所中に公印を物理的に管理していたgが被告aの指示によって事業部長に無断で上記契約書に公印を押印した可能性が高い。 また、原告は、省エネルギーサービス契約は節約効果のない不 合理な契約であったと主張するが、省エネルギーサービス契約に基づくLED照明の導入によって、国技館の電気代が実際にどの程度削減されたかを明らかにする証拠はなく、上記契約が原告にとって実際に不利益なものであったか否かは明らかでない。もっとも、上記契約の締結の検討資料としてOから提示されたシミュ レーション資料(甲157)には年間の電気代削減額は637万7470円とされているにもかかわらず、省エネルギーサービス契約に基づく年間のサービス料は785万2956円(月額65万4413円×12か月、税別)となるのであるから、他に原告にとって有利な条件が付されているなどの特段の事情が認めら れない限り、原告にとって不合理な契約であるといわざるを得な-127-い。そして、上記のとおり、契約締結日より前の建設委員会や理事会で上記のシミュレーション資料に基づき上記契約の締結の可否が議論された事実は認められず、事業部長においてもその詳細を知らされていなかったことからすると、被告aは、原告のしかるべき機関で省エネルギーサービス契約締結の是非を検討す る機会を与えることなく、部下の事務局職員に指示して、原告に不利益を与えかねない契約締結行為を進めたものと認められるのであって、仮に、特段の事情により原告にとって不合理な契約であるとはいえない可能性があるとしても、適切な情報提供を怠った被告aの行為は任務に 利益を与えかねない契約締結行為を進めたものと認められるのであって、仮に、特段の事情により原告にとって不合理な契約であるとはいえない可能性があるとしても、適切な情報提供を怠った被告aの行為は任務に違背するものであったと認められる。 イパチンコ関係被告aがパチンコメーカーの仲介業者から本件名称等利用許諾契約締結等の見返りとして金銭を受領した事実が認められることは上記⑴イのとおりであり、この行為が本件業務委託契約の趣旨に反することは上記⑴ウで述べたとおりである。 また、上記⑶ウのとおり、被告aは、原告のパチンコメーカーとの名称等利用許諾契約に関連して、仲介業者のGのiから親方らに配ると申し述べて金銭を受け取っているところ、かかる行為が原告の信用を毀損する行為であるとともに、本件業務委託契約の趣旨に反する任務違背行為に当たることは明らかであ る。そして、被告aが、iから500万円を受領した際に、「Bにばれるようになると、中止せなあかん、潰さなあかんようになるから。」と発言していること(認定事実⑵イ)からすれば、かかる金銭を受領することが本件業務委託契約の本旨に悖ることを被告aも認識していたものである。 ウその他の任務違背行為-128-Pからの金銭受領行為上記⑴イで判断したとおり、被告aがPから受領した金銭の一部はPに国技館等への出店を認めたことの見返りとしての金銭であったと認められるところ、この行為が本件業務委託契約の趣旨に反することは上記⑴ウで述べたとおりである。 電通への金銭要求行為上記認定事実⑸アのとおり、被告aは電通に対し、提案事業を受注するためには原告側への金銭交付が必要であるとほのめかして裏金を要請したと認められるところ、かかる行為が原告の信 電通への金銭要求行為上記認定事実⑸アのとおり、被告aは電通に対し、提案事業を受注するためには原告側への金銭交付が必要であるとほのめかして裏金を要請したと認められるところ、かかる行為が原告の信用を毀損する行為であるとともに、本件業務委託契約の趣旨に反 する任務違背行為に当たることは明らかである。 仕組債の購入上記認定事実⑺のとおり、被告aはC理事長に、国債等の償還金で多額の仕組債を購入するよう勧めてきたが、その際、早急に仕組債を購入しなければ、内閣府に取られてしまうなどと虚偽の 説明をした。この点、被告aは、仕組債の購入を迫ったことは一度もないなどと陳述及び供述するが(乙16、被告a本人26・27頁)、C理事長が債権購入の要否をわざわざ内閣府に確認していることに照らして、上記被告aの陳述等は信用できない。 