平成16(ワ)353 損害賠償請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年6月22日 佐賀地方裁判所 その他
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判決文本文70,763 文字)

-1-主文 原告番号88,同番号90,同番号127,同番号168及び同番号213を除く別紙請求金額表中「原告名」欄記載の各原告に対し,(1)被告Y1,同Y2及び同Y3は,各自,各当該原告に対する同表中「s最終請求金額」記載の各金員及びこれに対する平成18年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)被告県は,各当該原告に対する同表中「被告県認容額」記載の各金員及びこれに対する平成18年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告番号88及び同番号127に対し,(1)被告Y1,同Y2及び同Y3は,各自,各当該原告に対する同表中「s最終請求金額」記載の各金員及び同「x請求金額」欄記載の内金に対する平成18年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)被告県は,各当該原告に対する同表中「被告県認容額」記載の各金員及び同欄中「うち元金」と記載された内金に対する平成18年8()月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告番号90,同番号168及び同番号213に対し,(1)被告Y1及び同Y2は,各自,各当該原告に対する同表中「s最終請求金額」記載の各金員及び同「x請求金額」欄記載の内金に対する平成18年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)被告Y3は,各当該原告に対する同表中「被告Y3認容額」記載の各金員及び同欄中「うち元金」と記載された内金に対する平成18()年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3)被告県は,各当該原告に対する同表中「被告県認容額」記載の各金-2-員及び同欄中「うち元金」と記載された内金に対する平成18年8()月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3)被告県は,各当該原告に対する同表中「被告県認容額」記載の各金-2-員及び同欄中「うち元金」と記載された内金に対する平成18年8()月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用については,原告らと被告Y1,同Y2及び同Y3との間においては,すべて上記被告らの負担とし,原告らと被告県との間においては,これを2分し,その1を原告らの負担とし,その余は被告県の負担とする。 この判決は,第1項ないし第3項に限り,仮に執行することができる。 ただし,被告県が,別紙請求金額表中「原告名」欄記載の原告のため,同表中「担保額」記載の金額の担保を供するときは,同被告は前項による仮執行を免れることができる。 事実 及び理由第1請求の趣旨被告らは,各自,別紙請求金額表中「原告名」欄記載の各原告に対し,次の金員を支払え。 ①同表中「s最終請求金額」記載の各金員②同金額に対する平成18年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員。 ただし,原告番号88に対しては,同表中「x請求金額」記載の各金員に対する平成18年8月2日から支払済みまで年5分の割合による金員第2事案の概要 事案の要旨(1)中小企業等協同組合法(会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号。以下「整備法」という)による改正前の。 もの。以下「中協法」という)に基づいて設立された事業協同組合である。 -3-。 ,佐賀商工共済協同組合(以下「商工共済」という)は,平成3年ころから多額の債務超過に陥ったが,これを粉飾経理操作により隠蔽して事業を継続していたところ,平成15年8月27日,佐賀地方裁判所により破産宣告(以下「本件破産宣告」という)を受けて倒産(以下 3年ころから多額の債務超過に陥ったが,これを粉飾経理操作により隠蔽して事業を継続していたところ,平成15年8月27日,佐賀地方裁判所により破産宣告(以下「本件破産宣告」という)を受けて倒産(以下「本件破産」とい。 う)したため,商工共済の多数の組合員は,同組合に預け入れていた共済。 掛金又は貸付金(以下,それぞれ「共済掛金「貸付金」といい,これら」,を総称して「貸付金等」という)の返還を受けることができなくなった。 。 (2)本件は,商工共済の組合員(又はその相続人)である原告らが,①商工共済の当時の理事であった被告Y1,同Y2及び同Y3(以下,この被告3名を総称して「被告理事ら」という)に対しては,民法709条又は中協。 法38条の2第2項,3項に基づく責任,②商工共済の中協法上の監督機関である被告県に対しては,国家賠償法1条1項に基づく責任があり,③さらに,被告らの行為は,民法719条1項の共同不法行為を構成するが,その不法行為日は,原告らが商工共済に最後に貸付金等を預け入れた日であると主張して,各損害金(弁護士費用を含む)及びこれに対する不法行為日か。 ら支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。 なお,本件訴訟は,当初,商工共済の理事であったA1及びA2も共同被告としていたが,その後,A1に対する訴訟は請求認諾,A2に対する訴訟は,弁論分離後,いわゆる欠席判決(確定)によりそれぞれ終了している。 争いのない事実等以下の事実は,当事者間に争いがないか,又は本文中に掲記の証拠及び弁論の全趣旨によって容易に認めることができる。 (1)当事者等ア商工共済は,昭和35年7月14日,組合員に対する事業資金の斡旋,佐賀県商工共済協同組合連合会(以下「連合会」という)の委託を受け。 -4-て って容易に認めることができる。 (1)当事者等ア商工共済は,昭和35年7月14日,組合員に対する事業資金の斡旋,佐賀県商工共済協同組合連合会(以下「連合会」という)の委託を受け。 -4-てする各種共済事業の代理業務,上記事業に付帯する事業などを目的として,中協法に基づき設立された事業協同組合であり,その所在地は佐賀市a町b番c号である(甲47。 )イ佐賀県商工共済協同組合連合会(連合会)は,佐賀県区域内の協同組合を会員とし,会員に対する事業資金の貸付け,所属員のためにする福利厚生事業(貯蓄共済,年金共済)などを目的として,昭和47年1月19日に設立された協同組合連合会(中協法3条3号,8条5項参照)であり,)。 平成8年当時の会員は実質的には商工共済のみであった(甲48~53ウ被告Y1は,参議院議員であるが,平成3年5月30日から平成8年7月14日まで,同組合の理事長(代表理事,以下単に「理事長」という)の地位にあったものである(甲44,45。 。 )エA1(以下「A1理事長」ともいう)は,佐賀県議会議員であり,被。 告Y1の後任として,同被告辞任後の平成8年8月2日から本件破産宣告を受けた平成15年8月27日まで,商工共済の理事長の地位にあったものである(甲46,47。 )オA2(以下「A2副理事長」ともいう)は,昭和60年4月ころから。 本件破産宣告を受けた平成15年8月27日まで,商工共済の副理事長の地位にあったものである(甲80。 )カ被告Y2は,平成3年7月26日から平成11年5月25日まで,商工共済の専務理事の地位にあったものである(甲67。 )キ被告Y3は,被告Y2の後任として,同被告辞任後の平成11年6月1日から本件破産宣告を受けた平成15年8月27日まで,商工共済の専務理事の地位にあったも 事の地位にあったものである(甲67。 )キ被告Y3は,被告Y2の後任として,同被告辞任後の平成11年6月1日から本件破産宣告を受けた平成15年8月27日まで,商工共済の専務理事の地位にあったものである(甲85。 )クA3(以下「A3局長」という)は,平成元年7月ころから平成13。 年12月ころまで,商工共済の事務局長の地位にあったものである(甲64~66。 )-5-ケA4(以下「A4次長」という)は,平成3年7月ころから平成7年。 12月末ころまで,事務局長兼経理課長の地位にあったものである(甲62,63。 )コA5(以下「A5課長」ともいう)は,平成6年7月ころから平成1。 0年ころまでは商工共済の経理課長代理の地位,同年ころから本件破産宣告まで商工共済の経理課(後に共済経理課)の課長の地位にあったものである(甲91の1・2,92~95。 )サ原告ら(原告番号147,同番号204,同番号39及び同番号80を除く)並びに亡B1,亡B2,亡B3及び亡B4は,いずれも商工共済。 の組合員だったものである(甲B1~2202,枝番を含む。 。)シ被告県は,地方自治法上の普通地方公共団体であり,被告県の知事は中協法111条1項1号上,商工共済の所管行政庁である。 なお,平成3年4月23日から平成15年4月22日までの間の被告県の知事は,C1(以下「C1知事」という)であった。 。 スC2(以下「C2部長」という)は,平成8年5月11日から平成1。 1年7月3日まで,被告県の商工労働部の部長を務めていたものである(甲28,乙イ1。 )セC3(以下「C3次長」という)は,平成6年4月1日から平成9年。 3月31日まで,商工労働部の次長を務めていたものである(甲29,乙イ1。 )ソC4(以下「C4次長」という)は,C3 )セC3(以下「C3次長」という)は,平成6年4月1日から平成9年。 3月31日まで,商工労働部の次長を務めていたものである(甲29,乙イ1。 )ソC4(以下「C4次長」という)は,C3次長の後任として,平成9。 年4月1日から同年(平成10年との記載もある)12月31日まで,。 商工労働部の次長を務めていたものである(甲42,43。 )タC5(以下「C5課長」という)は,平成7年5月1日から平成10。 年3月31日まで,商工労働部商工企画課の課長を務めていたものである(甲3,29,乙イ1,2,17。 )-6-チC6(以下「C6課長」という)は,平成10年4月1日から平成1。 1年4月30日まで,商工企画課の課長を務めていたものである(甲34。 )(2)原告らの商工共済への金員預入れ原告らは,別紙請求金額表の「請求金額内訳」欄記載のとおり,商工共済に対し,金員を預け入れた(甲B1~2202,枝番を含む。 。)なお,原告らを含む組合員の中には,共済や金銭消費貸借契約が満期を迎えると,これらの共済掛金又は貸付金の満期金等について現実の返還を受けることに代えて,その全部又は一部を新たに締結する金銭消費貸借の貸付金として預け直すこともあり(以下「本件更新」という,上記預入れの時。)点には,更新をした時点も含んでいる。 (3)商工共済の破産商工共済は,平成15年8月26日,佐賀地方裁判所に自己破産の申立てを行い(同裁判所同年(フ)第873号事件,翌27日午後5時,本件破産)宣告を受け,D弁護士(以下「D管財人」という)が破産管財人に選任さ。 れた(甲44~47。 )(4)当初原告らの一部の死亡と相続による承継ア亡B1は,平成16年5月27日死亡し,同人の相続人間での協議により,その妻である原告番号147 が破産管財人に選任さ。 れた(甲44~47。 )(4)当初原告らの一部の死亡と相続による承継ア亡B1は,平成16年5月27日死亡し,同人の相続人間での協議により,その妻である原告番号147が,同人の遺産を承継した(甲1462の1~5 。 )イ亡B2は,平成17年1月5日死亡し,その長男である原告番号204が同人の地位を承継した(甲B2032。 )ウ亡B3は,平成17年8月31日死亡し,その妻である原告番号80が同人の地位を承継した(甲B793,794の1~3 。 )エ亡B4は,平成17年10月3日死亡し,その妻である原告番号39が同人の地位を承継した(甲B383の3。 )-7-(5)被告県による立替金との相殺被告県は,本件破産宣告後,原告らを含む組合員に対するつなぎ融資的なものとして「佐賀商工共済協同組合破産債権配当金一部立替金制度(以,」下「立替金制度」という)と称して,別紙各請求金額表の「佐賀県借入。 額」欄に借入額の記載がある原告らに対し,同欄記載の金額を貸し付けた(以下「立替金債務」という。甲126。 )同原告らは,同被告に対し,平成16年10月20日,同年12月3日及び平成17年2月7日送達の本件各訴状により,本件損害賠償請求権をもって,立替金債務と対当額において相殺する旨の意思表示をした。 (6)刑事事件における有罪判決A1,A2,Y3及びA5は,本件に関し,共謀の上,平成14年4月1日ころから平成15年8月24日ころまでの間,商工共済組合員から,合計1億3905万9326円を詐取したとして起訴され,平成17年4月20日,佐賀地方裁判所において,同罪により,いずれも有罪判決(A1は懲役1年10月の実刑,A2は懲役1年4月,4年間執行猶予,被告Y3は懲役1年4月,3年間執行猶予,A5は懲役10 平成17年4月20日,佐賀地方裁判所において,同罪により,いずれも有罪判決(A1は懲役1年10月の実刑,A2は懲役1年4月,4年間執行猶予,被告Y3は懲役1年4月,3年間執行猶予,A5は懲役10月,2年間執行猶予)の宣告を受け,同判決はそのころ確定した(乙イ7。 )(7)破産事件における配当金受領原告らは,商工共済の破産手続(以下「本件破産手続」という)におい。 て,平成18年8月1日以降,配当率を約33.59%とする配当(以下,この配当を「本件配当」といい,本件配当により受領した配当金を「本件配当金」という)を受けたため,同年11月30日付けで請求の減縮を申し。 立て(ただし,本件配当金の額が後記の立替金債務の額に満たず,現実には本件配当金を受領できなかった原告番号88を除く,被告らは,この減縮。)に同意した。 中協法の規定-8-(1)1条(法律の目的)この法律は,中小規模の商業,工業,鉱業,運送業,サービス業その他の事業を行う者,勤労者その他の者が相互扶助の精神に基き協同して事業を行うために必要な組織について定め,これらの者の公正な経済活動の機会を確保し,もつてその自主的な経済活動を促進し,且つ,その経済的地位の向上を図ることを目的とする。 (2)5条(基準及び原則)組合は,その行う事業によってその組合員に直接の奉仕をすることを目的とし,特定の組合員の利益のみを目的としてその事業を行ってはならない(2項。 )(3)38条の2(理事の責任)ア1項理事がその任務を怠ったときは,その理事は,組合に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。 イ2項理事がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったときは,その理事は,第三者に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。 ウ3項理事が40条1項の書類に記載すべき重要な 賠償の責に任ずる。 イ2項理事がその職務を行うにつき悪意又は重大な過失があったときは,その理事は,第三者に対し連帯して損害賠償の責に任ずる。 ウ3項理事が40条1項の書類に記載すべき重要な事項につき虚偽の記載をし,又は虚偽の登記若しくは公告をしたときも,前項と同様とする。ただし,理事がその記載,登記又は公告をしたことについて注意を怠らなかったことを証明したときは,この限りでない。 エ5項1項の理事の責任については,商法(整備法による改正前のもの)266条2項,3項及び5項(取締役の責任)の規定を準用する。 (4)40条(決算関係書類の提出,備付及び閲覧等)-9-ア1項理事は,通常総会の会日の1週間前までに,事業報告書,財産目録,貸借対照表,損益計算書及び剰余金処分案又は損失処理案を監事に提出し,且つ,これらを主たる事務所に備えて置かなければならない。 イ2項理事は,監事の意見書を添えて前項の書類を通常総会に提出し,その承認を求めなければならない。 (5)104条(不服の申出)ア1項組合若しくは中央会の業務若しくは会計が法令若しくは定款,規約若しくは共済規程に違反し,又は組合若しくは中央会の運営が著しく不当であると思料する組合員又は会員は,その事由を添えて,文書をもつてその旨を行政庁に申し出ることができる。 イ2項行政庁は,前項の申出があつたときは,この法律の定めるところに従い,必要な措置を採らなければならない。 (6)105条(検査の請求)ア1項組合員又は会員は,その総数の十分の一以上の同意を得て,その組合又は中央会の業務又は会計が法令又は定款,規約若しくは共済規程に違反する疑いがあることを理由として,行政庁にその検査を請求することができる。 イ2項前項の請求があつたときは,行政庁は,その組合 又は中央会の業務又は会計が法令又は定款,規約若しくは共済規程に違反する疑いがあることを理由として,行政庁にその検査を請求することができる。 イ2項前項の請求があつたときは,行政庁は,その組合又は中央会の業務又は会計の状況を検査しなければならない。 (7)105条の2(決算関係書類の提出)-10-組合及び中央会は,毎事業年度,通常総会の終了の日から2週間以内に,事業報告書,財産目録,貸借対照表,損益計算書及び剰余金の処分又は損失の処理の方法を記載した書面を行政庁に提出しなければならない。 (8)105条の3(報告の徴収)行政庁は,毎年1回を限り,組合又は中央会から,その組合員又は会員,役員,使用人,事業の分量その他組合又は中央会の一般的状況に関する報告であって,組合又は中央会に関する行政を適正に処理するために特に必要なものを徴することができる。 (9)105条の4(検査等)行政庁は,組合若しくは中央会の業務若しくは会計が法令若しくは定款若しくは共済規程に違反する疑いがあり,又は組合若しくは中央会の運営が著しく不当である疑いがあると認めるときは,その組合若しくは中央会からその業務若しくは会計に関し必要な報告を徴し,又はその組合若しくは中央会の業務若しくは会計の状況を検査することができる(1項。 )(10)106条(法令等の違反に対する行政庁の措置)ア1項(業務改善命令)行政庁は,105条の4第1項の規定により報告を徴し,又は105条2項若しくは105条の4の規定により検査をした場合において,組合若しくは中央会の業務若しくは会計が法令若しくは定款,規約若しくは共済規程に違反し,又は組合若しくは中央会の運営が著しく不当であると認めるときは,その組合又は中央会に対し,期間を定めて必要な措置を採るべき旨を命ずることができる 計が法令若しくは定款,規約若しくは共済規程に違反し,又は組合若しくは中央会の運営が著しく不当であると認めるときは,その組合又は中央会に対し,期間を定めて必要な措置を採るべき旨を命ずることができる。 イ4項(解散の命令)行政庁は,組合若しくは中央会が第1項の命令に違反したとき,又は組合若しくは中央会が正当な理由がないのにその成立の日から1年以内に事業を開始せず,若しくは引き続き1年以上その事業を停止していると認め-11-るときは,その組合又は中央会に対し,解散を命ずることができる。 (11)115条(罰則)次の場合には,組合又は中央会の発起人,役員又は清算人は,20万円以下の過料に処する。 39条又は40条(以上の各規定を69条,82条の8又は82条の18において準用する場合を含む)の規定に違反して書類を備えて置かず,。 その書類に記載すべき事項を記載せず,若しくは不実の記載をし,又は正当な理由がないのにその書類の閲覧若しくは謄写を拒んだとき(8号。 )105条の2の規定に違反して書類を提出せず,又は虚偽の書類を提出したとき(18号。 )第3争点及びこれに関する当事者の主張 被告Y1,同Y2及び同Y3の責任(1)原告らの主張ア被告Y1は,平成3年5月30日ころから平成8年7月14日までの間,商工共済の理事長の職にあったものであるが,平成3年ころ,商工共済の債務超過の事実を認識し,平成6年12月ころには,支払不能及び粉飾経理の事実を認識したにもかかわらず,その事実を秘匿して組合員である原告らからの金員の預入れを継続させることを決定した。同被告は,代表理事としてこの方針を決定しており,商工共済は,その方針に基づき違法行為を継続した。 被告Y1が粉飾経理に関与していたことは,同被告が署名又は押印した伺い書が存在すること を決定した。