令和4 年7 月21 日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和3 年(ワ)第32178 号発信者情報開示請求事件口頭弁論終結日令和4 年5 月31 日判決当事者の表示別紙当事者目録記載のとおり 主文 1 被告KDDI は、原告に対し、別紙発信者情報目録1 記載の各情報を開示せよ。 2 被告NTT コミュニケーションズは、原告に対し、別紙発信者情報目録2 記載の各情報を開示せよ。 3 訴訟費用は被告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文同旨第2 事案の概要 1 事案の要旨 本件は、原告が、インターネット上の短文投稿サイト「ツイッター」で、特定のアカウントの利用者によって投稿された原告に関する3 件の記事について、1 件目は原告の著作物である漫画の複製画像を添付しつつ原告を中傷して原告の著作権(複製権及び公衆送信権)、著作者人格権(同一性保持権)及び名誉感情を侵害し、2 件目は同漫画の複製画像を添付して原告の著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害し、3 件目は原告を中傷して原告 の名誉感情を侵害するものであると主張して、電気通信事業を営む被告らに対し、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「法」という。)4 条1 項に基づき、上記アカウントにログインする際に利用されたIP アドレスに係る氏名や住所等の開示を求める事案である。 2 前提事実(証拠等の掲示のない事実は当事者間に争いがない。なお、枝番号の記載を 省略したものは枝番号を含む。) (1) 当事者原告は、「a」のペンネームで漫画作品を執筆及び販売している者である。(甲5)被告らは、いずれも電気通信事業を営む株式会社である。 (2) のは枝番号を含む。) (1) 当事者原告は、「a」のペンネームで漫画作品を執筆及び販売している者である。(甲5)被告らは、いずれも電気通信事業を営む株式会社である。 (2) 本件漫画原告は、別紙著作物目録記載の漫画(以下「本件漫画」という。)を執筆し、令和3 年4 月23 日、ツイッターにその画像を添付した記事を投稿した。(甲5、9)本件漫画は、原告を著作者とする言語ないし美術の著作物であり、原告がその著作権を有すると認められる。 (3) 本件各投稿ア本件投稿1 氏名不詳者(以下「本件投稿者」という。)は、本件漫画のキャラクターの顔部分にモザイク処理を施した画像(別紙投稿記事目録1 の「投稿画像1」欄掲載のもの。以下「投稿画像1」という。)を作成し、令和3 年4 月24 日午後11 時19 分、アカウント名を「(省略)」、ユーザー名を「@(以下省略)」とするアカウント(以下「本件アカウント」という。)を用いて、本文に「この漫画家崩れに関してはwiki 付けて周知してもらった方が良いと思う よ/しかし成長しないね、絵も中身も/#a」(「/」は改行部分を示す。以下同じ。)などと記載し、投稿画像1 を添付した別紙投稿記事目録1 記載の記事をツイッターに投稿した(以下「本件投稿1」という。)。(甲1 の1)イ本件投稿2本件投稿者は、投稿画像1 の一部を切り取った画像(別紙投稿記事目録2 の「投稿画像 2」欄掲載のもの。以下「投稿画像2」という。)を作成し、令和3 年4 月24 日午後11 時 17 分、本件アカウントを用いて、本文に「相手によってエア弁護士出したり引っ込めたりしてんじゃん/それは良いの?/#a」と記載し、投稿画像2 を添付した別紙投稿記事目録 2 記載の記事をツイッタ 時 17 分、本件アカウントを用いて、本文に「相手によってエア弁護士出したり引っ込めたりしてんじゃん/それは良いの?/#a」と記載し、投稿画像2 を添付した別紙投稿記事目録 2 記載の記事をツイッターに投稿した(以下「本件投稿2」という。)。