公益財団法人である原告においては、安全性、収益性等の要素 を十分考慮して資金運用先を決定する必要があるところ、仕組債の購入が必要不可欠であるかのような虚偽の事実を告げて、リスクのある金融商品への資金運用を勧めることは、原告の運用判断を誤らせるものであって、不適切な助言・指導といえ、その意図が不明であったとしても、本件業務委託契約に基づく任務に違背 する。 -129-感謝状の作成証拠(甲156,158添付資料16、159)によれば、森永製菓は、平成27年4月、原告から長年の懸賞の提供等に対する感謝状を贈呈するとの連絡を受けたこと、被告aは同年5月24日、森永製菓担当者と面談し、感謝状の贈呈の話はいったん ストップする旨述べ、同年6月10日にも電話でペンディング状態であると告げたこと、その後原告から森永製菓への連絡はなされないまま、この話は立ち消えとなったこと、既に作成されて の話はいったん ストップする旨述べ、同年6月10日にも電話でペンディング状態であると告げたこと、その後原告から森永製菓への連絡はなされないまま、この話は立ち消えとなったこと、既に作成されていた森永製菓宛の感謝状のプレートは被告a宛に変更されて、被告aが譲り受けたことの各事実が認められる。 上記のとおり、森永製菓への感謝状贈呈が途中で立ち消えとなった理由について、原告は、被告aが森永製菓から辞退の電話があったと虚偽を述べたためであると主張し、被告は理事から反対意見が出たため、B前理事長が断念したと陳述及び供述しているが(乙16、被告a本人53頁)、いずれの主張もそれを裏付け る客観的証拠はない。もっとも、被告会社が貴金属製品を取り扱う株式会社徳力本店に対し、平成27年9月14日に129万6000円を送金していること(乙14、15)からすると、被告会社が対価を払って上記プレートを取得したと認められるのであって(この事実について、原告は特段の反証をしていない。)、 被告aが自己に箔を付けるという不当な目的で、意図的に森永製菓への贈呈を止めさせて感謝状を自分のものとしたと断じることはできない。そうすると、被告aが当該感謝状を自身宛に変更させた経緯も不明といわざるを得ず、この件について被告aに任務違背を認めることはできない。 特定の相撲案内所の紹介-130-証拠(甲42の17・41・42頁、甲108)によれば、原告は、平成27年11月16日、NTTファシリティーズとの間で、本件CM業務委託契約の業務内容を追加し、その報酬額を1080万円とする契約を締結したこと、その際、被告aは、自身と懇意の関係にある特定の相撲案内所から相撲チケットを購入 するように要請し、NTTファシリティーズは、これ 容を追加し、その報酬額を1080万円とする契約を締結したこと、その際、被告aは、自身と懇意の関係にある特定の相撲案内所から相撲チケットを購入 するように要請し、NTTファシリティーズは、これに応じて、被告aから紹介された相撲案内所から1場所当たり100万円程度の相撲チケットを購入したことが認められる。 相撲案内所が販売する相撲チケットは既に原告が相撲案内所に販売したもので、被告aが特定の相撲案内所からのチケット購 入を斡旋したとしても原告の売上が増加するわけではない(甲108)。したがって、原告の営業活動として相撲チケットの購入を取引先に要請するのであれば、相撲案内所ではなく原告自身からの購入を斡旋するのが相当ではある。しかし、被告aは原告の顧問として、原告の売上を増大させる義務まで負っていたもので はないし、被告会社が本件業務委託契約で相撲チケットの営業活動を受託しているわけでもなく、被告aが当該相撲案内所から何らかの報酬を得ていたことまでは証拠上認められないことからすると、特定の相撲案内所をNTTファシリティーズに紹介したことが本件業務委託契約の趣旨に反するとまではいえない。よっ て、この行為をもって、任務違背行為ということはできない。 エ本件業務委託契約の本旨履行の有無被告aが従事していた原告の業務上記1の認定事実のとおり、被告aは、平成24年2月に危機管理政策顧問に就任し、被告会社として本件業務委託契約を締 結した後、危機管理政策顧問及び本件業務委託契約に従事する-131-者として、不祥事を起こした原告関係者の訴訟案件や処分等のコンプライアンス業務(危機管理業務)に従事するようになったほか、B前理事長の命でd主事を補助して事務局の指導・助言業務や原告が公益認定を受ける して、不祥事を起こした原告関係者の訴訟案件や処分等のコンプライアンス業務(危機管理業務)に従事するようになったほか、B前理事長の命でd主事を補助して事務局の指導・助言業務や原告が公益認定を受けるための各種手続の調査・調整等の業務に従事するようになった。