平成25(ワ)7604 不正競争行為差止等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年8月21日 大阪地方裁判所
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判決文本文23,169 文字)

- 1 -平成26月8月21日判決言渡同日判決原本領収裁判所書記官平成25年(ワ)第7604号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論終結日平成26年6月9日判決 原告株式会社山二同訴訟代理人弁護士小田耕平同高須賀 彦 人被告株式会社ハッピーカンパニー同訴訟代理人弁護士早川正秋同大西達也主文 1 被告は,別紙2記載の商品を販売してはならない。 2 被告は,別紙2記載の商品の販売の広告をしてはならない。 3 被告は,別紙2記載の商品を廃棄せよ。 4 被告は,原告に対し,2653万8170円及びこれに対する平成25年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告のその余の請求を棄却する。 6 訴訟費用はこれを3分し,その2を被告の,その余を原告の各負担とする。 7 この判決は第4項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 主文第1ないし第3項同旨 2 被告は,原告に対し,金3740万円及びこれに対する平成25年8月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要原告は,別紙2記載の被告の商品(商品名:ハッピー★ベアー,Happ- 2 -y★Bear,JANコード:4582302052773,色:①ピンク・②ベージュ・③ブラウン。以下色により「被告商品①」などといい,①ないし③を併せて「被告商品」という。)が,別紙1記載の原告の商品( Bear,JANコード:4582302052773,色:①ピンク・②ベージュ・③ブラウン。以下色により「被告商品①」などといい,①ないし③を併せて「被告商品」という。)が,別紙1記載の原告の商品(商品名:シュエッティーベア,ChouettieBear:マネしておしゃべりぬいぐるみVer.5,JANコード4994793049468。以下「原告商品」という。)の形態を模倣したものであり,その販売は不正競争防止法2条1項3号の不正競争行為にあたるとして,被告に対し,同法3条1項及び同2項に基づき被告商品の販売等差止め及び廃棄を求めるとともに,同法5条2項に基づく損害賠償,弁護士費用及び遅延損害金の支払を求めた。 1 判断の基礎となる事実以下の各事実は当事者間に争いがないか,掲記の各証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる。 (1) 当事者原告は,家庭用,工業用プラスチック製品及びその金型の製造販売,金物,荒物,文房具等日用品雑貨の販売などを目的とする株式会社である。 被告は,食品の製造・加工及び販売,観光用土産物の販売などを目的とする株式会社である。 (2) 原告商品原告は,言葉を再生する機能を有しない小熊のぬいぐるみを開発して平成22年9月に発表し,「シュエッテイーベア」の商品名でこれを販売した。原告は,前記ぬいぐるみの多角化商品として,言葉を再生する機能を有する商品を開発し,平成23年12月から,商品名を「シュエッテイーベア,ChouettieBear,マネしておしゃべりぬいぐるみ」とする商品の製造販売を始め(以下「山二商品」という。),平成24年11月,他社にその独占販売権を付与した後,同年12月から,言葉を再- 3 -生する機能を有する,新しい外装のぬいぐるみとして,「シュエッテイーベ を始め(以下「山二商品」という。),平成24年11月,他社にその独占販売権を付与した後,同年12月から,言葉を再- 3 -生する機能を有する,新しい外装のぬいぐるみとして,「シュエッテイーベア,ChouettieBear,マネしておしゃべりぬいぐるみ,Ver.2」の製造販売を始めた(以下同商品以降のバージョンのものを総称して「山二商品2」という。)。その後,原告は,外装の色目やアクセサリー(スカーフ,ネクタイ,帽子,リボンなど)を変化させながら製造販売を継続し,平成25年1月から,山二商品2のVer.5である,別紙1記載の原告商品を製造販売している(甲1)。 原告商品は,ぬいぐるみ胴体内に内蔵した装置により,電源を入れた状態で話しかけると,直ちにその言葉を再生しながら,頭部等を上下に動かす機能を有している。 (3) 被告の行為被告は,平成24年9月分以降,原告から山二商品2をのべ4万4352個(うち原告商品は3万1680個)仕入れ,小売店やサービスエリア内の売店等に卸して販売したが,平成25年4月分を最後に,原告からの購入を中止し,同年6月1日以降,被告商品を販売している。 被告商品も,原告商品同様,ぬいぐるみ胴体内に内蔵した装置により,電源を入れた状態で話しかけると,直ちにその言葉を再生する機能を有している。 2 争点(1) 被告商品は,原告商品の形態を模倣したものか(争点1)(2) 原告の損害額(争点2)第3 争点に対する当事者の主張 1 争点1(被告商品は,原告商品の形態を模倣したものか)について【原告の主張】(1) 原告商品の形態原告商品の形態は,以下のとおりである。 - 4 -【全体的形態】A 全体が毛で被われたクマ様の動物の,座った状態をかたどったぬいぐるみである。 B 主張】(1) 原告商品の形態原告商品の形態は,以下のとおりである。 - 4 -【全体的形態】A 全体が毛で被われたクマ様の動物の,座った状態をかたどったぬいぐるみである。 B 赤・黄色・ピンクで構成された花のリボンが,左耳に設けられている。 C 毛は,色が明調子のピンク,長さは約10㎜であり,緩い巻(薔薇ボア加工)がかかっている。 D 口・鼻部と足の裏部,耳の内側は乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。 E 商品の大きさは,高さが約145㎜(頭部の高さは約70㎜,胴体部の高さは約75㎜),横幅(両耳の先端の幅)は約150㎜,両耳を除く頭部の横幅は約105㎜,両耳の付け根の幅は約80㎜,頭部の奥行き(鼻の先まで)は約110㎜である。 F 底面部は,略円形で白色のプラスチック部が露出しており,ネジ止めされた電池収容部の蓋とON/OFFのスイッチが設けられている。 【目】G 両目は,頭部正面部に,黒色の円形部材が水平方向に間隔を空けて2つ設けられて形成されている。 H 目の大きさは,直径約13㎜である。 I 両目の中心の間隔は,約42㎜である。 【口・鼻】J 口・鼻は,両目中央のやや下方部分が正面側に約30㎜突出して,口・鼻部が形成している。 