- 1 -平成24年5月31日判決言渡平成23年(行ケ)第10348号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成24年2月28日判決 原告レリジャステクノロジーセンター(審決上の表記レリジヤステクノロジーセンター)訴訟代理人弁理士大島厚同柴田泰子被告 Y訴訟代理人弁理士八木澤史彦主文 1 特許庁が取消2010-300738号事件について平成23年6月21日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求主文と同旨第2 前提事実 1 特許庁における手続の経緯等原告は,第41類「哲学の教授その他の技芸・スポーツ又は知識の教授」を指定役務とする「TheBRIDGE」の欧文字を横書きした商標(登録第3003547号,平成4年8月4日登録出願,平成6年8月31日設定登録,平成16年6月29日存続期間の更新登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。 被告は,平成22年7月5日,特許庁に対し,商標法50条1項の規定により,本件商標の指定役務についての登録を取り消すことを求めて審判の請求をし,同月22日,同審判請求についての予告登録がされた。特許庁は,平成23年6月21日, - 2 -本件商標の商標登録を取り消す旨の審決をし,その謄本は同月29日,原告に送達された(甲1,甲2,弁論の全趣旨)。 2 審決の理由別紙審決書写しのとおりである。その判断の概要は,以下のとおりである。 ( の商標登録を取り消す旨の審決をし,その謄本は同月29日,原告に送達された(甲1,甲2,弁論の全趣旨)。 2 審決の理由別紙審決書写しのとおりである。その判断の概要は,以下のとおりである。 (1) 国際サイエントロジー協会(以下「CSI」という場合がある。)とサイエントロジー東京は,本件商標権者(原告)から「ブリッジ」及び「THEBRIDGE」の各商標の使用を許諾された通常使用権者である(争いがない。)。 (2) CSIにおける使用についてCSIは,少なくとも平成19年9月7日,平成20年6月16日に存在した英語によるウェブサイト(以下「本件ウェブサイト」という。)において,「Scientology」 の見出しの下に,「TheBridge(R) Courses」及び「TheBridge(R) Training」(判決注審決と同様に,○内に「R」の右肩の記号を,「(R) 」と表記する。以下同じ。)の各小見出しを掲載し,それぞれについての説明を掲載(甲5の2の1・審決乙5の2の1,甲6の2の1・審決乙6の2の1)したことが認められる。「TheBridge」の文字は,本件商標と社会通念上同一の商標といえる。本件ウェブサイトは,インターネット上のものであるから,英語圏のみならず,日本からも閲覧可能ではあるが,そのことをもって我が国の需要者を対象にしたものとは認められず,本件ウェブサイトに表示されていることをもって日本国内における本件商標の使用ということはできない。 したがって,CSIは,本件商標の取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一の商標を宗教哲学に関する知識の教授について使用をしたということができない。 (3) サイエントロジー東京における使用についてサイエントロジー東京は,商 日本国内において本件商標と社会通念上同一の商標を宗教哲学に関する知識の教授について使用をしたということができない。 (3) サイエントロジー東京における使用についてサイエントロジー東京は,商標「ブリッジ(R) 」などを記載した宗教哲学に係る書籍,通信教育などに関するポスター(甲8・審決乙8)を作成し,本件商標の取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において請求に係る指定役務に含まれる - 3 -宗教哲学に関する知識の教授について「ブリッジ(R) 」(以下「使用商標」という。)の使用をしたということができるが,使用商標は,本件商標と称呼が異なり,観念を共通にしない場合もあるから,本件商標と社会通念上同一の商標といえない。 また,サイエントロジー東京が,平成20年7月31日から平成22年5月31日の間に作成したパンフレット(甲11・審決乙11)には,本件商標の表示が見当たらず,その頒布時期も不明であり,同時期に作成した「POWER」と題する小冊子(甲12・審決乙12)は,サイエントロジー東京に係る書籍や宗教哲学に関する知識の教授についての広告物であり,使用商標が表示されているが,同使用商標は,本件商標又はこれと社会通念上同一といえない。 