また、平成24年7月に建設委員 会が設置されると、B前理事長から依頼され、同委員会に出席するようになった(第1回から第20回まで出席した。)。そのため、同年9月1日には、本件業務委託契約に基づく委託業務が、事務局業務全般の助言と指導、理事長の特命業務、理事長の要請に基づく事業部間の調整、危機管理に関わる業務、理事長の要請によ る理事会等必要な会議の出席に明示的に拡大され、業務委託料も増額され、被告aの役職も常任特別顧問に変更された。実際に、被告aは、常任特別顧問として、対外的な交渉業務も担うようになり、公益認定に関しては内閣府等との交渉業務を、国技館改修工事に関しては業者選定に関与し、NTTファシリティーズと の打合せ、候補業者との折衝、優先交渉権者となった業者との間での契約締結交渉等の業務を行うようになったほか、パチンコ関係等その余の契約関係についても取引先との交渉業務に従事していた。 なお、被告aは、平成26年1月に原告が公益財団法人に認 定されて移行するまでの間に、本件業務委託契約に基づき被告aが行った業務の割合は、公益認定業務が6割から7割、危機管理業務が2割から3割で事務局関係業務等の割合はわずかであったと供述するが(被告a本人70頁)、平成25年10月までは国技館改修工事の業者選定及び国技館改修工事請負契約締 結交渉に係る業務も相応の割合を占めていたものと認められ、-132-公益認定業務及び危機管理業務の割合は上記供述よりも低 10月までは国技館改修工事の業者選定及び国技館改修工事請負契約締 結交渉に係る業務も相応の割合を占めていたものと認められ、-132-公益認定業務及び危機管理業務の割合は上記供述よりも低いものであったと認めるのが相当である。 その後、平成26年10月にd主事が退職したため、B前理事長の指示で被告aが主事業務を事実上担うこととなり、請求書の承認作業、給与額の確認、執行部定例会への出席と議題の 検討・調整、契約書等の確認、理事会・評議員会の議題調整等、取引先との商談等の業務を行うようになり、それは本来の主事業務の7、8割程度に及ぶものであった(認定事実⑴ケ)。この頃の被告aが行っていた業務の割合は、危機管理業務が1割から2割、事務局関係業務が8割から9割であった(被告a本人 71頁)。また、B前理事長死亡後には、その協会葬の準備も行った(認定事実⑴ス)。なお、被告aは、平成28年1月については、本件業務委託契約に基づく業務に従事していない(認定事実⑴ソ)。 原告は、被告aが原告を離れた際に、原告には危機管理委員 会の資料、ファイル、データが一切残っていなかったとして、被告aは本来の危機管理業務を行っていなかったと主張するが、被告aは、平成24年4月17日に原告に危機管理委員会が設置されるとc理事らと共にその一員として活動していたものであり(認定事実⑴イ)、訴訟案件や不祥事が発生した場合には危 機管理委員会から理事会に業務報告がされている(乙28、48、50、54)ほか、被告a自身が個別に対応していた案件もあったことがうかがわれる(甲158添付資料5)から、資料等が原告に残っていなかったとしても(甲42の22頁)、これをもって直ちに、被告aの危機管理業務が実態を有しないもので ていた案件もあったことがうかがわれる(甲158添付資料5)から、資料等が原告に残っていなかったとしても(甲42の22頁)、これをもって直ちに、被告aの危機管理業務が実態を有しないもので あったということにはならない。ただし、その業務の性質上、継-133-続的な日常業務とは認められず、案件が発生した場合の限定的な業務であったというべきである。 本旨履行の有無上記のとおり、被告aが従事していた業務は時期によって内容に変化があるものの、多岐にわたっているところ、被告aがB 前理事長に重用され、長期間、本件業務委託契約が継続され、業務内容も拡大されてきたことからすると、被告aが行っていた本件業務委託契約に基づく業務は、B前理事長の意向、ひいては原告の意向に沿って行われたものであるとの一般的推認が働くというべきである。