令和1(ネ)2247 損害賠償請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和2年1月22日 東京高等裁判所 棄却 東京地方裁判所 平成30(ワ)3191
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判決文本文18,299 文字)

- 1 - 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 なお,原判決主文第1項は,被控訴人の請求の減縮により,「控訴人は,被控訴人に対し,10億2536万0779円及びこれに対する平成30年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。」と変更されている。 3 控訴費用は,控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決中控訴人敗訴部分を取り消す。 2 前項の取消しに係る部分につき,被控訴人の請求を棄却する。 第2 事案の概要 本件の原審において,被控訴人は,宗教法人法の規定による解散命令を受けた後に東京地方裁判所から破産法(平成16年法律第75号)附則2条の規定による廃止前の破産法(大正11年法律第71号。以下「旧破産法」という。)の規定により破産を宣告する決定を受けた宗教法人であるオウム真理教の破産管財人との間で控訴人がした合意による金銭の支払を内容とする債権を上記の破産管財人から譲り受けたとして,控訴人に対し,10億2953万4779円及びこれに対する支払の催告の後の日である平成23年8月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた。 原審は,被控訴人の請求について,10億2953万4779円及びこれに対する訴状の送達の日の翌日である平成30年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で認容し,その余を棄却したところ,控訴人が本件控訴を提起した。 なお,被控訴人は,当審において,請求の元本の額を10億2536万0- 2 -779円に減縮する訴えの変更をした。 2 前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり補正し,後 。 なお,被控訴人は,当審において,請求の元本の額を10億2536万0- 2 -779円に減縮する訴えの変更をした。 2 前提事実,争点及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり補正し,後記3のとおり当審における控訴人の主な補充主張を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」中,第2の2ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決4頁26行目の「平成12年合意を次のような」を「平成12年合意の第4項)に基づく協議の申入れにより協議した結果,平成12年合意の弁済方法について見直し改定することとして,同方法を以下の」と改める。 同5頁1行目の「という。」を「といい,同合意の第2の1ないし4の各定めを,それぞれその順号に応じ「改定条項第1項」のようにいう。」と改め,同頁26行目の「という)。」の次に「本件債権譲渡に係る合意書(甲8)の第2条(条件)には,①「前条による債権譲渡(本件債権譲渡)の条件は,現在乙(被控訴人)が,現集団(控訴人)との間で協議中の「オウム真理教犯罪被害者等を救済するための給付金支給に関する法律」の施行に伴って,破産債権者として届出しなかった被害者に対しても,債務引受に関する合意等が後日成立した場合,甲(破産管財人)の現集団(控訴人)に対する債権も乙(被控訴人)が債権者の地位を取得するために移管することとし,これがため乙(被控訴人)と現集団(控訴人)との合意が成立した場合は,第1条の債権譲渡(本件債権譲渡)は本日に遡ってその効力を失うとするものである。」(1号),②「甲(破産管財人)の現集団(控訴人)に対する債権の移管に伴って,乙(被控訴人)が債権者の地位を取得するのは,現集団(控訴人)が被害者債権者に対して有する賠償債務に相当するものに限ることとし,その他の破産債権者に対しては,破産 訴人)に対する債権の移管に伴って,乙(被控訴人)が債権者の地位を取得するのは,現集団(控訴人)が被害者債権者に対して有する賠償債務に相当するものに限ることとし,その他の破産債権者に対しては,破産手続の終結により終了するものとする。」(2号)との定めがあった。」を加える。 同6頁9行目の末尾の次に次のとおり加える。 - 3 -「なお,上記書面には,「本職が貴団体に対して有する平成12年7月6日付及び平成17年9月7日付の合意書の趣旨に基づく債権につきましては,東京地方裁判所の許可の下で,本日付をもって後記オウム真理教犯罪被害者支援機構に譲渡いたしますので,今後,同上機構に支払われるよう通知いたします。」と記載されていた。 本件破産事件の終結平成21年3月19日,本件破産事件は終結した(甲11,28の3)。」同6頁同頁13行目の「残債務」を「その余の残債務件債権のうち9億6000万円を除く部分」という。)」と,同行目の「協議をするよう」を「協議を開始するよう」と,26行目末尾の次を改行し次のとおり加える。 