令和7(行ケ)10066 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年12月23日 知的財産高等裁判所 4部 判決 請求棄却
ファイル
hanrei-pdf-95291.txt

キーワード

判決文本文10,961 文字)

令和7年12月23日判決言渡令和7年(行ケ)第10066号審決取消請求事件口頭弁論終結日令和7年11月18日判決 原告 AFURI株式会社 同訴訟代理人弁護士山 下 功一郎同訴訟代理人弁理士橘 哲男佐藤大輔 被告吉川醸造株式会社 同訴訟代理人弁護士高瀬亜富市橋景子 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 特許庁が無効2023-890074号事件について令和7年5月28日にした審決のうち、登録第6609896号の指定商品中、第32類「ビール」、第33類「全指定商品」についての登録を無効とする部分を取り消す。 第2 事案の概要 1 特許庁における手続の経過等(当事者間に争いがないか、又は当裁判所に 顕著である。) (1) 原告が商標権を有する登録第6609896号商標(以下「本件商標」という。)は、以下のとおり「AFURI」の欧文字及び「阿夫利」の漢字を上下二段に横書きした構成からなり、第32類「ビール、清涼飲料、果実飲料、飲料用野菜ジュース、ビール製造用ホップエキス、乳清飲料」及び第33類「清酒、焼酎、合成清酒、白酒、直し、みりん、洋酒、果実酒、酎ハ イ、中国酒、薬味酒」を指定商品として、令和4年5月6日に登録出願し、同年9月2日に設定登録されたものである。 (2) 被告は、令和5年9月28日、特許庁に対し、本件商標が商標法(以下「法」という。)3条1項3号又は4条1項16号、同項6号、11号、7 号 年9月2日に設定登録されたものである。 (2) 被告は、令和5年9月28日、特許庁に対し、本件商標が商標法(以下「法」という。)3条1項3号又は4条1項16号、同項6号、11号、7 号及び8号に該当すると主張して、本件商標の商標登録を無効とする審判を請求した(以下「本件審判請求」という。)。 特許庁は、本件審判請求を無効2023-890074号事件として審理し、令和7年5月28日、「登録第6609896号の指定商品中、第32類「ビール」、第33類「全指定商品」についての登録を無効とする。その 余の指定商品についての審判請求は成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年6月10日、原告に送達された。 (3) 原告は、令和7年7月8日、本件審決のうち商標登録を無効とする部分の取消しを求める本件訴えを提起した。 2 本件審決の理由の要旨 (1) 本件審決は、被告(請求人)の主張する無効理由のうち、法4条1項11号該当性について、本件商標は引用商標(登録第4651814号商標。 構成及び指定商品は別紙のとおり)に類似し、かつ、本件商標の指定商品の うち第32類「ビール」及び第33類「全指定商品」(これらの指定商品を、以下まとめて「無効対象指定商品」という。)は引用商標の指定商品と同一又は類似であるから、本件商標の商標登録のうち無効対象指定商品に関する部分は同号に該当して無効であるとし、その余の無効理由には該当しないと判断した。同号該当性に関する理由のうち、両商標の類否の判断の要旨は、 後記(2)のとおりである。 (2) 本件商標のうち「AFURI」の文字部分及び「阿夫利」の文字部分がいずれも商品の出所識別標識としての機能を有するといえるものであるが、上段の「AFURI 後記(2)のとおりである。 (2) 本件商標のうち「AFURI」の文字部分及び「阿夫利」の文字部分がいずれも商品の出所識別標識としての機能を有するといえるものであるが、上段の「AFURI」の文字は下段の「阿夫利」の読みをローマ字で表したとみるのが自然であることを考慮すると、「阿夫利」の漢字がこれに接する 者により強い印象を与えるといえる。そして、本件商標は、上段の欧文字をローマ字読みし、「アフリ」と称呼されるものであり、上段及び下段の文字がいずれも一般の辞書には掲載されていないから造語として認識・理解され、特定の観念は生じないものである。 