もっとも、被告aは、上記アないしウのとおり、 本件業務委託契約の趣旨に反する任務違背行為も行っていたのであり、かかる任務違背行為の限りにおいては、本件業務委託契約の本旨に基づく履行があったとは認められない。 具体的には、建設委員会のメンバーや主事業務の従事者として、国技館改修工事の業者選定や国技館改修工事請負契約の締結交 渉に関わった業務(NTTファシリティーズとの打合せ、鹿島建設等候補業者との折衝、優先交渉権者となったK、A等との間での交渉等を含む。)、電通、O、パチンコメーカーの仲介業者、Pといった被告aが金銭支払を要求し、又は実際に金銭を受領した取引先との間での契約締結交渉、日栄サポートとの間の省エネル ギーサービス契約の締結交渉、仕組債の購入に関する意見具申(これらの業務に関する事務局への助言・指導業務、事業部間の調整、会議の事前調整業務を含む。)については、本件業務委託 の間の省エネル ギーサービス契約の締結交渉、仕組債の購入に関する意見具申(これらの業務に関する事務局への助言・指導業務、事業部間の調整、会議の事前調整業務を含む。)については、本件業務委託契約の本旨に従った履行とは認められないこととなる。 そうすると、被告会社は、受託業務の一部につき本旨履行をし ていないのであるから、原告に対して債務不履行責任を負うこと-134-となる。また、被告aは被告会社の取締役として、自ら本件業務委託契約の受託業務の遂行に当たっていたのであるから、被告会社が債務不履行責任を負うことのないよう債務の本旨に従った受託業務の履行をすべき義務を被告会社に対して負うところ、あえてそれに反する行為をしていたものであり、悪意によってその 任務を懈怠したことになるから、それによって生じた原告の損害につき、会社法429条1項の責任を負う。なお、原告は、業務委託料相当額について、被告aに対しては不法行為に基づく損害賠償、被告会社に対しては会社法350条に基づく損害賠償も求めているところ、上記ア、ウのうち任務違背行為が否定された被 告aの行為につき、不法行為が成立するとは認められない。 ⑸ 争点5(損害額)についてア裏金相当額被告aは、上記⑴で認定したとおり、原告の取引業者から原告との契約締結ないし取引の見返りとして以下の金銭を個人的に 受領した。 A 7791万円O 629万2840円H 4212万5000円J 3240万円 P 542万6639円Q 148万5429円R 579万4550円これら金銭受領額が原告の損害 3240万円 P 542万6639円Q 148万5429円R 579万4550円これら金銭受領額が原告の損害と認められるためには、被告aの金銭受領行為によって、原告が契約の対価として当該金銭相当 額を過分に支払うこととなった、又は原告が本来得られたはずの-135-契約の対価が得られなくなったといえることが必要である。 A 2966万2500円被告aは、Aから斡旋手数料の名目で7791万円を受領したが、被告らが指摘するとおり、上記斡旋手数料は、Aがその利益の中から負担したものであり、原告が支払う対価に上乗せされた ものではない(甲43、44、47、48)。したがって、被告aがAに斡旋手数料を要求しなかったとしても、それをもって当然にAの受注金額が同額分減額されていたということはできない。 しかし、Aが、原告の照会に対して、優先交渉権者に選定された後に、原告から被告会社が斡旋手数料を放棄する代わりに契約 金額を減額するようにとの要請があった場合には、応じる可能性があったと回答し(甲47、48)、Aにとって国技館改修工事の受注は東京地域での知名度を上げ、今後の事業展開の好機となる案件であったとも述べていること(甲44)からすれば、Aには、多少の減額に応じてでも国技館改修工事を受注する動機があ ったと認めることができる。 そして、原告が国技館改修工事の発注に際して、適正かつ原告に有利な価格で契約が締結されることを重視していたことは上記⑴ウで述べたとおりであるし、原告において業者の見積金額の正当性の精査をしてもらうためにNTTファシリティーズと 本件CM業務委託契約を締結していること(認定事実⑶オ、ケ)から ことは上記⑴ウで述べたとおりであるし、原告において業者の見積金額の正当性の精査をしてもらうためにNTTファシリティーズと 本件CM業務委託契約を締結していること(認定事実⑶オ、ケ)からすれば、被告aがNTTファシリティーズの査定を阻止(認定事実⑶ハ)しなければ、原告がNTTファシリティーズの査定や建設委員会での議論を通じてAと価格交渉をしていたであろうことは優に認められる。