配当等の実施被控訴人は,平成18年7月10日頃,本件破産事件の第3回中間配当に際し,人身被害者債権者に対し,同事件における確定債権額及び配当率に応じ,破産手続とは別に,一般からの寄付等によって受領した金員約3051万円余りの支払(以下被控訴人が人身被害者債権者に対してする同種の支払を「配当」ということがある。)を実施した(甲25)。 また,被控訴人は,令和元年6月27日の通常総会において,人身被害者債権者に対し,約3億5000万円の配当をすることを決定し,その旨の通知の手続を開始した。」同8頁13行目の「に行われる」を「が行われる」と改める。 同11頁16行目の「原告に対し」 被害者債権者に対し,約3億5000万円の配当をすることを決定し,その旨の通知の手続を開始した。」同8頁13行目の「に行われる」を「が行われる」と改める。 同11頁16行目の「原告に対し」を「サリン事件等共助基金に対し」と改める。 同12頁4行目の「本件訴え」の次に「の当初」を加える。 - 4 - 3 当審における控訴人の主な補充主張被控訴人の当事者適格の不存在について平成12年合意は,等から明らかなように,控訴人と本件破産事件における破産財団との間で,控訴人が破産財団に対してその残債務全額を引き受けることにつき合意したものである。破産管財人は,破産者が有する財産の集合体である破産財団の管理処分権を一時的に付与されるにすぎず,自ら財産的利益を享受する財産帰属主体ではない。破産管財人は,控訴人に対して破産債権の「残債権」を取得し保持したことはないから,当然に,被控訴人は,控訴人に対して支払を請求できる破産債権の「残債権」を取得したことも保持したこともない。そうすると,本件訴えの請求の根拠となる債権自体が虚構であるから,被控訴人は,本件訴えの訴訟物を控訴人に請求し得る当事者適格を欠いている。 平成12年合意の不成立又は無効等についてア前記る破産財団との間で,控訴人が破産財団に対してその残債務全額を引き受けることにつき合意したものであり,これが債務引受として成立し得ないものであるとすると,そもそも契約として不成立であるというべきである。 イ平成12年合意は,破産管財人から,同合意を締結しなければ,特定破産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法(以下「破産特別措置法」という。)を適用し,控訴人及びその構成員らの財産を破産者の財産とみなして破産財団に組み入れると脅迫され,そうなれば, 産法人の破産財団に属すべき財産の回復に関する特別措置法(以下「破産特別措置法」という。)を適用し,控訴人及びその構成員らの財産を破産者の財産とみなして破産財団に組み入れると脅迫され,そうなれば,控訴人にあっては存在し得なくなり,構成員も信仰を放棄せざるを得なくなることから,これに畏怖して,控訴人においてやむを得ず同合意を締結することを余儀なくされたものであり,破産管財人の脅迫は,控訴人及びその構成員の存在そのものを否定するほどの強度のものであって,控訴人において単に恐喝によ- 5 -り自由意思を失わしめられた程度にとどまらず,控訴人をして意思能力そのものを失わせるほどの重篤なものであったから,効果意思を欠く意思表示であって,意思表示そのものが存在せず,無効である。また,上記の事情により,同合意は,恐喝に基づくものであって,無効であり,そうでなくても,控訴人は,令和元年10月9日の当審における口頭弁論期日において,これを取り消す旨の意思表示をした。 ウ控訴人は,法的にはオウム真理教と無関係であり,本来何の債務も負っていないにもかかわらず,平成12年合意は,破産特別措置法の下で事実上破産者と同等に扱われていた控訴人についてされたもので,その自由な意思で結ばれた任意弁済合意とは到底いえないものであり,破産者が破産手続中に自由財産の中からした破産債権に対する弁済が任意の弁済とされる場合に関する判例(最高裁平成17年(受)第1344号同18年1月23日第二小法廷判決・民集60巻1号228頁。以下「平成18年最判」という。)に反するものであって,無効である。 エ本件の中心的で核心的な争点は,被控訴人の被害者らへの配当義務の存否である。この点に関しては,被控訴人の設立当時の報道等や,平成18年6月8日付けで破産管財人,被控訴人及びサ て,無効である。 エ本件の中心的で核心的な争点は,被控訴人の被害者らへの配当義務の存否である。この点に関しては,被控訴人の設立当時の報道等や,平成18年6月8日付けで破産管財人,被控訴人及びサリン被害者等共助基金の間で交わされて後に破産裁判所の承認も得た合意確認書(乙26)には,サリン被害者等共助基金から被控訴人に移管された預り金については被控訴人において配当を行うことが明確に義務付けられており,破産裁判所はこの合意確認書があったからこそ本件債権譲渡も許可したものと考えられること等に照らすと,被控訴人は被害者等に対する配当義務を負っているものというべきである。ところが,被控訴人は,定款において,被害者や加害者側関係者らからの多額の寄付があったにもかかわらず,渡すことを業務目的として規定していなかった。そして,実際,控訴人が求め続けたのに,配当を行わず,既に少なくとも1割近くの被害者と連絡が取れなくなる状況を招く一方,被- 6 -控訴人の代理人である弁護士らは,控訴人の資金力を絶ち経済的な基盤を奪うことが次のテロを防ぐ手段の一つなどと公言しており,自ら配当を行うことをせずに控訴人から収奪することのみを目的としている。 