平成27(行ウ)60 裁決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成28年4月22日 東京地方裁判所 租税
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判決文本文22,464 文字)

平成28年4月22日判決言渡平成27年(行ウ)第60号裁決取消請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 東京都固定資産評価審査委員会が原告に対し平成27年1月20日付けでした,固定資産課税台帳に登録された東京都港区α ×番1及び同番3の土地に係る平成25年度の価格に対する平成25年7月31日付け審査申出(25東固審委申第18号の8)を棄却する旨の裁決のうち,同番1の土地につき価格1億3975万0580円及び同番3の土地につき価格3億3127万7250円を超える部分をそれぞれ取り消す。 2 東京都固定資産評価審査委員会が原告に対し平成27年1月20日付けでした,固定資産課税台帳に登録された東京都港区α ×番1及び同番3の土地に係る平成26年度の価格に対する平成26年7月16日付け審査申出(26東固審委申第9号の2)を却下する旨の裁決のうち,同番1の土地につき価格1億3975万0580円及び同番3の土地につき価格3億3127万7250円を超える部分をそれぞれ取り消す。 第2 事案の概要等 1 本件は,別紙1物件目録記載1及び2の土地(以下「本件各土地」という。)を所有(共有)する原告が,固定資産課税台帳に登録された本件各土地の平成25年度及び平成26年度の価格につき,本件各 土地を別々の画地として認定して評価すべきであると主張して,それぞれ審査の申出をしたところ,東京都固定資産評価審査委員会(裁決行政庁)が,平成27年1月20日付けで,前者の審査申出を棄却する旨の決定をし,後者の審査申出を却下する旨の決定をした(以下,これらの決定を併せて「本件各裁決」という。)ため,本件各裁決につき,第1記載の裁判を求めた事案である。 付けで,前者の審査申出を棄却する旨の決定をし,後者の審査申出を却下する旨の決定をした(以下,これらの決定を併せて「本件各裁決」という。)ため,本件各裁決につき,第1記載の裁判を求めた事案である。 2 関係法令等の定め(1) 固定資産税の課税標準ア基準年度に係る賦課期日に所在する土地(以下「基準年度の土地」という。)に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準は,当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格(以下「基準年度の価格」という。)で土地課税台帳又は土地補充課税台帳(以下「土地課税台帳等」という。)に登録されたもの(以下「登録価格」という。)とする(地方税法349条1項)。 なお,「基準年度」とは,昭和31年度及び昭和33年度並びに同年度から起算して3年度又は3の倍数の年度を経過したごとの年度をいい(同法341条6号),「価格」とは適正な時価をいう(同条5号)。 イ基準年度の土地に対して課する第2年度の固定資産税の課税標準は,当該土地に係る基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格で土地課税台帳等に登録されたものとする(同法349条2項本文)。 ただし,基準年度の土地について第2年度の固定資産税の賦課期日において「地目の変換,家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情」(同項1号)などの事由があるため,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当であ るか又は当該市町村を通じて固定資産税の課税上著しく均衡を失すると市町村長が認める場合においては,当該土地に対して課する第2年度の固定資産税の課税標準は,当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格で土地課税台帳等に登録されたものとする(同項ただし書)。 なお,「第2年度」とは,基準年度の翌年度をいう(同 第2年度の固定資産税の課税標準は,当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格で土地課税台帳等に登録されたものとする(同項ただし書)。 なお,「第2年度」とは,基準年度の翌年度をいう(同法341条7号)。 ウ基準年度の土地に対して課する第3年度の固定資産税の課税標準は,当該土地に係る基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格(第2年度において,同法349条2項ただし書により,第2年度の固定資産税の課税標準とされた価格がある場合においては,当該価格とする。以下本項において同じ。)で土地課税台帳等に登録されたものとする(同条3項本文)。 ただし,基準年度の土地について第3年度の固定資産税の賦課期日において,同条2項1号などが掲げる事由があるため,基準年度の固定資産税の課税標準の基礎となった価格によることが不適当であるか又は当該市町村を通じて固定資産税の課税上著しく均衡を失すると市町村長が認める場合においては,当該土地に対して課する第3年度の固定資産税の課税標準は,当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格で土地課税台帳等に登録されたものとする(同条3項ただし書)。 なお,「第3年度」とは,第2年度の翌年度(昭和33年度を除く。)をいう(同法341条8号)。 (2) 固定資産の評価と固定資産課税台帳への登録等ア総務大臣は,固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を定め,告示しなければならない(地方税法388条1項)。 これを受けて,固定資産評価基準(昭和38年自治省告示第158号。以下「評価基準」という。)が告示されている。 イ評価基準の概要(ただし,本件の争点に関連する部分)は,次のとおりである。 (ア) 宅地の評価は,各筆の宅地について評点数を付設し,当該評点数を評点一 評価基準」という。)が告示されている。 イ評価基準の概要(ただし,本件の争点に関連する部分)は,次のとおりである。 (ア) 宅地の評価は,各筆の宅地について評点数を付設し,当該評点数を評点一点当たりの価額に乗じて各筆の宅地の価額を求める方法によるものとする(評価基準第1章第3節一)。