そうすると、被告aが上記斡旋手数料 を受領していなければ、原告は、適切な減額交渉によって、Aの-136-工事金額を7791万円(AがKから請け負った国技館改修工事の電気設備工事費総額15億5820万円(税込み)の5%)分減額した上で国技館改修工事請負契約を契約することができていた蓋然性が高い。 加えて、そもそも上記⑴ウのとおり、被告aは原告に対して、 対価交渉義務を負っており、少なくともAが斡旋手数料を支払う意思を有していることを知った場合には、自らAと手数料相当額の減額をするよう交渉するか、そのことを原告に告げて、原告において価格交渉を行う機会を与える義務があったのであるから、被告aが上記義務を履行していれば、原告はAから同様に779 1万円分の工事金額の減額を得ることができたというべきである(上記斡旋手数料の合意を知った原告が斡旋手数料相当額の減額を求めずにAとの契約金額を決定することはあり得ない。)。 よって、原告は被告aの行為により、7791万円高い金額でAの工事金額を決定したこととなる。 もっとも、原告は、Kとの間の国技館改修工事請負契約を中途解除し、Aに対し、電気設備工事費として、Kを介して総額5億9325万円(税込み)を支払った(認定事実⑶メ)。そうすると、原告支払済みの工事金額における裏金相当額が本 の国技館改修工事請負契約を中途解除し、Aに対し、電気設備工事費として、Kを介して総額5億9325万円(税込み)を支払った(認定事実⑶メ)。そうすると、原告支払済みの工事金額における裏金相当額が本来減額できたはずの工事金額ということとなるから、原告支払済みの工事金 額5億9325万円の5%に相当する2966万2500円が原告に現実に生じた損害ということになる。 O 629万2840円Oの被告会社への各入金は、被告aの労により原告との間でシステム入替工事、ネットワーク設置工事、木戸サイネージシステ ム工事、ソフトウェア保守契約が成約に至ったことへの見返りで-137-あると認められるところ、原告のOへの代金支払日とOの被告会社への送金日が同日又は近接日であることからすれば、Oは、上記各契約締結交渉時には契約締結の見返りとして被告会社へ一定の金銭を支払うことを許容していたというべきである。そうすると、被告aがかかる金銭を要求せず、かつ、対価交渉義務を履 行して、少なくとも原告においてOと正当な対価交渉をする機会が与えられていれば、原告がOに支払う対価につき、上記被告会社への送金額相当額の減額を実現することができた蓋然性が高いと認められる。したがって、上記送金額である629万2840円を被告aの不法行為と相当因果関係のある損害と認める。 H及びJ 0円原告は、Iとの間の本件名称等利用許諾契約を合意解除して、Iに対し、ライセンス料として受け取っていた2億1300万円を返還した(認定事実⑵ス)。そうすると、原告は本件名称等利用許諾契約に基づき力士等の名称等をIに使用許諾する義務を 負うことはなくなったといえるから、その義務の対価として本来得られるはずの許諾料が得られなくなったというこ すると、原告は本件名称等利用許諾契約に基づき力士等の名称等をIに使用許諾する義務を 負うことはなくなったといえるから、その義務の対価として本来得られるはずの許諾料が得られなくなったということにはならず、被告aがHやJから7452万5000円を受領していたことをもって、原告が損害を被ったということはできない。 P 542万6639円 被告らは、Pと原告との本件出店営業契約では、原告が得られる出店料は売上額の20%と決められているとして、原告には損害は発生していないと主張する。しかし、本件出店営業契約の締結交渉をしたのは被告aであり(認定事実⑹ア)、その前の平成25年7月1日付けで被告会社とPが店舗展開サポートの覚書 (乙9)を交わしていること(上記⑴イのとおり、業務委託の-138-実態はないものの、Pの被告会社への送金の名目となる契約と解される。)からすれば、Pは、本件出店営業契約締結交渉時には出店料のほかに被告会社に業務委託報酬の名目で一定の支払が必要となることを前提にしていたと考えられる。