仮に,平成12年合意が債務負担契約であって配当を義務としないものであるというのであれば,控訴人は,飽くまで破産債権者に対する配当実現のための債務引受契約であると信じて破産管財人との合意に応じたのであり,この控訴人の意思と合致していないから,平成12年合意そのものが錯誤無効である。 また,もし,破産管財人が,配当を義務としない契約であることを認識しながらそのことを秘し,控訴人に破産債権者に対する配当実現のための債務引受契約であると誤認させて平成12年合意を締結させたのであれば,欺罔行為であり,詐欺である を義務としない契約であることを認識しながらそのことを秘し,控訴人に破産債権者に対する配当実現のための債務引受契約であると誤認させて平成12年合意を締結させたのであれば,欺罔行為であり,詐欺であるから,取り消されるべきである。 オアに述べたように,平成12年合意は,控訴人と破産者という第三債務者と債務者の間の重畳的な債務引受契約である。破産手続の結了に伴う破産法人の消滅により,破産債権者に対する破産者の主たる債務が消滅しているのであるから,これに随伴して当然に従たる債務者である控訴人の債務も消滅している。そして,本件債権譲渡は,既に消滅した債権の譲渡であって,無効である。 カ平成12年合意の法的性質が仮に債務引受契約又は後に述べるような信託的財産譲渡契約と認められなくとも,平成12年合意は,その契約の前提及び契約成立の条件からして破産管財人ないし破産財団自身に利益を与えるための無条件の贈与契約ではあり得ない以上,控訴人からの弁済金を破産債権者に配当することを負担とする負担付贈与契約である。そして,負担付贈与契約に準用される同時履行の抗弁権(民法553条,533条)に基づいてこれを行使した控訴人の期限付きの催告に対し(原審における平成30,期限内に一切応答をしなか- 7 -ったのであるから,同契約は,控訴人によって同年10月8日限り解除された。既に無効となった平成12年合意に基づく債権を譲渡されたとする被控訴人の本件の請求には,理由がない。 キ仮に平成12年合意の法的性質が無条件の贈与契約だとしても,控訴人は営利活動を行っておらず,寄付金(賠償)の原資は信者からの布施しかなく,それを確保するためには布教活動を維持継続しなければならないところ,被控訴人は,控訴人の活動を妨害し,本件債権譲渡に関する合意書を隠匿したほか,本 ず,寄付金(賠償)の原資は信者からの布施しかなく,それを確保するためには布教活動を維持継続しなければならないところ,被控訴人は,控訴人の活動を妨害し,本件債権譲渡に関する合意書を隠匿したほか,本来は非公開である調停の内容も漏えいし,一般債権者から債権譲渡を受けていたのにこれを偽るなどの著しい背信・忘恩行為をしている。平成12年合意及び平成17年合意の当時には想定されなかった被控訴人による重大かつ深刻な著しい背信・忘恩行為により,控訴人は,贈与の未履行分である本件請求債権分から他からの支払分を控除したものについては,取消しの権利を留保していると考えることができる。被控訴人が行った重大な欺罔と背信は,受遺欠格(民法891条4号及び5号)に準ずる事由と認められ,本件の請求の根拠となっている平成12年合意は,控訴人によって取り消されたから,被控訴人の本件の請求には理由がない。 ク破産管財人は,被控訴人に対して本件債権譲渡をするのに際し,本件破産事件の手続を結了させる等のこととの関係でそれを「緊急避難」と表現し記の結了後の支払について控訴人との間における合意が成立に至らなかったのは,控訴人のあずかり知らないところで平成12年合意の定めに反して上記の手続を回収が終わらないのに結了させることとして本件債権譲渡が行われ,破産管財人及び被控訴人が,その効力を遡って失わせるために,控訴人に対して譲渡の対象となった債権が人身被害者債権者分に限られてい)- 8 -を秘して以後の支払に関する合意の早期の締結を強く迫るなど,信頼関係を破壊する言動を繰り返したことにある。このようなことにより,平成12年合意の基礎となった相互の信頼関係が破壊されてしまった以上,平成12年合意は失効したというべきである。 本件債権譲渡の無効等についてア控訴人と破 ことにある。このようなことにより,平成12年合意の基礎となった相互の信頼関係が破壊されてしまった以上,平成12年合意は失効したというべきである。 本件債権譲渡の無効等についてア控訴人と破産管財人との間で締結された平成12年合意において控訴人が負っている義務は,被害者の被害救済に資するため破産者を援助しようとする情誼的なものであって,破産者の破産債権者に対する義務を法的に負担しようとするものではなく,その効果は破産者と控訴人との間にのみ生ずるものであって,破産者がこれを第三者に譲渡できる性質のものではないから,本件債権譲渡は無効である。 イ仮に債務引受契約としての平成12年合意によって何らかの意味での債権が破産管財人に帰属するとしても,同合意は,あくまで法が定める公的機関としての破産管財人が破産財団に対する債務引受契約として控訴人と締結したものである以上,同合意に基づくいかなる債権も公的機関としての破産管財人の職責に基づく配当等の義務と不可分であり,その性質上譲渡が許されない債権(民法466条1項ただし書)に該当する。また,平成12年合意は,破産管財人が,破産債権者に公平公正な配当を行うことを契約の前提ないし契約成立の条件としているところ,被控訴人は自らの配当の義務を否定しており,本件債権譲渡は平成12年合意の前提ないし成立の条件に反している。