【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件各控訴を棄却する。 原審における訴訟費用のうち、証人A、同Bに支給した分を被告人Cの、 証人D、同Eに支給した分の二分の一ずつを各被
主 文 原判決を破棄する。 本件各控訴を棄却する。 原審における訴訟費用のうち、証人A、同Bに支給した分を被告人Cの、 証人D、同Eに支給した分の二分の一ずつを各被告人の、負担とする。 理 由 検察官の上告趣意第一点は、憲法二八条違反をいうが、その実質は単なる法令違 反の主張であり、同第二点は、判例違反をいうが、所論引用の判例はいずれも事案 を異にし本件に適切ではなく、同第三点は、単なる法令違反の主張であつて、すべ て刑訴法四〇五条の上告理由にあたらない。 しかしながら、所論にかんがみ職権をもつて調査すると、原判決は、以下に述べ る理由により、結局破棄を免れない。 本件公訴事実につき、第一審判決は、暴行、逮捕の事実を認定し、各行為はいず れも全法律秩序の精神から是認し得ず違法であり、弁護人の主張はすべて採用する に由なきものであるとして、各被告人を有罪としたのであるが、原判決は、第一審 判決のなした各行為の存在を認めた事実認定及び構成要件上の評価には誤りはない けれども、各行為は、実質的に考察する場合その違法性の程度において可罰性を帯 有するにいたるまでの犯罪行為とはみなしがたく、罪とならない行為と認めるべき であるとして、第一審判決を破棄し、各被告人を無罪としたのである。 ところで、原判決が第一審の認定を維持した本件暴行、逮捕の事実関係の大要は、 次のとおりである。 大阪府八尾市に所在する株式会社FのG労働組合(以下本社組合という。)とこ れから脱退した者を中心とするG千葉工場労働組合(以下千葉組合という。)との 間の紛争の過程で、昭和四〇年三月一日早朝千葉組合の書記長Hが、先に本社組合 - 1 - が配付した「賃上要求貫徹のため全組合員の団結で分裂攻撃を打破ろう」と題する 千葉組合非難のビラに対して千 )との 間の紛争の過程で、昭和四〇年三月一日早朝千葉組合の書記長Hが、先に本社組合 - 1 - が配付した「賃上要求貫徹のため全組合員の団結で分裂攻撃を打破ろう」と題する 千葉組合非難のビラに対して千葉組合の言い分を記載した「皆さん千葉工場の私達 の本当の気持をわかつて下さい」と題するビラを本社で従業員に配付しようとした ところ、一、当時本社組合の副組合長をしていた被告人Cは、同日午前七時ころ、 本社東門保安室前付近で、ビラを配付するHに対し、右手で同人の左肩を掴んでこ れを後方に引きのかせ、ひじで同人の胸部付近を一回突き、同七時二〇分ころ、右 手で同人の胸部辺を二回突き、ビラ配付を断念してタクシーに乗車しようとする同 人の手首を掴み、腕を組むようにして引つ張り、近くの組合事務所に連れ込み、同 七時三〇分ころ、口実を設けて逃れ出てタクシーに乗り扉を閉めた同人に対し、扉 を開け、右手で同人の左手首を握り左手でその胸の辺の着衣を掴んで車外に引つ張 り出し、右腕で同人の左腕を抱えるようにして、再び同人を組合事務所に同行し、 二、被告人C及び本社組合の書記長をしていた被告人Iは、Hの配付しようとした ビラの内容について取消文を書かせるため、一旦組合事務所から正門まで出て行つ たHを再び同事務所に連れ戻そうと考え、意思を相通じて、同日午後一時三〇分こ ろ、本社正門付近において、被告人らを振り切つて退去しようとする同人の前に立 ちふさがり同人を中にはさんでそれぞれその両腕を抱え、正門付近から職員更衣室 北側に至る約六〇メートルの構内通路を約一五分にわたり無理に連行したものであ る。 右の本件各行為は、法秩序全体の見地からこれをみるとき(昭和四三年(あ)第 八三七号同四八年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻三号四一八頁参照)、原判決 の判示するその動機目的、具体的状況、その他諸般の事情を 本件各行為は、法秩序全体の見地からこれをみるとき(昭和四三年(あ)第 八三七号同四八年四月二五日大法廷判決・刑集二七巻三号四一八頁参照)、原判決 の判示するその動機目的、具体的状況、その他諸般の事情を考慮に入れても、到底 許容されるものとはいい難く、本件各行為が可罰的違法性を欠くとして各被告人に 対し無罪を言い渡した原判断には法令の違反があり、これが判決に影響を及ぼし、 原判決を破棄しなければ著しく正義に反するものであることは明らかである。 - 2 - よつて、刑訴法四一一条一号により原判決を全部破棄し、なお、第一審判決は当 裁判所の判断と結論において一致しこれを維持すべきものであるから、同法四一三 条但書、三九六条、一八一条一項本文により被告事件について主文のとおり判決す る。 この判決は、裁判官全員一致の意見によるものである。 検察官石井春水 同海治立憲 公判出席 昭和五〇年八月一日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 小 川 信 雄 裁判官 岡 原 昌 男 裁判官 大 塚 喜 一 郎 裁判官 吉 田 豊 - 3 -
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