平成14(ワ)985 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年6月22日 那覇地方裁判所
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判決文本文18,214 文字)

平成14年(ワ)第985号損害賠償請求事件 主文 1 被告は,原告に対し,6707万8850円及びこれに対する平成14年11月10日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は,これを2分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。 4 この判決は,第1項に限り仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求の趣旨等 1 被告は,原告に対して,1億3865万7700円及びこれに対する平成14年11月10日から支払済みまで年5%の割合による金員を支払え。 2 仮執行宣言第2 事案の概要本件は,原告が税理士である被告に対し,原告が税務署から青色申告承認を取り消され,又は税務申告が過少申告であるとして更正決定等を受けたのは,被告の過誤によるものである,あるいは被告が原告の金員を着服したなどと主張して,損害賠償等を求めたものである。 1 前提事実(証拠掲記のない事実は争いがない。)(1) 原告は,医師であり,いわゆる青色申告者として認定を受けていた。 (2) 原告は,税理士である被告に,少なくとも税務書類(税務官公署に対する申告等に係る申告書,申請書,不服申立書等)の作成及び税務代理(税務官公署に対する租税に関する法令の規定に基づく申告,申請,請求,その他これらに準ずる行為(不服申立てを除く。)につき,または,税務官公署に対してする主張もしくは陳述につき,代理し,または代行すること)を委任した。 (3) 原告は,平成13年12月11日,那覇税務署長から,平成8年分以降の青色申告の承認を取り消された(以下「本件取消処分」という。)。その理由は,以下のとおりである。 ア平成8年分ないし平成12年分において ,平成13年12月11日,那覇税務署長から,平成8年分以降の青色申告の承認を取り消された(以下「本件取消処分」という。)。その理由は,以下のとおりである。 ア平成8年分ないし平成12年分において,現金の出納等に関する事項を記載した帳簿の記載及び備付けがないことイ平成8年分ないし平成12年分において,総勘定元帳に関して,給与賃金等の必要経費の記載が日々記載されておらず,12月31日に一括計上されていることこれらのことは,所得税法148条1項に規定する財務省令で定めるところに従っていないことになり,同法150条1項1号に該当する(青色申告承認取消しの理由について甲6)。 (4) また,那覇税務署長は,平成8年分から平成12年分までの原告が納付すべき所得税及び地方税について,平成13年12月11日,当初申告額が過少申告であったとの理由により,次のとおり更正決定及び過少申告加算税等の賦課決定を行った(当初の税務調査対象は平成9年分から平成11年分までであったが,平成8年分まで遡及し,同年から平成12年分までの原告の所得税について更正決定等をした。以下「本件更正決定等」という。)。 (所得税の更正額)ア平成8年分所得税1762万9000円,加算税155万7000円,重加算税87万5000円イ平成9年分所得税2169万5000円,加算税156万5500円,重加算税215万2500円ウ平成10年分所得税2058万円,加算税222万6500円,重加算税43万7500円エ平成11年分所得税2063万9700円,加算税235万2000円,重加算税37万8000円オ平成12年分所得税1682万2100円,加算税149万0500円,重加算税96万9500円合計所得税9736万5800円,加算税919万1500円,重加算税 円,重加算税37万8000円オ平成12年分所得税1682万2100円,加算税149万0500円,重加算税96万9500円合計所得税9736万5800円,加算税919万1500円,重加算税481万2500円総合計1億1136万9800円(所得税の更正決定に伴う地方税の増税額)ア平成9年分  652万6600円イ平成10年分 541万1100円ウ平成11年分 724万1300円エ平成12年分 591万6900円合計2509万5900円(5) 本件取消処分及び本件更正決定等については,平成14年2月13日,原告の代理人である被告から異議申立てがされた。そして,那覇税務署長は,同年5月29日,平成11年分について更正決定の一部を取り消す旨の異議決定をした。 これにより,平成11年分の原告の所得税は1910万2700円(異議決定による認定所得金額9244万8248円に基づき納付すべき税額1956万1600円から,当初の申告納税額45万8900円を控除したもの)に,加算税は212万1000円になり,また,同年分の所得税の更正決定に伴う地方税の増税額は670万1300円となったが,重加算税の課税額に変更はなかった。 これに対し,原告の所得税の青色申告承認取消処分並びに平成8年分ないし平成10年分及び平成12年分の原告の所得税の各更正処分及び重加算税の各賦課決定処分に対する異議申立ては,いずれも棄却された。 (甲45,64,67,68。以下「本件異議決定」という。) 2 争点及び争点に関する当事者の主張(1) 原告が本件取消処分及び本件更正決定等を受けたことに関する被告の責任の存否(原告の主張)ア原告は,被告に税理士法2条1項及びこれに付随する同条2項の書類作成,記帳の代行を依頼してきた。被告は,昭和57年ころから原告の経 更正決定等を受けたことに関する被告の責任の存否(原告の主張)ア原告は,被告に税理士法2条1項及びこれに付随する同条2項の書類作成,記帳の代行を依頼してきた。被告は,昭和57年ころから原告の経理を担当しているが,これまでずっと総勘定元帳は被告が作成していたのであり,これが原告から被告への依頼事項である。医療機関に対する定期的な調査が数度あったが,その都度被告が作成した総勘定元帳を提出している。 また,申告業務については被告が行い,税務についてはすべて被告が原告にアドバイスを行い,原告はそれに従ってきた。 イ被告は,平成8年にも原告の税務申告について税務署から調査を受け,平成5年分ないし平成7年分について追徴課税を受けたにもかかわらず,原告にその事実を報告せず,追徴分を他の名目で原告から支出させた。この事実が原告に分かっていれば,税理士を交代させるなどして正しい申告をすることができ,平成8年から5年間分の追徴課税を受けることはなかった。上記税務調査の翌年である平成9年からも,被告は,原告に関する勘定元帳を作成せず,領収書を紛失するなどして正しい数値を把握せず,適当に申告をしていた。 なお,被告は,平成8年分と平成12年分については,申告時期に原告の確定申告さえもせず,税務署としては原告に対して概算の課税をするほかなかった。 ウまた,被告は,平成13年に原告に対する那覇税務署による税務調査(以下「本件税務調査」という。)が行われた際,那覇税務署の調査担当官(以下「那覇税務署担当官」という。)から元帳の提出を求められたが,現金出納が記帳された元帳を提示できなかった。 エしかも,原告が被告に対して,支出した領収書を毎月その都度送付したにもかかわらず,被告は,原告から受け取った領収書を紛失し,税務署の調査の時点で領収書を提出するこ された元帳を提示できなかった。 エしかも,原告が被告に対して,支出した領収書を毎月その都度送付したにもかかわらず,被告は,原告から受け取った領収書を紛失し,税務署の調査の時点で領収書を提出することができず,経費を認められなかった。 オさらに,被告は,勤務をしている看護士がいるのに,看護士が勤務していないことを前提とした申告をし,あるいは,毎月支払っている看護士の給料を12月31日にまとめて支払った形にするなどした。そのため,原告は,税務署から事実に沿わないとして青色申告を取り消された。 原告は,看護士に対して毎月給料を支払っており,その給料分の源泉徴収税額については,被告から毎月請求が来て,そのとおりに被告の口座に振り込んできた。 しかるに,被告が給与を一括計上していたのは,他の会社でもこれで通ったことがあったために,怠けてしまったものである。調査の際,後から説明書類を追完することによって税務署が納得した経験が他の会社でもあったことから,それからずるずる簡易な処理をする習慣が被告の税理士事務所(以下「被告事務所」という。)にできてしまった。今回も,調査の際に一括処理した元帳を提出した後,実際の支払ごとの給与書類を提出したが,元帳が一括処理されていたために税務署では認めてもらえなかったのである。 また,原告は,被告に看護士等の源泉徴収税を送金していたが,被告がその大部分を着服し納税しなかったため,税務署から見れば原告の診療所に看護士が少人数しかいないことになった。税務署の調査も,看護士へ本当に給料を支出したのかがポイントとなっていた。結局,原告は,看護士への給料支払を経費として計上していたにもかかわらず,税務署に適正な源泉徴収税を納付しなかったため,経費計上が否定され,あるいは不当な申告とみなされ,本件取消処分及び本件更正決定等が行わ は,看護士への給料支払を経費として計上していたにもかかわらず,税務署に適正な源泉徴収税を納付しなかったため,経費計上が否定され,あるいは不当な申告とみなされ,本件取消処分及び本件更正決定等が行われたものである。 (被告の主張)ア被告が原告から依頼を受けていた業務は,税務書類の作成と税務代理(税務相談)のみである。被告は,原告から会計帳簿の記帳代行業務につき受任したことはなく,税理士業務又は会計業務につき,顧問契約を締結したこともない。被告は,業務の報酬として,原告から税込みで年50万4000円(月額4万2000円)を受けているだけで,ほかに税理士業務に関する報酬は受け取っていない。 本件取消処分に対する異議申立書において,被告が理由として掲げたものは,推測や不正確な部分もあるが,それは,不利益処分を受けた原告をいかにして守るかということを強く意識した結果であり,記帳代行業務を受任していたからではない。 なお,税務代理については,税務署の調査等が行われる際に,原告の委任を受ける程度であり,また,原告の従業員等の源泉徴収税の算出方法や納付方法についての税務相談にも応じていた。 イ被告は,平成8年分と平成12年分の原告の確定申告について,期限内に申告書を提出している。 ウ被告には原告の元帳を作成しなければならない義務はない。