このように,本件債権譲渡は,無効であり,被控訴人による本件の請求は失当である。 ウ原判決は,平成12年合意の第1項に基づく債権のみが被控訴人に譲渡されたと判示しているが,平成12年合意は,第1項4号において,「第2項以下の支払約定と一体となった債務引受であること」と確認されているとおり,全条項の一体性を自ら規定しており,条項の一部だけ- 9 -を切り取って取り扱える性質の は,第1項4号において,「第2項以下の支払約定と一体となった債務引受であること」と確認されているとおり,全条項の一体性を自ら規定しており,条項の一部だけ- 9 -を切り取って取り扱える性質のものではない。これは,条項の一部を切り離すことについて「当事者が反対の意思を表示した」(民法466条2項)場合に該当し,第1項に係る債権のみを譲渡し,破産財団への組み入れや破産債権者への配当(第3項)等を規定した他の条項を切り離した本件債権譲渡が無効であることは,明らかである。 エ平成12年合意の法的性質は,仮に債務引受契約ではないとしても,控訴人を委託者,破産管財人を受託者,破産債権者を受益者とする信託的財産譲渡契約である。そして,平成12年合意の信託行為の定めに反して,契約が履行されている途上で,受託者としての任務を放棄して破産手続を結了させ,同合意第4項において破産手続結了後の新受託者と定められていたサリン事件等共助基金ではなく被控訴人を新受託者として債権譲渡を行った破産管財人による本件債権譲渡は,無効である。よって,本件債権譲渡を根拠とする本件の請求には理由がない。 オ仮に債務引受契約としての平成12年合意が契約の態様としては第三者のためにする契約とみなし得るとしても,この場合,破産管財人は当事者であって,第三者ではなく,第三者である被害者債権者以外に,受益の意思表示をすることはできない。したがって,破産管財人から被控訴人に対する本件債権譲渡は無効である。 カ既に述べたように,本件債権譲渡は,控訴人のあずかり知らぬ破産管財人や被控訴人等の都合により,平成12年合意の定めに反してされたもので,何ら落ち度のない控訴人に一方的に不利益を生じさせる理不尽極まりな債務引受をするものとされた「破産債権の残債務全額」は,人身被害者債 被控訴人等の都合により,平成12年合意の定めに反してされたもので,何ら落ち度のない控訴人に一方的に不利益を生じさせる理不尽極まりな債務引受をするものとされた「破産債権の残債務全額」は,人身被害者債権者による届出債権額のみならずその他の一般債権者に係るものを含めたものであるところ,本件債権譲渡は,公正中立たるべき破産手続の下で行われたものでありながら,破産手続結了から平成12年合意第2項- 10 -イ)に基づく支払が所定の金額である9億6000万円に達した平成27年までの6年のうちに控訴人らから支払われた金員2億数千万円については,人身被害者債権者以外の一般債権者らは,破産手続結了とともに本来ならば受け取ることができたその配当対象から除外されることになるなど,不適正かつ不公平な清算を行うものであって,民法の大原則である「債権者平等の原則」に違反していた。このように,本件債権譲渡は,公序良俗等に反するから,無効である。 キ本件債権譲渡に係る合意(甲8)においては,第2項(条件)1号(前提年合意及び平成17年合意と同様の合意がされた場合には本件債権譲渡は遡ってその効力を失う旨の解除条件が定められていたところ,被控訴人は,その配当義務を否定した結果,調停を経ても控訴人との間に上記の合意を成立させることができず,上記の合意を行うことを自ら放棄してきたものというしかなく,自ら積極的に解除条件を成就させたに等しいというべきであって,本件債権譲渡は失効しているというべきである。 本件訴えにおける請求の不特定等についてア被控訴人は,本件訴えの提起よりも10年前の交渉の当時から本件訴状におけるまで,平成12年合意の法的性質につき,債務引受であると説明してきたのに,本件訴えの審理の中途において,これと異なり,債務負担契約や贈与契約である 提起よりも10年前の交渉の当時から本件訴状におけるまで,平成12年合意の法的性質につき,債務引受であると説明してきたのに,本件訴えの審理の中途において,これと異なり,債務負担契約や贈与契約であると主張しているところ,これは,禁反言の法則に反し,信義則違反でもある。そして,被控訴人の請求に係る債権の法的性質に関する主張は,上記のような主張の変更後も,根拠をもって示されておらず,贈与ア参照)と請求に係る金額の計算方法との間にも矛盾が見られ,主張として失当である。 イ被控訴人のいう債務負担契約という場合の「債務」とは,債務引受契約におけるのとは異なり,平成12年合意及び平成17年合意における合意書の- 11 -記載内容とは完全に切り離されて,全くの創設的なものとなっているのであるから,本件訴えで請求に係る10億円余りの請求権が本件訴状に記載された損害賠償請求権に結びつくこともなく,債務負担契約の法律上の意味内容が不明確であることも併せると,どのような訴訟物かは全く特定されていないことになる。 ウ本件訴えの請求の基礎となる債権は特定されていないところ,原判決は,これを争点としておらず,審理不尽である。 すなわち,破産管財人から被控訴人に対して譲渡された債権が,平成12年合意ないし平成17年合意のどの部分に該当するのか判然とせず,請求は失当である。 