さらに,サイエントロジー東京は,ポスター(甲8・審決乙8)の英語版(原典)であり,表題を「THEBRIDGETOTOTALFREEDOM」とする印刷物(甲17・審決乙17)(判決注甲17の1ないし3を総称して,「甲17」という。)を,販売するために輸入し,平成21年12月末に所有したが,印刷物(甲17・審決乙17)は,宗教哲学に関する知識の教授に付随してその生徒に譲渡等されるものとはいえず,独立して商取引の対象となるものというのが相当であり,ほかに,印刷物がかかる役務の提供に が,印刷物(甲17・審決乙17)は,宗教哲学に関する知識の教授に付随してその生徒に譲渡等されるものとはいえず,独立して商取引の対象となるものというのが相当であり,ほかに,印刷物がかかる役務の提供に付随するものとみるべき証拠はない。したがって,上記印刷物は,商標法上の商品に該当するというべきものであり,これに本件商標が表示されているとしても,そのことをもって請求に係る指定役務についての本件商標の使用とはいえない。 以上によれば,サイエントロジー東京は,本件商標の取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一の商標を宗教哲学に関する知識の教授について使用をしたということができない。 (4) 結論被請求人(原告)は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定役務のいずれかについて本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。また, - 4 -被請求人は,本件商標を請求に係る指定役務について使用していなかったことについて,正当な理由があることも明らかにしていない。 本件商標の登録は,商標法50条の規定により,取り消すべきものとする。 第3 当事者の主張 1 原告の主張審決は,(1) 本件ウェブサイトが英語であることを理由に日本における商標使用を否定した判断の誤り,(2) 「ブリッジ」と「TheBRIDGE」が社会通念上同一でないとした判断の誤り,(3) 甲17・審決乙17は商品「印刷物」についての使用であり,本件商標の指定役務についての使用に当たらないとした認定,判断の誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。すなわち,(1) 本件ウェブサイトが英語であることを理由に日本における商標使用を否定し 標の指定役務についての使用に当たらないとした認定,判断の誤りがあるから,違法として取り消されるべきである。すなわち,(1) 本件ウェブサイトが英語であることを理由に日本における商標使用を否定した判断の誤り(取消事由1)審決は,本件ウェブサイトにおいて使用されている「TheBridge」の文字が,本件商標と社会通念上同一の商標であることを認定したにもかかわらず,本件ウェブサイトが英語で表示されていることを理由に,日本における商標使用とは認められない旨判断した。 しかし,審決の判断は誤りである。 アウェブサイトの内容が英語であるとの一事をもって日本における商標使用が否定されるべきではない。本件においては,本件ウェブサイトにおける「TheBridge」の文字の使用が,日本における本件商標の使用に当たるとする事情が存在する。すなわち,(ア) サイエントロジー宗教哲学の祖語と宗教哲学における祖語の重要性「サイエントロジー(Scientology) 宗教哲学」は,米国人のL.ロンハバード氏によって創始され,その理念や思想はもともと英語で記述されており,日本においては主にこれを翻訳したものを使用して,サイエントロジー宗教哲学の教授がなされている(甲8,甲17の1,甲18の3,甲19の2)。 - 5 -宗教哲学において,原典によって,当該宗教哲学の真髄が理解できると考えられるため,その原典が重要と解される。「サイエントロジー(Scientology) 宗教哲学」の学習者が,「英語」による原典に触れ,勉強しようと考えることは自然である。サイエントロジー東京は,その要望に応えられるよう,原典の英語版書籍・DVDを学習者が購入可能な状態に保有・陳列し,これら英語版書籍・DVDを日本において販売してきた(甲20の1ないし4,甲 ある。サイエントロジー東京は,その要望に応えられるよう,原典の英語版書籍・DVDを学習者が購入可能な状態に保有・陳列し,これら英語版書籍・DVDを日本において販売してきた(甲20の1ないし4,甲21,甲24の1ないし3)。また,サイエントロジー宗教哲学の教育内容の一覧を示すポスターの英語版も,学習者に提示・譲渡できるよう保有してきた(甲17の1,甲22)。 (イ) 日本において英語で教育サービスや教育サービスに係る広告が提供されている事実教育サービスの提供が英語でされることに何らの不都合もなく,その例も少なくない。 サイエントロジー東京は,「サイエントロジー宗教哲学」の教育サービスを実際に日本の顧客に対して提供しており,日本において,外国人講師,外国人のゲストを招いた講演会が行われ(甲27の1及び2,甲28の1ないし4),その講演会は英語でされる。また,学習者には海外よりサイエントロジー宗教哲学に関する教材やセミナーの広告メールが送られているが(甲29の1ないし8),これらは英語で作成されている。さらに,日本における学習者に向けて海外から英語の雑誌が送付されるが,これらの雑誌の中で「TheBRIDGE」の語が使用されている(甲30の1ないし3,甲31)。 以上のとおり,日本における需要者に向けて英語で情報が伝えられ,日本における学習者が英語の情報を受け,学習する機会が常に存在している。 イ上記アの事情を前提とするならば,日本における学習者(信者)は,各地域の教会を統括するサイエントロジー宗教哲学の総本山的組織であるCSIのウェブサイトの記載について強い関心を有し,当該ウェブサイトの内容を知りたいという動機を有しているから,本件ウェブサイトが日本の学習者をも対象とし,その利用 - 6 -にも供されていると解される。 サイトの記載について強い関心を有し,当該ウェブサイトの内容を知りたいという動機を有しているから,本件ウェブサイトが日本の学習者をも対象とし,その利用 - 6 -にも供されていると解される。 ウしたがって,本件ウェブサイトにおける「TheBridge」の表示(甲5の1,甲5の2の1,甲6の1,甲6の2の1)は,日本の学習者にも閲覧され,本件商標は日本において使用されたと判断すべきであり,日本における使用を認めなかった審決には誤りがある。 (2) 「ブリッジ」と「TheBRIDGE」が社会通念上同一でないとした判断の誤り(取消事由2)審決は,「片仮名とローマ字の文字の表示を相互に変更するものにあっては,同一の称呼及び観念を生ずる商標といえるか否かによって,登録商標と社会通念上同一の商標に該当するか否かを判断すべき」として,「ブリッジ」と「TheBRIDGE」について,称呼において「ザ」の音の有無に差異を有し,「同一の称呼」とはいえないから,社会通念上同一とは認められない旨判断した。 しかし,審決の判断は誤りである。 本件商標中「The」の文字は,本件商標において特段の意味を有さず,「ブリッジ」と「TheBRIDGE」は社会通念上同一の商標とみるべきである。すなわち,ア定冠詞「The」について「The」の語は,「ザ」と発音し,「その」等の意味を有する平易な英語であり,「訳さないでよいことが多い」(「小学館ランダムハウス英和辞典<特装版>第2版」。株式会社小学館)ものである。定冠詞「The」は,日本語に対応するものがなく,日本語の文法上,英語のように冠詞を名詞の前に置く習慣も必要性もないから,本件商標を日本の顧客向けに片仮名表記にする場合,商標として把握しやすいよう,定冠詞「The」なしで「ブリッジ」と表現 がなく,日本語の文法上,英語のように冠詞を名詞の前に置く習慣も必要性もないから,本件商標を日本の顧客向けに片仮名表記にする場合,商標として把握しやすいよう,定冠詞「The」なしで「ブリッジ」と表現することは,商慣行上自然である(甲33の1ないし3)。 審決は,「定冠詞『The』は,前述のとおり,『ザ』と発音する英語として一般に知られているものであり,一般の商取引はもとより請求に係る指定役務の分野 - 7 -においても,これを日本語表記するときには,普通に『ザ』と表記されるのが取引の実情というべきである」,「定冠詞『The』は,訳さないことがあるとしても,定冠詞『The』を有する欧文字からなる商標を片仮名で表示する場合に,『The』の音に相当する『ザ』の文字を省略して表示しなければならないような合理的理由は見いだせない」とするが,日本語の文法上,冠詞を名詞の前に置く必要は全くなく,翻訳の際,意味がない「ザ」の文字を表示すべき合理的理由はない。 むしろ,「ザ」を省略して商取引をすることが少なくないのが実情であり(甲33の1ないし3),原告及び原告関連団体の印刷物やウェブページなどにおいても,「TheBRIDGE」と「ブリッジ」とは完全に対応する訳語として表示され,全く同一の商標として使用されている(甲8,甲14の1及び2,甲17の1,甲19の2)。 イ識別性の観点からの同一性商標の本質的機能は自他商品等識別機能であるから,社会通念上同一の商標か否かを判断するに当たっては,物理的に「The」があるかないかではなく,識別性の観点から,同一性の有無を検討すべきである。 