各筆の宅地の評点数は,市町村の宅地の状況に応じ,主として市街地的形態を形成する地域における宅地については「市街地宅地評価法」によって付設するものとし(同第3節二),市街地宅地評価法において,各筆の宅地の評点数は,路線価を基礎とし,「画地計算法」を適用して付設するものとする(同第3節二(一)4)。 (イ) 各筆の宅地の評点数は,一画地の宅地ごとに画地計算法を適用して求めるものとする。この場合において,一画地は,原則として,土地課税台帳等に登録された一筆の宅地によるものとする。 ただし,一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,これを一体をなしていると認められる部分に区分し,又はこれらを合わせる必要がある場合においては,その一体をなしている部分の宅地ごとに一画地とする(別表第3の2)。 ウ市町村長は,評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならない(同法403条1項)。 エ市町村長は,当該市町村所在の固定資産の状況を毎年少なくとも一回実地に調査し,① 基準年度の土地については,基準年度において,当該土地の基準年度の価格により,当該土地の価格を評価し,② 基準年度の土地で同法349条2項ただし書の規定の適用 を受けることになる土地については,第2年度において,当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格により,当該土地を評価した上,それぞれ,固定資産の価格等を決定し,固定資産課税台帳に登 を受けることになる土地については,第2年度において,当該土地に類似する土地の基準年度の価格に比準する価格により,当該土地を評価した上,それぞれ,固定資産の価格等を決定し,固定資産課税台帳に登録しなければならない(同法408条,409条1項,4項,410条1項,411条1項)。また,第3年度において基準年度の土地に対して課する固定資産税の課税標準について比準価格による場合にあっては,土地課税台帳等に登録されている当該比準価格をもって第3年度において土地課税台帳等に登録された比準価格とみなす(同法411条3項)。 なお,「固定資産課税台帳」とは,土地課税台帳,土地補充課税台帳,家屋課税台帳等を総称するものをいう(同法341条9号)。 (3) 審査の申出固定資産税の納税者は,その納付すべき当該年度の固定資産税に係る固定資産について固定資産課税台帳に登録された価格について不服がある場合においては,所定の期間内に,文書をもって,固定資産評価審査委員会に審査の申出をすることができる(地方税法432条1項本文)。 ただし,当該固定資産のうち同法411条3項の規定によって土地課税台帳等に登録されたものとみなされる土地の価格については,当該土地について同法349条2項1号に掲げる事情があるため同項ただし書,同条3項ただし書又は同条5項ただし書の規定の適用を受けるべきものであることを申し立てる場合を除いては,審査の申出をすることができない(同法432条1項ただし書)。 (4) 上記の各規定は,地方税法734条1項により,東京都を市とみなして準用される。 3 前提事実(当事者間に争いがない事実か,文中記載の証拠及び弁論 の全趣旨により容易に認定することができる事実)(1) 本件各土地の所有者(甲1~4,8,10)ア して準用される。 3 前提事実(当事者間に争いがない事実か,文中記載の証拠及び弁論 の全趣旨により容易に認定することができる事実)(1) 本件各土地の所有者(甲1~4,8,10)ア平成24年1月1日,平成25年1月1日及び平成26年1月1日において,別紙1物件目録記載1の土地(以下「本件土地1」という。)は,原告とA株式会社(以下「A社」という。)が共有していた(原告の共有持分は1000分の808)。 イ上記の各時点において,別紙1物件目録記載2の土地(以下「本件土地2」という。)は,原告とA社のほか7名が共有していた(原告の共有持分は1000分の539)。 (2) 本件各土地の形状,利用状況等ア本件各土地は,もともと1筆の土地(当時の所在・地番は港区β ×番)であったが,昭和41年7月9日,本件土地1(87.18㎡)と本件土地2(392.84㎡)に分筆された(乙17,18)。 イ本件土地1と本件土地2の形状及び位置関係は,別紙図面記載のとおりである。本件土地1は,その南側で外苑東通り(幅員18m。以下「南側正面道路」という。)に接しており,西側でも道路(以下「西側側方道路」という。)に接している角地である。本件土地2は,本件土地1の北側において本件土地2と接しており,西側で西側側方道路に接している。(乙2~4)ウ本件土地2上には,地下2階,地上6階建ての区分所有建物(所在・港区α ×番地3,構造・鉄筋コンクリート造陸屋根地下2階付6階建。以下「本件ビル」という。)が存在する(甲5,12)。 本件ビルについては,昭和41年2月1日に新築された旨の登記がされており(甲12~25),本件ビルの新築(用途変更)に係る建築確認において,本件ビルの建築主は原告とされ,敷地面積 は494.62 ルについては,昭和41年2月1日に新築された旨の登記がされており(甲12~25),本件ビルの新築(用途変更)に係る建築確認において,本件ビルの建築主は原告とされ,敷地面積 は494.629㎡とされている(乙19)。 エ本件ビルのうち,地下2階,地下1階及び地上2階から6階までの専有部分への主要な出入口は,本件ビルの西面に設けられており,専ら本件土地2を利用して西側側方道路に出入りする構造となっている。他方,本件ビルのうち,A社が所有する1階の専有部分(以下「本件1階専有部分」という。)は,上記出入口と通じておらず,また,本件1階専有部分から本件ビルの他の部分へ行くこともできないが,本件1階専有部分の西面又は南面に独自の出入口を設けることができる構造となっている。(甲5,11,乙11,12,弁論の全趣旨)オ本件土地1は,平成24年度の固定資産税の賦課期日(平成24年1月1日)において,駐車場業者が賃借し,駐車場として利用していた(甲9,乙11,12)。しかし,本件土地1は,平成25年度の固定資産税の賦課期日(平成25年1月1日)において,本件1階専有部分を賃借していたペット販売業者が賃借しており,当該業者は,本件1階専有部分の南面に主要な出入口を設置するとともに,本件土地1上に,当該出入口と本件土地1との段差を解消するための階段,スロープ及びデッキ(高床部分)を造成して,客が南側正面道路及び西側側方道路の双方から階段等とデッキを経由して本件1階専有部分に出入りできるようにして,本件土地1を利用していた(甲5,6,乙11~13,弁論の全趣旨)。 (3) 本件各土地の価格の登録及び審査の申出(甲1~4,弁論の全趣旨)ア平成24年度(基準年度)において,本件各土地は別々の画地と認定され,その登録価格は,本件土地 13,弁論の全趣旨)。 (3) 本件各土地の価格の登録及び審査の申出(甲1~4,弁論の全趣旨)ア平成24年度(基準年度)において,本件各土地は別々の画地と認定され,その登録価格は,本件土地1が1億3975万0580円であり,本件土地2が3億3127万7250円であった。 イ東京都知事は,平成25年度(第2年度)において,本件各土地を合わせて一画地と認定して評価することとし,本件土地1の価格を1億9729万3480円,本件土地2の価格を8億8902万0090円と決定し,地方税法349条2項ただし書の場合に当たるとして,土地課税台帳に登録した。 ウ原告は,本件各土地の平成25年度の登録価格を不服として,平成25年7月31日付けで,東京都固定資産評価審査委員会に対して審査の申出(以下「本件審査申出1」という。)をした(甲1)。 また,原告は,本件各土地の平成26年度(第3年度)の登録価格を不服として,平成26年7月16日付けで,東京都固定資産評価審査委員会に対して審査の申出(以下「本件審査申出2」という。)をした(甲2)。 東京都固定資産評価審査委員会は,平成27年1月20日,本件審査申出1を棄却する旨の決定を,また,本件審査申出2を却下する旨の決定をした(甲3,4)。 エ原告は,平成27年2月9日,本件訴訟を提起した。 4 本件各土地の平成25年度の登録価格の算出根拠被告が主張する上記各登録価格の算出根拠は,別紙2記載のとおりである。 5 争点及び争点に関する当事者の主張本件における主要な争点は,平成25年度の固定資産税の賦課期日において,① 本件各土地が一画地と認められるか否か(争点1),② 本件各土地につき地方税法349条2項ただし書の場合に該当するか(争点2)であり,これらの争点に関する 5年度の固定資産税の賦課期日において,① 本件各土地が一画地と認められるか否か(争点1),② 本件各土地につき地方税法349条2項ただし書の場合に該当するか(争点2)であり,これらの争点に関する当事者の主張は以下のとおりである。なお,原告は,上記4(被告が主張する本件各土地の平成25年度の登録価格の算出根拠)のうち争点1に関わる部分以外 については,積極的には争わないとしている。 (1) 争点1(本件各土地が一画地と認められるか否か)について(被告の主張の要旨)ア評価基準等について(ア) 評価基準は,一画地につき,原則として,土地課税台帳等に登録された一筆の宅地によるものとし,ただし,隣接する二筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,これらを合わせる必要がある場合においては,その一体をなしている部分の宅地ごとに一画地とする(評価基準別表第3の2)とし,一筆を一画地として評価する本来の方法による例外を定めている。 評価基準がこのような画地認定方法を採用しているのは,土地の評価は,本来,その利用価値に着目して行うものであるから,理論的には土地課税台帳等の筆にこだわらず,実際の利用状況に従って画地を認定して評価すべきであるようにも考えられるが,現実の利用状況による画地の認定を全ての土地について網羅的に行うことは行政実務上極めて困難であること等から,原則として土地課税台帳等に登録された一筆の土地をもって一画地とすることとされたのである。 しかし,実際の土地利用は必ずしも筆単位で行われるとは限らないため,全て一筆を一画地として評価すると,土地によってはその本来の価値が評価に反映されないことも生じ,結果的に土地相互間の評価の不均衡をもたらす場合もあることから,隣接する二筆以上の土地について,その形状 て一筆を一画地として評価すると,土地によってはその本来の価値が評価に反映されないことも生じ,結果的に土地相互間の評価の不均衡をもたらす場合もあることから,隣接する二筆以上の土地について,その形状,利用状況等からみて,一体をなしていると判断される場合においては,二筆以上の土地を合わせて評価(同一画地評価)することを例外的に認めているのである。 (イ) 評価基準には,同一画地に係る具体的な取扱いや判断基準について,これ以上の特段の定めがないことから,その具体的な取扱いや判断基準については,上記評価基準の趣旨を逸脱しない範囲で,評価庁の裁量に委ねられているものと解すべきであり,その「形状」とは,ある一定の範囲内の土地について平面的,立体的に物理的な連続性が認められるか否か,「利用状況」とは,ある一定の範囲内の土地について,同一目的に供するため一体的に利用されているか否かにより,判断するのが合理的であるというべきである。 こうした考え方に基づき,東京都の特別区においては,東京都主税局長が「東京都固定資産(土地)評価事務取扱要領」(乙1。 以下「取扱要領」という。)を定めており,同要領においては,「隣接する二筆以上の宅地について,一体として利用されることによりその土地の維持又は効用を果たしていると認められる場合」(第6の2オ)には,二筆以上の土地を合わせて評価するとしている。 そして,隣接する二筆以上の土地について,一画地として評価するか否かは,その形状や利用状況等からみて,外見上一見明白に一体性が認められるか否かによって判断されるべきである。 イ本件各土地の評価について(ア) 本件土地1は,本件ビル1階テナント(ペットショップ)が賃借し,同テナントは,本件土地1に沿接する南側正面道路に向かって広めの階段を設置し れるべきである。 イ本件各土地の評価について(ア) 本件土地1は,本件ビル1階テナント(ペットショップ)が賃借し,同テナントは,本件土地1に沿接する南側正面道路に向かって広めの階段を設置し,また,西側側方道路に向かってスロープを設置し,客を店舗に誘導するエントランスとして利用しているほか(乙13の写真①,⑤及び⑥),本件土地1の東側には,シャッターが降りて鍵の掛かる小さめの物置を2棟設置し,その 中でペットフード,犬猫の排泄物用の脱臭ゼリーシーツ,砂等の商品を陳列して販売するなど,店舗の一部として利用している(乙13の写真④,⑦及び⑧)。また,本件土地1の南側にベンチを2台設置しているほか,犬猫を乗せるための乳母車を4台置くなど,来店者の休憩スペースとしても利用していることが認められる(乙13の写真①,③ないし⑤)。このように,本件土地1と本件土地2は,本件ビルの敷地として外見上一見明白に一体的に利用されているものと認められる。 また,本件ビル1階のテナントは,本件土地1を利用しなければペットショップを営業することはできず,たとえ本件ビルの一部分であったとしても,1階テナント部分も含めて本件ビル全体を構成しているのであって,本件ビル全体が建物として機能するには,本件土地1が本件ビルの敷地であることが必要となる。 