当審における請求額からの控除等に関する追加主張についてア被控訴人は,平成12年合意の法的性質につき贈与契約と主張するところ,これを前提とすれば,平成12年合意の時点で確定した贈与契約に基づく債権額(41億8994万2062円)から,少なくとも,平成12年合意以降に控訴人が破産管財人とサリン事件等共助基金にそれぞれ支払った金額,その他被控訴人が自ら控除を認めた金額,破産手続 約に基づく債権額(41億8994万2062円)から,少なくとも,平成12年合意以降に控訴人が破産管財人とサリン事件等共助基金にそれぞれ支払った金額,その他被控訴人が自ら控除を認めた金額,破産手続の終結決定の時点までに取り下げられた債権額及び破産手続の終結決定の時点で終了した債権額を差し引くことにより算出されるべきであるが(その結果は,9億1198万8808円となる。),被控訴人の計算方法は,平成12年合意を債務引受契約と捉えた上で計算したものにほかならず,矛盾しており,被控訴人の計算方法は失当である。 イ本件債権譲渡に係る債権額とされる22億7214万9215円については,被控訴人は,破産裁判所において認定された人身被害者債権者1203件分に係る債権額の合計38億2288万6207円から債権者に配当された15億5073万6992円を控除したものと主張しているが(前記- 12 -終了計算書の資料2の記載(乙12)によれば,人身被害者債権者に係る債権額は1213件分の合計38億2943万8562円であり,これに対応する配当額は14億0955万4000円であって,被控訴人の主張と矛盾が生じており,その請求する金額は正当な根拠を欠いている。 ウ仮に平成12年合意が贈与契約であるとするのであれば,本件破産事件において人身被害者債権者に配当されたものとして本件における請求額から控除された15億5073万6992円(原判決11頁8ないし9行目)は,諸費用合計4億8201万3937円が控除された後の金額であるところ(乙13),この4億8201万3937円には,破産管財人の報酬総額1億5225万8846円等が含まれており,破産管財人の報酬等は,平成12年合意を贈与契約とした場合に控訴人が債務者として負担すべき弁済の費用には含まれないから 3937円には,破産管財人の報酬総額1億5225万8846円等が含まれており,破産管財人の報酬等は,平成12年合意を贈与契約とした場合に控訴人が債務者として負担すべき弁済の費用には含まれないから,同報酬等の人件費について控訴人の負担とされるべきいわれはない。したがって,平成12年から平成20年までの諸経費合計1億3463万0704円については,本件の請求額から控除されるべきである。 エまた,本件債権譲渡に係る合意書(甲8)の別紙2により控除することとされたサリン事件等共助基金と被控訴人からの1億3406万8540円の支払については,本件の請求額から控除されるべきである。 オ本件においては,被控訴人自ら控除を認めた金額のほか,以下の金額についても控除されるべきである。 元信者Aが刊行した書籍の印税の寄付に係る分 本件債権譲渡に係る合意書(甲8)1条のただし書記載の「サリン事件等共助基金よりの移管金相当額」 被控訴人の全ての銀行口座に入金される金員のうち,債務者の損害賠償債務に充当する趣旨ではないと明確に確認できるものを控除した金額- 13 -第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,当審における請求の減縮後の被控訴人の請求については,控訴人に対し,上記の減縮後の10億2536万0779円及びこれに対する平成30年2月10日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求める限度で理由があり,その余は理由がないものと判断する。その理由は,当審における控訴人の主な補充主張も踏まえ,次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」中,第3の1ないし6に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決17頁19行目の「主張は,」の次に「当審における主なに係るものを含め,」を,同頁20 ほかは,原判決の「事実及び理由」中,第3の1ないし6に記載のとおりであるから,これを引用する。 原判決17頁19行目の「主張は,」の次に「当審における主なに係るものを含め,」を,同頁20行目末尾の次に次のとおりそれぞれ加える。 「(なお,控訴人は,破産管財人は財産的利益を享受する財産帰属主体ではない旨の主張をするが,破産財団の管理及び処分についての権利は破産管財人に専属し(旧破産法7条),破産管財人は,職務上,自己の名において破産財団に属する財産の処分をすることができ,破産裁判所の許可等を得て破産財団に属する債権の譲渡も行うことができる(同法197条8号,198条1項)のであるから,控訴人の主張がこれとは異なる法律関係を前提とするものとすると,前提を欠くというほかない。)」同18頁1行目ないし2行目の「破産管財人に対する」を削り,同頁5行目の「末日までに」の次に「分割して」を加える。 同19頁23行目の末尾の次を改行し次のとおり加える。 「 ア控訴人は,平成12年合意が債務引受として成立し得ないものであるとすると,そもそも契約として不成立であるというべきである旨を主張 - 14 - 000万円につき平成17年6月7日までに5億6781万5715円を支払い,その残額の支払について,破産管財人との間で平成17年るほか,平成12年合意に係る本件債権のうち9億6000万円を除く部分の取扱いに関して破産管財人及び被控訴人と交渉をしてきたことも自認しているところであって,平成12年合意については,その定める内容等につきなお問題となる点が残るとしても,成立したものと認めるのが相当である。