K 口・鼻部は, 乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。 L 鼻は,黒色の各先端部は丸く加工した上辺を長くした下方中心に尖のある2等辺三角形の部材が設けられて形成されている。 - 5 -M 鼻の部材の幅は,約14.5㎜で,高さは10㎜である。 N 口は,黒色の刺繍により,鼻の部材の下側中央部分から左右下方にそれぞれ伸びる逆U字形状(左右全体にはW字形状)に形成されている。 【胴体部】O 両腕は,胴体部の左右側面において,頭部と胴 N 口は,黒色の刺繍により,鼻の部材の下側中央部分から左右下方にそれぞれ伸びる逆U字形状(左右全体にはW字形状)に形成されている。 【胴体部】O 両腕は,胴体部の左右側面において,頭部と胴体部の境界付近に,固定されていない態様で設けられている。 P 両足は,胴体部の左右の下端付に,固定されていない態様で設けられており,その先端部は, 乳白色の毛の長さ約1㎜以下の直毛の生地部分が設けられ,左右斜め外方向に向いている。 なお,左足の先端部のなかに,紫の縁取りで白地の刺繍により花文字の「C」が形成されている。 (2) 被告商品の形態被告商品の形態は,以下のとおりである。 【全体的形態】a 全体が毛で被われたクマ様の動物の,座った状態をかたどったぬいぐるみである。 b-1 被告商品①は,「黄色のネクタイをベージュの布ベルトにつけたシュシュ」と「赤い花をベージュの布ベルトにつけたシュシュ」を首に巻き付けている。 b-2 被告商品②は,「水色のネクタイをベージュの布ベルトにつけたシュシュ」と「ピンクの花をベージュの布ベルトにつけたシュシュ」を首に巻き付けている。 b-3 被告商品③は,「赤色のネクタイをベージュの布ベルトにつけたシュシュ」と「黄色の花をベージュの布ベルトにつけたシュシュ」を首に巻き付けている。 c-1 被告商品①は,毛は,色が明調子のピンク,長さは約12㎜であ- 6 -り,緩い巻(薔薇ボア加工)がかかっている。 c-2 被告商品②は,毛は,色が暗調子のベージュ,長さは約12㎜であり,緩い巻(薔薇ボア加工)がかかっている。 c-3 被告商品③は,毛は,色が暗調子のブラウン,長さは約12㎜であり,緩い巻(薔薇ボア加工)がかかっている。 d 口・鼻部と足の裏部,耳の内側は乳白色で,毛の長 ボア加工)がかかっている。 c-3 被告商品③は,毛は,色が暗調子のブラウン,長さは約12㎜であり,緩い巻(薔薇ボア加工)がかかっている。 d 口・鼻部と足の裏部,耳の内側は乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。 e 商品の大きさは,高さが約145㎜(頭部の高さは約70㎜,胴体部の高さは約75㎜),横幅(両耳の先端の幅)は約150㎜,両耳を除く頭部の横幅は約100㎜,両耳の付け根の幅は約50㎜,頭部の奥行き(鼻の先まで)は約95㎜である。 f 底面部は,それぞれの角を丸くした略長方形で白色のプラスチック部が露出しており,ネジ止めされた電池収容部の蓋とON/OFFのスイッチが設けられている。 【目】g 両目は,頭部正面部に,黒色の円形部材が水平方向に間隔を空けて2つ設けられて形成されている。 h 目の大きさは,直径約13㎜である。 i 両目の中心の間隔は,約43㎜である。 【口・鼻】j 口・鼻は,両目中央のやや下方部分が正面側に約30㎜突出して,口・鼻部が形成している。 k 口・鼻部は, 乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。 l 鼻は,黒色の各先端部は丸く加工した上辺を長くした下方中心に尖のある2等辺三角形の部材が設けられて形成されている。 m 鼻の部材の幅は,約13㎜で,高さは10㎜である。 - 7 -n 口は,黒色の刺繍により,鼻の部材の下側中央部分から左右下方にそれぞれ伸びる逆U字形状(左右全体にはW字形状)に形成されている。 【胴体部】o 両腕は,胴体部の左右側面において,頭部と胴体部の境界付近に,固定されていない態様で設けられている。 p 両足は,胴体部の左右の下端付に,固定されていない態様で設けられており,その先端部は, 乳白色の毛の長さ約1㎜以下の直毛の生地部 と胴体部の境界付近に,固定されていない態様で設けられている。 p 両足は,胴体部の左右の下端付に,固定されていない態様で設けられており,その先端部は, 乳白色の毛の長さ約1㎜以下の直毛の生地部分が設けられ,左右斜め外方向に向いている。 なお,左足の先端部のなかに,赤色の刺繍により「HAPPY」の文字とハートマークが形成されている。 (3) 原告商品と被告商品の共通点原告商品の形態と被告商品の形態を対比すると以下の形態において共通している。 ア口・鼻部を除く全体が毛で被われたクマ様の動物の,座った状態をかたどったぬいぐるみであること(A,a)イ毛の長さが約10~12㎜で,緩い巻(薔薇ボア加工)がかっていること(C,c)ウ原告商品と被告商品①は,毛の色が明調子のピンクであること(C,c)エ口鼻部と足の裏部,耳の内側は乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛であること(D,d)オ商品の大きさは,高さが約145㎜(頭部の高さは約70㎜,胴体部の高さは約75㎜),横幅(両耳の先端の幅)は約150㎜,両耳を除く頭部の横幅は約100~105㎜,両耳の付け根の幅は約50㎜,頭部の奥行き(鼻の先まで)は約110㎜であること。(E,e)カ底面部は,白色のプラスチック部が露出しており,ネジ止めされた電- 8 -池収容部の蓋とON/OFFのスイッチが設けられていること。(F,f)キ両目は,頭部正面部に,黒色の円形部材が水平方向に間隔を空けて2つ設けられて形成されていること。(G,g)ク目の大きさは,直径約13㎜であること。(H,h)ケ両目の中心の間隔は,約42~43㎜であること。(I,i)コ口と鼻は,両目中央のやや下方部分が正面側に約30㎜突出して口鼻部を形成していること。(J,j)サ口鼻部 ること。(H,h)ケ両目の中心の間隔は,約42~43㎜であること。(I,i)コ口と鼻は,両目中央のやや下方部分が正面側に約30㎜突出して口鼻部を形成していること。(J,j)サ口鼻部は, 乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛であること。 (K,k)シ鼻は,黒色の各先端部は丸く加工した上辺を長くした下方中心に尖のある2等辺三角形の部材が設けられて形成されていること。(L,l)ス鼻の部材の幅は,約14.5~13㎜で,高さは10㎜であること。 (M,m)セ口は,黒色の刺繍により,鼻の部材の下側中央部分から左右下方にそれぞれ伸びる逆U字形状(左右全体にはW字形状)に形成されていること。(N,n)ソ両腕は,胴体部の左右側面において,頭部と胴体部の境界付近に,固定されていない態様で設けられていること。