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昭和39(ツ)65 和解金請求事件

裁判所

昭和40年1月20日 広島高等裁判所

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1,451 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人の上告理由について。裁判上の和解は、裁判所又は裁判官の面前で争いある事件につき互に譲歩してその争を終了せしめる当事者間の合意である。そして右合意は私法上の和解に外ならないのであるが、その私法上の和解は、訴訟行為たる裁判上の和解の一つの構成要素であつて、裁判上の和解が有効に成立するためには、その要素である私法上の和解<要旨>が有効に成立すると同時に、更に訴訟法上の要件の具備をも必要とする。すなわち、裁判上の和解は私法上の</要旨>和解を含む一の訴訟行為であつて、私法上の和解に荷われた存在というべきものである。従つて、基礎となる私法上の和解が何等かの理由により無効となるならば、裁判上の和解もまた当然無効となることは明らかである。しかし、その反対に裁判上の和解が訴訟法上の要件の欠缺のために無効となつても、そのためにその基礎たる私法上の和解が常に無効となるとは限らない。たとえば裁判官が関与せず裁判所書記官のみの面前でなされたというが如き理由によつて裁判上の和解が無効となつても、そのために右書記官の面前で成立した私法上の和解もまた当然に無効となるいわれはない。勿論、訴訟行為たる裁判上の和解の無効原因が同時に私法上の和解の無効原因となる場合のあることは明らかであるが、その場合でも私法上の和解が無効となるのは裁判上の和解が無効となつたためではない。裁判上の和解が訴訟行為として無効となつても、その基礎たる私法上の和解の効力については別にそれが実体法上の要件を充足しているか否かを判断してその有効、無効を定むべきものである。原判決の認定によれば、商法第二六二条が訴訟行為に適用せられない結果、本件裁判上の和解は上告会社を代表す ては別にそれが実体法上の要件を充足しているか否かを判断してその有効、無効を定むべきものである。原判決の認定によれば、商法第二六二条が訴訟行為に適用せられない結果、本件裁判上の和解は上告会社を代表する権限を有しない者の訴訟行為として無効と解すべきであるが、その基礎たる私法上の和解には同条が適用せられる結果、右私法上の和解は無効となるべきものではないというものであつて、右原審の判断は、前に説示したところに照らし首肯するに足り、原判決に裁判上の和解の性質を誤解した違法はない。 定むべきものである。原判決の認定によれば、商法第二六二条が訴訟行為に適用せられない結果、本件裁判上の和解は上告会社を代表する権限を有しない者の訴訟行為として無効と解すべきであるが、その基礎たる私法上の和解には同条が適用せられる結果、右私法上の和解は無効となるべきものではないというものであつて、右原審の判断は、前に説示したところに照らし首肯するに足り、原判決に裁判上の和解の性質を誤解した違法はない。もつとも、所論の如く、裁判上の和解が訴訟行為として有効であることを前提として私法上の和解が成立した如き場合に、裁判上の和解が訴訟行為として無効となつたため、私法上の和解もまた要素の錯誤により無効となる場合のありうることは否定できないけれども、右の如き要素の錯誤の存在については上告人は原審において何等主張していないのであるから、原判決が此の点について判断しなかつたのは当然である。論旨はすべて理由がないよつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、主文のとおり判決する。(裁判長裁判官松本冬樹裁判官熊佐義里裁判官長谷川茂治)

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