【DRY-RUN】- 1 - 主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人秋山泰雄、同久保田康史の上告理由
- 1 - 主 文 本件上告を棄却する。 上告費用は上告人の負担とする。 理 由 上告代理人秋山泰雄、同久保田康史の上告理由第一点について 一 原審の適法に確定した事実関係は、次のとおりである。 (一) 上告人は、昭和四六年四月に郵政省の職員に採用され、昭和五四年四月当 時、九州郵政局管内のD 郵便局に勤務していたところ、同月二八日付けで九州郵政 局長から、右郵便局管理者に対する暴行行為等を理由に懲戒免職処分(以下「本件 処分」という。)を受けた。 (二) 上告人は、これに対して人事院に審査請求をしたところ、人事院は、昭和 五九年四月六日付けで本件処分を停職一年間と修正する旨の判定(以下「本件判 定」という。)を行つた。 (三) 上告人は、昭和五四年九月三〇日、同年一〇月一〇日に施行されたE 市議 会議員選挙に立候補の届出(以下「本件立候補の届出」という。)をし、当選し た。 (四) 上告人は、次期の選挙にも当選し、本件判定後も市議会議員の地位にとど まつている。また、被上告人は、本件立候補の届出により上告人は郵政省職員の地 位を喪失したとして、上告人に対し、本件判定による停職期間満了後の昭和五五年 四月二九日以降の給与の支払いをしていない。 二 論旨は、上告人が本件判定が行われる以前の懲戒免職係争中にした本件立候 補の届出に対して公職選挙法(以下「法」という。)九〇条が適用されることによ り、上告人は、右届出の日に郵政省の職員たることを辞したものとみなされるとし た原審の判断は、法令の解釈適用を誤つたものである、というのである。 - 2 - 三 国家公務員法一〇二条二項は、国家公務員の服務上の制約として、「職員 は、公選による公職の候補者となることができない。」と定め、 、法令の解釈適用を誤つたものである、というのである。 - 2 - 三 国家公務員法一〇二条二項は、国家公務員の服務上の制約として、「職員 は、公選による公職の候補者となることができない。」と定め、また、法八九条一 項本文は、公務員がその地位を選挙に利用することなどを防止するため、「国又は 地方公共団体の公務員は、在職中、公職の候補者となることができない。」と定め て、公務員(同条一項ただし書及び二項に規定する者を除く。以下同じ。)の公職 への立候補を制限している。そして、法九〇条は、法八九条一項の規定により公職 の候補者となることができない公務員が立候補の届出等をしたときは、当該公務員 の退職に関する法令の規定にかかわらず、その届出の日に当該公務員たることを辞 したものとみなす旨を定めているが、その趣旨は、立候補を制限されている現職の 公務員が右立候補の届出等をしたときは、その地位を、右届出等が受理されると同 時に、自動的に失うものとすることにより、いたずらに選挙の規定違反の事態の生 ずることなどを防止しようとするところにある。これらの規定の趣旨からすると、 現行法上、公務員たる地位と公職の候補者たる地位とは、両立し得ない関係にあ り、いわば、二者択一の関係にあるものとみるべきである。このような両者の関係 にかんがみると、懲戒免職処分を受けた国家公務員がこれを不服として人事院に対 する不服申立て、更には、当該処分の取消訴訟を提起して係争中に公職の候補者と なるべく立候補の届出をした場合においても、法九〇条が適用され、あたかも、同 人が右係争中に国家公務員についての欠格条項(国家公務員法七六条、三八条)に 該当するに至つた場合と同様、右立候補の届出の時点で、同人の国家公務員たる地 位は、人事院の判定等によつてこれを回復する可能性も含めて、確定的に消滅する ものと解するのが 国家公務員法七六条、三八条)に 該当するに至つた場合と同様、右立候補の届出の時点で、同人の国家公務員たる地 位は、人事院の判定等によつてこれを回復する可能性も含めて、確定的に消滅する ものと解するのが相当である。したがつて、右立候補の届出がされた以上、その後 に当該懲戒免職処分が判定等により修正され、又は、取り消されたとしても、同人 の公務員たる地位そのものを回復する余地はないものといわざるを得ない(最高裁 昭和三七年(オ)第五一五号同四〇年四月二八日大法廷判決・民集一九巻三号七二 - 3 - 一頁参照)。 本件についてこれをみるに、前記の事実関係によれば、上告人は、人事院がした 本件判定により当初から停職一年間の懲戒処分を受けたものとみなされることにな るのであるが、右に説示したところによれば、上告人の郵政省職員たる地位は、同 人が本件立候補の届出をしたことにより、右届出の日に確定的に消滅することとな り、その後に本件判定がされても、上告人は右地位を回復することはできないもの というべきである。これと同旨の原審の判断は、正当として是認することができ る。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用することができない。 同第二点及び第三点について 所論は、違憲をいうが、その実質は単なる法令違背を主張するものにすぎず、原 判決に法令違背のないことは、右に述べたとおりである。論旨は、採用できない。 よつて、行政事件訴訟法七条、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官 全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第一小法廷 裁判長裁判官 大 内 恒 夫 裁判官 角 田 禮 次 郎 裁判官 佐 藤 哲 郎 判官 大 内 恒 夫 裁判官 角 田 禮 次 郎 裁判官 佐 藤 哲 郎 裁判官 四 ツ 谷 巖 裁判官 大 堀 誠 一
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