昭和37(ネ)251 農地買収無効確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和40年2月27日 札幌高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件控訴を棄却する。      控訴費用は控訴人の負担とする。          事    実  控訴人らは「原判決を取り消す。被控訴人a町農業委員会が昭和二六年二月一四 日、

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判決文本文7,797 文字)

主文 本件控訴を棄却する。 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実 控訴人らは「原判決を取り消す。被控訴人a町農業委員会が昭和二六年二月一四日、原判決別紙目録記載の土地(当時の土地の表示、(イ)中川郡a町大字a村字bc番地のd、原野三反三畝一〇歩、(ロ)同所c番地のe、畑一町八反六畝二〇歩)につき定めた農地買収計画は、控訴人らと同委員会との関係において無効であることを確認する。被控訴人国は控訴人らに対し、前記土地について釧路地方法務局a出張所昭和二六年一二月四日受付第四七七号の所有権移転登記の抹消登記手続をせよ。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らの指定代理人らは控訴棄却の判決を求めた。 当事者双方の主張および証拠の関係は左記のほかは原判決の事実摘示と同一であるから、これを引用する。 ただし一番被告Aに対する請求の部分を除く。 控訴人は、一、 本件土地(原判決別紙目録記載の土地)の所有者であつた訴外Bは昭和二〇年七月一日レイテ島で戦死し、同人の実父である控訴人Cおよび実母である控訴人Dの両名が相続して本件土地の所有権を取得し、自作農創設特別措置法(以下「自創法」という。)による農地買収の基準時である昭和二〇年一一月二三日現在、控訴人においてこれを耕作していたものである。すなわち本件土地は自創法による買収の対象となり得ないものであり、その買収は違法である。 二、 本件土地の買収については、買収令書の発行、交付がないばかりでなく、対価の支払もなされていない。 農地法第一三条第三項には「国が買収令書に記載された買収の期日までに対価の支払又は供託をしないときは、その買収令書は効力を失う。」とあり、同条第四項により「対価の支払をした時とみなす」べ いない。 農地法第一三条第三項には「国が買収令書に記載された買収の期日までに対価の支払又は供託をしないときは、その買収令書は効力を失う。」とあり、同条第四項により「対価の支払をした時とみなす」べき通知もなされていないのであつて、対価の支払がない以上買収処分の効力は生じ得ない。損失補償の伴わない買収処分は憲法第二九条の財産権の保障の規定に違反するばかりでなく、民法第一条第三項による権利の濫用であり、憲法第一二条の保障する権利の侵害である。 と述べ、乙第一五、第一六号証は郵便官署作成部分の成立を認めるが、その余の部分の成立は知らない、乙第一七号証の成立は認める、と述べ、なお乙第一二号証の一および同第一四号証の一、二に対ずる認否を訂正し、右はいずれも偽造文書であるから成立を否認する、と述べた。 被控訴人国の指定代理人は一、 控訴人は原審において当審参加人Aを相被告として、本件土地の所有権移転登記の抹消手続を訴求していたが、請求棄却の判決を受け、この判決は確定した。従つて控訴人は、右参加人が任意に抹消登記手続に応じない限り、もはや所有権にもとづき同参加人に対し、その所有名義の抹消登記手続を求めることはできないし、本件事案においては所有権以外の原因にもとづく抹消登記請求権は考えられない。そして参加人が任意に抹消登記手続に応ずる見込みのないことは、原審以来の同人の争いの態度に徴しても明らかであるから、控訴人は、本案についての判断を待つまでもなく、登記簿上中間名義人である被控訴人国に対し、現在その所有権取得登記の抹消登記手続を訴求する利益がない。 二、 死者である訴外Bを被買収者としたことは本件買収処分の暇疵であるが、これは買収計画樹立および買収処分の当時、被控訴委員会(当時a町農地委員会)および北海道知事において右訴外人死亡の事実を知らな 二、 死者である訴外Bを被買収者としたことは本件買収処分の暇疵であるが、これは買収計画樹立および買収処分の当時、被控訴委員会(当時a町農地委員会)および北海道知事において右訴外人死亡の事実を知らなかつたものであり、しかも参加人Aおよび控訴人らにおいて、売渡処分は訴外Eに対してなされたい旨の希望意見を記載した土地買収申出書をB名義で作成し、これを被控訴委員会に提出し、右申出にもとづいて同委員会で買収計画が樹立されるようにしたものである。