そうすると、被告aがかかる報酬名目での金銭の支払を要求せず、かつ、対価交 渉義務を履行して、少なくとも原告においてPと正当な対価交渉をする機会が与えられていれば、Pが原告に支払う対価につき、少なくとも上記被告会社への送金額相当額の上乗せを実現することができた蓋然性が高いと認められる。 したがって、上記送金額である542万6549円を被告aの 不法行為と相当因果関係のある損害と認める。 Q 148万5429円R 579万4550円原告とQ及びRとのPPV配信の基本契約では、原告への売上の分配額は40%と定められているが(前提事実⑼イ、ウ)、 上記2社が原告と上記契約を締結する 29円R 579万4550円原告とQ及びRとのPPV配信の基本契約では、原告への売上の分配額は40%と定められているが(前提事実⑼イ、ウ)、 上記2社が原告と上記契約を締結するにあたっては、被告会社に契約締結及びPPV配信の取引の対価として一定の支払を要することが前提となっていたというべきである。そうすると、上記2社は、PPV配信に関して、原告に売上の40%を分配する以外に、被告会社に斡旋手数料等の趣旨で支払うこととなる額を負 担することを許容していたということができ、被告aがかかる趣旨での金銭の支払を要求せず、かつ、対価交渉義務を履行して、原告において上記2社と正当な対価交渉をする機会が与えられていれば、売上の原告への分配額につき、少なくとも上記被告会社への送金額相当額(Qにつき148万5429円、Rにつき3 9万4550円)の上乗せを実現することができた蓋然性が高い-139-と認められる。 また、Rとの間のインターネット配信に関するコンテンツ利用許諾契約についても同様のことがいえ、被告aが斡旋手数料の趣旨での金員の支払を要求せず、かつ、対価交渉義務を履行して、原告においてRと正当な対価交渉をする機会が与えられていれ ば、Rが原告に支払う対価につき、少なくとも上記被告会社への送金額相当額(540万円)の上乗せを実現することができた蓋然性が高いと認められる。 したがって、上記送金額合計である727万9979円を被告aの不法行為と相当因果関係のある損害と認める。 なお、Sから被告会社に対する送金については被告aに対する裏金であったと認めることはできないことは上記⑴イで判断したとおりであるが、仮に裏金であったとしても、原告の契約の直接の相手方が電通であり、コンテンツ利用許諾料 対する送金については被告aに対する裏金であったと認めることはできないことは上記⑴イで判断したとおりであるが、仮に裏金であったとしても、原告の契約の直接の相手方が電通であり、コンテンツ利用許諾料が年間1億3500万円と従前のRとの間の契約の対価に比べて大幅に値上 がりしていること(前提事実⑼エ)からすると、被告aがSに上記金銭の支払を要求せず、かつ、対価交渉義務を履行していれば、電通が原告に支払う上記コンテンツ利用許諾料が値上がりした蓋然性が高いとまではいえず、上記送金額を被告aの不法行為と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 イ信用毀損 500万円上記⑶で判断したとおり、被告aの行為によって、原告の信用は大きく毀損され、とりわけ、パチンコ裏金受領疑惑が公になったことによって原告の社会的評価は著しく低下し、当時の懸案事項であった公益認定にも支障が生じかねない事態となったのであるか ら(認定事実⑵コ)、原告が被った被害は大きいといえる。 -140-他方、被告aの信用毀損行為によって、原告開催の本場所への来場者が減ったなどの具体的な影響が生じたとまでは証拠上認めることができない。また、原告は、被告aのパチンコ裏金受領疑惑が報道される前に同疑惑を覚知していたにもかかわらず、何らの対処もせず(認定事実⑵カ)、同疑惑が報道されるに至り、報道後も、 危機管理委員会としてiの事情聴取もせず、安易に被告aの弁解を信用して、1700万円を返還したと結論付け、何らの処分もすることなく決着させた(認定事実⑵ク)。原告が、被告aに対して、早期に顧問を解任するなど厳正な対処をしていれば、信用を回復することもできたはずであり、原告のかかる対応が損害の拡大を 招いた面がある。 これらの諸事情を総 ⑵ク)。