(O,o)タ両足は,胴体部の左右の下端付近に,固定されていない態様で設けられており,その先端部は, 乳白色の毛の長さ約1㎜以下の直毛の生地部分が設けられ,左右斜め外方向に向いていること。(P,p)(4) 原告商品と被告商品の相違点原告商品の形態と被告商品の形態を対比すると以下の形態において相違している。 ア原告商品は,「花のリボンを左耳に設けられている」が,被告商品- 9 -は,「ネクタイのシュシュ」と「花のシュシュ」を首に巻き付けていること。(B,b-1~3)イ原告商品は毛の色が明調子のピンクであるが,被告商品②は毛の色が暗調子のベージュ,被告商品③は毛の色が暗調子のブラウンであること。(C,c-1~3)ウ原告商品の左足の先端部の刺繍が「紫の縁取りで白地の刺繍により花文字の『C』が形成されている」ことに対し,被告商品の左足の先端部の刺繍が「赤色の刺繍により『HAPPY』の文字とハートマーク )ウ原告商品の左足の先端部の刺繍が「紫の縁取りで白地の刺繍により花文字の『C』が形成されている」ことに対し,被告商品の左足の先端部の刺繍が「赤色の刺繍により『HAPPY』の文字とハートマークが形成されている」こと。(P,p)(5) 原告商品の布型と被告商品の布型が同一であることア 「ぬいぐるみ」の製造にあたっては,それぞれの部分毎に「型紙」を作成し,「型紙」により「生地」を裁断し,それぞれの部分の「生地」を縫い合わせることにより,「ぬいぐるみ」本体が完成し,その「ぬいぐるみ」の本体に,目や鼻の部材を取りつけることになる。 イ原告商品と被告商品の「布型」とその「布型」から復元した「型紙」は,いずれも,各構成部分の内訳,構成部分の数,各部分のデザインの殆どが原告商品と被告商品とで同一である。 ウしたがって,被告が原告商品の「布型」から「型紙」を作成する方法を用いて原告商品を模倣して被告商品を製造していたことが明らかである。 (6) 被告商品の形態と原告商品の形態は実質的に同一であることア以上の事実を総合すれば,被告商品の形態と原告商品の形態は実質的に同一であることは明らかである。 イなお,被告商品の首に巻き付けられている「ネクタイのシュシュ」と「花のシュシュ」は取り外せること,原告商品の左耳に付けられた「赤・黄色・ピンクで構成された花のリボン」は附属品に過ぎず,形態の実- 10 -質的な同一性の判断には影響を及ぼさない。 (7) 被告の主張に対する反論等被告は,アないしクの相違点を主張するが,いずれも原告商品の形態・外観と被告商品の形態・外観との実質的同一性を失わせるものではない。 アシュシュ2点の存在シュシュは当然に取り外しができるうえ,それ自体が原告商品と被告商品の形状・外観の実 も原告商品の形態・外観と被告商品の形態・外観との実質的同一性を失わせるものではない。 アシュシュ2点の存在シュシュは当然に取り外しができるうえ,それ自体が原告商品と被告商品の形状・外観の実質的同一性を失わせるものではない。山二商品2も様々な装飾を付加しているが,同一性を保持している。 イ毛の長さ,形状確かに被告商品の毛は僅かに「長目」ではあるが,被告商品の形態・外観が原告商品のそれと,実質的に同一であるという印象を与えることは明らかである。 また,被告商品の毛も「巻」があり,原告商品同様に「ローズボア」と呼ばれる素材である。被告商品の毛が原告商品と比べてわずかに長いことから,被告は縫製作業の困難さを解消することと共に,全体の印象を同一化させる為に「巻」を緩くした様であるが,被告の弁明とは反対に,実質的同一性を増強しているというべきである。 ウ商品の大きさ不正競争防止法(2条1項3号)の「模倣」は,対象商品の寸法が厳密に同一であることを要件とするものではなく,「他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいう」(同条5項)のであり,被告商品と原告商品の大きさの僅かな相違は,未だ実質的同一性を失わせるものではない。 エ底面部の形状原告商品,被告商品の形態・外観は主に頭部や胴体,外装の印象により形成されるもので,「底面部の形状」の相違は,実質的同一性の存否- 11 -には,何らの影響も及ぼさない。 「底面部の形状」の相違は,被告商品に使用されている音声再生機器が,原告商品に使用されているものとは別物であることから生じている相違に過ぎない。 オ左足の刺繍被告商品と原告商品は,小売店の店頭においては,同一商品として展示・販売されており,「左足の刺繍」の相違は意 に使用されているものとは別物であることから生じている相違に過ぎない。 オ左足の刺繍被告商品と原告商品は,小売店の店頭においては,同一商品として展示・販売されており,「左足の刺繍」の相違は意識されていない。 カ鼻の下の刺繍「鼻の下の刺繍」の長さの相違は僅かであり,被告商品の縫製作業の特性によるものと思われる。このような僅かな相違は,実質的同一性の存在を失わせるものではない。 キ耳の付け根の長さ,腕の長さ,しっぽの太さ,切り返し部分の相違被告が平成24年9月から平成25年5月までの間,のべ44,532個に及ぶ山二商品2(原告商品:Ver.5を含む)を仕入れて販売してきたことや,被告商品の布型が原告商品の布型と酷似している事実に照らせば,被告は,被告商品を製造するにあたり,原告商品の布型の複製の際に部分的に不正確に複製したか,製造(縫製)作業において便宜などを考慮して部分的に相違させた結果,被告商品と原告商品の上記部分の長さや形状などに僅かな相違を生じたに過ぎない。これらの僅かな相違は,実質的同一性の存在を失わせるものではない。 ク乾電池の備え付けについてそもそも「乾電池の備えつけ」の有無は,形態・外観の実質的同一性の有無の判断には関係しない。 (8) 模倣でないとする点について被告が指摘する後記畑山商品は,原告商品が流通した後,模倣に該当しないように配慮して開発した商品であり,そもそも原告商品に先行して被- 12 -告が指摘するような商品が市場に流通していたという事実自体がなく,被告の主張は理由がない。 【被告の主張】(1) 原告商品の形態についてCについては不知,D,E,H,I,J及びMは否認し,その余は概ね認める。 (2) 被告商品の形態についてc-1ないし3,e,h,i ない。 【被告の主張】(1) 原告商品の形態についてCについては不知,D,E,H,I,J及びMは否認し,その余は概ね認める。 (2) 被告商品の形態についてc-1ないし3,e,h,i及びmは否認し,その余は概ね認める。 (3) 原告商品と被告商品の共通点についてイ,オ,ク,ケ,コ及びスは否認する。 (4) 原告商品と被告商品の相違点について認める。ただし,相違点がこれだけに限定されるという趣旨ではない。 原告の主張を前提としても次のアないしオ,それ以外にもカ以下のとおり相違点が多々ある。 