このような事情のもとでは、右の瑕疵は到底、重大かつ明白なものということはできない。 三、 控訴人は、農地法第一三条の対価の支払または供託がなされておらず、またこれについて所有者に通知がなされていないと主張するが、本件買収は自創法による買収であつて、農地法は当時まだ制定されていないから右の主張は当らない。 自創法による農地買収にあたつては、農地法第一三条第三項のような規定はないから、買収令書に定められた対価が、令書交付後に現実に支払われたか否かは買収処分の効力には影響を及ぼさない。 しかも、本件についての買収令書は昭和二六年三月五日に発行されており、同令書は同年三月二八日付で北海道知事からa町農業委員会あてに送付され、同年三月二八日頃同委員会事務局において同事務局職員Fを通じてAに同令書を渡し、同令書の内容は控訴人において了知し得る状態にあつたものである。 同令書には対価の金額等が記載されており、控訴人は当然対価についても了知できたのであつて、事実、右金額は昭和二七年二月二六日に控訴人もしくはAに対して支払われている。 四、 買収は自創法所定の方式に従い、行政処分として適法に行われたものであつて、権利の濫用ではない。また憲法第一二条は国民が憲法の保障する基本的人権を濫用してはいけないという規定で、これを いる。 四、 買収は自創法所定の方式に従い、行政処分として適法に行われたものであつて、権利の濫用ではない。また憲法第一二条は国民が憲法の保障する基本的人権を濫用してはいけないという規定で、これを本件買収処分の無効事由として主張するのはナンセンスである。憲法第二九条違反というのも対価が支払われていないということを前提としているが、前述のとおり対価は支払ずみである。しかし仮に対価がまだ支払われていないということを前提にしても、買収処分は買収令書交付と同時に効力を生じ、国は令書に記載された対価支払の債務を負うのであるから、補償なくして財産権を侵害したことにはならない。 と述べ、乙第一五ないし第一七号証を提出した。 当裁判所は職権で控訴本人Cを尋問した。 理由 一、 控訴人Dの控訴提起について。 本件控訴状には当事者の表示として控訴人C外一名と記載され、末尾にCの署名押印がなされているのであるから、右控訴状の記載からは一審原告Dが控訴を提起したものであるとは到底認められない。しかしながら本件の訴は控訴人両名が本件土地を被相続人Bから相続して共有権者となり、被控訴人農業委員会に対し右土地につき定めた農地買収計画の無効確認を求めるとともに、被控訴人国に対し、買収処分の無効を前提として買収による所有権移転登記の抹消を求めるものであるから、これが必要的共同訴訟に当るならば、共同訴訟人の一人の訴訟行為は全員の利益においてのみその効力を生ずる(民事訴訟法第六二条第一項)ことから、控訴人Cの控訴により共同訴訟人Dについても判決確定の遮断および移審の効力が生じ、Dも控訴人の地位につくことになる。 控訴人の主張によれば本件土地は分割前の相続財産であるが、相続財産の共有は民法第二四九条以下に規定<要旨第一>する「共有」とその性質を 断および移審の効力が生じ、Dも控訴人の地位につくことになる。 控訴人の主張によれば本件土地は分割前の相続財産であるが、相続財産の共有は民法第二四九条以下に規定<要旨第一>する「共有」とその性質を異にするものではないと解すべきところ、共有物についての保存行為は各共有権者が</要旨第一>単独で行ない得るところであるから、これに関する訴訟は固有必要的共同訴訟には当らないといわなければならないが、共有権者が共同訴訟人となつた場合は合一確定が要求されるから、いわゆる類似必要的共同訴訟に当るというべきである。けだし単独でも行い得る訴訟が共同で行われたために勝敗が区々になることは訴訟の目的に背馳することとなるからである。しかして共有物についてなされた行政処分の無効確認および不法登記抹消請求は、いずれも共有物の保存行為としての妨害排除の請求にほかならないものと解するのを相当とする<要旨第二>から、本件は類似必要的共同訴訟に当ることとなり、訴訟の目的の合一的確定の要求は固有必要的共同訴訟に</要旨第二>おけると異ならず、共同原告の一人が上訴した場合、他の原告にも上訴の効力が生ずるわけである。従つて本件にあつては一審原告Dも適法な訴訟をなしたものとして取扱うのが相当である。 二、 被控訴人a町農業委員会に対する請求について。 当裁判所は原審と同一の理由により被控訴人a町農業委員会に対する訴はその利益がなく却下すべきものと判断するので、原判決理由第一項(原判決七枚目裏一二行目から八枚目表三行目まで)を引用する。 三、 被控訴人国に対する請求について。 (一) まず被訴人国の本案前の抗弁について判断する。