(甲1 の2)ウ本件投稿3 本件投稿者は、匿名で質問ができる「質問箱」のサービスを通じて本件投稿者宛に投稿 された「でもa現実として漫画家で食ってるからなぁ」、「a先生、人間噂八百でアイドル含めて芸能人の経歴をネタにしてるように/リアルの芸能界ネタが得意分野なんだけど/文鎮は知らないんだろうねぇw」との投稿に対し、令和3 年6 月16 日午後4 時53 分、「得意分野…?ずっと商業で仕事ない上に同人さっぱり売れてないのに…?/マンガで食ってる…?/マンガの収入だけで食えてないからあんなみすぼらしい生活してるんでしょ?」 などと記載すると共に、上記投稿へのリンクを添付した別紙投稿記事目録3 記載の記事をツイッターに投稿した(以下「本件投稿3」といい、本件投稿1 及び2 と併せて「本件各投稿」という。)。(甲1)(4) 本件発信者情報の保有ア被告KDDI は、同被告から割り当てられた別紙ログイン情報目録1「IP アドレス」 欄記載のIP アドレスを用いて令和3 年6 月16 日午後8 時47 分頃になされた本件アカウントへのログイン(以下「本件ログイン1」という。)に係る別紙発信者情報目録1 記載の各情報(以下「本件発信者情報1」という。)を保有している。 イ被告NTT コミュニケーションズは、同被告から割り当てられた別紙ログイン情報目録2「IP アドレス」欄記載の各IP アドレスを用いて同目録「ログイン日時(日本時間)」 欄記載の各日時頃(令和3 年5 コミュニケーションズは、同被告から割り当てられた別紙ログイン情報目録2「IP アドレス」欄記載の各IP アドレスを用いて同目録「ログイン日時(日本時間)」 欄記載の各日時頃(令和3 年5 月31 日午前8 時3 分から同年8 月31 日午後5 時33 分まで)になされた本件アカウントへの各ログイン(以下「本件各ログイン2」という。)に係る別紙発信者情報目録2 記載の各情報(以下「本件発信者情報2」といい、本件発信者情報1 と併せて「本件発信者情報」という。)を保有している。 (5) 本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由 原告は、本件投稿者に対して不法行為に基づく損害賠償請求権等を行使することを予定していることが認められる(弁論の全趣旨)。本件発信者情報はその行使のために必要なものといえるから、原告には本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるといえる。 3 主な争点(1) 本件各投稿について ア本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性(争点1) イ被告らの「開示関係役務提供者」該当性(争点2)(2) 本件投稿1 についてア 「複製」及び「公衆送信」該当性(争点3)イ引用としての適法性(争点4)ウ名誉感情侵害の成否(争点5) (3) 本件投稿2 について「複製」及び「公衆送信」該当性(争点6)(4) 本件投稿3 について名誉感情侵害の成否(争点7)第3 争点に関する当事者の主張 1 争点1(本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性-本件各投稿について)【原告の主張】「権利の侵害に係る発信者情報」(法4 条1 項)とは、侵害情報が発信された際に割り当てられたIP アドレス等から把握される発信者情報に限られず、 」該当性-本件各投稿について)【原告の主張】「権利の侵害に係る発信者情報」(法4 条1 項)とは、侵害情報が発信された際に割り当てられたIP アドレス等から把握される発信者情報に限られず、権利侵害との結びつきがあ り、権利を侵害した者の特定に資する通信から把握される発信者情報を含む。そのため、侵害情報が発信された後に割り当てられたIP アドレス等から把握される発信者情報であっても、それが当該侵害情報の発信者のものと認められる場合は、これに当たる。 ツイッターで記事を投稿するためにはアカウント作成時のメールアドレスとパスワードを入力してログインする必要があるため、本件各投稿を行ったアカウントにログインした 者と本件各投稿に係る侵害情報を送信した者とが同一である高度の蓋然性が認められる。 また、本件アカウントが第三者と共有されていたことをうかがわせる事情は見当たらない。 