同被告は,代表理事としてこの方針を決定しており,商工共済は,その方針に基づき違法行為を継続した。 被告Y1が粉飾経理に関与していたことは,同被告が署名又は押印した伺い書が存在することや,幹部会の議事録(経過を記載した書面)の記載内容からも明らかである。 また,同被告は,理事退任後も平成15年8月27日まで,商工共済の顧問の地位にありながら,その事実を制止・公表することもなく放置した。 イ被告Y2は,平成3年7月26日から平成11年5月25日までの間,-12-同Y3は,同年6月1日から平成15年8月27日までの間,それぞれ,商工共済の専務理事の職にあったものであるが,いずれも,その在職期間中に粉飾経理を行い,その事実を秘匿し,組合員である原告らからの金員の預入れを継続させた。 ウ被告理事らは,A1又はA2と共謀してこのような違法業務を執行したものであるから(他方,これを阻止しようとして何らかの行動を起こした形跡は全くない,被告理事らの行為は,平成15年8月まで継続して。)いた共同不法行為を構成するとともに,中協法38条の2第2項・3項所定の会計帳簿への虚偽記載に該当する。 したがって,被告理事らは,その就任時期や在任期間,原告らの商工共済との取引時期や取引期間,更新の有無といった事情に関わりなく,原告らの預入額全額について,等しく損害賠償責任を負う。 (2)被告Y1の主張ア商工共済が債務超過であったことは認めるが,支払不能であったことは否認する。商工共済は,売却価額が6~10億円と見積もられる商工共済ビルを佐賀市内に所有していたほか,売却価額が1億2000万円と見積もられる土地を佐賀県嬉野町(現・嬉野市)に所有していた。 イ被告Y1が,平成6年12月4日に他の理事から受けた報告としては,A4次長が独断で資金運 有していたほか,売却価額が1億2000万円と見積もられる土地を佐賀県嬉野町(現・嬉野市)に所有していた。 イ被告Y1が,平成6年12月4日に他の理事から受けた報告としては,A4次長が独断で資金運用をしていたというものであり,粉飾経理があるとの報告ではなく,むしろ,被告Y1がA2副理事長に確認したところ,粉飾経理等はないとの報告を受けていた。 A4次長がした粉飾経理の方法は,決算期ごとに発生した赤字分につき,商工共済及び連合会の有価証券勘定に上乗せ計上するというものであり,被告Y1は認識することができなかった。 被告Y1が粉飾経理を隠蔽するような動機はなく,むしろ,粉飾経理を認識したとすれば,商工共済の理事長を直ちに辞任していたはずである。 -13-被告Y1が粉飾経理を認識していなかったことは,同被告が,含み損が発生している有価証券を売却すれば,損失を計上しなければならなくなるとして有価証券の切替えに反対したことからも明らかである。 ウなお,同被告は,平成15年8月27日まで,商工共済の顧問の地位にあったことを全く知らなかった。 エ本件において,被告Y1が署名又は押印したこととされている伺い書が存在することは事実である。 しかしながら,平成6年12月31日付け伺い書(以下「伺い書1」という。乙ロ4,平成6年3月31日付け伺い書(以下「伺い書2」とい)う。甲119の5,乙ロ5の1・2)及び平成8年3月31日付け伺い書(以下「伺い書7」という。甲119の1,乙ロ10)の理事長決裁欄の「Y1」を意味するサインは,これは被告Y1がしたものではなく,何者かが偽造したものである。平成7年3月31日付け伺い書(以下「伺い書3」という。甲119の4,乙ロ6)の理事長決裁欄の「Y1」を意味する印影は,被告Y1所有の印鑑によるものではない。平成7年1 何者かが偽造したものである。平成7年3月31日付け伺い書(以下「伺い書3」という。甲119の4,乙ロ6)の理事長決裁欄の「Y1」を意味する印影は,被告Y1所有の印鑑によるものではない。平成7年12月27日付け伺い書(以下「伺い書4」という。乙ロ7)には,理事長決裁欄に「Y1」を意味するサイン又は印影のいずれも存在しない。平成8年3月5日付け伺い書(以下「伺い書5」という。甲19の3,乙ロ8)及び作成日付不詳の伺い書(甲119の4,乙ロ9,以下「伺い書6」という)の。 理事長決裁欄の「Y1」という部分の成立は不知であるが,その内容は,被告Y1の粉飾経理操作についての認識を示すものではない。 また,本件においては,幹部会等の経過を記載した書面(甲118)が存在することは事実であるが,この書面は内容的におかしく,形式からみても,開催日ごとに作成されたものではなく,後日まとめて作成されたいわゆる事後文書と見られるから,信用性を有しない。 オ商工共済内部にあっては,組合内部者が煩瑣な事務手続を簡易に進める-14-ための便法として,理事印の無断使用が常態化していたところ,商工共済は,過去25年分にわたって一定の利益額(14~78万円)を計上するなど,長年にわたり意図的な経理操作を行い,その結果,商工共済内部においては,粉飾決算に対する違法性の認識が薄く,これをチェックする内部管理体制も確立されていなかったため,組合内部者らが,理事会議事録,伺い書,幹部会議経過書類等の組合関係書類を自らに都合のいいように偽造するに至ったものであり,被告Y1の知らないまま粉飾経理が行われていたものである。 (3)被告Y2の主張ア被告Y2は,平成6年9月7日にA4次長からその旨の報告を受けるまで,粉飾経理の事実を知らなかった。 イ同被告は,同日から,辞任 まま粉飾経理が行われていたものである。 (3)被告Y2の主張ア被告Y2は,平成6年9月7日にA4次長からその旨の報告を受けるまで,粉飾経理の事実を知らなかった。 イ同被告は,同日から,辞任した平成11年5月25日まで,被告Y1を含む他の理事からの指示に基づき行動していたのであり,組織人としては,その意向に反する行動は採り得なかった。 すなわち,粉飾経理を公表しないことは,平成7年2月4日以降,理事長であった被告Y1又はA1,副理事長であったA2,他の理事3名から構成される幹部会又は経営推進研究委員会において決定されたことであり,幹部会等に事務局からのオブザーバーとして参加していたにすぎない被告Y2は,その決定に関与できなかった。 ウ被告Y2は,平成11年5月25日,商工共済から退職しており,それ以降の粉飾経理には関与していない。 (4)被告Y3の主張被告Y3が商工共済の専務理事に就任したのは平成11年6月1日であり,粉飾経理等の財務状況を認識したのは同年7月以降であるから(就任する際,被告Y2から引継ぎはなかった,それ以前に原告らが同組合に預け入れ。)た預入金等については,責任も因果関係もない。 -15-同被告自身,商工共済に対し,4口合計600万円を貸し付けていることからも明らかなとおり,平成14年3月まで,商工共済の倒産が避け得ないとは認識していない。同被告は,粉飾経理を公表すべきとA1理事長に進言しているのであり,組織人としての立場から,できるだけのことはしている。 これに対して,A1理事長から,かつて,松浦信用組合が被告県から無利子融資を受けて救済されたことがあるが,商工共済のアルゼンチン債問題についてもC1知事に相談しているなどと言われ(甲96,商工共済を再生さ)せようと努力したのである。そのため,自己名義 県から無利子融資を受けて救済されたことがあるが,商工共済のアルゼンチン債問題についてもC1知事に相談しているなどと言われ(甲96,商工共済を再生さ)せようと努力したのである。そのため,自己名義で預入れをしているのである。 同被告に責任があるのは,アルゼンチン共和国がモラトリアム宣言を発し,そのため,商工共済が購入していたシーバス・インターナショナル・リミテッド社(以下「シーバス社」という)が発行する社債である「シーバス・。 インターナショナル・リミテッド(シリーズ34(以下「シーバス3)」4」という)が破綻した後の平成14年4月1日以降の預入れである。そ。 の後も,被告県からの救済策があることなどを信じて行動していたA1理事長に従い,商工共済が危機的な状況から脱することに協力していたのであるから,この事実は,いわば緊急避難に類するものとして,賠償額の算定に当たって考慮されるべきである。 被告県の責任(1)原告らの主張ア中協法106条は中小企業等協同組合に対する業務改善命令権限を規定しているが,この権限は,当然に監督義務を前提としており,監督庁には,中小企業等協同組合の業務・会計が明らかに法令・定款に違反する場合,監督権限を発動してその是正措置を採らなければならない義務がある。 イ商工共済は,組合員に対する貸付業務によって資金運用を行っていたが,貸付けだけでは全資金の運用ができないので,余裕資金を国債等の有価証-16-券を購入して運用していたところ,運用担当者であるA4次長は,平成2~3年にかけて,有価証券,とりわけワラントの運用の失敗により多額の損失を出し,これを隠蔽するため,平成3年ころ以降,上記損失額を保有有価証券の価格に上乗せする粉飾経理操作を行うようになった。 当時の専務理事であった被告Y2は,遅くとも平 トの運用の失敗により多額の損失を出し,これを隠蔽するため,平成3年ころ以降,上記損失額を保有有価証券の価格に上乗せする粉飾経理操作を行うようになった。 当時の専務理事であった被告Y2は,遅くとも平成6年9月までに,商工共済には約5億円の損失が発生していること,A4次長がこれを粉飾処理していたことを知り,同年12月初めころには,理事長であった被告Y1においてもその事実を知るところとなったが,その後も商工共済は,上記の粉飾処理を継続しただけでなく,新たに平成6年度に発生した約2億円の赤字についても粉飾決算した。 被告県商工労働部のC3次長やC5課長は,平成7年12月ころ,商工共済が粉飾経理を行っているとの報告をA2副理事長から受けたため,それに基づいて商工共済を調査した上(以下「本件調査」という,平成。)8年7月31日までに商工共済の累積欠損・粉飾経理の状況を把握し,その結果をC1知事にまで報告した。このような調査が内々のものにすぎないはずがなく,それによって,被告県は,商工共済が破綻する蓋然性を認識した。 ウ平成8年7月当時において,商工共済の再建の可能性は皆無であった。 すなわち,平成7年度末の商工共済の資産状況は,粉飾を修正し,有価証券含み損を考慮すると,商工共済単独で,負債53億8900万円,資産43億6100万円,累積欠損10億2800万円,債務超過率23. 6%,連合会との合算後で,負債66億4000万円,資産50億4900万円,累積欠損15億9100万円,債務超過率31.5%であり,明らかに支払不能,破産状態にあった。 そもそも,商工共済は,相互扶助の精神により,市中金融機関から借り入れることのできない組合員を対象に貸付けすることを事業としていたが,-17-昭和50年代後半から市中金融機関が個人に対する融資を始めたこと ,商工共済は,相互扶助の精神により,市中金融機関から借り入れることのできない組合員を対象に貸付けすることを事業としていたが,-17-昭和50年代後半から市中金融機関が個人に対する融資を始めたことなどにより,商工共済の貸付事業は減少の一途をたどっていた。他方,組合員から共済掛金を受け入れる共済事業は,共済掛金以上の共済金を返戻していたことなどから,いわゆる「逆ざや」の状態となっていた。こうした中,商工共済は,これらの共済金等の原資を有価証券の投資に求め,有価証券勘定が突出するようになっていたものであるが,バブル経済崩壊後,この有価証券の価額が下落し,その含み損を多く抱えることとなったため,破綻状態に陥るに至った。商工共済が破綻状態であったことは,理事ら,被告県の担当者,商工共済の取引先であった金融機関の担当者らが捜査機関に供述したとおりである。特に,金融機関の担当者らは,このような財務状況の下では,商工共済に融資することはあり得ないとも供述している。 また,被告県の調査後においても,商工共済と連合会を合算した純資産比率は,平成10年度の-35.02%を皮切りに,平成13年度には-40.99%にまで悪化しているのであるから,単年度黒字すら達成していないことが明らかである。仮に,単年度黒字を達成していたとしても,経理を粉飾している状態にあっては,再建に向けての環境が整ったともいい難い。 エこのような中,商工共済の当時の代表者であった被告Y1及びA1理事長は,累積欠損等を粉飾する経理を継続するとともに,組合員に対し,総代会において虚偽の報告をする一方,集金人に対しては,そのような粉飾経理等を隠したまま,ノルマを設定するなどして組合員からの集金を促進し,これを継続させていた。 オ商工共済は,平成9年4月11日,シーバス34を15億円分購 る一方,集金人に対しては,そのような粉飾経理等を隠したまま,ノルマを設定するなどして組合員からの集金を促進し,これを継続させていた。 オ商工共済は,平成9年4月11日,シーバス34を15億円分購入しているが,シーバス34は,アルゼンチン共和国国債を唯一の担保とする,元本保証のない債券であった。このような内容の債券を購入すること自体,無計画ないわば「ばくち」と評価せざるを得ないが,仮に,利息支払(毎-18-年6480万円)が履行され続けていたとしても,平成8年当時の実質的債務超過額(18億円)に照らせば,焼け石に水というほかない。 商工共済は,帳簿上,平成10年度から単年度黒字を達成しているが,わずか1000万円前後であって,しかも,有価証券の入替えによる一時的な収益増加にすぎないのであるから(人件費等の削減もあるが,これによって収益性が増加したわけではない,これをもって,自主再建の環。)境が整ったということはできない。 カ被告県に対する責任原因(ア)以上のとおり,商工共済は,被告県が調査の結果,商工共済の累積欠損・粉飾経理を知った平成8年7月の時点において,既に破綻しており,再建の見込みなど皆無であった上,大規模累積損失の粉飾経理自体,極めて重大な法令違反行為であるから,再建の可能性があろうがなかろうが,監督官庁としては,その是正を命令ないし指導する法律上の義務が存するのであり,被告県としては,遅くとも平成8年7月の時点において,商工共済に対し,中協法106条1項に基づき,必要な是正措置(粉飾経理の是正,組合員に対する真実の財務実態の開示等又は組合員からの金員の預入れの中止を命じること)を採るべき義務があるのに,何らの措置を採ることなく,むしろ,粉飾経理の状況を公にしないで黙認・放置する方針を決定し,商工共済の総代会に 実態の開示等又は組合員からの金員の預入れの中止を命じること)を採るべき義務があるのに,何らの措置を採ることなく,むしろ,粉飾経理の状況を公にしないで黙認・放置する方針を決定し,商工共済の総代会にも出席して経営状態を褒め称えるあいさつをするなどして,平成15年8月に商工共済が破産申立てにより業務を停止するまで,理事である他の被告らの違法行為を放任し,その行為を助長し,その結果,原告らに対し,共済掛金及び貸付金を預け入れさせ(更新も含む,また原告らが本来ならば行えた。)組合員による返還請求権の行使の機会を平成15年8月まで奪い続けてきたのであるから,被告県の対応は,裁量権の範囲を大きく逸脱しており,著しく合理性を欠いたものである。 -19-したがって,被告県は,原告らに対し,国家賠償法1条1項に基づく責任を負う。 (イ)被告県は,本件においては,商工共済の会計実態や業務実態について認識した上で,その後も商工共済に対し,従前と変わらない業務の続行と粉飾経理の続行(真実の財務状況の隠蔽)を明確に指示しているのであるから,単なる不作為ではなく,詐欺行為への加担であって,作為と評価されるべき違法行為がある。 (ウ)本件においては,被告県の上記不作為ないし作為がなければ被告理事らの違法行為が継続することはなかったのであるから,被告県の上記不法行為と被告理事らの行為は,商工共済の組合員である原告らに対する共同不法行為を構成する。 (2)被告県の主張ア被告県は,商工共済から自主再建に向けた経営改善に取り組んでいるとの報告を受けたために,その動向を見守ることにしたのであり,商工共済の行為が詐欺的であるとか,違法であるとの認識を持っていたものではなく,故意に商工共済の違法行為・詐欺行為を助長・容認したものではないし,この点について,被告 向を見守ることにしたのであり,商工共済の行為が詐欺的であるとか,違法であるとの認識を持っていたものではなく,故意に商工共済の違法行為・詐欺行為を助長・容認したものではないし,この点について,被告理事らとの間に共謀は存在しない。 したがって,被告県について,作為の不法行為が成立する余地はない。 イ被告県の不作為が違法となるのは,当該公務員が当該具体的事情の下において当該規制権限を行使しなかったことが当該規制権限の根拠法規の趣旨・目的のみならず,慣習・条理等に照らして著しく不合理と認められる場合に限られる。 そして,その判断に当たっては,(ア)当該個別の国民の生命・身体に匹敵するほど重要な財産に対する具体的危険が切迫していたといえるか(危険の切迫。 )(イ)当該公務員が上記危険を知り又は容易に知りうる状態にあったとい-20-えるか(予見可能性,)(ウ)当該公務員が当該規制権限の行使により容易に結果を回避しえたといえるか(結果回避可能性,)(エ)当該公務員が当該規制権限を行使しなければ結果発生を防止しえなかったといえるか(補充性,)(オ)国民が当該公務員による当該規制権限の行使を要請ないし期待している状況にあったといえるか(国民の期待)等の諸点を総合考慮し,いずれの観点から見ても規制権限の不行使が著しく不合理であるかを検討して決すべきである。 ウ中協法の規制権限は,個別の国民の権利利益を保護することを目的とするものではなく,その根拠法規において規制権限を行使すべきことが一義的に規定されているものではない。 また,中協法は,そもそも組合の設立,活動につき可能な限り行政の関与を排除する趣旨で制定され,協同組合の自主性を確立するため,協同組合の設立に準則主義(法律の定める一定の組織を備えることによって法人の成立を認める そもそも組合の設立,活動につき可能な限り行政の関与を排除する趣旨で制定され,協同組合の自主性を確立するため,協同組合の設立に準則主義(法律の定める一定の組織を備えることによって法人の成立を認める主義)を採用していたが,その後休眠組合や著しく不当な活動を行う組合が現れてきたことから,昭和26年から昭和30年までの改正において,設立時における認可主義(一定の組織を備え,かつ,所轄行政庁などの認可によって法人の成立を認める主義)を採用するとともに,報告の徴求などの規定が新設されたものの,その改正の趣旨は,専ら休眠協同組合・違法目的協同組合の整理にあり,その他の協同組合の自主性を尊重するとの目的に変わりはなく,規制権限についても,105条の4で限定的に可能であるとされているにとどまる。 したがって,中協法において,所管行政庁に与えられている監督権限は,組合の自主性を重んじ,行政の関与を極力控えるという考え方が基本であり,いわば「後見的指導監督」とも言うべきものであるといえる。これは,-21-銀行法において,金融庁に対し,監督官庁として銀行に対する強大な監督権限が規定されていることとは,その内容や強制力において全く異なる。 エ以下のとおり,被告県の中協法上の規制権限の不行使は,裁量を逸脱した違法なものではない。 (ア)被告県は,C3次長にA2副理事長が相談を持ち掛けたことを契機に,平成8年1月ころから商工共済に対する調査(本件調査)を行ったことは事実である。しかし,これは内々の調査であり,正式なルートの調査ではなかった。 本件調査の結果をまとめた「佐賀県商工共済協同組合関係資料(以」下「本件資料」という)には,商工共済の財務状況については非常に。 厳しいなどと記述され,C5課長らが,商工共済の累積欠損や粉飾経理状況を認識したことは事実 「佐賀県商工共済協同組合関係資料(以」下「本件資料」という)には,商工共済の財務状況については非常に。 厳しいなどと記述され,C5課長らが,商工共済の累積欠損や粉飾経理状況を認識したことは事実である(ただし,本件資料の31頁目の「問題点」は同課長目に触れたことがない。 。)しかしながら,商工共済は,債務超過の状態にすぎず,支払不能の状態ではなかった。その後も何度か聴取り調査をする中,被告Y2から10か年計画などの再建計画を示されるとともに,シーバス34を購入するなどという具体的な報告を受け,平成9年6月30日,被告県は,商工共済の自主再建は可能と判断した。 なお,C5課長は,中小企業診断士の資格を有し,経営状況についての判断能力はある。専門家に相談していないことは事実であるが,そのことだけから,C5課長の判断が不合理であるということはできない。 加えて,この問題の影響が大きいことを考慮すると,守秘義務との関係で,外部に相談することは容易にできるものではない。 