【DRY-RUN】主 文 本件控訴を棄却する。 理 由 弁護人中村義夫の控訴趣意は同人提出の控訴趣意書記載の通りであるからこれを 引用する。 原審が被告人が患者等の歯牙脱落部
主文 本件控訴を棄却する。 理由 弁護人中村義夫の控訴趣意は同人提出の控訴趣意書記載の通りであるからこれを引用する。 原審が被告人が患者等の歯牙脱落部の型を採り義歯を作りこれを同人等の歯牙脱落部に嵌入した事実を夫々認定しこれに対し歯科医師法第十七条第二十九条第一項を適用処断したことは所論の通りである。弁護人は右被告人の嵌入は所謂試適行為として義歯の製作販売と共に当然歯科技工師の為し得る義務範囲に属するもので<要旨>あつて原判決には法令の解釈を誤つた違法がある旨を主張するのであるがもとより金冠義歯の単なる製作販売</要旨>のみに止まる場合は所謂歯科技工師の業務範囲に属するものと謂うを得べきも印象採得即ち義歯又は金冠製作の為直接患者の口中より「かた」をとる行為及び試適即ち義歯又は金冠の製作に際し直接患者の口中にあてて適否を試みる行為並びに嵌入即ち完成せる義歯又は金冠を人体に装着するに当つて修正する行為の如きはいずれも直接患者につき施術をなすを要するものであつて当然歯科医業の範囲に属し所謂歯科技工師のなし得る業務ではない。蓋し右の如き施術は臨床上必要な歯科医学及び口くう衛生に関する知識技能を具有する歯科医師にして始めてこれを信用し得るのみならず歯科衛生士法第二条によれば同法による試験に合格しその免許を得た歯科衛生士においてすら歯牙及び口くうの病患の予防処置について、一、歯牙露出面及び正当な歯ぐきの遊離縁下の附着物及び沈着物を機械的操作によつて除去すること二、歯牙及び口くうに対して薬物を塗布することの各行為をなすについても歯科医師の直接の指導下にその業をなすを要する旨を規定するに反し所謂歯科技工師なるものについてはその資格の取得及びその行政的取締に関し何等の法規が存しない点より見るも右印象採得、試 為をなすについても歯科医師の直接の指導下にその業をなすを要する旨を規定するに反し所謂歯科技工師なるものについてはその資格の取得及びその行政的取締に関し何等の法規が存しない点より見るも右印象採得、試適、嵌入の各施術はいずれも歯科医師のみこれを行い得るものと解すべきであつて若し所論の如く右の施術を歯科医業の範囲でなくその以外の所謂歯科技工師の業務範囲に属することを認容すればかかる国民衛生に重大なる関係を有する施術行為を無制限に放任するの結果を生ずるのを保し難いからである。此の故に厚生省医務局においては従来より印象採得、試適、嵌入いずれも歯科医業の範囲に属するものと解釈し司法省刑事局においても右医務局の問合せに対し前同様の回答を与え(本件押収に係る釧路地方裁判所北見支部昭和二十六年(領)第五号検第一号歯牙医業の範囲について参照)又A歯科技工師会においてもその所属会員に対し右の諸施術行為を禁止(本件記録九丁以下Bの釧路地方裁判所北見支部宛書状参照)しているものの如くである。従つこ原審が原判示事実を認定し被告人の所為に対し歯科医師法第十七条第二十九条第一項を適用処断したのは正当であつて原判決には法令の解釈を誤つた違法はない。結局論旨は独自の見解に基くものであり採用に値しない。 よつて刑事訴訟法第三百九十六条により本件控訴を棄却すべきものとし主文の通り判決する。 (裁判長判事黒田俊一判事百村五郎左衛門判事東徹)
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