さらに,原告は,本件土地1の利用が本件ビル1階のテナントのみにとどまると主張するが,本件土地1上には,本件ビルの区分所有者全員が利用するゴミ置き場や空調室外機,自転車置き場(乙16の写真②,③及び⑨)が設置されている上,本件ビルの連結散水設備送水口(乙16の写真③ないし⑤)だけでなく,本件ビル地下1階からの避難口(乙16の写真③,④,⑥ないし⑧)もまた本件土地1側に設置されており,これらの点から 置されている上,本件ビルの連結散水設備送水口(乙16の写真③ないし⑤)だけでなく,本件ビル地下1階からの避難口(乙16の写真③,④,⑥ないし⑧)もまた本件土地1側に設置されており,これらの点からも本件土地1は,本件ビル1階のテナントのみに利用されているだけでなく,本件ビルの敷地として,本件土地2とともに一体的に利用されていることは明らかである。 加えて,そもそも本件各土地は,本件ビルが本件各土地上に昭和41年2月1日に新築された後(甲12~25),同年7月9日に本件土地1と本件土地2に分筆されたのであって(乙17, 18),それまでは一筆の土地であった。そうすると,本件ビルの新築時においては,当然に本件土地1も含めて本件ビルの敷地として建築確認を受けていたはずであり,本件各土地は,本件ビルの敷地として一体利用の関係にあったということができる。このことは,本件各土地の分筆後に発行された昭和41年8月6日付け本件ビルに係る確認済証の内容を証する台帳記載事項証明(乙19)においても,敷地面積が494.629㎡と記載され,本件各土地の地積の合計(480.02㎡)とほぼ一致していることからも裏付けられる。 (イ) 以上によると,本件土地1と本件土地2は,隣接する二筆以上の宅地について,一体として利用されることによりその土地の維持又は効用を果たしていると認めることができ,一画地として認定し評価することは適当である。 ウ原告の主張に対する反論(ア) 原告は,本件各土地が一画地ではない理由として,本件ビル1階の区分所有者が本件土地1の利用形態を変更したことによって,その利用から全く便宜を受けていない本件土地2の土地共有者の分も含めて,本件各土地全体の固定資産税評価額が上がることは不当であることを挙げている。 固定資産 地1の利用形態を変更したことによって,その利用から全く便宜を受けていない本件土地2の土地共有者の分も含めて,本件各土地全体の固定資産税評価額が上がることは不当であることを挙げている。 固定資産(土地)の評価は,原則として,土地課税台帳等に登録された一筆の土地を単位として行うものであり,その土地に地上権,借地権等が設定されていても,これらの権利が設定されていない土地として評価するものとされている(更地主義)。そうだとすると,当該土地上の建物が単独所有であるか区分所有であるかによって,当該土地の評価に相違が生ずることはありえない。 また,地方税法352条の2(区分所有に係る家屋の敷地の用 に供されている土地等に対して課する固定資産税)の規定からも明らかなように,固定資産の評価においては,単独所有であろうと区分所有であろうと何ら相違はなく,あくまで税額を決定する際に考慮されるにすぎないのである。 したがって,原告の上記主張は理由がないというべきである。 (イ) 原告は,本件土地1と本件土地2が一体として利用されるものではないことの理由として,① 本件ビルは地下2階,地上6階建てであり,その1階だけが本件土地1から本件ビル内に出入りできるが,それ以外の地下1階及び地下2階,地上2階ないし6階のテナントは,本件土地1に面していない本件ビルの側面の入口からのみ出入りする構造となっていること,② 本件ビル内に内階段はなく,また,内階段を設置できる構造にもなっていないのであるから,将来的にも1階以外のテナントが本件土地1から本件ビルに入り,入居するフロアに移動することがあり得ないことを挙げている。 評価基準等は,角地の場合,路線価の高い方を正面路線とし,低い方を側方路線とすると定めているだけであって,その土地の具体的な利 り,入居するフロアに移動することがあり得ないことを挙げている。 評価基準等は,角地の場合,路線価の高い方を正面路線とし,低い方を側方路線とすると定めているだけであって,その土地の具体的な利用方法を考慮するものとは規定していないから,当該土地上の建物の出入口がどの路面に面しているかは登録価格の決定の違法事由とはなり得ないというべきである。 こうした結論が妥当性を有することは,① 土地の評価において,原告が主張する事情を全て考慮しなければならないとすると,事務作業量が膨大になり,徴税コストの負担が極めて大きくなる上,現に正面路線の側から出入りができるにもかかわらず,そうしないことによって土地の価格が変わるのは,固定資産の「適正な時価」の概念にも反すること,② 中高層の建物が林立してい る地域において,一軒だけ平屋の木造建物があった場合,当該建物の評価が低いのは当然であるとして,土地の評価にそのことが影響することはあり得ないこと,③ 低層階が飲食店や物販小売店等の店舗,中高層階が住宅という,いわゆる下駄履き住宅において,正面から出るのは専ら店舗関係者及び利用者であって,居住者は側方からだけ出入りすることは珍しいことではないが,こうした建物が単独所有であった場合,その利用状況によって土地の評価に影響することはあり得ないことからも裏付けられる。 加えて,原告が主張する本件ビルの構造は,建物の内部の構造に係る説明であって,外見上一見明白になっているものではない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (原告の主張の要旨)ア評価基準によれば,「二筆以上の土地を合わせて評価する土地(同一画地)」の判断においては,一筆を一区画として評価することが原則とされ,例外的に隣接する二筆以上の宅地が一体をなしていると 旨)ア評価基準によれば,「二筆以上の土地を合わせて評価する土地(同一画地)」の判断においては,一筆を一区画として評価することが原則とされ,例外的に隣接する二筆以上の宅地が一体をなしていると認められる部分を合わせる必要がある場合において,その一体をなしている部分の宅地ごとに一区画とすることが許されるにすぎない。 イ本件土地2は,本件ビルの敷地としてのみ利用されているところ,本件土地1が本件土地2と一体利用されて土地の維持及び効用を果たしているかどうかは,本件土地1が本件土地2と一体となり,本件ビルの利用に供されているかどうかにより判断されるべきである。 