アシュシュ2点の存在(B,b-1~3)被告商品は,首回りに取り外し可能なシュシュ2点を配することで,他の商品と差別化を図っており,商品ケースにもその点を明記するなどして顧客に対してアピールしており,明らかな相違がある。しかも,被告商品のシュシュは,装着した状態でも動作の障害とならないように工夫して開発されたもので,1点のみ取り外して子供が使用してベアーと友達感覚を持たせることができるなど,独自の創作性がある。 イ毛の形状や長さ(C,c-1~3)原告商品の毛は,巻が強く入っており直毛というにはほど遠いのに対し,被告商品の毛は巻が緩く直毛と評価して差し支えないもので,明らかな相違がある。原告商品の毛の長さは10㎜,被告商品の長さは12㎜であるのに比して短い印象を与える。 - 13 -ウ商品の大きさ(E,e)原告商品は,両耳を除く横幅が105㎜,両耳の付け根の幅が80㎜,頭部の奥行き(鼻の先まで)が約110㎜であるところ,被告商品は,それぞれ約100㎜,約50㎜,80㎜であり,かなり小振りな印象を与えるもので,有意な差異が存在する。 エ底面部の形状(F,f)原告商品が略円形でサイズが約7 10㎜であるところ,被告商品は,それぞれ約100㎜,約50㎜,80㎜であり,かなり小振りな印象を与えるもので,有意な差異が存在する。 エ底面部の形状(F,f)原告商品が略円形でサイズが約74㎜×67㎜であるのに対し,被告商品の底面部は,略長方形でサイズが約33㎜四方であり,その形状,大きさは明らかに相違する。 オ左足の裏部分の刺繍の形状(P,p)原告商品の左足には,紫の縁取りの中に白色の刺繍で花文字のCが刺繍されているのに対し,被告商品の左足には,赤色の刺繍により「HAPPY」の文字とハートマークが形成されている。当該部位は,足の裏という部分ではあるものの,いずれも足の裏が見えるように投げ出した状態で商品化されており,マーク等の違いは第三者でも容易に判別できるもので,明らかな相違がある。 カ鼻の下の刺繍鼻の部材の下に縫われた直線状の刺繍については原告商品の長さ8㎜であるところ,被告商品の同部分の刺繍の長さは約5㎜であり,被告商品の同部分が明らかに短いことが判別出来る。 キ耳の付け根の長さ耳の付け根の長さについては,原告商品が約39㎜,被告商品が約25㎜と測定されているが,明らかに被告商品の耳が小さい事がわかる。 ク腕の長さ腕の形状については,原告商品の長さ約52㎜に対して,被告商品の長さが約28㎜と測定され,明らかに被告商品の腕が短い事がわかる。 - 14 -ケしっぽの太さしっぽの形状については,原告商品が太さ約23㎜であるのに対して,被告商品が約6㎜であり,被告商品のしっぽの細さが際立っている。 コ切り返し部分の形状鼻と口付近の毛に覆われていない,いわゆる切り返し部分の形状について,原告商品は縦37㎜横40㎜とほぼ円形状であるのに対し,被告商品は縦33㎜横42㎜で楕円形状である。ま コ切り返し部分の形状鼻と口付近の毛に覆われていない,いわゆる切り返し部分の形状について,原告商品は縦37㎜横40㎜とほぼ円形状であるのに対し,被告商品は縦33㎜横42㎜で楕円形状である。また,鼻の高さも原告商品は約31㎜で顔からせり出した印象であるのに対し,被告商品は約15㎜で比較的目立たない形状である。 サ乾電池の備え付け従前より繰り返し指摘しているが,原告商品は乾電池は別売りであるが,被告商品は乾電池をセットした状態でストッパーを付けた状態で販売している。 (5) 原告商品の布型と被告商品の布型が同一であることについて布型の類似については,胴体の形状,後頭部及び左右の手の布型の形状は相互に異なっており,一致しない。 (6) 原告商品と被告商品が実質的に同一であることについて争う。上記の通り,相違点は枚挙にいとまが無く,被告商品には独自の創作性が認められ,原告商品の模倣品ではないことは明らかである。 (7) 模倣ではないこと不正競争防止法が商品形態模倣行為を規制しているのは,先行商品の開発者の努力や成果を保護する趣旨であり,ありふれた形態や機能的に不可避な形態は開発者の労力や開発の成果とはいえず,また,需要者の購買動機を高めるものではないから,模倣性の判断材料とはなりえないものである。 原告が原告商品と被告商品とが類似していると指摘する,口と鼻の周り- 15 -に「切り返し」を設け,その生地が外装とは異なる白色系の短い生地で仕上げていること,目はパーツを取り付け,口はパーツを取り付けずに刺繍で「人」型に仕上げてあること,足の裏も白色系の生地で仕上げ,左足の裏に刺繍を入れる仕様であること,手足を固定しない「手揺れ」・「足揺れ」タイプの仕様であること,首回りに附属品を取り り付けずに刺繍で「人」型に仕上げてあること,足の裏も白色系の生地で仕上げ,左足の裏に刺繍を入れる仕様であること,手足を固定しない「手揺れ」・「足揺れ」タイプの仕様であること,首回りに附属品を取り付けている仕様であることなどは,他の市場に存在する商品とも概ね一致する部分であり,「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」として,クマのぬいぐるみを制作販売する場合,その外見的特徴として似てしまうのもやむを得ない部位であることは明らかである。 市場には,原告商品に類似する商品,訴外三洋堂が販売する「おしゃべりクマさんギミック」,訴外畑山商事株式会社が販売する「Heart♥Friend」(以下「畑山商品」という。)等が流通しており,ことさら被告が原告商品を模倣したとは捉えがたく,単に一般市場に流通しているクマの特徴を採用して開発したものといえる。 2 争点2(原告の損害額)について【原告の主張】被告が,被告商品を製造し販売することが不正競争行為に該当することを認識していたことは明らかであるから,被告の不正競争行為により,原告が被った損害は,不正競争防止法5条2項により,以下のとおりとなる。 (1) 被告は,被告商品を1個平均1113円で販売しており,1個あたりの製造(仕入)額は,平均735円であるから,被告製品の販売により,1個あたり平均378円の「営業上の利益」をあげている。 被告は,被告商品をのべ9万1416個製造(仕入れ)し,これを全て売り逃げようとしており,全ての商品を被告が販売して利益を得るであろうことから,3400万円以上の利益を得ることが明らかである(378円×9万1416個=3455万5248円)。これに,10%の弁護士- 16 -費用を加えた3740万円が原告の損害となる(不正競争防止法5条2項 万円以上の利益を得ることが明らかである(378円×9万1416個=3455万5248円)。これに,10%の弁護士- 16 -費用を加えた3740万円が原告の損害となる(不正競争防止法5条2項)。 (2) 仮に被告の主張する事実を前提としても,被告は,以下のとおり,少なくとも2527万9800円の利益を得ていることになる。また,被告の主張する諸経費の全額を控除しても,利益額は2389万4552円となり,原告の損害は,これに10%の弁護士費用を加えた2627万4552円を下回ることはない。 