本訴は被控訴人国が自創法第三条による農地買収処分により本件土地の所有権の取得登記をしたのち、これを訴外Eに同法第一六条による売渡しをなし、同訴外人はこ まず被訴人国の本案前の抗弁について判断する。本訴は被控訴人国が自創法第三条による農地買収処分により本件土地の所有権の取得登記をしたのち、これを訴外Eに同法第一六条による売渡しをなし、同訴外人はこれを一審被告(当審補助参加人)Aに贈与し、それぞれその所有権移転登記をしたので、控訴人らが被控訴人国およびAを相手方とし、それぞれ有所権移転登記の抹消登記手続を請求したものであるところ、いずれも控訴人らが敗訴し、Aに対しては控訴を提起しなかつたので、同人に対する関係においては右判決が確定したことは本件記録上明らかである。しかしながら現在の登記名義人に対する登記抹消請求権の不存在が確定されたとしても、その既判力はその前者に及ぶものではなく、登記原因の無効による所有権取得登記の抹消登記請求は各独立であつて合一確定の関係に立つものでないことは明らかであるから、このことによつて被控訴人国に対する抹消登記請求が訴の利益を欠くものということはできない。よつて被控訴人国の右抗弁は採用できない。 (二) よつて進んで本案につき判断する。 本件土地がもと訴外Bの所有であつたこと、同人が昭和二〇年七月一日レイテ島で戦死したこと。控訴人CおよびDがBの実父母であること、は当事者間に争いがなく、右控訴人らがBの遺産を相続したものであることは被控訴人の明らかに争わないところであるからこれを自白したものとみなす。また本件土地について控訴人の主張するとおりの各所有権移転登記がなされていること、a町農業委員会が昭和二六年二月一四日、本件土地について登記簿上の所有名義人であるBの名においてなされた自創法第三条第五項第七号による農地買収の申出にもとづきBを被買収者とする買収計画を樹立したことは当事者間に争いがない。 被控訴人はBがその生前に本件土地を補助参加人Aに贈与したと においてなされた自創法第三条第五項第七号による農地買収の申出にもとづきBを被買収者とする買収計画を樹立したことは当事者間に争いがない。 被控訴人はBがその生前に本件土地を補助参加人Aに贈与したと主張するが、当裁判所は原審と同一の理由により、この事実を認めるに足りる証拠がなく、右土地は控訴人らが相続してその所有権を取得したものと判断するので、原判決理由中のこの点に関する説示(原判決八枚目裏七行目から九枚目表一一行目まで)を引用する。 前段までに認定した事実に成立の争いのない甲第四号証、同七号証、同第九号証、原審証人G、同Eの各証言の一部、原審証人Hの証言およびこれにより真正に成立したものと認め得る乙第三号証、同第四号証の一ないし七、原審における被告A、原審および当審における控訴本人尋問の結果(控訴本人の供述については後記措信しない部分を除く。)を総合すると、「控訴人は明治時代から中川郡a町大字a村字bf番地付近に居住し農業および金融業等を営んできたものであるが、昭和一二年頃他から本件土地を買い入れ、次男であるBの名義で所有権移転登記を受けた。しかして終戦前までは控訴人の長男(先妻の子)政が中心となつて農業を経営していたが、終戦直前頃政は本州へ移住してしまつたので、その後は控訴人夫婦が中心になり(二男Bは応召中であり、戦死の公報は昭和二二年頃に入つたものである。)三男A(昭和二一年暮頃から別世帯となり付近の別家屋に居住)、二女Eおよびその夫I(控訴人の養子)、四男Gが同居して共同で農業を営んでいた。控訴人の所有農地は合計は二五町歩位であつたが、昭和二二年以降のいわゆる農地改革の実施に際しては保有制限面積一七町七反を超える部分は控訴人からa町農地委員会に申し出て自創法による買収を受け、この分は三男Aに売り渡された。控訴人としてはこれら 、昭和二二年以降のいわゆる農地改革の実施に際しては保有制限面積一七町七反を超える部分は控訴人からa町農地委員会に申し出て自創法による買収を受け、この分は三男Aに売り渡された。控訴人としてはこれらの子女が成人するに伴い、それぞれに農地に確保してやる必要があつたが、昭和二五年秋頃、本件土地の近くにある国有未開地約四町歩が増反地として付近の農民に払い下げられることになつたので、二女E夫婦にこれが払下げを受けさせたいと思い、増反地払下の基準としては適正規模の農地を保有し農業経営能力その他諸般の状況が払下げを受けるに適していると認められるべき要件を備えることが必要であつたところがら、三男Aと相談のうえ、当時農地を全く所有していなかつたEに本件土地の所有名義を移して自作農としての体裁を整えさせようと考え、その手段として自創法の申出買収の手続を利用することに定め、本件土地上にI名義の住家を建築するとともに、昭和二六年一月末頃三男Aをa町農地委員会事務局に赴かしめ、同委員会備付の用紙をもつてB名義による本件土地買収申出書を作成し、右書面に右土地はEが小作しているものであるから買収のうえEに売り渡されたい旨の希望意見を付記して同委員会に提出した。 