しかるに,① 本件ビルは,地下2階,地上6階建てであるところ,本件土地1に面しているのは本件ビル1階のみであり,本件ビル1階のみが本件土地1から同ビル内に出入りできるが,地下1 階及び地下2階,地上2階ないし6階のテナントは,本件土地1を一切利用することなく,本件土地1に全く面していない本件ビル側面の入口からのみ出入りする構造となっている(甲5の写真③)。 ② 加えて,本件ビル内に内階段はなく,また,内階段を設置できる構造にもなっていないのであるから,現在はおろか,将来的にも一階以外のテナントが本件土地1から本件ビルに入り,入居しているフロアに移動することはあり得ない。③ 本件土地1を賃借しているのは,本件ビル1階のテナントのみであり(甲6),他方,本件ビルはフロアごとに10名による区分所有であり(甲7,12~25),本件土地2も建物区分所有者による共有であるが(甲8),本件ビル1階テナント以外のテナントは,本件土地1について何の権利関係も有していない。 以上のとおり,本件土地1は,唯一,本件ビル1階の利用に供されているだけであって,本件ビルの大部分を占 8),本件ビル1階テナント以外のテナントは,本件土地1について何の権利関係も有していない。 以上のとおり,本件土地1は,唯一,本件ビル1階の利用に供されているだけであって,本件ビルの大部分を占める地下2階及び地下1階,地上2階ないし6階にとっては一切利用されていない。本件土地1は,本件ビル及びその敷地である本件土地2の利用にとって何の意味もないことは明らかである。これは,被告が主張しているように,本件ビル1階の所有者が本件土地1を利用していたとしても同様である。ビルのごく一部の所有者が隣接土地を利用できたとしても,ビル敷地全体が隣接土地と一体として利用されている理由にはならないのは当然のことである。 ウ被告は,「外見上一見明白に一体性が認められる場合」という基準により一画地として評価するか否かを判断すべきであると主張している。 しかしながら,この基準によったとしても,上記イのとおり,本件土地1は,本件土地2上の本件ビル1階のテナントの用にしか供 されておらず,このことは本件ビル1階のテナント内に他のフロアへの内階段がないこと,他のフロアには本件土地1を全く使用することなく,本件ビルの側面の階段からのみ出入りする構造となっていることからすると,「外見上一見明白に一体性が認められる場合」には該当しない。 なお,被告は,土地の評価において,こうした事情を全て考慮しなければならないとすると事務作業量が膨大となり,徴税コストの負担が極めて大きくなるなどと述べるが,上記のとおり,本件ビルの構造上,本件土地2が本件土地1の利用に一部しか供されていないことは一見して明らかであるし,仮に第一次的に調査が困難であったとしても,原告は,審査申出において事実関係を詳細に説明しているのであるから,当該時点では事実関係調査のコストな 一部しか供されていないことは一見して明らかであるし,仮に第一次的に調査が困難であったとしても,原告は,審査申出において事実関係を詳細に説明しているのであるから,当該時点では事実関係調査のコストなどを考慮する必要はなく,また,下記のとおり実質的に不平等な課税を強いている結果となっているのであるから,被告において対応すべきであって,被告の上記主張は失当である。 また,被告は,当該土地上の建物が単独所有か区分所有であるかによって,当該土地の評価に差異が生じることはあり得ないと主張するが,本件ビル1階の区分所有者が利用形態を変更したことによって,その利用から全く便益を受けていない土地共有者の分も含めて,本件土地2の固定資産評価額が上がることは,他の土地共有者にとって不意打ちというほかなく,結論において不当であることはいうまでもなく,原告は実質的な不平等性を指摘しているのである。 (2) 争点2(本件各土地につき地方税法349条2項ただし書の場合に該当するか否か)について(被告の主張の要旨) ア地方税法349条2項ただし書が,「地目の変換,家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情」(同項1号)がある場合に,従前の価格(評価)を維持せず,新たな評価を求めているのは,固定資産の利用状況,物理的な状態等に大きな変化があった場合に,従前の価格(評価)を維持したのでは,評価の均衡が図れなくなることから,評価の均衡を図るためにほかならない。 そうだとすれば,上記の「その他これらに類する特別の事情」とは,固定資産の利用状況,物理的な状態等に大きな変化があり,従前の価格(評価)を維持したのでは評価の均衡を図れなくなるような事情をいうものと解釈すべきである。 イ本件においては,上記(1)で述べたとおり,本件各土地 況,物理的な状態等に大きな変化があり,従前の価格(評価)を維持したのでは評価の均衡を図れなくなるような事情をいうものと解釈すべきである。 イ本件においては,上記(1)で述べたとおり,本件各土地は,一体として利用されることによりその土地の維持又は効用を果たしていると認められ,南側正面道路及び西側側方道路に接する角地として評価するのが適当というべきであるから,これらを別の画地として評価していた従前の価格(評価)を維持したのでは著しく評価の均衡を害するというべきである。 したがって,被告が,本件各土地の平成25年度の価格につき,地方税法349条2項1号に該当する場合であるとして,同項ただし書に基づき,本件各土地を一画地として評価し直したことに何ら誤りはない。 (原告の主張の要旨)ア地方税法349条2項1号の「地目の変換(中略)その他これらに類する特別の事情」とは,その土地の全部又は一部について用途変更による現状地目の変更又は浸水,土砂の流入,隆起,陥没,地滑り,埋没等によって当該土地の区画,形質に著しい変化があった場合をいうとされている。 イしかるに,上記(1)で述べたとおり,本件土地1は,本件ビル全体及び本件土地2にとって全く関係がなく,本件土地1と本件土地2は一体として利用,使用される関係にない。また,本件土地1の賃料収入は,本件土地1を駐車場として利用していた従前と変わらず,月額10万円であり(甲5,9),本件土地1を本件ビル1階のテナントに賃借することによって,本件ビル及び本件各土地の価値が上昇しているという事実も一切なく,評価の均衡の点からも全く問題はない。 したがって,地方税法349条2項1号の「特別の事情」に該当するものではなく,ましてや当該土地の区画,形質に著しい変化があったなどという う事実も一切なく,評価の均衡の点からも全く問題はない。 したがって,地方税法349条2項1号の「特別の事情」に該当するものではなく,ましてや当該土地の区画,形質に著しい変化があったなどということはない。 