これに対し、引用商標の称呼は「アフリオオヤマ」であり、その構成中、 「阿夫利」の文字部分から一義的には特定の観念を生じないとしても、「大山」の文字部分との関係から、全体として「(神奈川県中部にある山)阿夫利山」の観念を生ずる。 本件商標と引用商標の類否を検討すると、両商標は、「阿夫利」の部分の外観に共通する部分があるといえる。称呼については、「オオヤマ」の音の 有無で相違するから、全体の称呼においては同一ではないとしても、称呼における識別上、極めて重要な語頭において、「アフリ」の称呼を共通にする。 観念については、本件商標は特定の観念を生じず、一義的には両者の観念を比較することはできないが、構成中の「阿夫利」の文字が、大山の異称である「阿夫利山」の「山」を除いた部分に当たるものであり、他方、引用商標 を構成する、「阿夫利大山」の文字からは、上述のとおり「阿夫利山」を想 起させるものである。 以上のことを踏まえ、本件商標と引用商標の取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考慮すれば、両商標は、互いに紛れるおそれのある類似の商標というのが相 起させるものである。 以上のことを踏まえ、本件商標と引用商標の取引者・需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考慮すれば、両商標は、互いに紛れるおそれのある類似の商標というのが相当である。 3 原告の主張する取消事由 (1) 取消事由1(手続違背・請求人適格の欠如)(2) 取消事由2(法4条1項11号に関する認定・判断の誤り)第3 取消事由に関する当事者の主張 1 取消事由1(手続違背・請求人適格の欠如)【原告の主張】 被告は、本件審判請求をするに足りる利害関係(請求人適格)を有しない。 原告が被告に対して提起した東京地方裁判所令和5年(ワ)第70297号商標権侵害行為差止等請求事件(以下「別件訴訟」という。)は、本件商標とは別個の登録第6245408号の商標権(「AFURI」の欧文字からなる商標に係るもの。同商標を以下「別件商標」という。)に基づくもので ある。また、被告は引用商標の権利者でもない。よって、被告は「法律上の利益や権利的地位に直接の影響を受ける者」でないから、本件審判請求ができる法46条2項の「利害関係人」に該当しない。 【被告の主張】原告は、本件審判請求において、被告の利害関係を争っておらず、請求人適 格に関する原告の主張は採用の余地がない。 この点をおくとしても、原告は、別件訴訟等において、被告が製造販売する日本酒のラベルに付された標章「雨降(あふり)」が原告の別件商標に関する権利を侵害すると主張する、被告が有する登録商標(「雨降」の漢字からなるもの)について無効審判請求及び不正使用取消審判を請求するなどしており、 被告の事業を妨害する意図をもって、「アフリ」と称呼する本件商標に係る商 標権に基づき、被告の使用する標章「雨降」、その読み仮 無効審判請求及び不正使用取消審判を請求するなどしており、 被告の事業を妨害する意図をもって、「アフリ」と称呼する本件商標に係る商 標権に基づき、被告の使用する標章「雨降」、その読み仮名としての「あふり」、「AFURI」等に対し、何らの正当な根拠なく新たに商標権侵害訴訟等を提起するおそれがある。 したがって、被告は、本件商標に係る商標権に基づく原告からの権利行使により、法律上の利益やその権利に対する法律的地位に影響を受ける可能性があ り、「利害関係人」に該当することは明らかである。 2 取消事由2(法4条1項11号に関する認定・判断の誤り)【原告の主張】(1) 本件商標から生ずる観念についての認定の誤り原告は、平成13年から二十数年間にわたって継続して本件商標を使用 しており、本件商標は、原告が提供する商品・役務(主にラーメンの提供)を表示するものとして、取引者・需要者の間に広く知られている。その結果、本件商標は「AFURI(阿夫利)」ブランドとして確立し、一般の取引者・需要者に受け入れられ、継続して高い評価を得ている。 また、原告は、本件商標を付した日本酒720ml瓶詰及びワンカップ 瓶詰の2種類を製造・販売し、国内外の顧客に提供している。 以上の結果、本件商標は、上段の「AFURI」の文字部分と下段の「阿夫利」の文字部分が一体となって、原告が提供する商品・役務の出所を示す強力な識別標識として、取引者・需要者の間で広く定着している。