控訴人の主張は採用することができない。 イ控訴人は,平成12年合意は,破産管財人から,破産特別措置法の適用に関し脅 容等につきなお問題となる点が残るとしても,成立したものと認めるのが相当である。控訴人の主張は採用することができない。 イ控訴人は,平成12年合意は,破産管財人から,破産特別措置法の適用に関し脅迫を受けて締結することを余儀なくされたものであり,無効である旨等を主張する。 しかし,控訴人の主張するところを踏まえて一件記録を参照しても,平成12年合意に至る過程において控訴人が主張するような破産管財人による被控訴人に対する脅迫の事実の存在は認め難い。控訴人の主張は採用することができない。 ウ控訴人は,平成12年合意について,控訴人の自由な意思で結ばれた任意弁済合意とはいえず,平成18年最判に反するものであり,無効である旨を主張する。 しかし,被控訴人による本件債権についての弁済は,破産者が破産手続中に自由財産の中から破産債権に対して弁済をするものではなく,平成18年最判は本件には適切ではない。控訴人の主張は採用することができない。 エ控訴人は,破産債権者に対する配当実現のための債務引受契約として平成12年合意をしたものである等として,これが錯誤により無効であ - 15 -平成12年合意は,例えば第1項において,控訴人において破産財団に対して一定の債務を引き受けるとの文言が用いられているところ(前本件破産手続が進行中であり,破産管財人が管理人を務めるサリン事件等共助基金に対して控訴人から寄付の申込みがあったことについて,控訴人が破産者であるオウム真理教の後継団体とされていること(前提事と関連付けて処理するものとして,平成12年合意が締結されることになったことが認められ,このような経過を反映して,平成12年合意には既に述べたような債務の引受けに関する文言が用いられているものと推認されるが,平成12年合意において 成12年合意が締結されることになったことが認められ,このような経過を反映して,平成12年合意には既に述べたような債務の引受けに関する文言が用いられているものと推認されるが,平成12年合意においては,本件破産手続が結了し破産者の法人格が消滅することも想定に含めて,その後の控訴人による資金の提供への対応に関する定めもされている(第3項及び第4項。前提事実の残債務全額(人身被害者債権者による届出債権額の残額)に相当する額の債務を負担することを合意した債務負担契約(その実質は贈与契約)であるものと解するのが相当というべきである。また,平成12年合意には,本件破産手続が結了した後に控訴人により提供される資金の処理の方法についての具体的な定めは存在しない。以上に述べたところに照らすと,平成12年合意の締結に関し,控訴人についてその主張するような錯誤等の存在は認め難いというべきである。控訴人の主張は採用することができない。 なお,上記の点に関し,控訴人は,平成12年合意の法的性質に関する被控訴人の主張につきその変遷を指摘して禁反言の法則等に反するとしつつ,本件訴えにおける請求の特定に問題がある旨等の主張をする- 16 -からの整理につき控訴人の指摘するような問題が残っていたとしても,一件記録を参照しても,そのような事情を含めての被控訴人の対応に控訴人の主張するように違法と評価すべき点があったとは認め難い。また,本件における被控訴人の主張の内容に照らし,請求の趣旨及び原因並びに請求を理由づける事実の特定に関し,控訴人の主張するような問題があるとも認め難い。控訴人の主張は採用することができない。 オ控訴人は,平成12年合意は控訴人と破産者の間の重畳的な債務引受契約であり,破産手続の結了により破産債権者に対する破産者の主たる債務が消滅し も認め難い。控訴人の主張は採用することができない。 オ控訴人は,平成12年合意は控訴人と破産者の間の重畳的な債務引受契約であり,破産手続の結了により破産債権者に対する破産者の主たる債務が消滅しているのであるから,これに随伴して控訴人の債務も消滅している旨等を主張する。 しかし,及びエに述べたところに照らすと,本件破産手続の結了により控訴人が本件債権につきその弁済の義務を免れるものとは解されず,そのことが本件債権譲渡の効力に影響を与えるものとも解されない。控訴人の主張は採用することができない。 カ控訴人は,平成12年合意の法的性質が仮に債務引受契約等と認められなくとも,平成12年合意は,控訴人からの弁済金を破産債権者に配当することを負担とする負担付贈与契約であるとした上で,同契約は控訴人によって解除された旨等を主張する。 しかし,前記エ及び後記5で述べるとおり,平成12年合意は,控訴人からの弁済金を配当することを負担の内容とする負担付贈与契約とは解されない。控訴人の主張は採用することができない。 キ控訴人は,仮に平成12年合意の法的性質が無条件の贈与契約だとしても,被控訴人には重大な欺罔と背信による受遺欠格(民法891条4号及び5号)に準ずる事由が存在し,平成12年合意は控訴人によって取り消された旨を主張する。 - 17 -しかし,控訴人の主張するところを踏まえて一件記録を参照しても,被控訴人について,控訴人の主張するような平成12年合意の取消しを認めることを相当とするような事情の存在は認め難い。控訴人の主張は採用することができない。 