本件商標の構成中,「BRIDGE」の部分は「橋」という意味の既成語であるが,本件商標の指定役務との関係において識別力を有するのに対し,「The」の部分は本件商 ,同一性の有無を検討すべきである。 本件商標の構成中,「BRIDGE」の部分は「橋」という意味の既成語であるが,本件商標の指定役務との関係において識別力を有するのに対し,「The」の部分は本件商標の識別性には影響しない付加的部分であるから,本件商標の特徴的部分は「BRIDGE」のみにある。また,原告は,上記アのとおり,本件商標と「ブリッジ」を相互に対応する同一の商標として,使用してきた。 本件において,「The」を省略して「ブリッジ」として本件商標を使用しても,本件商標の識別力に何ら影響を与えず,これに接する需要者は,「ブリッジ」と「TheBRIDGE」は,同じ出所を表す同一の商標と理解する。「TheBRIDGE」と「ブリッジ」とは,社会通念上同一の商標というべきである。 ウしたがって,サイエントロジー東京は,本件商標登録の取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において請求に係る指定役務に含まれる宗教哲学に関する - 8 -知識の教授について,「ブリッジ(R) 」の使用をしており,「ブリッジ」と本件商標は社会通念上同一の商標であるから,本件商標が使用されたというべきである。 (3) 甲17・審決乙17は商品「印刷物」についての使用であり,本件商標の指定役務についての使用に当たらないとした認定,判断の誤り(取消事由3)審決は,印刷物(甲17・審決乙17)は,商標法上の商品に該当するというべきものであるから,これに本件商標が表示されているとしても,そのことをもって請求に係る指定役務についての本件商標の使用に当たらない旨の認定,判断をした。 しかし,審決の判断は誤りである。 甲17における本件商標の使用は,請求に係る指定役務についての使用に該当するものである。すなわち,ア甲17は,サイエントロジー宗教哲学の「ブリッ 断をした。 しかし,審決の判断は誤りである。 甲17における本件商標の使用は,請求に係る指定役務についての使用に該当するものである。すなわち,ア甲17は,サイエントロジー宗教哲学の「ブリッジ(TheBRIDGE)」との名称を付した教育内容の一覧を示すポスター(英語版)であり,これに付された「TheBRIDGE」の表示は,①サイエントロジー宗教哲学に関する知識の教授(役務の提供)に当たり,その学習者(その提供を受ける者)の利用(学習プログラム内容の把握及び自己の学習進行状況の確認)に供する物(ポスター)に標章「TheBRIDGE」を付する行為に該当し,また,②サイエントロジー宗教哲学に関する知識の教授(役務の提供)に当たり,その学習者(その提供を受ける者)の利用(学習プログラム内容の把握及び自己の学習進行状況の確認)に供する物(ポスター)に標章「TheBRIDGE」を付したものを用いてサイエントロジー宗教哲学に関する知識を教授(役務を提供)する行為にも該当する。 甲17は,印刷物(商品)に本件商標「TheBRIDGE」が付されているが,本件商標が,「サイエントロジー宗教哲学に関する知識の教授」(役務)を提供するに当たり,学習者に利用される物について使用されていることを示している。 イ審決は,「役務の提供と独立して商品が譲渡等される場合には,その商品に付する標章は,かかる役務についての使用とはいえないと解される」として,「サ - 9 -イエントロジー東京は,印刷物(甲17・審決乙17)を販売していることが認められるところ,かかる印刷物について,被請求人は,『学習者に販売する』とし,サイエントロジー東京も,陳述書(甲23・審決乙23)において,『当団体の取り扱い出版物に熟知し・・・生徒が購入できる状態』の旨陳述 ころ,かかる印刷物について,被請求人は,『学習者に販売する』とし,サイエントロジー東京も,陳述書(甲23・審決乙23)において,『当団体の取り扱い出版物に熟知し・・・生徒が購入できる状態』の旨陳述していることが認められる。そうすると,印刷物(甲17・審決乙17)は,宗教哲学に関する知識の教授に付随してその生徒に譲渡等されるとはいえず,独立して商取引の対象となるものというのが相当であり,ほかに,印刷物がかかる役務の提供に付随するものとみるべき証拠はない」と認定した。 しかし,審決の認定は誤りである。 甲17の印刷物が学習者に販売されることをもって,甲17を「サイエントロジー宗教哲学に関する知識の教授」に付随するものではないと認定すべきではない。 商標法2条3項3号においては,「利用に供する物(譲渡し,又は貸し渡す物を含む。以下同じ。)」と規定される。