したがって、本件商標からは原告ブランド「AFURI」との強い関連性を示す 観念が生じるのであり、特定の観念は生じないとした本件審決の認定は誤りである。 (2) 引用商標から生ずる観念についての認定の誤り本件審決は、引用商標について、全体として「(神奈川県 す 観念が生じるのであり、特定の観念は生じないとした本件審決の認定は誤りである。 (2) 引用商標から生ずる観念についての認定の誤り本件審決は、引用商標について、全体として「(神奈川県中部にある山)阿夫利山」の観念を生じると認定したが、一方で「阿夫利」については造語 であると認定している。これは、特定の造語にどのような語を結合しても造 語のままであるから、矛盾した判断である。引用商標に接する取引者・需要者は、せいぜい漠然、かつ、曖昧な意味合いを認識するに止まり、『神奈川県丹沢地東南端、大山の異称である「阿夫利山」』との観念を認識・理解する余地はない。 (3) 本件商標と引用商標の外観上の類否についての認定の誤り 本件商標と引用商標は共にその構成中に「阿夫利」の文字を有するものではあるが、以下のとおり、他のすべての構成要素、構成態様等が全く異なり、両商標を誤認混同するおそれは極めて低い。 ア本件商標は「AFURI」の欧文字と「阿夫利」の文字を上下二段に配置した二段併記であるのに対して、引用商標は「阿夫利大山」の文字を 縦書きに書したものである。 イ引用商標はその構成中に「大山」の文字を有するのに対して、本件商標には「大山」の文字は存在しない。 ウ本件商標はゴシック体で書されているのに対して、引用商標は筆文字風で書されている。 エ引用商標は、「阿」「夫」「利」「大」「山」の漢字5文字を筆文字風の書体により一連で縦書きに表したものであり、その構成は視覚的に構成上一体不可分なものとして認識される商標である。 (4) 本件商標と引用商標の称呼上の類否についての認定の誤り引用商標について、その構成中の一部である「阿夫利」の文字部分を抽 出し、この一部だけを引用商標と比較してそ される商標である。 (4) 本件商標と引用商標の称呼上の類否についての認定の誤り引用商標について、その構成中の一部である「阿夫利」の文字部分を抽 出し、この一部だけを引用商標と比較してその類否を判断することは許されない。引用商標より生ずる称呼は、構成文字全体に相応した「アフリオオヤマ」のみと認定・判断すべきであり、本件商標の称呼と異なる。 (5) 本件商標と引用商標の観念上の類否についての認定の誤り本件審決は、一方で、本件商標について特定の観念を生じないと認定し つつも、他方で、「阿夫利」の文字より直ちに特定の意味合いが生じないと しても、漠然と「阿夫利山」を暗示的に看取し得るなどと認定するが、これは論理的に両立し得ない結論であり、明らかに法的な合理性を欠く。 (6) 本件商標は4条1項11号に該当するとの認定の誤り本件商標と引用商標とは、外観において判然と区別し得る相違を有し、称呼においても顕著な差異があり、観念においても周知性等の具体的事実を 踏まえれば明確に異なるものである。そのため、取引の実際において両者が商品の出所について誤認混同を生じさせる蓋然性は著しく低く、両商標の類似性は否定されるべきである。 【被告の主張】(1) 本件商標から生ずる観念についての認定の誤りの主張について 原告はラーメン業界においてすら周知著名性を獲得しておらず、ラーメンとの関係性が極めて希薄な日本酒等の無効対象指定商品の取引者・需要者が、本件商標から原告及び原告ブランド「AFURI」を想起することはあり得ない。 (2) 引用商標から生ずる観念についての認定の誤りについて 引用商標は「阿夫利」の文字と「大山」の文字の結合商標であるところ、引用商標の「阿夫利」の部分は、一般に採択使用されることが想 (2) 引用商標から生ずる観念についての認定の誤りについて 引用商標は「阿夫利」の文字と「大山」の文字の結合商標であるところ、引用商標の「阿夫利」の部分は、一般に採択使用されることが想定し難い文字列であって、日常的に触れる言葉ではなく、取引者・需要者に対し強く支配的な印象を与える。その一方で、「大山」は一般的に使用されている言葉であり、取引者・需要者が当該語によって特定の出所を識別することはない。 そのため、引用商標において、「阿夫利」の文字部分を抽出して類否判断を行うことが許される。 