ちなみに,C5課長の刑事事件における検察官調書(甲29)には,これに反する記載があるが,検察官による取調べは丸二日間にわたり長時間行われ,特に2日目は台風が通過する中で行われたものである上,-22-検察官は頭ごなしにC5の反論を否定し,調書作成の方式もC5の面前で口授するものではなく,予め検察官が別室にて作成した調書をC5に示すという方法により行われたものであるから,その内容は信用性に乏しいものである。 また,被告Y2は,シーバス34がハイリスクな有価証券であるという認識は有したことはなく,C5課長も,同被告からシーバス34についてサムライ債(円建て外債。具体的には,アルゼンチン共和国国債)としか報告を受けていなかったのであるから,ハイリスクであるとの認識を持てなかった ことはなく,C5課長も,同被告からシーバス34についてサムライ債(円建て外債。具体的には,アルゼンチン共和国国債)としか報告を受けていなかったのであるから,ハイリスクであるとの認識を持てなかった。そもそも,我が国の国債も年利5%を超えている時期があったのであるから,シーバス34が殊更に危険であるということはできない。 したがって,その当時において,中協法上の規制権限を行使するまでの事実はなく,むしろ,被告県が商工共済の粉飾経理を是正するために規制権限を行使すると,取付け騒ぎが生じる結果,組合が破綻する可能性が極めて高かったのであるから(民事再生法(平成11年法律第225号)附則2条による廃止前の和議法によれば,大口債権者に乏しい商工共済にあっては,和議が成立する見込みに乏しかった,破綻によ。)って損なわれる既存組合員の利益を考慮すると,規制権限を行使しなかったことは,裁量の範囲内である。 C5課長は,このような二律背反の状況等を踏まえ,平成8年7月から1年間ほど財務状況をフォローしたのであって,少なくとも,この程度の期間,経過を見守ることも当然許容されるべきである。 (イ)C5課長は,平成10年3月31日付けで,被告県の商工企画課課長の職を解かれたが,後任のC6課長に対し,一般的な方法での引継ぎ自体はしていた。 確かに,本件調査が正式のものではなかったことから,同年4月以降,-23-C6課長において,商工共済に対する特段の指導監督をすることはせず,翌平成11年4月1日以降は商工共済に関する引継ぎも途絶え,指導監督されることがなかったことは事実である。 しかしながら,商工共済は,平成9年には,高利の外債であるシーバス34を購入した結果(なお,日興証券の担当者も,その格付けはBB+であると説明しており,シーバス34が破綻するとい ことは事実である。 しかしながら,商工共済は,平成9年には,高利の外債であるシーバス34を購入した結果(なお,日興証券の担当者も,その格付けはBB+であると説明しており,シーバス34が破綻するという認識は持っていなかった,平成10~12年度の3期連続で実質黒字決算となっ。)ており,被告県のC5課長は,被告Y2から,商工共済は,今般アルゼンチン共和国国債を購入すると聞くにとどまり,シーバス34の内容の詳細な説明を受けていないのであるから,被告県において,商工共済が無計画な「ばくち」をしているなどという認識は抱いていなかった。加えて,被告Y2の後任であった被告Y3からは,被告県に対する何らの報告もなく,現実にも,平成13年末に,アルゼンチン共和国国債が支払停止をするとのモラトリアム宣言をするまで,商工共済は,シーバス34からの利息収入を受けていたのである。また,人件費支出も減少していた。 したがって,平成8年7月当時に比較すれば,被告県の監督の必要性は低減していたとも考えられ,他方,被告県の課長職ともなれば,懸案事項として引継ぎを受けた事項も多岐にわたっているのであるから,商工共済だけに積極的に関与することまでは無理なところもある。 (ウ)平成13年12月24日,アルゼンチン共和国によるモラトリアム宣言を受けてシーバス34の利息支払も停止したが,商工共済の先行きはなお不透明であり,直ちに規制権限を行使すべき事態とはいえなかった。 確かに,被告県内部の引継ぎがされていたとすれば,この支払停止宣言から間をおかず,商工共済のシーバス34保有に気付き,報告を徴求-24-したであろうとは考えられる。 しかしながら,被告県への報告に当たっては,シーバス34の元本返済の見込みなど,商工共済内部の検討に相当の期間を要したものと考えられ,それを 付き,報告を徴求-24-したであろうとは考えられる。 しかしながら,被告県への報告に当たっては,シーバス34の元本返済の見込みなど,商工共済内部の検討に相当の期間を要したものと考えられ,それを待たず,直ちに規制権限を行使することが要請されたわけではない。被告県において規制権限を行使して,商工共済に粉飾経理を公表するよう命ずべき事態となったのは,その検討のために必要な期間を考慮すると,シーバス34の破綻から2度目の決算を経た,本件破産宣告(平成15年8月27日)と同時期ころであったと考えられる。 オ被告県が被告理事らあるいは商工共済とともに原告らに対し,共同不法行為責任を負うことはない。 (ア)規制権限不行使が違法となる以前の貸付けについて原告ら主張の平成8年7月以前に貸付けがされたものについては,被告県に何ら規制権限不行使となるような事実は存在せず,責任主義の原則や従前の共同不法行為に関する判例理論に照らし,被告県が責任を負うものではない。 (イ)規制権限不行使が違法となって以後の貸付けについて本件において,商工共済ないし被告理事らが負うべき注意義務は,原告らが貸付けを行うことにより損害を被ることを回避すべき義務であるが,これに対し,被告県が負っていた注意義務は,監督官庁として商工共済の粉飾の内容を公表するか,その他適切な措置を講じる義務にすぎず,これは商工共済ないし被告理事らが注意義務を履行していれば,被告県が規制権限を行使しなかったとしても,原告らの損害は回避できたという二次的なものであり,両者の注意義務の内容は異なり,共同不法行為を構成する前提を欠く。 加えて,本件で商工共済が責任追及を受けることとなる事実は,原告らからの金銭の受領そのものであるのに対し,被告県のそれは規制権限-25-の不行使という不作為であり,そ 行為を構成する前提を欠く。 加えて,本件で商工共済が責任追及を受けることとなる事実は,原告らからの金銭の受領そのものであるのに対し,被告県のそれは規制権限-25-の不行使という不作為であり,それらは社会通念上一個の行為であるとはいえない。 カ仮に,被告県が被告理事らないし商工共済と共同不法行為責任を負うとしても,前記のとおり,被告県には原告らに対する積極的な加害意思が存在せず,被告理事らとの間に共謀が存在しない以上,強い関連共同性(主観的関連共同性)は存せず,原告らに生じた損害が可分である以上,被告県が責任を負う範囲は,被告県の権限不行使と相当因果関係を有する損害にとどまる(最高裁判所昭和43年4月23日判決・民集22巻4号964頁参照。 ) 原告らの損害額(因果関係を含む)。 (1)原告らの主張ア原告らは,商工共済による粉飾経理による欠損-債務超過の隠蔽という欺罔行為により,別紙請求金額表記載のとおり,①各共済掛金については,初回預入日欄記載の日から最終預入日欄記載の日までに,②各貸付金については,最終預入日欄記載の日において,各預入額欄記載の各金員を商工共済に預け入れて,各預入額の損害を被ったのであり,預入れによりその全額が直ちに損害となる。 なお,本訴は,個々の被害組合員が個々に原告となって,共同訴訟として損害賠償訴訟を提起しているにすぎず,被害組合員が総体となって損害賠償を請求しているのではないから,不法行為の成否,損害賠償の範囲については,個々の原告らの金員預入について,個々にその要件を吟味すればよいのであって,倒産処理手続における債権者平等の要請などを観念すべき余地はなく,破産配当可能額をベースに損害賠償額を減額するという立論も成り立ち得ない。 イ仮に,原告らの預入れの一部につき,更新がされたものがあっ 産処理手続における債権者平等の要請などを観念すべき余地はなく,破産配当可能額をベースに損害賠償額を減額するという立論も成り立ち得ない。 イ仮に,原告らの預入れの一部につき,更新がされたものがあったとしても,それは,満期金等の現実の返還を受けて預け入れ直すという迂遠な手-26-続を省略したものにすぎず,新たな現金の預入行為と等価である。 なお,A1,A2,被告Y3及びA5に対する詐欺被告事件は,更新された貸付金等について起訴されていないが,これは,財物の交付を構成要件とする刑法246条1項の解釈から当然のことである。 ウ前記のとおり,被告ら及び商工共済には共同不法行為が成立するのであるから,商工共済の行為と原告らの損害との間に因果関係が認められる以上,被告県を含む被告らは,この全額について,連帯して責任を負うべきである。 被告Y1及び同Y2は,それぞれ平成8年7月14日及び平成11年5月25日に商工共済の理事長又は専務理事を退任しているが,同被告らが関与した方針に基づき,商工共済は粉飾経理や預入業務を継続し,他方,退任後にこれを制止しようとしていないのであるから,後任の理事らの不法行為とは相互に補完し合うものとして,それぞれ退任した以降も責任を負うことは明らかである。 被告Y3については,平成11年6月1日の就任後,商工共済が粉飾経理を前提とする預入れ業務を行っていることを認識しながら,公表・告発するなどしてこれを制止せず,むしろ,継続させているのであるから,先行行為を引き継ぐものとして,就任前の不法行為についても責任を負う。 エそもそも更新を含めると,原告らの金員の預入れは,ほとんど全てが被告県が遅くとも責任を負う平成8年7月以降のものであるが,年金共済については,極く一部ではあるものの,平成8年7月以前の掛金預入れが存在する 更新を含めると,原告らの金員の預入れは,ほとんど全てが被告県が遅くとも責任を負う平成8年7月以降のものであるが,年金共済については,極く一部ではあるものの,平成8年7月以前の掛金預入れが存在する。 しかしながら,商工共済に金員を預け入れている原告ら組合員は,商工共済が莫大な累積欠損を抱えて破綻状態にあることを知ったならば,預入金銭の返還請求を行うことが確実であるところ,被告県は,商工共済の詐欺行為を認識し,その継続を指示したものであるから,これにより,原告-27-らを錯誤に陥れたまま,預入金銭の返還請求をさせなかったのであって,その行為自体不法行為を構成する。 したがって,被告県の不法行為責任は,被告県が商工共済の詐欺行為を認識しその継続を指示する以前に金銭を騙取された原告らとの関係でも,同様に成立し,賠償責任を免れない。 オ被告らは,原告らの損害賠償請求に応じなかったことから,原告らは,原告ら訴訟代理人弁護士に委任して本訴を提起せざるを得なかった。 原告らは,各損害額の10%相当額を弁護士費用として請求する。 (2)被告県の主張ア前記のとおり,被告県の規制権限不行使は,商工共済ないし被告理事らの行為と共同不法行為になるものではなく,仮に共同不法行為になるとしても,被告県が損害賠償責任を負担するのは,被告県の行為(不作為)との間に相当因果関係のある損害に限られる。 したがって,被告県は,その規制権限不行使が違法となる以前の貸付けについては,相当因果関係を欠くことから,損害賠償義務を負わない。 イ更新は,あくまでも法律的には準消費貸借契約の成立にすぎず,これを現金の現実の貸付けと同視することは不可能であり,原告らの損害発生時期は,現実に原告らが商工共済に対し,現金を貸し付けた時期であるから,これが被告県の規制権限不行使が違法とな の成立にすぎず,これを現金の現実の貸付けと同視することは不可能であり,原告らの損害発生時期は,現実に原告らが商工共済に対し,現金を貸し付けた時期であるから,これが被告県の規制権限不行使が違法となる前の段階であれば,被告県はかかる貸付けに対し責任を負うことはない。なお,被告県が商工共済の粉飾経理等を公表したとすれば,その時点で商工共済は破綻し,したがって,その後に業務を継続することはなく,本件更新ということもあり得ないはずであり,その意味においても,本件更新だけを殊更に損害視することは相当でない。 そして,原告らは,本件において,個別の金銭の現実の貸付時期を具体的に主張立証していない。 -28-ウ仮に,原告ら主張のように,最終貸付更新日を損害発生時期ととらえたとしても,被告県が規制権限を行使すべきであったとされる時点で,既に商工共済が一定程度の債務超過に陥っている以上,被告県の規制権限の行使が適正にされていても,それまでに金銭を貸し付けていた原告らが一定程度の損害を被ることは避け得なかったのであるから,更新額の全額が被告県の規制権限の不行使により発生したものとはいえない。 エなお,別紙請求金額表中,原告番号46の佐賀県借入額は39万円(同表には37万円と記載されている,同番号58の同額は5万円(同表。)では零とされている)が正確である。 。 (3)被告Y1の主張ア仮に,被告Y1に不法行為責任があるとしても,被告Y1は,後任の理事らに対して,将来も粉飾経理を継続するように指示したことはなく,その後の粉飾経理操作にも関与していないのであるから,被告Y1が商工共済の理事長を辞任した平成8年7月14日以降において,原告らが商工共済と締結した本件共済・本件金銭消費貸借契約に基づく共済掛金・貸付金について,相当因果関係が認められな であるから,被告Y1が商工共済の理事長を辞任した平成8年7月14日以降において,原告らが商工共済と締結した本件共済・本件金銭消費貸借契約に基づく共済掛金・貸付金について,相当因果関係が認められないことは明らかであるし,被告Y1の不法行為と相当因果関係のある損害は,平成8年3月期決算における商工共済の財産状況に基づく損害,すなわち,仮にその時点で商工共済が破産手続を行った場合に生じる損害にとどまる。しかも,このような損害を観念すること自体,極めて仮定的であり,仮定的な損害に対する不法行為責任を負うことはない。 イ原告らに具体的損害を惹起せしめたのは本件破産であるが,その最大の原因がアルゼンチン共和国のデフォルトの結果,被告Y1が退任後に購入されたシーバス34が実質的無価値になったという点にあるのであるから,仮に,原告ら主張のように,被告Y1が平成7年3月期決算及び平成8年3月期決算において,粉飾経理操作を行うことを認識,認容したとしても,-29-被告Y1の行為と原告らの損害との間には相当因果関係はない。 ウ原告らの主張によれば,本件更新(特に,最終の更新)が不法行為を構成するということになるが,そうだとすれば,その時点において,当初の預入れ又はそれ以前の更新の違法性は消滅するはずである。したがって,被告Y1が在任中に締結された本件金銭消費貸借契約については,本件破産宣告までに1~3年の満期が既に到来し,本件更新を経ているのであるから,これによる損害と被告Y1の不法行為との間には相当因果関係はない。 (4)被告Y2の主張被告Y2が,幹部会等の決定に従って稟議書等を作成したことが不法行為に当たるとしても,幹部会で平成6年度の粉飾決算の決定がされた平成7年2月4日から同被告退職の日の平成11年5月25日までに商工共済に預け入れら 部会等の決定に従って稟議書等を作成したことが不法行為に当たるとしても,幹部会で平成6年度の粉飾決算の決定がされた平成7年2月4日から同被告退職の日の平成11年5月25日までに商工共済に預け入れられた共済掛金のうち,商工共済の破産までに満期を迎えていない10年満期のものに限り,上記不法行為との相当因果関係ある損害に当たるから,その損害額は,497万7400円(ただし,後に本件配当により,330万5300円に縮減した。乙ヘ2)にとどまる。 同被告がA4の粉飾経理を知る前や同被告が退職した以降に発生した損害とは,相当因果関係がない。 (5)被告Y3の主張ア同被告が商工共済の専務理事に就任したのは平成11年6月1日であり,粉飾経理等の財務状況を認識したのは同年7月以降であるから,それ以前に原告らが同組合に預け入れた預入金等については,責任も因果関係もない。同月以前に預け入れられた預入金等については,仮に,被告Y3が関与した以降に本件更新を経たとしても,その際,同被告が組合員に商工共済の財務状況を告知したとすれば,その時点において商工共済が倒産したはずであり,預入金等の返済・更新が不能であることに変わりはなく,し-30-たがって,これによる損害と被告Y3の不法行為との間に相当因果関係はない。 イ商工共済が支払不能の状態となった後に,原告らから現実の預入れを受け入れた現金分については,因果関係があることを認めるが,その時期は,刑事事件において,有罪判決を受けた平成14年4月1日以降のものに限られる。 ウなお,同被告は,商工共済に対する上記の貸付金債権(651万円)及び退職金債権(176万円)を放棄したほか,商工共済の破産管財人に対して自らの保釈保証金500万円に200万円を加えた合計700万円を支払い,配当原資の増殖に寄与している。 付金債権(651万円)及び退職金債権(176万円)を放棄したほか,商工共済の破産管財人に対して自らの保釈保証金500万円に200万円を加えた合計700万円を支払い,配当原資の増殖に寄与している。 本件配当金の充当(1)原告らの主張仮に,被告らの中で損害賠償債務の範囲がその一部に限定される者がいる場合には,その余の共同不法行為者である被告らの損害賠償債務額から充当されるべきである。 また,原告らには,各預入れの時期から本件配当を受けるまでの間の遅延損害金債権が発生しているから,本件配当金は,債務の全部を消滅させるに足りない給付であるから,特約がない限り,民法491条1項に従い,遅延損害金にまず充当されるべきである。 (2)被告県及び同Y3の主張本件配当金は,その性質・算出根拠に照らして,遅延損害金からではなく,元本から充当すべきである。 第4当裁判所の判断 認定事実前記争いのない事実等及び証拠(甲1~127,乙イ1~17、乙ロ1~71,乙ホ1~7,乙ヘ1~6,いずれも枝番を含む。証人C5,被告Y2本人,-31-被告Y3本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 (1)商工共済の概要ア商工共済の沿革昭和35年7月14日,商工共済の前身である佐賀貯蓄共済協同組合が中協法に基づいて設立され,組合員に対する事業資金の貸付業務等を開始したが,その後他の共済組合との統合や名称変更を繰り返し,昭和47年12月に現在の名称である佐賀商工共済協同組合になった。 昭和47年1月19日,国による指導の下,県内で商工共済事業を行う団体を1つに統合するため,連合会が設立され,昭和48年には共済事業の認可を連合会に集約し,県内の各商工共済協同組合は,同連合会の会員となり,同連合会の委託を受け,各種共済の代理業務を行うようにな 団体を1つに統合するため,連合会が設立され,昭和48年には共済事業の認可を連合会に集約し,県内の各商工共済協同組合は,同連合会の会員となり,同連合会の委託を受け,各種共済の代理業務を行うようになった。 連合会設立時の会員は,商工共済,唐津商工共済協同組合,肥前商工共済協同組合,伊万里商工共済協同組合及び白石商工共済協同組合の5組合であったが,上記各商工共済協同組合は,統合と自主解散を繰り返し,商工共済,唐津商工共済協同組合,伊万里商工共済協同組合の3団体のみが連合会の会員になり,平成3年ころには,既に唐津商工共済協同組合は,連合会から委託を受けずに独自に各種共済事業を行うようになり,伊万里商工共済協同組合は,休眠状態となったため,連合会の会員は,実質的に商工共済のみとなった。 このように,商工共済と連合会は,別個の法人格を有するものの,理事長も同一である上,商工共済の職員が連合会の資金管理,経理事務及び会計処理等を行い,さらに商工共済が連合会のために集金した共済掛金を連合会から借り入れ,有価証券の運用等に充て,連合会に対する支払利息と共済事業委託費を相殺する関係にあり,商工共済と連合会とは人的・資金的一体性を有していた。 イ商工共済の組織,事業内容-32-(ア)商工共済は,組合員に対する事業資金の斡旋,連合会の委託を受けてする各種共済事業の代理業務,上記事業に付帯する事業などを目的としており,その所在地は佐賀市a町b番c号である。 連合会は,佐賀県区域内の協同組合を会員とし,会員に対する事業資金の貸付け,所属員のためにする福利厚生事業(貯蓄共済,年金共済)などを目的として設立された協同組合連合会(中協法3条3号,8条5項参照)である。 商工共済は,定款(甲127)上,役員として,理事25名及び監事3名を置き,理事のうち,1人 (貯蓄共済,年金共済)などを目的として設立された協同組合連合会(中協法3条3号,8条5項参照)である。 