同委員会は右申出にもとづき本件土地の買収計画を樹立した。」との事実を認めることができ、原審および当審における控訴本人の供述中右認定に反する部分は措信できず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 しかしてa町農地委員会が右買収計画を樹立するにあたりBが既に死亡していたことを知つていたと認めるに足りる証拠はなく(却つて原審証人Fの証言によれば同委員会はそのことを知らなかつたことが窺われる。)、仮にこれを知つていたとしても、その相続人である控訴人らの意をうけてその実子であるAが出頭して買収申出をしたのである つて原審証人Fの証言によれば同委員会はそのことを知らなかつたことが窺われる。)、仮にこれを知つていたとしても、その相続人である控訴人らの意をうけてその実子であるAが出頭して買収申出をしたのであるから、当該死亡者を被買収者として樹立した買収計画は実質上は控訴人らを相手方としてなしたものというべく、その暇疵は買収計画の無効を来す程重大なものではないといわなければならない。 次に成立に争いのない乙第八ないし第一一号証、第一二号証の二に原審証人Fの証言およびこれにより真正に成立したものと認め得る乙第一二号証の一、原審における被告A本人尋問の結果を総合すると、前段認定のような経過で買収計画が樹立されたのち、北海道知事は昭和二六年三月五日、本件土地につき被買収者をBとする買収令書(北海道第一九回第一二〇三七号)を発行し、同年三月一六日a町農地委員会あて同令書を送付し、被買収者への交付を依頼し、同委員会長は右依頼にもとづき同年三月二八日頃同委員会事務局において同事務局職員Fを通じてAに同令書を交付したこと、Aは右令書を受領するとともにB名義の買収対価受領の委任状に押印して同委員会に預託したこと、をそれぞれ認めることができるところ、右の事実と前段認定のような買収申出の経過とを併せ考えると、控訴人はその頃Aを通じ同令書の内容を了知し得る状態にあつたことを推認することができ、原審および当審における控訴本人の供述中右認定に反する部分は前掲各証拠に照らして措信できず、他は右認定を覆えすに足りる証拠はない。 右のとおり本件土地の買収処分については、Bを被買収者とする買収令書が発行され、右買収令書は真実の所有者である控訴人らに交付されたものと解するのが相当であり、更に前記乙第一二号証の二に郵便官署作成部分の成立に争いがなく、その余の部分についても方式および趣 買収令書が発行され、右買収令書は真実の所有者である控訴人らに交付されたものと解するのが相当であり、更に前記乙第一二号証の二に郵便官署作成部分の成立に争いがなく、その余の部分についても方式および趣旨により真正に成立したものと認め得る乙第一五、第一六号証を総合すると本件土地の買収対価は昭和二六年七月中北海道知事からa町農業協同組合に送付され、その頃北海道知事からBあての郵便はがきでこのことが通知され右葉書は控訴人方もしくはA方に配達されたこと。更にa農業協同組合は昭和二七年一月末頃同様の葉書で買収対価および報償金受領の催告をしたこと、同年二月二六日右農業協同組合においてAもしくは控訴人に対し対価の支払がなされたことがそれぞれ認められる。 控訴人は本件土地の買収について対価の支払がなされていないから買収は無効であると主張するが、対価の支払のなされたことは右認定のとおりであり、仮に自創法第一三条による対価の支払または報償金支払の手続に瑕疵があつても、右はこれに先行する買収処分そのものの効果には何ら影響を与えるものではなく、控訴人主張の農地法第一三条の規定は本件買収の当時には未だ施行されていなかつたものであるから右主張は採用できない。したがつて、憲法第二九条違反の主張および同法第一二条、民法第一条第三項の権利濫用の三張も採用の限りでない。 そうすると本件買収処分を無効とすべき理由はなく、その無効を前提とする控訴人の被控訴人国に対する請求は失当であることが明らかである。 四、 よつて右と同趣旨に出た原判決は相当であつて本件控訴は理由がないから棄却すべく、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官和田邦康裁判官田中恒朗裁判官藤原康志) く、訴訟費用の負担につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適用して主文のとおり判決する。 (裁判長裁判官和田邦康裁判官田中恒朗裁判官藤原康志)

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