本件商標を付した甲17の印刷物を学習者に販売する行為は,「学習プログラム内容の把握及び自己の学習進行状況の確認に使用するポスター(譲渡する物を含む)に標章を付する行為」,「学習プログラム内容の把握及び自己の学習進行状況の確認に使用するポスター(譲渡する物を含む)に標章を付したものを用いてサイエントロジー宗教哲学に関する知識を教授する行為」にほかならず,商標法2条3項3号及び4号に該当し,甲17における本件商標の使用は,その指定役務についての商標の使用である。 また,甲17は,サイエントロジー宗教哲学における「ブリッジ(TheBRIDGE)」との名称の下に実施される教育内容の一覧を示すポスターであり,サイエントロジー宗教哲学に関する知識の教授に関連して学習者に譲渡される。 したがって,甲17における本件商標の使用は,宗教哲学に関する知識の教授についての使用と認めるべきであり,審決の判断は誤 ,サイエントロジー宗教哲学に関する知識の教授に関連して学習者に譲渡される。 したがって,甲17における本件商標の使用は,宗教哲学に関する知識の教授についての使用と認めるべきであり,審決の判断は誤りである。 2 被告の反論以下のとおり,審決に誤りはない。 - 10 -(1) 取消事由1(本件ウェブサイトが英語であることを理由に日本における商標使用を否定した判断の誤り)に対し原告は,本件ウェブサイトが英語で表示されていることを理由に,日本における商標使用とは認められない旨判断した審決は誤りである旨主張する。 しかし,原告の主張は前提を欠き,失当である。 審決は,「本件ウェブサイトは,・・・すべて英語で表示されており,主として我が国の需要者を対象にしていることを客観的,具体的に認めるに足りる記載も見出せない」としており,本件ウェブサイトが英語で表示されていることを理由に日本における商標使用を否定したのではなく,総合的に判断した結果,商標使用を否定したものである。 本件訴訟において提出された証拠(甲27ないし甲33の3)には,発行日付の記載がなかったり,発行日付が本件商標の取消審判の請求の登録前3年以内ではなかったり,指定役務との具体的関係を欠いたりするものであり,これらにより,本件商標の取消審判の予告登録前3年以内における本件商標の使用の事実を認めることはできない。また,甲34(陳述書)は,甲8(ポスター)に「TheBRIDGE」なる記載がないにもかかわらず,「同ポスターに表示された『ブリッジ』(TheBRIDGE)」と記載されているなど,不正確な内容を含んでいる。 (2) 取消事由2(「ブリッジ」と「TheBRIDGE」が社会通念上同一でないとした判断の誤り)に対し原告は,本件商標中「The」の文字は,本件 載されているなど,不正確な内容を含んでいる。 (2) 取消事由2(「ブリッジ」と「TheBRIDGE」が社会通念上同一でないとした判断の誤り)に対し原告は,本件商標中「The」の文字は,本件商標において特段の意味を有さず,「ブリッジ」と「TheBRIDGE」は社会通念上同一の商標とみるべきである旨主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 片仮名とローマ字の表示を相互に変更するものにあっては,同一の称呼及び観念を生ずる商標といえるか否かによって,登録商標と社会通念上同一の商標に該当するか否かを判断すべきであり,「ブリッジ」と「TheBRIDGE」は,少な - 11 -くとも称呼において相違するから,両商標は社会通念上同一とはいえない。 (3) 取消事由3(甲17・審決乙17は商品「印刷物」についての使用であり,本件商標の指定役務についての使用に当たらないとした認定,判断の誤り)に対し原告は,甲17には,本件商標「TheBRIDGE」が付されているが,本件商標は,印刷物という「商品」の商標ではなく,「サイエントロジー宗教哲学に関する知識の教授」という指定役務を提供するに当たり,学習者に利用される物について使用されている旨主張する。 しかし,原告の主張は失当である。 甲17には,「TheBRIDGE」なる表示はなく,また,甲17は独立の取引の対象である(甲23)。さらに,甲17には「THEBRIDGETOTOTALFREEDOM」なる表示があり,当該表示全体が一体として標語のような記載となっており,当該表示中の「THEBRIDGE」なる部分が識別力を有する態様,すなわち,商標的態様で使用されているともいえない。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,他の取消事由の当否を検討するまでもなく,原告の主張 の「THEBRIDGE」なる部分が識別力を有する態様,すなわち,商標的態様で使用されているともいえない。 第4 当裁判所の判断当裁判所は,他の取消事由の当否を検討するまでもなく,原告の主張に係る取消事由3には理由があるものと判断する。