第3 当裁判所の判断 1 登録価格の決定が違法となる場合について地方税法は,土地に対して課する基準年度の固定資産税の課税標準を,当該土地の基準年度に係る賦課期日における価格で土地課税台帳等に登録されたもの(登録価格)とし(同法349条1項),上記の価格とは「適正な時価」をいうと定めている(同法341条5号)ところ,上記の適正な時価とは,正常な条件の下に成立する当該土地の取引価格,すなわち,客観的な交換価値をいうと解される。したがって,土地の基準年度に係る賦課期日における登録価格が同期日における当該土地の客観的な交換価値を上回れば,その登録価格の決定は違法となる(最高裁平成10年(行ヒ)第41号同15年6月26日第一小法廷判決・民集57巻6号723頁参照)。 また,固定資産税の課税において全国一律の統一的な評価基準に従って公平な評価を受ける利益は,適正な時価との多寡の問題とは別にそれ自体が地方税法上保護されるべきものということができ,土地の 基準年度に係る賦課期日における登録価格が評価基準によって決定される価格を上回る場合には,同期日における当該土地の客観的な交換価値としての適正な時価を上回るか否かにかかわらず,その登録価格の決定は違法となるものというべきである(最高裁平成24年(行ヒ)第79号同25年7月12日第二小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)。 以上の理は,基準年度の土地に対して課する第2年度の固定資産税の課税標準となる登録価格(地方税法349条2項ただし書によるもの)についても妥当する 二小法廷判決・民集67巻6号1255頁参照)。 以上の理は,基準年度の土地に対して課する第2年度の固定資産税の課税標準となる登録価格(地方税法349条2項ただし書によるもの)についても妥当するものと解される。 2 争点1(本件各土地が一画地と認められるか否か)について(1) 画地の認定について評価基準は,画地計算法を適用する場合において,一画地は,原則として,土地課税台帳等に登録された一筆の宅地によるものとし,ただし,一筆の宅地又は二筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,これを一体をなしていると認められる部分に区分し,又はこれらを合わせる必要がある場合においては,その一体をなしている部分の宅地ごとに一画地とする旨定めている(評価基準別表第3の2,上記第2の2(2)イ)。 これは,土地の価格が一筆ごとに土地課税台帳に登録されること,同一所有者に属する筆の分合はその利用状況に関係なく所有者の自由意思でできること,評価すべき固定資産の全てについて現実の利用状況により画地の認定をすることは事務的,技術的に困難であることなどに鑑み,原則として,土地課税台帳等に登録された一筆の宅地をもって一画地とすることとし,合わせて,その形状や現実の利用状況等によっては,上記の原則により画地認定したのでは客観的な交換価値を合理的に算定することができず,各筆の宅地の評価 額に大きな不均衡を生ずる場合も考えられることから,その例外を設け,その形状,利用状況等からみて,これを一体をなしていると認められる部分をもって一画地とすることとしたものと解される。 以上のような評価基準の趣旨に照らすと,評価基準別表第3の2ただし書の「一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,これを一体をなしている としたものと解される。 以上のような評価基準の趣旨に照らすと,評価基準別表第3の2ただし書の「一筆の宅地又は隣接する二筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて,これを一体をなしていると認められる部分に区分し,又はこれらを合わせる必要がある場合」に該当するのは,その土地の形状,利用状況等に照らして,一筆一画地の原則を適用したのでは,各筆の客観的な交換価値を合理的に算定することができず,その評価額に大きな不均衡を生じるため,その不均衡を解消する必要がある場合をいうものと解するのが相当である。 そして,土地の客観的な交換価値とは,正常な条件の下において成立する取引価格を意味することからすれば,上記のような場合に該当するか否かは,一筆の宅地の一部又は隣接する二筆以上の宅地がその具体的な形状,利用状況等に照らして通常一体として取引の対象となるとみることが適切かどうかという観点から,社会通念に照らして判断すべきである。 以下,上記のような観点から,本件各土地が一画地と認められるか否かについて検討する。 (2) 認定事実上記第2の3の前提事実,当事者間に争いのない事実,文中記載の証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア本件各土地の形状等(ア) 本件各土地は,もともと1筆の土地(当時の所在・地番は港区β ×番)であったが,昭和41年7月9日,本件土地1(87. 18㎡)と本件土地2(392.84㎡)に分筆された(乙17, 18)。 (イ) 本件土地1及び本件土地2の形状及び位置関係は,別紙図面のとおりである。本件土地1は,幅員18mの南側正面道路と西側側方道路に接している角地である。本件土地2は,その南側が本件土地1と接しており,西側が西側側方道路に接している。(甲5,乙2~4)イ おりである。本件土地1は,幅員18mの南側正面道路と西側側方道路に接している角地である。本件土地2は,その南側が本件土地1と接しており,西側が西側側方道路に接している。(甲5,乙2~4)イ本件各土地及び本件ビルの利用状況(ア) 本件ビルは,本件土地1と本件土地2が分筆される以前の土地上に,昭和41年2月に新築されたものであり,本件土地1と本件土地2の分筆後は,本件土地2上に存在している(甲12~25,乙19,弁論の全趣旨)。 (イ) 本件土地1の共有者である原告及びA社は,株式会社Bとの間で,平成23年11月頃,本件土地1を同社に賃貸する旨の契約を締結した(甲9)。平成24年1月1日時点において,本件土地1は貸し駐車場として利用されていた。 (ウ) その後,本件1階専有部分の所有者であるA社は,ペット販売業者である株式会社C(以下「C」という。)との間で,平成24年9月1日付けで,本件1階専有部分をCに賃貸する旨の契約を締結した。 また,原告及びA社は,Cとの間で,同年8月11日付けで,本件土地1をCに賃貸する旨の契約を締結した。原告及びA社は,上記の賃貸借契約において,Cが本件土地1をデッキとして利用することを承諾し,また,その契約期間は,本件1階専有部分に係る上記賃貸借契約の期間と同一にすることなどを合意した。 (甲6)(エ) 平成25年1月1日時点において,Cは,本件1階専有部分に おいてペットショップを経営していた。