原告が、被告aに対して、早期に顧問を解任するなど厳正な対処をしていれば、信用を回復することもできたはずであり、原告のかかる対応が損害の拡大を 招いた面がある。 これらの諸事情を総合考慮すると、被告aの信用毀損行為による損害賠償額は500万円とするのが相当である。 ウ業務委託料 4446万3800円上記⑷エで判断したとおり、被告会社は、本件業務委託契約の一 部につき、債務の本旨履行をしていないから、その部分に対する対価の支払は本来不要であったということになる。それにもかかわらず、原告は、本件業務委託契約に基づき、業務委託料として合計8775万5080円を支払った(前提事実⑸エ)。よって、原告は、債務の本旨履行とはいえない部分に対する対価相当額の損害 を被ったと認められる。 そうすると、まず、平成28年1月については、被告aは受託業務に全く従事していないから、同月分の業務委託料117万2520円全額が損害となる。 これに対し、それまでの期間については、本件業務委託契約の本 旨履行とは認められない業務(上記⑷エ)の割合が問題になると-141-ころ、上記⑷エで認定した被告aが行っていた時期ごとの業務の内容とその割合、被告aが出席していた第1回建設委員会(平成24年8月22日)から第20回建設委員会(平成27年11月6日)のうち、平成25年9月11日の第9回建設委員会までで国技館改修工事請負契約に関する審議が終了し、その後は国技館その他 工事等について審議がされていること(認定事実⑶,⑷)、被告aは平成26年10月頃から主事業務を本格的に代行するようになったものの(認定事実⑴ケ)、それ以前から原告の契約交渉にも関与し、取引業者から契約締結の見返りとしての金銭を受領していること(契約 告aは平成26年10月頃から主事業務を本格的に代行するようになったものの(認定事実⑴ケ)、それ以前から原告の契約交渉にも関与し、取引業者から契約締結の見返りとしての金銭を受領していること(契約交渉に関する主事業務は自らの私腹を肥やす手段と して携わっていたと評価できる。)からすると、平成24年2月から平成27年12月までの期間全体を通してみた場合、本件業務委託契約の趣旨に沿って受託業務を履行したといえる割合は、5割を超えるものではないと認められる。 そうすると、少なくとも平成24年分から平成27年分までの 上記業務委託料総額(8658万2560円)の5割に当たる4329万1280円についても、業務委託の趣旨に反して本来払う必要のないものであったと認められ、原告は同額の損害を被ったと認められる。 よって、業務委託料相当額の損害は、合計4446万3800円 となる。 エ調査費用 0円原告は、被告aが行った不正行為を明らかにするための調査費用として、令和2年11月までに計1億0554万4648円を要したとして、その内訳一覧表(甲182)を提出する。このうち 建築保全センターへの委託費は、木戸関連工事及び雨水槽防水対-142-策工事に係る調査費用と解されるところ、上記⑵のとおり、上記工事相当額の損害賠償は認められないから、被告aの任務違背行為と相当因果関係のある損害ということはできない。また、その余の弁護士及び会計士への諸謝金については、具体的調査業務の内容やそれを支出したことの立証がなされていない上、その必要性、相 当性、代替立証の可能性等も明らかとはいえず、被告aの任務違背行為と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 オ損害のまとめ 取引業者から受領した金銭相当額の その必要性、相 当性、代替立証の可能性等も明らかとはいえず、被告aの任務違背行為と相当因果関係のある損害と認めることはできない。 オ損害のまとめ 取引業者から受領した金銭相当額の損害A 2966万2500円 O 629万2840円P 542万6639円Q 148万5429円R 579万4550円小計 4866万1958円 信用毀損による無形損害 500万円既払の業務委託料相当額の損害 4446万3800円(うち平成24年分から平成27年分4329万1280円、平成28年1月分117万2520円)合計 9812万5758円 3 総括⑴ 被告aに対する認容額ア以上によれば、被告aは、原告に対し、被告会社と連帯して(ただし、遅延損害金を求める部分については重なる限度で)、会社法429条1項に基づき、上記2⑸オ業務委託料相当額の損害4 446万3800円及びうち4257万4700円(85,149,400-143-×0.5)に対する平成30年1月13日から、うち188万9100円(1,433,160×0.5+1,172,520)に対する平成30年10月6日から各支払済みまでの年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。