事案にかんがみ,取消事由3について述べる。 1 取消事由3(甲17・審決乙17は商品「印刷物」についての使用であり,本件商標の指定役務についての使用に当たらないとした認定,判断の誤り)について審決は,本件商標の通常使用権者であるサイエントロジー東京が,販売するために輸入し,平成21年12月末に11部を所有した印刷物(甲17・審決乙17)について,「宗教哲学に関する知識の教授に付随してその生徒に譲渡等されるものとはいえず,独立して商取引の対象となるものというのが相当であり,ほかに,印刷物がかかる役務の提供に付随するものとみるべき証拠はない。したがって,上記印刷物は,商標法上の商品に該当するというべきものであり,これに本件商標が表 - 12 -示されているとしても,そのことをもって請求に係る指定役務についての本件商標の使用とはいえない。」と判断した。 しかし,審決の判断は,以下のとおり誤りである。 (1) 認定事実アサイエントロジー東京は,国際サイエントロジー教会の日本における支部ないし関連組織であって,サイエントロジー宗教の布教及び広告活動,サイエントロジー宗教哲学に基づいたトレーニングないし体験コースに関する契約の締結及び実践,日曜サービス等の提供及び実施,サイエントロジー宗教哲学の関連書籍,冊子,ポスター等の作成,展示及び販売などに関連した各種活動を行っている(甲5ないし13,15,17,22,23(各枝番号の表記を省略する。),弁論の全趣旨。)。 イサイエン 教哲学の関連書籍,冊子,ポスター等の作成,展示及び販売などに関連した各種活動を行っている(甲5ないし13,15,17,22,23(各枝番号の表記を省略する。),弁論の全趣旨。)。 イサイエントロジー東京は,その生徒に配布する資料等として,印刷物(甲17)を輸入して,平成21年12月末に少なくとも11部所有し,生徒が購入できる状態に置いていた(甲22,甲23)。 甲17の詳細は,以下のとおりである。すなわち,(ア) 最上部には「THEBRIDGETOTOTALFREEDOM」(甲8の邦訳「完全なる自由へのブリッジ」)との表題が大きく表記され,左上部には「ThefollowingareadditionaltrainingservicesthatmaybedoneatvariouspointsonTheBridge(R) 」(甲8の邦訳「ブリッジ(R) のさまざまな地点で行うことのできる追加のトレーニング・サービス」),右上部には「ThefollowingareadditionalprocessingservicesthatmaybedoneatvariouspointsonTheBridge.」(甲8の邦訳「ブリッジ(R) のさまざまな地点で受けることのできる追加のプロセシング・サービス」)と表記されている。 また,最下部には「・・・TheBridge,・・・aretrademarksandservicemarksownedbyRTCandusedwithitspermission.」(甲8の邦訳「・・・ザブリッジ・・・は,ReligiousTechnologyCenterが所有する登録商標およびサー - 13 -ビスマークで thitspermission.」(甲8の邦訳「・・・ザブリッジ・・・は,ReligiousTechnologyCenterが所有する登録商標およびサー - 13 -ビスマークであり,使用にあたってはその許可が必要です。」)と表記されている。 (イ) 最上段の表題の下に,「SCIENTOLOGYCLASSIFICATIONGRADATIONANDAWARENESSCHARTOFLEVELSANDCERTIFICATES」(甲8の邦訳「サイエントロジーレベルと認定証に関するクラス,グレード,意識のチャート」)の記載がある。中央部にはチャートが大きく記載され,その左側が「TRAINING」,右側が「PROCESSING」,中央が「AwarenessCharacteristics」の表題の下に克明詳細な内容が示されており,同チャートは,下方から上方に「Class」及び「Grade」等が昇進するように表記されている。 