また,被告が原告に交付した「総勘定元帳」(甲38~42)には,すべて現金勘定の記載があり,しかも,現金の出納に関する記載は,年間で何千件にも及んでいるから,上記元帳が本件取消処分の原因となった「現金勘定の記載のない総勘定元帳」でないことは明らかである。他方,原告作成の「総勘定元帳」(乙5)が「現金勘定の記載のない総勘定元帳」であることは疑いの余地がない。 エところで,年に1回,2月下旬ころに,原告の妻であるCが 元帳」でないことは明らかである。他方,原告作成の「総勘定元帳」(乙5)が「現金勘定の記載のない総勘定元帳」であることは疑いの余地がない。 エところで,年に1回,2月下旬ころに,原告の妻であるCが原告の代理人として,1年分の領収証(全部ではない。)を持参し,被告に当該年分の確定申告書及びその附属書類の作成提出を依頼した。原告から預かった領収証は,すべて税務署に提出しており,領収証を紛失した事実は全くない。被告が預り保管中の領収証は,税務署に提出した後,平成14年3月22日,原告の代理人と称するD,Eにすべて返還した。 なお,原告は,領収証を持参した際に,領収証のない支出についてもメモを示して,領収書はあとで届けるから,必要経費として計上するよう強く求めるのが常であった。これに対して,被告は,「領収証は,あとで必ず届けてください。そうでなければ責任を持てない。申告書は言うとおりに作成して提出しておきます。」と念を押してきた。経費を否認されたのは原告の責任であり,被告とは関係ない。 ちなみに,税務署が原告について人件費の一部を否認するに至った原因は,原告自身の不十分な帳簿記載のほかに,数名の看護士らが給与の実際の受給額を偽り,本件税務調査において,那覇税務署担当官の質問に対し,常勤であるのに月に数日しか勤務していないとか,給与は月に5,6万円程度の支給しか受けていないと申し立てたり,市町村民税につき過少申告をしたことにある。 (2) 被告による着服行為等の有無(原告の主張)ア被告の事務員であるFは,原告から毎月源泉所得税の支払という名目で送金を受けていたが,現実には送金分を納税せず,一部を個人のロッカーに保管していたところ,その金額は200万円を超えるまでになっていた。上記送金は,被告の従業員であるFが振込指示をしていたのであるか 金を受けていたが,現実には送金分を納税せず,一部を個人のロッカーに保管していたところ,その金額は200万円を超えるまでになっていた。上記送金は,被告の従業員であるFが振込指示をしていたのであるから,仮に被告自身が関与していなくても,被告には使用者責任及び税理士法41条の2により賠償義務がある。 イまた,被告は,平成12年12月26日,原告に電話をかけて200万円をF名義の銀行口座に振り込ませた。原告は,同金員の使途は不明であるが,何らかの納税関係の費用であると考えていた。Fは,自分名義の口座に上記200万円が振り込まれたことを知り,被告に手渡した。原告の上記のような認識に鑑みると,被告の行為は,税理士が顧客の信頼を利用して金銭を着服したのも同然である。また,仮にこれが被告の主張のとおり借入れだとしても,期限の定めのない金銭消費貸借として,被告は,原告に返済する義務がある。 (被告の主張)ア被告事務所内で原告の業務を担当した事務員らは,Cから電話連絡を受けて,個人別の支給額を基準に源泉所得税徴収額を算出し,各月の納付額を電話で知らせていた。Cは,これを受けて,現金書留で送金していたが,その金額は,源泉税・税理士報酬・その他支払を指示した金額等であり,余裕を持たせる趣旨か相当程度の金額を加算して送金していた。 送金の宛先は被告事務所であるが,これを受領し保管するのは,被告事務所における原告担当の事務員であり,被告及び他の職員は,原告から毎月送金される金額及びその支払明細等については一切知らされていなかった。 そもそも,原告の源泉税の算出・納付については,被告は業務として受任した事実はなく,担当事務員が原告の源泉税の納付について手伝っていたという事実も知らなかった。 担当事務員にしても,送金額のうち,事前に使途が判明していたのは,源泉 については,被告は業務として受任した事実はなく,担当事務員が原告の源泉税の納付について手伝っていたという事実も知らなかった。 担当事務員にしても,送金額のうち,事前に使途が判明していたのは,源泉税及び税理士報酬額程度であり,その余については,あらかじめ指示でも受けていない限り,知りようがなかった。結局,送金後,その支払について指示があり,その使途を理解することになるが,それまで,担当事務員は,もどかしい思いで余分な金を保管しなければならなかった。送金後の指示でCの妹のサラ金の借金を支払わされたことや,i町の原告の不動産の固定資産税,登記手続費用等を支払わされたこともある。 イ前記(原告の主張)イの200万円は,被告がCから借用したものである。被告が上記金員を返還しようとしたときに,Cは,「報酬も少ないので,どうぞ使ってください。」ということで受け取らなかった。しかし,被告としては,もらうつもりはなかった。 ウ被告は,平成16年3月31日,前記(原告の主張)アのFの預り金残金である250万円及び前記イの被告が借用した200万円を原告に返済した。 (3) 過失相殺(被告の主張)原告は,青色申告事業者であるから,日々の取引を領収書や伝票などの証憑書類に基づき,複式簿記に従って全部正確に帳簿に記帳しなければならないことを十分知り尽くしていた。