ク控訴人は,本件債権譲渡の前後における破産管財人及び被控訴人の言動により平成12年合意の基礎となった相互の信頼関係は破壊され,平成12年合意は失効したというべきである旨を することができない。 ク控訴人は,本件債権譲渡の前後における破産管財人及び被控訴人の言動により平成12年合意の基礎となった相互の信頼関係は破壊され,平成12年合意は失効したというべきである旨を主張する(主な補充主張 権譲渡は,平成12年合意の内容とされる控訴人の金銭の支払の債務の履行が平成17年合意を経てもなお約旨に従っては進まず,本件破産手続が長期化していること等の事情を踏まえ,これに対応する一環としてされたものであって,その際に,最終的な合意の成立には至らなかったに,その対応には合理性が認められるというべきことも考慮すると,控訴人の主張するところを踏まえて一件記録を参照しても,控訴人の主張するような平成12年合意の失効を認めることを相当とするような事情の存在は認め難い。控訴人の主張は採用することができない。」同19 同20頁て,破産管財人との連携によるテロ行為の被害者等の救済の事業や,一般市民の善意の協力を受け,これを被害者等に配分する事業も掲げられていること,」を,同頁19行目の末尾の次を改行し次のとおりそれぞれ加える。 「 ア控訴人は,平成12年合意において控訴人が負っている義務は被害者- 18 -の被害救済に資するため破産者を援助しようとする情誼的なものであって,第三者に譲渡できる性質のものではないから,本件債権譲渡は無 において控訴人が負っている義務が情誼的なものにとどまりこれに係る債権の性質が譲渡を許さないものに当たるとは認め難い。控訴人の主張は採用することができない。 イ控訴人は,平成12年合意は公的機関としての破産管財人が破産財団に対する債務引受契約として控訴人と締結したものである以上,同合意に基づくいかなる債権も破産管財人の職責に基づく義務と不可分であり,その性質上譲渡が許 2年合意は公的機関としての破産管財人が破産財団に対する債務引受契約として控訴人と締結したものである以上,同合意に基づくいかなる債権も破産管財人の職責に基づく義務と不可分であり,その性質上譲渡が許されない債権に該当し,また,被控訴人は平成12年合意の前提ないし成立の条件であるその配当の義務を否定して 意が控訴人の主張するような債務引受契約に当たるとは認め難く,前記いる義務に係る債権の性質が譲渡を許さないものに当たるとも認め難と同様の配当に関する債務を被控訴人に対して負うものとは認め難い。 控訴人の主張は採用することができない。 ウ控訴人は,平成12年合意はその第1項4号のとおり全条項の一体性を自ら規定しており,条項の一部を切り離すことについて「当事者が反対の意思を表示した」(民法466条2項)場合に該当するから,本件債権譲渡は無効である旨を主張する(主な補充。 しかし,に述べたとおり,平成12年合意及び平成17年合意- 19 -には,本件債権の譲渡を禁止する旨の定めはなく,控訴人の指摘するその第1項4号の定めは,第2項以下に定める支払についての約定との一体性をいうにすぎず,それらの内容が控訴人の主張するような債権の譲渡についての反対の意思表示に当たるとは認め難い。控訴人の主張は採用することができない。 エ控訴人は,平成12年合意の法的性質について,信託的財産譲渡契約又は第三者のための契約であることを前提に,本件債権譲渡は無効であ 意について控訴人が上記の前提として主張するようには認め難い。控訴人の主張は採用することができない。 オ控訴人は,の残債務全額」は人身被害者債権者以外の債権者に係るものを含めたものであることを前提に,本件債権譲渡は公序良俗に反するものであるから無効である旨を主張する。 しかし,る い。 オ控訴人は,の残債務全額」は人身被害者債権者以外の債権者に係るものを含めたものであることを前提に,本件債権譲渡は公序良俗に反するものであるから無効である旨を主張する。 しかし,る債権は人身被害者債権者による届出債権額の残額をいうものと認めるのが相当であり,これらの対象とされる債権の発生に係る事情のほ関係も踏まえつつ本件債権譲渡がされるに至る経緯に照らすとその対応には合理性が認められるというべきことも考慮すると,控訴人の主張するところを踏まえて一件記録を参照しても,本件債権譲渡につき控訴人の主張するような公序良俗違反等に当たると認めることを相当とするような事情の存在は認め難い。控訴人の主張は採用することができない。 カ控訴人は,被控訴人が配当の義務を負うことを前提に,被控訴人は,- 20 -控訴人との協議の際に上記の義務の存在を否定し,本件債権譲渡に係る合意(甲8)の第2項(条件)1号において定められた解除条件を自ら積極的に成就させたに等しいというべきであって,本件債権譲渡は失効 て破産管財人と同様の配当に関する債務を控訴人に対して負うものとは認め難く,控訴人の主張するところを踏まえて一件記録を参照しても,控訴人の主張するような本件債権譲渡の失効を認めることを相当とするような事情の存在は認め難い。控訴人の主張は採用することができない。」同21頁20行目の「原告に対し」を「サリン事件等共助基金に対し」と,同頁21行目の「弁論の全趣旨」を「当事者間に争いがない。」と,同頁23行目の「③」を「②」とそれぞれ改める。 同22頁4行目の「原告に対し」を「人身被害者債権者に対し」と改め,同頁24行目の「(なお,」から同23頁4行目の「ない。)」までを削る。 同23頁6行目の「以下「本件債権」から る。 同22頁4行目の「原告に対し」を「人身被害者債権者に対し」と改め,同頁24行目の「(なお,」から同23頁4行目の「ない。)」