商工共済は,定款(甲127)上,役員として,理事25名及び監事3名を置き,理事のうち,1人を理事長(組合を代表しその業務を執行する,2人以内を副理事長(理事長を補佐し,理事長に事故あると。)きはその職務を代行する,1人を専務理事(理事長及び副理事長を。)補佐して組合の業務を執行し,理事長及び副理事長ともに事故あるときはその職務を代理し,理事長及び副理事長が欠員のときはその職務を行う)と規定している。 。 商工共済は,平成15年8月27日当時,出資口数2万8712口,出資金額2871万2000円,組合員数1万6308名,従業員数29名であった。 (イ)商工共済は,中協法55条1項,定款35条により,最高意思決定機関として,総会に代わるべき総代会を設けており,その主な職務は,定款の改正・事業計画・予算・決算の承認,解散の決議,理事の選任・解任等である。 理事会は,重要な業務執行の意思決定機関であり,総代会で選任された22名の理事で構成される。理事は,原則として組合員から選出されるが,定款では理事のうちの1名を組合員でない者の中から員外理事として選任されうる。 理事長と副理事長は,理事会で決められ,非常勤であり,常勤の専務-33-理事と事務局長・事務局次長は,理事長が推薦し,理事会が決めていた。 商工共済は,総代会,理事会若しくは各委員会で決まった事項や,又は日々の業務を遂行するため,専務理事の下に事務局を置いていたが,その長が事務局長であった。 理事会の下に,理事の中から委員として理事会で選任された各委員からなる専門委員会が理事会により設置されており,その主なものとしては,企画委員会,促進保全委員会,金融委員会などがあった 局長であった。 理事会の下に,理事の中から委員として理事会で選任された各委員からなる専門委員会が理事会により設置されており,その主なものとしては,企画委員会,促進保全委員会,金融委員会などがあった。 これまで,商工共済の理事長は,ほとんどが県議会議員か国会議員であり,また専務理事はすべて県職員OBが就任していた。 (ウ)商工共済は,上記業務の一環として,1~3年を満期(なお,年金共済に限り,10年間)として組合員から日掛け・月掛けで掛金(共済掛金)を徴収して,自ら各種共済事業を営み(貯蓄共済方式。以下「本件共済」という,また,組合員に対して金員を貸し付けるにあたり,。)その原資を得るために,1~3年を満期として組合員から金員(貸付金)の借入れを受ける(以下「本件金銭消費貸借契約」という)とい。 った事業を行っていた。 なお,商工共済が手掛けていた共済(本件共済)の種類は,次のとおりである(いずれも平成8年7月当時。 )・事業共済日掛け1000円又は月掛け2万円(年額24万円)期間1~3年の自由選択型満期金24万0500円(1年)~72万8000円(3年)共済料初年度4000円(3年ものの実質的な年利は約1.13%となる)。 ・年金共済月掛け1万円(年額12万円)期間10年-34-満期金127万1000円共済料毎年度5000円(実質的な年利は約1.99%となる)。 ・旅行共済日掛け500円又は月掛け1万円(年額12万円)期間2年又は3年満期金24万1000円(2年)~36万4500円(3年)共済料初年度4000円(3年ものの実質的な年利は約0.925%となる)。 ・ラビット定期預金50万円(一時払い)期間3年満期金59万6000円共済料毎年度5000円(実質的な年利は1.3%となる)。 これらの (3年ものの実質的な年利は約0.925%となる)。 ・ラビット定期預金50万円(一時払い)期間3年満期金59万6000円共済料毎年度5000円(実質的な年利は1.3%となる)。 これらの共済掛金や貸付金は,主として商工共済に勤務していた集金員により訪問集金がされており,原告らを含む組合員の中には,本件共済や本件金銭消費貸借契約が上記の満期を迎えると,集金員の勧誘ないし慫慂により,これらの共済掛金又は貸付金の満期金等について現実の返還を受けることに代えて,その全部又は一部を新たに締結する本件金銭消費貸借の貸付金として預け直すこともあった(本件更新。 )(2)商工共済が債務超過となった端緒ア貸付事業商工共済は,当初,銀行等の金融機関から借入れを受けられない中小商工業者の受け皿としての独自性を有していたが,昭和50年代後半ころから,銀行等の市中金融機関が個人・零細業者向けの様々なローン商品を取り扱うようになり,次第に取引先を奪われていった。商工共済は,市中金-35-融機関に対抗するためには,金利を引き下げるしかなかったが,貸付先が組合員に限られていた上,いわゆるバブル経済の崩壊後は中小商工業者の資金需要も収縮しており,利息下げ幅を満たすに足りる程度の貸付件数を確保できず,貸付利息収入は減少の一途をたどっていた。 イ共済事業商工共済は,前記のとおり,連合会から委託を受けて,事業共済,年金共済及び旅行共済と称する各種共済事業も行っていた。 商工共済は,共済事業について,昭和40年代途中までは,共済掛金から共済手数料収入(共済給付金や人件費等の引当てとなる額)を控除した額を組合員に返戻する本来の共済事業としての運営をしていた。 ところが,商工共済は,昭和40年代途中から,市中金融機関との競争もあって,資金量を増加させるため, や人件費等の引当てとなる額)を控除した額を組合員に返戻する本来の共済事業としての運営をしていた。 ところが,商工共済は,昭和40年代途中から,市中金融機関との競争もあって,資金量を増加させるため,組合員から日掛け・月掛けにより共済掛金の預入れを受け(1か月1~2万円,同契約が満期となったとき)に,預入れを受けた共済掛金全額に一定の金額(掛金補填費や共済利息とも呼ばれていた)を上乗せした満期金を組合員に支払うようになり,そ。 の上乗せ金額も,市中金融機関の定期預金の利息を上回る金額を組合員に支払うようになっていった(昭和50年代には,共済掛金総額に年6%の割合の共済利息を上乗せした共済満期金を10年後に支払う商工年金共済という商品も販売した。 。)また市中金融機関は,大口の顧客でない限り,顧客が各本支店に出向いて金員を預け入れるなどしているが,商工共済は,外勤職員が組合員の自宅や勤務先を回って,日掛け,月掛けで共済掛金を集めていたので,市中金融機関に比べると,遙かに非効率的であった。 このように,商工共済の共済事業は,共済制度というよりは,金融機関の積立預金と同様の認識で取り扱われ,組合員の組合離れを抑制するため,市中金融機関と同程度の掛金補填費を負担しなければならなかった上,外-36-勤職員が組合員から日掛け,月掛けで共済掛金を集金することにより,多大な人件費が発生していたことから,資金量は増加したものの,単独では,採算が取れるどころか,完全な逆ざや事業となってしまった。 ウ有価証券による運用商工共済は,上記の主たる事業内容に付随する事業として,組合員や連合会から借り入れた余裕資金の運用を主に貸付事業と有価証券による運用により行っていたが,上記のとおり,貸付事業が縮小したことから(資金が貸付けに廻る割合(預貸率)はバブル期 る事業として,組合員や連合会から借り入れた余裕資金の運用を主に貸付事業と有価証券による運用により行っていたが,上記のとおり,貸付事業が縮小したことから(資金が貸付けに廻る割合(預貸率)はバブル期前には約1割程度になっていた,余裕資金の運用の大半を有価証券による運用に頼らざるを得なく。)なり,A4が共済経理課長に就任した昭和54年ころ以降になると,資金量に対し,最低でも年6%から7%の利益を上げなければ確実に赤字となり,黒字にするためには,資金量に対して年8%程度の利益を上げる必要が生じていた。 (3)平成5年度までのA4次長による粉飾経理このような中,A4次長(当時,共済経理課長。後に兼務)は,有価証券の運用を図ることによってこの利益を賄わざるを得なかった。昭和50年代ころまでは,元本保証のある利付き国債でも年8%程度の利息収入を得られる商品があり,それを購入していれば良かったが,昭和63年ころ以降になると,リスクのある転換社債やワラントなどの売買による差益取りで運用益を上げなくてはならなくなっていった。なお,商工共済には,有価証券の運用についての専門的な部署や情報入手源,ノウハウ,マニュアルなどがあるわけではなく,A4が証券会社から話を聞いて,いわば話を鵜呑みにする形で購入債券を検討し,伺い書を上げ,理事らの決裁を経て購入するというものであった。 平成元年度以前においては,商工共済の運営も特段の問題がなかったが,いわゆるバブル経済が崩壊した平成2年度からは,有価証券の価格の暴落に-37-より経営が厳しくなり,同年度は,7000万円の収入不足が生じ,共済給付準備金2610万円を繰り戻すなどしてこれを賄った(ただし,連合会との合算では300万円もの単年度赤字が生じた。 。)平成3年度には,ラビット共済の大量満期等もあり, 円の収入不足が生じ,共済給付準備金2610万円を繰り戻すなどしてこれを賄った(ただし,連合会との合算では300万円もの単年度赤字が生じた。 。)平成3年度には,ラビット共済の大量満期等もあり,給付補填備金3126万円余を繰り戻すなどしてみたものの,それでも7000万円強の損失が生じたことから,A4次長は,これを隠蔽するため,他の理事らの決裁を取らず,独断で,初めて有価証券勘定に上乗せ計上する方法により粉飾経理をした。平成4年度にあっては,新たに2億円前後の赤字が発生したため,A4次長は,その赤字分を商工共済と連合会の貸借対照表の有価証券勘定に上乗せ計上するとともに,それぞれの損益計算書には損失を計上せず,逆に,利益が発生しているかのように装う粉飾経理をした。 商工共済(連合会との合算)の平成4年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産61億0698万1183円(63億7902万7504円と粉飾)・負債63億4816万3928円翌5年度においては,新たな1億数千万円(正確には1億4460万8321円。甲5の4)もの有価証券損失が生じたため,A4次長は,前年度と同様,その赤字分を商工共済と連合会の貸借対照表の有価証券勘定に上乗せ計上するとともに,それぞれ損益計算書には損失を計上せず,逆に,利益が発生しているかのように装う粉飾経理をした(以下「本件粉飾経理操作②」という。 。)また,同年度に満期を迎える本件共済契約の満期金の補填費(共済掛金補填費)が例年(1億円程度)より2億円ほど多額の3億円以上となることが見込まれたため,A4次長は,これを被告Y2とも相談した上,このうち2億2000万円を連合会の前払金として処理するという内容の粉飾経理をし,被告Y1や他の理事の決裁を取った(以下 円以上となることが見込まれたため,A4次長は,これを被告Y2とも相談した上,このうち2億2000万円を連合会の前払金として処理するという内容の粉飾経理をし,被告Y1や他の理事の決裁を取った(以下,この粉飾経理を「本件粉飾経理-38-操作①」という。なお,この決裁に伴う伺い書が前掲「伺い書2」である。 。)これらの粉飾経理によって,商工共済は,平成5年度末の時点において,有価証券勘定として合計約5億円(正確には5億0275万8026円。甲5の4 ,前払金として約2億2000万円(正確には2億1928万74)45円。甲119の5,乙ロ5の1)の合計約7億2000万円もの粉飾経理をしていることとなり,さらに,有価証券の評価損を含めると,10億円を超える赤字を計上することとなった。 商工共済(連合会との合算)の平成5年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産59億0837万8326円(66億8190万2198円と粉飾)・負債66億4995万3476円なお,被告Y2は,平成4年度において「経営長期計画(以下,後記,」の改定試案との対比上「現計画」という)を策定し,本件金銭消費貸借,。 契約や本件共済の内容についての見直しを行った。 現計画(平成5年度に一部修正されたもの)によれば,本件金銭消費貸借契約の利息は年3.91%,ラビット共済の共済利息(上記のとおり,満期時に共済掛金に付加して支払われる金額)は年4.9%,年金共済のそれは年4~6%とされていた。 ,,A4次長は「平成5年度末ころ,7億円を超える商工共済の累積赤字に有価証券の評価損を加えると,その損失額は10億円を超えており,もはや破産したも同然だと思いました」旨刑事事件において供述している。 。 (4)平成6~7年度 ろ,7億円を超える商工共済の累積赤字に有価証券の評価損を加えると,その損失額は10億円を超えており,もはや破産したも同然だと思いました」旨刑事事件において供述している。 。 (4)平成6~7年度粉飾経理操作このように,A4次長(当時,経理課長兼務)は,平成5年度末(平成6年3月31日)まで,独断で粉飾経理をしていたが,平成6年7月ころ,連合会の出向から復帰して経理課長に就任したA5課長からの指摘を受けて,-39-A3局長が,A4次長(A5課長の就任に伴って,経理課長の兼務を外れていた)に対し,同年9月6日,満期到来により償還されたはずの有価証券。 がまだ帳簿金額として計上されているなど,有価証券残高と帳簿金額が合致していないと指摘したところ,A4次長は,帳簿を改ざんしたことを認め,同月7日,被告Y2の自宅に赴き,同被告に対し,商工共済の経理が赤字となっており,それを粉飾していたこと(本件粉飾経理操作②)を告白するとともに,同年10月下旬ころ,被告Y2に対し,同粉飾経理の内容を「全体説明資料」と題する書面(甲63添付資料1)を提出してその内容を詳細に報告した。 この報告を受けた被告Y2は,A2副理事長に対し,同年11月22日,A4次長により本件粉飾経理操作②がされていたことを報告するとともに,同年12月4日,佐賀市内の宿泊施設(はがくれ荘)において,同副理事長とともに理事長である被告Y1にも報告した。 なお,A2副理事長は「粉飾決算が分かった時点で『60億円前後の,,組合の資金に対して7億円もの損失は大きすぎる。穴を埋めるといっても,組合員への貸付けを現状より伸ばせる見込みはないし,景気が悪い中,有価証券の運用で利益を上げるのも難しいだろう。組合の経営を健全化することは,もう無理ではないか。今の段階で整理をした方がいいのではな 組合員への貸付けを現状より伸ばせる見込みはないし,景気が悪い中,有価証券の運用で利益を上げるのも難しいだろう。組合の経営を健全化することは,もう無理ではないか。今の段階で整理をした方がいいのではないか』。 と思いましたが,その一方で『組合を整理するとなると,私も幹部役員の,1人として組合員から損害賠償といった民事上の責任を追及されないか。何とか,組合員に気付かれないうちに少しずつ損失を解消することも,全く不可能とはいえないのではないか』などと思った」旨刑事事件において供。 。 述している。また,被告Y2は「私は,組合の累積損失が既に7億円を超,え,公表上約60数億円の資産の1割以上に当たる約7億円以上もの莫大な債務超過に組合が陥っていることを知った瞬間,正直『ああ,もう組合は,終わった。破綻したも同然だ』と思い,その時はあまりのショックにクラ。 -40-クラと激しい目眩に襲われました」旨刑事事件において供述している。 。 被告Y1は,この件に対処するための委員会を設置することを発案し,同月6日,他の3名の理事(E理事,F理事及びG理事)に参画を依頼し,被告Y1,A2副理事長並びにE,F及びG各理事は,平成6年12月10日,説明役である被告Y2及びA3局長の出席の下,第1回幹部会を開催し,その後,幹部会は,以下のとおり開催された(なお,幹部会は非公式の会合であるが,平成7年4月15日から,正式の委員会である「経営推進研究委員会」と改組された。以下,この改組の前後を通じて「幹部会」という)。 ①第2回・平成7年1月14日,②第3回・同年2月4日,③第4回・同年3月4日,④第5回・同年4月1日,⑤第6回・同年5月6日,⑥第7回及び第8回は中止,⑦第9回・同年8月5日,⑧第10回・同年9月2日,⑨第11回・同年10月9日,⑩第12回 月4日,③第4回・同年3月4日,④第5回・同年4月1日,⑤第6回・同年5月6日,⑥第7回及び第8回は中止,⑦第9回・同年8月5日,⑧第10回・同年9月2日,⑨第11回・同年10月9日,⑩第12回・同年10月25日,⑪第13回・同年12月2日,⑫第14回・同年12月25日,⑬第15回・平成8年2月3日,⑭第16回・同年3月2日,⑮第17回・同年4月6日,⑯第18回・同年6月1日,⑰第19回・同年7月6日,⑱第20回・同年9月7日,⑲第21回・平成9年2月15日,⑳第22回・同年3月18日,<21>第23回・同年5月19日,<22>第24回・平成10年2月26日,<23>第25回・同年4月2日,<24>第26回・平成11年1月28日,<25>第27回・同年4月14日,<26>第28回・同年5月6日第2回(平成7年1月14日)及び第3回(同年2月4日)幹部会において,被告Y1や他の理事は,平成6年度補正予算の編成に伴う欠損処理の方法を議論したところ,前年度にA4次長が行ったものと同一の方法で粉飾経理をする方針を決め,被告Y2は,A5課長にその旨を指示した。 そこで,A5課長は,同年3月31日,平成6年度決算において,合計2億2961万6593円(内訳として,有価証券勘定に1億1405万8098円上乗せし,前払金として1億1555万8495円計上している)。 -41-粉飾する内容の「平成6年度決算に係る一般会計,共済会計及び年金会計の損金処理について(伺い」と題する伺い書(伺い書3)を起案して,同年)4月1日に開催された幹部会において,被告Y1や他の理事らの決裁を受けた(以下「平成6年度粉飾経理操作」という。なお,伺い書3には,被。)告Y1や他の理事らの押印が認め印によりされているが,これはあらかじめ商工共済において作成していた理 や他の理事らの決裁を受けた(以下「平成6年度粉飾経理操作」という。なお,伺い書3には,被。)告Y1や他の理事らの押印が認め印によりされているが,これはあらかじめ商工共済において作成していた理事らの認め印を理事らの面前でその同意を得てA3局長が代わりに押印したものである。 商工共済(連合会との合算)の平成6年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産58億9113万8013円(69億2512万1977円と粉飾)・負債68億9202万5951円平成7年10月25日に開催された第12回の幹部会(既に経営推進研究委員会に改組されていた)において,被告Y1が欠席する中,A4次長に。 対する処分について議論がされ,その際,A4次長を懲戒免職とすると,粉飾経理が公になるとの意見が出された。その意見を巡り,これまでの粉飾経理操作を外部に公表すべきかどうかも議論となり,G理事は公表の必要性を主張したが,A2副理事長は非公表を主張し,他の2名は非公表の方針を支持したものの,次回の幹部会において,理事長である被告Y1の裁断を得て決定することとされた。果たして,同年12月2日に開催された第13回幹部会において,被告Y1は,当初,A4次長を懲戒免職とすべきであり,粉飾経理が公になることはやむを得ないとの意見を述べたが,ことが公になると,組合運営に影響があるとの被告Y2やA3局長の説得により,同月25日に開催された第14回幹部会において,H顧問弁護士の意見等を検討の結果,A4次長を諭旨退職処分(ただし,退職金不支給)とするとともに,従前の粉飾経理は理事会に報告せず,公表しないという方針が確認された。その後の平成8年2月3日に開催された第15回幹部会において,平成7年度-42-損失見込み額について,前年度と とするとともに,従前の粉飾経理は理事会に報告せず,公表しないという方針が確認された。その後の平成8年2月3日に開催された第15回幹部会において,平成7年度-42-損失見込み額について,前年度と同様に粉飾処理の方針を決定し,同年3月31日付けの伺い書(平成7年度決算に係る一般会計,共済会計及び年金「会計の損金処理について(伺い。伺い書7)が決裁された。 )」この粉飾の内訳は,有価証券勘定に1億1461万8210円を上乗せし,前払金として1991万8400円を計上したもので,従前の粉飾経理からの累計粉飾額は11億4546万6738円となる(以下「平成7年度粉飾経理操作」という。 。)商工共済(連合会との合算)の平成7年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産54億9663万0722円(66億4209万5460円と粉飾)・負債66億0821万3829円なお,これらの決算は,平成6年5月28日,平成7年5月29日,平成8年5月27日に各開催された通常総代会において,粉飾の事実を秘されたまま報告され,その承認を得ていた。 (4)被告県による本件調査平成8年1月ころ,A2副理事長は,被告県商工労働部のC3次長に対し,「組合の経営が厳しゅうてね。内々に組合の経営状態を見てくれんね」などと言い,財務内容・経営の実情調査を非公式な形式で依頼した。C3次長は,同月ころ,商工企画課のC5課長に対し「組合から頼まれたが,組合の財,務状況がおかしいらしいから,調べてほしい」などと調査を指示した。また,C3次長は,同課長補佐であったI(以下「I補佐」という)に対し,。 「商工共済の副理事長のA2氏から『商工共済が株で失敗をしているよう,だから,経営状態をみてくれ』という相談があった。内々で商工 C3次長は,同課長補佐であったI(以下「I補佐」という)に対し,。 「商工共済の副理事長のA2氏から『商工共済が株で失敗をしているよう,だから,経営状態をみてくれ』という相談があった。内々で商工共済の実態をつかんでくれ」と指示した。 C5課長は,同月下旬ころ,被告Y2と面会し,その経営が厳しいことを聞き,さらに,同年2月5~6日,中小企業診断士の資格を有するI補佐及-43-び同課団体係長であったJを連れて,同被告と面会し,帳簿などの書面を見せてもらうとともに,当時,10億円を超える累積赤字を粉飾しているとの説明を受けた。 I補佐が同年2月18日付けで観光課に異動したため,中小企業診断士の資格を持ち,商工労働部商工振興課商業診断係に勤務するK(以下「K職。 ,員」という)が調査資料とともにその事務を引き継いだ(なお,I補佐はその後任の課長補佐であるL課長補佐(以下「L補佐」という)に対し,。 商工共済に関する事務を引き継いでいない。 。)K職員は,調査資料を調査して,同年7月下旬ころ「佐賀県商工共済協,同組合関係資料」(31頁のもの。甲32末尾添付資料1)を起案し,被告Y2やC5課長に渡して間違いがないか確認してもらった。同31頁目には,①共済事業について手数料収入がなく,積立預金としての性格が強いことから手数料の付加が難しいこと,②金融事業自体が利鞘が縮小化し,収益確保が難しくなっている状況下で,環境変化に対応できる営業システムが必要であるが,商工共済は組織としての運営体制も弱いこと,③貸付事業の競合状況は厳しく,今後どれだけの資金需要があるかの予測も難しいことなどといった具体的な問題点が記載されており,K職員は,この頁もC5課長に見せた上,口頭でも説明した。確認した被告Y2から違算等を指摘されたので,それを訂正するとと 金需要があるかの予測も難しいことなどといった具体的な問題点が記載されており,K職員は,この頁もC5課長に見せた上,口頭でも説明した。確認した被告Y2から違算等を指摘されたので,それを訂正するとともに,財務状況を十分に調査していないのに,その程度の調査で商工共済の業務や財務内容の問題点まで摘示するのは妥当でないというK職員自身の判断により,31頁目を削除し「佐賀県商工共済協同組,合関係資料(全30頁の本件資料)にまとめて,同年8月ころ,C5課」。 長やC2部長に提出し,更にL課長補佐にも報告した。なお,K職員は,被告Y2に上記資料を交付した際「これは内々の調査です。従って,今後,,県は,これには関知しません」と告げている。なお,被告Y2は,同時期。 に理事長改選が予定されていたので,K職員から渡された本件資料を商工共-44-済の他の誰にも見せなかった。 本件資料には,商工共済自身の累積欠損は6億1500万円であるものの,これに有価証券の評価損を含めると,10億2800万円となること,連合会の累積欠損は3億7800万円であるが,これに有価証券の評価損を含めると5億6300万円となることなどが記載されている。そして,商工共済の実利益が以下のとおりであることが記されている。 ・平成4年度-9737万円余・平成5年度-1億0878万円余・平成6年度-1億0581万円余・平成7年度-7610万円余その後,C5課長のもとに被告Y2が訪れ,作成中の「長期計画(現行)改定試案(以下「改訂試案」という)を示し,商工共済自身の赤字対策」。 案を説明した。C5課長は,本件資料と改訂試案(ただし,作成中のもの)を「佐賀商工共済協同組合の概要」にまとめた。この時点までに,C5課長は,C3次長やC2部長と商工共済の再建可能性がないとはいえな 案を説明した。C5課長は,本件資料と改訂試案(ただし,作成中のもの)を「佐賀商工共済協同組合の概要」にまとめた。この時点までに,C5課長は,C3次長やC2部長と商工共済の再建可能性がないとはいえないことについて協議をしたことはあったものの,具体的な再建期間の試算等については,他の商工労働部内の職員などと協議したり,又は相談したことはなかった。 平成8年7月末ころから8月20日ころまでの間に,C5課長は,C3次長やC2部長とともに知事室に赴き,C1知事に対し「組合の経営状況が,赤字経営であり,累積損失も多額に上っていて,組合がそれを粉飾決算を行って隠していることが分かりました。組合の欠損については,ペーパーの2枚目に書かれているとおり,既に9億9300万円の累積欠損が生じております。その内訳ですが,6億3800万円分については,組合がこれまでに有価証券の運用で失敗して受けた損失であり,3億5500万円分については,共済事業で生じた損失となっております。また,組合は,有価証券運用-45-での損失分は,有価証券簿価額に上乗せ計上し,共済事業での累積欠損については前払金計上を行うとの帳簿処理を行って,表に出さないようにしてきております」などと,同書面(佐賀商工共済協同組合の概要)を手渡して報告した。なお,K職員を中心とする上記調査は「調査」とはいうものの,,商工共済が1年かけて内部調査した資料を被告県に提供・報告し,商工共済が知り得ていた範囲で被告県も財務状況を把握したにとどまり,被告県が独自調査をしたものではない。 「佐賀商工共済協同組合の概要」には,上記のような累積欠損の内容(現時点確定分」中の「累積欠損」欄)が記載されるとともに,現有有価「証券を時価評価した場合には,購入価額と時価額の差額5億9800万円も計上されることにな 概要」には,上記のような累積欠損の内容(現時点確定分」中の「累積欠損」欄)が記載されるとともに,現有有価「証券を時価評価した場合には,購入価額と時価額の差額5億9800万円も計上されることになり,累積欠損の合計額が15億9100万円となること,資金運用の約75%が有価証券投資による運用であって,特に,元本保証のない投資信託・株式・転換社債等が有価証券の52.5%を占めており,利息等の収入が減少し(約6億3800万円,今後,処分損の発生(約5億)9800万円)までも見込まれること,本業の共済事業に関して,手数料収入がなくなり,運営費を資金運用で賄っていること,他方,平成7年単年度で-9548万円余の損失が発生しており,改善がなければ,今後数年間はこの趨勢が続くこと,既に3億5500万円の資産の架空計上がされていること,商工共済の事業としては,組合員に対する各種共済事業を行っている一方,組合員からの定期預金の受入れもしていることも記載されている。なお,同書面によると,現有有価証券を時価評価した場合(このほうが,現時点確定分よりも財務内容の実情に近いとされている,連合会との合算で,。)資産は50億4900万円,負債は66億4000万円ほどとされている。 これに対して,C1知事は「うーん,厳しかな。見通しはどうかな」と,答え,C5課長からの「今よりも有利な有価証券に入れ替えるなどして,経営改善により利益を出せば,40年から50年はかかるかもしれないが,試-46-算上は経営再建は全く不可能というわけではないです」との報告に対し,「それでいくしかなかかな」とだけ答えたが,その際,被告県として,どのような対応をなすべきかについての話題は出なかった。なお,この試算は,毎年3000万円から4000万円の単年度黒字を出し続けるという前提に くしかなかかな」とだけ答えたが,その際,被告県として,どのような対応をなすべきかについての話題は出なかった。なお,この試算は,毎年3000万円から4000万円の単年度黒字を出し続けるという前提に基づいているが,C5課長自身,40年~50年の根拠について,現時点では全く説明できないような具体的根拠に欠けるものであった。 C3次長,C2部長及びC5課長は,法的措置を講ずることにより組合の破産を早めることは避けようと考え,C5課長が中心となって,組合の現状をフォローしていくことに決めた。実際,C5課長は,その後も折に触れて,被告Y2から組合の状況を聴取していた。 C5課長は,この当時の認識等について,刑事事件において,次のとおり供述している。 すなわち「私がK君を通じて組合の調査報告をまとめた平成8年7月の,段階で,組合が10億円近い累積損失を出し,更に毎年1億円以上の単年度赤字を出し続け,それを粉飾決算を行って隠蔽し続けていたことを,県ははっきりと認識しました。粉飾決算はまさに違法行為に他なりませんので,このとき,県は,組合の違法行為を認識しながら,これを見て見ぬ振りをしたことに間違いありません。また,このとき組合の状況が破産同然の危機的状況にあることを認識したことも間違いありません。その後も,平成9年6月末まで,私が主となって,組合の経営状況を調査し,組合が,この間事業改善へ向けた動きは見られたものの,貸付事業などの収益事業は伸び悩み,そのような窮状を脱するために,ハイリスクハイリターンの外債への莫大な投資にまで踏み切ったことも認識しました。県は,粉飾決算という組合の違法行為をはっきりと認識した上で,その後の組合の動向も認識していたわけですから,その間,中小企業等協同組合法に従って立入検査や業務改善命令を出すことは,いつでも出来たは 県は,粉飾決算という組合の違法行為をはっきりと認識した上で,その後の組合の動向も認識していたわけですから,その間,中小企業等協同組合法に従って立入検査や業務改善命令を出すことは,いつでも出来たはずでした。しかし,県はそのような措置をと-47-ることなく組合を放置し,その結果,平成15年に至って組合は18億円以上までに累積損失を膨らませて破産してしまいました。今となってみれば,もし,平成8年ないし平成9年の段階で,立入検査や業務改善命令を発動するなどして,県が法律に従った適正な対処をしておれば,ここまでの被害拡大は起こらなかったであろうと思います。組合の破産が平成15年にまで伸びた原因の一つに,平成8年から9年にかけて,県が組合の粉飾決算という違法行為を認識しながらこれを放置したことがあることは間違いありません。 そのような意味で,県については今回の組合の破産について被害を受けた組合員の方々に対する法的責任はあると思います」旨供述している。 。 (5)「長期計画(現行)改定試案(改訂試案)の作成」上記のとおり,被告Y2は,達成が困難となった現計画の見直しを行うため,平成8年4月ころから「長期計画(現行)改定試案(改訂試案)を作」成し始め,同年9月7日実施の第20回幹部会(経営推進委員会)において発表した。 これによれば,平成6年度決算(平成7年3月31日)の時点において,資金量67億円(前記のとおり,実際の資産は58億9113万8013円にすぎない)を平成16年度までに123億円とし,そのためには,貸付。 残高を当時の10億円(預貸率15.6%)から41億円(預貸率33.6%)へと,有価証券残高を52億円を72億円へとするというものであったが,組合員に対する貸付状況等に照らせば裏付けとなるべき確たる根拠もなく,被告Y2自身,計 5.6%)から41億円(預貸率33.6%)へと,有価証券残高を52億円を72億円へとするというものであったが,組合員に対する貸付状況等に照らせば裏付けとなるべき確たる根拠もなく,被告Y2自身,計画というよりも願望と考えていた実現困難な内容であり,かつ,仮にこれが完全に実施されたとしても,運営費の収支は,平成10年度まで赤字欠損となるといったものであった。 なお,この改定試案においては,本件金銭消費貸借契約の利息は年0.83%(なお,甲1では,平成8年4月1日当時の利率は年0.55%とされる,ラビット共済の共済利息は年1.9%,年金共済のそれは年2%。)-48-(なお,甲1では,同年4月1日当時の利率は,それぞれ年1.3%,年1. 985%とされる)とされていた。 。 (6)シーバス34の購入と被告県による引継ぎ途絶平成8年7月14日,被告Y1は,商工共済の理事長を退任し,同年8月2日,A1が同理事長に就任した。 その前日である同月1日,A1は,被告Y2から商工共済の事業内容及び経営状況についての説明を受けたが,その際,商工共済が10億円を超える累積赤字を抱えていることの説明も受けたため,さらに,理事長に就任した後の同月中旬ころ,本件粉飾経理操作②及び平成7年度粉飾経理操作の説明を同被告から受けたり,同年9月7日に開催された第20回幹部会において,修正された改定試案の説明を受けたりし,その結果,商工共済の経営状況が非常に厳しいことを認識した。 A1理事長は,このように厳しい経営状況ではあるものの,それを表面化させて商工共済を破綻させることはできないと考え,平成9年2月15日の第21回幹部会において「オレンジ共済事件が全国で話題になっている時,であり,赤字を表面に出すことは,組合員に動揺を与えてしまうでしょう。 これまでどおり有価 はできないと考え,平成9年2月15日の第21回幹部会において「オレンジ共済事件が全国で話題になっている時,であり,赤字を表面に出すことは,組合員に動揺を与えてしまうでしょう。 これまでどおり有価証券に上乗せ処理をする以外に方法はないと思います」などと述べて,粉飾経理を継続するように指示するとともに,他方,。 平成8年度においても1億数千万円の大幅な赤字が見込まれたことから,増収を図るには,収益性の高い有価証券に切り替えるしかないという被告Y2の進言により,ハイリスク・ハイリターンの有価証券の購入を検討するよう指示した。 商工共済(連合会との合算)の平成8年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産53億1521万6899円(66億1412万3601円と粉飾)・負債65億7947万0317円-49-平成9年3月17日~25日,A1理事長,A2副理事長及び被告Y2らは,シーバス34の購入を決定し,他の有価証券の売却益を原資として,日興証券株式会社(平成13年10月1日から,日興コーディアル証券株式会社へと社名変更。以下,社名変更の前後を通じて「日興証券」という)を。 通じて,平成9年4月11日,シーバス34を15億円分購入した。 シーバス34は,シーバス社が,アルゼンチン共和国発行のユーロ円債を担保として発行する社債(ユーロ円リパッケージ債)の1つである。償還の期間は8年間,年利率は5.3~5.4%(1年を360日として計算)と比較的高利な社債であるが,他方,担保としているアルゼンチン国債の利払が止まった場合には,繰上げ償還され,しかも,元本も保証されないというハイリスク・ハイリターンといった性質を有する社債であった。なお,A5課長は,ほかの有価証券を分散して購入して危険を拡散することも が止まった場合には,繰上げ償還され,しかも,元本も保証されないというハイリスク・ハイリターンといった性質を有する社債であった。なお,A5課長は,ほかの有価証券を分散して購入して危険を拡散することも考えたが,ほかの候補としては,ルーマニアの銀行の社債とか,アメリカの銀行が発行するリパッケージ債などがあったものの,これらは年3~4%程度の利払いしかなかったため,断念した。 平成9年6月30日,C5課長は,商工共済によるシーバス34の購入等,これまで被告Y2から聴取した内容を「商工共済について・Y2専務理事との打ち合せ(H.9.6.30(甲2)と題する書面にまとめて,C2)」部長とC4次長に報告した。このとき,C5課長は,投資関係の専門的知見を有していなかったが,特に専門家の意見を徴することもなく,また,商工労働部内で商工共済の再建可能性についての議論はしたものの,C5課長の発言に特段の意見を述べる者はなかった。 同年10月2日,アルゼンチン共和国のカントリーリスクについて,アメリカ合衆国の著名な格付け会社であるムーディーズ社によって「B」から,「Ba」に格上げされた。 平成9年度は,シーバス34の利息収入が6480万円ほど計上されたが,-50-他方で,1580万円ほどの単年度赤字を計上し,さらに有価証券損失として1億9146万5653円(連合会のそれを含まない)が生じた。 。 商工共済(連合会との合算)の平成9年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産49億1662万6117円(66億8484万0845円と粉飾)・負債66億4936万4555円C5課長は,平成10年3月31日,商工企画課から異動し,後任の課長としてC6課長が着任した。その際,C5課長は,C6課長に対して,商工共済に 万0845円と粉飾)・負債66億4936万4555円C5課長は,平成10年3月31日,商工企画課から異動し,後任の課長としてC6課長が着任した。その際,C5課長は,C6課長に対して,商工共済について明確な引継ぎをしなかった。そのため,C6課長は,商工共済についての問題こそ知っていたものの,その後,何らの調査もしなかった。 商工共済は,平成10年度決算において,1613万5508円の剰余金が発生し,ようやく単年度黒字を達成した。このため,幹部会において,従前の粉飾経理金額から1913万6760円を精算し,累計での粉飾経理金額を17億4457万6712円とした。 同年5月25日,被告Y2は,商工共済の専務理事を辞任し,同被告の後任として,被告Y3が同年6月1日からその専務理事に就任した。 被告Y3は,被告Y2から専務理事の引継ぎを何ら受けていなかったため,平成11年5月25日の総代会において配布された資料(もっとも,これも粉飾されたものであった)から,商工共済が有価証券の運用によって事業。 資金を賄っていることを認識したものの,それ以上に実際の商工共済の経営状況等を認識することはできなかった。加えて,平成11年度以降は,他の理事3名も体調を崩すなどしたため,幹部会(経営推進研究委員会)は開催されなくなっていた。 同年7月ころ,被告Y3は,貸借対照表(平成11年3月31日現在)に記載された50億5929万2411円のうち,投資信託17億2574万4076円相当分の評価額が零円となっていることに気付き,A1理事長に-51-尋ねてみたところ,前々から隠してきた金額であることの説明を受けたため,商工共済が,実際には多額の累積損失を抱えており,かつ,それを粉飾する経理を繰り返してきたことを認識した。さらに,被告Y3は,A3局長及びA5課長から説 隠してきた金額であることの説明を受けたため,商工共済が,実際には多額の累積損失を抱えており,かつ,それを粉飾する経理を繰り返してきたことを認識した。さらに,被告Y3は,A3局長及びA5課長から説明を受けて,この累積損失の解消のため,ハイリスク・ハイリターンの有価証券であるシーバス34を約15億円分購入したことなどを認識したため,A1理事長に対して「多額の累積損失を抱えていながら,,しかも,粉飾決算を繰り返しているという組合(引用注:商工共済)の現状を知って,とても,私には専務理事を務めていくだけの自信がありません。 専務理事を辞めさせてください」などと言って,辞任を申し出た。ところが,A1理事長から「今,辞められたら困る。就任して,まだ間もないのに,,辞められてしまったら,周りの者からも不審に思われてしまう。17億円の損失のことはとりあえず置いといて,とにかく今は単年度で黒字を出すことに専念してがんばっているのだから,君も協力してほしい」などと言われ。 ,,て慰留され「専務理事を辞めることがきっかけとなって,理事会などでもその理由を問いただされて,実は,組合(引用注:商工共済)が多額の累積損失を抱えながら粉飾決算を行ってきたということが明らかとなり,それを知った組合員の方々が取付け騒ぎを起こして,組合(引用注:商工共済)が現実に破産に陥ってしまう。そういうことになれば,私自身が組合(引用注:商工共済)をつぶした張本人として,猛烈な非難を浴びせられるかもしれない」などと考え直し,専務理事の職にあり続けるとともに,粉飾経理に。 も関与することを決意した。 商工共済(連合会との合算)の平成10年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産48億7480万5185円(66億3668万314 ることを決意した。 