むしろ、本件投稿者自身による反論(乙1、丙1)が証拠として提出されている。これらの事情を踏まえると、本件ログイン1 及び本件各ログイン2 は、いずれも本件投稿者によってなされたものといえる。 したがって、本件発信者情報は「権利の侵害に係る発信者情報」に当たる。 【被告KDDI の主張】「権利の侵害に係る発信者情報」とは、侵害情報の流通そのものに係る発信者情報のみを意味するものと解すべきである。 本件発信者情報1 は、本件アカウントへのログインを行った者に係る情報にすぎず、侵害情報の流通そのものに関わりのある情報ではない。また、本件各投稿を行うためにはそ の投稿に先立ち本件アカウントにログインする必要があるところ、本件各投稿よりも後の日時にされたログインに係る本件発信者情報1 は、この意味でも、侵害情報の流通そのものに関わりのあ うためにはそ の投稿に先立ち本件アカウントにログインする必要があるところ、本件各投稿よりも後の日時にされたログインに係る本件発信者情報1 は、この意味でも、侵害情報の流通そのものに関わりのある情報ではない。 したがって、本件発信者情報1 は「権利の侵害に係る発信者情報」に当たらない。 【被告NTT コミュニケーションズの主張】 「権利の侵害に係る発信者情報」とは、侵害情報が流通されることとなった特定電気通信の過程において把握される発信者情報と解すべきである。 本件アカウントへのログインに係る情報の流通は、本件各投稿とは別個の情報の流通であるから、本件発信者情報2 は、侵害情報が流通されることとなった特定電気通信の過程において把握される発信者情報には当たらない。 したがって、本件発信者情報2 は「権利の侵害に係る発信者情報」に当たらない。 2 争点2(被告らの「開示関係役務提供者」該当性-本件各投稿について)【原告の主張】被告らは、いずれも、本件各投稿に利用された本件アカウントのログイン情報の送信・媒介に用いられた通信設備を用いる者であるから、「開示関係役務提供者」に該当する。 【被告KDDI の主張】争う。本件各投稿のための特定電気通信に被告KDDI の用いる特定電気通信設備が供されたか否かは不明であり、被告KDDI が「開示関係役務提供者」に該当するとは限らない。 【被告NTT コミュニケーションズの主張】「開示関係役務提供者」とは、権利侵害情報に係る特定電気通信の用に供される特定電 気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者である。しかるに、本件各ログイン2 に係る 通信は、あくまで本件アカウントへのログインに際して行われるデータの送受信にすぎず、権利侵害情報に係る特定電気 備を用いる特定電気通信役務提供者である。しかるに、本件各ログイン2 に係る 通信は、あくまで本件アカウントへのログインに際して行われるデータの送受信にすぎず、権利侵害情報に係る特定電気通信ではない。したがって、被告NTT コミュニケーションズは「開示関係役務提供者」に当たらない。 3 争点3(「複製」及び「公衆送信」該当性-本件投稿1 について)【原告の主張】 投稿画像1 は、本件漫画の一部を加工しているものの、吹き出し等の文章やコマ割りはそのままにされており、本件漫画との間の依拠性、類似性は明らかである。このような投稿画像1 をインターネット上に掲載する行為はサーバへのアップロードを必然的に伴い、当該サーバに著作物を有形的に再製している。また、インターネットへのアップロードは、公衆によって直接受信されることを目的として、無線又は有線電気通信を行うもののうち、 公衆からの求めに応じて自動的に行うものであり、自動公衆送信に該当する。 【被告KDDI の主張】投稿画像1 が本件漫画を加工したものであることは不知。仮にそうであるとしても、モザイク処理によって、投稿画像1 から認識し得る内容は専ら文字のみとなっているところ、当該文字による表現はありふれたものにすぎず、思想・感情を創作的に表現したものでは ない。 したがって、投稿画像1 は、本件漫画を有形的に再製したものとはいえず、自動公衆送信を行ったことにもならない。 