平成13年(行ケ)第22号特許取消決定取消請求事件(平成13年10月4日口頭弁論終結)判決原告ヤマハ株式会社訴訟代理人弁理士三枝英二同舘泰光同眞下晋一被告特許庁長官及川耕造指定代理人田口英雄同山本章裕同小林信雄同茂木静代 主文 特許庁が異議2000-72477号事件について平成12年12月1日にした決定を取り消す。 訴訟費用は各自の負担とする。 事実 第1 請求主文第1項と同旨第2 前提となる事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は、発明の名称を「自動演奏ピアノ用ペダル駆動機構」とする特許第2991124号の発明(平成元年1月19日に出願された実願平1-4584号を特許法46条1項の規定により平成8年8月29日に特願平8-229070号として特許出願に変更し、平成11年10月15日設定登録。以下「本件発明」という。)の特許権者である。 本件発明に対して特許異議の申立てがされ、同申立ては異議2000-72477号事件として特許庁に係属したところ、原告は、平成12年10月27日、本件発明に係る明細書(以下「本件明細書」という。 。 本件発明に対して特許異議の申立てがされ、同申立ては異議2000-72477号事件として特許庁に係属したところ、原告は、平成12年10月27日、本件発明に係る明細書(以下「本件明細書」という。)の特許請求の範囲を訂正する旨の訂正請求をした。 特許庁は、同事件を審理した上、平成12年12月1日、「訂正を認める。特許第2991124号の特許を取り消す。」との決定(以下「本件決定」という。別紙1決定書写し参照)をし、その謄本は、同月20日、原告に送達された。 (2) 原告は、本訴提起後の平成13年3月21日、本件明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載を特許請求の範囲の減縮等を目的として訂正する訂正審判の請求をしたところ、特許庁は、同請求を訂正2001-39047号事件として審理した上、平成13年6月21日、上記訂正を認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。別紙2審決書写し参照)をし、その謄本は、同年7月4日、原告に送達され、本件訂正審決は確定した。 2 本件明細書の特許請求の範囲の記載(1) 本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲の記載(下線部が上記1(1)の平成12年10月27日付けの訂正請求にかかる訂正箇所である。)ピアノ本体に回動自在に配設されたペダルに連結され、該ペダルの回動に連動して上下動するペダル突上棒と、該ペダル突上棒に接続され、演奏データに応じた電力の供給を受けて上記ペダル突上棒を上下動させるペダル駆動ソレノイドとを具備した自動演奏ピアノ用ペダル駆動機構において、前記ペダル駆動ソレノイドの本体を前記ピアノ本体に固定し、該ペダル駆動ソレノイドのプランジャと前記ペダル突上棒とを同軸上に連設して、該プランジャの摺動方向端部と、前記ペダル突上棒接続端部とを回動自在に連結したことを特徴とする自動演奏 ピアノ本体に固定し、該ペダル駆動ソレノイドのプランジャと前記ペダル突上棒とを同軸上に連設して、該プランジャの摺動方向端部と、前記ペダル突上棒接続端部とを回動自在に連結したことを特徴とする自動演奏ピアノ用ペダル駆動機構。 (2) 本件訂正審決による訂正後の特許請求の範囲の記載(下線部が本件訂正審決による訂正箇所である。)ペダル軸を境に前面側が踏み込み部とされ背面側にペダル突上棒が連結されたペダルと、ピアノ本体に回動自在に配設されたペダルに連結され、該ペダルの回動に連動して上下動するペダル突上棒と、該ペダル突上棒に接続され、演奏データに応じた電力の供給を受けて上記ペダル突上棒を上下動させるペダル駆動ソレノイドとを具備した自動演奏ピアノ用ペダル駆動機構において、前記ペダル駆動ソレノイドの本体を前記ピアノ本体に固定し、該ペダル駆動ソレノイドのプランジャと前記ペダル突上棒とを同軸上に連設して、該プランジャの摺動方向端部と、前記ペダル突上棒接続端部とを回動自在に連結し、自動演奏時のペダル操作のために、演奏データに対応する駆動電流がペダルソレノイドに供給され、該駆動電流に応じてプランジャが駆動されることを特徴とする自動演奏ピアノ用ダンパペダル駆動機構。 3 本件決定の理由の要旨別紙1決定書写しのとおり、本件決定は、上記1(1)の原告の平成12年10月27日付けの訂正請求を認めて、本件発明の要旨を上記2(1)の本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲に記載のとおりと認定した上で、本件発明は、刊行物1(実開昭55-167287号のマイクロフィルム)及び刊行物2(実開昭59-27597号のマイクロフィルム)にそれぞれ記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反しており、取り ィルム)及び刊行物2(実開昭59-27597号のマイクロフィルム)にそれぞれ記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定に違反しており、取り消されるべきであるとした。 第3 当事者の主張の要点 1 原告上記1(2)のとおり、本件訂正審決による訂正は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、本件発明の特許を取り消した本件決定の取消しを目的とする本件訴訟の係属中に、本件発明について特許請求の範囲の減縮を目的とする本件訂正審決が確定した。 そこで、本件決定が本件発明の要旨を上記2(1)の本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲に記載のとおりと認定したことは誤りに帰し、この瑕疵は違法であるから、本件決定は取り消されなければならない。 2 被告原告主張のとおり、本件発明について本件訂正審決が確定したことは認める。 理由 1 本件訂正審決の確定により本件発明について特許請求の範囲が前記のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく、この訂正によって本件発明について特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると、本件決定が本件発明の要旨を本件訂正審決による訂正前の特許請求の範囲に記載のとおりと認定したことは、結果的に誤りがあることになり、この誤りは本件決定の結論に影響を及ぼすものとして違法であるから、本件決定は取消しを免れない。 2 よって、原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し、訴訟費用の負担につき、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法62条を適用して、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官永井紀昭裁判官塩月秀平 主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第18民事部裁判長裁判官永井紀昭裁判官塩月秀平裁判官橋本英史別紙1 (本件決定書、甲第1号証)別紙2 (訂正審判の審決書、甲第10号証)
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