そして、「阿夫利」は、日本国内においては、神奈川県伊勢原市に位置する「阿夫利山」及びその近郊地域にのみ用いられているから、取引者・需要者は、引用商標から阿夫利山及び阿夫利山が存する近郊地域を想起するもの である。 (3) 本件商標と引用商標の外観上の類否についての認定の誤りについてア本件商標は各構成部分が不可分的に結合しているものと認められないところ、本件商標において取引者・需要者に対し出所識別標識として強く支配的な印象を与える部分は「阿夫利」の文字である。 そして、上記のとおり、引用商標においては、「阿夫利」の文字部分を 抽出して、類否判断を行うことが許される。 そうすると、本件商標と引用商標は、「阿夫利」の漢字で構成されている点が共通し、外観において類似している。 イ仮に、本件商標と引用商標の全体とで外観の類否判断を行うとしても、「阿夫利」という出所識別標識として強く機能する部分が共通している ため、構成文字、「大山」の有無、書体及び書字方向という相違点は当該共通点による印象を凌駕するほどの差異ではない。 (4) 本件商標と引用商標の称呼上の類否についての認定の誤りについて引用商標で ため、構成文字、「大山」の有無、書体及び書字方向という相違点は当該共通点による印象を凌駕するほどの差異ではない。 (4) 本件商標と引用商標の称呼上の類否についての認定の誤りについて引用商標では「阿夫利」の部分を抽出して類否判断することが許されるのであるから、引用商標からは「アフリ」の称呼が生じるものであり、本件 商標及び引用商標の称呼は共通する。 仮に、本件商標と引用商標の全体とで類否判断を行うとしても、語頭の「アフリ」が共通しており、両者の称呼は類似している。 (5) 本件商標と引用商標の観念上の類否についての認定の誤りについて本件商標の構成中の「阿夫利」の部分について、取引者・需要者は、阿 夫利山及び阿夫利山が存する近郊地域を想起する。 同様に、引用商標も、その「阿夫利」部分から、阿夫利山及び阿夫利山が存する近郊地域を想起させる。 したがって、本件商標と引用商標は、観念において共通する。 (6) 本件商標は法4条1項11号に該当するとの認定の誤りについて ア本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念が共通するものであり、か つ、本件商標の指定商品中、無効対象指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品である。よって、本件商標は、無効審判対象指定商品について付された場合、出所の混同が生じ、両者は類似するため、法4条1項11号に該当する。 イ仮に、本件商標と引用商標の全体によって類否を判断するとしても、外 観、称呼及び観念において共通する点があるから、類似する商標といえる。 第4 当裁判所の判断 1 取消事由1(手続違背・請求人適格の欠如)について原告は、被告が本件審判請求についての利害関係(請求人適格)を有しない と主張する。 そこで判断すると、法46条2項は、商標 所の判断 1 取消事由1(手続違背・請求人適格の欠如)について原告は、被告が本件審判請求についての利害関係(請求人適格)を有しない と主張する。 そこで判断すると、法46条2項は、商標登録の無効の審判は利害関係人に限り請求することができる旨を定めているところ、証拠(乙1、6、7。なお、枝番の記載は省略する。以下同じ。)及び弁論の全趣旨によれば、原告は、別件訴訟等において、被告が製造販売する日本酒のラベルに付された標章「雨降 (あふり)」が、原告の別件商標に関する権利を侵害すると主張していること、原告は、被告が有する登録商標(「雨降」の漢字からなるもの)について無効審判請求(無効2022-890068)をし、請求不成立審決がされるとこれに対して取消訴訟(当庁令和5年(行ケ)第10122号)を提起し、同訴訟において請求が棄却されると、今度は同商標について不正使用取消審判(取 消2024-300477)を請求したことが認められる。 上記事実関係によれば、被告による上記登録商標に係る商標等の使用について、原告が別件商標と構成の一部が同一である本件商標に係る商標権を行使する可能性が十分に考えられる。そうすると、被告は、本件商標に係る商標権の存在によって法律上の利益に直接の影響を受ける可能性があり、本件審判請求 をし得る利害関係人であると認めるのが相当である。 