ア 1個あたりの平均売上単価8970万6912円(総売上高)÷8万1025個(売上個数)=1107円(小数点以下切捨て)イ税金を加えた1個あたりの原価735円(1個あたりの仕入原価)×(1+0.028(関税率))=756円(少数点以下切上げ)756円×(1+0.04(消費税率))=787円(小数点以下切上げ)(787円-756円)(消費税額)×0.25(地方消費税率)+787円=795円(小数点以下切上げ)ウ 1個あたりの利益額1107円-795円=312円エ被告の総利益額312円×8万1025個=2527万9800円【被告の主張】被告の故意については否認する。仮に損害賠償義務を負う場合であっても,被告商品は輸入品であるから,仕入原価のみならず,関税,消費税,地方消費税,搬送料等も考慮すべきである。 (1) 被告商品にかかった経費- 17 -ア総仕入原価額 7252万5621円仕入原価額(平成25年5月から同年11月まで)6719万0760円6719万0760円×(1+0.028(関税率))=6907万2021円6907万2021円×(1+0. 5621円仕入原価額(平成25年5月から同年11月まで)6719万0760円6719万0760円×(1+0.028(関税率))=6907万2021円6907万2021円×(1+0.04(消費税率))=7183万4901円(7183万4901円-6907万2021円)×0.25(地方消費税率)+7183万4901円=7252万5621円(総仕入原価額)イ諸経費 138万5248円(2) 被告の売上総利益合計売上高(平成25年5月から平成26年4月まで)8970万6912円から上記(1)の総仕入原価額7252万5621円及び運送費等138万5248円を控除した1579万6043円が被告商品の売上総利益というべきである。 第4 当裁判所の判断 1 争点1(被告商品は,原告商品の形態を模倣したものか)について(1) はじめに不正競争防止法2条1項3号は,他人の商品の形態を模倣した商品の譲渡等を不正競争行為と定めるところ,「商品の形態」とは,需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感をいい(同条4項),「模倣する」(同条1項3号)とは,他人の商品の形態に依拠して,これと実質的に同一の形態の商品を作り出すことをいうとされる(同条5項)。 - 18 -前記商品形態の模倣を不正競争行為と定める趣旨は,資金,労力を投入して新たな商品の形態を開発した者を,資金,労力を投入せず,形態を模倣することでその成果にただ乗りしようとする者との関係において保護しようとする点にあるから,前記不正競争行為が成立するためには,保護を求める商品の形態が,従前の同種の商品にはない新たな要素を有 を模倣することでその成果にただ乗りしようとする者との関係において保護しようとする点にあるから,前記不正競争行為が成立するためには,保護を求める商品の形態が,従前の同種の商品にはない新たな要素を有し,相手方の商品がこれを具備するものであると同時に,両者の商品を対比し,全体としての形態が同一といえるか,または実質的に同一であるといえる程度に酷似していることが必要であり,これらが認められる場合に,後者が前者に依拠したといえるかを検討すべきものと解される。 以下,このような観点から,被告商品が原告商品の形態を模倣したものといえるかを検討する。 (2) 原告商品の開発,被告商品の販売掲記の書証(枝番も含む。)及び弁論の全趣旨(前記判断の基礎となる事実を含む。)によれば,次の事実が認められ,これに反する証拠はない。 ア原告は,昭和60年に設立された株式会社であり,当初は家庭用・工業用プラスチック製品等の製造販売を行っていたが,次第に中国や台湾のメーカーに日用雑貨品・ファンシー商品の製造を発注し,輸入した商品を国内で販売するようになった。原告は,ファンシー商品として「テディベア」タイプの小熊のぬいぐるみを開発することとし,メーカーにサンプルを作成させてこれに様々な指示を与え,原告オリジナルのぬいぐるみである「シュエッティーベア」として,平成22年9月以降,これを製造,販売した。「シュエッティーベア」は,ファンシー商品業界において,従前にはなかった原告の商品として知られるようになった(甲1,8)。 イ平成22年ころ,原告の取引先である中国のメーカーの担当者が,人の言葉を録音して再生し,頭を上下させる「おしゃべりギミック」(以- 19 -下「本件装置」という。)を考案し,原告は,他社のOEM製品として,「さる」等のぬいぐるみに本 メーカーの担当者が,人の言葉を録音して再生し,頭を上下させる「おしゃべりギミック」(以- 19 -下「本件装置」という。)を考案し,原告は,他社のOEM製品として,「さる」等のぬいぐるみに本件装置を内蔵した商品の製造を委託するなどしていたが,平成23年7月ころから,中国のメーカーとの間で,「シュエッティーベア」に本件装置を内蔵した山二商品の開発を行い,同年9月以降,同商品の形状,色,生地,仕上げについて指示を発し,同年12月,山二商品の販売を開始した(甲1,5ないし7,9)。 ウ原告は,平成23年12月以降,山二商品を約12万個販売した後,平成24年11月山二商品を卸販売していた株式会社富士に対し,山二商品の独占販売権を付与する一方で,山二商品の外観に変更を加え,やはり本件装置を内蔵した商品である山二商品2のVer.2を開発し,同年12月から販売した。原告は,その後もぬいぐるみの色目やアクセサリーに変化を加えた商品を開発し,平成25年1月以降,山二商品2のVer.5である原告商品を販売した(甲1)。 エ被告は,食品の製造,加工,販売に加え,観光用の土産物を企画し,これを小売店へ卸す卸売業を営む株式会社である。 被告は,平成24年9月から平成25年4月分まで,原告から,山二商品2をのべ4万4352個仕入れ(うち原告商品は3万1680個),小売店やサービスエリア内の売店等に卸して販売した(乙21)。 オ被告は,平成24年11月ころ,知人から山二商品2のタイプのクマのぬいぐるみであれば中国でも入手可能であるとの示唆を受け,同年12月,サンプルを入手した後,自ら中国のメーカーに依頼して,人の言葉を録音して再生する装置を入れた熊のぬいぐるみを製造させることを決めた。被告は,メーカーに対し,リボンやシュシュを付けること 同年12月,サンプルを入手した後,自ら中国のメーカーに依頼して,人の言葉を録音して再生する装置を入れた熊のぬいぐるみを製造させることを決めた。被告は,メーカーに対し,リボンやシュシュを付けること,足の刺繍の模様,色は3色にする等の要望を伝え,平成25年3月ころに新商品の素材やパーツを決定し,同年4月には被告商品の製造を依頼した(乙21)。 - 20 -カ被告は,平成25年5月10日ころから,取引先に対し,既存メーカー分のおしゃべりベアー(原告商品)が次回から2480円に値上りするところ,被告オリジナルで作成しているハッピーベアー(被告商品)については,2000円で販売可能であること,既存メーカー分については電池別付けであったが,今回から内蔵となるなどと宣伝して購入を勧誘し,JANコードも,原告商品から被告商品のものに変更するよう依頼した。また,被告は,被告商品が,大人気の原告商品を,被告オリジナルでリニューアルしたものである旨の宣伝も行った(甲17,18,乙21)。 キ被告は,平成25年4月分を最後に,以後,原告から原告商品を購入せず,同年6月1日から被告商品の販売を開始し,平成26年3月までに,返品分を控除し,被告商品を少なくとも8万1025個販売した。 (3) 原告商品の形態原告商品の形態は,別紙1のとおりであり,以下の構成を備えるものである(争いのない事実,甲34ないし36,弁論の全趣旨)。 【全体的形態】A 全体が毛で被われたクマ様の動物の,座った状態をかたどったぬいぐるみである。 B 赤・黄色・ピンクで構成された花のリボンが,左耳に設けられている。 C 毛は,色が明調子のピンク,長さは約10㎜であり,緩い巻がかかっている。 D 口・鼻部と足の裏部,耳の内側は乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直 構成された花のリボンが,左耳に設けられている。 C 毛は,色が明調子のピンク,長さは約10㎜であり,緩い巻がかかっている。 D 口・鼻部と足の裏部,耳の内側は乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。 E 商品の大きさは,高さが約145㎜(頭部の高さは約70㎜,胴体部の高さは約75㎜),両耳を除く頭部の横幅は約105㎜,両耳の付け- 21 -根の中心間の幅は約80㎜,頭部の奥行き(鼻の先まで)は約110㎜である。 F 底面部は,横約74㎜,縦約67㎜の略円形で白色のプラスチック部が露出しており,ネジ止めされた電池収容部の蓋とON/OFFのスイッチが設けられている。 【目】G 両目は,頭部正面部に,黒色の円形部材が水平方向に間隔を空けて2つ設けられて形成されている。 H 目の大きさは,直径約13㎜である。 I 両目の中心の間隔は,約42㎜である。 【口・鼻】J 口・鼻は,両目中央のやや下方部分が正面側に約30㎜突出して,口・鼻部が形成している。 K 口・鼻部は,縦約37㎜,横約40㎜の丸い形状の乳白色で,毛の長さ約1mm 以下の直毛である。 L 鼻は,黒色の各先端部は丸く加工した上辺を長くした下方中心に尖のある2等辺三角形の部材が設けられて形成されている。 M 鼻の部材の幅は,約14.5㎜で,高さは10㎜である。 N 口は,黒色の刺繍により,鼻の部材の下側中央部分から左右下方にそれぞれ伸びる逆U字形状(左右全体にはW字形状)に形成されている。 【胴体部】O 両腕は,胴体部の左右側面において,頭部と胴体部の境界付近に,固定されていない態様で設けられている。 P 両足は,胴体部の左右の下端付に,固定されていない態様で設けられており,その先端部は, 乳白色の毛の長さ約1㎜以下の直毛の生地部 胴体部の境界付近に,固定されていない態様で設けられている。 P 両足は,胴体部の左右の下端付に,固定されていない態様で設けられており,その先端部は, 乳白色の毛の長さ約1㎜以下の直毛の生地部分が設けられ,左右斜め外方向に向いている。 - 22 -なお,左足の先端部のなかに,紫の縁取りで白地の刺繍により花文字の「C」が形成されている。 (4) 被告商品の形態被告商品の形態は,以下のとおりである(争いのない事実,甲34ないし36,弁論の全趣旨)。 【全体的形態】a 全体が毛で被われたクマ様の動物の,座った状態をかたどったぬいぐるみである。 b-1 被告商品①は,「黄色のネクタイをベージュの布ベルトにつけたシュシュ」と「赤い花をベージュの布ベルトにつけたシュシュ」を首に巻き付けている。 b-2 被告商品②は,「水色のネクタイをベージュの布ベルトにつけたシュシュ」と「ピンクの花をベージュの布ベルトにつけたシュシュ」を首に巻き付けている。 b-3 被告商品③は,「赤色のネクタイをベージュの布ベルトにつけたシュシュ」と「黄色の花をベージュの布ベルトにつけたシュシュ」を首に巻き付けている。 c-1 被告商品①は,毛は,色が明調子のピンク,長さは約12㎜であり,緩い巻がかかっている。 c-2 被告商品②は,毛は,色が暗調子のベージュ,長さは約12㎜であり,緩い巻がかかっている。 c-3 被告商品③は,毛は,色が暗調子のブラウン,長さは約12㎜であり,緩い巻がかかっている。 d 口・鼻部と足の裏部,耳の内側は乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。 e 商品の大きさは,高さが約145㎜(頭部の高さは約70㎜,胴体部- 23 -の高さは約75㎜),両耳を除く頭部の横幅は約100㎜,両耳の付け根の幅は約 ,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。 e 商品の大きさは,高さが約145㎜(頭部の高さは約70㎜,胴体部- 23 -の高さは約75㎜),両耳を除く頭部の横幅は約100㎜,両耳の付け根の幅は約78㎜,頭部の奥行き(鼻の先まで)は約95㎜である。 f 底面部は,それぞれの角を丸くした横約33㎜,縦約33㎜の略長方形で白色のプラスチック部が露出しており,ネジ止めされた電池収容部の蓋とON/OFFのスイッチが設けられている。 【目】g 両目は,頭部正面部に,黒色の円形部材が水平方向に間隔を空けて2つ設けられて形成されている。 h 目の大きさは,直径約13㎜である。 i 両目の中心の間隔は,約43㎜である。 【口・鼻】j 口・鼻は,両目中央のやや下方部分が正面側に約30㎜突出して,口・鼻部が形成している。 k 口・鼻部は,縦約33㎜,横約42㎜の丸い形状の乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。 l 鼻は,黒色の各先端部は丸く加工した上辺を長くした下方中心に尖のある2等辺三角形の部材が設けられて形成されている。 m 鼻の部材の幅は,約13㎜で,高さは10㎜である。 n 口は,黒色の刺繍により,鼻の部材の下側中央部分から左右下方にそれぞれ伸びる逆U字形状(左右全体にはW字形状)に形成されている。 【胴体部】o 両腕は,胴体部の左右側面において,頭部と胴体部の境界付近に,固定されていない態様で設けられている。 p 両足は,胴体部の左右の下端付に,固定されていない態様で設けられており,その先端部は, 乳白色の毛の長さ約1㎜以下の直毛の生地部分が設けられ,左右斜め外方向に向いている。 - 24 -なお,左足の先端部のなかに,赤色の刺繍により「HAPPY」の文字とハートマークが形成されている。 ( の長さ約1㎜以下の直毛の生地部分が設けられ,左右斜め外方向に向いている。 - 24 -なお,左足の先端部のなかに,赤色の刺繍により「HAPPY」の文字とハートマークが形成されている。 (5) 原告商品と被告商品との共通点原告商品と被告商品の形態は,以下の点で共通することが認められる。 ア口・鼻部を除く全体が毛で被われたクマ様の動物の,座った状態をかたどったぬいぐるみである。(A,a)イ毛の長さが約10~12㎜で,緩い巻がかっている。(C,c-1~3)ウ原告商品と被告商品①は,毛の色が明調子のピンクである。(C,c-1)エ口鼻部と足の裏部,耳の内側は乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。(D,d)オ商品の大きさは,高さが約145㎜(頭部の高さは約70㎜,胴体部の高さは約75㎜),両耳を除く頭部の横幅は約100~105㎜,両耳の付け根の中心間の幅は約80㎜,頭部の奥行き(鼻の先まで)は約95~110㎜である。(E,e)カ底面部は,白色のプラスチック部が露出しており,ネジ止めされた電池収容部の蓋とON/OFFのスイッチが設けられている。(F,f)キ両目は,頭部正面部に,黒色の円形部材が水平方向に間隔を空けて2つ設けられて形成されている。(G,g)ク目の大きさは,直径約13㎜である。(H,h)ケ両目の中心の間隔は,約42~43㎜である。(I,i)コ口と鼻は,両目中央のやや下方部分が正面側に約30㎜突出して口鼻部を形成している。(J,j)サ口鼻部は, 乳白色で,毛の長さ約1㎜以下の直毛である。(K,k)- 25 -シ鼻は,黒色の各先端部は丸く加工した上辺を長くした下方中心に尖のある2等辺三角形の部材が設けられて形成されている。(L,l)ス鼻の部材の幅は,約1 直毛である。(K,k)- 25 -シ鼻は,黒色の各先端部は丸く加工した上辺を長くした下方中心に尖のある2等辺三角形の部材が設けられて形成されている。(L,l)ス鼻の部材の幅は,約14.5~13㎜で,高さは10㎜である。 (M,m)セ口は,黒色の刺繍により,鼻の部材の下側中央部分から左右下方にそれぞれ伸びる逆U字形状(左右全体にはW字形状)に形成されている。 (N,n)ソ両腕は,胴体部の左右側面において,頭部と胴体部の境界付近に,固定されていない態様で設けられている。(O,o)タ両足は,胴体部の左右の下端付近に,固定されていない態様で設けられており,その先端部は, 乳白色の毛の長さ約1㎜以下の直毛の生地部分が設けられ,左右斜め外方向に向いている。(P,p)チ布型の枚数,部位,その形状は一部を除きほぼ同一である(甲31ないし33)。 (6) 原告商品と被告商品との相違点原告商品と被告商品の形態は,以下の点において相違することが認められるア附属品(B,b-1~3)原告商品には,左耳に,赤・黄色・ピンクで構成された花のリボンが設けられているのに対し,被告商品は,首回りに取り外し可能なシュシュ2点を配している。 イ毛の色や長さ等(C,c-1~3)原告商品は毛の色が明調子のピンクであるが,被告商品②は毛の色が暗調子のベージュ,被告商品③は毛の色が暗調子のブラウンであり,原告商品の毛の長さは10㎜,被告商品の長さは12㎜である。 ウ底面部の形状(F,f)- 26 -原告商品が略円形でサイズが約74㎜×67㎜であるのに対し,被告商品の底面部は,略長方形でサイズが約33㎜四方である。 エ切り返し部分の形状(K,k)鼻と口付近の毛に覆われていない,いわゆる切り返し部 形でサイズが約74㎜×67㎜であるのに対し,被告商品の底面部は,略長方形でサイズが約33㎜四方である。 エ切り返し部分の形状(K,k)鼻と口付近の毛に覆われていない,いわゆる切り返し部分の形状について,原告商品は縦37㎜横40㎜であるのに対し,被告商品は縦33㎜横42㎜である。 オ左足の裏部分の刺繍の形状(P,p)原告商品の左足には,紫の縁取りの中に白色の刺繍で花文字のCが刺繍されているのに対し,被告商品の左足には,赤色の刺繍により「HAPPY」の文字とハートマークが形成されている。 カ布型布型は,胴体,後頭部及び左右の手の布型の形状が多少異なっている。 (7) 実質的同一性ア被告は,原告商品の特徴が,他の市場に存在する類似商品と概ね一致するもので,「当該商品の機能を確保するために不可欠な形態」として,クマのぬいぐるみを制作販売する場合,その外見的特徴として似てしまうのもやむを得ないものである旨主張する。しかし,被告が類似商品と指摘するものが原告商品より以前に存在したと認めるに足る証拠はなく,また,熊のぬいぐるみであれば,上記で認められる原告商品の形態を備えることが不可欠といえるものではないことは明らかであり,原告商品の具体的形態からしてもありふれたものとまではいえず,前記(2)で認定した開発の経緯に照らしても,原告商品の形態は,不正競争防止法2条1項3号の保護の対象となるものといえる。 イ原告商品と被告商品とは,上記(5)のとおり,その形態全体にわたり多数の共通点が認められ,できあがった原告商品と被告商品の全体の寸法もほぼ同じであることからすれば,本体の形状はほぼ同一であるとい- 27 -える。原告商品及び被告商品のいずれも,ぬいぐるみ全体の印象を決める毛の形状や長さは,約10~12㎜の緩い の全体の寸法もほぼ同じであることからすれば,本体の形状はほぼ同一であるとい- 27 -える。原告商品及び被告商品のいずれも,ぬいぐるみ全体の印象を決める毛の形状や長さは,約10~12㎜の緩い巻が入ったもので,顔の印象を決める目や口鼻部の作りは,口鼻部が毛の短い乳白色の布で顔から約30㎜突出して作られ,目と目の間隔は41から43㎜,目鼻として用いられている部材の形状,黒色の刺繍により鼻の部材の下側中央部分から左右下方にそれぞれ伸びる逆U字形状(左右全体にはW字形状)に形成されている口など,ほぼ共通しており,乳白色の布の大きさ,毛の長さがわずかに異なるものの,被告が指摘する鼻の刺繍の長さはその差異を認識することは困難であり(甲34ないし36),いずれも些細な違いといえ,ぬいぐるみの顔の印象がこれにより異なるものではなく,原告商品と被告商品とは,全体のつくり,顔のつくりにおいて酷似している。 上記以外の原告商品と被告商品の相違点として,附属品,毛の色(原告商品明調子のピンク色,被告商品②暗調子のベージュ,被告商品③暗調子のブラウン),左足の裏部分の刺繍の形状が挙げられるが,被告のシュシュ等は取り外しができる態様のもので,ぬいぐるみの附属物にすぎず,附属品は多少のバリエーションがあるのが通常であること,毛の色や足裏の刺繍も同様に,同じ商品であってもバリエーションとして異なる色,刺繍があることは一般的に認められることであり,各商品の需要者たる消費者が異なる商品として覚知する要素ではない。底面部の形状の相違は,本体を裏返さなければ確認することができないもので,消費者が通常商品を使用する状態においてその違いは認識できないものであり,商品の形態といえるものではない。