しかも,このことについて,被告は,原告の代理人であるCに対し,毎年の申告時期に,正規の会計帳簿を作るよう繰り返し助言してきたし,那覇税務署担当官からも,帳簿を作成しないようなら青色申告の承認を取り消す旨の注意も受けていたのである。それにもかかわらず,原告は,正規の会計帳簿を作成しなかったため,本件取消処分を受けるに至った。 また,青色申告に要求される帳簿には,日々の取引を記帳する必要があるから, 注意も受けていたのである。それにもかかわらず,原告は,正規の会計帳簿を作成しなかったため,本件取消処分を受けるに至った。 また,青色申告に要求される帳簿には,日々の取引を記帳する必要があるから,毎月1,2回領収証等が送付されるだけでは,正規の帳簿を作成することは到底不可能である。まして,本件において必要書類が原告から届くのは年に1回であるから,仮に被告に記帳義務があったとしても,青色申告者に要求される帳簿を作成することは不可能である。したがって,原告には,重大な過失があり,青色申告に必要な帳簿が作成されなかったことについてのすべての責任は原告にある。 (原告の主張)本件取消処分及び本件更正決定等は,総勘定元帳の作成がないこと,一括計上及び領収書の不提示を理由とするもので,これらを作出したのは被告自身であり,原告を非難する理由にはならない。本件は,税理士が顧客の従業員の数を零と税務署に届け出て,顧客から送金された源泉税を納税せずに被告事務所で保管するなど横領ともいえる処理をしていること,給料等の経費を12月31日に一括して支出したように計上していること,多額の報酬を年度末に受け取りながら否定していることなど,被告は,税理士としてあまりに不適格な行為を重ねたというべきである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(原告が本件取消処分及び本件更正決定等を受けたことに関する被告の責任の存否)について(1) 前記第2の1の事実に証拠(各項末尾掲記のほか甲47,48,甲50~53の各1~4,甲64,65,乙18,24,証人G,証人F,被告)及び弁論の全趣旨によると,次の各事実を認めることができる。 ア原告は,昭和49年からH診療所を開設して診療行為を開始し,原告の妻であるCも看護士の一人として夫の仕事を手伝うなどした。その後,原告は,昭和 全趣旨によると,次の各事実を認めることができる。 ア原告は,昭和49年からH診療所を開設して診療行為を開始し,原告の妻であるCも看護士の一人として夫の仕事を手伝うなどした。その後,原告は,昭和58年1月ころから税理士である被告に税務申告の代理等の業務を委任するようになったが,那覇市にも事務所(以下「原告那覇事務所」という。)を持ち,診療所関係の経理事務はCが上記原告那覇事務所で行っていた。 イ Gは,昭和57年8月に被告事務所に職員として雇用され,平成10年10月末日に被告事務所を退職するまで原告の事務を担当した。Gが退職した後はFが,原告に関する担当業務を引き継いだ。 ウ原告の診療所における看護士らへの給与等は,毎月25日が支払日であったが,給与等が支払われた後に,Cが被告事務所のGらに電話して受給者と受給額を告げ,これに対し,Gらが看護士らの給与所得に関する所得税の源泉徴収税額を計算した上でCに連絡した。そして,Cは,Gらから告げられた源泉徴収税額と被告に対する毎月の報酬(平成9年時点では月額4万2000円)を現金書留で被告宛に送金していたが,その送金年月日及び送金額は,別紙1のとおりであった。上記看護士の給与等に関する源泉徴収税額は,毎月10日ころまでに滞納なく納税されていたが,実際に被告によって那覇税務署に申告・納税された金額は,別紙2のとおりであった。(甲8の1~4,甲9~11,乙9)エ原告の診療所関係の入出金伝票や領収書,看護士に対する給与支払証明書や賃金台帳等は,遅くとも平成8年ころまでには毎年1回,2月ころに,Cによって被告事務所に持ち込まれ,Gらは,それに基づき,仕入,経費等勘定科目ごとに分類して,被告事務所備付けのコンピューターにデータ入力していた。(乙26~29)オ那覇税務署担当官は,平成14年,原告 て被告事務所に持ち込まれ,Gらは,それに基づき,仕入,経費等勘定科目ごとに分類して,被告事務所備付けのコンピューターにデータ入力していた。(乙26~29)オ那覇税務署担当官は,平成14年,原告那覇事務所において,C,被告の立会いを得て,原告の平成9年ないし平成11年申告分に関する本件税務調査を実施した。その際,C及び被告は,那覇税務署担当官からの現金出納帳・給与台帳の提示要求に対し,「現金出納帳・給与台帳は作成していない。」旨説明した。那覇税務署担当官は,原告那覇事務所に保管されていた調査に必要な資料の提出を受けた。 那覇税務署担当官は,さらに,H診療所で原告及びCと面接し,原告那覇事務所やH診療所に保管されていたカルテ等,調査に必要な資料の提出を受けた。 カ被告は,本件税務調査の際,平成14年2月ころ,被告事務所のコンピューターに入力されていた平成9年ないし平成11年分の原告の金銭出納に関するデータを印字し,各年ごとに「総勘定元帳」という表紙を付して3冊に製本し,那覇税務署に提出した。また,平成8年分及び平成12年分の各「総勘定元帳」も,本件更正決定等がされるまでには同様の方法で作製され,那覇税務署長に提出された。 