したがって、取消事由1に関する原告の主張は、採用することができない。 2 取消事由2(法4条1項11号に関する認定・判断の誤り)について(1) 本件商標と引用商標の観念上の類否についてア原告は、本件商標を構成する「AFURI」及び「阿夫利」の文字は、単なる造語として認識・理解されるべきものではなく、原告が提供する 商品・役務の出所を示 標と引用商標の観念上の類否についてア原告は、本件商標を構成する「AFURI」及び「阿夫利」の文字は、単なる造語として認識・理解されるべきものではなく、原告が提供する 商品・役務の出所を示す強力な識別標識として認識されることを前提に、引用商標とは観念が類似しない旨主張する。 そこで判断すると、証拠(甲3、4、33~38、59~70、72、73)及び弁論の全趣旨によれば、原告が本件商標の構成中の「AFURI」ないし「阿夫利」の文字を店名に冠しつつ展開するラーメン事業 については、国内外に三十前後の店舗を構え、直近5年間の売上高は多いときで28億円を超えるものであり(令和6年度実績)、宣伝広告費についても2000万円以上を計上する年があり、テレビや雑誌などで多数回にわたり紹介されていることが認められる。こうした点に鑑みれば、原告が展開するラーメン事業に関しては、本件商標の構成中の「A FURI」ないし「阿夫利」の文字は、取引者・需要者の間で一定の知名度を有していると認められる。 もっとも、無効対象指定商品との関係では、原告は、本件商標の構成中の「AFURI」及び「阿夫利」の文字を瓶のラベルに貼った日本酒2種類を製造販売しているものの、令和4年までにわずかに合計360 ケース製造しているのみであり、販売についても、国内4店舗、国外5店舗で販売し、ECサイトで小売販売をしているのみである(弁論の全趣旨)。また、本件証拠を精査しても、上記日本酒の販売にかけた宣伝広告費は不明であるし、メディアやマスコミで紹介されたことを示す資料は見当たらない。そうすると、無効対象指定商品との関係で、原告が 主張する原告ブランド「AFURI」の知名度は不明といわざるを得ず、 取引者・需要者において、本件商標から当該ブ 資料は見当たらない。そうすると、無効対象指定商品との関係で、原告が 主張する原告ブランド「AFURI」の知名度は不明といわざるを得ず、 取引者・需要者において、本件商標から当該ブランドの観念が生ずるということはできない。 イ一方、後掲の証拠及び弁論の全趣旨によれば、原告は、自身のウェブサイトにおいて、そのラーメン事業につき「阿夫利山から生まれた、黄金色の一杯」、「阿夫利山の恵みを受けて、生まれたAFURI」などと 紹介していること(甲4)、「阿夫利」の語は一般の辞書等に掲載されているものではないが、「阿夫利山」は神奈川県中部にある「大山」という山の異称であり、その周辺地域を表す名称として「阿夫利」ないし「あふり」の語が校歌、商品名等の一部に用いられていること(甲8~11、15~17)が認められる。そうすると、本件商標に接する取引 者・需要者のうち少なくとも一部の者は、「阿夫利山」ないし「大山」を想起すると解することができる。 ウ次に、引用商標から生ずる観念についてみると、引用商標はほぼ同じ大きさ・書体の漢字5文字を縦書きに表記したものであるから、基本的にはその全体をもって観念を認定すべきところ、「阿夫利大山」の文字が 一般の辞書等に掲載された用語であるとは認められない。しかし、証拠(甲8、17、24、28、74)によれば、引用商標の構成中の「大山」の文字は、「神奈川県中部にある山」、「雨降山(あふりやま)」、「阿夫利山」を意味するものとして辞書に掲載されている用語であること、実際に、「阿夫利山」を意味するものとして「大山」の用語が用い られている例があることが認められる。そうすると、引用商標の「阿夫利大山」については、これが「阿夫利」と「大山」の2語からなるものであるとしても、「阿夫 味するものとして「大山」の用語が用い られている例があることが認められる。そうすると、引用商標の「阿夫利大山」については、これが「阿夫利」と「大山」の2語からなるものであるとしても、「阿夫利大山」全体として、神奈川県中部にある大山の異称である「阿夫利山」を観念として想起させるというのが相当である。 エ以上認定の本件商標及び引用商標のそれぞれから想起される観念に照ら すと、両者は一定程度の類似性を有するということができる。 (2) 本件商標と引用商標の外観上の類否について本件商標と引用商標は、その外観において「阿夫利」という漢字の文字を共通にし、他方で、横書きと縦書き、書体の違い、読みを表した欧文字「AFURI」の有無及び「大山」の文字の有無において相違する。この点 を踏まえて両者の類否について検討すると、まず、本件商標はその構成からして上下二段に分けて認識されるものであり、その構成中、上段の「AFURI」の部分は下段の「阿夫利」の読みをローマ字で表したものとみられること、「阿夫利」の文字が一般の辞書に掲載されていない語であることからすると、この「阿夫利」の構成が出所識別標識として強く支配的な印象を与 える部分であるといえる。 一方で、引用商標については、上記のとおり、基本的にはその全体をもって類否の判断をすべきものであるが、「阿夫利」の部分が一般に採用されることが想定し難い文字列であるのに対し、「大山」の部分が平易な漢字であること、「大山」の語と他の語を組み合わせた商品名が無効対象指定商 品に用いられた例が複数あること(乙12)を考慮すると、引用商標のうち「大山」の部分が取引者・需要者の注意を強く引くとは考え難い。そうすると、両商標は、外観上、一定程度の類似性を有するといえる。 ( に用いられた例が複数あること(乙12)を考慮すると、引用商標のうち「大山」の部分が取引者・需要者の注意を強く引くとは考え難い。そうすると、両商標は、外観上、一定程度の類似性を有するといえる。 (3) 本件商標と引用商標の称呼上の類否について本件商標の構成のうち、強く支配的な印象を与える「阿夫利」の部分の 称呼は「アフリ」であり、引用商標の称呼は「アフリオオヤマ」であるから、両商標は全体の称呼において「オオヤマ」の音の有無で相違する。しかし、両商標は、語頭における称呼を共通にするものであり、この共通性は識別上、重要であると考えられるから、称呼においても一定程度の類似性を有するというのが相当である。 (4) 本件商標の法4条1項11号該当性について ア以上を踏まえると、本件商標と引用商標は、その構成中の「阿夫利」の文字について共通し、観念、外観及び称呼のいずれについても一定程度の類似性を有している。なお、本件の関係各証拠上、各商標を付した無効対象指定商品についての誤認混同の有無など具体的な取引状況は明らかではない。こうした点に加え、両商標の外観上の共通部分である「阿 夫利」が一般に採用されることが想定し難い語であることを考えると、無効対象指定商品の需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考慮すれば、本件商標は引用商標と互いに紛れるおそれがある商標であると判断することが相当である。 これに対し、原告は両商標が非類似であることを主張するが、「AFU RI」ないし「阿夫利」の語が無効対象指定商品との関係でも広く知られていることを前提とするものであり、以上に説示したところに照らし、これを採用することはできない。 イ本件商標の指定商品中、無効対象指定商品は、引用商標の指定商品である第 品との関係でも広く知られていることを前提とするものであり、以上に説示したところに照らし、これを採用することはできない。 イ 本件商標の指定商品中、無効対象指定商品は、引用商標の指定商品である第33類「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」と同一又は類似の商品である。 ウ そうすると、原告の取消事由2に関する主張は採用できず、本件商標の法4条1項11号該当性に関する本件審決の判断は相当である。 3 結論 以上のとおり、本件審決についての原告の取消事由に関する主張は採用できず、そのほかに本件において本件審決を取り消すべき事由は認められない。 よって、原告の請求は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 長谷川浩二 裁判官 岩井直幸 裁判官 安岡美香子 (別紙)引用商標 指定商品: 第33類「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」 中国酒、薬味酒。

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る