また,被告が主張する手の長さ,耳の付け根の長さ,しっぽの太さが多少異な とができないもので,消費者が通常商品を使用する状態においてその違いは認識できないものであり,商品の形態といえるものではない。また,被告が主張する手の長さ,耳の付け根の長さ,しっぽの太さが多少異なることが認められるが(甲34⑬⑭㉑,甲35⑬⑭㉑,甲36⑬⑭㉑),手は固定されずにぶら下がるように縫い付けられ,長さの違いは見た目では判断できない程- 28 -度のものであり,耳の付け根の長さ及びしっぽの太さは,全体を覆う毛の長さで隠されていることもあり,大きな相違と捉えられるものではなく,その違いが全体の印象を相違ならしめるものではない。 したがって,原告商品と被告商品の形態は,全体のつくり及び顔のつくりにおいて酷似しており,その相違点を考慮しても,実質的に同一であるといえる。 (8) 模倣性前記(7)で認定したところによれば,原告商品と被告商品の形態は実質的に同一というべきであるし,前記(2)で認定したところによれば,被告は一定期間,原告商品を含む山二商品2を継続的に仕入れた後に被告商品を開発し,その際,取引先に対しては,原告商品の代替品であるが割安であるとして,あるいは原告商品のリニューアルであるとして,購入を勧めているのであるから,原告商品に依拠して被告商品を製作したことが推認される。 また,ぬいぐるみの外形は,多数の布型を組み合わせて作られているが,同じ熊のぬいぐるみであっても,布型の構成,枚数,形状は,業者によって異なるのが通常と解されるところ(甲24ないし26),原告商品を構成する布型と被告商品を構成する布型とを対比すると,胴体,後頭部,左右の手の形状が多少異なる点を除くと,両者の枚数や形状は,ほぼ同一であることが認められる(甲21ないし23,31ないし33)。 以上によれば,被告商品は,原告商品 比すると,胴体,後頭部,左右の手の形状が多少異なる点を除くと,両者の枚数や形状は,ほぼ同一であることが認められる(甲21ないし23,31ないし33)。 以上によれば,被告商品は,原告商品の形態に依拠して製作されたものと認めるのが相当である。 (9) 結論以上によれば,被告商品は,原告商品の形態を模倣したと認められ,被告は,不正競争防止法2条1項3号の不正競争を行ったといえる。 2 争点2(原告の損害について)- 29 -(1) 利益額被告商品1個あたりの販売価格は平均1107円(小数点以下切捨て),仕入価格は1個735円であると認められる(乙16,弁論の全趣旨)。仕入価格には,2.8%の関税,さらに4%の消費税,消費税額の25%の地方消費税が課せられること(争いがない)からすれば,仕入原価に関税を加え(小数点以下切り上げて1個756円),消費税を加え(小数点以下切り上げて1個787円),地方消費税額を加えた(小数点以下切上げ)1個あたりの原価は,795円と認められる。 そうすると,被告商品1個あたりの利益額は,1107円から795円を控除した312円である。 被告の販売数量は8万1025個であることからすれば(弁論の全趣旨),これに1個あたりの利益額を乗ずると,利益額は合計2527万9800円となる。 (2) 控除額ア被告は,変動経費として,被告商品の仕入額以外の費目として,諸経費138万5248円を主張する。 イ株式会社近鉄エクスプレスの請求書,関税関係書類(乙6の1ないし9,16の1ないし9,20の1ないし3及び5ないし10)によれば,被告が同社に対し,輸入に関する諸経費として,平成25年5月ころから12月ころまでの間に,次のとおり合計131万8150円を支払ったことが の1ないし9,20の1ないし3及び5ないし10)によれば,被告が同社に対し,輸入に関する諸経費として,平成25年5月ころから12月ころまでの間に,次のとおり合計131万8150円を支払ったことが認められる(対象として被告商品を含むものに限る。)。 ① 13万6150円(乙20の2)② 14万6150円(乙20の3)③ 13万6150円(乙20の5)④ 16万1800円(乙20の6)⑤ 16万1800円(乙20の7)- 30 -⑥ 16万1800円(乙20の8)⑦ 25万2500円(乙20の9)⑧ 16万1800円(乙20の10)したがって,変動経費として,被告商品についての諸経費(被告商品以外の商品を含む部分については,商品数の割合に応じた金額)を控除することを認めるのが相当である。証拠(乙6の1ないし9)によれば,上記①ないし④及び⑥については被告商品に関する諸経費であり,⑤については,被告商品1万5600個及び他商品1008個,⑦については,被告商品8064個及び他商品8064個,⑧については,被告商品1万2456個及び他商品4152個に関する諸経費であると認められる。そうすると,上記①ないし④及び⑥については,全額を,⑤,⑦及び⑧については,商品の個数に応じた金額(⑤15万1980円,⑦12万6250円,⑧12万1350円)の合計114万1630円を諸経費として控除するのが相当である。 (3) 結論そうすると,上記(1)利益額から同(2)控除額を除いた2413万8170円を被告の利益として,不正競争防止法5条2項による原告の損害額と認め,本件事案の内容,経過,認容金額等を考慮して,弁護士費用として240万円についても原告の損害と認めるのが相当 2413万8170円を被告の利益として,不正競争防止法5条2項による原告の損害額と認め,本件事案の内容,経過,認容金額等を考慮して,弁護士費用として240万円についても原告の損害と認めるのが相当であるから,原告の損害額は,合計2653万8170円となる。 3 結論(1) 以上認定したところによれば,被告は,故意に,原告商品に代替しうるものとして,原告商品の形態を模倣した被告商品を製作し,これを販売することで,原告の販売機会を喪失させる不正競争を行い,原告の営業上の利益を侵害したと認められるから,不正競争防止法3条1項及び2項に基づき,原告の被告に対する被告商品の販売等差止め及び廃棄を認めるのが- 31 -相当であり,被告に対し,不正競争防止法4条本文に基づき,上記2(3)の損害賠償請求を認めるのが相当である。 (2) よって,原告の請求は,被告に対し,①被告商品の販売及び販売広告の差止め,並びに被告商品の廃棄,②損害賠償請求として2653万8170円及びこれに対する不法行為の日の後である平成25年8月9日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について民事訴訟法64条本文,61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第21民事部 裁判長裁判官谷有恒 裁判官田原美奈子 裁判官松阿彌 隆 隆

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