Cは,本件1階専有部分の南面に主要な出入口を設置するとともに,本件土地1(東側の一部を除く部分)に,当該出入口と本件土地1との段差を解消するため,堅固な素材により,階段,スロープ及びデッキを造成して,客が南側正面道路及び西側側方道路の双方から階段等とデッキを経由して本件1階専有 を除く部分)に,当該出入口と本件土地1との段差を解消するため,堅固な素材により,階段,スロープ及びデッキを造成して,客が南側正面道路及び西側側方道路の双方から階段等とデッキを経由して本件1階専有部分に出入りできるようにした。また,デッキ上に商品を陳列して店舗の一部として利用したり,ベンチを置いて来店者の休憩スペースとして利用していた。他方,本件土地1の東側の一部は,本件ビルの区分所有者等のゴミ置き場や自転車置き場として利用されていた。(甲5,11,乙16,弁論の全趣旨)(オ) 本件ビルのうち,地下2階,地下1階及び地上2階から6階までの専有部分への主要な出入口は,本件ビルの西面に設けられており,専ら本件土地2を利用して西側側方道路に出入りする構造となっている。他方,本件1階専有部分は,上記出入口と通じておらず,また,本件1階専有部分から本件ビルの他の部分へ行くこともできないが,本件1階専有部分の西面又は南面に独自の出入口を設けることができる構造となっている。(甲5,11,乙11,12,弁論の全趣旨)(3) 検討上記認定事実を総合すれば,以下のようにいうことができる。 ア本件各土地の形状について本件各土地は,もともと1筆の土地であり,南側正面道路(外苑東通り)に接するものであったところ,昭和41年に本件土地1と本件土地2に分筆され,本件土地1のみが南側正面道路に接することとなったが,本件土地2の面積が約392㎡であるのに対し, 本件土地1の面積は約87㎡となり,本件土地1の形状は,東西に細長く,南側正面道路側の間口が広く,奥行きの狭いものとなった。 そして,本件土地1付近の土地で南側正面道路に接する標準宅地の最有効使用は,「事務所ビル敷地」とされているところ(乙4),本件土地1を単独でそのように使 路側の間口が広く,奥行きの狭いものとなった。 そして,本件土地1付近の土地で南側正面道路に接する標準宅地の最有効使用は,「事務所ビル敷地」とされているところ(乙4),本件土地1を単独でそのように使用することはその面積や形状に照らして困難な状況にある。 他方,本件土地2上に存在する本件ビルは,上記の分筆の直前に新築されたものであり,新築時の建築確認において,本件ビルの敷地には,本件土地2のみならずそれに接する本件土地1が含まれるものとされていたことがうかがわれることからすると,その当時,本件土地1及び本件土地2の双方をもって,最有効使用が実現されていたものと評価できる。 イ本件各土地の利用状況等について(ア) 本件土地1は,平成24年1月1日時点では,駐車場経営会社に賃貸され,貸し駐車場として利用されていたが,その後,本件1階専有部分がペット販売業者であるCに賃貸されたことに伴い,本件土地1の大部分をCが使用することとなり,平成25年1月1日時点では,Cが,本件1階専有部分の南面に専用出入口を設け,本件土地1(東側の一部を除く大部分)に,堅固な素材により,階段,スロープ及びデッキを造成し,当該デッキを店舗のエントランス,店舗の一部あるいは来店者の休憩スペースなどとして利用していた。 そして,本件土地1につき,Cは,本件土地1の共有者である原告及びA社との間で賃貸借契約を締結しており,同契約において,その賃貸期間は,本件1階専有部分の賃貸借契約の期間と同一の期間とされていることにも照らすと,本件1階専有部分の利 用者が本件土地1の大部分を利用するという上記の利用状況は,一時的なものではなく,相当期間継続するものであると評価することができる。 (イ) 本件土地2には,本件ビルが存在し,本件ビルの主要な出入口 者が本件土地1の大部分を利用するという上記の利用状況は,一時的なものではなく,相当期間継続するものであると評価することができる。 (イ) 本件土地2には,本件ビルが存在し,本件ビルの主要な出入口は本件土地2上にあって,本件1階専有部分の利用者以外の利用者はそれを利用し,本件土地1を経由しないで敷地外との出入りをするが,本件ビルの南面には,同ビルの連結散水設備送水口及び同ビル地下1階からの避難口が設置されており(乙16),その利用は,本件土地1を経由して行われることが想定されている。 また,本件1階専有部分についての出入口は,本件土地1を経由するように設けることもでるきる構造であり,平成25年1月1日時点では,現に本件土地1に面するように出入口が設けられていた(なお,本件ビルの新築当時においても,本件1階専有部分の南側正面道路の側に出入口があったことがうかがわれる(甲1,2)。)。 (ウ) 本件土地1の共有者は,原告とA社であり,これらの者は,本件土地2の共有者でもあること,また,原告は,本件土地1及び本件土地2の双方において,共有持分の過半を有していることに照らすと,原告とA社が本件土地1を処分する場合,同時に本件土地2の共有持分についても処分することが想定される。 ウ以上のような本件各土地の形状,利用状況等に照らせば,平成25年1月1日時点において,本件各土地は,社会通念上,本件ビルの敷地となる土地として,通常一体として取引の対象となるとみることが適切であるから,これらを一画地と認定することが相当であるというべきである。 エこれに対して,原告は,① 本件ビルの地下1階及び地下2階, 地上2階ないし6階のテナントは,本件土地1を一切利用しておらず,本件土地1と本件土地2が一体となり,本件ビルの利用に供されて これに対して,原告は,① 本件ビルの地下1階及び地下2階, 地上2階ないし6階のテナントは,本件土地1を一切利用しておらず,本件土地1と本件土地2が一体となり,本件ビルの利用に供されているものではない,② 本件ビル1階の区分所有者が利用形態を変更したことにより,その利用から全く便益を受けていない土地共有者の分も含めて,本件土地2の固定資産評価額が上がることになれば,他の土地共有者との関係で実質的に不平等な課税が生じるなどと主張する。 しかしながら,隣接する二筆以上の宅地について,その形状,利用状況等からみて一体をなしていると認められるか否は,社会通念上,当該宅地が通常一体として取引の対象となるとみることが適切かどうかという観点から決すべきであることは上記(1)で判示したとおりであって,単に当該宅地上にある建物への出入りという観点から決すべきものではなく,また,当該建物の個々の利用者にのみ着目して決すべきものともいえないから,原告の上記①の主張は,採用することができない。 