上記各「総勘定元帳」によると,現金の勘定科目の欄は,いずれも出納年月日,相手科目,摘要,金額等が日々明確に記載されていた。 これに対し,給与手当の勘定科目の欄は,平成8年分ないし平成10年分の「総勘定元帳」において,各月の支払ではなく,12月31日に一括して支払ったかのような記帳がなされていた。(甲38~42)キまた,那覇税務署担当官が,上記給与手当科目欄を含め,「総勘定元帳」で年末に一括計上されている必要経費等について,各「総勘定元帳」と原告から提出を受けた領収書を照合確認したところ,領収書の存在しない必要経費 覇税務署担当官が,上記給与手当科目欄を含め,「総勘定元帳」で年末に一括計上されている必要経費等について,各「総勘定元帳」と原告から提出を受けた領収書を照合確認したところ,領収書の存在しない必要経費が「総勘定元帳」に記載されていた。上記領収書の存在しない必要経費の記載について,Cは,異議申立てを審理した那覇税務署の担当官(以下「異議審理担当者」という。)に対し,「税理士が勝手に計上した。」旨申し述べた。 さらに,領収書が添付されていたものについても,具体的内容が不明であったり,必要経費とは認められないとの理由などで,否認されたものも相当数額に上った。 これらによって,那覇税務署長が本件更正決定等で必要経費としての認定を否認した金額は,給料分だけで,平成8年分が1379万1000円,平成9年分が2078万6000円,平成10年分が1635万5100円,平成11年分が1756万円,平成12年分が535万円に上る(なお,那覇税務署担当官は,平成9年分につき,当初は,源泉徴収簿合計との差額として3763万1000円を否認する旨被告に通告していた。)。(乙20~23)ク他方,本件税務調査の際,那覇税務署担当官が原告側から提出を受けた書類の中には,各勘定科目ごとに摘要,金額等が分類されて記載された平成10年分及び平成11年分の帳簿2冊があったが,これらの帳簿には,いずれも,現金の勘定科目による現金出納の事実の記載が一切されていなかった。 (乙5,25)ケ Cは,異議審理担当者が調査に際して現金出納帳の提示を求めたときも,現金出納帳は作成していないと説明した。また,異議審理担当者がCに「備付の元帳」の提示を求めたところ,Cは,診療所では備付の元帳は作成しておらず,領収書は税理士に渡していた旨述べた。 コ被告が本件税務調査後,那覇税務署から返還を受 た。また,異議審理担当者がCに「備付の元帳」の提示を求めたところ,Cは,診療所では備付の元帳は作成しておらず,領収書は税理士に渡していた旨述べた。 コ被告が本件税務調査後,那覇税務署から返還を受けた原告の「総勘定元帳」,診療所関係の入出金伝票や領収書,看護士に対する給与支払証明書等は,すべて,平成14年3月22日,被告から原告の代理人であるD(同人はCの弟である。甲49)らを経て原告側に引き渡された。(甲54,55,乙2)サ Cは,平成14年4月25日,那覇税務署において異議審理担当者に「平成9年度窓口収入」という表題の大学ノートを提示したが,同ノートには,「平成9年4月31日」という存在し得ない日付で,窓口患者負担分の収入金額が記載されていた(甲60)。 シ本件異議決定中,本件更正決定等に関する異議申立てを棄却した部分の判断の理由中には,①原告の福地美也子に対する給料の支払については,原告の業務とは直接関係のない家事関連部分が主と認められ,必要経費に該当しないとの理由により否認されたこと,②本件取消処分によりCに対する青色事業専従者給与を必要経費に参入することはできないが,Cは所得税法57条(事業に専従する親族がある場合の必要経費の特例等)第3項に規定する事業専従者に該当すると認められるので,同項の規定により事業専従者控除額86万円を控除すること,③本件取消処分により,青色申告特別控除の規定の適用がないことが含まれていた。 また,本件異議決定のうち重加算税の賦課決定処分に関する異議を棄却した部分の判断の理由中には,年末に一括計上されている必要経費について領収書が存在しないことが国税通則法68条1項所定の事由に該当する事実の一つとして挙げられていた。 (2)ア本件取消処分について前記第2の1(3)のとおり,那覇税務署長は,本 る必要経費について領収書が存在しないことが国税通則法68条1項所定の事由に該当する事実の一つとして挙げられていた。 (2)ア本件取消処分について前記第2の1(3)のとおり,那覇税務署長は,本件取消処分の理由の一つとして,「平成8年分ないし12年分において,総勘定元帳に関して,給与賃金等の必要経費の記載が日々記載されておらず,12月31日に一括計上されていること」を挙げている。そして,本件税務調査の際,被告が那覇税務署担当官に提出した「総勘定元帳」のうち平成8年分(甲38),平成9年分(甲39)及び平成10年分(甲40)では,給料及び通勤費等について給与手当の科目欄で12月31日に一括支給したかのような記載がされている。これに対し,被告が原告の側から税務署に提出された「総勘定元帳」であるとする乙5号証では,「給与」や「賞与」の科目欄に一切記載がなく,同じく被告が原告の側から税務署に提出された「総勘定元帳」であるとする乙25号証では,「給与」や「賞与」の科目欄自体が存在しない。そして,ほかに給料及び通勤費等について給与手当の科目欄で12月31日に一括支給したかのような記載がなされている「総勘定元帳」は,本件証拠上見当たらない。 