4 争点4(引用としての適法性-本件投稿1 について)【被告NTT コミュニケーションズの主張】 本件投稿1 は、中傷を目的とするものではなく、あくまで原告の作品を批評又は批判するものであり、その範囲を逸脱するものではない。また、通常の注意をもって読めば、ハッシュタグとして記載 張】 本件投稿1 は、中傷を目的とするものではなく、あくまで原告の作品を批評又は批判するものであり、その範囲を逸脱するものではない。また、通常の注意をもって読めば、ハッシュタグとして記載された原告のペンネームが本件漫画の著作者名であると理解できることから、合理的な方法・程度により出所の表示がなされているといえる。 したがって、本件投稿1 は適法な引用に当たる。 【原告の主張】 本件投稿1 は、原告に対する中傷を目的としたものであるから、引用の目的上正当な範囲内でなされたものとはいえない。また、本件投稿1 においては、原告が管理するツイッターのアカウント名や該当ツイートの出所の明示がなされていないことから、公正な慣行に合致するものともいえない。 したがって、本件投稿1 は適法な引用に当たらない。 争点5(名誉感情侵害の成否-本件投稿1 について)【原告の主張】本件投稿1 は、原告が漫画家として落ちぶれており、絵も内容も進歩がないなどと一方的に断ずるものであり、原告にとって耐えがたい苦痛を与える。また、本件投稿1 は、本件漫画の内容を評価するような体裁をとっているが、「漫画家崩れ」という表現からも明ら かなように、原告個人に対して侮蔑的に中傷するものである。 したがって、本件投稿1 は、社会通念上許される限度を超えて原告の名誉感情を侵害する。 【被告KDDI の主張】本件投稿1 は、何ら具体的な事実や根拠を述べることなく、抽象的かつ極々簡単な投稿 をしたものにすぎず、その表現方法は執拗なものではなく、極端な揶揄、愚弄、嘲笑、侮蔑的な表現を用いてもいない。 したがって、本件投稿1 は、社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為に当たらない。 【被告NTT コミュニケーションズ 執拗なものではなく、極端な揶揄、愚弄、嘲笑、侮蔑的な表現を用いてもいない。 したがって、本件投稿1 は、社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為に当たらない。 【被告NTT コミュニケーションズの主張】本件投稿1 は、原告に不快感を与える内容であることは否めないものの、原告の作品に 対する批判を記載したものであって、表現として殊更不穏当でもなく、原告の人格攻撃に及ぶようなものでもない。そうである以上、本件投稿1 は、作品への批判として受忍限度内の投稿というべきである。 したがって、本件投稿1 は、社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為に当たらない。 6 争点6(「複製」及び「公衆送信」該当性-本件投稿2 について) 【原告の主張】 投稿画像2 は、投稿画像1 の一部をトリミングしたものであるから、前記3【原告の主張】と同様に、これをインターネット上に掲載する行為は複製及び公衆送信に該当する。 【被告KDDI の主張】投稿画像2 が投稿画像1 の一部をトリミングしたものであることは不知。仮にそうであったとしても、前記3【被告KDDI の主張】と同様に、複製及び公衆送信に該当しない。 【被告NTT コミュニケーションズの主張】投稿画像2 が仮に投稿画像1 の一部をトリミングしたものであるとしても、そこに記載されたセリフの内容は一般的な言葉の羅列であり、吹き出し部分も漫画作品で一般的に使用される形状にすぎない。 したがって、投稿画像2 自体は創作性を欠いており、本件投稿2 は、本件漫画に係る原 告の著作権を侵害するものではない。 7 争点7(名誉感情侵害の成否-本件投稿3 について)【原告の主張】本件投稿3 は、原告が漫画家として全く生活できていない、成り立っていないと一方的に決 告の著作権を侵害するものではない。 