裁判所
昭和47年12月14日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 東京高等裁判所 昭和34(ネ)2788
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主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人中島勲の上告理由中「昭和三四年(ネ)第二八二六号事件について」とある部分の第一の一について。原審が適法に確定したところによれば、本件換地予定地の従前の土地(東京都新宿区a町b番地の一部)のうち一〇五・一二平方メートル(三一坪八合)については、現実には第一審原告Dが昭和二四年一月はじめ頃前賃借人訴外Eから適法にその賃借権の譲渡を受けていたのであるが、上告人が自己に賃借権があると主張し、Dとの間に紛争を生じた結果、土地区画整理事業施行者たる東京都知事に対する賃借権の申告(届出)および知事の右申告に対応する換地予定地中の使用収益の目的となる部分(範囲)の指定関係が、錯雑したものになつたのである。すなわち、昭和二六年三月二二日賃貸人Fの代理人たる被上告人Bは、上告人の言を信じて、いつたん上告人とともに上告人名義による賃借権申告の手続をしたが、のちにその言の不実なことを知り、同二七年四月二八日、区画整理事務所係員の処置のもとに、上告人から提出されていた申告書を利用してその申告者名義を抹消し、その横にD名義の記入がなされたので、同年七月三一日、知事は特別都市計画法に基づき、土地所有者Fに対し換地予定地を指定するとともに、Dに対し賃借人の使用収益部分として本件土地を指定して(もつとも申告の趣旨に対応して、右賃借地とその西側通路地六六・七七平方メートルとをあわせて、その使用収益範囲を本件土地とした。)通知したが、その後知事は、前記紛争の経緯を考慮し、Dに対する右指定を取り消して、同二八年二月二日、あらためて、前賃借人でありすでに昭和二二年にその権利申告をしていた前記Eに対し、Dに対すると同一内容の指定をしてこれを通知し 記紛争の経緯を考慮し、Dに対する右指定を取り消して、同二八年二月二日、あらためて、前賃借人でありすでに昭和二二年にその権利申告をしていた前記Eに対し、Dに対すると同一内容の指定をしてこれを通知し- 1 -た、というのである。 、Dに対する右指定を取り消して、同二八年二月二日、あらためて、前賃借人でありすでに昭和二二年にその権利申告をしていた前記Eに対し、Dに対すると同一内容の指定をしてこれを通知し 記紛争の経緯を考慮し、Dに対する右指定を取り消して、同二八年二月二日、あらためて、前賃借人でありすでに昭和二二年にその権利申告をしていた前記Eに対し、Dに対すると同一内容の指定をしてこれを通知し- 1 -た、というのである。ところで、一般に、従前の土地の全部または一部に賃借権を有する者は、権利申告をして区画整理事業施行者から使用収益の目的となる部分の指定を受けないかぎり、換地予定地(土地区画整理法では仮換地)の使用収益ができないことは、当裁判所の判例とするところであるが(最高裁昭和三四年(オ)第八四二号同四〇年三月一〇日大法廷判決・民集一九巻二号三九七頁、昭和三七年(オ)第三八二号第三八三号同四〇年七月二三日第二小法廷判決・民集一九巻五号一二九二頁)、本件についてこれを見るに、賃借権者の使用収益部分の指定はなされているのであり、ただ賃借権の帰属につき前記紛争があつたため、知事は、その真実の権利者の認定を保留する趣旨で、前賃借人であるEに対しその指定通知をして土地区画整理事業の進行をはかつたことがうかがわれるのであつて、かかる場合には、Eから賃借権を譲り受けて真実その権利を取得していたDが、本件換地予定地の使用収益権を取得したものと解するのが相当である。論旨は、上告人が先に賃借権の申告をしていたのに、Dがこれを上告人の承諾なく自己名義に変更してなした申告は無効であると主張するが、前記認定事実のもとにおいては、被上告人Bは、上告人が賃借権を譲り受けた事実のなかつたことを知り、あらためてDの申告に協力したわけであるから、Dの申告を無効とする理由はなく、また、Dは上告人から権利の移転を受けたと主張して申告したものではないから、所論の土地区画整理法八五条三項は、本件の場合には関係がないというべきである(なお、当時は同法は施行されてもい 理由はなく、また、Dは上告人から権利の移転を受けたと主張して申告したものではないから、所論の土地区画整理法八五条三項は、本件の場合には関係がないというべきである(なお、当時は同法は施行されてもいなかつたのである。)。また所論は、Dの申告名義がその後再び抹消されて上告人の申告名義が復活した旨主張するところ、その時期は、上告人の主張によつても明確でないが、たとえそのような事実があつたとしても、前記経緯により取得したDの使用収益権になんらかの消長を出たすものとは認められない。 はないから、所論の土地区画整理法八五条三項は、本件の場合には関係がないというべきである(なお、当時は同法は施行されてもいなかつたのである。)。また所論は、Dの申告名義がその後再び抹消されて上告人の申告名義が復活した旨主張するところ、その時期は、上告人の主張によつても明確でないが、たとえそのような事実があつたとしても、前記経緯により取得したDの使用収益権になんらかの消長を出たすものとは認められない。- 2 -原審の認定判断に所論の違法も判例違背もなく、論旨は採用することができない。同第一の二について。原審は、所論の通路地については、FとDとの間に、本件換地予定地のうち右通路地に対応する部分につき、その指定を条件とする賃貸借契約が、賃料その他の要件はおおむね前記賃借地(三一坪八合の部分)に準ずるものとして、成立したと認定判断しているのであつて、かかる場合、右要件が必ずしも具体的に定められていなくとも、賃貸借が有効に成立するものとした原審の判断は、正当として首肯することができる(最高裁昭和三九年(オ)第六三三号同四〇年二月二三日第三小法廷判決・裁判集民事七七号五八九頁参照)。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。同第二および「昭和三四年(ネ)第二七八八号事件について」とある部分について。論旨指摘の点についての原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らして肯認することができ、原判決に所論の違法はなく、また所論のうち違憲をいう部分は、その実質において、原判決につき前記違法ないし事実誤認を主張するものにすぎず、論旨はいずれも採用するに由ない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。質において、原判決につき前記違法ないし事実誤認を主張するものにすぎず、論旨はいずれも採用するに由ない。よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官下田武三裁判官大隅健一郎裁判官藤林益三裁判官岸盛一- 3 -
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