そうすると,那覇税務署長が本件取消処分の理由の一つとして挙げている「給料及び通勤費等について給与手当の科目欄で12月31日に一括支給したかのような記載がなされている総勘定元帳」は,被告ないし担当事務員が被告事務所に備付けのコンピューターから出力して作成し,那覇税務署担当官に提出した「総勘定元帳」(甲38~40)のことを指しているものと考えざるを得ない。 この点について,被告は,原告から会計帳簿の記帳代行業務につき受任したことはないと主張し,本人尋問においても,同旨の供述をするほか,上記甲38号証ないし甲 とを指しているものと考えざるを得ない。 この点について,被告は,原告から会計帳簿の記帳代行業務につき受任したことはないと主張し,本人尋問においても,同旨の供述をするほか,上記甲38号証ないし甲40号証は被告の内部資料にすぎず税法上の「総勘定元帳」ではない旨供述し,陳述書(乙24)にも同旨の記載をし,甲38号証ないし甲40号証が総勘定元帳であることを否定しようとしている(以下,被告の本人尋問における供述及び陳述書の記載をまとめて「被告供述等」という。)。しかし,甲38号証ないし甲40号証が外見上総勘定元帳の体裁を整えていることは明らかであり,Fも,依頼者が総勘定元帳を作成していないときは上記のような被告事務所のコンピューターからプリントアウトして製本したものを税務署に提出することがあると証言している。そして,前記(1)カ,キによると,被告から甲38号証ないし甲40号証の提出を受けた那覇税務署において,これらを「総勘定元帳」として扱っているものと認められるから,上記被告供述等は前記判断を左右するものではない。 ところで,前記(1)ウないしカのとおり,原告は,その使用する看護士等の給料を毎月25日に支払って,そのことを逐次被告に連絡し,かつ,毎年2月ころには給与支払証明書や賃金台帳等を被告事務所に提出していた。そして,被告事務所では,原告担当のGらが原告の提出した資料に基づき,仕入,経費等勘定科目ごとに分類して,コンピューターにデータ入力していた。そうすると,かかる状態で保管されている原告の会計データを印字して「総勘定元帳」を作成する作業を行う際,被告としては,印字された内容を一瞥しさえすれば,「給与」等の科目が12月31日に一括して支払われたかのような記載になっていることは直ちに判明したはずであり,被告においてこれを,各月の支払日 う際,被告としては,印字された内容を一瞥しさえすれば,「給与」等の科目が12月31日に一括して支払われたかのような記載になっていることは直ちに判明したはずであり,被告においてこれを,各月の支払日に支払われたような正確な記載内容に訂正することは容易に行えたはずである。 しかるに,被告は,本件税務調査に際し,給料及び通勤費等について給与手当の科目欄で12月31日に一括支給したかのような記載がなされている「総勘定元帳」をそのまま那覇税務署担当官に提出した。そのため,那覇税務署長は,原告に関し「総勘定元帳に関して,給与賃金等の必要経費の記載が日々記載されておらず,12月31日に一括計上されている」と認定し,これが本件取消処分の理由の一つとなったものである。したがって,この点において,本件取消処分に関し,被告は原告に対し,税務書類の作成及び税務代理の委任契約上の債務不履行責任を免れないというべきである。 イ本件更正決定等について前記(1)シによると,原告は,本件取消処分を受けたことにより,Cに対する青色事業専従者給与を必要経費に参入することができなくなり,かつ,青色申告特別控除の適用も受けられなくなったことが認められる。 また,本件異議決定のうち重加算税の賦課決定処分を棄却した部分の判断の理由中には,年末に一括計上されている必要経費について領収書が存在しないことが国税通則法68条1項所定の事由に該当する事実の一つとして挙げられているが,これは前記アの点を指摘したものと考えられる。 さらに,被告が那覇税務署担当官に提出した平成11年分及び平成12年分の原告の「総勘定元帳」(甲41,42)では,給与手当の科目は,各月の支払日毎に明確に区分して記載されているものの,那覇税務署保管に係る原告に関する源泉徴収簿(甲10,11)によると,例えば平 年分の原告の「総勘定元帳」(甲41,42)では,給与手当の科目は,各月の支払日毎に明確に区分して記載されているものの,那覇税務署保管に係る原告に関する源泉徴収簿(甲10,11)によると,例えば平成11年7月分については,給料の支払人数及び支払金額をいずれも零と申告しながら19万4700円を納税したり,更には平成12年は支払人数を零と申告しながら毎月の給料及び賞与の支払額を申告し,それにもかかわらず同年1月,2月,5月各給与及び同年12月の賞与に関する源泉徴収額の納付をしていないなど,被告による原告の源泉徴収額の申告・納税には内容的に不可解な点が多く,これも前記アの「総勘定元帳」の記載不備とともに,原告の看護士らに対する給料・賞与等について那覇税務署長が必要経費としての認定を否認した大きな理由になったものと推認できる。 したがって,これらの点においても,本件更正決定等に関し,被告は原告に対して,税務書類の作成及び税務代理の委任契約上の債務不履行責任を免れないというべきである。 2 争点(2)(被告による着服行為等の有無)について(1) 証拠(各項末尾掲記のほか,甲47,48,乙18,証人G,証人F,被告)及び弁論の全趣旨によると,次の各事実が認められる。 