なお、原告は平成24年分から平成27年分の業務委託料相当額8658万2560円のうち8514万9400円につ き平成30年1月13日から、うち143万3160円及び平成28年分の業務委託料相当額117万2520円の合計260万5680円につき平成30年10月6日からの遅延損害金を求めているから、上記認定損害額の遅延損害金起算日もそれにならうこととした。 イまた、被告aは 当額117万2520円の合計260万5680円につき平成30年10月6日からの遅延損害金を求めているから、上記認定損害額の遅延損害金起算日もそれにならうこととした。 イまた、被告aは、原告に対し、被告会社と連帯して(ただし、遅延損害金を求める部分については重なる限度で)、不法行為に基づき、同の損害500万円及び同の損害合計4866万1958円の合計5366万1958円並びにうち同の500万円に対する平成30年1月13日から、うち同のAからの裏金29 66万2500円に対する平成30年10月6日から、うち同のA以外の裏金1899万9458円に対する令和元年7月10日から各支払済みまでの年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。 ⑵ 被告会社に対する認容額 ア以上によれば、被告会社は、原告に対し、被告aと連帯して(ただし、遅延損害金を求める部分については重なる限度で)、債務不履行に基づき、同の業務委託料相当額の損害4446万3800円及びうち4257万4700円(85,149,400×0.5)に対する平成29年12月28日から、うち188万9100円 (1,433,160×0.5+1,172,520)に対する平成30年10月6日から-144-各支払済みまでの年5分の割合による遅延損害金の支払義務を負う。遅延損害金起算日の定め方は、上記⑴アと同様である。 イまた、被告会社は、原告に対し、被告aと連帯して(ただし、遅延損害金を求める部分については重なる限度で)、会社法350条に基づき、同の損害500万円及び同の損害合計4866万 1958円の合計5366万1958円並びにうち同の500万円に対する平成29年12月28日から、うち同のAからの裏金2966万250 き、同の損害500万円及び同の損害合計4866万 1958円の合計5366万1958円並びにうち同の500万円に対する平成29年12月28日から、うち同のAからの裏金2966万2500円に対する平成30年10月6日から、うち同のA以外の裏金1899万9458円に対する令和元年7月10日から各支払済みまでの年5分の割合による遅延損害金 の支払義務を負う。 ⑶ なお、原告は、業務委託料相当額の損害について、被告aに対しては不法行為、被告会社に対しては会社法350条に基づく損害賠償も求めているところ、仮に、上記2⑷で任務違背と認められた行為に不法行為が成立するとしても、それと相当因果関係のある損害 額が上記認容額を超えるものとは認められないから、これらの請求については判断しない。 また、原告の業務委託料相当額の損害賠償を求める部分以外の請求につき、仮に、被告aに会社法429条1項に基づく責任が生じるとしても、上記認容額を上回る損害が認められるものではないか ら、この請求についても判断しない。 第4 結論よって、原告の被告らに対する請求は、主文第1項の限度で理由があるからこの限度で認容し,その余は理由がないからいずれも棄却することとし、主文のとおり判決する。 -145-東京地方裁判所民事第31部 裁判長裁判官中俣千珠 裁判官長橋正憲 裁判官藪下冬子は、転補のため、署名押印することができない。 裁判長裁判官中俣千珠 裁判長 裁判官中俣千珠

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