商工共済(連合会との合算)の平成10年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産48億7480万5185円(66億3668万3147円と粉飾)・負債66億0075万8681円平成11年10月6日,アルゼンチン共和国のカントリーリスクが,ムー-52-ディーズ社によって「Ba」から再度「B」に格下げされた。 商工共済は,平成11年度決算において,507万7909円(起案書上の剰余金2632万0670円から,前年度未払金1280万円及び引当金844万2761円を控除した額)の剰余金を達成したが,前年度の剰余金(1613万5508円)に比べて,黒字幅が格段に減少したため,757万円を未払金として処理した。 商工共済(連合会との合算)の平成11年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産47億4885万1932円(65億0072万9894円と粉飾)・負債64億6454万8927円商工共済は,平成12年度決算においては,375万5310円(起案書上の剰余金1616万8963円から,前年度未払金757万円及び引当金484万3653円を控除した額)の剰余金を達成した。 商工共済(連合会との合算)の平成12年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産46億3384万9258円(63億8215万3220円と粉飾)・負債63億4563万2838円(7)商工共済の財務状況昭和63年度から平成14年度までの商工共済と連合会の合算貸借対照表・損益計算書のうち,粉飾経理操作後のものは,別紙「佐賀商工共済協同組合・連合会合算貸借対照表(修正前,組合・連合会両者間の取引は相殺」)「佐賀商工共済協同組合 の商工共済と連合会の合算貸借対照表・損益計算書のうち,粉飾経理操作後のものは,別紙「佐賀商工共済協同組合・連合会合算貸借対照表(修正前,組合・連合会両者間の取引は相殺」)「佐賀商工共済協同組合・連合会合算損益計算書(修正前,組合・連合会両者間の取引は相殺(いずれも甲54添付別紙)のとおりであり,粉飾経理)」操作を修正した後のものは,別紙「佐賀商工共済協同組合・連合会合算貸借対照表(修正後,組合・連合会両者間の取引は相殺「佐賀商工共済協同)」組合・連合会合算損益計算書(修正後,組合・連合会両者間の取引は相殺」)-53-(いずれも甲56添付別紙)のとおりである。これらは,D管財人が本件破産手続の第1回債権者集会において報告した「破産管財人報告書別冊(甲」5の4)の違算等を警察官が訂正したものである。 また,粉飾経理を修正した後の貸借対照表及び損益計算書による財務指標等は,別紙「佐賀商工共済協同組合・連合会(合算)の財務指標等一覧表」(甲58添付別紙)のとおりであり,これによれば,売上高は,平成3年度までの3億円台から,債券・預金利息の減収により平成4年度~平成8年度まで2億円台となっており,平成9年度~平成11年度まではわずかながら増加傾向に転じたものの,平成12年度以降は再び減少傾向に転じており,これに伴い,売上高経常利益率・売上高当期純利益率は極めて低水準となり,逆に高水準となっていた人件費率を併せ考慮すると,収益性は低調であったとされる。また,安全性についても,自己資本比率(ROE)は平成3年度以降いわゆる「雪だるま」状態となり,平成9年度には-35.24%まで低下しており,短期債務の支払能力を示す流動比率(一般に200%以上が望ましく,100%では危機的とされる)についても,平成元年度で既に。 100%を下回っ となり,平成9年度には-35.24%まで低下しており,短期債務の支払能力を示す流動比率(一般に200%以上が望ましく,100%では危機的とされる)についても,平成元年度で既に。 100%を下回っていたのが,平成9年度には73%まで落ち込んでおり,上昇の兆しもなく悪化の一途をたどっていたとされる。 さらに,資金収支等を分析すると,事業収益収支は平成5年度には約3億円の赤字に急落し,平成9年度まで赤字基調の低水準で推移しており(他方,平成10~12年度はわずかに黒字であったが,平成13年度には再び赤字基調となった,事業の収益構造上の問題が内在していたことが認められ,。)経常収支においては,平成2年度から既に赤字となり,平成5年度には約3億2500万円となるなど,その傾向が顕著に認められる。その結果,平成8年度及び平成9年度に11億円を超える累積赤字を計上している。そして,商工共済は,平成元年度から債券・預金利息が60%を超えるなど,これらの利息収入が本業よりも枢要な収益源であったと認められるが,平成3年度-54-以降はこれが激減しており,他方,本件共済における満期金等の掛金補填費等は,平成5年度においては,商工共済の総損失の約52%を占めるなど,突出しており,また,人件費についても,平成4年度は約30%を占めた後,掛金補填費等が突出した平成5~6年度は別として増加傾向となり,40%程度で推移しており,同年度以降は掛金補填費等が減少傾向に転じたことを考慮しても,損失構造が明らかに改善された状況は認められないとされる。 (8)シーバス34の破綻と本件破産平成13年7月26日,アルゼンチン共和国のカントリーリスクが,ムーディーズ社によれば「B」から「Caa」に,さらに,同年10月9日には,スタンダード・アンド・プァーズ社(以下「S&P 綻と本件破産平成13年7月26日,アルゼンチン共和国のカントリーリスクが,ムーディーズ社によれば「B」から「Caa」に,さらに,同年10月9日には,スタンダード・アンド・プァーズ社(以下「S&P社」という)によれば。 「B」から「CCC」に格下げとなった。なお,ムーディーズ社の「Caa」との格付け及びS&P社の「CCC」との格付けは,いずれも,債務不履行になる可能性が大きく,絶えず注意すべき要素がある,という意味である。 A1理事長は,同年10月26日,被告Y3からその旨の報告を受けたり,同月31日,日興証券佐賀支店支店長であったM(以下「M支店長」という)と面談をするなどし,アルゼンチン共和国の政治・経済情勢が不安定。 な状態にあり,シーバス34の元利金返済が滞る危険が高いことなどを認識したものの,同年11月30日,M支店長に対して,アルゼンチン共和国のデフォルトによってシーバス34が償還手続に入った場合,原債券である同国国債を引き取ることができないかを尋ねるなどしていた。 果たして,同年12月24日,アルゼンチン共和国は,公的債務の支払を一時停止する旨のモラトリアム宣言を発し,平成14年3月24日,同宣言に基づき,同国国債の利払を停止したため,同月30日に支払われるはずのシーバス34の利息についても商工共済は受領することができず,ついに,同年4月12日,日興証券(正確にはルクセンブルグ日興)がシーバス34-55-とのスワップ取引を解消し,同年5月29日以降,繰上償還(配当)手続に入ることとなった。もっとも,A1理事長は,日興証券に対し,償還手続に必要な書類を提出しなかった。 シーバス34は,このように破綻するに至ったものの,A1理事長らは,なおも商工共済を存続させることを考え,平成14年1月15日,被告Y3からの「シーバス3 ,償還手続に必要な書類を提出しなかった。 シーバス34は,このように破綻するに至ったものの,A1理事長らは,なおも商工共済を存続させることを考え,平成14年1月15日,被告Y3からの「シーバス34の利息については,本年度の収入見込み額の中に算入したままでいいんでしょうか」などと問われた際「当然,そうしなけれ。 ,ばいかんだろう。その処理で進めてほしい」などと言って,実際は得られ。 なくなったシーバス34の利息収入(年間約6480万円)についても未収金として計上する内容の粉飾経理を続けることを指示し,同被告も,その指示に従って,平成13年度の補正予算を編成し,同年2月中旬ころに開催された理事会等の承認を受け,同年5月29日の総代会においてもその内容の決算報告をした。 商工共済(連合会との合算)の平成13年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産42億9724万0191円(61億1082万4153円と粉飾)・負債60億7410万7316円その後も,A1理事長らは,粉飾経理を続けることとし,A2副理事長,被告Y3及びA5課長とともに,平成14年11月26日ころ,同年度決算に向けた勉強会を開催したが,シーバス34の利息収入の取扱方についての妙案もなく,前年と同様,未収金として計上する方法により粉飾経理をすることとし,平成15年1月以降,シーバス34の利息収入に加えてその他のアルゼンチン共和国関係の債券の合計8000万円以上を未払金として計上する方法による粉飾経理を行って,同年2月ころ,その内容の平成14年度補正予算案についての理事会等の承認を得て,同年5月30日,その内容の決算報告を総代会において行うこととした。 -56-商工共済(連合会との合算)の平成14年度の財産状況・粉飾経理の状況 成14年度補正予算案についての理事会等の承認を得て,同年5月30日,その内容の決算報告を総代会において行うこととした。 -56-商工共済(連合会との合算)の平成14年度の財産状況・粉飾経理の状況は,次のとおりである(有価証券の評価損を除く。 。)・資産40億3536万4808円(59億3401万2770円と粉飾)・負債58億9718万7285円A1理事長は,平成15年5月30日,総代会を開催し,平成14年度の決算についてその承認を受けたが,平成15年度の決算の承認を受けることは困難であるなどと考え,商工共済を破産させる考えを固め,その前後ころ,C1知事(ただし,当時,県知事の地位は退任していた)に対して商工共。 済の財務・経営状況が厳しいことを伝えたところ,C1知事は,同月27日,被告県の出納長であったN(以下「N出納長」という)や,C4次長(当。 時,被告県を退職し,佐賀県信用保証協会専務理事に就任していた)らを。 通じて情報収集し,商工共済の平成15年度総代会の資料や,C4次長がA2副理事長や被告Y3から聴取した内容をまとめた「不良資産状況」と題する書面(甲42添付資料2。その記載の一部を抹消したものが同添付資料3である)を受け取り,それを元に,同年8月8日,A1理事長に対し,商。 工共済の破産を検討しているのであれば,被告県にも正式に報告するように伝えた。 A1理事長は,同月11日,被告Y3などの他の理事に商工共済の経営を断念する旨告げ,同月12日,N出納長に対し,被告県による調査を依頼したところ,同出納長は,同月14日~19日,被告県の経済部商工課職員により商工共済を調査させ,同月22日,同部部長がA1理事長に対して法的措置を講ずるように勧めた。同月26日,A1理事長は,申立代理人であるO弁護士を通じて佐賀地方裁判所 ,被告県の経済部商工課職員により商工共済を調査させ,同月22日,同部部長がA1理事長に対して法的措置を講ずるように勧めた。同月26日,A1理事長は,申立代理人であるO弁護士を通じて佐賀地方裁判所に商工共済の破産の申立てを行い(同裁判所同年(フ)第873号破産事件,翌27日午後,その旨の報告を他の職員)に初めて行った。 同日午後5時,商工共済は本件破産宣告を受けた。 -57-本件破産手続の第1回債権者集会における破産管財人の報告書によれば,破産財団の資産は16億5690万7488円,負債は56億0551万5723円(概算額)とされた。 (9)A1らに対する刑事裁判と本件破産手続の帰趨A1,A2,Y3(被告Y3)及びA5は「上記4名は,共謀の上,金,銭消費貸借契約名下に金員を詐取しようと企て,平成14年4月1日ころから平成15年8月24日ころまでの間,前後187回にわたり,佐賀市内等において,商工共済組合員96名に対し,情を知らない商工共済職員を介するなどし,真実は,商工共済が平成3年度から粉飾決算を繰り返し,商工共済の経営が破綻に瀕しているのに,その情を秘し,元利金を支払期日に確実に返済する意思も能力もないのに,商工共済において金銭消費貸借契約受諾届出書記載の約定どおりに元利金を確実に返済できるかのように装って金銭消費貸借契約締結手続を行い,上記組合員らをして,支払期日には確実に商工共済から元利金の返済を受けることができる旨誤信させ,よって,平成14年4月1日ころから平成15年8月24日ころまでの間,佐賀市内等において,同人らをして,商工共済職員を介するなどし,商工共済に現金合計1億3905万9326円を交付させ,もって,人を欺いて財物を交付させたものである」旨の詐欺罪により起訴され,上記4名は,公判で,本件公訴。 事実をい 商工共済職員を介するなどし,商工共済に現金合計1億3905万9326円を交付させ,もって,人を欺いて財物を交付させたものである」旨の詐欺罪により起訴され,上記4名は,公判で,本件公訴。 事実をいずれも争わず,平成17年4月20日,佐賀地方裁判所において,同罪により,いずれも有罪判決(A1は懲役1年10月の実刑,A2は懲役1年4月,4年間執行猶予,被告Y3は懲役1年4月,3年間執行猶予,A5は懲役10月,2年間執行猶予)の宣告を受け,同判決は控訴なくそのころ確定した。 D管財人は,本件破産手続において,配当率を約33.59%とする配当表を作成・公告したところ,破産債権者等からの異議もなく,同配当表は確定した。 -58-同管財人は,同配当表に従い,原告らを含む組合員に対し,平成18年8月1日以降,配当(本件配当)を実施した。 (10)被告県の調査報告被告県は,本件破産事件の管財人の報告を受けて,商工共済の破産に関し,県の責任の有無について,調査することとし,平成15年12月18日~平成16年2月15日までの間に関係者の聞き取り調査をした上で,同年2月16日「佐賀商工共済協同組合破産問題に係る県の関与に関する調査報告,書(甲3)を作成した。 」同報告書の結論は,本訴における被告県の主張とほぼ同旨の根拠により,被告県には責任はないというものである。 しかしながら,調査顧問であったP公認会計士は,上記報告書の原案の段階で「平成8年に商工共済の再建が可能と考えたことに根拠はなかったと,正直に書くべきではないか」とか「責任回避のための文書であると感じさ。 せる記述に終始している」などといった意見を述べていた。 。 被告Y1,同Y2及び同Y3の責任(争点1)について(1)一般に,株式会社の取締役が,同社の職務を行うに当たり,同社におい 感じさ。 せる記述に終始している」などといった意見を述べていた。 。 被告Y1,同Y2及び同Y3の責任(争点1)について(1)一般に,株式会社の取締役が,同社の職務を行うに当たり,同社において代金を支払う資力がないものである事情を知りながら,相手方をして自社と取引をさせ,その結果,取引の相手方に取引相当額の損害を与えた場合には,当該取締役は,その相手方に対し,不法行為による損害賠償責任を負うものと解される(最高裁判所昭和47年9月21日第一小法廷判決・裁判集民事106号721頁参照。 )また,一般的に代金を支払う能力がないとまではいえない場合であっても,株式会社の取締役が,自社の資産状態を極度に悪化させるに至るべきことを予見し又は予見し得たにもかかわらず,悪意ないし重大な過失によりその後も問題となる取引を継続させた結果,自社を倒産するに至らせ,そのために自社の債権者に対する弁済を不能にし,同債権者に損害を被らせた場合は,-59-当該取締役は,債権者に対し,商法(整備法による改正前のもの)266条ノ3第1項前段による損害賠償責任を負うが,悪意ないし重大な過失があるかどうかは,自社が売掛金債権を有する取引先が単に貸付超過にあるという事実のみによるのではなく,当該取引先の返済不能が予見され又は予見され得べきに至った時期,その後における貸付の有無及びその額などを総合して判断すべきであり(最高裁判所昭和53年12月12日第三小法廷判決・金融法務事情884号27頁参照,その際,事業の遂行によりはっきりとし)た見通しも方針もないまま,その事業により収益を増加して支払が可能であると軽率に考えて,その会社の資産・能力を顧慮しないまま事業を遂行することは,著しく放漫なやり方として重大な過失があると認めるべきであり(最高裁判所昭和41年4月 により収益を増加して支払が可能であると軽率に考えて,その会社の資産・能力を顧慮しないまま事業を遂行することは,著しく放漫なやり方として重大な過失があると認めるべきであり(最高裁判所昭和41年4月15日第二小法廷判決・民集20巻4号660頁参照,この理は,当該取締役の不法行為に基づく損害賠償責任が問題と)なっている場合についてもあてはまると解される。 そして,中協法は,42条において,商法(整備法による改正前のもの)254条3項と254条ノ3の規定を準用し,同法266条ノ3第1項前段と同様の規定を38条の2第2項において特に設けていることからすれば,以上の理は事業協同組合の理事についても妥当すると解される(最高裁判所昭和34年7月24日第二小法廷判決・民集13巻8号1156頁参照。 )(2)これを本件につきみるに,前記認定事実によれば,平成6年度決算(平成7年3月31日)において,商工共済(正確には連合会との合算)が実際に有する資産が資産58億9113万8013円,これに対して負債が68億9202万5951円であり,商工共済が営んでいた組合員に対する貸付事業は,地方銀行・消費者金融等の市中の金融機関との競争によって逓減しており,商工共済は,収入源の多くを有価証券収入に依存していたものの,本件粉飾経理操作②がされた平成5年度において,1億数千万円もの有価証券損失が新たに生じるなどしていたのであるから,資産状態は既に極度に悪-60-化しており,かつ,安定した確実な収入源が失われていたものと認められる。 この点,被告Y1は,商工共済は売却価額が6~10億円と見積もられる商工共済ビルを佐賀市内に所有し,売却価額が1億2000万円と見積もられる土地を佐賀県嬉野町に所有していたのであるから,資産状態は悪化してなかったと主張する。しかしながら 6~10億円と見積もられる商工共済ビルを佐賀市内に所有し,売却価額が1億2000万円と見積もられる土地を佐賀県嬉野町に所有していたのであるから,資産状態は悪化してなかったと主張する。しかしながら,商工共済ビル(土地・建物を含む)。 の簿価は2806万2875円,平成15年度の固定資産評価額は5814万2205円,嬉野町の土地の簿価は2669万5330円,同年度の固定資産評価額は5204万2732円にすぎず(甲5の3 ,佐賀共栄銀行の)調査によれば,平成3年11月28日当時のこれら土地・建物の評価額は合計3億1500万円,平成6年4月1日当時のそれは1億1482万4000円,同年8月8日から平成7年4月3日までのそれは1億1311万5000円,平成8年12月2日当時のそれは9400万円ほどとされており(甲73,さらに,被告県の本件調査(平成8年7月)によっても,これ)ら土地2筆の評価は合計1億9470万円とされていたのであるから(甲1。 なお,実際は,本件破産手続において,商工共済ビルの土地・建物は合計2億5961万5886円で被告県が買い取り,嬉野町の土地は第三者個人が3674万3250円で買い取っていることは,当裁判所に顕著である,。)いずれにしても,被告Y1が主張するような評価を有していたとは認め難い。 なお,同被告は,これらの土地に比準する取引事例として土地売買契約書(乙ロ2)を提出するが,これは国鉄精算事業団が所有する佐賀市de丁目の土地100mを佐賀市が平成4年12月24日に1億6278万5160 円で買い受けた際の契約書であり,所在地や契約の趣旨に照らして比準すべき価格とはいえない。 他方,前記のとおり,被告Y2は,平成8年9月7日までに改定試案を作成しているが,裏付けとなるべき根拠を欠いたものであり,収益を増加 であり,所在地や契約の趣旨に照らして比準すべき価格とはいえない。 他方,前記のとおり,被告Y2は,平成8年9月7日までに改定試案を作成しているが,裏付けとなるべき根拠を欠いたものであり,収益を増加させる明確な見通しとならないことは明らかである。 -61-また,被告Y3は,商工共済に貸付金として651万円を預け入れていたと主張するが(乙ホ1,2,そうであっても,商工共済の資産状態が悪化)していなかったことの裏付けとはならないことは明らかである。 (3)被告Y1及び同Y2の責任ア前記のとおり,既にA4次長による粉飾経理が発覚した時点で,多額の負債が存在し,これが粉飾経理によりすべて隠匿されていたのであり,商工共済が,組合員に対する事業資金の斡旋等を目的とする事業協同組合であり,組合員としては,一般の売掛取引先等とは異なり,銀行等の金融機関と同じかそれ以上の財政の健全性を期待するのが通常であり,仮に,実際には商工共済が極度に悪化した債務超過の状態であり,これを粉飾経理により隠蔽していたというのであれば,商工共済に預入れをしないであろうことは容易に推察されたところ,商工共済の資産状況や事業の見通しなどは,上記のとおりであり,このまま事業を継続した場合には,早晩,商工共済が破綻して,その結果,原告らを含む組合員から預け入れられた貸付金等を返還できなくなるであろうことは明らかであり,そのことは,被告理事らであれば容易に認識できたというべきであるから,被告理事らは,組合員からの貸付金等の預入れを受けるべきではなく,どうしても預入れを受け入れるというのであれば,組合員に対し,総代会で報告等している財務帳簿上の数字とは異なり,実際には商工共済が大幅な債務超過に陥っているために破綻するおそれがあることを説明した上で預入れを受けるべき注意義務を うのであれば,組合員に対し,総代会で報告等している財務帳簿上の数字とは異なり,実際には商工共済が大幅な債務超過に陥っているために破綻するおそれがあることを説明した上で預入れを受けるべき注意義務を負担していたというべきである。 しかるに,商工共済は,平成6年度末期において,既に実際の資産58億9113万8013円を69億2512万1977円と粉飾していたと),ころ(平成6年度粉飾経理操作,被告Y2は,平成6年10月下旬ころ被告Y1は,同年12月4日に,それぞれA4次長による粉飾経理を知った上,平成7年10月25日開催の第12回の幹部会(経営推進研究委員-62-会)ないし同年12月25日の第14回幹部会において議論を経て,従前の粉飾経理は公表しないという方針を決定し(その際,被告Y1は,被告Y2の説得もあって,最終的にはその方針に賛同している,平成8年。)2月3日の第15回幹部会において,平成7年度における実際の資産である54億9663万0722円を66億4209万5460円と粉飾する内容の平成7年度粉飾経理操作(同年度の負債は66億0821万3829円であった)をすることを決定しており,この幹部会において,これ。 まで同様の粉飾経理操作を行いつつ,それを秘匿したままで,組合員からの貸付金等の預入れを継続する方針を恒久化させることを決定したものと認められる。 そうすると,そのような資産状況等を粉飾することとした平成8年2月3日の第15回幹部会以降に組合員からの貸付金等を受け入れたことは組合員に対する関係で不法行為に該当するから,それを決定した被告Y1は,民法709条によりその損害を賠償する責任がある。 イなお,被告Y1は,このような粉飾経理には関与しておらず,粉飾経理の存在自体知らないと主張し,これに添う証拠(乙ロ1)も存在 決定した被告Y1は,民法709条によりその損害を賠償する責任がある。 イなお,被告Y1は,このような粉飾経理には関与しておらず,粉飾経理の存在自体知らないと主張し,これに添う証拠(乙ロ1)も存在する。しかしながら,そもそも前記認定のとおり,A4次長による大規模な粉飾経理が発覚した当時,被告Y1は理事長かつ現職の国会議員の立場にあったのであり,A2副理事長や被告Y2がこれを被告Y1に報告せずに秘匿するなどということは常識的にもあり得ないし,現に刑事事件において,A2や被告Y2,A4などは被告Y1が粉飾経理の存在を認識していたことを具体的かつ詳細に供述しているのであって(甲63,81等,その供)述の信用性は高く,これらに照らすと,被告Y1の主張に添う前記証拠は到底信用できない(そもそも,A2らの上記証拠が虚偽であるとすると,A2らが共謀して被告Y1を陥れようとしていることになるが,前記のとおり,A2らに,理事長かつ国会議員であった被告Y1を陥れなければな-63-らないような合理的な理由は全く窺えない。さらに,証拠(甲118,)119の1,乙ロ10,被告Y2本人)によれば,少なくとも,同被告のサインが記された伺い書7(同日の幹部会において決裁された伺い書)は,同被告が,被告Y2の面前で署名したものと認められ(なお,被告Y1の自筆であることは,本訴委任状や乙ロ2に記された署名との照合によって明らかである,粉飾経理操作に被告Y1が関与したことを裏付けてい。)るのであるから,この点だけからも,同被告の主張は採用できない(同被告は,これらの伺い書の内容が不自然であり,これに署名押印するはずがないと主張するが,逆に,被告Y1が粉飾経理に関与していたとすれば不自然な内容ではないのであるから,結局,上記認定は変わらない。 。)また,被 伺い書の内容が不自然であり,これに署名押印するはずがないと主張するが,逆に,被告Y1が粉飾経理に関与していたとすれば不自然な内容ではないのであるから,結局,上記認定は変わらない。 。)また,被告Y1は,商工共済の実質的な運営が,被告Y2をはじめとする事務局に委ねられており,過去25年間にわたり利益額が一定となるなど,粉飾経理をする基盤があったことなどを主張する。しかしながら,中協法上の組合の理事は,業務執行一般を監視し,それが適正に行われるようにする職務を有しているのであり(中協法42条は,商法(整備法による改正前のもの)254条ノ3を準用している,殊に,本件において。)は,被告Y1も幹部会における決議を通じて粉飾経理の内容等を熟知していたと認められるのであるから,粉飾経理が事務局主導で行われたとしても(確かに,前記のとおり,被告Y1は,平成7年12月2日に開催された第13回幹部会において,当初,A4次長を懲戒免職とすべきであり,粉飾経理が公になることはやむを得ないとの意見を述べたが,ことが公になると,組合運営に影響があるとの被告Y2やA3局長の説得を受けて,同月25日に開催された第14回幹部会において,その意見を変更しているのであり,商工共済の粉飾経理には,事務局がそれなりに主導して行ったとの側面も否定できない,前記結論は変わらない。 。)ウ他方,被告Y2は,幹部会(経営推進研究委員会)により粉飾経理が決-64-定されており,専務理事としては,口を出すことができなかったと主張するが,前記のとおり,商工共済においては,専務理事は,常勤であり,理事長及び副理事長を補佐して組合の業務を執行するものであり,実際,幹部会(特に平成7年12月2日の第13回幹部会)に出席して理事らに意見を述べたり,伺い書を作成したりしていたので は,常勤であり,理事長及び副理事長を補佐して組合の業務を執行するものであり,実際,幹部会(特に平成7年12月2日の第13回幹部会)に出席して理事らに意見を述べたり,伺い書を作成したりしていたのであるから,被告Y1と同様に原告らに対して不法行為責任があるのは明らかである。 (4)被告Y3の責任前記認定のとおり,被告Y3は,平成11年度中に専務理事となり,同年度以降の粉飾経理(及びそれを前提とした組合員からの預入れ)に関与したものであるから,それ以降に商工共済が預入れを受けた貸付金等につき責任を負うこととなるが,その限度において,被告Y1及び同Y2が行った平成10年度の粉飾経理操作と客観的に関連・共同するから,民法719条1項の共同不法行為が成立する(他方,平成10年度以前の粉飾経理までに生じた貸付金についての責任は負わないことについては,後記において論ずる。 。)(5)なお,原告らは,請求原因として,被告Y1,同Y3及び同Y2について,中協法38条の2第2項・3項所定の責任があるとも主張するが,原告らにとってそれよりも有利な請求原因である不法行為に基づく損害賠償請求権の主張が認められるのであるから(中協法38条の2第2項,3項所定の責任は,商法(整備法による改正前のもの)266条ノ3第1項,2項本文と同様,いわゆる法定の責任であり,履行期の定めのない債務として,請求を受けたときから遅滞に陥ると解される,これについての判断をする必。)要はない。 被告県の責任の有無(争点2)について(1)前記のとおり,中協法は,106条1項において,中小企業等協同組合に対する業務改善命令の権限を規定している。 -65-,,これは,同法がその目的につき「中小規模の商業,工業,鉱業,運送業サービス業その他の事業を行う者,勤労者その他 おいて,中小企業等協同組合に対する業務改善命令の権限を規定している。 -65-,,これは,同法がその目的につき「中小規模の商業,工業,鉱業,運送業サービス業その他の事業を行う者,勤労者その他の者が相互扶助の精神に基き協同して事業を行うために必要な組織について定め,これらの者の公正な経済活動の機会を確保し,もつてその自主的な経済活動を促進し,且つ,そ),の経済的地位の向上を図ること」と定め(1条,同法に基づく協同組合は「その行う事業によってその組合員に直接の奉仕をすることを目的とし」て,設立するものとされている(5条2項)ことと併せ考慮すると,前記の組合又は中央会の業務,会計又は運営が不法不当な場合に,これを正常な運営に改めさせることにより,内部的にはその財産を保全して組合員又は会員の権利を擁護するとともに,外部的には取引の安全の保護と組合あるいは中央会制度の信用の維持向上を図ろうとするものにほかならない。 したがって,この監督権限の目的の中には,組合員の利益の保護も含まれているものと解されるのであり,商工共済のような事業協同組合に対する行政庁の監督権限の行使により組合員が得られる利益は,事実上ないし反射的な利益にとどまらず,同法により保護された利益であると考えられる。 ところで,中協法106条1項は,前記のとおり「行政庁は…その組合,又は中央会に対し,期間を定めて必要な措置を採るべき旨を命ずることができる」旨規定しているにすぎず,権限を行使するかどうかについて裁量権。 が認められているのであるから,直ちに作為義務を認めることはできない。 このような場合の公務員による権限の不行使は,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認め い。 このような場合の公務員による権限の不行使は,その権限を定めた法令の趣旨,目的や,その権限の性質等に照らし,具体的事情の下において,その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは,その不行使により被害を受けた者との関係において,国家賠償法1条1項の適用上,違法となると解される(最高裁判所平成元年11月24日第二小法廷判決・民集43巻10号1169頁,最高裁判所平成7年6月23日第二小法廷判決・民集49巻6号1600頁,最高裁判所平成16年4月27日-66-第三小法廷判決・民集58巻4号1032頁,最高裁判所平成16年10月15日第二小法廷判決・民集58巻7号1802頁参照。 )(2)これを本件についてみるに,前記認定事実によれば,①被告県のC5課長は,遅くとも平成8年7月中には,K職員を中心とする本件調査により,商工共済の財務状況が平成7年度において,資産54億9663万0722円,負債66億0821万3829円であり,現有有価証券を時価評価した場合には,購入価額と時価額の差額5億9800万円も計上されることになり,累積欠損の合計額が15億9100万円となること,このうち,資産については,これを66億4209万5460円と粉飾していること,今後,利息等収入の減少(約6億3800万円)や処分損の発生(約5億9800万円)が見込まれる一方,本業の共済事業に関する手数料収入がなくなり,平成7年単年度で9548万円余の損失が発生していたことを明確に知ったこと,②商工共済は,組合員から共済掛金や金銭消費貸借の形式で資金を集め,これを組合員に貸与するという一種の金融機関的な役割を果たしており,その性格からすると,組合員の保護や取引の安全の観点からして,商工共済の財務状況の開示の重要性は,一般の企業と比較して極 金を集め,これを組合員に貸与するという一種の金融機関的な役割を果たしており,その性格からすると,組合員の保護や取引の安全の観点からして,商工共済の財務状況の開示の重要性は,一般の企業と比較して極めて大きいこと,③粉飾経理は,中協法115条8号において,過料の制裁が規定された明らかな違法行為であるが,商工共済が今後,このまま事業を継続するとなると,事柄の性質上,粉飾経理を継続することになること,④粉飾経理は違法行為であることから,これを明らかにすると,経営陣が責任追及を受けることになり,経営陣自らがこれを是正することを期待することは困難であること,⑤商工共済は,日掛け,月掛けで資金を集めているのであり,しかも業績を改善するためには,粉飾経理により財務状況を隠蔽したまま,より一層熱心に資金集めを行うことになり,結果的に詐欺的な行為を助長することになるし,その規模(商工共済の組合員数は1万6308名(本件破産当時。被告県の本件調査時は1万4120名。甲1)であり,財政規模からしても,被-67-告県の商工企画課が所管していた協同組合の中では最大の規模であった(証人C5)からしても,将来的に破綻することになると,組合員の被害は)。 大きく拡大することが容易に予測されたことが認められる。 以上によれば,C5課長は,平成8年7月中に,本件調査により,商工共済の財務状況や粉飾経理の状況を確定的に把握したのであるから,これを直ちに所管行政庁であるC1知事に知らせ,C1知事は,すみやかに粉飾経理の是正等を指示する業務改善命令を発令する義務があったというべきであり,平成8年8月以降も中協法上の規制権限を適切に行使せず,これを漫然と放置したのは,中協法の趣旨,目的に照らし,許容される裁量の限度を逸脱して著しく合理性を欠くものであり,その点において少な であり,平成8年8月以降も中協法上の規制権限を適切に行使せず,これを漫然と放置したのは,中協法の趣旨,目的に照らし,許容される裁量の限度を逸脱して著しく合理性を欠くものであり,その点において少なくとも過失があったものというほかなく,原告らとの関係で,国家賠償法1条1項の適用上違法であるといわなければならない。 (3)この点に関し,被告県は,本件調査・報告が正式の調査・報告ではなかったとか,商工共済の粉飾経理を是正するために規制権限を行使すると,取付け騒ぎが生じる結果,組合が破綻する可能性が極めて高かったのであるから,破綻によって損なわれる既存組合員の利益を考慮すると,規制権限を行使しなかったことは,裁量の範囲内であるとか主張している。 しかしながら,まず,監督官庁に勤務する公務員が調査する以上,その端緒が何であれ非公式の調査などということはありえないのであって,むしろ非公式の扱いにすること自体に大きな問題があるのであり,これをもって免責の根拠にすることはできないのは明らかである。 また,被告県が規制権限を行使すれば,その時点で商工共済が破綻する可能性が高かったことは,被告県の主張のとおりであるが,前記のとおり,商工共済が多額の粉飾経理という違法行為をしていることを確定的に認識した以上,これを放置して将来的に商工共済が破綻した場合,その規模からしても,その被害が大きく拡大することは火を見るより明らかであるから,監督-68-官庁である被告県の立場としては,たとえ規制権限を行使したことにより商工共済が破綻する可能性があったとしても,違法行為を黙認することは許されないのであって,この点に関する被告県の裁量の余地は認め難い。 もっとも,粉飾経理が存在する場合であっても,商工共済が極めて短期間にしかも確実に債務超過の状態を脱する蓋然性があった 認することは許されないのであって,この点に関する被告県の裁量の余地は認め難い。 もっとも,粉飾経理が存在する場合であっても,商工共済が極めて短期間にしかも確実に債務超過の状態を脱する蓋然性があったような場合であれば,緊急避難的に粉飾経理を黙認することも許される余地があるかもしれないが,前記認定のとおり,商工共済の当時の負債状況は到底そのようなものではなく,むしろ既に実質的に破綻状態にあったことは明らかであるから(直接の財務状況の悪化は,有価証券の運用の失敗にあるが,前記のとおり,逆ざやの共済事業や預貸率の低さなど,その体質自体に大きな問題があるのであって,これを高利の有価証券の運用により賄おうとする発想自体に無理があることは明らかである。この点は,後の被告県の調査顧問であったP公認会計士の意見を待つまでもなく,C5課長自身,具体的な根拠もなく,40~50年あれば経営再建の可能性がないわけではないと考えていたにすぎないことからも明らかである,やはり,被告県には当時,粉飾経理を黙認する。)裁量権が存在しなかったことは明らかである。 したがって,被告県のC5課長を含めた担当者らが,商工共済がリスクの高いシーバス34を購入した以降に適切に監督権限を発動しなかったという違法や,商工共済問題に関する引継ぎを十分しなかった違法を検討するまでもなく,被告県は,平成8年8月以降,原告らに対し,国家賠償法1条1項に基づく責任を負うものと認められる。 なお,C5課長らがC1知事に本件調査の内容を報告したのは,平成8年8月中であるが,これは単に内部関係の報告にすぎず,平成8年7月中に本件調査の結果を商工共済に伝えていることなどの前記認定の事実関係からすれば,平成8年7月中に,C1知事に報告して業務改善命令を発令することが可能であったというべきであるから ぎず,平成8年7月中に本件調査の結果を商工共済に伝えていることなどの前記認定の事実関係からすれば,平成8年7月中に,C1知事に報告して業務改善命令を発令することが可能であったというべきであるから,被告県が責任を負担するのは,平成-69-8年8月以降と認めるのが相当である。 (4)原告らは,被告県についても,商工共済ないし被告理事らとの共同不法行為が成立する旨主張する。 しかしながら,本件において,商工共済ないし被告理事らが責任を追及されている事実は,多額の粉飾経理を秘して金銭を受領したという詐欺的な行為であるのに対し,被告県の違法行為は,規制権限の不行使という不作為であり,それらは社会通念上1個の行為とは認め難いから,両者の行為が客観的に関連・共同しているということはできないし,商工共済ないし被告理事らが注意義務を履行していれば,被告県が規制権限を行使しなかったとしても,原告らの損害は回避できたという関係にあり,両者の行為が不可分一体となって原告らの損害が発生したという関係にもないから,商工共済ないし被告理事らの行為と被告県の行為(不作為)とが民法719条の共同不法行為になることはないものと解される。 原告らは,この点に関し,被告県の不法行為は単なる不作為にとどまらず,作為であるとも主張している。 しかしながら,前記認定のとおり,被告県は,商工共済から自主再建に向けた経営改善に取り組んでいるとの報告を受けたために,その動向を見守ることにしたにすぎないのであり,その判断がずさんであることは前記のとおりであるとはいえ,被告県において,商工共済の行為が詐欺的であるとの認識を持っていたことまで認めるに足りる証拠はなく,故意に商工共済の違法行為・詐欺行為を助長・容認したとか,この点について,被告理事らとの間に共謀があったとまでいえないから の行為が詐欺的であるとの認識を持っていたことまで認めるに足りる証拠はなく,故意に商工共済の違法行為・詐欺行為を助長・容認したとか,この点について,被告理事らとの間に共謀があったとまでいえないから,被告県について,作為の不法行為は認め難い。 原告らの損害額(因果関係を含む(争点3)のうち,被告理事らについ。)て(1)まず,被告Y1及び同Y2についてみるに,同被告らは,商工共済が1-70-0億円を超える債務超過に陥っており,同額程度の資産を粉飾する経理をしていたことを認識しながら,平成8年度以降もこれまで同様の粉飾経理操作を行いつつ,それを秘匿したまま,組合員との取引を継続するとの方針を決めたというものであって(被告Y2もその方針決定に関与している,商。)工共済が,組合員に対する事業資金の斡旋等を目的とする事業協同組合であり,組合員も,一般の売掛取引先等とは異なり,銀行等の金融機関と同じか又はそれ以上の財政の健全性を期待していることに照らせば,組合員としては,商工共済がこのような大幅な債務超過の状態にあり,しかも,それに見合うだけの資産を粉飾していることを認識したとすれば,商工共済に貸付金等を預け入れることはあり得なかったものと認められる。 そうすると,同被告らは,商工共済の財政の健全性を偽り,本来はされるはずのなかった貸付金等の預入れを組合員から受けたことになるから(その意味において,実質的には詐欺行為というべきである,預け入れさせた。)全額について不法行為が成立すると解される。原告らを含む組合員が,商工共済に対する契約上の貸金返還請求権等を取得したとしても,この理は変わらない。 (2)ところで,本件において,原告らを含む組合員は,商工共済が粉飾経理を行っていた前後を通じて預け入れた貸付金等について,粉飾経理後 上の貸金返還請求権等を取得したとしても,この理は変わらない。 (2)ところで,本件において,原告らを含む組合員は,商工共済が粉飾経理を行っていた前後を通じて預け入れた貸付金等について,粉飾経理後,更新(本件更新)を行っており,原告らが本訴にて請求しているうちの相当部分は,このような更新を経たものと推察される。 一般的な金銭消費貸借契約における借換えは,既存の旧債務を目的とする準消費貸借契約と,新たに貸し付けられた現金額を目的とする消費貸借契約とが混合した契約であると解されるところ,殊に,本件での更新にあっては,貸増しがされるのでない限り,前記でみたとおり,現金が授受されたことはなかったというのであるから,本件更新の法的性質は,単なる準消費貸借契約の締結にすぎず,更新(本件更新)をすること自体により,原告らに新た-71-な損害が生ずることはないのが原則である。 しかしながら,商工共済と組合員との関係においては,その規約等により更新が義務付けられているといったことはなく,更新するか又は払い戻すかは,原告らを含む組合員の自由意思に委ねられていたと認められ,他方,商工共済,すなわち被告理事らは,原告らに対し,更新がされなければ,更新時期に従前の契約に基づく金員を全額返還する義務を負っていたところ,原告らは,被告理事らが粉飾経理に積極的に関与し,かつ,それを秘匿したまま事業の継続を決め,原告らを含む組合員に対し,商工共済の財政の健全性を偽ったため,更新に応じ,貸付金等の預入れを継続したというものである。 以上によれば,被告理事らは,責任負担時期開始以降に新たに契約が締結されて金銭の現実の授受がされたものについて責任を負うことはもちろん,責任負担時期以後に新たに更新がされたものについても,原告らを含む組合員の正当な権利行使を積極的に阻止し,そ 降に新たに契約が締結されて金銭の現実の授受がされたものについて責任を負うことはもちろん,責任負担時期以後に新たに更新がされたものについても,原告らを含む組合員の正当な権利行使を積極的に阻止し,その時点までに既に発生していた損害の回復を困難にしたものというべきであるから,責任負担時期以降の更新の有無を問わず(もちろん,当該被告らの責任負担時期開始以前に更新が終了している場合は別であり,共済掛金で,同時期以前に支払期間(共済期間)が完了した分についても同様である。これに対して,共済期間(特に,年金共済)中に当該被告らの責任負担時期が生じたにすぎない場合には,同時期後の共済掛金の集金行為において,組合員の正当な権利行使であるはずの既払分の共済掛金の返還を阻止するという,黙示的な意思が合意されているのであるから,責任負担時期開始以後に新たに更新がされた貸付金と同様に責任を負う,従前の預入額全額について損害賠償責任を負うと解され。)る。 (3)被告Y1及び同Y2は,原告らの主張している貸付金等の多くは,同被告らの退任後に本件更新がされているものであり,仮に従前の預入行為が不法行為に該当するとしても,本件更新により,それとの相当因果関係は切断-72-されるなどと主張する。 しかしながら,本件における被告理事らの不法行為は,粉飾経理により,商工共済の財政の健全性を積極的に偽った上,原告らを含む組合員から貸付金等の預入れを受けたというものであり,もはや,違法な詐欺的行為というべきであるから,当初の預入時点に既に不法行為となり,損害を発生させたものである。本件更新も不法行為を構成することは上記のとおりであるが,この不法行為は,原告を含む組合員の正当な権利行使を積極的に阻止させ,その時点までに既に発生していた損害の回復を困難にさせたものである である。本件更新も不法行為を構成することは上記のとおりであるが,この不法行為は,原告を含む組合員の正当な権利行使を積極的に阻止させ,その時点までに既に発生していた損害の回復を困難にさせたものであるから,従前の預入時点における不法行為の違法状態を存続・継続させるものであれ,その違法状態を抹消・切断させるものではないことが明らかである。 この点に関する被告Y1及び同Y2の主張は採用できない。 (4)他方,被告Y3は,平成11年6月1日から商工共済の専務理事に就任し,同年7月ころ,A1から,商工共済が実際には多額の累積損失を抱えており,それを粉飾する経理を繰り返してきたことを聞いて,その旨認識しているが,同被告が,先行行為であるこれまでの粉飾経理操作の結果を,自己の行為の手段として積極的に利用しようとしたとまでは認められないから,同月以前に預入れ及び更新とも完了していたもの(本件に即せば,原告番号19,同番号90,同番号168及び同番号213において該当する預入れがある)については責任を負うとは認められない。 。 したがって,同被告については,平成11年8月1日以降に預入れないし更新があったものに限り,不法行為に基づく損害賠償責任を負うと解され,他方,最終預入日が同日以前のものについては,損害賠償責任を負わない。 (5)被告Y1は,原告らに具体的損害を惹起せしめたのは本件破産であり,その最大の原因は,シーバス34が実質的無価値になったという点にあるのであるから,被告Y1の行為と原告らの損害との間には相当因果関係はない旨主張している。 -73-しかしながら,前記認定のとおり,商工共済がシーバス34を購入するに至った理由は,被告Y1が理事長当時に発覚した多額の負債にあるのであって,シーバス34の購入に至る経緯は,まさに因果の流れというべきであ しながら,前記認定のとおり,商工共済がシーバス34を購入するに至った理由は,被告Y1が理事長当時に発覚した多額の負債にあるのであって,シーバス34の購入に至る経緯は,まさに因果の流れというべきであり,因果関係を中断するほどの事情は認め難いから,被告Y1の上記主張は採用できない。 (6)被告Y3は,同被告が破産管財人に金員を引き渡した点などを考慮すべきである旨主張しているが,被告理事らの行為は共同不法行為の関係にあるのであって,被告Y3が主張しているような事情で,その責任負担の割合を減じるのは相当ではない。 原告らの損害額(因果関係を含む(争点3)のうち,被告県について。)(1)前記のとおり,被告県は,平成8年7月中に,商工共済に対し,中協法上の規制権限,すなわち,業務改善命令を発令すべき義務があったものというべきであり,そのように適正に規制権限が行使されていれば,原告ら組合員がそれ以降に共済契約や貸金契約を締結して金銭を預け入れることがなかったことは明らかであるから,平成8年8月以降に,新たに共済契約や金銭消費貸借契約を締結した原告らの損害は,被告県の不法行為との間に相当因果関係が認められるのは明らかである。 そして,逆に,平成8年8月以前に既に現実の金銭の預入れが終了していた契約の関係では,被告県の不法行為との間に相当因果関係が認められないものというべきである。 (2)原告らは,いわゆる更新も新規契約と同じである旨主張している。 しかしながら,被告県については,被告理事らと異なり,更新時に更新されなければ,従前の契約に基づく金員全額を原告らに返還する義務を負っているものではないから,更新契約を新規契約と同視するためには,原告らが更新時に更新に応じなければ,確実に従前の契約に基づく金員が全額払い戻されたであろうことが立証 全額を原告らに返還する義務を負っているものではないから,更新契約を新規契約と同視するためには,原告らが更新時に更新に応じなければ,確実に従前の契約に基づく金員が全額払い戻されたであろうことが立証される必要があるところ,前記のとおりの商工共-74-済の財政状況に照らせば,本件において,そのような事実が立証されているとは認め難く,原告らの上記主張は採用できない。 (3)また,原告らは,この点に関し,被告県は,原告らが本来ならば行えた組合員による返還請求権の行使の機会を平成15年8月まで奪い続けてきた旨主張して,被告県が規制権限を行使すべきであった時期以前に金銭の預入れをした原告らに対しても責任を負うかのように主張している。 しかしながら,この点も結局は上記の更新の場合と同様の議論が妥当するのであって,原告らが返還請求権を行使した時点で,全額の返還がされたとは到底認められないし,果たしてどの程度の金員の返還が受けられたのかについても証拠上不明といわざるを得ないから,原告らの上記主張も採用できない。 (4)ところで,本件においては,原告ら自身,被告Y3(平成17年6月9日付け準備書面参照)及び被告県(平成18年6月16日付け求釈明申立書 2 参照)からされた各求釈明にもかかわらず,最初に貸付金の預入れがされ( )た時期・金額について明らかにしておらず,証拠上も平成8年8月以降に新規契約に基づいて金銭が預け入れられたものか,それ以前に預けられ,平成8年8月以降に更新がされたものか区別することは困難である。 そこで,本件の諸般の事情に照らし,民訴法248条の趣旨も類推して,貸付金については,一律に原告らが請求している額の4割をもって,被告県の不法行為と因果関係が認められる損害と認めるのが相当である。 (5)被告県の監督権限不行使が違法となっ 48条の趣旨も類推して,貸付金については,一律に原告らが請求している額の4割をもって,被告県の不法行為と因果関係が認められる損害と認めるのが相当である。 (5)被告県の監督権限不行使が違法となった平成8年8月ころ以降に原告らが商工共済に現実に入金したものが同被告の上記不作為と相当因果関係のある損害を構成することは,前記のとおりであるところ,本件において,共済掛金の払込期間は1~3年(ただし,年金共済に限り,10年間)であり,その性質からして,更新(本件更新)されるということがあり得ないから,その全額につき,被告県の監督権限不行使以降に現実に商工共済に預け入れ-75-られたと認められる。 なお,上記のとおり,年金共済の払込期間は10年間であり,平成8年7月以前からこの預入れが開始された年金共済を持つ原告も24名いるので(原告番号2,同番号23,同番号26,同番号35(なお,同番号100としての請求は異なる,同番号39,同番号41,同番号42,同番号。)48,同番号49,同番号63,同番号81,同番号82,同番号104,同番号106,同番号121,同番号152,同番号157,同番号160,同番号161,同番号168,同番号193,同番号206,同番号214及び同番号218の24名,当該原告らについては,平成8年8月分以降)の預入れに限り損害となる。 (6)ちなみに,このように解するときは,本件破産宣告時において,原告らの貸付金等が回収できなくなったとの損害が生じたと解するのが理論的であり,そうだとすれば,被告県の不法行為もその時点(平成15年8月27日)において発生した(したがって,その時点からの遅延損害金が発生する)と解するのが相当である。もっとも,本件においては,本件配当金か。 らの充当が認められない原告番号88のほか, 成15年8月27日)において発生した(したがって,その時点からの遅延損害金が発生する)と解するのが相当である。もっとも,本件においては,本件配当金か。 らの充当が認められない原告番号88のほか,預入れの時点が古い同番号90,同番号127,同番号168及び同番号213を除いては,本件配当金の額が被告理事らの関係で不法行為が成立するとした場合の遅延損害金を上回るために全額充当されることとなり,他の原告ら216名については議論の実益を有しない。 弁護士費用について(1)相手方の故意・過失によって自己の権利を侵害された者が損害賠償義務者たる相手方から容易にその履行を受け得ないため,自己の権利擁護上,訴えを提起することを余儀なくされた場合,訴訟追行を弁護士に委任したときは,その弁護士費用は相当と認められる額の範囲内のものに限り,この不法行為と相当因果関係に立つ損害に立つと解される(最高裁判所昭和44年2-76-月27日第一小法廷判決・民集23巻2号441頁参照。 )(2)これを本件についてみるに,被告理事ら(被告Y3を含む)について。 は,弁護士費用に関する限り,原告らの全預入金額の1割を下回ることはないと認められるから,別紙請求金額表の「z弁護士費用」欄記載の金額となる。 (3)また,被告県については,上記5において検討した事情に照らせば,被告理事らが負う弁護士費用の半分程度(すなわち,原告らの全預入金額の5。 ,%程度。なお,1万円以下の端数は切り捨てる)と認めるのが相当であり同表の「被告県弁護士費用」欄記載の金額となる。 本件配当の充当(争点4)について(1)不法行為に基づく損害賠償債務は,不法行為の日に発生し,かつ,何らの催告を要することなく遅滞に陥るものであり,その後に損害が填補されたとしても,不法行為時から 件配当の充当(争点4)について(1)不法行為に基づく損害賠償債務は,不法行為の日に発生し,かつ,何らの催告を要することなく遅滞に陥るものであり,その後に損害が填補されたとしても,不法行為時からその支払(填補)日までの間の遅延損害金が既に発生していたことになるから,その支払額が支払時における損害金の元本及び遅延損害金の全部を消滅させるに足りないときは,民法491条1項に従い,遅延損害金の支払債務にまず充当されるから(最高裁判所昭和37年9月4日第三小法廷判決・民集16巻9号1834頁,同裁判所平成11年10月26日第三小法廷判決・交民集32巻5号1331頁,同裁判所平成12年9月8日第二小法廷判決・金融法務事情1595号63頁,同裁判所平),成16年12月20日第二小法廷判決・裁判集民事215号987頁参照本件においても,本件配当金は,損害金である貸付金等の元本からではなく,遅延損害金から充当すべきである。 被告県は,元本から充当すべきと主張し,その根拠として最高裁判所平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁を引用するが,これは当該事案の原告の請求自体が元本からの充当となっており,当該事案の被告からの上告提起に対する判断として,遺族年金を元本から損益相殺した事-77-案であるから,本件に適切でない。 なお,法定充当によるべき場合においては,元本について債務者のために弁済の利益が多いとしても,まず,遅延損害金の債務に充当しなければならないものとされる(最高裁判所昭和29年7月16日第二小法廷判決・民集8巻7号1350頁参照。 )(2)したがって,被告理事ら(ただし,被告Y3については,平成11年8月1日以降に預入れ又は本件更新がされた貸付金等に限る)は,預入れ又。 は本件更新がされた時点において,当該貸付金等に係 )(2)したがって,被告理事ら(ただし,被告Y3については,平成11年8月1日以降に預入れ又は本件更新がされた貸付金等に限る)は,預入れ又。 は本件更新がされた時点において,当該貸付金等に係る不法行為責任を負うことになるから,本件配当金は,貸付金等につき預入れ又は本件更新がされた時点から本件配当がされた平成18年8月1日までの当該貸付金等に対する民法所定の年5分の割合による遅延損害金にまず充当され,その余を,当該貸付金等の元本に充当することとなり,同被告らに対する原告らの請求は,全部(ただし,被告Y3に対する請求は上記の限度において)理由がある。 (3)これに対して,被告県について検討するに,本件配当金が遅延損害金債務から充当されるべきことは,前記のとおりである。 次に,本件配当金を遅延損害金債務全部に充当した後の残額については,民法489条3号(債務者のための弁済の利益は等しいものと解される)。 に従い,弁済期が先に到来するもの,すなわち,被告理事らについての不法行為が成立した日とされる日が先のものからまず充当されるべきであると解される。 もっとも,理論的に考察すると,被告理事らについて不法行為が成立した日とは,原告らが本件破産の日(平成15年8月27日)に発生したと主張する弁護士費用を除いては,商工共済の第15回幹部会の日(平成8年2月3日)以降に原告らが初めて貸付金等の預入れをした日ということになるが,上記5で検討したとおり,この日を証拠上確定することは不可能であるから,弁護士費用の項目以外の損害の元本の項目について,同条同号によって充当-78-関係を決することはできず,一体のものとして充当関係を検討すべきである。 そして,上記の順序に従って本件配当金の残額を充当する際,これを貸付金に充当する場合においては,被告県が賠償 って充当-78-関係を決することはできず,一体のものとして充当関係を検討すべきである。 そして,上記の順序に従って本件配当金の残額を充当する際,これを貸付金に充当する場合においては,被告県が賠償責任を負うべき貸付金の4割に相当する部分以外の部分から,共済掛金については,平成8年8月より前に預け入れられた同年7月分の掛金から(すなわち,被告理事らのみが責任を負担すべき部分から,それぞれ充当すべきものと解される。なぜならば,)加害者2名が一つの事故によって被害者に対して連帯して損害賠償責任を負う場合において,加害者1名の損害賠償責任についてのみ過失相殺がされ,各加害者が賠償すべき損害額が異なることになる場合,賠償すべき額の多い加害者がしたてん補の額は被害者がてん補を受けるべき損害額から控除すべきであって,控除後の残損害額が賠償すべき額の少ない加害者が賠償すべき損害額を下回ることにならない限り,その加害者が賠償すべき損害額に影響しないものと解するのが相当である(最高裁判所平成11年1月29日第三小法廷判決・集民191号265頁参照)からである。 また,弁護士費用については,これらの貸付金等を全部充当した後に充当の問題を生ずることとなるが,これについても貸付金で述べたものと同様の取扱いをするのが相当と認める。 ,(4)これを本件について具体的に算定すると,被告県が賠償すべき損害額は別紙請求金額表の「被告県認容額」欄記載のとおりとなる。すなわち,同欄記載の金額は,以下のとおりとなる。 共済掛金(ただし,年金共済掛金中,平成8年7月までに預け入れられた掛金を除く)の全額+貸付金(ただし,同年7月までに預け入れられた。 ことが明らかな貸付金を除く)の4割相当の金額+上記で除外した貸付。 金の全額+弁護士費用(これを関数式で表すと,別紙請求 れた掛金を除く)の全額+貸付金(ただし,同年7月までに預け入れられた。 ことが明らかな貸付金を除く)の4割相当の金額+上記で除外した貸付。 金の全額+弁護士費用(これを関数式で表すと,別紙請求金額表の番号0(フォーマット)となる。 なお,個々の原告に関する請求金額表中には,これと異なる計算式が組み-79-込まれているものもあるが,計算の結果自体は変わらない)。 ただし,本件配当金が,遅延損害金(貸付金,共済掛金及び弁護士費用)並びにすべての貸付金の6割及び平成8年7月分以前の共済掛金を充当してもなお残額がある原告らについては,その残額を,貸付金の残部4割及び同年8月分以降の共済掛金に順次充当した金額が被告県が賠償すべき損害額となる(理論的には,これらをすべて充当しても本件配当金に余剰が残る場合は,弁護士費用中,被告県の負担すべき部分以外の部分から充当していくこととなるが,本件においては,そこまでの余剰が生ずる原告らは認められなかった。 。)(5)なお,別紙請求金額表中「組合借入額」欄に金額の記載がある原告ら,については,原告らが別紙請求金額表において充当するとおり,これを預入額から控除することとするが,同表の「佐賀県借入額」欄に金額の記載がある原告らについては,立替金債務がもっぱら原告らが被告県に負うべき債務であることに照らし,先立ってこれを貸付金等の金額に充当するのではなく,同表の「b預入額」欄記載の金額を元に被告県の賠償すべき損害額を確定し,その賠償すべき損害額から「佐賀県借入額」欄記載の金額を充当するのが,相当である。 この点に関連し,被告県は,原告番号46の佐賀県借入額は39万円(別紙請求金額表には37万円と記載されている,同番号58の同借入額は。)5万円(同表では零とされている)が正確であると主張するが, この点に関連し,被告県は,原告番号46の佐賀県借入額は39万円(別紙請求金額表には37万円と記載されている,同番号58の同借入額は。)5万円(同表では零とされている)が正確であると主張するが,証拠が全。 くない。 結論 以上によれば,原告らの請求は主文第1項ないし第3項掲記の限度で理由がある。 よって,主文のとおり判決する。なお,被告県の仮執行免脱宣言の申立てについては,被告県が同被告に対する認容額の5割程度の担保提供を条件にこれ-80-を認めるのが相当である。 佐賀地方裁判所民事部裁判長裁判官神山一隆裁判官田中芳樹裁判官片岡理知は転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官神山一隆(別紙添付省略)

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