ア原告は,H郵便局より,平成9年4月9日から平成13年3月11日まで別紙3「書留送金一覧表」のとおり62回にわたって,被告事務所に宛てて合計1846万円を送金した。これらの金員は,前記1(1)ウのとおり,GないしFが原告の看護士らの給与に対する源泉徴収額を計算してCに連絡し,これに応じて,Cが源泉徴収分として納税すべき金額に当時月4万円の被告の税理士報酬を加え,現金書留で送金したものであった。 しかし,Fが源泉徴収分を納税し,被告の報酬分を処理した後でも,なお,少なくとも250 Cが源泉徴収分として納税すべき金額に当時月4万円の被告の税理士報酬を加え,現金書留で送金したものであった。 しかし,Fが源泉徴収分を納税し,被告の報酬分を処理した後でも,なお,少なくとも250万円の現金がFの手元に残り,Fは,それを被告事務所のキャビネットの中に入れて保管していた。(甲8の1~4)イまた,原告は,被告に対し,平成8年3月13日にコピー代金名目で合計200万円,平成9年3月13日に税金預かり名目で180万円,同日事務費代金名目で100万円,平成10年3月10日にコピー代・事務手数料名目で100万円,平成11年3月11日に事務手数料名目で100万円,平成12年3月6日にコピー・事務手数料名目で200万円の合計880万円を渡した。被告は,これらの金員を税理士報酬及び診療報酬請求手続におけるカルテのコピー代として受領していた(甲12~16,18,19)。 ウその他,原告は,Cを通じて,銀行振込の方法で,平成9年3月10日,被告事務所宛に350万円を送金したほか,被告の事務員であったGの預金口座に,平成8年1月30日に97万5000円,同年6月28日に130万円,同年7月29日に80万円,同年9月6日に10万円,同年10月4日に25万8700円,同年11月28日に80万円,平成9年4月3日に10万円,同年6月6日に15万円,同年7月30日に175万円,同年10月21日に20万円,同年11月28日に180万円をそれぞれ送金した。また,原告は,Gの後任であるFの預金口座にも,平成12年8月10日に5万円,同年10月31日に5万円,同年11月29日に5万円,同年12月26日に210万円,同月29日に75万円をそれぞれ送金した。G又はFは,これらの金員について,Cの指示で,原告らの市民税の納付や司法書士への費用の支払,アパートの 1月29日に5万円,同年12月26日に210万円,同月29日に75万円をそれぞれ送金した。G又はFは,これらの金員について,Cの指示で,原告らの市民税の納付や司法書士への費用の支払,アパートの敷金の支払,消費者金融からの借金の支払等をCに代わって行うのに使用し,更に一部はCから小遣いとして使うよう言われ,G又はFの手元に残した(甲20~37)。 エ前記ウのうち,平成12年12月26日,原告からFの口座を経由して受け取った210万円の内金200万円は,被告が原告から返済期の定めなく借り受けたものであった。 (2)ア前記(1)アのとおり,Cが原告に代わって被告事務所に現金書留で送金した金員のうち,Fが源泉徴収分を納税し,被告の報酬分を処理した後でも,なお,少なくとも250万円の現金がFの手元に残り,Fは,それを被告事務所のキャビネットの中に入れて保管していた。これについては,被告の税理士報酬や,G又はFがCに代わって諸費用の支払を行ったことに要した金員等とは,明確に区別できるのであり,原告が被告に送金した目的に反して被告事務所内に放置されていたものといえる。 この点について,被告は,Fが前記(1)アのような現金を被告事務所内に放置していることを全く知らなかったと主張し,被告供述等もこれに沿ったものとなっている。しかし,Fは,前記原告からの現金書留を被告事務所で被告の日常業務の一環として受け取っており,被告は,その中から原告が看護士に支払った給与の源泉徴収税額の支払を,Fに指示していたと考えられるのであり,かつ,被告事務所内のキャビネットの中に入れて保管していたという保管態様に照らしても,前記250万円の現金の存在を全く知らなかったという被告供述等を直ちに信用することはできない。 したがって,被告は,故意にあるいは重大な過失によって, に入れて保管していたという保管態様に照らしても,前記250万円の現金の存在を全く知らなかったという被告供述等を直ちに信用することはできない。 したがって,被告は,故意にあるいは重大な過失によって,少なくとも250万円の金員を原告に返還することなく不当に利得していたと評価することができる。 イまた,被告は,前記(1)エのとおり原告から200万円を返済期限の定めなく借りており,その返済を催告されることにより,原告に返還すべき義務を負うことになる。 3 争点(3)(過失相殺)について(1) ところで,前記第2の1(3)のとおり,本件取消処分の理由としては,「総勘定元帳に関して,給与賃金等の必要経費の記載が日々記載されておらず,12月31日に一括計上されている」ことのほか,「現金の出納等に関する事項を記載した帳簿の記載及び備付けがない」ことも掲げられている。しかし,前記1(1)カのとおり,被告が作成した「総勘定元帳」(甲38~42)では,いずれも,現金の勘定科目の欄が,出納年月日,相手科目,摘要,金額等について日々明確に記載されている。