7 争点7(名誉感情侵害の成否-本件投稿3 について)【原告の主張】本件投稿3 は、原告が漫画家として全く生活できていない、成り立っていないと一方的に決めつけた上で生活が見苦しいなどと中傷するものであって、漫画家として真摯な作品 制作を行っている原告に対し耐え難い苦痛を与える。 したがって、本件投稿3 は、社会生活上の受忍限度を超えて原告の名誉感情を著しく侵害する。 【被告KDDI の主張】本件投稿3 は、何ら具体的な事実や根拠を述べることなく、抽象的かつ極々簡単な投稿 をしたものにすぎず、その表現方法は執拗なものではなく、極端な揶揄、愚弄、嘲笑、侮蔑的な表現を用いてもいない。 したがって、本件投稿3 は、社会通念上許される限度を超えた侮辱行為に当たらない。 【被告NTT コミュニケーションズの主張】本件投稿3 は、原告が漫画家として生活できる程度には成功しておらず、生活に困窮し ている旨述べるものの、漫画家としての収入額や生活の困窮度合を示す具体的な事実等を 摘示して殊更に原告を貶すといったものではない。 したがって、本件投稿3 は、社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為に当たらない。 第4 当裁判所の判断 1 事案に鑑み、まず、本件投稿1 について検討する。 2 争点1(本件発信者情報の「権利の侵害に係る発信者情報」該当性)について (1) 法4 条1 項は、特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者が開示関係役務提供者に対して開示を請求することができる情報を「権利の侵害に係る発信者情報」と規定しており、開示請求の対象となる発信者情報は、権利の侵害と一定の関連性を有するものに限定されている。ここで、必要となる関連性の程 て開示を請求することができる情報を「権利の侵害に係る発信者情報」と規定しており、開示請求の対象となる発信者情報は、権利の侵害と一定の関連性を有するものに限定されている。ここで、必要となる関連性の程度は法4 条の趣旨を踏まえて検討すべきところ、その趣旨は、特定電気通信による情報の流通によって 権利の侵害を受けた者が、情報の発信者のプライバシー、表現の自由、通信の秘密に配慮した厳格な要件の下で、当該電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者に対して発信者情報の開示を請求することができるものとすることにより、加害者の特定を可能にして被害者の権利の救済を図ることにあると解される(最高裁平成 22 年4 月8 日第一小法廷判決・民集64 巻3 号676 頁参照)。このため、当該発信者情報が 被害者の権利を侵害した加害者に関するものであると認められる場合は、それが権利を侵害した情報の流通過程で把握されたものであるか否かにかかわらず、「権利の侵害に係る発信者情報」に当たると解される。 (2) 弁論の全趣旨によれば、ツイッターで記事を投稿するためには事前に登録したアカウントにログインする必要があり、そのためには事前に設定したパスワード等を入力する 必要があることが認められる。このようなツイッターの仕組みに加え、本件において、本件アカウントを利用する人物が複数存在することをうかがわせる具体的な事情は見当たらず、かえって、被告らの各意見照会に対しておおむね同趣旨というべき回答がされたこと(乙1、丙1)を踏まえると、本件ログイン1 及び本件各ログイン2 は、本件アカウントを利用してツイッターに記事を投稿していた本件投稿者によってなされたものであることが 認められる。そうすると、本件ログイン1 及び本件各ログイ グイン1 及び本件各ログイン2 は、本件アカウントを利用してツイッターに記事を投稿していた本件投稿者によってなされたものであることが 認められる。そうすると、本件ログイン1 及び本件各ログイン2 に用いられたIP アドレス に係る本件発信者情報は、いずれも本件投稿者に関するものといえる。 したがって、本件発信者情報は、いずれも「権利の侵害に係る発信者情報」(法4 条1 項)に当たる。これに反する被告らの主張はいずれも採用できない。 