までを削る。 同23頁6行目の「以下「本件債権」から同頁7行目の「という」までを「本件債権のうち9億6000万円を除く部分」と改める。 同24頁11行目の「引き受けた」の次に「(前提事実ア)」を加え,同る。 同25頁め,同頁22行目末尾の次を改行し次のとおり加える。 「7 当審における弁済等を原因とする請求の減縮被控訴人は,ひかりの輪から平成30年10月17日から令和元年9月17日までの間に合計300万円の支払を受けたとして同額につき,また,B,「ミドリノカゾク」又は「C」の名義で平成30年9月25日から令和元年7月1日までの間に合計117万4000円の支払を受けたとして- 21 -同額につき,それぞれ原審での請求額から減縮し,被控訴人に対する請求を10億2536万0779円及びこれに対する平成23年8月1日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求めるものとした。 8 当審における控訴人のその余の主な補充主張に対する判断控訴人は,被控訴人は,平成12年合意の法的性質を贈与契約とするのであれば被控訴人の本件訴えにおける請求額には問題がある旨等を主張する しかし,おける債権調査の結果を踏まえた上で,確定額をもってされており,この額につき上記の時点におけるものとして実際の本件債権の残額との間に食い違いはないものと認められ,このことについて,以上とは異なる認定判断をすべき的確な証拠は見当たらない。被控訴人の本件訴えにおける請求額の計算は,上記の金額を基礎とするものであり,このような計算方法に特段問題があるものとは認められない。控訴人の主張は採用するこ 判断をすべき的確な証拠は見当たらない。被控訴人の本件訴えにおける請求額の計算は,上記の金額を基礎とするものであり,このような計算方法に特段問題があるものとは認められない。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,本件破産事件において人身被害者債権者に配当された15億5073万6992円(原判決11頁8ないし9行目)は,破産管財人の報酬総額1億5225万8846円等を含む諸費用合計4億8201万3937円が控除された後の金額であるところ(乙13),同報酬等の人件費について控訴人の負担とされるべきいわれはなく,平成12年から平成20年までの諸経費合計1億3463万0704円については,控除されるべきである旨を主張する。 しかし,控訴人が平成12年合意により負担するに至ったのは破産債る費目が控訴人の負担すべき債務から除かれるものとは認められない。控訴人の主張は採用することができない。 - 22 -控訴人は,本件債権譲渡に係る合意書(甲8)の別紙2により,サリン事件等共助基金と被控訴人からの1億3406万8540円の支払については,控除されるべきである旨を主張する。 しかし,証拠(甲8,乙12)によれば,本件債権譲渡に係る債権額の基礎として上記の合意書(甲8)の別紙2の「破産者オウム真理教の残債務総額及びその内訳」に記載されている金額は,控訴人の指摘する1億3406万8540円を控除した後のものと認められる。控訴人の主張は採用することができない。 控訴人は,以上のほかにも,控除されるべき金額がある旨を主張し(主),それに沿う証拠(乙14)を提出する。 しかし,それらの金額のうち①元信者Aが刊行した書籍の印税の寄付に係る分につき,元信者とされるAがその刊行した「オウム真理教元幹部の手記」と題する書籍の印税を被 れに沿う証拠(乙14)を提出する。 しかし,それらの金額のうち①元信者Aが刊行した書籍の印税の寄付に係る分につき,元信者とされるAがその刊行した「オウム真理教元幹部の手記」と題する書籍の印税を被控訴人に寄付する意向であるとする令和元年9月1日付けの新聞報道がされたことについては,証拠(乙14)により認められるが,実際にそうした寄付がされたこと及びその金額等については,これを認めるべき証拠はない。また,②本件債権譲渡に係るサリン事件等共助基金よりの移管金相当額」については,同ただし書の基準日である平成20年11月26日(甲8の別紙2)以降のサリン事件等共助基金から被控訴人に対する移管金に相当する額は,控訴人が上記の日以後にサリン事件等共助基金に対して支払った3億5720万2788円と認めるのが相当であるところ,これについては,既に本件訴えの請求額から控除されている。さらに,③被控訴人の全ての銀行口座に入金される金員のうち債務者の損害賠償債務に充当する趣旨ではないと明確に確認できるものを控除した金額については,そうした入金を確認すべき証拠もない。控訴人の主張は採用することができな- 23 -い。」 2 1において認定及び判断をしたところは,当審における控訴人のその余の補充主張によっても左右されるものではない。 よって,原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから棄却することとして,縮により原判決主文第1項が変更されたことを明らかにした上で,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第15民事部 裁判長裁判官八木一洋 裁判官杉山順一 裁判官今井弘晃 裁判長 裁判官八木一洋 裁判官杉山順一 裁判官今井弘晃

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