また,上記(3)アのとおり,本件各土地は,もともと,本件ビルの敷地として利用されることをもって最有効使用が実現されていたと評価することができ,その形状及び利用状況等に照らし,潜在的には一体性が相当程度認められる状況にあったところ,平成25年1月1日時点では,本件土地1が本件1階専有部分と一体的に利用されることとなり,それにより,外観上も一体性が明白となったと評価することができることからすると,本件各土地を一体として評価することをもって,本件土地1の共有者以外の本件土地2の共有者との関係において,不平等な課税が生じるに至ったと評価することは当を得ない。したがって,原告の上記②の主張も,採用することができない。 オ以上のとおりであ 者以外の本件土地2の共有者との関係において,不平等な課税が生じるに至ったと評価することは当を得ない。したがって,原告の上記②の主張も,採用することができない。 オ以上のとおりであるから,本件土地1と本件土地2を別個に画地として認定し,評価したのでは,客観的な交換価値を合理的に算定することはできず,各土地の評価額に大きな不均衡が生じ得るものと考えられるから,本件土地1と本件土地2を一画地と認定し,評価することは,評価基準に適合するものであるということができる。 3 争点2(本件各土地につき地方税法349条2項ただし書の場合に該当するか否か)について(1) 地方税法349条2項ただし書の意義について上記第2の2(1)のとおり,基準年度の土地の課税標準につき,据置制度が採用されている(地方税法349条1項ないし3項)のは,固定資産税は固定資産の有する価値に着目して課税するものであるから,毎年度評価替えをして,これを課税標準とするのが本来妥当なものと考えられるが,課税事務の簡素化とともに税負担の安定を図るという要請から,3年間の据置期間であれば,課税標準の価格を据え置くこととしても合理性を有すると考えられることによるものと解される。 そして,地方税法349条2項ただし書及び3項ただし書が「地目の変換,家屋の改築又は損壊その他これらに類する特別の事情」(同条2項1号)がある場合において,上記の据置期間中であっても新たに評価をすることを求めているのは,同号所定の事情があり,固定資産の利用状況や物理的な状態等に大きな変化があった場合には,前年度の価格を据え置いたのでは評価の均衡を図ることができなくなることによるものと解される。したがって,土地についていえば,同号の「地目の変換(中略)その他これらに類する特別の 化があった場合には,前年度の価格を据え置いたのでは評価の均衡を図ることができなくなることによるものと解される。したがって,土地についていえば,同号の「地目の変換(中略)その他これらに類する特別の事情」とは,用途変更による現況地目の変更又は浸水や土砂の流入等 により,当該土地の区画,形質に著しい変化があり,基準年度の課税標準を維持したのでは評価の均衡を図ることができない事情を指すものと解するのが相当である。 (2) 検討前提事実(3)及び上記2(2)の認定事実によれば,① 本件土地1と本件土地2は,平成24年1月1日時点において,それぞれ別個の画地と評価されていたものであるが,上記2のとおり,平成25年1月1日時点においては,一画地と認定すべきものと認められ,その結果,本件土地2は,一画地として,南側正面道路と接するものとして評価されることとなり,平成24年1月1日時点と比較して本件土地2の価値に大幅な増加を来たすものと考えられること,② 本件土地1は,平成24年1月1日時点においては,貸し駐車場として利用されていたところ,平成25年1月1日時点においては,本件ビルの本件1階専有部分の南面に設けられた出入口との高低差をなくし,同専有部分に入居したペット販売業者の店舗の一部やエントランス等として利用するため,階段,スロープ及びデッキが造成され,相当期間存続する構築物が設けられて,その形質に著しい変化があったものと認められることからすると,基準年度(平成24年度)の課税標準を維持したのでは評価の均衡を図ることができない事情があるものと認められる。 したがって,本件各土地の平成25年度(第2年度)の価格に関しては,地方税法349条2項1号所定の「地目の変換(中略)その他これらに類する特別の事情」があるものと認 情があるものと認められる。 したがって,本件各土地の平成25年度(第2年度)の価格に関しては,地方税法349条2項1号所定の「地目の変換(中略)その他これらに類する特別の事情」があるものと認められ,同項ただし書により評価をし,価格を算定すべきこととなる。 上記と異なる原告の主張は,採用することはできない。 4 本件各裁決の適法性 (1) 本件審査申出1に対する裁決について本件各土地については,平成25年度(第2年度)において,上記2のとおり,一画地と認定すべきであり,また,上記3のとおり,地方税法349条2項ただし書により評価を行い,価格を算定すべきこととなる。 被告主張に係る本件各土地の平成25年度の登録価格(上記第2の4)は,上記の画地認定を前提とするものであり,他の算出根拠にも瑕疵があるとは認められない。 したがって,平成25年度の本件各土地の登録価格は,評価基準によって決定される価格を上回るものではない。また,上記の登録価格が当該土地の客観的な交換価値を上回ることを認めるに足りる的確な証拠はない。そうすると,本件審査申出1を棄却した裁決は適法である。 (2) 本件審査申出2に対する裁決について本件審査申出2は,本件各土地の平成26年度(第3年度)の登録価格についての不服の申出であるところ,この価格は,地方税法411条3項の規定によって土地課税台帳等に登録されたものとみなされる土地の価格(平成25年度(第2年度)の価格が据え置かれたもの)であり,また,上記申出は,本件各土地について同法349条2項1号に掲げる事情があるため同条3項ただし書の規定の適用を受けるべきものであることを申し立てるものでもないから(甲2),審査の申出をすることはできないものである(同法432条1項ただし書 49条2項1号に掲げる事情があるため同条3項ただし書の規定の適用を受けるべきものであることを申し立てるものでもないから(甲2),審査の申出をすることはできないものである(同法432条1項ただし書)。したがって,本件審査申出2を却下した裁決は適法である。 5 結論以上によれば,原告の本件各請求は,いずれも理由がないから,こ れらを棄却することとし,訴訟費用の負担については行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部 裁判長裁判官谷口豊 裁判官馬場潤 裁判官大西正悟は差し支えのため署名押印することができない。 裁判長裁判官谷口豊

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