これに対し,本件税務調査の際原告側から提出された乙5号証及び乙25号証は,総勘定元帳の体裁は一応採っているものの,これらの帳簿では,現金の勘定科目欄に全く記載がなく(乙5),あるいは現金勘定科目そのものが設けられていない(乙25)。上記乙5号証及び乙25号証の作成者については必ずしも明確でないが,コンピューターから印字することで甲38号証ないし甲42号証のような帳簿を容易に作成できる被告が,それらとは別個に乙5号証及び乙25号証をわざわざ作成するとは考え難く,原告ないしその周辺の関係者が作成したものと推認することができる。 さらに,前記1(1)オ,ケのとおり,C及び被告は,那覇税務署担当官ないし異議審理担 び乙25号証をわざわざ作成するとは考え難く,原告ないしその周辺の関係者が作成したものと推認することができる。 さらに,前記1(1)オ,ケのとおり,C及び被告は,那覇税務署担当官ないし異議審理担当者からの現金出納帳等の提示要求に対し,現金出納帳等は作成していないと説明しており,かつ,Cは,異議審理担当者に対し,H診療所では備付の元帳は作成していない旨も述べている。 そうすると,那覇税務署長は,前記乙5号証及び乙25号証の記載並びに上記Cらの説明に基づいて,「現金の出納等に関する事項を記載した帳簿の記載及び備付けがない」との認定を行い,本件取消処分の理由の一つにしたといえる。 (2) また,本件更正決定等の理由としては,前記1(1)シのとおり,本件取消処分で原告の青色申告承認が取り消されたことにより必要経費への参入を否定されたもののほか,同キのとおり必要経費として計上していたものが否認されたことも大きいものと考えられる。そのうち,年末に一括計上されている必要経費等(平成8年分の「総勘定元帳」(甲38)でいえば,前記給与手当のほか,車両運搬具,委託費,旅費交通費,交際費などの科目がこれに該当する。)について,該当日付の領収書が存在しないと判断されたものは,被告の「総勘定元帳」の記載の不備が原因といえるが,本件ではそれにとどまらず,従業員の一人に対する給料が原告の業務と直接関係のない家事関連分が主と認められるとして否認されたり,あるいは領収書が添付されていたにもかかわらず,具体的内容が不明であったり,必要経費とは認められないとの理由などで,否認されたものも相当数に上ったことは,前記1(1)キのとおりである(この点について,原告は,被告が原告から預かった領収書を紛失したのが,必要経費を否認された原因である旨を主張するが,被告が領収書を紛失し たものも相当数に上ったことは,前記1(1)キのとおりである(この点について,原告は,被告が原告から預かった領収書を紛失したのが,必要経費を否認された原因である旨を主張するが,被告が領収書を紛失したと認めるに足りる証拠はないから,原告の上記主張を採用することはできない。)。 さらに,本件異議決定のうち重加算税の賦課決定処分に関する異議を棄却した部分の判断理由としては,年末に一括計上されている必要経費について領収書が存在しないことのほか,それについてCらが適切な説明をなし得なかったことや,Cが「平成9年度窓口収入」という表題の大学ノートを提示したが,そこに「平成9年4月31日」という存在し得ない日付で,窓口患者負担分の収入金額が記載されていたこと(これにより上記ノート全体の信用性が失われたと考えられる。)などが挙げられている。 (3) したがって,原告が本件取消処分や本件更正等処分を受けたことについて,被告に債務不履行責任が存することは前記1のとおりであるが,他方において,前記(1),(2)のとおり,Cら原告側の者の責めに帰すべき事情が上記各処分理由の一部となっている点は看過することはできず,原告については,損害の公平な分担の見地から相当な過失相殺を免れないというべきである。そして,これまでに説示してきた点,その他,本件に現われた一切の事情を勘案すると,過失相殺割合としては50%をもって相当と認める。 4 原告の損害等前記第2の1(4),(5)の事実によると,本件取消処分,本件更正等処分及び本件異議決定によって当初申告額よりも加算された課税額は,別紙4「損害額算定表」のとおり1億3415万7700円となるところ,そのうち被告が原告に賠償すべき金額は,過失相殺により50%を減額した6707万8850円となる。 他方,証拠(乙31,32)に ,別紙4「損害額算定表」のとおり1億3415万7700円となるところ,そのうち被告が原告に賠償すべき金額は,過失相殺により50%を減額した6707万8850円となる。 他方,証拠(乙31,32)によると,原告が被告において着服したなどと主張している前記2ア,イの金員合計450万円については,平成16年3月31日に原告に返済されていることが認められる。したがって,これに関する原告の損害賠償請求権等は,弁済によって消滅しているというべきである。 第4 結論以上の次第で,原告の被告に対する本件請求は,6707万8850円及びこれに対する平成14年11月10日から支払済みまで民法所定の年5%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないこととなる。 よって,主文のとおり判決する。 那覇地方裁判所民事第1部裁判官西井和徒

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