平成30(行コ)356 公文書部分公開決定処分取消等請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
平成31年4月10日 東京高等裁判所
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判決文本文2,861 文字)

平成31年4月10日判決言渡平成30年(行コ)第356号公文書部分公開決定処分取消等請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成30年(行ウ)第45号)主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 本件訴えのうち,原判決主文第2項記載の部分の公開決定の義務付けを求める部分を却下ないし棄却する。 3 被控訴人のその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,被控訴人が,東京都板橋区情報公開条例(以下「本件条例」という。)に基づき,板橋区長に対し,原判決別紙1文書目録記載1の公文書(以下「本件請求対象文書」という。)の公開請求をしたところ(以下「本件公開請求」という。),その一部(原判決同目録記載2(1)及び同(2)の部分)を非公開とし,その余の部分を公開する旨の部分公開決定(以下「本件処分」という。)を受けたため,本件処分のうち,同目録記載2(2)の部分(以下「本件非公開部分」という。)を非公開とした部分は違法であると主張して,同部分の取消しを求めるとともに,板橋区長に対して本件非公開部分を公開する旨の決定をすることの義務付けを求める事案である(以下,上記義務付けを求める部分を「本件義務付けの訴え」という。)。 原審は,被控訴人の請求を認容したので,これを不服とする控訴人が控訴した。 2 本件条例の定め,前提事実,本件の争点及び争点に対する当事者の主張は,後 記3のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 当審における当事者の主 対する当事者の主張は,後 記3のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第2 事案の概要」の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 3 当審における当事者の主張(1) 控訴人開廷表や別件訴訟の訴訟記録を閲覧して情報を得た特定の範疇に属する者において,本件非公開部分に記録された情報と,開廷表から得た情報との照合,又は別件訴訟の訴訟記録を閲覧して得た情報との照合により,別件訴訟原告を識別することができる。したがって,本件非公開部分は,特定の個人が識別され得るものに該当する。 本件において,被控訴人は,別件訴訟の判決書(一切黒塗りされていないもの)を裁判所で閲覧したうえで,本件請求対象文書について本件公開請求をしたのであり,既に別件訴訟原告が誰であるかを(実名,住所)知っている。このように,公開請求者が,請求対象文書が誰に関する文書かを知っている,又は知り得る場合において,当該文書上には,当該個人が誰であるかを直接示す実名や住所等の手掛かりの記載がなくとも,当該文書上の情報全体が,特定の個人が識別され得るものに該当すると評価すべきである。 なお,東京地方裁判所に平成26年に提訴され,板橋区を当事者とする,損害賠償請求事件との事件名の付された行政事件で,事件番号に「行ウ」が用いられている判決書は客観的に一つしか存在しない(乙25)。 (2) 被控訴人本件非公開部分は,控訴人区役所内の課長,係長等の職員の肩書名のみからなり,これを開示しても,一般に当該職員以外の個人を識別し得ず,他の情報と組み合わせても他の個人を特定し得る情報ではない。また,他の個人を知る者においては新たに有意の情報を付加するものではない。したがって,本件条例6条1項2号所定の非公開情報に該当しない。 本件処分の 組み合わせても他の個人を特定し得る情報ではない。また,他の個人を知る者においては新たに有意の情報を付加するものではない。したがって,本件条例6条1項2号所定の非公開情報に該当しない。 本件処分の適法性は,公文書に記録された情報のみから決まり,被控訴人が 誰であるか,訴訟記録を閲覧したか否かは本件処分と何ら関係がなく,第三者から公開反対の意見があっても,本件非公開部分が本件条例6条1項各号の非公開情報に該当しないならば公開しなければならない。 本件非公開部分の公開と個人の識別可能性に関する控訴人の主張は,因果関係の理解を欠き,これを無視するものである。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,被控訴人の請求を認容した原判決は正当であり,本件控訴は理由がないと判断する。その理由は,次のとおり原判決を補正し,後記2のとおり付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中の「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)9頁18行目「そして」から同頁21行目「認められない。」までを削る。 2 控訴人の当審における主張について控訴人は,被控訴人が別件訴訟の判決書を裁判所で閲覧したうえで,本件請求対象文書について本件公開請求をしたとして,開廷表や別件訴訟の訴訟記録を閲覧して情報を得た特定の範疇に属する者において,本件非公開部分に記録された情報と,開廷表から得た情報との照合,又は別件訴訟の訴訟記録を閲覧して得た情報との照合により,別件訴訟原告を識別することができ,したがって,本件非公開部分は,特定の個人が識別され得るものに該当する旨主張する。 しかしながら,本件非公開部分に記録された情報,すなわち本件請求対象文書が供覧された部署の職員の肩書からは,法的紛争の抽象的な概要ないし類型を推知し 個人が識別され得るものに該当する旨主張する。 しかしながら,本件非公開部分に記録された情報,すなわち本件請求対象文書が供覧された部署の職員の肩書からは,法的紛争の抽象的な概要ないし類型を推知し得るにとどまるのであって,既に別件訴訟につきより詳細な情報を知る又は知り得る立場にある特定の範疇に属する者にとっては,本件非公開部分に記録された情報により,特定の個人が識別され得る新規の有意な情報が付加されるものではない。すなわち,開廷表や別件訴訟の訴訟記録によって別件訴訟原告を識別され得るようになっているのであって,本件非公開部分の開示によってこれに付 加するものではないというべきであるから,本件非公開部分は本件条例6条1項2号所定の非公開情報には該当しないと解される。 そのような意味において,前記認定にかかる本件条例の趣旨に照らし,上記のような特定の範疇に属する者の有する情報を,公文書に記録された個人に関する情報が特定の個人が識別されるものであるか否かを判断する際に照合すべき情報に含めるのは相当ではないというべきであるから,控訴人の主張は採用できない。 第4 結論以上によれば,被控訴人の請求を認容した原判決は正当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり,判決する。 東京高等裁判所第12民事部裁判長裁判官近藤昌昭裁判官青木 晋裁判官井上泰人

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