昭和54(オ)29 土地所有権移転登記手続

裁判年月日・裁判所
昭和54年9月6日 最高裁判所第一小法廷 判決 破棄差戻 名古屋高等裁判所 金沢支部 昭和52(ネ)71
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【DRY-RUN】主    文      原判決を破棄する。      本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。          理    由  上告代理人澤田儀一、同内山弘道の上告理由第一点について  原判決は、上告人の

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判決文本文3,044 文字)

主文 原判決を破棄する。 本件を名古屋高等裁判所に差し戻す。 理由 上告代理人澤田儀一、同内山弘道の上告理由第一点について原判決は、上告人の売買の主張につき、次のように判示してこれを排斥した。すなわち、第一審における証人Dの証言及び上告人本人尋問の結果中には、昭和二五年一〇月ごろ訴外Eから聞かされたこととして、そのころEが上告人を代理して被上告人と交渉した結果、同人から上告人主張の土地一三坪を代金坪当り五〇〇〇円で買い受ける話がまとまり、とりあえず一〇坪分の代金として五万円を支払つた旨の供述部分があるが、右供述はいずれも伝聞であるのみならず、被上告人が五万円の支払を受けるのと引換えにEに交付したものであることが認められる甲第八、第九号証には、被上告人が右金員を預かる旨が記載されているだけで売買の趣旨は記載されていないこととも矛盾することに照らして採用することができず、他に売買の合意が成立したことを認めるに足りる証拠はなく、かえつて、右甲第八、第九号証と被上告人本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、被上告人はEに対し土地を貸すことを承諾しただけであり、右五万円は被上告人において敷金及び当座の賃料として受け取つたものであると認めることができる、というのである。 所論は、要するに、原判決の右認定に経験則違背、理由不備、審理不尽の違法があるというのである。そこで検討するに、本件においては、上告人主張の売買契約を直接証明するものとしての売買契約書は存在せず、上告人が主として依拠する書証は、前記甲第八、第九号証と第一審が上告人主張の売買の成立を認定するにつき証拠として掲げている甲第一〇号証だけである。ところで、右甲第八号証は、被上告人からEにあてた昭和二五年一二月三〇日付の金一万円の預り証 第八、第九号証と第一審が上告人主張の売買の成立を認定するにつき証拠として掲げている甲第一〇号証だけである。ところで、右甲第八号証は、被上告人からEにあてた昭和二五年一二月三〇日付の金一万円の預り証であり、同第九- 1 -号証は同じく同月一九日付の金四万円の預り証であるが、右各預り金がいかなる趣旨の金員であるかを窺わせる記載は全くなく、しかもこの点に直接触れる証拠としては、前記のように、右が売買代金の一部として支払われたものであるとする第一審における証人Dの証言及び上告人本人尋問の結果と、これは土地の賃貸につき支払われた敷金と当分の間の賃料であるとする第一審における被上告人本人尋問の結果との、相互に矛盾対立する供述が存するのみである。このような状況の下において、右の対立する各供述のうちいずれを採用すべきかについては、各供述内容自体を吟味し、かつ証拠によつて認められる他の事実との関係を考慮してこれを決するほかないところ、原審は、前記のようにD証人と上告人の各供述については、それが伝聞でありかつ甲第八、第九号証に上記各金員を預かる旨記載されていることと矛盾するとしてこれを排斥し、逆に被上告人の供述を措信すべきものとして前記五万円は土地賃貸借の敷金及び当分の間の賃料として支払われたものと認定しているのである。 しかしながら、甲第八、第九号証に金員を預かる旨記載されていることは、かならずしもD証人と上告人の上記各供述と矛盾するとはいえないのみならず、第一審判決が上告人主張の売買の成立を認める証拠として掲げている前記甲第一〇号証の封筒には、その表に「昭和二十五年十二月F様ノ土地領収書」という記載があり、第一審における上告人本人尋問の結果及び記録から窺われる弁論の全趣旨によると、右はEの記載にかかるものであつて、右封筒はEが甲第八、第九号証をこ 昭和二十五年十二月F様ノ土地領収書」という記載があり、第一審における上告人本人尋問の結果及び記録から窺われる弁論の全趣旨によると、右はEの記載にかかるものであつて、右封筒はEが甲第八、第九号証をこれに収納していたことが推認されるところ、右記載文言は直ちにもつて土地売買代金領収書の意味をあらわしたものとすることはできないとはいえ、どちらかといえばそのような趣旨に理解するのが素直であると考えられないでもないこと、また、第一審における証人Dの証言及び上告人本人尋問の結果によれば、上告人はそれまで上告人が所有していた土地を売却して地上建物を本件土地上に移築したというのであり、- 2 -そうであるとすれば、本件土地を購入するためでなく単に賃借するために自己の所有地を売却するというようなことは、特段の事情のない限り考えられないことであるから、このこともまた本件土地に関する取引が売買であることを示唆するものと考えられるなど、前記各供述の信憑力をむげに排斥しえない点が存するのみならず、逆に被上告人の供述をみると、被上告人は、上告人代理人Eから本件土地の賃貸の申込みを受け、賃貸すべき土地の範囲、坪数を限定することなく、また賃料額及び賃貸期間につき具体的な取決めをすることもなく、漫然と一、二年ぐらいの期間の賃貸と考えてこれを承諾し、Eが持参した最初の四万円は敷金と思い、また次の一万円は右期間の賃料の前払いと思つて受け取つたというのであつて、右供述内容自体通常の不動産賃貸借において賃貸人のとる措置、態度としては極めて異常といわざるをえないことに加えて、被上告人自身その後上告人に対して一回も賃料額の決定及びその支払を請求したことがない旨自陳し、また、前掲証人Dの証言及び上告人本人尋問の結果によれば被上告人は上告人に対し土地の明渡を請求したこともないことが 身その後上告人に対して一回も賃料額の決定及びその支払を請求したことがない旨自陳し、また、前掲証人Dの証言及び上告人本人尋問の結果によれば被上告人は上告人に対し土地の明渡を請求したこともないことが窺われることなどに照らせば、被上告人の前記供述の信憑性には多分に疑問の余地があるといわざるをえないのである。のみならず、さらに重要な点は、前記授受された五万円の金額と本件土地の昭和二五年当時の時価との関係であつて、右時価に照らして五万円の金額が上告人のいうように一〇坪分の土地の売買代金額とみられるようなものか、それともこれよりはるかに低額で、被上告人のいうように当時の土地賃貸借の実情の下において一般に授受される賃貸借の敷金と一、二年分の賃料の合計額とみるのが相当と思われる金額か、そのいずれであるかが右五万円の授受の趣旨を判断するについて決定的ともいうべき重要性をもつ要素であると考えられるのに、原判決はなんらこの点に触れるところがなく、また、これに考慮を払つた形跡も窺われないのである。 以上の諸点に照らして考えると、原判決には、経験則ないし採証法則の適用を誤- 3 -つたか又は審理不尽の違法があるものといわざるをえず、その違法が結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨はこの点で理由があり、原判決は、その余の点につき判断するまでもなく、破棄を免れない。そして、本件はなお審理を尽くさせるため原審に差し戻す必要がある。 よつて、民訴法四〇七条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官戸田弘裁判官団藤重光裁判官藤崎萬里 長裁判官戸田弘裁判官団藤重光裁判官藤崎萬里裁判官本山亨裁判官中村治朗- 4 -

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