【DRY-RUN】主 文 本件各上告を棄却する。 理 由 被告人両名の弁護人水上孝正の上告趣意第一点について。 記録を精査するに、原審公判調書中、所論の箇所に所論のような文字
主文 本件各上告を棄却する。 理由 被告人両名の弁護人水上孝正の上告趣意第一点について。 記録を精査するに、原審公判調書中、所論の箇所に所論のような文字の挿入削除かなされているにかかわらず、その箇所には同公判調書の作成者の認印かなく、かつ、挿入削除の字数の記載もないことを認め得る、すなわち、右挿入削除は、刑事訴訟法第七二条に定められた法式を欠いていることは、所論のとおりである。しかしながら、調書における文字の挿入削除が法定の要式を欠いた場合でも、直ちにこれを無効とすべきでなく、その効力の有無は、専ら、裁判所が諸般の状況を勘考して、自由の裁量によつて決すべきである。本件右挿入削除の部分についてみるに、その墨色筆蹟は同一公判調書の他の箇所において適式になされた挿入文字の墨色筆蹟と全く同一であるのみならず、その筆蹟を同公判調書全文の筆蹟を比較しても、また、同一のものと認められるから、右挿入削除は同調書の作成者によつて正当になされたものと解するのが相当である。従つて、右挿入の文字は有効に、同調書の内容をなすものというべく、結局、前記調書上の違式は、判決に影響を及さないこと明白であるから、論旨は理由がない。 同第二点について。 原判決摘示事実中、所論の「同女及び其の息子A所有の云々」とあるのは、盗罪の構成要件として、本件被害物件が被告人以外のものの所有にかゝることを示したのに止まり、贓物の還付を受くべき被害者として、之を表示したものではない。従つて原判決が諸般の資料に基いて、右贓物をAに還付すべき理由明白であるとして、同人に之を還付する言渡をしたからとて、前示事実の摘示と矛盾するというものではない。なお、右Aが所論の贓物全部について、その還付を受けるべき被害者であ- 1 -るとする理由は、判決に あるとして、同人に之を還付する言渡をしたからとて、前示事実の摘示と矛盾するというものではない。なお、右Aが所論の贓物全部について、その還付を受けるべき被害者であ- 1 -るとする理由は、判決において、特に之を説示する必要のないところであり、記録を精査すればその理由は明白であるから論旨は、いづれもその理由がない。 よつて、刑事訴訟法第四四六条に従い、主文のとおり判決する。 右は全裁判官一致の意見である。 検察官柳川真文関与昭和二三年一二月一一日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官塚崎直義裁判官霜山精一裁判官栗山茂裁判官藤田八郎- 2 -
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