3 争点2(被告らの「開示関係役務提供者」該当性)について前提事実(前記第2 の2(1)、(3)ア)、前記2 の認定事実及び弁論の全趣旨によれば、本件 投稿1 は、本件投稿者が、インターネット上において、不特定の者が閲覧するツイッターに投稿したものである。また、被告らは、いずれも、不特定の者によって受信されることを目的とする電気通信の送信(特定電気通信)の用に供される電気通信設備(特定電気通信設備)を他人の通信の用に供する者(特定電気通信役務提供者)である。 そうすると、本件投稿1 が原告の権利を侵害するものとされる場合、被告らは、いずれ も、本件投稿1 に係る特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者すなわち「開示関係役務提供者」に当たるといえる。 4 争点3(「複製」及び「公衆送信」該当性)について本件漫画は、作者の分身とされる漫画家のキャラクターがゲームキャラクターの二次創作に関する主張を展開する「ウマ娘ぜんぜん知らないマンガ家。」と題する4 コマ漫画であ り、その図柄、背景、吹き出しの配置等は別紙著作物目録のとおりである。また、登場キャラクターによる具体的なセリフは次のとおりである。(甲9、弁論の全趣旨)「はいどうもー」、「以 マ漫画であ り、その図柄、背景、吹き出しの配置等は別紙著作物目録のとおりである。また、登場キャラクターによる具体的なセリフは次のとおりである。(甲9、弁論の全趣旨)「はいどうもー」、「以前は『(省略)』を名のってましたが今は『(省略)』を名のっております(省略)でーす/もちろんペンネームです」、「なんかさー」、「ウマ娘の二次創作ってややこしいことになってんだって?/エロがダメとか/でその理由が/馬主が怒るか ら?」、「はあ?」、「何素直に言うこと聞いてんだエロ絵描き!!!!」、「これまで公式とか一切ムシしてエロを描いてきたんだろが!!/それが?」、「馬主に怒られるからやめる?/おめーらのリビドーは相手の強さで出し入れすんのかよ」これらのセリフは、原告が、ゲームキャラクターの二次創作に関する自己の主張を独特の言い回しないし言葉遣い等を選択して表現したものと認められ、本件漫画の表現上の本 質的特徴を直接感得させる部分をなすものといえる。 他方、投稿画像1 は、本件漫画の構成要素のうち概ねキャラクターの顔部分にのみモザイク処理が施されたものであって、本件漫画と対比すると、キャラクターの表情等は認識できないようになっているが、それ以外のセリフ部分等は、本件漫画の表現がそのまま残されていることが認められる。上記のとおり、本件漫画のセリフ部分は本件漫画の表現上の本質的特徴を直接感得させる部分をなすものであるから、これらを全て表示している以 上、投稿画像1 は、本件漫画の表現上の本質的特徴を直接感得させるものであり、本件漫画との実質的同一性をなお失っていないものといえる。 そうすると、本件投稿1 のインターネット上への掲載は、本件漫画の「複製」及び「公衆送信」(自動公衆送信)に該当する。 したがって、本件 本件漫画との実質的同一性をなお失っていないものといえる。 そうすると、本件投稿1 のインターネット上への掲載は、本件漫画の「複製」及び「公衆送信」(自動公衆送信)に該当する。 したがって、本件投稿1 は、原告の本件漫画に係る著作権(複製権、公衆送信権)を侵 害するものといえる。これに反する被告KDDI の主張は採用できない。 争点4(引用としての適法性)について著作物を引用した利用が適法といえるためには、引用が、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行われるものでなければならない(著作権法32 条1 項後段)。 前提事実(第2 の2(3)ア)のとおり、本件投稿1 は、本文として、「この漫画家崩れに関してはwiki 付けて周知してもらった方が良いと思うよ/しかし成長しないね、絵も中身も/#a」などと記載しているものである。この内容に鑑みると、本件投稿者が本件投稿1 に投稿画像1 を添付した目的は、本件漫画を批評するに当たって実際に本件漫画の内容を示すことにあったことがうかがわれる。 