また,左下部には,「Howtousethischart/Thischartdescribestheroutetohumanrecoveryandultimateexpansionofone’sabilityandpowerasaspiritualbeing. ThefieldofhumanrecoverybelongstoDianetics(R)technology. Scientologyphilosophybringsanindividualtohigherstatesofbeingandability. Thischartcouldbeconceivedasamapoftheexpansi idualtohigherstatesofbeingandability. Thischartcouldbeconceivedasamapoftheexpansionoflife. Itshowsateachleveltherealizationofagreaterpotentialwith, attheleftunderTraining, anewknowledgeandskillinhandlinglife, inthecenterofthechartunderAwarenessCharacteristics,anexpandedawareness, andattherightunderProcessing, theattainmentofahigherstateofbeingness.・・・ 」(甲8の邦訳「このチャートの使い方/ このチャートは,人間の回復と精神的なビーイングとしての人の能力とパワーの究極的な拡張への道筋を説明しています。人間の回復はダイアネティックスの技術に属しています。サイエントロジー哲学は個人に,より高いビーイングおよび能力の状態をもたらします。このチャートは生命拡張のための地図として考えることができます。それは,それぞれのレベルでの,さらに大きな潜在的能力に対する認識を示しています。左側のトレーニングの下では人生に対処する新しい知識と技能を,中央の意識の特性では拡張した意識を,右側のプロセシングの下では達成されるより高い状態の存在性を示しています。・・・」)との記載がある。 - 14 -(2) 判断上記(1)イ(ア) 認定の事実によれば,甲17の印刷物には「THEB グの下では達成されるより高い状態の存在性を示しています。・・・」)との記載がある。 - 14 -(2) 判断上記(1)イ(ア) 認定の事実によれば,甲17の印刷物には「THEBRIDGE」,「TheBridge(R) 」,「TheBridge」との記載があり,「TheBridge」については原告の商標であることが明確に注記されているから,甲17における「TheBridge」は,原告の出所を識別するものとして使用されていることが認められる。 「TheBridge」と本件商標とは,文字の外観(大文字と小文字において若干の相違がある。),称呼及び観念において共通し,両者は,社会通念上同一の商標である。 また,上記(1)イ(イ) 認定の事実によれば,甲17の印刷物は,サイエントロジー哲学を学習する者,又は,その学習を始めようとする者に対し,「完全なる自由」という意識の特性に至るチャートを示して,人間の回復と精神的な人の能力とパワーの究極的な拡張への道筋を説明し,その過程で受けることのできるサービスやトレーニングを紹介し,もしくは,自己の学習の進行状況を確認させることを目的として作成されたものと解される。 さらに,甲17は,サイエントロジー東京の生徒向けの資料として輸入し,保有され,その部数も限られていることに照らすならば,同印刷物は,サイエントロジー哲学を学習する者,又は,その学習を始めようとする者に対して,供与されるものであって,不特定多数の者に対する販売することを目的としたものではないと解される。 そうすると,甲17の印刷物は,サイエントロジー哲学の教授という役務の提供を受ける者の利用に供する物であるというべきであるから,これに本件商標と社会通念上同一の商標を付する行為は,本件商標の指定役務である「哲学 甲17の印刷物は,サイエントロジー哲学の教授という役務の提供を受ける者の利用に供する物であるというべきであるから,これに本件商標と社会通念上同一の商標を付する行為は,本件商標の指定役務である「哲学の教授その他の技芸・スポーツ又は知識の教授」中,「哲学の教授」について本件商標を使用したものと評価すべきである(商標法2条3項3号)。 したがって,甲17の印刷物は,商標法上の商品に該当し,これに本件商標が表示されているとしても,請求に係る指定役務についての本件商標の使用とはいえないとした審決の認定,判断は,誤りである。 - 15 - 2 小括以上のとおり,原告の主張の取消事由3には理由があるから,その余の点について判断するまでもなく,審決は違法として取り消されるべきである。被告は,その他縷々主張するが,いずれも採用の限りではない。 第5 結論よって,審決を取り消すこととして,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官飯村敏明 裁判官池下朗 裁判官武宮英子
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