しかし、本件投稿1 の本文のうち本件漫画の内容に具体的に言及する部分は、「しかし成長しないね、絵も中身も」というわずか15 文字の簡単かつ概括的な感想のみである(なお、本件投稿1 に連続する本件投稿者による投稿も見当たらない。)。そうすると、ツイッターが短文投稿サイトであることを考慮しても、本件投稿1 において、投稿画像1 全体を画像として添付する必要性があったとはいい難い。また、投稿画像1 は、キャラクターの顔部 分(本件漫画全体の面積に占める割合は4 分の1 程度である。)にモザイク処理が施されて いるものの、それ以外の部分は、セリフ部分を含めて本件漫画の 像1 は、キャラクターの顔部 分(本件漫画全体の面積に占める割合は4 分の1 程度である。)にモザイク処理が施されて いるものの、それ以外の部分は、セリフ部分を含めて本件漫画の表現がほぼそのまま表示されている。しかも、本件投稿1 の表示(甲1 の1)において、投稿画像1 は全体の8 割程度を占める。このため、本件投稿1 における引用部分(本文)と被引用部分(投稿画像1)の情報量等には、大きな差がある。 これらの事情に鑑みると、本件投稿1 における投稿画像1 の引用は、引用の方法及び態 様の点で、社会通念に照らし、公正な慣行に合致し、かつ、引用目的との関係で正当な範囲内で行われたものということはできない。 したがって、本件投稿1 による投稿画像1 の引用は、適法な引用の要件を満たすものとはいえない。これに反する被告NTT コミュニケーションズの主張は採用できない。 6 小括 以上より、本件投稿1 の流通により原告の本件漫画に係る著作権(複製権、公衆送信権)が侵害されたことは明らかと認められ、また、前記3 記載のとおり、被告らは、いずれも「開示関係役務提供者」に該当するといえる。 そうすると、その余の点について論ずるまでもなく、原告は、本件投稿1 による本件漫画の著作権(複製権、公衆送信権)侵害について、被告らに対し、本件発信者情報の開示 請求権を有する。 第5 結論よって、原告の請求はいずれも理由があるからこれを認容することとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第47 部 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官鈴木美智子 裁判長裁判官 杉浦正樹 裁判官鈴木美智子 裁判官稲垣雄大 別紙当事者目録 原告A 同訴訟代理人弁護士田中圭祐 同吉永雅洋 同遠藤大介 同蓮池純 同神田竜輔 被告KDDI株式会社 (以下「被告KDDI」という。) 同訴訟代理人弁護士星川勇二 同星川信行 同渡部英人 同佐野雄一 同工藤慶太 被告エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社 (以下「被告NTTコミュニケーションズ」という。) 同訴訟代理人弁護士松田真 別紙発信者情報目録1 別紙ログイン情報目録1「IPアドレス」欄記載のIPアドレスを割り当てられた電気通信設備から別紙投稿記事目録1「接続先IPアドレス」欄記載のIPアドレスに対して通信を行った電気通信回線を、別紙ログイン情報目録1「ログイン日時(日本時間)」欄記載の日時頃に使用した者に関する情報であって、次に掲げる情報。 1 氏名又は名称 2 住所 別紙発信者情報目録2 別紙ログイン情報目録2「IPアドレス」欄記載のIPアドレスを割り当てられた電気通信設備から別紙投稿記事目録1「接続先IPアドレス」欄記載のIPアドレスに対して 別紙発信者情報目録2別紙ログイン情報目録2「IP アドレス」欄記載のIP アドレスを割り当てられた電気通信設備から別紙投稿記事目録1「接続先IP アドレス」欄記載のIP アドレスに対して通信を行った電気通信回線を、別紙ログイン情報目録2「ログイン日時(日本時間)」欄記載の日時頃に使用した者に関する情報であって、次に掲げる情報。 1 氏名又は名称 2 住所 3 メールアドレス 別紙ログイン情報目録1 省略別紙ログイン情報目録2 省略別紙投稿記事目録1~3 省略別紙著作物目録省略
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